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特開2024-79901エッジ装置、機器管理システム、機器管理方法、及び、機器管理プログラム
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  • 特開-エッジ装置、機器管理システム、機器管理方法、及び、機器管理プログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079901
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】エッジ装置、機器管理システム、機器管理方法、及び、機器管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/62 20130101AFI20240606BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20240606BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240606BHJP
   G08B 21/18 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
G06F21/62 318
G05B23/02 302Z
G05B23/02 301Y
H04Q9/00 301B
G08B21/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192581
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼谷 英明
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 政智
(72)【発明者】
【氏名】熊野 信太郎
【テーマコード(参考)】
3C223
5C086
5K048
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EA07
3C223EB01
3C223EB07
3C223FF02
3C223FF12
3C223FF15
3C223FF42
3C223FF45
3C223FF52
3C223GG01
5C086AA34
5C086BA20
5C086DA10
5C086DA14
5K048AA15
5K048BA23
5K048EB08
5K048HA01
5K048HA02
5K048HA03
(57)【要約】
【課題】機器で異常が検知された際に、機器の運転データをユーザの秘匿性を確保しながら遠隔装置に送信する。
【解決手段】エッジ装置は、監視装置から機器の異常に関するアラーム通知を取得した場合に、監視装置から取得した異常に関連する運転データの開示承認要求を送信する。そして、開示承認要求に対する開示承認を受信した場合に、運転データに基づいて作成された開示データを遠隔装置に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器の動作状態を監視する監視装置から前記機器の異常に関するアラーム通知を取得した場合に、前記監視装置から取得した前記異常に関連する運転データの開示承認要求を送信するための開示承認要求送信部と、
前記開示承認要求に対する開示承認を受信した場合に、前記運転データに基づいて作成された開示データを遠隔装置に送信するための送信部と、
を備える、エッジ装置。
【請求項2】
前記運転データの開示範囲を要求するための開示範囲要求部と、
前記開示範囲に基づいて前記運転データを加工することにより、前記開示データを作成するための開示データ作成部と、
を更に備える、請求項1に記載のエッジ装置。
【請求項3】
前記送信部は、前記監視装置から前記アラーム通知に関連する原因ガイダンス情報を取得した場合に、前記原因ガイダンス情報を前記遠隔装置に送信する、請求項1又は2に記載のエッジ装置。
【請求項4】
前記送信部は、前記遠隔装置からの点検要求を、前記機器のユーザ端末に送信し、前記ユーザ端末から前記点検要求に対応する前記点検データを取得した場合に、前記点検データを前記遠隔装置に送信する、請求項1又は2に記載のエッジ装置。
【請求項5】
前記送信部は、前記点検データのうち前記ユーザ端末によって指定された開示範囲を前記遠隔装置に送信する、請求項4に記載のエッジ装置。
【請求項6】
前記開示データは、前記開示範囲に対応する前記運転データを関連情報とパッケージ化することにより作成される、請求項1又は2に記載のエッジ装置。
【請求項7】
前記送信部は、前記遠隔装置から取得したサービス情報を、所定のタイミングで前記機器のユーザ端末に送信する、請求項1又は2に記載のエッジ装置。
【請求項8】
前記監視装置は、前記遠隔装置とともに前記機器のユーザ端末に前記アラーム通知を報知するための報知部を備える、請求項1又は2に記載のエッジ装置。
【請求項9】
請求項1又は2に記載のエッジ装置と、
前記機器のユーザが使用可能なユーザ端末と、
前記遠隔装置と、
を備える、機器管理システム。
【請求項10】
機器の動作状態を監視する監視装置から前記機器の異常に関するアラーム通知を取得した場合に、前記監視装置から取得した前記異常に関連する運転データの開示承認要求を送信する工程と、
前記開示承認要求に対する開示承認を受信した場合に、前記運転データに基づいて作成された開示データを遠隔装置に送信する工程と、
を備える、機器管理方法。
【請求項11】
コンピュータ装置に、
機器の動作状態を監視する監視装置から前記機器の異常に関するアラーム通知を取得した場合に、前記監視装置から取得した前記異常に関連する運転データの開示承認要求を送信する工程と、
前記開示承認要求に対する開示承認を受信した場合に、前記運転データに基づいて作成された開示データを遠隔装置に送信する工程と、
を実行可能な、機器管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エッジ装置、機器管理システム、機器管理方法、及び、機器管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラント設備は、例えばコンプレッサ、ポンプ等の機器を備えて構成される。これらの機器は、故障や不具合のような異常が発生するとプラント設備の運用に影響をもたらしてしまうため、機器の異常監視がなされる。この種の機器の異常監視は、例えば、機器から地理的に離れた遠隔地(例えばデータ監視センタ等)に配置された遠隔装置によって、インターネット等の情報通信ネットワークを介した遠隔監視として行われる。
【0003】
遠隔監視では、異常が検知された際に、監視対象である機器の運転データを遠隔装置に転送することで、遠隔装置にいる専門家或いはデータ分析システムによって、検知された異常の詳細検証や今後のメンテナンス方針の提案などに利用される。例えば特許文献1には、診断対象となるプラントの運転データを、情報通信ネットワークを介してオンライン的に取得・分析することで、プラントの異常発生有無を診断可能なプラントの診断装置に関する技術が開示されている。また特許文献2には、異常検知に用いられる運転データが格納されたデータ格納部へのアクセスを制限することにより、異常検知処理に係るノウハウの外部流出を防ぎ、保護するための技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6116466号公報
【特許文献2】特開2020-067793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように機器の異常監視技術においては、遠隔地にある監視拠点において、異常が検知された機器の状態を把握するために、機器の運転データが情報通信ネットワークを介して、機器が設置される現場から監視拠点に運転データの転送が行われる。しかしながら、運転データには、機器のユーザにとって運転や創業に関する秘匿すべきノウハウが含まれることがあり、外部への転送は、このようなノウハウの漏洩防止の観点から望まれない場合がある。
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態は上述の事情に鑑みなされたものであり、機器で異常が検知された際に、機器の運転データをユーザの秘匿性を確保しながら遠隔装置に送信可能なエッジ装置、機器管理システム、機器管理方法、及び、機器管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係るエッジ装置は、上記課題を解決するために、
機器の動作状態を監視する監視装置から前記機器の異常に関するアラーム通知を取得した場合に、前記監視装置から取得した前記異常に関連する運転データの開示承認を要求するための開示承認要求部と、
前記開示承認に対する了承通知を受信した場合に、前記運転データを遠隔装置に送信するための送信部と、
を備える。
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係る機器管理システムは、上記課題を解決するために、
本開示の少なくとも一実施形態に係るエッジ装置と、
前記開示承認を受信するとともに、前記了承通知を送信するためのユーザ端末と、
前記遠隔装置と、
を備える。
【0009】
本開示の少なくとも一実施形態に係る機器管理方法は、上記課題を解決するために、
機器の動作状態を監視する監視装置から前記機器の異常に関するアラーム通知を取得した場合に、前記監視装置から取得した前記異常に関連する運転データの開示承認を要求する工程と、
前記開示承認に対する了承通知を受信した場合に、前記運転データを遠隔装置に送信する工程と、
を備える。
【0010】
本開示の少なくとも一実施形態に係る機器管理プログラムは、上記課題を解決するために、
コンピュータ装置に、
機器の動作状態を監視する監視装置から前記機器の異常に関するアラーム通知を取得した場合に、前記監視装置から取得した前記異常に関連する運転データの開示承認を要求する工程と、
前記開示承認に対する了承通知を受信した場合に、前記運転データを遠隔装置に送信する工程と、
を実行可能である。
【発明の効果】
【0011】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、機器で異常が検知された際に、機器の運転データをユーザの秘匿性を確保しながら遠隔装置に送信可能なエッジ装置、機器管理システム、機器管理方法、及び、機器管理プログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る機器管理システムの全体構成を示す図である。
図2図1の機器の機能構成を示す図である。
図3図1のエッジ装置の機能構成を示す図である。
図4】一実施形態に係る機器管理方法を示すフローチャートである。
図5】他の実施形態に係る機器管理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0014】
まず図1図3を参照して機器管理システム1の構成について説明する。図1は一実施形態に係る機器管理システム1の全体構成を示す図であり、図2図1の機器12の機能構成を示す図であり、図3図1のエッジ装置18の機能構成を示す図である。
【0015】
機器管理システム1は、プラントシステム2が備える機器12を管理するためのシステムであり、プラントシステム2と、ルータ4と、外部ネットワーク6と、接続サーバ8と、遠隔装置10とを備えて構成される。
【0016】
プラントシステム2は、管理対象となる機器12に加えて、監視装置14、ユーザ端末16、及び、エッジ装置18を備える。プラントシステム2を構成するこれらの要素は、機器12に対して比較的近距離な範囲に配置され、不図示の内部ネットワークを介して接続される。
【0017】
機器12は任意の機器を用いることができるが、例えば図2に示すように、機器本体20と、機器本体20を制御するための制御装置22と、センサ24とを備える。機器本体20は、制御装置22の制御対象となるハードウェア構成であり、例えば圧縮機(コンプレッサ)、タービン、ポンプ等の回転部を伴う機械である。
【0018】
制御装置22は、機器本体20を制御するためのコントロールユニットであり、例えばコンピュータ装置のような演算装置として構成される。制御装置22は、予めインストールされたプログラムを実行することで機器本体20を制御するための各種演算処理を実行する。そして制御装置22は、演算処理の算出結果に基づいて機器本体20を制御することにより、機器12の動作が実現される。
【0019】
センサ24は、機器本体20に取り付けられ、制御装置22によって制御される機器本体20の動作状態に関する動作状態パラメータを検出するための構成である。動作状態パラメータは、監視装置14において監視する際に機器12の異常診断に用いられる限りにおいて限定されない。例えば前述のように、機器本体20が回転部を伴う機械である場合には、動作状態パラメータとして、回転数や振動のような物理パラメータを選択可能である。
【0020】
図1に戻って、監視装置14は、機器本体20に取り付けられたセンサ24で検出された動作状態パラメータに基づいて、機器12の動作状態を監視するための構成である。本実施形態では、監視装置14は、データベース25と、異常診断部26と、報知部28と、原因ガイダンス情報提供部29とを備える。
【0021】
データベース25は、機器12が備えるセンサ24から取得した動作状態パラメータを蓄積するための構成である。
【0022】
異常診断部26は、データベース25に蓄積された動作状態パラメータを解析することにより、機器12の異常診断を行うための構成である。報知部28は、異常診断部26が実施した異常診断によって機器12の動作状態に異常が有ると判定された場合に、その旨を報知するためのアラーム通知を出力するための構成である。
尚、異常診断部26による異常診断の具体的手法は公知の例を適宜採用可能であり、ここでは詳細は省略する。またデータベース25には、異常診断部26の診断結果に応じて報知部28から発信されるアラーム通知情報も蓄積されてもよい。
【0023】
ユーザ端末16は、プラントシステム2のユーザが使用可能な端末である。ユーザ端末16は、プラントシステム2の運用に関する各種機能を備える。またユーザ端末16は、外部ネットワーク6とは異なる内部ネットワークを介して、監視装置14及びエッジ装置18と通信可能である。
尚、ユーザ端末16は、例えばタブレット型端末、スマートフォン、携帯電話、ラップトップパソコン等の携帯端末であってもよいし、デスクトップパソコンを含む任意の固定端末であってもよい。
【0024】
エッジ装置18は、監視装置14とルータ4との間に設けられることより、外部ネットワーク6よりユーザ側(プラントシステム2側)と、外部ネットワーク6による接続先との間で情報の送受信を管理するための構成である。図3に示すように、エッジ装置18は、基本構成として、CPU30と、送信部32と、受信部34と備える。
【0025】
CPU30は、予め用意されたプログラムに従って動作することで種々の機能を発揮し、エッジ装置18の動作全体を司るプロセッサである。本実施形態では、後述の機器管理方法を実施するための機能構成として、CPU30は、アラーム通知取得部50,開示承認要求部52、開示承認取得部54、開示範囲要求部56、開示範囲取得部58、開示データ作成部60、送受信制御部62、点検要求取得部64、及び、点検データ取得部66として機能する。
【0026】
送信部32は、ルータ4から外部ネットワーク6を介した接続先(接続サーバ8、遠隔装置10)に対して各種データを送信するための構成である。受信部34は、ルータ4から外部ネットワーク6を介した接続先(接続サーバ8、遠隔装置10)からの各種データを受信するための構成である。送信部32及び受信部34によって送受信されるタイミング及びデータ内容は、後述の送受信制御部によって適宜制御される。
【0027】
このようなエッジ装置18は、外部ネットワーク6より外側に配置された遠隔装置10から、プラントシステム2側に直接アクセスできないように構成される。これにより、遠隔装置10は、監視装置14のデータベース25に蓄積された運転データに直接アクセスすることができず、エッジ装置18から遠隔装置10に対して送信される運転データのみにアクセスが制限される。運転データには、機器12のユーザにとって運転や操業に関する秘匿すべきノウハウが含まれることがあるが、エッジ装置18を設けることで、遠隔装置10に対する運転データの開示範囲を制限することで、このようなノウハウの漏洩防止を管理することができる。
【0028】
外部ネットワーク6は、ルータ4に接続されたプラントシステム2と、外部にある接続サーバ8及び遠隔装置10とを接続するための通信ネットワークであり、無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
尚、ルータ4は、モバイルルータであってもよい。
【0029】
接続サーバ8は、プラントシステム2と、遠隔装置10との間のセキュアな通信を実現するためのサーバである。接続サーバ8は、例えばWeaved.Inc社(現remot3.it社)の技術(米国特許出願公開第2016/0344745号明細書)を使用して、セキュアな通信を実現してもよい。しかしながら、接続サーバ8は、他の技術を使用してセキュアな通信を実現してもよく、上述の実施例に限定されない。
【0030】
遠隔装置10は、外部ネットワーク6を介してプラントシステム2にアクセスすることにより、プラントシステム2が有する機器12の動作に異常があった際に、遠隔から異常の詳細な診断や対応指示を行うための構成である。例えば、遠隔装置10は、プラントシステム2から地理的に離れた遠隔地に配置され、プラントシステム2を管理するユーザ以外の専門家等である第三者によって取り扱われることにより、ユーザ側だけでは対処が難しい事態においても、詳細な診断や対応指示に関する情報をユーザ側に提供することにより運用をサポートできる。
【0031】
続いてエッジ装置18が備えるCPU30によって実現される各機能構成について説明する。
【0032】
アラーム通知取得部50は、監視装置14から機器12の異常に関するアラーム通知を取得するための構成である。前述したように、監視装置14では、異常診断部26によって機器12に異常があると診断された場合、報知部28からアラーム通知が出力される。報知部28からのアラーム通知は、ユーザ端末16に伝達されることでプラントシステム2のユーザに報知されるとともに、外部ネットワーク6を介して、遠隔装置10にも報知される。これにより、機器12に異常があると診断された場合には、実際に機器12を使用するユーザに加えて、遠隔装置10に報知されることで外部の専門家等に機器12の異常可能性を迅速に知らせることができる。
【0033】
開示承認要求部52は、ユーザ端末16に対してデータベース25に蓄積された運転データの開示に関する承認を要求するための構成である。前述したように、データベース25にはセンサ24によって検出された運転データが蓄積されており、その運転データは異常診断に有用な情報である一方で、機器12のユーザにとって運転や操業に関する秘匿すべきノウハウが含まれることがある。そこで開示承認要求部52は、アラーム通知取得部50によってアラーム通知が取得された場合に、ユーザ端末16に対して運転データの開示承認要求を送信する。
【0034】
開示承認取得部54は、開示承認要求部52によってユーザ端末16に対して送信された開示承認要求に対して、ユーザ端末16から受信する開示承認を取得するための構成である。
【0035】
開示範囲要求部56は、開示承認取得部54によって開示承認が得られた場合に、ユーザ端末16に対して、開示範囲要求を行うための構成である。開示範囲要求は、データベース25に蓄積された運転データのうち開示すべき範囲を、ユーザ端末16に対して指定を促すための要求である。
【0036】
開示範囲取得部58は、開示範囲要求部56によってユーザ端末16に対して送信された開示範囲要求に対して、ユーザ端末16から受信する開示範囲を取得するための構成である。開示範囲要求の形式は限定されないが、開示範囲要求には、例えば、データベース25に蓄積された運転データのうち開示を許可するデータ種類、及び、データ取得期間を含めることができる。
【0037】
開示データ作成部60は、データベース25に蓄積された運転データに基づいて開示データを作成するための構成である。開示データの作成は、開示承認要求部52でユーザ端末16からの開示承認が得られていることを条件として、開示範囲取得部58で取得された開示範囲に基づいて、データベース25に蓄積された運転データを加工することにより行われる。
【0038】
送受信制御部62は、プラントシステム2と遠隔装置10との間の各種データの送受信状態を制御するための構成である。送受信制御部62による送受信制御は、データベース25に蓄積された運転データに対する遠隔装置10からのアクセス、及び、データベース25に蓄積された運転データの遠隔装置10に対する送信は禁止される範囲で行われる。これにより、データベース25に蓄積された運転データが外部に漏洩することにより、運転データに含まれるユーザの運転や創業に関する秘匿すべきノウハウが流出することが防止される。一方で運転データは開示承認及び開示範囲に基づいて作成される開示データとして遠隔装置10に送信可能であることで、機器12のユーザにとっての運転データの秘匿性を確保しながら、遠隔装置10における機器の異常監視、データ分析が可能となる。
【0039】
点検要求取得部64は、外部ネットワーク6を介して遠隔装置10から点検要求を取得するための構成である。遠隔装置10では、前述の開示データを取得し、開示データを分析・解析することで機器12の動作状態を診断可能であるが、開示データだけでは十分でない場合には、遠隔装置10は、追加データを取得するための点検を、機器12を運用しているユーザに対して要求するための点検要求を送信することができる。点検要求取得部64は、このような遠隔装置10からの点検要求を取得する。
【0040】
点検データ取得部66は、ユーザ端末16からの点検データを取得するための構成である。前述したように、遠隔装置10からの点検要求はユーザ端末16に送信されることで、ユーザ端末16のユーザは点検を実施することで点検データを用意する。ユーザによって用意された点検データは、ユーザ端末16から送信されることで、点検データ取得部66によって取得される。
尚、点検データは、上記のようにユーザの人手によって実施される点検作業によって取得されてもよいし、ユーザ端末16から遠隔装置10に対して点検を依頼することにより、遠隔装置10が点検作業を実施することで取得されてもよい。
【0041】
続いて上記構成を有するエッジ装置18によって実施される機器管理方法について説明する。図4は一実施形態に係る機器管理方法を示すフローチャートである。
【0042】
まずアラーム通知取得部50は、監視装置14から機器12の異常に関するアラーム通知を取得したか否かを判定する(ステップS100)。アラーム通知を取得しない間は(ステップS100:NO)、ステップS100が繰り返し実施されることにより、アラーム通知の有無が常時監視される。
【0043】
アラーム通知が取得されると(ステップS100:YES)、開示承認要求部52は、ユーザ端末16に対して開示承認要求を送信する(ステップS101)。開示承認要求は、前述したように、データベース25に蓄積された運転データを遠隔装置10に送信することで開示してもよいかを、プラントシステム2のユーザ(ユーザ端末16の使用者)に対して承認を求めるための通知である。
【0044】
ステップS101で送信される開示承認要求は、取得されたアラーム通知に対応して予め用意されてもよい。例えば、アラーム通知は、異常が疑われる機器12の部位や症状に応じて分類可能な種類が設定されており、当該アラーム通知の種類に応じて、遠隔装置10で異常の詳細な診断や解析を行うために必要な運転データの開示承認を要求するように開示承認要求が行われてもよい。この場合、開示承認要求を受けたユーザ端末16では、開示承認要求の内容に応じた開示可否の判断を行うことで、遠隔装置10における異常の詳細な診断や解析を行うためのデータ提供を、ノウハウの漏洩がない範囲で好適に行うことができる。
【0045】
尚、アラーム通知が取得された場合(ステップS100:YES)、送受信制御部62は、アラーム通知取得部50によって取得されたアラーム通知を、外部ネットワーク6を介して遠隔装置10に自動的に送信してもよい。これにより、遠隔装置10を使用する第三者がアラーム通知を受信することにより、機器12の異常発生を迅速に認識することができる。このアラーム通知は機器12の異常検知を通知するためのデータであるため、データベース25に蓄積された運転データとは異なり、プラントシステム2のユーザにとって秘匿すべきノウハウ等を含まない。そのため、ユーザからの承認を得ることなく、送受信制御部62によって遠隔装置10に自動的に送信したとしても問題が生じることはない。
【0046】
また監視装置14では、アラーム通知をユーザ端末16に対して送信する場合に、原因ガイダンス情報提供部29によってアラーム通知に関連する原因ガイダンス情報を送信する場合もある。原因ガイダンス情報は、アラーム通知に対応する異常の種類に応じて、推定される原因に関する情報を含む。このような原因ガイダンス情報は、ユーザ端末16に送信されることで、機器12のユーザに対して異常の原因に関する情報を迅速に提供できる。
【0047】
また監視装置14の原因ガイダンス情報提供部29はエッジ装置18に対してもアラーム通知とともに原因ガイダンス情報を送信することができる。この場合、エッジ装置18では、ステップS100においてアラーム通知とともに取得した原因ガイダンス情報を、外部ネットワーク6を介して遠隔装置10に送信してもよい。前述のように原因ガイダンス情報は、機器12で検知された異常の原因に関する情報であり、機器12のユーザにとって秘匿すべきノウハウではないため、エッジ装置18から遠隔装置10に送信することで、より詳細な異常の診断や解析に活用することができる。
【0048】
続いて開示承認取得部54は、ステップS101で送信した開示承認要求に対する返信として、ユーザ端末16から開示承認を取得したか否かを判定する(ステップS102)。開示承認が取得されない場合(ステップS102:NO)、ユーザ端末16の使用者がデータベース25に蓄積された運転データの開示を望んでいないため、アラーム通知のみを遠隔装置10に送信して(ステップS107)、処理を終了する。この場合、送受信制御部62は、ユーザ端末16の使用者がデータベース25に蓄積された運転データの開示を望んでいない旨の通知を、遠隔装置10に対して自動的に送信してもよい。これにより、遠隔装置10の使用者は、プラントシステム2のユーザが運転データの開示を望まないながらも、機器12に異常が発生していることを認識し、その事情を今後の適切なメンテナンスサポートの策定検討に利用することができる。
【0049】
尚、開示承認が取得されない場合であっても(ステップS102:NO)、ユーザ端末16に対して、ステップS101の開示承認要求を所定回数繰り返し送信することで、プラントシステム2のユーザに対して、運転データの開示を促してもよい。この場合、開示承認が所定回数得られなかった場合に、一連の処理を終了してもよい。
【0050】
一方、開示承認が取得された場合(ステップS102:YES)、開示範囲要求部56は、ユーザ端末16に対して、開示範囲要求を送信する(ステップS103)。開示範囲要求は、データベース25に蓄積された運転データのうち開示すべき範囲を、ユーザ端末16に対して指定を促すための要求である。
【0051】
続いて開示範囲取得部58は、ステップS103で送信された開示範囲要求に対して、ユーザ端末16から開示範囲を取得したか否かを判定する(ステップS104)。開示範囲を取得しない場合には(ステップS104:NO)、処理をステップS103に戻すことで、ユーザ端末16に対して繰り返し開示範囲要求を送信する。これにより、ステップS102で開示承認の意思を示しているユーザ端末16のユーザに対して、開示範囲要求に対する回答を促すことができる。
【0052】
尚、開示範囲要求を繰り返し送信した場合、繰り返し回数が所定値に達した場合には、処理をステップS102に戻して、ユーザ端末16に対して開示承認の意思を再度確認してもよい。また繰り返し回数が所定値に達した場合には、運転データを開示する意思がないとみなして、一連の処理を終了してもよい。
【0053】
一方、開示範囲を取得した場合(ステップS104:YES)、開示データ作成部60は、データベース25に蓄積された運転データに基づいて開示データを作成する(ステップS105)。ステップS105では、開示範囲取得部58で取得された開示範囲に基づいて、データベース25に蓄積された運転データのうち開示許可がなされているデータの種類やデータ取得期間等を特定し、当該特定された運転データを加工することにより、開示データが作成される。
【0054】
ステップS105では、開示データの作成は、開示範囲に対応する運転データを関連情報とパッケージ化することにより行われてもよい。これにより、取り扱いデータのセキュリティを確保しつつ、遠隔監視に必要なデータを好適に遠隔装置10に送ることができる。
【0055】
続いて送受信制御部62は、ステップS105で作成された開示データを、外部ネットワーク6を介して遠隔装置10に送信する(ステップS106)。ステップS106では、データベース25に蓄積された運転データは、開示データに加工されて遠隔装置10に対して送信される。これにより、データベース25に蓄積された運転データが、ユーザ端末16のユーザの意図に反して外部に漏洩することにより、運転データに含まれるユーザの運転や操業に関する秘匿すべきノウハウが流出することが防止される。一方で開示データには、ユーザ端末16のユーザが開示を許可する範囲において運転データが含まれることで、機器12のユーザにとっての運転データの秘匿性を確保しながら、遠隔装置10では開示データに基づいて機器12の管理が可能となる。
【0056】
図5は他の実施形態に係る機器管理方法を示すフローチャートである。この実施形態では、図4に示す機器管理方法によって遠隔装置10が開示データを受信し、遠隔装置10で、開示データを分析・解析した結果、機器12の点検が必要と判断された場合に実施される。
【0057】
まず点検要求取得部64は、外部ネットワーク6を介して遠隔装置10から点検要求を取得したか否かを判定する(ステップS200)。点検要求を取得しない間は(ステップS200:NO)、ステップS200が繰り返し実施されることにより、点検要求の有無が常時監視される。尚、ステップS200では、報知部28によるアラーム通知があった際に原因ガイダンス情報提供部29によって提供される原因ガイダンス情報に基づいて点検が提案された場合もまた、点検要求を取得したと判定してもよい。
【0058】
一方、点検要求を取得した場合(ステップS200:YES)、送受信制御部62は、ステップ200で取得した点検要求をユーザ端末16に対して転送する(ステップS201)。このとき点検要求には、ユーザ端末16のユーザに対して要求する点検の実施内容、手順、留意事項のような、ユーザが点検を実施するために有用な各種情報が含まれていてもよい。
【0059】
続いて点検データ取得部66は、ステップS201でユーザ端末16に対して転送された点検要求に対する点検データを取得したか否かを判定する(ステップS202)。ステップS202では、点検データが取得されない場合には(ステップS202:NO)、処理をステップS201に戻すことで、ユーザ端末16に対して繰り返し点検要求を送信する。これにより、遠隔装置10の使用者が必要な点検を実施するように、ユーザ端末16のユーザに対して促すことができる。
【0060】
尚、点検要求を繰り返し送信した場合、繰り返し回数が所定値に達した場合には、点検を実施する意思がないとみなして、一連の処理を終了してもよい。
【0061】
一方、点検データが取得された場合(ステップS202:YES)、送受信制御部62は点検データを、外部ネットワーク6を介して遠隔装置10に送信する(ステップS203)。これにより遠隔装置10では、プラントシステム2から遠隔地にいながらも、機器12の異常に関する点検データを取得することにより、詳細な分析や解析が可能となる。
【0062】
また遠隔装置10では、前述のようにエッジ装置18から外部ネットワーク6を介して送信される開示データや点検データを取得し、これらのデータを分析・解析することで、機器12のユーザに向けたサービス情報を作成することができる。このサービス情報は、遠隔装置10で開示データや点検データ等を分析・解析することで作成される機器12の今後のメンテナンスサービスに関する情報である。
【0063】
サービス情報は、遠隔装置10から外部ネットワーク6を介してエッジ装置18に送信されると、ユーザ端末16に対して提供される。この場合、エッジ装置18によるユーザ端末16へのサービス情報の送信タイミングは任意に設定可能である。例えば常時運用されるプラント設備では、その運用が中断される定期点検等の実施タイミングに合わせてサービス情報を提供することで、メンテナンスサービスの実施によるプラント設備の運用状態への影響を効果的に抑えることができる。
【0064】
以上説明したように上記各実施形態によれば、機器12の異常に関するアラーム通知を取得すると、監視装置14から取得した機器12の運転データの開示承認要求が、機器12のユーザが使用するユーザ端末16に対して送信される。この開示承認要求には、運転データの全体的又は部分的な開示可否に関する承認要求が含まれる。そして開示承認要求に対する開示承認に基づいて、エッジ装置18から遠隔装置10に対して運転データから作成される開示データの送信が行われる。開示データは、ユーザによる開示承認に基づいて作成される。そのため、遠隔装置10では機器12のユーザが開示承認をした範囲で運転データが取得されることとなる。このようにエッジ装置18から遠隔装置10に送信されるデータを、機器12のユーザの開示承認に基づいて制限することで、機器12のユーザにとっての運転データの秘匿性を確保しながら、遠隔装置10における機器12の異常監視が可能となる。
【0065】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【0066】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0067】
(1)一態様に係るエッジ装置は、
機器の動作状態を監視する監視装置から前記機器の異常に関するアラーム通知を取得した場合に、前記監視装置から取得した前記異常に関連する運転データの開示承認要求を送信するための開示承認要求部と、
前記開示承認要求に対する開示承認を受信した場合に、前記運転データに基づいて作成された開示データを遠隔装置に送信するための送信部と、
を備える。
【0068】
上記(1)の態様によれば、機器の異常に関するアラーム通知を取得すると、監視装置から取得した機器の運転データの開示承認要求が、機器のユーザが使用するユーザ端末に対して送信される。この開示承認要求には、運転データの全体的又は部分的な開示可否に関する承認要求が含まれる。そして開示承認要求に対する開示承認に基づいて、エッジ装置から遠隔装置に対して運転データから作成される開示データの送信が行われる。開示データは、ユーザによる開示承認に基づいて作成される。そのため、遠隔装置では機器のユーザが開示承認をした範囲で運転データが取得されることとなる。このようにエッジ装置から遠隔装置に送信されるデータを、機器のユーザの開示承認に基づいて制限することで、機器のユーザにとっての運転データの秘匿性を確保しながら、遠隔装置における機器の異常監視が可能となる。
【0069】
(2)他の態様では、上記(1)の態様において、
前記運転データの開示範囲を要求するための開示範囲要求部と、
前記開示範囲に基づいて前記運転データを加工することにより、前記開示データを作成するための開示データ作成部と、
を更に備える。
【0070】
上記(2)の態様によれば、運転データの開示範囲の指定が、機器のユーザに対して要求される。エッジ装置は、このような要求に対する機器のユーザから返信される開示範囲に基づいて運転データを加工することにより、開示データを作成する。これにより、エッジ装置から遠隔装置に送信される開示データを、機器のユーザによって指定された範囲に制限することができる。
【0071】
(3)他の態様では、上記(1)又は(2)の態様において、
前記送信部は、前記監視装置から前記アラーム通知に関連する原因ガイダンス情報を取得した場合に、前記原因ガイダンス情報を前記遠隔装置に送信する。
【0072】
上記(3)の態様によれば、監視装置からアラーム通知に関連する原因ガイダンス情報を取得した場合には、遠隔装置に対して、アラーム通知に加えて、原因ガイダンス情報も送信される。原因ガイダンス情報は、機器で検知された異常の原因に関する情報であり、機器のユーザにとって秘匿すべきノウハウではないため、エッジ装置から遠隔装置に送信することで、より詳細な異常の診断や解析に活用することができる。
【0073】
(4)他の態様では、上記(1)から(3)のいずれか一態様において、
前記送信部は、前記遠隔装置からの点検要求を、前記機器のユーザ端末に送信し、前記ユーザ端末から前記点検要求に対応する前記点検データを取得した場合に、前記点検データを前記遠隔装置に送信する。
【0074】
上記(4)の態様によれば、遠隔装置から機器のユーザに対して点検要求があった場合(監視装置からアラーム通知があり、原因ガイダンス情報で点検要求があった場合を含む)には、エッジ装置は、点検要求に対してユーザ端末から取得した点検データを遠隔装置に送信する。遠隔装置では、このように点検要求に対応した点検データを取得することで、前述の開示データとともに分析・解析することにより、機器の状態をより詳細に診断・解析することができる。
【0075】
(5)他の態様では、上記(4)の態様において、
前記送信部は、前記点検データのうち前記ユーザ端末によって指定された開示範囲を前記遠隔装置に送信する。
【0076】
上記(5)の態様によれば、点検要求に対応して遠隔装置に送信される点検データの開示範囲もまた、前述の開示データと同様に、ユーザ端末による開示範囲の指定によって調整可能とすることができる。この場合、点検データの開示範囲をユーザ端末による指定に基づいて制限することで、点検データに含まれるノウハウの意図しない漏洩を効果的に防止できる。
【0077】
(6)他の態様では、上記(1)から(5)のいずれか一態様において、
前記開示データは、前記開示範囲に対応する前記運転データを関連情報とパッケージ化することにより作成される。
【0078】
上記(6)の態様によれば、エッジ装置から遠隔装置に送信される開示データを、関連情報とパッケージ化して作成することで、取り扱いデータのセキュリティを確保しつつ、遠隔監視に必要なデータを好適に遠隔装置に送ることができる。
【0079】
(7)他の態様では、上記(1)から(6)のいずれか一態様において、
前記送信部は、前記遠隔装置から取得したサービス情報を、所定のタイミングで前記機器のユーザ端末に送信する。
【0080】
上記(7)の態様によれば、遠隔装置で開示データ等を分析・解析することで作成される機器の今後のメンテナンスサービスに関するサービス情報を、所定のタイミングでユーザ端末に提供できる。これにより、例えば常時運用されるプラント設備において、運用が中断される定期点検等の実施タイミングに合わせてサービス情報を提供することで、メンテナンスサービスの実施によるプラント設備の運用状態への影響を効果的に抑えることができる。
【0081】
(8)他の態様では、上記(1)から(7)のいずれか一態様において、
前記監視装置は、前記遠隔装置とともに前記機器のユーザ端末に前記アラーム通知を報知するための報知部を備える。
【0082】
上記(8)の態様によれば、監視装置によって機器に異常が検出されると、監視装置が備える報知部によって、アラーム通知がユーザ端末だけでなく遠隔装置に報知される。これにより、実際に機器を使用するユーザに加えて、遠隔装置に報知されることで外部の専門家等に機器の異常可能性を迅速に知らせることができる。
【0083】
(9)一態様に係る機器管理システムは、
上記(1)から(8)のいずれか一態様に係るエッジ装置と、
前記機器のユーザが使用可能なユーザ端末と、
前記遠隔装置と、
を備える。
【0084】
上記(9)の態様によれば、ユーザ端末と遠隔装置との間における情報のやり取りを、上記エッジ装置によって管理することにより、ユーザ端末の使用者にとっての情報の秘匿性を確保しつつ、遠隔装置に有用な情報を提供することができる。
【0085】
(10)一態様に係る機器管理方法は、
機器の動作状態を監視する監視装置から前記機器の異常に関するアラーム通知を取得した場合に、前記監視装置から取得した前記異常に関連する運転データの開示承認要求を送信する工程と、
前記開示承認要求に対する開示承認を受信した場合に、前記運転データに基づいて作成された開示データを遠隔装置に送信する工程と、
を備える。
【0086】
上記(10)の態様によれば、機器の異常に関するアラーム通知を取得すると、監視装置から取得した機器の運転データの開示承認要求が、機器のユーザが使用するユーザ端末に対して送信される。この開示承認要求には、運転データの全体的又は部分的な開示可否に関する承認要求が含まれる。そして開示承認要求に対する開示承認に基づいて、エッジ装置から遠隔装置に対して運転データから作成される開示データの送信が行われる。開示データは、ユーザによる開示承認に基づいて作成される。そのため、遠隔装置では機器のユーザが開示承認をした範囲で運転データが取得されることとなる。このようにエッジ装置から遠隔装置に送信されるデータを、機器のユーザの開示承認に基づいて制限することで、機器のユーザにとっての運転データの秘匿性を確保しながら、遠隔装置における機器の異常監視が可能となる。
【0087】
(11)一態様に係る機器管理プログラムは、
コンピュータ装置に、
機器の動作状態を監視する監視装置から前記機器の異常に関するアラーム通知を取得した場合に、前記監視装置から取得した前記異常に関連する運転データの開示承認要求を送信する工程と、
前記開示承認要求に対する開示承認を受信した場合に、前記運転データに基づいて作成された開示データを遠隔装置に送信する工程と、
を実行可能である。
【0088】
上記(11)の態様によれば、機器の異常に関するアラーム通知を取得すると、監視装置から取得した機器の運転データの開示承認要求が、機器のユーザが使用するユーザ端末に対して送信される。この開示承認要求には、運転データの全体的又は部分的な開示可否に関する承認要求が含まれる。そして開示承認要求に対する開示承認に基づいて、エッジ装置から遠隔装置に対して運転データから作成される開示データの送信が行われる。開示データは、ユーザによる開示承認に基づいて作成される。そのため、遠隔装置では機器のユーザが開示承認をした範囲で運転データが取得されることとなる。このようにエッジ装置から遠隔装置に送信されるデータを、機器のユーザの開示承認に基づいて制限することで、機器のユーザにとっての運転データの秘匿性を確保しながら、遠隔装置における機器の異常監視が可能となる。
【符号の説明】
【0089】
1 機器管理システム
2 プラントシステム
4 ルータ
6 外部ネットワーク
8 接続サーバ
10 遠隔装置
12 機器
14 監視装置
16 ユーザ端末
18 エッジ装置
20 機器本体
22 制御装置
24 センサ
25 データベース
26 異常診断部
28 報知部
30 CPU
32 送信部
34 受信部
50 アラーム通知取得部
52 開示承認要求部
54 開示承認取得部
56 開示範囲要求部
58 開示範囲取得部
60 開示データ作成部
62 送受信制御部
64 点検要求取得部
66 点検データ取得部
図1
図2
図3
図4
図5