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特開2024-79874生理学的パラメータ分析のための方法、デバイスおよびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079874
(43)【公開日】2024-06-12
(54)【発明の名称】生理学的パラメータ分析のための方法、デバイスおよびシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/1473 20060101AFI20240605BHJP
   A61B 5/1486 20060101ALI20240605BHJP
   G01N 33/49 20060101ALI20240605BHJP
【FI】
A61B5/1473
A61B5/1486
G01N33/49 B
【審査請求】有
【請求項の数】40
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024052178
(22)【出願日】2024-03-27
(62)【分割の表示】P 2023053113の分割
【原出願日】2019-10-25
(31)【優先権主張番号】62/750,957
(32)【優先日】2018-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500211047
【氏名又は名称】アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】シュー、ヨンジン
(57)【要約】
【課題】網状赤血球産生指数(RPI)値を使用して少なくとも1つの生理学的パラメータを計算する方法を提供すること。
【解決手段】RPI値を使用して少なくとも1つの生理学的パラメータを計算する方法は;第1の期間にわたって複数の第1のグルコースレベルを測定することと;第1の期間の終了時に相当する第1の糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを測定することと;RPI値を測定することと;RPI値に基づいて赤血球排出定数(kage)を計算することと;(1)複数の第1のグルコースレベル(2)第1のHbA1cレベル及び(3)kageに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)及び見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを計算することと、を含む。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の期間にわたって複数の第1のグルコースレベルを測定することと;
前記第1の期間の終了時に相当する終了時の糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを測定することと;
網状赤血球産生指数(RPI)値を測定することと;
前記RPI値に基づいて、赤血球排出定数(kage)を計算することと;
(1)前記複数の第1のグルコースレベル、(2)前記終了時のHbA1cレベル、および(3)前記計算されたkageに基づいて、グルコースレベル目標値を計算することと;
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法は、
RNA染色血液塗抹標本中の網状赤血球の割合(%)を測定することと;
ヘマトクリットの割合(%)を測定することと;
測定されたヘマトクリットの割合(%)から成熟補正値を決定することと;
をさらに含み、
前記RPI値を測定することは、
【数1】

式Aを用いて計算することを含み、
式中、RPはRNA染色血液塗抹標本中の網状赤血球の測定された割合(%)であり、HMは、測定されたヘマトクリットの割合(%)であり、MCは、前記測定されたヘマトクリットの割合(%)から決定された成熟補正値であり、かつHMは正常なヘマトクリット値である、方法。
【請求項3】
前記RPI値に基づいた前記計算された赤血球排出定数(kage)は、式B:
【数2】

を用いて決定され、かつ
(1)前記複数の第1のグルコースレベル、(2)前記終了時のHbA1cレベルおよび(3)前記計算されたkageに基づいた前記計算されたグルコースレベル目標値は、少なくとも式C:
【数3】

を用いて決定され、
式中、
【数4】

または
【数5】

である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
mat=3.47日-1である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記グルコースレベル目標値は、個別化されたグルコース下限値、個別化されたグルコース上限値、および個別化された目標グルコース平均値からなる群より選択される1つ以上の値である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記個別化されたグルコース下限値は、式D:
【数6】

を用いて決定され、
式中、LGLは許容正常グルコース下限値であり、
【数7】

は正常なヒトのkglyであり、
【数8】

は式Cを用いて計算されたkglyであり、かつ
前記個別化されたグルコース上限値は式E:
【数9】

を用いて決定され、
式中、AUは許容正常HbAlc上限値である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の期間の開始時に相当する開始時のHbA1cを測定することをさらに含み、前記グルコースレベル目標値を決定することは、(4)前記開始時のHbA1cにさらに基づく、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の第1のグルコースレベルが、血液、皮膚液、間質液、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される体液中で測定される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記計算されたグルコースレベル目標値を表示することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記グルコースレベル目標値を調整した後に対象のグルコースレベルを受信することと;
前記グルコースレベルが前記グルコースレベル目標値の外側にあるときにアラームを表示することと、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
ageおよび/またはKに基づいて代謝年齢を計算することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の期間の後の第2の期間に複数の第2のグルコースレベルを受信することと;
glyを計算することと;
(1)前記kgly、(2)前記kage、(3)前記第2の期間についての前記複数の第2のグルコースレベル、および(4)前記終了時のHbA1cレベルに基づいて計算された糖化ヘモグロビン(cHbA1c)レベルを決定することと;
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項13】
請求項1または2に記載の方法は:
前記第1の期間に続く第2の期間の終了時に第2の終了時HbA1cレベルを受信することと;
少なくとも1つの第1の生理学的パラメータを計算することと;
少なくとも1つの第2の生理学的パラメータを計算することと;
前記少なくとも1つの生理学的パラメータおよび前記少なくとも1つの第2の生理学的パラメータの比較に基づいて(1)異常または病的な生理学的状態の存在、および/または(2)ドーピングの指標、を特定することと;
をさらに含む、方法。
【請求項14】
体液中のグルコースレベルを測定するように構成された分析物センサと;
1つ以上のプロセッサ;および前記1つ以上のプロセッサに動作可能に接続され、その上に記憶された命令を有するメモリを含むモニタリングデバイスと;
を含むシステムにおいて、
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに:
前記分析物センサから第1の期間にわたって前記体液中の複数の第1のグルコースレベルを受信することと;
前記第1の期間の終了時に相当する終了時の糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを受信することと;
網状赤血球産生指数(RPI)値を決定することと;
前記RPI値に基づいて、赤血球排出定数(kage)を決定することと;
(1)前記複数の第1のグルコースレベル、(2)終了時のHbA1cレベル、および(3)前記kageに基づいて、グルコースレベル目標値を決定することと;
を行わせる、システム。
【請求項15】
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサに:
RNA染色血液塗抹標本中の網状赤血球の割合(%)を受信することと;
ヘマトクリットの割合(%)を受信することと;
前記受信したヘマトクリットの割合(%)から成熟補正値を決定することと;
を行わせ、
前記RPI値を決定することは、式A:
【数10】

に基づいて計算することを含み、
式中、RPはRNA染色血液塗抹標本中の網状赤血球の受信された割合(%)であり、HMは、受信されたヘマトクリットの割合(%)であり、MCは、前記測定されたヘマトクリットの割合(%)から決定された成熟補正値であり、かつHMは正常なヘマトクリット値であり、
前記RPI値に基づいた前記決定された赤血球排出定数(kage)は、式B:
【数11】

を用いて決定される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサに:
少なくとも式C:
【数12】

を用いて、(1)前記複数の第1のグルコースレベル、(2)前記終了時のHbA1cレベルおよび(3)前記kageに基づいた前記グルコースレベル目標値を決定すること、
をさらに行わせ、
式中、
【数13】

または
【数14】

である、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
mat=3.47日-1である、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記グルコースレベル目標値は、個別化されたグルコース下限値、個別化されたグルコース上限値、および個別化された目標グルコース平均からなる群より選択される1つ以上の値である、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項19】
前記個別化されたグルコース下限値は、式D:
【数15】

を用いて決定され、
式中、LGLは許容正常グルコース下限値であり、
【数16】

は正常なヒトのkglyであり、
【数17】

は式Cを用いて計算されたkglyであり、かつ
前記個別化されたグルコース上限値は式E:
【数18】

を用いて決定され、
式中、AUは許容正常HbAlc上限値である、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
請求項14または15に記載のシステムはディスプレイをさらに含み、
前記命令はさらに、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、前記グルコースレベル目標値を前記ディスプレイ上に表示することを行わせる、システム。
【請求項21】
前記命令はさらに、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
前記分析物センサから前記第1の期間の後の第2の期間における体液中の複数の第2のグルコースレベルを受信させることと;
前記複数の第2のグルコースレベルからのグルコースレベルが前記グルコースレベル目標値の外側にあるときにアラームを前記ディスプレイ上に表示させることと;
を行わせる、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記命令はさらに、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、kageおよび/またはKに基づいて代謝年齢を決定することを行わせる、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項23】
前記命令は、さらに、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
前記分析物センサから前記第1の期間の後の第2の期間に複数の第2のグルコースレベルを受信することと;
(1)前記kgly、(2)前記kage、(3)前記第2の期間についての前記複数の第2のグルコースレベル、および(4)前記終了時のHbA1cレベルに基づいて計算された糖化ヘモグロビン(cHbA1c)レベルを決定することと;
を行わせる、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項24】
前記命令は、さらに、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
前記第1の期間に続く第2の期間の終了時に第2の終了時HbA1cレベルを受信させることと;
少なくとも1つの第1の生理学的パラメータを計算することと;
少なくとも1つの第2の生理学的パラメータを計算することと;
前記少なくとも1つの生理学的パラメータおよび前記少なくとも1つの第2の生理学的パラメータの比較に基づいて(1)異常または病的な生理学的状態の存在、および/または(2)ドーピングの指標、を特定させることと;
を行わせる、請求項14または15に記載のシステム。
【請求項25】
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
前記グルコースレベル目標値に基づいてインスリン投与量を決定させることと;
前記インスリン投与量をインスリンポンプシステムに送信させることと;
を行わせる、請求項14または15に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生理学的パラメータ分析のための方法、デバイスおよびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
個体内の種々の分析物の測定は、それらの健康状態を監視するために不可欠な場合がある。ヒト等の哺乳動物における赤血球の正常な循環時、グルコース分子はヘモグロビンに結合し、それはグリコシル化ヘモグロビンと称される(糖化ヘモグロビンとも称される)。血液中のグルコースの量が多いほど、グルコース分子が付着した循環ヘモグロビン分子の割合が高くなる。グリコシル化ヘモグロビンのレベルは、コントロール不良の糖尿病患者の赤血球において増加する。グルコース分子は赤血球が生きている間(正常では約120日以内)ヘモグロビンに結合しているため、グリコシル化ヘモグロビンレベルはその期間の平均血中グルコースレベルに反映される。
【0003】
ヘモグロビンの大部分はHbAと称されるタイプである。グルコース分子がHbA分子に結合するとグリコシル化HbAが形成され、これはHbA1と称される。HbA1はHbA1a、HbA1b、HbA1cの3つの成分を有する。グルコースは、HbA1aおよびHbA1bよりも、HbA1cに対して、より強く、かつより高い程度に結合するので、血液中のHbA1cの測定(HbA1c検査)は、120日間(赤血球の平均寿命)にわたる対象の平均血中グルコースレベルの指標としてしばしば用いられる。HbA1c検査は、医療専門家の診療所で対象から血液サンプルを採取し、検査室で分析することによって行われる。HbA1c検査は、前糖尿病および糖尿病のスクリーニングおよび診断検査として用いられることがある。HbA1c検査は、診断および/または治療法の決定のために対象の健康を監視するべく一定期間にわたって複数回実施されてもよい。
【0004】
市販のインビトロ血糖検査ストリップおよびインビボセンサ(およびそれらに関連するデバイスおよびシステム)は、様々な程度の測定頻度でグルコースレベル測定を提供する。これらのデバイスはまた、推定HbA1c(「eHbA1c」)値を提供することができる。インビトロおよびインビボセンサ(およびそれらに関連するデバイスとシステム)の両方は信頼性が高く正確であることが知られているが、HbA1c値とeHbA1c値とを比較した場合、2つの測定値の間に顕著な相違が観察された。既存のeHbA1c法およびデバイスは、静的モデルおよび/または広範な仮定および/または頑健性の低いデータに依存しており、一般にHbA1cの検査結果より信頼性が低いと考えられている。しかしながら、HbA1cの測定は、定期的にHbA1c検査のため採血し、その結果を待たなければならないので、対象にとって不便かつ不快である。さらに、対象と医療提供者は、対象と医療提供者の両方がeHbA1cの変化を監視して対応することを可能にするべく、より正確なeHbA1cから利益を得るであろう。したがって、改善されたeHbA1c法およびデバイスに対する必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】ある期間における少なくとも1つのHbA1c値および複数のグルコースレベルの収集を示す例示的なタイムライン100を示す。
図2】本開示の実施形態のいくつかに従う、生理学的パラメータ分析を提供するための生理学的パラメータ分析システムの例を示す。
図3】本開示の実施形態のいくつかに従う、生理学的パラメータ分析を提供するための生理学的パラメータ分析システムの例を示す。
図4】本開示の実施形態のいくつかに従って生理学的パラメータ分析システムによって出力として生成され得る、計算されたHbA1c(cHbA1c)レポートの例を示す。
図5A】本開示の実施形態のいくつかに従う、個別化された目標グルコース範囲を決定する方法の例を示す。
図5B】本開示の実施形態のいくつかに従って生理学的パラメータ分析システムによって出力として生成され得る個別化された目標グルコース範囲レポートの例を示す。
図6】本開示の実施形態のいくつかに従って生理学的パラメータ分析システムによって出力として生成され得る、個別化された目標平均グルコースレポートの例を示す。
図7】本開示の実施形態のいくつかに従って生理学的パラメータ分析システムによって出力として生成され得る、グルコースパターン洞察レポートの例を示す。
図8】本開示のいくつかの実施形態に従うインビボ分析物モニタリングシステムの例を示す。
図9A】2つの異なるモデル(9Aおよび9B)についての推定HbA1c(eHbA1c)値および本開示の動力学モデル(9C)についての計算されたHbA1c(cHbA1c)値に対する200日目(±5日目)の検査室HbA1cレベルの比較を示す。
図9B】2つの異なるモデル(9Aおよび9B)についての推定HbA1c(eHbA1c)値および本開示の動力学モデル(9C)についての計算されたHbA1c(cHbA1c)値に対する200日目(±5日目)の検査室HbA1cレベルの比較を示す。
図9C】2つの異なるモデル(9Aおよび9B)についての推定HbA1c(eHbA1c)値および本開示の動力学モデル(9C)についての計算されたHbA1c(cHbA1c)値に対する200日目(±5日目)の検査室HbA1cレベルの比較を示す。
図10】測定されたグルコースレベル(実線)、検査室のHbA1c測定値(白丸)、cHbA1cモデル値(長い破線)、および14日間のeHbA1cモデル値(点線)を有する例示的な試験被験者のデータを示す。
図11】HbA1cの推定平均グルコースへの標準変換を使用して決定された定常(steady)グルコースと平衡HbA1cとの間の関係(1)(誤差バー付きの破線)、および90名の参加者について測定された定常グルコースと平衡HbA1cとの間の関係(2)(実線)を示す。
図12】本開示の動力学モデルを用いて、変化するHbA1c目標値に対するK(dL/mg)と平均グルコースレベル目標値(mg/dl)との間の関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下の図は、本開示の特定の態様を説明するために含まれており、排他的な実施形態として見なされるべきではない。開示された主題は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態および機能においてかなりの修正、変更、組み合わせ、および同等物が可能である。
【0007】
本開示は、一般に、対象の体内での赤血球の糖化、排出、および生成ならびに網状赤血球の成熟の動力学に関連する生理学的パラメータを決定するための方法、デバイス、およびシステムを説明する。そのような生理学的パラメータは、例えば、とりわけ、より信頼性の高い計算されたHbA1cおよび/または個別化された目標グルコース範囲を計算するために使用することができる。
【0008】
動力学モデル(Kinetic Model)
式1は、赤血球の糖化、排出、および生成の動力学を示し、ここで、「G」は遊離グルコースであり、「R」は非糖化赤血球であり、「GR」は糖化赤血球である。糖化赤血球(GR)が形成される速度は、本明細書において、赤血球糖化速度定数(典型的にはdLmg-1*-1の単位を有するkgly)と称される。
【0009】
【化1】
【0010】
経時的に、糖化赤血球を含む赤血球は、対象の循環系から連続的に排除され、新しい赤血球は、典型的には毎秒約200万個の速度で生成される。排出および生成に関連する速度は、本明細書では、赤血球排出定数(red blood cell elimination constant)(典型的には、日-1の単位を有するkage)および赤血球生成速度定数(典型的には、M/日の単位を有するkgen)とそれぞれ称される。体内の赤血球量はほとんどの場合一定に保たれているので、kageとkgenの比は赤血球濃度の2乗である個々の定数である。
【0011】
前述のように、HbA1cは赤血球中に見出される糖化ヘモグロビンの割合を示す一般的に使用される被検物質である。したがって、動力学モデルを使用して、例えば、少なくとも対象について測定されたグルコースレベルに基づいて計算されたHbA1cを導出することができる。ただし、動力学モデルはHbA1にも適用することができる。簡単にするために、本明細書ではHbA1cを一律に使用するが、特定のHbA1c値が使用される場合を除いて、HbA1を代用することができる(例えば、式15および16を参照)。このような場合には、特定のHbA1値を用いて同様の式を導くことができる。
【0012】
一般的に、生理学的プロセスを動力学的にモデル化する場合、生理学的プロセスに最も影響する因子に焦点を当て、数学のいくつかを単純化するための仮定がなされる。
本開示は、式(Formula)1に示される生理学的プロセスを動力学的にモデル化するために、以下の一組の仮定のみを使用する。第一に、グルコース濃度は、赤血球の糖化反応の影響を受けないほど十分に高い。第二に、HbA1cの測定に影響を及ぼすような異常な赤血球は存在しないため、ヘマトクリット値は対象となる期間中一定である。この仮定は、通常は存在せず、モデルの精度に悪影響を及ぼす可能性のある極端な状態または生命現象を除外するために行われた。第三に、糖化プロセスは、赤血球とグルコースの両方の濃度に一次依存性を有する。第四に、網状赤血球HbA1cが非常に低くほとんど検出できないという以前の報告に基づいて、新たに発生した赤血球は糖化ヘモグロビンの量が無視できる程度である。第五に、赤血球の産生は総細胞濃度と逆相関するが、排出は一次過程である。
【0013】
この動力学モデルについて上述した5つの仮定を用いて、糖化赤血球および非糖化赤血球の変化率(rate of change)は、微分方程式(differential equations)1および2によってモデル化することができる。
【0014】
【数1】
【0015】
【数2】
【0016】
Cは赤血球の全集団であり、ここで、C=[R]+[GR]である(式2a)。Cの典型的な単位はM(mol/L)であり、[R]および[GR]の典型的な単位はMであり、[G]の典型的な単位はmg/dLである。
【0017】
グルコースレベルが一定であり、糖化赤血球濃度および非糖化赤血球濃度が安定したままである(d[GR]/dt=(d[R])/dt=0)定常状態を仮定すると、以下の2つの式を導くことができる。式3は見かけの糖化定数(apparent glycation constant)K(典型的にはdL/mgの単位を有する)をkglyおよびkageの比として定義し、式4は赤血球の生成速度と排出速度との間の依存性を確立する。
【0018】
【数3】
【0019】
【数4】
【0020】
簡略化のために、以下、kageを用いて、本開示の方法、デバイスおよびシステムを説明する。特に指定のない限り、kgenをkageの代わりに用いることができる。kgenをkageに置き換えるには、式4をkgen=kage*Cに変更する。
【0021】
HbA1cは、式5に示す糖化ヘモグロビンの割合である。
【0022】
【数5】
【0023】
ヒトが同じグルコースレベルを無限に保持している状態を仮定すると、式5のHbA1cは、「平衡HbA1c」(EA)として定義することができる(通常は%(例えば、6.5%)として報告されるが、計算では小数形式(例えば、0.065)で使用される)。所定のグルコースレベルについて、EA(式6)は式2a、3、および5から導出することができる。
【0024】
【数6】
【0025】
EAは長期にわたる一定のグルコース濃度[G]に基づくHbA1cの推定値である。この関係は、安定した日々のグルコースプロファイルを有する個人の平均グルコースおよびHbA1cを効果的に近似する。EAはKに依存し、その値は各対象に対して特徴的である。式6は定常グルコースがEAと直線的に相関していないことを示している。定常グルコースおよびEAはグルコースレベルの特定の範囲内では直線関数で近似できるが、HbA1cの典型的な臨床範囲全体では近似できない。さらに、グルコースレベルが連続的に変動する実生活では、個人の、検査室HbA1cと平均グルコース値との間に信頼できる直線関係はない。
【0026】
他の研究者もこれを結論付け、測定したHbA1c値を平均グルコースレベルに相関させるための動力学モデルを作成した。例えば、米国糖尿病協会には、HbA1c値を推定平均グルコースレベルに変換するためのオンライン計算機がある。しかしながら、このモデルは、kageおよびkglyが対象間で実質的に変化しないという仮定に基づいており、これは、以下の実施例1において誤っていることが示されている。したがって、米国糖尿病協会が現在採用しているモデルでは、kageとkglyは定数で、対象によって変動しないとみなされている。
【0027】
赤血球寿命が一定であるという仮定を取り除いたより最近のモデルがヒゲンス(Higgens)ら(Sci.Transl.Med.、8、359ra130、2016)により開発された。しかしながら、より最近のモデルでも、Kglyは対象間で実質的に変化しないと仮定している。
【0028】
対照的に、本明細書に記載される動力学モデルでは、kageおよびkglyは共に変数である。さらに、いくつかの実施形態は、対象のkglyを用いて、対象の糖尿病状態および治療に関する個別化されたパラメータ(例えば、薬剤投与量、サプリメント投与量、運動計画、食事療法/食事計画など)を導出する。
【0029】
本開示の動力学モデルを続けると、ある期間tの終了時のHbA1c値(HbA1c)(式7)は、開始時HbA1c(HbA1c)が与えられ、かつその期間中一定のグルコースレベル[G]であると仮定すると、式1から導出することができる。
【0030】
【数7】
【0031】
経時的なグルコースレベルの変化に対応するために、各個人のグルコース履歴は、対応する平均グルコースレベル[G]を有する一連の時間間隔tとして近似される。式7を再帰的に適用すると、時間間隔tの終了時におけるHbA1cは、数値計算のために式8によって表すことができる。
【0032】
【数8】
【0033】
式6、7、または8を使用してkageおよびkglyを解く場合、kageおよびkglyは、非限定的な例として、5.0*10-6dL*mg-1*日-1<kgly<8.0*10-6dL*mg-1*日-1および0.006日-1<kage<0.024日-1の合理的な生理学的限界に制限され得る。付随的または代替的に、ブロイデン・フレッチャー・ゴールドファーブ・シャンノ(Broyden-Fletcher-Goldfarb-Shanno)アルゴリズムを使用する経験的アプローチは、kglyおよびkageの推定初期値とともに使用され得る(例えば、kgly=4.4*10-6dL*mg-1*日-1およびkage=0.0092日-1)。グルコースレベルのデータ点および測定されたHbA1cデータ点が多いほど、本明細書に記載される生理学的パラメータはより正確になる。
【0034】
時間間隔tの値は、実施形態間で変化し得るいくつかの要因に基づいて選択されてもよく(例えば、ユーザまたは開発者によって、または1つ以上のプロセッサ上で実行されるソフトウェア命令によって選択されてもよく)、したがって、時間間隔tの値は変化し得る。そのような要因の1つは、個人のグルコース履歴内であるグルコースデータ値(例えば、別々の時間で測定されたグルコースレベル、複数の別々の時間にわたる特定の時間のグルコースレベルを表す値、または他の方法)から別の値までの時間である。グルコースデータ値の間の時間の長さは、時間間隔tと称されてもよい。時間間隔tは個人のグルコース履歴にわたって変化し得るため、1つのグルコース履歴が時間間隔tに対して多数の異なる値を有することができる。時間間隔tの異なる値をもたらす多数の例示的な実施形態が本明細書に記載されている。グルコースモニタリングシステムのいくつかの実施形態において、グルコースデータ点は、固定された時間間隔t(例えば、毎分、10分ごと、15分ごとなど)の後に決定され、得られるグルコース履歴は、一連のグルコースデータ点であり、各点は、固定された時間間隔t(例えば、1分間隔での一連のグルコースデータ点など)の満了時または全体にわたるグルコースを表す。
【0035】
他の実施形態において、グルコースデータ点は、複数の異なる固定した時間間隔tで取得または決定される。例えば、一部のフラッシュ分析物モニタリングシステム(本明細書でさらに詳細に説明される)では、ユーザは、第1の比較的短い時間間隔t(例えば、毎分、2分ごと)で最近の時間間隔(例えば、最新の15分、最新の1時間など)内のグルコースデータを記憶するデバイス(例えば、センサ制御デバイス)からグルコースデータを要求することができ、その最近の時間間隔外の他のすべてのデータ(場合によっては、最大8時間、12時間、24時間など)は、第2の比較的長い時間間隔t(例えば、10分ごと、15分ごと、20分ごとなど)で記憶される。第2の比較的長い時間間隔で記憶されたデータは、比較的短い時間間隔tで最初に取得されたデータから決定することができる(例えば、平均、中央値、または他のアルゴリズム的に決定された値)。そのような例では、結果として生じるグルコース履歴は、ユーザがグルコースデータを要求する頻度に依存し、第1の時間間隔tにおけるいくつかのグルコースデータ点と第2の時間間隔tにおける他のグルコースデータ点の組み合わせであってもよい。無論、例えば、3つ以上の時間間隔tを用いて、より複雑な変化も可能である。いくつかの実施形態において、アドホック(adhoc)補助測定(例えば、フィンガースティックおよびテストストリップ)で収集されたグルコースデータも存在する可能性があり、これは、時間間隔tについてさらに多くの変化をもたらすことができる。
【0036】
対象(約400人)のサンプルのグルコース履歴について、グルコースのデータ点が一般に1~15分の時間間隔tで存在する場合に実施された一例の分析は、3時間(または約3時間)~24時間(または約24時間)の範囲内の時間間隔tの値が、精度を著しく低下させることなく選択され得ることを示した。一般に、時間間隔tが短いほど、長い時間間隔と比べて精度が高くなり、3時間に近い時間間隔t値が最も正確であった。時間間隔tの値が3時間未満の場合、数値の丸め誤差(rounding errors)により精度を失い始めることがある。これらの丸め誤差は、処理負荷と計算時間を犠牲にして、より長い桁の文字列を使用することで減らすことができる。所望の精度レベルおよび他の要因、例えばグルコースデータ点間の平均時間間隔tに応じて、3~24時間の範囲外の時間間隔tの他の値が適切であり得ることに留意されたい。
【0037】
時間間隔tの選択におけるもう1つの要因は、個人のグルコース履歴における、最長時間間隔tよりも長いか有意に長いギャップの存在、すなわちデータが欠落している状態である。このようなギャップが1つ以上存在すると、結果に偏りが生じる可能性がある。これらのギャップは、例えば、特定の期間にわたってグルコースデータを収集することができないことに起因し得る(例えば、ユーザがセンサを装着していなかった、ユーザがセンサのデータをスキャンするのを忘れた、故障が発生したなど。)。間隔tを選択する際には、ギャップの存在とその期間を考慮すべきである。一般に、ギャップの数と期間は、可能な限り最小化(または排除)する必要がある。しかしながら、このタイプのギャップを排除することはしばしば困難であるため、このようなギャップが存在する限り、多くの実施形態において、時間間隔tの選択は、グルコースデータ点間の最も大きい(最大)ギャップの期間の少なくとも2倍とするべきである。たとえば、時間間隔tを3時間に選択した場合、最大ギャップは90分を超えないようにする必要があり、時間間隔tを24時間に選択した場合、最大ギャップは12時間を超えないようにする必要がある。
【0038】
値HbA1cは、本明細書に記載されている他のeHbA1cと区別するために、本明細書ではcHbA1c(計算されたHbA1c)と称される、本発明の動力学モデルの推定HbA1cである。
【0039】
前述し、式8で説明したように、EAおよびDはともにグルコースレベル[G]、kgly、およびkageの影響を受ける。また、Dは時間間隔tの長さに依存する。式8は式7の再帰形である。式7および8は、HbA1c、グルコースレベル、および個々の赤血球運動定数kglyおよびkageの間の関係を記述する。
【0040】
ageは高価で手間のかかる方法で直接測定することができる。本明細書では、動力学モデルは、kageを推定するための方法として網状赤血球の成熟を組み込むように拡張されている。
【0041】
網状赤血球は未熟な赤血球であり、典型的には全赤血球の約1%を占める。網状赤血球が成熟赤血球に成熟する速度はkmat(典型的には日-1の単位を有する)である。正常な網状赤血球の成熟半減期は約4.8時間であり、これは式9を提供する。
【0042】
【数9】
【0043】
動力学モデルは2つの仮定をなす:(1)すべての赤血球は時間0で網状赤血球であり、(2)網状赤血球は排出されない(つまり、網状赤血球は成熟して赤血球になり、死滅することはない)。網状赤血球年齢の確率密度(pRET)は、式10で表される。
【0044】
【数10】
【0045】
網状赤血球産生指数(RPI)は、修正網状赤血球数(CRC)としても知られており、網状赤血球である全赤血球の割合である。したがって、RPIは、式11に示されるように、細胞齢にわたるpRETの積分であり、ここで、RPIは、報告されたRPIの10進形式である(例えば、2%と報告されたRPIは、式11では0.02である)。
【0046】
【数11】
【0047】
典型的なkmatが3.47日-1であると仮定すると、Kageは測定されたRPIから推定できる。RPIは通常の方法で決定できる。例えば、RPIは、ヘマトクリット値(%)(HM)を測定すること、RNA染色血液塗抹標本中の網状赤血球(RP)の割合(%)を測定すること、測定されたヘマトクリット値(%)から成熟補正値(MC)を決定すること、および式12に基づいてRPIを計算することによって決定することができ、式中、RPおよびHMは、小数ではなくパーセンテージ値として使用される(すなわち、3%と報告されたRPは方程式中では3であり、0.03ではない)。
【0048】
【数12】
【0049】
特に明記されていない限り、記載されている代表的な単位はそれぞれの値に関連付けられている。当業者は、他の単位および適切な変換を認識するであろう。例えば、[G]は典型的にはmg/dLで測定されるが、グルコースのモル質量を用いてMに換算することもできる。[G]がMで使用されている場合、または任意の他の変数が異なる単位で使用されている場合、本明細書における式は単位の違いを考慮して調整する必要がある。
【0050】
動力学モデルからの生理学的パラメータの計算
本開示の実施形態は、対象の体内における赤血球の糖化、排出、生成、および網状赤血球成熟の動力学的モデリングを提供する。
【0051】
生理学的パラメータkageは1つ以上のRPI測定値から推定できる。kageは、単一のRPI測定値から上記の式11を用いて推定することができるが、2回以上のRPI測定によりRPI値の精度を高めることができる。さらに、RPIは、治療に応じて、および疾患状態の改善または悪化に応じて、経時的に変化し得る。したがって、RPIは、任意の所望の時間間隔(例えば、毎週~毎年)で測定することができるが、好ましくは、RPIは、3~6ヶ月に1回測定される。
【0052】
いったんkageが計算されると、生理学的パラメータkglyおよび/またはKは、少なくとも1つの測定されたHbA1c値(HbA1cレベル測定値とも称される)およびHbA1c測定の直前の期間にわたる複数のグルコースレベル(グルコースレベル測定値とも称される)が与えられた場合、本明細書に記載の方程式から推定され得る。
【0053】
図1は、期間106および108にわたる、少なくとも1つの測定されたHbA1c値102a、102b、102c、複数のグルコースレベル104aおよび104b、および少なくとも1つのRPI測定値110a、110b、110cの収集を示す例示的なタイムライン100を示す。
【0054】
glyおよび/またはKを計算するために必要なHbA1c測定値102a、102b、102cの数は、複数のグルコースレベルの頻度および期間に依存する。kageを計算するために必要なRPI測定値110a、110b、110cの数は、個々のkmatの安定性と典型的なkmat(3.47日-1)へのその偏差に依存する。RPIは3~6カ月に1回測定するのが望ましいが、必要に応じて月1回または週1回測定することもできる。
【0055】
第一の実施形態において、1つの測定されたRPI値110bを使用して、kageを計算することができ、1つの測定されたHbA1c102bを、計算されたkageおよび時間期間106にわたる複数のグルコース測定値とともに使用して、kglyおよび/またはKを計算することができる。このような実施形態は、長期間(例えば、約200日間以上)にわたって毎日定常的なグルコース測定値106を有する対象に適用可能である。なお、時点101では、EAをHbA1c測定値102bに、[G]を期間106にわたる日平均グルコースに置き換えて、式6によりKを計算することができる。式3からkglyを計算してもよい。したがって、本実施形態では、必ずしも初期HbA1cレベル測定値102aを必要としない。
【0056】
第1のHbA1c値は測定されないので、平均グルコースの正確な表示を得て誤差を減らすために、頻繁な測定を伴う初期グルコースレベル測定の時間間隔106は長くする必要がある。この方法に100日間を超える定常グルコースパターンを用いると誤差が減少する。200日以上または300日以上といったさらなる期間により誤差はさらに低減する。
【0057】
ある測定されたHbA1c値102bが使用され得る実施形態は、約100日~約300日(またはそれ以上)の期間106を含み、グルコースレベルは、少なくとも約72回/日(例えば、約20分毎)~約96回/日(例えば、約15分毎)またはそれ以上の頻度で測定される。さらに、そのような実施形態では、2つのグルコースレベル測定の間の間隔が約1時間を超えてはならない場合、グルコースレベル測定の間の時間はある程度一貫していてもよい。グルコース測定値のデータが欠落していても、測定したHbA1c値を1つだけ使用すれば許容される場合がある。欠落データが増えると、誤差が増える可能性がある。
【0058】
代替的に、1つのHbA1c測定値102bが使用されるいくつかの例において、対象が安定した一貫したグルコースプロファイルを有する既存のグルコースレベルのモニタリング履歴を有する場合、期間106を短縮することができる。例えば、長期間(例えば、6カ月以上)検査を行ってきた対象について、おそらく、より少ない頻度または管理された時間に、既存のグルコースレベル測定値を用いて、グルコースプロファイルを決定および分析することができる。次に、より頻繁かつ計画されたグルコースモニタリングが、期間106にわたって実施され(例えば、1日当たり約72回~約96回以上を約14日以上にわたって)、その後、HbA1c102bおよびRPI110bの測定が行われる場合、これらの4つの組のデータを組み合わせて使用して、時点101における2つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)を計算することができる。
【0059】
代替的に、いくつかの実施形態において、1つ以上のRPI測定値110a、110b、2つのHbA1c測定値(期間106の開始時の第1のHbA1c測定値102aおよび期間106の終了時の第2のHbA1c測定値102b)、および期間106の間に測定された複数のグルコースレベル104aを使用して、時点101における1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)を計算することができる。これらの実施形態において、式11を使用してkageを計算することができ、式8を使用して、時点101でのkglyおよび/またはKを計算することができる。このような実施形態において、複数のグルコースレベル104aを、約10日間~約30日間以上にわたって測定し、平均して、毎日約4回(例えば、約6時間毎)~約24回(例えば、約1時間毎)以上の頻度で、測定することができる。
【0060】
前述の実施形態において、RPI測定値は経時的に比較的安定しているため、RPI値は、図示された以外の時間に測定することができる。したがって、RPI値は、期間106中の任意の時点で測定することができ、これらの実施形態に適用可能である。
【0061】
前述の実施形態は、提供される例示的なグルコースレベル測定期間および頻度(frequeny)の範囲に限定されるものではない。グルコースレベルは、約数日~約300日以上(例えば、約1週間以上、約10日以上、約14日以上、約30日以上、約60日以上、約90日以上、約120日以上など)の期間にわたって測定することができる。いくつかの実施形態において、期間は、7日以上、好ましくは1ヶ月~10ヶ月、および1年未満である。このようなグルコースレベルの頻度は、平均して、1日に約14,400回(例えば、約6秒ごとの時間間隔t)(またはより頻繁に)~約3回(例えば、約8時間毎の時間間隔t)(例えば、1日1,440回(例えば、約毎分の時間間隔t)、1日約288回(例えば、約5分ごとの時間間隔t)、1日約144回(例えば、約10分ごとの時間間隔t)、1日約96回(例えば、約15分ごとの時間間隔t)、1日約72回(例えば、約20分ごとの時間間隔t)、1日約48回(例えば、約30分ごとの時間間隔t)、1日約24回(例えば、約1時間毎の時間間隔t)、1日約12回(例えば、約2時間毎の時間間隔t)、1日約8回(例えば、約3時間毎の時間間隔t)、1日約6回(例えば、約4時間毎の時間間隔t)、1日約4回(例えば、約6時間毎の時間間隔t)など)であり得る。場合によっては、グルコース測定が毎日ほぼ同じ時間(約30分以内)に行われ、日々のグルコースレベルをより直接的に比較し、その後の分析における誤差を減らすために、より低頻度のモニタリング(例えば、1日に1回または2回)が使用されてもよい。
【0062】
前述の実施形態は、1つ以上の生理学的パラメータに関連する誤差または不確実性を計算することをさらに含み得る。いくつかの実施形態では、誤差を使用して、別のHbA1c値(図示せず)が時点101の近くで測定されるべきかどうか、1以上のグルコースレベル104bが測定されるべきかどうか(例えば、時点101の近くで)、モニタリングおよび分析が延長されるべきかどうか(例えば、時点101から時点103までの期間108を延長して、期間108中のグルコースレベル104bの測定および時点103でのHbA1c値102cの測定を含むようにする)、および/または延長された期間108におけるグルコースレベル測定104bの頻度が、期間106中のグルコースレベル測定104aの頻度に対して増加されるべきかどうかを決定することができる。いくつかの実施形態において、kgly、kage、および/またはKに関連する誤差が、約15%以上、好ましくは約10%以上、好ましくは約7%以上、好ましくは約5%以上である場合に、前述の行動(action)のうちの1つ以上を実行することができる。対象が既存の疾患状態(例えば、心血管疾患)を有する場合、本明細書に記載される分析において、より厳密なモニタリングおよびより少ない誤差を有するために、より低いエラー(lower error)であることが好ましい場合がある。
【0063】
代替的に、またはエラーが許容可能である場合、いくつかの実施形態において、時点101での1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)を使用して、対象の個別化された糖尿病管理(例えば、期間108終了時のcHbA1c、個別化された目標グルコース範囲、および/または対象に対する近い将来の治療または治療の変更)のための1つ以上のパラメータまたは特徴を決定してもよく、各パラメータまたは特徴は、本明細書においてさらに詳細に記載される。場合によっては、前述の実施形態に加えて、時点103でHbA1c値を測定し、1つ以上の生理学的パラメータを再計算し、将来の期間(図示せず)に適用することができる。
【0064】
代替的または付随的に、式8および式11を使用して、kageの2つの値を推定することができる。これら2つの値の比較を用いて、別のHbA1c値(図示せず)が時点101の近くで測定されるべきかどうか、1以上のグルコースレベル104bが測定されるべきかどうか(例えば、時点101の近くで)、モニタリングおよび分析が延長されるべきかどうか(例えば、時点101から時点103までの期間108を延長して、グルコースレベル104bの測定および時点103でのHbA1c値102cの測定を含むようにする)、および/または延長された期間108におけるグルコースレベル測定104bの頻度が、期間106中のグルコースレベル測定104aの頻度に対して増加されるべきかどうかを決定することができる。たとえば、kageの2つの値が10%を超えて異なる場合(たとえば、低い値が、高い値に基づいて高い値の10%以内ではない場合)、個人のkmatは典型的なkmat(3.47日-1)と異なる可能性がある。大きな差が観察された場合(例えば、20%を超える差)、個人のkmatが決定されるであろう。個人のkmatが一定期間(例えば、3~6ヶ月)にわたって安定である場合、本明細書に記載される方法、システムおよびデバイスにおいて、式11の典型的なkmatの代わりに決定された個人のkmatを使用すべきある。kmatの変動は他の健康問題を示唆する可能性がある。
【0065】
1つ以上の生理学的パラメータ、および/または対象の個別化された糖尿病管理のための1つ以上のパラメータまたは特性を、2回以上(例えば、時点101および時点103)測定および/または計算し、比較することができる。例えば、時点101および時点103におけるkglyを比較してもよい。別の例では、時点103におけるcHbA1cと将来の時点におけるcHbA1cとを比較することができる。本明細書でさらに説明するいくつかの実施形態は、そのような比較を使用して、(1)対象の個別化された糖尿病管理の進行および/または有効性を監視し、任意選択で、対象の個別化された糖尿病管理を変更し、(2)異常または病的な生理学的状態を特定し、および/または(3)赤血球産生に影響を与えるおよび/または代謝に影響を与えるサプリメントおよび/または医薬品を服用している対象を特定することができる。
【0066】
本明細書に記載されている例示的な方法、デバイスおよびシステムの各々は、1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、およびK)を利用し、1つ以上の関連する分析(例えば、個別化された目標グルコース範囲、個別化された目標平均グルコース、cHbA1cなど)を行うことができる。1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、およびK)および関連する分析は、定期的に(例えば、約3カ月~1年毎)更新されてもよい。更新の頻度は、とりわけ、対象のグルコースレベルおよび糖尿病歴(例えば、対象が規定された閾値内にどの程度留まるか)、他の病状などに依存し得る。
【0067】
その他の要因
1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、およびK)を適用する本明細書に記載されている実施形態では、1つ以上の生理学的パラメータに加えて、1つ以上の他の対象固有のパラメータを使用することができる。対象固有のパラメータの例としては、バイタル情報(例えば、心拍数、体温、血圧、または他のバイタル情報)、身体化学情報(例えば、薬物濃度、血中濃度、トロポニン濃度、コレステロール濃度、または任意の他の身体化学情報)、食事データ/情報(例えば、炭水化物の量、糖の量、または食事に関するその他の情報)、活動情報(例えば、睡眠および/または運動の発生および/または持続時間)、既存の医学的状態(例えば、心血管疾患、心臓弁置換、癌、および自己免疫疾患、ホルモン障害、および血球障害などの全身性疾患)、医学的状態の家族歴、現在の治療、年齢、人種、性別、地理的位置(例えば、対象が育った場所や、対象が現在住んでいる場所)、糖尿病型、糖尿病診断期間など、およびこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0068】
システム
いくつかの実施形態において、対象の1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)を決定することは、生理学的パラメータ分析システムを使用して実施することができる。
【0069】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による生理学的パラメータ分析を提供するための生理学的パラメータ分析システム211の例を示す。生理学的パラメータ分析システム211は、1つ以上のプロセッサ212と、1つ以上の機械可読記憶媒体214とを含む。1つ以上の機械可読記憶媒体214は、1つ以上のプロセッサ212によって実行される生理学的パラメータ分析ルーチンを実行するための一組の命令を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、命令は、入力216(例えば、1つ以上のRPI値、1つ以上のグルコースレベル、1つ以上のHbA1cレベル、以前に決定された1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)、または1つ以上の他の対象固有のパラメータ、および/または前述のいずれかに関連する1以上の時間)を受信し、出力218(例えば、1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)、1つ以上の生理学的パラメータに関連する誤差、対象の個別化された糖尿病管理のための1つ以上のパラメータまたは特性(例えば、他のパラメータまたは特性の中で、cHbA1c、個別化された目標グルコース範囲、平均目標グルコースレベル、サプリメントまたは薬剤の用量)、一致した参加者のグループなど)を決定し、出力218と通信することを含む。いくつかの実施形態において、入力216の通信は、例えば、ユーザインターフェース(ディスプレイの一部であり得る)、データネットワーク、サーバ/クラウド、別のデバイス、コンピュータ、またはそれらの任意の組み合わせを介して行うことができる。いくつかの実施形態において、出力218の通信は、例えば、ディスプレイ(ユーザインターフェースの一部であってもよい)、データネットワーク、サーバ/クラウド、別のデバイス、コンピュータ、またはそれらの任意の組み合わせへの通信とすることができる。
【0071】
本明細書において使用される用語としての「機械可読媒体」は、機械(機械は、例えば、コンピュータ、ネットワークデバイス、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、製造ツール、1つ以上のプロセッサを有する任意のデバイスなどであってもよい)によってアクセス可能な形式で情報を記憶することができる任意の機構を含む。例えば、機械アクセス可能媒体は、記録可能/記録不可能媒体(例えば、リードオンリーメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光記憶媒体、フラッシュメモリデバイス等)を含む。
【0072】
場合によっては、1つ以上のプロセッサ212および1つ以上の機械可読記憶媒体214は、単一のデバイス(例えば、コンピュータ、ネットワークデバイス、携帯電話、PDA、分析物モニタなど)内にあってもよい。
【0073】
いくつかの実施形態において、生理学的パラメータ分析システムは、他の構成要素を含んでもよい。図3は、本開示のいくつかの実施形態による生理学的パラメータ分析を提供するための生理学的パラメータ分析システム311の別の例を示す。
【0074】
生理学的パラメータ分析システム311は、対象インターフェース320Aおよび分析モジュール320Bを有する健康モニタリングデバイス320を含む。健康モニタリングデバイス320は、データネットワーク322に動作可能に接続されているか、または接続されていてもよい。また、生理学的パラメータ分析システム311には、グルコースモニタ324(例えば、インビボおよび/またはインビトロ(エクスビボ)デバイスまたはシステム)およびデータ処理端末/パーソナルコンピュータ(PC)326が設けられ、それぞれは、健康モニタリングデバイス320および/またはデータネットワーク322に動作可能に接続されている。さらに、図3には、健康モニタリングデバイス320、データ処理端末/PC326およびグルコースモニタ324のうちの1以上との双方向データ通信のためにデータネットワーク322に動作可能に接続されているサーバ/クラウド328が示されている。本開示の範囲内の生理学的パラメータ分析システム311は、サーバ/クラウド328、データ処理端末/PC326および/データネットワーク322のうちの1以上を除外することができる。
【0075】
特定の実施形態において、分析モジュール320Bは、生理学的パラメータ分析、および任意選択的に他の分析(例えば、cHbA1c、個別化された目標グルコース範囲、および本明細書に記載される他のもの)を実施するようにプログラム化または構成される。図示されているように、分析モジュール320Bは、健康モニタリングデバイス320の一部である(例えば、その中のプロセッサによって実行される)。しかしながら、分析モジュール320Bは、代替的に、サーバ/クラウド328、グルコースモニタ324、および/またはデータ処理端末/PC326のうちの1つ以上と関連付けられてもよい。例えば、サーバ/クラウド328、グルコースモニタ324、および/またはデータ処理端末/PC326のうちの1つ以上は、1以上のプロセッサに分析モジュール320Bに対応する一組の命令を実行させる一組の命令を有する機械可読記憶媒体(または媒体)を備えてもよい。
【0076】
健康モニタリングデバイス320、データ処理端末/PC326、およびグルコースモニタ324は、それぞれ、サーバ/クラウド328との通信のためにデータネットワーク322に動作可能に接続されるものとして示されているが、健康モニタリングデバイス320、データ処理端末/PC326、およびグルコースモニタ324のうちの1つ以上は、データネットワーク322を迂回して、サーバ/クラウド328と直接通信するようにプログラムまたは構成することができる。健康モニタリングデバイス320、データ処理端末/PC326、グルコースモニタ324、およびデータネットワーク322の間の通信モードは、1つ以上の無線通信、有線通信、RF通信、BLUETOOTH(登録商標)通信、WiFi(登録商標)データ通信、無線周波数識別(RFID)可能通信、ZIGBEE(登録商標)通信、または他の任意の適切なデータ通信プロトコルを含み、任意で、データ暗号化/復号化、データ圧縮、データ解凍など、をサポートする。
【0077】
以下にさらに詳細に説明するように、生理学的パラメータ分析は、健康モニタリングデバイス320、データ処理端末/PC326、グルコースモニタ324、およびサーバ/クラウド328のうちの1つ以上によって実行することができ、得られた分析出力は、生理学的パラメータ分析システム311内で共有される。
【0078】
さらに、グルコースモニタ324、健康モニタリングデバイス320、およびデータ処理端末/PC326は、それぞれ、通信リンクを介して互いに動作可能に接続されるように示されているが、それらは、1つの統合されたデバイス(例えば、データを送受信および処理するためのプロセッサおよび通信インターフェースを有するセンサ)内のモジュールであり得る。
【0079】
グルコースおよびHbA1cレベルの測定
本明細書に記載されている種々の時間にわたる複数のグルコースレベルの測定は、血液、間質液(ISF)、皮下液、皮膚液(dermal fluid)、汗、涙、唾液、または他の生体液などの体液中のグルコースなどの少なくとも1つの分析物を測定するためのインビボおよび/またはインビトロ(エクスビボ)の方法、デバイス、またはシステムを用いて行うことができる。場合によっては、インビボおよびインビトロの方法、デバイス、またはシステムを組み合わせて使用することができる。
【0080】
インビボの方法、デバイス、またはシステムの例は、血中またはISF中のグルコースレベルおよび任意選択的に他の分析物を測定し、ここで、センサおよび/またはセンサ制御デバイスの少なくとも一部は、対象の体内(例えば、対象の皮膚表面下)に配置される、または配置することができる。デバイスの例には、連続分析物モニタリングデバイスおよびフラッシュ分析物モニタリングデバイスが含まれるが、これらに限定されない。特定のデバイスまたはシステムは、本明細書でさらに説明され、米国特許第6,175,752号明細書および米国特許出願公開第2011/0213225号明細書に見出すことができ、これらのそれぞれの開示全体は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0081】
インビトロの方法、デバイス、またはシステム(完全に非侵襲的なものを含む)には、グルコースレベルを測定するために体外の体液に接触するセンサが含まれる。例えば、インビトロシステムは、対象の体液を担持する分析物検査ストリップを受容するためのポートを有するメータデバイスを使用することができ、このメータデバイスは、体液中の対象のグルコースレベルを決定するために分析することができる。さらなるデバイスおよびシステムについては、以下でさらに説明する。
【0082】
上述のように、グルコースレベルを測定する頻度および期間は、それぞれ、平均して、1日に約3回(例えば、約8時間毎)から、1日に約14,400回(例えば、約10秒毎)まで(またはそれより頻繁に)、および約数日~約300日以上まで変動し得る。
【0083】
グルコースレベルが一旦測定されると、グルコースレベルは、1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)を決定するため、および、場合によっては、他の分析(例えば、cHbA1c、個別化された目標グルコース範囲、および本明細書に記載される他のもの)を決定するために使用され得る。場合によっては、そのような分析は、生理学的パラメータ分析システムを使用して実行され得る。例えば、図3に戻って参照すると、いくつかの実施形態において、グルコースモニタ324は、(1)グルコースセンサからの信号を処理し、(2)処理されたグルコース信号を健康モニタリングデバイス320、サーバ/クラウド328およびデータ処理端末/PC326のうちの1つ以上に通信するための電子機器に接続されたグルコースセンサを含むことができる。
【0084】
本明細書に記載される種々の時点における1つ以上のHbA1cレベルの測定は、任意の適切な方法に従うことができる。典型的には対象からの血液サンプルを用いて検査室でHbA1cレベルを測定する。検査室での検査の例には、クロマトグラフィーに基づくアッセイ、抗体に基づくイムノアッセイおよび酵素に基づくイムノアッセイが含まれるが、これらに限定されない。電気化学バイオセンサを用いてHbA1cレベルを測定することもできる。
【0085】
HbA1cレベルの測定頻度は、平均して月ごとから年ごと(または、対象の平均グルコースレベルが安定している場合の頻度は低い)まで変動し得る。
図3に戻って参照すると、いくつかの実施形態において、HbA1cレベルは、サーバ/クラウド328、対象インターフェース320A、および/または検査機関、医療専門家、対象、または他のユーザからのディスプレイに結果が入力される検査室での検査によって測定され得る。次に、HbA1cレベルは、本明細書に記載される1つ以上の方法による分析のために、健康モニタリングデバイス320、サーバ/クラウド328、およびデータ処理端末/PC326の1つ以上によって受信され得る。
【0086】
計算されたHbA1c(cHbA1c)
1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)を計算した後、複数のグルコース測定値を続く期間の間に取得して、続く期間の間および/または続く期間の終了時に、HbA1cを計算するために使用してもよい。例えば、図1を再び参照すると、1つ以上のRPI測定値110a、110b、複数のグルコースレベル104aの時間期間106にわたる測定、時間期間106の終了時の測定HbA1cレベル102b、および任意に時間期間106の開始時の測定HbA1cレベル102aに基づいて、1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)を時点101において計算してもよい。次に、その後の期間108について、複数のグルコースレベル104bを測定することができる。次に、期間108の間および/または終了時に、式8を使用してcHbA1c値(式8のHbA1c)を決定することができ、ここで、HbA1cは期間106の終了時(期間108の開始時)における測定されたHbA1cレベル102bであり、[G]は期間108(または期間108の一部であって、期間108の間にcHbA1cが決定される)におけるグルコースレベルまたは平均グルコースレベルであり、時点101に相当する提供された1以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)が使用される。
【0087】
対象のcHbA1cは、最近測定されたHbA1cレベル、最近測定されたRPI値、およびその間のグルコースレベルの測定値によって決定された1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)に基づいて、いくつかの連続した期間について決定することができる。RPI値は、kageを再計算するために定期的に(例えば、6ヶ月~1年毎)測定することができる。計算には、最新のRPI値または複数のRPI値の平均が使用できる。HbA1cは、1つ以上の生理学的パラメータを再計算するために定期的に(例えば、6ヶ月~1年毎)測定されてもよい。RPI値の再測定とHbA1c測定値との間の時間は、(1)グルコースレベルの測定の一貫性、(2)グルコースレベルの測定の頻度、(3)対象とその家族の糖尿病歴、(4)対象が糖尿病と診断されてからの経過時間、(5)対象の個別化された糖尿病管理(例えば、薬剤/用量の変更、食事の変更、運動の変更など)への変更、(6)kmatに影響する疾患または障害(例えば、貧血、骨髄疾患、遺伝性疾患、免疫系疾患、およびこれらの組み合わせ)の存在に依存する。例えば、グルコースレベルの一貫した測定値(例えば、変動が5%未満の[G])かつグルコースレベルの頻繁な測定値(例えば、持続的なグルコースモニタリング)を有する対象は、一貫した頻繁なグルコースレベルの測定値を有していたとしても最近(例えば、過去6カ月以内)に糖化薬剤の用量を変更した対象よりも、少ない頻度でHbA1cレベルを測定してもよい。
【0088】
図4は、図2を参照して、本開示の生理学的パラメータ分析システム211によって出力218として生成され得るcHbA1cレポートの一例を示す。例示的なレポートには、経時的な平均グルコースレベルのプロットが含まれる。また、最新のRPI測定値(白丸)、最新のHbA1c測定レベル(十字)、生理学的パラメータ解析システム211により計算されたcHbA1c値(アスタリスク)もレポートに含まれている。最新のRPI測定値と最新のHbA1c測定レベルは異なる日に測定されたものとして図示されているが、これら2つの測定は医療提供者への同一の訪問時において行うことができる。
【0089】
2つのcHbA1cレベルが図示されているが、cHbA1cを連続的に追跡するラインを含む1つ以上のcHbA1cレベルがレポートに表示されてもよい。代替的に、生理学的パラメータ分析システム211の出力218は、現在のまたは最新に計算されたcHbA1cについての単一の数、図4のデータに相当する表、または少なくとも1つのcHbA1cレベルを対象、医療提供者などに提供する任意の他のレポートを含むことができる。
【0090】
場合によっては、対象の個別化された糖尿病管理の有効性を監視するために、cHbA1cを以前のcHbA1cおよび/または以前に測定されたHbA1cレベルと比較することができる。例えば、食事および/または運動計画が、対象の個別化された糖尿病管理の一部として実施されており、他の全ての因子(例えば、薬物療法や他の疾患)が等しい場合、以前のcHbA1cおよび/または以前に測定されたHbA1cレベルと比較したcHbA1cの変化は、食事および/または運動計画が有効であるか、無効であるか、またはそれらの間の段階的変化であるかを示し得る。
【0091】
場合によっては、cHbA1cを以前のcHbA1cおよび/または以前に測定されたHbA1cレベルと比較して、別のHbA1c測定を行うべきかどうかを決定することができる。例えば、有意なグルコースプロファイルの変化がない場合に、cHbA1cが以前のcHbA1cおよび/または以前に測定されたHbA1cレベルと比較して0.5パーセント単位以上変化する場合(例えば、7.0%から6.5%または7.5%から6.8%への変化)、別の測定されたHbA1cレベルが試験され得る。
【0092】
場合によっては、cHbA1cと以前のcHbA1cおよび/または以前に測定されたHbA1cレベルとの比較は、異常または病的な生理学的状態が存在するかどうかを示し得る。例えば、対象がcHbA1cかつ/または測定されたHbA1cレベルを長期間維持している場合、cHbA1cの変化が他の明らかな原因で確認されなければ、対象は新たな異常または病的な生理学的状態を有する可能性がある。新たな異常または病的な生理学的状態の指標は、1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)から収集することができる。1つ以上の生理学的パラメータに関連する異常または病的な生理学的状態の詳細は、本明細書でさらに議論される。
【0093】
個別化された目標グルコース範囲
典型的には、糖尿病に罹患した対象のグルコースレベルは、54mg/dL~180mg/dLの間に維持されることが好ましい。しかしながら、本明細書に記載される動力学モデル(式6を参照)は、細胞内グルコースレベルが生理学的パラメータkgly、kage、およびKに依存することを示している。したがって、測定されたグルコースレベルは対象の実際の生理学的状態に対応しない場合がある。例えば、K値が正常値より高い対象は、グルコースをより容易に糖化する可能性がある。したがって、測定したグルコースレベルが180mg/dLでは対象にとって高すぎる可能性があり、長期的には対象の糖尿病の影響を悪化させる可能性がある。別の例では、kglyが通常よりも低い対象は、グルコースの糖化の程度が低い可能性がある。したがって、54mg/dLのグルコースレベルでは、対象の細胞内グルコースレベルははるかに低く、対象が脱力感をきたし、長期的には対象を低血糖状態に導く可能性がある。
【0094】
許容正常グルコース下限値(LGL)および許容正常HbA1c上限値(AU)を用いて、個別化されたグルコース下限値(GL)(式13)および個別化されたグルコース上限値(GU)(式14)の方程式を式6から導出することができる。
【0095】
【数13】
【0096】
【数14】
【0097】
式13は、グルコース範囲の下限が同等の細胞内グルコースレベルに基づいているため、kglyに基づいている。式14は、グルコース範囲の上限が同等の細胞外グルコースレベルに基づいているため、Kに基づいている(例えば、許容正常HbA1c上限値)。
【0098】
上記について現在受け入れられている値は、LGL=54mg/dL、
【0099】
【数15】
【0100】
=6.2*10-6dL*mg-1*日-1、およびAU=0.08(すなわち8%)である。現在受け入れられている値を使用して、式15および16を導き出すことができる。
【0101】
【数16】
【0102】
【数17】
【0103】
図5Aは、個別化された目標グルコース範囲530を決定する方法の一例を示す。下限534および上限536を有する所望の細胞内グルコース範囲532(例えば、現在受け入れられているグルコースの範囲)は、それぞれ、式13および式14を用いて、1つ以上の決定された生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)538を用いて個別化され得る。この結果、個別化された目標グルコース範囲530を規定する個別化されたグルコース下限(GL)540(式13±7%)および個別化されたグルコース上限(GU)542(式14±7%)が得られる。1以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)が計算された後、個別化された目標グルコース範囲が決定され得、ここで、グルコース下限は、式13(または式15)±7%に従って変更され得、および/またはグルコース上限は、式14(または式16)±7%に従って変更され得る。上記計算値の各々に対して±7%であることは、使用される計算値に実質的に近い異なる値を許容し、その結果、個別化された目標グルコース範囲530の個別化された性質が維持される。あるいは、±7%は、±10%、±5%、または±3%であってもよい。
【0104】
例えば、Kが4.5*10-4dL/mg、kglyが7.0*10-6dL*mg-1*日-1の対象では、個別化された目標グルコース範囲は約48±3.4mg/dL~約193±13.5mg/dLである。従って、対象は、現在実施されているグルコース範囲よりも、許容可能なグルコースレベルの範囲が広い可能性がある。
【0105】
図5Bは、図2を参照して、本開示の生理学的パラメータ分析システム211による出力218として生成され得る個別化された目標グルコース範囲レポートの一例を示す。図示された例示的なレポートには、前述の個別化された目標グルコース範囲(破線の間の領域)に対する1日にわたるグルコースレベルのプロットが含まれる。あるいは、他のレポートには、限定されるものではないが、ambulatory glucose profile(AGP)プロット、最新のグルコースレベル測定を用いた個別化された目標グルコース範囲の数値表示など、およびこれらの任意の組み合わせが含まれ得る。
【0106】
別の例では、6.5*10-4dL/mgのKおよび6.0*10-6dL*mg-1*日-1のkglyを有する対象は、約56±3.5mg/dL~約134±10mg/dLの個別化された目標グルコース範囲を有し得る。グルコールレベルの上限が大幅に低下した場合、対象の個別化された糖尿病管理は、より頻繁なグルコールレベル測定および/または個別化された目標グルコース範囲内に実質的にとどまるための投薬を含み得る。
【0107】
さらに別の例では、K値が5.0*10-4dL/mg、kglyが5.0*10-6dL*mg-1*日-1の対象では、約67±4.5mg/dL~約174±12mg/dLの個別化された目標グルコース範囲を有し得る。この対象はより低いグルコースレベルに対してより感受性が高く、現在実施されているグルコース範囲(54mg/dLおよび180mg/dL)を用いると、脱力感、空腹感、めまいなどをより頻繁に感じる可能性がある。
【0108】
上記の例は全て、個別化されたグルコース下限値および個別化されたグルコース上限値を含むが、個別化された目標グルコース範囲は、代替的に、個別化されたグルコース下限値または個別化されたグルコース上限値のみを含み、個別化された目標グルコース範囲の他の値として、現在実施されているグルコース下限値または上限値を使用してもよい。
【0109】
個別化された目標グルコース範囲は、生理学的パラメータ分析システムにおいて決定および/または実装され得る。例えば、治療法(例えば、インスリン投与量)を決定するグルコースモニタおよび/または健康モニタリングデバイスに関連する一連の命令またはプログラムは、そのような分析において個別化された目標グルコース範囲を使用し得る。場合によっては、ディスプレイまたはディスプレイを備えた対象のインターフェースは、個別化された目標グルコース範囲を表示し得る。
【0110】
個別化された目標グルコース範囲は、1つ以上の生理学的パラメータが再計算されるにつれて、経時的に更新され得る。
個別化された目標平均グルコース
場合によっては、対象の個別化された糖尿病管理には、将来の時点におけるHbA1c値の目標値を有することが含まれることがある。例えば、図1を参照すると、対象は、時点101についてのRPI測定値101bおよびHbA1c測定値102bと、その前の期間106にわたる複数のグルコースレベル測定値とを有することができる。対象の個別化された糖尿病管理は、対象のための改善された健康と相関する時点103に対する目標HbA1c値(AT)を含むことができる。式17は、次の期間108の個別化された目標平均グルコースレベル(GT)を計算するために使用することができ、目標HbA1c値(AT)および時点101で計算された対象のKに基づいている。
【0111】
【数18】
【0112】
いくつかの実施形態において、生理学的パラメータ分析システムは、期間108中の対象の平均グルコースレベルを決定し、場合によっては、平均グルコースレベルおよび/または目標平均グルコースレベルを表示することができる。対象は、現在の平均グルコースレベルおよび目標平均グルコースレベルを使用して、期間108にわたるそれらの進行を自己監視することができる。場合によっては、現在の平均グルコースレベルは、監視および/または分析のための生理学的パラメータ分析システムを使用して、(定期的に、または規則正しく)医療提供者に送信され得る。
【0113】
図6は、図2を参照して、本開示の生理学的パラメータ分析システム211による出力218として生成され得る個別化された目標平均グルコースレポートの一例を示す。例示的なレポートには、経時的な対象の平均グルコースのプロット(実線)および個別化された目標平均グルコース(150mg/dLでの破線で示す)が含まれる。代替的に、他のレポートは、限定されるものではないが、所与の時間枠(例えば、最近の12時間)にわたる対象の平均グルコースレベルを有する個別化された目標平均グルコースの数値表示など、およびそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0114】
個別化された目標平均グルコースは、1つ以上の生理学的パラメータが再計算されるにつれて、経時的に更新され得る。
個別化された治療-対象のトリアージ
インスリンポンプは、連続的なグルコースモニタリングとともに、グルコースレベルを厳密にコントロールする必要がある対象に使用してもよい。上述のように、目標グルコース範囲は個別化されており、kglyおよび/またはKに基づいている。従って、場合によっては、より狭い個別化-目標グルコース範囲を有する対象が、連続的なモニタリングを伴うインスリンポンプのより強力な候補であり得る。連続的なグルコースモニタリングを伴うインスリンポンプのより強力な候補となる対象のトリアージは、個別化された目標グルコース範囲、kgly、および/またはKの広がりに基づいていてもよい。
【0115】
現在実施されているグルコースの下限または上限の間の広がりは、約126mg/dLである。しかしながら、上述のように、kglyおよびKに依存して約78mg/dLに狭まる可能性がある。いくつかの実施形態は、個別化された目標グルコース範囲スパン(span)が約110mg/dL以下、好ましくは約100mg/dL以下である場合、連続的なグルコースモニタリングを伴うインスリンポンプに対象をトリアージすることを含み得る。
【0116】
いくつかの実施形態は、kglyが6.4*10-6dL*mg-1*日-1以下である場合、kglyが6.0*10-6dL*mg-1*日-1以下である場合、kglyが5.5*10-6dL*mg-1*日-1以下である場合、またはkglyが5.0*10-6dL*mg-1*日-1以下である場合、連続的なグルコースモニタリングを伴うインスリンポンプに対象をトリアージすることを含み得る。
【0117】
いくつかの実施形態は、Kが5.0*10-4dL/mg以上である場合、Kが5.5*10-4dL/mg以上である場合、Kが5.75*10-4dL/mg以上である場合、Kが6.0*10-4dL/mg以上である場合、連続グルコースモニタリングを伴うインスリンポンプに対象をトリアージすることを含み得る。
【0118】
いくつかの実施形態において、連続的なグルコースモニタリングを伴うインスリンポンプに対象をトリアージすることは、段階的なトリアージであってもよく、まず、対象のグルコースレベルが合理的な期間(例えば、約5日、約10日、約15日、約30日またはそれ以上)にわたって連続的にモニタリングされる。この連続的なモニタリング期間は、対象がグルコースレベルを効果的に管理することができるかどうか、インスリンポンプがより優れているかどうか、または必要であるかどうかを評価するために使用することができる。
【0119】
インスリンポンプによる治療前に、トリアージが連続的なグルコースモニタリングを伴うインスリンポンプに対して直接行われるか、またはモニタリングを伴う段階的なトリアージであるかは、指標(すなわち、個別化された目標グルコース範囲スパン、kgly、K、またはそれらの任意の組み合わせ)のレベルによって決定され得る。例えば、kglyが約6.4*10-6dL*mg-1*日-1であるが、個別化された目標グルコース範囲スパンが約100mg/dLである場合、対応する指標がインスリンポンプを使用すべきであることを示唆する他の対象と比較して、対象は段階的なトリアージにより適している可能性がある。
【0120】
いくつかの実施形態において、トリアージは、ルックアップテーブル(例えば、本開示の生理学的パラメータ分析システムに記憶されている)に基づくことができる。ルックアップテーブルは、例えば、1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)、個別化された目標グルコース範囲スパン、および/または既存の医学的状態、病状の家族歴、現在の治療、年齢、人種、性別、地理的位置、糖尿病型、糖尿病診断の期間などのような、本明細書に記載される他の因子、およびそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに限定されない、複数の値を相互に関連付けることができる。ルックアップテーブルの列(columns)は、例えば、前述のパラメータの範囲または限界を定義することができ、行(rows)は、図2の生理学的パラメータ分析システム211の出力218であり得る、提案された行動方針(course of action)を示すことができる。例えば、2つの列は、kglyの上限および下限を定義することができ、ここで、各行は、「インスリンポンプの候補」、「閉ループ制御システムの候補」、「基礎(basal)/ボーラスインスリン療法の候補」、「基礎単独インスリン療法の候補」、または糖尿病を制御するために使用されるか、または対象の糖化に影響を与えるために使用される任意のそのような治療、のような提案された行動方針に対応する。場合によっては、複数の行動方針が示されることがある。したがって、この例では、対象のトリアージレポートは、単に提案された一連の行動が表示されてもよい。
【0121】
代替的に、対象のトリアージレポートは、例えば、ルックアップテーブルに関連して上述した1つ以上のパラメータによって定義されるプロット上の行動方針に対応するゾーンのマップを示してもよい。そのようなゾーンは、場合によっては、ルックアップテーブルによって定義され得る。マップ上の各ゾーンは、推奨を表すようにラベル付けされてもよく、対象の血糖パラメータ点は、その対象の関連ゾーンを示すようにマップ上に示されてもよい。
【0122】
上記の2つの対象トリアージレポートは、ルックアップテーブルに基づく例であるが、代替的に、上記の2つの対象トリアージレポートは、(1)1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)、個別化された目標グルコース範囲スパン、および/または本明細書に記載された他の因子と、(2)行動方針との間の他の相関(例えば、数学的アルゴリズムまたは行列解析)に基づくことができる。
【0123】
既に述べたように、対象の糖化パラメータは、医療提供者と支払者(payors)がどの治療ツールがどの対象に最も適しているかをより適切に判断するのに役立つ可能性がある。例えば、閉ループインスリンポンプシステムは、使用および維持するのに費用がかかるが、高い糖化率を有する対象は非常に狭い個別化された目標グルコース範囲を有する場合があり、最も安全な治療は閉ループ型インスリンポンプシステムを使用して、そのような範囲内にグルコースレベルを維持することである。
【0124】
いくつかの実施形態において、連続グルコースモニタリングを伴うインスリンポンプは、閉ループシステムであってもよい。いくつかの実施形態において、連続グルコースモニタリングを伴うインスリンポンプは、ハイブリッドループ系であってもよい。例えば、図3を再び参照すると、生理学的パラメータ分析システムは、生理学的パラメータ分析システム311内の構成要素のうちの1つ以上、例えば、グルコースモニタ324(例えば、連続的なグルコースモニタリングシステム)および健康モニタリングデバイス320、と通信する前述のインスリンポンプのうちの1つをさらに含み得る。
【0125】
個別化治療-糖尿病治療薬の滴定(Titration)
いくつかの実施形態において、1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、およびK)は、対象に与えられる糖尿病治療薬(例えばインスリン)の用量を滴定する際に使用され得る。例えば、図2を参照すると、本開示の生理学的パラメータ分析システム211は、(1)1つ以上の生理学的パラメータ、(2)個別化された目標グルコース範囲、および/または(3)個別化された目標平均グルコースを決定すること、または入力を有することができる。その後、次のグルコースレベルが測定されると、生理学的パラメータ分析システム211は、推奨される糖尿病治療薬の用量を出力することができる。代替的または補完的な出力218は、グルコースパターン洞察レポート(insight report)であってもよい。
【0126】
グルコースパターン洞察レポートの例は、米国特許出願公開第2014/0188400号明細書および米国特許出願公開第2014/0350369号明細書に見出すことができ、これらの各開示の全体は、すべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。前述の出願において開示された分析およびレポートは、本開示の1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、およびK)に基づいて修正することができる。
【0127】
例えば、図7は、図2を参照して、生理学的パラメータ分析システム211(例えば、インスリン滴定システム)の出力218であり得るグルコースパターン洞察レポートの一例を示す。図示されたグルコースパターン洞察レポートは、血糖コントロール対策(または「信号(traffic light)」)の表と共にAGPを組み込む。図示されているように、レポートは、120mg/dLでの個別化された目標平均グルコース、分析期間(例えば約1~約4カ月)にわたる対象の平均グルコースレベル、分析期間にわたる対象の25~75パーセンタイルのグルコースレベル、および分析期間にわたる対象の10~90パーセンタイルのグルコースレベルを示す、分析期間にわたるAGPプロットを含む。グルコースパターン洞察レポートは、個別化された目標グルコース範囲をさらにまたは代替的に表示することができる。さらに、グルコースパターン洞察レポートは、任意に、測定されたHbA1cレベル、cHbA1cレベル、平均グルコースおよび関連するパーセンタイルが決定された日付範囲などの1つ以上をさらに含むことができる。
【0128】
グルコースパターン洞察レポートのAGPプロットの下にあるのは、1つ以上の(3つとして示された)血糖コントロール対策(measures)と、分析期間中の1日の特定の短時間における対象の平均グルコースレベルとの相関を示す表である。この例では、相関は、血糖コントロール対策に基づく状態のリスクに対応する信号(例えば、緑(良好)、黄(中程度)、高(赤))として表示されている。血糖コントロール対策の例には、限定されるものではないが、低グルコースの可能性、高グルコースの可能性、個別化された目標平均グルコースに対する平均グルコースの近接性、個別化された目標平均グルコース範囲に対するグルコースレベルの順守(adherence)、個別化された目標平均グルコースの下(または上)の平均グルコースの変動の程度、個別化された目標グルコース範囲の外(下および/または上)のグルコースレベルの変動の程度などが含まれる。
【0129】
いくつかの実施形態において、グルコースパターン洞察レポートは、糖尿病治療薬滴定システムの一部として使用することができ、ここで、信号(またはそれに関連する値)は、糖尿病治療薬の基礎用量または食事に関連する糖尿病治療薬のボーラス量の変更などの治療修正を提供するためのロジックを駆動することができる。例えば、自動または半自動の滴定システムと組み合わせて使用する場合、これらの信号によって駆動されるロジックは、用量調節について対象に推奨を与えることができる。
【0130】
本明細書に記載されている動力学モデルの使用を組み込んだグルコースパターン洞察レポートおよび関連する分析は、糖尿病を有する対象により良好な治療を提供し得る。この例では、前述したように、Kが5.0*10-4dL/mg、kglyが5.0*10-6dL*mg-1*日-1の対象では、約67±4.5mg/dL~約174±12mg/dLの個別化された目標グルコース範囲を有し得る。この対象はより低いグルコースレベルに対してより感受性が高く、現在実施されているグルコース範囲(54mg/dLおよび180mg/dL)を用いると、脱力感、空腹感、めまいなどをより頻繁に感じる可能性がある。1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、およびK)を使用する本明細書に記載されているグルコースパターン洞察レポートに使用される分析ロジックは、「低グルコースの可能性」のための信号として低血糖のリスクを定義する設定を含み得る。例えば、低血糖の可能性が低リスクであることを示唆する場合(例えば、緑の信号)、インスリンを増量しても安全と考えられる。低血糖の可能性が中等度のリスク(例えば、黄色の信号)であることを示唆する場合、現在のリスクは許容できるが、それ以上インスリンを増量すべきではないと考えられる。最後に、低血糖の可能性が高リスクであることを示す場合は、インスリンを減量してグルコースを耐容レベルに戻すべきであることが推奨される。下方グルコースレベルの閾値が上昇しているために低血糖症のリスクが高い対象の場合、中程度のリスクと高いリスクが示される閾値グルコース値(例えば、下方グルコースレベルの閾値をどれだけ下回るか)は、正常な下方グルコースレベルの閾値を有する対象の場合よりも高くてもよい。
【0131】
前述の例は、出力218としてグルコースパターン洞察レポートを論じているが、同じロジックおよび分析を使用する他の出力を他の実施形態で使用してもよい。例えば、出力218は推奨用量の値であり得る。
【0132】
1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、およびK)および関連する分析(例えば、個別化された目標グルコース範囲、個別化された目標平均グルコース、cHbA1cなど)は、定期的に更新され得る(例えば、約3カ月~1年毎)。更新の頻度は、とりわけ、対象のグルコースレベルおよび糖尿病歴(例えば、対象が規定された閾値内にどの程度留まるか)、他の病状などに依存し得る。
【0133】
インスリン滴定システムはまた、1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、およびK)に関連する誤差(error)を利用してもよい。誤差値は、当業者によって標準的な統計技術を用いて決定することができ、滴定システムを構成するためのパラメータの別のセットとして使用することができる。例えば、個別化された目標グルコース範囲の下方グルコースレベルが約64mg/dLであり、誤差が約7%以下である場合には、許容される低血糖リスク量(すなわち、中等度および高度のリスクを示すための下方グルコースレベルの閾値よりも低い耐糖能)を用いてもよい。
【0134】
(例えば、滴定を介する)糖尿病治療薬の用量は、1つ以上の生理学的パラメータが再計算されるにつれて、経時的に更新され得る。
閉ループ制御システムおよびハイブリッド閉ループ制御システム
対象にインスリン投与量を推奨または投与する閉ループシステムおよびハイブリッド閉ループシステムが、ほぼリアルタイムのグルコース測定値に基づくインスリン送達のために開発されている。これらのシステムは、対象の生理機能、グルコースセンサの動力学、およびグルコースセンサの誤差特性を記述するモデルに基づいていることが多い。いくつかの実施形態において、1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、およびK)および関連する分析(例えば、個別化された目標グルコース範囲、個別化された目標平均グルコース、cHbA1cなど)は、対象のニーズをより良好に満たすために、インスリン滴定について上述したものと同様に、閉ループシステムに組み込むことができる。
【0135】
閉ループシステムは、多くの場合、目標範囲内および/または単一のグルコース目標に向かって対象のグルコースレベルを「駆動(drive)」するように構成され、それらは本明細書に記載される個別化された目標グルコース範囲および/または個別化された目標平均グルコースであり得る。例えば、高いkglyおよび個別化された目標グルコース範囲に対するグルコース下限値の増加を有する対象に対して、コントローラは、kglyに基づくグルコース下限値より上に留めるようにそれらのグルコースレベルを駆動することができ、これにより、正常なグルコース範囲を有する対象よりもそれらに悪影響を及ぼすより低いグルコースレベルを回避する。同様に、個別化された目標グルコース範囲に対してグルコース上限値が減少した対象は、高血糖効果を緩和するためにグルコースを個別化されたグルコース上限値未満に留めるように駆動する、閉ループインスリン送達システムおよびハイブリッド閉ループインスリン送達システムのコントローラを有し得る。
【0136】
閉ループインスリン送達システムおよびハイブリッド閉ループインスリン送達システムがインスリンの用量を決定する測定基準は、1つ以上の生理学的パラメータが再計算されるにつれて、時間の経過とともに更新され得る。例えば、個別化された目標グルコース範囲および/または個別化された目標平均グルコースは、1つ以上の生理学的パラメータが再計算されるときに経時的に更新され得る。
【0137】
個別化された治療-糖化薬
糖尿病は、対象の膵臓が十分な(または任意の)インスリンを産生できないことに起因する疾患である。しかしながら、場合によっては、対象の糖化プロセスが、細胞内グルコースを適切に制御していない身体が原因である可能性がある。このような対象は、従来の糖尿病治療よりも糖化薬剤(glycation medications)を使用する治療に反応しやすい可能性がある。本開示の動力学モデルは、kglyおよび/またはK(これは部分的にkglyに基づく)を導出する。したがって、これらの生理学的パラメータの一方または両方を、糖化障害のある対象を特定、治療、および/またはモニタリングする際に使用することができる。
【0138】
いくつかの実施形態は、糖化薬剤について対象のkglyおよび/またはKをモニタリングすること、およびいくつかの例では、kglyおよび/またはKへの変化に基づいて糖化薬剤投与量を変更することを含み得る。例えば、図1を参照すると、いくつかの実施形態は、(上述のように)時点101でのkgly1および/またはK、および時点103での対応するkgly2および/またはKを決定すること、および期間108にわたって対象を糖化薬剤で治療することを含み得る。次に、kgly1および/またはKと対応するkgly2および/またはKとの比較に基づいて、糖化薬剤の用量および/または種類が、その後の期間にわたって変更されてもよい。次いで、いくつかの例では、対応するkgly3および/またはKを、先に決定された生理学的パラメータの1つ以上と比較するために、次の期間の終了時に決定してもよい。時点101と時点103との間の時間、および時点103とkgly3および/またはKに対応する時点との間の時間は、少なくとも、監視されているパラメータの測定可能な変化を生ずるために、糖化薬剤が期待される時間であるべきであり、これは、薬剤および用量に依存し得る。
【0139】
いくつかの実施形態において、図2の生理学的パラメータ分析システム211の出力218は、生理学的パラメータ分析システム211によって計算されたkglyおよび/またはKに基づく糖化薬剤の投薬および/または用量の推奨を含む糖化薬剤レポートであってもよい。この出力218は、対象、医療提供者などが糖化薬剤の投薬および/または用量を検討および調整するために表示され得る。
【0140】
あるいは、推奨用量は、対象および/または自動化薬物送達システムに、次に投与されるべき用量を提供する。ここで、システムは薬剤の滴定を導き、ここで、対象は最低用量または推奨される初期用量から始めることができる。初期用量は、対象の現在の状態、対象のkgly1および/またはK、および本明細書に記載される他の因子によって定義することができる。現在の投薬量の効果が適切に決定されるための適切な時間が経過した後、kgly2および/またはKは、新たに測定されたHbA1cレベルおよび投薬量の間に測定されたグルコースレベルに基づいて決定され得る。次に、kgly2および/またはKを、(1)kgly1および/またはKおよび/または(2)目標kglyおよび/または目標Kと比較して、用量を変更する必要があるかどうかを決定することができる。例えば、糖化率を低下させることを意図した薬剤を服用している高糖化者(glycator)対象について、kgly2が依然として所望より高い場合、用量の推奨は、(1)標準的な滴定プロトコルおよび/または(2)過去の用量変化が対象にどのように影響するかを説明するシステム(対照理論として知られる)に従って増加され得る。別の例では、対象のkgly2が低い場合には、用量を減らすことができる。Kまたは他のパラメータに影響を及ぼすように薬剤を同様に滴定することもできる。さらに、同様のプロセスを用いて、影響を受ける血液の適切な量を誘導することによって、輸血または採取(harvesting)などの非薬物療法を推奨することができる。
【0141】
glyおよび/またはKを使用して糖化薬の有効性と滴定を監視することは、異常な糖化生理機能を有する対象を治療する医療提供者にとって価値がある。
糖化薬剤の用量を決定することによる測定基準は、1つ以上の生理学的パラメータが再計算されるときに経時的に更新されてもよい。
【0142】
異常または病的な生理学的状態の特定
運動論モデリングは、特定の実施形態において、異なる期間について生理学的パラメータ(例えば、kgly、kage(またはkgen)、および/またはK)を提供し、ここで、同じパラメータが、対象の異常または病的な状態を示すために異なる期間の間で比較される。対象におけるkgly、kage、および/またはKの変動は、対象の異常または病的な状態の指標を提供し得る。すなわち、kgly、kage、および/またはKは対象間で変動するが、1人の個人に対するkgly、kage、および/またはKの変動は小さく、遅い。したがって、2つ以上の異なる期間でのkgly、kage、および/またはKの比較は、対象の生理学的状態情報を提供する。例えば、kgly、kage、および/またはKへの臨床的に有意な変化が経時的に観察される場合、異常または病的な生理学的状態が存在する可能性があり、存在する可能性が高い。
【0143】
例えば、経時的にkglyが有意に変動し、その変動が臨床的に有意である場合、そのような臨床的に有意な変動は、グルコース輸送体レベルまたは細胞膜が変化したことを示し得る。このような生物学的変化は、病状を経験している対象の生理学に起因する対象の体内における潜在的な代謝変化を示している可能性がある。
【0144】
age、および/またはkgenが経時的に有意に変動し、その変動が臨床的に有意である場合、免疫系は除去する必要のある細胞を認識するように設計されているため、そのような臨床的に重要な変動は、対象の免疫系の変化を示している可能性がある。
【0145】
ageおよび/またはkgenの臨床的に有意な変動は、付随的にまたは代替的に、体内の酸素感知機構に関連し得る。経時的に増加するkageおよび/またはkgenは、対象の身体がより多くの酸素を運ぶために赤血球を必要とすること、または酸素感知機構が正しく機能していないことを示してもよく、いずれの理由も、例えば、失血または疾患状態などの生理学的状態の変化を示す。
【0146】
さらに別の例(前述の例の組み合わせまたは代替例)では、kageおよび/またはkgenにおける臨床的に有意な変動は、骨髄の変化と関連し得る。例えば、骨髄が突然、赤血球を運ぶ酸素を大量に産生すると、対象の体は反応して赤血球を殺したり排出したりする。すなわち、kageおよび/またはkgenの臨床的に有意な増加が骨髄異常と関連している可能性がある。
【0147】
別の例では、ホルモン障害によって、kage、kgen、およびKの臨床的に有意な変動が生じる可能性がある。ホルモンは、心拍数、収縮力、血液量、血圧、および赤血球産生に影響を及ぼす可能性がある。カテコールアミンやコルチゾールなどのストレスホルモンは、骨髄からの網状赤血球の放出を刺激し、赤血球生成を促進する可能性がある。したがって、ホルモンレベルの大きな変動は、kageおよび/またはkgen、ひいてはKを変化させる可能性がある。
【0148】
さらに別の例では、kgly、kage、および/またはKの正常値からの逸脱は、糖尿病または前糖尿病の指標となりうる。kgly、kage、および/またはKを用いた糖尿病または前糖尿病の測定は、標準的な空腹時血糖検査およびHbA1c測定よりも効果的である可能性がある。例えば、測定されたHbA1c値が正常範囲内であり、空腹時血糖値が正常である対象は、空腹時以外の時間における高血糖値と関連して低Kglyである可能性がある。従って、対象は、そうでなければ標準的な糖尿病診断方法に基づいて見過ごされていた可能性のある早期の糖尿病インターベンションの候補となり得る。
【0149】
別の例では、新たに測定されたHbA1cが高い対象について、標準的な糖尿病治療を用いて、それらのHbA1cを低下させることができる。しかしながら、kglyが異常であると判断することは、問題が膵臓ではなく糖化生理学にあることを示している可能性があり、他のより的を絞った治療形態を示唆している。
【0150】
本開示の実施形態は、決定されたkgly、kage、および/またはK、経時的なkgly、kage、および/またはKの変化、および/または起こり得る異常または病的な生理学的状態を表示することを含む。
【0151】
本明細書に記載される方法において、本開示の実施形態に従って、生理学的パラメータ分析は、対象の異常または病的な状態の指標、ならびに対象の個別化された糖尿病管理のための1つ以上のパラメータまたは特徴の分析および/またはモニタリングツールを提供する。
【0152】
サプリメントおよび/または医薬品の特定
いくつかのサプリメントや医薬品は、体内での赤血球の糖化、排泄、生成の動力学と相互作用する。例えば、ドーピングのために運動選手によって使用されるサプリメントおよび医薬品には、限定されるものではないが、ヒト成長ホルモン、代謝レベルを増加させるサプリメントおよび医薬品などが含まれる。ヒト成長ホルモンは赤血球数を増加させるものであり、その結果、kageが増大する。別の例では、代謝レベルを高めるサプリメントや医薬品(例えば、AMPKアゴニストのような運動模倣薬)がkglyに影響を及ぼす可能性がある。したがって、いくつかの実施形態は、ドーピングの指標として1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)を使用できる。
【0153】
第1の例において、正常範囲外の1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)を有することは、場合によっては、ドーピングの指標として使用され得る。
【0154】
別の例では、1つ以上の生理学的パラメータ(kgly、kage、および/またはK)が一旦決定されると、10日間以上にわたる連続的なモニタリングは、ドーピングを示すことができる生理学的パラメータの突然の変化を特定することができる。これは、単独で、または正常範囲外である1つ以上の生理学的パラメータの前述の例と組み合わせて使用することができる。
【0155】
生理学的年齢
生理学的パラメータkage、その結果としてKは加齢により変化する。従って、標準化代謝年齢を計算するための生物学的マーカとして、Kageおよび/またはK(kglyにおける安定したまたは既知の変化が提供される)を用いることができる。一般に、時間の経過とともに、Kageは減少し、Kは増加する。健康な対象のKageおよび/またはKと年齢との相関関係を使用して、新たな対象の代謝年齢を計算することができる。この代謝年齢は、心疾患、アルツハイマー病、骨粗鬆症などの加齢に伴う変性疾患に対する新規な対象のリスクの指標として用いることができる。加齢に伴う変性疾患のリスクは、予防的スクリーニングおよび/または予防的治療のために、加齢に伴う変性疾患の家族歴と併せて用いることができる。例えば、代謝年齢が65歳で、晩年に心血管疾患の家族歴を有する54歳の対象は、代謝年齢が50歳で、同様の家族歴を有する54歳の対象よりも、心血管疾患の徴候および/または進行についてより頻繁に検査されてもよい。
【0156】
ピアベース(Peer-Based)の治療のためのグループ化の決定
個人の健康状態は、動機づけの力としてピア・インタラクション(peer interaction)を利用するグループ・プログラム・システムおよび方法を用いて治療することができる。いくつかの例において、健康状態は、前糖尿病、心臓病、前高血圧、高血圧、前冠状動脈硬化症、前腎不全、それらの組み合わせ、およびその他のうちの1つ以上を含み得る。システムおよび方法は、参加者がファシリテーター(facilitator)と交流して、および/または互いに交流して、健康レジメンにより効果的に従う社会環境の創出および/または維持を促進するために使用することができる。
【0157】
多くの実施形態において、そのようなグループプログラムを利用する方法は、参加者間の共通または類似の特性に基づいて参加者のグループを選択することを含む。この選択は、一致する(例えば、1つ以上の生理学的パラメータについて同一または類似の値を有する)、本明細書に記載される生理学的パラメータ(例えば、kgly、kage(またはkgen)、K、および/またはcHbA1c)の1つ以上を使用して行うことができる。参加者グループには、任意の数の2名以上の参加者(8~16、12~18など)を含めることができる。
【0158】
健康管理計画の標的または目標が達成された程度を評価するために、1つ以上の身体測定基準を用いることができる。これらの生理学的パラメータのうちの1つ以上(例えば、kgly、kage(またはkgen)、K、および/またはcHbA1c)を身体測定値として使用することができるが、これは必須ではない。例えば、システムおよび方法は、前糖尿病と診断された参加者が糖尿病を発症するリスクを低下させるために減量するように誘導するため、肥満と診断された参加者が運動および/または食事レジメンを介して減量するように誘導するため、および他の目的のために使用され得る。体重の減少は、目標に向けた進捗状況を評価するために測定できる一般的に使用される測定基準であるが、他の身体測定基準も使用することができ、限定されるものではないが、ボディマスインデックス(BMI)、体脂肪率、血圧、およびコレステロールが含まれる。
【0159】
グループの選択に加えて、方法は、さらに、一致した参加者のグループからネットワークを介して身体測定値を受信すること、各参加者の身体測定の傾向を決定すること、一致したグループの残りの身体測定の傾向に対する参加者の身体測定の傾向に基づいて、参加者にフィードバックを提供すること、をさらに含むことができる。このフィードバックは、標的または目的に向けたさらなる進歩を刺激する動機付け要因として機能し得る。一致したグループおよび/または一致した参加者のグループを導くファシリテーターは、一致したグループ全体および/または一致したグループの個々の参加者に合わせたフィードバックおよびサポートを提供することができる。測定値を受信して分析し、フィードバックを提供するこのプロセスは、継続的なモチベーションと進歩のために、プログラムの期間にわたって定期的に繰り返すことができる。
【0160】
複数の参加者を一致するグループにグループ化することは、参加者間のコミュニティを確立するために機能する。グループ化の決定は、少なくとも1つの生理学的パラメータ(例えば、kgly、kage(またはkgen)、K、および/またはcHbA1c)が共通していることに加えて、以下を含むがこれらに限定されない他の要因に基づいて行うことができる:共通の目標の特徴(例えば、個人のそれぞれの開始時の体重を一定の割合(例えば、5%)で減量または増量するという目標、現在の開始時の体重を維持するという目標、または特定の目標体重を達成するという目標、BMI、体脂肪率、またはその他の身体指標の特定のレベルまたは量を減量、増量、維持または達成する目標、体脂肪率を減少させる目標、糖尿病前症から糖尿病への進展を防ぐなどの健康状態に関連する共通の目標など);共通の病歴(例えば、ほぼ同時期に特定の疾患の診断を受けたこと(例えば、互いに2ヶ月以内に前糖尿病、またはその他の適切な閾値と診断されたこと)、初期の体重が似ていること、うっ血性心不全またはその他の心血管疾患の診断を受けた初期の程度(クラスまたはステージ)が似ていること、肥満の程度が似ていること、変形性関節症または可動性に影響を与えるその他の関節疾患のステージが似ていること、うつ病または強迫性障害の診断が似ていること、など);共通の性格特性、または性格スペクトル内の類似した位置(例えば、性格テストやその他の評価の結果が似ていること);ライフスタイルの特徴や共通の関心事が似ていること(例えば、同じような食事制限や嗜好(例えば、ベジタリアン、ヴィーガニズム、ナッツフリー、グルテンフリー)、結婚状況(例えば、既婚、離婚、未亡人、独身)、子供の有無(例えば、存在、年齢、性別、子供の数)、ペットの有無(例えば、ペットの有無、年齢、種類、数など)、宗教、趣味および共通の関心事などの類似性(スポーツ、テレビ番組、料理など)あるいはその他);および/または個人情報の類似性(性別、民族もしくは国籍、年齢、現在の居住地域または職業、出身地、出身校、勤務先など)。共通する少なくとも1つの生理学的パラメータ(例えば、kgly、kage(またはkgen)、K、および/またはcHbA1c)および前述の他の要因の1つ以上に基づくグループ化の決定は、様々な特性を重要度の高い階層に効果的に配置する階層化または段階化されたプロセスとすることができる。
【0161】
グループ化の決定がkgly、kage(またはkgen)、K、および/またはcHbA1cの少なくとも1つに基づくことができる、ピアベースの治療を利用するグループプログラムのさらなる例は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書に参照として組み込まれる以下の文献に記載されている:米国特許出願公開第2013/0117040号明細書(「健康レジメンをサポートするための方法およびシステム」)、米国特許出願公開第2014/0214442号明細書(「健康改善プログラムの参加者を追跡するためのシステムおよび方法」)、米国特許出願公開第2014/0214443号明細書(「健康改善プログラムに関連する指標を表示するためのシステムおよび方法」)、米国特許出願公開第2014/0222454号明細書(「健康改善プログラムと補助医療を管理するシステムおよび方法」)および米国特許出願公開第2017/0344726号明細書(「健康レジメンをサポートするための方法およびシステム」)。
【0162】
分析物モニタおよびモニタリングシステム
一般に、本開示の実施形態は、グルコース、および場合によっては、体液中の少なくとも1つの他の分析物を測定するためのシステム、デバイス、および方法とともに、またはそれらとして使用される。本明細書に記載される実施形態は、グルコースおよびいくつかの例では少なくとも1つの他の分析物に関する情報を監視および/または処理するために使用することができる。監視され得る他の分析物としては、限定されるものではないが、グルコース誘導体、HbA1c、アセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、絨毛性ゴナドトロピン、クレアチンキナーゼ(例えば、CK-MB)、クレアチン、クレアチニン、DNA、フルクトサミン、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ケトン、ケトン体、乳酸塩、過酸化物、前立腺特異的抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモン、およびトロポニンが含まれる。例えば、抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、バンコマイシンなど)、ジギトキシン、ジゴキシン、乱用薬物、テオフィリン、およびワルファリンなどの薬物の濃度も監視することができる。グルコースおよび1つ以上の他の分析物を監視する実施形態において、分析物のそれぞれは、同じ時間または異なる時間に監視され得る。
【0163】
グルコース、場合によっては、体液中の1以上の分析物を測定するためのシステム、デバイスおよび方法とともに、またはそれらとして使用される分析物モニタおよび/または分析物モニタリングシステム(本明細書では集合的に分析物モニタリングシステムと称する)は、インビボ分析物モニタリングシステムまたはインビトロ分析物モニタリングシステムであり得る。場合によっては、本開示のシステム、デバイス、および方法は、インビボ分析物モニタリングシステムおよびインビトロ分析物モニタリングシステムの両方を使用することができる。
【0164】
インビボ分析物モニタリングシステムは、分析物センサの少なくとも一部が、対象の体の少なくとも1つの分析物に関する情報を得るために、対象の体に配置されているか、または配置することができる分析物モニタリングシステムを含む。インビボ分析物モニタリングシステムは、ユーザの較正を必要とせずに動作することができる。インビボ分析物モニタリングシステムの例は限定されるものではないが、連続式分析物モニタリングシステムおよびフラッシュ分析物モニタリングシステムが含まれる。
【0165】
連続式分析物モニタリングシステム(例えば、連続式グルコースモニタリングシステム)は、例えば、センサ制御デバイスからリーダーデバイスへ、プロンプトを出さずに(例えば、スケジュールに従って自動的に)繰り返しまたは連続してデータを送信することができるインビボシステムである。
【0166】
フラッシュ分析物モニタリングシステム(またはフラッシュグルコースモニタリングシステムまたは単にフラッシュシステム)は、例えば、近距離無線通信(NFC)または無線周波数識別(RFID)プロトコルなどのリーダーデバイスによるデータのスキャンまたは要求に応答して、センサ制御デバイスからデータを転送することができるインビボシステムである。
【0167】
インビボ分析物モニタリングシステムは、インビボに配置されている間、対象の体液と接触し、そこに含まれる1つ以上の分析物レベルを感知するセンサを含むことができる。センサは、対象の身体上に存在し、分析物の感知を可能にしかつ制御する電子機器および電源を含むセンサ制御デバイスの一部であり得る。センサ制御デバイスおよびその変形例は、「センサ制御ユニット」、「オンボディエレクトロニクス」デバイスまたはユニット、「オンボディ(on-body)」デバイスまたはユニット、または「センサデータ通信」デバイスまたはユニットとも称することができる。本明細書中で使用される場合、これらの用語は、分析物センサを有するデバイスに限定されず、生体測定または非生体測定のいずれかの他のタイプのセンサを有するデバイスを包含する。「身体上(on body)」という用語は、ウェアラブルデバイス(例えば、眼鏡、時計、リストバンドまたはブレスレット、ネックレスなど)など、身体上に直接、または身体に近接して位置するあらゆるデバイスを指す。
【0168】
インビボ分析物モニタリングシステムはまた、センサ制御デバイスから感知された分析物データを受信する1つ以上のリーダーデバイスを含むことができる。これらのリーダーデバイスは、感知された分析物データを、任意の数の形式で、対象に処理および/または表示することができる。これらのデバイスおよびその変形は、いくつかを挙げると、「ハンドヘルドリーダーデバイス」、「リーダーデバイス」(あるいは単に「リーダー」)、「ハンドヘルドエレクトロニクス」(またはハンドヘルド)、「ポータブルデータ処理」デバイスまたはユニット、「データ受信機」、「受信機」デバイスまたはユニット(または単に受信機)、「中継」デバイスまたはユニット、または「遠隔」デバイスまたはユニットと称することができる。パーソナルコンピュータのような他のデバイスもまた、インビボおよびインビトロの監視システムと共に利用されているか、またはその中に組み込まれている。
【0169】
例えば、図3を参照すると、インビボ分析物モニタリングシステムのセンサまたはその一部は、グルコースモニタ324であってもよく、リーダーデバイスは、健康モニタリングデバイス320であってもよい。代替的な実施形態において、インビボ分析物モニタリングシステムは、全体として、健康モニタリングデバイス320、データネットワーク322、データ処理端末/PC326、および/またはサーバ/クラウド328にデータを送信するグルコースモニタ324であってもよい。
【0170】
インビボ分析物モニタリングシステムについては、本明細書に記載される1つ以上の生理学的パラメータ(例えば、kgly、kage(またはkgen)、および/またはK)の決定および/または他の分析は、場合によっては、インビボ分析物モニタリングシステム内で実施され得る。生理学的パラメータのみが、例えば、インビボ分析物モニタリングシステム内で決定され、生理学的パラメータ分析システムの適切な他の構成要素に送信され、本明細書に記載される他の分析を実施することができる。いくつかの実施形態において、インビボ分析物モニタリングシステムは、生理学的パラメータ分析システムの別の構成要素によって受信されるグルコースレベルに対応する出力信号のみを生成することができる。そのような場合、生理学的パラメータ分析システムの他の構成要素の1つ以上は、1つ以上の生理学的パラメータ(例えば、kgly、kage(またはkgen)、および/またはK)を決定し、場合によっては、本明細書に記載される他の分析の1つ以上を実行することができる。
【0171】
図8は、インビボ分析物モニタリングシステム860の例を示す。本開示の実施形態について、この実施例のインビボ分析物モニタリングシステム860は、グルコースをモニタリングし、場合によっては、1つ以上の他の分析物をモニタリングする。ヒトの生理学に関して関心のある他の分析物としては、例えば、乳酸、酸素、pH、A1c、ケトン、薬物レベルなどが挙げられる。これらの分析物のいずれも、本明細書に開示されるポリマー膜組成物を介して温度非感受性透過性を示し得る。単一の分析物および前述の分析物の任意の組み合わせの両方をアッセイすることができる。
【0172】
インビボ分析物モニタリングシステム860は、センサ制御デバイス862(図3のグルコースモニタ324の少なくとも一部であり得る)およびリーダーデバイス864(図3の健康モニタリングデバイス320の少なくとも一部であり得る)を含み、これらは、有線または無線、単方向または双方向、および/または暗号化または非暗号化であり得るローカル通信経路(またはリンク)866を介して互いに通信する。任意の適切な電子通信プロトコルを、ローカル通信経路866またはリンクのそれぞれに使用することができる。例えば、経路866が無線である実施形態では、本出願の日付の時点で存在する通信プロトコルまたはそれらの後に開発された変形を含めて、近距離無線通信(NFC)プロトコル、RFIDプロトコル、BLUETOOTH(登録商標)またはBLUETOOTH(登録商標)Low Energyプロトコル、WiFi(登録商標)プロトコル、独自のプロトコルなどを使用することができる。
【0173】
リーダーデバイス864(例えば、専用リーダー、アプリケーションを実行する携帯電話またはPDAなど)は、通信経路(またはリンク)870を介してコンピュータシステム868(図3のデータ処理端末/PC326の少なくとも一部であってもよい)と、通信経路(またはリンク)874を介してインターネットまたはクラウドなどのネットワーク872(これは、図3のデータネットワーク322および/またはサーバ/クラウド328の少なくとも一部であり得る)と、有線、無線、または複合通信することもできる。ネットワーク872との通信には、ネットワーク872内の信頼できるコンピュータシステム876との通信、または通信リンク(または経路)878を介したネットワーク872を介したコンピュータシステム868との通信が含まれる。通信経路870、874および878は、無線、有線、またはその両方であってもよく、一方向または双方向であってもよく、暗号化または非暗号化であってもよく、Wi-Fi(登録商標)ネットワーク、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、インターネット、または他のデータネットワークなどの電気通信ネットワークの一部であってもよい。場合によっては、通信経路870および874は同じ経路とすることができる。経路866、870および874上のすべての通信は暗号化することができ、センサ制御デバイス862、リーダーデバイス864、コンピュータシステム868および信頼できるコンピュータシステム876はそれぞれ、送受信されるこれらの通信を暗号化および復号化するように構成することができる。
【0174】
デバイス862および864の変形、ならびに本明細書に記載されるシステム、デバイス、および方法の実施形態とともに使用するのに適したインビボに基づく分析物モニタリングシステムの他の構成要素は、米国特許出願公開第2011/0213225号明細書(以下、「’225刊行物」)に記載されており、この米国特許出願公開第2011/0213225号明細書は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0175】
センサ制御デバイス862は、インビボ分析物モニタリング回路および電源を含むハウジング880を含むことができる。この実施形態において、インビボ分析物モニタリング回路は、接着パッチ884を通って延在し、ハウジング880から離れるように突出する分析物センサ882と電気的に接続されている。接着パッチ884は、対象の身体の皮膚表面に付着するための接着層(図示せず)を含む。接着剤に加えて、または接着剤の代わりに、身体への他の形態の身体取り付け部が使用されてもよい。接着剤層に含有させるのに適した接着剤は、当業者によく知られている。
【0176】
センサ882は、皮膚の真皮層または皮下層などの対象組織内に少なくとも部分的に挿入されるように適合される。センサ882は、所与の組織内の所望の深さに挿入するのに十分な長さのセンサテールを含むことができる。センサテールは、センシングに対して活性であるセンシング領域を含むことができ、酵素、ポリマー膜、および他の成分を含むことができる。1つ以上の分析物レベルはセンサ882を用いて決定され、リーダーデバイス864と通信され得る。分析物は、皮膚液、血漿、血液、リンパ液等のような任意の生物学的流体中で監視され得る。
【0177】
センサ882および付随する任意のセンサ制御電子機器は、任意の所望の方法で身体に適用することができる。例えば、導入器は、センサ882の組織への導入を促進するために一時的に存在していてもよい。例示的な実施形態において、導入器は針を含み得る。シースまたはブレードのような他のタイプの導入器が代替の実施形態に存在してもよいことが認識されるべきである。より具体的には、針または類似の導入器は、挿入前にセンサ882の近くに一時的に存在し、その後、引き抜かれてもよい。存在している間、針または他の導入器は、センサ882がたどるアクセス経路を開くことによって、センサ882の組織への挿入を容易にすることができる。例えば、一以上の実施形態によれば、針は、真皮へのアクセス経路としての表皮の貫通を促進して、センサ882の埋め込みを可能にすることができる。アクセス経路を開いた後、針または他の導入器を引き抜き、鋭利な危険を示さないようにしてもよい。例示的な実施形態において、針は、中実または中空、面取りまたは非面取り、および/または断面が円形または非円形であってもよい。より特定の実施形態において、針は、断面の直径および/または先端のデザインが、約250ミクロン(μm)の断面の直径を有する鍼治療用の針と同等であってもよい。しかしながら、適切な針は、特定の用途のために必要な場合には、より大きいまたはより小さい断面直径を有してもよいことが認識されるべきである。代替的な実施形態において、センサ882が組織を貫通し、対象となる体液との連通を確立するのに十分に剛性であるならば、針または類似の導入器は存在しなくてもよい。
【0178】
いくつかの実施形態において、針が最初に組織を貫通し、センサ882のアクセス経路を開くように、針の先端がセンサ882の末端の上に角度をつけてもよい。他の例示的な実施形態において、センサ882は、針の管腔または溝内に存在してもよく、針は同様にセンサ882のアクセス経路を開く。いずれの場合も、針は挿入を容易にした後に引き抜かれる。
【0179】
導入器(挿入デバイスとしても知られている)の例は、米国特許出願公開第2008/0009692号明細書、米国特許出願公開第2011/0319729号明細書、米国特許出願公開第2015/0018639号明細書、米国特許出願公開第2015/0025345号明細書および米国特許出願公開第2015/0173661号明細書に記載されており、これらは全て、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれ、全ての目的のために本明細書に組み込まれる。
【0180】
分析物モニタリングシステム860は、簡潔さのために本明細書に必ずしも記載されていない付加的な特徴および機能性を含み得ることが認識されるべきである。したがって、分析物モニタリングシステム860の前述の説明は、例示的であり、本質的に非限定的であると考えられるべきである。
【0181】
対象の身体から生データを収集した後、センサ制御デバイス862は、データにアナログ信号調整を適用し、データを調整された生データのデジタル形式に変換することができる。いくつかの実施形態において、この調整された生のデジタルデータは、別のデバイス(例えば、リーダーデバイス864)への送信のために符号化することができ、次いで、そのデバイスは、デジタル生データを、対象の測定された生体測定値(biometric)を表す最終形態(例えば、対象への表示に適するように容易に作られた、または図3の分析モジュール320Bで容易に使用される形態)にアルゴリズム的に処理する。このアルゴリズム的に処理されたデータは、その後、対象へのデジタル表示のためにフォーマットまたはグラフィック処理され得る。他の実施形態において、センサ制御デバイス862は、デジタル生データを、対象の測定された生体測定値(例えば、分析物レベル)を表す最終形態にアルゴリズム的に処理し、次いで、そのデータを符号化して、リーダーデバイス864に無線で通信することができ、リーダーデバイスは、受信したデータをフォーマットまたはグラフィック処理して、対象にデジタル表示することができる。他の実施形態において、センサ制御デバイス862は、表示の準備ができるようにデータの最終形態をグラフィック処理し、そのデータをセンサ制御デバイス862のディスプレイに表示するか、またはリーダーデバイス864に送信することができる。いくつかの実施形態において、(グラフィック処理前の)生体測定値データの最終形態は、対象への表示のための処理を行うことなく、システムによって使用される(例えば、糖尿病モニタリング体制に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、センサ制御デバイス862およびリーダーデバイス864は、アルゴリズム処理および表示のために、デジタル生データを別のコンピュータシステムに送信する。
【0182】
リーダーデバイス864は、対象に情報を出力する(例えば、cHbA1cのような1つ以上の生理学的パラメータまたはそれから得られる出力)ため、および/または対象および/または医療提供者からの入力を受け入れる(例えば、RPIの測定値および/またはHbA1cの測定値)ためのディスプレイ886と、データ、コマンドを入力するか、またはその他の方法でリーダーデバイス864の動作を制御するための任意選択的な入力コンポーネント888(またはそれ以上)(例えば、ボタン、アクチュエータ、タッチセンシティブスイッチ、静電容量スイッチ、感圧スイッチ、ジョグホイールなど)と、を含むことができる。特定の実施形態において、ディスプレイ886および入力コンポーネント888は、単一のコンポーネントに統合されてもよく、例えば、ここで、ディスプレイは、タッチスクリーン対象インターフェース(これは、図3の対象インターフェース320Aの少なくとも一部であり得る)などのディスプレイ上の物理的接触の存在および位置を測定することができる。特定の実施形態において、リーダーデバイス864の入力コンポーネント888はマイクロフォンを含むことができ、リーダーデバイス864は、マイクロフォンから受信されたオーディオ入力を分析するように構成されたソフトウェアを含むことができ、その結果、リーダーデバイス864の機能および動作は、音声コマンドによって制御され得る。ある実施形態において、リーダーデバイス864の出力コンポーネントは、可聴信号として情報を出力するためのスピーカ(図示せず)を含む。音声駆動信号を生成し、処理し、記憶するためのスピーカ、マイクロフォン、およびソフトウェアルーチンなどの同様の音声応答コンポーネントを、センサ制御デバイス862に含めることができる。
【0183】
リーダーデバイス864はまた、コンピュータシステム868などの外部デバイスとの有線データ通信のための1つ以上のデータ通信ポート890を含むことができる。データ通信ポート890の例は、限定されるものではないが、USBポート、ミニUSBポート、USBタイプCポート、USBマイクロAおよび/またはマイクロBポート、RS-232ポート、イーサネット(登録商標)ポート、ファイヤワイヤ(登録商標)ポート、または互換性のあるデータケーブルに接続するように構成された他の同様のデータ通信ポートを含む。リーダーデバイス864はまた、インビトロ血糖測定を実施するためのインビトログルコース試験ストリップを受けるためのインビトロ試験ストリップポート(図示せず)を含む一体型または取り付け可能なインビトログルコースメータを含むことができる。
【0184】
リーダーデバイス864は、センサ制御デバイス862から無線で受信された生体測定値データを表示することができ、また、視覚的、聴覚的、触覚的、またはそれらの任意の組み合わせであり得る、アラーム(例えば、ディスプレイ上の視覚アラーム、聴覚アラーム、またはそれらの組み合わせ)、警告通知、グルコースレベルなどを出力するように構成することもできる。さらなる詳細および他の表示実施形態は、例えば、米国特許出願公開第2011/0193704号明細書に見出すことができ、これは、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0185】
リーダーデバイス864は、測定データをセンサ制御デバイス862からコンピュータシステム868または信頼できるコンピュータシステム876に転送するためのデータコンジットとして機能することができる。特定の実施形態において、センサ制御デバイス862から受信したデータは、コンピュータシステム868、信頼できるコンピュータシステム876、またはネットワーク872にアップロードする前に、リーダーデバイス864の1つ以上のメモリに(永続的または一時的に)記憶することができる。
【0186】
コンピュータシステム868は、パーソナルコンピュータ、サーバ端末、ラップトップコンピュータ、タブレット、または他の適切なデータ処理デバイスであってもよい。コンピュータシステム868は、データ管理および分析のための、および分析物モニタリングシステム860内の構成要素と通信するための、ソフトウェアであってもよい(または同ソフトウェアを含んでいてもよい)。コンピュータシステム868は、対象、医療専門家、または他のユーザによって、センサ制御デバイス862によって測定された生体データを表示および/または分析するために使用されてもよい。いくつかの実施形態において、センサ制御デバイス862は、リーダーデバイス864などの媒介なしに、またはインターネット接続を間接的に使用して(また、場合によっては、最初にリーダーデバイス864に送らずに)、生体測定値データをコンピュータシステム868に直接通信することができる。コンピュータシステム868の動作および使用は、本明細書に組み込まれる’225号刊行物にさらに記載されている。分析物モニタリングシステム860はまた、組み込まれた’225刊行物に記載されているように、データ処理モジュール(図示せず)と共に動作するように構成することもできる。
【0187】
信頼できるコンピュータシステム876は、物理的または仮想的に、安全な接続を介して、センサ制御デバイス862の製造業者または販売業者の所有内にあり得、センサ制御デバイス862の認証を実行するため、対象の生体測定値データの安全な記憶のため、および/または対象の測定データの分析を実行するためのデータ分析プログラム(例えば、ウェブブラウザを介してアクセス可能な)をホストするサーバとして使用され得る。
【0188】
インビボ分析物モニタリングシステムは、統合された糖尿病管理システムと共に、またはその一部として使用され得る。例えば、統合された糖尿病管理システムは、インビボ分析物モニタリングシステムおよびサプリメント/薬物送達システム、より具体的には、インビボグルコースモニタリングシステムおよびインスリン送達システム(例えばインスリンポンプ)を含み得る。統合された糖尿病管理システムは、閉ループ、開ループ、またはそれらのハイブリッドであり得る。閉ループシステムは、分析物の測定時間、サプリメント/薬剤の用量および時間を完全に制御する。開ループシステムは、対象が分析物測定時間およびサプリメント/薬剤の用量および時間を完全に制御することを可能にする。ハイブリッドシステムは、主に閉ループシステム方法論に依存することができるが、対象が介入する(intervene)ことを可能にする。
【0189】
インビトロ分析物モニタリングシステムは、体外の体液と接触する。場合によっては、インビトロ分析物モニタリングシステムは、対象の体液(例えば、分析物試験ストリップ/スワブ上、または体液の収集を介して)を受け入れるためのポートを有するメータデバイスを含み、同メータデバイスは、対象の分析物レベルを決定するために分析され得る。
【0190】
例示的な実施形態
本開示の実施形態の例には、実施形態A、実施形態B、実施形態C、実施形態D、実施形態E、実施形態F、実施形態G、実施形態H、実施形態I、および実施形態Jが含まれる。そのような実施形態の組み合わせもまた、本開示の一部として含まれる。
【0191】
実施形態Aは、以下を含む方法である:第1の期間にわたって複数のグルコースレベルを提供する(または受信する)こと;第1の期間の終了時に相当する第1の糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを提供する(または受信する)こと;第1の期間中のある時間に相当する網状赤血球産生指数(RPI)値を提供する(または受信する)こと;RPI値から赤血球排出定数(kage)を決定する(例えば、計算する)こと;および、(1)複数のグルコースレベル、(2)第1のHbA1cレベル、および(3)kageに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを決定する(例えば、計算する)こと。
【0192】
実施形態Bは、以下を含む方法である:第1の期間にわたって複数のグルコースレベルを測定すること;第1の期間の終了時に相当する第1の糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを測定すること;第1の期間中のある時間に相当する網状赤血球産生指数(RPI)値を測定すること;RPI値から赤血球排出定数(kage)を決定する(例えば、計算する)こと;および、(1)複数のグルコースレベル、(2)第1のHbA1cレベル、および(3)kageに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを決定する(例えば、計算する)こと。
【0193】
実施形態AまたはBは、さらなる要素を含み、同さらなる要素には、限定されるものではないが、以下が含まれる:要素1:第1の期間は約300日以上であり、かつ複数のグルコースレベルは、1日平均約96回以上発生する;要素2:方法は第1の期間の開始時に相当する第2のHbA1cレベルを測定することをさらに含み、場合によっては、第1の期間は約30日以上であり、かつ複数のグルコースレベルは1日平均約24回以上発生する;要素3:複数のグルコースレベルのうちの少なくともいくつかは、体液と接触するように配置された部分を有するインビボ分析物センサで測定され、インビボ分析物センサは、体液中の複数のグルコースレベルに相当する信号を生成する;要素4:要素3であり、かつ体液は、血液、皮膚液、間質液、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される流体を含む;要素5:要素3であり、かつインビボ分析物センサは、インスリン投与量を送達するための閉ループ制御システムまたはハイブリッド閉ループ制御システムの構成要素である;要素6:複数のグルコースレベルの少なくともいくつかは、連続的なグルコースモニタリングシステムによって測定される;要素7:複数のグルコースレベルの少なくともいくつかは、インビトログルコースレベル測定に基づいて入力される;要素8:要素7であり、かつインビトログルコースレベル測定は、血液、間質液、皮下液、皮膚液、汗、涙、唾液、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される流体中の複数のグルコースレベルを測定する;要素9:方法は少なくとも1つの生理学的パラメータを表示することをさらに含む;要素10:方法は少なくとも1つの生理学的パラメータに関連する誤差を計算することと、誤差が約7%以上である場合、少なくとも1つの新しいグルコースレベルを測定する、および/または少なくとも1つの新しいHbA1cレベルを測定することと、を含む;要素11:方法はkageおよび/またはKに基づいて代謝年齢を計算することをさらに含む;要素12:方法は少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて個別化された目標グルコース範囲を計算することをさらに含む;要素13:方法は少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて個別化された目標平均グルコースを計算することをさらに含む;要素14:方法は、第1の期間に続く第2の期間にわたる少なくとも1つの生理学的パラメータおよび複数のグルコースレベルに基づいてcHbA1cを計算することをさらに含み、場合によっては、第2の期間にわたる複数のグルコースレベルは、(a)3時間以上かつ24時間以下である、および/または(b)第2の期間にわたる複数のグルコースレベルにおける時間的に隣接するグルコースレベル間の最大ギャップ期間の少なくとも2倍である時間間隔tによって隔てられた複数の時間でのものであること;要素15:方法は少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて対象の治療をトリアージすることをさらに含む;要素16:方法は少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて糖尿病薬の投与量を調整することをさらに含む;要素17:方法は少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて糖化薬剤の投与量を調整することをさらに含む;要素18:方法は少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて対象の異常または病的な生理学的状態を決定することをさらに含む;および要素19:方法は、少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて、対象の体内の薬剤またはサプリメントのタイプを決定することをさらに含む。要素の組み合わせの例には、限定されるものではないが、要素11~19の2つ以上の組み合わせ;要素6および7の組み合わせ、任意選択で要素8とのさらなる組み合わせ;要素6と要素3との組み合わせ、任意選択で要素4~5の一方または両方とのさらなる組み合わせ;要素9~10の組み合わせ;要素9および/または要素10と要素11~19の1つ以上との組み合わせ;要素3~8の1つ以上と要素11~19の1つ以上との組み合わせ;および、要素1または要素2と、要素3~19の前述の組み合わせのいずれかを含む、要素3~19の1つ以上との組み合わせ。
【0194】
実施形態Cは、以下を含む装置である:1つ以上のプロセッサ;および1つ以上のプロセッサに動作可能に接続され、その上に記憶された命令を有するメモリであって、1つ以上のプロセッサによって実行されると、命令は、1つ以上のプロセッサに:第1の期間にわたって複数のグルコースレベルを受信すること;第1の期間の終了時に相当する第1の糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを受信すること;第1の期間中のある時間に相当する網状赤血球産生指数(RPI)値を受信すること;RPI値から赤血球排出定数(kage)を決定すること;および(1)複数のグルコースレベル、(2)第1のHbA1cレベル、および(3)kageに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを決定すること、を行わせるメモリ。代替的に、RPIの代わりにRPIに基づいて計算されたkageを受信することもできる。
【0195】
実施形態Dは、体液中のグルコースレベルを測定するように構成された分析物センサおよびモニタリングデバイスを含むシステムであって、同モニタリンデバイスは1つ以上のプロセッサと、1つ以上のプロセッサに動作可能に接続され、その上に記憶された命令を有するメモリと、を含み、1つ以上のプロセッサによって実行されると、命令は、1つ以上のプロセッサに:分析物センサから第1の期間にわたって複数のグルコースレベルを受信すること;第1の期間の終了時に相当する第1の糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを受信すること;第1の期間中のある時間に相当する網状赤血球産生指数(RPI)値を受信すること;RPI値から赤血球排出定数(kage)を決定すること;および(1)複数のグルコースレベル、(2)第1のHbA1cレベル、および(3)kageに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを決定すること、を行わせる。代替的に、RPIの代わりにRPIに基づいて計算されたkageを受信することもできる。
【0196】
実施形態Eは、1つ以上のプロセッサと;体液と接触するように配置された部分を有するインビボ分析物センサであって、体液中のグルコースレベルに相当する信号を生成するインビボ分析物センサと;インビボ分析物センサおよび1つ以上のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサに接続された送信機と;1つ以上のプロセッサに動作可能に接続され、その上に記憶された命令を有するメモリとを含むシステムであって、1つ以上のプロセッサによって実行されると、命令は、1つ以上のプロセッサに:分析物センサから第1の期間にわたって複数のグルコースレベルを受信すること;第1の期間の終了時に相当する第1の糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを受信すること;第1の期間中のある時間に相当する網状赤血球産生指数(RPI)値を受信すること;RPI値から赤血球排出定数(kage)を決定すること;および(1)複数のグルコースレベル、(2)第1のHbA1cレベル、および(3)kageに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを決定すること、を行わせる。代替的に、RPIの代わりにRPIに基づいて計算されたkageを受信することもできる。
【0197】
実施形態C、DおよびEは、さらなる要素を含み、同さらなる要素には、限定されるものではないが、以下が含まれる:要素1;要素20:1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサにさらに次のことを行わせる命令:第1の期間の開始時に相当する第2のHbA1cレベルを受信すること;場合によっては、第1の期間は約30日以上であり、複数のグルコースレベルは平均して1日に約24回以上発生すること;要素21:体液と接触するように配置された部分を有するインビボ分析物センサから複数のグルコースレベルのうちの少なくとも一部を受信するように構成されること;要素22:連続式グルコースモニタリングシステムから複数のグルコースレベルのうちの少なくとも一部を受信するように構成されること;要素23:インビトロのグルコースレベル測定に基づいて対象から複数のグルコースレベルの少なくとも一部を受信するように構成されること;要素24:前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ以上のプロセッサに、さらに、少なくとも1つの生理学的パラメータを表示させる命令;要素25:前記1つ以上のプロセッサによって実行されるときに、前記1つ以上のプロセッサにさらに次のことを行わせる命令:前記少なくとも1つの生理学的パラメータに関連する誤差を決定することであって、誤差が約7%以上である場合には、少なくとも1つの新たなグルコースレベル、かつ/または少なくとも1つの新たなHbA1cレベルを要求すること;要素26:1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサにさらに以下のことを行わせる命令:kageおよび/またはKに基づいて代謝年齢を計算し、場合によっては、代謝年齢を含むレポートを出力すること;要素27:1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサにさらに次のことを行わせる命令:少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて個別化された目標グルコース範囲を計算し、場合によっては、個別化された目標グルコース範囲を含むレポートを出力すること;要素28:1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサにさらに次のことを行わせる命令:少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて個別化された目標平均グルコースを計算し、場合によっては、個別化された目標平均グルコースを含むレポートを出力すること;要素29:1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサにさらに次のことを行わせる命令:cHbA1cを、少なくとも1つの生理学的パラメータおよび第1の期間に続く第2の期間にわたる複数のグルコースレベルに基づいて計算させ、場合によっては、cHbA1cを含むレポートを出力させ、および、場合によっては、第2の期間にわたる複数のグルコースレベルは、(a)3時間以上かつ24時間以下である、(b)第2の期間にわたる複数のグルコースレベルにおける時間的に隣接するグルコースレベル間の最大ギャップ期間の少なくとも2倍である、または(c)(a)および(b)の両方の、時間間隔tによって隔てられた複数の時間でのものであること;要素30:1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサにさらに次のことを行わせる命令:少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて対象の治療のためのトリアージ推奨を出力し、場合によっては、トリアージ推奨を含むレポートを出力すること;要素31:1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサにさらに次のことを行わせる命令:少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて糖尿病薬の用量を出力し、場合によっては、糖尿病薬の用量を含むレポートを出力すること;要素32:1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサにさらに次のことを行わせる命令:少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて糖化薬剤の用量を出力し、場合によっては、糖化薬剤の用量を含むレポートを出力すること;要素33:1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、1つ以上のプロセッサにさらに次のことを行わせる命令:少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて対象の異常または病的な生理学的状態を出力し、場合によっては、異常または病的な生理学的状態を含むレポートを出力すること;および要素34:1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサにさらに次のことを行わせる命令:少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて対象の身体の中の薬剤またはサプリメントの種類を出力し、場合によっては、薬剤またはサプリメントの種類を含むレポートを出力すること。要素の組み合わせの例には、限定されるものではないが、要素26~34の2つ以上の組み合わせ;要素21~25の2つ以上の組み合わせ;要素21~25の1つ以上と要素26~34の1つ以上との組み合わせ;要素1または要素20と、要素21~34の前述の組み合わせのいずれかを含む、要素21~34の1つ以上との組み合わせ。
【0198】
実施形態Fは、体液中のグルコースレベルを測定するように構成された分析物センサおよびモニタリングデバイスを含むシステムであって、同モニタリンデバイスは1つ以上のプロセッサと1つ以上のプロセッサに動作可能に接続され、その上に記憶された命令を有するメモリと、を含み、命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると、1つ以上のプロセッサに:(1)第1の期間にわたって取得される複数の第1のグルコースレベル、および(2)第1のHbA1cレベルに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、赤血球排出定数(kage)、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを決定させること;少なくとも1つの生理学的パラメータおよび時間間隔tによって隔てられた複数の時間における複数の第2のグルコースレベルに基づいて計算された糖化ヘモグロビン(cHbA1c)レベルを決定し、ここで、時間間隔tは、(a)3時間以上24時間以下であるか、(b)複数の第2のグルコースレベルに存在する時間的に隣接するグルコースレベル間の最大ギャップの少なくとも2倍であるか、または(c)(a)および(b)の両方であり、複数の第2のグルコースレベルは、第1の期間の後の第2の期間の間であること;およびcHbA1cレベルを出力すること、を行わせる。
【0199】
実施形態Gは、糖化ヘモグロビンレベルを決定するためのコンピュータ実装された方法であって、以下を含む:(1)第1の期間にわたって取得された複数の第1のグルコースレベルと、(2)第1の期間の終了時に相当する第1のHbA1cレベルとに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、赤血球排出定数(kage)、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを決定すること;少なくとも1つの生理学的パラメータおよび時間間隔tによって隔てられた複数の時間での複数の第2のグルコースレベルに基づいて、計算された糖化ヘモグロビン(cHbA1c)レベルを決定することであって、ここで、時間間隔tは、(a)3時間以上24時間以下であり、(b)複数の第2のグルコースレベルに存在する時間的に隣接するグルコースレベル間の最大ギャップの少なくとも2倍であるか、または(c)(a)および(b)の両方であり、複数の第2のグルコースレベルは、第1の期間の後の第2の期間の間であること;およびcHbA1cレベルを出力すること、を行わせる。
【0200】
実施形態FまたはGは、さらなる要素を含み、同さらなる要素には、限定されるものではないが、以下が含まれる:要素1、要素2、要素3(複数の第1のグルコースレベルおよび複数の第2のグルコースレベルのいずれかまたは両方に適用される)、要素4、要素5、要素6(複数の第1のグルコースレベルおよび複数の第2のグルコースレベルのいずれかまたは両方に適用される)、要素7(複数の第1のグルコースレベルおよび複数の第2のグルコースレベルのいずれかまたは両方に適用される)、要素8~14の1つ以上、および要素16~19の1つ以上。要素の組み合わせの例には、限定されるものではないが、以下が含まれる:要素11~19の2つ以上の組み合わせ;要素6および7の組み合わせ、任意選択で要素8とのさらなる組み合わせ;要素6と要素3との組み合わせ、任意選択で要素4~5の一方または両方とのさらなる組み合わせ;要素9~10の組み合わせ;要素9および/または要素10と要素11~14および16~19の1つ以上との組み合わせ;要素3~8の1つ以上と要素11~14および16~19の1つ以上との組み合わせ;要素1または要素2と、要素3~14および16~19の前述の組み合わせのいずれかを含む、要素3~14および16~19の1つ以上との組み合わせ。
【0201】
実施形態Hは、ピアベースの治療プログラムの一致した参加者のグループを決定するためのシステムであって、同システムは、体液中のグルコースレベルを測定するように構成された分析物センサと、モニタリングデバイスと、を含み、同モニタリングデバイスは:1つ以上のプロセッサと;1つ以上のプロセッサに動作可能に接続されるメモリであって、同メモリに記憶される命令を有するメモリと;を備え、同命令は、1つ以上のプロセッサによって実行されると1つ以上のプロセッサに:(1)第1の期間にわたって取得された複数の第1のグルコースレベルおよび(2)第1のHbA1cレベルに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、赤血球排出定数(kage)、および見かけの糖化定数(K)からなるグループから選択された少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することと、前記少なくとも1つの生理学的パラメータを用いて、ピアベースの治療プログラムの一致した参加者のグループを決定することと、一致した参加者のグループを出力することと、を行わせる。
【0202】
実施形態Iは、ピアベースの治療プログラムの一致した参加者のグループを決定するためのコンピュータ実装された方法であって、同方法は、(1)第1の期間にわたって取得された複数の第1のグルコースレベル、および(2)第1の期間の終了時に相当する第1のHbA1cレベルに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、赤血球排出定数(kage)、および見かけの糖化定数(K)からなるグループから選択された少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することと、前記少なくとも1つの生理学的パラメータを用いて、ピアベースの治療プログラムの一致した参加者のグループを決定することと、一致した参加者のグループを出力することと、を含む。
【0203】
実施形態HまたはIは、さらなる要素を含み、同さらなる要素には、限定されるものではないが、以下が含まれる:要素1、要素2、要素3(複数の第1のグルコースレベルおよび複数の第2のグルコースレベルのいずれかまたは両方に適用される)、要素4、要素5、要素6(複数の第1のグルコースレベルおよび複数の第2のグルコースレベルのいずれかまたは両方に適用される)、要素7(複数の第1のグルコースレベルおよび複数の第2のグルコースレベルのいずれかまたは両方に適用される)、要素8~19の1つ以上。要素の組み合わせの例には、限定されるものではないが、要素11~19の2つ以上の組み合わせ;要素6および7の組み合わせ、任意選択で要素8とのさらなる組み合わせ;要素6と要素3との組み合わせ、任意選択で要素4~5の一方または両方とのさらなる組み合わせ;要素9~10の組み合わせ;要素9および/または要素10と要素11~19の1つ以上との組み合わせ;要素3~8の1つ以上と要素11~19の1つ以上との組み合わせ;要素1または要素2と、要素3~19の前述の組み合わせのいずれかを含む、要素3~19の1つ以上との組み合わせ。
【0204】
特に明記しない限り、本明細書および関連する特許請求の範囲において数量などを表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。したがって、反対であることが示されない限り、以下の明細書および添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示の実施形態によって得られることが求められる所望の特性に応じて変化し得る近似値である。少なくとも、均等論の適用をクレームの範囲に限定する試みとしてではなく、各数値パラメータは、少なくとも報告された有効桁数に照らして、通常の丸め手法を適用することによって解釈されるべきである。
【0205】
様々な特徴を組み込んだ1つ以上の例示的な実施形態が本明細書に提示されている。本出願において、明確にするために、物理的な実装のすべての特徴を説明または示しているわけではない。本開示の実施形態を組み込んだ物理的実施形態の開発において、システム関連、ビジネス関連、政府関連およびその他の順守など、開発者の目標を達成するために多数の実装固有の決定を行わなければならないことが理解される。これらの制約は、実装によって、また、随時変化することが理解される。開発者の努力は時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、そのような努力は当業者にとって日常的な仕事であり、本開示の利益を有するであろう。
【0206】
様々なシステム、ツールおよび方法が、本明細書では様々な構成要素またはステップを「含む(comprising)」という用語で説明されているが、システム、ツール、および方法は、様々な構成要素およびステップから「本質的に構成される(consist essentially of)」または「のみからなる(consist of)」こともできる。
【0207】
本明細書において使用される場合、一連の項目の前にある語句「少なくとも1つ」は、項目のいずれかを分離する用語「および」または「または」と共に、リストの各メンバーではなく、リスト全体を修正する(すなわち、各項目)。語句「少なくとも1つ」は、項目のうちの少なくとも1つ、および/または項目の任意の組み合わせのうちの少なくとも1つ、および/または各項目のうちの少なくとも1つを含む意味を可能にする。例として、「A、B、Cの少なくとも1つ」または「A、BまたはCの少なくとも1つ」という語句は、それぞれAのみ、Bのみ、またはCのみ;A、B、Cの任意の組み合わせ;および/またはA、BおよびCの各々の少なくとも1つ、を指す。
【0208】
本発明の実施形態のより良い理解を容易にするために、好ましいまたは代表的な実施形態の以下の例が与えられる。以下の例は、本発明の範囲を制限または定義するために読まれるべきではない。
【実施例0209】
6ヶ月間の連続グルコースモニタリングを伴う過去の2つの臨床試験に登録された148名の2型の被験者と139名の1型の被験者のデータを分析した。90名の被験者のみが、12時間以上の連続グルコースデータギャップのないデータを有し、上述の動力学モデルの仮定を満たすのに十分なデータを有していた。試験の参加者は、1日目、100日目(±5日)、200日目(±5日)の3回のHbA1c測定と、分析期間にわたる頻繁な皮下グルコースモニタリングを行い、参加者ごとに2つの独立したデータセクション(1日目~100日目および101日目~200日目)の分析が可能であった。
【0210】
第1のデータセクション(1~100日目)は、個々のkglyおよびkageを数値的に推定するために使用され、これは、第2のデータセクション(101~200日目)の終了時のcHbA1cの予測計算を可能にした。この終了時のcHbA1cを、観察された終了時のHbA1cと比較して、本明細書に記載された動力学モデルを検証することができる。比較のために、第2のデータセクションの推定HbA1cを、(1)14日の平均および(2)A1c由来平均グルコース(A1c-Derived Average Glucose(ADAG))試験から受け入れられた回帰モデルによって変換した14日の加重平均グルコースに基づいて計算したが、これらはいずれもkglyが定数であると仮定しており、前述のように、これはHbA1cとグルコース測定値とを関連付ける現在受け入れられている方法である。
【0211】
図9A~Cは、推定HbA1c値に対する200日目(±5日)の検査室HbA1cレベル間の比較を示しており、9AプロットのeHbA1c値は14日平均モデルを使用して計算され、9BプロットのeHbA1c値は14日加重平均モデルを使用して計算され、9CプロットのcHbA1c値は本明細書に記載されている動力学モデル(式8)を使用して計算されている。すべてのグラフの実線は、対応するモデルの比較HbA1c値の線形回帰を示している。破線は一対一の直線であり、実線の線形回帰がそれに近いほど、優れたモデルである。明らかに、本明細書に記載されている動力学モデルは、データをより良好にモデル化しており、これは、kageおよびkglyが個別化されることを示すものであり、これは、HbA1cをグルコース測定値に相関させるための新規のアプローチ方法である。
【0212】
図10は、測定されたグルコースレベル(実線)、検査室のHbA1c測定値(白丸)、cHbA1cモデル値(長い破線)、および14日間のeHbA1cモデル値(点線)を有する例示的な試験被験者のデータを示す。図10のcHbA1cモデル値は、生理学的パラメータ(kageおよびkgly)を用いて計算された。第1の2つの検査室のHbA1c測定値と、第1の2つの検査室のHbA1c測定値の間で測定されたグルコースレベルとに基づいて生理学的パラメータを計算した。14日間のcHbA1c値は、試験期間中のグルコースレベルの14日間のランニング平均である。
【0213】
図10の例は、グルコース対cHbA1cおよびグルコース対eHbA1cの関係の動的な性質を示す。1型および2型糖尿病試験参加者について、cHbA1c法の25、50および75パーセンタイルの予測偏差の範囲で追加例を決定した。これらの例において、14日間の平均グルコースからのcHbA1c間の不一致は、単純な14日間の方法に固有の誇張された変動の振幅(exaggerated amplitude of variation)を示す。
【0214】
図11は、HbA1cの推定平均グルコースへの標準変換を使用して決定された定常グルコースと平衡HbA1cとの間の関係(1)(誤差バー付きの破線)、および90名の参加者について測定された定常グルコースと平衡HbA1cとの間の関係(2)(実線)を示す。これらの個々の曲線(実線)は、それぞれの平均グルコースレベルが数日から数週間にわたって安定しているという条件の下で、平均グルコースと検査室で測定されたHbA1cが一致していることを示している。このモデルはグルコースとHbA1cの関係が一定ではなく、後者のマーカのレベルが増加するのと同じHbA1c変化を達成するためには、より大きなグルコース変化が必要であることを示唆する。糖化指数に関する従来の評価とは異なり、本開示の動力学モデルは、個人の糖化指数がHbA1cのすべてのレベルにわたって一定ではないことを示唆している。eHbA1cとは異なり、cHbA1cの主な利点は、糖化の個人差を考慮することができることである。Kが低い個人は「低糖化者(low glycators)」であり、所定のHbA1cレベルに対してより高い平均グルコースレベルを有し、K値が高い個人はその逆である。
【0215】
図12は、本開示の動力学モデルを用いた、変化するHbA1c目標値に対するK(dL/mg)と平均グルコースレベル目標値(mg/dl)との間の関係を示す。すなわち、対象が特定のHbA1c値を目標としており(例えば、後続のHbA1c測定またはcHbA1c推定のために)、既知のK値(例えば、複数の測定されたグルコースレベルおよび少なくとも1つの測定されたHbA1cに基づく)を有している場合、対象がHbA1c値を目標としている期間において、対象のために平均グルコース目標値を導出および/または特定することができる。
【0216】
したがって、開示されたシステム、ツール、および方法は、言及された目的および利点、ならびにそれに固有のものを達成するために十分に適合されている。本開示の教示は、本明細書の教示の利益を有する当業者に明らかな異なるが同等の方法で修正および実施され得るので、上に開示された特定の実施形態は例示にすぎない。さらに、以下の特許請求の範囲に記載されている場合を除き、本明細書に示されている構造または設計の詳細に制限は意図されていない。したがって、上に開示された特定の例示的な実施形態は、変更、組み合わせ、または修正され得ることは明らかであり、そのようなすべての変形は、本開示の範囲内であると見なされる。本明細書に例示的に開示されるシステム、ツール、および方法は、本明細書に具体的に開示されていない要素および/または本明細書に開示されている任意の要素がない状態で適切に実施され得る。システム、ツールおよび方法が、様々な構成要素またはステップを「含む(comprising)」、「含有する(containing)」、または「含む(including)」という用語で説明されているが、システム、ツール、および方法は、様々な構成要素およびステップから「本質的に構成される(consist essentially of)」または「のみからなる(consist of)」こともできる。上記で開示されているすべての数値および範囲は、いくらかの量で変化する可能性がある。下限および上限を有する数値範囲が開示されるときはいつでも、その範囲内にある任意の数および任意の含まれる範囲が具体的に開示される。特に、本明細書に開示されるすべての範囲の値(「約aから約bまで」、または同等に「おおよそaからbまで」、または同等に「おおよそa-b」の形式)は、より広い数値の範囲に包含されるあらゆる数値および範囲を定めていると理解される。また、特許請求の範囲に記載されている用語は、特許権者によって明示的かつ明確に定義されていない限り、その平易で通常の意味を有している。さらに、特許請求の範囲で使用される不定冠詞「a」または「an」は、本明細書では、それが導入する要素の1つまたは複数を意味するように定義される。本明細書と、参照により本明細書に組み込まれる可能性のある1つ以上の特許または他の文書における単語または用語の用法に矛盾がある場合、本明細書と一致する定義を採用すべきである。
【0217】
以下に、上記実施形態から把握できる技術思想を付記として記載する。
[付記1]第1の期間にわたって複数の第1のグルコースレベルを測定することと;
前記第1の期間の終了時に相当する第1の糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを測定することと;
網状赤血球産生指数(RPI)値を測定することと;
前記RPI値に基づいて、赤血球排出定数(kage)を計算することと;
(1)前記複数の第1のグルコースレベル、(2)第1のHbA1cレベル、および(3)前記kageに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを計算することと;
前記少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて、グルコースレベル目標値を調整することと;
を含む、方法。
【0218】
[付記2]前記kageを決定することがRPI=kage/(3.47日-1*(1-ln2))に基づいている、付記1に記載の方法。
[付記3]前記グルコースレベル目標値は、個別化されたグルコース下限値、個別化されたグルコース上限値、および個別化された目標グルコース平均値からなる群より選択される1つ以上の値である、付記1または2に記載の方法。
【0219】
[付記4]前記少なくとも1つの生理学的パラメータはKを含み、前記個別化されたグルコース上限値は0.087/Kに等しい、付記3に記載の方法。
[付記5]前記少なくとも1つの生理学的パラメータはkglyを含み、前記個別化されたグルコース下限値は3.35×10-4/kglyに等しい、付記3に記載の方法。
【0220】
[付記6]前記少なくとも1つの生理学的パラメータはKを含み、前記個別化された目標平均グルコース(GT)がAT/(K(1-AT))に等しく、ここで、ATは目標HbA1cレベルである、付記3に記載の方法。
【0221】
[付記7]前記第1の期間の開始時に相当する第2のHbA1cを測定することをさらに含み、前記少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することは、(4)前記第2のHbA1cにさらに基づく、付記1または2に記載の方法。
【0222】
[付記8]前記少なくとも1つの生理学的パラメータに関連する誤差を計算することと;
前記誤差が約7%以上の場合に、少なくとも1つの新しいグルコースレベルを受信すること、および/または少なくとも1つの新しいHbA1cレベルを受信することと、
をさらに含む、付記1または2に記載の方法。
【0223】
[付記9]前記グルコースレベル目標値に基づいて対象を治療することをさらに含む、付記1に記載の方法。
[付記10]前記対象を治療することが、インスリン投与量、糖化薬剤投与量、運動レジメン、食事摂取、またはそれらの組み合わせを投与および/または調整することを含む、付記9に記載の方法。
【0224】
[付記11]前記複数の第1のグルコースレベルが、血液、皮膚液、間質液、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される体液中で測定される、付記1または2に記載の方法。
【0225】
[付記12]前記グルコースレベル目標値を表示することをさらに含む、付記1または2に記載の方法。
[付記13]前記グルコースレベル目標値を調整した後に対象のグルコースレベルを受信することと;
前記グルコースレベルが前記グルコースレベル目標値の外側にあるときにアラームを表示することと、
をさらに含む、付記1または2に記載の方法。
【0226】
[付記14]kageおよび/またはKに基づいて代謝年齢を計算することをさらに含む、付記1または2に記載の方法。
[付記15]前記第1の期間の後の第2の期間に複数の第2のグルコースレベルを受信することと;
(1)前記kgly、(2)前記kage、(3)前記第2の期間についての前記複数の第2のグルコースレベル、および(4)前記第1のHbA1cレベルに基づいて計算された糖化ヘモグロビン(cHbA1c)レベルを決定することと、
をさらに含む、付記1または2に記載の方法。
【0227】
[付記16]前記第1の期間に続く第2の期間の終了時に第2のHbA1cレベルを受信することと;
前記少なくとも1つの第1の生理学的パラメータに対応する少なくとも1つの第2の生理学的パラメータを計算することと;
(1)異常または病的な生理学的状態の存在、および/または(2)少なくとも1つの第1の生理学的パラメータおよび少なくとも1つの第2の生理学的パラメータの比較に基づくドーピングの指標、を特定することと、
をさらに含む、付記1または2に記載の方法。
【0228】
[付記17]体液中のグルコースレベルを測定するように構成された分析物センサと;
1つ以上のプロセッサ;および前記1つ以上のプロセッサに動作可能に接続され、その上に記憶された命令を有するメモリを含むモニタリングデバイスと;
を含むシステムにおいて、
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに:
前記分析物センサから第1の期間にわたって複数の第1のグルコースレベルを受信することと;
前記第1の期間の終了時に相当する第1の糖化ヘモグロビン(HbA1c)レベルを受信することと;
網状赤血球産生指数(RPI)値を受信することと;
前記RPI値に基づいて、赤血球排出定数(kage)を決定することと;
(1)前記複数の第1のグルコースレベル、(2)第1のHbA1cレベル、および(3)前記kageに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することと;
前記少なくとも1つの生理学的パラメータに基づいて、グルコースレベル目標値を調整することと、
を行わせる、システム。
【0229】
[付記18]前記kageを決定することがRPI=kage/(3.47日-1*(1-ln2))に基づいている、付記17に記載のシステム。
[付記19]前記グルコースレベルの目標値は、個別化されたグルコース下限値、個別化されたグルコース上限値、および個別化された目標グルコース平均からなる群より選択される1つ以上の値である、付記17または18に記載のシステム。
【0230】
[付記20]前記少なくとも1つの生理学的パラメータはKを含み、前記個別化されたグルコース上限値は0.087/Kに等しい、付記19に記載のシステム。
[付記21]前記少なくとも1つの生理学的パラメータはkglyを含み、前記個別化されたグルコース下限値は3.35×10-4/kglyに等しい、付記19に記載のシステム。
【0231】
[付記22]前記少なくとも1つの生理学的パラメータがKを含み、前記個別化された目標平均グルコース(GT)がAT/(K(1-AT))に等しく、ここで、ATは目標HbA1cレベルである、付記19に記載のシステム。
【0232】
[付記23]付記17または18に記載のシステムはディスプレイをさらに含み、
前記命令は、さらに、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、前記グルコースレベル目標値を表示させる、システム。
【0233】
[付記24]前記命令は、さらに、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、前記分析物センサから前記第1の期間の後の第2の期間における体液中の複数の第2のグルコースレベルを受信させて、前記複数の第2のグルコースレベルからのグルコースレベルが前記グルコースレベル目標値の外側にあるときにアラームを表示させる、付記23に記載のシステム。
【0234】
[付記25]前記命令は、さらに、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、前記少なくとも1つの生理学的パラメータに関連する誤差を決定し、前記誤差が約7%以上である場合に、少なくとも1つの新しいグルコースレベルおよび/または少なくとも1つの新しいHbA1cレベルの要求を出力させる、付記17または18に記載のシステム。
【0235】
[付記26]前記命令は、さらに、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、kageおよび/またはKに基づいて代謝年齢を決定させる、付記17または18に記載のシステム。
【0236】
[付記27]前記命令は、さらに、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、前記分析物センサから前記第1の期間の後の第2の期間に複数の第2のグルコースレベルを受信させて、(1)前記kgly、(2)前記kage、(3)前記第2の期間についての前記複数の第2のグルコースレベル、および(4)前記第1のHbA1cレベルに基づいて計算された糖化ヘモグロビン(cHbA1c)レベルを決定させる、付記17または18に記載のシステム。
【0237】
[付記28]前記命令は、さらに、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、前記第1の期間に続く第2の期間の終了時に第2のHbA1cレベルを受信させて;
前記少なくとも1つの第1の生理学的パラメータに対応する少なくとも1つの第2の生理学的パラメータを決定させて;
(1)異常または病的な生理学的状態の存在、および/または(2)前記少なくとも1つの第1の生理学的パラメータおよび前記少なくとも1つの第2の生理学的パラメータの比較に基づくドーピングの指標、を特定させる、
付記17または18に記載のシステム。
【0238】
[付記29]前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、
前記グルコースレベル目標値に基づいてインスリン投与量を決定させて;
前記インスリン投与量をインスリンポンプシステムに送信させる、
付記17または18に記載のシステム。
【0239】
[付記30]糖化ヘモグロビンレベルを決定するためのシステムであって、前記システムは:
体液中のグルコースレベルを測定するように構成された分析物センサと;
1つ以上のプロセッサ;および
前記1つ以上のプロセッサに動作可能に接続され、その上に記憶された命令を有するメモリ、
を含むモニタリングデバイスと、
を含み、
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに:
(1)第1の期間にわたって取得された複数の第1のグルコースレベル、および(2)第1のHbA1cレベルに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、赤血球排出定数(kage)、および見かけの糖化定数(K)からなるグループから選択された少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することと;
前記少なくとも1つの生理学的パラメータおよび時間間隔tによって隔てられた複数の時間における複数の第2のグルコースレベルに基づいて計算された糖化ヘモグロビン(cHbA1c)レベルを決定し、ここで、前記時間間隔tは、(a)3時間以上24時間以下であるか、または(b)前記複数の第2のグルコースレベルに存在する時間的に隣接するグルコースレベル間の最大ギャップの少なくとも2倍であり、前記複数の第2のグルコースレベルは、前記第1の期間の後の第2の期間の間であり、かつ前記時間間隔tは(a)または(b)の少なくとも一方であることと;
cHbA1cレベルを出力することと、
を行わせる、システム。
【0240】
[付記31]糖化ヘモグロビンレベルを決定するためのコンピュータ実装された方法であって、前記方法は、
(1)第1の期間にわたって取得された複数の第1のグルコースレベル、および(2)前記第1の期間の終了時に相当する第1のHbA1cレベルに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、赤血球排出定数(kage)、および見かけの糖化定数(K)からなるグループから選択された少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することと;
前記少なくとも1つの生理学的パラメータおよび時間間隔tによって隔てられた複数の時間における複数の第2のグルコースレベルに基づいて計算された糖化ヘモグロビン(cHbA1c)レベルを決定し、ここで、前記時間間隔tは、(a)3時間以上24時間以下であるか、または(b)前記複数の第2のグルコースレベルに存在する時間的に隣接するグルコースレベル間の最大ギャップの少なくとも2倍であり、前記複数の第2のグルコースレベルは、前記第1の期間の後の第2の期間の間であり、前記時間間隔tは(a)または(b)の少なくとも一方であることと;
cHbA1c値を出力することと、
を含む、方法。
【0241】
[付記32]ピアベースの治療プログラムの参加者の一致するグループを決定するためのシステムであって、前記システムは:
体液中のグルコースレベルを測定するように構成された分析物センサと;
1つ以上のプロセッサ;および
前記1つ以上のプロセッサに動作可能に接続され、その上に記憶された命令を有するメモリ、を含むモニタリングデバイスと、
を含み、
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに:
(1)第1の期間にわたって取得された複数の第1のグルコースレベル、および(2)第1のHbA1cレベルに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、赤血球排出定数(kage)、および見かけの糖化定数(K)からなるグループから選択された少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することと;
前記少なくとも1つの生理学的パラメータを使用して、前記ピアベースの治療プログラムの前記参加者の一致したグループを決定することと;
前記参加者の一致したグループを出力することと、
を行わせる、システム。
【0242】
[付記33]ピアベースの治療プログラムの一致した参加者のグループを決定するためのコンピュータ実装された方法であって、前記方法は:
(1)第1の期間にわたって取得された複数の第1のグルコースレベル、および(2)前記第1の期間の終了時に相当する第1のHbA1cレベルに基づいて、赤血球糖化速度定数(kgly)、赤血球生成速度定数(kgen)、赤血球排出定数(kage)、および見かけの糖化定数(K)からなるグループから選択された少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することと;
前記少なくとも1つの生理学的パラメータを使用して、前記ピアベースの治療プログラムの前記参加者の一致したグループを決定することと;
前記参加者の一致したグループを出力することと、
を含む、方法。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2024-04-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
糖化ヘモグロビンレベルを決定するためのシステムであって、前記システムは:
体液中のグルコースレベルを測定するように構成された分析物センサと;
1つ以上のプロセッサ;および
前記1つ以上のプロセッサに動作可能に接続され、その上に記憶された命令を有するメモリ、
を含むモニタリングデバイスと、
を含み、
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに:
(1)第1の期間にわたって取得された複数の第1のグルコースレベル、(2)第1のHbA1cレベルおよび(3)網状赤血球産生指数(RPI)値の少なくとも1つに基づいて、赤血球糖化速度定数(k gly )、赤血球生成速度定数(k gen )、赤血球排出定数(k age )、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することであって、前記k age は前記RPI値に基づいて計算される、決定することと;
前記少なくとも1つの生理学的パラメータおよび時間間隔t によって隔てられた複数の時間における複数の第2のグルコースレベルに基づいて計算された糖化ヘモグロビン(cHbA1c)レベルを決定することであって、前記時間間隔t は、(a)3時間以上24時間以下であるか、または(b)前記複数の第2のグルコースレベルに存在する時間的に隣接するグルコースレベル間の最大ギャップの少なくとも2倍であり、前記複数の第2のグルコースレベルは、前記第1の期間の後の第2の期間の間であり、かつ前記時間間隔t は(a)または(b)の少なくとも一方である、決定することと;
cHbA1cレベルを出力することと、
を行わせる、システム
【請求項2】
前記1つ以上のプロセッサは、網状赤血球産生指数(RPI)値を受信するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記k age を決定することがk age =RPI*(3.47日 -1 *(1-ln2))に基づいている、請求項1または請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記命令はさらに、前記1つ以上のプロセッサに、前記第1の期間の開始時に相当する開始時のHbA1cを測定することを行わせ、前記少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することは、(4)前記開始時のHbA1cにさらに基づく、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の第1のグルコースレベルが、血液、皮膚液、間質液、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される体液中で測定される、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載のシステムはディスプレイをさらに含み、
前記命令はさらに、前記1つ以上のプロセッサに、前記cHbA1cレベルを前記ディスプレイ上に表示することを行わせる、システム。
【請求項7】
前記命令はさらに、前記1つ以上のプロセッサに、k age および/またはKに基づいて代謝年齢を計算することを行わせる、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記命令はさらに、前記1つ以上のプロセッサに、
前記第1の期間に続く第2の期間の終了時に終了時HbA1cレベルを受信することと、
前記少なくとも1つの第1の生理学的パラメータに対応する少なくとも1つの第2の生理学的パラメータを計算することと、
前記少なくとも1つの生理学的パラメータおよび前記少なくとも1つの第2の生理学的パラメータの比較に基づいて(1)異常または病的な生理学的状態の存在、および/または(2)ドーピングの指標、を特定することと、
を行わせる、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記少なくとも1つの生理学的パラメータは、所与の対象についての複数の異なる時点における複数の生理学的パラメータであり、前記複数の生理学的パラメータが、前記所与の対象についての複数の第1のグルコースレベル、前記所与の対象についての第1のHbA1cレベル、および前記所与の対象についてのk age を用いて計算され、
前記命令がさらに、前記1つ以上のプロセッサに、
前記所与の対象についての複数の異なる時点における前記複数の生理学的パラメータの経時的誤差を計算することと、
前記経時的誤差が7%以上である場合に、前記所与の対象についての少なくとも1つの新しいグルコースレベルを受信すること、および/または少なくとも1つの新しいHbA1cレベルを受信することと、
を行わせる、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
糖化ヘモグロビンレベルを決定するためのコンピュータ実装された方法であって、前記方法は、
(1)第1の期間にわたって取得された複数の第1のグルコースレベル、および(2)前記第1の期間の終了時に相当する終了時HbA1cレベル、および(3)網状赤血球産生指数(RPI)値の少なくとも1つに基づいて、赤血球糖化速度定数(k gly )、赤血球生成速度定数(k gen )、赤血球排出定数(k age )、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択された少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することであって、前記k age は前記RPI値に基づいて計算される、決定することと、
前記少なくとも1つの生理学的パラメータおよび時間間隔t によって隔てられた複数の時間における複数の第2のグルコースレベルに基づいて計算された糖化ヘモグロビン(cHbA1c)レベルを決定することであって、前記時間間隔t は、(a)3時間以上24時間以下であるか、または(b)前記複数の第2のグルコースレベルに存在する時間的に隣接するグルコースレベル間の最大ギャップの少なくとも2倍であり、前記複数の第2のグルコースレベルは、前記第1の期間の後の第2の期間の間であり、かつ前記時間間隔t は(a)または(b)の少なくとも一方である、決定することと;
cHbA1c値を出力することと、
を含む、方法。
【請求項11】
網状赤血球産生指数(RPI)値を受信することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記k age を決定することがk age =RPI*(3.47日 -1 *(1-ln2))に基づいている、請求項10または請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項10~12のいずれか一項に記載の方法は、前記第1の期間の開始時に相当する開始時のHbA1cを測定することをさらに含み、前記少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することは、(4)前記開始時のHbA1cにさらに基づく、方法。
【請求項14】
前記複数の第1のグルコースレベルが、血液、皮膚液、間質液、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される体液中で測定される、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
cHbA1cレベルを表示することをさらに含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
age および/またはKに基づいて代謝年齢を計算することをさらに含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
請求項10~12のいずれか一項に記載の方法は、システムによって、
前記第1の期間に続く第2の期間の終了時に第2の終了時HbA1cレベルを受信することと、
前記少なくとも1つの生理学的パラメータに対応する少なくとも1つの第2の生理学的パラメータを計算することと、
前記少なくとも1つの生理学的パラメータおよび前記少なくとも1つの第2の生理学的パラメータの比較に基づいて(1)異常または病的な生理学的状態の存在、および/または(2)ドーピングの指標、を特定することと、
をさらに含み、
前記システムは、体液中のグルコースレベルを測定するように構成された分析物センサと;1つ以上のプロセッサおよび前記1つ以上のプロセッサに動作可能に接続され、その上に記憶された命令を有するメモリを含むモニタリングデバイスと;を含む、方法。
【請求項18】
前記少なくとも1つの生理学的パラメータは、所与の対象についての複数の異なる時点における複数の生理学的パラメータであり、前記複数の生理学的パラメータが、前記所与の対象についての複数の第1のグルコースレベル、前記所与の対象についての終了時HbA1cレベル、および前記所与の対象についてのk age を用いて計算され、
前記方法はさらに、
前記所与の対象についての複数の異なる時点における前記複数の生理学的パラメータの経時的誤差を計算することと、
前記経時的誤差が7%以上である場合に、前記所与の対象についての少なくとも1つの新しいグルコースレベルを受信すること、および/または少なくとも1つの新しいHbA1cレベルを受信することと、
を含む、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
ピアベースの治療プログラムの参加者の一致するグループを決定するためのシステムであって、前記システムは:
体液中のグルコースレベルを測定するように構成された分析物センサと;
1つ以上のプロセッサ;および
前記1つ以上のプロセッサに動作可能に接続され、その上に記憶された命令を有するメモリ、を含むモニタリングデバイスと、
を含み、
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに:
(1)第1の期間にわたって取得された複数の第1のグルコースレベルおよび(2)第1のHbA1cレベルの少なくともと1つに基づいて、赤血球糖化速度定数(k gly )、赤血球生成速度定数(k gen )、赤血球排出定数(k age )、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することと;
前記少なくとも1つの生理学的パラメータを使用して、前記ピアベースの治療プログラムの前記参加者の一致したグループを決定することと;
前記参加者の一致したグループを出力することと、
を行わせる、システム。
【請求項20】
前記少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することは、網状赤血球産生指数(RPI)値にさらに基づいている、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記k age は、網状赤血球産生指数(RPI)値に基づいて計算される、請求項19または請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記1つ以上のプロセッサは、網状赤血球産生指数(RPI)値を受信するようにさらに構成されている、請求項19~21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記k age を決定することは、k age =RPI*(3.47日 -1 *(1-ln2))に基づいている、請求項19~22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記命令はさらに、前記1つ以上のプロセッサに、
前記第1の期間の開始時に相当する開始時のHbA1cを測定することを行わせ、前記少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することは、(4)前記開始時のHbA1cにさらに基づく、請求項19~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項25】
前記複数の第1のグルコースレベルが、血液、皮膚液、間質液、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される体液中で測定される、請求項19~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項26】
請求項19~23のいずれか一項に記載のシステムはディスプレイをさらに含み、
前記命令はさらに、前記1つ以上のプロセッサに、前記参加者の一致したグループを前記ディスプレイ上に表示することを行わせる、システム。
【請求項27】
前記命令はさらに、前記1つ以上のプロセッサに、k age および/またはKに基づいて代謝年齢を計算することを行わせ、前記参加者の一致したグループを決定することは、前記代謝年齢を使用することをさらに含む、請求項19~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項28】
前記命令はさらに、前記1つ以上のプロセッサに、
前記第1の期間に続く第2の期間の終了時に終了時HbA1cレベルを受信することと;
少なくとも1つの生理学的パラメータに対応する少なくとも1つの第2の生理学的パラメータを計算することと;
前記少なくとも1つの生理学的パラメータおよび前記少なくとも1つの第2の生理学的パラメータの比較に基づいて(1)異常または病的な生理学的状態の存在、および/または(2)ドーピングの指標、を特定することと;
を行わせ、
前記参加者の一致したグループを決定することは、(1)異常または病的な生理学的状態の存在、および/または(2)ドーピングの指標を使用することをさらに含む、請求項19~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項29】
前記少なくとも1つの生理学的パラメータは、所与の対象についての複数の異なる時点における複数の生理学的パラメータであり、前記複数の生理学的パラメータが、前記所与の対象についての複数の第1のグルコースレベル、前記所与の対象についての第1のHbA1cレベル、および前記所与の対象についてのk age を用いて計算され、
前記命令が、さらに、前記1つ以上のプロセッサに、
前記所与の対象についての複数の異なる時点における前記複数の生理学的パラメータの経時的誤差を計算することと、
前記経時的誤差が7%以上である場合に、前記所与の対象についての少なくとも1つの新しいグルコースレベルを受信すること、および/または少なくとも1つの新しいHbA1cレベルを受信することと、
を行わせる、請求項19~23のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項30】
ピアベースの治療プログラムの一致した参加者のグループを決定するためのコンピュータ実装された方法であって、前記方法は:
(1)第1の期間にわたって取得された複数の第1のグルコースレベル、および(2)前記第1の期間の終了時に相当する終了時のHbA1cレベルの少なくとも1つに基づいて、赤血球糖化速度定数(k gly )、赤血球生成速度定数(k gen )、赤血球排出定数(k age )、および見かけの糖化定数(K)からなる群より選択される少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することと;
前記少なくとも1つの生理学的パラメータを使用して、前記ピアベースの治療プログラムの前記参加者の一致したグループを決定することと;
前記参加者の一致したグループを出力することと、
を含む、方法。
【請求項31】
前記少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することは、網状赤血球産生指数(RPI)値にさらに基づいている、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記k age は、網状赤血球産生指数(RPI)値に基づいて計算される、請求項30または請求項31に記載の方法。
【請求項33】
網状赤血球産生指数(RPI)値を受信することをさらに含む、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記k age を決定することは、k age =RPI*(3.47日 -1 *(1-ln2))に基づいている、請求項30~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
請求項30~34のいずれか一項に記載の方法は、前記第1の期間の開始時に相当する開始時のHbA1cを測定することをさらに含み、前記少なくとも1つの生理学的パラメータを決定することは、(4)前記開始時のHbA1cにさらに基づく、方法。
【請求項36】
前記複数の第1のグルコースレベルが、血液、皮膚液、間質液、またはそれらの組み合わせからなる群より選択される体液中で測定される、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記参加者の一致したグループを表示することをさらに含む、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
age および/またはKに基づいて代謝年齢を計算することをさらに含み、前記参加者の一致したグループを決定することは、前記代謝年齢を使用することをさらに含む、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
請求項30~34のいずれか一項に記載の方法は、システムによって、
前記第1の期間に続く第2の期間の終了時に、第2の終了時HbA1cレベルを受信することと、
前記少なくとも1つの生理学的パラメータに対応する少なくとも1つの第2の生理学的パラメータを計算することと、
前記少なくとも1つの生理学的パラメータおよび前記少なくとも1つの第2の生理学的パラメータの比較に基づいて(1)異常または病的な生理学的状態の存在、および/または(2)ドーピングの指標、を特定することと、
をさらに含み、
前記参加者の一致したグループを決定することは、(1)異常または病的な生理学的状態の存在、および/または(2)ドーピングの指標を使用することをさらに含み、
前記システムは、体液中のグルコースレベルを測定するように構成された分析物センサと;1つ以上のプロセッサおよび前記1つ以上のプロセッサに動作可能に接続され、その上に記憶された命令を有するメモリを含むモニタリングデバイスと、を含む、方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの生理学的パラメータは、所与の対象についての複数の異なる時点における複数の生理学的パラメータであり、前記複数の生理学的パラメータが、前記所与の対象についての複数の第1のグルコースレベル、前記所与の対象についての終了時HbA1cレベル、および前記所与の対象についてのk age を用いて計算され、
前記方法はさらに、
前記所与の対象についての複数の異なる時点における前記複数の生理学的パラメータの経時的誤差を計算することと、
前記経時的誤差が7%以上である場合に、前記所与の対象についての少なくとも1つの新しいグルコースレベルを受信すること、および/または少なくとも1つの新しいHbA1cレベルを受信することと、
を含む、請求項30~34のいずれか一項に記載の方法。