(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079888
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】衝撃吸収体
(51)【国際特許分類】
E02B 3/26 20060101AFI20240606BHJP
E01F 15/08 20060101ALI20240606BHJP
B63B 59/02 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
E02B3/26 Z
E01F15/08
E02B3/26 J
E02B3/26 K
E02B3/26 A
B63B59/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192558
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000229162
【氏名又は名称】日本ソリッド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波多野 倫
【テーマコード(参考)】
2D101
【Fターム(参考)】
2D101CA07
2D101CB07
2D101EA01
2D101GA13
(57)【要約】
【課題】
衝突する物体の損傷を少なくし、かつ衝撃吸収エネルギーの大きい衝撃吸収体を提供する。
【解決手段】
外径の異なるエアタイヤを任意の順に可撓性筒状体に挿通してサイドウォール部を接するように連接して外部エアタイヤ積層体を設け、前記可撓性筒状体の内部に、エアータイヤおよび/またはノーパンクタイヤを任意の順で挿入してサイドウォール部を接するように連接して、内部タイヤ積層体を設け、かつ前記外部エアタイヤ積層体の両端部に、前記外部エアタイヤ積層体に直交するように輪状体を設け、前記両端部の輪状体を、内部タイヤ積層体の中空部を通した連結手段によって固定し、外部エアタイヤ積層体と内部タイヤ積層体を、それぞれ一体に連接したことを特徴とする衝撃吸収体に連設した衝撃吸収体。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外径の異なるエアタイヤを任意の順に可撓性筒状体に挿通してサイドウォール部を接するように連接して外部エアタイヤ積層体を設け、前記可撓性筒状体の内部に、エアータイヤおよび/またはノーパンクタイヤを任意の順で挿入してサイドウォール部を接するように連接して、内部タイヤ積層体を設け、かつ前記外部エアタイヤ積層体の両端部に、前記外部エアタイヤ積層体に直交するように輪状体を設け、前記両端部の輪状体を、内部タイヤ積層体の中空部を通した連結手段によって固定し、外部エアタイヤ積層体と内部タイヤ積層体を、それぞれ一体に連設したことを特徴とする衝撃吸収体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防舷材、レーシングカー場等の防護壁に使用する衝撃吸収体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、防舷材等としては、緩衝材を取り付けた壁面構造体であって、弾力性のある中空構造の輪状体、螺旋状態および管状体のうち少なくとも1種からなる緩衝部材を、その側面が互いに接するようにして、複数個連結して外側筒状集合体を形成し、外側筒状集合体の両端部の外側に各々1個または2個以上の別の輪状体を外側筒状集合体と交差する方向に配置し、外側筒状集合体の両端部の外側に配置した該別の輪状体に、外側筒状集合体および外側筒状集合体内に挿入した中空構造の輪状体を連結手段で一体に連結固定した構造を有し、外側筒状集合体の円筒面上の少なくとも1個所を壁面に接触させた状態にして壁面に取り付けたことを特徴とする緩衝材を取り付けた壁面構造体(特許文献1)。弾力性のある輪状体をその側面に互いに接触させてまたは多少の間隔をあけて複数個配列して形成した筒状集合体、および該筒状集合体の長手方向の筒状空所内に挿入した該筒状空所の内径とほぼ一致する外径を有する連続した別の筒状体または棒状体を備え、かつ前記筒状集合体の両端部の外側に各々1個または2個以上の別の輪状体を筒状集合体と交差する方向に配置し、筒状集合体の両端部の外側に配置した該別の輪状体に、筒状集合体および筒状集合体内に挿入した該別の筒状体または棒状体を連結手段で一体に連結固定した構造を有していることを特徴とする緩衝材(特許文献2)。タイヤを互にサイド部が接するように積み重ね、その積み重ねられた各々隣接するタイヤのビート部とビート部とを挟持するように固定板を複数箇所に設けて固定することによってタイヤ筒状体を形成させ、該タイヤ筒状体に形成された、筒状中空部を構成するタイヤのビードトー部に接するようにタイヤ筒状体形状補強体を設け、該タイヤ筒状体形成補強体の中空筒状部内に連結具の挿通する穴を有する緩衝材を設け、さらにストッパータイヤの断面∪字状の溝部に該タイヤより小さい口径のタイヤを嵌入させて構成した係止用タイヤを、その係止用タイヤのクラウン部を前記筒状体のサイド部に接するように設け、そして該係止用タイヤの中空部と緩衝材の穴に連結具を通して緊縮固定することを特徴とするタイヤ構造体(特許文献3)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3334083号公報
【特許文献2】特許3364756号公報
【特許文献3】特許第4811722号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の壁面構造体、緩衝材、タイヤ構造体等は、一定の衝撃吸収効果を有するが、さらに衝突する物体の保形性を保ちながら、衝撃吸収エネルギーの向上した衝撃吸収体を得るべく、種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、本発明は、外径の異なるエアタイヤを任意の順に可撓性筒状体に挿通してサイドウォール部を接するように連接して外部エアタイヤ積層体を設け、前記可撓性筒状体の内部に、エアータイヤおよび/またはノーパンクタイヤを任意の順で挿入してサイドウォール部を接するように連接した内部タイヤ積層体を設け、かつ前記外部エアタイヤ積層体の両端部に、前記外部エアタイヤ積層体に直交するように輪状体を設け、前記両端部の輪状体を内部タイヤ積層体の中空部を通して連結手段によって固定し、外部エアタイヤ積層体と内部タイヤ積層体を、それぞれ一体に連接したことを特徴とする衝撃吸収体に関する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の衝撃吸収体を構成する外部エアタイヤ積層体および内部タイヤ積層体は密接状態で連なっていることから、衝撃力が加わった時に大きく変形するため衝撃吸収力が向上すると共に、衝突する船舶等の物体の外形形状に適合しやすいために広範囲な接触面でエネルギーを吸収することができるので衝突する物体の破損を防止することができる。
また可撓性筒状体と内部タイヤ積層体との相乗効果により、衝突後における衝撃吸収体の原形復元力に優れている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明を図面を参照しながら説明するが、本発明は、説明された事例に限定されるものではない。
図1は、本発明の可撓性筒状体1の一例を示す斜視図である。可撓性筒状体1は、ゴム、軟質合成樹脂等の可撓性素材から調製されている。可撓性筒状体1の形状も
図1に示す円筒状の他、三角筒状、四角筒状、五角筒状、六角筒状等の多角筒状のものが使用できる。
可撓性筒状体1の長さLは外部エアタイヤ積層体2および内部タイヤ積層体3の積層する長さによって適宜決定される。
【0009】
図2は、一部断面部状態にして表わした衝撃吸収体の一例を示す側面図である。円筒状の可撓性筒状体1に大きい外径のエアタイヤ2の中空部を挿通し、次いで小さい外径のエアタイヤ3を前記大きい外径のエアタイヤ2のサイドウォール部に接するように挿通する。このように大きい外径のエアタイヤ2と小さい外径のエアタイヤ3を順次挿通することによって外部エアタイヤ積層体4を構成することができる。外部エアタイヤ積層体4は、前記したように大きい外径のエアタイヤ2と小さい外径のエアタイヤ3とを交互に挿通して構成する場合を示したが、それ以外に種々の組合せで外部エアタイヤ積層体4を構成することができる。
【0010】
外部エアタイヤ積層体4を装着した可撓性筒状体1の内部に、ノーパンクタイヤ5を挿入し、次いでエアタイヤ6をサイドウォール部を接するように三個重ねるように挿入し、次いで同様にしてノーパンクタイヤ5を挿入して内部タイヤ積層体7を構成する。この内部タイヤ積層体7はエアタイヤ6とノーパンクタイヤ5を適宜挿入順序を変えることによって第3図に示すような内部タイヤ積層体7とする以外に種々の組合せの内部タイヤ積層体7を構成することができる。
本発明は、内部タイヤ積層体7にノーパンクタイヤ5を使用することによって衝撃吸収エネルギーの増大を計ると共に、衝突後における衝撃吸収体の復元保形性を保つことができる。
【0011】
可撓性筒状体1の外部に外部エアタイヤ積層体4を設け、前記可撓性筒状体1の内部に内部タイヤ積層体7を設けた衝撃吸収体本体8の両端部に、前記外部エアタイヤ積層体4に直交するように例えばタイヤのような輪状体9を設け、該二個の輪状体9を内部タイヤ積層体7の中空部を通した例えばチェーン10等の連結手段によって一体に連結することによって衝撃吸収体を構成することができる。なお輪状体9は強度を持たせるために、例えばエアタイヤの中に該エアタイヤより外径の小さい、タイヤ等を入れることによって構成することもできる。
また本発明の内部タイヤ積層体7は、
図4に示すように中央部に、例えばエアタイヤを変形させて使用することができる。
【0012】
本発明の衝撃吸収体を防舷材として用いる場合、
図5に示すように、前記衝撃吸収体の輪状体を外部エアタイヤ積層体の外径より大きいものを使用することによって岸壁と衝撃吸収体本体との間に間隙部が出来るので、衝撃吸収体が変形し易くなる。
【符号の説明】
【0013】
1・・・・可撓性筒状体
4・・・・外部エアタイヤ積層体
7・・・・内部タイヤ積層体
9・・・・輪状体