(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008003
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20240112BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B41J2/17 203
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109478
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】眞能 啓輔
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA27
2C056EB03
2C056EB04
2C056EB11
2C056EB12
2C056EB25
2C056EB38
2C056EB48
2C056EC11
2C056EC12
2C056EC28
2C056FA10
2C056JA13
2C056JC06
2C056JC13
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】廃液貯留部に関するメンテナンス作業を行うまでの期間を長くする。
【解決手段】プリンタ1は、インクジェットヘッド2、キャリッジモータ4M、搬送モータ6M、廃液タンク23,42、制御部80を含む。キャリッジモータ4Mは廃液タンク42の収容部の内面の接した状態で当該収容部に収容されている。搬送モータ6Mは廃液タンク23の収容部の内面の接した状態で当該収容部に収容されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
モータと、
前記液体吐出ヘッドから排出された廃液を貯留する廃液貯留部と、
前記モータの駆動を制御する制御部とを備えており、
前記モータは前記廃液貯留部に接していることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記モータは、ヒートシンクを有しており、
前記ヒートシンクは、前記廃液貯留部と接していることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記モータは、前記廃液貯留部の底面に接していることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記廃液貯留部の外表面には、凹部が形成されており、
前記モータは、前記凹部の内面と接していることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
モータと、
前記液体吐出ヘッドから排出された廃液を貯留する廃液貯留部と、
前記モータの駆動を制御する制御部とを備えており、
前記廃液貯留部の外表面には、凹部が形成されており、前記凹部内に前記モータの少なくとも一部が収容されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
前記凹部は、前記モータの軸方向に沿った少なくとも一方が開放されており、前記モータの軸周りに沿った前記モータの全周を囲んでいることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記凹部は、前記モータの軸方向に沿った少なくとも一方および前記モータの軸の径方向に沿った一方の向きに開放されており、前記モータの軸方向に沿った少なくとも一方および前記モータの軸周りに沿った前記モータの周囲の一部を除いて前記モータを囲んでいることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記液体吐出ヘッド、前記モータ、前記廃液貯留部、及び、前記制御部を収容する筐体をさらに備えており、
前記廃液貯留部は、前記筐体から取り出し可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は5のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記液体吐出ヘッド、前記モータ、前記廃液貯留部、及び、前記制御部を収容する筐体をさらに備えており、
前記廃液貯留部は、前記底面の面内方向に沿って前記筐体から取り出し可能に構成されていることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記液体吐出ヘッド、前記モータ、前記廃液貯留部、及び、前記制御部を収容する筐体をさらに備えており、
前記廃液貯留部は、前記モータの軸方向に沿って前記筐体から取り出し可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記液体吐出ヘッド、前記モータ、前記廃液貯留部、及び、前記制御部を収容する筐体をさらに備えており、
前記廃液貯留部は、前記軸方向及び前記軸の径方向の少なくともいずれかの方向に沿って前記筐体から取り出し可能に構成されていることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記液体吐出ヘッドに対して記録媒体を相対的に移動させる移動機構をさらに備えており、
前記移動機構は、前記モータからの動力により駆動されることを特徴とする請求項1又は5に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記モータは、前記液体吐出ヘッドを移動させるための移動モータであることを特徴とする請求項12に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記モータは、記録媒体を搬送するための搬送モータであることを特徴とする請求項12に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
記録媒体を搬送方向と交差する方向に切断する切断機構をさらに備えており、
前記切断機構は、前記モータからの動力により駆動されることを特徴とする請求項1又は5に記載の液体吐出装置。
【請求項16】
前記液体吐出ヘッドからフラッシングにより排出された廃液を受ける受け部をさらに備えており、
前記廃液貯留部は、前記受け部から排出された廃液を貯留する廃液貯留室を内部に有する廃液タンクから構成されており、
前記廃液タンクは、前記廃液貯留室を大気と連通させる大気連通部を有していることを特徴とする請求項1又は5に記載の液体吐出装置。
【請求項17】
前記液体吐出ヘッドから排出された廃液を受ける受け部と、
前記受け部で受け取った廃液を前記廃液貯留部に排出する排出機構と、をさらに備えており、
前記廃液貯留部は、前記排出機構によって前記受け部から排出された廃液を貯留する廃液貯留室を内部に有する廃液タンクから構成されており、
前記廃液タンクは、前記廃液貯留室を大気と連通させる大気連通部を有していることを特徴とする請求項1又は5に記載の液体吐出装置。
【請求項18】
前記廃液貯留部は、廃液を貯留する廃液貯留室を有し、
前記廃液貯留室の内周側面には、当該廃液貯留室に廃液が流入する流入口から離れるに連れて下方に傾斜しつつ延在する案内溝が形成されていることを特徴とする請求項1又は5に記載の液体吐出装置。
【請求項19】
記録媒体を搬送方向に搬送する搬送機構と、
前記液体吐出ヘッドを前記搬送方向と交差する方向に移動させる移動機構と、をさらに備えており、
前記モータとして、前記搬送機構を駆動する搬送モータと、前記移動機構を駆動する移動モータとが設けられており、
前記搬送モータ及び前記移動モータは前記廃液貯留部に接していることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項20】
前記廃液貯留部に貯留された廃液の貯留量を記憶する記憶部を、さらに備えており、
前記制御部は、
前記液体吐出ヘッドから廃液として液体を排出する排出処理が実行された場合、所定の廃液量を前記記憶部に記憶された前記貯留量に加算して前記記憶部に記憶させる加算処理と、
前記加算処理後に前記記憶部に記憶された前記貯留量が第1閾値を超えた場合、前記モータを駆動させる駆動処理と、を実行可能であることを特徴とする請求項1又は5に記載の液体吐出装置。
【請求項21】
前記制御部は、
前記駆動処理を実行しているときに、前記貯留量が前記第1閾値以下の第2閾値以下となった場合、前記モータの駆動を停止する停止処理を、さらに実行可能であることを特徴とする請求項20に記載の液体吐出装置。
【請求項22】
前記制御部は、
前記モータの非駆動時における経過時間が第1時間経過する度に、廃液の蒸発量としての所定蒸発量を前記貯留量から減算して前記記憶部に記憶させる第1減算処理と、
前記モータの駆動時における経過時間が前記第1時間よりも短い第2時間経過する度に、前記所定蒸発量を前記貯留量から減算して前記記憶部に記憶させる第2減算処理と、をさらに実行可能であることを特徴とする請求項20に記載の液体吐出装置。
【請求項23】
前記制御部は、
前記モータの非駆動時における経過時間が所定時間経過する度に、廃液の蒸発量としての第1蒸発量を前記貯留量から減算して前記記憶部に記憶させる第1減算処理と、
前記モータの駆動時における経過時間が前記所定時間経過する度に、前記第1蒸発量よりも多い第2蒸発量を前記貯留量から減算して前記記憶部に記憶させる第2減算処理と、をさらに実行可能であることを特徴とする請求項20に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドから排出された廃液を貯留する廃液貯留部を有する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、吸引パージによってインクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)から排出された廃インクを貯留する廃液タンク(廃液貯留部)を有するプリンタ(液体吐出装置)について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のプリンタにおいては、吸引パージなどによってインクジェットヘッドから排出された廃インクが廃液タンクに貯留され、廃液タンクが満量となると、廃インクを廃液タンクに貯留することができなくなるため、廃液タンクの交換や廃液タンクから廃インクを除去するなどのメンテナンス作業が必要となる。特にプリンタの使用頻度などが高い場合には、廃液タンクに貯留された廃インクが自然蒸発する蒸発量を超える廃インクが、廃液タンクに流入する。このため、廃液タンクに関する上記メンテナンス作業を行うまでの期間が比較的短くなる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、廃液貯留部に関するメンテナンス作業を行うまでの期間を長くすることが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、第1の観点では、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、モータと、前記液体吐出ヘッドから排出された廃液を貯留する廃液貯留部と、前記モータの駆動を制御する制御部とを備えており、前記モータは前記廃液貯留部に接している。
【0007】
本発明の液体吐出装置は、第2の観点では、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、モータと、前記液体吐出ヘッドから排出された廃液を貯留する廃液貯留部と、前記モータの駆動を制御する制御部とを備えており、前記廃液貯留部の外表面には、凹部が形成されており、前記凹部内に前記モータの少なくとも一部が収容されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体吐出装置の第1の観点によると、廃液貯留部がモータと接しているため、制御部によりモータが駆動されたときのモータの熱により、廃液貯留部に貯留された廃液が温められて蒸発しやすくなる。このため、廃液貯留部内の廃液が満量となるまでの期間を長くすることが可能となる。この結果、廃液貯留部に関するメンテナンス作業を行うまでの期間を長くすることが可能となる。
本発明の液体吐出装置の第2の観点によると、廃液貯留部の凹部にモータの少なくとも一部が収容されているため、制御部によりモータが駆動されたときのモータの熱により、廃液貯留部に貯留された廃液が温められて蒸発しやすくなる。このため、廃液貯留部内の廃液が満量となるまでの期間を長くすることが可能となる。この結果、廃液貯留部に関するメンテナンス作業を行うまでの期間を長くすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
【
図2】
図1に示す搬送モータ及び廃液タンクを示しており、(a)は廃液タンクがプリンタの筐体内に取り付けられ、搬送モータが収容部に収容された状態を示す図であり、(b)は廃液タンクがプリンタの筐体内から引き出された状態を示す図である。
【
図3】(a)は
図2(a)に示すIIIa-IIIa線に沿った断面図であり、(b)は
図2(a)に示すIIIb-IIIb線に沿った断面図である。
【
図4】
図1に示すキャリッジモータ及び廃液タンクを示しており、(a)は廃液タンクがプリンタの筐体内に取り付けられ、キャリッジモータが収容部に収容された状態を示す図であり、(b)は廃液タンクがプリンタの筐体内から引き出された状態を示す図である。
【
図5】プリンタの電気的構成を示すブロック図である。
【
図6】
図1に示すプリンタの各廃液タンクの廃液量を加算する加算制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図7】
図1に示すプリンタの第1廃液量を減算する減算制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図8】
図1に示すプリンタの第2廃液量を減算する減算制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図1に示すプリンタの第1廃液量の上限を管理する上限管理制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図10】
図1に示すプリンタの第2廃液量の上限を管理する上限管理制御の処理手順を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の第2実施形態に係るプリンタの搬送モータ及び廃液タンクを示しており、(a)は廃液タンクが搬送モータのヒートシンク上に載置されて、プリンタの筐体内に取り付けられた状態を示す図であり、(b)は廃液タンクがプリンタの筐体内から引き出された状態を示す図である。
【
図12】本発明の第2実施形態に係るプリンタのキャリッジモータ及び廃液タンクを示しており、(a)は廃液タンクがキャリッジモータのヒートシンク上に載置されて、プリンタの筐体内に取り付けられた状態を示す図であり、(b)は廃液タンクがプリンタの筐体内から引き出された状態を示す図である。
【
図13】第1変形例に係るプリンタの搬送モータ及び廃液タンクを示しており、(a)は廃液タンクが搬送モータのヒートシンク上に載置されて、プリンタの筐体内に取り付けられた状態を示す図であり、(b)は廃液タンクがプリンタの筐体内から引き出された状態を示す図である。
【
図14】本発明の第3実施形態に係るプリンタの搬送モータ、キャリッジモータ及び廃液タンクを示し、廃液タンクが搬送モータ及びキャリッジモータのヒートシンク上に載置されて、プリンタの筐体内に取り付けられた状態を示す図である。
【
図15】第3変形例に係るプリンタの第2廃液量を減算する減算制御の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<プリンタの全体構成>
図1に示すように、第1実施形態に係るプリンタ1(本発明の「液体吐出装置」)は、インクジェットヘッド2(本発明の「液体吐出ヘッド」)、サブタンク3、ヘッド移動機構4、プラテン5、搬送機構6、メンテナンスユニット20、インク受けユニット40、切断機構60、報知部70、制御部80、及び、これら構成要素を収容する筐体1aなどを含む。
【0011】
ヘッド移動機構(本発明の「移動機構」)4は、キャリッジ12、2本のガイドレール13,14、キャリッジモータ4M、伝達機構4T(
図5参照)を有している。キャリッジ12は、2本のガイドレール13,14に支持されている。2本のガイドレール13,14は、走査方向に沿って互いに平行に延びている。キャリッジ12は、伝達機構4Tを介してキャリッジモータ4Mに接続されており、キャリッジモータ4Mを駆動させると、キャリッジ12がガイドレール13,14に沿って走査方向に移動する。伝達機構4Tは、キャリッジ12が走査方向に移動するように、キャリッジモータ4Mの動力を伝達する。
【0012】
また、伝達機構4Tは、制御部80の制御により、キャリッジモータ4Mの動力をキャリッジ12に伝達することが可能な伝達可能状態と、当該動力を伝達しない伝達不可能状態とに選択的に切り換え可能に構成されている。このため、伝達機構4Tが伝達不可能状態を取るときは、キャリッジモータ4Mを駆動してもキャリッジ12は走査方向に移動しない。一方、伝達機構4Tが伝達可能状態を取るときは、キャリッジモータ4Mを駆動するとキャリッジ12が走査方向に移動する。なお、以下では、
図1に示すように、走査方向の右側及び左側を定義して説明を行う。
【0013】
キャリッジモータ(本発明の「移動モータ」)4Mは、2本のガイドレール13,14よりも下方に配置されている。また、キャリッジモータ4Mは、プラテン5よりも走査方向の左側に配置されている。キャリッジモータ4Mは、軸が上下方向に沿って配置されるようにして配置されている。
【0014】
サブタンク3は、キャリッジ12に搭載されている。ここで、プリンタ1は、カートリッジホルダ15を含み、カートリッジホルダ15に4つのインクカートリッジ16が取り外し可能に装着されている。4つのインクカートリッジ16は、走査方向に並んでおり、走査方向の右側に配置されたものから、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインク(本発明の「液体」)を貯留している。サブタンク3は、4本のチューブ17を介してカートリッジホルダ15に装着された4つのインクカートリッジ16と接続されている。これにより、4つのインクカートリッジ16からサブタンク3に上記4色のインクが供給される。
【0015】
インクジェットヘッド2は、キャリッジ12に搭載され、サブタンク3の下端部に接続されている。インクジェットヘッド2には、サブタンク3から上記4色のインクが供給される。また、インクジェットヘッド2は、その下面であるノズル面2aに形成された複数のノズル10からインクを吐出する。より詳細に説明すると、複数のノズル10は、走査方向と直交する搬送方向に配列されることによってノズル列11を形成しており、ノズル面2aにおいて、4列のノズル列11が走査方向に並んでいる。複数のノズル10からは、走査方向の右側のノズル列11を構成するものから、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。
【0016】
プラテン5は、インクジェットヘッド2の下方に配置され、複数のノズル10と対向している。プラテン5は、走査方向に用紙P(本発明の「記録媒体」)の全長に亘って延び、用紙Pを下方から支持する。
【0017】
搬送機構6は、3つの搬送ローラ対7~9、搬送モータ6M、伝達機構6T(
図5参照)を有している。搬送モータ6Mは、2本のガイドレール13,14よりも下方であってプラテン5よりも走査方向の右側に配置されている。搬送モータ6Mは、軸が走査方向に沿って配置されるようにして配置されている。搬送ローラ対7は、インクジェットヘッド2及びプラテン5よりも搬送方向の上流側に配置されている。搬送ローラ対8は、インクジェットヘッド2及びプラテン5よりも搬送方向の下流側に配置されている。搬送ローラ対9は、搬送ローラ対よりも搬送方向の下流側に配置されている。
【0018】
各搬送ローラ対7~9は、用紙Pを挟持可能に配置された2つのローラからなる。2つのローラは、搬送モータ6Mが駆動されることで回転する駆動ローラと、駆動ローラの回転に伴って回転する従動ローラとで構成されている。各搬送ローラ対7~9の駆動ローラは、伝達機構6Tを介して搬送モータ6Mに接続されており、搬送モータ6Mを駆動させると、各搬送ローラ対7~9の駆動ローラが回転し、用紙Pが搬送方向に搬送される。伝達機構6Tは、各搬送ローラ対7~9の駆動ローラが回転するように、搬送モータ6Mの動力を伝達する。
【0019】
また、伝達機構6Tは、制御部80の制御により、搬送モータ6Mの動力を各搬送ローラ対7~9に伝達することが可能な伝達可能状態と、当該動力を伝達しない伝達不可能状態とに選択的に切り換え可能に構成されている。このため、伝達機構6Tが伝達不可能状態を取るときは、搬送モータ6Mを駆動しても各搬送ローラ対7~9の駆動ローラが回転されない。一方、伝達機構6Tが伝達可能状態を取るときは、搬送モータ6Mを駆動すると各搬送ローラ対7~9の駆動ローラが回転する。
【0020】
メンテナンスユニット20は、キャップ21と、吸引ポンプ22と、廃液タンク23とを含む。キャップ(本発明の「受け部」)21は、プラテン5よりも走査方向の右側に配置されている。そして、キャリッジ12を、プラテン5よりも走査方向の右側のメンテナンス位置に位置させると、複数のノズル10がキャップ21と対向する。
【0021】
また、キャップ21は、キャップ昇降機構30(
図5参照)によって昇降可能となっている。そして、キャリッジ12を上記メンテナンス位置に位置させることによって複数のノズル10とキャップ21とを対向させた状態で、キャップ昇降機構30によりキャップ21を上昇させると、キャップ21の上端部がノズル面2aに密着し、複数のノズル10がキャップ21に覆われる。なお、キャップ21はノズル面2aに密着することで複数のノズル10を覆うものであることには限られない。キャップ21は、例えば、インクジェットヘッド2のノズル面2aの周囲に配置される図示しないフレーム等に密着することで、複数のノズル10を覆うものであってもよい。
【0022】
吸引ポンプ(本発明の「排出機構」)22はチューブポンプなどであり、キャップ21及び廃液タンク23と接続されている。そして、メンテナンスユニット20では、上述したように複数のノズル10がキャップ21によって覆われた状態で吸引ポンプ22を駆動させると、複数のノズル10からインクジェットヘッド2内のインクを排出させる、いわゆる吸引パージ(回復動作)を行うことができる。本実施形態においては、吸引パージとして強パージ、中パージ、小パージの3種類があり、制御部80の制御により、選択的に実行される。強パージが実行されることで、中パージよりも多くのインクがインクジェットヘッド2から排出される。中パージが実行されることで、小パージよりも多くのインクがインクジェットヘッド2から排出される。吸引パージによって排出されたインクは廃液として廃液タンク23に貯留される。
【0023】
なお、ここでは、便宜上、キャップ21が全てのノズル10をまとめて覆い、吸引パージにおいて、全てのノズル10からインクジェットヘッド2内のインクを排出させるものとして説明を行ったが、これには限られない。例えば、キャップ21が、ブラックインクを吐出する最も右側のノズル列11を構成する複数のノズル10を覆う部分と、カラーインク(イエロー、シアン、マゼンタのインク)を吐出する左側3列のノズル列11を構成する複数のノズル10を覆う部分とを別々に有し、吸引パージにおいて、インクジェットヘッド2内のブラックインク及びカラーインクのいずれかを選択的に排出させることができるようになっていてもよい。あるいは、例えば、キャップ21が、ノズル列11毎に個別に設けられ、吸引パージにおいて、ノズル列11毎に個別に、ノズル10からインクを排出させることができるようになっていてもよい。
【0024】
廃液タンク(本発明の「廃液貯留部」)23は、
図1に示すように、プラテン5よりも走査方向の右側に配置されている。廃液タンク23は、
図2に示すように、略直方体形状を有しており、内部に廃液を貯留する廃液貯留室24を有している。なお、廃液貯留室24には、廃液を吸収するためのスポンジなどの吸収フォーム(不図示)が収容されている。本実施形態における廃液タンク23は、ポリプロピレン樹脂から形成されている。ここで、廃液タンク23はポリプロピレン、ポリカーボネート、ABSなどの樹脂材料からなることが望ましい。また、壁の一部または全部がフィルム状の樹脂で形成されてもよい。フィルムは厚みのある壁に熱溶着、超音波溶着または接着剤などで接着されればよい。また、廃液タンク23を形成する材料は樹脂に限らず、金属やガラスなどであってもよい。
【0025】
廃液タンク23の一側壁23aの上部には、
図3(a)に示すように、厚み方向(搬送方向)に貫通した流入口25が形成されている。流入口25には、吸引ポンプ22と廃液タンク23とを繋ぐチューブ26(
図1参照)が接続されている。これにより、吸引パージによって排出されたインク(廃液)が流入口25から廃液貯留室24に流入する。また、廃液タンク23の上壁23bには、
図2(a)及び
図3(a)に示すように、廃液貯留室24を大気と連通させるように貫通した大気連通部27が形成されている。これにより、廃液貯留室24に貯留された廃液の蒸気が大気連通部27から大気に排出される。
【0026】
また、廃液貯留室24の内周側面24aには、
図3に示すように、流入口25から離れるに連れて下方に傾斜しつつ延在する複数の案内溝28が形成されている。複数の案内溝28は、上下方向に互いに離隔して配置されている。これにより、流入口25から廃液貯留室24に流入し、流入口25近傍の吸収フォームに吸収された廃液が案内溝28によって流入口25から離れた位置に移動しやすくなる。このため、廃液の一部が蒸発して残った固形物が廃液貯留室24の流入口25側に片寄って残らなくなり、廃液貯留室24全体を有効に活用して廃液を効果的に貯留することが可能となる。なお、案内溝28が形成されていることで、廃液貯留室24に吸収フォームが配置されていなくても、流入口25側の廃液を流入口25から離れた位置に移動させやすくなる。この結果、同様な効果を得ることができる。
【0027】
また、廃液タンク23の外表面には、
図2に示すように、搬送モータ6Mを収容する凹部としての収容部(本発明の「凹部」)29が形成されている。収容部29は、搬送モータ6Mの軸方向に沿って貫通して形成されている。また、収容部29は、円孔であり、搬送モータ6Mの外形サイズよりも若干大きな内径を有している。このような収容部29により、搬送モータ6Mの軸周りに沿った当該搬送モータ6Mの全周を囲むことが可能となる。これにより、搬送モータ6Mを駆動させたときの搬送モータ6Mの発熱により、廃液貯留室24に貯留された廃液を効果的に温めることが可能となる。
【0028】
また、収容部29は、搬送モータ6Mの軸方向に沿った両方が開放されている。このため、廃液タンク23を搬送モータ6Mの軸方向に沿って移動させて、筐体1aから取り出し可能とされている。廃液タンク23を筐体1aから取り出すときは、
図1に示すように、筐体1aの扉1bを図中二点鎖線で示すように開き、チューブ26を流入口25から取り外す。そして、
図2(b)に示すように、廃液タンク23を走査方向(搬送モータ6Mの軸方向)に沿って右側に移動させ、筐体1aの外部に引き出す。なお、廃液タンク23を筐体1aに取り付けるときは、取り外し作業と逆の手順で取り付ける。
【0029】
インク受けユニット40は、
図1に示すように、インク受け部(本発明の「受け部」)41と、廃液タンク42とを含む。インク受け部41は、プラテン5よりも走査方向の左側に配置されている。そして、キャリッジ12を、プラテン5よりも走査方向の左側のフラッシング位置に配置させると、複数のノズル10がインク受け部41に対向する。本実施形態におけるインク受け部41は、ノズル10からフラッシングにより排出されたインクを受けるために、トレイ状に形成されているが、フラッシングにより排出されたインクを受けることが可能であれば、どのような構成であってもよい。また、インク受け部41は、排出部41aが底面に形成されている。排出部41aは、インク受け部41で受け取ったインクを廃液として廃液タンク42に排出する。
【0030】
廃液タンク(本発明の「廃液貯留部」)42は、プラテン5よりも走査方向の左側であって、インク受け部41の下方に配置されている。廃液タンク42は、
図4に示すように、略直方体形状を有しており、内部に廃液を貯留する廃液貯留室44を有している。なお、廃液貯留室44にも、上述と同様な吸収フォーム(不図示)が収容されている。
【0031】
廃液タンク42の上壁42aの搬送方向下流側の端部には、
図4に示すように、厚み方向に貫通した流入口45が形成されている。流入口45は、インク受け部41の排出部41aと対向して配置されている。これにより、排出部41aから排出されたインクが流入口45から廃液貯留室44に流入する。また、上壁42aの搬送方向の上流側の端部には、廃液貯留室44を大気と連通させるように貫通した大気連通部47が形成されている。これにより、廃液貯留室44に貯留された廃液の蒸気が大気連通部47から大気に排出される。
【0032】
また、廃液貯留室44の内周側面には、上述の案内溝28と同様な案内溝(不図示)が形成されている。これにより、流入口45から廃液貯留室44に流入し、流入口45近傍の吸収フォームに吸収された廃液が案内溝によって流入口45から離れた位置に移動しやすくなる。このため、上述と同様の効果を得ることができる。なお、案内溝が形成されていることで、廃液貯留室44に吸収フォームが配置されていなくても、上述と同様な効果を得ることができる。
【0033】
また、廃液タンク42の外表面には、
図4に示すように、キャリッジモータ4Mを収容する凹部としての収容部(本発明の「凹部」)49が形成されている。収容部49は、キャリッジモータ4Mの軸方向に沿って貫通して形成されている。つまり、収容部49は、キャリッジモータ4Mの軸方向の両方に開放されている。また、収容部49は、キャリッジモータ4Mの軸の径方向に沿った一方の向き(
図1中走査方向の一方の向き(右向き))に開放されている。また、収容部49は、半円弧形状を有しており、キャリッジモータ4Mの外形サイズよりも若干大きな内径を有している。このような収容部49により、キャリッジモータ4Mの軸方向に沿った両方およびキャリッジモータ4Mの軸周りに沿ったキャリッジモータ4Mの周囲の一部(右側部分)を除いて、キャリッジモータ4Mを囲むことが可能となる。これにより、キャリッジモータ4Mを駆動させたときのキャリッジモータ4Mの発熱により、廃液貯留室44に貯留された廃液を効果的に温めることが可能となる。
【0034】
また、収容部49は、キャリッジモータ4Mの右方が開放されている。このため、廃液タンク42をキャリッジモータ4Mの軸の径方向(
図1中走査方向)に沿って移動させて、筐体1aから取り出し可能とされている。廃液タンク42を筐体1aから取り出すときは、
図1に示すように、筐体1aの扉1cを図中二点鎖線で示すように開く。そして、
図4(b)に示すように、廃液タンク42を走査方向の左側に移動させて、筐体1aの外部に引き出す。なお、廃液タンク42を筐体1aに取り付けるときは、取り外し作業と逆の手順で取り付ける。
【0035】
なお、収容部49は、上下方向にも開放されている。このため、筐体1aの底部であって、廃液タンク42と上下方向に対向する部分を開放可能に構成している場合、当該部分を開放して、廃液タンク42を下方(キャリッジモータ4Mの軸方向)に引き出し可能としてもよい。
【0036】
切断機構60は、
図1に示すように、2つの搬送ローラ対8,9間に位置している。切断機構60は、走査方向に細長い固定刃61と、固定刃61と接触しつつ走査方向に移動可能な円板状の回転刃62と、切断モータ60Mと、伝達機構(不図示)とを含んでいる。切断モータ60Mは、固定刃61の左側端部に配置されている。回転刃62は、切断モータ60Mの駆動により、伝達機構から動力が伝達されて回転し、且つ、走査方向に沿って往復移動する。用紙Pは、制御部80の制御により切断モータ60Mが駆動されることで、切断機構60により走査方向に切断される。これにより、用紙Pを搬送方向の所望位置で切断することが可能となる。本実施形態においては、A4サイズの用紙Pを搬送方向の中央で切断し、A5サイズの2枚の用紙Pとすることが可能である。
【0037】
報知部70は、ユーザに対して情報を報知する報知動作を行うためのものである。報知部70は、例えば、プリンタ1に設けられたディスプレイであって、ユーザに対して報知すべき情報を表示することによって、ユーザに対する報知動作を実行するものである。または、報知部70は、プリンタ1に設けられたスピーカーであって、ユーザに対して報知すべき情報を音声にて発することによって、ユーザに対する報知動作を実行するものである。
【0038】
<プリンタの電気的構成>
次に、プリンタ1の電気的構成について説明する。プリンタ1の動作は、制御部80によって制御される。
図5に示すように、制御部80は、CPU(Central Processing Unit)81、ROM(Read Only Memory)82、RAM(Random Access Memory)83、フラッシュメモリ(本発明の「記憶部」)84、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)85などからなり、キャリッジモータ4M、搬送モータ6M、ドライバIC2b、キャップ昇降機構30、吸引ポンプ22、切断モータ60M、報知部70などの動作を制御する。なお、本実施形態では、制御部80は、ドライバIC2bを制御することによって、インクジェットヘッド2を制御している。また、制御部80は、キャリッジモータ4Mの駆動時間及び非駆動時間、搬送モータ6Mの駆動時間及び非駆動時間を計時する。
【0039】
また、フラッシュメモリ84は、第1廃液量、第2廃液量、第1閾値、第2閾値、第1~第5所定量などを記憶している。第1廃液量(本発明の「貯留量」)は、廃液タンク23に貯留されている廃液の貯留量に相当する。第2廃液量(本発明の「貯留量」)は、廃液タンク42に貯留されている廃液の貯留量に相当する。第1閾値(本発明の「第1閾値」)は、廃液タンク23に貯留可能な廃液量の上限値に相当する。第2閾値(本発明の「第1閾値」)は、廃液タンク42に貯留可能な廃液量の上限値に相当する。
【0040】
第1所定量は、強パージによってインクジェットヘッド2から排出されるインク量に相当する。第2所定量は、中パージによってインクジェットヘッド2から排出されるインク量に相当する。第3所定量は、小パージによってインクジェットヘッド2から排出されるインク量に相当する。第4所定量は、フラッシングによってインクジェットヘッド2から排出されるインク量に相当する。
【0041】
第5所定量は、搬送モータ6M及びキャリッジモータ4Mのそれぞれの駆動時間が第1所定時間経過することで、対応する廃液タンク23,42から廃液が蒸発する蒸発量に相当する。ここでいう第1所定時間(本発明の「第2時間」)は、例えば、1分であるが、適宜変更してもよい。また、第5所定量は、搬送モータ6M及びキャリッジモータ4Mのそれぞれの非駆動時間が第2所定時間経過することで、対応する廃液タンク23,42から廃液が蒸発する蒸発量に相当する。ここでいう第2所定時間(本発明の「第1時間」)は、例えば、6時間であるが、適宜変更してもよい。また、第1所定時間と第2所定時間は、モータの駆動時間が第1所定時間経過したときの廃液の蒸発量と、モータの非駆動時間が第2所定時間経過したときの廃液の蒸発量とが同じになるときの時間に設定されている。第1所定時間は、第2所定時間よりも短い時間である。
【0042】
なお、制御部80は、CPU81のみが各種処理を行うものであってもよいし、ASIC85のみが各種処理を行うものであってもよいし、CPU81とASIC85とが協働して各種処理を行うものであってもよい。また、制御部80は、1つのCPU81が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のCPU81が処理を分担して行うものであってもよい。また、制御部80は、1つのASIC85が単独で処理を行うものであってもよいし、複数のASIC85が処理を分担して行うものであってもよい。
【0043】
<各廃液タンクの廃液量の加算制御>
続いて、各廃液タンク23,42の廃液量の加算制御について、
図6を参照しつつ以下に説明する。まず、制御部80は、
図6に示すように、プリンタ1において、吸引パージ(本発明の「排出処理」)が実行されたか否かを判定する(S1)。吸引パージが実行された場合(S1:YES)、制御部80は実行された吸引パージが強パージであるか否かを判定する(S2)。なお、制御部80は、強パージ、中パージ、小パージのいずれかの吸引パージを実行したときに、対応するパージを示すフラグをフラッシュメモリ84に記憶させる。これにより、強パージ、中パージ、小パージのいずれの吸引パージが行われたか否かを判定することが可能となる。また、制御部80は、フラッシングが行われたときも、フラッシングが行われたことを示すフラグをフラッシュメモリ84に記憶させる。なお、これらフラグは、対応する後述のS3,S5,S6,S8のいずれかが実行されたときに、フラッシュメモリ84から消去される。
【0044】
強パージが実行された場合(S2:YES)、制御部80は第1所定量(本発明の「所定の廃液量」)をフラッシュメモリ84に記憶された第1廃液量に加算してフラッシュメモリ84に記憶させる(S3:本発明の「加算処理」)。これにより、強パージによって排出されたインク量(廃液量)に相当する量が第1廃液量に加算される。
【0045】
強パージが実行されていない場合(S2:NO)、制御部80は実行された吸引パージが中パージであるか否かを判定する(S4)。中パージが実行された場合(S4:YES)、制御部80は第2所定量(本発明の「所定の廃液量」)をフラッシュメモリ84に記憶された第1廃液量に加算してフラッシュメモリ84に記憶させる(S5:本発明の「加算処理」)。これにより、中パージによって排出されたインク量(廃液量)に相当する量が第1廃液量に加算される。
【0046】
中パージが実行されていない場合(S4:NO)、制御部80は小パージが実行されたと判定し、第3所定量(本発明の「所定の廃液量」)をフラッシュメモリ84に記憶された第1廃液量に加算してフラッシュメモリ84に記憶させる(S6:本発明の「加算処理」)。これにより、小パージによって排出されたインク量(廃液量)に相当する量が第1廃液量に加算される。
【0047】
吸引パージが実行されていない場合(S1:NO)、制御部80はフラッシング(本発明の「排出処理」)が実行されたか否かを判定する(S7)。フラッシングが実行されていない場合(S7:NO)、S1に戻る。一方、フラッシングが実行された場合(S7:YES)、制御部80は第4所定量(本発明の「所定の廃液量」)をフラッシュメモリ84に記憶された第2廃液量に加算してフラッシュメモリ84に記憶させる(S8:本発明の「加算処理」)。これにより、フラッシングによって排出されたインク量(廃液量)に相当する量が第2廃液量に加算される。こうして、吸引パージ及びフラッシングにより、インクジェットヘッド2から排出されたインク量を各廃液量に加算する加算制御が終了する。
【0048】
<廃液タンク23の第1廃液量の減算制御>
続いて、廃液タンク23の第1廃液量の減算制御について、
図7を参照しつつ以下に説明する。まず、制御部80は、
図7に示すように、搬送モータ6Mが駆動されているか否かを判定する(S101)。搬送モータ6Mが駆動されている場合(S101:YES)、制御部80は搬送モータ6Mの駆動時間が第1所定時間経過したか否かを判定する(S102)。
【0049】
搬送モータ6Mの駆動時間が第1所定時間経過していない場合(S102:NO)、S101に戻る。一方、駆動時間が第1所定時間経過した場合(S102:YES)、制御部80は搬送モータ6Mの駆動時間をリセットする(S103)。なお、搬送モータ6Mが駆動されている場合、リセット後、直ぐに駆動時間が計時される。
【0050】
次に、制御部80は、第5所定量(本発明の「所定蒸発量」)をフラッシュメモリ84に記憶された第1廃液量から減算してフラッシュメモリ84に記憶させる(S104:本発明の「第2減算処理」)。この後、S101に戻る。これにより、搬送モータ6Mの駆動時間が第1所定時間経過することによって廃液タンク23の廃液が蒸発する蒸発量に相当する第5所定量が、廃液タンク23の第1廃液量から減算される。このため、駆動時間が第1所定時間経過する度に、第5所定量を第1廃液量から減算することが可能となる。
【0051】
搬送モータ6Mが駆動されていない場合(S101:NO)、制御部80は搬送モータ6Mの非駆動時間が第2所定時間経過したか否かを判定する(S105)。搬送モータ6Mの非駆動時間が第2所定時間経過していない場合(S105:NO)、S101に戻る。
【0052】
一方、非駆動時間が第2所定時間経過した場合(S105:YES)、制御部80は搬送モータ6Mの非駆動時間をリセットする(S106)。なお、搬送モータ6Mが駆動されていない場合、リセット後、直ぐに非駆動時間が計時される。そして、S106からS104(本発明の「第1減算処理」)へと進み、上述と同様な処理が実行される。これにより、搬送モータ6Mの非駆動時間が第2所定時間経過することによって廃液タンク23の廃液が蒸発する蒸発量に相当する第5所定量が、廃液タンク23の第1廃液量から減算される。このため、非駆動時間が第2所定時間経過する度に、第5所定量を第1廃液量から減算することが可能となる。
【0053】
<廃液タンク42の第2廃液量の減算制御>
続いて、廃液タンク42の第2廃液量の減算制御について、
図8を参照しつつ以下に説明する。まず、制御部80は、
図8に示すように、キャリッジモータ4Mが駆動されているか否かを判定する(S201)。キャリッジモータ4Mが駆動されている場合(S201:YES)、制御部80はキャリッジモータ4Mの駆動時間が第1所定時間経過したか否かを判定する(S202)。
【0054】
キャリッジモータ4Mの駆動時間が第1所定時間経過していない場合(S202:NO)、S201に戻る。一方、駆動時間が第1所定時間経過した場合(S202:YES)、制御部80はキャリッジモータ4Mの駆動時間をリセットする(S203)。なお、キャリッジモータ4Mが駆動されている場合、リセット後、直ぐに駆動時間が計時される。
【0055】
次に、制御部80は、第5所定量(本発明の「所定蒸発量」)をフラッシュメモリ84に記憶された第2廃液量から減算してフラッシュメモリ84に記憶させる(S204:本発明の「第2減算処理」)。この後、S201に戻る。これにより、キャリッジモータ4Mの駆動時間が第1所定時間経過することによって廃液タンク42の廃液が蒸発する蒸発量に相当する第5所定量が、廃液タンク42の第2廃液量から減算される。このため、駆動時間が第1所定時間経過する度に、第5所定量を第2廃液量から減算することが可能となる。
【0056】
キャリッジモータ4Mが駆動されていない場合(S201:NO)、制御部80はキャリッジモータ4Mの非駆動時間が第2所定時間経過したか否かを判定する(S205)。キャリッジモータ4Mの非駆動時間が第2所定時間経過していない場合(S205:NO)、S201に戻る。
【0057】
一方、非駆動時間が第2所定時間経過した場合(S205:YES)、制御部80はキャリッジモータ4Mの非駆動時間をリセットする(S206)。なお、キャリッジモータ4Mが駆動されていない場合、リセット後、直ぐに非駆動時間が計時される。そして、S206からS204(本発明の「第1減算処理」)へと進み、上述と同様な処理が実行される。これにより、キャリッジモータ4Mの非駆動時間が第2所定時間経過することによって廃液タンク42の廃液が蒸発する蒸発量に相当する第5所定量が、廃液タンク42の第2廃液量から減算される。このため、非駆動時間が第2所定時間経過する度に、第5所定量を第2廃液量から減算することが可能となる。
【0058】
以上のような加算及び減算制御により、廃液タンク23,42内の廃液量を推定することが可能となる。
【0059】
<廃液タンク23の第1廃液量の上限管理制御>
続いて、廃液タンク23の第1廃液量の上限管理制御について、
図9を参照しつつ以下に説明する。まず、制御部80は、
図9に示すように、上述の廃液量の加算制御により増加した第1廃液量が第1閾値を超えたか否かを判定する(S301)。第1廃液量が第1閾値を超えていない場合(S301:NO)、S301に戻る。
【0060】
一方、第1廃液量が第1閾値を超えた場合(S301:YES)、制御部80は廃液タンク23のメンテナンスの要請を報知する報知動作を報知部70に実行させる(S302)。これにより、廃液タンク23の廃液量が上限値に達したため、廃液タンク23の交換もしくは廃液の除去などを行うメンテナンスの要請をユーザに報知することができる。この結果、ユーザが交換用の廃液タンク23を準備する、もしくは準備していた廃液タンク23に交換することが可能となる。また、筐体1aから取り出した廃液タンク23から廃液を除去することが可能となる。
【0061】
次に、制御部80は、搬送モータ6Mの動力を各搬送ローラ対7~9に伝達しない伝達不可能状態となるように伝達機構6Tを制御した後、搬送モータ6Mを駆動する(S303:本発明の「駆動処理」)。これにより、搬送モータ6Mの駆動による発熱により、廃液タンク23の廃液の蒸発が促進される。
【0062】
次に、制御部80は、第1廃液量が第1閾値以下か否かを判定する(S304)。第1廃液量が第1閾値を超えたままの場合(S304:NO)、S304に戻る。一方、搬送モータ6Mが駆動されることで上述の第1廃液量の減算制御が行われ、第1廃液量が第1閾値以下となった場合(S304:YES)、制御部80は、搬送モータ6Mの駆動を停止する(S305:本発明の「停止処理」)。本実施形態においては、第1廃液量が第1閾値(廃液タンク23の上限値)以下となった場合に、搬送モータ6Mの駆動を停止しているが、第1閾値以下の別の閾値(本発明の「第2閾値」)以下となった場合に搬送モータ6Mを停止してもよい。この場合、当該別の閾値をフラッシュメモリ84に記憶させておけばよい。このようにS305で搬送モータ6Mの駆動を停止することで、電力消費量を抑制することが可能となる。
【0063】
また、このとき、制御部80は、搬送モータ6Mの動力を各搬送ローラ対7~9に伝達することが可能な伝達可能状態となるように伝達機構6Tを制御する。このように伝達機構6Tは、第1閾値を超えた第1廃液量が第1閾値以下となるように搬送モータ6Mを駆動させるときだけ、伝達不可能状態を取るように制御され、通常は伝達可能状態とされている。こうして、第1廃液量の上限管理制御が終了する。
【0064】
<廃液タンク42の第2廃液量の上限管理制御>
続いて、廃液タンク42の第2廃液量の上限管理制御について、
図10を参照しつつ以下に説明する。まず、制御部80は、
図10に示すように、上述の廃液量の加算制御により増加した第2廃液量が第2閾値を超えたか否かを判定する(S401)。第2廃液量が第2閾値を超えていない場合(S401:NO)、S401に戻る。
【0065】
一方、第2廃液量が第2閾値を超えた場合(S401:YES)、制御部80は廃液タンク42のメンテナンスの要請を報知する報知動作を報知部70に実行させる(S402)。これにより、廃液タンク42の廃液量が上限値に達したため、廃液タンク42の交換もしくは廃液の除去などを行うメンテナンスの要請をユーザに報知することができる。この結果、ユーザが交換用の廃液タンク42を準備する、もしくは準備していた廃液タンク42に交換することが可能となる。また、筐体1aから取り出した廃液タンク42から廃液を除去することが可能となる。
【0066】
次に、制御部80は、キャリッジモータ4Mの動力をキャリッジ12に伝達しない伝達不可能状態となるように伝達機構4Tを制御した後、キャリッジモータ4Mを駆動する(S403:本発明の「駆動処理」)。これにより、キャリッジモータ4Mの駆動による発熱により、廃液タンク42の廃液の蒸発が促進される。
【0067】
次に、制御部80は、第2廃液量が第2閾値以下か否かを判定する(S404)。第2廃液量が第2閾値を超えたままの場合(S404:NO)、S404に戻る。一方、キャリッジモータ4Mが駆動されることで上述の第2廃液量の減算制御が行われ、第2廃液量が第2閾値以下となった場合(S404:YES)、制御部80は、キャリッジモータ4Mの駆動を停止する(S405:本発明の「停止処理」)。本実施形態においては、第2廃液量が第2閾値(廃液タンク42の上限値)以下となった場合に、キャリッジモータ4Mの駆動を停止しているが、第2閾値以下の別の閾値(本発明の「第2閾値」)以下となった場合にキャリッジモータ4Mを停止してもよい。この場合、当該別の閾値をフラッシュメモリ84に記憶させておけばよい。このようにS405でキャリッジモータ4Mの駆動を停止することで、電力消費量を抑制することが可能となる。
【0068】
また、このとき、制御部80は、キャリッジモータ4Mの動力をキャリッジ12に伝達することが可能な伝達可能状態となるように伝達機構4Tを制御する。このように伝達機構4Tは、第2閾値を超えた第2廃液量が第2閾値以下となるようにキャリッジモータ4Mを駆動させるときだけ、伝達不可能状態を取るように制御され、通常は伝達可能状態とされている。こうして、第2廃液量の上限管理制御が終了する。
【0069】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ1によると、廃液タンク23,42の収容部29,49に各モータ6M,4Mが収容されているため、制御部80により各モータ6M,4Mが駆動されたときのモータの発熱により、廃液タンク23,42が温められる。つまり、廃液タンク23,42に貯留された廃液が温められて蒸発しやすくなる。このため、廃液タンク23,42内の廃液が満量となるまでの期間を長くすることが可能となる。この結果、廃液タンク23,42に関するメンテナンス作業(廃液タンク23,42を新しいものに交換や廃液タンク23,42の廃液を除去するなどの作業)を行うまでの期間を長くすることが可能となる。
【0070】
また、収容部29が、搬送モータ6Mの軸方向に沿った両方が開放され、搬送モータ6Mの軸周りに沿った全周を囲んでいる。これにより、廃液タンク23に貯留された廃液を効果的に温めることが可能であり、廃液タンク23を搬送モータ6Mの軸方向に沿って移動させることが可能となる。
【0071】
また、収容部49が、キャリッジモータ4Mの軸方向に沿った両方およびキャリッジモータ4Mの軸周りに沿ったキャリッジモータ4Mの周囲の一部(右側部分)を除いて、キャリッジモータ4Mを囲んでいる。これにより、廃液タンク42に貯留された廃液を効果的に温めることが可能であり、廃液タンク42をキャリッジモータ4Mの軸方向及び軸の径方向に沿って移動させることが可能となる。
【0072】
また、廃液タンク23が、搬送モータ6Mの軸方向に沿って筐体1aから取り出し可能に構成されている。これにより、廃液タンク23を搬送モータ6Mの軸方向に沿って筐体1aから取り出し可能となる。廃液タンク42が、キャリッジモータ4Mの軸方向および軸の径方向の少なくともいずれかに沿って筐体1aから取り出し可能に構成されている。これにより、廃液タンク42をキャリッジモータ4Mの軸方向又は径方向の少なくともいずれかに沿って取り出し可能となる。
【0073】
また、ヘッド移動機構4が、キャリッジモータ4Mからの動力により駆動される。これにより、キャリッジモータ4Mがヘッド移動機構4を駆動するときのキャリッジモータ4Mの熱により、廃液タンク42の廃液の蒸発を促進させることが可能となる。
【0074】
また、キャリッジモータ4Mは、制御部80に駆動されることで、インクジェットヘッド2を走査方向に移動させるためのキャリッジ12を移動させる。このようにインクジェットヘッド2を印刷やメンテナンス時に移動させるときのキャリッジモータ4Mの熱により、廃液タンク42の廃液の蒸発を促進させることが可能となる。
【0075】
また、搬送モータ6Mが、用紙Pを搬送するためのモータである。これにより、用紙Pを搬送させるときの搬送モータ6Mの熱により、廃液タンク23の廃液の蒸発を促進させることが可能となる。
【0076】
また、廃液タンク42は、インクジェットヘッド2からフラッシングにより排出されたインク(廃液)を受けるインク受け部41から排出された廃液を貯留する廃液貯留室44と、大気連通部47とを有している。これにより、廃液タンク42に貯留された廃液(フラッシングにより排出されたインク)を、効果的に蒸発させることが可能となる。
【0077】
また、廃液タンク23は、吸引ポンプ22によってキャップ21から排出された廃液を貯留する廃液貯留室24と、大気連通部27とを有している。これにより、廃液タンク23に貯留された廃液(吸引パージで排出されたインク)を効果的に蒸発させることが可能となる。
【0078】
続いて、第2実施形態に係るプリンタについて、
図11及び
図12を参照しつつ以下に説明する。本実施形態におけるプリンタは、搬送モータ6Mがヒートシンク206を有し、キャリッジモータ4Mがヒートシンク204を有し、そして、廃液タンク223,242の構成が上述の廃液タンク23,42と若干異なるだけである。これら以外は上述の実施形態と同様であり、同様な構成については同符号で示し説明を省略する。
【0079】
搬送モータ6Mは、
図11に示すように、ヒートシンク206を有している。ヒートシンク206はアルミニウムで形成されている。ここで、ヒートシンクはアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの熱伝導率の高い金属からなることが望ましいがこれに限らない。軽量化のために樹脂やセラミックスなどから形成されていてもよい。また、熱が伝導できる材質であればよい。ヒートシンク206は、略L字形状に形成されており、垂直部206aと水平部206bとを有する。水平部206bは、垂直部206aの下端部から搬送方向下流側に水平に延在して形成されている。水平部206bは、廃液タンク223の底面223aと接しており、当該廃液タンク223を下方から支持している。垂直部206aの搬送方向上流側の側面には、搬送モータ6Mを保持する保持部206cを有する。保持部206cは、搬送方向上流に向かって開いた略U字形状を有している。保持部206cは、搬送モータ6Mを保持しているときに当該搬送モータ6Mと接している。
【0080】
廃液タンク(本発明の「廃液貯留部」)223は、上述の収容部29が形成されていない廃液タンク23とほぼ同様なものである。なお、上述の廃液タンク23と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。廃液タンク223の上壁223bには、上述の流入口25と同様な流入口225と、上述の大気連通部27と同様な大気連通部227とが形成されている。流入口225は、上述のチューブ26が接続されている。
【0081】
また、廃液タンク223は、ヒートシンク206の水平部206b上に載置されているため、廃液タンク223の底面223aの面内方向に沿って移動させて、筐体1aから取り出し可能とされている。廃液タンク223を筐体1aから取り出すときは、上述の実施形態と同様に、筐体1aの扉1bを
図1中二点鎖線で示すように開き、チューブ26を流入口225から取り外す。そして、
図11(b)に示すように、廃液タンク223を走査方向に沿って右側(本発明の「底面の面内方向」)に移動させ、筐体1aの外部に引き出す。なお、廃液タンク223を筐体1aに取り付けるときは、取り外し作業と逆の手順で取り付ける。
【0082】
キャリッジモータ4Mは、
図12に示すように、ヒートシンク204を有している。ヒートシンク204は、略L字形状に形成されており、垂直部204aと水平部204bとを有する。水平部204bは、垂直部204aの下端部から走査方向に沿って左側に延在して形成されている。水平部204bは、廃液タンク242の底面242aと接しており、当該廃液タンク242を下方から支持している。垂直部204aの右側面には、キャリッジモータ4Mを保持する保持部204cを有する。保持部204cは、右方に向かって開いた略U字形状を有している。保持部204cは、キャリッジモータ4Mを保持しているときに当該キャリッジモータ4Mと接している。cp
【0083】
廃液タンク(本発明の「廃液貯留部」)242は、上述の収容部49が形成されていない廃液タンク42とほぼ同様なものである。なお、上述の廃液タンク42と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。廃液タンク242の上壁242bには、上述の流入口45と同様な流入口245と、上述の大気連通部47と同様な大気連通部247とが形成されている。流入口245には、上述のインク受け部41の排出部41aと対向して配置されており、排出部41aから排出されたインクが流入口245から廃液貯留室44に流入する。
【0084】
また、廃液タンク242は、ヒートシンク204の水平部204b上に載置されているため、廃液タンク242の底面242aの面内方向に沿って移動させて、筐体1aから取り出し可能とされている。廃液タンク242を筐体1aから取り出すときは、上述の実施形態と同様に、筐体1aの扉1cを
図1中二点鎖線で示すように開き、廃液タンク242を走査方向の左側(本発明の「底面の面内方向」)に移動させて、筐体1aの外部に引き出す。なお、廃液タンク242を筐体1aに取り付けるときは、取り外し作業と逆の手順で取り付ける。
【0085】
本実施形態のプリンタによると、廃液タンク223がヒートシンク206を介して搬送モータ6Mと接し、廃液タンク242がヒートシンク204を介してキャリッジモータ4Mと接しているため、制御部80により各モータ6M,4Mが駆動されたときのモータの発熱により、廃液タンク223,242が温められる。つまり、廃液タンク223,242に貯留された廃液が温められて蒸発しやすくなる。このため、上述の実施形態と同様に、廃液タンク223,242内の廃液が満量となるまでの期間を長くすることが可能となる。この結果、廃液タンク223,242に関するメンテナンス作業を行うまでの期間を長くすることが可能となる。
【0086】
また、各廃液タンク223,242がヒートシンク206,204と接している。これにより、各モータ6M,4Mの熱がヒートシンク206,204を介して廃液タンク223,242に伝わり、廃液の蒸発を促進させることが可能となる。
【0087】
また、各廃液タンク223,242の底面223a,242aがヒートシンク206,204と接している。これにより、廃液タンク223,242に貯留された廃液を底面223a,242aから効果的に温めることが可能となる。このため、廃液の蒸発をより促進させることが可能となる。
【0088】
また、各廃液タンク223,242が、底面223a,242aの面内方向(走査方向)に沿って筐体1aから取り出し可能に構成されている。これにより、廃液タンク223,242を底面223a,242aの面内方向に沿って取り出し可能となる。なお、底面223a,242aの面内方向であれば、走査方向と交差する方向に各廃液タンク223,242を筐体1aから取り出してもよい。この場合、筐体1aに各廃液タンク223,242を引き出すことが可能な開放部分を設ける。
【0089】
また、上述の第1及び第2実施形態におけるキャリッジモータ4Mの位置に、切断モータ60Mを配置し(
図4,
図12参照)、当該キャリッジモータ4Mに代えて切断モータ60Mが駆動されたときの熱により、廃液タンク42,242に貯留された廃液の蒸発を促進させてもよい。もしくは、
図1中二点鎖線で示すように、切断モータ60Mを囲むように廃液タンク42を配置してもよい。このとき、排出部41aと流入口45とを配管で接続すればよい。これにおいても、上述の第1及び第2実施形態と同様に、廃液タンク42,242に関するメンテナンス作業を行うまでの期間を長くすることが可能となる。
【0090】
第1変形例として、ヒートシンク306が、
図13に示すように、搬送モータ6Mと接触する接触部306aと、水平部306bと、リブ306cとを有していてもよい。なお、上述の第1及び第2実施形態と同様なものについては、同符号で示し説明を省略する。
【0091】
水平部306bは、接触部306aの下端部から搬送方向下流側に水平に延在して形成されている。水平部306bは、廃液タンク323の底面323aと接しており、当該廃液タンク323を下方から支持している。接触部306aは、搬送モータ6Mの外周面に沿って円弧状に湾曲しており、当該搬送モータ6Mと接している。リブ306cは、接触部306a及び水平部306b上に垂直に立設されている。リブ306cは、接触部306aの走査方向の中央から水平部306bの搬送方向の中央部にかけて搬送方向に沿って延在して形成されている。
【0092】
廃液タンク(本発明の「廃液貯留部」)323は、上述の廃液タンク223とほぼ同様であり、上壁323bには上述の流入口225及び大気連通部227が形成されている。また、廃液タンク323の外表面であって搬送方向の上流側端部には、搬送方向上流及び上下方向に開口した凹部329が形成されている。凹部329は、廃液タンク323が水平部306b上に配置されたときに、ちょうどリブ306cが収容されるように形成されている。リブ306cが凹部329に収容されているときは、凹部329の内面329aとリブ306cが接触している。
【0093】
また、廃液タンク323は、ヒートシンク306の水平部306b上に載置されているため、廃液タンク323の底面323aの面内方向に沿って移動させて、筐体1aから取り出し可能とされている。廃液タンク323を筐体1aから取り出すときは、筐体1aの扉1bを
図1中二点鎖線で示すように開き、チューブ26を流入口225から取り外す。そして、
図13(b)に示すように、リブ306cが凹部329から完全に外れるように廃液タンク323を搬送方向下流側に移動させ、その後、廃液タンク323を走査方向に沿って右側に移動させ、筐体1aの外部に引き出す。なお、廃液タンク323を筐体1aに取り付けるときは、取り外し作業と逆の手順で取り付ける。
【0094】
このような変形例においても、上述の第2実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。また、廃液タンク323に凹部329が設けられ、当該凹部329の内面329aにヒートシンク306のリブ306cが接した状態で廃液タンク323がヒートシンク306の水平部306b上に配置される。これにより、搬送モータ6Mからヒートシンク306に伝わった熱を効果的に廃液タンク323に伝えることが可能となる。このため、廃液タンク323に貯留された廃液を効果的に温めることが可能となる。この結果、廃液の蒸発をより促進させることが可能となる。
【0095】
続いて、第3実施形態に係るプリンタについて、
図14を参照しつつ以下に説明する。本実施形態におけるプリンタは、キャリッジモータ4M及び搬送モータ6Mが搬送方向に隣接配置されている。これらモータ4M,6Mは、軸方向が上下方向に沿って配置されており、1つのヒートシンク404を有している。上述の第2実施形態と同様な構成については同符号で示し説明を省略する。
【0096】
ヒートシンク404は、
図14に示すように、上述のヒートシンク204に2つの保持部204cが設けられたものとほぼ同様である。つまり、ヒートシンク404は、垂直部204aと、水平部204bと、2つの保持部cpとを有する。各保持部404cは、上述の保持部204cと同様なものである。2つの保持部404cは、搬送方向に沿って並べて配置されており、一方の保持部404cにキャリッジモータ4Mが保持され、他方の保持部404cに搬送モータ6Mが保持されている。なお、廃液タンク242の筐体1aからの取り出しは、上述の第2実施形態と同様である。
【0097】
このように1つのヒートシンク404に2つのモータ4M,6Mが保持されている(接している)ことで、少なくともいずれかのモータ4M,6Mが駆動されたときのモータの熱により、ヒートシンク404を介して廃液タンク242に貯留された廃液を温めることが可能となる。この結果、廃液の蒸発を効果的に促進させることが可能となる。なお、本実施形態におけるプリンタにおいても、上述の第2実施形態と同様な構成においては、同様な効果を得ることができる。
【0098】
また、第2変形例として、
図1中二点鎖線で示すように、吸引ポンプ22に接続されたチューブ26を廃液タンク42に接続してもよい。このとき、廃液タンク42には、上述の流入口25のような流入口を廃液タンク42に形成すればよい。このような変形例によると、1つの廃液タンク42により、パージによる廃液とフラッシングによる廃液の両方を貯留することが可能となる。また、当該廃液タンク42は、キャリッジモータ4Mの熱により温められるため、廃液が蒸発しやすい。このため、廃液タンク42の容量もそれほど大きくする必要がなくなる。この結果、パージによる廃液を貯留するためだけの廃液タンク23,223,323を省略することが可能となり、プリンタの小型化を図ることができる。
【0099】
また、第3変形例として、駆動時間が第3所定時間経過したときに第6所定量を、非駆動時間が同じ第3所定時間経過したときに第7所定量を、廃液タンク42の第2廃液量から減算してもよい。つまり、第2廃液量から所定の蒸発量を減算するタイミングとなる経過時間を同じにして、第2廃液量から減算する量(第6所定量、第7所定量)を駆動時間及び非駆動時間で異ならせてもよい。
【0100】
なお、第6所定量は、キャリッジモータ4Mの駆動時間が第3所定時間経過することで、廃液タンク42から廃液が蒸発する蒸発量に相当する。第7所定量は、キャリッジモータ4Mの非駆動時間が第3所定時間経過することで、廃液タンク42から廃液が蒸発する蒸発量に相当する。第6所定量は、第7所定量よりも多い。これら第6及び第7所定量は、フラッシュメモリ84に記憶させておけばよい。
【0101】
このような変形例においては、
図15に示すように、まず、上述のS201と同様なS501を実行する。キャリッジモータ4Mが駆動されている場合(S501:YES)、制御部80はキャリッジモータ4Mの駆動時間が第3所定時間経過したか否かを判定する(S502)。
【0102】
キャリッジモータ4Mの駆動時間が第3所定時間経過していない場合(S502:NO)、S501に戻る。一方、駆動時間が第3所定時間経過した場合(S502:YES)、制御部80はキャリッジモータ4Mの駆動時間をリセットする(S503)。なお、キャリッジモータ4Mが駆動されている場合、リセット後、直ぐに駆動時間が計時される。
【0103】
次に、制御部80は、第6所定量(本発明の「第2蒸発量」)をフラッシュメモリ84に記憶された第2廃液量から減算してフラッシュメモリ84に記憶させる(S504:本発明の「第2減算処理」)。この後、S501に戻る。これにより、キャリッジモータ4Mの駆動時間が第3所定時間経過することによって廃液タンク42の廃液が蒸発する蒸発量に相当する第6所定量が、廃液タンク42の第2廃液量から減算される。このため、駆動時間が第3所定時間経過する度に、第6所定量を第2廃液量から減算することが可能となる。
【0104】
キャリッジモータ4Mが駆動されていない場合(S501:NO)、制御部80はキャリッジモータ4Mの非駆動時間が第3所定時間経過したか否かを判定する(S505)。キャリッジモータ4Mの非駆動時間が第3所定時間経過していない場合(S505:NO)、S501に戻る。
【0105】
一方、非駆動時間が第5所定時間経過した場合(S505:YES)、制御部80はキャリッジモータ4Mの非駆動時間をリセットする(S506)。なお、キャリッジモータ4Mが駆動されていない場合、リセット後、直ぐに非駆動時間が計時される。
【0106】
次に、制御部80は、第7所定量(本発明の「第1蒸発量」)をフラッシュメモリ84に記憶された第2廃液量から減算してフラッシュメモリ84に記憶させる(S507:本発明の「第1減算処理」)。この後、S501に戻る。これにより、キャリッジモータ4Mの非駆動時間が第3所定時間経過することによって廃液タンク42の廃液が蒸発する蒸発量に相当する第7所定量が、廃液タンク42の第2廃液量から減算される。このため、非駆動時間が第3所定時間経過する度に、第7所定量を第2廃液量から減算することが可能となる。
【0107】
以上のような減算制御により、廃液タンク42内の廃液量を推定することが可能となる。なお、上述の減算制御を廃液タンク23の第1廃液量の減算制御に採用してもよい。これにおいても、廃液タンク23内の廃液量を推定することが可能となる。
【0108】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の各実施形態におけるプリンタは、パージによる廃液を貯留する廃液タンクと、フラッシングによる廃液を貯留する廃液タンクの両方を有しているが、いずれか一方の廃液タンクを有しておればよい。また、廃液タンク23,42,223,242,323は、上方に開口した箱形状や皿形状を有していてもよい。
【0109】
また、上述の第1実施形態における収容部29は、搬送モータ6M全体を収容可能に構成されていてもよい。また、上述の第1実施形態における収容部49は、キャリッジモータ4Mの一部だけを収容可能に構成されていてもよい。つまり、キャリッジモータ4Mの一部が、収容部49から外側にはみ出していてもよい。
【0110】
また、プリンタ1が、用紙Pを収容するためのトレイ、トレイから用紙Pをピックアップする給紙ローラ、及び、給紙ローラを駆動する給紙モータを有していてもよい。この場合、給紙モータを、搬送モータ6M又はキャリッジモータ4Mの位置に配置してもよい。これにより、給紙モータが駆動されたときのモータの熱により、廃液タンク23,42に貯留された廃液を温めることが可能となる。この場合においても上述と同様な効果を得ることができる。
【0111】
また、上述の第2実施形態においては、各モータ6M,4Mがヒートシンク206,204を介して廃液タンク223,242と接しているが、各モータ6M,4Mがヒートシンク206,204を有していない場合は、廃液タンク223,242と直接、接していてもよい。つまり、廃液タンク223,242の表面(側面や底面など)と各モータ6M,4Mが接しておればよい。
【0112】
また、廃液タンク23,42には、案内溝28が形成されていなくてもよい。また、廃液タンク23,42の廃液量を検知するセンサを設けていてもよい。こうすれば、上述の加算及び減算制御を行わなくてもよい。また、上述のS303及びS403は、モータを駆動してから所定時間経過したら自動的にモータを停止させてもよい。つまり、予め設定された所定の廃液量が減少する時間だけモータを駆動すればよい。これにより、S304,S305及びS404,S405を省略することが可能となり、制御構成を簡素化することが可能となる。
【0113】
また、上述の第2所定時間は、外気温によって増減させてもよい。つまり、気温が高いほど第2所定時間を短くし、気温が低いほど第2所定時間を長くしてもよい。また、上述の第1所定時間は、駆動時間が経過するに連れて短くしてもよい。
【0114】
また、上述の各実施形態及び各変形例のプリンタにおいては、吸引パージによって、複数のノズル10からインクジェットヘッド2内のインクを排出させたが、これには限られない。例えば、サブタンク3とインクカートリッジ16とを接続するチューブ17の途中部分に加圧ポンプが設けられていてもよい。あるいは、プリンタにインクカートリッジと接続された加圧ポンプが設けられていてもよい。そして、複数のノズル10がキャップ21で覆われた状態で、上記加圧ポンプを駆動させることで、インクジェットヘッド2内のインクを加圧してノズル10からインクジェットヘッド2内のインクを排出させる、いわゆる加圧パージを行ってもよい。なお、この場合には、加圧ポンプが、本発明の「排出機構」に相当する。
【0115】
さらには、パージにおいて、吸引ポンプ22による吸引と加圧ポンプによる加圧の両方を行ってもよい。この場合には、吸引ポンプ22と加圧ポンプとを合わせたものが、本発明の「排出機構」に相当する。
【0116】
本発明は、プリンタに限定されず、ファクシミリ、コピー機、複合機等にも適用可能である。また、本発明は、画像の記録以外の用途で使用される液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置(例えば、基板に導電性の液体を吐出して導電パターンを形成する液体吐出ヘッドを有する装置)にも適用可能である。吐出対象は、用紙に限定されず、例えば布、基板等であってもよい。ノズルから吐出される液体は、インクに限定されず、任意の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)であってよい。
【符号の説明】
【0117】
1 プリンタ(液体吐出装置)
1a 筐体
2 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
4 ヘッド移動機構(移動機構)
4M キャリッジモータ(移動モータ)
6 搬送機構
6M 搬送モータ
21 キャップ(受け部)
22 吸引ポンプ(排出機構)
23、42,223,242,323 廃液タンク(廃液貯留部)
24,44 廃液貯留室
24a 内周側面
25,45,225,245 流入口
27,47,227,247 大気連通部
28 案内溝
29,49 収容部(凹部)
41 インク受け部
60 切断機構
60M 切断モータ
80 制御部
84 フラッシュメモリ(記憶部)
204,206,306,404 ヒートシンク
223a,242a,323a 底面
329 凹部
329a 内面