(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079917
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】荷受台昇降装置
(51)【国際特許分類】
B60P 1/46 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
B60P1/46 B
B60P1/46 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192605
(22)【出願日】2022-12-01
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河上 佳賢
(72)【発明者】
【氏名】小西 拓
(72)【発明者】
【氏名】山下 惠
(72)【発明者】
【氏名】井川 弘大
(72)【発明者】
【氏名】南 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大輝
(72)【発明者】
【氏名】田中 遥子
(72)【発明者】
【氏名】片岡 龍我
(72)【発明者】
【氏名】山本 祥治
(57)【要約】
【課題】昇降ユニットが反転可能な荷受台昇降装置において、昇降ユニットが使用位置以外の位置にあるときに、荷受台が昇降するのを抑制できるようにする。
【解決手段】車両1の荷台2に対して荷物を積み降ろすための荷受台昇降装置10は、一対の昇降支柱12、一対の昇降支柱12に対して昇降可能な荷受台16、及び荷受台16を昇降させるための駆動手段22を有する昇降ユニット11と、昇降ユニット11を使用位置と不使用位置との間で反転させる反転機構30と、昇降ユニット11の位置に応じて検出状態と非検出状態との間で変化する検出手段70と、検出手段70の状態変化に基づいて駆動手段22の駆動可否を制御する制御部80と、を備える。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台に対して荷物を積み降ろすための荷受台昇降装置であって、
一対の昇降支柱と、一対の前記昇降支柱に対して水平展開された状態で昇降可能であり且つ一対の前記昇降支柱に沿って起立可能な荷受台と、水平展開された前記荷受台を前記荷台の床面と地面との間で昇降させるための駆動手段と、を有する昇降ユニットと、
前記荷受台を起立させた状態の前記昇降ユニットを、前記昇降ユニットが前記荷台の下方に張り出して前記荷受台が昇降可能となる使用位置と、前記昇降ユニットが前記荷台の床面の高さよりも上方に配置される不使用位置との間で、前記荷台に対して水平軸線回りに反転させて前記荷台上に配置させる反転機構と、
前記昇降ユニットの位置に応じて、検出状態と非検出状態との間で変化する検出手段と、
前記検出手段の状態変化に基づいて、前記駆動手段の駆動可否を制御する制御部と、を備える荷受台昇降装置。
【請求項2】
前記検出手段は、前記昇降ユニットが前記不使用位置に反転することで、検出状態及び非検出状態のうちの一方の第1状態に変化する第1検出部を有し、
前記制御部は、前記第1検出部が前記第1状態に変化すると、前記駆動手段の駆動を規制する、請求項1に記載の荷受台昇降装置。
【請求項3】
前記検出手段は、前記昇降ユニットが前記使用位置に反転することで、検出状態及び非検出状態のうちの一方の第2状態に変化する第2検出部を有し、
前記制御部は、前記第2検出部が前記第2状態に変化すると、前記駆動手段の駆動を許容する、請求項2に記載の荷受台昇降装置。
【請求項4】
前記第1検出部及び前記第2検出部は、単一のセンサで構成され、
前記センサは、前記昇降ユニットが前記不使用位置に反転することで、検出状態及び非検出状態のうちの一方の状態(前記第1状態)に変化し、前記昇降ユニットが前記使用位置に反転することで、検出状態及び非検出状態のうちの他方の状態(前記第2状態)に変化し、
前記制御部は、前記センサが前記一方の状態に変化すると、前記駆動手段の駆動を規制し、前記センサが前記他方の状態に変化すると、前記駆動手段の駆動を許容する、請求項3に記載の荷受台昇降装置。
【請求項5】
前記昇降支柱に対して第1揺動位置と第2揺動位置との間で自重により揺動可能に設けられ、前記昇降ユニットが前記不使用位置に反転することで前記第1揺動位置へ揺動し、前記昇降ユニットが前記使用位置に反転することで前記第2揺動位置へ揺動する揺動部をさらに備え、
前記センサは、前記昇降支柱に設けられ、前記揺動部が前記第1揺動位置へ揺動することで前記一方の状態に変化し、前記揺動部が前記第2揺動位置へ揺動することで前記他方の状態に変化する、請求項4に記載の荷受台昇降装置。
【請求項6】
前記揺動部は、
前記センサを検出状態と非検出状態との間で変化させるためのドグと、
前記ドグと一体に設けられ、前記昇降ユニットが前記使用位置にある状態で前記荷受台が上昇しているときに、前記荷受台上の荷物の一部が前記荷台側へ突出している場合に、前記一部が当接し得るセーフティバーと、を有し、
前記ドグは、前記セーフティバーに前記一部が当接することで、前記セーフティバーと共に前記第1揺動位置へ揺動する、請求項5に記載の荷受台昇降装置。
【請求項7】
前記センサは、前記昇降ユニットが前記使用位置から前記不使用位置に向けて反転した直後に、前記一方の状態に変化する、請求項4に記載の荷受台昇降装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷受台昇降装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貨物自動車等に装着されて荷物の積み降ろしに利用される荷受台昇降装置として、例えば特許文献1に記載されたものがある。特許文献1の荷受台昇降装置は、垂直昇降式であり、貨物自動車の荷台の後端部に固定された左右一対の昇降支柱(アウタコラム)と、これらの昇降支柱に対して昇降可能に設けられた荷受台と、荷受台を昇降駆動させる油圧シリンダと、を備えている。油圧シリンダを伸縮作動させることで、荷受台は、水平展開された状態で、地面に接地する下降位置と、荷台の床面と同一高さになる上昇位置との間で昇降可能である。荷受台を使用しないときには、荷受台を前記上昇位置から上方回動させることで、荷受台は各昇降支柱の後面に沿って起立格納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記垂直昇降式の荷受台昇降装置では、荷受台を使用しないときに、一対の昇降支柱及び起立格納された荷受台は、荷台よりも下方に張り出した状態となる。この状態で貨物自動車を走行させると、昇降支柱や荷受台が損傷するおそれがある。そこで、昇降支柱等の損傷を抑制するために、昇降支柱、荷受台、及び油圧シリンダを含む昇降ユニットを、使用位置と不使用位置との間で、荷台に対して水平軸線回りに反転可能に支持することが検討されている。
【0005】
使用位置において、昇降ユニットは荷台の下方に張り出し、荷受台を昇降させることが可能となる。使用位置から不使用位置に昇降ユニットを反転させると、昇降ユニットは荷台の床面の高さよりも上方に配置される。この状態で貨物自動車を走行させることで、昇降支柱や荷受台が損傷するのを抑制することができる。しかし、昇降ユニットが使用位置以外の位置にあるときに、誤操作等により油圧シリンダを駆動させると、荷受台が昇降するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、昇降ユニットが反転可能な荷受台昇降装置において、昇降ユニットが使用位置以外の位置にあるときに、荷受台が昇降するのを抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明は、車両の荷台に対して荷物を積み降ろすための荷受台昇降装置であって、一対の昇降支柱と、一対の前記昇降支柱に対して水平展開された状態で昇降可能であり且つ一対の前記昇降支柱に沿って起立可能な荷受台と、水平展開された前記荷受台を前記荷台の床面と地面との間で昇降させるための駆動手段と、を有する昇降ユニットと、前記荷受台を起立させた状態の前記昇降ユニットを、前記昇降ユニットが前記荷台の下方に張り出して前記荷受台が昇降可能となる使用位置と、前記昇降ユニットが前記荷台の床面の高さよりも上方に配置される不使用位置との間で、前記荷台に対して水平軸線回りに反転させて前記荷台上に配置させる反転機構と、前記昇降ユニットの位置に応じて、検出状態と非検出状態との間で変化する検出手段と、前記検出手段の状態変化に基づいて、前記駆動手段の駆動可否を制御する制御部と、を備える荷受台昇降装置である。
【0008】
本発明によれば、例えば、昇降ユニットが使用位置から不使用位置へ反転するときに、検出手段を検出状態又は非検出状態に変化させるようにし、その状態変化によって制御部は駆動手段の駆動を規制するように制御することが可能となる。このように制御部が制御することで、昇降ユニットが使用位置以外の位置にあるときに、荷受台が昇降するのを抑制することができる。
【0009】
(2)上記(1)の荷受台昇降装置において、前記検出手段は、前記昇降ユニットが前記不使用位置に反転することで、検出状態及び非検出状態のうちの一方の第1状態に変化する第1検出部を有し、前記制御部は、前記第1検出部が前記第1状態に変化すると、前記駆動手段の駆動を規制するのが好ましい。
この場合、昇降ユニットが不使用位置に反転して第1検出部が第1状態に変化すると、制御部は駆動手段の駆動を規制する。これにより、昇降ユニットが不使用位置にあるときに、荷受台が昇降するのを効果的に抑制することができる。
【0010】
(3)上記(2)の荷受台昇降装置において、前記検出手段は、前記昇降ユニットが前記使用位置に反転することで、検出状態及び非検出状態のうちの一方の第2状態に変化する第2検出部を有し、前記制御部は、前記第2検出部が前記第2状態に変化すると、前記駆動手段の駆動を許容するのが好ましい。
この場合、昇降ユニットが使用位置に反転して第2検出部が第2状態に変化すると、制御部は駆動手段の駆動を許容する。これにより、昇降ユニットを不使用位置から使用位置まで反転させると、荷受台は自動的に昇降可能な状態となるので、荷物の積み降ろし作業を迅速に行うことができる。
【0011】
(4)上記(3)の荷受台昇降装置において、前記第1検出部及び前記第2検出部は、単一のセンサで構成され、前記センサは、前記昇降ユニットが前記不使用位置に反転することで、検出状態及び非検出状態のうちの一方の状態(前記第1状態)に変化し、前記昇降ユニットが前記使用位置に反転することで、検出状態及び非検出状態のうちの他方の状態(前記第2状態)に変化し、前記制御部は、前記センサが前記一方の状態に変化すると、前記駆動手段の駆動を規制し、前記センサが前記他方の状態に変化すると、前記駆動手段の駆動を許容するのが好ましい。
この場合、第1検出部及び第2検出部が単一のセンサで構成されるので、荷受台昇降装置の構成を簡素化することができる。
【0012】
(5)上記(4)の荷受台昇降装置は、前記昇降支柱に対して第1揺動位置と第2揺動位置との間で自重により揺動可能に設けられ、前記昇降ユニットが前記不使用位置に反転することで前記第1揺動位置へ揺動し、前記昇降ユニットが前記使用位置に反転することで前記第2揺動位置へ揺動する揺動部をさらに備え、前記センサは、前記昇降支柱に設けられ、前記揺動部が前記第1揺動位置へ揺動することで前記一方の状態に変化し、前記揺動部が前記第2揺動位置へ揺動することで前記他方の状態に変化するのが好ましい。
この場合、昇降ユニットが不使用位置と使用位置との間で反転するときに、昇降支柱に対して揺動部が第1揺動位置と第2揺動位置との間で自重により揺動することで、昇降支柱に設けられたセンサを検出状態と非検出状態との間で変化させることができる。これにより、センサ及び揺動部を、いずれも同一部材(昇降支柱)に設けることができるので、センサと揺動部との位置合わせを容易に行うことができる。その結果、センサの検出精度を高めることができる。
【0013】
(6)上記(5)の荷受台昇降装置において、前記揺動部は、前記センサを検出状態と非検出状態との間で変化させるためのドグと、前記ドグと一体に設けられ、前記昇降ユニットが前記使用位置にある状態で前記荷受台が上昇しているときに、前記荷受台上の荷物の一部が前記荷台側へ突出している場合に、前記一部が当接し得るセーフティバーと、を有し、前記ドグは、前記セーフティバーに前記一部が当接することで、前記セーフティバーと共に前記第1揺動位置へ揺動するのが好ましい。
この場合、荷受台の上昇中に、荷受台上の荷物における荷台側に突出している一部がセーフティバーに当接すると、ドグが第1揺動位置へ揺動するので、センサは前記一方の状態に変化する。これにより、制御部が駆動手段の駆動を規制するので、荷受台の上昇が停止する。その結果、荷受台と荷台側との間に荷物が挟み込まれて破損するのを抑制することができる。また、昇降ユニットの位置に応じて検出状態と非検出状態との間で変化するセンサが、荷物の一部がセーフティバーに当接したことを検出するセンサを兼ねるので、荷受台昇降装置の構成をさらに簡素化することができる。
【0014】
(7)上記(4)の荷受台昇降装置において、前記センサは、前記昇降ユニットが前記使用位置から前記不使用位置に向けて反転した直後に、前記一方の状態に変化するのが好ましい。
この場合、昇降ユニットが使用位置から不使用位置に向けて反転した直後に、センサが前記一方の状態に変化することで、制御部が駆動手段の駆動を規制する。これにより、昇降ユニットが使用位置以外の位置(反転途中の位置も含む)にあるときに、荷受台が昇降するのを効果的に抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、昇降ユニットが反転可能な荷受台昇降装置において、昇降ユニットが使用位置以外の位置にあるときに、荷受台が昇降するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の実施形態に係る荷受台昇降装置が設けられた車両の後部を示す斜視図である。
【
図3】昇降ユニットの反転前後の状態を示す側面図である。
【
図6】
図4の昇降ユニットの左側部分を上から見た平面図である。
【
図10】昇降ユニットが使用位置の状態で荷受台を上昇させたときにセンサが非検出状態に変化した状態を示す断面図である。
【
図11】昇降ユニットが不使用位置に反転したときにセンサが非検出状態に変化した状態を示す断面図である。
【
図12】荷受台昇降装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図13】第2実施形態に係る荷受台昇降装置の側面図である。
【
図14】第2実施形態の荷受台昇降装置の制御構成を示すブロック図である。
【
図15】第3実施形態に係る荷受台昇降装置の
図5に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る荷受台昇降装置10が装着された車両1の後部を示す斜視図である。
図2は、荷受台昇降装置10の側面図である。以下の本実施形態の説明において、「上」、「下」、「右」、「左」、「前」、及び「後」といった方向は、
図1に示す方向を意味する。
【0018】
図1及び
図2において、本実施形態の車両1は、例えば貨物自動車であり、荷台2と、荷台2の左右両側にそれぞれ設けられた一対の側壁3と、荷台2の後端部に設けられた煽戸4と、を備えている。荷台2は、荷物が積載される床面2aを有している。荷台2の床面2aの上方は、荷物の積載空間とされている。
【0019】
煽戸4は、荷台2の後端部において左右方向(車幅方向)に延びる軸部材5を中心として上下回動可能に設けられている。煽戸4は、荷台2の床面2aから下方に垂れ下がる開位置(
図2に示す位置)と、荷台2の床面2aから上方に立ち上がる閉位置(図示省略)と、の間で上下回動可能である。
【0020】
<昇降ユニット>
荷受台昇降装置10は、荷台2の床面2aに対して、荷台2の後方から荷物を積み降ろす際に使用される。荷受台昇降装置10は、垂直昇降式の昇降ユニット11を備えている。本実施形態の昇降ユニット11は、
図1に示す状態では、荷台2の後方において左側に偏って配置されている。昇降ユニット11は、一対の昇降支柱12、一対のインナコラム13、一対のスライダ14、荷受台16、クロスメンバ19、固縛機構20、及び昇降機構21を有している。
【0021】
一対の昇降支柱12は、荷台2の後方において互いに左右方向に離間して配置されるとともに、互いに平行かつ上下方向に延びている。各昇降支柱12は、中空の角筒体からなる。各昇降支柱12の上端には、その上端開口を覆う天板12aが固定されている。各昇降支柱12の後壁には、上下方向に延びるスリット12bが形成されている。
【0022】
各昇降支柱12の内部には、インナコラム13が昇降自在に設けられている。各インナコラム13も、上下方向に長く形成された中空の角筒体からなる。各インナコラム13の後壁には、上下方向に延びるスリット13bが形成されている。各インナコラム13内には、スライダ14が昇降自在に設けられている。
【0023】
各スライダ14の後部は、インナコラム13及び昇降支柱12の各スリット13b,12bを貫通し、昇降支柱12の後方に突出している。各スライダ14は、各スリット13b,12bに案内されて昇降支柱12及びインナコラム13のそれぞれに対して昇降可能である。各スライダ14には、インナコラム13の内側面に沿って転動するローラ(図示省略)が回転可能に設けられ、このローラによって各スライダ14が円滑に昇降するようになっている。
【0024】
各スライダ14の後部下端には、ブラケット15が固定されている。各ブラケット15には、荷受台16が回動可能に支持されている。荷受台16は、メインプレート16aと、サブプレート16bと、を有している。メインプレート16aの基端部は、各ブラケット15に対して、左右方向に延びる水平軸となるピン17を中心として上下回動可能に支持されている。サブプレート16bの基端部は、メインプレート16aの先端部に対して、ヒンジ18を介して上下回動可能に支持されている。
【0025】
荷受台16は、後述する上昇位置において、各昇降支柱12に対して、水平展開される展開姿勢(
図2の1点鎖線で示す姿勢)と、各昇降支柱12の後壁に沿って起立される起立姿勢(
図2の2点鎖線で示す姿勢)との間で上下回動可能である。荷受台16が展開姿勢のとき、メインプレート16a及びサブプレート16bは、各昇降支柱12の後方において水平に延びており、メインプレート16a及びサブプレート16bの各表面(上面)は、荷物が載置される荷受面16cとされている。
【0026】
荷受台16が起立姿勢のとき、メインプレート16aは、上方回動して各昇降支柱12の後壁に沿って起立された状態となり、サブプレート16bは、起立されたメインプレート16aの裏面(下面)側に下方回動して当該裏面に沿って折り畳まれた状態となる。これにより、荷受台16は、起立姿勢において上下方向にコンパクトな状態となる。
【0027】
固縛機構20は、荷受台16を起立姿勢で各昇降支柱12に固縛する機構である。固縛機構20は、メインプレート16aの左右両側に設けられた一対のロックハンドル20aと、各昇降支柱12の外側壁に固定された一対のフック20bと、を有している。各ロックハンドル20aは、メインプレート16aに対して回動可能かつ左右方向にスライド可能に設けられている。各フック20bには、対応するロックハンドル20aが係脱可能に係合される。
図2に示すように、荷受台16が起立姿勢のとき、ロックハンドル20aを回動及びスライドさせてフック20bに係合させることで、荷受台16は起立姿勢で固縛される。
【0028】
クロスメンバ19は、一対の昇降支柱12の間に配置され、両昇降支柱12のほぼ下半分全体がクロスメンバ19によって連結されている。クロスメンバ19は、中空の矩形箱状に形成されており、クロスメンバ19の内部空間は、各昇降支柱12の内部空間と連通している。
図1に示す状態において、クロスメンバ19の上面19aは、荷台2の床面2aとほぼ同じ高さ位置に配置されている。
【0029】
昇降機構21は、一対の昇降支柱12に対して、展開姿勢の荷受台16を荷台2の床面2aと地面との間で昇降させる機構である。昇降機構21は、クロスメンバ19内に配置された駆動手段22と、昇降支柱12に設けられたコントロールスイッチ27と、図示を省略する固定シーブ、可動シーブ、及びワイヤと、を備えている。コントロールスイッチ27は、荷受台16の上昇及び下降を操作するスイッチである。固定シーブ、可動シーブ、及びワイヤは、垂直昇降式の昇降機構では一般的な構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0030】
駆動手段22は、電動モータ23、油圧ポンプ24、オイルタンク25、及び油圧シリンダ26を有している。電動モータ23は、車両1のバッテリ(図示省略)から電力供給されることで、油圧ポンプ24を作動させる。油圧ポンプ24は、オイルタンク25内のオイルを吸引して吐出する。オイルタンク25は、油圧ポンプ24から油圧シリンダ26に供給するオイルを蓄える。油圧シリンダ26は、オイルが給排されることによって伸縮作動する。
【0031】
作業者がコントロールスイッチ27を操作すると、駆動手段22が駆動する。つまり、電動モータ23により油圧ポンプ24が作動することで、油圧シリンダ26が伸縮作動する。油圧シリンダ26が伸縮作動すると、固定シーブ及び可動シーブに掛け回されたワイヤを介して、スライダ14が昇降支柱12及びインナコラム13に沿って昇降する。
【0032】
これにより、昇降機構21は、展開姿勢の荷受台16を、上昇位置(
図2の1点鎖線で示す位置)と下降位置(
図2の実線で示す位置)との間で昇降させることができる。荷受台16が上昇位置のとき、荷受台16の荷受面16cは、クロスメンバ19の上面19aと同一高さになる。荷受台16が下降位置のとき、荷受台16は地面に接地した状態となる。
【0033】
<反転機構>
図3は、昇降ユニット11の反転前後の状態を示す側面図である。
図4は、
図3のI矢視図である。
図5は、
図4のII矢視図である。
図3~
図5において、荷受台昇降装置10は、荷受台16が起立姿勢とされた昇降ユニット11を反転させる反転機構30をさらに備えている。なお、
図1では、反転機構30及び旋回機構50(後述)の図示を省略している。反転機構30は、一対の反転支持部31と、一対の反転アーム33と、反転駆動部34と、を備えている。
【0034】
一対の反転支持部31は、昇降ユニット11の一対の昇降支柱12それぞれを、荷台2に対して反転可能に支持している。一対の反転支持部31は、荷台2の床面2aの後端部において、互いに左右方向に離間して一対の昇降支柱12に対応する位置に配置されている。各反転支持部31は、底板311と、補強板312と、一対の支持板313と、一対の反転軸314と、を有している。底板311の下面は、荷台2の床面2aに載置されている。
【0035】
補強板312は、側面視においてL字形状の板部材からなり、水平方向に延びる横板部312aと、鉛直方向に延びる縦板部312bと、を有している。横板部312aは、底板311の上面に溶接等により固定されている。縦板部312bは、横板部312aの後端から上方に延びている。一対の支持板313は、それぞれ略三角形状に形成された板部材からなる。一対の支持板313は、互いに左右方向に間隔をあけた状態で、補強板312における横板部312aの上面及び縦板部312bの前面に、それぞれ溶接等により固定されている。各反転支持部31の横板部312a同士は、連結板32により連結されている(
図4参照)。連結板32の上面32aは、クロスメンバ19の上面19aと同一の高さ位置に配置されている。
【0036】
各反転支持部31の一対の支持板313には、反転軸314が左右方向に延びる水平軸線C回りに回転可能に支持されている。また、各反転支持部31の一対の支持板313の間には、反転アーム33が配置されている。反転アーム33は、例えばチャンネル材からなり、その一端部が反転軸314に固定されている。これにより、反転アーム33は、反転支持部31に対して回動可能に支持されており、反転軸314と共に回動する。
【0037】
反転アーム33の他端部は、昇降ユニット11の各昇降支柱12に固定されている。本実施形態では、各昇降支柱12が
図3の1点鎖線で示す位置にある状態で、各昇降支柱12の上側部分かつ前側部分に、反転アーム33の他端部が固定されている。
【0038】
以上の構成により、一対の反転支持部31に対して各反転アーム33を水平軸線C回りに回動させることで、一対の昇降支柱12を上下回動させることができる。これにより、
図3の1点鎖線で示す位置にある各昇降支柱12の上側部分は、反転支持部31により荷台2に対して反転可能に支持されている。したがって、荷受台16が起立姿勢とされた昇降ユニット11は、反転機構30により、荷台2に対して、使用位置(
図3の1点鎖線で示す位置)と、不使用位置(
図3の実線で示す位置)との間で反転可能である。
【0039】
反転機構30により昇降ユニット11を反転させる際、昇降ユニット11の一対の昇降支柱12は、それぞれ反転アーム33を介して、荷台2上に設置された反転支持部31に支持されながら反転する。したがって、本実施形態の反転機構30は、荷台2に対して各昇降支柱12を支持しつつ、昇降ユニット11を使用位置と不使用位置との間で反転させることができる。
【0040】
使用位置における昇降ユニット11は、荷台2の外側となる後方(一方向)かつ荷台2の下方に張り出した状態となる。この状態で荷受台16を展開姿勢にすることで、荷受台16は上昇位置と下降位置との間で昇降可能となる。不使用位置における昇降ユニット11は、荷台2の床面2aの高さよりも上方において荷台2上に配置された状態となり、かつ一対の昇降支柱12は左右方向(一方向に対して水平方向に直交する方向)に沿って配置された状態となる。この状態において、荷受台16は、荷台2上に配置されるので、上昇位置と下降位置との間での昇降が不可能となる。
【0041】
昇降ユニット11が使用位置にある状態で、各昇降支柱12の前壁には、当接板29が設けられている(
図4も参照)。当接板29は、ゴム等の弾性材料からなる。当接板29は、昇降ユニット11が使用位置にあるときに、反転支持部31の縦板部312bに当接するように、昇降支柱12の前壁に固定されている。昇降ユニット11が不使用位置から使用位置まで反転したときに、当接板29が縦板部312bに当接することで、昇降ユニット11が使用位置を超えて反転するのを規制する。
【0042】
図4及び
図5において、反転駆動部34は、昇降ユニット11を省力で反転動作させるものであり、昇降ユニット11の右側方に配置されている。反転駆動部34は、従動スプロケット35、駆動スプロケット36、チェーン37、減速機38、及び操作部39を備えている。
【0043】
従動スプロケット35は、反転支持部31の右側に近接して配置されている。従動スプロケット35の中心部は、反転軸314の右端部に一体回転可能に連結されている。駆動スプロケット36は、従動スプロケット35よりも車両1の前側に配置されている。駆動スプロケット36の外径は、従動スプロケット35の外径よりも小さい。駆動スプロケット36の中心部は、減速機38の出力軸38bに一体回転可能に連結されている。チェーン37は、無端状に形成され、従動スプロケット35と駆動スプロケット36とに掛け渡されている。
【0044】
減速機38は、反転支持部31の支持板313の外側面に固定されたベース板315の上面に設置されている。減速機38は、例えばウォームギヤ(図示省略)を備えたウォーム減速機からなる。減速機38の入力軸38aは前方に延びている。減速機38の入力軸38aには、操作部39が連結されている。操作部39は、減速機38の入力軸38aに一端部が連結されたレバー39aと、レバー39aの他端部に設けられたハンドル39bと、を有している。
【0045】
作業者は、ハンドル39bを把持し、レバー39aが減速機38の入力軸38aを中心に回転するように操作部39を回転操作すると、その回転トルクが減速機38により増大され、減速機38の出力軸38bを介して駆動スプロケット36が回転する。駆動スプロケット36が回転すると、チェーン37を介して従動スプロケット35と共に反転軸314が回転する。これにより、作業者は、昇降ユニット11を反転駆動部34により省力で反転動作させることができる。
【0046】
<旋回機構>
図6は、
図4の昇降ユニット11の左側部分を上から見た平面図である。
図7は、
図6のIII矢視図である。
図4、
図6及び
図7において、荷受台昇降装置10は、荷受台16が起立姿勢とされた昇降ユニット11を、荷台2上において旋回させる旋回機構50をさらに備えている。
【0047】
本実施形態の旋回機構50は、荷台2に対して、荷受台16が起立姿勢とされた昇降ユニット11を、前記不使用位置(
図6の実線で示す位置)と格納位置(
図6の1点鎖線で示す位置)との間における90°の範囲で旋回させる。旋回機構50は、旋回支持部51と、旋回アーム部52と、を備えている。
【0048】
旋回支持部51は、昇降ユニット11を水平旋回可能に支持するものであり、一対の昇降支柱12の一方側(左側)において荷台2の床面2aに設けられている。旋回支持部51は、固定板511と、固定軸512と、回転筒513と、を有している。固定板511は、荷台2の床面2aにおける左側の側壁3と左側の反転支持部31との間において、反転支持部31の底板311に近接して配置されている。固定板511は、その下面が床面2aに載置された状態で、ボルト514によって床面2aに固定されている。固定軸512は、固定板511の上面から上方に突出して固定されている。回転筒513は、円筒状の部材からなる。回転筒513は、固定軸512の外周に嵌め込まれ、固定軸512に対して、その鉛直軸線X回りに回転可能に支持されている。
【0049】
旋回アーム部52は、旋回支持部51と昇降ユニット11とを連結している。旋回アーム部52は、筒アーム521と、軸アーム522と、を有している。筒アーム521は、円筒状の部材からなる。筒アーム521の軸方向一端部(
図4の左端部)は、旋回支持部51の回転筒513の外周面に固定されている。
【0050】
軸アーム522は、円柱状の部材からなる。軸アーム522の軸方向一端部(
図4の右端部)は、反転支持部31における左側の支持板313の外側面に固定されている。軸アーム522の軸方向他端部(
図4の左端部)は、筒アーム521内に挿入され、ボルト523によって筒アーム521に固定されている。したがって、旋回アーム部52は、左側の反転支持部31と共に、旋回支持部51に対して鉛直軸線X回りに水平旋回可能である。
【0051】
以上の構成により、旋回支持部51に対して旋回アーム部52が水平旋回すると、昇降ユニット11及び左右両側の反転支持部31が、鉛直軸線X回りに水平旋回される。これにより、荷受台16が起立姿勢とされた昇降ユニット11は、旋回機構50により、荷台2上において不使用位置と格納位置との間で水平旋回可能である。
【0052】
不使用位置では、上記の通り、昇降ユニット11が荷台2上に配置されるとともに、一対の昇降支柱12が左右方向に沿って配置された状態となる。格納位置では、昇降ユニット11が荷台2上に配置されるとともに、一対の昇降支柱12が前後方向(一方向)に沿って配置された状態となる。本実施形態では、格納位置において、一対の昇降支柱12は、左側の側壁3付近において、当該側壁3に沿って配置される。車両1は、昇降ユニット11を格納位置にした状態で走行する。
【0053】
なお、図示を省略するが、荷受台昇降装置10は、旋回規制構造と旋回固定構造をさらに備えている。旋回規制構造は、旋回機構50により格納位置から不使用位置へ水平旋回する昇降ユニット11が、不使用位置を超えて水平旋回するのを規制するものである。旋回固定構造は、昇降ユニット11が不使用位置及び格納位置にあるとき、旋回機構50による昇降ユニット11の水平旋回を不能にするものである。
【0054】
<揺動部>
図8は、
図1のIV部を後側から見た正面図である。
図9は、
図8のV-V矢視断面図である。
図8及び
図9(
図1も参照)において、荷受台昇降装置10は、一対の昇降支柱12の間に設けられた揺動部60と、一方(本実施形態では左側)の昇降支柱12内に設けられたセンサ73と、をさらに備えている。
【0055】
センサ73は、例えばリミットスイッチからなり、接点73aを有している。センサ73は、昇降支柱12の内部において、インナコラム13の昇降を阻害しない位置に設けられている。センサ73は、接点73aを下向きにして配置されている。センサ73は、後述するドグ62が接点73aに接触することで非検出状態から検出状態に変化し、ドグ62が接点73aから離反することで検出状態から非検出状態に変化するようになっている。
【0056】
揺動部60は、左右一対の揺動板61と、ドグ62と、セーフティバー63と、を有している。各揺動板61は、各昇降支柱12の左右方向内側の内側壁12cの下側に配置されている。各揺動板61は、略L字状に形成されており、前後方向に延びる支持板部61aと、支持板部61aの後端から下方に延びる垂下板部61bと、を有している。
【0057】
支持板部61aは、クロスメンバ19の底板19bの上方に配置され、昇降支柱12の内側壁12cから左右方向内側に突出するピン64に対して揺動可能に支持されている。垂下板部61bは、底板19bの後方において底板19bよりも下方に延びている。
【0058】
ドグ62は、センサ73を検出状態と非検出状態との間で変化させるための部材である。ドグ62は、例えばアングル材からなり、左側の揺動板61において支持板部61aの前端上側の角部に固定されている。ドグ62は、支持板部61aから、左側の昇降支柱12の内側壁12cに形成された貫通孔12dを通過し、昇降支柱12内においてセンサ73の下方に配置されている。
【0059】
セーフティバー63は、例えば円筒部材からなり、左右一対の揺動板61の間に配置されている。セーフティバー63の軸方向両端部は、各揺動板61の支持板部61aの下端に固定されている。これにより、セーフティバー63は、揺動板61を介してドグ62と一体に設けられている。
【0060】
セーフティバー63の重量は、一対の揺動板61に固定された一対のドグ62の総重量よりも重い。このため、揺動部60の後側(セーフティバー63側)の部分は、揺動部60の前側(ドグ62側)の部分よりも重くなっている。このため、
図9に示すように、昇降ユニット11が使用位置にある状態で、揺動部60は、自重によってピン64を中心として反時計回り方向に揺動し、支持板部61aの下面の後側が底板19bに当接した第2揺動位置に保持されている。
【0061】
揺動部60が第2揺動位置にあるとき、ドグ62は、センサ73の接点73aに接触し、センサ73は検出状態に保持されている。センサ73が検出状態のとき、制御部80(後述)により駆動手段22の駆動は許容されるので、作業者がコントロールスイッチ27を操作することで、荷受台16を昇降させることができる。
【0062】
図9に示す状態において、各揺動板61及びセーフティバー63は、昇降支柱12の後面12eよりも前方に配置されているため、荷受台16の昇降を阻害することはない。また、
図9に示す状態において、セーフティバー63は、荷受台16の前方に配置されている。このため、下降位置にある荷受台16(
図1参照)の荷受面16cに荷物を載置し、荷受台16を上昇させているときに、荷物の一部が荷受台16よりも前方(荷台2側)に突出している場合、荷物の前記一部がセーフティバー63の下側に当接するようになっている。
【0063】
荷物の前記一部がセーフティバー63の下側に当接すると、
図10に示すように、セーフティバー63は、揺動板61及びドグ62と共に、強制的にピン64を中心として時計回り方向に揺動させられる。これにより、揺動部60は、支持板部61aの下面の前側が底板19bに当接した第1揺動位置となる。
【0064】
揺動部60が第1揺動位置になると、ドグ62がセンサ73の接点73aから下方に離反し、センサ73は検出状態から非検出状態に変化する。センサ73が非検出状態に変化すると、制御部80(後述)により駆動手段22の駆動は規制され、荷受台16の上昇が停止する。これにより、荷受台16上の荷物が、荷受台16の荷受面16cと、荷台2側となるクロスメンバ19の底板19bとの間に挟み込まれて破損するのを抑制することができる。
【0065】
一方、昇降ユニット11を使用位置から不使用位置に反転させると(
図3参照)、
図11に示すように、揺動部60及びセンサ73は、上下逆さまになる。このため、揺動部60は、自重によってピン64を中心として時計回り方向に揺動し、第2揺動位置から第1揺動位置へ揺動する。
【0066】
したがって、昇降ユニット11が不使用位置と使用位置との間で反転することで、揺動部60は、第1揺動位置と第2揺動位置との間で、自重により揺動するようになっている。これに伴い、センサ73は、昇降ユニット11が不使用位置まで反転することで、検出状態から非検出状態に変化し、昇降ユニット11を使用位置まで反転することで、非検出状態から検出状態に変化する。
【0067】
<制御構成>
図12は、荷受台昇降装置10の制御構成を示すブロック図である。
図12において、荷受台昇降装置10は、検出手段70と、制御部80と、をさらに備えている。検出手段70は、昇降ユニット11の位置に応じて、検出状態と非検出状態との間で変化するものである。検出手段70は、第1検出部71と、第2検出部72と、を有している。第1検出部71は、昇降ユニット11が不使用位置に反転することで、検出状態から非検出状態(第1状態)に変化する。第2検出部72は、昇降ユニット11が使用位置に反転することで、非検出状態から検出状態(第2状態)に変化する。
【0068】
本実施形態では、上記のように、荷物の一部がセーフティバー63に当接したことを検出するセンサ73が、昇降ユニット11の不使用位置への反転時に非検出状態に変化し、昇降ユニット11の使用位置への反転時に検出状態に変化する。このため、本実施形態では、第1検出部71及び第2検出部72として、単一のセンサ73が用いられている。したがって、センサ73は、荷物の一部がセーフティバー63に当接したことを検出するセンサと、昇降ユニット11の位置に応じて検出状態と非検出状態との間で変化する検出手段70と、を兼ねている。
【0069】
制御部80は、
図1では図示を省略するが、クロスメンバ19内に設けられている。制御部80は、CPU等を有するコンピュータを備えて構成されている。制御部80の各機能は、前記コンピュータの記憶装置に記憶された制御プログラムがCPUにより実行されることで発揮される。制御部80には、センサ73(検出手段70)の検出信号、及びコントロールスイッチ27の操作信号が入力されるようになっている。
【0070】
制御部80は、検出手段70の状態変化に基づいて、駆動手段22の駆動可否を制御する。具体的には、制御部80は、センサ73が検出状態に変化すると、つまりセンサ73から検出信号が入力されると、駆動手段22の駆動を許容する。駆動手段22の駆動が許容されると、作業者がコントロールスイッチ27を操作することで、駆動手段22が駆動する。
【0071】
また、制御部80は、センサ73が非検出状態に変化すると、つまりセンサ73から検出信号が入力されなくなると、コントロールスイッチ27から入力される操作信号の有無に関わらず、駆動手段22の駆動を規制する。これにより、荷受台16の昇降が停止している場合、作業者がコントロールスイッチ27を操作しても、駆動手段22は駆動しない。また、荷受台16が昇降中である場合、駆動手段22の駆動は強制的に停止される。
【0072】
<作用効果>
第1実施形態の荷受台昇降装置10によれば、昇降ユニット11の荷受台16を使用しないときには、荷受台16を一対の昇降支柱12に沿う起立姿勢とした状態で、反転機構30により昇降ユニット11を使用位置から荷台2上の不使用位置へ反転させることができる。これにより、昇降ユニット11の昇降支柱12及び荷受台16は荷台2の床面2aの高さよりも上方に配置されるので、荷受台16を使用しないときに昇降支柱12及び荷受台16が損傷するのを抑制することができる。
【0073】
また、不使用位置にある昇降ユニット11を、旋回機構50により格納位置へ旋回させることができる。昇降ユニット11が格納位置にあるとき、一対の昇降支柱12は、側壁3に沿って前後方向に配置される。これにより、荷台2の後方から人力で荷物の積み降ろし作業が行われる際に、起立姿勢の荷受台16が、荷台2上の荷物の積載空間を後方から覆うように配置されることはない。その結果、荷受台16を水平展開させることなく人力での荷物の積み降ろし作業を行えるので、当該積み降ろし作業を効率的に行うことができる。
【0074】
また、反転機構30及び旋回機構50は、一対の反転支持部31により荷台2に対して各昇降支柱12を支持しつつ、昇降ユニット11を移動させるように構成されている。これにより、反転機構30及び旋回機構50により昇降ユニット11を反転及び旋回させる際に、各昇降支柱12は荷台2に対して支持されるので、昇降ユニット11を安定した状態で移動させることができる。
【0075】
また、昇降ユニット11が不使用位置に反転してセンサ73(第1検出部71)が非検出状態(第1状態)に変化すると、制御部80は駆動手段22の駆動を規制する。これにより、昇降ユニット11が不使用位置にあるときに、荷受台16が昇降するのを効果的に抑制することができる。
【0076】
また、昇降ユニット11が使用位置に反転してセンサ73(第2検出部72)が検出状態(第2状態)に変化すると、制御部80は駆動手段22の駆動を許容する。これにより、昇降ユニット11を不使用位置から使用位置まで反転させると、荷受台16は自動的に昇降可能な状態となるので、荷物の積み降ろし作業を迅速に行うことができる。
【0077】
また、第1検出部71及び第2検出部72が単一のセンサ73で構成されるので、荷受台昇降装置10の構成を簡素化することができる。
【0078】
また、昇降ユニット11が不使用位置と使用位置との間で反転するときに、揺動部60が第1揺動位置と第2揺動位置との間で自重により揺動することで、センサ73を検出状態と非検出状態との間で変化させることができる。これにより、センサ73及び揺動部60を、いずれも同一部材(昇降支柱12)に設けることができるので、センサ73と揺動部60との位置合わせを容易に行うことができる。その結果、センサ73の検出精度を高めることができる。
【0079】
また、荷受台16の上昇中に、荷受台16上の荷物における荷台2側に突出している一部がセーフティバー63に当接すると、ドグ62が第1揺動位置へ揺動するので、センサ73は非検出状態に変化する。これにより、制御部80が駆動手段22の駆動を規制するので、荷受台16の上昇が停止する。その結果、荷受台16と荷台2側との間に荷物が挟み込まれて破損するのを抑制することができる。また、センサ73は、荷物の一部がセーフティバー63に当接したことを検出するセンサと、昇降ユニット11の位置に応じて検出状態と非検出状態との間で変化するセンサとを兼ねるので、荷受台昇降装置10の構成をさらに簡素化することができる。
【0080】
[第2実施形態]
図13は、第2実施形態に係る荷受台昇降装置10の側面図である。本実施形態の荷受台昇降装置10は、センサ73とは別に検出手段70が設けられている点で、第1実施形態と異なる。
図13において、本実施形態の検出手段70は、一方(本実施形態では左側)の昇降支柱12の前壁に設けられたセンサ74を有している。
【0081】
センサ74は、例えば近接センサからなり、検出面74aを有している。センサ74は、当接板29の直下に配置されている。昇降ユニット11が使用位置にあるとき、つまり当接板29が反転支持部31の縦板部312bに当接している状態で、センサ74の検出面74aは、縦板部312bに近接して対向する高さ位置に配置されている。センサ74は、検出面74aが縦板部312bに近接することで、非検出状態から検出状態に変化し、検出面74aが縦板部312bから離反することで、検出状態から非検出状態に変化するようになっている。
【0082】
センサ74は、昇降ユニット11が不使用位置に反転することで、検出状態から非検出状態(第1状態)に変化する第1検出部71として機能する。本実施形態では、昇降ユニット11が使用位置から不使用位置に向けて反転した直後に、検出面74aが縦板部312bから離反し、センサ74が非検出状態に変化するようになっている。
【0083】
センサ74は、昇降ユニット11が使用位置に反転することで、非検出状態から検出状態(第2状態)に変化する第2検出部72として機能する。したがって、本実施形態では、第1検出部71及び第2検出部72として、単一のセンサ74が用いられている。
【0084】
図14は、本実施形態の荷受台昇降装置10の制御構成を示すブロック図である。
図14において、制御部80は、センサ74が検出状態に変化すると、つまりセンサ74から検出信号が入力されると、駆動手段22の駆動を許容する。制御部80は、センサ74が非検出状態に変化すると、つまりセンサ74から検出信号が入力されなくなると、コントロールスイッチ27から入力される操作信号の有無に関わらず、駆動手段22の駆動を規制する。本実施形態の他の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
第2実施形態の荷受台昇降装置10によれば、昇降ユニット11が不使用位置に反転してセンサ74(第1検出部71)が非検出状態(第1状態)に変化すると、制御部80は駆動手段22の駆動を規制する。これにより、昇降ユニット11が不使用位置にあるときに、荷受台16が昇降するのを効果的に抑制することができる。
【0086】
また、昇降ユニット11が使用位置に反転してセンサ74(第2検出部72)が検出状態(第2状態)に変化すると、制御部80は駆動手段22の駆動を許容する。これにより、昇降ユニット11を不使用位置から使用位置まで反転させると、荷受台16は自動的に昇降可能な状態となるので、荷物の積み降ろし作業を迅速に行うことができる。
【0087】
また、昇降ユニット11が使用位置に反転し、昇降支柱12側の当接板29が反転支持部31(縦板部312b)に当接した状態で、センサ74が検出状態に変化して駆動手段22の駆動が許容される。これにより、昇降支柱12が安定した状態で荷受台16を昇降させることができるので、荷受台16の昇降中に昇降支柱12が水平軸線C回りに揺れ動くのを抑制することができる。
【0088】
また、第1検出部71及び第2検出部72が単一のセンサ74で構成されるので、荷受台昇降装置10の構成を簡素化することができる。
【0089】
また、昇降ユニット11が使用位置から不使用位置に向けて反転した直後に、センサ74が非検出状態に変化することで、制御部80が駆動手段22の駆動を規制する。これにより、昇降ユニット11が使用位置以外の位置(反転途中の位置も含む)にあるときに、荷受台16が昇降するのを効果的に抑制することができる。
【0090】
[第3実施形態]
図15は、第3実施形態に係る荷受台昇降装置10の
図5に対応する図である。本実施形態の荷受台昇降装置10は、第2実施形態の変形例であり、センサ74の取付位置が第2実施形態と異なる。
図15において、本実施形態のセンサ74は、右側の反転支持部31(
図4も参照)における左右方向外側の支持板313において、従動スプロケット35の直下に設けられている。センサ74は、検出面74aを上向きにして配置されている。
【0091】
従動スプロケット35における左右方向外側の側面の外周側には、ドグ41が固定されている。ドグ41は、例えばブロック状に形成され、従動スプロケット35と共に水平軸線C回りに回転する。ドグ41は、
図15に示すように昇降ユニット11が不使用位置にあるとき、略12時の回転位置に配置されている。
【0092】
図15に示す状態から、従動スプロケット35が水平軸線C回りに回転し、昇降ユニット11が使用位置まで反転すると(
図3参照)、ドグ41は、略6時の回転位置まで回転し、センサ74の検出面74aに近接して対向する。センサ74は、検出面74aにドグ41が近接することで、非検出状態から検出状態に変化し、検出面74aからドグ41が離反することで、検出状態から非検出状態に変化するようになっている。
【0093】
センサ74は、昇降ユニット11が不使用位置に反転することで、検出状態から非検出状態(第1状態)に変化する第1検出部71として機能する。本実施形態では、昇降ユニット11が使用位置から不使用位置に向けて反転した直後に、検出面74aからドグ41が離反し、センサ74が非検出状態に変化するようになっている。
【0094】
センサ74は、昇降ユニット11が使用位置に反転することで、非検出状態から検出状態(第2状態)に変化する第2検出部72として機能する。したがって、本実施形態においても、第1検出部71及び第2検出部72として、単一のセンサ74が用いられている。
【0095】
本実施形態の他の構成は、第2実施形態と同様であるため、同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態の荷受台昇降装置10においても、第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0096】
[その他]
上記実施形態の荷受台昇降装置10は、荷台2の後方から荷物を積み降ろせるように荷台2の後部に設けられているが、荷台2の側方から荷物を積み降ろせるように荷台2の左側部又は右側部に設けられていてもよい。荷受台16は、メインプレート16aの裏面側にサブプレート16bが折り畳まれるように構成されているが、メインプレート16aの表面(荷受面16c)側にサブプレート16bが折り畳まれるように構成されていてもよい。
【0097】
不使用位置における昇降ユニット11は、荷台2上に配置されているが、荷台2の床面2aの高さよりも上方に配置されていれば、荷台2よりも後方に配置されていてもよい。すなわち、反転機構30は、昇降ユニット11を、荷台2の後方に張り出したまま、使用位置と不使用位置との間で移動させるよう構成されていてもよい。また、反転機構30の反転駆動部34は、本実施形態に限定されるものではない。例えば反転駆動部34は、反転軸314を回転駆動させる電動モータ等のアクチュエータを備えていてもよい。
【0098】
反転機構30は、一対の昇降支柱12を支持しつつ昇降ユニット11を反転させているが、一対の昇降支柱12の一方又は両方を支持せずに昇降ユニット11を反転させてもよい。同様に、旋回機構50は、一対の昇降支柱12を支持しつつ昇降ユニット11を旋回させているが、一対の昇降支柱12の一方又は両方を支持せずに昇降ユニット11を旋回させてもよい。
【0099】
旋回機構50は、昇降ユニット11を水平旋回させる旋回機構に限定されるものではない。例えば、旋回機構50は、不使用位置にある昇降ユニット11を、荷台2上の前方へスライドさせてから、昇降ユニット11の左右方向の中央部に設けた鉛直軸線回りに昇降ユニット11を90°回転させてもよい。また、荷受台昇降装置10は、旋回機構50を備えていなくてもよい。
【0100】
検出手段70は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第1検出部71は、昇降ユニット11が不使用位置に反転することで、非検出状態に変化しているが、検出状態に変化してもよい。また、第2検出部72は、昇降ユニット11が使用位置に反転することで、検出状態に変化しているが、非検出状態に変化してもよい。さらに、第1検出部71及び第2検出部72は、単一のセンサ73(又は74)で構成されているが、別々のセンサで構成されていてもよい。
【0101】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0102】
1 車両
2 荷台
2a 床面
10 荷受台昇降装置
11 昇降ユニット
12 昇降支柱
16 荷受台
22 駆動手段
30 反転機構
60 揺動部
62 ドグ
63 セーフティバー
70 検出手段
71 第1検出部
72 第2検出部
73 センサ
74 センサ
80 制御部
C 水平軸線