(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080044
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】プリント配線板及びプリント配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/28 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
H05K3/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192896
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國枝 優希
(72)【発明者】
【氏名】桐山 絵美里
(72)【発明者】
【氏名】小川 晃司
【テーマコード(参考)】
5E314
【Fターム(参考)】
5E314AA24
5E314BB02
5E314BB12
5E314DD10
5E314FF05
5E314GG11
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板と高い品質を有するプリント配線板を製造するための製造方法の提供。
【解決手段】プリント配線板は、最外の樹脂絶縁層と、前記最外の樹脂絶縁層上に形成されていて、複数の導体回路を含む最外の導体層と、前記最外の樹脂絶縁層と前記最外の導体層上に形成されているソルダーレジスト層、とを有する。隣接する2つの前記導体回路の間に位置する前記最外の樹脂絶縁層は凹部を有し、前記ソルダーレジスト層は、前記凹部を充填している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最外の樹脂絶縁層と、
前記最外の樹脂絶縁層上に形成されていて、複数の導体回路を含む最外の導体層と、
前記最外の樹脂絶縁層と前記最外の導体層上に形成されているソルダーレジスト層、とを有するプリント配線板であって、
隣接する2つの前記導体回路の間に位置する前記最外の樹脂絶縁層は凹部を有し、
前記ソルダーレジスト層は、前記凹部を充填している。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記最外の樹脂絶縁層は第1面と前記第1面と反対側の第2面を有し、前記最外の導体層は前記第1面上に形成され、前記導体回路の断面形状は略台形である。
【請求項3】
請求項2のプリント配線板であって、前記台形は下面と上面と右側の側面と左側の側面と前記下面と前記右側の側面との間に形成されている第1底角θ1と前記下面と前記左側の側面との間に形成されている第2底角θ2を有し、前記下面は前記第1面と接し、前記第1底角θ1と前記第2底角θ2は、鋭角である。
【請求項4】
請求項3のプリント配線板であって、前記第1底角θ1と前記第2底角θ2は異なる。
【請求項5】
最外の樹脂絶縁層を形成することと、
前記最外の樹脂絶縁層上に導体回路を形成することと、
隣接する2つの前記導体回路の間に位置する前記最外の樹脂絶縁層に凹部を形成することと、
前記最外の樹脂絶縁層と前記導体回路上にソルダーレジスト層を形成すること、
とを含むプリント配線板の製造方法であって、
前記ソルダーレジスト層は、前記凹部を充填している。
【請求項6】
請求項5のプリント配線板の製造方法であって、前記凹部を形成することは、前記最外の樹脂絶縁層のうち隣接する2つの前記導体回路の間を短絡する導体を除去することを含む。
【請求項7】
請求項6のプリント配線板の製造方法であって、前記凹部は、レーザを用いて形成される。
【請求項8】
請求項7のプリント配線板の製造方法であって、前記凹部は、グリーンレーザを用いて形成される。
【請求項9】
請求項7のプリント配線板の製造方法であって、前記凹部を形成することは、前記レーザを隣接する前記導体回路に照射することを含み、前記レーザを前記導体回路に照射することで、前記導体回路の一部の導体が除去され、前記導体回路の断面形状は台形に変化する。
【請求項10】
請求項9のプリント配線板の製造方法であって、前記台形は下面と上面と右側の側面と左側の側面と前記下面と前記右側の側面との間に形成されている第1底角θ1と前記下面と前記左側の側面との間に形成されている第2底角θ2を有し、前記下面は前記第1面と接し、前記第1底角θ1と前記第2底角θ2は、鋭角である。
【請求項11】
請求項10のプリント配線板の製造方法であって、前記第1底角θ1と前記第2底角θ2は異なる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板及びプリント配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プリント配線板を開示している。特許文献1の
図1に示されるように、特許文献1では、最外の樹脂絶縁層上に形成される導体回路の断面形状が矩形である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
<特許文献1の課題>
特許文献1の技術では、2つの導体回路間に位置する最外の表面が平坦である。そのため、ソルダーレジスト層と最外の樹脂絶縁層の間で剥がれが生じると考えられる。特許文献1の技術で形成されるプリント配線板では不良品が流出すると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、最外の樹脂絶縁層と、前記最外の樹脂絶縁層上に形成されていて、複数の導体回路を含む最外の導体層と、前記最外の樹脂絶縁層と前記最外の導体層上に形成されているソルダーレジスト層、とを有する。隣接する2つの前記導体回路の間に位置する前記最外の樹脂絶縁層は凹部を有し、前記ソルダーレジスト層は、前記凹部を充填している。
【0006】
本発明の実施形態では、隣接する2つの導体回路の間に位置する最外の樹脂絶縁層は凹部を有する。最外の樹脂絶縁層と最外の導体層上に形成されているソルダーレジスト層が、凹部を充填している。そのため、ソルダーレジスト層と最外の樹脂絶縁層間の接触面積が増える。ソルダーレジスト層と最外の樹脂絶縁層の間の密着強度が高くなる。ソルダーレジスト層が最外の樹脂絶縁層及び導体回路から剥がれ難い。本発明の実施形態のプリント配線板では、剥がれによる不良品の発生が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
【
図2】実施形態のプリント配線板の要部を模式的に示す説明図。
【
図3】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図4】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【
図5】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<実施形態のプリント配線板>
図1は、実施形態の半導体装置200の断面図である。半導体装置200は、実施形態のプリント配線板10とプリント配線板10に実装されている電子部品90で形成されている。
【0009】
図1に示されるように、プリント配線板10は、コア基板30とコア基板30の表裏に形成されているビルドアップ層80A,80Bを有する。ビルドアップ層80A,80Bは、樹脂絶縁層150U、150Lと導体層158U、158Lとビア導体160U、160Dで形成されている。ビア導体160U、160Dは、樹脂絶縁層150U、150Lを貫通し、隣接する導体層を接続する。
【0010】
プリント配線板10は、ビルドアップ層80A,80B上にソルダーレジスト層70U、70Dを有する。導体層(最外の導体層)158Uは複数の導体回路158Aを含む。隣接する2つの導体回路158Aの間の樹脂絶縁層(最外の樹脂絶縁層)150Uは、凹部150aを有する。ソルダーレジスト70U層は、凹部150aを充填している。樹脂絶縁層150Uは、第1面151と第1面151と反対側の第2面153を有している。導体層158Uは第1面151上に形成されている。
【0011】
図2に示されるように、導体回路158Aの断面形状は略台形である。台形は、下面152Dと上面152Uと右側の側面152Rと左側の側面152Lを有する。台形は、第1底角θ1と第2底角θ2を有する。第1底角θ1は下面152Dと右側の側面152Rとの間に形成されている。第2底角θ2は下面152Dと左側の側面152Lとの間に形成されている。下面152Dは第1面151と接している。第1底角θ1と第2底角θ2は、鋭角である。底角θ1,θ2は異なる。
【0012】
図1に示されるように、ソルダーレジスト層70Uは開口71Uを有する。開口71Uにより露出される導体層158Uはパッド158pとして機能する。パッド158p上にバンプ76Uが形成されている。バンプ76U上に電子部品90が搭載される。バンプ76Uは半田により形成されている。あるいは、バンプ76Uはめっきにより形成されている。
【0013】
<実施形態のプリント配線板の製造方法>
図1~
図5は実施形態のプリント配線板10の製造方法を示す。
【0014】
図3に示される途中基板1が製造される。途中基板1は、コア基板30と上側のビルドアップ層80Aと下側のビルドアップ層80Bを有する。コア基板30とビルドアップ層80A、80Bは周知な方法で製造される。上側のビルドアップ層80Aは樹脂絶縁層150Uと樹脂絶縁層150U上の導体層158Uを有する。導体層158Uは複数の導体回路158Aを含む。隣接する2つの導体回路158Aは、両者の間に存在する導体(不要な導体)UDによって短絡されている。
【0015】
不要な導体UDにレーザ光Fが照射される。レーザ光Fはグリーンレーザである。同時に、レーザ光Fは隣接する2つの導体回路158Aに照射される。レーザ光Fを導体回路158Aに照射されることで、導体回路158Aの一部の導体が除去される。不要な導体UDが除去される。
図2に示されるように、導体回路158Aの断面形状が台形に変化する。
図4に示されるように、樹脂絶縁層150Uに凹部150aが形成される。凹部150aは、隣接する2つの導体回路158Aの間に形成される。
【0016】
図5に示されるように、樹脂絶縁層150Uと導体回路158A上に、ソルダーレジスト層70Uが形成される。ソルダーレジスト層70Uは、凹部150aの中を充填する。ソルダーレジスト層70Uは、左側の側面152L及び右側の側面152Rの斜面に沿って充填される。実施形態のプリント配線板10では、ソルダーレジスト層70Uは、2つの導体回路158A間のスペースと凹部150aに充填される。ソルダーレジスト層70Uは、導体層158Uを露出する開口71Uを有する。露出される導体層158Uは電子部品90を搭載するためのパッド158pとして機能する。パッド158p上にバンプ76Uが形成される。
【0017】
実施形態では、ソルダーレジスト層70Uが凹部150aの中に充填される。ソルダーレジスト層70Uと樹脂絶縁層150Uの間の接触面積が増える。そのため、ソルダーレジスト層70Uと樹脂絶縁層150Uの間の密着強度が高い。そのため、ソルダーレジスト層70Uが樹脂絶縁層150U及び導体回路158Aから剥がれ難い。実施形態のプリント配線板10では、剥がれによる不良品の発生が抑制される。
【0018】
実施形態の導体回路158Aと特許文献1の導体回路の間で断面形状が比較される。導体回路の断面形状が矩形であると、隣接する2つの導体回路間にソルダーレジスト層を十分に充填することは難しい。実施形態の導体回路158Aの断面形状は略台形である。そのため、左側の側面152L及び右側の側面152Rに斜面が形成される。そのため、ソルダーレジスト層70Uは、斜面に沿って2つの導体回路158A間のスペース及び凹部150aに確実に充填される。
【0019】
図1に示されように、バンプ76U上に電子部品90が搭載される。実施形態の半導体装置200(
図1参照)が得られる。
【符号の説明】
【0020】
1 :途中基板
10 :プリント配線板
30 :コア基板
70D :ソルダーレジスト層
70U :ソルダーレジスト層
71U :開口
76U :バンプ
80A :ビルドアップ層
80B :ビルドアップ層
90 :電子部品
150a:凹部
150U:樹脂絶縁層
151 :第1面
152D:下面
152L:左側の側面
152R:右側の側面
152U:上面
153 :第2面
158A:導体回路
158L:導体層
158U:導体層
158p:パッド
200 :半導体装置
F :レーザ光
UD :不要な導体
θ1 :第1底角
θ2 :第2底角