(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080034
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】輸送システム、異常検出装置、異常検出方法、及び異常検出プログラム
(51)【国際特許分類】
F25D 11/00 20060101AFI20240606BHJP
F25D 23/00 20060101ALI20240606BHJP
A23L 3/3418 20060101ALI20240606BHJP
A23L 3/26 20060101ALI20240606BHJP
A23L 3/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
F25D11/00 101D
F25D23/00 302Z
A23L3/3418
A23L3/26
A23L3/00 101Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192855
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚田 篤
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
4B021
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045MA00
3L045MA10
3L045PA01
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA16
3L345AA26
3L345EE00
3L345EE33
3L345EE53
3L345EE55
3L345GG26
3L345HH13
3L345HH23
3L345HH24
3L345HH34
3L345HH36
3L345HH42
3L345KK01
3L345KK02
3L345KK03
3L345KK04
4B021LA06
4B021LT02
4B021LW02
4B021LW10
4B021MC05
4B021MC10
4B021MP10
4B021MQ01
(57)【要約】
【課題】輸送ボックス内部の照度又は輸送ボックスの傾きによる物品の品質劣化を抑制する。
【解決手段】
輸送システムは、物品を輸送のために収容する輸送ボックスを用いた輸送システムであって、前記輸送ボックスの内部の照度を検出する照度センサと、前記輸送ボックスの傾斜度合いを検出する傾斜センサと、異常検出装置と、を備え、前記異常検出装置は、前記照度センサによって検出された前記照度及び前記傾斜センサによって検出された前記傾斜度合いを取得する検出値取得部と、前記検出値取得部によって取得された前記照度及び前記傾斜度合いの少なくとも一方に基づいて、前記輸送ボックスにおける前記物品の収容状態の異常を検出する異常検出部と、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を輸送のために収容する輸送ボックスを用いた輸送システムであって、
前記輸送ボックスの内部の照度を検出する照度センサ及び前記輸送ボックスの傾斜度合いを検出する傾斜センサの少なくとも一方を含むセンサと、
異常検出装置と、
を備え、
前記異常検出装置は、
前記センサによって検出された前記照度及び前記傾斜度合いの少なくとも一方を取得する検出値取得部と、
前記検出値取得部によって取得された前記照度及び前記傾斜度合いの少なくとも一方に基づいて、前記輸送ボックスにおける前記物品の収容状態の異常を検出する異常検出部と、
を含む、
輸送システム。
【請求項2】
前記センサは、前記照度センサを含み、
前記輸送システムは、物品の種類と、前記物品に適した照度との対応関係を定義した照度テーブルを用いて、前記輸送ボックスに収容されている物品に適した参照照度を決定する照度決定部をさらに含み、
前記異常検出部は、前記検出値取得部によって取得された前記照度が、前記照度決定部によって決定された前記参照照度から外れているか否かを判定することにより、前記物品の収容状態の異常を検出する、
請求項1に記載の輸送システム。
【請求項3】
前記輸送システムは、前記輸送ボックスに関する照度及び傾斜度合い以外の物理量を検出する他のセンサをさらに備え、
前記検出値取得部は、前記他のセンサによって検出された前記物理量を取得し、
前記照度テーブルは、物品の種類毎に、前記物理量と、前記物品に適した照度との対応関係を定義し、
前記照度決定部は、前記検出値取得部によって取得された前記物理量に基づいて、前記参照照度を決定する、
請求項2に記載の輸送システム。
【請求項4】
前記物理量は、前記輸送ボックスの内部におけるエチレンの濃度である、
請求項3に記載の輸送システム。
【請求項5】
前記物理量は、前記輸送ボックスの内部における温度である、
請求項3に記載の輸送システム。
【請求項6】
前記輸送システムは、前記輸送ボックスの内部の照度を調節する照度調節部をさらに備え、
前記照度調節部は、前記検出値取得部によって取得された前記照度が前記物品に適した照度から外れていると前記異常検出部によって判定された場合に、前記輸送ボックスの内部の照度を調節する、
請求項2に記載の輸送システム。
【請求項7】
前記異常検出装置は、前記検出値取得部によって取得された前記照度が前記物品に適した照度から外れていると前記異常検出部によって規定回数以上判定された場合に、前記物品の収容状態の異常をユーザに通知する第1通知部をさらに含む、
請求項2に記載の輸送システム。
【請求項8】
前記センサは、前記傾斜センサを含み、
前記異常検出装置は、物品の種類と、前記物品に適した傾斜度合いとの対応関係を定義した傾斜度合いテーブルを用いて、前記輸送ボックスに収容されている物品に適した参照傾斜度合いを決定する傾斜度合い決定部をさらに含み、
前記異常検出部は、前記検出値取得部によって取得された前記傾斜度合いが、前記傾斜度合い決定部によって決定された前記参照傾斜度合いから外れているか否かを判定することにより、前記物品の収容状態の異常を検出する、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の輸送システム。
【請求項9】
前記異常検出装置は、前記検出値取得部によって取得された前記傾斜度合いが前記物品に適した傾斜度合いから外れていると前記異常検出部によって判定された場合に、前記物品の収容状態の異常をユーザに通知する第2通知部をさらに含む、
請求項8に記載の輸送システム。
【請求項10】
前記第2通知部は、
前記検出値取得部によって取得された前記傾斜度合いが前記物品に適した傾斜度合いから外れていると前記異常検出部によって判定された場合に、前記輸送ボックスを積載した車両のドライバに通知する第1通知処理を実行し、
前記検出値取得部によって取得された前記傾斜度合いが前記物品に適した傾斜度合いから外れていると前記異常検出部によって規定回数以上判定された場合に、前記ドライバを管理する管理者に通知する第2通知処理を実行する、
請求項9に記載の輸送システム。
【請求項11】
物品を輸送のために収容する輸送ボックスに収容される物品の収容状態の異常を検出する異常検出装置であって、
前記輸送ボックスの内部の照度を検出する照度センサによって検出された前記照度、及び前記輸送ボックスの傾斜度合いを検出する傾斜センサによって検出された前記傾斜度合いの少なくとも一方を取得する検出値取得部と、
前記検出値取得部によって取得された前記照度及び前記傾斜度合いの少なくとも一方に基づいて、前記輸送ボックスにおける前記物品の収容状態の異常を検出する異常検出部と、
を備える、
異常検出装置。
【請求項12】
物品を輸送のために収容する輸送ボックスに収容される物品の収容状態の異常を検出する異常検出方法であって、
前記輸送ボックスの内部の照度を検出する照度センサによって検出された前記照度、及び前記輸送ボックスの傾斜度合いを検出する傾斜センサによって検出された前記傾斜度合いの少なくとも一方を取得するステップと、
取得された前記照度及び前記傾斜度合いの少なくとも一方に基づいて、前記輸送ボックスにおける前記物品の収容状態の異常を検出するステップと、
を含む、
異常検出方法。
【請求項13】
物品を輸送のために収容する輸送ボックスに収容される物品の収容状態の異常を検出するための異常検出プログラムであって、
コンピュータに、
前記輸送ボックスの内部の照度を検出する照度センサによって検出された前記照度、及び前記輸送ボックスの傾斜度合いを検出する傾斜センサによって検出された前記傾斜度合いの少なくとも一方を取得するステップと、
取得された前記照度及び前記傾斜度合いの少なくとも一方に基づいて、前記輸送ボックスにおける前記物品の収容状態の異常を検出するステップと、
を実行させるための、
異常検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、輸送システム、異常検出装置、異常検出方法、及び異常検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トラックに積載可能な輸送ボックスを用いた輸送システムが開示されている。特許文献1に開示された輸送ボックスには、温度調節部と、温度センサと、気体濃度調節部と、気体濃度センサとが設けられている。輸送ボックスに収容された物品の品質劣化を抑制するために、温度センサの検出温度に基づいて、温度調節部が輸送ボックスの内部の温度を調節し、気体濃度センサによって検出された、輸送ボックス内の特定種類の気体の濃度に基づいて、気体濃度調節部が輸送ボックスの内部の上記の特定種類の気体濃度を調節する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
野菜、特に葉物類の品質は、周囲の明るさによって劣化し、傾けた状態で置かれることによっても劣化する。しかしながら、特許文献1に開示された輸送システムでは、輸送ボックス内の照度、及び輸送ボックスの傾きは考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る輸送システムは、物品を輸送のために収容する輸送ボックスを用いた輸送システムであって、前記輸送ボックスの内部の照度を検出する照度センサ及び前記輸送ボックスの傾斜度合いを検出する傾斜センサの少なくとも一方を含むセンサと、異常検出装置と、を備え、前記異常検出装置は、前記照度センサによって検出された前記照度及び前記傾斜センサによって検出された前記傾斜度合いの少なくとも一方を取得する検出値取得部と、前記検出値取得部によって取得された前記照度及び前記傾斜度合いの少なくとも一方に基づいて、前記輸送ボックスにおける前記物品の収容状態の異常を検出する異常検出部と、を含む。
【0006】
本開示は、上記のような特徴的な構成を備える輸送システムとして実現することができるだけでなく、輸送ボックスにおける物品の収容状態の異常を検出する異常検出装置として実現したり、異常検出装置における特徴的な処理をステップとする異常検出方法として実現したりすることができる。さらに、本開示は、コンピュータに上記の特徴的な処理を実行させるための異常検出プログラムとして実現したり、異常検出装置の一部又は全部を半導体集積回路として実現したりすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、輸送ボックス内部の照度又は輸送ボックスの傾きによる物品の品質劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る輸送システムの一例を説明するための模式図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る輸送ボックスの構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る異常検出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る輸送システムの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【
図6】
図6は、照度テーブルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、傾斜度合いテーブルの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る管理サーバの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る異常検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本開示の実施形態の概要>
以下、本開示の実施形態の概要を列記して説明する。
【0010】
(1) 本実施形態に係る輸送システムは、物品を輸送のために収容する輸送ボックスを用いた輸送システムであって、前記輸送ボックスの内部の照度を検出する照度センサ及び前記輸送ボックスの傾斜度合いを検出する傾斜センサの少なくとも一方を含むセンサと、異常検出装置と、を備え、前記異常検出装置は、前記照度センサによって検出された前記照度及び前記傾斜センサによって検出された前記傾斜度合いの少なくとも一方を取得する検出値取得部と、前記検出値取得部によって取得された前記照度及び前記傾斜度合いの少なくとも一方に基づいて、前記輸送ボックスにおける前記物品の収容状態の異常を検出する異常検出部と、を含む。これにより、輸送ボックス内部の照度又は輸送ボックスの傾きによる物品の品質劣化を抑制することができる。
【0011】
(2) 上記(1)において、前記センサは、前記照度センサを含み、前記輸送システムは、物品の種類と、前記物品に適した照度との対応関係を定義した照度テーブルを用いて、前記輸送ボックスに収容されている物品に適した参照照度を決定する照度決定部をさらに含み、前記異常検出部は、前記検出値取得部によって取得された前記照度が、前記照度決定部によって決定された前記参照照度から外れているか否かを判定することにより、前記物品の収容状態の異常を検出してもよい。これにより、物品の種類に応じて適切に照度の異常を検出することができる。
【0012】
(3) 上記(2)において、前記輸送システムは、前記輸送ボックスに関する照度及び傾斜度合い以外の物理量を検出する他のセンサをさらに備え、前記検出値取得部は、前記他のセンサによって検出された前記物理量を取得し、前記照度テーブルは、物品の種類毎に、前記物理量と、前記物品に適した照度との対応関係を定義し、前記照度決定部は、前記検出値取得部によって取得された前記物理量に基づいて、前記参照照度を決定してもよい。これにより、物品の種類だけでなく、輸送ボックスに関する照度及び傾斜度合い以外の物理量に応じて適切に照度の異常を検出することができる。
【0013】
(4) 上記(3)において、前記物理量は、前記輸送ボックスの内部におけるエチレンの濃度であってもよい。これにより、野菜の品質を劣化させるエチレンの濃度に応じて適切に照度の異常を検出することができる。
【0014】
(5) 上記(3)において、前記物理量は、前記輸送ボックスの内部における温度であってもよい。これにより、温度に応じて適切に照度の異常を検出することができる。
【0015】
(6) 上記(2)から(5)のいずれか1つにおいて、前記輸送システムは、前記輸送ボックスの内部の照度を調節する照度調節部をさらに備え、前記照度調節部は、前記検出値取得部によって取得された前記照度が前記物品に適した照度から外れていると前記異常検出部によって判定された場合に、前記輸送ボックスの内部の照度を調節してもよい。これにより、照度の異常が検出された場合に、輸送ボックスの内部の照度を、物品に適した照度に調節することができる。
【0016】
(7) 上記(2)から(6)のいずれか1つにおいて、前記異常検出装置は、前記検出値取得部によって取得された前記照度が前記物品に適した照度から外れていると前記異常検出部によって規定回数以上判定された場合に、前記物品の収容状態の異常をユーザに通知する第1通知部をさらに含んでもよい。これにより、照度の異常が解消しない場合に、ユーザに異常を通知することで、ユーザが適切な措置を執ることができる。
【0017】
(8) 上記(1)から(7)のいずれか1つにおいて、前記センサは、前記傾斜センサを含み、前記異常検出装置は、物品の種類と、前記物品に適した傾斜度合いとの対応関係を定義した傾斜度合いテーブルを用いて、前記輸送ボックスに収容されている物品に適した参照傾斜度合いを決定する傾斜度合い決定部をさらに含み、前記異常検出部は、前記検出値取得部によって取得された前記傾斜度合いが、前記傾斜度合い決定部によって決定された前記参照傾斜度合いから外れているか否かを判定することにより、前記物品の収容状態の異常を検出してもよい。これにより、物品の種類に応じて適切に傾斜度合いの異常を検出することができる。
【0018】
(9) 上記(8)において、前記異常検出装置は、前記検出値取得部によって取得された前記傾斜度合いが前記物品に適した傾斜度合いから外れていると前記異常検出部によって判定された場合に、前記物品の収容状態の異常をユーザに通知する第2通知部をさらに含んでもよい。これにより、傾斜度合いの異常が検出された場合に、ユーザに異常を通知することで、ユーザが適切な措置を執ることができる。
【0019】
(10) 上記(9)において、前記第2通知部は、前記検出値取得部によって取得された前記傾斜度合いが前記物品に適した傾斜度合いから外れていると前記異常検出部によって判定された場合に、前記輸送ボックスを積載した車両のドライバに通知する第1通知処理を実行し、前記検出値取得部によって取得された前記傾斜度合いが前記物品に適した傾斜度合いから外れていると前記異常検出部によって規定回数以上判定された場合に、前記ドライバを管理する管理者に通知する第2通知処理を実行してもよい。これにより、傾斜度合いの異常が検出された場合にはまずドライバに異常を通知することで、ドライバが、車両に積載した輸送ボックスの傾きを正すなど適切な措置を執ることができる。さらに傾斜度合いの異常が規定回数以上検出された場合に、管理者に異常を通知することで、管理者がドライバに指示をするなどの適切な措置を執ることができる。
【0020】
(11) 本実施形態に係る異常検出装置は、物品を輸送のために収容する輸送ボックスに収容される物品の収容状態の異常を検出する異常検出装置であって、前記輸送ボックスの内部の照度を検出する照度センサによって検出された前記照度、及び前記輸送ボックスの傾斜度合いを検出する傾斜センサによって検出された前記傾斜度合いの少なくとも一方を取得する検出値取得部と、前記検出値取得部によって取得された前記照度及び前記傾斜度合いの少なくとも一方に基づいて、前記輸送ボックスにおける前記物品の収容状態の異常を検出する異常検出部と、を備える。これにより、輸送ボックス内部の照度又は輸送ボックスの傾きによる物品の品質劣化を抑制することができる。
【0021】
(12) 本実施形態に係る異常検出方法は、物品を輸送のために収容する輸送ボックスに収容される物品の収容状態の異常を検出する異常検出方法であって、前記輸送ボックスの内部の照度を検出する照度センサによって検出された前記照度、及び前記輸送ボックスの傾斜度合いを検出する傾斜センサによって検出された前記傾斜度合いの少なくとも一方を取得するステップと、取得された前記照度及び前記傾斜度合いの少なくとも一方に基づいて、前記輸送ボックスにおける前記物品の収容状態の異常を検出するステップと、を含む。これにより、輸送ボックス内部の照度又は輸送ボックスの傾きによる物品の品質劣化を抑制することができる。
【0022】
(13) 本実施形態に係る異常検出プログラムは、物品を輸送のために収容する輸送ボックスに収容される物品の収容状態の異常を検出するための異常検出プログラムであって、コンピュータに、前記輸送ボックスの内部の照度を検出する照度センサによって検出された前記照度、及び前記輸送ボックスの傾斜度合いを検出する傾斜センサによって検出された前記傾斜度合いの少なくとも一方を取得するステップと、取得された前記照度及び前記傾斜度合いの少なくとも一方に基づいて、前記輸送ボックスにおける前記物品の収容状態の異常を検出するステップと、を実行させる。これにより、輸送ボックス内部の照度又は輸送ボックスの傾きによる物品の品質劣化を抑制することができる。
【0023】
<本開示の実施形態の詳細>
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の詳細を説明する。なお、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0024】
[1.輸送システム]
本実施形態に係る輸送システムは、輸送ボックスを用いて物品を輸送するためのシステムである。
【0025】
図1は、本実施形態に係る輸送システムの一例を説明するための模式図である。
【0026】
輸送システム10は、トラック等の輸送車両20に積載された輸送ボックス100における物品の収容状態の異常を検出する。輸送システム10は、輸送ボックス100と、異常検出装置200と、管理サーバ500とを含む。
【0027】
輸送ボックス100は、輸送対象の物品を収容するために用いられる。輸送ボックス100には、輸送ボックス100に関する物理量を検出するための複数のセンサが設けられている。センサについては後述する。
【0028】
異常検出装置200は、輸送ボックス100に設けられたセンサからの出力に基づいて、輸送ボックス100における物品の収容状態の異常を検出する。
【0029】
異常検出装置200は、輸送車両20に搭載された車載装置の1つである。異常検出装置200は、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークに接続されている。異常検出装置200は、車載ネットワークを介して、車外通信装置300及びユーザインタフェース装置400に接続されている。
【0030】
車外通信装置300は、輸送車両20に搭載された車載装置の1つである。車外通信装置300は、例えばTCU(Telematics Control Unit)であり、車外の装置、管理サーバ500と通信することができる。車外通信装置300は、第4世代移動通信システム(4G)、第5世代移動通信システム(5G)等の移動通信システム用の無線通信インタフェースを備える。車外通信装置300は、移動通信ネットワークの基地局710に接続し、インターネット等の広域ネットワーク700に接続された装置と、基地局710を介して通信することができる。
【0031】
ユーザインタフェース装置400は、輸送車両20に搭載された車載装置の1つである。ユーザインタフェース装置400は、輸送車両20のドライバ30によって使用される。ユーザインタフェース装置400は、入力装置及び表示装置を含み、ドライバ30からの入力を受け付け、ドライバ30へ提供する情報を表示することができる。例えば、ユーザインタフェース装置400は、ドライバ30から情報の入力を受け付け、入力された情報を異常検出装置200又は管理サーバ500へ送信することができる。他の例では、ユーザインタフェース装置400は、異常検出装置200又は管理サーバ500から送信された情報を表示することができる。
【0032】
輸送システム10は、ドライバ30を管理する管理者40によって用いられる端末600をさらに含む。端末600は、例えばスマートフォン、タブレット、ラップトップ型のパーソナルコンピュータ等であり、移動通信システム用の無線通信インタフェースを備える。端末600は、移動通信ネットワークの基地局710に接続し、広域ネットワーク700に接続された装置と、基地局710を介して通信することができる。なお、端末600は移動通信システムによる通信に代えて、例えば有線通信又は移動通信システムとは異なる無線通信によって広域ネットワーク700に接続されてもよい。
【0033】
管理サーバ500は、広域ネットワーク700に接続されている。管理サーバ500は、例えば異常検出装置200から送信された情報を処理し、処理結果を異常検出装置200又は管理者用の端末600へ送信することができる。
【0034】
[2.輸送ボックス]
図2は、実施形態に係る輸送ボックスの構成の一例を示す図であり、輸送ボックスの模式的な断面図である。
【0035】
輸送ボックス100は、上部が開放された箱体である本体110と、本体110の上部開口を閉塞する蓋111とを含む。輸送ボックス100は、物品50を収容することができる。蓋111は、本体110を実質的に気密状態で閉じることができる。例えば、輸送ボックス100は、冷却機能を有しており、内部空間を特定の温度で維持することができる。輸送ボックス100は、主として野菜の輸送に用いられる。
【0036】
輸送ボックス100は、複数のセンサを有する。具体的には、輸送ボックス100には、温度センサ101と、エチレン濃度センサ102と、照度センサ103と、傾斜センサ104とが設けられている。さらに輸送ボックス100には、温度調節部105と、エチレン濃度調節部106と、照明器107と、照度調節部108と、通信部109とが設けられている。
【0037】
温度センサ101は、輸送ボックス100の内部の温度を検出する。温度調節部105は、輸送ボックス100の内部の温度を調節する。例えば、温度調節部105は、冷媒による冷凍サイクルを用いた冷却装置であり、輸送ボックス100の内部の空気を冷却することができる。
【0038】
エチレン濃度センサ102は、輸送ボックス100の内部のエチレンガスの濃度を検出する。エチレン濃度調節部106は、輸送ボックス100の内部のエチレンガスの濃度を調節する。例えば、エチレン濃度調節部106は、エチレンガスの除去装置を含む。例えば、エチレン濃度調節部106は、エチレンガスの供給装置を含む。
【0039】
照明器107は、輸送ボックス100の内部に光を照射することができる。照度センサ103は、輸送ボックス100の内部の照度を検出する。照度調節部108は、照明器107に接続されている。照度調節部108は、照明器107の光量を制御することにより、輸送ボックス100の内部の照度を調節する。
【0040】
傾斜センサ104は、輸送ボックス100の傾斜度合いを検出する。
【0041】
通信部109は、通信インタフェース(図示せず)を含み、異常検出装置200と通信することができる。通信インタフェースは、例えばイーサネット(登録商標)インタフェース、CANインタフェース等の有線通信用の通信インタフェースである。通信インタフェースは、無線LAN(Local Area Network)インタフェース、近距離無線通信インタフェース(例えば、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標))等の無線通信用の通信インタフェースであってもよい。
【0042】
通信部109は、温度センサ101、エチレン濃度センサ102、照度センサ103、及び傾斜センサ104に接続されている。通信部109は、温度センサ101、エチレン濃度センサ102、照度センサ103、及び傾斜センサ104のそれぞれから出力される検出値を、異常検出装置200へ送信する。
【0043】
通信部109は、温度調節部105、エチレン濃度調節部106、及び照度調節部108にさらに接続されている。通信部109は、異常検出装置200から送信された指示信号を受信し、受信した指示信号を温度調節部105、エチレン濃度調節部106、又は照度調節部108へ出力することができる。温度調節部105、エチレン濃度調節部106、及び照度調節部108は、与えられた指示信号にしたがい、温度調節、エチレンガス濃度調節、及び照度調節を実行する。
【0044】
[3.異常検出装置]
図3は、実施形態に係る異常検出装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。異常検出装置200は、プロセッサ201と、不揮発性メモリ202と、揮発性メモリ203と、通信インタフェース(以下、「通信I/F」ともいう)204とを含む。
【0045】
揮発性メモリ203は、例えばSRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリである。不揮発性メモリ202は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM(Read Only Memory)等である。不揮発性メモリ202には、コンピュータプログラムである異常検出プログラム210、及び異常検出プログラム210の実行に使用されるデータが格納される。異常検出装置200の各機能は、異常検出プログラム210がプロセッサ201によって実行されることで発揮される。
【0046】
プロセッサ201は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。ただし、プロセッサ201は、CPUに限られない。プロセッサ201は、GPU(Graphics Processing Unit)であってもよい。具体的な一例では、プロセッサ201は、マルチコアプロセッサである。プロセッサ201は、シングルコアプロセッサであってもよい。プロセッサ201は、コンピュータプログラムを実行可能に構成される。ただしプロセッサ201は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)であってもよいし、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、異常検出プログラム210と同じ機能を実行可能に構成される。
【0047】
通信I/F204は、例えばCANインタフェースである。通信I/F204は、イーサネットインタフェースであってもよい。通信I/F204は、車載ネットワークに接続されており、車外通信装置300及びユーザインタフェース装置400との通信に用いられる。
【0048】
[4.管理サーバ]
図4は、実施形態に係る管理サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。管理サーバ500は、プロセッサ501と、不揮発性メモリ502と、揮発性メモリ503と、通信I/F504とを含む。
【0049】
揮発性メモリ503は、例えばSRAM、DRAM等の半導体メモリである。不揮発性メモリ502は、例えばフラッシュメモリ、ハードディスク、ROM等である。不揮発性メモリ502には、コンピュータプログラムである管理プログラム510、及び管理プログラム510の実行に使用されるデータが格納される。管理サーバ500の各機能は、管理プログラム510がプロセッサ501によって実行されることで発揮される。
【0050】
プロセッサ501は、例えばCPUである。ただし、プロセッサ501は、CPUに限られない。プロセッサ501は、GPUであってもよい。具体的な一例では、プロセッサ501は、マルチコアプロセッサである。プロセッサ501は、シングルコアプロセッサであってもよい。プロセッサ501は、コンピュータプログラムを実行可能に構成される。ただしプロセッサ501は、例えば、ASICであってもよいし、プログラマブルロジックデバイスであってもよい。この場合、ASIC又はプログラマブルロジックデバイスは、管理プログラム510と同じ機能を実行可能に構成される。
【0051】
通信I/F504は、例えばイーサネットインタフェースである。通信I/F504は、イーサネットインタフェース以外の通信インタフェースであってもよい。通信I/F504は、広域ネットワーク700に接続されている。
【0052】
不揮発性メモリ502は、照度テーブル511及び傾斜度合いテーブル512を格納する。照度テーブル511及び傾斜度合いテーブル512は、異常検出装置によって用いられる情報を格納するテーブルである。照度テーブル511及び傾斜度合いテーブル512については後述する。
【0053】
[5.輸送システムの機能]
図5は、実施形態に係る輸送システムの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0054】
異常検出装置200は、検出値取得部221と、参照値取得部222と、異常検出部223と、第1通知部224と、第2通知部225との各機能を有する。
【0055】
管理サーバ500は、受付部521と、照度決定部522と、傾斜度合い決定部523と、出力部524と、管理通知部525との各機能を有する。
【0056】
検出値取得部221は、照度センサ103によって検出された輸送ボックス100の内部の照度及び傾斜センサ104によって検出された輸送ボックス100の傾斜度合いを取得する。
【0057】
異常検出部223は、検出値取得部221によって取得された照度及び傾斜度合いの少なくとも一方に基づいて、輸送ボックス100における物品50の収容状態の異常を検出する。
【0058】
例えば、照度決定部522は、輸送ボックス100に収容されている物品50に適した参照照度を決定する。異常検出部223は、検出値取得部221によって取得された照度が、照度決定部522によって決定された参照照度から外れているか否かを判定することにより、物品の収容状態の異常を検出する。
【0059】
具体的な一例では、照度決定部522は、照度テーブル511を用いて参照照度を決定する。
【0060】
図6は、照度テーブルの一例を示す図である。
図6の例では、輸送対象の物品が野菜である場合の照度テーブル511が示されている。
【0061】
照度テーブル511は、物品50の種類と、物品50に適した照度との対応関係を定義するテーブルである。すなわち、照度テーブル511では、物品50の種類と、その種類の物品50に適した照度とが対応づけられている。野菜は、種類毎に、適した照度が異なる。例えば、白菜に適した照度と、トマトに適した照度とは異なる。ここで、「適した照度」とは、物品の保存に適した照度であり、物品の品質の劣化を抑えることができる照度である。
【0062】
図6の例では、白菜、ネギ、キャベツ、トマト等の物品50の種類毎に、照度が対応づけられている。物品の種類「白菜」には、照度の範囲B11~B12が対応する。なお、ここでは、B11~B12の表記を、B11以上B12以下の意味として用いている。物品の種類「ネギ」には、照度の範囲B21~B22が対応する。物品の種類「キャベツ」には、照度の範囲B31~B32が対応する。物品の種類「トマト」には、照度の範囲B41~B42が対応する。
【0063】
図5に戻り、受付部521は、ドライバ30又は管理者40から入力された物品50の情報(以下、「物品情報」ともいう)を受け付ける。物品情報には、物品50の種類、数量等が含まれる。例えば、ドライバ30は、ユーザインタフェース装置400を用いて、輸送対象の物品50の種類を含む物品情報を輸送システム10に入力する。ユーザインタフェース装置400は、入力された物品情報を、車外通信装置300へ、直接又は異常検出装置200を介して間接的に送信する。車外通信装置300は、受信した物品情報を、管理サーバ500へ送信する。他の例では、管理者40は、端末600を用いて、輸送対象の物品情報を輸送システム10に入力する。端末600は、入力された物品情報を、管理サーバ500へ送信する。管理サーバ500の受付部521は、車外通信装置300又は端末600から送信された物品情報を受信する。
【0064】
照度決定部522は、受付部521によって受け付けた物品情報に含まれる物品50の種類に対応する照度を照度テーブル511から特定し、特定された照度を参照照度として決定する。
【0065】
出力部524は、照度決定部522によって決定された参照照度の情報を出力する。具体的な一例では、出力部524は、参照照度の情報を異常検出装置200へ送信する。
【0066】
参照値取得部222は、出力部524によって出力された参照照度の情報を取得する。具体的な一例では、参照値取得部222は、管理サーバ500から送信された参照照度の情報を受信する。参照値取得部222は、受信した参照照度の情報を異常検出部223へ出力する。これにより、異常検出部223は、検出値取得部221によって取得された照度が、参照照度から外れているか否かを判定することができる。
【0067】
異常検出部223は、検出値取得部221によって取得された照度が、参照照度から外れている場合、物品50の収容状態の1つとしての照度の異常を検出する。
【0068】
異常検出部223が照度の異常を検出した場合、照度調節部108は照明器107を制御し、輸送ボックス100の内部の照度を調節する。例えば、輸送ボックス100の内部の照度が参照照度よりも高い場合、照度調節部108は、照明器107の光量を減少させ、輸送ボックス100の内部の照度を低くする。例えば、輸送ボックス100の内部の照度が参照照度よりも低い場合、照度調節部108は、照明器107の光量を増加させ、輸送ボックス100の内部の照度を高くする。
【0069】
第1通知部224は、検出値取得部221によって取得された照度が参照照度から外れていると異常検出部223によって規定回数以上判定された場合に、物品50の収容状態の異常をユーザに通知する。具体的な一例では、第1通知部224は、物品50の収容状態の異常の1つとしての照度異常をドライバ30又は管理者40に通知する。
【0070】
第1通知部224は、例えば照度異常を通知するための通知情報をユーザインタフェース装置400へ送信する。ユーザインタフェース装置400は、照度異常の通知情報を受信すると、照度異常が発生したことをドライバ30に通知するための通知画面を表示する。これにより、ドライバ30は、輸送ボックス100の蓋111を開けて内部の照度を確認し、適切な措置を執ることができる。
【0071】
他の例では、第1通知部224は、照度異常を通知するための通知情報を管理サーバ500へ送信する。管理サーバ500は、照度異常の通知情報を受信すると、照度異常が発生したことを管理者40に通知するための通知画面の表示指示を端末600へ送信する。端末600は、表示指示を受信すると、照度異常が発生したことの通知画面を表示する。これにより、管理者40は電話又はメール等の連絡手段によってドライバ30に連絡し、輸送ボックス100の照度の確認を指示するなど適切な措置を執ることができる。
【0072】
例えば、傾斜度合い決定部523は、輸送ボックス100に収容されている物品50に適した参照傾斜度合いを決定する。異常検出部223は、検出値取得部221によって取得された傾斜度合いが、傾斜度合い決定部523によって決定された参照傾斜度合いから外れているか否かを判定することにより、物品の収容状態の異常を検出する。
【0073】
具体的な一例では、傾斜度合い決定部523は、傾斜度合いテーブル512を用いて参照傾斜度合いを決定する。
【0074】
図7は、傾斜度合いテーブルの一例を示す図である。
図7の例では、輸送対象の物品が野菜である場合の傾斜度合いテーブル512が示されている。
【0075】
傾斜度合いテーブル512は、物品50の種類と、物品50に適した傾斜度合いとの対応関係を定義するテーブルである。すなわち、傾斜度合いテーブル512では、物品50の種類と、その種類の物品50に適した傾斜度合いとが対応づけられている。野菜は、種類毎に、適した傾斜度合いが異なる。例えば、白菜に適した傾斜度合いと、ネギに適した傾斜度合いとは異なる。ここで、「適した傾斜度合い」とは、物品の保存に適した傾斜度合いであり、物品の品質の劣化を抑えることができる傾斜度合いである。
【0076】
図7の例では、白菜、ネギ、キャベツ、トマト等の物品50の種類毎に、傾斜度合いが対応づけられている。物品の種類「白菜」には、傾斜度合いの範囲±A1が対応する。なお、ここでは、傾斜度合い「0」は、輸送ボックス100が水平面に置かれた状態を意味し、正の値の傾斜度合いは、輸送ボックス100が一定の方向にその値に対応する角度傾斜した状態を意味し、負の値の傾斜度合いは、輸送ボックス100が上記の一定の方向とは反対の方向にその値に対応する角度傾斜した状態を意味する。物品の種類「ネギ」には、傾斜度合いの範囲±A2が対応する。物品の種類「キャベツ」には、傾斜度合いの範囲±A3が対応する。物品の種類「トマト」には、傾斜度合いの範囲±A4が対応する。
【0077】
図5に戻り、傾斜度合い決定部523は、受付部521によって受け付けた物品情報に含まれる物品50の種類に対応する傾斜度合いを傾斜度合いテーブル512から特定し、特定された傾斜度合いを参照傾斜度合いとして決定する。
【0078】
出力部524は、傾斜度合い決定部523によって決定された参照傾斜度合いの情報を出力する。具体的な一例では、出力部524は、参照傾斜度合いの情報を異常検出装置200へ送信する。
【0079】
参照値取得部222は、出力部524によって出力された参照傾斜度合いの情報を取得する。具体的な一例では、参照値取得部222は、管理サーバ500から送信された参照傾斜度合いの情報を受信する。参照値取得部222は、受信した参照傾斜度合いの情報を異常検出部223へ出力する。これにより、異常検出部223は、検出値取得部221によって取得された傾斜度合いが、参照傾斜度合いから外れているか否かを判定することができる。
【0080】
異常検出部223は、検出値取得部221によって取得された傾斜度合いが、参照傾斜度合いから外れている場合、物品50の収容状態の1つとしての傾斜度合いの異常を検出する。
【0081】
第2通知部225は、検出値取得部221によって取得された傾斜度合いが参照傾斜度合いから外れていると異常検出部223によって判定された場合に、物品50の収容状態の異常をユーザに通知する。具体的な一例では、第2通知部225は、物品50の収容状態の異常の1つとしての傾斜度合いの異常(以下、「傾斜異常」ともいう)をドライバ30又は管理者40に通知する。
【0082】
例えば、第2通知部225は、検出値取得部221によって取得された傾斜度合いが参照傾斜度合いから外れていると異常検出部223によって判定された場合に、ドライバ30に傾斜異常を通知する第1通知処理を実行する。
【0083】
第1通知処理は、例えば傾斜異常を通知するための通知情報をユーザインタフェース装置400へ送信する処理である。ユーザインタフェース装置400は、傾斜異常の通知情報を受信すると、傾斜異常が発生したことをドライバ30に通知するための通知画面を表示する。これにより、ドライバ30は、輸送車両20の荷台における輸送ボックス100の傾斜状態(例えば、荷崩れを起こしているか否か)を確認し、適切な措置を執ることができる。
【0084】
例えば、第2通知部225は、検出値取得部221によって取得された傾斜度合いが参照傾斜度合いから外れていると異常検出部223によって規定回数以上判定された場合に、管理者40に傾斜異常を通知する第2通知処理を実行する。
【0085】
第2通知処理は、例えば傾斜異常を通知するための通知情報を管理サーバ500へ送信する処理である。管理サーバ500の管理通知部525は、傾斜異常の通知情報を受信すると、傾斜異常が発生したことを管理者40に通知するための通知画面の表示指示を端末600へ送信する。端末600は、表示指示を受信すると、傾斜異常が発生したことの通知画面を表示する。これにより、管理者40は電話又はメール等の連絡手段によってドライバ30に連絡し、輸送ボックス100の傾斜状態の確認を指示するなど適切な措置を執ることができる。
【0086】
[6.輸送システムの動作]
図8は、実施形態に係る管理サーバの動作の一例を示すフローチャートである。
【0087】
新たに物品を輸送する場合、ドライバ30がユーザインタフェース装置400に積荷である物品の情報(物品情報)を入力するか、若しくは管理者40が端末600に物品情報を入力する。入力された物品情報は、管理サーバ500へ送信される。管理サーバ500は、物品情報を受信する(ステップS101)。
【0088】
管理サーバ500のプロセッサ501は、照度テーブル511において、受信した物品情報に含まれる物品の種類に対応する照度を特定し、特定した照度を参照照度として決定する(ステップS102)。
【0089】
さらにプロセッサ501は、傾斜度合いテーブル512において、受信した物品情報に含まれる物品の種類に対応する傾斜度合いを特定し、特定した傾斜度合いを参照傾斜度合いとして決定する(ステップS103)。
【0090】
プロセッサ501は、決定した参照照度及び参照傾斜度合いを含む参照情報を作成し、作成した参照情報を異常検出装置200へ送信する(ステップS104)。
【0091】
図9は、実施形態に係る異常検出装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【0092】
異常検出装置200は、管理サーバ500から送信された参照情報を受信する(ステップS201)。
【0093】
異常検出装置200のプロセッサ201は、受信した参照情報に含まれる参照照度に基づいて、照明器107の照度を設定する(ステップS202)。例えば、ステップS202において、照明器107の照度の設定値は、参照照度の範囲の中央値とすることができる。これにより、設定された照度で、輸送ボックス100の内部に光が照射される。
【0094】
物品の輸送が開始されると、例えば一定の周期で、照度センサ103が輸送ボックス100の内部における照度を検出し、傾斜センサ104が輸送ボックス100の傾斜度合いを検出する。照度センサ103は照度の検出値(以下、「検出照度」ともいう)を出力し、傾斜センサ104は傾斜度合いの検出値(以下、「検出傾斜度合い」ともいう)を出力する。プロセッサ201は、照度センサ103から出力された検出照度及び傾斜センサ104から出力された検出傾斜度合いを取得する(ステップS203)。
【0095】
プロセッサ201は、異常検出処理を実行する(ステップS204)。異常検出処理において、プロセッサ201は、検出照度が参照照度から外れているか否かを判定し、検出照度が参照照度から外れている場合、照度異常を検出する。検出照度が参照照度に合致する場合、すなわち、検出照度が参照照度の範囲内にある場合、プロセッサ201は、照度異常を検出しない。異常検出処理において、プロセッサ201は、検出傾斜度合いが参照傾斜度合いから外れているか否かを判定し、検出傾斜度合いが参照傾斜度合いから外れている場合、傾斜異常を検出する。検出傾斜度合いが参照傾斜度合いに合致する場合、すなわち、検出傾斜度合いが参照傾斜度合いの範囲内にある場合、プロセッサ201は、傾斜異常を検出しない。
【0096】
プロセッサ201は、照度異常を検出したか否かを判定する(ステップS205)。照度異常を検出した場合(ステップS205においてYES)、プロセッサ201は、規定回数N1以上、照度異常を検出したか否かを判定する(ステップS206)。
【0097】
規定回数N1以上、照度異常を検出していない場合、すなわち、照度異常の検出回数がN1未満である場合(ステップS206においてNO)、プロセッサ201は、ステップS202へ戻り、照明器107を再設定し、輸送ボックス100の内部の照度を調節する。輸送ボックス100の内部の照度が参照照度よりも高い場合、プロセッサ201は、光量を減少させるよう照明器107を再設定する。輸送ボックス100の内部の照度が参照照度よりも低い場合、プロセッサ201は、光量を増加させるよう照明器107を再設定する。
【0098】
規定回数N1以上、照度異常を検出した場合、すなわち、照度異常の検出回数がN1以上である場合(ステップS206においてYES)、上記のような照度の再設定をN1回以上繰り返し行っても、照度異常が解消しておらず、輸送ボックス100の照明器107等が異常な状態であることが想定される。この場合、プロセッサ201は、照度異常をドライバ30又は管理者40へ通知する(ステップS207)。具体的な一例では、プロセッサ201は、ユーザインタフェース装置400へ照度異常の通知画面の表示を指示する。ユーザインタフェース装置400は照度異常の通知画面を表示し、これによりドライバ30に照度異常が通知される。他の例では、プロセッサ201は、管理サーバ500へ管理者40への照度異常の通知を要求する。管理サーバ500は、要求にしたがい、端末600へ照度異常の通知画面の表示を指示する。端末600は照度異常の通知画面を表示し、これにより管理者40に照度異常が通知される。プロセッサ201は、照度異常をドライバ30又は管理者40へ通知すると、処理を終了する。
【0099】
プロセッサ201は、照度異常を検出していない場合(ステップS205においてNO)。傾斜異常を検出したか否かを判定する(ステップS208)。傾斜異常を検出していない場合(ステップS208においてNO)、プロセッサ201は、ステップS203へ戻り、新たな検出照度及び検出傾斜度合いを取得する。
【0100】
プロセッサ201は、傾斜異常を検出した場合(ステップS208においてYES)、第1通知処理を実行する(ステップS209)。つまり、プロセッサ201は、傾斜異常を通知するための通知情報をユーザインタフェース装置400へ送信する。これにより、ユーザインタフェース装置400が傾斜異常の通知画面を表示し、ドライバ30に傾斜異常が通知される。
【0101】
次にプロセッサ201は、規定回数N2以上、傾斜異常を検出したか否かを判定する(ステップS210)。
【0102】
規定回数N2以上、傾斜異常を検出していない場合、すなわち、傾斜異常の検出回数がN2未満である場合(ステップS210においてNO)、プロセッサ201は、ステップS203へ戻り、新たな検出照度及び検出傾斜度合いを取得する。
【0103】
規定回数N2以上、傾斜異常を検出した場合、すなわち、傾斜異常の検出回数がN2以上である場合(ステップS210においてYES)、プロセッサ201は、第2通知処理を実行する(ステップS211)。上記のような傾斜異常のドライバ30への通知をN2回以上繰り返し行っても、傾斜異常が解消しておらず、ドライバ30が傾斜異常の通知に気づいていない等の事態が想定される。この場合、プロセッサ201は、傾斜異常を通知するための通知情報を管理サーバ500へ送信する。傾斜異常の通知情報を受信した管理サーバ500は、傾斜異常の通知画面の表示指示を端末600へ送信し、表示指示を受信した端末600は、傾斜異常の通知画面を表示する。これにより、管理者40に傾斜異常が通知される。プロセッサ201は、第2通知処理を実行すると、処理を終了する。
【0104】
上述した動作以外にも、異常検出装置200は、温度センサ101によって検出された温度に基づいて、温度調節部105を制御し、物品50の保存に適した温度に輸送ボックス100の内部温度を設定してもよい。さらに、異常検出装置200は、エチレン濃度センサ102によって検出されたエチレン濃度に基づいて、エチレン濃度調節部106を制御し、物品50の保存に適したエチレン濃度に輸送ボックス100の内部のエチレン濃度を設定してもよい。
【0105】
[7.変型例]
上述した実施形態では、車載装置としての異常検出装置200において、輸送ボックス100の照度及び傾斜度合いに基づいて、輸送ボックス100における物品の収容状態の異常を検出したが、これに限定されない。管理サーバ500が異常検出装置として機能し、輸送ボックス100の照度及び傾斜度合いに基づいて、輸送ボックス100における物品の収容状態の異常を検出してもよい。
【0106】
管理サーバ500の機能の一部又は全部を、異常検出装置200に設けてもよい。特に、上述した実施形態では、管理サーバ500の不揮発性メモリ502に照度テーブル511及び傾斜度合いテーブル512を設け、管理サーバ500が参照照度及び参照傾斜度合いを決定したが、これに限定されない。例えば、異常検出装置200の不揮発性メモリ202に照度テーブル511及び傾斜度合いテーブル512を設け、異常検出装置200が参照照度及び参照傾斜度合いを決定してもよい。
【0107】
上述した実施形態では、照度テーブル511が物品の種類と照度との対応関係を定義したが、これに限定されない。照度テーブル511は、物品の種類毎に、輸送ボックス100に関する照度及び傾斜度合い以外の物理量と、照度との対応関係を定義してもよい。
【0108】
例えば、エチレン濃度に応じて、物品50の種類毎に、物品50の品質劣化を抑制する照度と、物品50の品質劣化を促進する照度とが定まる。このため、具体的な一例では、照度テーブル511は、物品の種類毎に、輸送ボックス100の内部におけるエチレン濃度と、照度との対応関係を定義してもよい。この場合、検出値取得部221は、エチレン濃度センサ102によって検出されたエチレン濃度をさらに取得する。照度決定部522は、照度テーブル511において、受付部521によって受け付けた物品情報に含まれる物品50の種類と、検出値取得部221によって取得されたエチレン濃度とに対応する照度を、参照照度として決定する。
【0109】
例えば、温度に応じて、物品50の種類毎に、物品50の品質劣化を抑制する照度と、物品50の品質劣化を促進する照度とが定まる。このため、他の例では、照度テーブル511は、物品の種類毎に、輸送ボックス100の内部の温度と、照度との対応関係を定義してもよい。この場合、検出値取得部221は、温度センサ101によって検出された温度をさらに取得する。照度決定部522は、照度テーブル511において、受付部521によって受け付けた物品情報に含まれる物品50の種類と、検出値取得部221によって取得された温度とに対応する照度を、参照照度として決定する。
【0110】
上記のエチレン濃度及び温度以外にも、照度テーブル511は、例えば輸送ボックス100の内部の湿度又は酸素濃度と、照度との対応関係を物品の種類毎に定義してもよい。照度決定部522は、照度テーブル511において、物品50の種類と、湿度又は酸素濃度とに対応する照度を、参照照度として決定してもよい。
【0111】
[8.補記]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的ではない。本発明の権利範囲は、上述の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及びその範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0112】
10 輸送システム
20 輸送車両
30 ドライバ
40 管理者
50 物品
100 輸送ボックス
101 温度センサ
102 エチレン濃度センサ
103 照度センサ
104 傾斜センサ
105 温度調節部
106 エチレン濃度調節部
107 照明器
108 照度調節部
109 通信部
110 本体
111 蓋
200 異常検出装置
201 プロセッサ
202 不揮発性メモリ
203 揮発性メモリ
204 通信インタフェース(通信I/F)
210 異常検出プログラム
221 検出値取得部
222 参照値取得部
223 異常検出部
224 第1通知部
225 第2通知部
300 車外通信装置
400 ユーザインタフェース装置
500 管理サーバ
501 プロセッサ
502 不揮発性メモリ
503 揮発性メモリ
504 通信インタフェース(通信I/F)
510 管理プログラム
511 照度テーブル
512 傾斜度合いテーブル
521 受付部
522 照度決定部
523 傾斜度合い決定部
524 出力部
525 管理通知部
600 端末
700 広域ネットワーク
710 基地局