(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024079985
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】情報処理装置及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
E01H 5/00 20060101AFI20240606BHJP
G01W 1/00 20060101ALI20240606BHJP
E01C 11/26 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
E01H5/00 Z
G01W1/00 J
E01C11/26
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192770
(22)【出願日】2022-12-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-27
(71)【出願人】
【識別番号】509042518
【氏名又は名称】エコモット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】庄内 道博
(72)【発明者】
【氏名】入澤 拓也
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AA04
2D051AA08
2D051GA00
(57)【要約】
【課題】融雪装置を稼働させるためのコストと融雪装置による融雪の程度とのバランスをとれるようにする。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る管理サーバ1は、指示者による指示に応じて行われた融雪装置に対する制御内容の履歴と、指示者が指示を行った際に参照した当該融雪装置による融雪対象の領域の撮像画像と、を少なくとも含むデータを教師データとして学習することによって生成された機械学習モデルであって、分析対象画像を入力することにより融雪装置に対して行う制御内容を示す制御情報を出力するように構成された機械学習モデルを記憶する記憶部11と、分析対象画像を取得する取得部121と、取得部が取得した分析対象画像を機械学習モデルに入力することによって出力された制御情報を出力する出力部122と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指示者による指示に応じて行われた融雪装置に対する制御内容の履歴と、前記指示者が前記指示を行った際に参照した当該融雪装置による融雪対象の領域の撮像画像と、を少なくとも含むデータを教師データとして学習することによって生成された機械学習モデルであって、分析対象画像を入力することにより融雪装置に対して行う制御内容を示す制御情報を出力するように構成された機械学習モデルを記憶する記憶部と、
前記分析対象画像を取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記分析対象画像を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力する出力部と、
を有する、情報処理装置。
【請求項2】
前記機械学習モデルは、前記履歴及び前記撮像画像に加えて、前記撮像画像に対応する領域の路面の特性を示す路面情報を学習することによって生成され、
前記取得部は、前記分析対象画像に対応する領域の前記路面情報を取得し、
前記出力部は、前記取得部が取得した前記分析対象画像及び前記路面情報を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記機械学習モデルは、前記履歴及び前記撮像画像に加えて、前記撮像画像に対応する領域が含まれている場所の特性を示す場所情報を学習することによって生成され、
前記取得部は、前記分析対象画像に対応する領域の前記場所情報を取得し、
前記出力部は、前記取得部が取得した前記分析対象画像及び前記場所情報を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記機械学習モデルは、前記履歴及び前記撮像画像に加えて、前記撮像画像に対応する領域に設置された融雪装置の特性を示す装置情報を学習することによって生成され、
前記取得部は、前記分析対象画像に対応する領域に設置された融雪装置の前記装置情報を取得し、
前記出力部は、前記取得部が取得した前記分析対象画像及び前記装置情報を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記機械学習モデルは、前記履歴及び前記撮像画像に加えて、前記撮像画像が撮像された日時における前記撮像画像に対応する領域の気象を示す気象情報を学習することによって生成され、
前記取得部は、前記分析対象画像が撮像された日時における前記分析対象画像に対応する領域の前記気象情報を取得し、
前記出力部は、前記取得部が取得した前記分析対象画像及び前記気象情報を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記機械学習モデルは、前記履歴及び前記撮像画像に加えて、前記撮像画像が撮像された時間帯を学習することによって生成され、
前記出力部は、前記分析対象画像及び前記分析対象画像が撮像された時間帯を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力部が出力した前記制御情報に応じて前記分析対象画像に対応する領域に設置された融雪装置を制御する装置制御部をさらに有する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記出力部は、前記制御情報を情報端末に表示させる、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記出力部は、前記制御情報とともに、前記分析対象画像に対応する領域の路面に関する路面情報、前記分析対象画像に対応する領域が含まれている場所に関する場所情報、又は前記分析対象画像に対応する領域に設置された融雪装置の特性を示す装置情報のうち少なくとも1つを、前記情報端末に表示させる、
請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記出力部が前記制御情報を前記情報端末に表示させた後に、前記情報端末から前記指示を受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記指示と、前記分析対象画像と、を用いて前記機械学習モデルを更新する学習部と、
をさらに有する、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記取得部は、情報端末から、前記分析対象画像に対応する領域に設置された融雪装置による融雪を調整するための調整情報を取得し、
前記出力部は、前記取得部が取得した前記分析対象画像を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を、前記調整情報に応じて変更する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記記憶部は、複数の前記機械学習モデルと、複数の前記機械学習モデルそれぞれを生成するために用いられた前記撮像画像に対応する領域と、を関連付けて記憶し、
前記出力部は、複数の前記機械学習モデルのうち、前記取得部が取得した前記分析対象画像に対応する領域に関連付けられた前記機械学習モデルを用いて、前記制御情報を出力する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記記憶部は、複数の前記機械学習モデルと、複数の前記機械学習モデルそれぞれを生成するために用いられた、前記撮像画像に対応する領域の路面の特性を示す路面情報、前記撮像画像に対応する領域が含まれている場所の特性を示す場所情報、又は前記撮像画像に対応する領域に設置された融雪装置の特性を示す装置情報のうち少なくとも1つと、を関連付けて記憶し、
前記出力部は、複数の前記機械学習モデルのうち、前記取得部が取得した前記分析対象画像に対応する領域の前記路面情報、前記場所情報又は前記装置情報のうち少なくとも1つに関連付けられた前記機械学習モデルを用いて、前記制御情報を出力する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項14】
プロセッサが実行する、
指示者による指示に応じて行われた融雪装置に対する制御内容の履歴と、前記指示者が前記指示を行った際に参照した当該融雪装置による融雪対象の領域の撮像画像と、を少なくとも含むデータを教師データとして学習することによって生成された機械学習モデルであって、分析対象画像を入力することにより融雪装置に対して行う制御内容を示す制御情報を出力するように構成された機械学習モデルを取得するステップと、
前記分析対象画像を取得するステップと、
前記取得するステップで取得された前記分析対象画像を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力するステップと、
を有する、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、融雪装置を制御するための情報処理装置及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、融雪対象の領域の撮像画像に対して機械学習を適用することにより、積雪があるか否かに対応する評価値を算出し、算出された評価値に基づいて融雪装置を制御するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
融雪対象の路面における雪の融けやすさ等、積雪以外の特性によって、融雪装置にとって適した制御態様が異なる場合がある。特許文献1に記載されたシステムは、融雪対象の領域における積雪以外の特性を考慮しないため、融雪装置を適切に稼働させることができない可能性がある。融雪装置を稼働させる時間を長くしすぎると、融雪装置を稼働させるための資源等のコストを無駄に消費するという問題があった。一方、融雪装置を稼働させる時間を短くしすぎると、融雪の程度が不十分になるという問題があった。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、融雪装置を稼働させるためのコストと融雪装置による融雪の程度とのバランスをとれるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の情報処理装置は、指示者による指示に応じて行われた融雪装置に対する制御内容の履歴と、前記指示者が前記指示を行った際に参照した当該融雪装置による融雪対象の領域の撮像画像と、を少なくとも含むデータを教師データとして学習することによって生成された機械学習モデルであって、分析対象画像を入力することにより融雪装置に対して行う制御内容を示す制御情報を出力するように構成された機械学習モデルを記憶する記憶部と、前記分析対象画像を取得する取得部と、前記取得部が取得した前記分析対象画像を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力する出力部と、を有する。
【0007】
前記機械学習モデルは、前記履歴及び前記撮像画像に加えて、前記撮像画像に対応する領域の路面の特性を示す路面情報を学習することによって生成され、前記取得部は、前記分析対象画像に対応する領域の前記路面情報を取得し、前記出力部は、前記取得部が取得した前記分析対象画像及び前記路面情報を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力してもよい。
【0008】
前記機械学習モデルは、前記履歴及び前記撮像画像に加えて、前記撮像画像に対応する領域が含まれている場所の特性を示す場所情報を学習することによって生成され、前記取得部は、前記分析対象画像に対応する領域の前記場所情報を取得し、前記出力部は、前記取得部が取得した前記分析対象画像及び前記場所情報を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力してもよい。
【0009】
前記機械学習モデルは、前記履歴及び前記撮像画像に加えて、前記撮像画像に対応する領域に設置された融雪装置の特性を示す装置情報を学習することによって生成され、前記取得部は、前記分析対象画像に対応する領域に設置された融雪装置の前記装置情報を取得し、前記出力部は、前記取得部が取得した前記分析対象画像及び前記装置情報を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力してもよい。
【0010】
前記機械学習モデルは、前記履歴及び前記撮像画像に加えて、前記撮像画像が撮像された日時における前記撮像画像に対応する領域の気象を示す気象情報を学習することによって生成され、前記取得部は、前記分析対象画像が撮像された日時における前記分析対象画像に対応する領域の前記気象情報を取得し、前記出力部は、前記取得部が取得した前記分析対象画像及び前記気象情報を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力してもよい。
【0011】
前記機械学習モデルは、前記履歴及び前記撮像画像に加えて、前記撮像画像が撮像された時間帯を学習することによって生成され、前記出力部は、前記分析対象画像及び前記分析対象画像が撮像された時間帯を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力してもよい。
【0012】
前記情報処理装置は、前記出力部が出力した前記制御情報に応じて前記分析対象画像に対応する領域に設置された融雪装置を制御する装置制御部をさらに有してもよい。
【0013】
前記出力部は、前記制御情報を情報端末に表示させてもよい。
【0014】
前記出力部は、前記制御情報とともに、前記分析対象画像に対応する領域の路面に関する路面情報、前記分析対象画像に対応する領域が含まれている場所に関する場所情報、又は前記分析対象画像に対応する領域に設置された融雪装置の特性を示す装置情報のうち少なくとも1つを、前記情報端末に表示させてもよい。
【0015】
前記情報処理装置は、前記出力部が前記制御情報を前記情報端末に表示させた後に、前記情報端末から前記指示を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた前記指示と、前記分析対象画像と、を用いて前記機械学習モデルを更新する学習部と、をさらに有してもよい。
【0016】
前記取得部は、情報端末から、前記分析対象画像に対応する領域に設置された融雪装置による融雪を調整するための調整情報を取得し、前記出力部は、前記取得部が取得した前記分析対象画像を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を、前記調整情報に応じて変更してもよい。
【0017】
前記記憶部は、複数の前記機械学習モデルと、複数の前記機械学習モデルそれぞれを生成するために用いられた前記撮像画像に対応する領域と、を関連付けて記憶し、前記出力部は、複数の前記機械学習モデルのうち、前記取得部が取得した前記分析対象画像に対応する領域に関連付けられた前記機械学習モデルを用いて、前記制御情報を出力してもよい。
【0018】
前記記憶部は、複数の前記機械学習モデルと、複数の前記機械学習モデルそれぞれを生成するために用いられた、前記撮像画像に対応する領域の路面の特性を示す路面情報、前記撮像画像に対応する領域が含まれている場所の特性を示す場所情報、又は前記撮像画像に対応する領域に設置された融雪装置の特性を示す装置情報のうち少なくとも1つと、を関連付けて記憶し、前記出力部は、複数の前記機械学習モデルのうち、前記取得部が取得した前記分析対象画像に対応する領域の前記路面情報、前記場所情報又は前記装置情報のうち少なくとも1つに関連付けられた前記機械学習モデルを用いて、前記制御情報を出力してもよい。
【0019】
本発明の第2の態様の情報処理方法は、プロセッサが実行する、指示者による指示に応じて行われた融雪装置に対する制御内容の履歴と、前記指示者が前記指示を行った際に参照した当該融雪装置による融雪対象の領域の撮像画像と、を少なくとも含むデータを教師データとして学習することによって生成された機械学習モデルであって、分析対象画像を入力することにより融雪装置に対して行う制御内容を示す制御情報を出力するように構成された機械学習モデルを取得するステップと、前記分析対象画像を取得するステップと、前記取得するステップで取得された前記分析対象画像を前記機械学習モデルに入力することによって出力された前記制御情報を出力するステップと、を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、融雪装置を稼働させるためのコストと融雪装置による融雪の程度とのバランスをとることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施形態に係る融雪システムの模式図である。
【
図2】実施形態に係る融雪システムのブロック図である。
【
図3】管理画面を表示している情報端末の模式図である。
【
図6】出力部が制御情報を出力する方法を説明するための模式図である。
【
図7】出力部が制御情報を表示させる別の方法を説明するための模式図である。
【
図8】実施形態に係る融雪システムが実行する情報処理方法のシーケンス図である。
【
図9】変形例において学習部が機械学習モデルを生成する方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[融雪システムSの概要]
図1は、本実施形態に係る融雪システムSの模式図である。融雪システムSは、管理サーバ1と、融雪装置2と、撮像装置3と、情報端末4と、を含む。融雪システムSは、その他の端末、サーバ、装置等を含んでもよい。
【0023】
管理サーバ1は、撮像装置3によって撮像された撮像画像に基づいて、融雪装置2を制御するための制御情報を出力する情報処理装置である。管理サーバ1は、単一のコンピュータ、又は複数のコンピュータである。また、管理サーバ1は、コンピュータ資源の集合であるクラウド上で作動する一又は複数の仮想的なサーバであってもよい。
【0024】
融雪装置2は、融雪対象の領域である融雪対象領域Rに設けられた、融雪対象領域R上に積もった雪を加熱することにより融かす装置である。融雪対象領域Rは、道路、駐車場、施設等、融雪することが求められている所定の土地である。融雪装置2は、融雪対象領域Rの表面又は内部に設けられる。融雪装置2は、例えば、ガス式ボイラ、灯油式ボイラ、電熱線式ボイラ等の所定の加熱部を有する。融雪装置2は、無線通信又は有線通信により、管理サーバ1から制御信号を受信する。
【0025】
撮像装置3は、融雪対象領域Rの少なくとも一部を撮像することにより、融雪対象領域Rの撮像画像を生成する装置である。撮像装置3は、例えば、融雪対象領域Rの少なくとも一部を撮像するための撮像素子を有する。撮像装置3は、無線通信又は有線通信により、生成した撮像画像を管理サーバ1に送信する。
【0026】
情報端末4は、融雪装置2の稼働指示を行う指示者(例えば、監視員)が使用するコンピュータである。情報端末4は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等の情報端末である。情報端末4は、情報を表示するための液晶ディスプレイ等の表示部と、ユーザによる操作を受け付けるためのタッチパネル等の操作部と、を有する。情報端末4は、無線通信又は有線通信により、管理サーバ1から融雪対象領域Rの撮像画像等の情報を受信し、又はユーザによる融雪装置2の稼働指示を管理サーバ1に送信する。
【0027】
本実施形態に係る融雪システムSが実行する処理の概要を以下に説明する。管理サーバ1は、指示者による稼働指示に応じて行われた融雪装置2に対する制御内容の履歴と、指示者が稼働指示を行った際に参照した融雪対象領域Rの撮像画像と、を少なくとも含むデータを教師データとして学習することによって、機械学習モデルを生成する。制御内容は、例えば、指示者が融雪装置2の稼働を開始又は終了させたことを示す情報である。また、制御内容は、指示者が融雪装置2の温度等の設定を行ったことを示してもよい。
【0028】
機械学習モデルは、分析対象画像を入力することにより融雪装置2に対して行う制御内容を示す制御情報を出力するように構成されている。管理サーバ1は、生成した機械学習モデルを示す情報を記憶部に記憶させる。
【0029】
管理サーバ1は、融雪装置2の稼働制御を行う際の融雪対象領域Rの撮像画像を分析対象画像として機械学習モデルに入力することによって、機械学習モデルが出力した制御情報を取得する。管理サーバ1は、機械学習モデルが出力した制御情報を情報端末4に表示させ、又は機械学習モデルが出力した制御情報に基づいて融雪装置2を自動的に制御する。
【0030】
このように、融雪システムSは、指示者が融雪対象領域Rの撮像画像を参照して行った過去の稼働指示を学習することによって生成された機械学習モデルを用いて、分析対象画像に応じた融雪装置2の制御情報を出力する。指示者は撮像画像を参照して融雪装置2を適切に稼働させるように稼働指示を行っているため、融雪システムSは、指示者の経験や知識を考慮して、融雪対象領域Rの撮像画像に基づいて融雪装置2を稼働させるためのコストと融雪装置2による融雪の程度とのバランスをとることができる。
【0031】
[融雪システムSの構成]
図2は、本実施形態に係る融雪システムSのブロック図である。
図2において、矢印は主なデータの流れを示しており、
図2に示したもの以外のデータの流れがあってもよい。
図2において、各ブロックはハードウェア(装置)単位の構成ではなく、機能単位の構成を示している。そのため、
図2に示すブロックは単一の装置内に実装されてもよく、あるいは複数の装置内に分かれて実装されてもよい。ブロック間のデータの授受は、データバス、ネットワーク、可搬記憶媒体等、任意の手段を介して行われてよい。
【0032】
管理サーバ1は、記憶部11と、制御部12とを有する。記憶部11は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、ハードディスクドライブ等を含む記憶媒体である。記憶部11は、管理サーバ1の外部に設けられてもよく、その場合にネットワークを介して制御部12との間でデータの授受を行ってもよい。
【0033】
記憶部11は、制御部12が実行するプログラムを予め記憶している。また、記憶部11は、融雪対象領域Rの路面の特性を示す路面情報と、融雪対象領域Rの特性を示す場所情報と、融雪装置2の特性を示す装置情報と、を予め記憶している。また、記憶部11は、指示者による稼働指示に応じて行われた融雪装置2に対する制御内容の履歴を示す履歴情報を記憶する。また、記憶部11は、分析対象画像を入力することにより融雪装置2に対して行う制御内容を示す制御情報を出力する機械学習モデルを記憶する。
【0034】
制御部12は、取得部121と、出力部122と、受付部123と、装置制御部124と、学習部125と、を有する。制御部12は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサであり、記憶部11に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部121、出力部122、受付部123、装置制御部124及び学習部125として機能する。また、制御部12の機能の少なくとも一部は、制御部12がネットワーク経由で実行されるプログラムを実行することによって実現されてもよい。
【0035】
<装置制御処理について>
以下、融雪システムSが実行する処理について詳細に説明する。まず、指示者による稼働指示に基づいて融雪装置2の稼働を制御する装置制御処理を説明する。撮像装置3は、融雪対象領域Rの少なくとも一部を撮像することにより、融雪対象領域Rの撮像画像を生成する。撮像画像には、撮像装置3が撮像を行った撮像日時が記録されている。撮像装置3は、所定の時間間隔で繰り返し融雪対象領域Rを撮像し、又は所定条件(融雪対象領域R周辺の気温が閾値以下であること等)が満たされたことに応じて融雪対象領域Rを撮像する。撮像装置3は、生成した撮像画像を、管理サーバ1に送信する。撮像装置3は、生成した撮像画像を管理サーバ1に逐次送信し、又は所定期間の複数の撮像画像を管理サーバ1にまとめて送信する。
【0036】
管理サーバ1において、取得部121は、撮像装置3が送信した融雪対象領域Rの撮像画像を取得する。また、取得部121は、後述の路面情報、場所情報、装置情報又は気象情報等、融雪対象領域Rに関する情報を取得してもよい。
【0037】
出力部122は、取得部121が取得した撮像画像を情報端末4の表示部に表示させる。出力部122は、例えば、取得部121が取得した撮像画像及び融雪対象領域Rに関する情報を表示するための表示情報を情報端末4に送信する。情報端末4は、管理サーバ1が送信した表示情報に従って、撮像画像及び融雪対象領域Rに関する情報を含む管理画面を表示部上に表示する。
【0038】
図3は、管理画面を表示している情報端末4の模式図である。管理画面は、例えば、融雪対象領域Rの撮像画像と、融雪対象領域Rに関する情報と、融雪装置2の稼働指示を受け付ける操作領域と、を含む。操作領域は、例えば、融雪装置2の温度等の設定を行うためのボタンと、融雪装置2の稼働を開始又は終了させるためのボタンと、を含む。
【0039】
指示者は、撮像画像を参照することにより融雪装置2の稼働の要否及び融雪装置2の設定を判断し、情報端末4の操作部を用いて、操作領域において温度等の設定を行うボタンを選択し、又は融雪装置2の稼働を開始又は終了させるボタンを選択する。情報端末4は、指示者による操作に応じて、融雪装置2の稼働の開始又は終了と、融雪装置2の設定と、の少なくとも一方を示す稼働指示を、管理サーバ1に送信する。
【0040】
受付部123は、情報端末4が送信した稼働指示を受け付け、受け付けた稼働指示が示す融雪装置2の稼働の開始又は終了と融雪装置2の設定との少なくとも一方を制御内容として特定する。また、受付部123は、指示者が稼働指示を行った際に出力部122が情報端末4に表示させていた撮像画像を特定する。受付部123は、特定した制御内容を示す履歴情報と、特定した撮像画像と、を関連付けて記憶部11に記憶させる。
【0041】
装置制御部124は、受付部123が特定した制御内容に従って融雪装置2を制御するための制御信号を生成し、融雪装置2に送信する。融雪装置2は、管理サーバ1が送信した制御信号に従って稼働を開始し、稼働を終了し、又は温度等の稼働態様を変更する。
【0042】
<学習処理について>
次に、融雪対象領域Rの撮像画像を入力することにより融雪装置2の制御情報を出力する機械学習モデルを生成する学習処理を説明する。学習部125は、例えば、指示者又はその他のユーザが学習処理を開始させるための指示を行ったことに応じて、学習処理を実行する。
【0043】
図4は、学習処理を説明するための模式図である。学習部125は、記憶部11から、互いに関連付けられた複数の履歴情報及び複数の撮像画像を取得する。学習部125が取得する履歴情報は、指示者による稼働指示に応じて行われた融雪装置2に対する制御内容を示す情報である。学習部125が取得する撮像画像は、指示者が稼働指示を行った際に参照した融雪対象領域Rの撮像画像である。
【0044】
学習部125は、取得した履歴情報(すなわち、制御内容の履歴)及び撮像画像を少なくとも含むデータを教師データとして既知の機械学習処理により学習することによって、機械学習モデルMを生成する。機械学習モデルMは、分析対象とする融雪対象領域Rの撮像画像である分析対象画像を入力することにより、融雪装置2に対して行う制御内容を示す制御情報を出力するように構成される。学習部125は、生成した機械学習モデルMを示す情報を、記憶部11に記憶させる。
【0045】
機械学習モデルMは、例えば、ニューラルネットワークである。機械学習処理は、例えば、誤差逆伝播法である。機械学習モデルMにおいて、融雪対象領域Rの撮像画像が説明変数であり、制御内容が目的変数であり、撮像画像から制御内容が予測される。学習部125は、ここに示した具体的な方法に限られず、その他の方法で機械学習モデルMを生成してもよい。
【0046】
このように、融雪システムSは、指示者による稼働指示に対応する制御内容と、当該稼働指示が行われた際の融雪対象領域Rの撮像画像と、の組み合わせを教師データとして学習することにより、指示者の経験や知識が反映された機械学習モデルMを生成することができる。
【0047】
学習部125は、履歴情報及び撮像画像に加えて、撮像画像に対応する融雪対象領域Rの路面の特性を示す路面情報を学習してもよい。路面情報は、例えば、路面の傾斜の有無又は角度、路面の素材(アスファルト、土、砂利等)、路面の温度等を示す情報である。学習部125は、例えば、記憶部11に予め記憶された路面の傾斜の有無、路面の傾斜の角度、路面の素材を示す路面情報や、融雪装置2が備えるセンサが測定した路面の温度を示す路面情報を取得する。
【0048】
学習部125は、履歴情報、撮像画像及び路面情報を含むデータを教師データとして既知の機械学習処理により学習することによって、機械学習モデルMを生成する。機械学習モデルMは、分析対象画像及び分析対象画像に対応する融雪対象領域Rの路面情報を入力することにより、融雪装置2に対して行う制御内容を示す制御情報を出力するように構成される。
【0049】
例えば、路面に傾斜があると、融けた雪が路面の下方に溜まることにより再凍結しやすいため、融雪装置2を長く稼働させる傾向がある。また、路面の素材により、雪の融けやすさや融けた雪の再凍結のしやすさが異なるため、融雪装置2の稼働時間を変える必要がある。また、路面の温度が低いほど、融雪装置2を長く稼働させる傾向がある。融雪システムSは、履歴情報及び撮像画像に加えて路面情報を学習データとして学習することにより、指示者の経験や知識だけでなく、路面の特性が反映された機械学習モデルMを生成することができる。
【0050】
学習部125は、履歴情報及び撮像画像に加えて、撮像画像に対応する融雪対象領域Rの特性を示す場所情報を学習してもよい。場所情報は、例えば、融雪対象領域Rが駐車場、交差点又は有料道路の料金所付近であるか否か、融雪対象領域Rが施設又はトンネルの出入口に該当するか否か、融雪対象領域Rにおける日当たりの有無、融雪対象領域Rにおける風の有無等を示す情報である。学習部125は、例えば、記憶部11に予め記憶された場所情報を取得する。
【0051】
学習部125は、履歴情報、撮像画像及び場所情報を含むデータを教師データとして既知の機械学習処理により学習することによって、機械学習モデルMを生成する。機械学習モデルMは、分析対象画像及び分析対象画像に対応する融雪対象領域Rの場所情報を入力することにより、融雪装置2に対して行う制御内容を示す制御情報を出力するように構成される。
【0052】
例えば、融雪対象領域Rが駐車場、交差点、有料道路の料金所付近、施設又はトンネルの出入口等に該当する場合に、確実に融雪するために融雪装置2を長く稼働させる傾向がある。また、融雪対象領域Rの日当たりの有無又は風の有無により、雪の融けやすさや再凍結のしやすさが異なるため、融雪装置2の稼働時間を変える必要がある。融雪システムSは、履歴情報及び撮像画像に加えて場所情報を学習データとして学習することにより、指示者の経験や知識だけでなく、場所の特性が反映された機械学習モデルMを生成することができる。
【0053】
学習部125は、履歴情報及び撮像画像に加えて、撮像画像に対応する融雪対象領域Rに設置された融雪装置2の特性を示す装置情報を学習してもよい。装置情報は、例えば、融雪装置2の加熱方式(ガス式、灯油式、電熱線式等)、機種、メーカ等を示す情報である。学習部125は、例えば、記憶部11に予め記憶された装置情報を取得する。
【0054】
学習部125は、履歴情報、撮像画像及び装置情報を含むデータを教師データとして既知の機械学習処理により学習することによって、機械学習モデルMを生成する。機械学習モデルMは、分析対象画像及び分析対象画像に対応する融雪対象領域Rに設置された融雪装置2の装置情報を入力することにより、融雪装置2に対して行う制御内容を示す制御情報を出力するように構成される。
【0055】
例えば、ガス式又は灯油式の融雪装置2は稼働を停止した後も余熱が長く維持されるため、融雪装置2を短く稼働させる傾向がある。一方、電熱線式の融雪装置2は稼働を停止した後にすぐ温度が低下するため、融雪装置2を長く稼働させる傾向がある。また、融雪装置2の機種やメーカにより、雪の融けやすさが異なるため、融雪装置2の稼働時間を変える必要がある。融雪システムSは、履歴情報及び撮像画像に加えて装置情報を学習データとして学習することにより、指示者の経験や知識だけでなく、融雪装置2の特性が反映された機械学習モデルMを生成することができる。
【0056】
学習部125は、履歴情報及び撮像画像に加えて、撮像画像が撮像された撮像日時における撮像画像に対応する融雪対象領域Rの気象を示す気象情報を学習してもよい。気象情報は、例えば、天気、降雪量、気温等を示す情報である。学習部125は、例えば、撮像画像に記録されている撮像日時を取得し、気象情報を提供するサーバから融雪対象領域Rが属する地域における当該撮像日時の気象情報を取得する。
【0057】
学習部125は、履歴情報、撮像画像及び気象情報を含むデータを教師データとして既知の機械学習処理により学習することによって、機械学習モデルMを生成する。機械学習モデルMは、分析対象画像及び分析対象画像の撮像日時における気象情報を入力することにより、融雪装置2に対して行う制御内容を示す制御情報を出力するように構成される。
【0058】
例えば、降雪量が多いほど又は気温が低いほど、確実に融雪するために融雪装置2を長く稼働させる傾向がある。また、天気が曇り又は雪である場合に、天気が晴れである場合よりも、確実に融雪するために融雪装置2を長く稼働させる傾向がある。融雪システムSは、履歴情報及び撮像画像に加えて気象情報を学習データとして学習することにより、指示者の経験や知識だけでなく、融雪対象領域Rにおける気象が反映された機械学習モデルMを生成することができる。
【0059】
学習部125は、履歴情報及び撮像画像に加えて、撮像画像が撮像された撮像日時が属する時間帯を学習してもよい。学習部125は、例えば、撮像画像に記録されている撮像日時を取得し、当該撮像日時が属する時間帯(朝、昼、夕方、夜等の所定の時間範囲)を決定する。
【0060】
学習部125は、履歴情報、撮像画像及び撮像日時が属する時間帯を含むデータを教師データとして既知の機械学習処理により学習することによって、機械学習モデルMを生成する。機械学習モデルMは、分析対象画像及び分析対象画像の撮像日時が属する時間帯を入力することにより、融雪装置2に対して行う制御内容を示す制御情報を出力するように構成される。
【0061】
例えば、撮像画像が撮像された時間帯が夕方又は夜である場合に、撮像画像が撮像された時間帯が朝又は昼である場合よりも、確実に融雪するために融雪装置2を長く稼働させる傾向がある。融雪システムSは、履歴情報及び撮像画像に加えて時間帯を学習データとして学習することにより、指示者の経験や知識だけでなく、撮像画像が撮像された時間帯が反映された機械学習モデルMを生成することができる。
【0062】
学習部125は、履歴情報及び撮像画像に加えて、上述の路面情報、場所情報、装置情報、気象情報又は時間帯のうち2つ以上の情報を、教師データとして学習してもよい。これにより、融雪システムSは、機械学習モデルMが出力する制御情報の精度をさらに向上させることができる。
【0063】
<分析処理について>
次に、融雪対象領域Rの撮像画像に基づいて融雪装置2の制御情報を決定する分析処理を説明する。学習部125は、例えば、指示者又はその他のユーザが分析処理を開始させるための指示(融雪対象領域Rの監視を開始させるための指示等)を行ったことに応じて、学習処理を実行する。
【0064】
図5は、分析処理を説明するための模式図である。管理サーバ1において、取得部121は、撮像装置3が送信した融雪対象領域Rの撮像画像を、分析対象画像として取得する。また、取得部121は、分析対象画像に対応する融雪対象領域Rの路面情報及び場所情報と、当該融雪対象領域Rに設置された融雪対象領域Rの装置情報と、当該分析対象画像の撮像日時における当該融雪対象領域Rの気象情報と、のうち少なくとも1つを取得してもよい。
【0065】
取得部121は、記憶部11に予め記憶された機械学習モデルMを示す情報を取得する。取得部121は、学習部125によって生成された機械学習モデルMを取得してもよく、管理サーバ1とは異なる装置によって生成された機械学習モデルMを取得してもよい。
【0066】
出力部122は、取得部121が取得した分析対象画像を機械学習モデルMに入力することによって、機械学習モデルMが出力した制御情報を取得する。これにより、融雪システムSは、指示者が撮像画像を参照して融雪装置2を適切に稼働させるための経験や知識が反映された機械学習モデルMから出力された制御情報を用いて融雪装置2を制御するため、融雪対象領域Rの撮像画像に基づいて融雪装置2を稼働させるためのコストと融雪装置2による融雪の程度とのバランスをとることができる。
【0067】
出力部122は、取得部121が取得した分析対象画像及び路面情報を機械学習モデルMに入力することによって、機械学習モデルMが出力した制御情報を取得してもよい。出力部122は、例えば、記憶部11に予め記憶された路面の傾斜の有無、路面の傾斜の角度、路面の素材を示す路面情報や、融雪装置2が備えるセンサが測定した路面の温度を示す路面情報を取得し、分析対象画像とともに機械学習モデルMに入力する。これにより、融雪システムSは、指示者の経験や知識だけでなく、路面の特性が反映された機械学習モデルMから出力された制御情報を用いて融雪装置2を制御するため、融雪対象領域Rの撮像画像に基づいて融雪装置2を稼働させるためのコストと融雪装置2による融雪の程度とのバランスをとることができる。
【0068】
出力部122は、取得部121が取得した分析対象画像及び場所情報を機械学習モデルMに入力することによって、機械学習モデルMが出力した制御情報を取得してもよい。出力部122は、例えば、記憶部11に予め記憶された場所情報を取得し、分析対象画像とともに機械学習モデルMに入力する。これにより、融雪システムSは、指示者の経験や知識だけでなく、場所の特性が反映された機械学習モデルMから出力された制御情報を用いて融雪装置2を制御するため、融雪対象領域Rの撮像画像に基づいて融雪装置2を稼働させるためのコストと融雪装置2による融雪の程度とのバランスをとることができる。
【0069】
出力部122は、取得部121が取得した分析対象画像及び装置情報を機械学習モデルMに入力することによって、機械学習モデルMが出力した制御情報を取得してもよい。出力部122は、例えば、記憶部11に予め記憶された装置情報を取得し、分析対象画像とともに機械学習モデルMに入力する。これにより、融雪システムSは、指示者の経験や知識だけでなく、融雪装置2の特性が反映された機械学習モデルMから出力された制御情報を用いて融雪装置2を制御するため、融雪対象領域Rの撮像画像に基づいて融雪装置2を稼働させるためのコストと融雪装置2による融雪の程度とのバランスをとることができる。
【0070】
出力部122は、取得部121が取得した分析対象画像及び気象情報を機械学習モデルMに入力することによって、機械学習モデルMが出力した制御情報を取得してもよい。出力部122は、例えば、気象情報を提供するサーバから分析対象画像に対応する融雪対象領域Rが属する地域における分析対象画像の撮像日時の気象情報を取得し、分析対象画像とともに機械学習モデルMに入力する。これにより、融雪システムSは、指示者の経験や知識だけでなく、融雪対象領域Rにおける気象が反映された機械学習モデルMから出力された制御情報を用いて融雪装置2を制御するため、融雪対象領域Rの撮像画像に基づいて融雪装置2を稼働させるためのコストと融雪装置2による融雪の程度とのバランスをとることができる。
【0071】
出力部122は、取得部121が取得した分析対象画像及び分析対象画像の撮像日時が属する時間帯を機械学習モデルMに入力することによって、機械学習モデルMが出力した制御情報を取得してもよい。出力部122は、例えば、学習部125は、例えば、分析対象画像の撮像日時が属する時間帯を決定し、分析対象画像とともに機械学習モデルMに入力する。これにより、融雪システムSは、指示者の経験や知識だけでなく、撮像画像が撮像された時間帯が反映された機械学習モデルMから出力された制御情報を用いて融雪装置2を制御するため、融雪対象領域Rの撮像画像に基づいて融雪装置2を稼働させるためのコストと融雪装置2による融雪の程度とのバランスをとることができる。
【0072】
出力部122は、分析対象画像に加えて、上述の路面情報、場所情報、装置情報、気象情報又は時間帯のうち2つ以上の情報を、機械学習モデルMに入力してもよい。これにより、融雪システムSは、機械学習モデルMが出力する制御情報の精度をさらに向上させることができる。
【0073】
出力部122は、指示者又はその他のユーザによって指定された調整情報に応じて、機械学習モデルMが出力した制御情報を調整してもよい。この場合に、取得部121は、情報端末4から、指示者又はその他のユーザによって指定された、分析対象画像に対応する融雪対象領域Rに設置された融雪装置2による融雪を調整するための調整情報を取得する。
【0074】
調整情報は、例えば、特定の日付、曜日又は時間帯(例えば、融雪装置2が設置された施設等の休業日)に融雪装置2による融雪を行わないことを示す情報である。また、調整情報は、例えば、複数の融雪装置2それぞれと当該融雪装置2による融雪の程度(例えば、融雪装置2の温度)とを関連付けた情報であってもよい。
【0075】
出力部122は、機械学習モデルMが出力した制御情報を、取得部121が取得した調整情報に応じて変更する。出力部122は、例えば、調整情報が示す特定の日時、曜日又は時間帯に現在日時が該当する場合に、融雪装置2を稼働させないように制御情報を変更する。また、出力部122は、例えば、調整情報において融雪装置2に関連付けられた融雪の程度に融雪装置2を設定するように制御情報を変更する。これにより、融雪システムSは、機械学習モデルMが出力した制御情報に基づいた融雪装置2の稼働を、融雪装置2が設置された施設等の希望に応じて調整することができる。
【0076】
出力部122は、機械学習モデルMが出力した制御情報を出力する。出力部122は、例えば、装置制御部124に制御情報を通知し、又は情報端末4に制御情報を表示させる。
【0077】
図6(a)は、出力部122が装置制御部124に制御情報を通知する方法を説明するための模式図である。装置制御部124は、出力部122から通知された制御情報に応じて、分析対象画像に対応する融雪対象領域Rに設置された融雪装置2を制御する。
【0078】
装置制御部124は、例えば、制御情報が示す制御内容に応じて融雪装置2を制御する制御信号を生成し、融雪装置2に送信する。制御信号は、融雪装置2の稼働を開始させ、融雪装置2の稼働を終了させ、又は融雪装置2の温度等を設定する信号である。融雪装置2は、管理サーバ1が送信した制御信号に従って稼働を開始し、稼働を終了し、又は温度等の稼働態様を変更する。
【0079】
図6(b)は、出力部122が情報端末4に制御情報を表示させる方法を説明するための模式図である。出力部122は、例えば、機械学習モデルMが出力した制御情報を表示するための表示情報を生成し、情報端末4に送信する。
【0080】
表示情報は、分析対象画像と、融雪装置2の稼働を開始させ、融雪装置2の稼働を終了させ、又は融雪装置2の温度等を設定することを文字、記号、画像等により表す制御情報と、を含む。また、表示情報は、分析対象画像に対応する融雪対象領域Rの路面情報及び場所情報と、当該融雪対象領域Rに設置された融雪対象領域Rの装置情報と、当該分析対象画像の撮像日時における当該融雪対象領域Rの気象情報と、のうち少なくとも1つを含んでもよい。情報端末4は、管理サーバ1から受信した表示情報に従って、制御情報を表示部上に表示する。
【0081】
指示者は、情報端末4に表示された分析対象画像及び制御情報を参照することにより、当該制御情報が示す制御内容を許可するか否かを判断し、情報端末4の操作部を用いて当該制御情報が示す制御内容を許可することを示す操作を行う。情報端末4は、情報端末4に表示された許可することを示す稼働指示を、管理サーバ1に送信する。
【0082】
図7は、出力部122が情報端末4に制御情報を表示させる別の方法を説明するための模式図である。出力部122は、例えば機械学習モデルMが出力した制御情報と融雪装置2の現在の稼働状態との差に対応する情報を表示するための表示情報を生成し、情報端末4に送信する。
【0083】
図7の例では、出力部122は、複数の融雪装置2のうち、機械学習モデルMが出力した制御情報と融雪装置2の現在の稼働状態との間に差がある(例えば、不一致である)一又は複数の融雪装置2を抽出する。出力部122は、制御情報が融雪装置2を稼働させることを示しているにも関わらず融雪装置2が稼働していない場合、又は制御情報が融雪装置2を稼働させないことを示しているにも関わらず融雪装置2が稼働している場合に、制御情報と稼働状態との間に差があると判定する。
【0084】
出力部122は、抽出した一又は複数の融雪装置2を示す情報(当該融雪装置2が設置された融雪対象領域Rの名称等)を表示するための表示情報を、情報端末4に送信する。情報端末4は、管理サーバ1から受信した表示情報に従って、機械学習モデルMが出力した制御情報と融雪装置2の現在の稼働状態との間に差がある一又は複数の融雪装置2を示す情報を、表示部上に表示する。情報端末4は、機械学習モデルMが出力した制御情報と融雪装置2の現在の稼働状態との間に差がある一又は複数の融雪装置2が存在する場合に、所定のランプ等を発光させてもよい。
【0085】
出力部122は、複数の融雪装置2のうち、機械学習モデルMが出力した制御情報と融雪装置2の現在の稼働状態との間に差がある一又は複数の融雪装置2と、そうでない一又は複数の融雪装置2と、の表示態様(色、模様、枠線等)を異ならせるための表示情報を、情報端末4に送信してもよい。また、出力部122は、複数の融雪装置2のうち、機械学習モデルMが出力した制御情報と融雪装置2の現在の稼働状態との間に差がある一又は複数の融雪装置2と関連付けて、「融雪装置をONにして下さい。」や「稼働状態に差異が生じている可能性が高い物件があります。画面でご確認ください。」等の指示者に対するメッセージを表示するための表示情報を、情報端末4に送信してもよい。
【0086】
出力部122は、複数の融雪装置2のうち、機械学習モデルMが出力した制御情報と融雪装置2の現在の稼働状態との間に差がある一又は複数の融雪装置2を、そうでない一又は複数の融雪装置2よりも上部に表示させる(並べ替える)ための表示情報を、情報端末4に送信してもよい。
【0087】
出力部122は、表示情報に代えて又は加えて、機械学習モデルMが出力した制御情報と融雪装置2の現在の稼働状態との間に差がある一又は複数の融雪装置2を示す音声を出力するための音声情報を、情報端末4に送信してもよい。情報端末4は、管理サーバ1から受信した音声情報に従って、機械学習モデルMが出力した制御情報と融雪装置2の現在の稼働状態との間に差がある一又は複数の融雪装置2を示す音声を、スピーカから出力示する。
【0088】
これらの構成により、融雪システムSは、複数の融雪装置2の中で、機械学習モデルMが出力した制御情報に応じた稼働指示が必要な融雪装置2を、指示者が把握しやすくすることができる。
【0089】
管理サーバ1において、受付部123は、情報端末4が送信した稼働指示を受け付ける。受付部123が稼働指示を受け付けたことを条件として、装置制御部124は、例えば、制御情報が示す制御内容に応じて融雪装置2を制御する制御信号を生成し、融雪装置2に送信する。制御信号は、融雪装置2の稼働を開始させ、融雪装置2の稼働を終了させ、又は融雪装置2の温度等を設定する信号である。融雪装置2は、管理サーバ1が送信した制御信号に従って稼働を開始し、稼働を終了し、又は温度等の稼働態様を変更する。これにより、融雪システムSは、指示者による判断を受け付けた上で、機械学習モデルMが出力した制御情報を用いて融雪装置2を制御できる。
【0090】
学習部125は、出力部122が情報端末4に制御情報を表示させた後に、受付部123が受け付けた稼働指示と、分析対象画像と、を用いて機械学習モデルMを更新してもよい。学習部125は、例えば、分析対象画像に対して稼働指示が行われたこと又は行われなかったことを示す情報を履歴情報に追加するとともに、当該分析対象画像を撮像画像に追加した上で、上述の機械学習処理により学習することによって、機械学習モデルMを更新する。これにより、融雪システムSは、機械学習モデルMが出力した制御情報が示す制御内容を指示者が許可したか否かを機械学習モデルMに反映し、機械学習モデルMが出力する制御情報の精度を向上させることができる。
【0091】
[情報処理方法のシーケンス]
図8は、本実施形態に係る融雪システムSが実行する情報処理方法のシーケンス図である。管理サーバ1において、取得部121は、撮像装置3が送信した融雪対象領域Rの撮像画像を、分析対象画像として取得する(S11)。また、取得部121は、分析対象画像に対応する融雪対象領域Rの路面情報及び場所情報と、当該融雪対象領域Rに設置された融雪対象領域Rの装置情報と、当該分析対象画像の撮像日時における当該融雪対象領域Rの気象情報と、のうち少なくとも1つを取得してもよい。
【0092】
取得部121は、記憶部11に予め記憶された機械学習モデルMを示す情報を取得する(S12)。取得部121は、学習部125によって生成された機械学習モデルMを取得してもよく、管理サーバ1とは異なる装置によって生成された機械学習モデルMを取得してもよい。
【0093】
出力部122は、取得部121が取得した分析対象画像を機械学習モデルMに入力することによって、機械学習モデルMが出力した制御情報を取得する(S13)。出力部122は、分析対象画像に加えて、路面情報、場所情報、装置情報、気象情報又は時間帯のうち少なくとも1つを、機械学習モデルMに入力してもよい。
【0094】
出力部122は、機械学習モデルMが出力した制御情報を出力する(S14)。出力部122は、例えば、出力部122から通知された制御情報を表示するための表示情報を生成し、情報端末4に送信する。情報端末4は、管理サーバ1から受信した表示情報に従って、制御情報を表示部上に表示する。
【0095】
指示者は、情報端末4に表示された分析対象画像及び制御情報を参照することにより、当該制御情報が示す制御内容を許可するか否かを判断し、情報端末4の操作部を用いて当該制御情報が示す制御内容を許可することを示す操作を行う。情報端末4は、情報端末4に表示された許可することを示す稼働指示を、管理サーバ1に送信する(S15)。
【0096】
管理サーバ1において、受付部123は、情報端末4が送信した稼働指示を受け付ける。受付部123が稼働指示を受け付けたことを条件として、装置制御部124は、例えば、制御情報が示す制御内容に応じて融雪装置2を制御する制御信号を生成し、融雪装置2に送信する(S16)。融雪装置2は、管理サーバ1が送信した制御信号に従って稼働を開始し、稼働を終了し、又は温度等の稼働態様を変更する(S17)。
【0097】
学習部125は、出力部122が情報端末4に制御情報を表示させた後に、受付部123が受け付けた稼働指示と、分析対象画像と、を用いて機械学習モデルMを更新する(S18)。
【0098】
[実施形態の効果]
本実施形態に係る融雪システムSによれば、管理サーバ1は、指示者が融雪対象領域Rの撮像画像を参照して行った過去の稼働指示を学習することによって生成された機械学習モデルMを用いて、分析対象画像に応じた融雪装置2の制御情報を出力する。これにより、融雪システムSは、指示者が撮像画像を参照して融雪装置2を適切に稼働させるための経験や知識を考慮して、融雪対象領域Rの撮像画像に基づいて融雪装置2を稼働させるためのコストと融雪装置2による融雪の程度とのバランスをとることができる。
【0099】
[変形例]
本変形例に係る融雪システムSは、路面情報、場所情報又は装置情報等、融雪対象領域Rに関する情報ごとに機械学習モデルMを生成し、又は融雪対象領域Rごとに機械学習モデルMを生成する。以下、上述の実施形態とは異なる点を主に説明する。
【0100】
図9(a)は、本変形例において学習部125が融雪対象領域Rに関する情報ごとに機械学習モデルMを生成する方法を説明するための模式図である。
図9(a)は、学習部125が装置情報ごとに異なる複数の機械学習モデルMを生成する例を表している。
【0101】
学習処理の際に、学習部125は、学習処理に用いる複数の撮像画像それぞれに対して、上述の路面情報、場所情報又は装置情報のうち少なくとも1つを取得する。学習部125は、複数の撮像画像を、取得した路面情報、場所情報又は装置情報の少なくとも1つが共通するグループに分類する。学習部125は、分類されたグループそれぞれに属する撮像画像と履歴情報とを少なくとも含むデータを教師データとして既知の機械学習処理により学習することによって、当該グループに対応する機械学習モデルMを生成する。学習部125は、生成した機械学習モデルMを示す情報を、当該機械学習モデルMに対応するグループの路面情報、場所情報又は装置情報の少なくとも1つと関連付けて記憶部11に記憶させる。
【0102】
分析処理の際に、取得部121は、撮像装置3が送信した融雪対象領域Rの撮像画像を、分析対象画像として取得する。また、取得部121は、分析対象画像に対応する融雪対象領域Rの路面情報及び場所情報と、当該融雪対象領域Rに設置された融雪対象領域Rの装置情報と、のうち少なくとも1つを取得する。取得部121は、記憶部11から、分析対象画像に対応する融雪対象領域Rの路面情報、場所情報又は装置情報の少なくとも1つに関連付けられた機械学習モデルMを示す情報を取得する。
【0103】
出力部122は、取得部121が取得した分析対象画像を機械学習モデルMに入力することによって、機械学習モデルMが出力した制御情報を取得する。これにより、融雪システムSは、路面情報、場所情報又は装置情報等、融雪対象領域Rに関する情報ごとに機械学習モデルMを切り替え、融雪装置2に対して融雪対象領域Rに適した制御をすることができる。
【0104】
図9(b)は、本変形例において学習部125が融雪対象領域Rごとに機械学習モデルMを生成する方法を説明するための模式図である。
図9(b)は、学習部125が融雪対象領域Rの場所ごとに異なる複数の機械学習モデルMを生成する例を表している。
【0105】
学習処理の際に、学習部125は、学習処理に用いる複数の撮像画像を、当該撮像画像に対応する融雪対象領域Rごとのグループに分類する。学習部125は、分類されたグループそれぞれに属する撮像画像と履歴情報とを少なくとも含むデータを教師データとして既知の機械学習処理により学習することによって、当該グループに対応する機械学習モデルMを生成する。学習部125は、生成した機械学習モデルMを示す情報を、当該機械学習モデルMに対応するグループの融雪対象領域Rと関連付けて記憶部11に記憶させる。
【0106】
分析処理の際に、取得部121は、撮像装置3が送信した融雪対象領域Rの撮像画像を、分析対象画像として取得する。取得部121は、記憶部11から、分析対象画像に対応する融雪対象領域Rに関連付けられた機械学習モデルMを示す情報を取得する。
【0107】
出力部122は、取得部121が取得した分析対象画像を機械学習モデルMに入力することによって、機械学習モデルMが出力した制御情報を取得する。これにより、融雪システムSは、融雪対象領域Rごとに機械学習モデルMを切り替え、融雪装置2に対して融雪対象領域Rに適した制御をすることができる。
【0108】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【0109】
管理サーバ1、融雪装置2及び情報端末4のプロセッサは、
図8に示す情報処理方法に含まれる各ステップ(工程)を実行する。すなわち、管理サーバ1、融雪装置2及び情報端末4のプロセッサは、
図8に示す情報処理方法を実行するためのプログラムを実行することによって、
図8に示す情報処理方法を実行する。
図8に示す情報処理方法に含まれるステップは一部省略されてもよく、ステップ間の順番が変更されてもよく、複数のステップが並行して行われてもよい。
【符号の説明】
【0110】
S 融雪システム
1 管理サーバ
11 記憶部
12 制御部
121 取得部
122 出力部
123 受付部
124 装置制御部
125 学習部
2 融雪装置
3 撮像装置
4 情報端末