(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080041
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】マーブル調成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 43/20 20060101AFI20240606BHJP
B29C 70/18 20060101ALI20240606BHJP
B29C 70/68 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B29C43/20
B29C70/18
B29C70/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192886
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】503090980
【氏名又は名称】ジャパンコンポジット株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【弁理士】
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 和昭
(72)【発明者】
【氏名】小田 敬一
【テーマコード(参考)】
4F204
4F205
【Fターム(参考)】
4F204AA36
4F204AB12
4F204AC03
4F204AD16
4F204AF09
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB11
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4F204FJ10
4F204FN11
4F204FN17
4F205AA36
4F205AB12
4F205AC03
4F205AD16
4F205AF09
4F205HA08
4F205HA22
4F205HA35
4F205HA45
4F205HB01
4F205HB11
4F205HC06
4F205HG06
4F205HK04
4F205HK05
(57)【要約】
【課題】効率よくマーブル調成形品を得ることができるマーブル調成形品の製造方法を提供すること。
【解決手段】マーブル調成形品の製造方法は、第1準備工程と、第2準備工程と、混合工程と、成形工程とを備える。第1準備工程では、第1樹脂モールディングコンパウンドを裁断し、第1材料を準備する。第2準備工程では、第1材料とは色彩および/または色調が異なる第2材料を準備する。混合工程では、第1材料と第2材料とを混合して、混合物を調製する。成形工程では、混合物を成形する。上記の第1準備工程では、第1樹脂モールディングコンパウンドを、所定方向に沿って並列配置される複数の裁断刃によって同時に裁断し、キューブ形状の樹脂小片を形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1樹脂モールディングコンパウンドを裁断し、第1材料を準備する第1準備工程と、
前記第1材料とは色彩および/または色調が異なる第2材料を準備する第2準備工程と、
前記第1材料と前記第2材料とを混合して、混合物を調製する混合工程と、
前記混合物を成形する成形工程と
を備え、
前記第1準備工程では、
前記第1樹脂モールディングコンパウンドを、所定方向に沿って並列配置される複数の裁断刃によって同時に裁断し、キューブ形状の樹脂小片を形成する、マーブル調成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーブル調成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、樹脂成形品にマーブル調(大理石調)の模様を付与したマーブル調成形品が、提案されている。マーブル調成形品は、優れた意匠性を有するため、例えば、高意匠製品として、好適に用いられる。高意匠製品としては、例えば、建築内装部材および自動車内装部材が挙げられる。
【0003】
マーブル調成形品は、例えば、以下の方法で製造される。この方法では、まず、熱硬化性樹脂組成物を含むバルクモールディングコンパウンド(BMC)を準備する。次いで、BMCから、立方体形状の第1樹脂材料を切り出す。次いで、第1樹脂材料とは異なる色彩および/または色調を有する第2樹脂材料を準備する。次いで、第1樹脂材料と第2樹脂材料とを混合して樹脂混合物を調製する。その後、樹脂混合物を成形する。これにより、マーブル調成形品を得る(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の方法では、マーブル調成形品の製造効率が、十分ではない場合がある。より具体的には、BMCの物性(粘性および硬度)によっては、BMCの裁断が困難な場合がある。その結果、マーブル調成形品を効率よく得られない場合がある。
【0006】
本発明は、効率よくマーブル調成形品を得ることができるマーブル調成形品の製造方法である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明[1]は、第1樹脂モールディングコンパウンドを裁断し、第1材料を準備する第1準備工程と、前記第1材料とは色彩および/または色調が異なる第2材料を準備する第2準備工程と、前記第1材料と前記第2材料とを混合して、混合物を調製する混合工程と、前記混合物を成形する成形工程とを備え、前記第1準備工程では、前記第1樹脂モールディングコンパウンドを、所定方向に沿って並列配置される複数の裁断刃によって同時に裁断し、キューブ形状の樹脂小片を形成する、マーブル調成形品の製造方法を、含んでいる。
【発明の効果】
【0008】
本発明のマーブル調成形品の製造方法は、第1樹脂モールディングコンパウンドを裁断し、第1材料を得る第1準備工程を備える。そして、第1準備工程では、第1樹脂モールディングコンパウンドを、所定方向に沿って並列配置される複数の裁断刃によって同時に裁断し、キューブ形状の樹脂小片を形成する。このような方法によれば、第1樹脂モールディングコンパウンドを、効率よくキューブ形状に裁断できる。その結果、上記の方法によれば、効率よくマーブル調成形品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、マーブル調成形品の製造方法の第1実施形態が採用される平行刃裁断装置の概略図である。
図1Bは、
図1Aに示す平行刃裁断装置が樹脂モールディングコンパウンドを裁断する状態を示す概略図である。
図1Cは、樹脂モールディングコンパウンドの裁断により得られた樹脂材料の概略図である。
【
図2】
図2Aは、マーブル調成形品の製造方法の第2実施形態が採用される平行刃裁断装置の概略図である。
図2Bは、
図2Aに示す平行刃裁断装置が樹脂モールディングコンパウンドを一次裁断する状態を示す概略図である。
【
図3】
図3Aは、
図2Aに示す平行刃裁断装置が樹脂モールディングコンパウンドを二次裁断する状態を示す概略図である。
図3Bは、樹脂モールディングコンパウンドの裁断により得られた樹脂材料の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.第1実施形態
本発明のマーブル調成形品の製造方法は、第1樹脂モールディングコンパウンドを裁断し、第1材料を得る第1準備工程と、第1材料とは色彩および/または色調が異なる第2材料を準備する第2準備工程と、第1材料と第2材料とを混合して、混合物を調製する混合工程と、混合物を成形する成形工程とを備えている。
【0011】
(1)第1準備工程
第1準備工程では、第1材料を準備する。第1材料としては、第1樹脂材料が挙げられる。第1樹脂材料は、所定の色彩および/または色調を有する樹脂材料である。第1樹脂材料としては、小片状の第1樹脂材料が、挙げられる。
【0012】
小片状の第1樹脂材料は、複数の樹脂小片を含んでいる。より具体的には、小片状の第1樹脂材料は、複数の樹脂小片の集合体を示す。小片状の第1樹脂材料(複数の樹脂小片)は、第1樹脂モールディングコンパウンドを、後述の方法でキューブ形状に裁断することによって、形成される。
【0013】
第1樹脂モールディングコンパウンドは、例えば、公知の熱硬化性樹脂と、公知の着色剤と、公知の強化繊維とを含んでいる。熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂およびアクリルシラップが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。着色剤としては、例えば、白色顔料、黒色顔料、青色顔料、パール顔料、蛍光顔料および蓄光顔料が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。強化繊維としては、例えば、無機繊維、有機繊維および天然繊維が挙げられ、好ましくは、無機繊維が挙げられる。無機繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維およびセラミック繊維が挙げられ、好ましくは、炭素繊維およびガラス繊維が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0014】
第1樹脂モールディングコンパウンドとして、より具体的には、例えば、特開2020-116927号公報[0024]~[0105]に記載される第1樹脂モールディングコンパウンドが挙げられる。第1樹脂モールディングコンパウンドは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0015】
第1樹脂モールディングコンパウンドの態様としては、例えば、シートモールディングコンパウンド(以下、SMCとする。)、シックモールディングコンパウンド(以下、TMCとする。)、および、バルクモールディングコンパウンド(以下、BMCとする。)が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0016】
第1樹脂モールディングコンパウンドは、比較的高粘性である。粘性は、例えば、成形材料の針入度により評価される。なお、成形材料の針入度は、例えば、JIS K 2235(1991年)に準拠して測定される。より具体的には、成形材料の針入度とは、所定の条件下(錘の重さ150g、温度25℃、貫入時間5秒)で、規定の針が試料に対して垂直に進入する深さを示す。なお、0.1mmを1単位とする(以下同様)。
【0017】
第1樹脂モールディングコンパウンドの針入度は、例えば、5単位以上、好ましくは、10単位以上、より好ましくは、20単位以上である。また、第1樹脂モールディングコンパウンドの針入度は、例えば、360単位以下、好ましくは、200単位以下、より好ましくは、150単位以下である。
【0018】
このような第1樹脂モールディングコンパウンドは、後述する方法で、キューブ形状に裁断される。これにより、キューブ形状の樹脂小片が、複数形成される。その結果、小片状の第1樹脂材料(第1材料)が、準備される。なお、第1樹脂モールディングコンパウンドをキューブ形状に裁断する方法の詳細は、後述する。
【0019】
小片状の第1樹脂材料において、各樹脂小片は、略キューブ形状を有している。以下において、第1樹脂材料の各樹脂小片を、第1樹脂キューブと称する場合がある。
【0020】
各第1樹脂キューブ(樹脂小片)は、第1樹脂モールディングコンパウンドと同じ材料からなる。換言すると、各第1樹脂キューブ(樹脂小片)は、上記した熱硬化性樹脂と、上記した着色剤と、上記した強化繊維とを含有する。
【0021】
また、小片状の第1樹脂材料(第1樹脂キューブ)、および、第1樹脂モールディングコンパウンドは、必要に応じて、添加剤を含有できる。添加剤としては、例えば、フィラー、硬化剤、重合禁止剤、内部離型剤、低収縮化剤、湿潤分散剤、分離防止剤、難燃剤、導電材および紫外線吸収剤が挙げられる。添加剤は、単独使用または2種類以上併用できる。添加剤の添加割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0022】
各第1樹脂キューブのサイズは、マーブル調成形品に要求される模様に応じて、適宜選択される。各第1樹脂キューブの一辺の長さは、例えば、1mm以上200mm以下である。
【0023】
また、第1樹脂キューブのサイズ(寸法)は、略統一されていてもよく、また、略統一されていなくともよい。優れたマーブル調模様を得る観点から、好ましくは、第1樹脂キューブのサイズ(寸法)は、略統一されない。
【0024】
例えば、第1樹脂キューブのサイズ(寸法)が略統一されている場合、第1樹脂キューブの一辺の長さは、例えば、1mm以上、好ましくは、2mm以上である。また、第1樹脂キューブの一辺は、例えば、150mm以下、好ましくは、75mm以下である。
【0025】
また、例えば、第1樹脂キューブのサイズ(寸法)が略統一されていない場合、第1樹脂キューブは、好ましくは、所定のサイズ(第1サイズ)を有する複数の第1樹脂キューブ(第1サイズの第1樹脂キューブ)と、第1サイズよりも大きい所定サイズ(第2サイズ)を有する複数の第1樹脂キューブ(第2サイズの第1樹脂キューブ)とを併有する。なお、これらの色彩および/または色調は、通常、同一である。
【0026】
第1サイズの第1樹脂キューブの一辺の長さは、例えば、1mm以上、好ましくは、2mm以上である。また、第1サイズの第1樹脂キューブの一辺は、例えば、150mm以下、好ましくは、75mm以下である。
【0027】
また、第2サイズの第1樹脂キューブの一辺の長さは、例えば、2mm以上、好ましくは、4mm以上である。また、第2サイズの第1樹脂キューブの一辺は、例えば、200mm以下、好ましくは、100mm以下である。
【0028】
また、第2サイズの第1樹脂キューブの一辺の長さは、第1サイズの第1樹脂キューブの一辺の長さに対して、例えば、1倍を超過し、好ましくは、5倍以上である。また、第2サイズの第1樹脂キューブの一辺の長さは、第1サイズの第1樹脂キューブの一辺の長さに対して、例えば、500倍以下、好ましくは、100倍以下、より好ましくは、50倍以下である。
【0029】
第1サイズの第1樹脂キューブと、第2サイズの第1樹脂キューブとの併用割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0030】
第1サイズの第1樹脂キューブと、第2サイズの第1樹脂キューブとが併用されることによって、優れたマーブル調模様が得られる。
【0031】
なお、必要に応じて、第1サイズおよび第2サイズのいずれとも異なるサイズ(第3サイズ)の第1樹脂キューブを、さらに併用することもできる。
【0032】
(2)第2準備工程
第2準備工程では、第1樹脂モールディングコンパウンドとは色彩および/または色調が異なる第2材料を、準備する。
【0033】
第2材料としては、例えば、粉体顔料、および、第2樹脂材料が挙げられる。
【0034】
粉体顔料としては、例えば、無機顔料および有機顔料が挙げられる。無機顔料として、は、公知の無機顔料が挙げられる。無機顔料としては、例えば、白色無機顔料、黒色無機顔料、青色無機顔料、赤色無機顔料、緑色無機顔料、黄色無機顔料、パール無機顔料、蛍光無機顔料、および、蓄光無機顔料が挙げられる。有機顔料としては、公知の有機顔料が挙げられる。有機顔料としては、例えば、黒色有機顔料、青色有機顔料、赤色有機顔料、緑色有機顔料、黄色有機顔料、橙色有機顔料、紫色有機顔料、および、茶色有機顔料が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0035】
粉体顔料は、粉末形状を有する。粉体顔料の最大寸法は、例えば、10nm以上、好ましくは、30nm以上、また、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
【0036】
第2樹脂材料は、第1樹脂材料とは異なる色彩および/または色調を有する樹脂材料である。第2樹脂材料としては、例えば、液体状の第2樹脂材料、および、小片状の第2樹脂材料が、挙げられる。
【0037】
液体状の第2樹脂材料は、第1樹脂材料とは異なる色彩および/または色調を有する、液体状の樹脂材料である。液体状の第2樹脂材料は、例えば、公知の熱硬化性樹脂と、公知の着色剤とを含んでいる。熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂およびアクリルシラップが挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。着色剤としては、例えば、白色顔料、黒色顔料、青色顔料、パール顔料、蛍光顔料および蓄光顔料が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0038】
液体状の第2樹脂材料として、より具体的には、例えば、特開2020-116927号公報[0112]~[0145]に記載される、液体状を有する第2樹脂材料が挙げられる。第2樹脂液は、単独使用または2種類以上併用できる。
【0039】
また、液体状の第2樹脂材料は、必要に応じて、添加剤を含有できる。添加剤としては、例えば、フィラー、硬化剤、重合禁止剤、内部離型剤、低収縮化剤、湿潤分散剤、分離防止剤、難燃剤、導電材および紫外線吸収剤が挙げられる。添加剤は、単独使用または2種類以上併用できる。添加剤の添加割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0040】
小片状の第2樹脂材料は、第1樹脂材料とは異なる色彩および/または色調を有する、小片状の樹脂材料である。
【0041】
小片状の第2樹脂材料は、複数の樹脂小片を含んでいる。より具体的には、小片状の第2樹脂材料は、複数の樹脂小片の集合体を示す。小片状の第2樹脂材料(複数の樹脂小片)は、第2樹脂モールディングコンパウンドを、公知の方法で小片状に裁断することによって、形成される。好ましくは、小片状の第2樹脂材料(複数の樹脂小片)は、第2樹脂モールディングコンパウンドを、後述の方法でキューブ形状に裁断することによって、形成される。
【0042】
第2樹脂モールディングコンパウンドは、色彩および/または色調以外は、第1樹脂モールディングコンパウンドと同様である。すなわち、第2樹脂モールディングコンパウンドは、例えば、上記の熱硬化性樹脂と、上記の着色剤と、上記の強化繊維とを含んでいる。
【0043】
第2樹脂モールディングコンパウンドの色彩および/または色調は、第1樹脂モールディングコンパウンドの色彩および/または色調とは、異なっている。すなわち、第2樹脂モールディングコンパウンドの色彩が第1樹脂モールディングコンパウンドの色彩とは異なる、および/または、第2樹脂モールディングコンパウンドの色調が第1樹脂モールディングコンパウンドの色調とは異なる。なお、色調とは、色彩の調子を意味する。色調は、例えば、色彩の強弱、色彩の濃淡、柄材の有無、および、柄材の配合量により、調整される。
【0044】
例えば、第1樹脂モールディングコンパウンドに含まれる着色剤の種類および/または含有量と、第2樹脂モールディングコンパウンドに含まれる着色剤の種類および/または含有量とが、互いに異なる。これにより、第1樹脂モールディングコンパウンドの色彩および/または色調と、第2樹脂モールディングコンパウンドの色彩および/または色調とが、互いに異なる。
【0045】
第2樹脂モールディングコンパウンドとして、より具体的には、例えば、特開2020-116927号公報[0187]~[0194]に記載される第2樹脂モールディングコンパウンドが挙げられる。第2樹脂モールディングコンパウンドは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0046】
第2樹脂モールディングコンパウンドの態様としては、例えば、シートモールディングコンパウンド(SMC)、シックモールディングコンパウンド(TMC)、および、バルクモールディングコンパウンド(BMC)が挙げられる。これらは、単独使用または2種類以上併用できる。
【0047】
第2樹脂モールディングコンパウンドは、比較的高粘性である。第2樹脂モールディングコンパウンドの針入度は、上記した第1樹脂モールディングコンパウンドの針入度と同程度である。
【0048】
第2樹脂モールディングコンパウンドの針入度は、例えば、5単位以上、好ましくは、10単位以上、より好ましくは、20単位以上である。また、第2樹脂モールディングコンパウンドの針入度は、例えば、360単位以下、好ましくは、200単位以下、より好ましくは、150単位以下である。
【0049】
このような第2樹脂モールディングコンパウンドは、公知の方法で、小片状に裁断される。好ましくは、第2樹脂モールディングコンパウンドは、後述する方法で、キューブ形状に裁断される。これにより、キューブ形状の樹脂小片が、複数形成される。これにより、小片状の第2樹脂材料(第2材料)が、準備される。
【0050】
小片状の第2樹脂材料において、各樹脂小片は、略キューブ形状を有している。以下において、第2樹脂材料の各樹脂小片を、第2樹脂キューブと称する場合がある。
【0051】
各第2樹脂キューブは(樹脂小片)、第2樹脂モールディングコンパウンドと同じ材料からなる。換言すると、各第2樹脂キューブ(樹脂小片)は、上記した熱硬化性樹脂と、上記した着色剤と、上記した強化繊維とを含有する。
【0052】
また、小片状の第2樹脂材料(第2樹脂キューブ)、および、第2樹脂モールディングコンパウンドは、必要に応じて、添加剤を含有できる。添加剤としては、例えば、フィラー、硬化剤、重合禁止剤、内部離型剤、低収縮化剤、湿潤分散剤、分離防止剤、難燃剤、導電材および紫外線吸収剤が挙げられる。添加剤は、単独使用または2種類以上併用できる。添加剤の添加割合は、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0053】
各第2樹脂キューブのサイズは、マーブル調成形品に要求される模様に応じて、適宜選択される。各第2樹脂キューブの一辺の長さは、例えば、1mm以上200mm以下である。
【0054】
また、第2樹脂キューブのサイズ(寸法)は、略統一されていてもよく、また、略統一されていなくともよい。
【0055】
例えば、第2樹脂キューブのサイズ(寸法)が略統一されている場合、第2樹脂キューブのサイズと、第1樹脂キューブのサイズとが、互いに同一であってもよい。すなわち、第1樹脂キューブの色彩および/または色調と、第2樹脂キューブの色彩および/または色調とが、互いに異なるため、第1樹脂キューブのサイズと、第2樹脂キューブのサイズとが、互いに同一であっても、優れたマーブル調模様が得られる。
【0056】
このような場合、第2樹脂キューブの一辺の長さは、例えば、1mm以上、好ましくは、2mm以上である。また、第1樹脂キューブの一辺は、例えば、150mm以下、好ましくは、75mm以下である。
【0057】
また、例えば、第1樹脂キューブのサイズと、第2樹脂キューブのサイズとが、互いに異なっていてもよい。第1樹脂キューブのサイズと、第2樹脂キューブのサイズとが、互いに異なっていれば、とりわけ優れたマーブル調模様が得られる。
【0058】
このような場合、好ましくは、第2樹脂キューブが、第1樹脂キューブよりも大きく成形される。
【0059】
より具体的には、第2樹脂キューブの一辺の長さは、例えば、2mm以上、好ましくは、4mm以上である。また、第2樹脂キューブの一辺の長さは、例えば、200mm以下、好ましくは、100mm以下である。
【0060】
また、第2樹脂キューブの一辺の長さは、第1樹脂キューブの一辺の長さに対して、例えば、1倍以上、好ましくは、5倍以上である。また、第2樹脂キューブの一辺の長さは、第1樹脂キューブの一辺の長さに対して、例えば、500倍以下、好ましくは、100倍以下、さらに好ましくは、50倍以下である。
【0061】
また、第2樹脂キューブのサイズ(寸法)が統一されない場合、第2樹脂キューブは、好ましくは、所定のサイズ(第1サイズ)を有する複数の第2樹脂キューブ(第1サイズの第2樹脂キューブ)と、第1サイズよりも大きいサイズ(第2サイズ)を有する複数の第2樹脂キューブ(第2サイズの第2樹脂キューブ)とを併有する。なお、これらの色彩および/または色調は、通常、同一である。
【0062】
第1サイズの第2樹脂キューブの一辺の長さは、例えば、1mm以上、好ましくは、2mm以上である。また、第1サイズの第2樹脂キューブの一辺は、例えば、150mm以下、好ましくは、75mm以下である。
【0063】
また、第2サイズの第2樹脂キューブの一辺の長さは、例えば、2mm以上、好ましくは、4mm以上である。また、第2サイズの第2樹脂キューブの一辺は、例えば、200mm以下、好ましくは、100mm以下である。
【0064】
また、第2サイズの第2樹脂キューブの一辺の長さは、第1サイズの第2樹脂キューブの一辺の長さに対して、例えば、1倍を超過し、好ましくは、5倍以上である。また、第2サイズの第2樹脂キューブの一辺の長さは、第1サイズの第2樹脂キューブの一辺の長さに対して、例えば、500倍以下、好ましくは、100倍以下、より好ましくは、50倍以下である。
【0065】
第1サイズの第2樹脂キューブと、第2サイズの第2樹脂キューブとの併用割合は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0066】
第1サイズの第2樹脂キューブと、第2サイズの第2樹脂キューブとが併用されることによって、優れたマーブル調模様が得られる。
【0067】
なお、必要に応じて、第1サイズおよび第2サイズのいずれとも異なるサイズ(第3サイズ)の第2樹脂キューブを、さらに併用することもできる。
【0068】
第2材料は、単独使用または2種類以上併用できる。すなわち、第2材料として、粉体顔料を単独使用してもよい。また、第2材料として、液体状の第2樹脂材料を単独使用してもよい。また、第2材料として、小片状の第2樹脂材料を単独使用してもよい。また、第2材料として、これらを組み合わせて用いてもよい。第2材料として、好ましくは、液体状の第2樹脂材料が挙げられる。
【0069】
(3)混合工程
混合工程では、第1材料と第2材料とを、公知の方法で混合する。これにより、第1材料と第2材料との混合物が調製される。
【0070】
混合方法は、特に制限されず、公知の方法が採用される。混合割合は、特に制限されず、マーブル調成形品に要求される模様に応じて、適宜選択される。例えば、第2材料の混合割合は、第1材料100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは、10質量部以上、例えば、5000質量部以下、好ましくは、1000質量部以下である。
【0071】
(4)成形工程
成形工程では、上記の混合物を、公知の成形方法で成形する。成形方法としては、例えば、プレス成形および射出成形が挙げられ、好ましくは、プレス成形が挙げられる。
【0072】
成形条件は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。例えば、成形圧が、例えば、1MPa以上、好ましくは、5MPa以上である。また、成形圧が、例えば、30MPa以下、好ましくは、15MPa以下である。また、成形温度が、例えば、80℃以上、好ましくは、125℃以上である。また、成形温度が、例えば、200℃以下、好ましくは、150℃以下である。成形時間が、例えば、1分以上、好ましくは、3分以上である。また、成形時間が、例えば、30分以下、好ましくは、10分以下である。
【0073】
成形工程では、第1材料が押し潰されるとともに、第1材料の隙間に、第2材料が流入する。これによって、第1材料および第2材料が、マーブル調を形成するように互いに混ざり合う。そして、第1材料および第2材料の混合物が、熱硬化する。
【0074】
その結果、天然大理石に近い自然なマーブル調の模様が形成される。すなわち、自然なマーブル調を有し、所望の形状を有する成形品(マーブル調成形品)が製造される。
【0075】
マーブル調成形品は、種々の産業製品に好適に用いられる。とりわけ、マーブル調成形品は、優れた意匠性を有するため、高意匠製品として、好適に用いられる。高意匠製品としては、例えば、建築内装部材および自動車内装部材が挙げられる。建築内装部材としては、例えば、室内設備部材、水回り設備部材および照明設備部材が挙げられる。室内設備部材としては、例えば、床材、天井材、壁材、テーブル、大理石調タイル、ホワイトボード、エレベーター天井材、および、エレベーター壁材が挙げられる。水回り設備部材としては、例えば、浴槽、洗面カウンター、キッチンカウンター、キッチンシンク、浴室ユニットの洗い場、および、洗い場付き浴槽が挙げられる。照明設備部材としては、例えば、ペンダントライトのカバー、間接照明部材、および、採光パネルが挙げられる。自動車内装部材としては、インナーパネル部材、ハンドル部材、レバー部材、および、ドアトリム部材が挙げられる。
【0076】
(5)裁断方法
上記の方法では、第1準備工程において、小片状の第1樹脂材料を準備するために、
以下に示す特定の裁断方法(以下、平行刃裁断法と称する。)が、採用される。
【0077】
また、第2材料として、小片状の第2樹脂材料が使用される場合には、好ましくは、第2準備工程でも、小片状の第2樹脂材料を準備するために、以下に示す特定の裁断方法(以下、平行刃裁断法と称する。)が、採用される。
【0078】
換言すると、上記の方法では、第1樹脂モールディングコンパウンドが、平行刃裁断法により裁断される。また、上記の方法では、必要に応じて、第2樹脂モールディングコンパウンドが、平行刃裁断法により裁断される。
【0079】
以下において、平行刃裁断法について、説明する。また、以下では、第1樹脂モールディングコンパウンドと、第2樹脂モールディングコンパウンドとを、単に、樹脂モールディングコンパウンドと総称する。
【0080】
平行刃裁断法は、所定方向に沿って並列配置される複数の裁断刃(平行刃)によって、被裁断物を同時に裁断する方法である。以下において、平行刃裁断法、および、平行刃裁断法が採用される裁断装置(平行刃裁断装置)について、
図1を参照して詳述する。
【0081】
図1には、平行刃裁断装置1が、簡略化して示されている。平行刃裁断装置1は、例えば、搬送ベルト2と裁断ユニット3とを備えている。
【0082】
搬送ベルト2は、樹脂モールディングコンパウンド10を搬送するための装置である。搬送ベルト2は、公知の構成を有しており、搬送ベルト2の上面(載置面)に載置された被搬送物を、所定の搬送方向Tに沿って搬送可能としている。搬送ベルト2による搬送方法は、特に制限されない。例えば、被搬送物が連続的に搬送されていてもよく、また、逐次的(段階的)に搬送されていてもよい。
【0083】
裁断ユニット3は、樹脂モールディングコンパウンド10を裁断するための装置である。裁断ユニット3は、搬送ベルト2の搬送方向Tに沿って配置される平行刃31と、搬送ベルト2の搬送方向Tに対して直交する幅方向(図面左右方向)Wに沿って配置される垂直刃32とを、一体的に備えている。
【0084】
平行刃31は、平板状の裁断刃である。平行刃31は、1つの裁断ユニット3に対して、複数備えられている。例えば、
図1Aでは、平行刃31は、1つの裁断ユニット3に対して、8つ備えられている。平行刃31の数は、特に制限されず、任意に選択可能である。平行刃31の数は、本発明を制限しない。
【0085】
複数の平行刃31は、互いに平行となるように、搬送方向Tに沿って配置されている。より具体的には、複数の平行刃31は、搬送方向Tに対して直交する幅方向Wにおいて、互いに間隔を隔てて並列配置されている。
【0086】
幅方向Wにおいて隣り合う平行刃31間の距離は、例えば、1mm以上、好ましくは、5mm以上である。幅方向Wにおいて隣り合う平行刃31の間の距離は、例えば、300mm以下、好ましくは、100mm以下である。
【0087】
各平行刃31は、刃部33および背部(峰)34を備えている。そして、各平行刃31は、刃部33が搬送ベルト2の上面(載置面)に向かうように、配置されている。また、各平行刃31は、刃部33が搬送方向Tに沿うように、配置されている。
【0088】
各平行刃31の刃部33の長さは、例えば、2mm以上、好ましくは、10mm以上である。また、各平行刃31の刃部33の長さは、例えば、600mm以下、好ましくは、200mm以下である。
【0089】
垂直刃32は、平板状の裁断刃である。垂直刃32は、1つの裁断ユニット3に対して、単数または複数備えられている。例えば、
図1Aでは、垂直刃32は、1つの裁断ユニット3に対して、単数(1つ)備えられている。
【0090】
垂直刃32は、平行刃31に対して垂直となるように、搬送方向Tに対して直交する幅方向Wに沿って、配置されている。より具体的には、垂直刃32は、幅方向Wにおいて、搬送ベルト2の全体にわたって配置されている。また、垂直刃32は、平行刃31の中央部を横切るように、配置されている。すなわち、平行刃31と垂直刃32とは、略格子状に配置されている。
【0091】
垂直刃32は、刃部35および背部(峰)36を備えている。そして、垂直刃32は、刃部35が搬送ベルト2の上面(載置面)に向かうように、配置されている。
【0092】
垂直刃32の刃部35の長さは、例えば、100mm以上、好ましくは、200mm以上である。また、垂直刃32の刃部35の長さは、例えば、2000mm以下、好ましくは、1000mm以下である。
【0093】
裁断ユニット3は、搬送ベルト2の上側(載置面側)において、搬送ベルト2から上方に所定間隔を隔てて配置されている。また、裁断ユニット3は、図示しないが、上下方向(図面縦方向)Lに沿ってスライドできるように、機械的に制御されている。
【0094】
より具体的には、裁断ユニット3は、下方向に向かってスライドしたときに、平行刃31の刃部33、および、垂直刃32の刃部35と、搬送ベルト2とが互いに近接または接触するように、配置されている。これにより、裁断ユニット3は、搬送ベルト2の上面に載置された被搬送物を、裁断可能としている。
【0095】
そして、上記の平行刃裁断装置1を用いれば、樹脂モールディングコンパウンド10を、平行刃裁断法によって裁断できる。
【0096】
より具体的には、上記の平行刃裁断装置1により樹脂モールディングコンパウンド10を裁断する場合、まず、
図1Aが参照されるように、搬送ベルト2の上面に、樹脂モールディングコンパウンド10を載置する。そして、樹脂モールディングコンパウンド10を、搬送ベルト2により、所定の搬送方向Tに沿って搬送する。
【0097】
樹脂モールディングコンパウンド10の形態は、特に制限されないが、好ましくは、シート状である。なお、シート状の樹脂モールディングコンパウンド10は、公知の方法で得ることができる。例えば、樹脂モールディングコンパウンド10は、シートモールディングコンパウンド(SMC)であってもよい。また、樹脂モールディングコンパウンド10は、公知の方法でスライスされたシックモールディングコンパウンド(TMC)および/またはバルクモールディングコンパウンド(BMC)であってもよい。また、樹脂モールディングコンパウンド10の厚みを、適宜の方法で調製することができる。例えば、樹脂モールディングコンパウンド10を分取し、型に入れ、賦形し、増粘させることによって、樹脂モールディングコンパウンド10の厚みを調整することができる。
【0098】
樹脂モールディングコンパウンド10の厚みは、例えば、1mm以上、好ましくは、5mm以上である。また、樹脂モールディングコンパウンド10の厚みは、例えば、300mm以下、好ましくは、200mm以下、より好ましくは、100mm以下である。
【0099】
搬送速度は、特に制限されないが、例えば、1mm/s以上、好ましくは、10mm/s以上である。搬送速度は、例えば、700mm/s以下、好ましくは、300mm/s以下である。
【0100】
また、上記の平行刃裁断装置1では、樹脂モールディングコンパウンド10の搬送とともに、裁断ユニット3を、上下方向Lに沿ってスライドさせる。好ましくは、裁断ユニット3を、上下方向Lに沿ってピストン運動(往復運動)させる。
【0101】
裁断ユニット3のスライド速度は、特に制限されないが、例えば、2mm/s以上、好ましくは、5mm/s以上、より好ましくは、50mm以上、さらに好ましくは、100mm/s以上である。また、裁断ユニット3のスライド速度は、通常、30m/s以下である。
【0102】
このように裁断ユニット3をスライドさせると、シート状の樹脂モールディングコンパウンド10は、平行刃31および垂直刃32によって、キューブ状に裁断される。
【0103】
より具体的には、樹脂モールディングコンパウンド10の搬送中において、裁断ユニット3が下方向にスライドすると、裁断ユニット3が、樹脂モールディングコンパウンド10を、押圧および裁断する。その後、裁断ユニット3が上方向に動作すると、裁断ユニット3が、樹脂モールディングコンパウンド10から離隔する。
【0104】
以上のように、平行刃裁断装置1では、樹脂モールディングコンパウンド10が、幅方向Wに沿って並列配置される複数の平行刃31により、同時に裁断される。また、これと同時に、樹脂モールディングコンパウンド10は、垂直刃32によっても、裁断される。
【0105】
これにより、
図1Bが参照されるように、樹脂モールディングコンパウンド10は、キューブ状に裁断される。その結果、キューブ状の樹脂材料11(樹脂小片)が、複数形成される。
【0106】
そして、樹脂モールディングコンパウンド10の搬送と、裁断ユニット3による裁断とが、連続的または断続的に繰り返される。これにより、樹脂モールディングコンパウンド10は、搬送ベルト2によって搬送されながら、裁断ユニット3によって、逐次的に裁断される(仮想線参照)。
【0107】
その結果、
図1Cが参照されるように、樹脂モールディングコンパウンド10が、順次、キューブ状に裁断される。これにより、樹脂材料11(樹脂小片)を、効率よく製造できる。
【0108】
そして、複数の樹脂材料11(樹脂小片)は、上記の混合工程、および、上記の成形工程に、順次、提供される。その結果、マーブル調成形品が、製造される。
【0109】
このようなマーブル調成形品の製造方法において、樹脂モールディングコンパウンド10を、従来公知の裁断方法で裁断することも検討される。
【0110】
従来公知の裁断方法としては、例えば、まず、樹脂モールディングコンパウンド10を、単数(1つ)の裁断刃によって短冊状に裁断し、その後、短冊状の樹脂モールディングコンパウンド10を、単数(1つ)の裁断刃によってキューブ状に裁断する方法が挙げられる。
【0111】
しかし、従来公知の裁断方法では、樹脂モールディングコンパウンド10が裁断刃により拘束(後述)されないため、樹脂モールディングコンパウンド10の裁断が困難な場合がある。とりわけ、樹脂モールディングコンパウンド10の物性(粘性および硬度)によっては、樹脂モールディングコンパウンド10に対して、裁断刃を、円滑に接触および離隔させることができず、マーブル調成形品を効率よく得られない場合がある。
【0112】
これに対して、上記のマーブル調成形品の製造方法は、第1樹脂モールディングコンパウンドを裁断し、第1材料を得る第1準備工程を備える。そして、第1準備工程では、第1樹脂モールディングコンパウンドを、所定方向に沿って並列配置される複数の裁断刃によって同時に裁断し、キューブ形状の樹脂小片を形成する。
【0113】
このようなマーブル調成形品の製造方法では、上記の通り、樹脂モールディングコンパウンド10(第1樹脂モールディングコンパウンド)が、複数の裁断刃(平行刃31)によって、裁断刃(平行刃31)に接触する両方向(裁断刃の対向方向両側)から拘束されながら、裁断される。そのため、樹脂モールディングコンパウンド10に対して、裁断刃(平行刃31)を、円滑に接触および離隔させることができ、樹脂モールディングコンパウンド10を、効率よく所望形状に裁断できる。とりわけ、上記のマーブル調成形品の製造方法では、樹脂モールディングコンパウンド10の物性(粘性および硬度)によらず、効率よく所望形状に裁断できる。
【0114】
つまり、上記のマーブル調成形品の製造方法によれば、樹脂モールディングコンパウンド10(第1樹脂モールディングコンパウンド)を、効率よくキューブ形状に裁断できる。その結果、上記のマーブル調成形品の製造方法によれば、効率よくマーブル調成形品を得ることができる。
【0115】
なお、上記した実施形態では、平行刃31として、平板状の裁断刃が使用されている。しかし、平行刃31の形状および配置は、樹脂モールディングコンパウンド10を裁断でき、また、その裁断時に、樹脂モールディングコンパウンド10を平行刃31に接触する両方向から拘束できれば、特に制限されない。平行刃31の形状としては、例えば、糸状が挙げられる。すなわち、平行刃31が、例えば、糸状刃であってもよい。糸状刃は、樹脂モールディングコンパウンド10を裁断でき、また、裁断時に、糸状刃と樹脂モールディングコンパウンド10とが接触する部分の両方向から、樹脂モールディングコンパウンド10を拘束して、裁断できる。糸状刃としては、例えば、鋼線が挙げられる。平行刃31が糸状刃である場合、必要に応じて、糸状刃を、任意の板部材に固定することができる。また、このような場合、樹脂モールディングコンパウンド10を、糸状刃と樹脂モールディングコンパウンド10とが接触する部分の両方向から、糸状刃および板部材によって、拘束することもできる。樹脂モールディングコンパウンド10を良好に拘束および裁断する観点から、平行刃31の形状は、好ましくは、平板状である。
【0116】
また、上記した実施形態では、垂直刃32として、平板状の裁断刃が使用されている。しかし、垂直刃32の形状および配置は、樹脂モールディングコンパウンド10を裁断できれば、特に制限されない。垂直刃32の形状としては、例えば、糸状が挙げられる。すなわち、垂直刃32が、例えば、糸状刃であってもよい。垂直刃32が糸状刃である場合、必要に応じて、糸状刃を、任意の板部材に固定することができる。樹脂モールディングコンパウンド10を良好に裁断する観点から、垂直刃32の形状は、好ましくは、平板状である。
【0117】
また、上記した平行刃裁断法は、少なくとも第1準備工程において採用されていればよい。また、平行刃裁断法は、第1準備工程および第2準備工程の両方において、採用されていてもよい。
【0118】
例えば、第2材料が、小片状の第2樹脂材料である場合、好ましくは、平行刃裁断法は、第1準備工程および第2準備工程の両方において、採用される。換言すると、第1樹脂モールディングコンパウンドおよび第2樹脂モールディングコンパウンドの両方が、平行刃裁断法により裁断される。
【0119】
このようなマーブル調成形品の製造方法では、第2樹脂モールディングコンパウンドを、効率よくキューブ形状に裁断できる。その結果、第2材料として、小片状の第2樹脂材料が使用される場合にも、上記のマーブル調成形品の製造方法によれば、効率よくマーブル調成形品を得ることができる。
【0120】
2.第2実施形態
(1)裁断方法
上記の説明では、裁断ユニット3が、平行刃31と垂直刃32とを一体的に備えている。そして、樹脂モールディングコンパウンド10が、平行刃31と垂直刃32とによって同時に裁断されている。
【0121】
一方、裁断ユニット3は、平行刃31と垂直刃32とを一体的に備えず、平行刃31と垂直刃32とを別体として備えてもよい。また、このような場合、樹脂モールディングコンパウンド10は、平行刃31と垂直刃32とによって、順次裁断されてもよい。
【0122】
より具体的には、この実施形態において、裁断ユニット3は、
図2および
図3が参照されるように、平行刃31と垂直刃32とを、別体として備えている。すなわち、平行刃31と垂直刃32とが、互いに離隔して配置されながら、1つの裁断ユニット3を構成している。
【0123】
平行刃31は、平板状の裁断刃である。平行刃31は、1つの裁断ユニット3に対して、複数備えられている。例えば、
図2Aでは、平行刃31は、1つの裁断ユニット3に対して、8つ備えられている。平行刃31の数は、特に制限されず、任意に選択可能である。平行刃31の数は、本発明を制限しない。
【0124】
複数の平行刃31は、互いに平行となるように、搬送方向Tに沿って配置されている。より具体的には、複数の平行刃31は、搬送方向Tに対して直交する幅方向Wにおいて、互いに間隔を隔てて並列配置されている。
【0125】
幅方向Wにおいて隣り合う平行刃31間の距離は、例えば、1mm以上、好ましくは、5mm以上である。幅方向Wにおいて隣り合う平行刃31の間の距離は、例えば、300mm以下、好ましくは、100mm以下である。
【0126】
各平行刃31は、刃部33および背部(峰)34を備えている。そして、各平行刃31は、刃部33が搬送方向Tの上流側に向かうように、配置されている。また、各平行刃31は、刃部33が上下方向Lに沿うように、配置されている。
【0127】
また、各平行刃31は、搬送ベルト2の上面(載置面)側において、搬送ベルト2の近傍に固定されている。より具体的には、各平行刃31は、搬送ベルト2により搬送される被搬送物と接触するように、配置されている。これにより、平行刃31は、搬送ベルト2に載置された被搬送物を、裁断可能としている。
【0128】
各平行刃31の刃部33の長さは、例えば、1mm以上、好ましくは、5mm以上である。また、各平行刃31の刃部33の長さは、例えば、300mm以下、好ましくは、200mm以下である。
【0129】
垂直刃32は、平板状の裁断刃である。垂直刃32は、1つの裁断ユニット3に対して、単数(実線)または複数(仮想線)備えられている。例えば、
図2Aでは、垂直刃32は、1つの裁断ユニット3に対して、単数(1つ)備えられている。
【0130】
垂直刃32は、平行刃31に対して垂直となるように、搬送方向Tに対して直交する幅方向Wに沿って、配置されている。より具体的には、垂直刃32は、幅方向Wにおいて、搬送ベルト2の全体にわたって配置されている。また、垂直刃32は、平行刃31に対する別体として、平行刃31から離隔して配置されている。
【0131】
垂直刃32は、刃部35および背部(峰)36を備えている。そして、垂直刃32は、刃部35が搬送ベルト2の上面(載置面)に向かうように、配置されている。
【0132】
垂直刃32の刃部35の長さは、例えば、100mm以上、好ましくは、200mm以上である。また、垂直刃32の刃部35の長さは、例えば、2000mm以下、好ましくは、1000mm以下である。
【0133】
このような垂直刃32は、搬送ベルト2の上側(載置面側)において、搬送ベルト2から上方に所定間隔を隔てて配置されている。また、垂直刃32は、図示しないが、上下方向(図面縦方向)Lに沿ってスライドできるように、機械的に制御されている。
【0134】
より具体的には、垂直刃32は、下方向に向かってスライドしたときに、刃部35と搬送ベルト2とが近接または接触するように、配置されている。これにより、搬送ベルト2の上面に載置された被搬送物を、裁断可能としている。
【0135】
そして、上記の平行刃裁断装置1を用いても、樹脂モールディングコンパウンド10を、平行刃裁断法によって裁断できる。
【0136】
より具体的には、上記の平行刃裁断装置1により樹脂モールディングコンパウンド10を裁断する場合、まず、
図2Aが参照されるように、搬送ベルト2の上面に、樹脂モールディングコンパウンド10を載置する。そして、樹脂モールディングコンパウンド10を、搬送ベルト2により、所定の搬送方向Tに沿って搬送する。
【0137】
樹脂モールディングコンパウンド10の形態は、特に制限されないが、好ましくは、シート状である。なお、シート状の樹脂モールディングコンパウンド10は、公知の方法で得ることができる。例えば、樹脂モールディングコンパウンド10は、シートモールディングコンパウンド(SMC)であってもよい。また、樹脂モールディングコンパウンド10は、公知の方法でスライスされたシックモールディングコンパウンド(TMC)および/またはバルクモールディングコンパウンド(BMC)であってもよい。また、樹脂モールディングコンパウンド10の厚みを、適宜の方法で調製することができる。例えば、樹脂モールディングコンパウンド10を分取し、型に入れ、賦形し、増粘させることによって、樹脂モールディングコンパウンド10の厚みを調整することができる。
【0138】
樹脂モールディングコンパウンド10の厚みは、例えば、1mm以上、好ましくは、5mm以上である。また、樹脂モールディングコンパウンド10の厚みは、例えば、300mm以下、好ましくは、200mm以下、より好ましくは、100mm以下である。
【0139】
搬送速度は、特に制限されないが、例えば、1mm/s以上、好ましくは、10mm/s以上である。搬送速度は、例えば、700mm/s以下、好ましくは、300mm/s以下である。
【0140】
そして、この平行刃裁断装置1において、樹脂モールディングコンパウンド10を搬送すると、
図2Bが参照されるように、樹脂モールディングコンパウンド10は、まず、複数の平行刃31に接触する。これにより、樹脂モールディングコンパウンド10は、幅方向Wに沿って並列配置される複数の平行刃31によって、同時に裁断される。
【0141】
このとき、樹脂モールディングコンパウンド10は、複数の平行刃31によって、平行刃31に接触する両方向(裁断刃の対向方向両側)から拘束されながら、裁断される。そのため、樹脂モールディングコンパウンド10に対して、平行刃31を、円滑に接触および離隔させることができ、樹脂モールディングコンパウンド10を、効率よく所望形状に裁断できる。
【0142】
その結果、角柱状の樹脂モールディングコンパウンド10が、複数形成される。角柱状の樹脂モールディングコンパウンド10は、複数の平行刃31の間を、それぞれ通過する。
【0143】
次いで、この平行刃裁断装置1では、
図3Aが参照されるように、角柱状の樹脂モールディングコンパウンド10を、さらに搬送する。また、樹脂モールディングコンパウンド10の搬送とともに、垂直刃32を、上下方向Lに沿ってスライドさせる。
【0144】
垂直刃32のスライド速度は、特に制限されないが、例えば、2mm/s以上、好ましくは、5mm/s以上、より好ましくは、50mm以上、さらに好ましくは、100mm/s以上である。また、垂直刃32のスライド速度は、通常、30m/s以下である。
【0145】
このように垂直刃32をスライドさせると、角柱状の樹脂モールディングコンパウンド10は、垂直刃32によって、キューブ状に裁断される。
【0146】
より具体的には、樹脂モールディングコンパウンド10の搬送中において、垂直刃32が下方向にスライドすると、角柱状の樹脂モールディングコンパウンド10が、垂直刃32に押圧および裁断(二次裁断)される。
【0147】
すなわち、平行刃裁断装置1では、樹脂モールディングコンパウンド10は、幅方向Wに沿って並列配置される複数の平行刃31により、同時に一次裁断される。その後、樹脂モールディングコンパウンド10は、垂直刃32によって、逐次的に二次裁断される。
【0148】
これにより、
図3Aが参照されるように、樹脂モールディングコンパウンド10は、キューブ状に裁断される。その結果、キューブ状の樹脂材料11(樹脂小片)が、複数形成される。
【0149】
また、裁断ユニット3が、搬送方向Tに沿って並列配置される複数の垂直刃32を備えている場合(仮想線参照)、角柱状の樹脂モールディングコンパウンド10は、搬送方向Tに沿って並列配置される複数の垂直刃32によって、同時に裁断される。
【0150】
このとき、樹脂モールディングコンパウンド10は、複数の垂直刃32によって、垂直刃32に接触する両方向(裁断刃の対向方向両側)から拘束されながら、裁断される。そのため、樹脂モールディングコンパウンド10に対して、垂直刃32を、円滑に接触および離隔させることができ、樹脂モールディングコンパウンド10を、効率よく所望形状に裁断できる。
【0151】
そして、樹脂モールディングコンパウンド10の搬送と、裁断ユニット3による裁断とが、連続的または断続的に繰り返される。これにより、樹脂モールディングコンパウンド10は、搬送ベルト2によって搬送されながら、裁断ユニット3によって、逐次的に裁断される(仮想線参照)。
【0152】
その結果、
図3Bが参照されるように、樹脂モールディングコンパウンド10が、順次、キューブ状に裁断される。これにより、樹脂材料11(樹脂小片)を、効率よく製造できる。
【0153】
そして、複数の樹脂材料11(樹脂小片)は、上記の混合工程、および、上記の成形工程に、順次、提供される。その結果、マーブル調成形品が、製造される。
【0154】
このようなマーブル調成形品の製造方法でも、樹脂モールディングコンパウンド10は、複数の裁断刃(平行刃31)によって、拘束されながら、裁断される。そのため、樹脂モールディングコンパウンド10に対して、裁断刃(平行刃31)を、円滑に接触および離隔させることができ、樹脂モールディングコンパウンド10を、効率よく所望形状に裁断できる。とりわけ、上記のマーブル調成形品の製造方法でも、樹脂モールディングコンパウンド10の物性(粘性および硬度)によらず、効率よく所望形状に裁断できる。
【0155】
そのため、上記のマーブル調成形品の製造方法でも、第1樹脂モールディングコンパウンド(および、第2樹脂モールディングコンパウンド)を、効率よくキューブ形状に裁断できる。その結果、上記のマーブル調成形品の製造方法によれば、効率よくマーブル調成形品を得ることができる。
【0156】
なお、上記した実施形態でも、平行刃31の形状および配置は、上記に制限されない。例えば、平行刃31は、糸状刃であってもよい。平行刃31が糸状刃である場合、必要に応じて、糸状刃を、任意の板部材に固定することができる。樹脂モールディングコンパウンド10を良好に拘束および裁断する観点から、平行刃31の形状は、好ましくは、平板状である。
【0157】
また、上記した実施形態でも、垂直刃32の形状および配置は、上記に制限されない。例えば、垂直刃32は、糸状刃であってもよい。垂直刃32が糸状刃である場合、必要に応じて、糸状刃を、任意の板部材に固定することができる。樹脂モールディングコンパウンド10を良好に裁断する観点から、垂直刃32の形状は、好ましくは、平板状である。
【0158】
さらに、上記した実施形態において、複数の垂直刃32が使用される場合(仮想線参照)、垂直刃32の形状および配置は、樹脂モールディングコンパウンド10を裁断でき、また、その裁断時に、樹脂モールディングコンパウンド10を垂直刃32に接触する両方向から拘束できれば、特に制限されない。垂直刃32が、例えば、糸状刃であってもよい。糸状刃は、樹脂モールディングコンパウンド10を裁断でき、また、裁断時に、糸状刃と樹脂モールディングコンパウンド10とが接触する部分の両方向から、樹脂モールディングコンパウンド10を拘束して、裁断できる。また、糸状刃を、任意の板部材に固定し、樹脂モールディングコンパウンド10を、糸状刃および板部材によって、拘束することもできる。樹脂モールディングコンパウンド10を良好に拘束および裁断する観点から、垂直刃32の形状は、好ましくは、平板状である。
【符号の説明】
【0159】
1 平行刃裁断装置
2 搬送ベルト
3 裁断部材
31 平行刃
32 垂直刃