(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079941
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】ボールペン
(51)【国際特許分類】
B43K 7/00 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
B43K7/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192652
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】597079289
【氏名又は名称】宮脇 茂夫
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】宮脇 茂夫
【テーマコード(参考)】
2C350
【Fターム(参考)】
2C350GA03
2C350KC05
2C350KC08
2C350KF03
(57)【要約】
【課題】容易に所望するリフィルに交換する。
【解決手段】
本発明に係るボールペン1は、リフィル2のボールペンチップ3を保持可能に形成されるペン先4と、ペン先4が先端部に設けられ、内部にリフィル2を収容可能なボディ5と、ボディ5の後端部に設けられるペン尻6と、ボディ5の内部に収容されたリフィル2の後端に当接可能に設けられるリフィル止め7と、ボディ5の内部においてリフィル止め7とペン尻6との間に介装される圧縮コイルバネ8と、を備え、ペン先4とペン尻6の少なくともいずれか一方がボディ5に着脱可能に設けられており、リフィル2は、ボディ5の内部において、圧縮コイルバネ8の反発力により、リフィル2のボールペンチップ3がペン先4の先端から外部に突出した状態で固定されることを特徴とする。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフィルを交換可能なボールペンであって、
前記リフィルのボールペンチップを保持可能に形成されるペン先と、
前記ペン先が先端部に設けられ、内部に前記リフィルを収容可能なボディと、
前記ボディの後端部に設けられるペン尻と、
前記ボディの内部に収容された前記リフィルの後端に当接可能に設けられるリフィル止めと、
前記ボディの内部において前記リフィル止めと前記ペン尻との間に介装される圧縮コイルバネと、
を備え、前記ペン先と前記ペン尻の少なくともいずれか一方が前記ボディに着脱可能に設けられており、前記リフィルは、前記ボディの内部において、前記圧縮コイルバネの反発力により、前記リフィルのボールペンチップが前記ペン先の先端から外部に突出した状態で固定されることを特徴とするボールペン。
【請求項2】
前記圧縮コイルバネは、複数設けられ、重なり合った状態で連結されている請求項1に記載のボールペン。
【請求項3】
前記圧縮コイルバネは、前記リフィル止め側と前記ペン尻側がクローズドエンドで形成され、他の圧縮コイルバネとの連結側がオープンエンドで形成されている請求項2に記載のボールペン。
【請求項4】
前記リフィル止めは、前記リフィルの後端に当接する側が臼状に形成されている請求項1~3のいずれかに記載のボールペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リフィルを交換可能なボールペンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボールペンには、ボディにリフィル(替え芯)が挿入され、インクがなくなるとリフィルを交換する構造のものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した従来のボールペンでは、メーカーによってリフィルの太さや長さ、リフィルのチップのサイズなどが異なると共に、ボディの太さや長さも異なることから、好みのボールペンに様々なリフィルを使用することが難しいという問題がある。
【0005】
また、ボディに合ったリフィルを購入しようとしても、リフィルに多数の種類があるため、該当するリフィルを探すことが面倒である。
【0006】
さらに、小さな小売店では交換したいリフィルを売っていないため、品揃えの多い大型店舗でないと交換したいリフィルを手に入れることができないといった問題もある。
【0007】
さらにまた、従来のボールペンで筆記する際、人によっては、リフィルのチップ(先端部)を必要以上に用紙に押し付けたりして指や手に負荷を掛け過ぎることにより、ペンダコができたりすることもある。
【0008】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、容易に所望するリフィルに交換することができ、筆圧を抑制するトレーニングとしても使用することのできるボールペンを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成するため、本発明は、リフィルを交換可能なボールペンであって、前記リフィルのボールペンチップを保持可能に形成されるペン先と、前記ペン先が先端部に設けられ、内部に前記リフィルを収容可能なボディと、前記ボディの後端部に設けられるペン尻と、前記ボディの内部に収容された前記リフィルの後端に当接可能に設けられるリフィル止めと、前記ボディの内部において前記リフィル止めと前記ペン尻との間に介装される圧縮コイルバネと、を備え、前記ペン先と前記ペン尻の少なくともいずれか一方が前記ボディに着脱可能に設けられており、前記リフィルは、前記ボディの内部において、前記圧縮コイルバネの反発力により、前記リフィルのボールペンチップが前記ペン先の先端から外部に突出した状態で固定されることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るボールペンにおいて、前記圧縮コイルバネは、複数設けられ、重なり合った状態で連結されているのが好ましい。
【0011】
本発明に係るボールペンにおいて、前記圧縮コイルバネは、前記リフィル止め側と前記ペン尻側がクローズドエンドで形成され、他の圧縮コイルバネとの連結側がオープンエンドで形成されているのが好ましい。
【0012】
本発明に係るボールペンにおいて、前記リフィル止めは、前記リフィルの後端に当接する側が臼状に形成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、容易に所望するリフィルに交換することができ、筆圧を抑制するトレーニングとしても使用することができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施の形態に係るボールペンを示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るボールペンを示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るボールペンの部品を分解して示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るボールペンの部品を分解して示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係るボールペンの部品を分解して示す断面図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係るボールペンを示す断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係るボールペンを示す断面図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係るボールペンの部品を拡大して示す断面図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係るボールペンの圧縮コイルバネを示す側面図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係るボールペンの圧縮コイルバネを示す側面図である。
【
図11】本発明の実施の形態に係るボールペンの圧縮コイルバネを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1~
図11を参照しつつ、本発明の実施の形態に係るボールペンについて説明する。
【0016】
本発明の実施の形態に係るボールペン1は、リフィル2を交換可能なボールペンであって、リフィル2のボールペンチップ3を保持可能に形成されるペン先4と、ペン先4が先端部に設けられて内部にリフィル2を収容可能なボディ5と、ボディ5の後端部に設けられるペン尻6と、ボディ5の内部に収容されたリフィル2の後端に当接可能に設けられるリフィル止め7と、ボディ5の内部においてリフィル止め7とペン尻6との間に介装される圧縮コイルバネ8と、ボールペンチップ3の先端とペン先4とボディ5の先端部分を覆うように着脱可能に形成されるクリップ付きキャップ9と、を備えて構成されている。
【0017】
リフィル2は、
図4に良く示されているように、インクを収容する長軸円筒状の10と、インク収容管10より細径で該インク収容管10の先端に装着される円筒状の継手11と、継手11より細径で該継手11の先端に装着されるボールペンチップ3と、を備えて構成されている。
【0018】
ペン先4は、
図3及び
図5に良く示されているように、先細テーパー形状の円錐部分12と、円錐部分12の後端側に形成される円筒部分13と、を備えている。円錐部分12の先端にはボールペンチップ3が挿通可能な細孔14が形成され、円錐部分12の内面には細孔14の後端に段差部15が形成されている。
【0019】
ボールペンチップ3の直径は、油性、水性、ゲルインキのボールペンについてそれぞれJIS規格によって定められているが、太くても2.5mm程度であるため、ペン先4の細孔14の直径は、2.8~3.1mm程度に設定されるのが好ましい。
【0020】
また、段差部15の内径は、リフィル2の継手11の先端部が段差部15に当接可能なように、リフィル2の継手11の先端部の直径より小さく形成されている。これにより、ボールペンチップ3の先端がペン先4の先端部から程良い長さで突出し、必要以上に突出しないようになっている。また、円筒部分13の外面には雄螺子部16が形成されている。
【0021】
ボディ5は、
図5に良く示されているように、長軸円筒状を成しており、ボディ5の先端及び後端の内面にはそれぞれ雌螺子部17,18が形成されている。先端の雌螺子部17は、ペン先4の円筒部分13の雄螺子部16が螺合可能に形成されており、これにより、ペン先4は、ボディ5の先端に着脱可能に設けられている。
【0022】
ペン尻6は、ボディ5の後端の雌螺子部18に螺合可能な雄螺子部19を備えており、これにより、ペン尻6は、ボディ5の後端に着脱可能に設けられている。また、雄螺子部19の後端側には、蓋部20が形成されており、蓋部20は、ボディ5と同径の円柱形状を有しており、蓋部20の先端外周部21はボディ5の後端に当接可能に形成されている。
【0023】
リフィル止め7は、
図4及び
図8に良く示されているように、リフィル2のインク収容管10の後端に当接可能な当接部22と、当接部22から後端側に延出するバネ支持部23と、を備えて構成されている。当接部22は、円柱状の外形を有し、その先端面24が臼状に凹んで形成されている。また、バネ支持部23は、当接部22より細径の円柱状の外形を有しており、当接部22の後端外周部に段差部25が形成されている。
【0024】
図9及び
図10に良く示されているように、圧縮コイルバネ8は、先端側の圧縮コイルバネ8aと後端側の圧縮コイルバネ8bの2個の圧縮コイルバネ8a,8bにより構成されている。先端側の圧縮コイルバネ8aの後端側部分と後端側の圧縮コイルバネ8bの先端側部分とは重なり合った状態で連結され、バネ支持部23に支持されている。なお、2個の圧縮コイルバネ8a,8bの自由長さは、同一でも異なっていても良い。
【0025】
先端側の圧縮コイルバネ8aは、先端側がクローズドエンドで形成され、後端側がオープンエンド形成されている。一方、後端側の圧縮コイルバネ8bは、先端側がオープンエンドで形成され、後端側がクローズドエンドで形成されている。このように、先端側の圧縮コイルバネ8aと後端側の圧縮コイルバネ8bの連結側がいずれもオープンエンドで形成されることにより、先端側と後端側の両方の圧縮コイルバネ8a,8bを連結させたり、連結された圧縮コイルバネ8a,8bの長さを調整したりする作業を容易且つ円滑に行うことができる。
【0026】
なお、上記した本発明の実施の形態では、圧縮コイルバネ8は、リフィル止め7側とペン尻6側がクローズドエンドで形成され、他の圧縮コイルバネとの連結側がオープンエンドで形成されているが、圧縮コイルバネ8a,8bのそれぞれの両端部がいずれもオープンエンドで形成されていても良い。
【0027】
また、上記したように圧縮コイルバネ8は2個の圧縮コイルバネ8a,8bで構成されることが好ましいが、1個又は3個以上の圧縮コイルバネにより構成されても良い。例えば、
図11に示されているように、圧縮コイルバネ8が3個の圧縮コイルバネ8a,8b,8cによって構成される場合、先端側の圧縮コイルバネ8aの後端側と中央の圧縮コイルバネ8bの先端側の少なくともいずれか一方がオープンエンド形成され、後端側の圧縮コイルバネ8cの先端側と中央の圧縮コイルバネ8bの後端側の少なくともいずれか一方がオープンエンド形成されるのが好ましい。
【0028】
また、ボディ5の内面と圧縮コイルバネ8a,8bとの隙間は、0.2mm~0.5mm程度とすることが好ましい。このように隙間の寸法を設定することで、2個の圧縮コイルバネ8a,8bが重なり合った状態で伸縮する際にズレたりすることがなく、円滑に所定の機能を発揮することができる。
【0029】
上記した構成を備えたボールペン1において、リフィル2を交換する場合、例えばペン尻6を回転させてボディ5の後端から取り外し、ボディ5の内部から、2個の圧縮コイルバネ8a,8b、リフィル止め7、及び使用済みのリフィル2をそれぞれ取り出す。
【0030】
そして、例えば、取り出した使用済みのリフィル2より長さの短いリフィル2に交換する場合には、
図7に示すように、2個の圧縮コイルバネ8a,8bの全長が伸びる方向に2個の圧縮コイルバネ8a,8bを回転させる一方、取り出した使用済みのリフィル2より長さの長いリフィル2に交換する場合には、それとは反対に、
図6に示すように、2個の圧縮コイルバネ8a,8bの全長が縮む方向に2個の圧縮コイルバネ8a,8bを回転させて、圧縮コイルバネ8a,8bの全長を所定長さに調整する。
【0031】
その後、所定長さに調整された圧縮コイルバネ8a,8bをリフィル止め7のバネ支持部23に挿入して支持させた状態で、リフィル2、リフィル止め7、及び圧縮コイルバネ8a,8bをボディ5の後端側から内部に収容させた後、ペン尻6を回転させてボディ5の後端に装着する。この時、リフィル止め7は、先端面24が臼状に凹んで形成されているため、リフィル2の太さに関わらず、リフィル2を芯合わせさせた状態でボディ5の内部に確実に収容させることができる。また、当接部22の後端外周部の段差部25に圧縮コイルバネ8の先端が当接するため、圧縮コイルバネ8は所定の反発力を確実に発揮させることができる。
【0032】
このように所望のリフィル2に交換すると、リフィル2は、圧縮コイルバネ8a,8bの反発力により、ボールペンチップ3がペン先4の先端の細孔14から外部に突出した状態で固定され、筆記具として所定の機能を発揮することができる。
【0033】
上記した本発明の実施の形態に係るボールペン1によれば、2個の圧縮コイルバネ8a,8bの反発力により、リフィル2のボールペンチップ3がペン先4から突出して文字が書けるようになっているため、リフィル2の長さに応じて圧縮コイルバネ8の全長を調整することで、リフィル2に加える圧力を強くしたり弱くしたりすることができる。
【0034】
すなわち、2個の圧縮コイルバネ8a,8bを回転させて圧縮コイルバネ8の全長を長くすることにより、リフィル2に作用する圧力を強く設定することができるため、例え筆圧が強い場合であっても、文字を書く際にリフィル2のボールペンチップ3がペン先4からボディ5内に入り込むことがなく、ボールペン1が筆記具としての機能を損なうことはない。
【0035】
また、ボールペン1のユーザが筆圧を過度に掛け過ぎないように、2個の圧縮コイルバネ8a,8bを回転させて、全長を調整することができるため、ユーザが文字を書く際に筆圧により生じる指や手の疲れを軽減させる効果を見込むことができる。
【0036】
さらに、筆圧が弱くても文字が書けることをユーザに習得させることで、筆圧が強かったクセを抑制する効果を見込むこともでき、文字を筆記する際の筆圧を抑制するトレーニングとしても使用することができる。
【0037】
また、本発明の実施の形態に係るボールペン1によれば、複数の圧縮コイルバネを使用するだけで、様々なメーカーのリフィル2を容易に交換することができる。なお、本発明の実施の形態に係るボールペン1は、リフィル2の長さだけでなく、太さやボールペンチップ3のサイズなどの異なるリフィル2を交換することも可能である。
【0038】
なお、上記した実施の形態に係るボールペン1では、ペン先4とペン尻6の両方がボディ5に対して着脱可能に形成されているが、ペン先4とペン尻6の少なくともいずれか一方がボディ5に着脱可能に設けられていれば、他方はボディ5と一体に形成されていても良い。
【0039】
また、上記した本発明の実施の形態の説明は、本発明に係るボールペンにおける好適な実施の形態を説明しているため、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限り、これらの態様に限定されるものではない。すなわち、上記した本発明の実施の形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、かつ、他の既存の構成要素との組合せを含む様々なバリエーションが可能であり、上記した本発明の実施の形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0040】
1 ボールペン
2 リフィル
3 ボールペンチップ
4 ペン先
5 ボディ
6 ペン尻
7 リフィル止め
8 圧縮コイルバネ