特開 2024-79905 荷受台昇降装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024079905

(43)【公開日】2024-06-13

(54)【発明の名称】荷受台昇降装置

(51)【国際特許分類】

   B60P 1/46 20060101AFI20240606BHJP

【ＦＩ】

B60P1/46 B

B60P1/46 C

【審査請求】未請求

【請求項の数】11

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022192590

(22)【出願日】2022-12-01

【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り

(71)【出願人】

【識別番号】000163095

【氏名又は名称】極東開発工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110000280

【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】河上 佳賢

(72)【発明者】

【氏名】小西 拓

(72)【発明者】

【氏名】山下 惠

(72)【発明者】

【氏名】井川 弘大

(72)【発明者】

【氏名】南 龍之介

(72)【発明者】

【氏名】鈴木 大輝

(72)【発明者】

【氏名】田中 遥子

(72)【発明者】

【氏名】片岡 龍我

(72)【発明者】

【氏名】山本 祥治

(57)【要約】

【課題】荷受台を使用しないときに、昇降支柱及び荷受台が損傷するのを抑制することができる荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】荷受台昇降装置１０は、一対の昇降支柱１２、荷受台１６及び昇降機構２１を有する昇降ユニット１１と、荷受台１６を起立させた状態の昇降ユニット１１を荷台２に対して水平軸線Ｃ回りに下記使用位置と下記不使用位置との間で反転させる反転機構３０と、を備える。
使用位置：昇降ユニット１１が荷台２の下方に張り出し、荷受台１６が水平展開された状態で昇降可能となる位置
不使用位置：昇降ユニット１１が荷台２の床面２ａの高さよりも上方に配置される位置
【選択図】図４

【特許請求の範囲】

【請求項1】

車両の荷台に対して荷物を積み降ろすための荷受台昇降装置であって、
一対の昇降支柱と、一対の前記昇降支柱に対して水平展開された状態で昇降可能であり且つ一対の前記昇降支柱に沿って起立可能な荷受台と、水平展開された前記荷受台を前記荷台の床面と地面との間で昇降させる昇降機構と、を有する昇降ユニットと、
前記荷受台を起立させた状態の前記昇降ユニットを、下記に定義する使用位置と、下記に定義する不使用位置との間で、前記荷台に対して水平軸線回りに反転させる反転機構と、を備える荷受台昇降装置。
使用位置：前記昇降ユニットが前記荷台の下方に張り出し、前記荷受台が水平展開された状態で昇降可能となる位置
不使用位置：前記昇降ユニットが前記荷台の床面の高さよりも上方に配置される位置

【請求項2】

前記反転機構は、一対の前記昇降支柱それぞれを、前記荷台に対して反転可能に支持する一対の反転支持部を有する、請求項１に記載の荷受台昇降装置。

【請求項3】

前記各反転支持部は、前記昇降ユニットが前記使用位置にある状態で、前記各昇降支柱の上側部分を前記荷台に対して反転可能に支持している、請求項２に記載の荷受台昇降装置。

【請求項4】

前記反転機構により前記不使用位置から前記使用位置へ反転する前記昇降ユニットが、前記使用位置を超えて反転するのを規制する規制部をさらに備える請求項１又は請求項２に記載の荷受台昇降装置。

【請求項5】

前記規制部は、
前記荷台側及び前記昇降ユニット側のうち一方側に設けられ、前記昇降ユニットが前記使用位置まで反転したときに、前記荷台側及び前記昇降ユニット側のうち他方側の第１所定箇所に当接する弾性体と、
前記荷台側及び前記昇降ユニット側のうち一方側に設けられ、前記弾性体が前記第１所定箇所に当接し、前記弾性体の最大弾性変形量よりも小さい所定量だけ当該弾性体が弾性変形した状態で、前記荷台側及び前記昇降ユニット側のうち他方側の第２所定箇所に当接する非弾性体と、を有する、請求項４に記載の荷受台昇降装置。

【請求項6】

前記反転機構は、前記昇降ユニットを反転動作させる反転駆動部をさらに有する、請求項１又は請求項２に記載の荷受台昇降装置。

【請求項7】

前記昇降ユニットは、一対の前記昇降支柱の間に設けられたクロスメンバをさらに有し、
前記昇降機構は、前記クロスメンバ内に収容された、前記荷受台を昇降させるためのアクチュエータ、前記アクチュエータを駆動するパワーユニット、及び前記パワーユニットと前記クロスメンバとを連結する防振部を有し、
前記防振部は、
前記昇降ユニットが前記使用位置にあるときに前記パワーユニットを下方から支持するとともに、前記昇降ユニットが前記不使用位置にあるときに前記パワーユニットの上方に位置するように、前記クロスメンバに直接又は間接的に固定される第１防振部材と、
前記昇降ユニットが前記不使用位置にあるときに前記パワーユニットを下方から支持するとともに、前記昇降ユニットが前記使用位置にあるときに前記パワーユニットの上方に位置するように、前記クロスメンバに直接又は間接的に固定される第２防振部材と、を有する、請求項１又は請求項２に記載の荷受台昇降装置。

【請求項8】

前記昇降機構は、前記クロスメンバ内に収容された、前記アクチュエータにより移動される可動シーブ、及び前記可動シーブの移動を案内するガイド部材をさらに有し、
前記ガイド部材は、前記昇降ユニットが前記使用位置にあるときに前記パワーユニットの上方に位置するように、前記クロスメンバに固定されており、
前記第２防振部材は、前記ガイド部材に固定されている、請求項７に記載の荷受台昇降装置。

【請求項9】

前記昇降ユニットが前記不使用位置にあるとき、前記反転機構による前記昇降ユニットの反転を不能する反転固定構造をさらに備える請求項１又は請求項２に記載の荷受台昇降装置。

【請求項10】

前記反転機構は、前記昇降支柱を、前記荷台に対して反転可能に支持する反転支持部を有し、
前記反転固定構造は、
前記反転支持部側及び前記昇降支柱側のうちの一方側に設けられた係合孔と、
前記反転支持部側及び前記昇降支柱側のうちの他方側に設けられ、前記昇降ユニットが前記不使用位置にあるとき、前記係合孔に抜き差し可能に差し込まれる係合ピンと、を有する、請求項９に記載の荷受台昇降装置。

【請求項11】

前記係合孔は、前記水平軸線を中心とする放射方向に延びる長孔である、請求項１０に記載の荷受台昇降装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、荷受台昇降装置に関する。

【背景技術】

【0002】

貨物自動車等に装着されて荷物の積み降ろしに利用される荷受台昇降装置として、例えば特許文献１に記載されたものがある。特許文献１の荷受台昇降装置は、垂直昇降式であり、貨物自動車の荷台の後端部に固定された左右一対の昇降支柱（アウタコラム）と、これらの昇降支柱に対して昇降可能に設けられた荷受台と、を備えている。荷受台は、水平展開された状態で、地面に接地する下降位置と、荷台の床面と同一高さになる上昇位置との間で昇降可能である。また、荷受台を使用しないときには、荷受台を前記上昇位置から上方回動させることで、荷受台は各昇降支柱の後面に沿って起立格納される。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２２－０４８６７４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

前記垂直昇降式の荷受台昇降装置では、荷受台を使用しないときに、一対の昇降支柱及び起立格納された荷受台は、荷台よりも下方に張り出した状態となる。この状態で貨物自動車を走行させると、昇降支柱や荷受台が損傷するおそれがある。

【0005】

本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、荷受台を使用しないときに、昇降支柱及び荷受台が損傷するのを抑制することができる荷受台昇降装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

（１）本発明は、車両の荷台に対して荷物を積み降ろすための荷受台昇降装置であって、一対の昇降支柱と、一対の前記昇降支柱に対して水平展開された状態で昇降可能であり且つ一対の前記昇降支柱に沿って起立可能な荷受台と、水平展開された前記荷受台を前記荷台の床面と地面との間で昇降させる昇降機構と、を有する昇降ユニットと、前記荷受台を起立させた状態の前記昇降ユニットを、下記に定義する使用位置と、下記に定義する不使用位置との間で、前記荷台に対して水平軸線回りに反転させる反転機構と、を備える荷受台昇降装置である。
使用位置：前記昇降ユニットが前記荷台の外側に張り出し、前記荷受台が水平展開された状態で昇降可能となる位置
不使用位置：前記昇降ユニットが前記荷台の床面の高さよりも上方に配置される位置

【0007】

本発明によれば、昇降ユニットの荷受台を使用しないときに、荷受台を一対の昇降支柱に沿って起立させた状態で、反転機構により昇降ユニットを使用位置から荷台の床面の高さよりも上方の不使用位置へ反転させることができる。これにより、昇降ユニットの昇降支柱及び荷受台は荷台の床面の高さよりも上方に配置されるので、荷受台を使用しないときに昇降支柱及び荷受台が損傷するのを抑制することができる。

【0008】

（２）上記（１）の荷受台昇降装置において、前記反転機構は、一対の前記昇降支柱それぞれを、前記荷台に対して反転可能に支持する一対の反転支持部を有するのが好ましい。
この場合、反転機構により昇降ユニットを反転させる際に、一対の反転支持部により各昇降支柱が荷台に対して支持されるので、昇降ユニットを安定した状態で反転させることができる。

【0009】

（３）上記（２）の荷受台昇降装置において、前記各反転支持部は、前記昇降ユニットが前記使用位置にある状態で、前記各昇降支柱の上側部分を前記荷台に対して反転可能に支持しているのが好ましい。
この場合、使用位置において各昇降支柱の下側部分を反転可能に支持する場合と比較して、反転機構により昇降ユニットを不使用位置から使用位置に反転させたときに、各昇降支柱の下端を地面に近づけることができる。これにより、使用位置において荷受台を地面まで下降させるために各昇降支柱を下方に延ばす必要がないので、各昇降支柱を上下方向にコンパクトに構成することができる。

【0010】

（４）上記（１）から（３）のいずれか一の荷受台昇降装置は、前記反転機構により前記不使用位置から前記使用位置へ反転する前記昇降ユニットが、前記使用位置を超えて反転するのを規制する規制部をさらに備えるのが好ましい。
この場合、不使用位置から使用位置へ反転した昇降ユニットが、誤操作等に起因して使用位置を超えて反転するのを規制部によって抑制することができる。

【0011】

（５）上記（４）の荷受台昇降装置において、前記規制部は、前記荷台側及び前記昇降ユニット側のうち一方側に設けられ、前記昇降ユニットが前記使用位置まで反転したときに、前記荷台側及び前記昇降ユニット側のうち他方側の第１所定箇所に当接する弾性体と、前記荷台側及び前記昇降ユニット側のうち一方側に設けられ、前記弾性体が前記第１所定箇所に当接し、前記弾性体の最大弾性変形量よりも小さい所定量だけ当該弾性体が弾性変形した状態で、前記荷台側及び前記昇降ユニット側のうち他方側の第２所定箇所に当接する非弾性体と、を有するのが好ましい。
この場合、昇降ユニットが使用位置まで反転したときに、弾性体が第１所定箇所に当接して弾性変形してから、非弾性体が第２所定箇所に当接するので、昇降ユニットが使用位置まで反転したときに、荷台側と昇降ユニット側との当接による衝撃を緩和することができる。また、弾性体が最大弾性変形量まで弾性変形する前に、非弾性体が第２所定箇所に当接するので、弾性体に掛かる負担を軽減することができる。その結果、弾性体が破損するのを抑制することができる。

【0012】

（６）上記（１）から（５）のいずれか一の荷受台昇降装置において、前記反転機構は、前記昇降ユニットを反転動作させる反転駆動部をさらに有するのが好ましい。
この場合、反転駆動部により昇降ユニットを容易に反転動作させることができる。

【0013】

（７）上記（１）から（６）のいずれか一の荷受台昇降装置において、前記昇降ユニットは、一対の前記昇降支柱の間に設けられたクロスメンバをさらに有し、前記昇降機構は、前記クロスメンバ内に収容された、前記荷受台を昇降させるためのアクチュエータ、前記アクチュエータを駆動するパワーユニット、及び前記パワーユニットと前記クロスメンバとを連結する防振部を有し、前記防振部は、前記昇降ユニットが前記使用位置にあるときに前記パワーユニットを下方から支持するとともに、前記昇降ユニットが前記不使用位置にあるときに前記パワーユニットの上方に位置するように、前記クロスメンバに直接又は間接的に固定される第１防振部材と、前記昇降ユニットが前記不使用位置にあるときに前記パワーユニットを下方から支持するとともに、前記昇降ユニットが前記使用位置にあるときに前記パワーユニットの上方に位置するように、前記クロスメンバに直接又は間接的に固定される第２防振部材と、を有するのが好ましい。
この場合、昇降ユニットが使用位置及び不使用位置のいずれの位置にあっても、パワーユニットの上下両側には第１防振部材と第２防振部材が位置する。このため、昇降ユニットの位置が変化しても、パワーユニットが上下に振動するのを効果的に抑制することができる。また、昇降ユニットが使用位置及び不使用位置のいずれの位置にあっても、パワーユニットは、その下方に位置する第１防振部材又は第２防振部材を介して、クロスメンバに支持された状態となる。このため、パワーユニットの上方に位置する第２防振部材又は第１防振部材が、パワーユニットの自重により下方に引っ張られて破損するのを抑制することができる。

【0014】

（８）上記（７）の荷受台昇降装置において、前記昇降機構は、前記クロスメンバ内に収容された、前記アクチュエータにより移動される可動シーブ、及び前記可動シーブの移動を案内するガイド部材をさらに有し、前記ガイド部材は、前記昇降ユニットが前記使用位置にあるときに前記パワーユニットの上方に位置するように、前記クロスメンバに固定されており、前記第２防振部材は、前記ガイド部材に固定されているのが好ましい。
この場合、第２防振部材は、可動シーブの移動を案内するガイド部材を介して間接的にクロスメンバに固定されるので、第２防振部材をクロスメンバに固定するための専用の部材が不要になる。これにより、荷受台昇降装置の構成を簡素化することができる。

【0015】

（９）上記（１）から（８）のいずれか一の荷受台昇降装置は、前記昇降ユニットが前記不使用位置にあるとき、前記反転機構による前記昇降ユニットの反転を不能する反転固定構造をさらに備えるのが好ましい。
この場合、反転固定構造によって、不使用位置にある昇降ユニットが使用位置へ反転するのを不能にすることで、車両の走行中の振動等に起因して、昇降ユニットが不使用位置から使用位置へ反転するのを抑制することができる。

【0016】

（１０）上記（９）の荷受台昇降装置において、前記反転機構は、前記昇降支柱を、前記荷台に対して反転可能に支持する反転支持部を有し、前記反転固定構造は、前記反転支持部側及び前記昇降支柱側のうちの一方側に設けられた係合孔と、前記反転支持部側及び前記昇降支柱側のうちの他方側に設けられ、前記昇降ユニットが前記不使用位置にあるとき、前記係合孔に抜き差し可能に差し込まれる係合ピンと、を有するのが好ましい。
この場合、係合孔に係合ピンを差し込むだけの簡単な操作で、昇降ユニットの反転を不能にすることができる。

【0017】

（１１）上記（１０）の荷受台昇降装置において、前記係合孔は、前記水平軸線を中心とする放射方向に延びる長孔であるのが好ましい。
この場合、係合孔や係合ピンに製造誤差が生じた場合でも、係合孔に係合ピンを差し込むことができる。

【発明の効果】

【0018】

本発明の荷受台昇降装置によれば、荷受台を使用しないときに、昇降支柱及び荷受台が損傷するのを抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【0019】

【図1】本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置が設けられた車両の後部を示す斜視図である。

【図2】荷受台昇降装置の側面図である。

【図3】図１の後方からクロスメンバの内部を見た図である。

【図4】昇降ユニットの反転前後の状態を示す側面図である。

【図5】図４のＩ矢視図である。

【図6】図５のＩＩ矢視図である。

【図7】反転支持部及びその周辺を示す図２の拡大側面図である。

【図8】昇降ユニットが不使用位置の状態で、図４の前方からクロスメンバを見た図である。

【図9】変形例に係る防振部を示す図３に対応する図である。

【図10】上記変形例に係る防振部を示す図８に対応する図である。

【図11】反転支持部及びその周辺を示す図４の拡大側面図である。

【図12】図１１のＶＩＩ矢視図である。

【図13】図１２のＶＩＩＩ－ＶＩＩＩ矢視断面図である。

【図14】係合ピンが係合孔から抜け出た状態を示す図１３に対応する断面図である。

【図15】図１４の状態から取手を回転させた状態を示す図１３に対応する断面図である。

【図16】図５の昇降ユニットの左側部分を上から見た平面図である。

【図17】図１６のＩＩＩ矢視図である。

【図18】図５の昇降ユニットの右側部分を示す拡大図である。

【図19】図１８のＩＶ矢視図である。

【図20】切替部により反転支持部を持ち上げてキャスタを床面に接触させた状態を示す側面図である。

【図21】図１６における反転支持部の底板及び旋回支持部の固定板を示す拡大平面図である。

【図22】図５のＶ－Ｖ矢視断面図である。

【図23】可動孔と固定孔を示す平面図である。

【図24】固定孔を示す荷台の平面図である。

【図25】（ａ）は、旋回固定構造の差込部の平面図であり、（ｂ）は、差込部の側面図である。

【図26】差込部の差し込み手順を示す図２２に対応する断面図である。

【図27】差込部の差し込み手順を示す図２２に対応する断面図である。

【図28】差込部の差し込み手順を示す図２２に対応する断面図である。

【図29】図２８のＶＩ－ＶＩ矢視断面図である。

【図30】差込部の差し込み手順を示す図２２に対応する断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0020】

以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図１は、本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置１０が装着された車両１の後部を示す斜視図である。図２は、荷受台昇降装置１０の側面図である。以下の本実施形態の説明において、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、及び「後」といった方向は、図１に示す方向を意味する。

【0021】

図１及び図２において、本実施形態の車両１は、例えば貨物自動車であり、荷台２と、荷台２の左右両側にそれぞれ設けられた一対の側壁３と、荷台２の後端部に設けられた煽戸４と、を備えている。荷台２は、荷物が積載される床面２ａを有している。荷台２の床面２ａの上方は、荷物の積載空間とされている。

【0022】

煽戸４は、荷台２の後端部において左右方向（車幅方向）に延びる軸部材５を中心として上下回動可能に設けられている。煽戸４は、荷台２の床面２ａから下方に垂れ下がる開位置（図２に示す位置）と、荷台２の床面２ａから上方に立ち上がる閉位置（図示省略）と、の間で上下回動可能である。

【0023】

［昇降ユニット］
荷受台昇降装置１０は、荷台２の床面２ａに対して、荷台２の後方から荷物を積み降ろす際に使用される。荷受台昇降装置１０は、垂直昇降式の昇降ユニット１１を備えている。本実施形態の昇降ユニット１１は、図１に示す状態では、荷台２の後方において左側に偏って配置されている。昇降ユニット１１は、一対の昇降支柱１２、一対のインナコラム１３、一対のスライダ１４、荷受台１６、クロスメンバ１９、固縛機構２０、及び昇降機構２１を有している。

【0024】

一対の昇降支柱１２は、荷台２の後方において互いに左右方向に離間して配置されるとともに、互いに平行かつ上下方向に延びている。各昇降支柱１２は、中空の角筒体からなる。各昇降支柱１２の上端には、その上端開口を覆う天板１２ａが固定されている。各昇降支柱１２の後壁には、上下方向に延びるスリット１２ｂが形成されている。

【0025】

各昇降支柱１２の内部には、インナコラム１３が昇降自在に設けられている。各インナコラム１３も、上下方向に長く形成された中空の角筒体からなる。各インナコラム１３の後壁には、上下方向に延びるスリット１３ｂが形成されている。各インナコラム１３内には、スライダ１４が昇降自在に設けられている。

【0026】

各スライダ１４の後部は、インナコラム１３及び昇降支柱１２の各スリット１３ｂ，１２ｂを貫通し、昇降支柱１２の後方に突出している。各スライダ１４は、各スリット１３ｂ，１２ｂに案内されて昇降支柱１２及びインナコラム１３のそれぞれに対して昇降可能である。各スライダ１４には、インナコラム１３の内側面に沿って転動するローラ（図示省略）が回転可能に設けられ、このローラによって各スライダ１４が円滑に昇降するようになっている。

【0027】

各スライダ１４の後部下端には、ブラケット１５が固定されている。各ブラケット１５には、荷受台１６が回動可能に支持されている。荷受台１６は、メインプレート１６ａと、サブプレート１６ｂと、を有している。メインプレート１６ａの基端部は、各ブラケット１５に対して、左右方向に延びる水平軸となるピン１７を中心として上下回動可能に支持されている。サブプレート１６ｂの基端部は、メインプレート１６ａの先端部に対して、ヒンジ１８を介して上下回動可能に支持されている。

【0028】

荷受台１６は、後述する上昇位置において、各昇降支柱１２に対して、水平展開される展開姿勢（図２の１点鎖線で示す姿勢）と、各昇降支柱１２の後壁に沿って起立される起立姿勢（図２の２点鎖線で示す姿勢）との間で上下回動可能である。荷受台１６が展開姿勢のとき、メインプレート１６ａ及びサブプレート１６ｂは、各昇降支柱１２の後方において水平に延びており、メインプレート１６ａ及びサブプレート１６ｂの各表面（上面）は、荷物が載置される荷受面１６ｃとされている。

【0029】

荷受台１６が起立姿勢のとき、メインプレート１６ａは、上方回動して各昇降支柱１２の後壁に沿って起立された状態となり、サブプレート１６ｂは、起立されたメインプレート１６ａの裏面（下面）側に下方回動して当該裏面に沿って折り畳まれた状態となる。これにより、荷受台１６は、起立姿勢において上下方向にコンパクトな状態となる。

【0030】

固縛機構２０は、荷受台１６を起立姿勢で各昇降支柱１２に固縛する機構である。固縛機構２０は、メインプレート１６ａの左右両側に設けられた一対のロックハンドル２０ａと、各昇降支柱１２の外側壁１２ｄに固定された一対のフック２０ｂと、を有している。各ロックハンドル２０ａは、メインプレート１６ａに対して回動可能かつ左右方向にスライド可能に設けられている。各フック２０ｂには、対応するロックハンドル２０ａが係脱可能に係合される。図２に示すように、荷受台１６が起立姿勢のとき、ロックハンドル２０ａを回動及びスライドさせてフック２０ｂに係合させることで、荷受台１６は起立姿勢で固縛される。

【0031】

クロスメンバ１９は、一対の昇降支柱１２の間に設けられ、両昇降支柱１２のほぼ下半分全体がクロスメンバ１９によって連結されている。クロスメンバ１９は、中空の矩形箱状に形成されており、クロスメンバ１９の内部空間は、各昇降支柱１２の内部空間と連通している。図１に示す状態において、クロスメンバ１９の上面１９ａは、荷台２の床面２ａと同一の高さ位置に配置されている。

【0032】

［昇降機構］
図３は、図１の後方からクロスメンバ１９の内部を見た図である。なお、図３は、クロスメンバ１９の後壁を取り除いた状態を示している（図８も同様）。図３において、昇降機構２１は、一対の昇降支柱１２に対して、展開姿勢の荷受台１６を荷台２の床面２ａと地面との間で昇降させる機構である。昇降機構２１は、油圧シリンダ（アクチュエータ）２２と、パワーユニットＰＵと、固定シーブ２７と、可動シーブ２８と、ガイド部材２９と、を備えている。油圧シリンダ２２、パワーユニットＰＵ、固定シーブ２７、可動シーブ２８、及びガイド部材２９は、いずれもクロスメンバ１９内に収容されている。

【0033】

油圧シリンダ２２は、クロスメンバ１９内の上側に配置されている。油圧シリンダ２２は、シリンダ本体２２ａと、ロッド２２ｂとを有している。シリンダ本体２２ａは、その軸方向を左右方向に向けて配置されている。シリンダ本体２２ａの基端部は、右側の昇降支柱１２に支持されている。

【0034】

ロッド２２ｂの一端は、シリンダ本体２２ａ内において軸方向に摺動可能に設けられたピストン（図示省略）に固定されている。ロッド２２ｂの他端は、シリンダ本体２２ａの先端部から左側に突出している。シリンダ本体２２ａに対してオイルが給排されることで、ロッド２２ｂがシリンダ本体２２ａに対して左右方向に往復移動する。これにより、油圧シリンダ２２は伸縮作動する。

【0035】

シリンダ本体２２ａの上方及び下方には、それぞれ固定ブラケット２１１が配置されている。各固定ブラケット２１１は、クロスメンバ１９の前壁に固定されている。各固定ブラケット２１１には、固定シーブ２７が回転可能に取り付けられている。

【0036】

ロッド２２ｂの他端には、可動ブラケット２１２が接続されている。可動ブラケット２１２には、可動シーブ２８が回転可能に取り付けられている。可動シーブ２８は、油圧シリンダ２２の伸縮作動によって、可動ブラケット２１２と共に左右方向に往復移動するようになっている。

【0037】

ガイド部材２９は、図３に示す状態で、可動ブラケット２１２の下方、且つパワーユニットＰＵの上方に位置している。ガイド部材２９は、左右方向に延びるガイド板２９ａと、ガイド板２９ａを下方から支持する左右一対のリブ２９ｂと、を有している。ガイド板２９ａの上面には、可動ブラケット２１２が左右方向に摺動可能に載置されている。一対のリブ２９ｂは、ガイド板２９ａの下面に固定されるとともに、クロスメンバ１９の前壁に固定されている。以上の構成により、ガイド部材２９は、可動ブラケット２１２を介して可動シーブ２８の往復移動を案内する。

【0038】

パワーユニットＰＵは、クロスメンバ１９内において、油圧シリンダ２２及びガイド部材２９の下方に配置されている。パワーユニットＰＵは、油圧シリンダ２２を駆動する。パワーユニットＰＵは、電動モータ２３、油圧ポンプ２４、及びオイルタンク２５を備えている。これらの部材２３～２５は、この順に左側から右側に向かって一列に配置された状態でユニット化されている。

【0039】

電動モータ２３は、車両１のバッテリ（図示省略）から電力供給されることで、油圧ポンプ２４を作動させる。油圧ポンプ２４は、オイルタンク２５内のオイルを吸引して吐出する。オイルタンク２５は、油圧ポンプ２４から油圧シリンダ２２に供給するオイルを蓄える。

【0040】

パワーユニットＰＵは、電動モータ２３をクロスメンバ１９に取り付けるための第１ブラケット２６Ａ及び第２ブラケット２６Ｂと、油圧ポンプ２４及びオイルタンク２５をクロスメンバ１９に取り付けるための第３ブラケット２６Ｃと、をさらに備えている。第２ブラケット２６Ｂは、例えばＬ字形状の板部材からなり、電動モータ２３の左端面に沿って固定された縦板２６３と、電動モータ２３の上方において左右方向に延びる横板２６４と、を有している。横板２６４は、後述するクッションゴム２２２ａ，２２２ｂを介してクロスメンバ１９に取り付けられている。その詳細については後述する。

【0041】

第１ブラケット２６Ａは、例えばＬ字形状の板部材からなり、第２ブラケット２６Ｂの縦板２６３に沿って電動モータ２３に固定された縦板２６１と、電動モータ２３の下方において左右方向に延びる横板２６２と、を有している。横板２６２は、後述するクッションゴム２２１ａを介してクロスメンバ１９に取り付けられている。その詳細については後述する。

【0042】

第３ブラケット２６Ｃは、例えば平板部材からなり、油圧ポンプ２４及びオイルタンク２５の下側に取り付けられている。第３ブラケット２６Ｃは、後述するクッションゴム２２１ｂ，２２１ｃを介してクロスメンバ１９に取り付けられている。その詳細については後述する。

【0043】

電動モータ２３により油圧ポンプ２４を作動させると、油圧シリンダ２２が伸縮作動する。油圧シリンダ２２が伸縮作動すると、固定シーブ２７及び可動シーブ２８に掛け回されたワイヤ（図示省略）を介して、スライダ１４が昇降支柱１２及びインナコラム１３に沿って昇降する。これにより、昇降機構２１は、展開姿勢の荷受台１６を、上昇位置（図２の１点鎖線で示す位置）と下降位置（図２の実線で示す位置）との間で昇降させることができる。荷受台１６が上昇位置のとき、荷受台１６の荷受面１６ｃは、荷台２の床面２ａ（クロスメンバ１９の上面１９ａ）と同一高さになる。荷受台１６が下降位置のとき、荷受台１６は地面に接地した状態となる。

【0044】

なお、油圧シリンダ２２を左右逆に配置し、油圧シリンダ２２の基端部を左側の昇降支柱１２に支持してもよい。その場合、パワーユニットＰＵの各部材２３～２５は、この順に右側から左側に向かって一列に配置される。また、昇降機構２１のアクチュエータは、油圧シリンダ２２に限定されるものではなく、エアシリンダや電動シリンダ等であってもよい。

【0045】

［第１移動機構］
荷受台昇降装置１０は、荷受台１６が起立姿勢とされた昇降ユニット１１を、後述する使用位置と不使用位置との間で移動させる第１移動機構３０をさらに備えている。なお、図１では、第１移動機構３０及び第２移動機構５０（後述）の図示を省略している。本実施形態の第１移動機構３０は、荷台２に対して、荷受台１６が起立姿勢とされた昇降ユニット１１を使用位置と不使用位置との間で反転させる反転機構からなる。以下、第１移動機構３０は、反転機構３０ともいう。

【0046】

図４は、昇降ユニット１１の反転前後の状態を示す側面図である。図５は、図４のＩ矢視図である。図６は、図５のＩＩ矢視図である。なお、図６では、後述する車輪部５３及び切替部５４の図示を省略している。図４～図６において、反転機構３０は、一対の反転支持部３１と、一対の反転アーム３３と、反転駆動部３４と、を備えている。

【0047】

一対の反転支持部３１は、昇降ユニット１１の一対の昇降支柱１２それぞれを、荷台２に対して反転可能に支持している。一対の反転支持部３１は、荷台２の床面２ａの後端部において、互いに左右方向に離間して一対の昇降支柱１２に対応する位置に配置されている。各反転支持部３１は、底板３１１と、補強板３１２と、一対の支持板３１３と、一対の反転軸３１４と、を有している。底板３１１の下面は、荷台２の床面２ａに載置されている。

【0048】

補強板３１２は、側面視においてＬ字形状の板部材からなり、水平方向に延びる横板部３１２ａと、鉛直方向に延びる縦板部３１２ｂと、を有している。横板部３１２ａは、底板３１１の上面に溶接等により固定されている。縦板部３１２ｂは、横板部３１２ａの後端から上方に延びている。一対の支持板３１３は、それぞれ略三角形状に形成された板部材からなる。一対の支持板３１３は、互いに左右方向に間隔をあけた状態で、補強板３１２における横板部３１２ａの上面及び縦板部３１２ｂの前面に、それぞれ溶接等により固定されている。

【0049】

各反転支持部３１の一対の支持板３１３には、反転軸３１４が左右方向に延びる水平軸線Ｃ回りに回転可能に支持されている。また、各反転支持部３１の一対の支持板３１３の間には、反転アーム３３が配置されている。反転アーム３３は、例えばチャンネル材からなり、その一端部が反転軸３１４に固定されている。これにより、反転アーム３３は、反転支持部３１に対して回動可能に支持されており、反転軸３１４と共に回動する。

【0050】

反転アーム３３の他端部は、昇降ユニット１１の各昇降支柱１２に固定されている。本実施形態では、各昇降支柱１２が図４の１点鎖線で示す位置にある状態で、各昇降支柱１２の上側部分かつ前側部分に、反転アーム３３の他端部が固定されている。

【0051】

以上の構成により、一対の反転支持部３１に対して各反転アーム３３を水平軸線Ｃ回りに回動させることで、一対の昇降支柱１２を上下回動させることができる。これにより、図４の１点鎖線で示す位置にある各昇降支柱１２の上側部分は、反転支持部３１により荷台２に対して反転可能に支持されている。したがって、荷受台１６が起立姿勢とされた昇降ユニット１１は、反転機構３０により、荷台２に対して、使用位置（図４の１点鎖線で示す位置）と、不使用位置（図４の実線で示す位置）との間で反転可能である。

【0052】

昇降ユニット１１が不使用位置まで反転したとき、各昇降支柱１２の下端部（使用位置では上端部）は、各反転支持部３１における左右一対の支持板３１３の間に入り込む。このため、昇降ユニット１１が不使用位置まで反転したときに、各昇降支柱１２が反転支持部３１と干渉することはない。

【0053】

反転機構３０により昇降ユニット１１を反転させる際、昇降ユニット１１の一対の昇降支柱１２は、それぞれ反転アーム３３を介して、荷台２上に設置された反転支持部３１に支持されながら反転する。したがって、本実施形態の反転機構３０は、荷台２に対して各昇降支柱１２を支持しつつ、昇降ユニット１１を使用位置と不使用位置との間で反転（移動）させることができる。

【0054】

使用位置における昇降ユニット１１は、荷台２の外側となる後方（一方向）かつ荷台２の下方に張り出した状態となる。この状態で荷受台１６を展開姿勢にすることで、荷受台１６は上昇位置と下降位置との間で昇降可能となる。不使用位置における昇降ユニット１１は、荷台２の床面２ａの高さよりも上方において荷台２上に配置された状態となり、かつ一対の昇降支柱１２は左右方向（一方向に対して水平方向に直交する方向）に沿って配置された状態となる。この状態において、荷受台１６は、荷台２上に配置されるので、上昇位置と下降位置との間での昇降が不可能となる。

【0055】

図５及び図６において、反転駆動部３４は、昇降ユニット１１を省力で反転動作させるものであり、昇降ユニット１１の右側方に配置されている。反転駆動部３４は、従動スプロケット３５、駆動スプロケット３６、チェーン３７、減速機３８、及び操作部３９を備えている。

【0056】

従動スプロケット３５は、反転支持部３１の右側に近接して配置されている。従動スプロケット３５の中心部は、反転軸３１４の右端部に一体回転可能に連結されている。駆動スプロケット３６は、従動スプロケット３５よりも車両１の前側に配置されている。駆動スプロケット３６の外径は、従動スプロケット３５の外径よりも小さい。駆動スプロケット３６の中心部は、減速機３８の出力軸３８ｂに一体回転可能に連結されている。チェーン３７は、無端状に形成され、従動スプロケット３５と駆動スプロケット３６とに掛け渡されている。

【0057】

減速機３８は、反転支持部３１の支持板３１３の外側面に固定されたベース板３１５の上面に設置されている。減速機３８は、例えばウォームギヤ（図示省略）を備えたウォーム減速機からなる。減速機３８の入力軸３８ａは前方に延びている。減速機３８の入力軸３８ａには、操作部３９が連結されている。操作部３９は、減速機３８の入力軸３８ａに一端部が連結されたレバー３９ａと、レバー３９ａの他端部に設けられたハンドル３９ｂと、を有している。

【0058】

作業者は、ハンドル３９ｂを把持し、レバー３９ａが減速機３８の入力軸３８ａを中心に回転するように操作部３９を回転操作すると、その回転トルクが減速機３８により増大され、減速機３８の出力軸３８ｂを介して駆動スプロケット３６が回転する。駆動スプロケット３６が回転すると、チェーン３７を介して従動スプロケット３５と共に反転軸３１４が回転する。これにより、作業者は、昇降ユニット１１を反転駆動部３４により省力で反転動作させることができる。

【0059】

［規制部］
図７は、反転支持部３１及びその周辺を示す図２の拡大側面図である。図２及び図７において、荷受台昇降装置１０は、反転機構３０により不使用位置から使用位置へ反転する昇降ユニット１１が、使用位置を超えて反転するのを規制する規制部４０をさらに備えている。

【0060】

規制部４０は、昇降ユニット１１側に設けられて荷台２側に当接する弾性体４１と、荷台２側に設けられて昇降ユニット１１側に当接する非弾性体４２と、を有している。ここで、「昇降ユニット側」とは、水平軸線Ｃ回りに反転する部材側であることを意味し、昇降ユニット１１だけでなく、反転機構３０の反転アーム３３も含まれる。また、「荷台側」とは、水平軸線Ｃ回りに反転しない部材側であることを意味し、荷台２だけでなく、反転機構３０の反転支持部３１、及び車両１の他の構成部材（煽戸４やリアバンパ等）も含まれる。

【0061】

本実施形態の弾性体４１は、昇降ユニット１１側である一対の昇降支柱１２にそれぞれ設けられている（図５も参照）。各弾性体４１は、例えばゴムからなる。各弾性体４１は、昇降ユニット１１が使用位置まで反転したときに、荷台２側である反転支持部３１の縦板部３１２ｂの後面における第１所定箇所３１２ｃに当接するように、昇降支柱１２の前面１２ｃに固定されている。各弾性体４１は、第１所定箇所３１２ｃに当接することで、前後方向に圧縮されるように弾性変形する。なお、図７では、便宜上、弾性変形前の自由状態の弾性体４１を示している。

【0062】

非弾性体４２は、例えば金属製のブロック状の部材からなる（図５，図１１も参照）。本実施形態の非弾性体４２は、荷台２側である左右一対の反転支持部３１それぞれの縦板部３１２ｂの後面において、第１所定箇所３１２ｃの下方に固定されている（図５も参照）。各非弾性体４２は、昇降ユニット１１が使用位置まで反転したときに、昇降ユニット１１側である各昇降支柱１２の前面１２ｃにおける、弾性体４１よりも下方の第２所定箇所１２ｃ１に当接する。言うまでもないが、各非弾性体４２は、第２所定箇所１２ｃ１に当接しても、前後方向に弾性変形しない。

【0063】

図７に示すように、非弾性体４２の前後方向の厚みｔ２は、弾性体４１の自由状態における前後方向の厚みｔ１よりも薄い。非弾性体４２の厚みｔ２は、弾性体４１が第１所定箇所３１２ｃに当接することで、弾性体４１の最大弾性変形量よりも小さい所定量だけ弾性体４１が弾性変形した状態で、第２所定箇所１２ｃ１に当接する長さに設定されている。

【0064】

したがって、昇降ユニット１１が不使用位置から使用位置まで反転したときに、弾性体４１が第１所定箇所３１２ｃに当接し、最大弾性変形量まで弾性変形する前に、非弾性体４２が第２所定箇所１２ｃ１に当接する。これにより、昇降ユニット１１が使用位置を超えて反転するのを規制することができる。

【0065】

なお、弾性体４１は、荷台２側（例えば縦板部３１２ｂ、開位置にある煽戸４、リアバンパ等）に設けられて昇降ユニット１１側（例えば昇降支柱１２）に当接させてもよい。非弾性体４２は、昇降ユニット１１側（例えば昇降支柱１２）に設けられて荷台２側（縦板部３１２ｂ、開位置にある煽戸４、リアバンパ等）に当接させてもよい。弾性体４１及び非弾性体４２は、いずれも荷台２側に設けられてもよいし、いずれも昇降ユニット１１側に設けられてもよい。非弾性体４２は、昇降ユニット１１が使用位置まで反転したときに、弾性体４１よりも上側、右側、又は左側に配置されてもよい。非弾性体４２は、弾性変形しなければ、金属製以外（例えば樹脂製）の部材であってもよい。

【0066】

［防振部］
図８は、昇降ユニット１１が不使用位置の状態で、図４の前方からクロスメンバ１９の内部を見た図である。図３及び図８において、昇降機構２１は、パワーユニットＰＵが駆動時に振動するのを抑制するために、パワーユニットＰＵとクロスメンバ１９とを連結する防振部２２０を備えている。防振部２２０は、第１防振部材２２１と、第２防振部材２２２と、を有している。

【0067】

図３において、本実施形態の第１防振部材２２１は、クロスメンバ１９の底板１９ｂの上面において、左右方向に間隔をあけて配置された３つのクッションゴム２２１ａ，２２１ｂ，２２１ｃを有している。各クッションゴム２２１ａ，２２１ｂ，２２１ｃは、例えばブロック状に形成されている。クッションゴム２２１ａは、パワーユニットＰＵの第１ブラケット２６Ａの横板２６２とクロスメンバ１９の底板１９ｂとの間に挟み込まれた状態で、図示を省略するボルトとナットにより、横板２６２と共に底板１９ｂに固定されている。

【0068】

クッションゴム２２１ｂ，２２１ｃは、パワーユニットＰＵの第３ブラケット２６Ｃとの下方において左右方向に間隔をあけて配置されている。クッションゴム２２１ｂ，２２１ｃの上下方向の厚みは、略同一であり、且つクッションゴム２２１ａの上下方向の厚みよりも薄い。クッションゴム２２１ｂ，２２１ｃは、第３ブラケット２６Ｃとクロスメンバ１９の底板１９ｂとの間に挟み込まれた状態で、図示を省略するボルトとナットにより、第３ブラケット２６Ｃと共に底板１９ｂに固定されている。

【0069】

以上より、第１防振部材２２１は、昇降ユニット１１が使用位置（図３）にあるときにパワーユニットＰＵを下方から支持するとともに、昇降ユニット１１が不使用位置（図８）にあるときにパワーユニットＰＵの上方に位置するように、クロスメンバ１９の底板１９ｂに直接固定されている。

【0070】

本実施形態の第２防振部材２２２は、ガイド部材２９の下方における一対のリブ２９ｂの間において、左右方向に間隔をあけて配置された２つのクッションゴム２２２ａ，２２２ｂを有している。各クッションゴム２２２ａ，２２２ｂは、例えばブロック状に形成されている。

【0071】

クッションゴム２２２ａ，２２２ｂは、ガイド部材２９に固定されている。具体的には、クッションゴム２２２ａ，２２２ｂは、パワーユニットＰＵの第２ブラケット２６Ｂの横板２６４とガイド部材２９のガイド板２９ａとの間に挟み込まれた状態で、図示を省略するボルトとナットにより、横板２６４と共にガイド板２９ａに固定されている。

【0072】

以上より、第２防振部材２２２は、昇降ユニット１１が不使用位置（図８）にあるときにパワーユニットＰＵを下方から支持するとともに、昇降ユニット１１が使用位置（図３）にあるときにパワーユニットＰＵの上方に位置するように、ガイド部材２９を介してクロスメンバ１９の前壁に間接的に固定されている。

【0073】

なお、第１防振部材２２１及び第２防振部材２２２それぞれのクッションゴムの個数は、本実施形態に限定されるものではない。第１防振部材２２１は、クロスメンバ１９に直接固定されているが、他の部材を介してクロスメンバ１９に間接的に固定されていてもよい。

【0074】

第２防振部材２２２は、可動シーブ２８の移動を案内するガイド部材２９に固定されているが、専用の部材を介して、クロスメンバ１９に間接的に固定されてもよい。第２防振部材２２２は、クロスメンバ１９に間接的に固定されているが、クロスメンバ１９の前壁又は上壁等に直接固定されていてもよい。

【0075】

第１防振部材２２１は、パワーユニットＰＵの第１ブラケット２６Ａ及び第３ブラケット２６Ｃに固定されているが、パワーユニットＰＵの他の部材２３～２５に固定されてもよい。同様に、第２防振部材２２２は、パワーユニットＰＵの第２ブラケット２６Ｂに固定されているが、パワーユニットＰＵの他の部材２３～２５に固定されてもよい。また、第１防振部材２２１及び第２防振部材２２２は、パワーユニットＰＵに間接的に固定されてもよい。

【0076】

［防振部の変形例］
図９は、変形例に係る防振部２２０を示す図３に対応する図である。図１０は、その防振部２２０を示す図８に対応する図である。なお、図９及び図１０では、パワーユニットＰＵを簡略化して示している。図９及び図１０において、本変形例の防振部２２０は、例えば、左右両端部に一対のブラケット２６Ｄを備えるパワーユニットＰＵに適用される。各ブラケット２６Ｄは、例えばＬ字形状の板部材からなり、パワーユニットＰＵの側面に沿って固定された縦板２６５と、縦板２６５から左右方向外側に向かってに延びる横板２６６と、を有している。

【0077】

図９において、本変形例の防振部２２０は、第１防振部材２２１と、第２防振部材２２２と、フランジ板２２３と、を有している。第１防振部材２２１は、クロスメンバ１９の底板１９ｂの上面において、左右方向に間隔をあけて配置された２つのクッションゴム２２１ｄ，２２１ｅを有している。クッションゴム２２１ｄ，２２１ｅは、各ブラケット２６Ｄの横板２６６とクロスメンバ１９の底板１９ｂとの間に挟み込まれている。

【0078】

第２防振部材２２２は、各ブラケット２６Ｄの横板２６６の上面に配置された２つのクッションゴム２２２ｄ，２２２ｅを有している。各クッションゴム２２２ｄ，２２２ｅは、例えば円筒状に形成されており、各ブラケット２６Ｄの横板２６６とフランジ板２２３との間に挟み込まれている。フランジ板２２３は、例えば円環状の板部材からなる。フランジ板２２３の外径は、各クッションゴム２２２ｄ，２２２ｅの外径よりも大きい。

【0079】

第１防振部材２２１の各クッションゴム２２１ｄ（２２１ｅ）、及び第２防振部材２２２の各クッションゴム２２２ｄ（２２２ｅ）は、ボルト２２４とナット２２５により、クロスメンバ１９の底板１９ｂに固定されている。具体的には、ボルト２２４は、クロスメンバ１９の下方から、底板１９ｂ、クッションゴム２２１ｄ（２２１ｅ）、横板２６６、クッションゴム２２２ｄ（２２２ｅ）、フランジ板２２３を、この順に貫通している。ナット２２５は、ボルト２２４におけるフランジ板２２３から上方に突出している部分に締め込まれている。なお、ボルト２２４とナット２２５は、上下逆に配置されていてもよい。

【0080】

以上より、第１防振部材２２１は、昇降ユニット１１が使用位置（図９）にあるときにパワーユニットＰＵの各ブラケット２６Ｄを下方から支持し、且つ昇降ユニット１１が不使用位置（図１０）にあるときに各ブラケット２６Ｄの上方に位置するように、クロスメンバ１９の底板１９ｂに直接固定されている。

【0081】

また、第２防振部材２２２は、昇降ユニット１１が不使用位置（図１０）にあるときに各ブラケット２６Ｄを下方から支持し、昇降ユニット１１が使用位置（図９）にあるときに各ブラケット２６Ｄの上方に位置するように、ブラケット２６Ｄ及び第１防振部材２２１を介して、クロスメンバ１９の底板１９ｂに間接的に固定されている。

【0082】

［反転固定構造］
図１１は、反転支持部３１及びその周辺を示す図４の拡大側面図である。図１２は、図１１のＶＩＩ矢視図である。図１３は、図１２のＶＩＩＩ－ＶＩＩＩ矢視断面図である。図１１～図１３において、荷受台昇降装置１０は、昇降ユニット１１が不使用位置にあるとき、反転機構３０による昇降ユニット１１の反転を不能にする反転固定構造４３をさらに備えている。なお、図５では、反転固定構造４３の図示を省略する。

【0083】

反転固定構造４３は、昇降支柱１２側に設けられた係合孔４４と、反転支持部３１側に設けられた係合部４５と、を有している。ここで、「反転支持部側」とは、水平軸線Ｃ回りに反転しない部材側であることを意味し、反転支持部３１だけでなく、後述する旋回機構５０の旋回支持部５１や旋回アーム部５２も含まれる。また、「昇降支柱側」とは、水平軸線Ｃ回りに反転する部材側であることを意味し、昇降支柱１２だけでなく、反転機構３０の反転アーム３３や荷受台１６も含まれる。

【0084】

本実施形態では、係合孔４４は、左側の昇降支柱１２における左右方向外側の外側壁１２ｄにおいて、当該外側壁１２ｄを貫通して形成されている。係合孔４４は、昇降ユニット１１が不使用位置にあるときに、反転支持部３１の左右一対の支持板３１３間に配置される。本実施形態の係合孔４４は、水平軸線Ｃを中心とする放射方向に延びる長孔である（図７も参照）。

【0085】

係合部４５は、左側の反転支持部３１における左右方向外側の支持板３１３に設けられている。係合部４５は、固定筒４６、係合ピン４７、弾性部材４８、及び取手４９を有している。固定筒４６は、例えば円筒状に形成されている。固定筒４６の軸方向一方側の端面は、支持板３１３の外側面に固定されている。

【0086】

支持板３１３に対する固定筒４６の固定位置は、昇降ユニット１１が不使用位置にあるときに、固定筒４６が支持板３１３を介して係合孔４４と対向する位置である。支持板３１３には、固定筒４６内と係合孔４４とを連通する連通孔３１３ａが、板厚方向に貫通して形成されている。連通孔３１３ａの孔径は、係合ピン４７の外径よりも少し大きい。

【0087】

固定筒４６内には、大孔部４６ａと、大孔部４６ａよりも孔径が小さい小孔部４６ｂと、が形成されている。大孔部４６ａは、固定筒４６の軸方向一端（右端）で開口するように形成されている。小孔部４６ｂは、固定筒４６の軸方向他端（左端）で開口するように形成され、固定筒４６内において大孔部４６ａと連通している。小孔部４６ｂの軸方向の長さは、大孔部４６ａの軸方向の長さよりも短い。大孔部４６ａと小孔部４６ｂとの間には、円環状の段差面４６ｃが形成されている。

【0088】

固定筒４６における小孔部４６ｂの径方向外側には、軸方向他端から軸方向一方側に向かって切欠溝４６ｄが形成されている。図１１において、固定筒４６を軸方向他方側から見て、切欠溝４６ｄは、図中の１２時の位置から、小孔部４６ｂを挟んで図中の６時の位置まで、固定筒４６の径方向全体にわたって形成されている。

【0089】

図１３において、係合ピン４７は、ピン本体４７ａと、ピン本体４７ａの外周に固定された鍔部４７ｂと、を有している。ピン本体４７ａは、例えば円柱状の部材からなる。ピン本体４７ａの外径は、固定筒４６の小孔部４６ｂの孔径よりも少し小さく、且つ係合孔４４（長孔）の短手方向の幅よりも少し小さい。

【0090】

鍔部４７ｂは、例えば円環状の板部材からなり、ピン本体４７ａの軸方向一方側の外周面から径方向外方に突出している。鍔部４７ｂの外径は、固定筒４６の大孔部４６ａの孔径よりも少し小さい。図１３に示す状態において、係合ピン４７における鍔部４７ｂよりも軸方向他方側の部分は、固定筒４６の大孔部４６ａから小孔部４６ｂにかけて挿入されている。また、係合ピン４７における鍔部４７ｂよりも軸方向一方側の部分は、支持板３１３の連通孔３１３ａを貫通して、支持板３１３の左右方向内側に突出している。これにより、昇降ユニット１１が不使用位置にあるとき、係合ピン４７は、昇降支柱１２の係合孔４４に抜き差し可能に差し込まれる。

【0091】

弾性部材４８は、例えば圧縮コイルスプリングからなり、固定筒４６の大孔部４６ａ内において、係合ピン４７のピン本体４７ａの径方向外方に配置されている。弾性部材４８の軸方向一端は、係合ピン４７の鍔部４７ｂに当接している。弾性部材４８の軸方向他端は、固定筒４６の段差面４６ｃに当接している。これにより、弾性部材４８は、その付勢力によって、係合ピン４７を固定筒４６に対して軸方向一方側に付勢している。

【0092】

弾性部材４８の付勢力によって鍔部４７ｂが支持板３１３の外側面に当接することで、係合ピン４７は、図１３に示す状態で保持される。すなわち、係合ピン４７は、昇降支柱１２の係合孔４４に差し込まれた状態で保持される。これにより、車両１の走行中の振動等に起因して、係合ピン４７が係合孔４４から抜け出るのを抑制することができる。

【0093】

取手４９は、例えば矩形枠状に形成されており、作業者が片手で把持できる大きさに形成されている。図１３に示す状態において、取手４９の一部（右側部）は、固定筒４６の切欠溝４６ｄに挿入され、係合ピン４７のピン本体４７ａの軸方向他端に固定されている。取手４９の他部（左側部）は、固定筒４６よりも軸方向他方側に突出している。

【0094】

図１３に示す状態から、作業者が、取手４９の他部を把持し、弾性部材４８の付勢力に抗して取手４９を軸方向他方側に引っ張ると、取手４９は、係合ピン４７と共に、固定筒４６に対して軸方向他方側に移動する。そして、図１４に示すように、取手４９の全体が、切欠溝４６ｄから抜け出して固定筒４６の軸方向他方側まで移動すると、係合ピン４７の軸方向一端部は、係合孔４４から軸方向他方側に抜け出して、固定筒４６内まで移動する。

【0095】

図１４に示す状態から、作業者は、取手４９を、係合ピン４７の軸線回りに９０°回転させ、取手４９から手を離す。そうすると、図１５に示すように、取手４９は、弾性部材４８の付勢力によって軸方向他方側に引っ張られ、固定筒４６の軸方向他方側の端面に当接した状態で保持される。これにより、係合ピン４７は、係合孔４４から抜け出した状態で保持されるので、昇降ユニット１１を不使用位置から使用位置へ反転させることが可能となる。図１５に示す状態から、係合ピン４７を係合孔４４に差し込む場合は、上記と逆の操作を行えばよい。

【0096】

なお、反転固定構造４３は、左側の昇降支柱１２及び反転支持部３１に設けられているが、これに加えて又はこれに替えて、右側の昇降支柱１２及び反転支持部３１に設けられていてもよい。反転固定構造４３は、本実施形態に限定されるものではない。例えば、係合孔４４は、長孔以外の形状（例えば真円等）に形成されていてもよい。また、係合孔４４は、昇降支柱１２側に形成されていればよく、例えば反転アーム３３に形成されていてもよい。

【0097】

係合部４５は、反転支持部３１側に設けられているが、昇降支柱１２側に設けられていてもよい。また、係合部４５の弾性部材４８は、圧縮コイルスプリングに限定されるものではなく、例えば複数の皿ばねで構成されていてもよい。また、係合部４５は、少なくとも係合ピン４７を有していればよい。

【0098】

［第２移動機構］
図１６は、図５の昇降ユニット１１の左側部分を上から見た平面図である。図１７は、図１６のＩＩＩ矢視図である。図５、図１６及び図１７において、荷受台昇降装置１０は、荷受台１６が起立姿勢とされた昇降ユニット１１を、荷台２上において、前記不使用位置と格納位置（後述）との間で移動させる第２移動機構５０をさらに備えている。

【0099】

本実施形態の第２移動機構５０は、荷台２に対して、荷受台１６が起立姿勢とされた昇降ユニット１１を、不使用位置（図１６の実線で示す位置）と格納位置（図１６の１点鎖線で示す位置）との間における９０°の範囲で旋回させる旋回機構からなる。以下、第２移動機構５０は、旋回機構５０ともいう。旋回機構５０は、旋回支持部５１、旋回アーム部５２、車輪部５３、及び切替部５４を備えている。

【0100】

＜旋回支持部と旋回アーム部＞
旋回支持部５１は、昇降ユニット１１を水平旋回可能に支持するものであり、一対の昇降支柱１２の一方側（左側）において荷台２の床面２ａに設けられている。旋回支持部５１は、固定板５１１と、固定軸５１２と、回転筒５１３と、を有している。固定板５１１は、荷台２の床面２ａにおける左側の側壁３と左側の反転支持部３１との間において、反転支持部３１の底板３１１に近接して配置されている。固定板５１１は、その下面が床面２ａに載置された状態で、ボルト５１４によって床面２ａに固定されている。固定軸５１２は、固定板５１１の上面から上方に突出して固定されている。回転筒５１３は、円筒状の部材からなる。回転筒５１３は、固定軸５１２の外周に嵌め込まれ、固定軸５１２に対して、その鉛直軸線Ｘ回りに回転可能に支持されている。

【0101】

旋回アーム部５２は、旋回支持部５１と昇降ユニット１１とを連結している。旋回アーム部５２は、筒アーム５２１と、軸アーム５２２と、を有している。筒アーム５２１は、円筒状の部材からなる。筒アーム５２１の軸方向一端部（図５の左端部）は、旋回支持部５１の回転筒５１３の外周面に固定されている。

【0102】

軸アーム５２２は、円柱状の部材からなる。軸アーム５２２の軸方向一端部（図５の右端部）は、反転支持部３１における左側の支持板３１３の外側面に固定されている。軸アーム５２２の軸方向他端部（図５の左端部）は、筒アーム５２１内に挿入され、ボルト５２３によって筒アーム５２１に固定されている。したがって、旋回アーム部５２は、左側の反転支持部３１と共に、旋回支持部５１に対して鉛直軸線Ｘ回りに水平旋回可能である。

【0103】

以上の構成により、旋回支持部５１に対して旋回アーム部５２が水平旋回すると、昇降ユニット１１及び左右両側の反転支持部３１が、鉛直軸線Ｘ回りに水平旋回される。これにより、荷受台１６が起立姿勢とされた昇降ユニット１１は、旋回機構５０により、荷台２上において不使用位置と格納位置との間で水平旋回可能である。

【0104】

不使用位置では、上記の通り、昇降ユニット１１が荷台２上に配置されるとともに、一対の昇降支柱１２が左右方向に沿って配置された状態となる。格納位置では、昇降ユニット１１が荷台２上に配置されるとともに、一対の昇降支柱１２が前後方向（一方向）に沿って配置された状態となる。本実施形態では、格納位置において、一対の昇降支柱１２は、左側の側壁３付近において、当該側壁３に沿って配置される。車両１は、昇降ユニット１１を格納位置にした状態で走行する。

【0105】

＜車輪部と切替部＞
図１８は、図５の昇降ユニット１１の右側部分を示す拡大図である。図１９は、図１８のＩＶ矢視図である。なお、図１９では、減速機３８の図示を省略している。図５、図１８及び図１９において、旋回機構５０の車輪部５３は、一対の昇降支柱１２の他方側（右側）において反転支持部３１に設けられている。車輪部５３は、一対のブラケット５３１と、支持軸５３２と、キャスタ５３３と、を有している。

【0106】

一対のブラケット５３１は、右側の反転支持部３１におけるベース板３１５の下面において、互いに左右方向に離間した状態で固定されている。各ブラケット５３１は、略台形状に形成された板部材からなる。各ブラケット５３１には、上下方向に延びる長孔５３１ａが厚み方向に貫通して形成されている。

【0107】

一対のブラケット５３１の長孔５３１ａには、支持軸５３２が貫通して支持されている。支持軸５３２は、一対のブラケット５３１に対して長孔５３１ａに沿って上下移動可能である。また、一対のブラケット５３１に対して、支持軸５３２は、その水平軸線Ｐ１回りに回転可能である。

【0108】

支持軸５３２における一対のブラケット５３１間には、キャスタ５３３の中心部が一体に連結されている。キャスタ５３３は、一対のブラケット５３１に対して支持軸５３２と共に回転する。図５、図１８及び図１９に示す状態では、キャスタ５３３は、荷台２の床面２ａと接触しないように床面２ａよりも少し上方に位置しており、左右両側の反転支持部３１は、いずれも荷台２の床面２ａに載置されている。

【0109】

旋回機構５０の切替部５４は、昇降ユニット１１を水平旋回させるときに、旋回支持部５１から遠い位置にある右側の反転支持部３１を床面２ａから持ち上げるととともに、車輪部５３のキャスタ５３３を荷台２の床面２ａに接触させるものである。図２０は、切替部５４により右側の反転支持部３１を持ち上げてキャスタ５３３を床面２ａに接触させた状態を示す側面図である。図１８～図２０において、切替部５４は、一対の円板５４１と、連結板５４２と、踏み板５４３と、前記ブラケット５３１の長孔５３１ａと、によって構成されている。

【0110】

一対の円板５４１は、車輪部５３の各ブラケット５３１の左右方向外側に配置されており、各円板５４１には、支持軸５３２の左右両端部が貫通している。各円板５４１は、その中心Ｐ２が支持軸５３２の水平軸線Ｐ１に対して偏心した状態で、支持軸５３２に対して回転可能に支持されている。これにより、各円板５４１は、支持軸５３２に対して、水平軸線Ｐ１を中心として偏心回転する。円板５４１は、図１９の実線位置から時計回り方向に偏心回転したときに、図１９の２点鎖線で示すようにベース板３１５の下面に接触する大きさに形成されている。

【0111】

連結板５４２は、一対の円板５４１の後側において左右方向に延びる板部材からなる。連結板５４２の左右両端部は、各円板５４１に溶接等により固定されている。これにより、一対の円板５４１は、連結板５４２により連結され、一体で偏心回転する。

【0112】

踏み板５４３は、連結板５４２の右端部に溶接等により固定されている。踏み板５４３は矩形状の板部材からなり、側面視において円板５４１よりも前方に長く延びている。踏み板５４３の上面における前側部分は、作業者が足裏で踏み付ける踏み付け面５４３ａとされている。一対の円板５４１が偏心回転すると、その偏心回転に伴って連結板５４２と共に踏み板５４３が、図１９に示す非踏付位置と、図２０に示す踏付位置との間で移動するようになっている。

【0113】

図１９の実線で示す状態、つまりキャスタ５３３が床面２ａよりも少し上方に位置し、かつ左右両側の反転支持部３１が床面２ａに載置されている状態（図５参照）で、踏み板５４３は非踏付位置にある。この状態から、作業者が、踏み板５４３の踏み付け面５４３ａを踏み付けると、その踏み付け力により、一対の円板５４１と共に支持軸５３２が、図１９の１点鎖線で示すように、各ブラケット５３１の長孔５３１ａに沿って下方へ移動する。それと同時に、一対の円板５４１は、前記踏み付け力により、水平軸線Ｐ１を中心として図中の時計回り方向にて偏心回転する。

【0114】

上記のように支持軸５３２が下方に移動すると、キャスタ５３３も下方へ移動し、図１９の１点鎖線で示すように、キャスタ５３３が荷台２の床面２ａに接触する。また、上記のように一対の円板５４１が偏心回転することで、図１９の２点鎖線で示すように、各円板５４１の外周面が、ベース板３１５の下面に接触する。

【0115】

作業者が、踏み板５４３をさらに踏み付けると、キャスタ５３３が床面２ａに接触しているので、その中心軸である支持軸５３２は、図１９の１点鎖線で示す高さ位置に保持される。このため、一対の円板５４１は、前記高さ位置に保持された支持軸５３２の水平軸線Ｐ１回りに上方へ向かって偏心回転する。このように一対の円板５４１が偏心回転することで、ベース板３１５は、一対のブラケット５３１と共に押し上げられる。その際、各ブラケット５３１の長孔５３１ａが支持軸５３２に対して上方へ移動するので、支持軸５３２は、依然として前記高さ位置に保持される。これにより、キャスタ５３３が床面２ａに接触しながら、右側の反転支持部３１（底板３１１）が床面２ａから持ち上げられる。

【0116】

図２０に示すように、踏み板５４３が踏付位置まで踏み付けられると、各ブラケット５３１の長孔５３１ａの下端縁が支持軸５３２に当接することで、一対の円板５４１によるベース板３１５及びブラケット５３１の押し上げが規制される。これにより、左右の反転支持部３１は、一対の床面２ａから所定の高さに持ち上げられた状態で保持される。また、キャスタ５３３は、床面２ａに接触した状態で維持されているので、床面２ａに対して転動可能となる。

【0117】

したがって、キャスタ５３３を床面２ａに対して転動させることで、右側の反転支持部３１を床面２ａから持ち上げた状態で保持しながら、昇降ユニット１１を水平旋回させることができる。その際、左側の反転支持部３１（図５参照）は、底板３１１が床面２ａをスライドしながら水平旋回される。

【0118】

図５及び図２０において、キャスタ５３３を床面２ａに転動させて昇降ユニット１１を水平旋回させる際、左側の昇降支柱１２を支持する左側の反転支持部３１は、その底板３１１が荷台２の床面２ａをスライドすることによって水平旋回する。また、右側の昇降支柱１２を支持する右側の反転支持部３１は、ベース板３１５及びブラケット５３１を介してキャスタ５３３が床面２ａを転動することによって水平旋回する。したがって、本実施形態の旋回機構５０は、荷台２に対して左右の各昇降支柱１２を支持しつつ、昇降ユニット１１を不使用位置と格納位置との間で水平旋回（移動）させることができる。

【0119】

［旋回規制構造］
図２１は、図１６における反転支持部３１の底板３１１、及び旋回支持部５１の固定板５１１を示す拡大平面図である。図１６及び図２１において、荷受台昇降装置１０は、旋回機構５０により、格納位置（図１６の１点鎖線で示す位置）から不使用位置（図１６の実線で示す位置）へ水平旋回（移動）する昇降ユニット１１が、不使用位置を超えて水平旋回（移動）するのを規制する旋回規制構造（規制構造）７０をさらに備えている。

【0120】

旋回規制構造７０は、昇降ユニット１１に設けられた当接部７１と、荷台２に設けられた被当接部７２と、を有する。旋回機構５０により昇降ユニット１１が格納位置から不使用位置まで水平旋回（移動）したときに、当接部７１が被当接部７２に当接するようになっている。

【0121】

旋回規制構造７０の当接部７１は、旋回支持部５１から近い位置にある左側の反転支持部３１の底板３１１に形成されている。具体的には、底板３１１には、一方の長辺において開口する切欠溝３１６が形成されている。切欠溝３１６は、前記長辺に対して垂直方向に延びる平坦面３１６ａと、平坦面３１６ａの奥側（溝底側）の端部から右後側に向かって形成された円弧面３１６ｂと、を有している。切欠溝３１６の平坦面３１６ａは、旋回規制構造７０の当接部７１として機能する。切欠溝３１６の円弧面３１６ｂは、鉛直軸線Ｘを中心として円弧状に形成されている。

【0122】

旋回規制構造７０の被当接部７２は、旋回支持部５１の固定板５１１に形成されている。具体的には、固定板５１１は、略扇状に形成された本体部５１５と、本体部５１５から床面２ａに沿って水平方向に突出する突出部５１６と、を有している。

【0123】

本体部５１５は、上記ボルト５１４によって床面２ａに固定されている。本体部５１５の右前側には、鉛直軸線Ｘを中心として円弧状に形成された円弧外周面５１５ａが形成されている。この円弧外周面５１５ａにより、昇降ユニット１１を鉛直軸線Ｘ回りに水平旋回させる際に、反転支持部３１の底板３１１を、本体部５１５と干渉することなく水平旋回させることができる。

【0124】

突出部５１６は、本体部５１５の円弧外周面５１５ａの周方向一端部（右後側の端部）から右側に向かって突出しており、平面視において左右方向に長い矩形状に形成されている。突出部５１６の右側の端面５１６ａは、反転支持部３１の底板３１１を鉛直軸線Ｘ回りに水平旋回させる際に、切欠溝３１６の円弧面３１６ｂに対して左側に少し離れた位置に形成されている。これにより、切欠溝３１６の円弧面３１６ｂが突出部５１６と干渉することなく、底板３１１を鉛直軸線Ｘ回りに水平旋回させることができる。

【0125】

突出部５１６の前側の側面５１６ｂは、底板３１１が昇降ユニット１１と共に格納位置（図２１の１点鎖線で示す位置）から不使用位置（図２１の実線で示す位置）まで移動したときに、切欠溝３１６の平坦面３１６ａ（当接部７１）が当接する位置に形成されている。これにより、突出部５１６の側面５１６ｂは、旋回規制構造７０の被当接部７２として機能する。

【0126】

［旋回固定構造］
図２２は、図５のＶ－Ｖ矢視断面図である。図５及び図２２において、荷受台昇降装置１０は、昇降ユニット１１が不使用位置及び格納位置にあるとき、旋回機構５０による昇降ユニット１１の水平旋回を不能にする旋回固定構造（固定構造）８０をさらに備えている。本明細書では、旋回固定構造８０が、不使用位置にある昇降ユニット１１の水平旋回を不能にする場合について詳しく説明する。

【0127】

旋回固定構造８０は、左右の反転支持部３１にそれぞれ設けられている。旋回固定構造８０は、各反転支持部３１に設けられた可動孔８１と、可動孔８１に差し込まれる差込部８４と、を有している。

【0128】

図２３は、可動孔８１と後述する固定孔６を示す平面図である。図２２及び図２３において、可動孔８１は、補強板３１２の横板部３１２ａに設けられた上孔８２と、上孔８２の下方において底板３１１に設けられた下孔８３と、によって構成されている。

【0129】

上孔８２は、左右一対の支持板３１３の間において、横板部３１２ａの厚み方向に貫通して形成されている。また、上孔８２は、横板部３１２ａの長手方向（図２３では前後方向）に延びている。以下、上孔８２が延びる前記長手方向を「上孔方向」ともいう。上孔８２は、円弧孔部８２ａと、短矩形孔部８２ｂと、長矩形孔部８２ｃと、を有している。

【0130】

短矩形孔部８２ｂは、円弧孔部８２ａから上孔方向の一方側（図２３では前側）に延びている。長矩形孔部８２ｃは、円弧孔部８２ａから上孔方向の他方側（図２３では後側）に延びている。長矩形孔部８２ｃは、短矩形孔部８２ｂよりも上孔方向に長く形成されている。なお、上孔８２は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば短矩形孔部８２ｂ及び長矩形孔部８２ｃを、図２３の前後逆に形成してもよい。

【0131】

下孔８３は、円孔からなり、底板３１１の厚み方向に貫通して形成されている。下孔８３は、上孔８２の円弧孔部８２ａと同心状に形成されている。下孔８３は、平面視において下孔８３内に上孔８２の全体が配置される大きさに形成されている。

【0132】

昇降ユニット１１が不使用位置にあるとき、可動孔８１は、荷台２の床面２ａに形成された固定孔６と上下方向に重なるように形成されている。その際、上孔８２の円弧孔部８２ａと下孔８３は、固定孔６の円弧孔部６ａ（後述）と同心状に配置される。これにより、平面視において、可動孔８１の下孔８３には、固定孔６の全体が配置される。

【0133】

図２４は、固定孔６を示す荷台２の平面図である。図２３及び図２４において、荷台２の床面２ａには、計４個の固定孔６が設けられている。各固定孔６は、荷台２の厚み方向に貫通して形成されている。左右方向に互いに離間している２個の固定孔６は、昇降ユニット１１が不使用位置（図２４の１点鎖線位置）にあるときに、左右に配置される一対の反転支持部３１の各可動孔８１と上下方向に重なる位置に形成されている。また、左右２個の固定孔６それぞれは、昇降ユニット１１が不使用位置にあるときの上孔８２の上孔方向（前後方向）と直交する方向（左右方向）に延びる孔からなる。

【0134】

前後方向に互いに離間している残り２個の固定孔６は、昇降ユニット１１が格納位置（図２４の２点鎖線位置）にあるときに、前後に配置される一対の反転支持部３１の各可動孔８１と上下方向に重なる位置に形成されている。また、前後２個の固定孔６それぞれは、昇降ユニット１１が格納位置にあるときの上孔８２の上孔方向（左右方向）と直交する方向（前後方向）に延びる孔からなる。以下、上孔方向と直交する方向を「固定孔方向」ともいう。

【0135】

本明細書では、旋回固定構造８０の説明に合わせて、昇降ユニット１１が不使用位置にあるときの各可動孔８１の下方に位置する左右２個の固定孔６について詳しく説明する。図２２及び図２３において、固定孔６は、円弧孔部６ａと、短矩形孔部６ｂと、長矩形孔部６ｃと、を有している。短矩形孔部６ｂは、円弧孔部６ａから固定孔方向の一方側（図２３では右側）に延びている。長矩形孔部６ｃは、円弧孔部６ａから固定孔方向の他方側（図２３では左側）に延びている。

【0136】

円弧孔部６ａの曲率半径は、上孔８２の円弧孔部８２ａの曲率半径と略同一である。短矩形孔部６ｂの固定孔方向の長さは、上孔８２における短矩形孔部８２ｂの上孔方向の長さと略同一である。長矩形孔部６ｃは、短矩形孔部６ｂよりも固定孔方向に長く形成されている。長矩形孔部６ｃの固定孔方向の長さは、上孔８２における長矩形孔部８２ｃの上孔方向の長さと略同一である。なお、固定孔６は、本実施形態に限定されるものではなく、例えば短矩形孔部６ｂ及び長矩形孔部６ｃを、図２３の左右逆に形成してもよい。

【0137】

図２５（ａ）は、旋回固定構造８０の差込部８４の平面図である。図２５（ｂ）は、差込部８４の側面図である。図２２、図２５（ａ）及び図２５（ｂ）において、差込部８４は、上下方向に重なった可動孔８１（上孔８２と下孔８３）及び固定孔６に差し込まれる。差込部８４は、円柱部８５、短片部８６、長片部８７、フランジ部８８、及び摘み部８９を有している。

【0138】

円柱部８５は、上孔８２の円弧孔部８２ａ及び固定孔６の円弧孔部６ａに差し込まれる部分であり、円柱部８５の外周側面の半径は、両円弧孔部８２ａ，６ａの曲率半径よりも少し小さい。円柱部８５の上下方向の長さは、可動孔８１及び固定孔６を貫通する長さとされている。

【0139】

短片部８６は、円柱部８５の外周側面の下端部から径方向外側に向かって延びている。短片部８６は、上孔８２の短矩形孔部８２ｂ及び固定孔６の短矩形孔部６ｂに差し込み可能な大きさに形成されている。長片部８７は、円柱部８５の外周側面の下端部から、短片部８６とは反対側の径方向外側に向かって延びている。長片部８７は、短片部８６よりも長い。長片部８７は、上孔８２の長矩形孔部８２ｃ及び固定孔６の長矩形孔部６ｃに差し込み可能な大きさに形成されている。

【0140】

フランジ部８８は、円板部材からなり、円柱部８５の上面において当該円柱部８５と同心状に固定されている。フランジ部８８の外径は、円柱部８５の外径よりも大きい。また、フランジ部８８の外周面の半径は、上孔８２の円弧孔部８２ａの曲率半径よりも大きい。摘み部８９は、作業者の手指によって把持される部分であり、フランジ部８８の上面に固定されている。摘み部８９は、平面視において、短片部８６及び長片部８７が延びる方向（図２５（ａ）の左右方向）に沿って長く形成されている。

【0141】

摘み部８９には、上方に開口する係止溝８９ａが形成されている。差込部８４が可動孔８１と固定孔６に差し込まれた状態（図２２参照）で、摘み部８９の係止溝８９ａには、反転支持部３１の横板部３１２ａ等に設けられた固縛手段（例えばパチン錠）の係止金具（図示省略）が、係止されるようになっている。

【0142】

以下、上下方向に重ねっている可動孔８１と固定孔６に、差込部８４を差し込む手順について、図２６～図３０等を用いて説明する。図２６～図２８及び図３０は、図２２に対応する断面図である。図２９は、図２８のＶＩ－ＶＩ矢視断面図である。まず、図２６に示すように、作業者は、可動孔８１の上孔８２の上方に、差込部８４を図示のように配置させる。具体的には、作業者は、上孔８２の円弧孔部８２ａ，短矩形孔部８２ｂ，長矩形孔部８２ｃのそれぞれの上方に、差込部８４の円柱部８５，短片部８６，長片部８７を配置させる。

【0143】

図２６に示す状態から、作業者は、差込部８４を下方に移動させる。これにより、図２７に示すように、差込部８４の円柱部８５，短片部８６，長片部８７は、それぞれ上孔８２の円弧孔部８２ａ，短矩形孔部８２ｂ，長矩形孔部８２ｃを通過して下孔８３に挿入される。差込部８４が下孔８３に挿入されると、短片部８６及び長片部８７の各下面が床面２ａに当接することで、差込部８４の下方移動が規制される。この状態において、差込部８４の円柱部８５は、固定孔６の円弧孔部６ａの上方に配置される。

【0144】

図２７に示す状態から、作業者は、摘み部８９を把持し、円柱部８５を中心として、差込部８４を水平方向に９０°回転させる。その際、作業者は、長片部８７が図２７の紙面手前側に移動するように差込部８４を回転させる。これにより、図２８及び図２９に示すように、差込部８４の円柱部８５，短片部８６，長片部８７は、固定孔６の円弧孔部６ａ，短矩形孔部６ｂ，長矩形孔部６ｃのそれぞれの上方に配置される。

【0145】

図２８に示す状態から、作業者は、差込部８４を下方に移動させる。これにより、差込部８４の円柱部８５，短片部８６，長片部８７は、それぞれ固定孔６の円弧孔部６ａ，短矩形孔部６ｂ，長矩形孔部６ｃに挿入される。そして、図３０に示すように、差込部８４のフランジ部８８の下面が横板部３１２ａの上面に当接すると、差込部８４の下方移動が規制される。また、固定孔６の短片部８６，長片部８７は、それぞれ固定孔６の短矩形孔部６ｂ，長矩形孔部６ｃを通過して荷台２の下方に突出した状態となる。

【0146】

図３０に示す状態から、作業者は、摘み部８９を把持し、円柱部８５を中心として、差込部８４を水平方向にさらに９０°回転させる。すなわち、作業者は、図３０に示す状態から、長片部８７が荷台２の前側へ移動するように、差込部８４を水平方向に９０°回転させる。これにより、図２２に示すように、差込部８４の短片部８６及び長片部８７の各上面が荷台２の裏面に対向して配置されるので、差込部８４は、可動孔８１と固定孔６に差し込まれた状態で、上方への移動が規制される。

【0147】

また、差込部８４の長片部８７は、荷台２の前側へ向かって延びるので、以下の作用効果を奏する。図４に示すように、昇降ユニット１１を不使用位置から使用位置に反転させると、昇降ユニット１１の荷重により、反転支持部３１が反転軸３１４回りに図４の時計回り方向に回動しようとする外力（回転モーメント）が発生する。その際、差込部８４の長片部８７が荷台２の裏面に当接することで、前記外力による反転支持部３１の回転が規制されるので、反転支持部３１を荷台２に対してバランス良く支持することができる。

【0148】

次に、作業者は、図２２に示す状態で、上述した固縛手段の係止金具を、摘み部８９の係止溝８９ａに係止する。これにより、差込部８４の水平方向の回転が規制されるので、差込部８４が、水平方向に９０°逆回転して固定孔６から上方に抜け出るのを抑制することができる。

【0149】

以上により、旋回固定構造８０は、不使用位置にある昇降ユニット１１が旋回機構５０によって格納位置側へ水平旋回するのを不能にすることができる。なお、格納位置にある昇降ユニット１１が旋回機構５０によって不使用位置側へ水平旋回するのを不能にする場合における差込部８４の差し込み手順も、上述の手順と同様である。また、上記と逆の手順により、旋回機構５０による昇降ユニット１１の水平旋回を可能にすることができる。

【0150】

［本実施形態の作用効果］
本実施形態の荷受台昇降装置１０によれば、昇降ユニット１１の荷受台１６を使用しないときには、荷受台１６を一対の昇降支柱１２に沿う起立姿勢とした状態で、第１移動機構（反転機構）３０により昇降ユニット１１を使用位置から荷台２上の不使用位置へ移動させることができる。これにより、昇降ユニット１１の昇降支柱１２及び荷受台１６は荷台２の床面２ａの高さよりも上方に配置されるので、荷受台１６を使用しないときに昇降支柱１２及び荷受台１６が損傷するのを抑制することができる。

【0151】

さらに、不使用位置にある昇降ユニット１１を、第２移動機構（旋回機構）５０により格納位置へ移動させることができる。昇降ユニット１１が格納位置にあるとき、一対の昇降支柱１２は、側壁３に沿って前後方向に配置される。これにより、荷台２の後方から人力で荷物の積み降ろし作業が行われる際に、起立姿勢の荷受台１６が、荷台２上の荷物の積載空間を後方から覆うように配置されることはない。その結果、荷受台１６を水平展開させることなく人力での荷物の積み降ろし作業を行えるので、当該積み降ろし作業を効率的に行うことができる。

【0152】

また、第１移動機構３０及び第２移動機構５０は、一対の反転支持部３１により荷台２に対して各昇降支柱１２を支持しつつ、昇降ユニット１１を移動させるように構成されている。これにより、第１移動機構３０及び第２移動機構５０により昇降ユニット１１を移動させる際に、各昇降支柱１２は荷台２に対して支持されるので、昇降ユニット１１を安定した状態で移動させることができる。

【0153】

また、第１移動機構３０は、昇降ユニット１１を使用位置と不使用位置との間で水平軸線Ｃ回りに反転させる反転機構とされている。このため、反転機構３０により昇降ユニット１１を反転させるだけで、昇降ユニット１１を使用位置と不使用位置との間で容易に移動させることができる。

【0154】

また、反転機構３０における一対の反転支持部３１は、昇降ユニット１１が使用位置にある状態で、各昇降支柱１２の上側部分を荷台２に対して反転可能に支持している。このため、使用位置において各昇降支柱１２の下側部分を反転可能に支持する場合と比較して、反転機構３０により昇降ユニット１１を不使用位置から使用位置に反転させたときに、各昇降支柱１２の下端を地面に近づけることができる。これにより、使用位置において荷受台１６を地面まで下降させるために各昇降支柱１２を下方に延ばす必要がないので、各昇降支柱１２を上下方向にコンパクトに構成することができる。

【0155】

また、反転機構３０により昇降ユニット１１を不使用位置から使用位置へ反転させるときに、昇降ユニット１１が使用位置を超えて反転するのを規制部４０により規制することができる。これにより、誤操作等に起因して昇降ユニット１１が使用位置を超えて反転するのを抑制することができる。

【0156】

また、規制部４０は、昇降支柱１２に設けられて反転支持部３１の第１所定箇所３１２ｃに当接する弾性体４１と、反転支持部３１の縦板部３１２ｂに設けられて昇降支柱１２の第２所定箇所１２ｃ１に当接する非弾性体４２と、を有している。昇降ユニット１１が使用位置まで反転したときに、弾性体４１が第１所定箇所３１２ｃに当接して弾性変形してから、非弾性体４２が第２所定箇所１２ｃ１に当接する。これにより、昇降ユニット１１が使用位置まで反転したときに、荷台２側（反転支持部３１）と昇降ユニット１１側（昇降支柱１２）との当接による衝撃を緩和することができる。また、弾性体４１が最大弾性変形量まで弾性変形する前に、非弾性体４２が第２所定箇所１２ｃ１に当接するので、弾性体４１に掛かる負担を軽減することができる。その結果、弾性体４１が破損するのを抑制することができる。

【0157】

また、反転機構３０は、昇降ユニット１１を省力で反転動作させる反転駆動部３４を有するので、昇降ユニット１１を容易に反転動作させることができる。

【0158】

また、昇降ユニット１１が使用位置及び不使用位置のいずれの位置にあっても、パワーユニットＰＵの上下両側には第１防振部材２２１と第２防振部材２２２が位置する。このため、昇降ユニット１１の位置が変化しても、パワーユニットＰＵが上下に振動するのを効果的に抑制することができる。また、昇降ユニット１１が使用位置及び不使用位置のいずれの位置にあっても、パワーユニットＰＵは、その下方に位置する第１防振部材２２１又は第２防振部材２２２を介して、クロスメンバ１９に支持された状態となる。このため、パワーユニットＰＵの上方に位置する第２防振部材２２２又は第１防振部材２２１が、パワーユニットＰＵの自重により下方に引っ張られて破損するのを抑制することができる。

【0159】

また、第２防振部材２２２は、可動シーブ２８の移動を案内するガイド部材２９を介して間接的にクロスメンバ１９に固定されるので、第２防振部材２２２をクロスメンバ１９に固定するための専用の部材が不要になる。これにより、荷受台昇降装置１０の構成を簡素化することができる。

【0160】

また、不使用位置にある昇降ユニット１１が使用位置へ反転するのを、反転固定構造４３によって不能にすることができる。これにより、車両１の走行中の振動等に起因して、昇降ユニット１１が不使用位置から使用位置へ反転するのを抑制することができる。

【0161】

また、反転固定構造４３は、昇降ユニット１１が不使用位置にあるとき、昇降支柱１２側に設けられた係合孔４４に、反転支持部３１側に設けられた係合ピン４７が差し込まれるように構成されている。このため、係合孔４４に係合ピン４７を差し込むだけの簡単な操作で、昇降ユニット１１の反転を不能にすることができる。

【0162】

また、係合孔４４は、水平軸線Ｃを中心とする放射方向に延びる長孔であるため、係合孔４４や係合ピン４７に製造誤差が生じた場合でも、係合孔４４に係合ピン４７を差し込むことができる。

【0163】

また、第２移動機構５０は、昇降ユニット１１を不使用位置と格納位置との間で鉛直軸線Ｘ回りに水平旋回させる旋回機構とされている。このため、旋回機構５０により昇降ユニット１１を水平旋回させるだけで、昇降ユニット１１を不使用位置と格納位置との間で容易に移動させることができる。

【0164】

また、旋回機構５０は、旋回支持部５１により鉛直軸線Ｘ回りに昇降ユニット１１を水平旋回させるときに、キャスタ５３３を荷台２の床面２ａに対して転動させることができる。これにより、昇降ユニット１１の水平旋回を容易に行うことができる。

【0165】

また、昇降ユニット１１を格納位置から不使用位置へ水平旋回させるときに、昇降ユニット１１が不使用位置を超えて水平旋回するのを旋回規制構造７０により規制することができる。これにより、誤操作等に起因して昇降ユニット１１が不使用位置を超えて水平旋回するのを抑制することができる。

【0166】

また、旋回規制構造７０は、昇降ユニット１１に設けられた当接部７１を、荷台２に設けられた被当接部７２に当接させることで、昇降ユニット１１が不使用位置を超えて水平旋回するのを規制する。このため、当接部７１と被当接部７２による簡単な構成によって、昇降ユニット１１の不使用位置を超える水平旋回を規制することができる。

【0167】

また、不使用位置にある昇降ユニット１１が格納位置へ水平旋回するのを、旋回固定構造８０によって不能にすることができる。これにより、反転機構３０により不使用位置にある昇降ユニット１１を使用位置へ反転させる際に、昇降ユニット１１が不使用位置から格納位置へ水平旋回するのを抑制することができる。また、格納位置にある昇降ユニット１１が不使用位置へ水平旋回するのも旋回固定構造８０によって不能にすることができる。これにより、車両１の走行中の振動等に起因して、昇降ユニット１１が格納位置から不使用位置へ水平旋回するのを抑制することができる。

【0168】

また、旋回固定構造８０は、昇降ユニット１１が不使用位置及び格納位置にあるときに、上下方向に重なった固定孔６と可動孔８１に差込部８４を差し込むように構成されている。このため、差込部８４を差し込むだけの簡単な操作で、旋回機構５０による昇降ユニット１１の水平旋回を不能にすることができる。

【0169】

［その他］
本実施形態の荷受台昇降装置１０は、荷台２の後方から荷物を積み降ろせるように荷台２の後部に設けられているが、荷台２の側方から荷物を積み降ろせるように荷台２の左側部又は右側部に設けられていてもよい。その場合、使用位置及び不使用位置における昇降ユニット１１の一対の昇降支柱１２は、荷台２の前後方向に沿って配置される。したがって、格納位置における昇降ユニット１１の一対の昇降支柱１２は、旋回機構５０により荷台２の左右方向に配置させればよい。

【0170】

本実施形態の旋回固定構造８０の可動孔８１は、反転支持部３１に設けられているが、昇降ユニット１１に設けられていてもよい。また、旋回固定構造８０は、本実施形態に限定されない。例えば、旋回固定構造８０は、円孔のみからなる可動孔８１と、有底の円孔からなる固定孔６とを上下に重ねた状態で、これらの孔８１，６に、円柱状のピンからなる差込部８４を差し込むだけの単純な構成にしてもよい。

【0171】

本実施形態の第２移動機構５０の車輪部５３（キャスタ５３３）及び切替部５４は、右側の反転支持部３１に設けられているが、左側の反転支持部３１に設けられていてもよい。また、車輪部５３及び切替部５４は、昇降ユニット１１に設けられていてもよい。また、第２移動機構５０は、車輪部５３及び切替部５４を備えずに、左右の反転支持部３１の底板３１１を低摩擦抵抗の板材で構成し、床面２ａに対して底板３１１をスライドさせるようにしてもよい。

【0172】

第２移動機構５０は、昇降ユニット１１を水平旋回させる旋回機構に限定されるものではない。例えば、第２移動機構５０は、不使用位置にある昇降ユニット１１を、荷台２上の前方へスライドさせてから、昇降ユニット１１の左右方向の中央部に設けた鉛直軸線回りに昇降ユニット１１を９０°回転させてもよい。

【0173】

不使用位置における昇降ユニット１１は、荷台２上に配置されているが、荷台２の床面２ａの高さよりも上方に配置されていれば、荷台２よりも後方に配置されていてもよい。すなわち、第１移動機構３０は、昇降ユニット１１を、荷台２の後方に張り出したまま、使用位置と不使用位置との間で移動させるよう構成されていてもよい。また、第１移動機構３０の反転駆動部３４は、本実施形態に限定されるものではない。例えば反転駆動部３４は、反転軸３１４を回転駆動させる電動モータ等のアクチュエータを備えていてもよい。

【0174】

第１移動機構３０は、一対の昇降支柱１２を支持しつつ昇降ユニット１１を移動させているが、一対の昇降支柱１２の一方又は両方を支持せずに昇降ユニット１１を移動させてもよい。同様に、第２移動機構５０は、一対の昇降支柱１２を支持しつつ昇降ユニット１１を移動させているが、一対の昇降支柱１２の一方又は両方を支持せずに昇降ユニット１１を移動させてもよい。

【0175】

なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

【符号の説明】

【0176】

１ 車両
２ 荷台
２ａ 床面
１０ 荷受台昇降装置
１１ 昇降ユニット
１２ 昇降支柱
１２ｃ１ 第２所定箇所
１６ 荷受台
１９ クロスメンバ
２１ 昇降機構
２２ 油圧シリンダ（アクチュエータ）
２８ 可動シーブ
２９ ガイド部材
３０ 反転機構
３１ 反転支持部
３４ 反転駆動部
４０ 規制部
４１ 弾性体
４２ 非弾性体
４３ 反転固定構造
４４ 係合孔
４７ 係合ピン
２２０ 防振部
２２１ 第１防振部材
２２２ 第２防振部材
３１２ｃ 第１所定箇所
Ｃ 水平軸線
ＰＵ パワーユニット

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】