(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079910
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/46 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
B60P1/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192597
(22)【出願日】2022-12-01
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河上 佳賢
(72)【発明者】
【氏名】小西 拓
(72)【発明者】
【氏名】山下 惠
(72)【発明者】
【氏名】井川 弘大
(72)【発明者】
【氏名】南 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輝
(72)【発明者】
【氏名】田中 遥子
(72)【発明者】
【氏名】片岡 龍我
(72)【発明者】
【氏名】山本 祥治
(57)【要約】
【課題】荷受台が格納された状態で、先部荷受台が破損するのを抑制しつつ、基部荷受台に対する先部荷受台のばたつきを抑制できる荷受台昇降装置を提供する。
【解決手段】荷受台昇降装置10の荷受台16は、荷物が載置される基部載置面411aを有し昇降支柱12に対して起立姿勢及び倒伏姿勢の間で回動可能な基部荷受台41と、荷物が載置される先部載置面421aを有し基部荷受台41に対して折り畳み姿勢及び展開姿勢の間で回動可能な先部荷受台42と、を備え、先部荷受台42が折り畳み姿勢の状態で基部荷受台41が起立姿勢になることで荷受台16が格納される。昇降支柱12にはストッパ18が設けられ、荷受台16が格納された状態で、ストッパ18に当接することで基部荷受台41に対する先部荷受台42の展開姿勢側への回動を規制する把持部材45が、先部荷受台42に設けられている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の昇降支柱と、一対の前記昇降支柱に対して昇降可能な荷受台と、前記荷受台を昇降させる昇降機構と、を備え、
前記荷受台は、
荷物が載置される基部載置面を有し、前記昇降支柱に対して起立姿勢及び倒伏姿勢の間で回動可能な基部荷受台と、
荷物が載置される先部載置面を有し、前記基部荷受台に対して、前記先部載置面が前記基部載置面と対向する折り畳み姿勢、及び前記先部載置面が前記基部載置面と面一になる展開姿勢の間で回動可能な先部荷受台と、を備え、
前記先部荷受台が前記折り畳み姿勢の状態で、前記基部荷受台が前記起立姿勢になることで、前記荷受台が格納される、荷受台昇降装置であって、
一対の前記昇降支柱のうちの少なくとも一方に設けられたストッパと、
前記先部荷受台に設けられ、前記荷受台が格納された状態で、前記ストッパに当接することで、前記基部荷受台に対する前記先部荷受台の前記展開姿勢側への回動を規制する規制部材と、を備える荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記先部荷受台の側面から突出して設けられ、前記基部荷受台に対して前記先部荷受台を回動操作するための把持部材を備え、
前記把持部材が、前記規制部材とされている、請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記把持部材は、前記先部荷受台が前記折り畳み姿勢のときに、前記基部載置面と対向する対向面を有し、
前記対向面は、前記先部載置面に対して、当該先部載置面と反対の面側にずれて配置されている、請求項2に記載の荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物自動車等に装着されて荷物の積み降ろしに利用される荷受台昇降装置として、例えば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1の荷受台昇降装置は、垂直昇降式であり、貨物自動車の荷台の後端部に固定された左右一対の昇降支柱と、これらの昇降支柱に対して、地上と荷台の床面との間で昇降可能に設けられた荷受台と、を備えている。荷受台は、昇降支柱に対して起立姿勢と倒伏姿勢との間で回動可能な基部荷受台と、基部荷受台に対して折り畳み姿勢と展開姿勢との間で回動可能な先部荷受台と、を有している。
【0003】
荷受台を使用するときは、基部荷受台を倒伏姿勢にした状態で、先部荷受台を展開姿勢にする。荷受台を格納するときは、先部荷受台を折り畳み姿勢にした状態で、基部荷受台を起立姿勢まで回動させる。このように荷受台が格納されると、昇降支柱に突設された係止部材に先部荷受台が当接することで、基部荷受台に対する先部荷受台のばたつきが抑制される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記荷受台昇降装置では、荷受台が格納された状態で、先部荷受台が係止部材に直接当接するようになっている。このため、先部荷受台が、係止部材との当接による経時劣化によって破損するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、荷受台が格納された状態で、先部荷受台が破損するのを抑制しつつ、基部荷受台に対する先部荷受台のばたつきを抑制できる荷受台昇降装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、一対の昇降支柱と、一対の前記昇降支柱に対して昇降可能な荷受台と、前記荷受台を昇降させる昇降機構と、を備え、前記荷受台は、荷物が載置される基部載置面を有し、前記昇降支柱に対して起立姿勢及び倒伏姿勢の間で回動可能な基部荷受台と、荷物が載置される先部載置面を有し、前記基部荷受台に対して、前記先部載置面が前記基部載置面と対向する折り畳み姿勢、及び前記先部載置面が前記基部載置面と面一になる展開姿勢の間で回動可能な先部荷受台と、を備え、前記先部荷受台が前記折り畳み姿勢の状態で、前記基部荷受台が前記起立姿勢になることで、前記荷受台が格納される、荷受台昇降装置であって、一対の前記昇降支柱のうちの少なくとも一方に設けられたストッパと、前記先部荷受台に設けられ、前記荷受台が格納された状態で、前記ストッパに当接することで、前記基部荷受台に対する前記先部荷受台の前記展開姿勢側への回動を規制する規制部材と、を備える荷受台昇降装置である。
【0008】
本発明によれば、先部荷受台が折り畳み姿勢の状態で基部荷受台が起立姿勢になって荷受台が格納されている状態で、先部荷受台に設けられた規制部材が、昇降支柱に設けられたストッパに当接することで、先部荷受台の展開姿勢側への回動が規制される。これにより、基部荷受台に対する先部荷受台のばたつきを抑制することができる。また、先部荷受台はストッパに直接当接しないので、先部荷受台が破損するのを抑制することができる。
【0009】
(2)上記(1)の荷受台昇降装置は、前記先部荷受台の側面から突出して設けられ、前記基部荷受台に対して前記先部荷受台を回動操作するための把持部材を備え、前記把持部材が、前記規制部材とされているのが好ましい。
この場合、先部荷受台を回動操作するための把持部材と、先部荷受台の展開姿勢側への回動を規制する規制部材とを別々に設ける必要がないので、荷受台昇降装置の構成を簡素化することができる。
【0010】
(3)上記(2)の荷受台昇降装置において、前記把持部材は、前記先部荷受台が前記折り畳み姿勢のときに、前記基部載置面と対向する対向面を有し、前記対向面は、前記先部載置面に対して、当該先部載置面と反対の面側にずれて配置されているのが好ましい。
この場合、先部荷受台が折り畳み姿勢のときに、把持部材の対向面と基部載置面との間に隙間が形成される。これにより、作業者が把持部材の対向面を把持した状態で、先部荷受台を折り畳み姿勢まで回動操作したときに、把持部材の対向面と基部載置面との間で、作業者の手指が挟まれるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の荷受台昇降装置によれば、荷受台が格納された状態で、先部荷受台が破損するのを抑制しつつ、基部荷受台に対する先部荷受台のばたつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置が設けられた車両の後部を示す斜視図である。
【
図6】先部荷受台の折り畳み・展開を説明する側断面図であり、展開姿勢の先部荷受台を示している。
【
図7】先部荷受台の折り畳み・展開を説明する側断面図であり、回動途中の先部荷受台を示している。
【
図8】先部荷受台の折り畳み・展開を説明する側断面図であり、折り畳み姿勢の先部荷受台を示している。
【
図9】荷受台が格納された状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
[全体構成]
図1は、本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置10が装着された車両1の後部を示す斜視図である。
図2は、荷受台昇降装置10の側面図である。以下の本実施形態の説明において、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、及び「後」といった方向は、
図1に示す方向を意味する。
【0014】
図1及び
図2において、本実施形態の車両1は、例えば貨物自動車であり、荷台2と、荷台2の左右両側にそれぞれ設けられた一対の側壁3と、荷台2の後端部に設けられた煽戸4と、を備えている。荷台2は、荷物が積載される床面2aを有している。荷台2の床面2aの上方は、荷物の積載空間とされている。
【0015】
煽戸4は、荷台2の後端部において左右方向(車幅方向)に延びる軸部材5を中心として上下回動可能に設けられている。煽戸4は、荷台2の床面2aから下方に垂れ下がる開位置(
図2に示す位置)と、荷台2の床面2aから上方に立ち上がる閉位置(図示省略)と、の間で上下回動可能である。
【0016】
荷受台昇降装置10は、荷台2の床面2aに対して、荷台2の後方から荷物を積み降ろす際に使用される。荷受台昇降装置10は、垂直昇降式の昇降ユニット11を備えている。本実施形態の昇降ユニット11は、
図1に示す状態では、荷台2の後方において左側に偏って配置されている。昇降ユニット11は、一対の昇降支柱12、一対のインナコラム13、一対のスライダ14、荷受台16、クロスメンバ19、固縛機構20、及び昇降機構21を有している。
【0017】
一対の昇降支柱12は、荷台2の後方において互いに左右方向に離間して配置されるとともに、互いに平行かつ上下方向に延びている。各昇降支柱12は、中空の角筒体からなる。各昇降支柱12の上端には、その上端開口を覆う天板12aが固定されている。各昇降支柱12の後壁には、上下方向に延びるスリット12bが形成されている。
【0018】
各昇降支柱12の内部には、インナコラム13が昇降自在に設けられている。各インナコラム13も、上下方向に長く形成された中空の角筒体からなる。各インナコラム13の後壁には、上下方向に延びるスリット13bが形成されている。各インナコラム13内には、スライダ14が昇降自在に設けられている。
【0019】
各スライダ14の後部は、インナコラム13及び昇降支柱12の各スリット13b,12bを貫通し、昇降支柱12の後方に突出している。各スライダ14は、各スリット13b,12bに案内されて昇降支柱12及びインナコラム13のそれぞれに対して昇降可能である。各スライダ14には、インナコラム13の内側面に沿って転動するローラ(図示省略)が回転可能に設けられ、このローラによって各スライダ14が円滑に昇降するようになっている。
【0020】
クロスメンバ19は、一対の昇降支柱12の間に配置され、両昇降支柱12のほぼ下半分全体がクロスメンバ19によって連結されている。クロスメンバ19は、中空の矩形箱状に形成されており、クロスメンバ19の内部空間は、各昇降支柱12の内部空間と連通している。
【0021】
[荷受台]
各スライダ14の後部下端には、ブラケット15が固定されている。各ブラケット15には、荷受台16が取り付けられており、スライダ14と共に荷受台16が昇降するようになっている。荷受台16は、基部荷受台41と、先部荷受台42と、一対の連結部材43(
図4参照)と、を備えている。基部荷受台41、先部荷受台42、及び連結部材43は、いずれもアルミニウム合金等の軽金属からなる。
【0022】
図3は、荷受台16の側面図である。
図4は、荷受台16を上側から見た平面図である。なお、
図4では、後述するカバー部材44の図示を省略している。
図3及び
図4において、基部荷受台41の基端部は、各ブラケット15に対して、左右方向に延びる水平軸となるピン17を中心として上下回動可能に支持されている。基部荷受台41は、
図3に示す状態で、基部荷受台41の上側に配置される平板状の基部板411を有している(
図5も参照)。
【0023】
基部板411の表面(
図3の上面)は、荷物が載置される基部載置面411aとされている。基部板411の先端部には、左右方向に間隔をあけて一対の切欠部411bが形成されている。各切欠部411bは、平面視において凹状に形成されており、後方(先部荷受台42側)に開口している。
【0024】
先部荷受台42の基端部は、連結部材43を介して、基部荷受台41の先端部に連結されている。先部荷受台42は、基部荷受台41に対して折り畳み及び展開が可能である。その詳細については後述する。
【0025】
本実施形態では、先部荷受台42の前後方向の長さ寸法は、基部荷受台41の前後方向の長さ寸法よりも短い。また、先部荷受台42の左右方向の幅寸法W2は、基部荷受台41の左右方向の幅寸法W1よりも短く、且つ一対の昇降支柱12間の距離Lよりも短い。先部荷受台42の右側面は、基部荷受台41の右側面よりも左側にずれて配置され、先部荷受台42の左側面は、基部荷受台41の左側面よりも右側にずれて配置されている。
【0026】
先部荷受台42は、
図3に示す状態で、先部荷受台42の上側に配置される先部板421(
図5も参照)と、先部板421の後端縁から後方かつ下側に向かって傾斜する傾斜板422と、を有している。本実施形態の先部板421及び傾斜板422は、一枚の平板部材を折り曲げることによって一体に形成されている。
【0027】
先部板421の表面(
図3の上面)は、荷物が載置される先部載置面421aとされている。
図3に示す状態で、先部載置面421aは、基部載置面411aと面一になる。先部板421の基端部には、基部板411の一対の切欠部411bにそれぞれ対応する位置に、一対の切欠部421bが形成されている。各切欠部421bは、平面視において凹状に形成されており、前方(基部荷受台41側)に開口している。
【0028】
傾斜板422は、荷受台16が後述する下降位置にあるとき、先部載置面421aと地面との段差を緩和するものである。これにより、例えばキャスタ付きのカート(荷物)を、地面と先部載置面421aとの間でスムーズに積み降ろしすることができる。
【0029】
図3及び
図4に示すように、先部荷受台42の左右両側の側面42aには、これらの各側面42aから左右方向外側に突出する一対の把持部材45が設けられている。各把持部材45は、作業者の手指によって把持できるように、前後方向に長く形成されたブロック体からなる。各把持部材45は、一対のボルト49によって先部荷受台42に固定されている。
【0030】
各把持部材45は、基部荷受台41の幅寸法W2の範囲内に位置している。したがって、各把持部材45は、先部荷受台42が後述する折り畳み姿勢(
図8参照)のときに、基部荷受台41の基部載置面411aと対向する対向面45aを有している。
【0031】
対向面45aは、
図3に示す状態において、先部載置面421aに対して、先部荷受台42の裏面42b(先部載置面421aと反対の面)側にずれて配置されている。これにより、先部荷受台42が折り畳まれたときに、基部載置面411aと対向面45aとの間には、作業者の手指を抜き差しできる程度の隙間Dが形成される(
図8参照)。
【0032】
各把持部材45における対向面45aと反対側の他面45bは、先部荷受台42の裏面42bと略面一になるように配置されている。なお、各把持部材45の他面45bは、先部荷受台42の裏面42bよりも上側(基部載置面411a側)にずれて配置されていてもよい。
【0033】
先部荷受台42の裏面42bの先端側には、荷受台16が下降位置まで下降したときに、地面に当接するクッションゴム46が設けられている。
図3に示す状態において、クッションゴム46の下面は、把持部材45の他面45bよりも下方に突出している。このため、クッションゴム46の下面が地面に当接した状態で、把持部材45の他面45bと地面との間には、作業者の手指を抜き差しできる程度の隙間Eが形成される。
【0034】
以上の構成により、作業者が一方の把持部材45を把持することで、先部荷受台42を、基部荷受台41に対して、後述する折り畳み姿勢と展開姿勢との間において手動で回動操作することができる。
【0035】
作業者は、
図3に示す状態から先部荷受台42を折り畳む際、隙間Eに手指を挿入することで、把持部材45を把持することができる。そして、作業者が、把持部材45を把持した状態で、先部荷受台42を折り畳んだとき(
図8参照)には、隙間Dによって、把持部材45の対向面45aと基部載置面411aとの間で作業者の手指が挟まれるのを抑制することができる。
【0036】
また、作業者は、折り畳まれた先部荷受台42を展開する際、隙間Dに手指を挿入することで、把持部材45を把持することができる。そして、作業者が、把持部材45を把持した状態で、
図3に示すように先部荷受台42を展開したときには、隙間Eによって、把持部材45の他面45bと地面との間で作業者の手指が挟まれるのを抑制することができる。
【0037】
図5は、
図4のI-I矢視断面図である。
図4及び
図5において、一対の連結部材43は、基部荷受台41の先端部と先部荷受台42の基端部とを連結する部材である。各連結部材43は、平面視において、基部荷受台41の各切欠部411bと、先部荷受台42の対応する各切欠部421bとの間に配置されている。
【0038】
各連結部材43の一端部は、基部軸413を介して、基部荷受台41の先端部に回動可能に連結されている。基部軸413は、例えば円筒状に形成されており、基部荷受台41の先端部内において左右方向の全長にわたって延びている。基部軸413の軸方向両端部は、基部荷受台41の左右両側部に固定されている。
【0039】
各連結部材43の他端部は、先部軸423を介して、先部荷受台42の基端部に回動可能に連結されている。先部軸423は、例えば円筒状に形成されており、先部荷受台42の基端部内において左右方向の全長にわたって延びている。先部軸423の軸方向両端部は、先部荷受台42の左右両側部に固定されている。
【0040】
図4に示す状態において、基部載置面411aと先部載置面421aとの間には隙間Sが形成されている。この隙間Sは、基部荷受台41の各切欠部411bと、先部荷受台42の対応する各切欠部421bとの間において前後方向に広くなっており、この広くなっている位置に、各連結部材43の全体が配置されている。このため、
図4の平面視において、各連結部材43の上側から見える部分全体が、隙間Sから露出している露出部分43aとなる。
【0041】
図5に示すように、荷受台16は、一対の連結部材43の露出部分43aをそれぞれ覆う一対のカバー部材44をさらに備えている(
図1も参照)。カバー部材44は、基部荷受台41、先部荷受台42、及び連結部材43よりも高強度の鋼鉄製の部材からなる。
【0042】
カバー部材44は、平板部442と、平板部442を補強する複数の補強体445と、を備えている。平板部442は、
図5に示す状態において、隙間Sの下方、且つ連結部材43の上方に配置されている。平板部442は、連結部材43よりも、左右方向に長く且つ前後方向に長く形成され、連結部材43の露出部分43a全体を覆っている。
【0043】
各補強体445は、平板部442の裏面に当接した状態で、溶接等により固定されている。前側の補強体445の下面には、クッションゴム47が設けられている。同様に、後側の補強体445の下面には、クッションゴム48が設けられている。
【0044】
[先部荷受台の折り畳み・展開]
図6~
図8は、基部荷受台41に対する先部荷受台42の折り畳み・展開を説明する側断面図である。作業者が基部荷受台41に対して先部荷受台42を折り畳む際には、まず、
図6に示す状態から、作業者は、把持部材45を把持し、先部荷受台42を、先部軸423を中心として連結部材43に対して図中の反時計回り方向に回動操作する。
【0045】
先部荷受台42が連結部材43に対して90°回動すると、
図7に示すように、先部荷受台42の基端側の壁部が、連結部材43側のクッションゴム48(
図5も参照)に当接する。これにより、連結部材43に対する先部荷受台42の回動が規制される。
【0046】
次に、
図7に示す状態から、作業者は、把持部材45を基部荷受台41側へ押し込むと、基部荷受台41に対して、基部軸413を中心として連結部材43が図中の反時計回り方向に回動する。これにより、カバー部材44及び先部荷受台42は、連結部材43と一体となって、基部軸413を中心として図中の反時計回り方向に回動する。
【0047】
連結部材43が基部荷受台41に対して90°回動すると、
図8に示すように、基部荷受台41の先端側の壁部に、連結部材43側のクッションゴム47(
図5も参照)が当接する。これにより、基部荷受台41に対する連結部材43の回動が規制され、先部荷受台42は、先部載置面421aが基部載置面411aと対向するように、基部荷受台41上に折り畳まれた状態となる。
【0048】
図8に示す状態から、先部荷受台42を基部荷受台41に対して展開させる際には、上記と逆の動作が行われる。これにより、
図6に示すように、先部荷受台42は、基部荷受台41に対して展開された状態となり、先部載置面421aが基部載置面411aと面一になる。
【0049】
以上により、先部荷受台42は、基部荷受台41に対して展開された展開姿勢(
図6に示す位置)と、基部荷受台41上に折り畳まれた折り畳み姿勢(
図8に示す位置)との間で回動可能である。したがって、
図3~
図5における先部荷受台42は、いずれも展開姿勢の状態を示している。
【0050】
[基部荷受台の倒伏・起立]
図9は、荷受台16が格納された状態を示す側面図である。
図2及び
図9において、荷受台16が後述する上昇位置にあるとき、基部荷受台41は、ピン17を中心として、各昇降支柱12に対して起伏回動可能である。具体的には、基部荷受台41は、各昇降支柱12に対して後方に倒伏する倒伏姿勢(
図2の1点鎖線で示す姿勢)と、各昇降支柱12の後壁に沿って起立する起立姿勢(
図9に示す姿勢)との間で起伏回動可能である。
【0051】
荷受台16を使用するときは、
図2に示すように、基部荷受台41を上昇位置において倒伏姿勢にした状態で、先部荷受台42は展開姿勢とされる。この状態で荷受台16は、昇降機構21により昇降される。その際、基部荷受台41の基部載置面411a及び先部荷受台42の先部載置面421aに荷物が載置される。
【0052】
荷受台16を使用しないときは、先部荷受台42を展開姿勢から折り畳み姿勢にした状態で、
図9に示すように、基部荷受台41は、上昇位置において倒伏姿勢から起立姿勢まで上方回動される。これにより、基部荷受台41は、一対の昇降支柱12の各後壁に沿って起立するとともに、先部荷受台42は、一対の昇降支柱12の間に配置された状態となる。これにより、荷受台16は、上下方向及び前後方向にコンパクトな状態で格納される。
【0053】
[固縛機構]
図1及び
図4において、固縛機構20は、基部荷受台41を起立姿勢で各昇降支柱12に固縛する機構である。固縛機構20は、基部荷受台41の右側に設けられたロックハンドル20aと、右側の昇降支柱12の外側壁に固定されたフック20bと、を有している。ロックハンドル20aは、基部荷受台41に対して回動可能かつ左右方向にスライド可能に設けられている。フック20bには、ロックハンドル20aが係脱可能に係合される。基部荷受台41が起立姿勢のとき、ロックハンドル20aを回動及びスライドさせてフック20bに係合させることで、基部荷受台41は起立姿勢で固縛される。
【0054】
[昇降機構]
図1及び
図2において、昇降機構21は、一対の昇降支柱12に対して、荷受台16を荷台2の床面2aと地面との間で昇降させる機構である。昇降機構21は、クロスメンバ19内において左右方向に沿って配置された油圧シリンダ22と、図示を省略する固定シーブ、可動シーブ、及びワイヤと、を備えている。固定シーブ、可動シーブ、及びワイヤは、垂直昇降式の昇降機構では一般的な構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0055】
昇降機構21の油圧シリンダ22を伸縮作動させると、固定シーブ及び可動シーブに掛け回されたワイヤを介して、スライダ14が昇降支柱12及びインナコラム13に沿って昇降する。これにより、荷受台16を、上昇位置(
図2の1点鎖線で示す位置)と下降位置(
図2の実線で示す位置)との間で昇降させることができる。荷受台16が上昇位置のとき、荷受台16の基部載置面411a及び先部載置面421aは、荷台2の床面2a(クロスメンバ19の上面19a)と同一高さになる。荷受台16が下降位置のとき、荷受台16は、クッションゴム46を介して地面に接地した状態となる。
【0056】
図2に示すように、本実施形態の荷受台昇降装置10は、荷受台16が格納された昇降ユニット11を、反転させて荷台2上に配置させる反転機構30をさらに備えている。なお、
図1では、反転機構30の図示を省略している。反転機構30は、昇降ユニット11の一対の昇降支柱12を、水平軸線C回りに回動可能に支持する反転支持部31を備えている。これにより、荷受台16が格納された昇降ユニット11は、反転機構30により、水平軸線C回りに
図2の反時計回り方向へ180°回動(反転)して荷台2上に配置される。
【0057】
[ストッパ及び規制部材]
図1及び
図4において、荷受台昇降装置10は、各昇降支柱12に設けられた一対のストッパ18をさらに備えている。各ストッパ18は、上下方向に長く形成されたブロック体からなる。各ストッパ18は、各昇降支柱12における左右方向内側の側面12cの上側において、当該側面12cから左右方向内側に突出して固定されている。
【0058】
図9に示すように、各ストッパ18の後面は、荷受台16が格納された状態で、先部荷受台42の側面42aから突出した把持部材45の他面45bが当接する当接面18aとされている。各把持部材45は、その他面45bがストッパ18の当接面18aに当接することで、起立姿勢の基部荷受台41に対して、折り畳み姿勢の先部荷受台42が展開姿勢側(
図9の時計回り方向側)へ回動するのを規制する。
【0059】
したがって、本実施形態の各把持部材45は、荷受台16が格納された状態で、ストッパ18に当接することで、基部荷受台41に対する先部荷受台42の展開姿勢側への回動を規制する規制部材として機能する。
【0060】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態の荷受台昇降装置10によれば、先部荷受台42が折り畳み姿勢の状態で基部荷受台41が起立姿勢になって荷受台16が格納された状態で、先部荷受台42に設けられた規制部材(把持部材45)が、昇降支柱12に設けられたストッパ18に当接する。これにより、先部荷受台42の展開姿勢側への回動が規制されるので、車両1の走行中や、反転機構30により昇降ユニット11を反転させるときに、基部荷受台41に対して先部荷受台42がばたつくのを抑制することができる。また、先部荷受台42はストッパ18に直接当接しないので、先部荷受台42が破損するのを抑制することができる。
【0061】
また、基部荷受台41に対して先部荷受台42を回動操作するための把持部材45が、前記規制部材とされている。これにより、先部荷受台42を回動操作するための把持部材45と、先部荷受台42の展開姿勢側への回動を規制する規制部材とを別々に設ける必要がないので、荷受台昇降装置10の構成を簡素化することができる。
【0062】
また、先部荷受台42が折り畳み姿勢のときに基部載置面411aと対向する把持部材45の対向面45aは、先部載置面421aに対して、先部荷受台42の裏面42b側にずれて配置されている。この構成により、先部荷受台42が折り畳み姿勢のときに、把持部材45の対向面45aと基部載置面411aとの間に隙間Dが形成される。これにより、作業者が把持部材45の対向面45aを把持した状態で、先部荷受台42を折り畳み姿勢まで回動操作したときに、把持部材45の対向面45aと基部載置面411aとの間で、作業者の手指が挟まれるのを抑制することができる。
【0063】
[その他]
本実施形態の荷受台昇降装置10は、荷台2の後方から荷物を積み降ろせるように荷台2の後部に設けられているが、荷台2の側方から荷物を積み降ろせるように荷台2の左側部又は右側部に設けられていてもよい。また、荷受台昇降装置10は、反転機構30を備えていなくてもよい。
【0064】
本実施形態では、先部荷受台42を回動操作するための把持部材45が、先部荷受台42の展開姿勢側への回動を規制する規制部材として機能しているが、把持部材45と前記規制部材とを別部材にしてもよい。また、前記規制部材は、先部荷受台42の側面42aに設けられているが、先部荷受台42の裏面42bに設けられていてもよい。その場合、先部荷受台42の裏面42bに設けられた接地用のクッションゴム46を、前記規制部材として兼用してもよい。
【0065】
前記規制部材が当接するストッパ18は、昇降支柱12の側面12cに設けられているが、これに限定されるものではなく、昇降支柱12の前面、上面、又は後面から左右方向内側に突出するように設けられていてもよい。本実施形態では、一対の昇降支柱12それぞれにストッパ18が設けられているが、少なくとも一方の昇降支柱12にストッパ18が設けられていればよい。その場合、前記一方の昇降支柱12に設けられたストッパ18に当接するように、先部荷受台42の左右両側の側面42aのうちの一方に、前記規制部材を設ければよい。
【0066】
把持部材45は、本実施形態に限定されない。例えば、把持部材45は、作業者の手指を引っ掛けるための窪みや孔を有するブロック体であってもよい。
【0067】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0068】
10 荷受台昇降装置
12 昇降支柱
16 荷受台
18 ストッパ
21 昇降機構
41 基部荷受台
42 先部荷受台
42a 側面
45 把持部材(規制部材)
45a 対向面
411a 基部載置面
421a 先部載置面