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特開2024-7998ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物、並びにATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物を含有する製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007998
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物、並びにATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物を含有する製品
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20240112BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 1/08 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 27/16 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 1/14 20060101ALI20240112BHJP
   A61P 3/02 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20240112BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240112BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240112BHJP
   C12G 3/05 20190101ALI20240112BHJP
   A23K 10/16 20160101ALI20240112BHJP
   A23K 20/163 20160101ALI20240112BHJP
   A23K 20/22 20160101ALI20240112BHJP
   A23K 20/26 20160101ALI20240112BHJP
   A23K 20/147 20160101ALI20240112BHJP
   A23K 10/14 20160101ALI20240112BHJP
   A23K 10/30 20160101ALI20240112BHJP
   A23K 20/153 20160101ALI20240112BHJP
   A23K 10/28 20160101ALI20240112BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K33/00
A61P1/08
A61P9/00
A61P27/16
A61P1/14
A61P3/02
A61K8/02
A61K8/19
A23L2/52
A23L2/00 F
C12G3/05
A23K10/16
A23K20/163
A23K20/22
A23K20/26
A23K20/147
A23K10/14
A23K10/30
A23K20/153
A23K10/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109467
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】弁理士法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 大祐
(72)【発明者】
【氏名】堀内 一輝
【テーマコード(参考)】
2B150
4B018
4B115
4B117
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
2B150AA06
2B150AB20
2B150AC24
2B150BB04
2B150CC14
2B150CE07
2B150DA41
2B150DC13
2B150DC23
2B150DH02
2B150DH03
4B018LE06
4B018MD10
4B018MD18
4B018MD94
4B018ME14
4B018MF14
4B115LH11
4B115LH12
4B117LC04
4B117LK08
4B117LK30
4B117LP20
4C083CC41
4C083DD23
4C083DD25
4C083FF01
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA13
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA12
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA52
4C086MA57
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA63
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA14
4C086ZA34
4C086ZA36
4C086ZA69
4C086ZA83
4C086ZC22
4C086ZC61
(57)【要約】
【課題】新たなATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物を提供する。
【解決手段】ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物は、濃度1×10個/mL以上のウルトラファインバブルを有効成分として含有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濃度1×10個/mL以上のウルトラファインバブルを有効成分として含有する、ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物。
【請求項2】
酵母エキス、グルコース、塩化ナトリウム、リン酸2カリウム、ペプトン、カゼイン-スイ消化ペプトン、及び大豆-パパイン消化ペプトンからなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1に記載のATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物。
【請求項3】
含浸、注射、透析、点眼、点耳、注腸、飲用、含漱(うがい)、口腔粘膜用、皮膚外用、経鼻吸収、及び吸入からなる群より選択される投与形態である、請求項1又は請求項2に記載のATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物。
【請求項4】
血流、内耳障害、めまい、耳鳴り、難聴、耳閉感、むくみ、消化器の運動、消化器の粘膜分泌、及び疲労の群から選択されるATPの産生に関連する疾患、症状、又は機能を治療、予防、又は改善するために用いられる、請求項1又は請求項2に記載のATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物を含有する製品であって、食品、健康食品、飲料、酒類、飼料、餌料、ペットフード、養殖水、植物育成水、培養液、化粧品、医薬品、及び医薬部外品からなる群より選択される、ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物を含有する製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物、並びにATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物を含有する製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、わかめ由来のペプチドを有効成分とするAMPK活性促進用組成物が開示されている。AMPK(AMP-activated protein kinase)は、生体に広く存在するタンパク質であり、細胞のエネルギー代謝の調節因子として重要な役割を担っている。細胞内のATPレベルが低下する状況化でAMPKの活性が上昇することによりATPの合成が促され、エネルギー消費が促進されることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-188404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、細胞内のATP産生を促進する物質は各種存在するが、作用後に分子が意図しない化学反応を起こし、副作用を生じることが懸念される。また、解糖系、クエン酸回路などの反応効率を向上させる手法として、例えば、アミノ酸や糖類や酵素の活用などが知られているが、いずれも高価な素材を必要とするという課題がある。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、新たなATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物を提供することを目的とする。本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物は、濃度1×10個/mL以上のウルトラファインバブルを有効成分として含有する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、新たなATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、ATPの産生が促進される推測メカニズムを説明する図である。
図2図2は、試験1におけるUFB濃度と総アデニレート量との関係を示すグラフである。
図3図3は、試験2におけるUFB濃度と総アデニレート量との関係を示すグラフである。
図4図4は、試験3における培養時間と総アデニレート量との関係を示すグラフである。
図5図5は、試験3におけるUFB濃度と総アデニレート増加速度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここで、本開示の望ましい例を示す。
・ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物は、酵母エキス、グルコース、塩化ナトリウム、リン酸2カリウム、ペプトン、カゼイン-スイ消化ペプトン、及び大豆-パパイン消化ペプトンからなる群より選択される少なくとも1種を含有するとよい。
・ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物は、含浸、注射、透析、点眼、点耳、注腸、飲用、含漱(うがい)、口腔粘膜用、皮膚外用、経鼻吸収、及び吸入からなる群より選択される投与形態であるとよい。
・ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物は、血流、内耳障害、めまい、耳鳴り、難聴、耳閉感、むくみ、消化器の運動、消化器の粘膜分泌、及び疲労の群から選択されるATPの産生に関連する疾患、症状、又は機能を治療、予防、又は改善するために用いられるとよい。
・ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物を含有する製品は、上記のATP、ADP、及びAMPの産生促進用組成物を含有する製品であって、食品、健康食品、飲料、酒類、飼料、餌料、ペットフード、養殖水、植物育成水、培養液、化粧品、医薬品、及び医薬部外品からなる群より選択されることが好ましい。
【0010】
以下、本開示を詳しく説明する。なお、本明細書において、数値範囲について「-」を用いた記載では、特に断りがない限り、下限値及び上限値を含むものとする。例えば、「10-20」という記載では、下限値である「10」、上限値である「20」のいずれも含むものとする。すなわち、「10-20」は、「10以上20以下」と同じ意味である。
【0011】
1.ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物
ATP(アデノシン三リン酸)、ADP(アデノシン二リン酸)、及びAMP(アデノシン一リン酸)の産生促進用組成物は、濃度1×10個/mL以上のウルトラファインバブル(Ultra Fine Bubble;UFB)を有効成分として含有する。以下、ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートを、総アデニレートとも称し、ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生促進用組成物を、総アデニレート産生促進用組成物とも称する。
【0012】
(1)ウルトラファインバブル
ウルトラファインバブルは直径が1μm未満の気泡である(ISO 20298-1)。ウルトラファインバブルは、ナノサイズの微小気泡の公知の製造方法に従って調製することができる。例えば、微細孔方式、気液混合せん断方式、スタティックミキサー式、ベンチュリ式、キャビテーション式、蒸気凝縮式、超音波方式、旋回流方式、加圧溶解方式等の方式によって製造することができる。これらの中でも、得られる総アデニレート産生促進用組成物の有用性の観点から、微細孔方式が好ましく、シリカ、アルミナ(γ-アルミナ)、及びゼオライト等から選ばれるセラミックス多孔質体を用いた微細孔方式がより好ましい。
【0013】
ウルトラファインバブル中の気体は特に限定されない。ウルトラファインバブル中の気体は、空気、水蒸気、水素、三重水素、希ガス、酸素、二酸化炭素、窒素、フッ化ガスからなる群より選ばれることが好ましい。希ガスとしては、ヘリウム(He),ネオン(Ne),アルゴン(Ar),クリプトン(Kr),キセノン(Xe),ラドン(Rn)が挙げられる。フッ化ガスとしては、CF,C,C,C,CHF,SF,NF等が挙げられる。本開示の技術は、気体の種類によらず適用可能な汎用性の高い技術であると言える。ウルトラファインバブル中の気体は、得られる総アデニレート産生促進用組成物の有用性の観点から、酸素又は水蒸気であるとよい。
【0014】
ATP、ADP、及びAMPの産生促進用組成物に用いる液体は、ウルトラファインバブルを維持でき、生理的に許容される(細胞への害が少ない)液体であれば特に限定されない。このような液体としては、ATP、ADP、及びAMPの産生促進用組成物の用途等に応じて、例えば、純水、水道水、雨水、淡水、海水、人工海水、生理食塩水、化粧品、飲料液体、調味料、酒類、培養液(グルコース含有液体、アルブミン含有液体、抗体含有液体、ビタミン含有液体、血清含有液体、血漿含有液体)、輸液製剤(糖液・低張電解質液(開始液(1号液)、維持輸液(3号液))、注射液、細胞外液補充液(乳酸リンゲル液、酢酸リンゲル液)、人工膠質液、人工血液、緩衝液(酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水、マッキルベイン緩衝液)等を用いることができる。
【0015】
総アデニレート産生促進用組成物のウルトラファインバブル濃度(以下、UFB濃度とも称する)は、特に限定されない。総アデニレート産生促進用組成物のUFB濃度は、1×10個/mL以上であり、好ましくは1×10個/mL以上1×1014個/mL以下である。UFB濃度は、ナノ粒子解析システムを用いて測定できる。ナノ粒子解析システムとしては、NanoSight(Spectris PLC製、NS-300、以下単にナノサイトと記す)が例示される。
【0016】
(2)総アデニレート産生促進用組成物の適用
本開示において、総アデニレート産生促進とは、細胞の単位個数当たりのATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生量を多くする作用をいう。ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生量の増加は、ATP、ADP、及びAMPのうちの少なくとも1つの産生量の増加によると考えられ、直接的又は間接的にATPの産生量の増加に寄与し得る。ATPは生物の細胞に広く存在し、細胞に必要なエネルギーを供給する物質となる。ATPは、解糖系やクエン酸回路などの糖代謝経路で合成される。
本開示の技術は、主に大腸菌及びビフィズス菌を用いた試験から得られた新たな知見に基づく。大腸菌及びビフィズス菌を用いた試験では、培地のUFB濃度が1×10個/mL以上の場合には、1×10個/mL未満の場合に比して、所定時間培養後の総アデニレート量(ATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの量)が増加することが確認された。また、大腸菌は、溶存酸素濃度に応じてATP、ADP、AMPの生成量が変動することが知られている。本試験では、溶存酸素濃度を低下させた培地であっても、UFB濃度が上昇すると、総アデニレート量が増加することが確認された。ビフィズス菌は偏性嫌気性菌であり、通常は酸素が存在すると活性を失うことが知られている。本試験では、UFB濃度に依存して総アデニレート量の上昇速度が向上することが分かった。これらの知見から、総アデニレート量の増加は、溶存酸素濃度に依存せずにUFB濃度に依存していることが確認された。本発明者らは、これらの知見に基づき、大腸菌及びビフィズス菌の総アデニレート産生促進に関して、溶存ガスとは別の作用機序でウルトラファインバブルが作用することを見出し、本開示の技術を開発するに至った。
大腸菌及びビフィズス菌は、解糖系、クエン酸回路を有するモデル生物として知られている。ATPの産生経路、及び生物の細胞膜の基本的な構成(膜輸送タンパク質、リポソーム等)は、多くの生物で共通する部分が多い。本開示の技術は大腸菌及びビフィズス菌等の微生物に適用可能である他、ATPの産生経路を有する細胞を含む生物全般に適用可能な汎用性の高い技術であると考えられる。
【0017】
総アデニレート産生促進用組成物は、ウルトラファインバブル以外の成分を含むウルトラファインバブル溶液であってもよい。総アデニレート産生促進用組成物は、ガスを微細な気泡とすることで得ることができ、ウルトラファインバブルと他の溶質とを併用可能である点において画期的である。
【0018】
総アデニレート産生促進用組成物におけるウルトラファインバブル以外の成分は、生理的に許容される成分であれば特に限定されない。総アデニレート産生促進用組成物は、アデニレートの産生を促進する観点から、対象生物の生育に有用な成分を含んでいることが好ましい。総アデニレート産生促進用組成物は、酵母エキス、グルコース、塩化ナトリウム、リン酸2カリウム、ペプトン、カゼイン-スイ消化ペプトン、及び大豆-パパイン消化ペプトンからなる群より選択される少なくとも1種を含有していることが好ましい。
【0019】
総アデニレート産生促進用組成物においてウルトラファインバブルは、グルコース等のATPを産生する経路で分解される糖の細胞内への取り込みを促進している可能性がある。この観点から、総アデニレート産生促進用組成物は、ATPを産生する経路で分解される糖を含んでいることが好ましい。ATPを産生する経路で分解される糖としては、グルコース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、ペントース等が挙げられる。なお、総アデニレート産生促進用組成物が糖を含まない場合であっても、ウルトラファインバブルが生体内の糖に作用して、総アデニレートの産生を促進し得ると考えられる。すなわち、総アデニレート産生促進用組成物は、少なくともウルトラファインバブルを含有していれば、必ずしもATPを産生する経路で分解される糖を含んでいなくてもよい。
【0020】
総アデニレート産生促進用組成物の投与対象は、ATPの産生経路を有する細胞を含む生物であればよく、例えば、微生物、動物、植物等が挙げられる。投与対象が動物である場合においては、哺乳動物、ヒトであってもよい。投与対象のヒトは健常であっても、ATPの作用により改善する疾患に罹患していてもよい。疾患の処置が企図される場合には、総アデニレート産生促進用組成物の投与対象として、典型的には同疾患に罹患しているか、罹患するリスクを有する対象が挙げられる。
【0021】
総アデニレート産生促進用組成物は、血流、内耳障害、めまい、耳鳴り、難聴、耳閉感、むくみ、消化器の運動、消化器の粘膜分泌、及び疲労の群から選択されるATP、ADP、及びAMPの産生に関連する疾患、症状、又は機能を治療、予防、又は改善するために用いることができる。ATPには血管拡張作用があり、臓器の血流を増加し、また、組織の代謝を賦活させ、これらの機能改善作用をあらわす。総アデニレート産生促進用組成物は、ATP製剤等と同様に、脳血流、冠血流、胃動脈血流、椎骨・総頸動脈血流の増加や内耳微小血管の拡張、胃の運動や胃粘膜分泌の改善、内耳機能障害の改善など、これら作用により多くの疾患や症状の改善に効果が期待できると考えられる。また、総アデニレート産生促進用組成物は、ATP製剤等と同様に、頭部外傷後の後遺症による頭痛や頭重、めまいなどの改善、心不全によるむくみなどの改善、眼精疲労による眼症状(眼が熱い、チカチカするなど)や頭痛などの全身症状などの改善、慢性胃炎の改善(特に比較的軽度な症状の改善)、メニエール病などのめまいによるめまい感や耳鳴り、難聴、耳閉感などの随伴症状の改善目的、不整脈の診断や治療など臨床で多岐に渡り使うことが期待される。
【0022】
総アデニレート産生促進用組成物の投与形態は特に限定されない。総アデニレート産生促進用組成物は、ウルトラファインバブルが細胞と接し得る態様で投与されることによって、細胞の総アデニレートの産生を促進する作用が期待できる。総アデニレート産生促進用組成物は、例えば、含浸、注射、透析、点眼、点耳、注腸、飲用、含漱(うがい)、口腔粘膜用、皮膚外用、経鼻吸収、及び吸入からなる群より選択される投与形態とし得る。
総アデニレート産生促進用組成物の状態は特に限定されない。総アデニレート産生促進用組成物の状態は、投与形態等に応じて、液体状、ゲル状、又は霧状などが想定される。
【0023】
(3)推測されるメカニズム
本開示の総アデニレート産生促進用組成物によってATP、ADP、及びAMPを含むアデニレートの産生を促進できる理由は定かではないが、次のように推測される。なお、本開示の技術は、この推測理由によって限定解釈されない。
生物の細胞膜には、数十nm~の孔径の膜輸送タンパク質が存在している(図1参照)。細胞外の液中に分散したグルコースは、主に、膜輸送タンパク質を介して受動輸送によって細胞内へ取り込まれる。ウルトラファインバブルはマイナスのゼータ電位に帯電しており、プラス帯電の物質を吸着することが知られている。他方、グルコースや細胞膜の主成分であるリポソームはプラス帯電の物質であることが知られている。このため、次のようなステップで、グルコースの細胞内への取り込みが促進されると考えられる。
ステップ1:グルコースがUFB表面に吸着する。
ステップ2:グルコースを纏ったUFBが細胞膜表面に吸着する。
ステップ3:グルコースや、グルコースを纏ったUFBが、膜輸送タンパク質を介して、細胞内に取り込まれる。
糖代謝は化学反応であるから、グルコースの取り込み量(物質量)が増加すると、グルコースの消費が加速され、ATPの産生が促進されると推測される。
【0024】
上記の推測メカニズム以外にも、ウルトラファインバブルが帯電していることに起因して電気的に気泡表面に栄養成分が吸着して栄養が局所的に凝縮している状態となる、ウルトラファインバブルの帯電の影響で液中の分散性が向上して栄養素の濃度分布が均衡になる、細胞が栄養素をイオンチャネルなどから取り込む際、気泡も一緒に取り込み、気泡が代謝反応に寄与する等の作用機序も考え得る。
【0025】
2.総アデニレート産生促進用組成物の製造方法
総アデニレート産生促進用組成物は、ウルトラファインバブルを生成して、濃度1×10個/mL以上のウルトラファインバブルを含有する液体を得ることによって製造できる。総アデニレート産生促進用組成物が溶液である場合には、所定濃度以上のウルトラファインバブルを含有する液体と、他の溶質を含む溶液とを混合して製造できる。
【0026】
ウルトラファインバブルの生成方法は特に限定されない。ウルトラファインバブルの生成は、例えば、多孔質の構造体(エレメント)を備えた装置を用いて行うことができる。多孔質の構造体(エレメント)を備えた装置としては、特開2018-86632号公報に記載の装置、国際公開第2020/004653号に記載の装置、特開2021-154262公報に記載の装置等を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0027】
3.利用分野
総アデニレート産生促進用組成物の産業上の利用分野は特に限定されない。例えば、植物を投与対象とする場合には、農業、林業等の分野が挙げられる。動物を投与対象とする場合には、水産養殖、畜産等の分野が挙げられる。微生物を投与対象とする場合には、酒類、発酵食品、培養、バイオ医薬品等の分野が挙げられる。また、ヒトを投与対象とする場合には、医薬、ヘルスケア、スポーツ等の分野が挙げられる。また、培養用途であれば、食品や酒類の発酵工程、バイオ医薬品、再生医療のバイオプロセス等の分野が挙げられる。また、水産用途であれば、各種の魚類などの養殖(成長促進)に適用可能である。農水産用途であれば水耕栽培(成長促進)などに適用可能である。ヒトへの適用は、治療および、美容、健康、痩身、トレーニングなど糖代謝を促進させる事でメリットが得られる用途で活用できる。ウルトラファインバブルは、安価に生成できるから、総アデニレート産生促進用組成物として種々の分野での利用が期待される。
【0028】
総アデニレート産生促進用組成物を含有する製品は特に限定されない。総アデニレート産生促進用組成物は、血液、輸液、養殖水槽、農業用水、培養液など細胞と接する液体として、或いはこれらの液体に添加されることによって、細胞の総アデニレートの産生を促進する作用が期待できる。総アデニレート産生促進用組成物を含有する製品としては、食品、健康食品、飲料、酒類、飼料、餌料、ペットフード、養殖水、植物育成水、培養液、化粧品、医薬品、及び医薬部外品からなる群より選択できる。総アデニレート産生促進用組成物を含有する製品は、安価に総アデニレートの産生促進という付加価値が付与された製品としての利用が期待される。また、ウルトラファインバブルそのものは、生体内に蓄積するようなものではないと考えられ、副作用の心配が少ない製品として有望である。
【0029】
本開示の総アデニレート産生促進用組成物を用いた医薬品及び医薬部外品の投与形態及び有効な投与量は、投与対象、投与形態、患者の状態、及び医師の判断などに左右されるものであり、限定されない。例えば、体重60kgの成人に対して、1回当たり、ウルトラファインバブル液体換算で50mL-800mLを投与することができる。なお、投与回数としては、例えば8時間-5日に1回投与することが好ましい。
【実施例0030】
1.試験1
(1)培地(培養液)の作製
セラミックス多孔質体のエレメントを備えた装置を用いて、微細孔方式にて純水中に酸素ガスのウルトラファインバブルを発生させ、ウルトラファインバブルを含有する水を作製した。
【0031】
2倍濃度のTBS培地を作製した。TBS培地の成分は以下の通りである。
TBS培地の成分:カゼイン-スイ消化ペプトン 34.0g/L、大豆-パパイン消化ペプトン 6.0g/L、塩化ナトリウム 10.0g/L、リン酸2カリウム 5.0g/L、グルコース 5.0g/L
【0032】
ウルトラファインバブルを含有する水と、2倍濃度のTBS培地を、等量混合して、サンプル1-2,1-3の培地を作製した。サンプル1-2,1-3の培地は、総アデニレート産生促進用組成物の実施例である。
【0033】
ウルトラファインバブルを含有する水に替えて純水を用いた他は、サンプル1-2,1-3の培地と同様にして、サンプル1-1の培地を作製した。サンプル1-1の培地は、比較例(Blank)である。
【0034】
各サンプル1-1,1-2,1-3の培地に、UVライト(波長:250nm、出力:6W)を用いて光学滅菌を実施した。
【0035】
(2)大腸菌試験
北里環境科学センターにて、上記の培地を用いて大腸菌を培養する試験を行った。試験の概要は以下の通りである。
大腸菌(Eschericha coli NBRC331)を、各サンプルの培地に1×10CFU/mLとなるように播種し、36±2℃で静置培養した。培養容器はフタに通気口の無い閉鎖タイプを使用した。培養を開始してから2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後の培地及び大腸菌に含まれる総アデニレート量(RLU)、培地のグルコース濃度(mg/dL)を測定した。
【0036】
2.試験2
(1)培地(培養液)の作製
サンプル2-1の培地は、サンプル1-1の培地と同様にして得られた培地に、溶存酸素濃度を高める処理として散気管曝気を行い作製した。サンプル2-1の培地は、比較例(Blank)である。
【0037】
サンプル2-2の培地は、サンプル1-2,1-3の培地と同様にして得られた培地に、溶存酸素濃度を低くする処理として真空脱気を行い作製した。サンプル2-2の培地は、総アデニレート産生促進用組成物の実施例である。
【0038】
サンプル2-3の培地は、サンプル1-2,1-3の培地と同様にして作製した。すなわち、サンプル2-3の培地は、溶存酸素濃度を調整する処理は行わなかった。サンプル2-3の培地は、総アデニレート産生促進用組成物の実施例である。
【0039】
各サンプル2-1,2-2,2-3の培地に、細孔径0.22μmのシリンジフィルター(膜種:ポリプロピレン)を用いた濾過滅菌を実施した。各サンプル2-1,2-2,2-3の培地は、溶存ガスの変動を抑制する為、アルミパウチ容器に密封して試験機関へ持ち込んだ。
【0040】
(2)大腸菌試験
北里環境科学センターにて、上記の培地を用いて大腸菌を培養する試験を行った。試験の概要は以下の通りである。
大腸菌(Eschericha coli NBRC331)を、各サンプルの培地に1×10CFU/mLとなるように播種し、36±2℃で静置培養した。培養容器はフタに通気口のある開放タイプを使用した。培養を開始してから2時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、24時間後の培地及び大腸菌に含まれる総アデニレート量(RLU)、培地のグルコース濃度(mg/dL)を測定した。
【0041】
3.試験3
(1)培地(培養液)の作製
セラミックス多孔質体のエレメントを備えた装置を用いて、微細孔方式にて純水中に空気ガスのウルトラファインバブルを発生させ、ウルトラファインバブルを含有する水を作製した。
【0042】
ウルトラファインバブルを含有する水100mLと、一般生菌用の液体培地(バイオシーター製 MTV001-01 10.5mL)を混合して、サンプル3-2,3-3の培地を作製した。サンプル3-2,3-3の培地は、総アデニレート産生促進用組成物の実施例である。液体培地の成分は以下の通りである。
液体培地の成分:酵母エキス 5.0mg/mL、ペプトン 10.0mg/mL、グルコース 2.0mg/mL
【0043】
ウルトラファインバブルを含有する水に替えて純水を用いた他は、サンプル3-2,3-3の培地と同様にして、サンプル3-1の培地を作製した。サンプル3-1の培地は、比較例(Blank)である。
【0044】
(2)ビフィズス菌試験
1錠中にビフィズス菌12mgを含有するビフィズス菌整腸剤(ビオフェルミン製薬製 BF-13錠剤)を、純水100mLに溶解した。ビフィズス菌整腸剤を溶解した液1mLを、各サンプルの培地に添加し、36±2℃で静置培養した。各サンプルにつき、3検体を準備した。培養を開始してから20時間後、68時間後、90時間後、112時間後、115時間後、119時間後のいずれか培養時間の培地及びビフィズス菌に含まれる総アデニレート量(RLU)を測定した。
【0045】
4.分析
(1)溶存酸素濃度
培養開始前における各サンプルの培地の溶存酸素濃度を測定した。測定には、溶存酸素計(東亜DKK製 DO-31P)を用いた。この溶存酸素計は、隔膜式電極法にて溶液中の溶存酸素濃度を検出する装置である。
(2)UFB濃度
培養開始前における各サンプルの培地のUFB濃度(個/ml)を測定した。測定には、ナノサイト(NanoSight NS-300)を用いた。測定条件は以下の通りとした。
[測定条件]
周波数:405nm
CameraLevel:15
Number of caputures:5
Capture duration:60
Detection Threshold:4
【0046】
(3)総アデニレート量
培養開始から所定時間後において、培地及び大腸菌又はビフィズス菌に含まれる総アデニレート量を測定した。測定は、キッコーマン製 ルミテスターPD-30を用いて、ATP検査(A3法)により行った。ATP検査(A3法)は、ATP、ADP、AMPの総量を検出する方法である。より具体的には、ADPとAMPを酵素によってATPに変換後、それらがルシフェラーゼと反応した際の発光量(RLU、Relative Light Unit)により検体中に含有されるATP、ADP、AMPの総量を検出する。測定は、1つの検体につき3回行った。
【0047】
(4)グルコース濃度
培養開始から所定時間後において、培地のグルコース濃度を測定した。測定には、グルコースモニター(ワケンビーテック製 GlucCell)を用いた。GlucCellは、電気化学バイオセンサー(酵素電極法)にて滴下した液体中のグルコース濃度を検出する装置である。
【0048】
5.結果
(1)試験1の結果
培養開始前における各サンプルの培地の溶存酸素濃度(mg/mL)、UFB濃度(個/mL)を表1に示す。サンプル1-2のUFB濃度は、1.05×10個/mLであった。サンプル1-3のUFB濃度は、4.44×10個/mLであった。
【0049】
培養を開始してから2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後に総アデニレート量を測定したところ、7時間後において、サンプル1-2とサンプル1-3の平均値と、サンプル1-1(Blank)との差が最大となった。培養を開始してから7時間後の総アデニレート量(RLU)と、培地の濁度(OD660)を表1に示す。
【表1】
【0050】
UFB濃度と、培養を開始してから7時間後の総アデニレート量との関係を、図2に示す。点線は、最小二乗法によって求めた線形近似曲線である。線形近似曲線の式は、y=0.0002x+124069であり、相関係数はR=0.995である。
【0051】
培養を開始してから7時間後、すなわち、サンプル1-2とサンプル1-3の平均値と、サンプル1-1(Blank)と総アデニレート量差が最大となる時点において、UFB濃度と総アデニレート量との間に相関があることが分かった。なお、培養を開始してから7時間後のサンプル1-1,1-2,1-3の培地の濁度(OD660)は同等であるから、サンプル1-1,1-2,1-3の大腸菌数は略同じであると考えられる。すなわち、培養を開始してから7時間までの期間において、サンプル1-1,1-2の大腸菌の単位個数当たりのATP、ADP、及びAMPの産生が、サンプル1-3の大腸菌の単位個数当たりのATP、ADP、及びAMPの産生よりも促進されたと推察される。
【0052】
培養を開始してから7時間後のサンプル1-2とサンプル1-3のグルコース濃度(mg/dL)は、サンプル1-1(Blank)のグルコース濃度(mg/dL)よりも低かった。培地のグルコース濃度の低下は、大腸菌がグルコースをエネルギー源として消費して、ATPを産生したことに起因すると推察される。
【0053】
また、サンプル1-3は、サンプル1-2よりもUFB濃度が高いサンプルである。サンプル1-3の総アデニレート量は、サンプル1-2の総アデニレート量よりも高かった。サンプル1-2とサンプル1-3の溶存酸素濃度は同等であるから、総アデニレート量は、溶存酸素濃度に依存せず、UFB濃度に依存して増加することが示唆された。
【0054】
(2)試験2の結果
培養開始前における各サンプルの培地の溶存酸素濃度(mg/mL)、UFB濃度(個/mL)を表2に示す。サンプル2-2のUFB濃度は、7.33×10個/mLであった。サンプル2-3のUFB濃度は、6.97×10個/mLであった。
【0055】
培養を開始してから2時間後、4時間後、5時間後、6時間後、7時間後、24時間後に総アデニレート量を測定したところ、7時間後において、サンプル2-2とサンプル2-3の平均値と、サンプル2-1(Blank)との差が最大となった。培養を開始してから7時間後の総アデニレート量(RLU)と、培地の濁度(OD660)を表2に示す。
【表2】
【0056】
UFB濃度と、培養を開始してから7時間後の総アデニレート量との関係を、図3に示す。点線は、最小二乗法によって求めた線形近似曲線である。線形近似曲線の式は、y=8E-05x+93300であり、相関係数はR=0.9354である。
【0057】
培養を開始してから7時間後、すなわち、サンプル2-2とサンプル2-3の平均値と、サンプル2-1(Blank)と総アデニレート量差が最大となる時点において、UFB濃度と総アデニレート量との間に相関があることが分かった。なお、培養を開始してから7時間後のサンプル2-1,2-2,2-3の培地の濁度(OD660)は同等であるから、サンプル2-1,2-2,2-3の大腸菌数は略同じであると考えられる。すなわち、培養を開始してから7時間までの期間において、サンプル2-1,2-2の大腸菌の単位個数当たりのATP、ADP、及びAMPの産生が、サンプル2-3の大腸菌の単位個数当たりのATP、ADP、及びAMPの産生よりも促進されたと推察される。
【0058】
培養を開始してから7時間後のサンプル2-2とサンプル2-3のグルコース濃度(mg/dL)は、サンプル2-1(Blank)のグルコース濃度(mg/dL)よりも低かった。培地のグルコース濃度の低下は、大腸菌がグルコースをエネルギー源として消費して、ATPを産生したことに起因すると推察される。
【0059】
また、サンプル2-2は、サンプル2-3よりも溶存酸素濃度が低く、UFBが高いサンプルである。サンプル2-2の総アデニレート量は、サンプル2-3の総アデニレート量よりも低かった。このことから、総アデニレート量は、溶存酸素濃度に依存せず、UFB濃度に依存して増加することが示唆された。
【0060】
(3)試験3の結果
培養開始前における各サンプルの培地のUFB濃度(個/mL)を表3に示す。サンプル3-2のUFB濃度は、2.44×10個/mLであった。サンプル3-3のUFB濃度は、2.95×10個/mLであった。
【0061】
培養を開始してから20時間後、68時間後、90時間後、112時間後、115時間後、119時間後のいずれか培養時間の総アデニレート量を表3に示す。なお、総アデニレート量の測定は、各サンプルの3検体について、検体毎に3回測定を行った。計9回の測定値の平均を表3の「総アデニレート量の平均値」の欄に示す。
【表3】
【0062】
培養時間と、総アデニレート量の平均値の関係を、図4に示す。グラフの詳細は以下の通りである。
[サンプル3-1]
折れ線グラフ:黒の破線、プロット バツ印
最小二乗法によって求めた線形近似曲線:グレーの破線
線形近似曲線の式:y=692.0x+118993、R=0.8882
[サンプル3-2]
折れ線グラフ:黒の実線、プロット 丸印
最小二乗法によって求めた線形近似曲線:グレーの実線
線形近似曲線の式:y=2152.8x+135391
[サンプル3-3]
折れ線グラフ:黒の1点鎖線、プロット 三角印
最小二乗法によって求めた線形近似曲線:グレーの1点鎖線
線形近似曲線の式:y=2538.8x+142390、R=0.9702
【0063】
培養時間と、総アデニレート量の平均値の関係について、線形近似曲線の傾きを、総アデニレート増加速度(RLU/h)として表3に併記する。UFB濃度と総アデニレート増加速度の関係を図5に示す。図5のグラフにおいて点線は最小二乗法によって求めた線形近似曲線である。線形近似曲線の式は、y=7E-06x+520.43であり、相関係数はR=0.9978であった。
【0064】
これらの結果から、UFB濃度と総アデニレート増加速度との間に、高い相関があることが分かった。ビフィズス菌は培養に空気や酸素を必要としない偏性嫌気性菌であることからも、ウルトラファインバブルそのものが代謝やATPの産生促進に影響している事が伺える。
【0065】
以上の結果より、濃度1×10個/mL以上のウルトラファインバブルを含有する培地において、UFB濃度に依存して、ATP、ADP、及びAMPの産生が促進されることが示唆された。
【0066】
4.実施例の効果
以上のように、本実施例によれば、濃度1×10個/mL以上のウルトラファインバブルを有効成分とする、新たな総アデニレート産生促進用組成物を提供できた。
【0067】
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5