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特開2024-79858仮想空間×デジタルツイン×セレンディピティ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079858
(43)【公開日】2024-06-12
(54)【発明の名称】仮想空間×デジタルツイン×セレンディピティ
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/10 20230101AFI20240605BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021053101
(22)【出願日】2021-03-26
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ANDROID
(71)【出願人】
【識別番号】519444100
【氏名又は名称】株式会社KPMG Ignition Tokyo
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】茶谷 公之
(72)【発明者】
【氏名】豊田 雅丈
(72)【発明者】
【氏名】千葉 直樹
(72)【発明者】
【氏名】マウンマウン タン
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】Serendipitousな雑談の契機をパラレルワールドで作り、イノベーションの発芽を支援する技術を提供する。
【解決手段】ユーザのアバターの動線を全てユーザに都度決めさせるのではなく、一部または全てをシステムが生成する。ユーザのアバターは自動で勝手に動き回る。アバターのルートは完全にランダム(例えば、会話発生などのイベントごと、または所定期間ごとに乱数を引いて次のルートを決める)でもよいし、システムが用意したルートからユーザが選択してもよいし、システムがユーザの状態に応じて都度提案ルートを生成(例えば、他と交流の少ないユーザに対して、他のアバターと接触しやすいルートを提案)してもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ処理技術に関し、特に仮想空間×デジタルツイン×セレンディピティ(Virtual World x Digital Twin x Serendipity)に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナ禍に端を発し、急速にリモートワークが浸透した。リモートワークにより通勤時間や無駄な会議が減り、生産性が上がったという声がある一方、人と人との直接的なコミュニケーションが減ったことによる弊害も出てきている。
そこで、リモートワークで失われがちな「人がいる存在感」、「雑談」、「声かけ」、「他の人の声」、「相談」ができる仮想環境が求められている。
現在、仮想オフィスサービスが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
Serendipitousな雑談の契機をパラレルワールドで作り、オンライン・リモート業務環境で欠乏しがちな、ちょっとした会話からの発想・創造の機会を増やすという、イノベーションの発芽支援システムを提供する。「Serendipitous」とは、素敵な偶然に出会ったり、予想外のものを発見すること、また、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値があるものを偶然見つけることを意味する。平たく言うと、ふとした偶然をきっかけに、幸運をつかみ取ることを意味する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ユーザのアバターの動線を全てユーザに都度決めさせるのではなく、一部または全てをシステムに任せてもらう。
ユーザのアバターは自動で勝手に動き回る。
アバターのルートは完全にランダム(例えば、会話発生などのイベントごと、または所定期間ごとに乱数を引いて次のルートを決める)でもよいし、システムが用意したルートからユーザが選択してもよいし、システムがユーザの状態に応じて都度提案ルートを生成(例えば、他と交流の少ないユーザに対して、他のアバターと接触しやすいルートを提案)してもよい。
【0005】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を、装置、システム、方法、コンピュータプログラム、コンピュータプログラムを記録した記録媒体などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施の形態に係る発芽支援システムの模式図である。
図2】Teams起動とアバタートリガーの説明図である。
図3】アバターの動きルールの説明図である。
図4】アバター情報の表示の説明図である。
図5】Teams仮想空間ビューの説明図である。
図6】チャットチャンネルの生成の説明図である。
図7】座席予約システムとの連携の説明図である。
図8】ソーシャルデータを活用した会話トリガーの説明図である。
図9】ルート生成、提案の仕組みの説明図である。
図10】ユーザの端末のディスプレイに表示されるルート選択画面の代表画面図である。
図11】ルートの例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、実施の形態に係る発芽支援システムの模式図である。
(1)World Rules(データベース)
仮想空間における事前定義された各種のルールを保持する。
・アセットのコントロールをするための時系列に定義されたルール
・シナリオを定義して各種のルールを自動設定(オフィスシナリオ、大講堂シナリオなどから初めて、研修シミュレーションなども)
・権限、アクセスコントロールなど(MS Teamsでのアクセスコントロールを引き継ぐ形)
・大講堂モードは登壇者だけがアバターになる。audienceはアバターである必要はなく、聴衆の看板(二次元)でもよい。
【0008】
(2)3D World Asset(データベース)
仮想空間で使用可能なアセットの情報を保持する。
デジタルツイン(アバター)は各ユーザがリストから選べる様にするか、選んだ上でカスタマイズできる様にするか、自分でスキャン(貸し出し)して作ってアップロードできる様にする。特に、ユーザがサクッと仮想空間に入ることができるようにする。
デジタルツインは自動的にバーチャルオフィスを動き回る。
【0009】
(3)Context(データベース)
オフィス、会議室、大講堂、教室などを仮想空間上で構築するための情報を保持する。VMSにユーザが入った直後はデフォルトでオフィスに入る様にする。全体会議などはデフォルトで大講堂に全員入る。
【0010】
(4)Multi User Virtual World Server、(5)User Proxy
チームスユーザアカウントとバーチャルモード(VWS)アカウントとのリンクを設ける。リンクにより、主にチームズの認証、権限(ホストなど)、アクセスコントロール、セキュリティー(eavesdrop防止)を引き継ぐ。
【0011】
(6)MS Teams environment
・ユーザがチームス上で話したい相手を呼ぶ
・バーチャル(VWS)モードを選択する
・VRならゴーグル専用ブラウザ、iOS/PC/Androidなら専用ブラウザが作動する
・ユーザIdはバーチャルモード(VWS)に引き継がれる
・すぐにバーチャルモードに移って、自分のデジタルツインが映り、相手も映る。
・音声、文字通信はMS Teamsを使う、またはバーチャルモードの専用を使う
【0012】
本実施の形態のポイントは以下の通りである。
(Teams起動とアバタートリガー)
Teams起動を契機として、アバターを仮想空間内に出現させる。Teamsのプレゼンス変化を検出できるAPIを利用してもよい。
(アバターの動きルール)
仮想空間内のアバターは自律的に動き回る。(動き方はいくつかのオプションからユーザが選んでも良い、allユーザ設定でもよい、all自動でもよい)
(アバター情報の表示)
仮想空間内で近くにいるアバターの情報をTeamsチャットなどで提示してくる。「xxxさんが近くにいます」
(Teams仮想空間ビュー)
Teamsの仮想空間ビュー(会議室として設定されていてもよい)では、自分のアバター視点の映像がストリーミングされてくる
(チャットチャンネルの生成)
仮想空間内で近くにいる人3人とかでチャットしたいときに、チャットオプションを選ぶと、Teamsに3人のテキストチャットチャネルが自動生成される
(座席予約システムとの連携)
座席予約システムで予約した席に近づいた時は、その人が近くにいるといったメッセージ発行。
(ソーシャルデータを活用した会話トリガー)
仮想空間内で近くにいる人との最近のコミュニケーション・メールなどの情報をシステムから発行させ、話すきっかけにする。「xxxさんとはYYYの件でメールやりとりしてました」、など。
【0013】
図2は、Teams起動とアバタートリガーの説明図である。
ステップ1.1:Teamsを起動する
ステップ1.2:同時にアバターが仮想空間に出現される
ステップ1.3:Teamsのステータスが「Avatar On」などとなる
ステップ1.4:画面に小さなポップアップでアバターが映し出され、仮想空間に自分のアバターが出現したことが確認できる。
【0014】
図3は、アバターの動きルールの説明図である。
ステップ2.1:アバターが出現した後、どの様にアバターが動き回るのかをいくつかのパターンから選んで、スタートさせる
ステップ2.2:アバターがそのパターンに従って自律的にうろうろ動き始める
アバター徘徊パターン
(A)カフェや給湯室や喫煙所をうろうろする
(B)オフィスの主なセクションを跨ってうろうろする
(C)オフィスの出勤した際、その席にいる
【0015】
図4は、アバター情報の表示の説明図である。
ステップ3.1:仮想空間内で近くにいるアバターの情報をTeamsチャットなどで提示してくる。「アリスさんが近くにいます」
ステップ3.2:ボブにとってアリスは久しぶりなので声をかけてみる
ステップ3.3:Teamsの仮想空間ビューをクリックする
ステップ3.4:VWSがブラウザでローンチする
【0016】
図5は、Teams仮想空間ビューの説明図である。
ステップ4.1:Teamsの仮想空間ビュー(会議室として設定されていてもよい)では、自分のアバター視点の映像がストリーミングされてくる
ステップ4.2:アリスのアバターも映る
ステップ4.3:音声がONになりアリスと会話ができる
【0017】
図6は、チャットチャンネルの生成の説明図である。
ステップ5.1:仮想空間内で近くにいる人3人でチャットしたいときに、チャットオプションを選ぶと、Teamsに3人のテキストチャットチャネルが自動生成される。
【0018】
図7は、座席予約システムとの連携の説明図である。
ステップ6:座席予約システムで予約した席に近づいた時は、その人が近くにいるといったメッセージ発行。アラートの出し方はステップ3を参照。座席予約システムは指定した日にオフィスの座席予約ができるシステム。
【0019】
図8は、ソーシャルデータを活用した会話トリガーの説明図である。
ステップ7.1:仮想空間内で近くにいる人との最近のコミュニケーション・メールなどの情報をシステムから発行させ、話すきっかけにする。「xxxさんとはYYYの件でメールやりとりしてました」、など。
ステップ7.2:話しかける際はステップ3.3を参照。
【0020】
図9は、ルート生成、提案の仕組みの説明図である。
ステップ2に関連し、予め設定しておいたルートをユーザに候補として提示する他に、完全ランダムなルートやシステムが生成、提案するルートを候補として提示してもよい。システムは、例えばこれまでのユーザ間の会話履歴を参照し、対象のユーザと他のユーザとの会話が少ない場合は、他のユーザとの接触機会が多くなるルートを生成して提案してもよい。偶然の会話発生を演出することができる。
【0021】
ルート提案アルゴリズムの例:
(1)最近他者との会話が少ないユーザに、他社との接点が増えるルートを提案
インタラクション履歴を参照し、直近2週間の提案対象ユーザの他社との会話回数、会話時間、会話の相手の数を取得→回数、時間、数が所定の孤立基準(例えば、回数が閾値以下かつ相手の数が閾値以下)を満たす場合、ルート選択状況DBを参照し、より多くの人と接近するようなルートを生成し、提案。この際、他のユーザの現在位置と選択ルートから他のユーザの将来の位置を予測し、そこになるべく重なるようなルートを生成してもよい。同じ相手と何回も会話しているユーザには、その相手のアバターを避けるルートを提案。
(2)職位に応じたルートを提案
CEOであれば全部署を1日少なくとも1回廻るルート、部長であれば、自分の部署の全ての部屋を1日1回廻るルート
(3)会話の間隔、頻度に応じたルートを提案
インタラクション履歴を参照し、直近2週間、提案対象ユーザと会話していない他のユーザを特定し、特定された他のユーザと接近するようなルートを生成し、提案。
【0022】
ルートに関する説明:
ルートとは、自席(30分)→会議室A(1時間)→トイレ(10分)→自席(2時間)→給湯室(5分)→外の喫煙スペース(10分)、のように滞在場所と滞在時間との組を時系列に並べたデータで表現される。
いつ、どこにいるという(絶対)時刻で定義してもよいが、突発的な会話があるとその分移動に時間がかかってずれるので、時刻で定義する場合は範囲(幅)を持たせる。
ただし、部分的に時刻で指定することはあり。例えば、10:00開始の会議が会議室Aで開催される場合、ルートにおいて(10:00に会議室A)と指定する。ここで、会議室Bでの前の会議がおして9:58や10:02に終わった場合、アバターを走るモーションで高速で会議室B→会議室Aに移動させる。これを見た他のユーザは、この時は話しかけてはいけないと理解する(さらに、この人は忙しいとも理解する)。逆に、前の会議が予定より早く終わった場合は、アバターをゆっくり歩くモーションで会議室B→会議室Aに移動させる。これを見たユーザは、この時は話しかける余裕があると理解する。
【0023】
図10は、ユーザの端末のディスプレイに表示されるルート選択画面の代表画面図である。
【0024】
図11は、ルートの例を説明する図である。
Do not disturb部屋:会話要求、チャット要求、会議設定など何も受け付けないモードである。この部屋が濫用されないように、利用時間制限を設けてもよいし、利用時間帯制限を設けてもよいし、利用人数制限を設けてもよい。
【0025】
変形例:
ステップ7関連:メールのやり取りから接続候補を抽出するだけでなく、(1)チームのチャット情報(2)devopsやconfluenceなどのプロジェクト情報など、他の種類の情報からも接続候補を抽出することができる。
ステップ2関連:このシステムは、ユーザが企業の内部の人間であることを前提としている。しかし、企業のスタッフがサプライヤーやサブコントラクターなどの第3者のユーザをこのシステムに招待するケースも考えることができる。企業の外部のユーザには、バーチャルオフィスに入る機能が与えられるが、アクセスは受付やゲストルームなどの特定のエリアに限られる。
ステップ6に関連し、バーチャルオフィスと実際のオフィスとが対応している(例:同じレイアウト)場合、バーチャルの状態を実際のオフィスに反映させてもよい。
出社した社員のアバターは、当該社員の実際の位置に対応する位置に表示(自席ならバーチャルオフィスの当該社員の自席に当該社員のアバターを表示)。リモートユーザがバーチャルオフィスで上記出社ユーザに話しかけた場合、実際のオフィスにいる当該出社ユーザに通知がなされる。
出社ユーザが自席で作業中に隣の席のリモートユーザに話かけられた場合、実際のオフィスの隣の席のPCのモニタとマイク・スピーカーがオンになり、リモートユーザの顔が映し出され、マイク・スピーカーで会話。
出社ユーザが歩いているときにリモートユーザによってバーチャルオフィスで話しかけられた場合、出社ユーザの現在位置に一番近いモニタがオンになり、会話がスタート。
出社ユーザはARグラスをつけて勤務する。ARグラスにより、実際のオフィスに、バーチャルオフィスのアバターが重畳して表示される。隣の席にリモートユーザがいれば、ARグラスを通じて隣の席に当該リモートユーザのアバターが表示され(実際はいない)、会議室Aで5人会議していて、そのうち一人が出社ユーザであれば、当該出社ユーザのARグラスを通じて会議室Aを見ると、(実際にはいない)残りの4人が会議室Aのそれぞれの席に映し出される。
【0026】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0027】
なお、実施形態で説明した各装置の機能構成はハードウェア資源またはソフトウェア資源により、あるいはハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
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