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特開2024-80029通信システム、通信方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080029
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】通信システム、通信方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H03M 7/30 20060101AFI20240606BHJP
   H03M 13/13 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H03M7/30 Z
H03M13/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192845
(22)【出願日】2022-12-01
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)電子情報通信学会 無線通信システム研究会(RCS) 奈良県文化会館+オンライン開催 開催日 令和3年12月16日 (2)電子情報通信学会 CRC付きPolar符号に基づく暗号化後圧縮を用いた高効率マルチホップ伝送法、信学技報,vol.121,no.302,RCS2021-175,第1-6頁 開催日 令和3年12月9日
(71)【出願人】
【識別番号】504133110
【氏名又は名称】国立大学法人電気通信大学
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】石橋 功至
(72)【発明者】
【氏名】谷津 崚太
(72)【発明者】
【氏名】柴田 悠宇
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】土岐 爽真
【テーマコード(参考)】
5J064
5J065
【Fターム(参考)】
5J064BA18
5J064BB13
5J064BC02
5J065AD03
5J065AG05
(57)【要約】
【課題】より高効率なマルチホップ通信を行う。
【解決手段】中継端末は、情報系列が暗号化された暗号化系列を受信して、暗号化系列に対して巡回冗長検査付きPolar符号に基づく圧縮手法を施すことによって求められる圧縮系列および第1の巡回冗長符号を送信する。宛先端末は、圧縮系列および第1の巡回冗長符号を受信して、圧縮系列に対して巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号に基づく解凍手法を施すことによって情報系列であると推定される推定情報系列を取得する。本技術は、例えば、マルチホップ通信が行われる通信システムに適用できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報系列が暗号化された暗号化系列を受信して、前記暗号化系列に対して巡回冗長検査付きPolar符号に基づく圧縮手法を施すことによって求められる圧縮系列および第1の巡回冗長符号を送信する中継端末と、
前記圧縮系列および前記第1の巡回冗長符号を受信して、前記圧縮系列に対して巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号に基づく解凍手法を施すことによって前記情報系列であると推定される推定情報系列を取得する宛先端末と
を備える通信システム。
【請求項2】
前記中継端末は、
ある確率変数列に対して再帰的な可逆変換により別の確率変数列に変換する情報源分極操作を行って、前記暗号化系列から別の符号系列を求める情報源分極部と、
前記符号系列に対して圧縮処理を施すことによって前記圧縮系列を求める圧縮処理部と、
前記符号系列から前記第1の巡回冗長符号を計算する第1の巡回冗長符号計算部と
を有する
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記第1の巡回冗長符号計算部が前記第1の巡回冗長符号を計算する際に用いられる生成多項式は、前記宛先端末において既知である
請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記宛先端末は、
前記圧縮系列に対して逐次除去リスト復号に基づく解凍手法を施し、前記符号系列であると推定される推定符号系列の候補となる所定個数の候補系列を求める逐次除去リスト復号処理部と、
所定個数の前記候補系列それぞれの第2の巡回冗長符号を、前記生成多項式を用いて計算して、前記第1の巡回冗長符号と一致する前記第2の巡回冗長符号が算出された前記候補系列を、前記推定符号系列として選択する第2の巡回冗長符号計算部と
を有する
請求項3に記載の通信システム。
【請求項5】
前記宛先端末は、前記第2の巡回冗長符号計算部により選択された前記推定符号系列に対して、前記情報源分極部において行われた情報源分極操作に対する逆操作を行うことによって、前記暗号化系列であると推定される推定暗号化系列を求める情報源分極逆操作部と、
前記推定暗号化系列を、前記情報系列を暗号化する際の暗号化鍵を用いて復号することによって、前記推定情報系列を求める復号部と
をさらに有する
請求項4に記載の通信システム。
【請求項6】
前記情報系列を生成する際の生起確率および前記暗号化鍵は、前記宛先端末において既知であり、
前記逐次除去リスト復号処理部は、前記生起確率および前記暗号化鍵を入力対数尤度比として利用し、前記推定暗号化系列の各ビットの対数尤度比を計算する
請求項5に記載の通信システム。
【請求項7】
前記逐次除去リスト復号処理部は、前記対数尤度比を利用して前記候補系列の各ビットを更新するときのパスメトリックを計算し、前記パスメトリックに対応する所定個数の前記候補系列を選択して、前記第2の巡回冗長符号計算部に供給する
請求項6に記載の通信システム。
【請求項8】
前記巡回冗長検査付きPolar符号に基づく圧縮手法、および、前記巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号は、前記圧縮系列の圧縮率が可変である
請求項1に記載の通信システム。
【請求項9】
前記情報系列を取得して前記暗号化系列を送信する情報源端末から、前記中継端末を中継して前記宛先端末へ前記情報系列がマルチホップ通信により送信される
請求項1に記載の通信システム。
【請求項10】
通信システムが、
情報系列が暗号化された暗号化系列を受信して、前記暗号化系列に対して巡回冗長検査付きPolar符号に基づく圧縮手法を施すことによって求められる圧縮系列および第1の巡回冗長符号を送信することと、
前記圧縮系列および前記第1の巡回冗長符号を受信して、前記圧縮系列に対して巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号に基づく解凍手法を施すことによって前記情報系列であると推定される推定情報系列を取得することと
を含む通信方法。
【請求項11】
通信システムのコンピュータに、
情報系列が暗号化された暗号化系列を受信して、前記暗号化系列に対して巡回冗長検査付きPolar符号に基づく圧縮手法を施すことによって求められる圧縮系列および第1の巡回冗長符号を送信することと、
前記圧縮系列および前記第1の巡回冗長符号を受信して、前記圧縮系列に対して巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号に基づく解凍手法を施すことによって前記情報系列であると推定される推定情報系列を取得することと
を含む通信処理を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信システム、通信方法、およびプログラムに関し、特に、より高効率なマルチホップ通信を行うことができるようにした通信装置、通信方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モノとモノをインターネットで接続し、ユーザの様々な要求に応えることを可能にする、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)が注目されている。IoTの実現において重要となる要素の一つに、広範囲に存在するユーザの状態や要求に関する情報を一つのエンドポイントに収集するアプリケーションがある。このようなアプリケーションを有線通信で実現する場合、多数の端末に対して配線を行う必要があり、導入コストが増大してしまう。
【0003】
そこで、無線センサネットワーク(WSN:Wireless Sensor Networks)システムの利用が注目されている。ところで、WSNシステムの多くでは、設置箇所の自由度を向上させるために、バッテリー駆動する無線端末を利用することや、システムに端末を追加することが容易であることなどが必要であり、低消費エネルギー性およびスケーラビリティが重要となる。このような要求を満たす通信方式として、マルチホップ通信方式の利用が活発に検討されている。マルチホップ通信方式では、ネットワークを構成する各端末は送信端末および受信端末の両方の動作を実行可能であり、受信端末はパケットを受信した後に送信端末として動作し、他の受信端末にパケットを送信することでパケットの中継を行う。
【0004】
マルチホップ通信方式を用いる無線通信アプリケーションにおいては、通信効率の観点から、端末が送信するパケットに対して送信前に圧縮が施されていることが望ましい。しかしながら、WSNシステムをはじめとする多数の端末が小容量のデータを伝送するアプリケーションでは、システムの導入コストやメンテナンスコストなどの観点から、端末の消費エネルギーや計算機資源などに制約が生じ、送信前にパケットに対して圧縮を施すことができないことがある。一方で、多数のパケットを中継する端末においては、パケットのデータサイズに起因するパケット伝送の所要時間や消費エネルギーなどの増大を無視することができない。
【0005】
また、スマートメータなど、伝送されるパケットに個人情報が含まれるシステムの場合、確実にパケットを秘匿するためにパケットを生起した端末において暗号化を施す必要がある。このとき、パケット伝送の高効率化とパケットのプライバシー保護とを両立するために、中継端末において暗号化されたパケットを復号することなく圧縮する手法が必要である。
【0006】
このような要求に対して、暗号化されたパケットと暗号鍵との相関を用いた分散情報源符号化に基づく暗号化後圧縮(EtC:Encryption-then-Compression)に関する研究が行われている。
【0007】
例えば、特許文献1では、中継端末が、M台の情報端末それぞれから送信されてくるM個の暗号化パケットの全てを保持して、ブロックインデックスnが同一である暗号化ブロックごとに纏めて延伸した後に圧縮を行うことでN個の圧縮系列を取得する暗号化後圧縮手法が提案されている。
【0008】
また、非特許文献1では、バイナリで表現されるパケットに対する暗号化後圧縮手法が提案されている。例えば、中継端末は、暗号鍵について未知の状態で、誤り訂正符号を用いたパケットの圧縮を実行し、最終宛先端末は、暗号鍵について既知であり、暗号化されたパケットと暗号鍵との相関を用いて、スレピアン・ウォルフの定理に基づく解凍を実行する。具体的には、低密度パリティ検査(LDPC:Low-Density Parity-Check)符号に基づいて圧縮が施され、信念伝播法(BPA:Belief Propagation Algorithm)によってパケットの解凍が行われる。
【0009】
しかしながら、低密度パリティ検査符号を用いた場合、圧縮率の変更時にパリティ検査行列を設計し直して、変更後のパリティ検査行列を圧縮側および解凍側で共有する必要がある。そのため、被圧縮系列の統計的性質が時間的に変動してしまい、圧縮率の柔軟な変更が必要とされるアプリケーションには、非特許文献1で開示されている暗号化後圧縮手法は適さないことになる。また、信念伝播法は、ループのあるファクターグラフ上では準最適な復号アルゴリズムとなり、圧縮率の理論限界を達成できないことが知られている。
【0010】
これらの課題を解決するための分散情報源符号化手法として、非特許文献2には、Polar符号による圧縮手法、および、その復号方法である逐次除去(SC: Successive-Cancellation)復号に基づく解凍手法が提案されている。例えば、Polar符号における符号化の手順は、被圧縮系列の長さが定まれば圧縮率によらず不変であり、符号系列の中から送信するビットの数を変更することで圧縮率を変更することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2022-89475号公報
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】M. Johnson, P. Ishwar, V. Prabhakaran, D. Schonberg, and K. Ramchandran, “On Compressing Encrypted Data,” IEEE Trans. Signal Process., vol. 52, no. 10, pp, 2992-3006, Oct. 2004.
【非特許文献2】V. T. T. Trang, J. W. Kang, M. Jang, J. H. Kim, and S. H. Kimy, “The performance of polar codes in distributed source coding,” in Proc. 2012 Fourth Int. Conf. Commun. Electron. (ICCE), 2012, pp. 196-199.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上述した逐次除去復号は、被圧縮系列の長さが十分に長い場合、圧縮率の理論限界を厳密に達成可能であることが知られているが、被圧縮系列の長さが短い場合、他の誤り訂正符号に基づく暗号化後圧縮手法よりも圧縮性能が低下してしまう。そのため、従来よりも優れた圧縮性能を実現することによって、より高効率なマルチホップ通信を行うことを可能にすることが求められている。
【0014】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、より高効率なマルチホップ通信を行うことができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本開示の一側面の通信システムは、情報系列が暗号化された暗号化系列を受信して、前記暗号化系列に対して巡回冗長検査付きPolar符号に基づく圧縮手法を施すことによって求められる圧縮系列および第1の巡回冗長符号を送信する中継端末と、前記圧縮系列および前記第1の巡回冗長符号を受信して、前記圧縮系列に対して巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号に基づく解凍手法を施すことによって前記情報系列であると推定される推定情報系列を取得する宛先端末とを備える。
【0016】
本開示の一側面の通信方法またはプログラムは、情報系列が暗号化された暗号化系列を受信して、前記暗号化系列に対して巡回冗長検査付きPolar符号に基づく圧縮手法を施すことによって求められる圧縮系列および第1の巡回冗長符号を送信することと、前記圧縮系列および前記第1の巡回冗長符号を受信して、前記圧縮系列に対して巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号に基づく解凍手法を施すことによって前記情報系列であると推定される推定情報系列を取得することとを含む。
【0017】
本開示の一側面においては、情報系列が暗号化された暗号化系列が受信されて、暗号化系列に対して巡回冗長検査付きPolar符号に基づく圧縮手法を施すことによって求められる圧縮系列および第1の巡回冗長符号が送信され、圧縮系列および第1の巡回冗長符号が受信されて、圧縮系列に対して巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号に基づく解凍手法を施すことによって情報系列であると推定される推定情報系列が取得される。
【発明の効果】
【0018】
本開示の一側面によれば、より高効率なマルチホップ通信を行うことができる。
【0019】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本技術を適用した通信システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
図2】情報系列生成および暗号化についてのシステムモデルを示す図である。
図3】中継端末の構成例を示すブロック図である。
図4】情報源分極操作について説明する図である。
図5】巡回冗長符号の計算について説明する図である。
図6】宛先端末の構成例を示すブロック図である。
図7】復号グラフの一例を示す図である。
図8】f演算およびg演算について説明する図である。
図9】1番目の対数尤度比を求める復号グラフの一例を示す図である。
図10】1番目の対数尤度比を求める復号グラフの一例を示す図である。
図11】1番目の対数尤度比を求める復号グラフの一例を示す図である。
図12】2番目の対数尤度比を求める復号グラフの一例を示す図である。
図13】8番目の対数尤度比を求める復号グラフの一例を示す図である。
図14】後続のビット判定に誤りが伝播することについて説明する図である。
図15】l番目のリストの復号グラフの一例を示す図である。
図16】パスメトリックについて説明する図である。
図17】情報源分極の逆操作について説明する図である。
図18】復号について説明する図である。
図19】シミュレーション結果の一例を示す図である。
図20】本技術を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本技術を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0022】
<通信システムの構成例>
図1は、本技術を適用した通信システムの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0023】
図1に示す通信システム11は、情報源端末12、中継端末13、および宛先端末14が通信ネットワークを介して接続されて構成される。
【0024】
情報源端末12は、通信システム11において宛先端末14へマルチホップ通信される情報の情報源となる端末であり、情報系列生成部21および暗号化部22を有して構成される。情報系列生成部21は、情報系列x1 Nを生成して暗号化部22に供給し、暗号化部22は、暗号鍵k1 Nを用いて情報系列x1 Nを暗号化することによって暗号化系列y1 Nを取得する。そして、情報源端末12から中継端末13へ暗号化系列y1 Nが送信される。
【0025】
例えば、情報系列生成部21は、情報源端末12の周囲の環境をセンシングして取得した環境情報を、情報系列x1 Nに変換する。ここで、図2のシステムモデルで表されるように、情報系列x1 Nは、独立同一分布に従い、情報系列x1 Nにおけるビット“1”の生起確率pを0≦p≦1として、Pr[xi=0]=1-pおよびPr[xi=1]=pを満たすと仮定する。そして、暗号化部22は、情報系列x1 Nと暗号鍵k1 Nとの排他的論理和を演算することで、暗号化系列y1 Nを求めることができる。また、通信システム11では、生起確率pおよび暗号鍵k1 Nは、宛先端末14において既知とされる。
【0026】
中継端末13は、通信システム11においてマルチホップ通信される情報を中継する端末であり、情報源端末12から送信されてくる暗号化系列y1 Nに対する暗号化後圧縮を行う。例えば、中継端末13は、情報源端末12から送信されてくる暗号化系列y1 Nを受信し、暗号化系列y1 Nに対して巡回冗長検査(CRC: Cyclic Redundancy Check)付きPolar符号に基づく圧縮手法を施すことによって求められる圧縮系列S1 Jおよび巡回冗長符号C1 Ncrcを宛先端末14へ送信する。また、通信システム11では、中継端末13において巡回冗長符号C1 Ncrcを計算する際に用いられる生成多項式Z1 Ncrc+1は、宛先端末14において既知とされる。なお、中継端末13の詳細な構成については、図3に示すブロック図を参照して後述する。
【0027】
宛先端末14は、通信システム11においてマルチホップ通信される情報の最終的な宛先となる端末である。例えば、宛先端末14は、中継端末13から送信されてくる圧縮系列S1 Jおよび巡回冗長符号C1 Ncrcを受信し、圧縮系列S1 Jに対して巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号に基づく解凍手法を施すことによって、情報系列生成部21において生成された情報系列x1 Nであると推定することができる推定情報系列x^1 Nを取得する。なお、宛先端末14の詳細な構成については、図6に示すブロック図を参照して後述する。
【0028】
このように構成される通信システム11では、巡回冗長検査付きPolar符号を利用して暗号化系列y1 Nを暗号化後圧縮し、巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号を利用して圧縮系列S1 Jを復号することによって、より高効率なマルチホップ通信を行うことができる。
【0029】
図3は、中継端末13の構成例を示すブロック図である。
【0030】
図3に示すように、中継端末13は、情報源分極部31、圧縮処理部32、およびCRC計算部33を備えて構成される。
【0031】
情報源分極部31は、情報源端末12から送信されてくる暗号化系列y1 Nに対して情報源分極操作を行うことによって符号系列u1 Nを求めて、圧縮処理部32およびCRC計算部33に供給する。ここで、情報源分極操作では、ある確率変数列に対して再帰的な可逆変換により別の確率変数列に変換する処理が行われる。例えば、情報源分極部31は、ビット反転行列BN、行列F2、クロネッカー積(・)※n(※は、図4に示すように○の中に×とする)、およびPolar符号の符号化ブロックサイズNを用いて、次の式(1)を演算することによって、暗号化系列y1 Nから符号系列u1 Nを算出することができる。
【0032】
【数1】
【0033】
図4には、Polar符号の符号化ブロックサイズNが8(=23)であるときの情報源分極操作が示されている。図4に示すように、暗号化系列y1乃至y8の配置がビット反転行列BNに従って入れ替えられた後、行列F2のクロネッカー積F2 ※nに従った演算が行われることによって、符号系列u1乃至u8が求められる。
【0034】
圧縮処理部32は、情報源分極部31から供給される符号系列u1 Nに対して、例えば、非特許文献3(R. Mori and T. Tanaka, “Performance of polar codes with the construction using density evolution,” IEEE Commun. Lett., vol. 13, no. 7, pp. 519-521, 2009.)で開示されている密度発展法に基づいて、条件付きエントロピーの高い順に、与えられた圧縮率となるビット数まで、ビットを選択することによって圧縮系列S1 Jを求める。例えば、圧縮処理部32は、Polar符号の符号化率R、圧縮系列S1 Jのビット数J、および、符号系列u1 Nのうち条件付きエントロピーの大きい上位Jビットの集合Iを用いて、次の式(2)を演算することによって、符号系列u1 Nから圧縮系列S1 Jを算出することができる。なお、集合Iは、被圧縮系列の長さおよび圧縮率に応じて事前に設計されるものであり、宛先端末14において既知とされる。
【0035】
【数2】
【0036】
CRC計算部33は、情報源分極部31から供給される符号系列u1 Nを入力として、誤り検出符号の一種である巡回冗長符号C1 Ncrcを求める。例えば、CRC計算部33は、図5に示すように、符号系列u1 Nの末尾に次数Ncrcだけ0を追加したものを生成多項式Z1 Ncrc+1で除算し、その除算を繰り返して行った結果として得られる除算結果を巡回冗長符号C1 Ncrcとして取得する。
【0037】
このように構成される中継端末13は、CRC付きPolar符号に基づく圧縮手法を利用して暗号化系列y1 Nを暗号化後圧縮し、圧縮系列S1 Jおよび巡回冗長符号C1 Ncrcを宛先端末14へ送信することができる。
【0038】
図6は、宛先端末14の構成例を示すブロック図である。
【0039】
図6に示すように、宛先端末14は、SCL復号処理部41、CRC計算部42、情報源分極逆操作部43、および復号部44を備えて構成される。
【0040】
SCL復号処理部41は、中継端末13から送信されてきた圧縮系列S1 Jに対して、逐次除去リスト復号に基づく解凍手法を施す。これにより、SCL復号処理部41は、中継端末13の情報源分極部31において生成された符号系列u1 Nであると推定することができる推定符号系列の候補となるL個の候補系列u^1 N(1)乃至u^1 N(L)を求めて、CRC計算部42に供給する。なお、逐次除去リスト(SCL: Successive-Cancellation List)復号に基づく解凍手法については、非特許文献4(I. Tal and A. Vardy, “List decoding of polar codes,” in Proc. 2011 IEEE Int. Symp. Inform. Theory, 2011, pp. 1-5.)に開示されている。
【0041】
ここで、図7乃至図14を参照して、上述した非特許文献2で開示されている逐次除去復号について説明する。例えば、逐次除去復号に基づく解凍手法では、補助情報である生起確率pおよび暗号鍵k1 Nを入力対数尤度比LLR1乃至LLRNとして利用し、推定符号系列u^1 Nの各ビットの対数尤度比LLR’1乃至LLR’Nが計算される。
【0042】
図7には、Polar符号の符号化ブロックサイズNが8(=23)であるときの復号グラフが示されている。
【0043】
例えば、i番目の入力対数尤度比LLRiは、生起確率pおよび暗号鍵kiを用いて、次の式(3)に従って求められる。
【0044】
【数3】
【0045】
また、この復号グラフは、上述した式(1)に対応しており、ビット反転行列BNに従って、入力対数尤度比LLR1乃至LLR8の配置が入れ替えられる。
【0046】
そして、図8のAに示すようなf演算、および、図8のBに示すようなg演算に従って、i=1から順番に、対数尤度比LLR’1乃至LLR’Nが更新される。
【0047】
例えば、上からi番目の排他的論理和に対して推定符号系列u^側のビットが未知である場合、図8のAにおいて太線で示すように、i番目の排他的論理和に対して入力対数尤度比LLR側のi番目のビットαおよびi+1番目のビットβを入力としてf演算が行われ、その排他的論理和と同じi番目の推定符号系列u^側のビットが求められる。一方、上からi番目の排他的論理和に対して推定符号系列u^側のビットが既知である場合、図8のBにおいて二重線で示すように、i番目の排他的論理和に対して入力対数尤度比LLR側のi番目のビットαおよびi+1番目のビットβ、並びに、既知のビットwを入力としてg演算が行われ、その排他的論理和の次のi+1番目の推定符号系列u^側のビットが求められる。
【0048】
従って、まず、図9において太線で示すように7つのf演算が行われることで、上から1番目の対数尤度比LLR’1が求められる。そして、対数尤度比LLR’1および圧縮系列S1 Jに基づいて、次の式(4)に示す判定に従って、推定符号系列u^1が確定される。
【0049】
【数4】
【0050】
つまり、iが集合Iの要素であり、かつ、iがj番目のijである場合、推定符号系列u^1は、圧縮系列S1 Jであると確定される。一方、iが集合Iの要素でなく、かつ、対数尤度比LLR’iが0より大きい場合、推定符号系列u^1は、0であると確定される。そして、その他の場合、推定符号系列u^1は、1であると確定される。
【0051】
これにより、図10に示すように推定符号系列u^1が確定されると、即ち、上から1番目の最も右側の排他的論理和に対して推定符号系列u^側のビットが既知となると、図11に示すように、上から1番目の最も右側の排他的論理和への入力が更新される。そして、図12に示すように、太線で示すような6つのf演算、および、二重線で示すような1つのg演算が行われることで、上から2番目の対数尤度比LLR’2が求められ、上述の式(4)に示す判定に従って、推定符号系列u^2が確定される。
【0052】
以下、同様にf演算およびg演算が行われることで、対数尤度比LLR’2以降が順に求められる。そして、図13に示すように、二重線で示すような7つのg演算が行われることで、上から8番目の対数尤度比LLR’8が求められ、上述の式(4)に示す判定に従って、推定符号系列u^8が確定される。
【0053】
このように、逐次除去復号に基づく解凍手法によって、推定符号系列u^1乃至u^8を確定することができる。
【0054】
ところで、逐次除去復号では、推定符号系列の判定に誤りがないと仮定しているため、仮に誤りが生じた場合には、判定を誤ったビットを訂正できる可能性がないことが懸念される。このため、図14に示すように、誤った判定が生じた場合には後続のビット判定に誤りが伝播することになってしまう。
【0055】
これに対し、上述した非特許文献3で開示されている逐次除去リスト復号では、リストの個数(L個)に応じて推定符号系列の候補となるL個の候補系列u^1 N(1)乃至u^1 N(L)それぞれに対し、図15に示すような復号グラフが用意される。そして、L個の候補系列u^1 N(1)乃至u^1 N(L)の対数尤度比LLR’1 (1)乃至LLR’1 (L)から順に計算が行われる。
【0056】
例えば、図15には、Polar符号の符号化ブロックサイズNが8(=23)であるときのl番目のリストList_lの復号グラフが示されている。例えば、上述の図7乃至図13を参照して説明したのと同様のf演算およびg演算が行われることで、対数尤度比LLR’1 (l)乃至LLR’1 (l)が求められ、候補系列u^1 (l)乃至u^8 (l)が確定される。
【0057】
さらに、逐次除去リスト復号では、対数尤度比LLR’i (1)乃至LLR’i (L)を利用し、候補系列u^1 N(1)乃至u^1 N(L)のi番目のビットを更新するときのパスメトリックMi (1)乃至Mi (L)が計算される。
【0058】
例えば、iが集合Iの要素であり、かつ、iがj番目のijである場合、圧縮系列S1 Jと一致する方がパスメトリックMi (1)乃至Mi (L)として選択される。
【0059】
一方、iが集合Iの要素でない場合、上位のL個をパスメトリックMi (1)乃至Mi (L)とする。ここで、図16に示すように、候補系列u^i (1)乃至u^i (L)=0および候補系列u^i (1)乃至u^i (L)=1として各候補系列を更新する場合を考える。それぞれに対応するパスメトリックMi,0 (1)乃至Mi,0 (L)およびパスメトリックMi,1 (1)乃至Mi,1 (L)は、次の式(5)および式(6)に示すような判定に従って求められる。
【0060】
【数5】
【数6】
【0061】
即ち、パスメトリックMi,0 (1)は、対数尤度比LLR’i (1)が0以上である場合にはパスメトリックMi-1 (1)とされ、対数尤度比LLR’i (1)が0未満である場合にはパスメトリックMi-1 (1)+対数尤度比LLR’i (1)とされる。また、パスメトリックMi,1 (1)は、対数尤度比LLR’i (1)が0以上である場合にはパスメトリックMi-1 (1)-対数尤度比LLR’i (1)とされ、対数尤度比LLR’i (1)が0未満である場合にはパスメトリックMi-1 (1)とされる。
【0062】
そして、パスメトリックMi,0 (1)乃至Mi,0 (L)およびパスメトリックMi,1 (1)乃至Mi,1 (L)の中から値が大きい上位のL個が、パスメトリックMi (1)乃至Mi (L)として選択される。
【0063】
このように、SCL復号処理部41は、対数尤度比LLR’i (1)乃至LLR’i (L)を利用し、候補系列u^1 N(1)乃至u^1 N(L)のi番目のビットを更新するときのパスメトリックMi (1)乃至Mi (L)を計算することができる。そして、SCL復号処理部41は、iが集合Iの要素であり、かつ、iがj番目のijである場合、圧縮系列S1 Jと一致する方のパスメトリックMi (1)乃至Mi (L)に対応する候補系列u^1 N(1)乃至u^1 N(L)を選択し、CRC計算部42に供給することができる。一方、SCL復号処理部41は、iが集合Iの要素でない場合、最も大きいL個のパスメトリックMi (1)乃至Mi (L)に対応する候補系列u^1 N(1)乃至u^1 N(L)を選択し、CRC計算部42に供給することができる。
【0064】
ところで、従来の逐次除去リスト復号では、候補系列u^1 N(1)乃至u^1 N(L)の中から、推定符号系列u^1 Nを正しく選択することができるとは限らない。そのため、宛先端末14では、巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号が採用される。
【0065】
CRC計算部42は、L個の候補系列u^1 N(1)乃至u^1 N(L)がSCL復号処理部41から供給されると、パスメトリックMN (1)乃至MN (L)に対応する候補系列u^1 N(1)乃至u^1 N(L)それぞれにの巡回冗長符号(第2の巡回冗長符号)を計算する。そして、CRC計算部42は、候補系列u^1 N(1)乃至u^1 N(L)のうち、中継端末13から送信されてきた巡回冗長符号C1 Ncrc(第1の巡回冗長符号)と一致する巡回冗長符号が算出されたものを、推定符号系列u^1 Nとして選択し、情報源分極逆操作部43に供給する。
【0066】
情報源分極逆操作部43は、CRC計算部42から供給される推定符号系列u^1 Nに対して、図3の情報源分極部31において行われた情報源分極操作に対する逆操作を行うことによって、推定暗号化系列y^1 Nを求めて復号部44に供給する。例えば、情報源分極逆操作部43は、ビット反転行列BN、行列F2、クロネッカー積(・)※n(※は、図17に示すように○の中に×とする)、およびPolar符号の符号化ブロックサイズNを用いて、次の式(7)を演算することによって、推定符号系列u^1 Nから推定暗号化系列y^1 Nを算出することができる。
【0067】
【数7】
【0068】
図17には、Polar符号の符号化ブロックサイズNが8(=23)であるときの情報源分極操作の逆操作が示されている。図17に示すように、推定符号系列u^1乃至u^8の配置がビット反転行列BNに従って入れ替えられた後、行列F2のクロネッカー積F2 ※nに従った演算が行われることにより推定暗号化系列y^1乃至y^8が求められる。
【0069】
復号部44は、情報源分極逆操作部43から供給される推定暗号化系列y^1 Nを、暗号鍵k1 Nを用いて復号することによって推定情報系列x^1 Nを取得する。例えば、図18に示すように、復号部44は、推定暗号化系列y^1 Nと暗号鍵k1 Nとの排他的論理和を演算することで、推定情報系列x^1 Nを求めることができる。
【0070】
以上のように構成される通信システム11では、情報源端末12が、情報系列x1 Nを暗号化した暗号化系列y1 Nを送信し、情報系列生成部21が、暗号化系列y1 Nに対して巡回冗長検査付きPolar符号に基づく圧縮手法を施すことによって求められる圧縮系列S1 Jおよび巡回冗長符号C1 Ncrcを送信し、宛先端末14が、圧縮系列S1 Jに対して巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号に基づく解凍手法を施すことによって推定情報系列x^1 Nを取得することができる。そして、宛先端末14は、候補系列u^1 N(1)乃至u^1 N(L)のうち、中継端末13から送信されてきた巡回冗長符号C1 Ncrcと一致する巡回冗長符号が算出されたものを、推定符号系列u^1 Nとして選択することによって、正しい推定符号系列u^1 Nを選択することができる可能性を向上させることができる。
【0071】
このように、通信システム11は、より正しい推定符号系列u^1 Nを取得することができる結果、推定符号系列u^1 Nから求められる推定情報系列x^1 Nが誤って(情報系列x1 Nと異なって)いる確率である解凍誤り確率を低下させることができる。
【0072】
また、通信システム11において採用される巡回冗長検査付きPolar符号に基づく圧縮手法、および、巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号に基づく解凍手法は、例えば、符号系列u1 Nの中から送信するビットの数を変更することによって、圧縮系列S1 Jの圧縮率を可変とすることができる。そして、通信システム11では、圧縮系列S1 Jの圧縮率を高くした場合であっても、解凍誤り確率が上昇するのを抑制することができる。従って、通信システム11は、圧縮系列S1 Jの長さを短くすることによって、より圧縮性能の向上を図ることができる。
【0073】
図19は、符号長Nを2048とし、圧縮率Rを0.5とし、試行回数を10000回として、情報系列を暗号化後圧縮してマルチホップ通信したときのシミュレーション結果の一例を示す図である。
【0074】
図19において、横軸は、情報系列を圧縮する際の圧縮率の理論限界であるエントロピーを示し、縦軸は、解凍して得られる推定情報系列が元の情報系列と1ビットでも異なる確率である解凍誤り確率を示している。例えば、解凍誤り確率は、解凍時に1ビットでも誤った回数を試行回数で割った値として求められる。
【0075】
図19には、通信システム11で用いられる巡回冗長検査付きPolar符号および巡回冗長検査を用いる逐次除去リスト復号を用いた手法(以下、CA-Polar + SCL手法と称する)、Polar符号および逐次除去復号を用いた手法(以下、Polar + SC手法と称する)、並びに、低密度パリティ検査符号およびビリーフプロパゲーション(BP:Belief Propagation)復号を用いた手法(以下、LDPC + BP手法と称する)のシミュレーション結果が示されている。また、CA-Polar + SCL手法については、リストの個数が4である場合のシミュレーション結果(CA-Polar + SCL(L=4))、および、リストの個数が16である場合のシミュレーション結果(CA-Polar + SCL(L=16))が示されている。
【0076】
例えば、CA-Polar + SCL手法では、CRCサイズを16とし、生成多項式を10111010101010111(0xBAAB)としてシミュレーションが行われた。また、LDPC + BP手法では、密度パリティ検査符号の構成法としてGallager構成法を用い、BPAの最大繰り返し回数を40回としてシミュレーションが行われた。
【0077】
図19のシミュレーション結果において、CA-Polar + SCL手法では、リストの個数が増加するのに伴って任意のエントロピーにおける解凍誤り確率が減少することが示されている。特に、リストの個数が16である場合のCA-Polar + SCL手法は、任意のエントロピーおいてPolar + SC手法およびLDPC + BP手法と比較して低い解凍誤り確率を達成しており、非常に優れた圧縮性能を備えることが示されている。
【0078】
以上のように、通信システム11は、CA-Polar + SCL手法を採用することによって、LDPC + BP手法およびPolar + SC手法と比較して圧縮性能の向上を図ることができ、より高効率なマルチホップ通信を実現することができる。
【0079】
<コンピュータの構成例>
次に、上述した一連の処理(通信方法)は、ハードウェアにより行うこともできるし、ソフトウェアにより行うこともできる。一連の処理をソフトウェアによって行う場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、汎用のコンピュータ等にインストールされる。
【0080】
図20は、上述した一連の処理を実行するプログラムがインストールされるコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0081】
プログラムは、コンピュータに内蔵されている記録媒体としてのハードディスク105やROM103に予め記録しておくことができる。
【0082】
あるいはまた、プログラムは、ドライブ109によって駆動されるリムーバブル記録媒体111に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体111は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。ここで、リムーバブル記録媒体111としては、例えば、フレキシブルディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory),MO(Magneto Optical)ディスク,DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリ等がある。
【0083】
なお、プログラムは、上述したようなリムーバブル記録媒体111からコンピュータにインストールする他、通信網や放送網を介して、コンピュータにダウンロードし、内蔵するハードディスク105にインストールすることができる。すなわち、プログラムは、例えば、ダウンロードサイトから、ディジタル衛星放送用の人工衛星を介して、コンピュータに無線で転送したり、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介して、コンピュータに有線で転送することができる。
【0084】
コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)102を内蔵しており、CPU102には、バス101を介して、入出力インタフェース110が接続されている。
【0085】
CPU102は、入出力インタフェース110を介して、ユーザによって、入力部107が操作等されることにより指令が入力されると、それに従って、ROM(Read Only Memory)103に格納されているプログラムを実行する。あるいは、CPU102は、ハードディスク105に格納されたプログラムを、RAM(Random Access Memory)104にロードして実行する。
【0086】
これにより、CPU102は、上述したフローチャートにしたがった処理、あるいは上述したブロック図の構成により行われる処理を行う。そして、CPU102は、その処理結果を、必要に応じて、例えば、入出力インタフェース110を介して、出力部106から出力、あるいは、通信部108から送信、さらには、ハードディスク105に記録等させる。
【0087】
なお、入力部107は、キーボードや、マウス、マイク等で構成される。また、出力部106は、LCD(Liquid Crystal Display)やスピーカ等で構成される。
【0088】
ここで、本明細書において、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に行われる必要はない。すなわち、コンピュータがプログラムに従って行う処理は、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、並列処理あるいはオブジェクトによる処理)も含む。
【0089】
また、プログラムは、1のコンピュータ(プロセッサ)により処理されるものであっても良いし、複数のコンピュータによって分散処理されるものであっても良い。さらに、プログラムは、遠方のコンピュータに転送されて実行されるものであっても良い。
【0090】
さらに、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0091】
また、例えば、1つの装置(または処理部)として説明した構成を分割し、複数の装置(または処理部)として構成するようにしてもよい。逆に、以上において複数の装置(または処理部)として説明した構成をまとめて1つの装置(または処理部)として構成されるようにしてもよい。また、各装置(または各処理部)の構成に上述した以外の構成を付加するようにしてももちろんよい。さらに、システム全体としての構成や動作が実質的に同じであれば、ある装置(または処理部)の構成の一部を他の装置(または他の処理部)の構成に含めるようにしてもよい。
【0092】
また、例えば、本技術は、1つの機能を、ネットワークを介して複数の装置で分担、共同して処理するクラウドコンピューティングの構成をとることができる。
【0093】
また、例えば、上述したプログラムは、任意の装置において実行することができる。その場合、その装置が、必要な機能(機能ブロック等)を有し、必要な情報を得ることができるようにすればよい。
【0094】
また、例えば、上述のフローチャートで説明した各ステップは、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。さらに、1つのステップに複数の処理が含まれる場合には、その1つのステップに含まれる複数の処理は、1つの装置で実行する他、複数の装置で分担して実行することができる。換言するに、1つのステップに含まれる複数の処理を、複数のステップの処理として実行することもできる。逆に、複数のステップとして説明した処理を1つのステップとしてまとめて実行することもできる。
【0095】
なお、コンピュータが実行するプログラムは、プログラムを記述するステップの処理が、本明細書で説明する順序に沿って時系列に実行されるようにしても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで個別に実行されるようにしても良い。つまり、矛盾が生じない限り、各ステップの処理が上述した順序と異なる順序で実行されるようにしてもよい。さらに、このプログラムを記述するステップの処理が、他のプログラムの処理と並列に実行されるようにしても良いし、他のプログラムの処理と組み合わせて実行されるようにしても良い。
【0096】
なお、本明細書において複数説明した本技術は、矛盾が生じない限り、それぞれ独立に単体で実施することができる。もちろん、任意の複数の本技術を併用して実施することもできる。例えば、いずれかの実施の形態において説明した本技術の一部または全部を、他の実施の形態において説明した本技術の一部または全部と組み合わせて実施することもできる。また、上述した任意の本技術の一部または全部を、上述していない他の技術と併用して実施することもできる。
【0097】
なお、本実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、他の効果があってもよい。
【符号の説明】
【0098】
11 通信システム, 12 情報源端末, 13 中継端末, 14 宛先端末, 21 情報系列生成部, 22 暗号化部, 31 情報源分極部, 32 圧縮処理部, 33 CRC計算部, 41 SCL復号処理部, 42 CRC計算部, 43 情報源分極逆操作部, 44 復号部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20