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特開2024-79849ドライブユニット、ドライブシステム、および、カバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079849
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ドライブユニット、ドライブシステム、および、カバー
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/08 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
H02K5/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024063376
(22)【出願日】2024-04-10
(62)【分割の表示】P 2019151071の分割
【原出願日】2019-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】多賀谷 兼介
(72)【発明者】
【氏名】藤原 規夫
(72)【発明者】
【氏名】亀田 剛
(72)【発明者】
【氏名】阿部 佑亮
(57)【要約】
【課題】ユーザへの熱の伝達を抑制できるドライブユニット、ドライブシステム、および、カバーを提供する。
【解決手段】人力駆動車用のドライブシステムは、ハウジングと、ドライブユニットと、カバーと、を備える。前記カバーは、前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの前記少なくとも1つに取り付けられた取付状態において、前記ハウジングおよび前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、かつ、前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部を覆う部分に、幅が10mm以下のスリットおよび最大幅が10mm以下の貫通孔の少なくとも1つが形成される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用のドライブシステムであって、
前記人力駆動車のフレームに取付可能に構成されるハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を備える、ドライブユニットと、
前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの少なくとも1つに取り付け可能に構成され、少なくとも一部が樹脂材料によって形成されるカバーと、を備え、
前記カバーは、前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの前記少なくとも1つに取り付けられた取付状態において、前記ハウジングおよび前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、かつ、前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部を覆う部分に、幅が10mm以下のスリットおよび最大幅が10mm以下の貫通孔の少なくとも1つが形成される、ドライブシステム。
【請求項2】
前記カバーは、前記取付状態において、前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、
前記スリットおよび前記貫通孔の前記少なくとも1つは、前記カバーにおいて前記モータを覆う部分に設けられる
請求項1に記載のドライブシステム。
【請求項3】
前記カバーは、前記取付状態において、前記モータとの間に隙間が設けられるように構成される
請求項2に記載のドライブシステム。
【請求項4】
前記カバーは、前記ドライブユニットが前記人力駆動車に取り付けられ、かつ、前記取付状態において、前記人力駆動車の進行方向における前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部の前側に配置される第1部分を含み、
前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記第1部分に設けられる
請求項1から3のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項5】
前記カバーは、前記ドライブユニットが前記人力駆動車に取り付けられ、かつ前記取付状態において、前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部の下側に配置される第2部分を含み、
前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記第2部分に設けられる
請求項1から4のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項6】
前記カバーは、前記ドライブユニットが前記人力駆動車に取り付けられ、かつ前記取付状態において、前記人力駆動車の進行方向における前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部の後側に配置される第3部分を含み、
前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記第3部分に設けられる
請求項1から5のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項7】
前記カバーは、前記取付状態において、前記モータの回転軸周りにおける前記モータの外周面の少なくとも一部を覆うように構成されるモータ外周面被覆部を含み、
前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記モータ外周面被覆部に設けられる
請求項1から6のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項8】
前記カバーは、前記取付状態において、前記モータの回転軸に沿う方向における前記モータの端面の少なくとも一部を覆うように構成されるモータ端面被覆部を含み、
前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記モータ端面被覆部に設けられる
請求項1から7のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項9】
前記モータに一体成形される樹脂部材をさらに備え、
前記樹脂部材は、前記モータの回転軸に沿う方向における端面の少なくとも一部に設けられる
請求項1から8のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項10】
前記スリットは、複数のスリットを含み、
前記複数のスリットの少なくとも1つは、直線状に形成される
請求項1から9のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項11】
前記スリットは、複数のスリットを含み、
前記複数のスリットの少なくとも1つは、第1スリットと、前記第1スリットに交差する第2スリットとによって構成される
請求項1から10のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項12】
前記貫通孔は、複数の貫通孔を含み、
前記複数の貫通孔は、ハニカム構造を構成するように配置される
請求項1から11のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項13】
前記ハウジングは、クランクシャフトを回転可能に支持するように構成される
請求項1から12のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項14】
前記モータの回転軸は、クランクシャフトに平行に配置される
請求項1から12のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項15】
人力駆動車のドライブユニット用のカバーであって、
前記ドライブユニットは、前記人力駆動車のフレームに取付可能に構成されるハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を備え、
前記カバーは、少なくとも一部が樹脂材料によって形成され、
前記カバーは、
前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの少なくとも1つに取り付け可能な取付部と、
前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの少なくとも1つに取り付けられた取付状態において、前記ハウジングおよび前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、かつ、前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部を覆う部分に、幅が10mm以下のスリットおよび最大幅が10mm以下の貫通孔の少なくとも1つが形成される本体部と、を備える、カバー。
【請求項16】
前記本体部は、前記取付状態において、前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、
前記スリットおよび前記貫通孔の前記少なくとも1つは、前記本体部において前記モータを覆う部分に設けられる
請求項15に記載のカバー。
【請求項17】
前記本体部は、前記取付状態において、前記モータとの間に隙間が設けられるように構成される
請求項15または16に記載のカバー。
【請求項18】
人力駆動車用のドライブユニットであって、
前記人力駆動車のフレームに取付可能に構成されるハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、樹脂材料によって形成される樹脂部材と、を備え、
前記ハウジングのうち前記モータを覆う部分および前記モータの少なくとも一部は、金属によって形成される金属部分を有し、
前記樹脂部材は、前記金属部分に一体成形によって固定され、外部に露出するように構成される、
ドライブユニット。
【請求項19】
前記モータは、前記モータのステータおよびロータを収容するケースを含み、
前記ケースは、前記金属部分を含み、
前記樹脂部材は、前記ケースにおいて前記モータの回転軸に沿う方向の端面部に設けられる
請求項18に記載のドライブユニット。
【請求項20】
前記ハウジングは、少なくとも一部が金属によって形成され、かつ、前記モータのステータおよびロータを収容するモータ収容部を含み、
前記樹脂部材は、前記モータ収容部において前記モータの回転軸に沿う方向の端面部に設けられる
請求項19に記載のドライブユニット。
【請求項21】
前記樹脂部材は、少なくとも1つの放熱フィンを含む
請求項18から20のいずれか一項に記載のドライブユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドライブユニット、ドライブシステム、および、カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自転車のドライブユニットが開示されている。ドライブユニットは、自転車のフレームに設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-51446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライブユニットは、駆動時に発熱するため、ユーザが接触すると、ユーザに熱が伝達される。本開示の目的の一つは、ドライブユニットからユーザへの熱の伝達を抑制できるドライブユニット、ドライブシステム、および、カバーを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従うドライブシステムは、人力駆動車用のドライブシステムであって、前記人力駆動車のフレームに取付可能に構成されるハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を備える、ドライブユニットと、前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの少なくとも1つに取り付け可能に構成され、少なくとも一部が樹脂材料によって形成されるカバーと、を備え、前記カバーは、前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの前記少なくとも1つに取り付けられた取付状態において、前記ハウジングおよび前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、かつ、前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部を覆う部分に、幅が10mm以下のスリットおよび最大幅が10mm以下の貫通孔の少なくとも1つが形成される。
【0006】
第1側面のドライブシステムによれば、ハウジングおよびモータの少なくとも一部をカバーが覆うので、ドライブユニットからユーザへの熱の伝達を抑制できる。さらに第1側面のドライブシステムによれば、スリットおよび貫通孔の少なくとも1つを介してドライブユニットに外気を接触させやすく、モータの温度上昇を抑制できる。さらに第1側面のドライブシステムによれば、スリットの幅が10mm以下であり、貫通孔の最大幅が10mm以下であるので、ユーザの指がカバーのスリットまたは貫通孔を介して、ドライブユニットに接触することを抑制できる。
【0007】
本開示の第1側面に従う第2側面のドライブシステムにおいて、前記カバーは、前記取付状態において、前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、前記スリットおよび前記貫通孔の前記少なくとも1つは、前記カバーにおいて前記モータを覆う部分に設けられる。
第2側面のドライブシステムによれば、スリットおよび貫通孔の少なくとも1つを介してモータに外気を接触させやすい。
【0008】
本開示の第2側面に従う第3側面のドライブシステムにおいて、前記カバーは、前記取付状態において、前記モータとの間に隙間が設けられるように構成される。
第3側面のドライブシステムによれば、モータの熱が直接カバーに伝達されることが抑制されるのでカバーの温度の上昇が抑制される。さらに第3側面のドライブシステムによれば、モータとカバーとの間に空気を流通させて、モータに空気を接触させやすい。
【0009】
本開示の第1から第3側面のいずれか1つに従う第4側面のドライブシステムにおいて、前記カバーは、前記ドライブユニットが前記人力駆動車に取り付けられ、かつ、前記取付状態において、前記人力駆動車の進行方向における前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部の前側に配置される第1部分を含み、前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記第1部分に設けられる。
第4側面のドライブシステムによれば、人力駆動車が前進する場合に、カバー外の空気をカバー内に取り込みやすい。
【0010】
本開示の第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面のドライブシステムにおいて、前記カバーは、前記ドライブユニットが前記人力駆動車に取り付けられ、かつ前記取付状態において、前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部の下側に配置される第2部分を含み、前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記第2部分に設けられる。
第5側面のドライブシステムによれば、カバー内に流入する水がカバー外に排出されやすい。
【0011】
本開示の第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面のドライブシステムにおいて、前記カバーは、前記ドライブユニットが前記人力駆動車に取り付けられ、かつ前記取付状態において、前記人力駆動車の進行方向における前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部の後側に配置される第3部分を含み、前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記第3部分に設けられる。
第6側面のドライブシステムによれば、人力駆動車が前進する場合に、カバー内の空気をカバー外に排出しやすい。
【0012】
本開示の第1から第6側面のいずれか1つに従う第7側面のドライブシステムにおいて、前記カバーは、前記取付状態において、前記モータの回転軸周りにおける前記モータの外周面の少なくとも一部を覆うように構成されるモータ外周面被覆部を含み、前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記モータ外周面被覆部に設けられる。
第7側面のドライブシステムによれば、モータの回転軸周りにおけるモータの外周面に空気を接触させやすい。
【0013】
本開示の第1から第7側面のいずれか1つに従う第8側面のドライブシステムにおいて、前記カバーは、前記取付状態において、前記モータの回転軸に沿う方向における前記モータの端面の少なくとも一部を覆うように構成されるモータ端面被覆部を含み、前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記モータ端面被覆部に設けられる。
第8側面のドライブシステムによれば、モータの回転軸に沿う方向におけるモータの端面に空気を接触させやすい。
【0014】
本開示の第1から第8側面のいずれか1つに従う第9側面のドライブシステムにおいて、前記モータに一体成形される樹脂部材をさらに備え、前記樹脂部材は、前記モータの回転軸に沿う方向における端面の少なくとも一部に設けられる。
第9側面のドライブシステムによれば、樹脂部材によってモータの回転軸に沿う方向における端面からユーザへの熱の伝達を抑制できる。
【0015】
本開示の第1から第9側面のいずれか1つに従う第10側面のドライブシステムにおいて、前記スリットは、複数の前記スリットを含み、前記複数のスリットの少なくとも1つは、直線状に形成される。
第10側面のドライブシステムによれば、スリットを形成しやすい。
【0016】
本開示の第1から第10側面のいずれか1つに従う第11側面のドライブシステムにおいて、前記スリットは、複数の前記スリットを含み、前記複数のスリットの少なくとも1つは、第1スリットと、前記第1スリットに交差する第2スリットとによって構成される。
第11側面のドライブシステムによれば、複数のスリットをカバーに形成する場合に、カバーの剛性を確保しやすい。
【0017】
本開示の第1から第11側面のいずれか1つに従う第12側面のドライブシステムにおいて、前記貫通孔は、複数の貫通孔を含み、前記複数の貫通孔は、ハニカム構造を構成するように配置される。
第12側面のドライブシステムによれば、ハニカム構造によって、カバーの剛性を確保しやすい。
【0018】
本開示の第1から第12側面のいずれか1つに従う第13側面のドライブシステムにおいて、前記ハウジングは、クランクシャフトを回転可能に支持するように構成される。
第13側面のドライブシステムによれば、クランクシャフトとモータとを同じハウジングに設けることができる。
【0019】
本開示の第1から第12側面のいずれか1つに従う第14側面のドライブシステムにおいて、前記モータの回転軸は、前記クランクシャフトに平行に配置される。
第14側面のドライブシステムによれば、モータの回転軸に沿う方向におけるカバーの端面を、人力駆動車の側面に配置できる。
【0020】
本開示の第15側面に従うカバーは、人力駆動車のドライブユニット用のカバーであって、前記ドライブユニットは、前記人力駆動車のフレームに取付可能に構成されるハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を備え、前記カバーは、少なくとも一部が樹脂材料によって形成され、前記カバーは、前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの少なくとも1つに取り付け可能な取付部と、前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの少なくとも1つに取り付けられた取付状態において、前記ハウジングおよび前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、かつ、前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部を覆う部分に、幅が10mm以下のスリットおよび最大幅が10mm以下の貫通孔の少なくとも1つが形成される本体部と、を備える。
【0021】
第15側面のカバーによれば、ハウジングおよびモータの少なくとも一部をカバーが覆うことができるので、ドライブユニットからユーザへの熱の伝達を抑制できる。さらに第15側面のカバーによれば、スリットおよび貫通孔の少なくとも1つを介して、ドライブユニットに外気を接触させやすく、モータの温度上昇を抑制できる。さらに第15側面のカバーによれば、スリットの幅が10mm以下であり、貫通孔の最大幅が10mm以下であるので、ユーザの指がカバーのスリットまたは貫通孔を介して、ドライブユニットに接触することを抑制できる。
【0022】
本開示の第15側面に従う第16側面のカバーにおいて、前記本体部は、前記取付状態において、前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、前記スリットおよび前記貫通孔の前記少なくとも1つは、前記本体部において前記モータを覆う部分に設けられる。
第16側面のカバーによれば、スリットおよび貫通孔の少なくとも1つを介してモータに外気を接触させやすい。
【0023】
本開示の第15または16側面に従う第17側面のカバーにおいて、前記本体部は、前記取付状態において、前記モータとの間に隙間が設けられるように構成される。
第17側面のカバーによれば、モータの熱が直接カバーに伝達されることが抑制されるのでカバーの温度の上昇が抑制される。さらに第17側面のドライブシステムによれば、モータとカバーとの間に空気を流通させて、モータに空気を接触させやすい。
【0024】
本開示の第18側面に従うドライブユニットは、人力駆動車用のドライブユニットであって、前記人力駆動車のフレームに取付可能に構成されるハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、樹脂材料によって形成される樹脂部材と、を備え、前記ハウジングのうち前記モータを覆う部分および前記モータの少なくとも一部は、金属によって形成される金属部分を有し、前記樹脂部材は、前記金属部分に一体成形によって固定され、外部に露出するように構成される。
【0025】
第18側面のドライブユニットによれば、金属よりも熱伝導率が低い樹脂材料が金属部分を覆うので、ユーザがドライブユニットに接触した場合に、ドライブユニットからユーザへの熱の伝達を抑制できる。
【0026】
本開示の第18側面に従う第19側面のドライブユニットにおいて、前記モータは、前記モータのステータおよびロータを収容するケースを含み、前記ケースは、前記金属部分を含み、前記樹脂部材は、前記ケースにおいて前記モータの回転軸に沿う方向の端面部に設けられる。
第19側面のドライブユニットによれば、温度が高くなりやすい部分に樹脂部材が設けられる。
【0027】
本開示の第19側面に従う第20側面のドライブユニットにおいて、前記ハウジングは、少なくとも一部が金属によって形成され、かつ、前記モータのステータおよびロータを収容するモータ収容部を含み、前記樹脂部材は、前記モータ収容部において前記モータの回転軸に沿う方向の端面部に設けられる。
第20側面のドライブユニットによれば、温度が高くなりやすい部分に樹脂部材が設けられる。
【0028】
本開示の第18から第20側面のいずれか1つに従う第21側面のドライブユニットにおいて、前記樹脂部材は、少なくとも1つの放熱フィンを含む。
第21側面のドライブユニットによれば、樹脂部材から効率的に放熱できる。
【発明の効果】
【0029】
本開示のドライブユニット、ドライブシステム、および、カバーは、ユーザへの熱の伝達を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】第1実施形態の人力駆動車用のドライブシステムを含む人力駆動車の側面図。
図2】第1実施形態の人力駆動車用のドライブシステムの斜視図。
図3図2のドライブシステムの分解斜視図。
図4図2のドライブシステムの側面図。
図5図4のV-V線に沿うドライブシステムの断面図。
図6】第2実施形態の人力駆動車用のドライブシステムの斜視図。
図7】第3実施形態の人力駆動車用のドライブシステムの斜視図。
図8図7のドライブシステムの変形例について、第1カバーの第2部材の斜視図。
図9】第4実施形態の人力駆動車用のドライブシステムの斜視図。
図10図9のX-X線に沿うドライブシステムの断面図。
図11】第5実施形態の人力駆動車のドライブユニット用のカバーの斜視図。
図12】第6実施形態の人力駆動車用のドライブユニットの分解斜視図。
図13】第7実施形態の人力駆動車用のドライブユニットの分解斜視図。
図14】スリットの他の例を含む第3部材の側面図。
図15】貫通孔を含む第3部材の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
<第1実施形態>
図1から図5を参照して、第1実施形態の人力駆動車用のドライブシステムについて説明する。以下、人力駆動車用のドライブシステム38を、単にドライブシステム38と記載する。人力駆動車10は、少なくとも人力駆動力によって駆動することができる車である。人力駆動車10は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車、ならびに、電動自転車(E-bike)を含む。人力駆動車10は、車輪の数が限定されず、例えば1輪車および3輪以上の車輪を有する車も含む。電動自転車は、電気モータによって車両の推進を補助する電動アシスト自転車を含む。以下、実施形態において、人力駆動車10を、自転車として説明する。
【0032】
図1に示されるように、人力駆動車10は、第1車輪12Aと第2車輪12Bと、を含む。本実施形態では、第1車輪12Aは前輪を含み、第2車輪12Bは後輪を含む。人力駆動車10は、クランク14をさらに含む。人力駆動車10は、車体16をさらに備える。車体16は、フレーム18を備える。クランク14には、人力駆動力が入力される。クランク14は、フレーム18に対して回転可能なクランクシャフト14Aと、クランクシャフト14Aの軸方向の端部にそれぞれ設けられる一対のクランクアーム14Bとを含む。一対のクランクアーム14Bには、一対のペダル20がそれぞれ連結される。本実施形態では、後輪が、駆動輪である。駆動輪は、クランク14が回転することによって駆動される。駆動輪は、フレーム18に支持される。クランク14と駆動輪とは、駆動機構22によって連結される。駆動機構22は、クランクシャフト14Aに連結される第1回転体24を含む。クランクシャフト14Aと第1回転体24とは、一体回転するように連結されていてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して連結されていてもよい。第1ワンウェイクラッチは、クランク14が前転した場合に、第1回転体24を前転させ、クランク14が後転した場合に、クランク14と第1回転体24との相対回転を許容するように構成される。第1回転体24は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。駆動機構22は、第2回転体26と、連結部材28とをさらに含む。連結部材28は、第1回転体24の回転力を第2回転体26に伝達する。連結部材28は、例えば、チェーン、ベルト、または、シャフトを含む。
【0033】
第2回転体26は、駆動輪に連結される。第2回転体26は、スプロケット、プーリ、または、ベベルギアを含む。第2回転体26と駆動輪との間には、好ましくは、第2ワンウェイクラッチが設けられる。第2ワンウェイクラッチは、第2回転体26が前転した場合に、駆動輪を前転させ、第2回転体26が後転した場合に、第2回転体26と駆動輪との相対回転を許容するように構成される。
【0034】
第2車輪12Bが前輪を含み、第1車輪12Aが後輪を含んでいてもよい。車体16は、フロントフォーク30、ステム32、および、ハンドルバー34をさらに含む。フレーム18には、フロントフォーク30を介して前輪が取り付けられている。フロントフォーク30には、ハンドルバー34がステム32を介して連結されている。以下の実施形態では、後輪を駆動輪として説明するが、前輪が駆動輪であってもよく、前輪および後輪の両方が駆動輪であってもよい。
【0035】
人力駆動車10は、人力駆動車用のバッテリ36を含む。バッテリ36は、1または複数のバッテリ素子を含む。バッテリ素子は、充電池を含む。バッテリ36は、例えばフレーム18に設けられる。バッテリ36は、例えば少なくとも一部がフレーム18に収容されていてもよく、全体がフレーム18に収容されていてもよく、フレーム18の外部に設けられてもよい。
【0036】
図1に示されるように、人力駆動車10は、ドライブシステム38を含む。本実施形態では、ドライブシステム38は、フレーム18に設けられる。
【0037】
図2および図3に示されるように、ドライブシステム38は、人力駆動車用のドライブシステム38であって、ドライブユニット40と、ハウジング44および人力駆動車10のフレーム18の少なくとも1つに取り付け可能に構成されて少なくとも一部が樹脂材料によって形成されるカバー42と、を備える。樹脂材料は、例えば、ABS樹脂(Acrylonitrile butadiene styrene resin)を含む。
【0038】
図4および図5に示されるように、ドライブユニット40は、人力駆動車10のフレーム18に取付可能に構成されるハウジング44と、ハウジング44に設けられ、人力駆動車10に推進力を付与するように構成されるモータ46と、を備える。
【0039】
モータ46は、電気モータを含む。電気モータは、例えばブラシレスモータを含む。モータ46は、ステータ46Aと、ロータ46Bと、ステータ46Aおよびロータ46Bを収容するモータ収容部46Cとを含む。ロータ46Bには、回転軸46Dが設けられる。モータ46は、モータ46の回転軸46Dに沿う方向XDにおける端面48と、回転軸46D周りの外周面50とを含む。モータ収容部46Cは、金属によって形成されてもよい。モータ収容部46Cの端面部46Eの内側には、モータ46の回転軸46Dの一端部を回転可能に支持する受部46Fが設けられる。モータ46は、第2車輪12Bまたは第1車輪12Aに、回転を伝達するように構成される。本実施形態では、モータ46は、第1回転体24にモータ46の回転を伝達するように構成される。モータ46とクランクシャフト14Aとの間の動力伝達経路には、好ましくは、クランクシャフト14Aを人力駆動車10が前進する方向に回転させた場合にクランク14の回転力によってモータ46が回転しないように第3ワンウェイクラッチが設けられる。
【0040】
モータ46は、制御部54によって制御される。制御部54は、モータ46の駆動回路を含む。駆動回路は、インバータ回路を含む。制御部54は、バッテリ36からモータ46に供給される電力を制御することによってモータ46を制御する。制御部54は、クランク14に入力される人力駆動力に応じて、モータ46を駆動するように構成される。
【0041】
好ましくは、ドライブユニット40は、クランクシャフト14Aと、出力部51と、動力伝達部52と、を含む。出力部51は、クランクシャフト14Aに連結される。出力部51には、第1回転体24が設けられる。出力部51は、クランクシャフト14Aと同軸に配置される。出力部51の一部は、ハウジング44から露出する。出力部51は、クランクシャフト14Aに直接連結されてもよく、第1ワンウェイクラッチを介して連結されてもよい。動力伝達部52は、モータ46の動力を第1回転体24に伝達するように構成される。動力伝達部52は、例えば減速装置を含む。減速装置は、例えば複数のギアを含んでいてもよく、遊星歯車機構を含んでいてもよく、一対のプーリとベルトとを含んでいてもよい。モータ46の回転軸46Dは、クランクシャフト14Aに平行に配置される。好ましくは、ドライブユニット40は、クランク14に入力される人力駆動力に応じた情報を出力する人力センサをさらに含む。人力センサは、例えば、出力部51の歪、または、出力部51とクランクシャフト14Aとを連結する連結部材の歪に応じた情報を出力するように構成される。人力センサは、例えば、歪ゲージまたは磁歪式センサなどを含む。人力センサから出力される情報は、制御部54に与えられる。制御部54は、人力センサから出力される情報に応じて、例えば、人力駆動力と、モータによるアシスト力との比率が、予め定める値となるように、モータ46を駆動するように構成される。予め定める値は、一定値であってもよく、速度に応じて変化してもよく、人力駆動力に応じて変化してもよい。
【0042】
ハウジング44は、モータ46を支持するように構成される。ハウジング44は、動力伝達部52を支持するように構成される。ハウジング44は、制御部54を支持するように構成される。ハウジング44は、クランクシャフト14Aを回転可能に支持するように構成される。クランクシャフト14Aは、ハウジング44を貫通し、軸方向の両端部がハウジング44から露出する。
【0043】
図3に示されるように、ハウジング44は、モータ46を支持する第1支持部56を含む。ハウジング44は、クランクシャフト14Aおよび動力伝達部52を支持する第2支持部58を含む。ハウジング44は、制御部54を支持する第3支持部60を含む。ハウジング44は、モータ46の回転軸46Dとクランクシャフト14Aとが互いに平行となるように、モータ46を支持する。ハウジング44は、ベアリングを介してクランクシャフト14Aを回転可能に支持する。ハウジング44は、間接的にクランクシャフト14Aを回転可能に支持してもよい。ハウジング44は、例えば、出力部51を介してクランクシャフト14Aを回転可能に支持してもよい。好ましくは、ハウジング44は、金属によって形成される。金属は、例えば、アルミニウム合金またはマグネシウム合金を含む。ハウジング44は、合成樹脂によって形成されてもよい。
【0044】
本実施形態では、ハウジング44は、第1ハウジング部材62と、第2ハウジング部材64とを含む。第2ハウジング部材64は、第1ハウジング部材62に対してクランクシャフト14Aの軸方向の一方に配置される。第2ハウジング部材64は、複数のファスナー部材66によって第1ハウジング部材62に取り付けられる。ファスナー部材66は、例えばボルトを含む。クランクシャフト14Aは、第1ハウジング部材62および第2ハウジング部材64をクランクシャフト14Aの軸方向に貫通して配置される。
【0045】
第1ハウジング部材62は、第1支持部56、第2支持部58、および、第3支持部60を含む。第2ハウジング部材64は、第1支持部56、および、第2支持部58を含む。第1ハウジング部材62と第2ハウジング部材64との間に、動力伝達部52および制御部54が収容される。第3支持部60は、第2ハウジング部材64に設けられてもよい。ハウジング44は、3つ以上のハウジング部分を含んで構成されてもよい。
【0046】
ハウジング44には、複数の取付部68が設けられる。本実施形態では、第1ハウジング部材62に3つの取付部68が設けられる。取付部68は、ボルト68Aによってフレーム18に固定される。ハウジング44が取付部68を介してフレーム18に取り付けられることによって、ドライブシステム38がフレーム18に固定される。
【0047】
カバー42は、カバー42の一部がハウジング44および人力駆動車10のフレーム18の少なくとも1つに取り付けられる。本実施形態では、カバー42は、カバー42の一部がハウジング44に取り付けられる。カバー42は、ハウジング44および人力駆動車10のフレーム18の少なくとも1つに取り付けられた取付状態において、ハウジング44およびモータ46の少なくとも一部を覆うように構成され、かつ、ハウジング44およびモータ46の少なくとも一部を覆う部分70に、幅が10mm以下のスリット72および最大幅が10mm以下の貫通孔74の少なくとも1つが形成される。スリット72は、真っ直ぐに延びていてもよく、湾曲していてもよい。スリット72の全長は、10mm以上であってもよい。スリット72の幅は、好ましくは、1mm以上である。スリット72は、複数のスリット72を含んでもよい。本実施形態では、複数のスリット72の少なくとも1つは、直線状に形成される。スリット72は、カバー42を貫通する。
【0048】
一例では、貫通孔74の貫通方向に垂直な断面は、円形、楕円形、矩形、三角形、四角形、および、5以上の多角形の少なくともいずれか1つの形状を有する。貫通孔74は、貫通孔74の貫通方向に垂直な断面の最大幅が10m以下であれば、どのような形状を有していてもよい。貫通孔74の最大幅は、貫通方向に垂直な方向における貫通孔74の寸法のうち最も大きい寸法である。例えば、貫通孔74の貫通方向に垂直な断面が楕円の場合、最大幅は、長軸の長さである。貫通孔74の貫通方向に垂直な断面が矩形の場合、最大幅は、対角線の長さである。貫通孔74の最大幅は、好ましくは、1mm以上である。貫通孔74が複数存在する場合、少なくとも1つの貫通孔74は、他の貫通孔74と異なる形状に形成されていてもよい。
【0049】
図15には、貫通孔74の貫通方向に垂直な断面が正六角形の場合の例が示される。正六角形の場合、貫通孔74の最大幅は、互いに対向する位置にある一対の頂点間の長さである。貫通孔74の貫通方向に垂直な断面が正六角形の場合、図15に示すように、隣接する正六角形の辺同士が対向するように貫通孔74が配置されてもよいが、貫通孔74の配列は、図15のような配列に限定されない。
【0050】
カバー42は、カバー42をハウジング44および人力駆動車10のフレーム18の少なくとも1つに取り付ける取付部76A,78Aを含む。一例では、取付部76A,78Aは、ボルトを挿通する孔を含む。この場合、カバー42は、ボルトによってハウジング44および人力駆動車10のフレーム18の少なくとも1つに取り付けられる。
【0051】
好ましくは、カバー42は、取付状態において、モータ46の少なくとも一部を覆うように構成される。スリット72および貫通孔74の少なくとも1つは、カバー42においてモータ46を覆う部分70に設けられる。
【0052】
例えば、好ましくは、カバー42は、取付状態において、モータ46の回転軸46Dに沿う方向XDにおけるモータ46の端面48の少なくとも一部を覆うように構成されるモータ端面被覆部88を含む。好ましくは、スリット72および貫通孔74の少なくとも1つは、モータ端面被覆部88に設けられる。
【0053】
図5に示されるように、好ましくは、カバー42は、取付状態において、モータ46との間に隙間SAが設けられるように構成される。本実施形態では、少なくともカバー42のモータ端面被覆部88とモータ46の端面48との間に隙間SAが設けられる。カバー42の一部が、モータ46の端面48の一部に接触してもよい。カバー42の一部がモータ46の端面48の一部に接触することによって、カバー42のモータ端面被覆部88とモータ46の端面48との相対位置が良好に維持される。カバー42は、モータ46の端面48に接触しないように構成されてもよい。隙間SAを含む内側空間SBは、スリット72または貫通孔74を介してカバー42の外側に繋がる。
【0054】
好ましくは、カバー42は、ドライブユニット40が人力駆動車10に取り付けられ、かつ、カバー42の取付状態において、人力駆動車10の進行方向FDにおけるハウジング44およびモータ46の少なくとも一部の前側に配置される第1部分82を含む。好ましくは、スリット72および貫通孔74の少なくとも1つは、第1部分82に設けられる。
【0055】
好ましくは、カバー42は、ドライブユニット40が人力駆動車10に取り付けられ、かつカバー42の取付状態において、ハウジング44およびモータ46の少なくとも一部の下側に配置される第2部分84を含む。好ましくは、スリット72および貫通孔74の少なくとも1つは、第2部分84に設けられる。
【0056】
図3に示されるように、本実施形態では、カバー42は、第1ハウジング部材62とモータ46とを主に覆う第1カバー76と、第2ハウジング部材64を主に覆う第2カバー78とを含む。第1カバー76は、1または複数の取付部76Aを含む。第1カバー76は、クランクシャフト14Aが挿通する第1シャフト貫通孔76Bを有する。第2カバー78は、1または複数の取付部78Aを含む。第2カバー78は、クランクシャフト14Aが挿通する第2シャフト貫通孔78Bを有する。
【0057】
本実施形態では、第1カバー76と第2カバー78とがハウジング44に取り付けられた状態において、第1カバー76と第2カバー78との間に開口部80が構成されるように、第1カバー76と第2カバー78とが構成される。ドライブユニット40が人力駆動車10に取り付けられ、かつカバー42がドライブユニット40に取り付けられた状態において、開口部80は、フレーム18側に開口する。開口部80は、ハウジング44の取付部68がカバー42から露出するように構成される。
【0058】
第1カバー76および第2カバー78は、それぞれ1つの部材によって構成されてもよく、複数の部材によって構成されてもよい。第1カバー76は、例えば、第1部分82を含む第1部材90と、第2部分84を含む第2部材92と、モータ端面被覆部88を含む第3部材94とを含む。第1カバー76は、第1部材90と、第2部材92と、第3部材94との組み立て体として構成される。例えば、カバー42が複雑な形状を有する場合、または、複数の異なる材料を用いてカバー42を構成する場合などでは、カバー42が複数の部材に分割されて構成されることによって、カバー42を製造しやすくなる。
【0059】
図2および図3に示されるように、第1部材90は、モータ46の端面48の周囲の少なくとも一部を覆う第1側面部90Aと、人力駆動車10の進行方向FDにおけるドライブユニット40の前側の少なくとも一部を覆う前面部90Bと、ハウジング44およびモータ46の少なくとも1つの下側の少なくとも一部を覆う第1底面部90Eと、ハウジング44およびモータ46の少なくとも1つの上側の少なくとも一部を覆う上面部90Fとを含む。前面部90Bは、第1部分82を含む。第1底面部90Eは、第2部分84を含む。本実施形態では、第1部材90の前面部90Bにおける第1部分82に、複数のスリット72が設けられる。
【0060】
第2部材92は、モータ46の端面48の周囲の少なくとも一部を覆う第2側面部92Aと、クランクシャフト14Aの周囲を覆う第3側面部92Bと、ハウジング44およびモータ46の少なくとも一部の下側を覆う第2底面部92Cとを含む。第3側面部92Bには、第2シャフト貫通孔78Bが設けられる。第2底面部92Cは、第2部分84を含む。本実施形態では、第2部材92の第2底面部92Cにおける第2部分84に、複数のスリット72が設けられる。第2部材92に設けられる複数のスリット72のうちの少なくとも1つは、クランクシャフト14Aの近傍に設けられる。第2部材92に設けられる複数のスリット72のうちの少なくとも1つは、モータ46の近傍に設けられる。
【0061】
図3に示されるように、第3部材94は、モータ端面被覆部88と、モータ端面被覆部88の外周縁に設けられて第2部材92に係合する1または複数の係合部94Aを含む。第3部材94には、複数のスリット72が設けられる。本実施形態では、モータ端面被覆部88に設けられるスリット72は、人力駆動車10の進行方向FDに沿うように延びる。モータ端面被覆部88に設けられる複数のスリット72は、例えば、全てが直線状に形成される。モータ端面被覆部88に設けられる複数のスリット72は、例えば、互いに平行に配列される。モータ端面被覆部88に設けられる複数のスリット72は、例えば、相互に等しい間隔をあけて配置される。
【0062】
モータ端面被覆部88に設けられるスリット72は、人力駆動車10の進行方向FDと交差する方向に延びてもよい。モータ端面被覆部88に設けられる複数のスリット72の配置については、特に限定されない。モータ端面被覆部88に設けられる複数のスリット72は、例えば、ランダムに配列されてもよい。
【0063】
<第2実施形態>
図6を参照して、第2実施形態のドライブシステム38について説明する。本実施形態のドライブシステム38のカバー42は、第1実勢形態のドライブシステム38のカバー42がドライブユニット40の後部を覆わないのに対して、ドライブユニット40の後部を覆う点において異なる。これ以外の構成は、第1実施形態のドライブシステム38と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0064】
カバー42は、ドライブユニット40が人力駆動車10に取り付けられ、かつカバー42の取付状態において、人力駆動車10の進行方向FDにおけるハウジング44およびモータ46の少なくとも一部の後側に配置される第3部分86を含む。スリット72および貫通孔74の少なくとも1つは、第3部分86に設けられる。
【0065】
本実施形態では、第3部分86は、第1カバー76および第2カバー78の少なくとも1つに設けられる。第3部分86は、第1カバー76または第2カバー78の少なくとも一部と一体成形されてもよい。第3部分86は、第1カバー76および第2カバー78とは別の部材によって構成されてもよい。第3部分86は、第1カバー76と第2カバー78とに接触するように構成される。第3部分86を、第1カバー76と第2カバー78とに接触させることによって、カバー42の後側の部分の剛性が向上する。
【0066】
カバー42が第3部分86を含む場合、第3部分86にスリット72および貫通孔74の少なくとも一つが設けられることによって、人力駆動車10が前進するとき、カバー42とハウジングおよびモータの少なくとも1つとの間の空気を第3部分86のスリット72および貫通孔74の少なくとも1つを通してカバー42の外側に円滑に排出できる。
【0067】
本実施形態のカバー42において、第1カバー76および第2カバー78の少なくとも1つが省略されてもよく、第1カバー76のうち、第1部分82、第2部分84、およびモータ端面被覆部88の少なくとも1つが省略されてもよい。本実施形態において、第1カバー76に設けられる複数のスリット72の少なくとも1つを省略してもよく、第1カバー76に設けられる複数の貫通孔74の少なくとも1つを省略してもよい。
【0068】
<第3実施形態>
図7から図8を参照して、第3実施形態のドライブシステム38について説明する。本実施形態のドライブシステム38は、カバー42のうちモータ46の外周面50の少なくとも一部を覆う部分70にスリット72および貫通孔74の少なくとも1つが設けられている点において、第1実施形態のドライブシステム38と異なる。これ以外の構成は、第1実施形態のドライブシステム38と同様であるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0069】
カバー42は、取付状態において、モータ46の回転軸46D周りにおけるモータ46の外周面50の少なくとも一部を覆うように構成されるモータ外周面被覆部96A,96Bを含む。スリット72および貫通孔74の少なくとも1つは、モータ外周面被覆部96A,96Bに設けられる。
【0070】
本実施形態では、第1実施形態と同様に、第1カバー76は、第1部材90と、第2部材92と、第3部材94との組み立て体として構成される。
第1部材90は、モータ46の端面48の周囲の少なくとも一部を覆う第1側面部90Aと、人力駆動車10の進行方向FDにおけるドライブユニット40の前側を覆う前面部90Bと、ハウジング44およびモータ46の少なくとも一部の下側を覆う第1底面部90Eと、ハウジング44およびモータ46の少なくとも一部の上側を覆う上面部90Fとを含む。前面部90Bは、上記の第1部分82を含む。
【0071】
前面部90Bは、クランクシャフト14Aの軸方向に沿う方向において隣接する第1前面部90Cと第2前面部90Dとを含む。第1前面部90Cは、ハウジング44の少なくとも一部を覆うように構成される。第2前面部90Dは、第1前面部90Cから第1側面部90Aに延びる。第2前面部90Dは湾曲面を含む。第2前面部90Dは、モータ46の回転軸46D周りにおけるモータ46の外周面50の少なくとも一部を覆うように構成される。第2前面部90Dは、モータ外周面被覆部96Aを含む。モータ外周面被覆部96Aには、スリット72および貫通孔74の少なくとも1つが設けられる。
【0072】
カバー42において、第2カバー78が省略されてもよく、第1カバー76のうち、第2部分84、およびモータ端面被覆部88の少なくとも1つが省略されてもよい。第1カバー76に設けられる複数のスリット72のうち、モータ外周面被覆部96Aに設けられるスリット72以外の少なくとも1つを省略してもよく、第1カバー76に設けられる複数の貫通孔74のうち、モータ外周面被覆部96Aに設けられる貫通孔74以外の少なくとも1つを省略してもよい。
【0073】
図8を参照して、モータ外周面被覆部96Bの他の例を説明する。第2部材92は、モータ46の端面48の周囲の少なくとも一部を覆う第2側面部92Aと、クランクシャフト14Aの周囲を覆う第3側面部92Bと、ハウジング44およびモータ46の少なくとも一部の下側を覆う第2底面部92Cとを含む。
【0074】
好ましくは、第2部材92は、第2部材92を補強する補強部98を含む。補強部98は、第2側面部92Aからハウジング44に向かって延びる。本実施形態では、補強部98は、ハウジング44とモータ46の外周面50との間に構成される空間を分割するように構成される。補強部98は、モータ46の回転軸46D周りにおけるモータ46の外周面50の少なくとも一部を覆うように構成される。補強部98は、モータ外周面被覆部96Bを含む。モータ外周面被覆部96Bには、スリット72および貫通孔74の少なくとも1つが設けられる。本実施形態では、モータ外周面被覆部96Bに複数のスリット72が設けられる。
【0075】
カバー42において、第2カバー78が省略されてもよく、第1カバー76のうち、第1部分82、およびモータ端面被覆部88の少なくとも1つが省略されてもよい。本実施形態において、第1カバー76に設けられる複数のスリット72のうち、モータ外周面被覆部96Bのスリット72以外の少なくとも1つを省略してもよく、第1カバー76に設けられる複数の貫通孔74の少なくとも1つを省略してもよく、第1カバー76に設けられる複数の貫通孔74のうち、モータ外周面被覆部96Bに設けられる貫通孔74以外の少なくとも1つを省略してもよい。
【0076】
<第4実施形態>
図9から図10を参照して、第4実施形態のドライブシステム38について説明する。本実施形態のドライブシステム38は、モータ46に一体成形される樹脂部材100を含む点において第3実勢形態のドライブシステム38と異なる。これ以外の構成は、第3実施形態のドライブシステム38と同様であるので、第3実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0077】
ドライブシステム38は、ドライブユニット40と、カバー42とを備える。ドライブシステム38は、モータ46に一体成形される樹脂部材100をさらに備える。樹脂部材100は、モータ46の回転軸46Dに沿う方向XDにおける端面48の少なくとも一部に設けられる。樹脂部材100は、好ましくは、モータ46の回転軸46Dに沿う方向XDにおける端面48の90パーセント以上の範囲に設けられる。
【0078】
図10に示されるように、樹脂部材100は、モータ収容部46Cにおいてモータ46の回転軸46Dに沿う方向XDの端面部46Eに設けられる。本実施形態では、モータ収容部46Cは金属によって形成される。樹脂部材100は、モータ収容部46Cに一体成形される。一例では、インサート成形によって、樹脂部材100を有するモータ収容部46Cが形成される。樹脂部材100は、モータ収容部46Cに溶着されてもよい。樹脂部材100は、接着材によってモータ収容部46Cに接着されてもよい。樹脂部材100は、コーティングによってモータ収容部46Cに固定されてもよい。樹脂部材100は、少なくとも1つの放熱フィン102を含む。具体的には、樹脂部材100は、モータ収容部46Cの端面に接触するベース部104と、ベース部104から突出する1または複数の放熱フィン102とを含む。樹脂部材は、PPS(Poly Phenylene Sulfide)、または、PBT(Poly Butylene Terephthalate)などを含む。放熱フィン102は、好ましくは、人力駆動車10の進行方向FDに沿って延びる。本実施形態では、ベース部104には複数の放熱フィン102が設けられる。ベース部104と複数の放熱フィン102とは一体形成される。複数の放熱フィン102は、例えば、全てが直線状に形成される。複数の放熱フィン102は、例えば、互いに平行に配列される。複数の放熱フィン102は、例えば、相互に等しい間隔をあけて配置される。本実施形態において金属は、例えば、アルミニウム合金、または、マグネシウム合金を含む。本実施形態において樹脂材料は、PPS、または、PBTなどを含む。
【0079】
本実施形態のカバー42は、モータ端面被覆部88を備えず、図9に示されるように、モータ46の回転軸46Dに沿う方向に開口する開口部106を有する。カバー42は、樹脂部材100の少なくとも一部がカバー42の開口部106から露出するように構成される。一例では、第1カバー76は、第1部材90と、第2部材92との組み立て体として構成される。第1カバー76は、開口部106を有する。カバー42がハウジング44に取り付けられた状態において、カバー42の開口部106から樹脂部材100が露出する。本実施形態のドライブシステム38では、第1カバー76および第2カバー78の少なくとも1つ省略されてもよく、第1カバー76のうち、第1部分82、第2部分84、およびモータ端面被覆部88の少なくとも1つが省略されてもよい。本実施形態において、カバー42に設けられる複数のスリット72の少なくとも1つを省略してもよく、カバー42に設けられる複数の貫通孔74の少なくとも1つを省略してもよい。
【0080】
<第5実施形態>
図11を参照して、第5実施形態のカバー42について説明する。本実施形態のカバー42は、第1実勢形態のドライブシステム38のカバー42と実質的に同じであるので、第1実施形態と共通する構成については、第1実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0081】
カバー42は、人力駆動車10のドライブユニット40用のカバー42である。一例では、カバー42は、ドライブユニット40に取り付けられることによって、ドライブユニット40の少なくとも一部を覆うように構成される。他の例では、カバー42は、人力駆動車10のフレーム18に取り付けられることによって、ドライブユニット40の少なくとも一部を覆うように構成される。カバー42は、ドライブユニット40またはフレーム18に対して、取り外しできるように構成される。
【0082】
ドライブユニット40は、人力駆動車10のフレーム18に取付可能に構成されるハウジング44と、ハウジング44に設けられ、人力駆動車10に推進力を付与するように構成されるモータ46と、を備える。
【0083】
カバー42は、少なくとも一部が樹脂材料によって形成される。カバー42は、ハウジング44および人力駆動車10のフレーム18の少なくとも1つに取り付け可能な取付部76A,78Aと、本体部108と、を備える。
【0084】
本体部108は、ハウジング44および人力駆動車10のフレーム18の少なくとも1つに取り付けられた取付状態において、ハウジング44およびモータ46の少なくとも一部を覆うように構成される。本体部108には、ハウジング44およびモータ46の少なくとも一部を覆う部分70に、幅が10mm以下のスリット72および最大幅が10mm以下の貫通孔74の少なくとも1つが形成される。
【0085】
好ましくは、本体部108は、取付状態において、モータ46の少なくとも一部を覆うように構成される。スリット72および貫通孔74の少なくとも1つは、本体部108においてモータ46を覆う部分70に設けられる。
【0086】
好ましくは、本体部108は、取付状態において、モータ46との間に隙間SAが設けられるように構成される。一例では、カバー42のモータ端面被覆部88とモータ46の端面48との間に隙間SAが設けられるように、本体部108が構成される。
【0087】
本実施形態では、カバー42は、第1カバー76と、第2カバー78とを含む。第1カバー76は、第1カバー本体部110と、取付部76Aと、を含む。第1カバー本体部110は、ハウジング44およびモータ46の少なくとも一部を覆うように構成される。第1カバー本体部110は、第1部分82、第2部分84、およびモータ端面被覆部88の少なくとも1つを含む。第1部分82の構成、第2部分84の構成、およびモータ端面被覆部88の構成は、第1実施形態に示される構成と同様である。
【0088】
第2カバー78は、第2カバー本体部112と、取付部78Aとを含む。第2カバー本体部112は、ハウジング44およびモータ46の少なくとも一部を覆うように構成される。本実施形態では、第2カバー本体部112は、ハウジング44の一部を覆う。
【0089】
本実施形態では、本体部108は、第1カバー76の第1カバー本体部110および第2カバー78の第2カバー本体部112を含む。スリット72および貫通孔74の少なくとも1つは、第1カバー76の第1カバー本体部110の第1部分82、第2部分84、および、モータ端面被覆部88の少なくとも1つに設けられる。スリット72および貫通孔74の少なくとも1つは、第2カバー78に設けられてもよい。
【0090】
<第6実施形態>
図12を参照して、第6実施形態のドライブユニット40について説明する。本実施形態のドライブユニット40は、カバー42を備えない点において、第4実勢形態のドライブユニット40と異なる。これ以外の構成は、第4実施形態のドライブユニット40と同様であるので、第4実施形態と共通する構成については、第4実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0091】
ドライブユニット40は、人力駆動車用のドライブユニット40である。ドライブユニット40は、人力駆動車10のフレーム18に取付可能に構成されるハウジング44と、ハウジング44に設けられ、人力駆動車10に推進力を付与するように構成されるモータ46と、樹脂材料によって形成される樹脂部材100と、を備える。
【0092】
ハウジング44のうち前記モータを覆う部分およびモータ46の少なくとも一部は、金属によって形成される金属部分を有する。樹脂部材100は、金属部分に一体成形によって固定され、外部に露出するように構成される。本実施形態において金属は、例えば、アルミニウム合金、または、マグネシウム合金を含む。本実施形態において樹脂材料は、PPS、または、PBTなどを含む。
【0093】
本実施形態では、モータ46は、ステータ46Aおよびロータ46Bを収容するケース114を含む。ケース114は、金属部分を含む。樹脂部材100は、ケース114においてモータ46の回転軸46Dに沿う方向XDの端面部116に設けられる。
【0094】
ケース114は、第1実施形態におけるモータ収容部46Cと実質的に同じである。ケース114は、端面部116と、端面部116の外周に沿うように設けられる円筒状の周面部118とを含む。ケース114の端面部116の内側には、モータ46の回転軸46Dの一端を回転可能に支持する受部46Fが設けられる。本実施形態では、ケース114は、全体が金属によって形成される。
【0095】
樹脂部材100は、少なくとも1つの放熱フィン102を含む。具体的には、樹脂部材100は、ケース114の端面部116に接触するベース部104と、ベース部104から突出する放熱フィン102とを含む。
【0096】
<第7実施形態>
図13を参照して、第7実施形態のドライブユニット40について説明する。本実施形態のドライブユニット40は、ハウジング44にモータ収容部120が設けられている点で、第6実勢形態のドライブユニット40と異なる。これ以外の構成は、第6実勢形態のドライブユニット40と同様であるので、第6実施形態と共通する構成については、第6実施形態と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0097】
ドライブユニット40は、人力駆動車用のドライブユニット40である。ドライブユニット40は、人力駆動車10のフレーム18に取付可能に構成されるハウジング44と、ハウジング44に設けられ、人力駆動車10に推進力を付与するように構成されるモータ46と、樹脂材料によって形成される樹脂部材100と、を備える。
【0098】
ハウジング44およびモータ46の少なくとも一部は、金属によって形成される金属部分を有する。樹脂部材100は、金属部分に一体成形によって固定され、外部に露出するように構成される。
【0099】
本実施形態では、ハウジング44は、少なくとも一部が金属によって形成され、かつ、モータ46のステータ46Aおよびロータ46Bを収容するモータ収容部120を含む。樹脂部材100は、モータ収容部120においてモータ46の回転軸46Dに沿う方向XDの端面部122に設けられる。
【0100】
モータ収容部120は、端面部122と、端面部122の外周に沿うように設けられる円筒状の周面部124とを含む。周面部124は、第1ハウジング部材62の第3支持部60から突出するように設けられる。モータ収容部120は、第1ハウジング部材62と一体成形されてもよい。モータ収容部120は、第1ハウジング部材62と別部材として構成されてもよい。モータ収容部120の端面部122の内側には、モータ46の回転軸46Dの一端を回転可能に支持する受部46Fが設けられる。
【0101】
樹脂部材100は、少なくとも1つの放熱フィン102を含む。具体的には、樹脂部材100は、モータ収容部120の端面に接触するベース部104と、ベース部104から突出する放熱フィン102とを含む。
【0102】
<変形例>
実施形態に関する説明は、本開示に従うドライブシステム38、ドライブユニット40、およびカバー42が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従うドライブシステム38、ドライブユニット40、およびカバー42は、例えば以下に示される実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0103】
・スリット72の形態は、各実施形態の説明において用いられる各図の例に制限されない。図14は、カバー42の第3部材94を示す。図14に示されるように、スリット72は、複数のスリット72を含んでもよい。複数のスリットの少なくとも1つは、第1スリット72Aと、第1スリット72Aに交差する第2スリット72Bとによって構成されてもよい。複数のスリット72は、S字形状、T字形状、U字形状、V字形状、W字形状、X字形状、Y字形状、C字形状、または、H字形状のいずれか1つまたは2つ以上を有してもよい。
【0104】
図15は、カバー42の第3部材94を示す。図15に示されるように、貫通孔74は、複数の貫通孔74を含む。複数の貫通孔74は、ハニカム構造を構成するように配置されてもよい。この例では、貫通孔74の貫通方向に垂直な断面は、六角形である。ハニカム構造の貫通孔74の貫通方向に垂直な断面は、円形であってもよい。
【0105】
・カバー42の形状は、各実施形態およびその変形例に示されるような形状に限定されない。カバー42は、クランクシャフト14Aの軸方向においてドライブユニット40の一方の面の少なくとも一部だけを覆うように構成されてもよい。カバー42は、第1部分82、第2部分84、モータ端面被覆部88、および、第3部分86の少なくとも1つを含むように構成されてもよい。
【0106】
・各実施形態および変形例において、モータ46の回転軸46Dは、クランクシャフト14Aと平行に配置されなくてもよい。例えば、モータ46の回転軸46Dの延びる方向と、クランクシャフト14Aの延びる方向とは、交差していてもよく、例えば、直交してもよい。
【0107】
・各実施の形態およびその変形例において、ドライブシステム38は、クランクシャフト14Aを有さないドライブユニットにも適用できる。クランクシャフト14Aを有さないドライブユニットは、例えばハブモータを含む。
【0108】
・各実施の形態およびその変形例において、カバー42は、取付状態において、モータ46またはハウジング44と密着していてもよい。
【0109】
・ドライブシステム38のカバー42は、第2実施形態のカバー42の構成と第3実施形態のカバー42の構成を含んでもよい。一例では、ドライブシステム38のカバー42は、第3部分86と、モータ外周面被覆部96Aおよびモータ外周面被覆部96Bの少なくとも一方とを含む。第3部分86、モータ外周面被覆部96A、およびモータ外周面被覆部96Bの少なくとも1つは、スリット72および貫通孔74の少なくとも1つを有する。
【0110】
・ドライブシステム38は、第1実施形態のカバー42の構成、第2実施形態のカバー42の構成、および第3実施形態のカバー42の構成の少なくとも1つと、図9および図10に示されるような第4実施形態の樹脂部材100とを含んでもよい。第4実施形態の樹脂部材100は、モータ収容部46Cに一体成形される。一例では、ドライブシステム38は、第1部分82、第2部分84、第3部分86、モータ外周面被覆部96A、およびモータ外周面被覆部96Bの少なくとも1つと、モータ収容部46Cに一体成形される樹脂部材100とを含む。第1部分82、第2部分84、第3部分86、モータ外周面被覆部96A、およびモータ外周面被覆部96Bの少なくとも1つは、スリット72および貫通孔74の少なくとも1つを有する。
【0111】
図12に示される第6実施形態のドライブユニット40は、カバー42を含まない。第6実施形態のドライブユニット40に、他の実施形態のカバー42に準ずるカバー42を付けて、ドライブシステム38を構成してもよい。一例では、ドライブシステム38は、カバー42と、図12に示されるドライブユニット40とを含む。モータ46のケース114には樹脂部材100が設けられる。カバー42は、第1部分82、第2部分84、第3部分86、モータ外周面被覆部96A、およびモータ外周面被覆部96Bの少なくとも1つを含む。第1部分82、第2部分84、第3部分86、モータ外周面被覆部96A、およびモータ外周面被覆部96Bの少なくとも1つは、スリット72および貫通孔74の少なくとも1つを有する。
【0112】
図13に示される第7実施形態のドライブユニット40は、カバー42を含まない。第7実施形態のドライブユニット40に、他の実施形態のカバー42に準ずるカバー42を付けて、ドライブシステム38を構成してもよい。一例では、ドライブシステム38は、カバー42と、図13に示されるドライブユニット40とを含む。ドライブユニット40のハウジング44は、モータ収容部120を含む。モータ収容部120には樹脂部材100が設けられる。カバー42は、第1部分82、第2部分84、第3部分86、モータ外周面被覆部96A、およびモータ外周面被覆部96Bの少なくとも1つを含む。第1部分82、第2部分84、第3部分86、モータ外周面被覆部96A、およびモータ外周面被覆部96Bの少なくとも1つは、スリット72および貫通孔74の少なくとも1つを有する。
【0113】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0114】
10…人力駆動車、38…ドライブシステム、40…ドライブユニット、42…カバー、44…ハウジング、46…モータ46C…モータ収容部、46D…回転軸、46E…端面部、48…端面、50…外周面、70…部分、72…スリット、74…貫通孔、82…第1部分、84…第2部分、86…第3部分、88…モータ端面被覆部、96A,96B…モータ外周面被覆部、100…樹脂部材、102…放熱フィン、108…本体部、114…ケース、116…端面部、120…モータ収容部、122…端面部、SA…隙間、FD…進行方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車用のドライブシステムであって、
前記人力駆動車のフレームに取付可能に構成されるハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を備える、ドライブユニットと、
前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの少なくとも1つに取り付け可能に構成され、少なくとも一部が樹脂材料によって形成されるカバーと、を備え、
前記カバーは、前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの前記少なくとも1つに取り付けられた取付状態において、前記ハウジングおよび前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、かつ、前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部を覆う部分に、スリットおよび貫通孔の少なくとも1つが形成され、
前記モータは、前記人力駆動車のクランクシャフトに沿う方向に関して、前記ハウジングに並ぶように前記ハウジングに設けられ、
前記カバーは、前記人力駆動車のクランクシャフトに沿う方向に関して、前記ハウジングにおける前記モータが設けられる側とは反対側の部分を覆うように構成される、ドライブシステム。
【請求項2】
前記カバーは、前記取付状態において、前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、
前記スリットおよび前記貫通孔の前記少なくとも1つは、前記カバーにおいて前記モータを覆う部分に設けられる
請求項1に記載のドライブシステム。
【請求項3】
前記カバーは、前記取付状態において、前記モータとの間に隙間が設けられるように構成される
請求項2に記載のドライブシステム。
【請求項4】
前記カバーは、前記取付状態において、前記モータの回転軸に沿う方向における前記モータの端面の少なくとも一部を覆うように構成されるモータ端面被覆部を含み、
前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記モータ端面被覆部に設けられる
請求項1から3のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項5】
前記モータに一体成形される樹脂部材をさらに備え、
前記樹脂部材は、前記モータの回転軸に沿う方向における端面の少なくとも一部に設けられる
請求項1または2に記載のドライブシステム。
【請求項6】
人力駆動車用のドライブシステムであって、
前記人力駆動車のフレームに取付可能に構成されるハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、を備える、ドライブユニットと、
前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの少なくとも1つに取り付け可能に構成され、少なくとも一部が樹脂材料によって形成されるカバーと、前記モータに一体成形される樹脂部材と、を備え、
前記カバーは、前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの前記少なくとも1つに取り付けられた取付状態において、前記ハウジングおよび前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、かつ、前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部を覆う部分に、スリットおよび貫通孔の少なくとも1つが形成され、
前記カバーは、前記モータの回転軸に沿う方向における前記モータの端面に対応するように開口する開口部を含み、
前記樹脂部材は、前記開口部から露出するように前記モータの前記端面に設けられる、ドライブシステム。
【請求項7】
前記カバーは、前記ドライブユニットが前記人力駆動車に取り付けられ、かつ、前記取付状態において、前記人力駆動車の進行方向における前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部の前側に配置される第1部分を含み、
前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記第1部分に設けられる
請求項1からのいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項8】
前記カバーは、前記ドライブユニットが前記人力駆動車に取り付けられ、かつ前記取付状態において、前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部の下側に配置される第2部分を含み、
前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記第2部分に設けられる
請求項1からのいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項9】
前記カバーは、前記ドライブユニットが前記人力駆動車に取り付けられ、かつ前記取付状態において、前記人力駆動車の進行方向における前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部の後側に配置される第3部分を含み、
前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記第3部分に設けられる
請求項1からのいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項10】
前記カバーは、前記取付状態において、前記モータの回転軸周りにおける前記モータの外周面の少なくとも一部を覆うように構成されるモータ外周面被覆部を含み、
前記スリットおよび前記貫通孔の少なくとも1つは、前記モータ外周面被覆部に設けられる
請求項1からのいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項11】
前記スリットは、複数のスリットを含み、
前記複数のスリットの少なくとも1つは、直線状に形成される
請求項1から10のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項12】
前記スリットは、複数のスリットを含み、
前記複数のスリットの少なくとも1つは、第1スリットと、前記第1スリットに交差する第2スリットとによって構成される
請求項1から11のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項13】
前記貫通孔は、複数の貫通孔を含み、
前記複数の貫通孔は、ハニカム構造を構成するように配置される
請求項1から12のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項14】
前記ハウジングは、前記人力駆動車のクランクシャフトを回転可能に支持するように構成される
請求項1から13のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項15】
前記モータの回転軸は、前記人力駆動車のクランクシャフトに平行に配置される
請求項1から13のいずれか一項に記載のドライブシステム。
【請求項16】
人力駆動車のドライブユニット用のカバーであって、
前記ドライブユニットは、前記人力駆動車のフレームに取付可能に構成されるハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、前記モータの端面に一体成形される樹脂部材と、を備え、
前記カバーは、少なくとも一部が樹脂材料によって形成され、
前記カバーは、
前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの少なくとも1つに取り付け可能な取付部と、
前記ハウジングおよび前記人力駆動車の前記フレームの少なくとも1つに取り付けられた取付状態において、前記ハウジングおよび前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、かつ、前記ハウジングおよび前記モータの前記少なくとも一部を覆う部分に、スリットおよび貫通孔の少なくとも1つが形成される本体部と、を備え、
前記モータの回転軸に沿う方向における前記モータの前記端面に対応するように開口する開口部を含み、
前記開口部は、前記樹脂部材が露出するように構成される、カバー。
【請求項17】
前記本体部は、前記取付状態において、前記モータの少なくとも一部を覆うように構成され、
前記スリットおよび前記貫通孔の前記少なくとも1つは、前記本体部において前記モータを覆う部分に設けられる
請求項16に記載のカバー。
【請求項18】
前記本体部は、前記取付状態において、前記モータとの間に隙間が設けられるように構成される
請求項16または17に記載のカバー。
【請求項19】
人力駆動車用のドライブユニットであって、
前記人力駆動車のフレームに取付可能に構成されるハウジングと、前記ハウジングに設けられ、前記人力駆動車に推進力を付与するように構成されるモータと、樹脂材料によって形成される樹脂部材と、を備え、
前記ハウジングのうち前記モータを覆う部分および前記モータの少なくとも一部は、金属によって形成される金属部分を有し、
前記樹脂部材は、前記金属部分に一体成形によって固定され、外部に露出するように構成され、少なくとも1つの放熱フィンを含む、ドライブユニット。
【請求項20】
前記モータは、前記モータのステータおよびロータを収容するケースを含み、
前記ケースは、前記金属部分を含み、
前記樹脂部材は、前記ケースにおいて前記モータの回転軸に沿う方向の端面部に設けられる
請求項19に記載のドライブユニット。
【請求項21】
前記ハウジングは、少なくとも一部が金属によって形成され、かつ、前記モータのステータおよびロータを収容するモータ収容部を含み、
前記樹脂部材は、前記モータ収容部において前記モータの回転軸に沿う方向の端面部に設けられる
請求項19に記載のドライブユニット。
【請求項22】
前記樹脂部材は、前記モータの回転軸に沿う方向における前記モータの端面の90パーセント以上の範囲に設けられる
請求項19から21のいずれか一項に記載のドライブユニット。