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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079854
(43)【公開日】2024-06-12
(54)【発明の名称】揺動車両
(51)【国際特許分類】
   B60K 26/02 20060101AFI20240605BHJP
   B62K 23/08 20060101ALI20240605BHJP
   B62J 25/04 20200101ALI20240605BHJP
【FI】
B60K26/02
B62K23/08
B62J25/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021027245
(22)【出願日】2021-02-24
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】倉田 徳博
(72)【発明者】
【氏名】伊野 智子
(72)【発明者】
【氏名】井上 勇人
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 正明
(72)【発明者】
【氏名】綱島 功祐
(72)【発明者】
【氏名】田村 聡
【テーマコード(参考)】
3D037
【Fターム(参考)】
3D037EA01
3D037EB02
3D037EC01
3D037EC02
(57)【要約】
【課題】ステップ荷重と繊細なスロットルペダル操作との両立を図ることができる揺動車両を提供する。
【解決手段】運転者(R)が足で操作するスロットルペダル(30)を有し、左右に揺動することで旋回走行する揺動車両(1)において、前記スロットルペダル(30)は、前記運転者(R)の足を載せる足載せ部(12)の前方寄りの位置に配設されており、前記スロットルペダル(30)の車幅方向外側に、上方に突出する外側凸部(32,32a)が配設されている。前記スロットルペダル(30)の車幅方向内側に、上方に突出する内側凸部(33,33a)が設けられている。前記足載せ部(12)は、幅広の床状に形成される低床フロアであり、前記スロットルペダル(30)の後方にフットレスト(35)が設けられており、前記フットレスト(35)の踏部(35a)は、前記足載せ部(12)との間に空間を有して配設される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者(R)が足で操作するスロットルペダル(30)を有し、左右に揺動することで旋回走行する揺動車両(1)において、
前記スロットルペダル(30)は、前記運転者(R)の足を載せる足載せ部(12)の前方寄りの位置に配設されており、
前記スロットルペダル(30)の車幅方向外側の位置に、上方に突出する外側凸部(32,32a)が配設されていることを特徴とする揺動車両。
【請求項2】
前記スロットルペダル(30)の車幅方向内側の位置に、上方に突出する内側凸部(33,33a)が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の揺動車両。
【請求項3】
前記足載せ部(12)は、幅広の床状に形成される低床フロアであり、
前記スロットルペダル(30)の後方にフットレスト(35)が設けられており、
前記フットレスト(35)の踏部(35a)は、前記足載せ部(12)との間に空間を有して配設されることを特徴とする請求項1または2に記載の揺動車両。
【請求項4】
前記フットレスト(35)の踏部(35a)は、足の土踏まずで踏むように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の揺動車両。
【請求項5】
前記外側凸部(32)の上端部が、前記スロットルペダル(30)の踏部(30a)より高い位置にあることを特徴とする請求項1に記載の揺動車両。
【請求項6】
前記外側凸部(32a)の上端部が、前記スロットルペダル(30)の踏部(30a)と略同じ高さにあることを特徴とする請求項1に記載の揺動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動車両に係り、特に、車両の動力源のスロットル操作を足で行うためのスロットルペダルを備える揺動車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の動力源のスロットル操作を足で行うためのスロットルペダルを備える揺動車両が知られている。
【0003】
特許文献1には、操向ハンドルとシートとの間に低床フロアが設けられたスクータ型の自動二輪車において、低床フロアの前方寄りの位置にスロットルペダルを備えた構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58-139824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、二輪車や三輪車のように旋回走行時に左右に揺動する揺動車両は、足でステップを踏むいわゆるステップ荷重によってバランスを取りながら運転することが多い。また、揺動車両においては、車体をバンクさせる際はスロットルを弱める一方、バンクした状態から車体を起こす際はスロットルを強めるなど、旋回時の動きを繊細なスロットル操作によって制御することも多く、ステップ荷重と繊細なスロットルペダル操作との両立を図りやすくするための構成が望まれる。
【0006】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決し、ステップ荷重と繊細なスロットルペダル操作との両立を図ることができる揺動車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明は、運転者(R)が足で操作するスロットルペダル(30)を有し、左右に揺動することで旋回走行する揺動車両(1)において、前記スロットルペダル(30)は、前記運転者(R)の足を載せる足載せ部(12)の前方寄りの位置に配設されており、前記スロットルペダル(30)の車幅方向外側の位置に、上方に突出する外側凸部(32,32a)が配設されている点に第1の特徴がある。
【0008】
また、前記スロットルペダル(30)の車幅方向内側の位置に、上方に突出する内側凸部(33,33a)が設けられている点に第2の特徴がある。
【0009】
また、前記足載せ部(12)は、幅広の床状に形成される低床フロアであり、前記スロットルペダル(30)の後方にフットレスト(35)が設けられており、前記フットレスト(35)の踏部(35a)は、前記足載せ部(12)との間に空間を有して配設される点に第3の特徴がある。
【0010】
また、前記フットレスト(35)の踏部(35a)は、足の土踏まずで踏むように構成されている点に第4の特徴がある。
【0011】
また、前記外側凸部(32)の上端部が、前記スロットルペダル(30)の踏部(30a)より高い位置にある点に第5の特徴がある。
【0012】
さらに、前記外側凸部(32a)の上端部が、前記スロットルペダル(30)の踏部(30a)と略同じ高さにある点に第6の特徴がある。
【発明の効果】
【0013】
第1の特徴によれば、運転者(R)が足で操作するスロットルペダル(30)を有し、左右に揺動することで旋回走行する揺動車両(1)において、前記スロットルペダル(30)は、前記運転者(R)の足を載せる足載せ部(12)の前方寄りの位置に配設されており、前記スロットルペダル(30)の車幅方向外側の位置に、上方に突出する外側凸部(32,32a)が配設されているので、スロットルペダルを踏む親指側の足裏部分と、足の後方側を支持するかかと部分に加えて、足の小指側の側部を外側凸部に接地させることが可能となる。これにより、足を3点で支持することができ、ステップ荷重と繊細なスロットルペダル操作との両立をしやすくすることが可能となる。
【0014】
第2の特徴によれば、前記スロットルペダル(30)の車幅方向内側の位置に、上方に突出する内側凸部(33,33a)が設けられているので、足載せ部に荷物を置く際にスロットルペダルとの距離を空けやすく、積載性を向上させることができる。
【0015】
第3の特徴によれば、前記足載せ部(12)は、幅広の床状に形成される低床フロアであり、前記スロットルペダル(30)の後方にフットレスト(35)が設けられており、前記フットレスト(35)の踏部(35a)は、前記足載せ部(12)との間に空間を有して配設されるので、足載せ部に落ちた泥等の汚れを外方に排出しやすくすることができる。
【0016】
第4の特徴によれば、前記フットレスト(35)の踏部(35a)は、足の土踏まずで踏むように構成されているので、ステップ荷重がかけやすくなる。
【0017】
第5の特徴によれば、前記外側凸部(32)の上端部が、前記スロットルペダル(30)の踏部(30a)より高い位置にあるので、足の小指側の側部を外側凸部の壁面に押し当てることで、足をホールドしやすくすることができる。
【0018】
第6の特徴によれば、前記外側凸部(32a)の上端部が、前記スロットルペダル(30)の踏部(30a)と略同じ高さにあるので、外側凸部の上端部を踏むことで足を踏ん張ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る自動二輪車の右側面図である。
図2図1の一部拡大図である。
図3】低床フロアの拡大平面図である。
図4図2のA-A線断面図である。
図5】本発明の第2実施形態に係る外側凸部の構成を示す断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る内側凸部の構成を示す断面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係るフットレストの構成を示す自動二輪車の一部拡大側面図である。
図8図7のVIII-VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るスロットルペダル30を適用した自動二輪車1の右側面図である。自動二輪車1は、シート6と操向ハンドル5との間に運転者が足を載せる足載せ部としての低床フロア12が設けられたスクータ型の小型車両である。また、自動二輪車1は、左右に揺動することで旋回走行する揺動車両である。車体フレームFを構成するヘッドパイプF1には、ステアリングステムシャフト4が回動自在に軸支されている。ステアリングステムシャフト4の上端部には操向ハンドル5が固定されており、ステアリングステムシャフト4の下端部には、前輪WFを回転自在に軸支する左右一対のフロントフォーク2が固定されている。
【0021】
ヘッドパイプF1の後部に接続されるメインフレームF2は、後方下方に直線的に伸びてから大きく湾曲して後方に伸びる形状を有する。メインフレームF2の後端部には、後方上方に向かって伸びる左右一対のリヤフレームF3が連結されている。
【0022】
メインフレームF2の後端部には、内燃機関と無段変速機とを一体に構成したユニットスイング式のパワーユニットPが揺動自在に軸支されている。パワーユニットPには、内燃機関の始動および発電を行う機能に加えて、低速時に駆動力を発生することができるモータMが収納されている。パワーユニットPの後端部には、駆動輪としての後輪WRが回転自在に軸支されており、パワーユニットPの後部寄りの部分は、リヤクッション10を介してリヤフレームF3に吊り下げられている。
【0023】
ヘッドパイプF1の前方はフロントカウル3で覆われており、ヘッドパイプF1の後方はリヤパネル14で覆われている。低床フロア12の左右端部には、左右一対のアンダカバー15が連結されている。シート6の下部には、ヘルメット7等を収納可能な収納スペースが設けられており、その後方には燃料タンク8が配設されている。シート6の下方には、収納スペースの外方を覆うボディカバー11が配設されており、燃料タンク8の車幅方向左右は、シートカバー9によって覆われている。アンダカバー15の後端寄りの位置には、後部座席のパッセンジャ―が足を載せるタンデムステップ13が左右一対で配設されている。
【0024】
運転者Rが右足で操作するスロットルペダル30は、低床フロア12の車幅方向右側の前方寄りの位置に配設されている。スロットルペダル30の後方には、運転者Rがスロットルペダル30を操作する際に右足のかかとを載せるフットレスト31が配設されている。この図では、低床フロア12に円筒状の荷物L(点描ハッチング部)を置いた状態を示している。そして、本願発明では、スロットルペダル30の車幅方向外側に、上方に突出する外側凸部32が配設される点に特徴がある。
【0025】
図2は、図1の一部拡大図である。また、図3は低床フロア12の拡大平面図であり、図4は、図2のA-A線断面図である。踏部30aが設けられたスロットルペダル30は、足で踏み込むことでスロットルを開く操作となり、踏力を抜くことで初期位置に戻るようにばねによる付勢力が与えられている。
【0026】
図2を参照して、この図では、スロットルペダル30の操作準備が整った運転者Rの右足R1および靴R2を示している。靴R2の前方寄りの位置で踏んで操作するスロットルペダル30は、低床フロア12の前方寄りの位置に配設されており、スロットルペダル30の後方には、靴R2のかかとを置くフットレスト31が配設されている。そして、スロットルペダル30の車幅方向外側の位置には、上方に突出する板状の外側凸部32が配設されている。フットレスト31は、例えば、くさび型断面の板状部材で構成することができる。
【0027】
この外側凸部32の構成によれば、スロットルペダル30を踏む親指側の足裏部分と、足の後方側を支持するかかと部分に加えて、足の小指側の側部を外側凸部32に接地させることが可能となる。これにより、足を3点で支持することができ、ステップ荷重と繊細なスロットルペダル操作との両立をしやすくすることが可能となる。また、外側凸部32の上端部が、スロットルペダル30の踏部30aより高い位置にあるので、足の小指側の側部を外側凸部32の壁面に押し当てることで、足をホールドしやすくすることができる。なお、外側凸部32は、合成樹脂等からなる低床フロア12と一体または別体に構成することができる。
【0028】
また、スロットルペダル30の車幅方向内側の位置には、内側凸部33が設けられている。これにより、低床フロア12に荷物Lを置く際にスロットルペダル30との距離を空けやすく、積載性を向上させることができる。
【0029】
図5は、本発明の第2実施形態に係る外側凸部32aの構成を示す断面図である。本実施形態では、外側凸部32aの上端部が、スロットルペダル30の踏部30aと略同じ高さにある点に特徴がある。これにより、靴R2で外側凸部32aの上端部を踏むことによって足を踏ん張ることが可能となる。
【0030】
図6は、本発明の第3実施形態に係る内側凸部33aの構成を示す断面図である。本実施形態では、内側凸部33aが上方に突出する板状をなす点に特徴がある。これにより、低床フロア12に荷物を置く際にスロットルペダル30との距離を空けやすく、また、大型の荷物Lを積載することが容易となる。
【0031】
図7は、本発明の第4実施形態に係るフットレスト35の構成を示す自動二輪車1の一部拡大側面図である。また、図8図7のVII-VII線断面図である。本実施形態では、靴R2の土踏まずの部分に、丸棒状の踏部35aを備えたフットレスト35を設けた点に特徴がある。これにより、ステップ荷重がかけやすくなる。また、フットレスト35の踏部35aが、低床フロア12との間に空間を有して配設されることで、低床フロア12に落ちた泥等の汚れを外方に排出しやすくすることができる。
【0032】
上記したように、本発明に係る自動二輪車1によれば、スロットルペダル30は、運転者Rの足を載せる低床フロア12の前方寄りの位置に配設されており、スロットルペダル30の車幅方向外側の位置に、上方に突出する外側凸部32が配設されているので、スロットルペダル30を踏む親指側の足裏部分と、足の後方側を支持するかかと部分に加えて、足の小指側の側部を外側凸部32に接地させることが可能となる。これにより、足を3点で支持することができ、ステップ荷重と繊細なスロットルペダル操作との両立をしやすくすることが可能となる。
【0033】
なお、自動二輪車の形態、スロットルペダルの形状や構造、外側凸部の形状等は、上記実施形態に限られず、種々の変更が可能である。例えば、フットレストは、土踏まずに対応する位置に配設するほか、かかとに対応する位置に配設してもよい。また、スロットルペダルを運転者の左足で操作するように配設してもよい。本発明に係るスロットルペダルは、自動二輪車に限られず、鞍乗型の三輪車等の揺動車両に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
1…自動二輪車(揺動車両)、12…低床フロア、30…スロットルペダル、30a…踏部、31,35…フットレスト、32,32a…外側凸部、33,33a…内側凸部、R…運転者、R1…右足、R2…靴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8