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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079841
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】発泡性皮膚外用剤用キット
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20240604BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240604BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61K8/73
A61Q19/00
A61K8/19
A61K8/365
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024060779
(22)【出願日】2024-04-04
(62)【分割の表示】P 2022069167の分割
【原出願日】2016-09-30
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.プルロニック
(71)【出願人】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(72)【発明者】
【氏名】秋本 恵子
(72)【発明者】
【氏名】山下 実夏
(72)【発明者】
【氏名】高垣 欣也
(57)【要約】
【課題】肌状態を改善するとともに、使用感が良好な発泡性皮膚外用剤を得るためのキットを提供すること。
【解決手段】本発明の発泡性皮膚外用剤を得るためのキットは、酸性物質、該酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質、増粘剤及び水を混合して得られる発泡性皮膚外用剤を得るためのキットであって、2種以上の増粘剤を組み合わせて配合することを特徴とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性物質、該酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質、増粘剤、及び水を混合して得られる発泡性皮膚外用剤を得るためのキットであって、前記増粘剤が2種以上であり、更に下記(1)~(3)のいずれかの構成であるキット
(1)酸性物質を含む固形組成物(A)と、水、増粘剤、及び炭酸ガス発生物質を含む組成物(B)
(2)酸性物質、及び炭酸ガス発生物質を含む固形組成物(C)と、水、増粘剤を含む組成物(D)
(3)炭酸ガス発生物質を含む固形組成物(E)と、水、増粘剤、及び酸性物質を含む組成物(F)
(但し、(B)、(D)、及び(F)の増粘剤が以下の組合せであるものを除く。アルギン酸ナトリウムと、キサンタンガム、セルロースガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、若しくはベントナイトの組合せ、キサンタンガムと、セルロースガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはベントナイトの組合せ、又はセルロースガムと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはカルボマーの組合せ)。
【請求項2】
前記キットを構成する組成物の一方又は両方がさらに多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記固形組成物((A)、(C)、(E))が粉末状であり、水、及び増粘剤を含む組成物((B)、(D)、(F))がジェル状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性皮膚外用剤を得るためのキット。
【請求項4】
前記増粘剤が天然多糖及び/又はセルロース系高分子から選ばれる2種以上であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡性皮膚外用剤を得るためのキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡性皮膚外用剤を得るためのキットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容を目的として、炭酸塩と酸とを水と増粘剤の存在下において混合し、炭酸ガスを発生させて使用するジェルタイプの発泡性皮膚外用剤が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4659980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、肌の水分量を増加させる、水分蒸散量を低減させる、及び肌弾力を向上させる等の肌状態の改善、並びに使用性、安定性、及び使用感に関する検討は十分になされておらず、ましてや、優れた肌状態の改善と使用感の両立に関してはほとんど検討されていなかった。
【0005】
本発明においては、発泡性皮膚外用剤において、肌状態を改善するとともに、使用感が良好な組成物を得るための種々の検討を行った。
その結果、2種以上の増粘剤を組み合わせて配合することにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、酸性物質、該酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質、増粘剤、及び水を混合して得られる発泡性皮膚外用剤を得るためのキットであって、前記増粘剤が2種以上であり、更に下記(1)~(3)のいずれかの構成であるキットを提供するものである。
(1)酸性物質を含む固形組成物(A)と、水、増粘剤、及び炭酸ガス発生物質を含む組成物(B)
(2)酸性物質、及び炭酸ガス発生物質を含む固形組成物(C)と、水、及び増粘剤を含む組成物(D)
(3)炭酸ガス発生物質を含む固形組成物(E)と、水、増粘剤、及び酸性物質を含む組成物(F)
(但し、(B)、(D)、及び(F)の増粘剤が以下の組合せであるものを除くく。アルギン酸ナトリウムと、キサンタンガム、セルロースガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、若しくはベントナイトの組合せ、キサンタンガムと、セルロースガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはベントナイトの組合せ、又はセルロースガムと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはカルボマーの組合せ)
【0007】
また、本発明は前記(1)~(3)のキットを構成する組成物の一方又は両方がさらに多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載のキットを提供するものである。
【0008】
また、本発明は前記(1)~(3)のキットのうち前記、固形組成物((A)、(C)、(E))が粉末状であり、水、及び増粘剤を含む組成物((B)、(D)、(F))がジェル状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性皮膚外用剤を得るためのキットを提供するものである。
【0009】
また、本発明は前記(1)~(3)のキットで用いる増粘剤が、天然多糖及び/又はセルロース系増粘剤から選ばれる2種以上であることを特徴とする発泡性皮膚外用剤を得るためのキットを提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、2種以上の増粘剤を組み合わせて配合することにより、肌の水分量を増加させる、水分蒸散量を低減させる、肌弾力を向上させる等の効果を奏し、肌状態を改善するとともに、混ぜやすさ、塗りやすさ等の使用性・安全性・安定性に優れ、使用感が良好となる発泡性皮膚外用剤を得るためのキットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は比較例及び実施例の角質水分量測定の結果である。
図2図2は比較例及び実施例の水分蒸散量測定の結果である。
図3図3は比較例及び実施例の弾力測定の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の発泡性皮膚外用剤を得るためのキット(以下、「キット」とも言う)について、その好ましい実施形態に基づいて説明する。
【0013】
本発明のキットは、下記(1)~(3)のいずれかの構成である。
(1)酸性物質を含む固形組成物(A)と、水、増粘剤、及び炭酸ガス発生物質を含む組成物(B)
(2)酸性物質、及び炭酸ガス発生物質を含む固形組成物(C)と、水、及び増粘剤を含む組成物(D)
(3)炭酸ガス発生物質を含む固形組成物(E)と、水、増粘剤、及び酸性物質を含む組成物(F)
なお、本明細書においては、(1)の固形組成物を(A)、(1)の含水組成物を(B)、(2)の固形組成物を(C)、(2)の含水組成物を(D)、(3)の固形組成物を(E)、(3)の含水組生物を(F)とも言う。
【0014】
本発明のキットを用いて得られる発泡性皮膚外用剤は、化粧料、医薬部外品、医薬品のいずれの形態でも使用することができるが、有効性や使用性の観点から、化粧品又は医薬部外品(薬用化粧品)として用いることが好ましい。
【0015】
また、本発明のキットを用いて得られる発泡性皮膚外用剤は、頭皮、頭髪を含む皮膚に外用することができ、パック料、育毛料、洗顔料、クレンジング料、化粧水、乳液、美容ジェル、シャンプー、コンディショナー等、様々な形態で用いることができる。洗い流す場合にはパック料、洗顔料、クレンジング料、シャンプー、コンディショナー等に用いることが好ましい。
【0016】
まず、本発明の発泡性皮膚外用剤を得るためのキットに用いる主要な各構成成分について説明する。
【0017】
<酸性物質>
本発明に用いる酸性物質としては、通常外用剤として使用できる無機酸、有機酸であればいずれでもよく、これらの1種又は2種以上が用いられる。
【0018】
無機酸としては、例えばリン酸、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、酸性へキサメタリン酸ナトリウム、酸性ヘキサメタリン酸カリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、スルファミン酸などが挙げられる。
【0019】
有機酸としては、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の直鎖脂肪酸又はその塩類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸又はその塩類、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸又はその塩類、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α-オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸等のオキシ酸又はその塩類等が挙げられる。
【0020】
これらのうち、安全性、水への溶解性の観点から、クエン酸、アスコルビン酸、リンゴ酸及びコハク酸が好ましい。
【0021】
本発明の(A)、(C)、及び(F)中の酸性物質の含有量は、該当するキットの2剤の合計量100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上20質量部以下であることが更に好ましい。本明細書で言う皮膚外用剤の量は、各キットの成分を混合する混合開始時点の量であればよい。
【0022】
本発明の(A)中の酸性物質の含有量は、0.1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の(C)中の酸性物質の含有量は、0.01質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上40質量%以下であることが更に好ましい。
更に、本発明の(F)中の酸性物質の含有量は、0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
【0023】
<炭酸ガス発生物質>
本発明に用いる炭酸ガス発生物質としては、前記酸性物質と反応して二酸化炭素を発生する物質であればよい。
【0024】
炭酸ガス発生物質としては、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、セスキ炭酸ナトリウム等の炭酸塩、炭酸水素アンモニウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素セシウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム等の炭酸水素塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上が用いられる。これらの中でも、炭酸水素塩が好ましく使用でき、程よい発泡力を実現することができる点で炭酸水素ナトリウムがより好ましい。
【0025】
本発明の(B)、(C)、及び(E)中の炭酸ガス発生物質の含有量は、該当するキットの2剤の合計量100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上20質量部以下であることが更に好ましい。
【0026】
本発明の(B)中の炭酸ガス発生物質の含有量は、0.01質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上20質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の(C)中の炭酸ガス発生物質の含有量は、0.01質量%以上50質量%以下であることが好ましく、0.05質量%以上40質量%以下であることが更に好ましい。
本発明の(E)中の炭酸ガス発生物質の含有量は、0.1質量%以上90質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。
【0027】
<増粘剤>
本発明の発泡性皮膚外用剤を得るためのキットは、2種以上の増粘剤を組み合わせて配合することを特徴の一つとする。そのような増粘剤について以下に詳述する。
本発明に使用される増粘剤の例としては、化粧料、医薬品分野において用いられ得る各種のものが挙げられる。例えば、天然多糖、セルロース系高分子、合成高分子、粘土鉱物などが使用できる。
【0028】
本発明で用いられる天然多糖とは、動植物由来あるいは微生物醗酵由来の多糖であり、加工の目的が糖のサイズを低下させることである該加工にかけられていない糖を指す。多糖は、通常の精製手順の間にサイズがわずかに低下するようになる。そのような糖は依然として天然である。多糖をサイズ縮小技術にかけた場合のみ、該多糖は天然ではないと考えられる。
【0029】
具体的には、キサンタンガム、サクシノグリカン、カラギーナン、グアーガム、ローカストビーンガム、ガラクタン、アラビアガム、トラガントガム、タマリンドガム、寒天、アガロース、マンナン、カードラン、アルギン酸又はその塩類、アラビアゴム、ペクチン、クインシード、デンプン、アルゲコロイド、コンドロイチン硫酸又はその塩類、キトサン及びその誘導体、核酸又はその塩類、リボ核酸又はその塩類、カゼイン、コラーゲン、ゼラチン、アルブミン、フィブロイン、エラスチン、ケラチン、セリシンなどの水溶性タンパク質、ヒアルロン酸又はその塩、コンドロイチン硫酸などのムコ多糖類などが挙げられる。これらの中でも、優れた使用感と肌状態の改善作用の両立の観点から、キサンタンガム、カラギーナン、タマリンドガム、アルギン酸又はその塩類が好ましい。
【0030】
本発明で用いられるセルロース系高分子とは、セルロースまたはその誘導体を単位として構成される高分子である。具体的には、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スルホン化セルロース誘導体などが挙げられる。これらの中でも、優れた使用感と肌状態の改善作用の両立の観点から、カルボキシメチルセルロース又はその塩類、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
【0031】
本発明で用いられる合成高分子とは、構成単位とするモノマーを用いて、人工的に合成された高分子である。具体的には、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール等のビニル系高分子、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、アクリレーツ/アクリル酸アルキルクロスポリマー、ポリアクリル酸などのアクリル酸系高分子、ポリアクリルアミド、ポリアルキルアクリルアミド/ポリアクリルアミドコポリマー等のアクリルアミド系高分子、プルロニック、(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーなどが挙げられる。
【0032】
本発明で用いられる粘土鉱物とは、粘土を構成する主成分鉱物として通常知られている物質を指す。
具体的には、ラポナイト、ベントナイト、スメクタイトカオリナイト、モンモリロナイトなどが挙げられる。
【0033】
本発明における、上記増粘剤2種以上の組み合わせとしては特に限定されるものではないが、使用感を向上させるとともに、肌状態を改善するという観点から、天然多糖及び/又はセルロース系高分子の中から選ばれる2種以上の組合せが好ましく、天然多糖1種以上とセルロース系高分子1種以上の組合せがより好ましい。
【0034】
好ましい組合せの具体例としては次の通りである。(i)天然多糖2種以上の組み合わせとしては、例えばアルギン酸ナトリウムと、タマリンドガム、及びカラギーナンから選ばれる少なくとも1種の組み合わせ、タマリンドガムと、カラギーナン、及びキサンタンガムから選ばれる少なくとも1種の組み合わせ、カラギーナンとキサンタンガムの組み合わせなどが挙げられる。(ii)セルロース系高分子2種以上の組み合わせとしては、例えばセルロースガムと、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルから選ばれる少なくとも1種の組合せ、ヒドロキシエチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルの組合せなどが挙げられる。(iii)天然多糖1種以上とセルロース系高分子1種以上の組み合わせとしては、例えば、アルギン酸ナトリウムと、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルから選ばれる少なくとも1種の組合せ、タマリンドガムと、セルロースガム、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルから選ばれる少なくとも1種の組合せ、カラギーナンと、セルロースガム、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルから選ばれる少なくとも1種の組合せ、キサンタンガムと、ヒドロキシエチルセルロース、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルから選ばれる少なくとも1種の組合せなどが挙げられる。
【0035】
これらの中でも、より好ましい組合せとしては、前記(iii)の組合せが挙げられる。
【0036】
より好ましい組合せの中でも、優れた使用感と肌状態の改善作用を両立しつつ、個別の作用効果において、特に優れている組合せとしては以下の組合せが挙げられる。角質水分量増加の観点からは、カラギーナンとヒドロキシエチルセルロース、及びキサンタンガムとヒドロキシエチルセルロースの組合せが特に好ましく、混ぜやすさの観点からは、カラギーナンとヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルの組合せが特に好ましく、泡の細かさの観点からは、カラギーナンとセルロースガムの組合せが特に好ましく、炭酸感(ぱちぱち感)の持続の観点からは、カラギーナンとセルロースガムの組合せが特に好ましく、肌のしっとり感の観点からは、キサンタンガムとヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルの組合せ、タマリンドガムとセルロースガムの組合せ、カラギーナンとヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルの組合せ、カラギーナンとヒドロキシプロピルメチルエルロースステアロキシエーテルの組合せが特に好ましく、泡の均一感の観点からは、キサンタンガムとヒドロキシエチルセルロースの組合せ、タマリンドガムとセルロースガムとの組合せ、カラギーナンとヒドロキシエチルセルロースの組合せ、カラギーナンとヒドロキシプロピルメチルセルロースステアロキシエーテルの組合せが特に好ましい。
【0037】
また、優れた使用感と肌状態の改善作用を両立していないため、好ましくない組合せとしては、アルギン酸ナトリウムと、キサンタンガム、セルロースガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、若しくはベントナイトの組合せ、キサンタンガムと、セルロースガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはベントナイトの組合せ、又は、セルロースガムと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはカルボマーの組合せがあげられる。
【0038】
本発明の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び/又は(F)中の増粘剤の含有量は、該当するキットの2剤の合計量100質量部に対して、0.01質量部以上40質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上30質量部以下であることが更に好ましい。ここでいう酸含有組成物及び/又は塩基含有組成物中の増粘剤の量の量とはこれらの一方が増粘剤を含有している場合はその量であり、両方が増粘剤を含有している場合はその合計量であり、酸及び塩基含有組成物及び/又は含水組成物中の増粘剤の量も同様である。
【0039】
組み合わせる増粘剤2種以上の配合比率としては、このうち1種100質量部に対するその他何れか1種の含有量は、1質量部以上10000質量部以下であることが好ましく、5質量部以上5000質量部以下であることがより好ましく、10質量部以上1000質量部以下であることが特に好ましい。
【0040】
<水>
本発明で使用できる水は、化粧品、外用医薬品、医薬部外品等で使用できる水を使用することができるが、精製水、蒸留水、膜濾過水、イオン交換水が好ましい。
【0041】
本発明の(1)~(3)のキットにおける水の含有量は、該当するキットの2剤の合計量100質量部に対して、20質量部以上95質量部以下であることが好ましく、30質量部以上90質量部以下であることが更に好ましい。
【0042】
<多価アルコール>
本発明では皮膚外用剤に多価アルコールを含有することが、高い保湿効果を発揮するとともに、使用感を改善する点から好ましい。多価アルコールとしては、通常外用剤に使用できるものであれば得に限定されないが、例えばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等のポリグリセリン、エチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、ソルビトール、ポリグリセリン誘導体、グルコース、フルクトース、グリセルアルデヒド、ラクトース、アラビノース、マルトース等の還元糖、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール、キシリトール等の糖アルコールなどがあげられ、これら1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0043】
本発明の(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、及び/又は(F)中の多価アルコールの含有量は、該当するキットの2剤の合計量100質量部に対して、1質量部以上80質量部以下であることが好ましく、5質量部以上70質量部以下であることが更に好ましい。ここでいう多価アルコールの量とは各キットの一方が多価アルコールを含有している場合はその量であり、両方が多価アルコールを含有している場合はその合計量である。
【0044】
<その他の成分>
本発明の発泡性皮膚外用剤キットは有効成分、防腐剤、pH調整剤、油脂、香料、着色剤、酸化防止剤、防菌防かび剤、アルコール、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤などの界面活性剤、無機塩、滑沢剤、溶剤等の、通常皮膚外用剤に使用される成分の一種以上を使用することができる。また本発明のキットにおいては、添加する成分は固形組成物、含水組成物いずれか一方の剤に使用することができるし、どちらの剤にも使用しても良い。
【0045】
本発明の発泡性皮膚外用剤キットにおいて、その他の成分(水、酸性物質、炭酸ガス発生物質、増粘剤、及び多価アルコール以外の成分)を配合する場合、その成分の含有量は合計で30質量%以下、特に、25質量%以下であることが発泡の良好性や炭酸ガス保留性の観点から好ましい。
【0046】
<キットの剤形及び成分量>
(1)~(3)のキットについて更に詳述する。(1)~(3)のキットにおいて、各キットの固形組成物の剤形としては、錠剤、ペレット状、顆粒状、細粒状、粉末状の形態が挙げられるが、他方の剤との混合のしやすさや、製造時のコストの観点から顆粒状、細粒状、粉末状が好ましい。
【0047】
また、各キットの含水組成物の剤形としてはジェル状又は液状が挙げられるが、使用感の観点からジェル状が好ましい。
液状の剤は、25℃における粘度が、好ましくは3000mPa・s未満であり、より好ましくは4000mPa・s未満である。ジェル状の剤は、25℃における粘度が好ましくは5000Pa・s以上である。この粘度は、例えば粘度計(ブルックフィールド社製 RVT型)により測定される。また液状の剤中における増粘剤の量は好ましくは0.05質量%未満であり、より好ましくは0.01質量%未満であり、特に好ましくは0.005質量%未満である。一方、ジェル状の剤中の増粘剤の量は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上である。
【0048】
<(1)~(3)のキットの固形組成物>
(1)~(3)のキットの固形組成物における酸及び炭酸ガス発生物質の好ましい量としては上述した通りである。これら組成物の増粘剤の量及びその含有量は、他方の剤がジェル状である場合は、これら組成物中0.01質量%以上20質量%以下、特に0.05質量%以上15質量%以下であることが発泡の良好性や炭酸ガス保留性の観点から好ましく、他方の剤が液状である場合は、これら組成物中に0.01質量%以上30質量%以下、特に0.05質量%以上25質量%以下であることが、液剤との混合容易性や発泡性、炭酸ガス保留性の発揮の観点から好ましい。
【0049】
(1)~(3)のキットの固形組成物を顆粒状に造粒する場合は以下の方法が挙げられる。
【0050】
酸性物質及び/又は炭酸ガス発生物質を、その他成分との混合物として造粒することにより顆粒を得る場合、その他成分の含有量としては特に制限はないが、上記顆粒中において95質量%未満とすることが好ましい。その他成分が95質量%を超える含有量で存在する場合、発泡性が低くなるため好ましくない。
上記粉末あるいは顆粒の製造方法は、本実施例に限定されることはなく、乾式破砕造粒法や湿式破砕造粒法、流動層造粒法、高速撹拌造粒法、押し出し造粒法等の常法に従い製造できる。
【0051】
例えば、顆粒の製造においては、顆粒の成形等の機能を有するマトリックス基材を使用しても良い。マトリックス基剤として、低融点化合物を使用する場合は、ビーカー等の容器中で加熱により溶融させた低融点化合物に前記炭酸ガス発生物質を加えて十分撹拌、混合する。必要に応じてこれに適当な添加剤を加えてもよい。これを室温で徐々に冷やしながら更に撹拌し、固まるまで放置する。ある程度固まってきたら冷蔵庫等で急速に冷却してもよい。
【0052】
また、例えば、流動層造粒機に上記材料を投入し、数分間気流で混合し、これに、水を噴霧することにより造粒してもよい。
【0053】
マトリックス基剤に低融点化合物を用いない場合は、ビーカー等の容器中で顆粒化剤を水又はエタノールのような適当な溶媒に溶解又は分散させ、これに前記炭酸ガス発生物質を溶解又は分散させて十分混合した後にオーブン等で加熱して溶媒を除去し、乾燥させる。完全に固まったら粉砕し、粒の大きさを揃えるために篩過した後、顆粒とする。
【0054】
<(1)~(3)のキットの含水組成物>
(1)~(3)のキットの前記含水組成物((B)、(D)、(F))における炭酸ガス発生物質、及び酸性物質の好ましい量は上述した通りである。また(1)~(3)のキットの前記含水組成物における水分の割合は20質量%以上、特に30質量%以上であることが各キットの他方の剤((A)、(C)、(E))との混合性及び発泡性等の観点から好ましく、95質量%以下、特に90質量%以下であることが、使用感を向上させるとともに、肌状態を改善を改善するという観点から好ましい。
【0055】
(1)~(3)のキットの前記含水組成物に多価アルコールを含有させる場合であって、該含水組成物における多価アルコールの割合は、1質量%以上、特に10質量%以上であることが好ましく、80質量%以下、特に70質量%以下、とりわけ60質量%以下であることが使用感を向上させるとともに、肌状態を改善を改善するという観点から好ましい。
【0056】
また(1)~(3)の各含水組成物には、多価アルコール以外の保湿剤、界面活性剤、pH調整剤、揮発性アルコール、油脂類、香料、動植物の抽出物等を添加することができる。例えば、多価アルコール以外の保湿剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルグルコシド、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、アーモンド、アボカド、アルテア、アロエ、ウスベニアオイ、オノニス、カラスムギ、甘草、クインスシード、クララ(クジン)、クチナシ、グレープフルーツ、クレソン、ゲンチアナ、ゲンノショウコ、ゴボウ、コムギ、サイシン、サボテン、サボンソウ、サンザシ、ジオウ、シモツケ、ショウガ、ゼニアオイ、クワ、タチジャコウソウ、冬虫夏草、ドクダミ、ハッカ、ハトムギ、ハマメリス、バラ、ヒノキ、フキタンポポ、ブドウ、プルーン、ヘチマ、ボダイジュ、ホップ、マツ、マルメロ、マロニエ、メリッサ、ヤグルマソウ、ユリ、ライム、ラベンダー、リンゴ、コメ及びコメヌカ、ブラックカラント、イブキトラノオ、ノイバラ、エゾウコギ、海藻等の植物抽出物が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を使用することができる。
【0057】
酸性物質及び/又は炭酸ガス発生物質の形状としては、例えば、不規則な形状、平面な形状、多面体形状、球状、しずく状、繊維状、円柱状、微粉状等が特に制限なく採用できる。また、その粒径としては、幅広い範囲のものが、特に制限なく使用できる。特に、取り扱いのしやすさ、粘性組成物との混合のしやすさの点から、粒径分布が1,000μm以下程度のものがより好ましい。本発明における上記粒径分布は、通常のレーザー回折/散乱法によって求めることができる。
【0058】
(2)のキットの場合、例えば、前記酸性物質及び/又は炭酸ガス発生物質とその他成分とのいずれか一方又は両方に、これを包むコート層を設けてもよいし、前記炭酸ガス発生物質とその他成分とのいずれか一方又は両方をカプセル化してもよい。また、酸性物質及び/又は炭酸ガス発生物質は互いの成分又は他の成分との間に、これらが直接接しないように前記炭酸ガス発生物質、酸性物質及びその他成分を含有しない層を挟み、圧縮成形してもよい。前記酸性物質及び/又は炭酸ガス発生物質並びにその他成分の同一剤内への共存化手段としては公知の方法が挙げられる。
【0059】
なお、(1)~(3)のキットにおける両者の混合比率(質量比)は含水組成物:固形組成物が1:0.01以上30以下であることが好ましく、1:0.05以上20以下であることがより好ましい。
【0060】
本発明の皮膚外用剤キットにより得られる組成物中の酸性物質、炭酸ガス発生物質、増粘剤、及び水の各使用量は、その合計量に対し、酸性物質は0.1~15質量%、炭酸ガス発生物質は0.1~20質量%、増粘剤は0.1~20質量%、水は40~99.6質量%が好ましい。また皮膚外用剤が多価アルコールを含有する場合、皮膚外用剤を得るための混合に用いる酸性物質、炭酸ガス発生物質、増粘剤、水、及び多価アルコールの各使用量は、その合計量に対し、酸性物質は0.1~10質量%、炭酸ガス発生物質は0.1~10質量%、増粘剤は0.1~15質量%、水は30~97質量%、多価アルコールは0.05~50質量%が好ましい。
【0061】
<皮膚外用剤キットの用途>
本発明に係る皮膚外用剤は、炭酸ガスの作用に起因して皮膚血流量の増加を促すものである。本発明の皮膚外用剤は、肌の水分量を増加させる、水分蒸散量を低減させる、肌弾力を向上させるという、肌状態の改善効果に優れている。また、本発明に係る皮膚外用剤は、使用時の使用感(混ぜやすさ、泡のなめらかさ、泡の細かさ、泡の均一感、塗りやすさ、垂れにくさ、泡の弾力、炭酸感及びその持続の程度等)に優れるとともに、使用後の使用感(肌のしっとり感、弾力、明るさ、赤み、なめらかさ、すべすべ感、ひきしめ感等)に優れている。更に本発明に係る皮膚外用剤は、肌質改善、肌の若返り、肌の引き締め、部分痩せ、皮膚を清浄にする、肌を整える、肌のキメを整える、皮膚をすこやかに保つ、肌荒れを防ぐ、肌をひきしめる、皮膚にうるおいを与える、皮膚の水分,油分を補い保つ、皮膚の柔軟性を保つ、皮膚を保護する、皮膚の乾燥を防ぐ、肌を柔らげる、肌にはりを与える、肌にツヤを与える、肌を滑らかにする、乾燥による小ジワを目立たなくすることを目的とした化粧品だけでなく、肌あれ、あれ性、あせも・しもやけ・ひび・あかぎれ・にきびの予防、油症肌、かみそりまけの予防、日やけ・雪やけ後のほてりを防ぐ、肌をひきしめる、肌を清浄にする、肌を整える、皮膚をすこやかに保つ、皮膚にうるおいを与える、皮膚を保護する、皮膚の乾燥を防ぐ等を目的とした、医薬部外品、薬品等の医薬品のいずれにも好適に使用することができる。また、頭皮、頭髪に用いた場合は、毛髪のツヤ感、滑らかさ、頭皮への弾力感や保湿感の付与効果が高められる。また、血流改善作用により、毛乳頭細胞の増殖作用や育毛を促進する作用も期待できる。本発明に係る皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品としての使用が好ましく、乳液、クリーム、パック剤、ピーリング剤等の化粧品、薬用化粧品としての使用が好ましい。特にその中でもパック剤として使用すると、使用感がよく高い肌状態改善効果が得やすいため好ましい。
【実施例0062】
以下、実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。下記の各実施例及び比較例において、使用する原料は特にことわりのない限り、市販品を用いた。
【0063】
<発泡性皮膚外用剤の製造>
表1~表3に記載の各成分を同表に示した組成で配合、混合し、各実施例及び比較例の皮膚外用剤キットを製造した。表1~3において、酸性物質は単に「酸」とも言い、炭酸ガス発生物質は単に「炭酸塩」とも言う。
【0064】
【表1】
【0065】
【表2】
【0066】
【表3】
【0067】
上記実施例及び比較例のについて、下記の〔評価1〕を行った。
〔評価1〕
被験者として、20代~30代の健常な女性2名を無作為に選出した。各被験者の前腕内側を洗顔料で洗浄し測定室で15分間安静に過ごさせた。次に、発泡性皮膚外用剤塗布予定箇所4cm×4cmの測定部分について下記の方法にて水分蒸散量、角層水分量、弾力の測定を行った。次に、前記の測定部位に上記発泡性皮膚外用剤を塗布し、10分間静置した。その後、発泡性皮膚外用剤を除去し、水で洗浄した。洗浄後15分経過してから発泡性皮膚外用剤使用後における同様の測定を行った。尚、被験者は測定中、測定室にて安静に過ごした。
使用後の肌状態測定結果を図1図3に示す。尚、図1図3における値は、発泡性皮膚外用剤塗布前の測定値を1としたときの相対値(変化率)である。水分蒸散量は数値が小さいほどバリア機能が整っていて良い結果であることを示し、角層水分量は数値が大きいほど良いことを示し、弾力は数値が大きいほど良いことを示す。
【0068】
発泡性皮膚外用剤塗布前後の肌状態は、それぞれ下記の装置を用いて測定した。また、これらの測定は、機器に付属の説明書に記載される標準的な方法で実施した。
・水分蒸散量:テヴァメーター(登録商標)TM300(CK社)を用いて測定した。
・角層水分量:皮表角層水分量測定装置SKICON-200EX(アイ・ビイ・エス社製)で測定した。この皮表角層水分量測定装置は、皮膚のコンダクタンス(電気伝導度、単位:μS)を角層の水分量として評価したものである。
・弾力:皮膚粘弾力測定装置Cutometer MPA580(Courage+Khazaka社製)で測定した。
【0069】
図1図3に示すように、特定の2種以上の増粘剤を組み合わせて配合した各実施例の発泡性皮膚外用剤は、これらの増粘剤の組合せを配合していない各比較例の発泡性皮膚外用剤に比べて、角層水分量、弾力の増加が大きく、水分蒸散量の低下は小さかった。また、実施例1~3から明らかなように、(1)~(3)のいずれの構成のキットであっても、高い肌状態改善作用を示した。従って、特定の2種以上の増粘剤を組み合わせて配合した本発明の発泡性皮膚外用剤の肌状態改善効果が高いことは明らかである。
【0070】
上記実施例及び比較例について、下記の〔評価2〕を行った。
〔評価2〕
被験者として、20代~30代の健常な女性2名を無作為に選出した。各被験者の前腕内側を洗顔料で洗浄し測定室で15分間安静に過ごさせた。次に、測定部位に上記発泡性皮膚外用剤を塗布し、10分間静置した。次に、発泡性皮膚外用剤を除去し、水で洗浄した。使用時及び使用後の評価項目(16項目)について、7段階の評価基準に基づいて評価を行った。評価基準を以下の表Aに、結果を以下の表B~表Dに示す。なお、下記の結果は、2名の評価点の平均値である。
【0071】
【表A】
【0072】
【表B】
【0073】
【表C】
【0074】
【表D】
【0075】
表B~Dに示すように、特定の2種以上の増粘剤を組み合わせて配合した各実施例の発泡性皮膚外用剤は、これを配合しない各比較例の発泡性皮膚外用剤と比べて、使用時の使用感(混ぜやすさ、泡のなめらかさ、泡の細かさ、泡の均一感、塗りやすさ、垂れにくさ、泡の弾力、炭酸感及びその持続)に優れるとともに、使用後の使用感(肌のしっとり感、弾力、明るさ、赤み、なめらかさ、すべすべ感、ひきしめ感)に優れていた。また、実施例1~3から明らかなように、(1)~(3)のいずれの構成のキットであっても、使用感に優れていた。
【0076】
したがって、特定の2種以上の増粘剤を組み合わせて配合した本発明の発泡性皮膚外用剤は優れた肌状態改善効果と、使用感を兼ね備えることは明らかである。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸性物質、該酸性物質と反応して炭酸ガスを発生する炭酸ガス発生物質、2種以上の増粘剤、及び水を混合して得られる発泡性皮膚外用剤を得るためのキットであって、前記増粘剤が、タマリンドガムと、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びカルボマーから選ばれる1種以上との組み合わせ、カラギーナンと、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース及びカルボマーから選ばれる1種以上との組み合わせ、キサンタンガムとカルボマーとの組み合わせ、カルボキシメチルセルロースナトリウムとヒドロキシエチルセルロースとの組み合わせ、並びに、カルボマーと、ヒドロキシエチルセルロース及びポリアクリル酸Naとの組み合わせであり、更に下記(1)~(3)のいずれかの構成であるキット
(1)酸性物質を含む固形組成物(A)と、水、増粘剤、及び炭酸ガス発生物質を含む組成物(B)
(2)酸性物質、及び炭酸ガス発生物質を含む固形組成物(C)と、水、増粘剤を含む組成物(D)
(3)炭酸ガス発生物質を含む固形組成物(E)と、水、増粘剤、及び酸性物質を含む組成物(F)
(但し、(B)、(D)、及び(F)の増粘剤が以下の組合せであるものを除く。アルギン酸ナトリウムと、キサンタンガム、セルロースガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボマー、ポリビニルアルコール、若しくはベントナイトの組合せ、キサンタンガムと、セルロースガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはベントナイトの組合せ、又はセルロースガムと、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、若しくはカルボマーの組合せ)。
【請求項2】
前記キットを構成する組成物の一方又は両方がさらに多価アルコールを含有することを特徴とする請求項1に記載のキット。
【請求項3】
前記固形組成物((A)、(C)、(E))が粉末状であり、水、及び増粘剤を含む組成物((B)、(D)、(F))がジェル状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の発泡性皮膚外用剤を得るためのキット。