(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079981
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】電子機器及び電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/00 20060101AFI20240606BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H02M3/00 Y
H05K7/20 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192757
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 大樹
(72)【発明者】
【氏名】田邊 賢治
(72)【発明者】
【氏名】仲野 耕平
(72)【発明者】
【氏名】中出 浩之
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 健一
(72)【発明者】
【氏名】采女 貴寛
(72)【発明者】
【氏名】若林 竜太
【テーマコード(参考)】
5E322
5H730
【Fターム(参考)】
5E322AA07
5E322AA11
5E322AB01
5E322DA04
5E322EA10
5E322FA01
5H730AA15
5H730AS04
5H730AS05
5H730ZZ01
5H730ZZ07
5H730ZZ09
5H730ZZ11
(57)【要約】
【課題】ケースの内部に冷媒が供給される電子機器において、薄型化を可能とする。
【解決手段】本体ケースの外壁面に固定されるフランジ8bを有すると共に開口端に接続される供給冷媒管8を備え、供給冷媒管8は、開口端に直接的に接続される接続開口端8dと、接続開口端8dから離れるに連れて流路面積が減少する冷媒管側縮径流路8eと、冷媒管側縮径流路8eの接続開口端8dと反対側の端部に接続された小径流路8fとを有し、冷媒流路の一部として、本体ケースは、開口端から離れるに連れて流路面積が減少するケース側縮径流路10dと、小径流路8fよりも偏平な形状に形成されると共に、ケース側縮径流路10dの開口端と反対側の端部に接続された偏平流路10eとを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と、
前記電子部品を収容すると共に冷媒流路の開口端が設けられた本体ケースと、
前記本体ケースの外壁面に固定されるフランジを有すると共に前記開口端に接続される冷媒管と
を備え、
前記冷媒管は、
前記開口端に直接的に接続される接続開口端と、
前記接続開口端から離れるに連れて流路面積が減少する冷媒管側縮径流路と、
前記冷媒管側縮径流路の前記接続開口端と反対側の端部に接続された小径流路と
を有し、
前記冷媒流路の一部として、前記本体ケースは、
前記開口端から離れるに連れて流路面積が減少するケース側縮径流路と、
前記小径流路よりも偏平な形状に形成されると共に、前記ケース側縮径流路の前記開口端と反対側の端部に接続された偏平流路と
有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記偏平流路は、冷媒が流れる方向に沿った方向から見て、上下方向の高さ寸法が水平方向の幅寸法よりも小さい形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記偏平流路は、
前記冷媒の流れ方向における上流側に位置すると共に水平方向に直線状に延伸する上流部位と、
前記冷媒の流れ方向における下流側に位置すると共に、前記上流部位と上下方向に配列されて前記上流部位と平行に延伸する下流部位と、
前記上流部位と前記下流部位とを接続するU形状の湾曲部位と
を有する
ことを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記偏平流路の流路面積は、前記小径流路の流路面積と同一であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記小径流路の断面形状が真円形状であり、前記偏平流路の断面形状が長円形状であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記接続開口端と前記開口端とが同一形状に形成されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項7】
電力変換を行う前記電子部品を備え、
請求項1~3のいずれか一項に記載の電子機器からなる
ことを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、電子部品を備える電力変換装置が開示されている。特許文献1に開示された電力変換装置は、電子部品を収容するケースを備えている。また、ケースの内部には、冷媒を案内する冷媒流路が設けられている。このようなケースには、パイプが接続されており、パイプを通じて冷媒を冷媒流路に流入出させることができる。冷媒流路に冷媒が流れることで、電子部品が冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電力変換装置のような電子機器において、ケースの内部に設けられた冷媒流路に冷媒を供給するためには、一般的に、ケースの外部から冷媒管をケースに接続する。例えば、ケースの側面には、冷媒流路の開口端が設けられる。この開口端に冷媒管の端部が差し込まれる。しかしながら、冷媒管をケースに差し込む場合には、冷媒管の端部が存在する部位は、冷媒管の外径よりも大きな寸法を有する必要がある。このため、ケースに冷媒管が差し込まれる場合には、冷媒管の端部が位置する範囲においてケースは、冷媒管の外径よりも大きな厚さ寸法に形成される。このため、電子機器を薄型化することが困難であった。
【0005】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、ケースの内部に冷媒が供給される電子機器において、薄型化を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0007】
本発明の一態様は、電子部品と、上記電子部品を収容すると共に冷媒流路の開口端が設けられた本体ケースと、上記本体ケースの外壁面に固定されるフランジを有すると共に上記開口端に接続される冷媒管とを備え、上記冷媒管が、上記開口端に直接的に接続される接続開口端と、上記接続開口端から離れるに連れて流路面積が減少する冷媒管側縮径流路と、上記冷媒管側縮径流路の上記接続開口端と反対側の端部に接続された小径流路とを有し、上記冷媒流路の一部として、上記本体ケースが、上記開口端から離れるに連れて流路面積が減少するケース側縮径流路と、上記小径流路よりも偏平な形状に形成されると共に、上記ケース側縮径流路の上記開口端と反対側の端部に接続された偏平流路と有するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様においては、冷媒管がフランジを有し、フランジ部が本体ケースの外壁面に固定される。このため、冷媒管を本体ケースの開口端に差し込むことなく、冷媒管と本体ケースとを接続できる。したがって、本体ケースの内部に冷媒管の端部が位置する部位を設ける必要がなくなり、本体ケースを薄型化することができる。また、冷媒流路は、冷媒管の小径流路よりも偏平な形状に形成された偏平流路を有する。このため、冷媒流路が内部に形成される本体ケースは、偏平流路の短手方向における小径流路の内径寸法と偏平流路の内径寸法との差分の分、小径流路と同じ形状の流路を設ける場合と比較して薄型化することができる。さらに、本発明の一態様においては、冷媒管の接続開口端と、本体ケースの開口端とが接続される。また、冷媒管が、接続開口端から離れるに連れて流路面積が減少する冷媒管側縮径流路を有し、本体ケースが、開口端から離れるに連れて流路面積が減少するケース側縮径流路を有する。このような本発明の一態様においては、形状の異なる小径流路と偏平流路とが直接的に接続される場合と比較して、流路を緩やかに形状変化させることができ、流路の圧力損失を低減することができる。したがって、本発明の一態様によれば、圧力損失の増加を抑止しつつ本体ケースを薄型化し、冷却効率を維持しながら電子機器の薄型化を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態における電力変換装置の概略的な構成を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態における電力変換装置が備える中央ケースを含む模式的な断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態における電力変換装置が備える供給冷媒管と入口開口端との接合箇所を拡大した模式的な断面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態における電力変換装置が備える供給冷媒管をフランジの当接面側から見た模式図である。
【
図5】本発明の第1実施形態における入口開口端を正面にした中央ケースの模式的な部分拡大図である。
【
図6】本発明の第1実施形態における電力変換装置が備える排出冷媒管と出口開口端との接合箇所を拡大した模式的な断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態における電力変換装置が備える排出冷媒管をフランジの当接面側から見た模式図である。
【
図8】本発明の第1実施形態における出口開口端を正面にした中央ケースの模式的な部分拡大図である。
【
図9】本発明の第2実施形態における電力変換装置が備える中央ケースを含む模式的な断面図である。
【
図10】偏平流路の断面形状の変形例を示す図である。
【
図11】偏平流路の断面形状の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係る電子機器及び電力変換装置の一実施形態について説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の電力変換装置1(電子機器)の概略的な構成を示す分解斜視図である。電力変換装置1は、電気自動車等の車両に搭載され、不図示のモータ(負荷)とバッテリとの間に設けられている。このような電力変換装置1は、
図1に示すように、インテリジェントパワーモジュール2(電子部品)と、コンデンサ3(電子部品)と、リアクトル4(電子部品)と、DCDCコンバータ5(電子部品)と、本体ケース6と、冷媒管7とを備えている。
【0012】
インテリジェントパワーモジュール2は、パワーモジュール20、ゲートドライバ基板21、ECU基板22等を備えている。パワーモジュール20は、パワー半導体素子を有する複数のパワーデバイス20aと、これらのパワーデバイス20aを収容する樹脂製のパワーモジュールケース20bと、パワーデバイス20aと接続されたパワーモジュール用バスバー20cとを備えている。また、パワーモジュール20は、パワーモジュール用バスバー20cの短絡を防ぐ絶縁樹脂部材、及び、冷却用のウォータジャケット等を備えている。
【0013】
ゲートドライバ基板21は、パワーデバイス20aによって形成される昇降圧コンバータやインバータの駆動信号を生成するゲートドライバが設けられた基板である。このようなゲートドライバ基板21は、パワーモジュール20に積層されている。ECU基板22は、ゲートドライバ基板21の制御を行うECU(Electronic Control Unit)が設けられた基板である。このECU基板22は、ゲートドライバ基板21に積層されている。
【0014】
コンデンサ3は、インテリジェントパワーモジュール2と接続されており、パワーモジュール20の側方に配置されている。リアクトル4は、インテリジェントパワーモジュール2の下方に配置されている。
【0015】
DCDCコンバータ5は、リアクトル4の側方であって、インテリジェントパワーモジュール2の下方に配置されている。なお、DCDCコンバータ5は、バッテリ電力を周囲の機器(ゲートドライバ基板21やECU基板22に実装された電子部品等)に適した電圧に変換する。
【0016】
本体ケース6は、インテリジェントパワーモジュール2、コンデンサ3、リアクトル4及びDCDCコンバータ5を収容するケースであり、上部ケース6aと、中央ケース6bと、下部ケース6cとを備えている。これらの上部ケース6a、中央ケース6b及び下部ケース6cは、パワーモジュール20とゲートドライバ基板21とECU基板22の積層方向に分割可能に接続されている。上部ケース6aは、ECU基板22側からインテリジェントパワーモジュール2を覆っており、中央ケース6bと締結されている。中央ケース6bは、インテリジェントパワーモジュール2、コンデンサ3、リアクトル4及びDCDCコンバータ5の周囲を覆っている。下部ケース6cは、リアクトル4及びDCDCコンバータ5を下方から覆っており、インテリジェントパワーモジュール2と不図示のモータとを接続するための接続コネクタが設けられ、中央ケース6bに締結されている。
【0017】
冷媒管7は、冷媒Xを案内するための配管である。本実施形態においては、冷媒管7は、2つ設けられている。一方の冷媒管7は、本体ケース6の内部に供給される冷媒Xを案内する配管(以下、供給冷媒管8と称する)である。他方の冷媒管7は、本体ケース6から排出される冷媒Xを案内する配管(以下、排出冷媒管9)と称する。
【0018】
図2は、中央ケース6bを含む模式的な断面図である。この図に示すように、中央ケース6bには、冷媒流路10が設けられている。冷媒流路10は、冷媒Xが流れる流路であり、中央ケース6bの内部に設けられている。
図2に示すように、本実施形態の冷媒流路10は、中央ケース6bの内部でU字状に折り返された流路であり、2つの開口端10aが中央ケース6bの側壁面に位置する。つまり、中央ケース6bは、同一の側壁面に2つの開口端10aが設けられている。
【0019】
本実施形態では、これらの開口端10aは、冷媒Xが流れる方向から見て、真円形状となるように形成されている。また、一方の開口端10aと他方の開口端10aとは、同じ大きさに形成されている。つまり、これらの2つの開口端10aは同一形状である。一方の開口端10aは、供給冷媒管8が接続される。この供給冷媒管8が接続される開口端10aは、入口開口端10bと称する。また、他方の開口端10aは、排出冷媒管9が接続される。この排出冷媒管9が接続される開口端10aは、出口開口端10cと称する。
【0020】
このような中央ケース6bに設けられた冷媒流路10には、供給冷媒管8で案内される冷媒Xが入口開口端10bから流入する。入口開口端10bに流入した冷媒Xは、冷媒流路10の内部を流れ、出口開口端10cに到達する。出口開口端10cに到達した冷媒Xは、排出冷媒管9に案内されて外部に排出される。
【0021】
図3は、供給冷媒管8と入口開口端10bとの接合箇所を拡大した模式的な断面図である。この図に示すように、供給冷媒管8は、管本体部8aと、フランジ8bとを有している。管本体部8aは、内部に冷媒Xが流通する円管状の部位であり、必要に応じて部分的に湾曲した状態で設けられている。フランジ8bは、管本体部8aの端部に設けられており、管本体部8aから管本体部8aの径方向外側に向けて張り出すように円板状に設けられている。なお、フランジ8bの形状は必ずしも円板状である必要はない。このようなフランジ8bの管本体部8aと反対側の表面は、中央ケース6bの外壁面との当接面8b1である。このような供給冷媒管8は、流路8cが内部に設けられている。この流路8cは、冷媒Xが案内される流路である。
【0022】
図4は、供給冷媒管8をフランジ8bの当接面8b1側から見た模式図である。この図に示すように、フランジ8bの当接面8b1には、流路8cの開口端(接続開口端8d)が設けられている。流路8cの接続開口端8dは、中央ケース6bの入口開口端10bに直接的に接続される開口部である。本実施形態において、接続開口端8dは、冷媒Xが流れる方向から見て、真円形状となるように形成されている。また、接続開口端8dは、入口開口端10bと同じ直径に形成されている。つまり、本実施形態において、接続開口端8dは、入口開口端10bと同一形状に形成されている。
【0023】
冷媒Xの流れが阻害されることを抑止するためには、接続開口端8dと入口開口端10bとの形状が同一であることが好ましい。しかしながら、接続開口端8dと入口開口端10bとの形状は、必ずしも同一である必要はなく、異なる形状としてもよい。
【0024】
フランジ8bの当接面8b1には、シールリング11が配置される環状の溝部8b2が設けられている。この溝部8b2は、接続開口端8dを囲うように設けられている。また、フランジ8bには、不図示のビスが挿通されるビス孔8b3が貫通して設けられている。このようなフランジ8bは、ビス孔8b3に挿通されるビスによって、中央ケース6bの外壁面に締結されている。フランジ8bが中央ケース6bと締結されることで、接続開口端8dと入口開口端10bとが接続される。
【0025】
図3に示すように、供給冷媒管8の流路8cには、冷媒管側縮径流路8eと、小径流路8fとが設けられている。つまり、供給冷媒管8は、流路8cの一部である冷媒管側縮径流路8eと、流路8cの一部である小径流路8fとを有している。
【0026】
冷媒管側縮径流路8eは、小径流路8fよりも接続開口端8d側に位置しており、接続開口端8dから離れるに連れて流路面積が減少する流路である。このような冷媒管側縮径流路8eの内壁面は、接続開口端8dの縁と小径流路8fの内壁面とを接続するテーパ面である。
【0027】
小径流路8fは、冷媒管側縮径流路8eの接続開口端8dと反対側の端部に接続されている。この小径流路8fは、冷媒Xの流れ方向から見て、真円形状となるように形成されている。小径流路8fの直径は、接続開口端8dの直径よりも小さい。このような小径流路8fの直径は、供給冷媒管8が案内する冷媒Xの流量に応じて設定されている。
【0028】
また、
図3に示すように、本体ケース6の冷媒流路10には、ケース側縮径流路10dと、偏平流路10eとが設けられている。つまり、本体ケース6は、冷媒流路10の一部であるケース側縮径流路10dと、冷媒流路10の一部である偏平流路10eとを有している。
【0029】
ケース側縮径流路10dは、偏平流路10eよりも入口開口端10b側に位置しており、入口開口端10bから離れるに連れて流路面積が減少する流路である。このようなケース側縮径流路10dの内壁面は、入口開口端10bの縁と偏平流路10eの内壁面とを接続する略テーパ面である。
【0030】
偏平流路10eは、ケース側縮径流路10dの入口開口端10bと反対側の端部に接続されている。
図5は、入口開口端10bを正面にした中央ケース6bの模式的な部分拡大図である。この図に示すように、偏平流路10eは、冷媒Xの流れ方向から見て、長円形状となるように形成されている。偏平流路10eは、冷媒Xの流れ方向から見て、上下方向の高さ寸法が左右方向の幅寸法よりも小さい形状に形成されている。偏平流路10eの高さ寸法(短軸寸法)は、小径流路8fの高さ寸法(直径寸法)よりも小さい。また、偏平流路10eの幅寸法(長軸寸法)は、小径流路8fの幅寸法(直径寸法)よりも大きい。
【0031】
本実施形態において、このような偏平流路10eの流路面積は、小径流路8fの流路面積と同一である。偏平流路10eの流路面積が、小径流路8fの流路面積と同一であることにより、供給冷媒管8の流路8cを流れる冷媒Xの流量と、本体ケース6の冷媒流路10を流れる冷媒Xの流量を同一にすることができる。
【0032】
図6は、排出冷媒管9と出口開口端10cとの接合箇所を拡大した模式的な断面図である。この図に示すように、排出冷媒管9は、管本体部9aと、フランジ9bとを有している。管本体部9aは、内部に冷媒Xが流通する円管状の部位であり、必要に応じて部分的に湾曲した状態で設けられている。フランジ9bは、管本体部9aの端部に設けられており、管本体部9aから管本体部9aの径方向外側に向けて張り出すように円板状に設けられている。なお、フランジ9bの形状は必ずしも円板状である必要はない。このようなフランジ9bの管本体部9aと反対側の表面は、中央ケース6bの外壁面との当接面9b1である。このような排出冷媒管9は、流路9cが内部に設けられている。この流路9cは、冷媒Xが案内される流路である。
【0033】
図7は、排出冷媒管9をフランジ9bの当接面9b1側から見た模式図である。この図に示すように、フランジ9bの当接面9b1には、流路9cの開口端(接続開口端9d)が設けられている。流路9cの接続開口端9dは、中央ケース6bの出口開口端10cに直接的に接続される開口部である。本実施形態において、接続開口端9dは、冷媒Xが流れる方向から見て、真円形状となるように形成されている。また、接続開口端9dは、出口開口端10cと同じ直径に形成されている。つまり、本実施形態において、接続開口端9dは、出口開口端10cと同一形状に形成されている。
【0034】
冷媒Xの流れが阻害されることを抑止するためには、接続開口端9dと出口開口端10cとの形状が同一であることが好ましい。しかしながら、接続開口端9dと出口開口端10cとの形状は、必ずしも同一である必要はなく、異なる形状としてもよい。
【0035】
フランジ9bの当接面9b1には、シールリング11が配置される環状の溝部9b2が設けられている。この溝部9b2は、接続開口端9dを囲うように設けられている。また、フランジ9bには、不図示のビスが挿通されるビス孔9b3が貫通して設けられている。このようなフランジ9bは、ビス孔9b3に挿通されるビスによって、中央ケース6bの外壁面に締結されている。フランジ9bが中央ケース6bと締結されることで、接続開口端9dと出口開口端10cとが接続される。
【0036】
図6に示すように、排出冷媒管9の流路9cには、冷媒管側縮径流路9eと、小径流路9fとが設けられている。つまり、排出冷媒管9は、流路9cの一部である冷媒管側縮径流路9eと、流路9cの一部である小径流路9fとを有している。
【0037】
冷媒管側縮径流路9eは、小径流路9fよりも接続開口端9d側に位置しており、接続開口端9dから離れるに連れて流路面積が減少する流路である。このような冷媒管側縮径流路9eの内壁面は、接続開口端9dの縁と小径流路9fの内壁面とを接続するテーパ面である。
【0038】
小径流路9fは、冷媒管側縮径流路9eの接続開口端9dと反対側の端部に接続されている。この小径流路9fは、冷媒Xの流れ方向から見て、真円形状となるように形成されている。小径流路9fの直径は、接続開口端9dの直径よりも小さい。このような小径流路9fの直径は、排出冷媒管9が案内する冷媒Xの流量に応じて設定されている。
【0039】
また、
図6に示すように、本体ケース6の冷媒流路10には、ケース側縮径流路10fが設けられている。つまり、本体ケース6は、冷媒流路10の一部であるケース側縮径流路10fを有している。ケース側縮径流路10fは、偏平流路10eよりも出口開口端10c側に位置しており、出口開口端10cから離れるに連れて流路面積が減少する流路である。このようなケース側縮径流路10fの内壁面は、出口開口端10cの縁と偏平流路10eの内壁面とを接続する略テーパ面である。
【0040】
また、偏平流路10eは、ケース側縮径流路10fの出口開口端10cと反対側の端部に接続されている。
図8は、出口開口端10cを正面にした中央ケース6bの模式的な部分拡大図である。この図に示すように、偏平流路10eは、出口開口端10c側においても、冷媒Xの流れ方向から見て、長円形状となるように形成されている。この偏平流路10eの高さ寸法(短軸寸法)は、小径流路9fの高さ寸法(直径寸法)よりも小さい。また、偏平流路10eの幅寸法(長軸寸法)は、小径流路9fの幅寸法(直径寸法)よりも大きい。
【0041】
本実施形態において、このような偏平流路10eの流路面積は、小径流路9fの流路面積と同一である。偏平流路10eの流路面積が、小径流路9fの流路面積と同一であることにより、排出冷媒管9の流路9cを流れる冷媒Xの流量と、本体ケース6の冷媒流路10を流れる冷媒Xの流量を同一にすることができる。
【0042】
図2に示すように、偏平流路10eは、途中部位がU形状に湾曲されることで折り返された形状に形成されており、上流部位10e1と、下流部位10e2と、湾曲部位10e3とを有している。
【0043】
上流部位10e1は、冷媒Xの流れ方向における上流側に位置すると共に水平方向に直線状に延伸する部位である。上流部位10e1は、ケース側縮径流路10dを介して入口開口端10bに接続されている。下流部位10e2は、冷媒Xの流れ方向における下流側に位置すると共に、上流部位10e1と上方方向に配列されて上流部位10e1と平行に延伸する部位である。下流部位10e2は、ケース側縮径流路10fを介して出口開口端10cに接続されている。湾曲部位10e3は、上流部位10e1と下流部位10e2とを接続するU形状の部位である。
【0044】
このような偏平流路10eは、上流部位10e1と下流部位10e2との両方において、断面形状における長円の短軸が上下方向に沿うように、折り返されている。このため、偏平流路10eを折り返しても、中央ケース6bの高さ寸法を抑制することができる。
【0045】
このような本実施形態の電力変換装置1では、供給冷媒管8を流れる冷媒Xが接続開口端8dから吐出されて、入口開口端10bから冷媒流路10に流れ込む。ここで、本実施形態の電力変換装置1では、供給冷媒管8は、接続開口端8dから離れるに連れて流路面積が縮小する冷媒管側縮径流路8eを備える。
【0046】
供給冷媒管8では、
図3に示すように、小径流路8fから接続開口端8dに向けて冷媒Xが流れるため、冷媒Xの流れ方向に基づくと、流路8cは、冷媒管側縮径流路8eで拡大する。このため、供給冷媒管8の小径流路8fから冷媒管側縮径流路8eに冷媒Xが流れ込むと、冷媒Xの流速が低下し、冷媒Xの圧力が上昇する。
【0047】
なお、冷媒管側縮径流路8eが接続開口端8dに向かうに連れて連続的に拡大するため、冷媒管側縮径流路8eの内壁面はテーパ面である。このため、冷媒Xの流れが流路8cの内壁面から剥離することを防止でき、圧力損失が増加することを抑止できる。
【0048】
また、本実施形態の電力変換装置1では、本体ケース6は、冷媒流路10の一部として、入口開口端10bから離れるに連れて縮径するケース側縮径流路10dを備える。ケース側縮径流路10dでは、
図3に示すように、入口開口端10bから、冷媒管側縮径流路8eの反対側に設けられた偏平流路10eに向けて冷媒Xが流れる。このため、入口開口端10bからケース側縮径流路10dに冷媒Xが流れ込むと、冷媒Xの流速が増加し、冷媒Xの圧力が供給冷媒管8の小径流路8fと同程度まで下降する。
【0049】
なお、ケース側縮径流路10dが偏平流路10eに向かうに連れて連続的に縮小するため、ケース側縮径流路10dの内壁面は略テーパ面である。このため、冷媒Xの流れが冷媒流路10の内壁面から剥離することを防止でき、圧力損失が増加することを抑止できる。
【0050】
形状の異なる供給冷媒管8の小径流路8fと本体ケース6の偏平流路10eとを直接接続すると、境界部に段部が生じる。このため、冷媒Xの流れが段部に衝突や剥離することで乱れ、圧力損失が増大する。これに対して、本実施形態の電力変換装置1においては、冷媒管側縮径流路8e及びケース側縮径流路10dが設けられることで、冷媒Xの流れが乱れることを抑止できる。したがって、圧力損失が増大することを抑制できる。
【0051】
冷媒流路10に流れ込んだ冷媒Xは、ケース側縮径流路10dから偏平流路10eに流れ込む。偏平流路10eに流れ込んだ冷媒Xは、偏平流路10eに案内されて、出口開口端10cに接続されたケース側縮径流路10dに流れ込む。
【0052】
その後、冷媒Xは、出口開口端10cから吐出されて、接続開口端9dから排出冷媒管9に流れ込む。このように偏平流路10eに冷媒Xが流れることで、インテリジェントパワーモジュール2、コンデンサ3、リアクトル4、及びDCDCコンバータ5等の電子部品が冷却される。
【0053】
また、本実施形態の電力変換装置1では、本体ケース6は、冷媒流路10の一部として、出口開口端10cから離れるに連れて流路面積が縮小するケース側縮径流路10fを備える。ケース側縮径流路10fでは、
図6に示すように、偏平流路10eから出口開口端10cに向けて冷媒Xが流れるため、冷媒Xの流れ方向に基づくと、冷媒流路10は、ケース側縮径流路10fで拡大する。このため、偏平流路10eからケース側縮径流路10fに冷媒Xが流れ込むと、冷媒Xの流速が低下し、冷媒Xの圧力が上昇する。
【0054】
なお、ケース側縮径流路10fが出口開口端10cに向かうに連れて連続的に拡大するため、ケース側縮径流路10fの内壁面は略テーパ面である。このため、冷媒Xの流れが冷媒流路10の内壁面から剥離することを防止でき、圧力損失が増加することを抑止できる。
【0055】
また、本実施形態の電力変換装置1では、排出冷媒管9は、接続開口端9dから離れるに連れて縮径する冷媒管側縮径流路9eを備える。冷媒管側縮径流路9eでは、
図6に示すように、接続開口端9dから、冷媒管側縮径流路9eの反対側に設けられた小径流路9fに向けて冷媒Xが流れる。このため、接続開口端9dから冷媒管側縮径流路9eに冷媒Xが流れ込むと、冷媒Xの流速が増加し、冷媒Xの圧力が本体ケース6の偏平流路10eと同程度まで下降する。
【0056】
なお、冷媒管側縮径流路9eが小径流路9fに向かうに連れて連続的に縮小するため、冷媒管側縮径流路9eの内壁面はテーパ面である。このため、冷媒Xの流れが流路9cの内壁面から剥離することを防止でき、圧力損失が増加することを抑止できる。
【0057】
形状の異なる排出冷媒管9の小径流路9fと本体ケース6の偏平流路10eとを直接接続すると、境界部に段部が生じる。このため、冷媒Xの流れが段部に衝突や剥離することで乱れ、圧力損失が増大する。これに対して、本実施形態の電力変換装置1においては、冷媒管側縮径流路9e及びケース側縮径流路10fが設けられることで、冷媒Xの流れが乱れることを抑止できる。したがって、圧力損失が増大することを抑制できる。
【0058】
以上のような本実施形態の電力変換装置1は、インテリジェントパワーモジュール2等の電力変換を行う電子部品と、本体ケース6と、供給冷媒管8とを備える。本体ケース6は、インテリジェントパワーモジュール2等を収容する。また、本体ケース6は、冷媒流路10の入口開口端10bが設けられている。供給冷媒管8は、本体ケース6の外壁面に固定されるフランジ8bを有する。また、供給冷媒管8は、入口開口端10bに接続される。
【0059】
また、本実施形態の電力変換装置1において、供給冷媒管8は、入口開口端10bに直接的に接続される接続開口端8dと、接続開口端8dから離れるに連れて流路面積が減少する冷媒管側縮径流路8eと、冷媒管側縮径流路8eの接続開口端8dと反対側の端部に接続された小径流路8fとを有する。
【0060】
また、本実施形態の電力変換装置1においては、本体ケース6は、冷媒流路10の一部であるケース側縮径流路10dと、冷媒流路10の一部である偏平流路10eとを有する。ケース側縮径流路10dは、入口開口端10bから離れるに連れて流路面積が減少する流路である。偏平流路10eは、小径流路8fよりも偏平な形状に形成されると共に、ケース側縮径流路10dの入口開口端10bと反対側の端部に接続されている。
【0061】
このような本実施形態の電力変換装置1においては、供給冷媒管8がフランジ8bを有し、フランジ8bが本体ケース6の外壁面に固定される。このため、供給冷媒管8を本体ケース6の入口開口端10bに差し込むことなく、供給冷媒管8と本体ケース6とを接続できる。
【0062】
したがって、本体ケース6の内部に供給冷媒管8の端部が位置する部位を設ける必要がなくなり、本体ケース6を薄型化することができる。また、冷媒流路10は、供給冷媒管8の小径流路8fよりも偏平な形状に形成された偏平流路10eを有する。このため、冷媒流路10が内部に形成される本体ケース6は、偏平流路10eの短手方向における小径流路8fの内径寸法と偏平流路10eの内径寸法との差分の分、小径流路8fと同じ形状の流路を設ける場合と比較して薄型化することができる。
【0063】
さらに、本実施形態の電力変換装置1においては、供給冷媒管8の接続開口端8dと、本体ケース6の入口開口端10bとが接続される。また、供給冷媒管8が、接続開口端8dから離れるに連れて流路面積が減少する冷媒管側縮径流路8eを有し、本体ケース6が、開口端から離れるに連れて流路面積が減少するケース側縮径流路10dを有する。このような本実施形態の電力変換装置1においては、形状の異なる小径流路8fと偏平流路10eとが直接的に接続される場合と比較して、流路を緩やかに形状変化させることができ、流路の圧力損失を低減することができる。
【0064】
したがって、本実施形態の電力変換装置1によれば、圧力損失の増加を抑止しつつ本体ケース6を薄型化し、冷却効率を維持しながら電子機器の薄型化を実現することが可能となる。
【0065】
また、以上のような本実施形態の電力変換装置1は、インテリジェントパワーモジュール2等の電子部品と、本体ケース6と、排出冷媒管9とを備える。本体ケース6は、インテリジェントパワーモジュール2等を収容する。また、本体ケース6は、冷媒流路10の出口開口端10cが設けられている。排出冷媒管9は、本体ケース6の外壁面に固定されるフランジ9bを有する。また、排出冷媒管9は、出口開口端10cに接続される。
【0066】
また、本実施形態の電力変換装置1において、排出冷媒管9は、出口開口端10cに直接的に接続される接続開口端9dと、接続開口端9dから離れるに連れて流路面積が減少する冷媒管側縮径流路9eと、冷媒管側縮径流路9eの接続開口端9dと反対側の端部に接続された小径流路9fとを有する。
【0067】
また、本実施形態の電力変換装置1においては、本体ケース6は、冷媒流路10の一部であるケース側縮径流路10dと、冷媒流路10の一部である偏平流路10eとを有する。ケース側縮径流路10dは、出口開口端10cから離れるに連れて流路面積が減少する流路である。偏平流路10eは、小径流路9fよりも偏平な形状に形成されると共に、ケース側縮径流路10dの出口開口端10cと反対側の端部に接続されている。
【0068】
このような本実施形態の電力変換装置1においては、排出冷媒管9がフランジ9bを有し、フランジ9bが本体ケース6の外壁面に固定される。このため、排出冷媒管9を本体ケース6の出口開口端10cに差し込むことなく、排出冷媒管9と本体ケース6とを接続できる。したがって、本体ケース6の内部に排出冷媒管9の端部が位置する部位を設ける必要がなくなり、本体ケース6を薄型化することができる。また、冷媒流路10は、排出冷媒管9の小径流路9fよりも偏平な形状に形成された偏平流路10eを有する。このため、冷媒流路10が内部に形成される本体ケース6は、偏平流路10eの短手方向における小径流路9fの内径寸法と偏平流路10eの内径寸法との差分の分、小径流路9fと同じ形状の流路を設ける場合と比較して薄型化することができる。
【0069】
さらに、本実施形態の電力変換装置1においては、排出冷媒管9の接続開口端9dと、本体ケース6の出口開口端10cとが接続される。また、排出冷媒管9が、接続開口端9dから離れるに連れて流路面積が減少する冷媒管側縮径流路9eを有し、本体ケース6が、開口端から離れるに連れて流路面積が減少するケース側縮径流路10dを有する。このような本実施形態の電力変換装置1においては、形状の異なる小径流路9fと偏平流路10eとが直接的に接続される場合と比較して、流路を緩やかに形状変化させることができ、流路の圧力損失を低減することができる。
【0070】
したがって、本実施形態の電力変換装置1によれば、圧力損失の増加を抑止しつつ本体ケース6を薄型化し、冷却効率を維持しながら電子機器の薄型化を実現することが可能となる。
【0071】
また、本実施形態の電力変換装置1において、偏平流路10eは、冷媒Xが流れる方向に沿った方向から見て、上下方向の高さ寸法が水平方向の幅寸法よりも小さい形状に形成されている。このような本実施形態の電力変換装置1によれば、上下方向への薄型化を実現することができ、電力変換装置1を低背化することができる。
【0072】
また、本実施形態の電力変換装置1において偏平流路10eは、上流部位10e1と、下流部位10e2と、湾曲部位10e3とを有する。上流部位10e1は、冷媒Xの流れ方向における上流側に位置すると共に水平方向に直線状に延伸する。下流部位10e2は、冷媒Xの流れ方向における下流側に位置する。また、下流部位10e2は、上流部位10e1と上下方向に配列されて上流部位10e1と平行に延伸する。湾曲部位10e3は、上流部位10e1と下流部位10e2とを接続するU形状に形成されている。
【0073】
このような本実施形態の電力変換装置1によれば、偏平流路10eを折り返すように形成することができる。このため、入口開口端10bと出口開口端10cとを、本体ケース6の同じ外壁面に纏めて設けることができる。したがって、供給冷媒管8と、排出冷媒管9とを纏めて配設することができる。
【0074】
また、本実施形態の電力変換装置1において、偏平流路10eの流路面積は、小径流路8fの流路面積と同一である。このため、供給冷媒管8の流量と偏平流路10eの流量とが同一となり、圧力損失が増大することを抑制できる。
【0075】
また、本実施形態の電力変換装置1において、偏平流路10eの流路面積は、小径流路9fの流路面積と同一である。このため、排出冷媒管9の流量と偏平流路10eの流量とが同一となり、圧力損失が増大することを抑制できる。
【0076】
また、本実施形態の電力変換装置1においては、小径流路8fの断面形状が真円形状であり、偏平流路10eの断面形状が長円形状である。このような本実施形態の電力変換装置1によれば、小径流路8fの断面形状と偏平流路10eの断面形状との差分を小さく抑えることができ、流路8c及び冷媒流路10の内壁面の変化を小さくすることができる。したがって、本実施形態の電力変換装置1によれば、より圧力損失の増加を抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態の電力変換装置1においては、小径流路9fの断面形状が真円形状であり、偏平流路10eの断面形状が長円形状である。このような本実施形態の電力変換装置1によれば、小径流路9fの断面形状と偏平流路10eの断面形状との差分を小さく抑えることができ、流路9c及び冷媒流路10の内壁面の変化を小さくすることができる。したがって、本実施形態の電力変換装置1によれば、より圧力損失の増加を抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態の電力変換装置1においては、接続開口端8dと入口開口端10bとが同一形状に形成されている。このため、接続開口端8dと入口開口端10bとの境界部分に段差が生じることを抑制できる。したがって、本実施形態の電力変換装置1によれば、より圧力損失の増加を抑制することができる。
【0079】
また、本実施形態の電力変換装置1においては、接続開口端9dと出口開口端10cとが同一形状に形成されている。このため、接続開口端9dと出口開口端10cとの境界部分に段差が生じることを抑制できる。したがって、本実施形態の電力変換装置1によれば、より圧力損失の増加を抑制することができる。
【0080】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について、
図9を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0081】
図9は、本実施形態の電力変換装置が備える中央ケース6bを含む模式的な断面図である。この図に示すように、本実施形態の電力変換装置においては、冷媒流路10の入口開口端10bと出口開口端10cとが、中央ケース6bの反対側に位置する外壁面に設けられている。つまり、中央ケース6bの1つの外壁面に対して入口開口端10bが設けられており、入口開口端10bが設けられた外壁面と反対側に位置する外壁面に出口開口端10cが設けられている。
【0082】
さらに、本実施形態の電力変換装置においては、偏平流路10eが、折り返されておらずに、入口開口端10bと出口開口端10cとを結ぶように、直線状に延伸して設けられている。
【0083】
このような本実施形態の電力変換装置においても、上記第1実施形態の電力変換装置と同様に、供給冷媒管8がフランジ8bを有し、フランジ8bが本体ケース6の外壁面に固定される。このため、供給冷媒管8を本体ケース6の入口開口端10bに差し込むことなく、供給冷媒管8と本体ケース6とを接続できる。したがって、本体ケース6の内部に供給冷媒管8の端部が位置する部位を設ける必要がなくなり、本体ケース6を薄型化することができる。また、冷媒流路10は、供給冷媒管8の小径流路8fよりも偏平な形状に形成された偏平流路10eを有する。このため、冷媒流路10が内部に形成される本体ケース6は、偏平流路10eの短手方向における小径流路8fの内径寸法と偏平流路10eの内径寸法との差分の分、小径流路8fと同じ形状の流路を設ける場合と比較して薄型化することができる。
【0084】
さらに、本実施形態の電力変換装置においても、供給冷媒管8の接続開口端8dと、本体ケース6の入口開口端10bとが接続される。また、供給冷媒管8が、接続開口端8dから離れるに連れて流路面積が減少する冷媒管側縮径流路8eを有し、本体ケース6が、開口端から離れるに連れて流路面積が減少するケース側縮径流路10dを有する。このような本実施形態の電力変換装置においても、形状の異なる小径流路8fと偏平流路10eとが直接的に接続される場合と比較して、流路を緩やかに形状変化させることができ、流路の圧力損失を低減することができる。
【0085】
また、本実施形態の電力変換装置においては、排出冷媒管9がフランジ9bを有し、フランジ9bが本体ケース6の外壁面に固定される。このため、排出冷媒管9を本体ケース6の出口開口端10cに差し込むことなく、排出冷媒管9と本体ケース6とを接続できる。したがって、本体ケース6の内部に排出冷媒管9の端部が位置する部位を設ける必要がなくなり、本体ケース6を薄型化することができる。また、冷媒流路10は、排出冷媒管9の小径流路9fよりも偏平な形状に形成された偏平流路10eを有する。このため、冷媒流路10が内部に形成される本体ケース6は、偏平流路10eの短手方向における小径流路9fの内径寸法と偏平流路10eの内径寸法との差分の分、小径流路9fと同じ形状の流路を設ける場合と比較して薄型化することができる。
【0086】
さらに、本実施形態の電力変換装置においても、排出冷媒管9の接続開口端9dと、本体ケース6の出口開口端10cとが接続される。また、排出冷媒管9が、接続開口端9dから離れるに連れて流路面積が減少する冷媒管側縮径流路9eを有し、本体ケース6が、開口端から離れるに連れて流路面積が減少するケース側縮径流路10dを有する。このような本実施形態の電力変換装置においても、形状の異なる小径流路9fと偏平流路10eとが直接的に接続される場合と比較して、流路を緩やかに形状変化させることができ、流路の圧力損失を低減することができる。
【0087】
したがって、本実施形態の電力変換装置によれば、圧力損失の増加を抑止しつつ本体ケース6を薄型化し、冷却効率を維持しながら電子機器の薄型化を実現することが可能となる。
【0088】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0089】
例えば、上記実施形態においては、断面形状が長円形状の偏平流路10eを備える構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、
図10に示すように、偏平流路10eに換えて、断面形状が楕円形状の偏平流路10gを備える構成を採用することも可能である。また、
図11に示すように、偏平流路10eに換えて、幅方向における中央部が狭窄した偏平流路10hを備える構成を採用することも可能である。
【0090】
また、上記実施形態においては、本発明の電子機器を電力変換装置に適用した例について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、電子部品と、電子部品を収容すると共に冷媒流路の開口端が設けられた本体ケースと、本体ケースの開口端に接続される冷媒管とを備える電子機器に適用することができる。
なお、上記実施形態については、例えば以下の付記のようにも記載できる。
【0091】
(付記1)
電子部品と、
前記電子部品を収容すると共に冷媒流路の開口端が設けられた本体ケースと、
前記本体ケースの外壁面に固定されるフランジを有すると共に前記開口端に接続される冷媒管と
を備え、
前記冷媒管は、
前記開口端に直接的に接続される接続開口端と、
前記接続開口端から離れるに連れて流路面積が減少する冷媒管側縮径流路と、
前記冷媒管側縮径流路の前記接続開口端と反対側の端部に接続された小径流路と
を有し、
前記冷媒流路の一部として、前記本体ケースは、
前記開口端から離れるに連れて流路面積が減少するケース側縮径流路と、
前記小径流路よりも偏平な形状に形成されると共に、前記ケース側縮径流路の前記開口端と反対側の端部に接続された偏平流路と
有する
ことを特徴とする電子機器。
【0092】
(付記2)
前記偏平流路は、冷媒が流れる方向に沿った方向から見て、上下方向の高さ寸法が水平方向の幅寸法よりも小さい形状に形成されていることを特徴とする付記1記載の電子機器。
【0093】
(付記3)
前記偏平流路は、
前記冷媒の流れ方向における上流側に位置すると共に水平方向に直線状に延伸する上流部位と、
前記冷媒の流れ方向における下流側に位置すると共に、前記上流部位と上下方向に配列されて前記上流部位と平行に延伸する下流部位と、
前記上流部位と前記下流部位とを接続するU形状の湾曲部位と
を有する
ことを特徴とする付記2記載の電子機器。
【0094】
(付記4)
前記偏平流路の流路面積は、前記小径流路の流路面積と同一であることを特徴とする付記1~3のいずれか一つに記載の電子機器。
【0095】
(付記5)
前記小径流路の断面形状が真円形状であり、前記偏平流路の断面形状が長円形状であることを特徴とする付記1~4のいずれか一つに記載の電子機器。
【0096】
(付記6)
前記接続開口端と前記開口端とが同一形状に形成されていることを特徴とする付記
1~5のいずれか一つに記載の電子機器。
【0097】
(付記7)
電力変換を行う前記電子部品を備え、
付記1~6のいずれか一つに記載の電子機器からなる
ことを特徴とする電力変換装置。
【符号の説明】
【0098】
1……電力変換装置、2……インテリジェントパワーモジュール(電子部品)、3……コンデンサ(電子部品)、4……リアクトル(電子部品)、5……DCDCコンバータ(電子部品)、6……本体ケース、7……冷媒管、8……供給冷媒管、8a……管本体部、8b……フランジ、8b1……当接面、8b2……溝部、8b3……ビス孔、8c……流路、8d……接続開口端、8e……冷媒管側縮径流路、8f……小径流路、9……排出冷媒管、9a……管本体部、9b……フランジ、9b1……当接面、9b2……溝部、9b3……ビス孔、9c……流路、9d……接続開口端、9e……冷媒管側縮径流路、9f……小径流路、10……冷媒流路、10a……開口端、10b……入口開口端、10c……出口開口端、10d……ケース側縮径流路、10e……偏平流路、10e1……上流部位、10e2……下流部位、10e3……湾曲部位、10f……ケース側縮径流路、10g……偏平流路、10h……偏平流路、11……シールリング、X……冷媒