(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080069
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】材料噴射装置、材料噴射方法及び材料噴射プログラム
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240606BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240606BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C11/10
B05D1/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192959
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】521082422
【氏名又は名称】株式会社豆蔵K2TOPホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】渡▲辺▼ 兼人
(72)【発明者】
【氏名】西村 泰保
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4D075AA02
4D075AA23
4D075AA71
4D075AA86
4D075EA27
4D075EA29
4D075EA35
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA23
4F041BA32
4F041BA34
4F041BA42
4F041BA43
4F041BA47
4F042AB00
4F042BA10
4F042CA01
4F042CA08
4F042CB02
4F042CB10
(57)【要約】
【課題】複数の反応液に基づく所望の混合度合いを得る材料噴射装置、材料噴射方法及び材料噴射プログラムを提供する。
【解決手段】材料噴射装置は、複数の材料により1つの形成物を生成することが可能なその複数の材料のうち1つの材料を貯留する貯留容器と、材料の温度を調整する温度調整部と、貯留容器に貯留される材料をノズル部に向けて吐出するポンプと、材料を外部に噴射する材料噴射ノズルとシールドエアを噴射するシールドエア噴射ノズルとを含むノズル部と、を有する材料噴射部を複数備え、複数の材料噴射部のうち、第1材料噴射部に含まれる第1ノズル部と、第1噴射部とは異なる第2材料噴射部に含まれる第2ノズル部とのそれぞれの材料の噴射角度を互いに独立して変更可能とする角度変更部と、貯留容器からノズル部に向かう材料の吐出条件を変更可能としてポンプを制御するポンプ制御部と、温度調整部の温度を制御する温度制御部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の材料により1つの形成物を生成することが可能な当該複数の材料のうち1つの材料を貯留する貯留容器と、
前記貯留容器に配され、材料の温度を調整する温度調整部と、
前記貯留容器に貯留される材料をノズル部に向けて吐出するポンプと、
前記ポンプに接続され、材料を外部に噴射する材料噴射ノズルと、外部に噴射される材料の周囲にシールドエアを噴射するシールドエア噴射ノズルとを含む前記ノズル部と、を有する材料噴射部を複数備え、
複数の前記材料噴射部のうち、第1材料噴射部に含まれる第1ノズル部と、第1噴射部とは異なる第2材料噴射部に含まれる第2ノズル部とのそれぞれの材料の噴射角度を互いに独立して変更可能とする角度変更部と、
前記貯留容器から前記ノズル部に向かう材料の吐出条件を変更可能として前記ポンプを制御するポンプ制御部と、
温度調整部の温度を制御する温度制御部と、
を備える材料噴射装置。
【請求項2】
前記材料噴射ノズルは、材料と当該材料に混合させる気体とのそれぞれの量及び圧力が調整された流体を混合させた、材料の粒子径を相対的に小さくする、混合流体を噴射する
請求項1に記載の材料噴射装置。
【請求項3】
前記ポンプは、材料毎に独立して設置され、0℃~45℃の相対的に高粘度状態の材料を前記ノズル部に、定量かつ定圧、低圧で吐出することが可能である
請求項1又は2に記載の材料噴射装置。
【請求項4】
前記温度制御部は、前記ノズル部から噴射される材料の温度が0℃~45℃の範囲となるよう、前記温度調整部の温度を制御する
請求項3に記載の材料噴射装置。
【請求項5】
前記ポンプは、前記ノズル部から噴射される材料の圧力が0.1MPa~2MPaの範囲となるよう吐出圧力を制御する
請求項4に記載の材料噴射装置。
【請求項6】
複数の前記材料噴射部それぞれの前記ノズル部から噴射される材料に対して、混錬エアを噴射することが可能な混錬エア噴射ノズルを備える
請求項5に記載の材料噴射装置。
【請求項7】
前記材料噴射部にエアを供給することが可能な、可搬型エアリザーバを備える
請求項6に記載の材料噴射装置。
【請求項8】
感応材料を含む材料が前記ノズル部から噴射された場合、噴射後の材料に対して所定波長域の電磁波を照射する照射部を備える
請求項7に記載の材料噴射装置。
【請求項9】
複数の材料により1つの形成物を生成することが可能な当該複数の材料のうち1つの材料を貯留する貯留容器と、
前記貯留容器に配され、材料の温度を調整する温度調整部と、
前記貯留容器に貯留される材料をノズル部に向けて吐出するポンプと、
前記ポンプに接続され、材料を外部に噴射する材料噴射ノズルと、外部に噴射される材料の周囲にシールドエアを噴射するシールドエア噴射ノズルとを含む前記ノズル部と、を有する材料噴射部を複数備え、前記複数の材料噴射部をそれぞれ制御することが可能なコンピュータが、
複数の前記材料噴射部のうち、第1材料噴射部に含まれる第1ノズル部と、第1噴射部とは異なる第2材料噴射部に含まれる第2ノズル部とのそれぞれの材料の噴射角度を互いに独立して変更可能とする角度変更ステップと、
前記貯留容器から前記ノズル部に向かう材料の吐出条件を変更可能として前記ポンプを制御するポンプ制御ステップと、
温度調整部の温度を制御する温度制御ステップと、
を実行する材料噴射方法。
【請求項10】
複数の材料により1つの形成物を生成することが可能な当該複数の材料のうち1つの材料を貯留する貯留容器と、
前記貯留容器に配され、材料の温度を調整する温度調整部と、
前記貯留容器に貯留される材料をノズル部に向けて吐出するポンプと、
前記ポンプに接続され、材料を外部に噴射する材料噴射ノズルと、外部に噴射される材料の周囲にシールドエアを噴射するシールドエア噴射ノズルとを含む前記ノズル部と、を有する材料噴射部を複数備え、前記複数の材料噴射部をそれぞれ制御することが可能なコンピュータに、
複数の前記材料噴射部のうち、第1材料噴射部に含まれる第1ノズル部と、第1噴射部とは異なる第2材料噴射部に含まれる第2ノズル部とのそれぞれの材料の噴射角度を互いに独立して変更可能とする角度変更機能と、
前記貯留容器から前記ノズル部に向かう材料の吐出条件を変更可能として前記ポンプを制御するポンプ制御機能と、
温度調整部の温度を制御する温度制御機能と、
を実現させる材料噴射プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、材料噴射装置、材料噴射方法及び材料噴射プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2液を混合させた後に吐出する装置がある。その装置は、例えば、2液型接着材及び2液型発泡組成物等の反応液(A液及びB液)をそれぞれ同時に吐出する(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、2液混合型等の材料(例えば、反応液等)では、単に2つの材料を同時に吐出しただけでは十分に混合されず、接着効果が発揮できない恐れがあり、また組成物を生成できない恐れがある。
なお、混合後の接着材及び組成物を、以下では「形成物」等と言う場合がある。
【0005】
本開示は、複数の材料に基づく所望の混合度合いを得る材料噴射装置、材料噴射方法及び材料噴射プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様の材料噴射装置は、複数の材料により1つの形成物を生成することが可能なその複数の材料のうち1つの材料を貯留する貯留容器と、貯留容器に配され、材料の温度を調整する温度調整部と、貯留容器に貯留される材料をノズル部に向けて吐出するポンプと、ポンプに接続され、材料を外部に噴射する材料噴射ノズルと、外部に噴射される材料の周囲にシールドエアを噴射するシールドエア噴射ノズルとを含むノズル部と、を有する材料噴射部を複数備え、複数の材料噴射部のうち、第1材料噴射部に含まれる第1ノズル部と、第1噴射部とは異なる第2材料噴射部に含まれる第2ノズル部とのそれぞれの材料の噴射角度を互いに独立して変更可能とする角度変更部と、貯留容器からノズル部に向かう材料の吐出条件を変更可能としてポンプを制御するポンプ制御部と、温度調整部の温度を制御する温度制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、複数の材料に基づく所望の混合度合いを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る材料噴射装置について説明するための図である。
【
図2】一実施形態に係る材料噴射部について説明するためのである。
【
図3】一実施形態に係る情報処理装置について説明するためのブロック図である。
【
図4】一実施形態に係る材料噴射方法について説明するためのフローチャートである。
【
図5】材料貯留系の一実施例について説明するための図である。
【
図6】材料吐出系の一実施例について説明するための図である。
【
図7】材料噴射系の第1実施例について説明するための図である。(A)は平面の概略図、(B)は側面の概略図である。
【
図8】材料噴射系の第2実施例について説明するための図である。
【
図9】材料噴射系の第3実施例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、一実施形態について説明する。
【0010】
[材料噴射装置1の概要]
まず、一実施形態に係る材料噴射装置1の概要について説明する。
図1は、一実施形態に係る材料噴射装置1について説明するための図である。
【0011】
材料噴射装置1は、例えば、複数の材料を貯留し、それらの材料をノズル部103から噴射させた後に混合させ、1つの形成物を生成する装置である。
材料噴射装置1は、例えば、複数の材料噴射部100と、情報処理装置200とを備える。
【0012】
材料噴射部100は、貯留容器101、温度調整部102、ノズル部103及びポンプ104を備える。
貯留容器101は、材料を貯留する。この場合、貯留容器101は、例えば、液体等の流体の状態となる材料を貯留してもよい。
温度調整部102は、材料を加熱及び冷却する。一例として、温度調整部102は、貯留容器101の周囲等に配され、貯留容器101に貯留される材料を加熱及び冷却してもよい。
ノズル部103は、例えば、材料噴射ノズル1031及びシールドエア噴射ノズル1032(
図2参照)を備えてもよい。材料噴射ノズル1031は、貯留容器101から供給された材料を外部に噴射する。シールドエア噴射ノズル1032は、材料噴射ノズル1031から噴射される材料の周囲にシールドエアを噴射する。
ポンプ104は、貯留容器101に貯留される材料をノズル部103(例えば、材料噴射ノズル1031等)に向けて吐出する。また、ノズル部103(例えば、材料噴射ノズル1031及びシールドエア噴射ノズル1032等)には、気体(例えば、エア及び窒素等のガス)が供給されてもよい。
【0013】
材料噴射部100は、例えば、複数の材料を混合して形成物を生成する場合、複数の材料毎に配されてもよい。
すなわち、具体的な一例として、材料噴射部100は、2つの材料を混合して1つの形成物を生成する場合、2つ配されてもよい。この場合、2つの材料のうち一方に対応する材料噴射部100を第1材料噴射部100aとし、他方に対応する材料噴射部100を第2材料噴射部100bとしてもよい。また、第1材料噴射部100aに配されるノズル部103を第1ノズル部103aとし、第2材料噴射部100bに配されるノズル部103を第2ノズル部103bとしてもよい。
【0014】
情報処理装置200は、例えば、複数の材料噴射装置1それぞれを独立に制御してもよい。情報処理装置200は、例えば、サーバ、デスクトップ、ラップトップ、タブレット及びスマートフォン等のコンピュータであってもよい。
【0015】
この場合、情報処理装置200は、例えば、第1ノズル部103aから噴射される材料の噴射方向(噴射角度)と、第2ノズル部103bから噴射される材料の噴射方向(噴射角度)とをそれぞれ調整可能なように、第1ノズル部103a及び第2ノズル部103bを互いに独立して制御してもよい。一例として、情報処理装置200は、第1ノズル部103aが配される架台1034(
図2参照)と、第2ノズル部103bが配される架台1034とを独立して制御することにより、2つの材料それぞれの噴射方向を調整可能であってもよい。
【0016】
また、情報処理装置200は、貯留容器101からノズル部103に向かう材料の吐出条件を変更可能としてポンプ104を制御してもよい。情報処理装置200は、ポンプ104の作動量を調整することにより、吐出条件として、材料の供給量及び圧力等を調整してもよい。
【0017】
また、情報処理装置200は、温度調整部102による加熱及び冷却の温度を調整するようその温度調整部102を制御してもよい。温度調整部102は、例えば、貯留容器101内の材料を加熱及び冷却することができれば種々のものであってもよく、具体的な一例として抵抗加熱方式等を採用したタイプであってもよい。情報処理装置200は、例えば、貯留容器101内の材料を一定温度(又は、所定の温度範囲内)に維持することが可能な温度制御を行ってもよい。
【0018】
[材料噴射部100の詳細]
次に、一実施形態に係る材料噴射部100について詳細に説明する。
図2は、一実施形態に係る材料噴射部100について説明するためのである。
【0019】
材料噴射装置1は、複数の材料噴射部100を備える。材料噴射部100は、貯留容器101、温度調整部102、ノズル部103及びポンプ104を備える。材料噴射部100は、例えば、複数の材料で1つの形成物を生成する場合には、材料毎に配されてもよい。
【0020】
貯留容器101は、複数の材料により1つの形成物を生成することが可能なその複数の材料のうち1つの材料を貯留する。貯留容器101は、例えば、内部に貯留される材料を後述する温度調整部102によって加熱及び冷却可能なように、熱伝導性を有する容器等であってもよい。貯留容器101には、例えば、ガスリザーバ127等からガスが供給されてもよい。ガスリザーバ127は、例えば、ガス等を貯留容器101内に供給してもよい。ここで、貯留容器101に貯留される材料が水及び酸素等を反応することを抑制するため、ガスリザーバ127は、例えば、窒素及びアルゴン等の不活性ガス等を貯留容器101に供給してもよい。
【0021】
ここで一例として、形成物としてポリウレタン及びポリウレア等の形成物を生成する場合には、一方の貯留容器101に硬化剤が貯留され、他方の貯留容器101に樹脂剤が貯留されてもよい。この場合、材料噴射装置1は、例えば、硬化時間が相対的に速く、硬化温度が相対的に低い、2液混合材料を塗装する設備等であってもよい。
【0022】
温度調整部102は、貯留容器101に配され、材料の温度を調整する。温度調整部102は、例えば、貯留容器101の外部等に配され、後述する情報処理装置200の制御に基づいて、貯留容器101内の材料の加熱及び冷却をしてもよい。温度調整部102は、例えば、温度制御が可能なタイプであってもよく、材料を一定(略一定)の温度(又は、温度範囲内等)に維持できるように加熱及び冷却が可能であってもよい。温度調整部102には、例えば、種々のヒータ及び電子冷却器等を始めとする種々の加熱及び冷却が可能な装置を用いることができる。
【0023】
また、温度調整部102は、例えば、貯留容器101に配されるばかりでなく、後述するノズル部103、及び、ノズル部103と貯留容器101とを接続する材料供給路105等にも配されてもよい。
また、温度調整部102は、ノズル部103から噴射された材料(ワーク)を加熱してもよい。この場合の温度調整部102の一例は、遠赤外線ヒータ等であってもよい。
【0024】
ノズル部103は、ポンプ104に接続され、材料を外部に噴射する材料噴射ノズル1031と、外部に噴射される材料の周囲にシールドエアを噴射するシールドエア噴射ノズル1032とを含む。ノズル部103は、材料及びシールドエアの噴射方向を変更可能になっていてもよい。一例として、ノズル部103は、上下左右方向に噴射方向を変更可能な架台1034上に配されてもよい。架台1034は、例えば、後述する情報処理装置200の制御に基づいて噴射方向を変更可能であってもよく、手動により噴射方向を変更可能であってもよい。この場合、架台1034は、例えば、上下左右方向に向きが変更可能であってもよい。
【0025】
材料噴射ノズル1031は、例えば、材料供給路105を介して、ポンプ104と接続してもよい。すなわち、材料噴射ノズル1031は、例えば、材料供給路105を介してポンプ104から供給された材料を外部に噴射してもよい。
材料噴射ノズル1031は、例えば、材料とその材料に混合させる気体とのそれぞれの量及び圧力が調整された流体を混合させた混合流体を噴射してもよい。材料噴射ノズル1031には、材料と共に、気体が供給され、材料と気体とを混合させた流体(例えば、2流体等の混合流体等)を噴射する。
気体は、例えば、エア等のガス等であってもよい。気体は、コンプレッサ、エアリザーバ(一例として、可搬型エアリザーバ)及び気体ボンベ等の気体供給部106から供給される。また、気体は、レギュレータ及びマスフロコントローラ等を始めとする種々の流量調整装置(具体的な一例として、
図7に示すエアレギュレータ162)等により、材料噴射ノズル1031に供給される気体の流量及び圧力が調整可能であってもよい。
材料は、例えば、後述するポンプ142(104)等により、流量及び圧力等が調整されてもよい。
材料噴射ノズル1031は、例えば、材料及び気体を混合させることにより、噴射される材料の粒子径を相対的に小さくすることが可能である。
この場合、材料噴射ノズル1031は、材料の状況、及び、材料噴射装置1が配される環境に応じて、流量及び圧力等が調整された流体(材料及び気体)が供給されてもよい。材料の状況は、例えば、材料の粘度及び温度等を始めとする材料の特性等であってもよい。
【0026】
シールドエア噴射ノズル1032は、例えば、エア等を供給するコンプレッサ、エアリザーバ(一例として、可搬型エアリザーバ)及び気体ボンベ等に接続され、シールドエアを噴射する。コンプレッサ等は、例えば、材料噴射部100(例えば、シールドエア噴射ノズル1032等)に気体を供給することが可能であってもよい。シールドエアは、例えば、材料噴射ノズル1031から噴射される材料の周囲に、その材料が噴射方向に対して交差する方向に所定範囲以上に拡散しないようにするため等に形成される。
【0027】
また、材料噴射部100は、混錬エア噴射ノズル182を備えてもよい。混錬エア噴射ノズル182は、複数の材料噴射部100それぞれのノズル部103から噴射される材料に対して、混錬エアを噴射することが可能であってもよい。すなわち、混錬エア噴射ノズル182は、複数の材料噴射ノズル1031それぞれから材料を噴射する場合、複数の材料を混合させるように、噴射される材料に向けて空気等を供給してもよい。混錬エア噴射ノズル182は、例えば、エア等を供給するコンプレッサ、エアリザーバ(一例として、可搬型エアリザーバ)及び気体ボンベ等に接続され、混錬エアを噴射する。コンプレッサ等は、例えば、材料噴射部100(例えば、混錬エア噴射ノズル182等)にエアを供給することが可能であってもよい。
なお、上述したシールドエア噴射ノズル1032から噴射されるエアについても、複数の材料噴射ノズル1031から噴射される材料の混錬に用いることが可能であってもよい。
【0028】
ポンプ104は、貯留容器101に貯留される材料をノズル部103に向けて吐出する。ポンプ104は、例えば、貯留容器101に貯留される材料を材料噴射ノズル1031に供給して噴射することができれば、種々のタイプであってもよい。この場合、ポンプ104は、例えば、材料毎に独立して設置され、0℃~45℃の相対的に高粘度状態の材料をノズル部103に、定量かつ定圧、低圧で吐出することが可能なタイプを適宜選択して、利用してもよい。このタイプのポンプは、例えば、液体ポンプ等であってもよい。一例として、0℃~45℃の相対的に高粘度状態の材料を、定量かつ定圧、さらに相対的に低圧で吐出できる公知の液体ポンプの中から適宜選択して、利用してもよい。
【0029】
ポンプ104は、例えば、後述する情報処理装置200の制御に基づいて、貯留容器101から材料噴射ノズル1031に材料を供給する量及び圧力等を調整できるようになっていてもよい。一例として、ポンプ104は、ノズル部103(例えば、材料噴射ノズル1031等)から噴射される材料の圧力が0.1MPa~2MPaの範囲となるよう吐出圧力を制御してもよい。すなわち、ポンプ104部は、例えば、情報処理装置200の制御に基づいて、材料噴射ノズル1031から材料が噴射される際の噴射圧力が所定圧力範囲内(例えば、0.1MPa~2MPa等)になるように作動量を調整してもよい。なお、上述した一例の圧力範囲は、材料の種類及び形成物等に応じて、変更可能であってもよい。
【0030】
照射部107は、感応材料を含む材料がノズル部103から噴射された場合、噴射後の材料に対して所定波長域の電磁波を照射する。照射部107は、感応材料を感応させる波長の電磁波(例えば、光等)を照射可能なライト等であってもよい。一例として、照射部107は、感応材料が紫外光で感応する場合には、紫外光を照射可能なライト(一例として、重水素ランプ及び紫外光発光ダイオード等)等であってもよい。また一例として、照射部107は、感応材料が熱(赤外線)で感応する場合には、赤外線を照射可能なライト(一例として、赤外線ランプ等)等であってもよい。
【0031】
[情報処理装置200の詳細]
次に、一実施形態に係る情報処理装置200について詳細に説明する。
図3は、一実施形態に係る情報処理装置200について説明するためのブロック図である。
【0032】
情報処理装置200は、例えば、通信部221、記憶部222、表示部223及び制御部210等を備える。通信部221、記憶部222及び表示部223は、出力部の一実施形態であってもよい。制御部210は、例えば、角度変更部211、ポンプ制御部212及び温度制御部213等を備える。制御部210は、例えば、情報処理装置200の演算処理装置等によって構成されてもよい。制御部210(例えば、演算処理装置等)は、例えば、記憶部222等に記憶される各種プログラム等を適宜読み出して実行することにより、各部(例えば、角度変更部211、ポンプ制御部212及び温度制御部213等)の機能を実現してもよい。
【0033】
通信部221は、例えば、情報処理装置200の外部にある装置(外部装置)等との間で種々の情報の送受信が可能な通信インターフェースである。
【0034】
記憶部222は、例えば、種々の情報及びプログラムを記憶してもよい。記憶部222の一例は、メモリ、ソリッドステートドライブ及びハードディスクドライブ等であってもよい。なお、記憶部222は、例えば、クラウド上にある記憶領域及びサーバ等であってもよい。
【0035】
表示部223は、例えば、種々の文字、記号及び画像等を表示することが可能なディスプレイである。
【0036】
角度変更部211は、複数の材料噴射部100それぞれのノズル部103を独立して制御してもよい。なお、角度変更部211は、例えば、通信部221を介して、ノズル部103を制御する制御信号をそのノズル部103に出力してもよい。
一例として、角度変更部211は、2つの材料噴射部100が有る場合、一方の材料噴射部100に有る第1ノズル部103aと、他方の材料噴射部100にある第2ノズル部103bとを互いに独立して制御する。この場合、角度変更部211は、例えば、第1ノズル部103aから噴射される材料の噴射方向(噴射角度)と、第2ノズル部103bから噴射される材料の噴射方向(噴射角度)とを互いに独立して変更可能であってもよい。すなわち、角度変更部211は、例えば、複数の材料噴射部100のうち、第1材料噴射部100aに含まれる第1ノズル部103aと、第1噴射部とは異なる第2材料噴射部100bに含まれる第2ノズル部103bとのそれぞれの材料の噴射角度を互いに独立して変更可能とする。
【0037】
この場合、角度変更部211は、例えば、第1ノズル部103aが配される第1架台1034と、第2ノズル部103bが配される第2架台1034とを互いに独立して制御することにより、第1ノズル部103aから噴射される材料の噴射方向と、第2ノズル部103bから噴射される材料の噴射方向とを変更可能であってもよい。
【0038】
角度変更部211は、例えば、第1ノズル部103aから噴射される材料の粘度、密度、噴射量及び噴射圧力等と、第2ノズル部103bから噴射される材料の粘度、密度、噴射量及び噴射圧力等とに応じて、複数の材料を適切に混合して形成物を形成できるように、第1架台1034及び第2架台1034を制御してもよい。すなわち、角度変更部211は、例えば、複数の材料を適切に混合できるように、第1ノズル部103aによる材料の噴射方向と、第2ノズル部103bによる材料の噴射方向とをそれぞれ上下左右方向に変更可能としてもよい。
【0039】
ここで、上述した場合では、第1ノズル部103a(第1材料噴射部100a)及び第2ノズル部103b(第2材料噴射部100b)の2つの材料噴射部100が有る例について説明したが、その一例に限定されることはなく、3つ以上の材料噴射部100(ノズル部103)が有ってもよい。
【0040】
なお、複数の材料それぞれの種類と、それらの材料の噴射量及び噴射圧力と、材料の温度と、複数の材料それぞれの噴射方向とに応じて、複数の材料を適切に混合して形成物を生成できるか等の実験を予め行ってもよい。この場合、制御部210等によって、その実験を行った結果等に基づいて、複数の材料を適切に混合できる場合の、材料の種類と、材料の噴射量(量)及び噴射圧力(圧力)(例えば、後述する吐出条件等)と、材料の温度(後述する加熱温度等)と、材料の噴射方向(噴射角度)とを対応付けた対応情報を記憶部222に記憶させてもよい。
【0041】
角度変更部211は、例えば、情報処理装置200の入力部(図示せず)等を介して材料の種類と吐出条件が入力されると、記憶部222に記憶される対応情報を参照して、材料の噴射方向(噴射角度)を取得してもよい。角度変更部211は、例えば、取得した材料の噴射方向(噴射角度)となるようにノズル部103(架台1034)の向きを制御してもよい。ここで、入力部は、例えば、キーボード及びマウス等であってもよい。
【0042】
ポンプ制御部212は、ノズル部103から材料が適切に噴射されるように、貯留容器101からノズル部103に供給する材料の吐出条件を変更可能にしてポンプ104を制御してもよい。換言すると、ポンプ制御部212は、貯留容器101からノズル部103に向かう材料の吐出条件を変更可能としてポンプ104を制御する。なお、ポンプ制御部212は、例えば、通信部221を介して、ポンプ104を制御する制御信号をそのポンプ104に出力してもよい。
ここで一例として、ポンプ制御部212は、入力部によって入力された吐出条件に基づいて、ポンプ104を制御してもよい。この場合、ポンプ制御部212は、吐出条件に基づいて材料を貯留容器101からノズル部103に供給するよう、ポンプ104から吐出する材料の吐出量及び吐出圧力を制御してもよい。材料の吐出条件は、例えば、材料の吐出量(供給量)及び吐出圧力(供給圧力)等の条件であってもよい。材料の吐出条件と、材料噴射ノズル1031に供給されるエアの供給量及び供給圧力とは、予め対応付けられてもよい。この場合の対応付けは、上述した対応情報に記録されていてもよい。ポンプ制御部212は、例えば、対応情報を参照し、入力された吐出条件に応じた気体の材料噴射ノズル1031への流量及び圧力となるよう、気体の流量調整装置を制御してもよい。
【0043】
温度制御部213は、温度調整部102の加熱温度を制御する。なお、温度制御部213は、例えば、通信部221を介して、温度調整部102を制御する制御信号をその温度調整部102に出力してもよい。ここで一例として、ポンプ制御部212は、入力部によって入力された加熱・冷却条件(温度条件)に基づいて、温度調整部102を制御してもよい。温度条件は、例えば、所定の温度及び所定の温度範囲等を始めとする、材料を加熱・冷却する温度の条件であってもよい。温度条件の一例は、0℃~45℃の温度範囲等であってもよい。
温度制御部213は、貯留容器101内の材料の温度が0℃~45℃の範囲となるよう、温度調整部102の加熱温度を制御してもよい。又は、温度制御部213は、ノズル部103から噴射される材料の温度が0℃~45℃の範囲となるよう、温度調整部102の加熱温度を制御してもよい。なお、貯留容器101からノズル部103までの材料供給路105の距離が相対的に短い場合、材料の温度の低下は考慮しなくともよい場合がある。したがって、温度制御部213は、例えば、貯留容器101内の材料の温度が0℃~45℃の範囲になるよう温度調整部102を制御すれば、ノズル部103から噴射される材料の温度を0℃~45℃の範囲にすることができる場合がある。
【0044】
また、照射制御部(図示せず)等の制御部210は、照射部107を制御してもよい。なお、照射制御部は、例えば、通信部221を介して、照射部107を制御する制御信号を照射部107に出力してもよい。
照射制御部は、例えば、ノズル部103から感応材料を含む材料を噴射する場合、照射部107から電磁波を放射するよう制御してもよい。照射部107は、ノズル部103から噴射された後の材料に対して所定波長域の電磁波を照射する。所定波長域の一例は、紫外光域及び赤外光域(一例として遠赤外線域等)等を始めとする種々の波長域であってもよい。
【0045】
制御部210は、例えば、角度変更部211、ポンプ制御部212、温度制御部213及び照射制御部それぞれの制御の内容をログ(ログ情報)として記憶するよう記憶部222を制御してもよい。
また、制御部210は、例えば、角度変更部211、ポンプ制御部212、温度制御部213及び照射制御部それぞれの制御の内容を表示するよう表示部223を制御してもよい。
【0046】
[材料噴射方法]
次に、一実施形態に係る材料噴射方法について説明する。
図4は、一実施形態に係る材料噴射方法について説明するためのフローチャートである。
【0047】
本開示の材料噴射方法では、情報処理装置200(コンピュータ)が、材料噴射部100を制御する方法について説明する。なお、情報処理装置200は、複数の材料噴射部100それぞれを独立して制御してもよい。
【0048】
ステップST101において、角度変更部211は、例えば、複数の材料噴射部100それぞれに配されるノズル部103の角度(材料の噴射角度)を変更する。一例として、角度変更部211は、2つの材料噴射部100(第1材料噴射部100a及び第2材料噴射部100b)が有る場合、第1材料噴射部100aに含まれる第1ノズル部103aと、第1噴射部とは異なる第2材料噴射部100bに含まれる第2ノズル部103bとのそれぞれの材料の噴射角度を互いに独立して変更可能としてもよい。
【0049】
ステップST102において、ポンプ制御部212は、貯留容器101からノズル部103に向かう材料の吐出条件を変更可能としてポンプ104を制御する。材料の吐出条件は、例えば、材料の吐出量(供給量)及び吐出圧力(供給圧力)等の条件であってもよい。
【0050】
ステップST103において、温度制御部213は、温度調整部102の加熱・冷却の温度を制御する。この場合、温度制御部213は、例えば、ノズル部103から噴射される材料の温度が0℃~45℃の範囲となるよう、温度調整部102の加熱・冷却の温度を制御してもよい。「ノズル部103から噴射される材料の温度が0℃~45℃の範囲となるよう、温度調整部102の温度を制御する」ことには、例えば、「貯留容器101内の材料の温度が0℃~45℃の範囲となるよう、温度調整部102の加熱・冷却の温度を制御する」ことも含まれてもよい。
【0051】
なお、ステップST101~ステップST103それぞれの処理は、この順に行われてもよく、又は、順不同に行われてもよい。
【0052】
[実施例]
次に、本実施形態の一実施例について説明する。
【0053】
(材料貯留系120)
まず、材料貯留系120の一実施例について説明する。
図5は、材料貯留系120の一実施例について説明するための図である。
材料貯留系120は、貯留容器101、ガスリザーバ127及び温度調整部102等を備える。
【0054】
貯留容器101は、内部に貯留される材料を撹拌する撹拌機121を備える。貯留容器101の内部には、バッフル123が配される。また、貯留容器101の外部には、ヒータ125(温度調整部102)が配される。貯留容器101の内部には、センサ124(一例として、温度センサ等)が配される。センサ124及びヒータ125は、情報処理装置200に接続される。情報処理装置200は、例えば、センサ124(例えば、温度センサ)で測定される温度に応じて、ヒータ125を制御してもよい。
貯留容器101には、ガスバルブ126が複数配される。一方のガスバルブ126は、貯留容器101に供給する気体を制御する。他方のガスバルブ126は、貯留容器101から外部に出る気体を制御する。ガスバルブ126は、情報処理装置200によって制御されてもよい。
ガスリザーバ127は、ガスバルブ126に接続され、ガスバルブ126の開閉に応じて、貯留容器101に気体を供給する。ガスリザーバ127は、例えば、可搬型ガスリザーバ等であってもよい。この場合の気体は、例えば、窒素及びアルゴン等の不活性ガス等であってもよく、エア等であってもよい。
材料貯留系120は、貯留容器101の下部に配される供給口を介して、後述する材料吐出系140に材料を供給する。
【0055】
(材料吐出系140)
次に、材料吐出系140の一実施例について説明する。
図6は、材料吐出系140の一実施例について説明するための図である。
材料吐出系140は、材料吐出部141、ポンプ142(104)及びホースヒータ144(温度調整部102)等を備える。
【0056】
材料吐出系140は、例えば、貯留容器101(
図6には図示せず)から出力された材料を、材料吐出部141を介して、後述する材料噴射系160に供給する。
材料吐出部141の基端にはポンプ142(104)が配される。また、材料吐出部141の先端には、ホース143(材料供給路105)が接続される。ホース143は、接手手法を用いることができ、複数のホース143を直列に接続することが可能であってもよい。すなわち、ホース143は、延長(連結)及び短縮(切り離し)が材料噴射装置1の運転中に可能であってもよい。ポンプ142(104)は、情報処理装置200によって制御され、ホース143を介してノズル部103(
図6には図示せず)に向けて材料を吐出する。ポンプ104は、情報処理装置200の制御に基づいて、材料の吐出量及び吐出圧力等を変更可能としてもよい。
ホース143には、ホースヒータ144が配される。ホースヒータ144は、情報処理装置200の制御に基づいて、材料を加熱する。
【0057】
(材料噴射系160)
まず、材料吐出系140の一実施例について説明する。
図7は、材料噴射系160の第1実施例について説明するための図である。
図7(A)は平面の概略図、
図7(B)は側面の概略図である。
図8は、材料噴射系160の第2実施例について説明するための図である。
図9は、材料噴射系160の第3実施例について説明するための図である。
材料噴射系160は、ノズル部103及び照射部107等を備える。
【0058】
(第1例)
図7に示すように、ノズル部103は、材料噴射の有無を制御する吐出バルブ161、材料に混合する気体の量を制御するエアレギュレータ162を備える。吐出バルブ161は、例えば、情報処理装置200によって開閉等が制御される。また、エアレギュレータ162は、例えば、情報処理装置200によって制御される。ノズル1033(材料噴射ノズル1031及びシールドエア噴射ノズル1032)は、情報処理装置200の制御によって吐出バルブ161が「開」の場合、材料吐出系140から供給された材料を噴射する。この場合、材料噴射ノズル1031は、エアレギュレータ162を介して供給された気体を、材料と混合して複数混合流体(一例として、2流体等)として噴射する。
また、ノズル部103には、情報処理装置200によって制御されるノズル駆動モータ163(架台1034)が配される。ノズル駆動モータ163は、例えば、情報処理装置200の制御に基づいて駆動することにより、ノズル1033の角度を変更する。これにより、ノズル1033は、噴射する材料の噴射方向(噴射方向)が変更可能となる。
ノズル部103(ノズル駆動モータ163)は、材料を噴射した微粒子化する際に、混錬エア等の圧力を所定圧力以下にすると共に、噴射方向を所定方向にすることにより、複数の材料について所望の混合比率になるよう精密に制御することができる。
【0059】
(第2例)
図8に示すように、ノズル部103は、第1例の構成に加えてさらに、アプリケーションリザーバ171を備えることにより、運転アイドル状態の場合に、材料の吐出及び供給に関して材料吐出系140及び材料貯留系120とノズル部103とを切り離すようにしてもよい。アプリケーションリザーバ171は、材料貯留系120の代替として材料を貯留・供給を行うものであってもよい。アプリケーションリザーバ171は、材料を貯留可能となっていてもよく、例えば、貯留容器101を交換する場合には材料吐出系140等と切り離した状態で、そのアプリケーションリザーバ171からノズル1033に材料を供給してもよい。アプリケーションリザーバ171には、リークバルブ172が配されてもよく、エアレギュレータ173が配されてもよい。
また、アプリケーションリザーバ171は、例えば、コンプレッサ、エアリザーバ及び気体ボンベ等からエア(気体)の供給を受けてもよい。アプリケーションリザーバ171は、エアを充填することにより、材料の噴射圧力を常に均一にすることができる。すなわち、アプリケーションリザーバ171は、供給されたエア(気体)により内部を加圧して、材料をノズル1033に圧送することが可能になる。
また、ノズル部103は、ノズル1033とアプリケーションリザーバ171との間にダンプバルブ174及びアプリケーションチャンバ175を備えてもよい。ダンプバルブ174は、余剰な材料をアプリケーションリザーバ171に戻し、その後、アプリケーションリザーバ171から材料を再度吐出できるようにしてもよい。これにより、ノズル部103は、材料の流量を精密に制御でき、材料の無駄を無くし、供給効率を向上することができる。また、ノズル部103は、材料の流量を精密に制御するためのダンプバルブ174にポンプ機能を有することにより、噴射していない運転アイドル状態のときに、常に材料を循環させることができ、噴射停止状態から噴射開始状態に移行したときの圧力及び流量の変動を相対的に小さくすることができる。
すなわち、
図8に例示する材料噴射系160は、例えば、材料吐出系140、アプリケーションリザーバ171及びノズル部103(ノズル1033)が、材料の供給に関して直列に接続されたタイプであってもよい。
このタイプの材料噴射系160では、アプリケーションリザーバ171及びノズル部103(ノズル1033)に供給する気体の供給源を可搬型(例えば、相対的に小型のエアリザーバ等)とすることにより、ノズル1033を比較的に自由に動かして相対的に狭い(細かい)領域等に材料を噴射することが可能になる。すなわち、このタイプの材料噴射系160は、例えば、ノズル1033をアプリケーションリザーバ171から切り離して、難所への作業を容易に行うことが可能になり、またノズル1033をロボット等に搭載して相対的に大きなワークへの加工等を行うことが可能になる。
【0060】
(第3例)
図9に示すように、ノズル部103、又は、ノズル部103が配されるマニホールド181に、混錬エアを噴射する混錬エア噴射ノズル182が配されてもよい。
また、ノズル部103付近には、所定波長域の電磁波を照射する照射源(照射部107)が配されてもよい。
【0061】
[変形例]
次に、本実施形態の変形例について説明する。
【0062】
材料噴射装置1は、例えば、カメラ部(図示せず)を備えてもよい。カメラ部は、ノズル部103から噴射された材料(及び、材料によって被膜された部材)等を撮像可能であってもよい。カメラ部は、材料(又は、部材)等を撮像して生成した画像情報を情報処理装置200に出力してもよい。
情報処理装置200(例えば、認識部(図示せず)等の制御部210)は、画像情報を取得する。制御部210は、画像情報に基づく画像を認識し、種々のパターンを取得する。この場合、例えば、パターンマッチング及び学習済モデル等を利用して、種々のパターンを認識してもよい。
【0063】
一例として、制御部210(認識部)は、複数の材料それぞれ毎にノズル部103から噴射される際の材料の噴射パターン(ノズル部103から噴射された材料の様相(噴射形状及び分布等))を、カメラ部で撮像・生成された画像情報を利用して取得してもよい。制御部210(例えば、調整部(図示せず)等)は、材料毎の噴射パターンに基づいて、混合に適切なエア(例えば、混錬エア等)の圧力(エア圧)、及び、材料の噴射角度(噴射方向)等を調整してもよい。この場合、制御部210(認識部)は、例えば、予め記憶した画像パターンを利用してパターンマッチングを行い、画像情報に記録される噴射パターンを取得してもよい。又は、制御部210(認識部)は、例えば、予め複数の噴射パターンを学習して生成した学習済モデルを利用して、画像情報に記録される噴射パターンを取得してもよい。
また、制御部210(調整部)は、複数の噴射パターンと、エア圧及び噴射角度とを対応付けた対応情報を参照し、取得した噴射パターンに応じたエア圧及び噴射角度を取得し、その取得結果に基づいて調整を行ってもよい。
【0064】
この場合の一例として、制御部210は、認識部によって材料の噴射中等において噴射パターンを取得し、調整部によってその噴射パターンに基づいて、予め設定した噴射角度をさらに適切な角度に調整してもよい。
また一例として、制御部210は、上記のように認識部によって噴射パターンを取得し、調整部によってその噴射パターンが、予め定められた噴射パターン(正常範囲の噴射パターン)とは異なる場合(正常範囲にない場合)、材料の混合状態が異常と推定して、材料の噴射を中止し、出力部から警告を出力してもよい。
【0065】
すなわち、上述した変形例(一例)の概要は、例えば、以下のようになっていてもよい。
材料噴射装置1は、複数の材料により1つの形成物を生成することが可能なその複数の材料のうち1つの材料を貯留する貯留容器101と、貯留容器101に配され、材料を加熱する温度調整部102と、貯留容器101に接続され、材料を外部に噴射する材料噴射ノズル1031と、外部に噴射される材料の周囲にシールドエアを噴射するシールドエア噴射ノズル1032とを含むノズル部103と、貯留容器101に貯留される材料をノズル部103に向けて吐出するポンプ104と、を有する材料噴射部100を複数備えてもよい。
さらに、材料噴射装置1は、ノズル部103から噴射された材料を撮像して画像情報を生成するカメラ部と、カメラ部によって生成された画像情報に基づいて、材料の噴射パターンを取得する認識部(制御部210)と、複数の噴射パターンそれぞれと、圧力(エア圧・材料の圧力)及び噴射角度と、正常範囲内又は正常範囲外のラベルとを対応付けた対応情報を参照して、認識部によって認識された噴射パターンが正常範囲内の噴射パターンとなる圧力及び噴射角度を取得し、取得した圧力及び照射角度となるよう調整する調整部(制御部210)と、を備えてもよい。
この場合、調整部(制御部210)は、ポンプ制御部212を備え、取得した圧力となるようポンプ104を調整してもよい。
また、調整部(制御部210)は、角度変更部211を備え、取得した噴射角度となるよう第1ノズル部103a及び第2ノズル部103bそれぞれの材料の噴射角度を調整してもよい。
【0066】
[機能及び回路について]
次に、上述した情報処理装置200の機能及び回路について説明する。
情報処理装置200の各部は、コンピュータの演算処理装置等の機能として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置200の角度変更部211、ポンプ制御部212及び温度制御部213(制御部210)は、コンピュータの演算処理装置等による角度変更機能、ポンプ制御機能及び温度制御機能(制御機能)としてそれぞれ実現されてもよい。
情報処理プログラムは、上述した各機能をコンピュータに実現させることができる。情報処理プログラムは、例えば、メモリ、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ又は光ディスク等の、コンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体等に記録されていてもよい。記録媒体は、例えば、非一時的なコンピュータ可読媒体と言い換えてもよい。
また、上述したように、情報処理装置200の各部は、コンピュータの演算処理装置等で実現されてもよい。その演算処理装置等は、例えば、集積回路等によって構成される。このため、情報処理装置200の各部は、演算処理装置等を構成する回路として実現されてもよい。すなわち、情報処理装置200の角度変更部211、ポンプ制御部212及び温度制御部213(制御部210)は、コンピュータの演算処理装置等を構成する角度変更回路、ポンプ制御回路及び温度制御回路(制御回路)として実現されてもよい。
また、情報処理装置200の通信部221、記憶部222及び表示部223(出力部)は、例えば、演算処理装置等の機能を含む通信機能、記憶機能及び表示機能(出力機能)として実現されてもよい。また、情報処理装置200の通信部221、記憶部222及び表示部223(出力部)は、例えば、集積回路等によって構成されることにより通信回路、記憶回路及び表示回路(出力回路)として実現されてもよい。また、情報処理装置200の通信部221、記憶部222及び表示部223(出力部)は、例えば、複数のデバイスによって構成されることにより通信装置、記憶装置及び表示装置(出力装置)として構成されてもよい。
【0067】
材料噴射装置1は、上述した複数の各部のうち1又は任意の複数を組み合わせることが可能である。
本開示では、「情報」の文言を使用しているが、「情報」の文言は「データ」と言い換えることができ、「データ」の文言は「情報」と言い換えることができる。
【0068】
[本実施形態の態様及び効果]
次に、本実施形態の一態様及び各態様が奏する効果について説明する。なお、以下に記載する各態様は出願時の一例であり、本実施形態は以下に記載する態様に限定されることはない。すなわち、本実施形態は以下に記載する各態様に限定されることはなく、上述した各部を適宜組み合わせて実現されてもよい。また、下位の態様は、それよりも上位の態様のいずれでも引用できる場合がある。
また、以下に記載する効果は一例であり、各態様が奏する効果は以下に記載するものに限定されることはない。また、各態様は、例えば、以下に記載する少なくとも1つの効果を奏してもよい。
【0069】
(態様1)
一態様の材料噴射装置は、複数の材料により1つの形成物を生成することが可能なその複数の材料のうち1つの材料を貯留する貯留容器と、貯留容器に配され、材料の温度を調整する温度調整部と、貯留容器に貯留される材料をノズル部に向けて吐出するポンプと、
ポンプに接続され、材料を外部に噴射する材料噴射ノズルと、外部に噴射される材料の周囲にシールドエアを噴射するシールドエア噴射ノズルとを含むノズル部と、を有する材料噴射部を複数備え、複数の材料噴射部のうち、第1材料噴射部に含まれる第1ノズル部と、第1噴射部とは異なる第2材料噴射部に含まれる第2ノズル部とのそれぞれの材料の噴射角度を互いに独立して変更可能とする角度変更部と、貯留容器からノズル部に向かう材料の吐出条件を変更可能としてポンプを制御するポンプ制御部と、温度調整部の温度を制御する温度制御部と、を備える。
材料噴射装置は、複数の材料それぞれを噴射した後の空間中において混合することができる。
ここで、従来例として、材料を噴射する前に混合する場合に、撹拌機等を使用せずに自然に混合させる際には、材料に加える圧力を相対的に高くし、また材料を加熱する温度を相対的に高くする必要がある。
また、従来、ポリウレタン及びポリウレア等に用いられる塗装設備は、家屋及び橋脚等の防水・防触加工などに広く用いられているが、原材料を高温・高圧にして塗装する必要があり、工業用製品への適用が進んでいなかった。従来の設備では、原材料を50℃~70℃の高温に加熱し、15MPa~35MPaの高温にして、原材料の吹付作業をしていた。しかし、原材料は高温時に劣化するため加工後の品質が低下する恐れがあり、また高圧での吹付作業を行うため吐出量が多くなり材料の無駄が多く、高圧・高吐出のため高精度の加工ができない(加工面の祖度が悪い)という課題があった。また、上述した材料の特徴は、常温にて硬化し、かつ、塗工で加工出来ることから、工業用製品に適用した場合、生産性の向上・製造原価低減の期待が持たれていた。
この点、本実施形態の材料噴射装置は、材料を噴射させた後の空間中において自然に混合させるため、上述した従来例に比べて、材料に加える圧力を相対的に低くでき、材料を加熱する温度も相対的に低くすることができる。すなわち、本実施形態の材料噴射装置は、ポリウレタン及びポリウレア等を始めとする種々の形成物について常温、低圧で加工ができる設備を実現することできる。したがって、材料噴射装置は、作業員等による取扱いを容易にすることができ、装置自体も相対的に簡便なものにすることができる。また、材料噴射装置は、材料の劣化を低減でき、材料の噴射量を従来に比べて少なくできるので材料の無駄を低減でき、従来に比べて高精度の加工ができる。
また、材料噴射装置は、ノズル部から噴射される材料の噴射方向(噴射角度)を変更できるため、材料を適切に混合することができ、所望の形成物を生成することができる。
【0070】
(態様2)
一態様の材料噴射装置では、材料噴射ノズルは、材料と当該材料に混合させる気体とのそれぞれの量及び圧力が調整された流体を混合させた、材料の粒子径を相対的に小さくする、混合流体を噴射することとしてもよい。
材料噴射装置は、材料と気体とを混合させた複数流体(一例として、2流体等)を噴射する。この場合、材料噴射装置は、各流体(材料及び気体)の量及び圧力を、材料及び環境に応じて変化させることにより、噴射される材料の粒子径を相対的に小さくすることができる。また、材料噴射装置は、複数の材料を適切に混合することができる。
【0071】
(態様3)
一態様の材料噴射装置では、ポンプは、材料毎に独立して設置され、0℃~45℃の相対的に高粘度状態の材料を前記ノズル部に、定量かつ定圧、低圧で吐出することが可能であることとしてもよい。
これにより、材料噴射装置は、相対的に高粘度の材料(例えば、材料流体等)であっても、ノズル部に向けて供給することができる。
【0072】
(態様4)
一態様の材料噴射装置では、温度制御部は、ノズル部から噴射される材料の温度が0℃~45℃の範囲となるよう、温度調整部の温度を制御することとしてもよい。
これにより、材料噴射装置は、材料をノズル部から適切に噴射させることができる。
【0073】
(態様5)
一態様の材料噴射装置では、ポンプは、ノズル部から噴射される材料の圧力が0.1MPa~2MPaの範囲となるよう吐出圧力を制御することとしてもよい。
これにより、材料噴射装置は、材料をノズル部から適切に噴射させることができる。
【0074】
(態様6)
一態様の材料噴射装置は、複数の材料噴射部それぞれのノズル部から噴射される材料に対して、混錬エアを噴射することが可能な混錬エア噴射ノズルを備えることとしてもよい。
これにより、材料噴射装置は、混錬エアによって材料を撹拌することができ、それに応じて複数の材料を適切に混合することができる。
【0075】
(態様7)
一態様の材料噴射装置は、材料噴射部にエアを供給することが可能な、可搬型エアリザーバを備えることとしてもよい。
これにより、材料噴射装置は、可搬型エアリザーバによって移動が容易になり、作業員の取扱いを容易にすることができる。
【0076】
(態様8)
一態様の材料噴射装置は、感応材料を含む材料が前記ノズル部から噴射された場合、噴射後の材料に対して所定波長域の電磁波を照射する照射部を備える。
これにより、材料噴射装置は、形成物によっては感応材料が必要になる場合でも、適切に形成物を生成することができる。
【0077】
(態様9)
一態様の材料噴射方法では、複数の材料により1つの形成物を生成することが可能なその複数の材料のうち1つの材料を貯留する貯留容器と、貯留容器に配され、材料の温度を調整する温度調整部と、貯留容器に貯留される材料を前記ノズル部に向けて吐出するポンプと、ポンプに接続され、材料を外部に噴射する材料噴射ノズルと、外部に噴射される材料の周囲にシールドエアを噴射するシールドエア噴射ノズルとを含むノズル部と、を有する材料噴射部を複数備え、複数の材料噴射部をそれぞれ制御することが可能なコンピュータが、複数の材料噴射部のうち、第1材料噴射部に含まれる第1ノズル部と、第1噴射部とは異なる第2材料噴射部に含まれる第2ノズル部とのそれぞれの材料の噴射角度を互いに独立して変更可能とする角度変更ステップと、貯留容器からノズル部に向かう材料の吐出条件を変更可能としてポンプを制御するポンプ制御ステップと、温度調整部の温度を制御する温度制御ステップと、を実行する。
これにより、材料噴射方法は、上述した一態様の材料噴射装置と同様の効果を奏することができる。
【0078】
(態様10)
一態様の材料噴射プログラムは、複数の材料により1つの形成物を生成することが可能なその複数の材料のうち1つの材料を貯留する貯留容器と、貯留容器に配され、材料の温度を調整する温度調整部と、貯留容器に貯留される材料をノズル部に向けて吐出するポンプと、ポンプに接続され、材料を外部に噴射する材料噴射ノズルと、外部に噴射される材料の周囲にシールドエアを噴射するシールドエア噴射ノズルとを含むノズル部と、を有する材料噴射部を複数備え、複数の材料噴射部をそれぞれ制御することが可能なコンピュータに、複数の材料噴射部のうち、第1材料噴射部に含まれる第1ノズル部と、第1噴射部とは異なる第2材料噴射部に含まれる第2ノズル部とのそれぞれの材料の噴射角度を互いに独立して変更可能とする角度変更機能と、貯留容器からノズル部に向かう材料の吐出条件を変更可能としてポンプを制御するポンプ制御機能と、温度調整部の温度を制御する温度制御機能と、を実現させる。
これにより、材料噴射プログラムは、上述した一態様の材料噴射装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…材料噴射装置、100…材料噴射部、101…貯留容器、102…温度調整部、103…ノズル部、1031…材料噴射ノズル、1032…シールドエア噴射ノズル、104…ポンプ、105…材料供給路、106…気体供給部、107…照射部、120…材料貯留系、140…材料吐出系、160…材料噴射系、182…混錬エア噴射ノズル、200…情報処理装置、210…制御部、211…角度変更部、212…ポンプ制御部、213…温度制御部、221…通信部、222…記憶部、223…表示部