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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080015
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】冷蔵庫およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/02 20060101AFI20240606BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
F25D23/02 306M
F25D11/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192826
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】森脇 実
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 浩太
(72)【発明者】
【氏名】竹内 慎
(72)【発明者】
【氏名】氏田 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】上山 英夫
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 司
(72)【発明者】
【氏名】富山 真年
【テーマコード(参考)】
3L045
3L102
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045LA01
3L045MA11
3L045NA15
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L102JA01
3L102KA01
3L102KB14
3L102KB23
(57)【要約】
【課題】利便性の向上を図ることができる冷蔵庫を提供することである。
【解決手段】実施形態の冷蔵庫は、扉を駆動することにより前記扉を開く開扉装置と、使用者の操作に応じて前記開扉装置を動作させる信号を出力する出力部と、前記開扉装置により前記扉を開く間の前記扉の運動状態に関連する量に基づいて、前記開扉装置の駆動状態を決定する決定部と、前記駆動状態に基づいて、前記開扉装置を制御する制御部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
扉を駆動することにより前記扉を開く開扉装置と、
使用者の操作に応じて前記開扉装置を動作させる信号を出力する出力部と、
前記開扉装置により前記扉を開く間の前記扉の運動状態に関連する量に基づいて、前記開扉装置の駆動状態を決定する決定部と、
前記駆動状態に基づいて、前記開扉装置を制御する制御部と、
を備える冷蔵庫。
【請求項2】
前記運動状態は、前記開扉装置の動作開始から前記扉が所定状態まで開くまでの時間であり、
前記開扉装置は、前記扉を押圧することにより前記扉を開くことが可能であり、
前記時間を計測する計測部を備え、
前記駆動状態は、前記扉が前記所定状態になった後の前記開扉装置による押圧の継続時間、または前記扉が前記所定状態になった後の前記開扉装置による押圧の強さの少なくとも一方であり、
前記決定部は、前記時間に基づいて、前記駆動状態を決定する、
請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記開扉装置による押圧の強さの基準値を設定する第1設定部を備え、
前記決定部は、前記時間および前記基準値に基づいて、前記駆動状態を決定する、
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記制御部は、
前記出力部が前記信号を出力し、前記基準値の強さで前記扉が押圧された場合に、前記計測部が計測した前記時間に応じて決定された前記継続時間だけ前記扉の押圧を継続させるように、前記開扉装置による前記押圧の強さを制御する、
請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記制御部は、前記計測部が計測した前記時間に関連する所定条件が満たされた場合、前記押圧の強さを調整する、
請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記出力部が前記信号を出力し、前記基準値の強さで前記扉が押圧された場合に、前記計測部が計測した前記時間を記録する記録部、
を備え、
前記制御部は、
前記計測部が計測する時間が、前記記録部の記録した前記時間との差が所定時間以内になるように、前記開扉装置を制御する、
請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記押圧の強さの上限値および下限値を設定する第2設定部、
を備え、
前記制御部は、
前記押圧の強さが前記上限値と前記下限値との間の値以外とならないように、前記開扉装置を制御する、
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記制御部は、
前記出力部が前記信号を出力し、前記基準値の強さで前記扉が押圧された場合に、前記扉が前記所定状態になった後、前記決定部が決定した前記継続時間よりも短い時間だけ前記扉の押圧を継続させるように、前記開扉装置を制御する、
請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記扉は、第1扉および第2扉を備え、
前記開扉装置は、前記第1扉を押圧することにより前記第1扉を開く第1開扉装置、および前記第2扉を押圧することにより前記第2扉を開く第2開扉装置を備え、
前記決定部は、前記第1開扉装置の押圧および前記第2開扉装置の押圧を互いに独立して継続させられるように、前記第1開扉装置および前記第2開扉装置のそれぞれの駆動状態を決定する、
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
前記扉は、第1収納向けの第1扉、および前記第1収納に隣接した第2収納向けの第2扉を備え、
前記開扉装置は、前記第1扉を押圧することにより前記第1扉を開く第1開扉装置、および前記第2扉を押圧することにより前記第2扉を開く第2開扉装置を備え、
前記制御部は、
前記第1扉の状態に基づいて前記第2開扉装置を制御する、
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
人物を検出する検出部、
を備え、
前記制御部は、
前記検出部が前記人物を検出した場合、前記扉が前記所定状態になった後、前記決定部が決定した前記継続時間よりも短い時間だけ前記扉の押圧を継続させるように、前記開扉装置を制御する、
請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項12】
外部の端末装置が通信網を介して送信した前記開扉装置による押圧の強さの基準値を受信する受信部、
を備え、
前記第1設定部は、
前記受信部が受信した前記基準値を設定する、
請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項13】
請求項1に記載の冷蔵庫に、通信網を介して、前記開扉装置に関連する第1設定および前記冷蔵庫の庫内照明に関連する第2設定を送信する端末装置のコンピュータに、
前記第1設定および前記第2設定を同一の画面に表示させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
開扉装置を用いて最適に開扉する冷蔵庫が知られている。冷蔵庫は、さらなる利便性の向上が期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-214488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、利便性の向上を図ることができる冷蔵庫およびコンピュータプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、扉を駆動することにより前記扉を開く開扉装置と、使用者の操作に応じて前記開扉装置を動作させる信号を出力する出力部と、前記開扉装置により前記扉を開く間の前記扉の運動状態に関連する量に基づいて、前記開扉装置の駆動状態を決定する決定部と、前記駆動状態に基づいて、前記開扉装置を制御する制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の冷蔵庫の構成の一例を示す第1の図。
図2図1に示す冷蔵庫のF2-F2線に沿う断面図。
図3】実施形態の左冷蔵室扉および右冷蔵室扉の構成の一例を示す図。
図4】実施形態の開扉操作部の一例を示す図。
図5】実施形態の制御装置の構成の一例を示す図。
図6】実施形態の決定部が行う継続時間を決定する処理を説明するための図。
図7】実施形態において利用者が操作パネルに対して行うデューティ比を変更する操作を説明するための図。
図8】実施形態の冷蔵庫の処理フローの一例を示す図。
図9】実施形態の計測部が計測した時間の一例を示す図。
図10】比較対象の冷蔵庫の設置の一例を示す図。
図11】実施形態の第1変形例の制御部が行う開扉装置に印加する電圧のデューティ比を変更する制御を説明するための図。
図12】実施形態の第1変形例の冷蔵庫が記憶する条件を満たす回数を説明するための図。
図13】実施形態の第2変形例の冷蔵庫が設定する押圧の強弱の一例を示す図。
図14】実施形態の第8変形例の端末装置が表示する表示の一例を示す第1の図。
図15】実施形態の第8変形例の端末装置が表示する表示の一例を示す第2の図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含み得る。「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含み得る。「XXまたはYY」とは、XXとYYのうちいずれか一方の場合に限定されず、XXとYYの両方の場合も含み得る。これは選択的要素が3つ以上の場合も同様である。「XX」および「YY」は、任意の要素(例えば任意の情報)である。
【0008】
本明細書では、冷蔵庫の正面に立つ利用者から冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つ利用者に近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。図中において、+X方向が右方向、-X方向が左方向、+Y方向が後方向、-Y方向が前方向、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向である。
【0009】
(実施形態)
(冷蔵庫の構成)
図1から図7を参照し、実施形態の冷蔵庫1について説明する。まず、冷蔵庫1の構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成のすべてを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
【0010】
図1は、実施形態の冷蔵庫1の構成の一例を示す第1の図である。図1は、冷蔵庫1の斜視図である。図2は、実施形態の冷蔵庫1の構成の一例を示す第2の図である。図2は、図1に示す冷蔵庫1のF2-F2線に沿う断面図である。冷蔵庫1は、図1および図2に示すように、筐体10、複数の扉11、複数の棚12、複数の容器13、流路形成部品14、冷却ユニット15、制御装置16、および開扉装置17(押圧装置の一例)を備える。
【0011】
筐体10は、上壁21、下壁22、左側壁23、右側壁24、および後壁25を備える。上壁21および下壁22は、略水平に広がっている。左側壁23は、下壁22の左端部から上方に起立し、上壁21の左端部に繋がる。右側壁24は、下壁22の右端部から上方に起立し、上壁21の右端部に繋がる。後壁25は、下壁22の後端部から上方に起立し、上壁21の後端部に繋がる。例えば、筐体10は、発泡ウレタンのような発泡状の断熱材を含み、断熱性を有する。
【0012】
筐体10の内部には、複数の貯蔵室27が設けられる。貯蔵室27は、食材を貯蔵可能である。例えば、貯蔵室27は、冷蔵室27A、野菜室27B、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eを含む。本実施形態では、最上部に冷蔵室27Aが配置され、冷蔵室27Aの下方に野菜室27Bが配置され、野菜室27Bの下方に製氷室27Cおよび小冷凍室27Dが配置され、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dの下方に主冷凍室27Eが配置されている。ただし、貯蔵室27の配置は、上記例に限定されない。筐体10は、各貯蔵室27の前面側に、各貯蔵室27に対して食材の出し入れを可能にする開口部を有する。
【0013】
各貯蔵室27の開口部は、複数の扉11のうちの対応する扉11によって開閉可能に閉じられる。複数の扉11は、例えば、冷蔵室27Aの開口部を閉じる左冷蔵室扉11Aaおよび右冷蔵室扉11Abと、野菜室27Bの開口部を閉じる野菜室扉11Bと、製氷室27Cの開口部を閉じる製氷室扉11Cと、小冷凍室27Dの開口部を閉じる小冷凍室扉11Dと、主冷凍室27Eの開口部を閉じる主冷凍室扉11Eとを含む。左冷蔵室扉11Aaおよび右冷蔵室扉11Abは、フレンチ扉(観音開き扉)を構成する。以下、左冷蔵室扉11Aaおよび右冷蔵室扉11Abを総称して、扉11Aということがある。
【0014】
筐体10は、図2に示すように、仕切部28、29を有する。例えば、仕切部28、29は、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。仕切部28は、冷蔵室27Aと野菜室27Bとの間に位置し、冷蔵室27Aと野菜室27Bとを仕切る。一方で、第2仕切部29は、野菜室27Bと、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dとの間に位置し、野菜室27Bと、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dとを仕切る。
【0015】
複数の棚12は、冷蔵室27Aに配置される。複数の容器13は、冷蔵室27Aに配置される冷蔵室容器13A(例えば、チルド室容器)、野菜室27Bに配置される野菜室容器13Ba、13Bb、製氷室27Cに配置される製氷室容器(不図示)、小冷凍室27Dに配置される小冷凍室容器13D、および主冷凍室27Eに配置される主冷凍室容器13Ea、13Ebを含む。
【0016】
流路形成部品14は、筐体10内に配置される。例えば、流路形成部品14は、ダクト部品14Aと、ダクト部品14Bとを含む。ダクト部品14Aは、筐体10の後壁25に沿って設けられ、鉛直方向に延びる。ダクト部品14Aと筐体10の後壁25との間には、冷気(空気)が流れる通路であるダクト空間S1が形成される。ダクト部品14Aは、冷蔵室27Aに開口した複数の冷気吹出口h1と、野菜室27Bに開口した冷気戻り口h2とを有する。ダクト部品14Bは、筐体10の後壁25に沿って設けられ、鉛直方向に延びる。ダクト部品14Bと筐体10の後壁25との間には、冷気(空気)が流れる通路であるダクト空間S2が形成される。ダクト部品14Bは、製氷室27Cおよび小冷凍室27Dなどに開口した複数の冷気吹出口h3と、主冷凍室27Eに開口した冷気戻り口h4とを有する。
【0017】
冷却ユニット15は、冷却ユニット15Aと、冷却ユニット15Bと、圧縮機45とを備える。例えば、冷却ユニット15Aは、それぞれダクト空間S1に配置される冷却器41およびファン42を備える。ファン42が駆動されると、野菜室27Bの空気は、冷気戻り口h2からダクト空間S1内に流入して冷却器41によって冷却される。冷却器41によって冷却された冷気は、複数の冷気吹出口h1から冷蔵室27Aに吹き出される。これにより、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bで冷気が循環され、冷蔵室27Aおよび野菜室27Bの冷却が行われる。
【0018】
例えば、冷却ユニット15Bは、それぞれダクト空間S2に配置される冷却器43およびファン44を備える。ファン44が駆動されると、主冷凍室27Eの空気は、冷気戻り口h4からダクト空間S2内に流入して冷却器43によって冷却される。冷却器43によって冷却された冷気は、冷気吹出口h3から製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eに吹き出される。これにより、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eで冷気が循環され、製氷室27C、小冷凍室27D、および主冷凍室27Eの冷却が行われる。
【0019】
圧縮機45は、図2に示すように、例えば、冷蔵庫1の底部の機械室に設けられる。圧縮機45は、貯蔵室27の冷却に用いられる冷媒ガスを圧縮する。圧縮機45により圧縮された冷媒ガスは、放熱パイプなどを経由して、冷却器41、43に送られる。
【0020】
制御装置16は、冷蔵庫1全体を統括的に制御する。例えば、制御装置16は、冷蔵室27Aおよび主冷凍室27Eなどに設けられる温度センサの検出結果に基づき、ファン42、44、および圧縮機45それぞれの駆動を制御する。例えば、制御装置16は、図2に示すように、筐体10の上壁21の上にカバー18とともに取り付けられる。制御装置16の詳細については後述する。
【0021】
開扉装置17は、筐体10の上壁21に設けられる。開扉装置17は、左開扉装置17A(第2開扉装置の一例)および右開扉装置17B(第1開扉装置の一例)を備える。
【0022】
左開扉装置17Aは、閉じた状態の左冷蔵室扉11Aaの上端部の後方に配置されている。左開扉装置17Aは、左冷蔵室扉11Aaに設けられる後述する開扉操作部91(第2出力部の一例)が利用者の操作を受け付けた場合に、プランジャ17pを押し出すことにより、左冷蔵室扉11Aaを前方に押す。例えば、左開扉装置17Aがソレノイドを備える場合、左開扉装置17Aは、電磁石によりプランジャ17pを押し出すことにより、左冷蔵室扉11Aaを前方に押す。これにより、左開扉装置17Aは、左冷蔵室扉11Aaを自動で開くことができる。すなわち、左開扉装置17Aにより、利用者が左冷蔵室扉11Aaを動かさずに、左冷蔵室扉11Aaが開く。
【0023】
同様に、右開扉装置17Bは、右冷蔵室扉11Abに設けられる後述する開扉操作部92(第1出力部の一例)が利用者の操作を受け付けた場合に、プランジャ17pを押し出すことにより、右冷蔵室扉11Abを前方に押す。例えば、右開扉装置17Bがソレノイドを備える場合、右開扉装置17Bは、電磁石によりプランジャ17pを押し出すことにより、右冷蔵室扉11Abを前方に押す。これにより、右開扉装置17Bは、右冷蔵室扉11Abを自動で開くことができる。すなわち、右開扉装置17Bにより、利用者が右冷蔵室扉11Abを動かさずに、右冷蔵室扉11Abが開く。ただし、左開扉装置17A、および右開扉装置17Bの方式は、上記方式に限定されない。なお、開扉装置17が例えばソレノイドのような印加される電圧のデューティ比に応じて押圧を変更可能な装置を備える場合、開扉装置17に印加する電圧のデューティ比を変更することにより、開扉装置17による押圧の強さを変更することができる。
【0024】
冷蔵庫1は、図1、2に示すように、上記構成に加えて、人感センサ61(検出部の一例)、操作パネル71(操作部の一例)、パネル制御部72、開扉操作部91(出力部の一例)、92(出力部の一例)、スイッチ202(202A、202B)、204、205、206、207、および通信装置208を備える。
【0025】
人感センサ61は、例えば、冷蔵庫1の前部(例えば、右冷蔵室扉11Ab)に設けられ、冷蔵庫1の周囲(例えば冷蔵庫1の前方)に存在する利用者を検知可能である。人感センサ61は、例えば赤外線の変化に基づき利用者の存在を検知可能なセンサである。ただし、人感センサ61は、特定の方式のセンサに限定されず、冷蔵庫の周囲に存在する利用者を検知可能なセンサであればよい。人感センサ61は、例えば後述する開扉操作部91、92のセンサ95、96と比べて遠方(例えば冷蔵庫1から数10cmの位置)に存在する利用者を検知可能である。本明細書で「冷蔵庫の周囲(筐体の周囲)に存在する利用者を検知可能」とは、冷蔵庫の全周囲で利用者を検知可能であることに限定されず、冷蔵庫の周囲(筐体の周囲)における少なくとも一方向(例えば前方)に存在する利用者を検知可能であることを意味する。
【0026】
操作パネル71は、例えば、冷蔵室27A内の左面(すなわち、左側壁23の内側)に設けられている。操作パネル71は、画像を表示可能な表示画面71aを有する。画像の例としては、左開扉装置17Aおよび右開扉装置17Bの設定に関する情報を含む静止画や動画などが挙げられる。操作パネル71は、例えば、液晶パネル、有機EL(Organic Electro-Luminescence)パネル、またはマイクロLED(Light Emitting Diode)パネルなどであるが、これらに限定されない。操作パネル71は、制御装置16による制御の下でパネル制御部72によって制御される。本実施形態では、制御装置16とパネル制御部72とにより、操作パネル71を制御する制御部CTRが構成されている。
【0027】
操作パネル71は、表示画面71aに配置されるタッチセンサ(タッチパネル)を含み、利用者の操作を受け付けることができる。例えば、利用者は、左開扉装置17Aおよび右開扉装置17Bの設定に関する操作を操作パネル71に対して行うことができる。
【0028】
開扉操作部91、92は、開扉装置17を動作させる利用者の操作を受け付け可能な操作部である。例えば、開扉操作部91は、左冷蔵室扉11Aaに設けられ、左開扉装置17Aを動作させる利用者の操作を受け付け可能である。また、例えば、開扉操作部92は、右冷蔵室扉11Abに設けられ、右開扉装置17Bを動作させる利用者の操作を受け付け可能である。開扉操作部91、92の詳細については、後述する。
【0029】
スイッチ202(202A、202B)は、扉11の開閉を検出するスイッチである。例えば、スイッチ202Aは、左冷蔵室扉11Aaが開状態になるとオン状態になり、左冷蔵室扉11Aaが開状態であることを示す信号を制御装置16に出力する。また、スイッチ202Aは、左冷蔵室扉11Aaが閉状態になるとオフ状態になり、制御装置16に信号を出力しない。なお、スイッチ202Aが制御装置16に信号を出力しない場合、制御装置16は、スイッチ202Aがオフ状態である、すなわち、左冷蔵室扉11Aaが閉状態であると判定する。
【0030】
また、例えば、スイッチ202Bは、右冷蔵室扉11Abが開状態になるとオン状態になり、右冷蔵室扉11Abが開状態であることを示す信号を制御装置16に出力する。また、スイッチ202Bは、右冷蔵室扉11Abが閉状態になるとオフ状態になり、制御装置16に信号を出力しない。なお、スイッチ202Bが制御装置16に信号を出力しない場合、制御装置16は、スイッチ202Bがオフ状態である、すなわち、右冷蔵室扉11Abが閉状態であると判定する。
【0031】
スイッチ204は、野菜室扉11Bの開閉を検出するスイッチである。例えば、スイッチ204は、野菜室扉11Bが開状態になるとオン状態になり、野菜室扉11Bが開状態であることを示す信号を制御装置16に出力する。また、スイッチ204は、野菜室扉11Bが閉状態になるとオフ状態になり、制御装置16に信号を出力しない。なお、スイッチ204が制御装置16に信号を出力しない場合、制御装置16は、スイッチ204がオフ状態である、すなわち、野菜室扉11Bが閉状態であると判定する。
【0032】
スイッチ205は、製氷室扉11Cの開閉を検出するスイッチである。例えば、スイッチ205は、製氷室扉11Cが開状態になるとオン状態になり、製氷室扉11Cが開状態であることを示す信号を制御装置16に出力する。また、スイッチ205は、製氷室扉11Cが閉状態になるとオフ状態になり、制御装置16に信号を出力しない。なお、スイッチ205が制御装置16に信号を出力しない場合、制御装置16は、スイッチ205がオフ状態である、すなわち、製氷室扉11Cが閉状態であると判定する。
【0033】
スイッチ206は、小冷凍室扉11Dの開閉を検出するスイッチである。例えば、スイッチ206は、小冷凍室扉11Dが開状態になるとオン状態になり、小冷凍室扉11Dが開状態であることを示す信号を制御装置16に出力する。また、スイッチ206は、小冷凍室扉11Dが閉状態になるとオフ状態になり、制御装置16に信号を出力しない。なお、スイッチ206が制御装置16に信号を出力しない場合、制御装置16は、スイッチ206がオフ状態である、すなわち、小冷凍室扉11Dが閉状態であると判定する。
【0034】
スイッチ207は、主冷凍室扉11Eの開閉を検出するスイッチである。例えば、スイッチ207は、主冷凍室扉11Eが開状態になるとオン状態になり、主冷凍室扉11Eが開状態であることを示す信号を制御装置16に出力する。また、スイッチ207は、主冷凍室扉11Eが閉状態になるとオフ状態になり、制御装置16に信号を出力しない。なお、スイッチ207が制御装置16に信号を出力しない場合、制御装置16は、スイッチ207がオフ状態である、すなわち、主冷凍室扉11Eが閉状態であると判定する。
【0035】
通信装置208は、通信網を介して外部装置と通信可能な装置である。装置の例としては、サーバ装置、スマートフォンなどが挙げられる。なお、通信装置208が通信網を介して行う通信は、有線による通信であっても、無線による通信であってもよい。
【0036】
(左冷蔵室扉および右冷蔵室扉の構成)
図3は、実施形態の左冷蔵室扉11Aaおよび右冷蔵室扉11Abの構成の一例を示す図である。左冷蔵室扉11Aaの前面には、前面板97が設けられる。また、右冷蔵室扉11Abの前面には、前面板98が設けられる。前面板97は、左冷蔵室扉11Aaの前面を形成する。前面板98は、右冷蔵室扉11Abの前面を形成する。開扉操作部91は、左冷蔵室扉11Aaにおいて前面板97の後方に配置され、前面板97の後面に沿って位置する。また、開扉操作部92は、右冷蔵室扉11Abにおいて前面板98の後方に配置され、前面板97の後面に沿って位置する。前面板97、98は、例えば、硝子部材により構成させる。
【0037】
左冷蔵室扉11Aaの下部には、開扉操作部91が設けられる。また、右冷蔵室扉11Abの下部には、開扉操作部92が設けられる。なお、左冷蔵室扉11Aaの表面には、開扉操作部91が存在することを示す操作表示部91Aが設けられてもよい。また、右冷蔵室扉11Abの表面には、開扉操作部92が存在することを示す操作表示部92Aが設けられてもよい。
【0038】
図4は、実施形態の開扉操作部91、92の一例を示す図である。開扉操作部91は、図4に示すように、センサ95(センサ95-1~95-5)を備える。また、開扉操作部92は、図4に示すように、センサ96(センサ96-1~96-5)を備える。センサ95および96は、操作表示部91Aの左右方向に5つ並べられるマークと、開扉操作部92の左右方向に5つ並べられるマークとが対向するように設けられる。例えば、センサ95、96は、利用者の手を検知可能な静電容量式センサである。つまり、センサ95、96は、開扉操作部91、92それぞれに利用者が手を接触させると、利用者の手の接触を検知する接触センサである。これらのセンサ95-1~95-5、96-1~96-5は、それぞれ利用者の接触による静電容量変化を検知して検知信号(使用者の操作に応じて開扉装置を動作させる信号の一例)を制御装置16に送信するように設定される。例えば、開扉操作部91、92は、開扉スイッチ(タッチオープンスイッチ)である。
【0039】
なお、センサ95、96が利用者の人体の検知をする際には、制御装置16は、センサ95、96の感度を高く切り替えて実施することができてもよい。例えば、センサ95-1~95-5、センサ96-1~96-5それぞれの感度が異なり、センサ95-1~95-5、センサ96-1~96-5それぞれを有効または無効に切り替えることにより、感度を切り替えることができる。なお、センサ95、96は、感度を高く切り替えることで、静電容量式センサを、接触センサではなく近接センサとして使用されてもよい。
【0040】
また、左冷蔵室扉11Aaおよび右冷蔵室扉11Abは、図3に示すように、操作表示部91A、92Aそれぞれよりも下側の下端面部分に、利用者が手のひらを上向きにして指を差し入れ、手前側に引く操作によって左冷蔵室扉11Aa、右冷蔵室扉11Abそれぞれを個別に手動開扉できる把手93、94を有する。
【0041】
右冷蔵室扉11Abの下端部には、図3に示すように、例えば、スピーカ32およびマイク33(検出部の一例)が設けられてもよい。また、右冷蔵室扉11Abの前面においてスピーカ32およびマイク33が設けられる部分の近傍には、音声が通過しやすいように開口が設けられてもよい。スピーカ32およびマイク33は、不図示のケーブルを介して制御装置16に接続される。マイク33は、人感センサ61に代えて/加えて、冷蔵庫1の周囲(例えば、冷蔵庫1の前方)に存在する利用者を検知可能である。例えば、マイク33は、利用者の足音や音声など利用者に関する音に基づき、利用者を検知可能である。このため、実施形態の説明における「人感センサ61」は、マイク33と読み替えられてもよい。
【0042】
(制御部及びパネル制御部)
次に、制御装置16及びパネル制御部72が行う処理について説明する。なお、以下で説明する制御装置16の構成の一部または全部は、パネル制御部72に設けられてもよい。また、逆に、以下で説明するパネル制御部72の一部または全部は、制御装置16に設けられてもよい。
【0043】
(制御部の構成)
まず、制御装置16の詳細について説明する。図5は、実施形態の制御装置16の構成の一例を示す図である。制御装置16は、図5に示すように、受付部101、計測部102(第1計測部の一例)、設定部103(第1設定部の一例)、決定部104、制御部105、および記憶部110(記録部の一例)を備える。
【0044】
受付部101は、センサ95、96それぞれから利用者の人体の検知結果を受け付ける。また、受付部101は、スイッチ202(202A、202B)、204、205、206、207それぞれから、検出対象の扉11が開状態であることを示す信号、または、検出対象の扉11が閉状態である場合の無信号を受け付ける。また、受付部101は、操作パネル71から利用者の操作による左開扉装置17Aおよび右開扉装置17Bの設定に関する情報を受け付ける。例えば、受付部101は、受け付けた設定に関する情報を記憶部110に記録する。
【0045】
計測部102は、計測部102A(第3計測部の一例)、102B(第2計測部の一例)を備える。計測部102Aは、開扉装置17の動作開始から押圧の対象となる左冷蔵室扉11Aaが所定状態まで開くまでの時間を計測する。計測部102Bは、開扉装置17Bの動作開始から押圧の対象となる右冷蔵室扉11Abが所定状態まで開くまでの時間を計測する。所定状態とは、扉11Aが閉状態から開状態へ変化したときの扉11Aの状態のことである。すなわち、所定状態とは、スイッチ202Aがオフ状態からオン状態に変化して左冷蔵室扉11Aaが開状態であることを示す信号を左開扉装置17Aが出力したときには、そのときの左冷蔵室扉11Aaの状態のことである。また、所定状態とは、スイッチ202Abがオフ状態からオン状態に変化して右冷蔵室扉11Abが開状態であることを示す信号を右開扉装置17Bが出力したときには、そのときの右冷蔵室扉11Abの状態のことである。例えば、計測部102は、計測した時間を記憶部110に記録する。
【0046】
設定部103は、開扉装置17による押圧の強さの基準値を設定する。例えば、設定部103は、現在設定されている状態における開扉装置17による押圧の強さを基準値として設定する。現在設定されている状態の例としては、冷蔵庫1の出荷時や初期化により設定される状態、利用者が操作パネル71に対して行った操作により定まった状態などが挙げられる。
【0047】
決定部104は、計測部102が計測した時間および設定部103が設定した基準値に基づいて、扉11Aが所定状態になった後の開扉装置17による押圧の継続時間を決定する。例えば、設定部103が設定した基準値の押圧で扉11Aが押された場合に、決定部104は、計測部102が計測した時間が長くなればなるほど、扉11Aが所定状態になった後の開扉装置17による押圧の継続時間が長くなるようにその継続時間を決定する。
【0048】
図6は、実施形態の決定部104が行う継続時間を決定する処理を説明するための図である。図6は、開扉時間と継続時間との関係を示している。開扉時間とは、計測部102が計測した時間、すなわち、開扉装置17の動作開始から押圧の対象となる扉11Aが所定状態まで開くまでの時間のことである。具体的には、記憶部110が、図6に示す開扉時間と継続時間とを関連付けて記憶する。決定部104は、計測部102が計測した時間が、記憶部110が記憶する開扉時間のどれに該当するかを特定する。そして、決定部104は、特定した開扉時間に関連付けられている継続時間を特定する。決定部104は、このように継続時間を特定することにより、継続時間を決定する。よって、開扉時間と継続時間との関係が図6に示す関係である場合、決定部104は、計測部102が計測した時間が0.3秒以下の場合には継続時間を0.2秒、計測部102が計測した時間が0.3秒を超えており0.5秒以下の場合には継続時間を0.3秒、計測部102が計測した時間が0.5秒を超えており0.8秒以下の場合には継続時間を0.4秒、計測部102が計測した時間が0.8秒を超えている場合には継続時間を0.5秒と決定することになる。
【0049】
制御部105は、決定部104が決定した継続時間に基づいて、開扉装置17を制御する。例えば、具体的には、制御部105は、設定部103が設定した基準値の押圧で扉11Aを押す制御信号を、扉11Aが所定状態になった後、決定部104が決定した継続時間だけ開扉装置17に出力し続ける。
【0050】
なお、設定部103が設定した基準値の押圧は、その時々で異なる。そのため、制御部105は、その時々で異なる基準値の押圧となるように開扉装置17による押圧を制御できなければならない。開扉装置17が例えばソレノイドのような印加される電圧のデューティ比に応じて押圧を変更可能な装置を備える場合、制御部105は、開扉装置17に印加する電圧のデューティ比を変更する制御を行うことにより、開扉装置17による押圧の強さを変更することができる。
【0051】
具体的には、制御部105による開扉装置17に印加する電圧のデューティ比を変更する制御は、利用者が操作パネル71に対してデューティ比を変更する操作を行い、制御部は、開扉操作部91、92が開扉装置17を動作させる信号を出力し、基準値の強さで11扉が押圧された場合に、扉11が所定状態になった後、計測部102が計測した時間に応じて決定された継続時間だけ扉11の押圧を継続させるように、デューティ比を制御するものであってもよい。
【0052】
また、具体的には、制御部105による開扉装置17に印加する電圧のデューティ比を変更する制御は、計測部102が計測した時間、および決定部104が決定した継続時間に基づいて、予め定められたデューティ比に基づいて、行われるものであってもよい。図7は、実施形態において利用者が操作パネル71に対して行うデューティ比を変更する操作を説明するための図である。図7に示すデューティ比は、計測部102が計測した時間、および決定部104が決定した継続時間に基づいて、予め定められたデューティ比である。例えば、利用者は、操作パネル71に対して、強、中、弱の3段階の押圧の強さを設定する操作(すなわち、デューティ比を1番長く、その次に長く、1番短くの3段階の押圧の強さを設定する操作)が可能である。そして、利用者が操作により強、中、弱の何れかを設定した場合、図7に示すような、左冷蔵室扉11Aa、右冷蔵室扉11Ab、野菜室扉11Bそれぞれの開閉状態に応じたデューティ比が設定される。例えば、利用者が操作パネル71に対して強を設定する操作を行い、左冷蔵室扉11Aaが閉状態、右冷蔵室扉11Abが閉状態、野菜室扉11Bが開状態である場合、左冷蔵室扉11Aaに対する押圧のデューティ比は、図7から、85%に設定されることがわかる。また、右冷蔵室扉11Abに対する押圧のデューティ比は、図7から、70%に設定されることがわかる。
【0053】
記憶部110は、制御装置16が行う処理に必要な種々の情報を記憶する。例えば、記憶部110は、図6に示した関係や、図7に示した左冷蔵室扉11Aa、右冷蔵室扉11Ab、野菜室扉11Bそれぞれの開閉状態に応じたデューティ比、利用者が操作パネル71を操作することによって定まる設定などを記憶する。なお、記憶部110は、新たな設定などが入力された場合、それまでの設定(過去の履歴など)は削除される。
【0054】
なお、冷蔵庫1の各処理部が行う処理は、上述した処理に限定されない。例えば、冷蔵庫1の各処理部は、以下に記載する処理(実施形態の変形例の冷蔵庫1の各処理部が行う処理を含む)を行うものであってもよい。
【0055】
(冷蔵庫が行う処理)
図8は、実施形態の冷蔵庫1の処理フローの一例を示す図である。次に、図8を参照して、冷蔵庫1が行う処理について説明する。
【0056】
設定部103は、開扉装置17による押圧の強さの基準値を設定する(ステップS1)。例えば、利用者が操作パネル71に対して押圧を中と設定する操作を行う。設定部103は、その状態に対して基準値を設定する。受付部101は、スイッチ202(202A、202B)、204、205、206、207による各扉の開閉状況やセンサ95、96による利用者の有無の検知を行う。制御部105は、開扉操作部91、92に利用者が手を接触させたかどうかを検知して、受付部101の情報を含めて開扉条件が成立すると、設定部103で設定した強さの基準値により開扉装置17を動作させる。計測部102は、開扉装置17の動作開始から押圧の対象となる扉11A(すなわち、左冷蔵室扉11Aa、右冷蔵室扉11Ab)が所定状態まで開くまでの時間を計測する(ステップS2)。
【0057】
決定部104は、計測部102が計測した時間および設定部103が設定した基準値に基づいて、扉11Aが所定状態になった後の開扉装置17による押圧の継続時間を決定する(ステップS3)。例えば、設定部103が設定した基準値の押圧で扉11Aが押された場合に、決定部104は、計測部102が計測した時間が長くなればなるほど、扉11Aが所定状態になった後の開扉装置17による押圧の継続時間が長くなるようにその継続時間を決定する。
【0058】
図9は、実施形態の計測部102が計測した時間の一例を示す図である。図9の(a)の部分に示す計測部102が計測した時間、すなわち開扉時間は、0.81秒である。また、図9の(b)の部分に示す計測部102が計測した時間は、0.3秒であり、図9の(a)の部分に示す時間0.81秒に比べて、相対的に短い。例えば、飲料水が扉11Aに入れられており、それが取り出された場合、扉11Aの重量が軽くなり、開扉時間が短くなる。決定部104は、図6に示した開扉時間と継続時間との関係を用いて継続時間を決定する場合、図9の(a)の部分に示す開扉時間に対して0.5秒の継続時間を決定し、図9の(b)の部分に示す開扉時間に対して0.2秒の継続時間を決定する。
制御部105は、決定部104が決定した継続時間に基づいて、開扉装置17を制御する(ステップS4)。例えば、制御部105は、設定部103が設定した基準値の押圧で扉11Aを押す制御信号を、扉11Aが所定状態になった後、決定部104が決定した継続時間だけ開扉装置17に出力し続ける。
【0059】
具体的には、利用者が操作パネル71に対してデューティ比を変更する操作を行う。例えば、利用者は、デューティ比を大きくしたい場合、設定した押圧を中から強に変更する操作を操作パネル71に対して行う。また、利用者は、デューティ比を小さくしたい場合、設定した押圧を中から弱に変更する操作を操作パネル71に対して行う。制御部105は、設定されたがその操作により設定されたデューティ比となる電圧(すなわち、制御信号)を生成し、生成した電圧を開扉装置17に印加することにより、開扉装置17を制御する。
【0060】
また、具体的には、制御部105は、上述した図7に示すような左冷蔵室扉11Aa、右冷蔵室扉11Ab、野菜室扉11Bそれぞれの開閉に応じて設定されたデューティ比に基づいて定まるデューティ比となる電圧(すなわち、制御信号)を生成し、生成した電圧を開扉装置17に印加することにより、開扉装置17を制御するものであってもよい。この場合、利用者が操作パネル71に対してデューティ比を変更するための操作を行わずに、制御部105は、所望のデューティ比を用いて開扉装置17を制御することができる。所望のデューティ比の例としては、開扉時間を一定とするようなデューティ比などが挙げられる。
【0061】
(利点)
以上、実施形態の冷蔵庫1について説明した。冷蔵庫1は、扉11Aを押圧することにより前記扉11Aを開く開扉装置17と、使用者の操作に応じて前記開扉装置17を動作させる信号を出力する開扉操作部91(92)(出力部の一例)と、前記開扉装置17の動作開始から前記扉11Aが所定状態まで開くまでの時間を計測する計測部102(第1計測部の一例)と、前記開扉装置17による押圧の強さの基準値を設定する設定部103(第1設定部の一例)と、前記時間および前記基準値に基づいて、前記扉11Aが前記所定状態になった後の前記開扉装置17による押圧の継続時間を決定する決定部104と、前記継続時間に基づいて、前記開扉装置17を制御する制御部105と、を備える。実施形態の冷蔵庫1は、計測部102により計測された開扉装置17の動作開始から前記扉11Aが所定状態まで開くまでの時間を、開扉装置17により扉を開く間の扉の運動状態に関連する量の一例としている。また、実施形態の冷蔵庫1は、開扉装置17により扉を開く間の扉の運動状態に関連する量に基づいて開扉装置17の駆動状態を決定して開扉装置17を制御する。具体的には、開扉装置17の駆動状態の一例として、扉が所定状態まで開いた後の開扉装置17による押圧の継続時間を決定する。
【0062】
このような冷蔵庫1により、冷蔵庫の状態の変化に伴い扉を開く間の扉の運動状態が変化することを抑制することができる。冷蔵庫の扉に収納される物の出し入れにより扉の重さが変化したり、扉の回転に関連する部品の性能の経年変化が発生したりするため、開扉装置17による押圧の強さ(例えば、印加電圧のデューティ比)が同一であっても、扉が開かれるときの扉の運動状態が異なる可能性がある。一方で、ユーザが開扉装置17による押圧の強さの基準値を設定した場合、基準値の変更が行われていなければ、開扉動作の勢いや、開扉動作が止まるときの開扉角度または開扉動作の速度が一定以下になったときの開扉角度が常に同一または一定範囲内に収まった方が、ユーザに違和感を与えにくい。また、ユーザの期待した開扉動作を安定的に実現することにより、冷蔵庫の周囲にある物や人への所望されない干渉を抑制することができる。このような冷蔵庫1により、冷蔵庫の利便性の向上を図ることができる。図10は、比較対象の冷蔵庫の設置の一例を示す図である。冷蔵庫が図10の(a)の部分に示すように設置された場合、冷蔵庫の扉を全開することを前提に冷蔵庫の左右のスペースの運用を決める(物置にする等)際に制約が生じる。また、冷蔵庫の前面の空間が狭くなるため、流し台で作業する際に誤って開扉操作部(開扉スイッチ)に触れて扉が全開になってしまう可能性がある。図10の(a)の部分に示す冷蔵庫の場合、右冷蔵室扉は全開に強く開いてもよいが、左冷蔵庫扉は、弱く開くようになることが望ましい。冷蔵庫1では、利用者が押圧を調整することができる。そのため、冷蔵庫1では、例えば、右冷蔵室扉を全開に強く開き、左冷蔵庫扉を弱く開くなど、利用者の所望の開き方とすることができる。
【0063】
また、冷蔵庫が図10の(b)の部分に示すように設置された場合、冷蔵庫の左右のスペースに制約は生じ難く、1人でキッチンを使用するには問題が生じないが、複数人でキッチンを使う場合には、開扉した時に流し台での作業中の別の人に扉にぶつかる可能性がある。冷蔵庫1では、利用者が押圧を調整することができる。そのため、冷蔵庫1では、複数人でキッチンを使う場合に、開扉した時に流し台での作業中の別の人に扉にぶつかることを回避することができる。
【0064】
また、冷蔵庫が図10の(c)の部分および図10の(d)の部分に示すように設置された場合、設置場所として少なくともどちらか一方の扉を全開にすると、扉が壁にぶつかってしまう可能性がある。また、コンロなどの火元の近くには鍋やフライパンなどがあり、それらの取っ手に扉が当たってしまう可能性がある。そのため、扉を全開に開きたくない場合がある。冷蔵庫1では、利用者が押圧を調整することができる。そのため、冷蔵庫1では、扉を全開に開かなくすることができる。
【0065】
また、引っ越しなどにより、冷蔵庫の設置環境が変化し、扉の開く角度を変更したい場合が生じる可能性がある。冷蔵庫1では、利用者が押圧を調整することができる。そのため、そのような場合、冷蔵庫1では、扉の開く角度を変更することができる。
【0066】
(実施形態の第1変形例)
上述の実施形態では、利用者が操作パネル71に対してデューティ比を変更する操作を行い、制御部105がその操作により設定されたデューティ比となる電圧(すなわち、制御信号)を生成し、生成した電圧を開扉装置17に印加することにより、開扉装置17を制御するものとして説明した。しかしながら、制御部105による開扉装置17に印加する電圧のデューティ比を変更する制御は、以下に示す方法によって行われるものであってもよい。図11は、実施形態の第1変形例の制御部105が行う開扉装置17に印加する電圧のデューティ比を変更する制御を説明するための図である。図11は、開扉時間と開扉装置17に印加する電圧のデューティ比の調整量との関係、およびその関係を適用する条件を示している。具体的には、記憶部110が、図11に示す開扉時間、デューティ比の調整量、および適用条件を関連付けて記憶する。制御部105は、開扉時間、デューティ比の調整量、および適用条件に応じたデューティ比となる電圧(すなわち、制御信号)を生成し、生成した電圧を開扉装置17に印加することにより、開扉装置17を制御する。図11に示すデューティ比の調整量は、適用条件が満たされた後、次回の開扉時に適用されてもよい。例えば、開扉時間が0.25秒以下になることが1回目と2回目の開扉時に発生した場合、3回目の開扉時にデューティ比の調整量の「-5%」を適用してもよい。なお、図11に示すデューティ比の調整量は、適用条件が満たされた直後に適用されてもよい。例えば、開扉時間が0.25秒以下になることが1回目と2回目の開扉時に発生した場合、2回目の開扉において計測部102が開扉時間を計測した直後にデューティ比の調整量の「-5%」を適用して、2回目の開扉において開扉が検出された後に開扉装置17による扉への押圧を継続させるときのデューティ比を調整してもよい。この場合、2回目の開扉において計測部102が開扉時間を計測した直後にデューティ比の調整量の「-5%」が適用された後のデューティ比が、3回目の開扉を開始する時に開扉装置17の制御に適用されてもよい。
【0067】
図11に示す関係と条件は、開扉時間が0.45~0.60秒に収束するようにデューティ比の微修正を繰り返すためのものである。開扉時間が0.45s~0.60秒の場合、デューティ比を現状維持(適したデューティ比であると判断)し、開扉時間が0.45秒よりも短い場合(比較的早く開扉する、すなわちデューティ比に対して扉11の重量が軽い場合)、条件が成立すると、デューティ比を現在のデューティ比よりも小さくなるように変更することにより、制御部105は、開扉時間を長くする(すなわち、0.45~0.60秒に収束する方向にデューティ比を変更する)電圧(すなわち、制御信号)を生成し、生成した電圧を開扉装置17に印加することにより、開扉装置17を制御する。
【0068】
また、開扉時間が0.60sよりも長い場合(比較的遅く扉開する、すなわちデューティ比に対して扉の重量が重い場合)、図11における条件が成立すると、デューティ比の調整量に応じてデューティ比を大きくすることにより、制御部105は、開扉時間を短くする(0.45~0.60秒に収束する方向にデューティ比を変更した)電圧(すなわち、制御信号)を生成し、生成した電圧を開扉装置17に印加することにより、開扉装置17を制御する。開扉装置17により扉11が開かない場合は、図11における条件が1回満たされるだけで現状のデューティ比に対して+10%デューティ比を高くする。例えば、現状のデューティ比が55%である場合、65%に変更する。そして、さらに、もう一回扉が開かない場合、65%のデューティ比を75%に変更する。
【0069】
なお、図11における条件を満たす回数は一例であり、利用者が適切な回数を設定できるものであってもよい。図12は、実施形態の第1変形例の冷蔵庫1が記憶する条件を満たす回数を説明するための図である。図11とは異なり、図12に示すように条件を満たす回数を1回にすれば、記憶部110は、条件を満たす回数を記憶しなくてもよい。
【0070】
(利点)
このように、制御部105は、図11図12に示すような開扉時間と開扉装置17に印加する電圧のデューティ比の調整量との関係、およびその関係を適用する条件に基づいて、デューティ比を変更した電圧(すなわち、制御信号)を生成し、生成した電圧を開扉装置17に印加することにより、開扉装置17を制御する。その結果、利用者がデューティ比を調整する必要がなくなる。
【0071】
(実施形態の第2変形例)
実施形態の第2変形例の冷蔵庫1は、実施形態の冷蔵庫1において設定可能な押圧の強さの強弱をより詳細に設定できるものであってもよい。図13は、実施形態の第2変形例の冷蔵庫1が設定する押圧の強弱の一例を示す図である。図13に示す冷蔵庫1が設定する押圧の強弱は、実施形態の冷蔵庫1が設定する押圧の強弱である強、中のそれぞれを3段階に分け、弱を2段階に分けたものである。実施形態の第2変形例の冷蔵庫1では、制御部105は、図7に示す押圧の強弱に代わって、図13に示す押圧の強弱を用いる。図13に示す押圧の強弱は、図7に示す押圧の強弱に対して、左冷蔵室扉11Aa、右冷蔵室扉11Ab、野菜室扉11Bそれぞれの開閉状態に応じたデューティ比が細かく設定され、それぞれにデューティ比の上限値および下限値が例えば制御部105(第2設定部の一例)により設定される。この場合、制御部105が図13に示す押圧の強弱を用いた場合の処理は、実施形態において制御部105が図7に示す押圧の強弱を用いた場合の処理と同様に考えればよい。なお、上限値および下限値は、それぞれを直接示す数値により設定されるものであってもよい。また、上限値および下限値は、例えば、中央値を設定し、設定した中央値に対するプラス何パーセントで上限値を設定し、マイナス何パーセントで下限値を設定するものであってもよい。
【0072】
(利点)
このように、制御部105は、相対的に押圧の強弱を詳細に設定し、設定した押圧の強弱に上限値および下限値を設けることにより、利用者が押圧の範囲(すなわち、デューティ比の範囲)を制限することができ、また、押圧の強弱を詳細に設定しているため、デューティ比を変更した電圧(すなわち、制御信号)をより高精度に生成し、生成した電圧を開扉装置17に印加することにより、開扉装置17を制御する。その結果、制御部105による開扉装置17の制御の精度が向上する。
【0073】
(実施形態の第3変形例)
実施形態の第3変形例の冷蔵庫1では、制御部105は、開扉装置17が信号を出力し、基準値の強さで扉11Aが押圧された場合に、扉11Aが所定状態になった後、決定部104が決定した継続時間よりも短い時間だけ扉11Aの押圧を継続させるように、開扉装置17を制御する。例えば、開扉補助モード(利用者の手動による開扉を補助する開扉装置の動作形態)に設定された場合に、決定部104が決定した継続時間に関係なく、制御部105がこのような処理を行えばよい。開扉補助モードは、例えば、利用者が操作パネル71に対して開扉補助モードを設定した場合や、扉11Aの前面に人物を検出することにより開扉補助モードに設定される場合などが考えられる。例えば、制御部105は、デューティ比を開扉装置単独では開扉できない値(「開扉装置の開扉力」+「利用者の手動による開扉力」で開く程度の値。例えば「弱設定」値-15%など)とし、開扉装置17の通電時間を長く設定することが望ましい。これは、人感センサ61または開扉操作部91、92が近接センサとして利用者の接近を検知してから扉11Aを手動で開けるまでの時間を確保し、使い勝手を良くするためである。また、開扉補助モード時でも手動では開けずに開扉操作部91、92をタッチセンサとして用いると通常の開扉装置として動作してもよい。なお、制御部105は、開扉補助モードに設定された場合、継続時間を0にするものであってもよい。
【0074】
(利点)
このように、開扉補助モードが設定された場合に、制御部105は、決定部104が決定した継続時間に関係なく、扉11Aが所定状態になった後、決定部104が決定した継続時間よりも短い時間だけ扉11Aの押圧を継続させるように、開扉装置17を制御する。その結果、利用者が手動で扉11Aを開け閉めできる状態とすることができる。
【0075】
(実施形態の第4変形例)
実施形態の冷蔵庫1では、制御部105は、扉11の状態に応じて扉11Aを開ける制御を行うものとして説明した。しかしながら、実施形態の第4変形例の冷蔵庫1では、扉11の状態に応じて扉11Aを開けない制御または開扉力を弱める制御を行うものであってもよい。例えば、扉11Aに隣接する引き出し式の野菜室扉11Bが開状態である場合、例えば、制御部105は、デューティ比を0%(扉を開けない)や弱めた値(例えば、強設定になっていても弱設定のデューティ比を使用)とし、デューティ比に応じた電圧(すなわち、制御信号)を生成し、生成した電圧を開扉装置17に印加することにより、開扉装置17を制御する。また、例えば、扉11Aに隣接する引き出し式の野菜室扉11Bが開状態である場合、制御部105は、継続時間を0にするものであってもよい。
【0076】
(利点)
このように、扉11Aに隣接する引き出し式の野菜室扉11Bが開状態である場合、制御部105は、デューティ比を0%または弱めた値とし、デューティ比に応じた電圧(すなわち、制御信号)を生成し、生成した電圧を開扉装置17に印加することにより、開扉装置17を制御する。その結果、利用者が野菜室扉11Bを開けている最中に、扉11Aが開いて、利用者の手が挟まれることを回避したり挟まれた時の影響を弱めたりすることができる。
【0077】
(実施形態の第5変形例)
実施形態の第5変形例の冷蔵庫1では、開扉装置17の動作が有効または無効に設定可能であってもよい。例えば、利用者が操作パネル71に対して開扉装置17の動作が有効または無効に設定する操作を行う。この操作に応じて、開扉装置17が動作するまたは動作しない状態になるものであってもよい。
【0078】
(利点)
このように、冷蔵庫1において開扉装置17の動作が有効または無効に設定可能になることにより、扉11Aを手動で動作させる状態にすることができる。
【0079】
(実施形態の第6変形例)
実施形態の第6変形例の冷蔵庫1では、制御部105は、開扉装置17のソレノイドを可聴域の周波数の信号を通電させるものであってもよい。
【0080】
(利点)
これにより、開扉装置17が可聴域の音を発することができ、警告音として使用することができる。警告音を鳴らした後に開扉させる場合、開扉装置単独では開扉できないデューティ比(例えば、「弱設定」値-15%)で警告音のみを鳴らし、その後デューティ比を高く設定することで開扉することができる。
【0081】
(実施形態の第7変形例)
実施形態の第7変形例の冷蔵庫1では、開扉装置17が取り付けられている部屋(例えば、左冷蔵室扉11Aa、右冷蔵室扉11Ab)の下側の隣接しない部屋(離れている部屋)の開閉状況により、制御部105は、開扉装置17を制御する前に、開扉装置17のソレノイドを可聴域の周波数の信号を通電させるものであってもよい。
【0082】
(利点)
これにより、扉11Aが開く前に、開扉装置17が可聴域の音を発することができ、警告音として使用することができる。
【0083】
(実施形態の第8変形例)
実施形態の第8変形例の冷蔵庫1では、通信装置208(受信部の一例)は、外部の端末装置(例えば、スマートフォン)が通信網を介して送信した開扉装置17による押圧の強さの基準値を受信する。設定部103は、通信装置208が受信した基準値を設定する。通信網には、例えば、無線LAN(Local Area Network)などが含まれてもよい。また、通信網は、冷蔵庫1などの家電を管理するサーバ装置を経由するものであってもよい。図14は、実施形態の第8変形例の端末装置が表示する表示の一例を示す第1の図である。図14には、例えば、現状の設定として、開扉操作部91、92のオン/オフの設定、押圧の微調整の設定、開扉補助モードのオン/オフの設定、開扉補助モード時の押圧の微調整の設定を左右それぞれに対して行う画面の一例が示されている。なお、図14の(a)の部分には、開扉操作部91、92をオン状態に設定し、押圧の微調整の設定および開扉補助モードについてもオン状態に設定した場合の画面が示されている。また、図14の(b)の部分には、開扉操作部91をオン状態に設定し、開扉操作部92をオフ状態に設定し、その他は、開扉操作部91について、開扉補助モードのみ設定した場合の画面が示されている。
【0084】
なお、外部の端末装置は、冷蔵庫1を含む冷蔵庫システムの一部であり、コンピュータプログラムにより、開扉装置17に関連する設定(第1設定の一例)および冷蔵庫1の庫内照明に関連する設定(第2設定の一例)を通信網を介して、冷蔵庫1に送信するものであって、それらの設定を同一の画面に表示するものであってもよい。図15は、実施形態の第8変形例の端末装置が表示する表示の一例を示す第2の図である。図15には、表示の一例として、照明の明るさを強に設定し、開扉操作部91、92をオン状態に設定した場合の画面が示されている。
(利点)
この通信装置208により、利用者は、スマートフォンなどの端末装置から冷蔵庫1を設定することができる。また、このコンピュータプログラムにより、利用者は、端末装置の同一の画面において、開扉装置17に関連する設定と冷蔵庫1の庫内照明に関連する設定の両方を確認することができる。
【0085】
以上、実施形態およびいくつかの変形例について説明した。ただし、実施形態および変形例は、上記例に限定されない。上述した実施形態および変形例は、適宜変形して実現可能である。
【0086】
上述した実施形態および変形例では、決定部104が、扉の運動状態に関連する量の一例として、計測部102により計測された開扉装置17の動作開始から扉11が所定状態まで開くまでの時間に基づいて、開扉装置17の駆動状態を決定する。なお、扉の運動状態に関連する量の別の例として、扉の開扉動作の速度に基づいて開扉装置17の駆動状態を決定してもよい。なお、ここの速度は、扉が単位時間において移動した角度を表すものでもよいし、扉の所定部位が単位時間において移動した距離を表すものでもよい。後者は、回転扉以外の扉に関する開扉動作の制御に用いられてもよい。扉の開扉動作の速度に基づいて開扉装置17の駆動状態を決定する場合、冷蔵庫1は扉の開扉動作の速度を計測可能な計測部を備えてもよいし、扉の開扉動作の速度を計算または推定してもよい。
上述した実施形態および変形例では、扉11が所定状態まで開くことをスイッチ202により検出される。なお、冷蔵庫1は、検出できる扉11の開放状態がスイッチ202と比べて異なる検出装置を備える場合、その検出装置を用いて、扉11が所定状態まで開くことを検出してもよい。
【0087】
上述した実施形態および変形例では、決定部104が、開扉装置17の駆動状態の一例として、開扉装置17による押圧の継続する時間を、扉の運動状態に関連する量に基づいて決定する。なお、開扉装置17の駆動状態の別の例として、開扉装置17による駆動力の強さを、扉の運動状態に関連する量に基づいて決定してもよい。例えば、開扉装置17による押圧の継続する時間を決定せずとも、扉11が所定状態まで開いた後の開扉装置17による駆動力の強さを決定し、開扉装置17に印加する電圧のデューティ比を調整すれば、冷蔵庫の状態の変化に伴い扉を開く間の扉の運動状態が変化することを抑制することができる。
【0088】
上述した実施形態および変形例では、開扉装置17による押圧の強さを、開扉装置17による駆動力の強さの一例として記載している。なお、冷蔵庫1は、例えば、ギヤ等により回転扉を回転駆動させる方法や、ラック・アンド・ピニオン機構により扉を直線的に駆動させる方法など、ソレノイドによって扉を押圧する以外の方法により扉を開く開扉装置17を備えてもよい。この場合、回転数やトルクなどを、開扉装置17の駆動状態または開扉装置17による駆動力の強さとして、扉の運動状態に関連する量に基づいて決定してもよい。
【0089】
上述した実施形態および変形例では、開扉装置17に印加する電圧のデューティ比に対する制御を、開扉装置17による押圧の強さの制御の一例として記載している。なお、開扉装置17の消費する電力や開扉装置17の電流に対する制御も、開扉装置17による押圧の強さの制御の例である。
【0090】
上述した実施形態および変形例では、計測部102により計測された開扉装置17の動作開始から扉11が所定状態まで開くまでの時間を扉の運動状態に関連する量の一例として、決定部104が扉の運動状態に関連する量に基づいて、開扉装置17による押圧の継続する時間を開扉装置17の駆動状態の一例として決定する。なお、扉の運動状態に関連する量に基づいて開扉装置の駆動状態を決定することはこの例に限らない。例えば、上述したように、ソレノイドによって扉を押圧する以外の方法により扉を開く開扉装置17を備える場合、扉の運動状態に関連する量や開扉装置17の駆動状態を適宜に変形して実現可能である。
【0091】
例えばソレノイドによって扉を押圧して開扉する冷蔵庫においては、扉を開く運動エネルギーがソレノイドから与えられる。ソレノイドによる押圧が終了した後、扉の運動経路上に障害物がなければ、扉の開扉動作が停止するまで、扉の運動エネルギーのほとんどが、扉の開閉運動に関連する部品(例えば扉を回転可能に支持する軸)の抵抗や空気抵抗、または開扉を阻止する力を扉に付与する機構(例えば、扉の吸着部材や、半扉を防止する機構)の影響で減少する。そのため、開扉動作の勢いや、開扉動作が止まるときの開扉角度または開扉動作の速度が一定以下になったときの開扉角度は、ソレノイドによる押圧が終了したときの扉の運動エネルギーに関連する。
ソレノイドによる押圧が終了したときの扉の運動エネルギーは、ソレノイドによる押圧が終了する前に扉の運動状態に関連する量を特定したときの扉の運動エネルギーと、扉の運動状態に関連する量を特定してからソレノイドによる押圧が終了するまでの間に扉に与えられた運動エネルギーに関連する。そのため、扉の運動状態に関連する量を特定してからソレノイドによる押圧が終了するまでの間において、開扉装置の駆動状態を調整することによって、ソレノイドによる押圧が終了したときの扉の運動エネルギーを、特定された扉の運動状態に関連する量に基づいて調整することができる。
これにより、ユーザが開扉装置による開扉動作の強さの基準値を変更していない場合において、例えば冷蔵庫の扉に収納される物の出し入れにより扉の重さが変化しても、扉の開扉動作の勢いの変化や、開扉動作が止まるときの開扉角度の変化または開扉動作の速度が一定以下になったときの開扉角度の変化を一定範囲内に収めることができる。
【0092】
また、例えば扉の回転支持部材を回転駆動するギヤ機構を備える開扉装置や、ラック・アンド・ピニオン機構を用いて扉を開く開扉装置は、扉が移動している間の運動状態に関連する量を特定してから扉の駆動が終了するまでの間において、開扉を阻止する力を扉に付与するように開扉装置の駆動状態を調整するように構成されてもよい。
一方で、上述した実施形態および変形例に記載されたようなソレノイドによって扉を押圧して開扉する開扉装置17は、扉の回転支持部材を回転駆動するギヤ機構を備える開扉装置や、ラック・アンド・ピニオン機構を用いて扉を開く開扉装置と比べて、開扉装置17が扉に機械的に接続されておらず開扉を阻止する力を扉に付与しにくい。そのため、扉が移動している間の運動状態に関連する量を特定した後の開扉装置17による押圧の継続時間や押圧の強さを調整するように開扉装置17の駆動状態を調整する手法は、特に上述した実施形態および変形例に記載されたようなソレノイドによって扉を押圧して開扉する開扉装置17を備える冷蔵庫1において、冷蔵庫の利便性の向上を図る課題を解決するためには有効的である。
【0093】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、開扉時間・継続時間・デューティ比などを設定・調整できる制御装置を持つことにより、利用者の使用環境に合わせて開扉装置をカスタマイズでき、冷蔵庫1の利便性を向上させることができる。
【0094】
(コンピュータ構成)
制御部105及びパネル制御部72における各機能部は、冷蔵庫1に搭載されたCPU(Central Processing Unit)のようなハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。ただし、これら機能部の全部または一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、またはFPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。記憶部110は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ、またはこれらのうち複数の組み合わせにより実現される。
【0095】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。例えば、外部の端末装置から冷蔵庫1に設定を送信しない場合、冷蔵庫1は、通信装置208を備えていなくてもよい。
【0096】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、各実施形態の冷蔵庫1の構成の組み合わせは、可能な範囲において任意に行うことが可能である。
【符号の説明】
【0097】
1…冷蔵庫、10…筐体、11…扉、11Aa…左冷蔵室扉、11Ab…右冷蔵室扉、16…制御装置、17…開扉装置、17A…左開扉装置,17B…右開扉装置、27…貯蔵室、33…マイク、61…人感センサ、71…操作パネル、71a…表示画面、91…開扉操作部、92…開扉操作部、101…受付部、102…計測部、103…設定部、104…決定部、105…制御部、110…記憶部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15