(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079961
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】寿命診断装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20240606BHJP
G01R 31/327 20060101ALI20240606BHJP
H01H 50/08 20060101ALI20240606BHJP
H01H 1/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
G01R31/00
G01R31/327
H01H50/08 K
H01H1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192699
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】益子 拓樹
【テーマコード(参考)】
2G036
【Fターム(参考)】
2G036AA14
2G036AA19
2G036AA24
2G036BA04
2G036CA08
(57)【要約】
【課題】寿命診断装置において、安価かつ容易に接点の寿命を診断する。
【解決手段】第1の固定接触子と第1の可動接触子を有する電磁接触器に取り付け可能に構成され電磁接触器の寿命を診断する寿命診断装置であって、第1の可動接触子と連動して動作する第2の可動接触子を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の固定接触子と第1の可動接触子を有する電磁接触器に取り付け可能に構成され前記電磁接触器の寿命を診断する寿命診断装置であって、
第2の固定接触子と、
前記第1の可動接触子と連動して動作する第2の可動接触子と、を有し、
前記寿命診断装置は、
前記電磁接触器の寿命を診断する際に前記電磁接触器に取り付けられ、前記第1の固定接触子と前記第1の可動接触子との間の第1の接触状態及び前記第2の固定接触子と前記第2の可動接触子との間の第2の接触状態に応じて前記電磁接触器の寿命を診断することを特徴とする寿命診断装置。
【請求項2】
前記電磁接触器は、
第1の可動絶縁台と上部絶縁台を有し、
前記第1の可動接触子は、前記第1の可動絶縁台により支持され、
前記第1の固定接触子は、前記上部絶縁台により支持されており、
前記寿命診断装置は、
第2の可動絶縁台を有し、
前記第2の可動接触子は、前記第2の可動絶縁台により支持され、
前記第1の可動絶縁台と前記第2の可動絶縁台が連結されて連動して動くことにより、前記第1の可動接触子と前記第2の可動接触子とが連動して動作することを特徴とする請求項1に記載の寿命診断装置。
【請求項3】
前記電磁接触器の寿命を診断する際に、前記第2の可動絶縁台の上部を下方向に押し込むことにより前記第1の可動絶縁台と前記第2の可動絶縁台が連動して下方向に動作し、
前記第1の可動絶縁台と前記第2の可動絶縁台が連動して下方向に動作することにより、前記第1の可動接触子と前記第2の可動接触子も連動して下方向に動作することを特徴とする請求項2に記載の寿命診断装置。
【請求項4】
前記第2の可動接触子と前記第2の固定接触子の隔離距離は、
前記第1の可動接触子と前記第2の固定接触子が限界まで消耗した際の前記第1の可動接触子と前記第1の固定接触子の隔離距離に設定されることを特徴とする請求項1に記載の寿命診断装置。
【請求項5】
前記第2可動接触子と前記第2の固定接触子の隔離距離は、
前記電磁接触器の機種に応じて可変に設定されることを特徴とする請求項1に記載の寿命診断装置。
【請求項6】
前記寿命診断装置は、
前記第1可動接触子と前記第1の固定接触子が接触した際に点灯する第1の第1の点灯装置と、
前記第2の可動接触子と前記第2の固定接触子が接触した際に点灯する第2の点灯装置と、を更に有し、
前記第1の点灯装置と前記第2の点灯装置の点灯タイミングに応じて、前記第1の接触状態と前記第2の接触状態を判定して前記電磁接触器の寿命を診断することを特徴とする請求項1に記載の寿命診断装置。
【請求項7】
前記第1の点灯装置と前記第1の点灯装置は、発光色がそれぞれ異なるLEDで構成されることを特徴とする請求項6に記載の寿命診断装置。
【請求項8】
前記寿命診断装置は、
前記電磁接触器に設けられた永久磁石を介して、前記第1の可動接触子と前記第1の固定接触子に電気的に接続されることを特徴とする請求項6に記載の寿命診断装置。
【請求項9】
前記第2の固定接触子と前記第2の可動接触子は、ケースに収容され、
前記電磁接触器の寿命を診断する際に、前記ケースを前記電磁接触器にワンタッチで取付可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の寿命診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寿命診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基準接点を備えた接点寿命検出装置が特許文献1に記載されている。特許文献1には「電源と負荷との間に挿入されて負荷を開閉するとともに、閉成状態から開成状態への移行時に発生するアークにより消耗する監視されるべき接点と連動しかつその接点と同時に閉成するように設定された基準接点を設け、監視すべき接点の消耗によりその接点の閉成時点が遅れることによってその接点と基準接点との閉成時間差が生じ、この閉成時間差により接点の消耗量を検出するようにし、この閉成時間差を電気的に求めるようにしたから接点消耗の状況を低コストで正確に検出でき、接点の寿命予告または寿命の限界値の表示、または警報をすることができ、さらに残量を表示することも可能である。また遠方からの監視もでき保守,点検上の効果は大きい。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、基準接点と監視されるべき接点の閉成時間差を検出する。このため、接点の寿命を検出するためのシステムが複雑化しており、コスト面や測定の煩雑さに問題があった。
【0005】
本発明の目的は、寿命診断装置において、安価かつ容易に接点の寿命を診断することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の寿命診断装置は、第1の固定接触子と第1の可動接触子を有する電磁接触器に取り付け可能に構成され前記電磁接触器の寿命を診断する寿命診断装置であって、第2の固定接触子と、前記第1の可動接触子と連動して動作する第2の可動接触子とを有し、前記寿命診断装置は、前記電磁接触器の寿命を診断する際に前記電磁接触器に取り付けられ、前記第1の固定接触子と前記第1の可動接触子との間の第1の接触状態及び前記第2の固定接触子と前記第2の可動接触子との間の第2の接触状態に応じて前記電磁接触器の寿命を診断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、寿命診断装置において、安価かつ容易に接点の寿命を診断できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施例の寿命診装ユニット(寿命診装装置)を電磁接触器に取り付けた状態を示す概略断面図である。
【
図2】電磁接触器100が新品状態での接点の接触時の概略図である。
【
図3】電磁接触器100の接点が消耗した状態での接点の接触時の概略図である。
【
図4】寿命診断ユニット200の内部回路図である。
【
図5】
図2の電磁接触器100の新品状態と
図3の電磁接触器100の消耗状態との間の状態における接点の接触時の概略図である。
【
図6】LEDの点灯パターンに応じた寿命診断結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて実施例について説明する。
【実施例0010】
【0011】
図1は寿命診断ユニット(寿命診装装置)200を電磁接触器100に取り付けた状態を示す概略断面図である。
【0012】
寿命診断ユニット200は、電磁接触器100の通常使用時には取り付けないで、定期点検の際に電磁接触器100に取り付けられる。そして、以下に示すように、手動操作で測定を実施する。
【0013】
電磁接触器100は、電磁石コイル40のボビンが嵌挿された固定コア61と、電磁石コイル40の励磁による駆動時に固定コア61に積極し、励磁解除による非駆動時に開極するよう対向配置された可動コア60とを有する。
【0014】
電磁接触器100は、固定接触子51との間で接触圧を確保する接点ばね70を介して可動接触子50を支持する可動絶縁台20と、固定接触子51を支持する上部絶縁台10とを有している。
【0015】
寿命診断ユニット200は、固定接触子51Aとの間で接触圧を確保する接点ばね70Aを介して可動接触子50Aを支持する可動絶縁台20Aと、各部材を収容するケース10Aを有している。
【0016】
寿命診断ユニット200のケース10Aと電磁接触器100の上部絶縁台10の突起部を係合させることにより、ワンタッチにて寿命診断ユニット200を取付可能な構成となっている。この際、寿命診断ユニット200の可動絶縁台20Aと電磁接触器100の可動絶縁台20が連結され可動部が連動して動くことにより、可動接触子50と可動接触子50Aが連動して動作し同一のストロークとなる。
【0017】
可動絶縁台20Aの上部の突起部を手動で下方向に押し込むと、可動絶縁台20、20Aおよび可動接触子50、50Aも連動して下方向に動作し、固定接触子51、51Aに可動接触子50、50Aが接触する。
【0018】
被測定対象である可動接触子50と固定接触子51の隔離距離は基準となる可動接触子50Aと固定接触子51Aの隔離距離より小さく設定する。
【0019】
図2は電磁接触器100が新品状態での接点の接触時の概略図である。
【0020】
被測定対象である可動接触子50と固定接触子51の隔離距離が基準となる可動接触子50Aと固定接触子51Aの隔離距離より小さい。このため、電磁接触器100の接点が接触開始する位置では、寿命診断ユニット200の接点は接触しない。
【0021】
具体的には、電磁接触器100の固定接触子51と可動接触子50は接点接触開始状態にある。一方、寿命診断ユニット200の固定接触子51Aと可動接触子50Aにおいては、接点は接触せず接点接触開始状態ではない。
【0022】
図3は電磁接触器100の接点が消耗した状態での接点の接触時の概略図である。
【0023】
接点の消耗により被測定対象である可動接触子50と固定接触子51の隔離距離が基準となる可動接触子50Aと固定接触子51Aの隔離距離より大きくなっており、寿命診断ユニット200の接点が先に接触を開始する。
【0024】
具体的には、寿命診断ユニット200の固定接触子51Aと可動接触子50Aは接点接触開始状態にある。一方、電磁接触器100の固定接触子51と可動接触子50においては、接点は接触せず接点接触開始状態ではない。
【0025】
図5は、
図2の電磁接触器100の新品状態と
図3の電磁接触器100の消耗状態との間の状態における接点の接触時の概略図である。
【0026】
寿命診断ユニット200の固定接触子51Aと可動接触子50Aは接点接触開始状態にある。また、電磁接触器100の固定接触子51と可動接触子50も接点接触開始状態にある。
【0027】
図2、
図3、
図5に示すように、被測定対象の接点の消耗により、各々の接点の接触するタイミングが変化することにより、接点の消耗度合を判断することが可能である。
【0028】
この際、可動接触子50Aと固定接触子51Aの隔離距離を被測定対象の接点が限界まで消耗した際の可動接触子50と固定接触子51の隔離距離に設定することにより、接点の寿命か否かの判断を容易に行える。
【0029】
また、被測定対象の接点の隔離距離は電磁接触器100の機種により異なる。このため、寿命診断ユニット200の可動接触子50Aと固定接触子51Aの隔離距離を可変な構成にすることより、1台のユニットで複数の機種の寿命診断を行うことができる。
【0030】
図4は、寿命診断ユニット200の内部回路の一例である。
【0031】
寿命診断ユニット200は基準となる可動接触子50Aと固定接触子51Aが接触した際に点灯するLED(赤)91Aと、被測定対象(電磁接触器100)の可動接触子50と固定接触子51が接触した際に点灯するLED(緑)90Aを備えている。
【0032】
図6に示すように、LED点灯のタイミングにより寿命か否かを容易に判断可能である。また、LED(緑)90AとLED(赤)91Aの点灯のタイミングがどの程度ズレがあるかにより、寿命までの余裕の推測も可能である。
【0033】
図1に示すように、寿命診断ユニット200と被測定対象(電磁接触器100)の可動接触子50と固定接触子51の電気的な接続においては、寿命診断ユニット200から引き延ばした電線の先端に永久磁石300を設置する。そして、永久磁石300を被測定対象の端子ねじ80に接続することで容易に電気的に接続できる。一般的な三相分接点を持つ電磁接触器の全相の接点を診断する際にも、付け替えが容易であり作業の短縮化が図れる。
【0034】
上記実施例によれば、安価かつ容易に電磁接触器100の接点の寿命を診断することにある。一般的には、接点の健全性を確認する手法としては、電磁接触器100のカバーを開けて接点の状況を目視確認する手段が主流である。しかし、確認者の主観により良否の判断が異なりやすい。また、接点を目視確認できない機種に対しては、本発明による接点の寿命の診断方法は特に有効である。