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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080020
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】電気柵装置
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/30 20110101AFI20240606BHJP
   A01K 3/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A01M29/30
A01K3/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192833
(22)【出願日】2022-12-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-21
(71)【出願人】
【識別番号】592231446
【氏名又は名称】未来のアグリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】石澤 裕
【テーマコード(参考)】
2B101
2B121
【Fターム(参考)】
2B101AA01
2B101HA06
2B121AA01
2B121BB27
2B121DA04
2B121FA12
2B121FA20
(57)【要約】
【課題】防獣機能を有しつつ、分割裸電線の維持管理を軽減できる野生動物の電気柵装置を提供すること。
【解決手段】複数の支柱11を少なくとも含む柵体10と、柵体10を複数に分割した各分割区間10a,10b,・・・に対して個別に給電できるように配線する給電システム20とを具備し、給電システム20は単数の電源装置30と、電源装置30の出力線に接続し、全ての分割区間10a,10b,・・・に亘って連続して配線する絶縁被覆構造の本線21と、本線21から分枝した絶縁被覆構造を呈する複数の支線22と、該支線22の一部に介在した抵抗体23と、本線から分離独立して設けた分割裸電線24とを具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を隔てて立設した複数の支柱を少なくとも含む柵体と、該柵体を柵体の長手方向に沿って複数に分割した各分割区間に対して個別に給電できるように配線する給電システムとを具備する野生動物の電気柵装置であって、
前記給電システムは高電圧パルスを発生する単数の電源装置と、
前記電源装置の出力線に接続し、柵体の全ての分割区間に亘って連続して配線する絶縁被覆構造の本線と、
前記複数の分割区間に対して個別に対応し得るように、前記本線から分枝した絶縁被覆構造を呈する複数の支線と、
前記支線の一部に介在した抵抗体と、
前記複数の分割区間に対して個別に対応して給電し得るように前記各支線に接続した分割裸電線と、を少なくとも具備し、
前記本線を通じて複数の分割区間毎に分断して横架した各分割裸電線へ個別に給電可能に配線したことを特徴とする、
野生動物の電気柵装置。
【請求項2】
前記給電システムは各分割区間に設けた分割裸電線の電圧を計測する電圧センサと、該電圧センサの計測データを管理者へ送信する通信モジュールとを追加して具備し、複数の分割区間に設けた各分割裸電線の電圧の計測データを管理者へ送信可能に構成したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項3】
前記分割区間毎に単数の抵抗体を設け、該単数の抵抗体を通じて前記各分割区間に並列に横架した複数の分割裸電線へ給電可能に配線したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項4】
前記分割区間毎に複数の抵抗体を設け、該複数の抵抗体を通じて前記各分割区間に並列に横架した複数の分割裸電線へ給電可能に配線したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項5】
前記分割区間が間隔を隔てて立設した一対の境界支柱で区画され、前記分割裸電線の両端部を前記一対の境界支柱に固定して横架したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項6】
隣り合う分割区間に横架する分割裸電線の始端と終端とを共通の境界支柱に絶縁して固定したことを特徴とする、請求項5に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項7】
前記分割区間が一対の境界支柱の間に立設した中間支柱を有し、前記分割裸電線の両端部間を中間支柱で支持したことを特徴とする、請求項5に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項8】
前記柵体の同一の分割区間に前記複数の分割裸電線を多段的に配置したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項9】
前記柵体が隣り合う支柱の間に横架した防獣ネットを具備し、該防獣ネットの上位または防獣ネットの側方に分割裸電線を複数の分割区間毎に横架したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種の野生動物に電気ショックを与える電気柵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家畜の放牧管理や野生動物の侵入防止を目的とした架線型の電気柵は古くから知られている。
従来の架線型の電気柵は、所定の間隔で立設した支柱と、隣り合う支柱の間に多段的に張り巡らした複数本の裸電線と、裸電線に給電する電源装置とを具備するタイプ(特許文献1)や、隣り合う支柱の間にネットを設け、ネットの上部に複数本の裸電線を張り巡らしたタイプ(特許文献2,3)等が知られている。
何れのタイプも野生動物が裸電線に触れた瞬間に電気ショックが与えられる構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-299433号公報(図7
【特許文献2】特開平06-225680号公報
【特許文献3】特開平08-112055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の架線型の電気柵はつぎの解決すべき問題点を内包している。
<1>裸電線は柵体の全周に亘って連続性を持たせて架線している。
そのため、裸電線の一部に漏電や短絡等の通電障害が発生すると、通電障害の影響が裸電線の全長に及び、電気柵としての機能が著しく低下するか、または機能喪失に陥る。
<2>特許文献2等のように、柵体の全周に亘って裸電線が連続性を有して配線されていて、裸電線の一部に通電障害が発生した場合には、通電障害の発生箇所を特定するために、管理者が柵体の全周を見回って確認する必要がある。
柵体の全長が数千メートルにも及ぶ場合もあり、通電障害の発生個所を特定するまでに多くの時間と労力を要する。
<3>電気柵の正常状態を維持するには、柵体の全周を定期的に見回りしたり、必要以上に草本類の切除作業を行ったりする必要があり、電気柵の維持管理に多くの労力と時間とコストを要する。
【0005】
本発明は既述した課題を解決できる電気柵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、間隔を隔てて立設した複数の支柱を少なくとも含む柵体と、該柵体を柵体の長手方向に沿って複数に分割した各分割区間に対して個別に給電できるように配線する給電システムとを具備する野生動物の電気柵装置であって、前記給電システムは高電圧パルスを発生する単数の電源装置と、前記電源装置の出力線に接続し、柵体の全ての分割区間に亘って連続して配線する絶縁被覆構造の本線と、前記複数の分割区間に対して個別に対応し得るように、前記本線から分枝した絶縁被覆構造を呈する複数の支線と、前記支線の一部に介在した抵抗体と、前記複数の分割区間に対して個別に対応して給電し得るように前記各支線に接続した分割裸電線と、を少なくとも具備し、前記本線を通じて複数の分割区間毎に分断して横架した各分割裸電線へ個別に給電可能に配線して構成する。
本発明の他の形態において、前記給電システムは各分割区間に設けた分割裸電線の電圧を計測する電圧センサと、該電圧センサの計測データを管理者へ送信する通信モジュールとを追加して具備し、複数の分割区間に設けた各分割裸電線の電圧の計測データを管理者へ送信可能に構成してもよい。
本発明の他の形態において、前記分割区間毎に単数の抵抗体を設け、該単数の抵抗体を通じて前記各分割区間に並列に横架した複数の分割裸電線へ給電可能に配線してもよい。
本発明の他の形態において、前記分割区間毎に複数の抵抗体を設け、該複数の抵抗体を通じて前記各分割区間に並列に横架した複数の分割裸電線へ給電可能に配線してもよい。
本発明の他の形態において、前記分割区間が間隔を隔てて立設した一対の境界支柱で区画され、前記分割裸電線の両端部を前記一対の境界支柱に固定して横架する。
本発明の他の形態において、隣り合う分割区間に横架する分割裸電線の始端と終端とを共通の境界支柱に絶縁して固定するとよい。
本発明の他の形態において、前記分割区間が一対の境界支柱の間に立設した中間支柱を有し、前記分割裸電線の両端部間を中間支柱で支持するように構成してもよい。
本発明の他の形態において、前記柵体の同一の分割区間に前記複数の分割裸電線を多段的に配置した柵体でもよい。
本発明の他の形態において、前記柵体が隣り合う支柱の間に横架した防獣ネットを具備し、該防獣ネットの上位または防獣ネットの側方に分割裸電線を複数の分割区間毎に横架した構成でもよい。
【発明の効果】
【0007】
<1>本線を通じて複数の分割区間毎に分割裸電線を分断し、分断した各分割裸電線へ介装した抵抗体を通じて個別に給電可能に配線したことで、分割区間毎に固有の電圧を発生させることが可能となる。
そのため、防獣機能を有しつつ、分割裸電線の維持管理を軽減することができる。
<2>柵体の全区間にわたって配線した本線のケーブルが絶縁被覆構造であるため、本線を通じた漏電に起因した電圧低下を回避できる。
<3>特定の分割区間の電気柵線に漏電や短絡等の通電障害が発生しても、特定の分割区間の通電障害の影響を他の分割区間に及ぼすことがなくなる。
したがって、通電障害を発生した分割区間以外の分割区間は通常の電圧を維持できるので、電気柵としての機能を失わない。
<4>管理者は分割区間毎の電圧の変化によって、特定の分割区間における通電障害等を特定できるので、短時間のうちに通電障害等を発見して迅速に対応することができる。
<5>野生動物等が電気柵を乗り越える時に急激な電圧低下を招くよう電源装置のマイナス極を接続した金属製の防獣ネットを分割裸電線の直下に配置することで、各分割裸電線を動物侵入感知センサーとして機能させることができる。
<6>給電システムに電圧センサと通信モジュールとを追加配備すると、特定の区間から野生動物等が侵入したことをより正確に知ることができて、クマ等の危険な動物の市街地への侵入をいち早く知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1に係る電気柵装置のモデル図
図2】分割区間の境界部における電気柵装置の拡大図
図3A】中間支柱を省略した電気柵装置のモデル図
図3B】特定の分割区間に各種の障害が生じたときの電気柵装置のモデル図
図4】実施例2の説明図で、(a)は導電性の架線具と非導電性のセパレータを組み合わせて分割裸電線を分断する形態の説明図、(b)は分割区間毎に境界支柱を独立させて分割裸電線を分断する形態の説明図
図5】複数の分割裸電線に対して個別に抵抗体を介装した実施例3の説明図
図6】柵体に防獣ネットを追加した実施例4の説明図
図7】防獣ネットの側方に分割裸電線を架設した実施例5の説明図で、(a)は電気柵装置のモデル図、(b)は(a)のb-bの断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施例1]
<1>電気柵装置の概要
図1~3を参照して説明する。
本発明に係る電気柵装置は、防獣エリアに沿って立設した複数の支柱11を少なくとも含む柵体10と、柵体10を柵体10の長手方向に沿って複数の分割区間10a,10b,・・・に分割し、これら複数の分割区間10a,10b,・・・に対し、個別に給電できるように配線した給電システム20とを具備する。
【0010】
<2>柵体
柵体10は、所定の間隔を隔てて立設した複数の支柱11を具備する。
本例では、柵体10が、各分割区間10a,10b,・・・に立設した複数の支柱11間に複数の分割裸電線24を多段的に横架して構成する形態について説明する。
【0011】
<2.1>支柱
支柱11の立設間隔は、野生動物の種類に応じて適宜選択する。
支柱11は非導電性の素材(樹脂、木、竹等)が望ましいが、導電性の素材(金属製の管材、棒材)でもよい。
【0012】
<2.2>分割区間
本発明では、柵体10を柵の長手方向に沿って任意の距離で区切って複数の分割区間10a,10b,・・・を形成する。
複数の分割区間10a,10b,・・・を形成するのは、他の分割区間の影響を受けずに各分割区間単位で個別に給電するためである。
【0013】
各分割区間10a,10b,・・・の距離は、資材コストと、通電障害等が発生したときの発見時間等を考慮して適宜の距離を選択する。
1つの分割区間は、例えば50~150mの長さが好適である。
1つの分割区間が20mより短いと、電気柵装置の資材コストが嵩む問題がある。
1つの分割区間が150mを超えると、電気柵装置の資材コストが安くなる半面、漏電や短絡等の通電障害等の発生時における生涯発生個所の発見に多くの時間がかかるといった問題が発生する。
【0014】
<2.2.1>分割区間と支柱の関係について
図1に示すように、各分割区間10a,10b,・・・は、複数の支柱11(一対の境界支柱11a)で区画したものである。
例えば、分割区間10aを一例に説明すると、同区間10aの始端と終端に一対の境界支柱11a,11aが位置し、その間に単数または複数の中間支柱11bが位置する。
【0015】
<2.2.2>境界支柱
本発明における境界支柱11a,11aとは、各分割区間10a,10b,・・・における分割裸電線24の始点と終点を固定するための支柱である。
【0016】
各分割裸電線24の始点と終点の間が離れすぎないように、各分割区間10a,10b,・・・の境界部では、境界支柱11aを共有し、共有する境界支柱11aの一部に隣り合う各分割裸電線24の始点と終点をそれぞれ固定するとよい。
【0017】
<2.2.3>中間支柱
中間支柱11bとは、各分割区間10a,10b,10c,・・・における境界支柱11a,11aの間に設けた支柱であり、分割裸電線24の垂れ下がりを防止して支持するために機能する。
【0018】
<3>給電システム
給電システム20は、一台の電源装置30と、電源装置30に電気的に接続し、柵体10の分割区間10a,10b,・・・(全長)に亘って配線する本線21と、各分割区間10a,10b,・・・に対応し得るように、本線21から分枝した複数の支線22と、各支線22に介在させた抵抗体23と、各支線22に接続した単数または複数の分割裸電線24とを具備する。
【0019】
給電システム20は、少なくとも、高電圧パルスを発生する単数の電源装置30と、電源装置30の出力線に接続し、柵体10の全ての分割区間10a,10b,・・・に亘って連続して配線する絶縁被覆構造の本線21と、複数の分割区間10a,10b,・・・に対して個別に対応し得るように、本線21から分離独立して設けた分割裸電線24とを少なくとも具備し、本線21を通じて複数の分割区間10a,10b,・・・毎に分断して横架した各分割裸電線24へ個別に給電可能に配線してあればよい。
【0020】
<3.1>電源装置
電源装置30は、乾電池、太陽電池(ソーラー式)、バッテリー(12V)、家庭用電源(100V)等の電源を基に、一定周期の高電圧パルス(3500~7500V)を発生させて各分割裸電線24に給電するための装置である。
本例では、電源装置30の出力線であるプラス極を本線21に接続する一方、マイナス極を大地に接地した形態について説明する。
本発明では、柵体10の全長を複数に区画(分割区間10a,10b,10c,・・・)するが、一台の電源装置30と一本の本線21を通じて各分割区間10a,10b,10c,・・・へ給電する。
【0021】
<3.2>本線
本線21は、柵体10の全長(全分割区間10a,10b,・・・)に亘って連続して配線する導電線であり、漏電しないように全長に亘って絶縁材で被覆してある。
本線21は地中に埋設するか、地表に配線してもよく、柵体10の一部に沿わせて配線してもよい。
【0022】
本線21は、ケーブル自体の抵抗により電圧が低下しないように、電気抵抗の小さいネオン管用ケーブル(耐圧15KV)を使い、さらにネズミ等に噛み切られることを防止するため、本線21をポリパイプ等で保護することが望ましい。
【0023】
<3.3>支線
本線21から分割裸電線24へ直接配線せず、支線22を経由して各分割区間10a,10b,・・・に設けた分割裸電線24へ接続する。
支線22は各分割区間10a,10b,・・・に個別に対応し得るように、本線21から分枝した導電線であり、本線21と各分割裸電線24との間を電気的に接続する。
支線22は本線21と同様に全長に亘って絶縁材で被覆してある。
支線22を設けたのは、本線21と分割裸電線24との間に抵抗体23を介装するためである。
【0024】
支線22も本線21と同様に、電気抵抗の小さいネオン管用ケーブル(耐圧15KV)を使い、さらにポリパイプ等で保護する。
本線21と支線22の分岐点はポリパイプから露出せざるを得ないが、塩ビ管接手を使って保護する。
なお、柵体の全区間に亘って配線した本線21と、本線21から分岐した複数の支線22は、ケーブルが絶縁被覆構造となっているので、本線21または支線22から漏電することはない。
【0025】
<3.4>抵抗体
各支線22には抵抗体23を介装する。
抵抗体23は、分割区間10a,10b,・・・の何れかの区間で漏電等の通電障害が生じたときに、他の分割区間へ電圧低下の影響を及ぼさないように、本線21への負荷を制限するための電気的抵抗体である。
【0026】
本例では分割区間10a,10b,・・・毎に抵抗体23を設け、1つの抵抗体23に対し、複数の分割裸電線24を並列に配置した形態について説明する。
【0027】
<3.5>分割裸電線
各支線22の先端に接続した分割裸電線24は、各分割区間10a,10b,・・・の単位で通電するための導電線であり、分割裸電線24はその全長に亘って露出している。
【0028】
<3.5.1>分割裸電線の配置形態
本発明では、従来の電気柵のように、連続性を持たせた裸電線を柵体の全周に亘って配線せず、分割区間10a,10b,・・・毎に分割裸電線24を分離独立して配線する。
換言すれば、分割裸電線24は分割区間10a,10b,・・・毎に始点と終点を有し、各分割裸電線24の始点と終点は共通の境界支柱11aに固定する。
各分割区間10a,10b,・・・において、複数の分割裸電線24を縦列して配置することで、あたかも複数の分割裸電線24が連続性を有しているかのようにみえるが、実体は各分割区間10a,10b,・・・で分断されて独立している。
【0029】
<3.5.1.1>境界支柱が導電性の素材の場合
境界支柱11aが鋼管等の導電性の素材である場合は、非導電性の絶縁体13を介して分割裸電線24の端部を固定する。
絶縁体13としては公知の碍子や架線クリップ等を使用する。
【0030】
<3.5.1.2>中間支柱が導電性の素材の場合
中間支柱11bが導電性の素材である場合は、非導電性の絶縁体13を介して分割裸電線24との交差部を支持する。
【0031】
<3.5.2>分割裸電線の配線数
図1,2では、各分割区間10a,10b,・・・に3本の分割裸電線24を並列に配線した形態を示すが、分割裸電線24の配線本数は1本以上であればよい。
【0032】
<3.5.3>分割裸電線の配線間隔
また複数の分割裸電線24を並列に配線する場合における配線間隔は、対象とする野生動物の大きさ等に応じて適宜選択する。
【0033】
<3.6>他の設備
必要に応じて給電システム20は、各分割区間10a,10b,・・・の単位で設けた分割裸電線24に対して電圧センサ26と通信モジュール27とを追加して具備する。
電圧センサ26は分割裸電線24と電気的に接続していていて、常時、分割裸電線24の電圧を計測する。
通信モジュール27は電圧測定センサ26と連動して作動し、常時、各分割裸電線24の電圧の計測データを管理者へ無線又は有線で以て送信するようにしてもよいし、または電圧測定センサ26による電圧低下を検知したときに、管理者へ特定の分割区間の電圧低下情報を送信可能に構成してもよい。
通信モジュール27としては、例えば公知の電子メールシステムを使用できる。
【0034】
[電気柵装置の作用]
図3A図3Bを参照して電気柵装置の作用について説明する。
【0035】
<1>正常時
図3Aは正常時における電気柵装置のモデル図を示している。
同図では、理解をし易くするため、各分割区間10a,10b,・・・に配置する分割裸電線24を単線で示す共に、各分割区間10a,10b,・・・における中間支柱11bを省略している。
【0036】
電源装置30は本線21と支線22を通じて各分割区間10a,10b,・・・に分離独立して設置した分割裸電線24へ給電する。
すべての分割区間10a,10b,・・・に亘って野生動物の接触や漏電等が生じていない正常時においては、電源装置30から本線21および支線22を通じて各分割区間10a,10b,・・・に電気パルスが給電される。
【0037】
正常時においては、各分割区間10a,10b,・・・の単位で電圧センサ26が固有の電圧を計測する。
電圧センサ26で計測した区間毎の電圧情報は、通信モジュール27を通じて管理者の受信モジュールへ定期的に送信される。
【0038】
<2>野生動物の侵入時
図3Bは分割区間10a,10b,・・・の一部に野生動物が侵入しようとした際における電気柵装置のモデル図を示している。
【0039】
<2.1>電気ショックの付与
野生動物が田畑、果樹園等の侵入禁止区域に侵入しようとして、例えば一部の分割区間10cに配線した分割裸電線24に接触すると、大地と分割裸電線24の間に通電が生じて野生動物に強烈な電気ショックが与えられる。
野生動物が繰り返し分割裸電線24に接触すると、その都度、電気ショックが与えられる。
野生動物は痛みを伴う学習効果により侵入禁止区域内への侵入を断念するので、効果的に野生動物を排除できる。
【0040】
<2.2>他の分割区間への影響について
野生動物がある特定の分割区間10cに配線した分割裸電線24に接触すると、一時的に分割区間10cの電圧が大きく変化する。
すべての分割区間10a,10b,・・・に抵抗体23が配備してあるので、特定の分割区間10cに電圧変化が生じても、この電圧変化は他の分割区間10a,10b,10d,・・・に影響することがない。
したがって、分割区間10a,10b,・・・のうちの複数区間において、野生動物の侵入が同時にあったとしても、野生動物の侵入を効果的に抑制できる。
【0041】
<2.3>野生動物の侵入確認
野生動物が一部の分割区間10cで電気ショックを受けると、一時的に当該分割区間10cの電圧が大きく変化する。
【0042】
侵入した野生動物に対して電気ショックが与えられると、特定の分割区間10cにおける電圧が変化し、この電圧変化は電圧センサ26および通信モジュール27を通じて管理者へ通知される。
【0043】
管理者は電圧センサ26および通信モジュール27を通じて送信された全分割区間10a,10b,・・・の電圧情報に基づき、野生動物の侵入の確認と、野生動物が侵入を試みた位置(特定の分割区間10c)を瞬時に把握することができる。
野生動物が熊等の狂暴な動物である場合は、必要に応じて、特定の分割区間10cへ直行して野生動物を駆除したり、捕獲用のワナを仕掛けたりすることが可能である。
【0044】
<3>漏電時
図3Bは漏電時における電気柵装置のモデル図も兼ねている。
【0045】
通常、一台の電源装置に連続した裸電線を接続した従来の電気柵では、柵上のどの位置で計測しても概ね同じ電圧を示す。
そのため、距離の長い従来の電気柵では、どこかの場所で漏電が生じると、漏電箇所を発見するの多くの時間がかかるだけでなく、裸電線の全長に亘って電圧が低下するために、電気柵としての機能が低下するか、機能喪失に陥る、といった問題があった。
【0046】
<3.1>漏電の影響範囲
これに対し、本発明では、すべての分割区間10a,10b,10c,・・・にそれぞれ抵抗体23が配備してあるので、草本類が接触する等して特定の分割区間10cに漏電が発生しても、他の分割区間10a,10b,10d,・・・に漏電の影響が及ばない。
換言すれば、漏電の影響は、漏電が発生した特定の分割区間10cだけであり、他の分割区間10a,10b,10d,・・・では正常な給電状態(正常電圧)を保つことができる。
そのため、漏電した分割区間10cを除いたすべての分割区間において、電気柵としての機能を持続することがでする。
【0047】
<3.2>漏電の発生位置
一部の分割区間10cに漏電が発生すると、当該区間10cの電圧低下を電圧センサ26が検出し、通信モジュール27を通じて、特定の分割区間10cの漏電発生を管理者へ通知する。
管理者はこれにより、漏電の発生と、漏電の発生位置(特定の分割区間10c)を把握することができる。
【0048】
<3.3>漏電の確認と復旧
本発明では、支線22の一部に抵抗体23を介装し、さらに抵抗体23の先に分割裸電線24を配線することで、1台の電源装置30にもかかわらず、分割区間10a,10b,・・・毎(支線22毎)に固有の電圧が計測される状況を作り出すことができる。
管理者は、漏電が発生した凡その位置(特定の分割区間10c)を特定できるので、非漏電区間を含めて調べる必要がない。
したがって、短時間のうちに特定の分割区間10cの漏電箇所を発見することができる。
【0049】
管理者は漏電原因を排除して特定の分割区間10cを復旧する。
漏電原因が草本類の接触である場合は、草本類を切除することで早期に特定の分割区間10cを復旧できる。
【0050】
本発明では、分割区間10a,10b,・・・毎に固有の電圧を示すことを利用して、漏電管理を行うものである。
そのため、電気柵としての機能を維持するために、柵体の全周を定期的に見回りしたり、必要以上に草本類の切除作業を行ったりする必要がなくなり、電気柵装置の維持管理に要する労力と時間とコストを大幅に削減できる。
【0051】
<4>短絡時
一部の分割区間10a,10b,・・・の分割裸電線24に短絡が生じた場合の作用は既述した漏電時と同様である。
【0052】
例えば一部の分割区間10cの分割裸電線24に短絡が生じて電圧がほぼ0Vまで低下した場合でも、短絡の影響を特定の分割区間10cだけに抑え込み、他の分割区間10a,10b,10d,・・・に短絡の影響が及ばない。
そのため、短絡が発生した特定の分割区間10cを除いたすべての分割区間が電気柵としての機能を継続して維持できる。
【0053】
電圧センサ26と通信モジュール27を通じて、特定の分割区間10cの短絡発生と、短絡の発生位置(特定の分割区間10c)が管理者の受信モジュール(図示せず)へ通知される。
管理者は、必要に応じて短絡の発生位置に直行して短絡を確認する。
短絡要因が電気的な短絡である場合は、短絡要因を解消して特定の分割区間10cを復旧する。
【0054】
[実施例2]
以降に他の実施例について説明するが、その説明に際し、前記した実施例1と同一の部位は同一の符号を付してその詳しい説明を省略する。
【0055】
<1>分割裸電線の分断構造
先の実施例1では、碍子等の絶縁性の絶縁体13を使用して、隣り合う分割裸電線24,24を分断した形態について説明したが、隣り合う分割裸電線24の分断構造は実施例1の形態に限定されるものではない。
【0056】
図4(a)はクリップ等の金属製の架線具14を使用して隣り合う分割裸電線24を分断した形態を示している。
本例では、境界支柱11aの両側にクリップ等の金属製の架線具14,14を取り付け、各架線具14,14に対して隣り合う分割裸電線24,24の始点と終点を固定している。
本例では、二つの架線具14,14の間に絶縁性素材からなるセパレータ15を介在することで、境界支柱11aを共有しながら、隣り合う分割裸電線24,24を分断する。
【0057】
図4(b)は境界支柱11aを共有せずに隣り合う分割裸電線24を分断した形態を示している。
本例では、分割区間10a,10b,・・・毎に独立した一対の境界支柱11aを使用して隣り合う分割裸電線24,24を分断する。
本例では、2つの境界支柱11aを隣り合わせて立設し、各境界支柱11aに設けた金属製の架線具14等を介して隣り合う分割裸電線24,24の始点と終点をそれぞれ固定することで、隣り合う分割裸電線24,24を分断している。
【0058】
<2>本例の効果
本例は既述した実施例1と同様の作用効果を奏する。
特に本例では、電気柵装置の設置環境や設置現場に応じて、分割裸電線24の分断構造を使い分けすることができる。
【0059】
[実施例3]
図5を参照して、同一の分割区間において、複数の分割裸電線24を多段的に並列配置することを前提とした場合における抵抗体23の他の配設形態について説明する。
【0060】
<1>抵抗体の他の配設形態
本例では、支線21を複数に分岐し、分岐した支線21と各分割裸電線24との間に抵抗体23を個別に配置する。
すなわち、各分割裸電線24の配線数と同数の抵抗体23を使用する。
【0061】
<2>本例の効果
本例は既述した実施例1と同様の作用効果を奏する。
特に本例では、複数の分割裸電線24に対して個別に抵抗体23を配置することで、において、何れか1本の分割裸電線24に野生動物の接触や漏電等が発生しても、その影響は同一の分割区間内の他の分割裸電線24に及ぶことがない。
【0062】
[実施例4]
図6を参照して他の電気柵装置について説明する。
<1>他の電気柵装置
本例に係る電気柵装置は、実施例1と比べて、柵体10を複数の支柱11(境界支柱11a,中間支柱11b)と、各支柱11間に連続して張設した防獣ネット12とにより構成する点が相違する。
本例でも給電システム20を具備すること実施例1と同じであるので、給電システム20の詳細な説明を省略する。
【0063】
本例では、隣り合う支柱11の間に防獣ネット12を横架し、防獣ネット12の上辺から突出する支柱11の上部に単数または複数の分割裸電線24を架設した形態について説明する。
本例では、防獣ネット12の上位に単数または複数の分割裸電線24が位置していればよい。
【0064】
<2>防獣ネット
隣り合う支柱11の間には防獣ネット12が取り付けてある。
防獣ネット12は野生動物の侵入を規制する高強度のメッシュ構造のネット材であり、例えば導電性の金網、または非導電性のネット材が使用可能である。
防獣ネット12の全体寸法は、野生動物の種類に応じて適宜選択する。
【0065】
防獣ネット12を導電性の素材で構成する場合は、電源装置30から延出して大地に接地したマイナス極を防獣ネット12の一部にも接続する。
【0066】
<3>電気柵装置の作用
本例においては、隣り合う支柱11の間に横架した防獣ネット12が野生動物の侵入を物理的に阻止する。
クマやサル等の野生動物が防獣ネット12をよじ登って乗り越えようとする際に、分割裸電線24に触れると通電状態となって、野生動物の体内に衝撃電流が流れ、電気ショックを受ける。
野生動物が電気ショックによる痛みを伴う学習効果により侵入禁止区域内への侵入を効果的に抑制できる。
【0067】
<4>本例の効果
本例は既述した実施例1と同様の効果を奏することにくわえて、人身被害の懸念されるクマが、近年、人の生活する地域へ侵入する事例が増えているなか、これを速やかに察知、必要な対応をすることが可能となる。
【0068】
[実施例5]
図7を参照して他の電気柵装置について説明する。
<1>他の電気柵装置
本例は実施例4の変形例であり、防獣ネット12の側方に単数または複数の分割裸電線24を複数の分割区間毎に横架した形態について説明する。
本例でも給電システム20を具備すること実施例1と同じであるので、給電システム20の詳細な説明を省略する。
【0069】
<2>分割裸電線の配設構造
隣り合う支柱11に分割裸電線24を横架するには、例えば、各支柱11(境界支柱11a,中間支柱11b)の一部に突設したアウトリガー16と、アウトリガー16に取付けた碍子等の絶縁体13を介して分割裸電線24を横架する。
【0070】
支柱11が導電性の材質の場合は絶縁体13を設け、支柱11が絶縁性の材質である場合は絶縁体13を省略してもよい。
【0071】
アウトリガー16は防獣ネット12の一部に設けてもよい、
また各支柱11に対する防獣ネット12の配設位置は、アウトリガー16を設けた側と同じ位置に防獣ネット12を設けてよい。
【0072】
<3>電気柵装置の作用
防獣ネット12を導電性の素材で構成する場合は、電源装置30から延出して大地に接地したマイナス極を防獣ネット12の一部に接続する。
本例においても、クマやサル等の野生動物が防獣ネット12をよじ登って乗り越えようとする際に、分割裸電線24に触れると通電状態となって、野生動物の体内に衝撃電流が流れ、電気ショックを受ける。
【符号の説明】
【0073】
10・・・・柵体
11・・・・支柱
11a・・・境界支柱
11b・・・中間支柱
12・・・・防獣ネット
13・・・・絶縁体
14・・・・架線具
15・・・・セパレータ
10a,10b,・・・分割区間
20・・・・給電システム
21・・・・本線
22・・・・支線
23・・・・抵抗体
24・・・・分割裸電線
26・・・・電圧センサ
27・・・・通信モジュール
30・・・・電源装置
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-02-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を隔てて立設した複数の支柱を少なくとも含む柵体と、該柵体を柵体の長手方向に沿って複数に分割した各分割区間に対して個別に給電できるように配線する給電システムとを具備する野生動物の電気柵装置であって、
前記給電システムは高電圧パルスを発生する単数の電源装置と、
前記電源装置の出力線に接続し、柵体の全ての分割区間に亘って連続して配線する絶縁被覆構造の本線と、
前記複数の分割区間に対して個別に対応し得るように、前記柵体の長手方向に沿って前記分割区間毎に本線から分枝した絶縁被覆構造を呈する複数の支線と、
前記支線の一部に介在した単数の抵抗体と、
前記複数の分割区間に対して個別に対応して給電し得るように前記各支線に接続した分割裸電線と、を少なくとも具備し、
前記分割区間が間隔を隔てて該分割区間の両側に立設した境界支柱で区画され、
前記分割裸電線の両端部を分割区間の両側に立設した前記境界支柱に固定して横架し、
前記本線を通じて複数の分割区間毎に分断して横架した各分割裸電線へ個別に給電可能に配線したことを特徴とする、
野生動物の電気柵装置。
【請求項2】
前記給電システムは各分割区間に設けた分割裸電線の電圧を計測する電圧センサと、該電圧センサの計測データを管理者へ送信する通信モジュールとを追加して具備し、複数の分割区間に設けた各分割裸電線の電圧の計測データを管理者へ送信可能に構成したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項3】
前記分割区間毎に単数の前記抵抗体を設け、該単数の抵抗体を通じて前記各分割区間に並列に横架した複数の分割裸電線へ給電可能に配線したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項4】
前記分割区間毎に複数の前記抵抗体を設け、該複数の抵抗体を通じて前記各分割区間に並列に横架した複数の分割裸電線へ給電可能に配線したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項5】
隣り合う分割区間に横架する分割裸電線の始端と終端とを共通の境界支柱に絶縁して固定したことを特徴とする、請求項に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項6】
前記分割区間が一対の境界支柱の間に立設した中間支柱を有し、前記分割裸電線の両端部間を中間支柱で支持したことを特徴とする、請求項に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項7】
前記柵体の同一の分割区間に前記複数の分割裸電線を多段的に配置したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項8】
前記柵体が隣り合う支柱の間に横架した防獣ネットを具備し、該防獣ネットの上位または防獣ネットの側方に分割裸電線を複数の分割区間毎に横架したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、間隔を隔てて立設した複数の支柱を少なくとも含む柵体と、該柵体を柵体の長手方向に沿って複数に分割した各分割区間に対して個別に給電できるように配線する給電システムとを具備する野生動物の電気柵装置であって、前記給電システムは高電圧パルスを発生する単数の電源装置と、前記電源装置の出力線に接続し、柵体の全ての分割区間に亘って連続して配線する絶縁被覆構造の本線と、前記複数の分割区間に対して個別に対応し得るように、前記柵体の長手方向に沿って前記分割区間毎に本線から分枝した絶縁被覆構造を呈する複数の支線と、前記支線の一部に介在した単数の抵抗体と、前記複数の分割区間に対して個別に対応して給電し得るように前記各支線に接続した分割裸電線と、を少なくとも具備し、前記分割区間が間隔を隔てて該分割区間の両側に立設した境界支柱で区画され、前記分割裸電線の両端部を分割区間の両側に立設した前記境界支柱に固定して横架し、前記本線を通じて複数の分割区間毎に分断して横架した各分割裸電線へ個別に給電可能に配線して構成する。
本発明の他の形態において、前記給電システムは各分割区間に設けた分割裸電線の電圧を計測する電圧センサと、該電圧センサの計測データを管理者へ送信する通信モジュールとを追加して具備し、複数の分割区間に設けた各分割裸電線の電圧の計測データを管理者へ送信可能に構成してもよい。
本発明の他の形態において、前記分割区間毎に単数の前記抵抗体を設け、該単数の抵抗体を通じて前記各分割区間に並列に横架した複数の分割裸電線へ給電可能に配線してもよい。
本発明の他の形態において、前記分割区間毎に複数の前記抵抗体を設け、該複数の抵抗体を通じて前記各分割区間に並列に横架した複数の分割裸電線へ給電可能に配線してもよい
発明の他の形態において、隣り合う分割区間に横架する分割裸電線の始端と終端とを共通の境界支柱に絶縁して固定するとよい。
本発明の他の形態において、前記分割区間が一対の境界支柱の間に立設した中間支柱を有し、前記分割裸電線の両端部間を中間支柱で支持するように構成してもよい。
本発明の他の形態において、前記柵体の同一の分割区間に前記複数の分割裸電線を多段的に配置した柵体でもよい。
本発明の他の形態において、前記柵体が隣り合う支柱の間に横架した防獣ネットを具備し、該防獣ネットの上位または防獣ネットの側方に分割裸電線を複数の分割区間毎に横架した構成でもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-06-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔を隔てて立設した複数の支柱を少なくとも含む柵体と、該柵体を柵体の長手方向に沿って複数に分割した各分割区間に対して個別に給電できるように配線する給電システムとを具備する野生動物の電気柵装置であって、
前記給電システムは高電圧パルスを発生する単数の電源装置と、
前記電源装置の出力線に接続し、柵体の全ての分割区間に亘って連続して配線する絶縁被覆構造の本線と、
前記複数の分割区間に対して個別に対応し得るように、前記柵体の長手方向に沿って前記分割区間毎に本線から分枝した絶縁被覆構造を呈する複数の支線と、
前記分割区間毎に前記支線の一部に介在した抵抗体と、
前記複数の分割区間に対して個別に対応して給電し得るように前記各支線に接続した分割裸電線と、を少なくとも具備し、
前記分割区間が間隔を隔てて該分割区間の両側に立設した境界支柱で区画され、
前記分割裸電線の両端部を分割区間の両側に立設した前記境界支柱に固定して横架し、
前記本線を通じて複数の分割区間毎に分断して横架した各分割裸電線へ個別に給電可能に配線したことを特徴とする、
野生動物の電気柵装置。
【請求項2】
前記給電システムは各分割区間に設けた分割裸電線の電圧を計測する電圧センサと、該電圧センサの計測データを管理者へ送信する通信モジュールとを追加して具備し、複数の分割区間に設けた各分割裸電線の電圧の計測データを管理者へ送信可能に構成したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項3】
前記分割区間毎に単数の前記抵抗体を設け、該単数の抵抗体を通じて前記各分割区間に並列に横架した複数の分割裸電線へ給電可能に配線したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項4】
前記分割区間毎に複数の前記抵抗体を設け、該複数の抵抗体を通じて前記各分割区間に並列に横架した複数の分割裸電線へ給電可能に配線したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項5】
隣り合う分割区間に横架する分割裸電線の始端と終端とを共通の境界支柱に絶縁して固定したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項6】
前記分割区間が一対の境界支柱の間に立設した中間支柱を有し、前記分割裸電線の両端部間を中間支柱で支持したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項7】
前記柵体の同一の分割区間に前記複数の分割裸電線を多段的に配置したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【請求項8】
前記柵体が隣り合う支柱の間に横架した防獣ネットを具備し、該防獣ネットの上位または防獣ネットの側方に分割裸電線を複数の分割区間毎に横架したことを特徴とする、請求項1に記載の野生動物の電気柵装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本発明は、間隔を隔てて立設した複数の支柱を少なくとも含む柵体と、該柵体を柵体の長手方向に沿って複数に分割した各分割区間に対して個別に給電できるように配線する給電システムとを具備する野生動物の電気柵装置であって、前記給電システムは高電圧パルスを発生する単数の電源装置と、前記電源装置の出力線に接続し、柵体の全ての分割区間に亘って連続して配線する絶縁被覆構造の本線と、前記複数の分割区間に対して個別に対応し得るように、前記柵体の長手方向に沿って前記分割区間毎に本線から分枝した絶縁被覆構造を呈する複数の支線と、前記分割区間毎に前記支線の一部に介在した抵抗体と、前記複数の分割区間に対して個別に対応して給電し得るように前記各支線に接続した分割裸電線と、を少なくとも具備し、前記分割区間が間隔を隔てて該分割区間の両側に立設した境界支柱で区画され、前記分割裸電線の両端部を分割区間の両側に立設した前記境界支柱に固定して横架し、前記本線を通じて複数の分割区間毎に分断して横架した各分割裸電線へ個別に給電可能に配線して構成する。
本発明の他の形態において、前記給電システムは各分割区間に設けた分割裸電線の電圧を計測する電圧センサと、該電圧センサの計測データを管理者へ送信する通信モジュールとを追加して具備し、複数の分割区間に設けた各分割裸電線の電圧の計測データを管理者へ送信可能に構成してもよい。
本発明の他の形態において、前記分割区間毎に単数の前記抵抗体を設け、該単数の抵抗体を通じて前記各分割区間に並列に横架した複数の分割裸電線へ給電可能に配線してもよい。
本発明の他の形態において、前記分割区間毎に複数の前記抵抗体を設け、該複数の抵抗体を通じて前記各分割区間に並列に横架した複数の分割裸電線へ給電可能に配線してもよい。
本発明の他の形態において、隣り合う分割区間に横架する分割裸電線の始端と終端とを共通の境界支柱に絶縁して固定するとよい。
本発明の他の形態において、前記分割区間が一対の境界支柱の間に立設した中間支柱を有し、前記分割裸電線の両端部間を中間支柱で支持するように構成してもよい。
本発明の他の形態において、前記柵体の同一の分割区間に前記複数の分割裸電線を多段的に配置した柵体でもよい。
本発明の他の形態において、前記柵体が隣り合う支柱の間に横架した防獣ネットを具備し、該防獣ネットの上位または防獣ネットの側方に分割裸電線を複数の分割区間毎に横架した構成でもよい。