(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079862
(43)【公開日】2024-06-12
(54)【発明の名称】撮像装置及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H04N 25/78 20230101AFI20240605BHJP
H04N 25/77 20230101ALI20240605BHJP
H04N 25/616 20230101ALI20240605BHJP
【FI】
H04N5/378
H04N5/3745
H04N5/357 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021060807
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(72)【発明者】
【氏名】長城 尚人
【テーマコード(参考)】
5C024
【Fターム(参考)】
5C024CX06
5C024GY39
5C024GY41
5C024HX17
5C024HX23
5C024HX35
5C024HX50
(57)【要約】
【課題】回路規模を大きくすることなく、高速にアナログ-デジタル変換を行う。
【解決手段】撮像装置は、光電変換された複数の画素信号を複数の信号線に出力する画素アレイ部と、2以上の信号線を含む信号線群ごとに、対応する2以上の画素信号のリセットレベルと信号レベルとの差分である複数の相関画素信号を出力する2以上のカラムアンプ群と、前記複数の相関画素信号を保持する複数の容量をそれぞれ有する複数の容量マルチプレクサと、前記複数の容量に保持された前記複数の相関画素信号を順繰りにデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器と、を備え、前記カラムアンプ群の数よりも、前記複数の容量の数が多い。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換された複数の画素信号を複数の信号線に出力する画素アレイ部と、
2以上の信号線を含む信号線群ごとに、対応する2以上の画素信号のリセットレベルと信号レベルとの差分である複数の相関画素信号を出力する2以上のカラムアンプ群と、
前記複数の相関画素信号を保持する複数の容量をそれぞれ有する複数の容量マルチプレクサと、
前記複数の容量に保持された前記複数の相関画素信号を順繰りにデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器と、を備え、
前記カラムアンプ群の数よりも、前記複数の容量の数が多い、撮像装置。
【請求項2】
前記2以上のカラムアンプ群のそれぞれは、対応する2以上の画素信号のリセットレベルと信号レベルとの差分である複数の相関画素信号を出力する複数のカラムアンプを有し、
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、前記複数のカラムアンプのうち、対応するカラムアンプから出力された前記相関画素信号を保持する前記複数の容量をそれぞれ含む、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記複数のカラムアンプのそれぞれは、
非反転入力ノードに信号線の電位が入力される差動増幅器と、
一端が前記差動増幅器の出力ノードに接続され、他端が前記差動増幅器の反転入力ノードに接続される第1スイッチと、
一端が前記差動増幅器の出力ノードに接続される第2スイッチと、
一端が前記第2スイッチの他端に接続され、他端が第1スイッチの他端及び前記差動増幅器の反転入力ノードに接続される第1容量素子と、
前記第1容量素子の他端と基準電位ノードとの間に接続される第2容量素子と、
一端が前記第2スイッチの他端及び前記第1容量素子の一端に接続され、他端に基準電圧が印加される第3スイッチと、を有する、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、前記複数の容量を含む複数のスイッチトキャパシタを有し、
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、前記複数のスイッチトキャパシタによるサンプリングにより、前記相関画素信号を保持する、請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記複数の容量のうち一部の容量は、前記2以上のカラムアンプ群のうち予め定められたカラムアンプ群から出力された相関画素信号を保持し、
前記複数の容量のうち前記一部の容量以外の2以上の容量は、順繰りに選択されて、前記2以上のカラムアンプ群のうち前記予め定められたカラムアンプ群以外のカラムアンプ群から出力された相関画素信号を保持する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記複数の容量は、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内に、前記2以上のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記複数の容量は、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号のリセットレベルが出力される期間内と、前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内とに、保持された前記複数の相関画素信号を順繰りに前記アナログ-デジタル変換器に転送する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記複数の容量のうち一部の容量は、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内に、前記相関画素信号を保持し、
前記複数の容量のうち前記一部の容量以外の2以上の容量は順繰りに、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内に、前記相関画素信号の保持動作を休止する、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記2以上のカラムアンプ群は、第1のカラムアンプ群と、第2のカラムアンプ群とを有し、
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、第1の容量と、第2の容量と、第3の容量とを有し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第1の容量は、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される第1の期間内に、前記第1のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第2の容量と複数の前記第3の容量とは、前記第1の期間ごとに交互に選択されて、前記第2のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記複数の第1の容量と、前記複数の第2の容量又は前記複数の第3の容量とに保持された前記複数の相関画素信号は、前記第1の期間と、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される第2の期間とに、順繰りに前記アナログ-デジタル変換器に転送される、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記複数の容量マルチプレクサ内の前記複数の第2の容量及び前記複数の第3の容量は、前記第1の期間ごとに、前記複数の相関画素信号を保持するか、前記複数の相関画素信号の保持を休止するかを交互に切り替える、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記2以上のカラムアンプ群は、第1のカラムアンプ群と、第2のカラムアンプ群と、第3のカラムアンプ群とを有し、
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、第1の容量と、第2の容量と、第3の容量と、第4の容量とを有し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第1の容量は、前記画素アレイ部が前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルを出力する第1の期間内に、前記第1のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第2の容量は、前記第1の期間内に、前記第2のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第3の容量及び複数の前記第4の容量は、前記第1の期間ごとに交互に選択されて、前記第3のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第1の容量と、前記第2の容量と、前記複数の相関画素信号を保持している前記第3の容量又は前記第4の容量とに保持された前記複数の相関画素信号は、前記第1の期間と、前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される第2の期間と、前記第2の期間の直後の前記第1の期間とに、順繰りに前記アナログ-デジタル変換器に転送される、請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
連続した前記第1の期間及び前記第2の期間の後に、前記カラムアンプ群への前記複数の画素信号の入力と前記複数の容量での前記複数の相関画素信号の保持とのいずれも行わない休止期間が設けられる、請求項13に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記アナログ-デジタル変換器は、逐次比較型のアナログ-デジタル変換器である、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項16】
前記容量マルチプレクサは、前記複数の容量のいずれかに保持された前記相関画素信号を差動で出力し、
前記逐次比較型のアナログ-デジタル変換器は、前記容量マルチプレクサから出力された差動の相関画素信号に基づいて、前記デジタル信号に変換する、請求項15に記載の撮像装置。
【請求項17】
光電変換された画素信号をデジタル信号に変換して出力する撮像装置と、
前記デジタル信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路と、を備えた電子機器であって、
前記撮像装置は、
光電変換された複数の画素信号を複数の信号線に出力する画素アレイ部と、
2以上の信号線を含む信号線群ごとに、対応する2以上の画素信号のリセットレベルと信号レベルとの差分である複数の相関画素信号を出力する2以上のカラムアンプ群と、
前記複数の相関画素信号を保持する複数の容量をそれぞれ有する容量部と、
前記複数の容量に保持された前記複数の相関画素信号を順繰りにデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器と、を備え、
前記カラムアンプ群の数よりも、前記複数の容量の数が多い、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、撮像装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置には、画素から信号線を介して出力されるアナログ信号(画素信号)をデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器が搭載されている(例えば、特許文献1参照)。
信号線ごとにアナログ-デジタル変換器を設けると、回路規模が大きくなることから、各信号線上の画素信号をサンプリングして容量に保持し、容量に保持された画素信号を順繰りにアナログ-デジタル変換器でデジタル信号に変換する構成が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、構成によっては、多数の容量が必要になり、配線量が増えるとともに、回路規模が大きくなるおそれがある。
【0005】
そこで、本開示は、回路規模を大きくすることなく、高速にアナログ-デジタル変換を行うことが可能な撮像装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示によれば、光電変換された複数の画素信号を複数の信号線に出力する画素アレイ部と、
2以上の信号線を含む信号線群ごとに、対応する2以上の画素信号のリセットレベルと信号レベルとの差分である複数の相関画素信号を出力する2以上のカラムアンプ群と、
前記複数の相関画素信号を保持する複数の容量をそれぞれ有する複数の容量マルチプレクサと、
前記複数の容量に保持された前記複数の相関画素信号を順繰りにデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器と、を備え、
前記カラムアンプ群の数よりも、前記複数の容量の数が多い、撮像装置が提供される。
【0007】
前記2以上のカラムアンプ群のそれぞれは、対応する2以上の画素信号のリセットレベルと信号レベルとの差分である複数の相関画素信号を出力する複数のカラムアンプを有し、
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、前記複数のカラムアンプのうち、対応するカラムアンプから出力された前記相関画素信号を保持する前記複数の容量をそれぞれ含んでもよい。
【0008】
前記複数のカラムアンプのそれぞれは、
非反転入力ノードに信号線の電位が入力される差動増幅器と、
一端が前記差動増幅器の出力ノードに接続され、他端が前記差動増幅器の反転入力ノードに接続される第1スイッチと、
一端が前記差動増幅器の出力ノードに接続される第2スイッチと、
一端が前記第2スイッチの他端に接続され、他端が第1スイッチの他端及び前記差動増幅器の反転入力ノードに接続される第1容量素子と、
前記第1容量素子の他端と基準電位ノードとの間に接続される第2容量素子と、
一端が前記第2スイッチの他端及び前記第1容量素子の一端に接続され、他端に基準電圧が印加される第3スイッチと、を有してもよい。
【0009】
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、前記複数の容量を含む複数のスイッチトキャパシタを有し、
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、前記複数のスイッチトキャパシタによるサンプリングにより、前記相関画素信号を保持してもよい。
【0010】
前記複数の容量のうち一部の容量は、前記2以上のカラムアンプ群のうち予め定められたカラムアンプ群から出力された相関画素信号を保持し、
前記複数の容量のうち前記一部の容量以外の2以上の容量は、順繰りに選択されて、前記2以上のカラムアンプ群のうち前記予め定められたカラムアンプ群以外のカラムアンプ群から出力された相関画素信号を保持してもよい。
【0011】
前記複数の容量は、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内に、前記2以上のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持してもよい。
【0012】
前記複数の容量は、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号のリセットレベルが出力される期間内と、前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内とに、保持された前記複数の相関画素信号を順繰りに前記アナログ-デジタル変換器に転送してもよい。
【0013】
前記複数の容量のうち一部の容量は、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内に、前記相関画素信号を保持し、
前記複数の容量のうち前記一部の容量以外の2以上の容量は順繰りに、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内に、前記相関画素信号の保持動作を休止してもよい。
【0014】
前記2以上のカラムアンプ群は、第1のカラムアンプ群と、第2のカラムアンプ群とを有し、
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、第1の容量と、第2の容量と、第3の容量とを有し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第1の容量は、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される第1の期間内に、前記第1のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第2の容量と複数の前記第3の容量とは、前記第1の期間ごとに交互に選択されて、前記第2のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持してもよい。
【0015】
前記複数の第1の容量と、前記複数の第2の容量又は前記複数の第3の容量とに保持された前記複数の相関画素信号は、前記第1の期間と、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される第2の期間とに、順繰りに前記アナログ-デジタル変換器に転送されてもよい。
【0016】
前記複数の容量マルチプレクサ内の前記複数の第2の容量及び前記複数の第3の容量は、前記第1の期間ごとに、前記複数の相関画素信号を保持するか、前記複数の相関画素信号の保持を休止するかを交互に切り替えてもよい。
【0017】
前記2以上のカラムアンプ群は、第1のカラムアンプ群と、第2のカラムアンプ群と、第3のカラムアンプ群とを有し、
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、第1の容量と、第2の容量と、第3の容量と、第4の容量とを有し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第1の容量は、前記画素アレイ部が前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルを出力する第1の期間内に、前記第1のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第2の容量は、前記第1の期間内に、前記第2のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第3の容量及び複数の前記第4の容量は、前記第1の期間ごとに交互に選択されて、前記第3のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持してもよい。
【0018】
前記第1の容量と、前記第2の容量と、前記複数の相関画素信号を保持している前記第3の容量又は前記第4の容量とに保持された前記複数の相関画素信号は、前記第1の期間と、前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される第2の期間と、前記第2の期間の直後の前記第1の期間とに、順繰りに前記アナログ-デジタル変換器に転送されてもよい。
【0019】
連続した前記第1の期間及び前記第2の期間の後に、前記カラムアンプ群への前記複数の画素信号の入力と前記複数の容量での前記複数の相関画素信号の保持とのいずれも行わない休止期間が設けられてもよい。
【0020】
前記アナログ-デジタル変換器は、逐次比較型のアナログ-デジタル変換器であってもよい。
【0021】
前記容量マルチプレクサは、前記複数の容量のいずれかに保持された前記相関画素信号を差動で出力し、
前記逐次比較型のアナログ-デジタル変換器は、前記容量マルチプレクサから出力された差動の相関画素信号に基づいて、前記デジタル信号に変換してもよい。
【0022】
本開示によれば、光電変換された画素信号をデジタル信号に変換して出力する撮像装置と、
前記デジタル信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路と、を備えた電子機器であって、
前記撮像装置は、
光電変換された複数の画素信号を複数の信号線に出力する画素アレイ部と、
2以上の信号線を含む信号線群ごとに、対応する2以上の画素信号のリセットレベルと信号レベルとの差分である複数の相関画素信号を出力する2以上のカラムアンプ群と、
前記複数の相関画素信号を保持する複数の容量をそれぞれ有する容量部と、
前記複数の容量に保持された前記複数の相関画素信号を順繰りにデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器と、を備え、
前記カラムアンプ群の数よりも、前記複数の容量の数が多い、電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】第1実施形態による撮像装置の概略構成を示すブロック図。
【
図2】画素(画素回路)の構成の一例を示す回路図。
【
図3】CMOSイメージセンサの平置型の半導体チップ構造の概略を模式的に示す平面図。
【
図4】CMOSイメージセンサの積層型のチップ構造の概略を模式的に示す分解斜視図。
【
図5】カラムアンプ部、容量部、及びAD変換部を含むカラム信号処理系の基本構成を示すブロック図。
【
図6】
図5の基本構成例に係るカラム信号処理系のタイミング図。
【
図7】第1の具体例に係るカラム信号処理系の概略構成を示す回路図。
【
図8】
図7に示す第1の具体例に係るカラム信号処理系の動作タイミング図。
【
図9】
図8の時刻t2~t3の画素信号の流れを示す図。
【
図10】
図8の時刻t3~t4の画素信号の流れを示す図。
【
図11】
図8の時刻t4~t5の画素信号の流れを示す図。
【
図12】
図8の時刻t5~t6の画素信号の流れを示す図。
【
図13】
図8の時刻t6~t7の画素信号の流れを示す図。
【
図14】
図8の時刻t7~t8の画素信号の流れを示す図。
【
図15A】一比較例によるカラム処理系のブロック図。
【
図15B】一比較例によるカラム信号処理系の動作タイミング図。
【
図16】アシスト処理部を備えた撮像装置の概略的なブロック図。
【
図17】第2の具体例に係るカラム信号処理系の概略構成を示す回路図。
【
図18】
図17に示す第2の具体例に係るカラム信号処理系の動作タイミング図。
【
図19】
図7に各電圧の生成回路を追加したカラム信号処理系の回路図。
【
図21】電流リユースカラムアンプの構成の一例の回路図。
【
図22】逐次比較型アナログ-デジタル変換器の詳細回路図。
【
図23】本開示の第2実施形態に係る間接TOF方式距離画像センサのシステム構成の一例を示すブロック図。
【
図24】第2実施形態に係る間接TOF方式距離画像センサにおける画素の回路構成の一例を示す回路図。
【
図25】車両制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図である。
【
図26】車外情報検出部及び撮像部の設置位置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、撮像装置及び電子機器の実施形態について説明する。以下では、撮像装置及び電子機器の主要な構成部分を中心に説明するが、撮像装置及び電子機器には、図示又は説明されていない構成部分や機能が存在しうる。以下の説明は、図示又は説明されていない構成部分や機能を除外するものではない。
【0025】
<本開示の第1実施形態>
図1は第1実施形態による撮像装置の概略構成を示すブロック図である。
図1の撮像装置10は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサである。
図1の撮像装置10は、画素アレイ部11と、行選択部12と、定電流源部13と、カラムアンプ部と、アナログ-デジタル変換部(以下、AD変換部と呼ぶ)15と、水平転送走査部16と、信号処理部17と、タイミング制御部18とを備えている。
【0026】
画素アレイ部11には、複数の画素制御線31(311~31m)と、複数の信号線32(321~32n)が縦横に配置されており、各画素制御線31と各信号線32が交差する箇所付近には、複数の画素20が配置されている。本明細書では、複数の画素制御線の延びる方向を行方向と呼び、複数の信号線の延びる方向を列(カラム)方向と呼ぶ。
【0027】
行選択部12は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部11の各画素20の選択に際して、画素行の走査や画素行のアドレスを制御する。この行選択部12は、その具体的な構成については図示を省略するが、一般的に、読出し走査系と掃出し走査系の2つの走査系を有する構成となっている。
【0028】
読出し走査系は、画素20から画素信号を読み出すために、画素アレイ部11の画素20を行単位で順に選択走査する。画素20から読み出される画素信号はアナログ信号である。掃出し走査系は、読出し走査系によって読出し走査が行われる読出し行に対して、その読出し走査よりもシャッタスピードの時間分だけ先行して掃出し走査を行う。
【0029】
この掃出し走査系による掃出し走査により、読出し行の画素20の光電変換素子から不要な電荷が掃き出されることによって当該光電変換素子がリセットされる。そして、この掃出し走査系による不要電荷の掃き出す(リセットする)ことにより、所謂、電子シャッタ動作が行われる。ここで、電子シャッタ動作とは、光電変換素子の光電荷を捨てて、新たに露光を開始する(光電荷の蓄積を開始する)動作のことを言う。
【0030】
定電流源部13は、画素列毎に信号線32
1~32
nの各々に接続された、例えばMOSトランジスタから成る複数の負荷電流源I(
図2参照)を備えており、行選択部12によって選択走査された画素行の各画素20に対し、信号線32
1~32
nの各々を通してバイアス電流を供給する。
【0031】
カラムアンプ部14は、画素列毎に信号線321~32nの各々に対応して設けられたカラムアンプの集合から成る。そして、カラムアンプ部14の各カラムアンプは、画素アレイ部11の各画素20から読み出され、信号線321~32nを通して供給される画素信号を増幅してAD変換部15に供給する。
【0032】
カラムアンプ部14は、画素アレイ部11の各画素20から信号線32を通して入力される信号成分(所謂、D相)とリセット成分(所謂、P相)との差分をとる処理(CDS処理)を行い、その差分を画素信号として出力する。カラムアンプ部14の後段には、容量部19が設けられている。カラムアンプ部4でCDS処理を行うことで、アナログ-デジタル変換処理(以下、AD変換処理と呼ぶ)の回数を半減できる。
【0033】
容量部19は、カラムアンプ部14から入力される画素信号を、例えば、スイッチトキャパシタによるサンプリングによって保持する。容量部19の後段には、AD変換部が設けられている。
【0034】
AD変換部15は、画素アレイ部11の画素列に対応して設けられた(例えば、画素列毎に設けられた)複数のアナログ-デジタル変換器(以下、AD変換器と呼ぶ)の集合から成る、列並列型のAD変換部である。AD変換部15は、画素列毎に信号線321~32nの各々を通して出力され、カラムアンプ部14で増幅されたアナログの画素信号をデジタルの画素信号に変換する。
【0035】
AD変換部15が採用するAD変換方式は問わない。例えば、AD変換部は、シングルスロープ型のAD変換器でもよいし、逐次比較型のAD変換器でもよい。
【0036】
シングルスロープ型のAD変換器では、画素の固定パターンノイズを除去するためのデジタルCDS処理を行うには、P相信号とD相信号の2回のAD変換処理とオートゼロ処理を行う追加の時間が必要になる。また、画素信号とランプ波の基準信号とがクロスするときに、貫通電流やキックバックが生じる。さらに、クロスする時間は画素信号レベルに依存し、他の画素列のAD変換処理に干渉するおそれがある。また、AD変換時の電圧の保持に、画素内の増幅トランジスタを利用するため、デジタル信号への変換時間が画素信号の読出し速度を制限する。
【0037】
これに対して、逐次比較型のAD変換器は、シングルスロープ型のAD変換器よりも、高速かつ低消費電力でAD変換処理を行うことができる。
【0038】
逐次比較型のAD変換器は、二分探索を行うため、電圧レベルがスイープするランプ波との比較を行うシングルスロープ型のAD変換器よりも効率よくAD変換処理を行うことができる。
【0039】
水平転送走査部16は、シフトレジスタやアドレスデコーダなどによって構成され、画素アレイ部11の各画素20の信号の読出しに際して、画素列の走査や画素列のアドレスを制御する。この水平転送走査部16による制御の下に、AD変換部15でデジタル信号に変換された画素信号が画素列単位で水平転送線Lに読み出される。
【0040】
信号処理部17は、水平転送線Lを通して供給されるデジタルの画素信号に対して、所定の信号処理を行い、2次元の画像データを生成する。例えば、信号処理部17は、縦線欠陥や点欠陥の補正、パラレル-シリアル変換、圧縮、符号化、加算、平均、及び、間欠動作などのデジタル信号処理を行う。信号処理部17は、生成した画像データを、本CMOSイメージセンサ10の出力信号として後段の装置に出力する。
【0041】
タイミング制御部18は、各種のタイミング信号、クロック信号、及び、制御信号等を生成し、これら生成した信号を基に、行選択部12、定電流源部13、カラムアンプ部14、AD変換部15、水平転送走査部16、及び、信号処理部17等の駆動制御を行う。
【0042】
[画素の回路構成例]
図2は画素(画素回路)20の構成の一例を示す回路図である。画素20は、光電変換素子として、例えば、フォトダイオード21を有している。画素20は、フォトダイオード21の他に、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、及び、選択トランジスタ25を有する構成となっている。
【0043】
転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、及び、選択トランジスタ25の4つのトランジスタとしては、例えば、NチャネルのMOS型電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor;FET)を用いている。但し、ここで例示した4つのトランジスタ22~25の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
【0044】
この画素20に対して、先述した画素制御線31として、複数の画素制御線が同一画素行の各画素20に対して共通に配線されている。これら複数の画素制御線は、行選択部12の各画素行に対応した出力端に画素行単位で接続されている。行選択部12は、複数の画素制御線に対して転送信号TRG、リセット信号RST、及び、選択信号SELを適宜出力する。
【0045】
フォトダイオード21は、アノード電極が低電位側電源(例えば、グランド)に接続されており、受光した光をその光量に応じた電荷量の光電荷(ここでは、光電子)に光電変換してその光電荷を蓄積する。フォトダイオード21のカソード電極は、転送トランジスタ22を介して増幅トランジスタ24のゲートと電気的に接続されている。ここで、増幅トランジスタ24のゲートが電気的に繋がった領域は、フローティングディフュージョン(浮遊拡散領域/不純物拡散領域)FDである。フローティングディフュージョンFDは、電荷を電圧に変換する電荷電圧変換部である。
【0046】
転送トランジスタ22のゲートには、高レベル(例えば、VDDレベル)がアクティブとなる転送信号TRGが行選択部12から与えられる。転送トランジスタ22は、転送信号TRGに応答して導通状態となることで、フォトダイオード21で光電変換され、当該フォトダイオード21に蓄積された光電荷をフローティングディフュージョンFDに転送する。
【0047】
リセットトランジスタ23は、高電位側電源電圧VDDのノードとフローティングディフュージョンFDとの間に接続されている。リセットトランジスタ23のゲートには、高レベルがアクティブとなるリセット信号RSTが行選択部12から与えられる。リセットトランジスタ23は、リセット信号RSTに応答して導通状態となり、フローティングディフュージョンFDの電荷を電圧VDDのノードに捨てることによってフローティングディフュージョンFDをリセットする。
【0048】
増幅トランジスタ24は、ゲートがフローティングディフュージョンFDに、ドレインが高電位側電源電圧VDDのノードにそれぞれ接続されている。増幅トランジスタ24は、フォトダイオード21での光電変換によって得られる信号を読み出すソースフォロワの入力部となる。すなわち、増幅トランジスタ24は、ソースが選択トランジスタ25を介して信号線32に接続される。そして、増幅トランジスタ24と、信号線32の一端に接続される負荷電流源Iとは、フローティングディフュージョンFDの電圧を信号線32の電位に変換するソースフォロワを構成している。
【0049】
選択トランジスタ25は、ドレインが増幅トランジスタ24のソースに接続され、ソースが信号線32に接続されている。選択トランジスタ25のゲートには、高レベルがアクティブとなる選択信号SELが行選択部12から与えられる。選択トランジスタ25は、選択信号SELに応答して導通状態となることで、画素20を選択状態として増幅トランジスタ24から出力される信号を信号線32に伝達する。
【0050】
尚、上記の回路例では、画素20の回路構成として、転送トランジスタ22、リセットトランジスタ23、増幅トランジスタ24、及び、選択トランジスタ25から成る、即ち4つのトランジスタ(Tr)から成る4Tr構成を例に挙げたが、これに限られるものではない。例えば、選択トランジスタ25を省略し、増幅トランジスタ24に選択トランジスタ25の機能を持たせる3Tr構成とすることもできるし、必要に応じて、トランジスタの数を増やした5Tr以上の回路構成とすることもできる。
【0051】
[半導体チップ構造]
上記の構成のCMOSイメージセンサ10の半導体チップ構造としては、平置型の半導体チップ構造及び積層型の半導体チップ構造を例示することができる。平置型の半導体チップ構造及び積層型の半導体チップ構造のいずれのCMOSイメージセンサ10においても、画素20について、配線層が配される側の基板面を表面(正面)とするとき、その反対側の裏面側から照射される光を取り込む裏面照射型の画素構造とすることができるし、表面側から照射される光を取り込む表面照射型の画素構造とすることができる。以下に、平置型の半導体チップ構造及び積層型の半導体チップ構造について説明する。
【0052】
(平置型の半導体チップ構造)
図3は、CMOSイメージセンサ10の平置型の半導体チップ構造の概略を模式的に示す平面図である。
図3に示すように、平置型の半導体チップ構造は、画素20が行列状に配置されて成る画素アレイ部11と同じ半導体チップ(半導体基板)41上に、画素アレイ部11の周辺の回路部分を形成した構造となっている。具体的には、画素アレイ部11と同じ半導体チップ41上に、行選択部12、定電流源部13、カラムアンプ部14、容量部19、アナログ-デジタル変換部(AD変換部)15、水平転送走査部16、信号処理部17、及び、タイミング制御部18等が形成されている。
【0053】
(積層型の半導体チップ構造)
図4は、CMOSイメージセンサ10の積層型のチップ構造の概略を模式的に示す分解斜視図である。
図4に示すように、積層型の半導体チップ構造は、1層目の半導体チップ42及び2層目の半導体チップ43の少なくとも2つの半導体チップ(半導体基板)が積層された構造となっている。この積層構造において、画素アレイ部11は、1層目の半導体チップ42に形成される。また、行選択部12、定電流源部13、カラムアンプ部14、容量部19、アナログ-デジタル変換部(AD変換部)15、水平転送走査部16、信号処理部17、及び、タイミング制御部18等の回路部分は、2層目の半導体チップ43に形成される。そして、1層目の半導体チップ42と2層目の半導体チップ43とは、Cu-Cu接続などの接続部(VIA)44A,44Bを通して電気的に接続される。
【0054】
この積層構造のCMOSイメージセンサ10によれば、1層目の半導体チップ42として画素アレイ部11を形成できるだけの大きさ(面積)のもので済むため、1層目の半導体チップ42のサイズ(面積)、ひいては、チップ全体のサイズを小さくできる。更に、1層目の半導体チップ42には画素20の作製に適したプロセスを適用でき、2層目の半導体チップ43には回路部分の作製に適したプロセスを適用できるため、CMOSイメージセンサ10の製造に当たって、プロセスの最適化を図ることができるメリットもある。特に、回路部分の作製に当たっては、先端プロセスの適用が可能になる。
【0055】
尚、ここでは、1層目の半導体チップ42及び2層目の半導体チップ43が積層されて成る2層構造の積層構造を例示したが、積層構造としては、2層構造に限られるものではなく、3層以上の構造とすることもできる。そして、3層以上の積層構造の場合、行選択部12、定電流源部13、カラムアンプ部14、AD変換部15、水平転送走査部16、信号処理部17、及び、タイミング制御部18等の回路部分については、2層目以降の半導体チップに分散して形成することができる。
【0056】
図5は、カラムアンプ部、容量部、及びAD変換部を含むカラム信号処理系の基本構成を示すブロック図である。
図5のカラム信号処理系は、複数の信号線のそれぞれごとに、カラムアンプ部と容量部を有する。カラム信号処理系は、複数のカラムアンプ部と、複数の容量部とを有し、複数の容量部は1つのAD変換部を共有する。
【0057】
カラムアンプ部は、画素列数と同数分のカラムアンプを有する。同様に、容量部は、画素列数と同数分の容量マルチプレクサを有する。
【0058】
図5は、1つの逐次比較型AD変換器150につき、複数本の信号線32、例えば8本の信号線32の各電位VSL0~VSL7を、8本の信号線32に対応した8個のカラムアンプ140及び容量マルチプレクサ190を通して多重化して処理する構成の一例を示している。
【0059】
(カラムアンプの構成例)
カラムアンプ140は、増幅器141、第1スイッチ142、第2スイッチ143、第3スイッチ144、第1容量素子145、及び、第2容量素子146を有する構成となっている。第1容量素子145(以下、単に、「容量素子145」と記述する)は、容量値CFを有しており、第2容量素子146(以下、単に、「容量素子146」と記述する)は、容量値CSを有している。
【0060】
増幅器141は、信号線32の電位VSL(VSL0~VSL7)を非反転(+)入力端子の入力とする。第1スイッチ142(以下、単に、「スイッチ142」と記述する)は、一端が増幅器141の出力端子に接続され、他端が増幅器141の反転(-)入力端子に接続されており、スイッチ制御信号Spの極性(高レベル/低レベル)に応じて、オン(閉)/オフ(開)動作を行う。
【0061】
第2スイッチ143(以下、単に、「スイッチ143」と記述する)は、一端が増幅器141の出力端子に接続されている。容量素子145は、一端がスイッチ143の他端に接続され、他端がスイッチ142の他端及び増幅器141の反転入力端子に接続されている。容量素子146は、容量素子145の他端及び増幅器141の出力端子と基準電位(例えば、グランド)のノードとの間に接続されている。スイッチ143は、スイッチ制御信号SDの極性に応じて、オン/オフ動作を行う。
【0062】
すなわち、スイッチ143、容量素子145、及び、容量素子146は、増幅器141の出力端子と基準電位(例えば、グランド)のノードとの間に、その順に直列に接続されている。また、容量素子145と容量素子146との共通接続ノードN1とスイッチ142の他端とは、電気的に接続されている。
【0063】
第3スイッチ144(以下、単に、「スイッチ144」と記述する)は、一端がスイッチ143と容量素子145との共通接続ノードN2に接続されており、スイッチ制御信号SVRの極性に応じて、オン/オフ動作を行う。スイッチ144の他端には、カラムアンプ140の出力のゼロ電圧を規定するローカル基準電圧VRが印加される。すなわち、スイッチ144は、スイッチ143と容量素子145との共通接続ノードN2に、ローカル基準電圧VRを選択的に与える。
【0064】
(容量マルチプレクサの構成例)
容量部19を構成する容量マルチプレクサ190は、4つのスイッチ191~194及び1つの容量素子195を有し、スイッチトキャパシタによるサンプリングを行う構成となっている。容量素子195は、容量値CINを有している。
【0065】
スイッチ191は、一端がカラムアンプ140の出力端、即ち、増幅器141の出力端子に接続されており、スイッチ制御信号SINの極性に応じて、オン/オフ動作を行う。スイッチ192は、一端がスイッチ191の他端に接続されており、スイッチ制御信号SVMI0の極性に応じて、オン/オフ動作を行う。スイッチ192の他端には、特定の参照電圧VXが印加される。特定の参照電圧VXとして、ローカル基準電圧VRを用いる場合もある。
【0066】
容量素子195は、一端がスイッチ191の他端に接続されている。スイッチ193は、一端が容量素子195の他端に接続されており、スイッチ制御信号SVMの極性に応じて、オン/オフ動作を行う。スイッチ193の他端には、逐次比較型AD変換器150の容量アレイ部(CDAC)155をリセットする際に使用する中間電圧VMが印加される。
【0067】
スイッチ194は、一端が容量素子195の他端、及び、スイッチ193の一端に接続されており、スイッチ制御信号SSUM0の極性に応じて、オン/オフ動作を行う。スイッチ194の他端は、信号線32の電位VSL0~VSL7に対応した8個の容量マルチプレクサ190間で共通に接続され、容量マルチプレクサ190の出力端となる。
【0068】
(逐次比較型AD変換器の構成例)
逐次比較型AD変換器150は、プリアンプ151、コンパレータ152、SARロジック部153、デジタル-アナログ変換器(DAC)154、及び、容量アレイ部(CDAC)155を有する構成となっている。
【0069】
プリアンプ151は、増幅器1511及びスイッチ1512から成る。増幅器1511は、容量マルチプレクサ190から供給されるアナログ電圧を反転(-)入力端子の入力とし、出力コモンモード参照電圧VCMを非反転(+)入力端子の入力とする。スイッチ1512は、オートゼロ(入出力ショートによるオフセットキャンセル)のスイッチであり、プリアンプ151の反転(-)入力端子と出力端子との間に接続されており、スイッチ制御信号SAZの極性に応じて、オン/オフ動作を行う。
【0070】
コンパレータ152は、コンパレータクロックCKIに同期して、プリアンプ151を通して供給されるアナログ電圧と比較基準電圧との大小を比較し、その比較結果をSARロジック部153に供給する。
【0071】
SARロジック部153は、例えば、Nビットの逐次比較レジスタから成り、クロックCKに同期して、各ビット毎にコンパレータ152の比較結果を格納し、AD変換後のNビットのデジタル値DOUTとして出力する。
【0072】
デジタル-アナログ変換器154及び容量アレイ部155は、Nビットの容量性デジタル-アナログ変換器を構成している。そして、この容量性デジタル-アナログ変換器において、SARロジック部153から出力されるNビットのデジタル値DOUTをアナログ電圧に変換し、増幅器1511の反転(-)入力端子にその入力として与える。
【0073】
(カラム信号処理系の回路動作)
続いて、上記の構成のカラムアンプ140、容量マルチプレクサ190、及び、逐次比較型AD変換器150から成る
図5の基本構成例に係るカラム信号処理系の回路動作について、
図6のタイミングチャートを用いて説明する。
【0074】
図6のタイミングチャートには、信号線32の電位VSL、スイッチ制御信号S
P,S
VR、スイッチ制御信号S
D,S
IN、S
VM、スイッチ制御信号S
VMI0,S
SUM0~S
VMI7,S
SUM7、クロックCK、スイッチ制御信号S
AZ、及び、コンパレータクロックCKIのタイミング関係を示している。
【0075】
まず、8本の信号線32の各電位VSL0~VSL7は、それぞれ対応する専用のカラムアンプ140に入力される。8本の信号線32の各電位VSL0~VSL7がリセット成分(P相電圧)の状態で、スイッチ制御信号SP及びスイッチ制御信号SVRが高レベルになることで、スイッチ142及びスイッチ144がオン(閉)状態となる。これにより、リセット成分(P相電圧)が容量素子145及び容量素子146にチャージされる。このとき、スイッチ143と容量素子145との共通接続ノードN2の電圧は、リセット成分(P相電圧)は、画素20によって大きくばらつく(精度が低い)が、ローカル基準電圧VRは、カラムアンプ140側で生成されるためにばらつきが小さい(精度が高い)。
【0076】
次に、スイッチ制御信号SP及びスイッチ制御信号SVRが低レベルになることで、スイッチ142及びスイッチ144がオフ(開)状態となり、同時に、スイッチ制御信号SDが高レベルになることで、スイッチ143がオン(閉)状態となる。このとき、容量素子145及び容量素子146と増幅器141とによって非反転増幅回路が構成され、カラムアンプ140の出力電圧Voutは、ローカル基準電圧VRとほぼ同じ電圧となる。
【0077】
その後、8本の信号線32の各電位VSL0~VSL7が、輝度成分である信号成分(D相電圧)に変化する(具体的には、降下する)と、容量素子145と容量素子146との共通接続ノードN1の電圧が、信号成分(D相電圧)と同じ電圧になるようにフィードバックがかかる。この一連の動作により、リセット成分(P相電圧)と信号成分(D相電圧)との差分をとるCDS処理が行われ、カラムアンプ140の出力電圧Voutは、信号線32の電位VSLの(CF+CS)/CF倍に増幅された電圧だけ降下する。このように、カラムアンプ140は、画素信号のリセットレベルと信号レベルとの差分である相関画素信1号を出力する。
【0078】
カラムアンプ140で増幅された信号成分は、カラムアンプ140と同数の容量素子195で構成された容量マルチプレクサ190に入力される。容量マルチプレクサ190において、D相時に、スイッチ制御信号SIN及びスイッチ制御信号SVMが高レベルとなり、これに応答してスイッチ191及びスイッチ193がオン状態となることで、容量素子195に中間電圧VMが印加される。そして、スイッチ制御信号SIN及びスイッチ制御信号SVMが低レベルとなり、これに応答してスイッチ191及びスイッチ193がオフ状態となることで、容量値CINの容量素子195に電荷が保持される。
【0079】
次に、P相時は、スイッチ制御信号SVMIx(x=0~7)及びスイッチ制御信号SSUMx(x=0~7)が順次高レベルとなり、スイッチ192及びスイッチ194がオン状態になることで、容量素子195に保持された電荷が逐次比較型AD変換器150に転送される。電荷の転送は、P相の時間を8分割して行われる。D相については、サンプリングに使用されるため、電荷の転送はP相の間でしか行うことができない。
【0080】
逐次比較型AD変換器150の入力端に、スイッチ194を通して容量素子195が接続されたら、コンパレータ152にコンパレータクロックCKIを入力して比較を開始する。コンパレータ152の比較結果は、SARロジック部153を介してデジタル-アナログ変換器154にフィードバックされ、プリアンプ151の入力が0Vになるように二分探索される。最終的に、容量マルチプレクサ190の容量素子195に蓄積された電荷がほぼ全て容量アレイ部(CDAC)155へ転送され、そのときのデジタル-アナログ変換器154の入力が出力コードとして得られる。
【0081】
尚、次に容量素子195を接続する前に、スイッチ制御信号SAZを高レベルにすることによってプリアンプ151のスイッチ1512をオン(閉)状態とし、容量アレイ部(CDAC)155の電荷をリセットする必要がある。
【0082】
上述したように、
図5の逐次比較型AD変換器150は、P相時にのみ動作し、D相時は何もせずに待機する間欠動作となる。待機時は電力を消費しないように回路電流を止めることになるが、高速応答できない部分は止めることができないため、無駄が生じてしまう。また、P相とD相で電源電流が大きく変わるため、復帰直後に電源電圧の静定に時間がかかることになる。
【0083】
(第1の具体例)
次に、第1の具体例に係るカラム信号処理系について説明する。
図7は第1の具体例に係るカラム信号処理系の概略構成を示す回路図である。
図7のカラム信号処理系は、2以上のカラムアンプ群147と、容量部19と、AD変換器150とを備えている。
【0084】
2以上のカラムアンプ群147は、2以上の信号線を含む信号線群ごとに、対応する2以上の画素信号のリセットレベルと信号レベルとの差分である複数の相関画素信号を出力する。2以上のカラムアンプ群147は、
図1のカラムアンプ部を構成している。
図7では、2つのカラムアンプ群147A、147Bを有する例を示しているが、後述するように、カラムアンプ群147の数は3つ以上でもよい。
図7の例では、一方のカラムアンプ群147Aには4本の信号線VSL0~VSL3からなる信号線群が入力され、他方のカラムアンプ群147Bには4本の信号線VSL4~VSL7からなる信号線群が入力される。
【0085】
各カラムアンプ群147A、147Bはそれぞれ4つのカラムアンプ140を有する。各カラムアンプ140には、4本の信号線VSL0~VSL3、VSL4~VSL7のいずれかが入力される。各カラムアンプ140は、
図5のカラムアンプ140と同様の回路構成を有する。各カラムアンプ群147に入力される信号線の数は必ずしも4本である必要はない。各カラムアンプ群147には、各カラムアンプ群147に入力される信号線の数と同数のカラムアンプ140が設けられる。
【0086】
容量部19は、複数の容量マルチプレクサ190を有する。各容量マルチプレクサ190は、複数の相関画素信号を保持する複数の容量を有する。より具体的には、各容量マルチプレクサ190は、複数の相関画素信号を保持する複数のスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cを有する。各容量マルチプレクサ190は、複数のスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cによるサンプリングにより、相関画素信号を保持する。容量部19は、
図1の容量部19に対応している。複数の容量マルチプレクサ190は、各カラムアンプ群147内のカラムアンプ140の数と同数だけ設けられている。
【0087】
複数のスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cのうち一部のスイッチトキャパシタ196Aは、2以上のカラムアンプ群147A、147Bのうち予め定められたカラムアンプ群147Aから出力された相関画素信号を保持する。複数のスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cのうち一部のスイッチトキャパシタ196A以外の2以上のスイッチトキャパシタ196B、196Cは、順繰りに選択されて、2以上のカラムアンプ群147A、147Bのうち予め定められたカラムアンプ群147A以外のカラムアンプ群147Bから出力された相関画素信号を保持する。
【0088】
複数のスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cは、画素アレイ部11から2以上の信号線に複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内に、2以上のカラムアンプ群147から出力された複数の相関画素信号を保持する。
【0089】
複数のスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cは、画素アレイ部11から2以上の信号線に複数の画素信号のリセットレベルが出力される期間内と、2以上の信号線に複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内とに、保持された複数の相関画素信号を順繰りにアナログ-デジタル変換器に転送する。
【0090】
複数のスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cのうち一部のスイッチトキャパシタ196Aは、画素アレイ部11から2以上の信号線に複数の画素信号の信号レベルが出力される期間ごとに、相関画素信号を保持する。複数のスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cのうち一部のスイッチトキャパシタ196A以外のスイッチトキャパシタ196B、196Cは順繰りに、画素アレイ部11から2以上の信号線に複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内に、相関画素信号の保持動作を休止する。
【0091】
図7の容量マルチプレクサ190は、
図5の容量マルチプレクサ190とは内部構成が異なっている。
図7の容量マルチプレクサ190は、3つのスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cを有する。そのうちのスイッチトキャパシタ196Aは、スイッチ191A1、191A3、192A、193A1、193A2、194A1、194A2と、キャパシタ195A1、195A2とを有する。これらスイッチはそれぞれ、スイッチ制御信号S
IN0A、S
IN1A、S
INA、S
VM1A[n]、S
VMA、S
VMA、S
SUMA[n]にて切替制御される。スイッチトキャパシタ19Bは、スイッチ191B1、191B3、192B、193B1、193B2、194B1、194B2と、キャパシタ195B1、195B2とを有する。これらスイッチはそれぞれ、スイッチ制御信号S
IN0B、S
IN1B、S
INB、S
VM1B[n]、S
VMB、S
VMB、S
SUMB[n]にて切替制御される。スイッチトキャパシタ196Cは、スイッチ191C1、191C3、192C、193C1、193C2、194C1、194C2と、キャパシタ195C1、195C2とを有する。これらスイッチはそれぞれ、スイッチ制御信号S
IN0C、S
IN1C、S
INC、S
VM1C[n]、S
VMC、S
VMC、S
SUMC[n]にて切替制御される。
【0092】
3つのスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cの内部構成は同じであるため、以下では、スイッチトキャパシタ196Aの内部構成を主に説明する。一方のカラムアンプ群147A内の各カラムアンプ140の出力ノードは、対応する容量マルチプレクサ190内のスイッチ191A1、スイッチ191B1、及びスイッチ191C1の各一端に接続されている。他方のカラムアンプ群147B内の各カラムアンプの出力ノードは、対応する容量マルチプレクサ190内のスイッチ191B1及びスイッチ191C1の各一端に接続されている。
【0093】
スイッチ191A1の他端は、キャパシタ195A1の一端とスイッチ192Aの一端とに接続されている。スイッチ191A3の一端には基準電圧VRが印加され、スイッチ191A3の他端はスイッチ192Aの他端とキャパシタ195A2の一端とに接続されている。
【0094】
キャパシタ195A1の他端には、スイッチ193A1の一端とスイッチ194A1の一端とが接続されている。スイッチ193A1の他端とスイッチ193A2の一端には、コモンモード参照電圧VCMが印加されている。スイッチ193A2の他端は、キャパシタ195A2の他端とスイッチ194A2の一端に接続されている。
【0095】
容量マルチプレクサ190内の3つのスイッチトキャパシタ196A、196B、196C内のスイッチ194A1、スイッチ194B1、スイッチ194C1の各他端は、逐次比較型AD変換器150の反転入力ノードに接続されている。容量マルチプレクサ190内の3つのスイッチトキャパシタ196A、196B、196C内のスイッチ194A2、スイッチ194B2、スイッチ194C2の各他端は、逐次比較型AD変換器150の非反転入力ノードに接続されている。
【0096】
このように、容量部19内の各容量マルチプレクサ190は、差動信号を出力する。
図7の場合、4つの容量マルチプレクサ190があり、4つの容量マルチプレクサ190から出力された4つの差動信号は、逐次比較型AD変換器150の反転入力ノードと非反転入力ノードに入力される。
【0097】
図7の逐次比較型AD変換器150は、差動入力信号に基づいて差動でAD変換処理を行う。
図7の逐次比較型AD変換器150は、プリアンプ151と、コンパレータ152と、SARロジック部153と、2つのデジタル-アナログ変換器(DAC)154と、2つの容量アレイ部(CDAC)155とを有する。
プリアンプ151は、差動入力及び差動出力の増幅器1511と、2つのスイッチ1512とを有する。一方のスイッチ1512は、増幅器1511の差動出力ノードの一方と非反転入力ノードとの間に接続されている。他方のスイッチ1512は、増幅器1511の差動出力ノードの他方と反転入力ノードとの間に接続されている。
【0098】
図8は
図7に示す第1の具体例に係るカラム信号処理系の動作タイミング図である。
図8には、
図2のリセットトランジスタのゲートに入力されるリセット信号RSTと、転送トランジスタのゲートに入力されるTRG信号と、スイッチ制御信号S
IN0A、S
IN1A、S
IN0B、S
IN1B、S
IN0C、S
IN1C、S
VMA、S
VMB、S
VMC、S
SUMA[0]、S
SUMA[1]、S
SUMA[2]、S
SUMA[3]、S
SUMB[0]、S
SUMB[1]、S
SUMB[2]、S
SUMB[3]、S
SUMC[0]、S
SUMC[1]、S
SUMC[2]、S
SUMC[3]、逐次比較型AD変換器150内のコンパレータ152のクロック信号CK1と、スイッチ制御信号S
AZとのタイミングが示されている。
【0099】
図8に示すように、カラム信号処理系では、D相サンプリング期間と、P相サンプリング期間が交互に繰り返され、P相サンプリング期間とその直後のD相サンプリング期間とを合わせた期間がAD変換処理の単位期間(1AD期間)である。
図8の時刻t1~t2はD相サンプリング期間であり、この期間内には、スイッチ制御信号S
VMAとS
VMBがハイになって、スイッチ193A1、スイッチ193A2、スイッチ193B1、スイッチ193B2がオンして、キャパシタ195A1、キャパシタ195A2、キャパシタ195B1、及びキャパシタ195B2の各他端にはコモンモード参照電圧VCMが印加される。これにより、スイッチトキャパシタ196Aは、2つのカラムアンプ群147A、147Bのうち一方のカラムアンプ群147Aから出力された、画素信号のリセットレベルと信号レベルの差分である相関画素信号を保持する。同様に、スイッチトキャパシタ196Bは、2つのカラムアンプ群147A、147Bのうち他方のカラムアンプ群147Bから出力された相関画素信号を保持(サンプリング)する。実際には、4つの容量マルチプレクサ190があり、各容量マルチプレクサ190にスイッチトキャパシタ196Aとスイッチトキャパシタ196Bがある。よって、4つのスイッチトキャパシタ196Aと、4つのスイッチトキャパシタ196Bとは、4つの信号線VSL0~VSL3、又は信号線VSL4~VSL7に対応する4つの相関画素信号をそれぞれ保持する。以下では、キャパシタ195A1と195A2を総称してキャパシタ195Aと呼び、キャパシタ195B1と195B2を総称してキャパシタ195Bと呼び、キャパシタ195C1と195C2を総称してキャパシタ195Cと呼ぶ。
【0100】
時刻t2~t3はP相サンプリング期間であり、この期間内には、容量部19は相関画素信号のサンプリングを行わない。その代わり、容量部19に保持された相関画素信号を逐次比較型AD変換器150に順次転送する処理が行われる。
【0101】
具体的には、一方のカラムアンプ群147Aからの相関画素信号を保持する4つのスイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aは、保持している相関画素信号を順に逐次比較型AD変換器150に転送する。なお、時刻t2~t3の期間内には、4つのスイッチトキャパシタ196B内の4つのキャパシタ195Bが保持している相関画素信号は、まだ逐次比較型AD変換器150には転送されない。
【0102】
時刻t3~t4はD相サンプリング期間であり、この期間内には、4つのスイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aは、2つのカラムアンプ群147A、147Bのうち一方のカラムアンプ群147Aから出力された相関画素信号を保持する。同様に、4つのスイッチトキャパシタ196Cは、2つのカラムアンプ群147A、147Bのうち他方のカラムアンプ群147Bから出力された相関画素信号を保持(サンプリング)する。
【0103】
また、時刻t3~t4のD相サンプリング期間内には、時刻t1~t2のD相サンプリング期間内に保持された4つのキャパシタ195B内の相関画素信号が、逐次比較型AD変換器150に順に転送される。
【0104】
時刻t4~t5はP相サンプリング期間であり、この期間内には、一方のカラムアンプ群147Aからの相関画素信号を保持する4つのスイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aは、保持している相関画素信号を順に逐次比較型AD変換器150に転送する。
【0105】
以下、同様の処理が繰り返される。このように、一方のカラムアンプ群147Aから出力された相関画素信号は、必ずスイッチトキャパシタ196Aに保持され、他方のカラムアンプ群147Bから出力された相関画素信号は、スイッチトキャパシタ196Bとスイッチトキャパシタ196CCに交互に保持される。容量部19内の2つのスイッチトキャパシタ196B、196Cのうち一つは交互に、D相サンプリング期間内に相関画素信号のサンプリング動作を休止する。
【0106】
また、相関画素信号の容量部19へのサンプリングはD相サンプリング期間のみに行われる。容量部19から逐次比較型AD変換器150への相関画素信号の転送は、P相サンプリング期間とD相サンプリング期間内に行われる。
【0107】
図9~
図14は
図8の時刻t2~t8の画素信号(相関画素信号)の流れを模式的に示す図である。
図9は時刻t2~t3、
図10は時刻t3~t4、
図11は時刻t4~t5、
図12は時刻t5~t6、
図13は時刻t6~t7、
図14は時刻t7~t8の画素信号(相関画素信号)の流れを矢印線で示している。
【0108】
時刻t2~t3のP相サンプリング期間内には、
図9に示すように、信号線VSL0~VSL3上の画素信号(P相信号)は一方のカラムアンプ群147Aに入力され、信号線VSL4~VSL7上の画素信号(P相信号)は他方のカラムアンプ群147Bに入力される。画素信号は、リセットレベルのP相信号であり、各カラムアンプ群147A、147B内の各カラムアンプ140内のキャパシタ145とキャパシタ146は、P相信号に応じた電荷を保持する。
【0109】
次に、時刻t3~t4のD相サンプリング期間内には、
図10に示すように、信号線VSL0~VSL3上の画素信号(D相信号)は一方のカラムアンプ群147Aに入力され、信号線VSL4~VSL7上の画素信号(D相信号)は他方のカラムアンプ群147Bに入力される。カラムアンプ140内のスイッチ142、スイッチ143、及びスイッチ144を切り替えることで、P相信号とD相信号の差分である相関画素信号が生成されて、各カラムアンプ140から出力される。
【0110】
一方のカラムアンプ群147Aから出力された相関画素信号は、スイッチトキャパシタ196A内のキャパシタ195Aに保持される。他方のカラムアンプ群147Bから出力された相関画素信号は、スイッチトキャパシタ196B内のキャパシタ195Bに保持される。実際には、4つのキャパシタ195Aと4つのキャパシタ195Bがあり、4つのキャパシタ195Aは信号線VSL0~VSL3に対応する相関画素信号を保持し、4つのキャパシタ195Bは信号線VSL4~VSL7に対応する相関画素信号を保持する。
【0111】
次に、時刻t4~t5のP相サンプリング期間内には、
図11に示すように、信号線VSL0~VSL3上の画素信号(P相信号)は一方のカラムアンプ群147Aに入力され、信号線VSL4~VSL7上の画素信号(P相信号)は他方のカラムアンプ群147Bに入力される。これらのP相信号に応じた電荷が、各カラムアンプ群147A、147B内の各カラムアンプ140内のキャパシタ145とキャパシタ146に保持される。また、この期間内には、スイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aに保持されていた相関画素信号は、順に逐次比較型AD変換器150に転送される。
【0112】
次に、時刻t5~t6のD相サンプリング期間内には、
図12に示すように、信号線VSL0~VSL3上の画素信号(D相信号)は一方のカラムアンプ群147Aに入力され、信号線VSL4~VSL7上の画素信号(D相信号)は他方のカラムアンプ群147Bに入力される、各カラムアンプ群147A、147B内の各カラムアンプ140は、スイッチ142~144を切り替えることで、相関画素信号を生成して出力する。
【0113】
一方のカラムアンプ群147Aから出力された相関画素信号は、スイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aに保持される。また、他方のカラムアンプ群147Bから出力された相関画素信号は、スイッチトキャパシタ196C内の4つのキャパシタ195Cに保持される。また、この期間内には、スイッチトキャパシタ196Bに保持されていた相関画素信号は、順に逐次比較型AD変換器150に転送される。
【0114】
次に、時刻t6~t7のP相サンプリング期間内には、
図13に示すように、信号線VSL0~VSL3上の画素信号(P相信号)は一方のカラムアンプ群147Aに入力され、信号線VSL4~VSL7上の画素信号(P相信号)は他方のカラムアンプ群147Bに入力される。これらのP相信号に応じた電荷が、各カラムアンプ群147A、147B内の各カラムアンプ140内のキャパシタ145とキャパシタ146に保持される。また、この期間内には、スイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aに保持されていた相関画素信号は、順に逐次比較型AD変換器150に転送される。
【0115】
次に、時刻t7~t8のD相サンプリング期間内には、
図14に示すように、信号線VSL0~VSL3上の画素信号(D相信号)は一方のカラムアンプ群147Aに入力され、信号線VSL4~VSL7上の画素信号(D相信号)は他方のカラムアンプ群147Bに入力される、各カラムアンプ群147A、147B内の各カラムアンプ140は、スイッチ142~144を切り替えることで、相関画素信号を生成して出力する。
【0116】
一方のカラムアンプ群147Aから出力された相関画素信号は、スイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aに保持される。また、他方のカラムアンプ群147Bから出力された相関画素信号は、スイッチトキャパシタ196B内の4つのキャパシタ195Bに保持される。また、この期間内には、スイッチトキャパシタ196C内の4つのキャパシタ195Cに保持されていた相関画素信号は、順に逐次比較型AD変換器150に転送される。
【0117】
第1の具体例に係るカラム信号処理系では、容量部19内の3つのスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cのうち、スイッチトキャパシタ196Aは一方のカラムアンプ群147Aから出力された相関画素信号のサンプリング専用に使用し、スイッチトキャパシタ196BとCは交互に他方のカラムアンプ群147Bから出力された相関画像信号をサンプリングするために使用される。このように、3つのスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cを均等に使用するのではなく、意図的に不均一に使用して相関画像信号のサンプリングを行うことで、ランダムノイズを削減できる。
【0118】
また、第1の具体例に係るカラム信号処理系では、容量部19で相関画素信号をサンプリングする際のスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cの組合せが3種類しかないため、スイッチトキャパシタの組合せごとに行う必要があるキャリブレーションの手間を削減でき、キャリブレーション結果のデータを保存するメモリ容量も削減できる。また、スイッチトキャパシタ196A、196B、196Cの組合せ数を減らすことで、複数のカラムアンプ群147A、147Bと容量部19との配線数を削減でき、カラム信号処理系の回路規模を縮小できる。
【0119】
次に、一比較例によるカラム処理系について説明する。
図15Aは一比較例によるカラム処理系のブロック図である。
図15Aのカラム信号処理系は、容量部19内の3つのスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cを均等に利用するものである。
図15Aのカラム信号処理系は、
図7の各容量マルチプレクサ190の内部構成に加えて、スイッチ191A2、191B2、191C2を追加した構成になっている。スイッチ191A2、191B2、191C2の各一端は、他方のカラムアンプ群147Bの出力ノードに接続されている。スイッチ191A2の他端はキャパシタ195A1の一端に接続され、スイッチ191B2の他端はキャパシタ195B1の一端に接続され、スイッチ191C2の他端はキャパシタC1の一端に接続されている。また、スイッチ191A1、191B1、191C1の各一端は、一方のカラムアンプ群147Aの出力ノードに接続されている。
図15Bは一比較例によるカラム信号処理系の動作タイミング図である。時刻t1~t2のD相サンプリング期間内には、一方のカラムアンプ群147Aから出力された相関画素信号は、容量部19内のスイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aに保持される。他方のカラムアンプ群147Bから出力された相関画素信号は、スイッチトキャパシタ196B内の4つのキャパシタ195Bに保持される。
【0120】
時刻t2~t3のP相サンプリング期間内には、スイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aに保持された相関画素信号が順に逐次比較型AD変換器150に転送される。
【0121】
時刻t3~t4のD相サンプリング期間内には、一方のカラムアンプ群147Aから出力された相関画素信号は、容量部19内のスイッチトキャパシタ196C内の4つのキャパシタ195Cに保持される。他方のカラムアンプ群147Bから出力された相関画素信号は、スイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aに保持される。この期間内には、スイッチトキャパシタ196B内の4つのキャパシタ195Bに保持されていた相関画素信号が順に逐次比較型AD変換器150に転送される。
【0122】
時刻t4~t5のP相サンプリング期間内には、スイッチトキャパシタ196C内の4つのキャパシタ195Cに保持された相関画素信号が順に逐次比較型AD変換器150に転送される。
【0123】
時刻t5~t6のD相サンプリング期間内には、一方のカラムアンプ群147Aから出力された相関画素信号は、容量部19内のスイッチトキャパシタ196B内の4つのキャパシタ195Bに保持される。他方のカラムアンプ群147Bから出力された相関画素信号は、スイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Cに保持される。この期間内には、スイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aに保持されていた相関画素信号が順に逐次比較型AD変換器150に転送される。
【0124】
時刻t6~t7のP相サンプリング期間内には、スイッチトキャパシタ196B内の4つのキャパシタ195Bに保持された相関画素信号が順に逐次比較型AD変換器150に転送される。
【0125】
このように、
図15A及び
図15Bに示す一比較例によるカラム信号処理系では、容量部19内の3つのスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cを均等に使用する。より具体的には、一方のカラムアンプ群147Aから出力された相関画素信号は、スイッチトキャパシタ196A→196C→196B→196A→…の順に保持される。また、他方のカラムアンプ群147Bから出力された相関画素信号は、スイッチトキャパシタ196B→196A→196C→196B→…の順に保持される。
【0126】
図15A及び
図15Bに示す一比較例では、容量部19内のすべてのスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cを順繰りに切り替えて使用するため、対称性がよくなり、固定パターンが視認されにくくなる。その一方で、スイッチトキャパシタ196A、196B、196Cの切替が周期的になるため、ランダムノイズが視認されやすくなる。また、スイッチトキャパシタ196A、196B、196Cの組合せは6種類もあり、組合せごとにキャリブレーションを行わなければならないため、キャリブレーションに要する時間が長くなり、また、キャリブレーション結果のデータを記憶するメモリ容量も増える。さらに、スイッチトキャパシタ196A、196B、196Cの組合せが多くなることで、カラムアンプ群147と容量部19の配線数が増えてしまう。
【0127】
このように、第1の具体例は、一比較例と比べて、対称性が若干悪くなるものの、ランダムノイズが視認されにくくなり、かつキャリブレーションも短時間で行うことができ、キャリブレーション結果を記憶するメモリ容量を削減できる。また、スイッチトキャパシタ196A、196B、196Cの組合せ数を削減できるため、カラムアンプ群147と容量部19の配線数を減らすことができ、カラム信号処理系の回路規模を縮小できる。
【0128】
(デジタル変換後の補正処理)
AD変換器150でAD変換処理を行った後のデジタル信号は、線形性が悪かったり、オフセット誤差を含んでいたり、ゲイン誤差を含んでいたりする場合がある。そこで、撮像装置では、画素信号をAD変換して生成されたデジタル画素信号に対して、種々の補正処理を行うことがある。
【0129】
図16はアシスト処理部61を備えた撮像装置100aの概略的なブロック図である。
図16に示すように、撮像装置100aは、AD変換部15と、アシスト処理部61とを有する。アシスト処理部61は、リニアリティ補正・デコード処理部62と、オフセット・ゲイン誤差補正部63と、記憶部64とを有する。
【0130】
リニアリティ補正・デコード処理部62は、デコード処理・誤差補正部65と、誤差検出部66とを有する。デコード処理・誤差補正部65は、誤差検出部66から出力されたリニアリティ補正データに基づいて、AD変換器150から出力されたデジタル信号の誤差を補正してデコードしたデコード信号を出力する。誤差検出部66は、デコード信号に基づいてリニアリティ誤差を検出して、リニアリティ補正データを生成する。
【0131】
オフセット・ゲイン誤差補正部63は、オフセット検出部67と、オフセット補正部68と、ゲイン誤差検出部69と、ゲイン誤差補正部70とを有する。
【0132】
オフセット検出部67は、デコード信号に基づいてオフセットを検出し、オフセット補正データを生成する。オフセット補正部68は、オフセット補正データに基づいて、デコード信号のオフセットを補正し、オフセット補正されたデコード信号を生成する。
【0133】
ゲイン誤差検出部69は、オフセット検出部67の出力信号に基づいてゲイン誤差を検出し、ゲイン誤差補正データを生成する。ゲイン誤差補正部70は、ゲイン誤差補正データに基づいて、オフセット補正後のデコード信号のゲイン誤差を補正し、ゲイン誤差補正されたデコード信号を生成する。
【0134】
記憶部64は、リニアリティ補正データと、オフセット補正データと、ゲイン誤差補正データとを記憶する。
【0135】
上述したように、アシスト処理部61における各種の補正処理は、容量部19内の複数のスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cの組合せごとに行う必要がある。スイッチトキャパシタ196A、196B、196Cの組合せが異なると、オフセットやゲイン誤差に変化が生じるおそれがあるためである。記憶部64は、スイッチトキャパシタ196A、196B、196Cの組合せを示す識別情報と、リニアリティ補正データと、オフセット補正データと、ゲイン誤差補正データとを対応づけて記憶する。よって、スイッチトキャパシタ196A、196B、196Cの組合せ数が多いほど、アシスト処理部61の処理負担が大きくなり、記憶部のメモリ容量もより多く必要になる。
【0136】
(第2の具体例)
図7に示す第1の具体例に係るカラム信号処理系は、2つのカラムアンプ群147A、147Bと、容量部19内の3つのスイッチトキャパシタ196A、196B、196Cとを備えているが、カラムアンプ群147の数と、容量部19内のスイッチトキャパシタ196の数は任意であり、種々の変形例が考えられる。
【0137】
図17は第2の具体例に係るカラム信号処理系の概略構成を示す回路図である。
図17のカラム信号処理系は、3つのカラムアンプ群(以下、第1カラムアンプ群147A、第2カラムアンプ群147B、第3カラムアンプ群147Cと呼ぶ)を備えるとともに、容量部19内に4つのスイッチトキャパシタ196A、196B、196C、196Dを備えている。
【0138】
図18は
図17に示す第2の具体例に係るカラム信号処理系の動作タイミング図である。
図18の時刻t1~t2のP相サンプリング期間内には、信号線VSL0~VSL3上の画素信号が第1カラムアンプ群147A内の4つのカラムアンプ140内のキャパシタ145とキャパシタ146に保持される。同様に、信号線VSL4~VSL7上の画素信号が第2カラムアンプ群147B内の4つのカラムアンプ140内のキャパシタ145とキャパシタ146に保持され、信号線nVSL8~VSL11上の画素信号が第3カラムアンプ群147C内の4つのカラムアンプ140内のキャパシタ145とキャパシタ146に保持される。
【0139】
時刻t2~t3のD相サンプリング期間内には、信号線VSL0~VSL3上の画素信号に対応する相関画素信号が容量部19内のスイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aに保持される。また、信号線VSL4~VSL7上の画素信号に対応する相関画素信号がスイッチトキャパシタ196B内の4つのキャパシタ195Bに保持される。また、信号線VSL8~VSL11上の画素信号に対応する相関画素信号がスイッチトキャパシタ196C内の4つのキャパシタ195Cに保持される。
【0140】
次に、時刻t3~t4の期間内には、スイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aに保持された相関画素信号が順に逐次比較型AD変換器150に転送される。この期間内は、信号線VSL0~VSL11からの画素信号は、どのカラムアンプ群147にも入力されない。
【0141】
次に、時刻t4~t5のP相サンプリング期間内には、スイッチトキャパシタ196B内の4つのキャパシタ195Bに保持された相関画素信号が順に逐次比較型AD変換器150に転送される。この期間内は、信号線VSL0~VSL3上の画素信号が第1カラムアンプ群147A内の4つのカラムアンプ140内のキャパシタ145とキャパシタ146に保持され、信号線VSL4~VSL7上の画素信号が第2カラムアンプ群147B内の4つのカラムアンプ140内のキャパシタ145とキャパシタ146に保持され、信号線VSL8~VSL11上の画素信号が第4カラムアンプ群内の4つのカラムアンプ140内のキャパシタ145とキャパシタ146に保持される。
【0142】
次に、時刻t5~t6のD相サンプリング期間内には、信号線VSL0~VSL3上の画素信号に対応する相関画素信号が容量部19内のスイッチトキャパシタ196A内の4つのキャパシタ195Aに保持される。また、信号線VSL4~VSL7上の画素信号に対応する相関画素信号がスイッチトキャパシタ196B内の4つのキャパシタ195Bに保持される。また、信号線VSL8~VSL11上の画素信号に対応する相関画素信号がスイッチトキャパシタD内の4つのキャパシタ195Dに保持される。
【0143】
このように、第2の具体例によるカラム信号処理系では、容量部19内の4つのスイッチトキャパシタ196A~Dのうち、スイッチトキャパシタ196Aとスイッチトキャパシタ196Bは、第1カラムアンプ群147Aと第2カラムアンプ群147Bから出力された相関画素信号をそれぞれ保持する。これに対して、スイッチトキャパシタ196Cとスイッチトキャパシタ196Dについては、交互に第3カラムアンプ群147Cから出力された相関画素信号を保持する。
【0144】
第2の具体例も、容量部19内の4つのスイッチトキャパシタ196A、196B、196C、196Dを不均一に選択するため、ランダムノイズが視認されにくくなる。また、スイッチトキャパシタ196A、196B、196C、196Dの組合せは4種類だけであり、キャリブレーションの時間を短縮でき、キャリブレーションの結果を記憶するメモリ容量を削減できる。また、カラムアンプ群147と容量部19の配線数を削減できるため、カラム信号処理系の回路規模を縮小できる。
【0145】
上述した第1の具体例及び第2の具体例に示したように、本実施形態による撮像装置は、カラム信号処理系におけるカラムアンプ群147の数よりも、容量マルチプレクサ190内のスイッチトキャパシタ196(キャパシタ195)の数を多くしている。具体的なカラムアンプ群147の数やキャパシタ195の数は問わない。これにより、
図8のようなAD変換処理が可能になり、ランダムノイズが視認されにくくなり、かつキャリブレーションも短時間で行うことができ、キャリブレーション結果を記憶するメモリ容量を削減できる。また、容量マルチプレクサ190内の配線数を削減できる。
【0146】
(基準電圧VRとコモンモード参照電圧VCM)
図7のカラム信号処理系は、基準電圧VRとコモンモード参照電圧VCMを使用する。また、逐次比較型AD変換器150内の容量アレイ部155は3種類の電圧レベルの基準電圧VH、VM、VLを使用する。
図19は
図7に電圧VR、VCM、VH、VM、VLの生成回路を追加したカラム信号処理系の回路図である。
【0147】
図19には、カラムアンプ140、容量マルチプレクサ190、及び、逐次比較型アナログ-デジタル変換器150で用いる基準電圧を生成する基準電圧生成部160を図示している。基準電圧生成部160は、第1アンプ部161、第2アンプ部162、及び、第3アンプ部163から成る。
【0148】
第1アンプ部161は、カラムアンプ140の出力のゼロ電圧を規定するローカル基準電圧VRを生成する。ローカル基準電圧VRは、電圧線L1を通してカラムアンプ140に供給される。第2アンプ部162は、プリアンプ151の出力コモンモード参照電圧VCMを、電圧線L2を通して容量マルチプレクサ190に供給する。出力コモンモード参照電圧VCMは、電圧線L3を通して逐次比較型アナログ-デジタル変換器150にも供給される。第3アンプ部163は、容量アレイ部(CDAC)155で使用する高電圧VH、中電圧VM、低電圧VLを生成する。高電圧VH、中電圧VM、低電圧VLは、電圧線L4,L5,L6を通して容量アレイ部(CDAC)155に供給される。
【0149】
P相時では、ローカル基準電圧VRによってカラムアンプ140の容量素子145をチャージし、D相では、ローカル基準電圧VRを容量マルチプレクサ190(CMUX)190の負側の信号入力とする。容量マルチプレクサ190は差動で構成されている。入力側のスイッチ192_A、スイッチ192_B、及び、スイッチ192_Cは、コンパレータ152の比較時に差動間をショートし、共通ノードには接続されない。こうすることで、コンパレータ152の比較時に容量マルチプレクサ190の入力側が完全に分離されるため、逐次比較型アナログ-デジタル変換器150内の容量アレイ部(CDAC)155のセトリングを早くすることができる。
【0150】
容量マルチプレクサ190の出力側のスイッチ193_AP,193_AM、スイッチ193_BP,193_BM、及び、スイッチ193_CP,193_CMは、出力コモンモード参照電圧VCMを伝送する電圧線L2に接続されており、サンプリング時にオン状態となる。出力コモンモード参照電圧VCMは、プリアンプ151の入力動作電位と同じ電圧になる。
【0151】
第3アンプ部163で生成される高電圧VH、中電圧VM、及び、低電圧VLは、容量アレイ部(CDAC)155の基準電圧である。容量アレイ部(CDAC)155は、コンパレータ152の比較時に高速動作するため、高電圧VHと低電圧VLは高速に応答可能、且つ、低インピーダンスであることが求められる。
【0152】
(電源電圧と使用トランジスタについて)
ここでは、電源電圧の仕様については、例えば、2.8V(VDD_H)及び0.8V(VDD_L)を想定している。2.8Vは、画素20で使われる電圧と同じであり、高耐圧トランジスタの回路に使用する。0.8Vは、ロジック回路で使われる電圧を想定している。信号線32の電位VSLは最大2V以上になるため、低耐圧トランジスタでは扱うことができない。そのため、カラムアンプ140については、高耐圧トランジスタで構成する必要がある。逐次比較型アナログ-デジタル変換器150については、高速な比較動作が必要なため、低耐圧トランジスタで構成されることが望ましい。但し、低耐圧トランジスタの大きなリーク電流には注意が必要である。
【0153】
また、逐次比較型アナログ-デジタル変換器150のループの間に複数の電源がからむと異電源間のばらつきを吸収するための動作マージンが必要となるため、単一電源で構成することが重要である。高電圧VH/低電圧VLについては、容量アレイ部(CDAC)155を構成するスイッチに十分ゲート電圧をかけたいため、それぞれ0.8V(VDD_L)及びグランドと同じ電圧としている。カラムアンプ140の出力は電圧が高いため、容量マルチプレクサ190を構成するスイッチについては全て高耐圧トランジスタで構成している。
【0154】
(レベルダイヤグラムについて)
図20にレベルダイヤグラムを示す。信号線32の電位VSLの電圧範囲はセンサ仕様によって異なるが、ここでは、2Vを基準として明度に応じて電圧が下がり、最大で450mV電圧降下するとしている。この信号線32の電位VSLをカラムアンプ140で増幅する訳であるが、ゲインが高いほど後段の逐次比較型アナログ-デジタル変換器150のノイズが抑制され、カラムアンプ140自体のノイズも減るため、なるべく大きなゲインをとることが望ましい。但し、電源電圧は2.8Vであるため、それに回路の動作範囲とマージンを加えた範囲内にカラムアンプ140の出力を抑える必要がある。
【0155】
ここでは、ゲインを4倍とし、2.8Vに対して1.8Vをレンジとしている。逐次比較型アナログ-デジタル変換器150の入力は、差動電圧で負側入力が参照電圧固定となる。画素20が明度ゼロのときは、差動0Vが逐次比較型アナログ-デジタル変換器150の入力となり、明るくなる(即ち、信号線32の電位VSLが下がる)につれてマイナスの差動電圧が加わる。逐次比較型アナログ-デジタル変換器150の出力コードとの関係は、差動1.8Vが3/4フルスケールに相当するようにし、0V入力のときに7/8フルスケールが出力されるようにしている。
【0156】
小さい入力信号に対しては、ゲインを上げることで入力換算ノイズを減らすことができる。
図20のように、ゲインを8倍(×8)にすると入力レンジは半分になる。更に、ゲインを上げることもできるが、入力換算ノイズは、カラムアンプ140の寄与分が支配的であるために、8倍よりも大きいゲインにすることのメリットは小さい。
【0157】
以下に、カラムアンプ140及び逐次比較型アナログ-デジタル変換器150の具体的な構成例について説明する。
【0158】
(カラムアンプの構成例)
ここでは、カラムアンプ140の具体的な構成の一例として、電流リユースカラムアンプ(Current Reuse Column Amp:CRCA)を例示する。電流リユースカラムアンプは、信号線32のバイアス電流を利用して電圧増幅を行うため、低消費電力な非反転カラムアンプを実現できる。電流リユースカラムアンプの構成の一例の回路図を
図21に示す。
【0159】
電流リユースカラムアンプ1400は、電流増幅トランジスタ1401、電流源トランジスタ1402,1403、カスコードトランジスタ1404,1405、スイッチ1406,1407,1408、基準側容量素子1409、及び、帰還容量素子1410を有する構成となっている。
【0160】
ここでは、電流増幅トランジスタ1401、電流源トランジスタ1403、及び、カスコードトランジスタ1404として、例えば、PチャネルのMOS型電界効果トランジスタを用いている。また、電流源トランジスタ1402及びカスコードトランジスタ1405として、例えば、NチャネルのMOS型電界効果トランジスタを用いている。
【0161】
電流増幅トランジスタ1401と電流源トランジスタ1402とは、信号線32と基準電位(例えば、グランド)のノードとの間にその順に直列に接続されている。すなわち、電流増幅トランジスタ1401は、ソース電極が信号線32に接続されている。電流源トランジスタ1402のゲート電極には、所定のバイアス電圧nbiasが印加される。これにより、電流源トランジスタ1402は、所定のバイアス電圧nbiasに応じた一定のバイアス電流を信号線32に流す。
【0162】
電流源トランジスタ1403、カスコードトランジスタ1404、及び、カスコードトランジスタ1405は、電源電圧VDDのノードと電流源トランジスタ1402のドレイン電極との間に、その順に直列に接続されている。電流源トランジスタ1403のゲート電極には、所定のバイアス電圧pbiasが印加され、カスコードトランジスタ1404のゲート電極には、所定のバイアス電圧pcasが印加され、カスコードトランジスタ1405のゲート電極には、所定のバイアス電圧ncasが印加される。
【0163】
スイッチ1406は、電流増幅トランジスタ1401のゲート電極と、カスコードトランジスタ1404のドレイン電極(カスコードトランジスタ1405のドレイン電極)との間に接続されており、スイッチ制御信号SPの極性に応じて、オン(閉)/オフ(開)動作を行う。
【0164】
基準側容量素子1409は、電流増幅トランジスタ1401のゲート電極と基準電位(例えば、グランド)のノードとの間に接続されている。帰還容量素子1410は、一端が電流増幅トランジスタ1401のゲート電極に接続されている。
【0165】
スイッチ1047は、帰還容量素子1410の他端と、カスコードトランジスタ1404のドレイン電極(カスコードトランジスタ1405のドレイン電極)との間に接続されており、スイッチ制御信号SDの極性に応じて、オン/オフ動作を行う。
【0166】
スイッチ1408は、一端が帰還容量素子1410とスイッチ1047との共通接続ノードN11に接続されており、スイッチ制御信号SVRの極性に応じて、オン/オフ動作を行う。スイッチ1408の他端には、ローカル基準電圧VRに印加される。これにより、スイッチ1408は、スイッチ制御信号SVRによる制御の下に、共通接続ノードN11に対して選択的にローカル基準電圧VRを与える。
【0167】
上記の構成によって、電流増幅トランジスタ1401のソース電極が(+)入力端となり、ゲート電極が(-)入力端となり、カスコードトランジスタ1404とカスコードトランジスタ1405との共通接続ノードN12が出力端となる電流リユースカラムアンプ1400が構成されている。電流増幅トランジスタ1401は、信号線32のバイアス電流を利用するため、効率よく電圧増幅を行うことができる。
【0168】
上記の構成の電流リユースカラムアンプ1400において、
図6に示すカラムアンプ140との対応関係では、スイッチ1406が
図6のスイッチ142に対応し、スイッチ1407が
図6のスイッチ143に対応し、スイッチ1408が
図6のスイッチ144に対応している。また、基準側容量素子1409が容量値CSの容量素子146に対応し、帰還容量素子1410が容量値CFの容量素子145に対応している。
【0169】
(逐次比較型アナログ-デジタル変換器の構成例)
逐次比較型アナログ-デジタル変換器150は、電力効率に優れている。逐次比較型アナログ-デジタル変換器150の詳細回路図を
図22に示す。
【0170】
逐次比較型アナログ-デジタル変換器150の回路は、完全な差動で構成されている。一般的な逐次比較型アナログ-デジタル変換器は、入力電圧をサンプリングする入力容量とDAC容量(CDAC)とが一体化していることが多いが、ここでは多重化のためにそれらを分離している。
【0171】
図22には、容量マルチプレクサ190の役割を兼ねる入力容量部19(以下、便宜上、「容量マルチプレクサ190」と記述する)についても図示している。ここでは、入力容量部19(190)について、簡単のために、複数あるうちの1個だけ図示している。
【0172】
容量マルチプレクサ190において、サンプリング時は、スイッチ191_P,191_M及びスイッチ193_P,193_Mがオン(閉)状態となって容量素子195_P,195_Mに電荷をチャージする。アナログ-デジタル変換時は、スイッチ192及びスイッチ194_P,194_Mがオン(閉)状態となることで、容量マルチプレクサ190が逐次比較型アナログ-デジタル変換器150と接続される。
【0173】
スイッチ192は、特定の参照電位に接続されずに、差動間をショートするだけになっている。これは入力の同相電位によってプリアンプ151側の同相電位が変動することを防ぐためである。プリアンプ151の出力同相電位と出力コモンモード参照電圧VCMとを合わせておけば、プリアンプ151の入力同相電位が常に出力コモンモード参照電圧VCMと同じになる。
【0174】
カラムアンプ140の出力はシングルエンドであるため、入力の同相電位は信号依存で変動するが、プリアンプ151の入力同相電位は変わらないため線形性が良くなる。入力側は、カラムアンプ140の出力(2.4V~0.6V)とローカル基準電圧VR(2.4V)であるが、出力コモンモード参照電圧VCMは0.5V程度で固定となるため,低電圧(VDD_L)のプリアンプ151を使うことができる。
【0175】
入力差動電圧は1.8Vと高いが、電荷転送時はDAC容量(CDAC)と直列に接続されるため、プリアンプ151の入力電圧は十分減衰される。このように、同相・差動電圧を管理することで、容量マルチプレクサ190以外は、相対的に膜厚が薄い薄膜の低電圧トランジスタで構成することができる。因みに、容量マルチプレクサ190のスイッチは全て、相対的に膜厚が厚い膜厚の高電圧トランジスタで構成される。
【0176】
逐次比較型アナログ-デジタル変換器150の比較ループ内のプリアンプ151、コンパレータ152、SARロジック部153、及び、DAC容量(CDAC)のスイッチが全て同電源電圧、且つ、同じ膜厚のトランジスタを使用することにより、高速動作が可能となる。
【0177】
また、SARロジック部153の動作時にカラムアンプ140や、高電圧VH/低電圧VL以外のリファレンスノードから完全に分離されていることも重要である。これらのノードはそれほど高速・低インピーダンスではないため、DAC容量(CDAC)のセトリングに影響を与えないようにする必要がある。
【0178】
図22に示すように、DAC容量(CDAC)の容量アレイは、6-4-4でグループ分けされた14個の容量で構成されている。最初の6bitのグループをMSBとし、真ん中の4bitのグループをLSB1とし、最後の4bitのグループをLSB0する。各グループはブリッジ容量素子によって分離され、1容量素子当たりの重みが変わる。MSBの重みを1とすると、LSB1は1/8、LSB0は1/32となっている。
【0179】
LSB1の中の最上位ビットとMSBの最下位ビットの重みは同じ値となっており、冗長を持たせている。LSB0も同様に最上位ビットを重複させる。冗長は計2ビットであるため、最終的に、逐次比較型アナログ-デジタル変換器150のビット精度は12BITとなる。冗長は上位ビットのセトリング不足を補うためと、ブリッジ容量素子のばらつきによる非線形性を補正するためにある。
【0180】
冗長の範囲を広げるにはなるべく上位で冗長ビットを挿入すべきであるが、容量素子が増えるトレードオフがあるし、ノイズも増える。また、ブリッジ容量素子のばらつきを補正するには、冗長ビットは各グループ内に挿入される必要がある。
【0181】
ブリッジ容量素子の容量値CBは、下位グループとの重みの比をα(<1)、下位グループの総容量値(更に下位の実質容量値を含む)をCTLとすると、次式で表すことができる。
CB=CTL/{(1/α)-1}
【0182】
ブリッジ容量素子は、下位ビット全体の重みを決めているため、単位容量素子との比がずれると非線形性をもたらす。従って、なるべくずれないように実装する必要があるが、整数倍でない上にレイアウトの連続性もないため、ブリッジ容量素子と単位容量素子との比を合わせることは難しい。そこで、グループ毎に、非整数の補正係数を乗算するデジタル補正を行うことが必要であると思われる。
【0183】
<本開示の第2実施形態>
本開示の第2実施形態は、本開示に係る技術を間接TOF(Indirect-Time of Flight)方式距離画像センサに対して適用する例である。間接TOF方式距離画像センサは、光源から発せられた光が測定対象物(被写体)で反射し、その反射光の到達位相差の検出に基づいて光飛行時間を計測することによって、測定対象物までの距離を測定するセンサである。
【0184】
[システム構成例]
図23は、本開示の第2実施形態に係る間接TOF方式距離画像センサのシステム構成の一例を示すブロック図である。
【0185】
間接TOF方式距離画像センサ50は、光源60から発せられた光が測定対象物(被写体)で反射し、その反射光が入射する。間接TOF方式距離画像センサ50は、センサチップ51、及び、当該センサチップ51に対して積層された回路チップ52を含む積層構造を有している。この積層構造において、センサチップ51と回路チップ52とは、ビア(VIA)やCu-Cu接続などの接続部(図示せず)を通して電気的に接続される。尚、
図23では、センサチップ51の配線と回路チップ52の配線とが、上記の接続部を介して電気的に接続された状態を図示している。
【0186】
センサチップ51上には、画素アレイ部53が形成されている。画素アレイ部53は、センサチップ51上に2次元のグリッドパターンで行列状(アレイ状)に配置された複数の画素54を含んでいる。画素アレイ部53において、複数の画素54はそれぞれ、入射光(例えば、近赤外光)を受光し、光電変換を行ってアナログ画素信号を出力する。画素アレイ部53には、画素列毎に、2本の信号線VSL1,VSL2が配線されている。画素アレイ部53の画素列の数をM(Mは、整数)とすると、合計で(2×M)本の信号線VSLが画素アレイ部53に配線されている。
【0187】
複数の画素54はそれぞれ、第1,第2のタップA,B(その詳細については後述する)を有している。2本の信号線VSL1,VSL2のうち、信号線VSL1には、対応する画素列の画素54の第1のタップAの電荷に基づくアナログの画素信号AINP1が出力される。また、信号線VSL2には、対応する画素列の画素54の第2のタップBの電荷に基づくアナログの画素信号AINP2が出力される。アナログの画素信号AINP1,AINP2については後述する。
【0188】
回路チップ52上には、行選択部55、カラム信号処理部56、出力回路部57、及び、タイミング制御部58が配置されている。行選択部55は、画素アレイ部53の各画素54を画素行の単位で駆動し、画素信号AINP1,AINP2を出力させる。行選択部55による駆動の下に、選択行の画素54から出力されたアナログの画素信号AINP1,AINP2は、2本の信号線VSL1,VSL2を通してカラム信号処理部56に供給される。
【0189】
カラム信号処理部56は、画素アレイ部53の画素列に対応して(例えば、画素列毎に)設けられた複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)59を有する構成となっている。アナログ-デジタル変換器59は、信号線VSL1,VSL2を通して供給されるアナログの画素信号AINP1,AINP2に対して、アナログ-デジタル変換処理を施し、出力回路部57に出力する。出力回路部57は、カラム信号処理部56から出力されるデジタル化された画素信号AINP1,AINP2に対して所定の信号処理を施し、回路チップ52外へ出力する。
【0190】
タイミング制御部58は、各種のタイミング信号、クロック信号、及び、制御信号等を生成し、これらの信号を基に、行選択部55、カラム信号処理部56、及び、出力回路部57等の駆動制御を行う。
【0191】
[画素の回路構成例]
図24は、第2実施形態に係る間接TOF方式距離画像センサ50における画素54の回路構成の一例を示す回路図である。
【0192】
本例に係る画素54は、光電変換素子として、例えば、フォトダイオード541を有している。画素54は、フォトダイオード541の他、オーバーフロートランジスタ542、2つの転送トランジスタ543,544、2つのリセットトランジスタ545,546、2つの浮遊拡散層547,548、2つの増幅トランジスタ549、550、及び、2つの選択トランジスタ551,552を有する構成となっている。2つの浮遊拡散層547,548は、
図23に示す第1,第2のタップA,B(以下、単に、「タップA,B」と記述する場合がある)に相当する。
【0193】
フォトダイオード541は、受光した光を光電変換して電荷を生成する。フォトダイオード541については、例えば、裏面照射型の画素構造とすることができる。但し、裏面照射型の構造に限られるものではなく、基板表面側から照射される光を取り込む表面照射型の構造とすることもできる。
【0194】
オーバーフロートランジスタ542は、フォトダイオード541のカソード電極と電源電圧VDDの電源ラインとの間に接続されており、フォトダイオード541をリセットする機能を持つ。具体的には、オーバーフロートランジスタ542は、行選択部55から供給されるオーバーフローゲート信号TRGに応答して導通状態になることで、フォトダイオード541で生成された電荷を、浮遊拡散層547,548にそれぞれシーケンシャルに転送する。
【0195】
第1,第2のタップA,Bに相当する浮遊拡散層547,548は、フォトダイオード541から転送された電荷を蓄積し、その電荷量に応じた電圧値の電圧信号に変換し、画素信号AINP1,AINP2を生成する。
【0196】
2つのリセットトランジスタ545,546は、2つの浮遊拡散層547,548のそれぞれと電源電圧VDDの電源ラインとの間に接続されている。そして、リセットトランジスタ545,546は、行選択部55から供給されるリセット信号RSTに応答して導通状態になることで、浮遊拡散層347,348のそれぞれから電荷を引き抜いて、電荷量を初期化する。
【0197】
2つの増幅トランジスタ549、550は、電源電圧VDDの電源ラインと2つの選択トランジスタ551,552のそれぞれとの間に接続されており、浮遊拡散層547,548のそれぞれで電荷から電圧に変換された電圧信号をそれぞれ増幅する。
【0198】
2つの選択トランジスタ551,552は、2つの増幅トランジスタ549、550のそれぞれと信号線VSL1,VSL2のそれぞれとの間に接続されている。そして、選択トランジスタ551,552は、行選択部55から供給される選択信号SELに応答して導通状態になることで、増幅トランジスタ549、550のそれぞれで増幅された電圧信号を、アナログの画素信号AINP1,AINP2として2本の信号線VSL1,VSL2に出力する。
【0199】
2本の信号線VSL1,VSL2は、画素列毎に、カラム信号処理部56内の1つのアナログ-デジタル変換器59の入力端に接続されており、画素列毎に画素54から出力されるアナログの画素信号AINP1,AINP2をアナログ-デジタル変換器59に伝送する。
【0200】
尚、画素54の回路構成については、光電変換によってアナログの画素信号AINP1,AINP2を生成することができる回路構成であれば、
図24に例示した回路構成に限定されるものではない。
【0201】
上記の構成の間接TOF方式距離画像センサ50において、アナログ-デジタル変換器59を含むカラム信号処理部56に対して、本開示に係る技術を適用することができる。より具体的には、アナログ-デジタル変換器59を含むカラム信号処理部56として、第1実施形態の場合と同様に、カラムアンプ部14、容量部19、及び、逐次比較型アナログ-デジタル変換部15Aを含む、実施例1、実施例2、実施例3、又は、実施例4に係るカラム信号処理系を用いることができる。
【0202】
<変形例>
以上、本開示に係る技術について、好ましい実施形態に基づき説明したが、本開示に係る技術は当該実施形態に限定されるものではない。上記の実施形態において説明したCMOSイメージセンサや間接TOF方式距離画像センサの構成、構造は例示であり、適宜、変更することができる。
【0203】
<<応用例>>
本開示に係る技術は、様々な製品へ応用することができる。例えば、本開示に係る技術は、自動車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車、自動二輪車、自転車、パーソナルモビリティ、飛行機、ドローン、船舶、ロボット、建設機械、農業機械(トラクター)などのいずれかの種類の移動体に搭載される装置として実現されてもよい。
【0204】
図25は、本開示に係る技術が適用され得る移動体制御システムの一例である車両制御システム7000の概略的な構成例を示すブロック図である。車両制御システム7000は、通信ネットワーク7010を介して接続された複数の電子制御ユニットを備える。
図25に示した例では、車両制御システム7000は、駆動系制御ユニット7100、ボディ系制御ユニット7200、バッテリ制御ユニット7300、車外情報検出ユニット7400、車内情報検出ユニット7500、及び統合制御ユニット7600を備える。これらの複数の制御ユニットを接続する通信ネットワーク7010は、例えば、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、LAN(Local Area Network)又はFlexRay(登録商標)等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークであってよい。
【0205】
各制御ユニットは、各種プログラムにしたがって演算処理を行うマイクロコンピュータと、マイクロコンピュータにより実行されるプログラム又は各種演算に用いられるパラメータ等を記憶する記憶部と、各種制御対象の装置を駆動する駆動回路とを備える。各制御ユニットは、通信ネットワーク7010を介して他の制御ユニットとの間で通信を行うためのネットワークI/Fを備えるとともに、車内外の装置又はセンサ等との間で、有線通信又は無線通信により通信を行うための通信I/Fを備える。
図25では、統合制御ユニット7600の機能構成として、マイクロコンピュータ7610、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660、音声画像出力部7670、車載ネットワークI/F7680及び記憶部7690が図示されている。他の制御ユニットも同様に、マイクロコンピュータ、通信I/F及び記憶部等を備える。
【0206】
駆動系制御ユニット7100は、各種プログラムにしたがって車両の駆動系に関連する装置の動作を制御する。例えば、駆動系制御ユニット7100は、内燃機関又は駆動用モータ等の車両の駆動力を発生させるための駆動力発生装置、駆動力を車輪に伝達するための駆動力伝達機構、車両の舵角を調節するステアリング機構、及び、車両の制動力を発生させる制動装置等の制御装置として機能する。駆動系制御ユニット7100は、ABS(Antilock Brake System)又はESC(Electronic Stability Control)等の制御装置としての機能を有してもよい。
【0207】
駆動系制御ユニット7100には、車両状態検出部7110が接続される。車両状態検出部7110には、例えば、車体の軸回転運動の角速度を検出するジャイロセンサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、あるいは、アクセルペダルの操作量、ブレーキペダルの操作量、ステアリングホイールの操舵角、エンジン回転数又は車輪の回転速度等を検出するためのセンサのうちの少なくとも一つが含まれる。駆動系制御ユニット7100は、車両状態検出部7110から入力される信号を用いて演算処理を行い、内燃機関、駆動用モータ、電動パワーステアリング装置又はブレーキ装置等を制御する。
【0208】
ボディ系制御ユニット7200は、各種プログラムにしたがって車体に装備された各種装置の動作を制御する。例えば、ボディ系制御ユニット7200は、キーレスエントリシステム、スマートキーシステム、パワーウィンドウ装置、あるいは、ヘッドランプ、バックランプ、ブレーキランプ、ウィンカー又はフォグランプ等の各種ランプの制御装置として機能する。この場合、ボディ系制御ユニット7200には、鍵を代替する携帯機から発信される電波又は各種スイッチの信号が入力され得る。ボディ系制御ユニット7200は、これらの電波又は信号の入力を受け付け、車両のドアロック装置、パワーウィンドウ装置、ランプ等を制御する。
【0209】
バッテリ制御ユニット7300は、各種プログラムにしたがって駆動用モータの電力供給源である二次電池7310を制御する。例えば、バッテリ制御ユニット7300には、二次電池7310を備えたバッテリ装置から、バッテリ温度、バッテリ出力電圧又はバッテリの残存容量等の情報が入力される。バッテリ制御ユニット7300は、これらの信号を用いて演算処理を行い、二次電池7310の温度調節制御又はバッテリ装置に備えられた冷却装置等の制御を行う。
【0210】
車外情報検出ユニット7400は、車両制御システム7000を搭載した車両の外部の情報を検出する。例えば、車外情報検出ユニット7400には、撮像部7410及び車外情報検出部7420のうちの少なくとも一方が接続される。撮像部7410には、ToF(Time Of Flight)カメラ、ステレオカメラ、単眼カメラ、赤外線カメラ及びその他のカメラのうちの少なくとも一つが含まれる。車外情報検出部7420には、例えば、現在の天候又は気象を検出するための環境センサ、あるいは、車両制御システム7000を搭載した車両の周囲の他の車両、障害物又は歩行者等を検出するための周囲情報検出センサのうちの少なくとも一つが含まれる。
【0211】
環境センサは、例えば、雨天を検出する雨滴センサ、霧を検出する霧センサ、日照度合いを検出する日照センサ、及び降雪を検出する雪センサのうちの少なくとも一つであってよい。周囲情報検出センサは、超音波センサ、レーダ装置及びLIDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)装置のうちの少なくとも一つであってよい。これらの撮像部7410及び車外情報検出部7420は、それぞれ独立したセンサないし装置として備えられてもよいし、複数のセンサないし装置が統合された装置として備えられてもよい。
【0212】
ここで、
図26は、撮像部7410及び車外情報検出部7420の設置位置の例を示す。撮像部7910,7912,7914,7916,7918は、例えば、車両7900のフロントノーズ、サイドミラー、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部のうちの少なくとも一つの位置に設けられる。フロントノーズに備えられる撮像部7910及び車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として車両7900の前方の画像を取得する。サイドミラーに備えられる撮像部7912,7914は、主として車両7900の側方の画像を取得する。リアバンパ又はバックドアに備えられる撮像部7916は、主として車両7900の後方の画像を取得する。車室内のフロントガラスの上部に備えられる撮像部7918は、主として先行車両又は、歩行者、障害物、信号機、交通標識又は車線等の検出に用いられる。
【0213】
なお、
図26には、それぞれの撮像部7910,7912,7914,7916の撮影範囲の一例が示されている。撮像範囲aは、フロントノーズに設けられた撮像部7910の撮像範囲を示し、撮像範囲b,cは、それぞれサイドミラーに設けられた撮像部7912,7914の撮像範囲を示し、撮像範囲dは、リアバンパ又はバックドアに設けられた撮像部7916の撮像範囲を示す。例えば、撮像部7910,7912,7914,7916で撮像された画像データが重ね合わせられることにより、車両7900を上方から見た俯瞰画像が得られる。
【0214】
車両7900のフロント、リア、サイド、コーナ及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7922,7924,7926,7928,7930は、例えば超音波センサ又はレーダ装置であってよい。車両7900のフロントノーズ、リアバンパ、バックドア及び車室内のフロントガラスの上部に設けられる車外情報検出部7920,7926,7930は、例えばLIDAR装置であってよい。これらの車外情報検出部7920~7930は、主として先行車両、歩行者又は障害物等の検出に用いられる。
【0215】
図25に戻って説明を続ける。車外情報検出ユニット7400は、撮像部7410に車外の画像を撮像させるとともに、撮像された画像データを受信する。また、車外情報検出ユニット7400は、接続されている車外情報検出部7420から検出情報を受信する。車外情報検出部7420が超音波センサ、レーダ装置又はLIDAR装置である場合には、車外情報検出ユニット7400は、超音波又は電磁波等を発信させるとともに、受信された反射波の情報を受信する。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等の物体検出処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、降雨、霧又は路面状況等を認識する環境認識処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した情報に基づいて、車外の物体までの距離を算出してもよい。
【0216】
また、車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに基づいて、人、車、障害物、標識又は路面上の文字等を認識する画像認識処理又は距離検出処理を行ってもよい。車外情報検出ユニット7400は、受信した画像データに対して歪補正又は位置合わせ等の処理を行うとともに、異なる撮像部7410により撮像された画像データを合成して、俯瞰画像又はパノラマ画像を生成してもよい。車外情報検出ユニット7400は、異なる撮像部7410により撮像された画像データを用いて、視点変換処理を行ってもよい。
【0217】
車内情報検出ユニット7500は、車内の情報を検出する。車内情報検出ユニット7500には、例えば、運転者の状態を検出する運転者状態検出部7510が接続される。運転者状態検出部7510は、運転者を撮像するカメラ、運転者の生体情報を検出する生体センサ又は車室内の音声を集音するマイク等を含んでもよい。生体センサは、例えば、座面又はステアリングホイール等に設けられ、座席に座った搭乗者又はステアリングホイールを握る運転者の生体情報を検出する。車内情報検出ユニット7500は、運転者状態検出部7510から入力される検出情報に基づいて、運転者の疲労度合い又は集中度合いを算出してもよいし、運転者が居眠りをしていないかを判別してもよい。車内情報検出ユニット7500は、集音された音声信号に対してノイズキャンセリング処理等の処理を行ってもよい。
【0218】
統合制御ユニット7600は、各種プログラムにしたがって車両制御システム7000内の動作全般を制御する。統合制御ユニット7600には、入力部7800が接続されている。入力部7800は、例えば、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、スイッチ又はレバー等、搭乗者によって入力操作され得る装置によって実現される。統合制御ユニット7600には、マイクロフォンにより入力される音声を音声認識することにより得たデータが入力されてもよい。入力部7800は、例えば、赤外線又はその他の電波を利用したリモートコントロール装置であってもよいし、車両制御システム7000の操作に対応した携帯電話又はPDA(Personal Digital Assistant)等の外部接続機器であってもよい。入力部7800は、例えばカメラであってもよく、その場合搭乗者はジェスチャにより情報を入力することができる。あるいは、搭乗者が装着したウェアラブル装置の動きを検出することで得られたデータが入力されてもよい。さらに、入力部7800は、例えば、上記の入力部7800を用いて搭乗者等により入力された情報に基づいて入力信号を生成し、統合制御ユニット7600に出力する入力制御回路などを含んでもよい。搭乗者等は、この入力部7800を操作することにより、車両制御システム7000に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりする。
【0219】
記憶部7690は、マイクロコンピュータにより実行される各種プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、及び各種パラメータ、演算結果又はセンサ値等を記憶するRAM(Random Access Memory)を含んでいてもよい。また、記憶部7690は、HDD(Hard Disc Drive)等の磁気記憶デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス又は光磁気記憶デバイス等によって実現してもよい。
【0220】
汎用通信I/F7620は、外部環境7750に存在する様々な機器との間の通信を仲介する汎用的な通信I/Fである。汎用通信I/F7620は、GSM(登録商標)(Global System of Mobile communications)、WiMAX(登録商標)、LTE(登録商標)(Long Term Evolution)若しくはLTE-A(LTE-Advanced)などのセルラー通信プロトコル、又は無線LAN(Wi-Fi(登録商標)ともいう)、Bluetooth(登録商標)などのその他の無線通信プロトコルを実装してよい。汎用通信I/F7620は、例えば、基地局又はアクセスポイントを介して、外部ネットワーク(例えば、インターネット、クラウドネットワーク又は事業者固有のネットワーク)上に存在する機器(例えば、アプリケーションサーバ又は制御サーバ)へ接続してもよい。また、汎用通信I/F7620は、例えばP2P(Peer To Peer)技術を用いて、車両の近傍に存在する端末(例えば、運転者、歩行者若しくは店舗の端末、又はMTC(Machine Type Communication)端末)と接続してもよい。
【0221】
専用通信I/F7630は、車両における使用を目的として策定された通信プロトコルをサポートする通信I/Fである。専用通信I/F7630は、例えば、下位レイヤのIEEE802.11pと上位レイヤのIEEE1609との組合せであるWAVE(Wireless Access in Vehicle Environment)、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、又はセルラー通信プロトコルといった標準プロトコルを実装してよい。専用通信I/F7630は、典型的には、車車間(Vehicle to Vehicle)通信、路車間(Vehicle to Infrastructure)通信、車両と家との間(Vehicle to Home)の通信及び歩車間(Vehicle to Pedestrian)通信のうちの1つ以上を含む概念であるV2X通信を遂行する。
【0222】
測位部7640は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)衛星からのGNSS信号(例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号)を受信して測位を実行し、車両の緯度、経度及び高度を含む位置情報を生成する。なお、測位部7640は、無線アクセスポイントとの信号の交換により現在位置を特定してもよく、又は測位機能を有する携帯電話、PHS若しくはスマートフォンといった端末から位置情報を取得してもよい。
【0223】
ビーコン受信部7650は、例えば、道路上に設置された無線局等から発信される電波あるいは電磁波を受信し、現在位置、渋滞、通行止め又は所要時間等の情報を取得する。なお、ビーコン受信部7650の機能は、上述した専用通信I/F7630に含まれてもよい。
【0224】
車内機器I/F7660は、マイクロコンピュータ7610と車内に存在する様々な車内機器7760との間の接続を仲介する通信インタフェースである。車内機器I/F7660は、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、NFC(Near Field Communication)又はWUSB(Wireless USB)といった無線通信プロトコルを用いて無線接続を確立してもよい。また、車内機器I/F7660は、図示しない接続端子(及び、必要であればケーブル)を介して、USB(Universal Serial Bus)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface、又はMHL(Mobile High-definition Link)等の有線接続を確立してもよい。車内機器7760は、例えば、搭乗者が有するモバイル機器若しくはウェアラブル機器、又は車両に搬入され若しくは取り付けられる情報機器のうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、車内機器7760は、任意の目的地までの経路探索を行うナビゲーション装置を含んでいてもよい。車内機器I/F7660は、これらの車内機器7760との間で、制御信号又はデータ信号を交換する。
【0225】
車載ネットワークI/F7680は、マイクロコンピュータ7610と通信ネットワーク7010との間の通信を仲介するインタフェースである。車載ネットワークI/F7680は、通信ネットワーク7010によりサポートされる所定のプロトコルに則して、信号等を送受信する。
【0226】
統合制御ユニット7600のマイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、各種プログラムにしたがって、車両制御システム7000を制御する。例えば、マイクロコンピュータ7610は、取得される車内外の情報に基づいて、駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置の制御目標値を演算し、駆動系制御ユニット7100に対して制御指令を出力してもよい。例えば、マイクロコンピュータ7610は、車両の衝突回避あるいは衝撃緩和、車間距離に基づく追従走行、車速維持走行、車両の衝突警告、又は車両のレーン逸脱警告等を含むADAS(Advanced Driver Assistance System)の機能実現を目的とした協調制御を行ってもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される車両の周囲の情報に基づいて駆動力発生装置、ステアリング機構又は制動装置等を制御することにより、運転者の操作に拠らずに自律的に走行する自動運転等を目的とした協調制御を行ってもよい。
【0227】
マイクロコンピュータ7610は、汎用通信I/F7620、専用通信I/F7630、測位部7640、ビーコン受信部7650、車内機器I/F7660及び車載ネットワークI/F7680のうちの少なくとも一つを介して取得される情報に基づき、車両と周辺の構造物や人物等の物体との間の3次元距離情報を生成し、車両の現在位置の周辺情報を含むローカル地図情報を作成してもよい。また、マイクロコンピュータ7610は、取得される情報に基づき、車両の衝突、歩行者等の近接又は通行止めの道路への進入等の危険を予測し、警告用信号を生成してもよい。警告用信号は、例えば、警告音を発生させたり、警告ランプを点灯させたりするための信号であってよい。
【0228】
音声画像出力部7670は、車両の搭乗者又は車外に対して、視覚的又は聴覚的に情報を通知することが可能な出力装置へ音声及び画像のうちの少なくとも一方の出力信号を送信する。
図25の例では、出力装置として、オーディオスピーカ7710、表示部7720及びインストルメントパネル7730が例示されている。表示部7720は、例えば、オンボードディスプレイ及びヘッドアップディスプレイの少なくとも一つを含んでいてもよい。表示部7720は、AR(Augmented Reality)表示機能を有していてもよい。出力装置は、これらの装置以外の、ヘッドホン、搭乗者が装着する眼鏡型ディスプレイ等のウェアラブルデバイス、プロジェクタ又はランプ等の他の装置であってもよい。出力装置が表示装置の場合、表示装置は、マイクロコンピュータ7610が行った各種処理により得られた結果又は他の制御ユニットから受信された情報を、テキスト、イメージ、表、グラフ等、様々な形式で視覚的に表示する。また、出力装置が音声出力装置の場合、音声出力装置は、再生された音声データ又は音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して聴覚的に出力する。
【0229】
なお、
図25に示した例において、通信ネットワーク7010を介して接続された少なくとも二つの制御ユニットが一つの制御ユニットとして一体化されてもよい。あるいは、個々の制御ユニットが、複数の制御ユニットにより構成されてもよい。さらに、車両制御システム7000が、図示されていない別の制御ユニットを備えてもよい。また、上記の説明において、いずれかの制御ユニットが担う機能の一部又は全部を、他の制御ユニットに持たせてもよい。つまり、通信ネットワーク7010を介して情報の送受信がされるようになっていれば、所定の演算処理が、いずれかの制御ユニットで行われるようになってもよい。同様に、いずれかの制御ユニットに接続されているセンサ又は装置が、他の制御ユニットに接続されるとともに、複数の制御ユニットが、通信ネットワーク7010を介して相互に検出情報を送受信してもよい。
【0230】
なお、本技術は以下のような構成を取ることができる。
(1)光電変換された複数の画素信号を複数の信号線に出力する画素アレイ部と、
2以上の信号線を含む信号線群ごとに、対応する2以上の画素信号のリセットレベルと信号レベルとの差分である複数の相関画素信号を出力する2以上のカラムアンプ群と、
前記複数の相関画素信号を保持する複数の容量をそれぞれ有する複数の容量マルチプレクサと、
前記複数の容量に保持された前記複数の相関画素信号を順繰りにデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器と、を備え、
前記カラムアンプ群の数よりも、前記複数の容量の数が多い、撮像装置。
(2)前記2以上のカラムアンプ群のそれぞれは、対応する2以上の画素信号のリセットレベルと信号レベルとの差分である複数の相関画素信号を出力する複数のカラムアンプを有し、
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、前記複数のカラムアンプのうち、対応するカラムアンプから出力された前記相関画素信号を保持する前記複数の容量をそれぞれ含む、(1)に記載の撮像装置。
(3)前記複数のカラムアンプのそれぞれは、
非反転入力ノードに信号線の電位が入力される差動増幅器と、
一端が前記差動増幅器の出力ノードに接続され、他端が前記差動増幅器の反転入力ノードに接続される第1スイッチと、
一端が前記差動増幅器の出力ノードに接続される第2スイッチと、
一端が前記第2スイッチの他端に接続され、他端が第1スイッチの他端及び前記差動増幅器の反転入力ノードに接続される第1容量素子と、
前記第1容量素子の他端と基準電位ノードとの間に接続される第2容量素子と、
一端が前記第2スイッチの他端及び前記第1容量素子の一端に接続され、他端に基準電圧が印加される第3スイッチと、を有する、(2)に記載の撮像装置。
(4)前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、前記複数の容量を含む複数のスイッチトキャパシタを有し、
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、前記複数のスイッチトキャパシタによるサンプリングにより、前記相関画素信号を保持する、(2)又は(3)に記載の撮像装置。
(5)前記複数の容量のうち一部の容量は、前記2以上のカラムアンプ群のうち予め定められたカラムアンプ群から出力された相関画素信号を保持し、
前記複数の容量のうち前記一部の容量以外の2以上の容量は、順繰りに選択されて、前記2以上のカラムアンプ群のうち前記予め定められたカラムアンプ群以外のカラムアンプ群から出力された相関画素信号を保持する、(1)乃至(4)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(6)前記複数の容量は、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内に、前記2以上のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持する、(1)乃至(5)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(7)前記複数の容量は、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号のリセットレベルが出力される期間内と、前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内とに、保持された前記複数の相関画素信号を順繰りに前記アナログ-デジタル変換器に転送する、(1)乃至(6)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(8)前記複数の容量のうち一部の容量は、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内に、前記相関画素信号を保持し、
前記複数の容量のうち前記一部の容量以外の2以上の容量は順繰りに、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される期間内に、前記相関画素信号の保持動作を休止する、(6)又は(7)に記載の撮像装置。
(9)前記2以上のカラムアンプ群は、第1のカラムアンプ群と、第2のカラムアンプ群とを有し、
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、第1の容量と、第2の容量と、第3の容量とを有し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第1の容量は、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される第1の期間内に、前記第1のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第2の容量と複数の前記第3の容量とは、前記第1の期間ごとに交互に選択されて、前記第2のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号、又は前記第3のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持する、(1)乃至(8)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(10)前記複数の第1の容量と、前記複数の第2の容量又は前記複数の第3の容量とに保持された前記複数の相関画素信号は、前記第1の期間と、前記画素アレイ部から前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される第2の期間とに、順繰りに前記アナログ-デジタル変換器に転送される、(9)に記載の撮像装置。
(11)前記複数の容量マルチプレクサ内の前記複数の第2の容量及び前記複数の第3の容量は、前記第1の期間ごとに、前記複数の相関画素信号を保持するか、前記複数の相関画素信号の保持を休止するかを交互に切り替える、(9)又は(10)に記載の撮像装置。
(12)前記2以上のカラムアンプ群は、第1のカラムアンプ群と、第2のカラムアンプ群と、第3のカラムアンプ群とを有し、
前記複数の容量マルチプレクサのそれぞれは、第1の容量と、第2の容量と、第3の容量と、第4の容量とを有し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第1の容量は、前記画素アレイ部が前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルを出力する第1の期間内に、前記第1のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第2の容量は、前記第1の期間内に、前記第2のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持し、
前記複数の容量マルチプレクサ内の複数の前記第3の容量及び複数の前記第4の容量は、前記第1の期間ごとに交互に選択されて、前記第3のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号、又は前記第4のカラムアンプ群から出力された前記複数の相関画素信号を保持する、(1)乃至(8)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(13)前記第1の容量と、前記第2の容量と、前記複数の相関画素信号を保持している前記第3の容量又は前記第4の容量とに保持された前記複数の相関画素信号は、前記第1の期間と、前記2以上の信号線に前記複数の画素信号の信号レベルが出力される第2の期間と、前記第2の期間の直後の前記第1の期間とに、順繰りに前記アナログ-デジタル変換器に転送される、(12)に記載の撮像装置。
(14)連続した前記第1の期間及び前記第2の期間の後に、前記カラムアンプ群への前記複数の画素信号の入力と前記複数の容量での前記複数の相関画素信号の保持とのいずれも行わない休止期間が設けられる、(12)又は(13)に記載の撮像装置。
(15)前記アナログ-デジタル変換器は、逐次比較型のアナログ-デジタル変換器である、(1)乃至(14)のいずれか一項に記載の撮像装置。
(16)前記容量マルチプレクサは、前記複数の容量のいずれかに保持された前記相関画素信号を差動で出力し、
前記逐次比較型のアナログ-デジタル変換器は、前記容量マルチプレクサから出力された差動の相関画素信号に基づいて、前記デジタル信号に変換する、(15)に記載の撮像装置。
(17)光電変換された画素信号をデジタル信号に変換して出力する撮像装置と、
前記デジタル信号に基づいて信号処理を行う信号処理回路と、を備えた電子機器であって、
前記撮像装置は、
光電変換された複数の画素信号を複数の信号線に出力する画素アレイ部と、
2以上の信号線を含む信号線群ごとに、対応する2以上の画素信号のリセットレベルと信号レベルとの差分である複数の相関画素信号を出力する2以上のカラムアンプ群と、
前記複数の相関画素信号を保持する複数の容量をそれぞれ有する容量部と、
前記複数の容量に保持された前記複数の相関画素信号を順繰りにデジタル信号に変換するアナログ-デジタル変換器と、を備え、
前記カラムアンプ群の数よりも、前記複数の容量の数が多い、電子機器。
【0231】
本開示の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本開示の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本開示の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0232】
4 カラムアンプ部、10 CMOSイメージセンサ、10 CMOSイメージセンサ(撮像装置)、11 画素アレイ部、12 行選択部、13 定電流源部、14 カラムアンプ部、15 AD変換部、15 アナログ-デジタル変換部、16 水平転送走査部、17 信号処理部、18 タイミング制御部、19 容量部、19 入力容量部、19B スイッチトキャパシタ、20 画素、21 フォトダイオード、22 転送トランジスタ、23 リセットトランジスタ、24 増幅トランジスタ、25 選択トランジスタ、31 画素制御線、31m 画素制御線、32 信号線、41、42、43 半導体チップ、44A、44B 接続部(VIA)、50 間接TOF方式距離画像センサ、51 センサチップ、52 回路チップ、53 画素アレイ部、54 画素、55 行選択部、56 カラム信号処理部、57 出力回路部、58 タイミング制御部、59 アナログ-デジタル変換器、60 光源、61 アシスト処理部、62 リニアリティ補正・デコード処理部、63 オフセット・ゲイン誤差補正部、64 記憶部、65 デコード処理部、66 誤差検出部、67 オフセット検出部、68 オフセット補正部、69 ゲイン誤差検出部、70 ゲイン誤差補正部、100a 撮像装置、140 カラムアンプ、141 増幅器、142 第1スイッチ、143 第2スイッチ、144 第3スイッチ、145 第1容量素子、146 第2容量素子、147 カラムアンプ群、147A 第1カラムアンプ群、147B 第2カラムアンプ群、147C 第3カラムアンプ群、150 AD変換器、151 プリアンプ、152 コンパレータ、153 SARロジック部、154 デジタル-アナログ変換器、155 容量アレイ部、160 基準電圧生成部、161 第1アンプ部、162 第2アンプ部、163 第3アンプ部、190 容量マルチプレクサ、191 スイッチ、195 容量素子、311 画素制御線、321 信号線、347 浮遊拡散層、348 浮遊拡散層、541 フォトダイオード、542 オーバーフロートランジスタ、543 転送トランジスタ、544 転送トランジスタ、545 リセットトランジスタ、546 リセットトランジスタ、547 浮遊拡散層、548 浮遊拡散層、549 増幅トランジスタ、550 増幅トランジスタ、551 選択トランジスタ、552 選択トランジスタ、1047 スイッチ、1400 電流リユースカラムアンプ、1401 電流増幅トランジスタ、1402 電流源トランジスタ、1403 電流源トランジスタ、1404 カスコードトランジスタ、1405 カスコードトランジスタ、1406、1407、1408 スイッチ、1409 基準側容量素子、1410 帰還容量素子、1511 増幅器、1512 スイッチ