(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008008
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/00 20240101AFI20240112BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
H05K1/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109483
(22)【出願日】2022-07-07
(71)【出願人】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】柳瀬 拡
【テーマコード(参考)】
3D344
5E338
【Fターム(参考)】
3D344AA03
3D344AB01
3D344AD01
5E338AA05
5E338AA16
5E338BB12
5E338BB19
5E338BB75
5E338BB80
5E338CC04
5E338CD01
5E338EE60
(57)【要約】
【課題】 電子部品をケース部材に配置する際に、部品点数を少なくすることができる表示装置を提供する。
【解決手段】 表示装置100は、絶縁性のケース部材3と、前記ケース部材3に配置される電子部品4と、前記ケース部材3の後方に配置される回路基板5と、を有し、前記ケース部材3に直接形成される導電性の配線34,341,342,343により前記電子部品4と前記回路基板5とを電気的に導通し、前記配線34,341,342,343は、前記ケース部材3の前記電子部品4の配置される第1の面3fと、前記回路基板5と当接する第2の面3rと、の2つの面に跨るように形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性のケース部材と、
前記ケース部材に配置される電子部品と、
前記ケース部材の後方に配置される回路基板と、を有し、
前記ケース部材に直接形成される導電性の配線により前記電子部品と前記回路基板とを電気的に導通することを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記配線は、前記ケース部材の前記電子部品の配置される第1の面と、前記回路基板と当接する第2の面と、の2つの面に跨るように形成されることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記電子部品と前記回路基板とは前記ケース部材を介して対向配置され、
前記配線は、前記第1の面と前記第2の面と前記ケース部材の前記第1の面と前記第2の面との間の第3の面と、の3つの面に跨るように形成されることを特徴とする請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の面に対向する位置に配置される透過部材を有し、
前記ケース部材は前記第1の面の前記透過部材側に開口する凹部を有し、
前記電子部品は前記凹部に配置されることを特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記ケース部材は弾性部を有し、
前記配線は前記弾性部に形成され前記回路基板に当接することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記ケース部材は前記配線が前記回路基板と当接する近辺に、前記ケース部材と前記回路基板とを固定する固定部を有することを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置に関し、例えば、車両に関連する情報を出力する表示装置として好適である。
【背景技術】
【0002】
従来から、特許文献1に示すように、センサ窓を有するパネルと、パネル背後の中ケースと、中ケースの背後のメイン回路基板と、を有し、中ケースのパネル側に外光センサとセンサ用回路基板とからなる外光センサユニットを配置し、外光センサユニットとメイン回路基板とを中ケースの切り込みを通るコードで接続し、両者を電気的に接続する。このように形成することで、外光センサをセンサ窓に近接配置させ、外光の照度を精度よく検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、センサ用回路基板やコード及びセンサ用回路基板を中ケースに固定するためのネジ等、部品点数が増えるといった問題点があった。
【0005】
そこで、本開示はこの様な点に鑑みなされたもので、電子部品をケース部材に配置する際に、部品点数を少なくすることができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の表示装置100は、絶縁性のケース部材3と、前記ケース部材3に配置される電子部品4と、前記ケース部材3の後方に配置される回路基板5と、を有し、前記ケース部材3に直接形成される導電性の配線34,341,342,343により前記電子部品4と前記回路基板5とを電気的に導通することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1の実施形態に係る表示装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示は、車両用の表示装置に関し、例えば、自動車やオートバイ、あるいは農業機械や建設機械を備えた移動体に搭載される車両用の表示装置に適用することができる。
【0009】
本開示の実施形態について
図1乃至6を参照して説明するが、本発明はこれら実施形態に限定されるものではなく、本開示を逸脱することなく種々の変更が可能である。
【0010】
(第1の実施形態)
本開示の第1の実施形態に係る表示装置100を、
図1乃至3を参照して説明する。表示装置100は、車両(例えば、自動車)に搭載され、所定の計測量(車両速度など)を表示する計器装置として構成される。
【0011】
尚、以下では、表示装置100の構成の理解を容易にするために、各部材に対して、表示装置100から車両運転席に着座したユーザを見る方向(
図2の表示パネル1側)を「前(正面)」、その反対側(
図2の回路基板5側)を「後」とする。
【0012】
図1及び
図2に示すように、表示装置100は、表示パネル(透過部材)1と、表示パネル1の後面1r側に配置される表示器2及び中ケース(ケース部材)3と、中ケース3に配置される外光センサ(電子部品)4と、中ケース3の後面である第2の面3r側に配置される回路基板5と、表示パネル1の後面1rの側で表示器2,中ケース3,回路基板5を収容する外ケース6と、を少なくとも備える。
【0013】
表示パネル1は、例えば透明又は半透明の透光性の合成樹脂(例えば、アクリル樹脂又はポリカーボネート樹脂等)からなる薄板状の板部材11を母材とする。表示パネル1は、後面1r側に遮光層12を有する。
【0014】
遮光層12は、遮光性の黒色のインキが板部材11の後面1rに印刷形成されたものからなる。遮光層12は、遮光部1aと、第1の透光部1bと、第2の透光部1cと、インジケータ意匠部1dと、を有する。
【0015】
遮光部1aは、遮光層12により遮光される領域であり、表示パネル1の外縁に所定の幅で形成される。第1の透光部1bは、遮光部1aの内側に形成され、遮光層12が矩形に抜き印刷されて板部材11の透光性が保持される。第2の透光部1cは、遮光部1aに形成され、遮光層12が円形に抜き印刷されて形成される。
【0016】
インジケータ意匠部1dは、遮光部1aに複数個が形成され、遮光層12が様々な意匠で抜き印刷されて形成される。様々な意匠とは、運転者のウインカー操作に伴って点灯するターンインジケータや、様々な車両用の作動灯や警告灯の意匠である。
【0017】
表示器2は、金属筐体の内部に前側から液晶パネル、光学部材、導光部材、光源等を含む表示ユニットから構成される。液晶パネルは、例えばTFT(Thin Film Transistor)型の液晶パネルからなり、デジタル画像によって各種車両情報の画像を表示する。表示器2は、後面側に円筒形状に突出したボス部22を複数個有し、このボス部22に回路基板5から挿入された固定部材であるネジ81が螺合され、回路基板5に固定される。
【0018】
表示器2は、前から見た外形形状が第1の透光部1bと相似形状の矩形を成し、表示パネル1の後面1r側に第1の透光部1bと対向するように配置される。表示器2は、第1の透光部1bから表示面21が運転者に視認される。表示面21は、例えば、車速、エンジン回転数、積算走行距離、航続可能距離、平均燃費、周囲の他車両の状況等を表示する。表示器2の表示状態(表示内容)は、図示しない制御部によって制御される。
【0019】
中ケース3は、白色の絶縁性の合成樹脂(例えば、ポリプロピレン)からなり、表示パネル1と回路基板5との間に配置される。中ケース3の前面である第1の面3fは表示パネル1に当接し、中ケース3の後面である第2の面3rは回路基板5に当接する。中ケース3は、
図3に示すように、収容部31と、凹部32と、照明部33と、ケース配線部(配線部)34と、固定部35と、を有する。
【0020】
収容部31は、第1の透光部1bに対向する位置に形成され、第1の面3fと第2の面3rを挿通するように筒状に形成され、表示器2を収容する。凹部32は、第2の透光部1cに対向する位置及び第1の面3fに形成され、表示パネル1側に開口する底面32aと側壁32bとからなる凹状に形成される。照明部33は、インジケータ意匠部1dに対向する位置に形成され、第1の面3fと第2の面3rを挿通するように筒状に形成され、光源7を収容する。
【0021】
光源7は、適宜色を発するトップビュー型のLED(Light Emitting Diode:チップ型発光ダイオード)からなり、照明部33内に配置される。光源7の発する光は、照明部33を通りインジケータ意匠部1dを透過し視認者に視認される。
【0022】
外光センサ4は、外光センサ4、例えば、フォトダイオードであり、外光の照度を検出し電気信号を発する。外光センサ4が発した信号は、回路基板5に送信される。外光センサ4は、凹部32に配置され、接着部材(接着剤や両面テープ等)で底面32aに固定される。外光センサ4は、回路基板5に対し対向配置される。凹部32は、外光センサ4を表示パネル1に近接配置すると共に、第2の透光部1c以外からの光の入射を防止する。
【0023】
回路基板5は、例えばFR-4(Flame Retardant-4)等の平板状のガラスエポキシ系基材に配線パターン51を施した硬質配線基板からなり、中ケース3の後方に配置され、表示器2と中ケース3とを支持する。回路基板5は、光源7を実装し、表示器2,外光センサ4,光源7を駆動・制御するための指令信号を出力する制御部,抵抗,コンデンサ等の各種回路部品(図示せず)が前記配線パターンに導通接続されている。
【0024】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有し、例えば、ROMに書き込まれたプログラムに従って所定の演算処理を実行する。制御部は、車両のECU(Electronic Control Unit)から各種車両情報を取得する。制御部は、取得した情報に基づき、表示パネル10を制御したり、光源7を点灯させたりする。制御部は、外光センサ4から取得した外光に関する情報に基づいて、表示器2の明るさを制御する。
【0025】
外ケース6は、黒色の光吸収性及び熱可塑性の合成樹脂(例えば、ABS樹脂)からなり、前面側が開口した直方体の箱形状に形成される。外ケース6は、前面側が表示パネル1に接着部材(接着剤や両面テープ等)を介して当接し、表示パネル1との内部に、表示器2,中ケース3,回路基板5を収容する。
【0026】
ケース配線部34は、回路基板5の配線パターン51と同種の導電性の銅箔等を中ケース3の表面に直接形成した配線パターンである。ケース配線部34は、めっき工法や、フィルム状のパターンをインサート成形で形成する工法等で形成される。ケース配線部34は、
図2と
図3に示すように、外光センサ4の端子部と回路基板5の配線パターン51とが電気的に導通するように、3次元形状の樹脂部品(中ケース3)の表面に形成される。
【0027】
具体的には、ケース配線部34は、底面32aにおいて、外光センサ4の端子部と当接するように外光センサ4と底面32aとの間を含むように図中Y方向に延びるように形成され、その後、図中X方向に延びるように形成される。ケース配線部34は、その後、側壁32bにおいて図中Z方向に延びるように形成され、その後、第1の面3fにおいてX方向に延びるように形成される。
【0028】
ケース配線部34は、その後、中ケース3の側面である第3の面3sにおいてZ方向に延びるように形成され、その後、第2の面3rにおいてY方向に延びるように形成され、第2の面3rで配線パターン51に当接する。ケース配線部34は、外光センサ4の2個の端子に対応するように2本有する。このように、ケース配線部34は、複数の面に跨るように形成される。
【0029】
尚、図示しないが、中ケース3は、ケース配線部34の形成される底面32aと側壁32bの成す角部371と、側壁32bと第1の面3fの成す角部372と、第1の面3fと第3の面3sの成す角部373と、第3の面3sと第2の面3rの成す角部374と、が曲面形状(円弧形状)に形成され、ケース配線部34の製造性を向上させると共に、ケース配線部34の断線を防止している。
【0030】
固定部35は、ケース配線部34と配線パターン51が当接する近辺の第2の面3rに形成される。中ケース3は、回路基板5から挿入された固定部材であるネジ82が固定部35に螺合されて、回路基板5に固定される。
【0031】
このように形成されることにより、外光センサ4と回路基板5とを通電させるための部品点数を削減しながら、外光センサ4を第2の透光部1cに近接配置させ、外光の照度を精度よく検出することができる。
【0032】
(第2の実施形態)
本開示に係る表示装置200の第2の実施形態を
図4に基づいて説明する。前述した第1の実施形態と同一部分、均等部箇所については同一符号を付して説明する。
【0033】
本実施形態では、中ケース3は、弾性部36を有する。弾性部36は、第3の面3sに形成され、
図4の断面と直交する方向の両側に第2の面3r側に開口するスリットが形成され、弾性部36の前側が固定端36a、後ろ側が自由端36bとなる片持ち梁状に形成される。自由端36bは、先端が回路基板5と平行になるように折れ曲がって形成される。
【0034】
弾性部36は、固定端36aと自由端36bの間にくの字に折れ曲がった屈曲部36cを有する。弾性部36は、回路基板5側に軽い圧力を負荷した状態で当接する。
【0035】
ケース配線部341は、外光センサ4の端子部と配線パターン51とが電気的に導通するように、中ケース3の表面に形成される。ケース配線部341は、ケース配線部34と同様に凹部32と第3の面3sに形成され、その後、弾性部36に形成される。ケース配線部341は、第3の面3sにおいて固定端36aと屈曲部36cと自由端36bを通るように形成される。ケース配線部341は、屈曲部36cの配線パターン51と対向する面まで形成され、配線パターン51と当接する
【0036】
このように形成されることにより、車両の振動により表示装置200が振動した場合でも、ケース配線部341と配線パターン51との通電(外光センサ4と回路基板5との通電)が維持され、外光の照度を精度よく検出することができる。
【0037】
(第3の実施形態)
本開示に係る表示装置300の第3の実施形態を
図5に基づいて説明する。前述した第1の実施形態と同一部分、均等部箇所については同一符号を付して説明する。
【0038】
第1の実施形態では、凹部32は、第1の面3fに形成されていたが、本実施形態では、凹部38は、第3の面3sに形成される。外光センサ4は、凹部38の底面38aに配置される。
【0039】
ケース配線部342は、外光センサ4の端子部と配線パターン51とが電気的に導通するように、中ケース3の表面に形成される。
【0040】
外ケース6は、外光センサ4と対向する位置に透光部61を有する。透光部61は、透光性の合成樹脂(例えば、アクリル)からなり、外ケース6に一体形成される。
【0041】
このように形成されることにより、外光センサ4を中ケース3の回路基板5と直交する面に配置される場合でも、外光センサ4と回路基板5とを通電させるための部品点数を削減することができる。
【0042】
(第4の実施形態)
本開示に係る表示装置400の第4の実施形態を
図6に基づいて説明する。前述した第1の実施形態と同一部分、均等部箇所については同一符号を付して説明する。
【0043】
本実施形態では、中ケース3は、離間部3gを有する。離間部3gは、回路基板5から所定高さ離れた位置に形成される回路基板5に対向する面である。離間部3gは、配線パターン51と対向する位置に設けられる。
【0044】
ケース配線部343は、中ケース3の表面に形成される。ケース配線部343は、ケース配線部34と同様に凹部32と第3の面3sに形成され、その後、離間部3gに形成される。
【0045】
回路基板5は、Z形状に屈曲して弾性を有する導電性の端子9を実装する。端子9は、離間部3gと対向する位置に配置される端子9は、離間部3g側に軽い圧力を負荷した状態でケース配線部343に当接する。
【0046】
第1の実施形態では、中ケース3はネジ82により回路基板5に固定されていたが、本実施形態では、中ケース3はフック部(固定部)39を有し、このフック部39が回路基板5を挿通し係止されることで回路基板5に固定される。フック部39は、ケース配線部343と端子9が当接する近辺に形成される。
【0047】
このように形成されることにより、車両の振動により表示装置200が振動した場合でも、ケース配線部343と配線パターン51との通電(外光センサ4と回路基板5との通電)が維持され、外光の照度を精度よく検出することができる。
【0048】
尚、本発明は前述した本実施形態に限定されるものでなく、本開示の要旨の範囲において、種々の変形が可能である。
【0049】
例えば、前述の実施形態において外光センサ4は、LEDからなる光源(電子部品)であって、第2の透光部1cや透光部61をイモビライザー(盗難防止装置)が作動していることを運転者に報知するためのセキュリティーインジケータ(盗難防止装置作動灯)としてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 表示パネル(透過部材)
1a 遮光部
1b 第1の透光部
1c 第2の透光部
1d インジケータ意匠部
1r 後面
11 板部材
12 遮光層
2 表示器
21 表示面
22 ボス部
3 中ケース(ケース部材)
3f 第1の面
3g 離間部
3r 第2の面
3s 第3の面
31 収容部
32 凹部
32a 底面
32b 側壁
33 照明部
34 ケース配線部
341 ケース配線部
342 ケース配線部
343 ケース配線部
35 固定部
36 弾性部
36a 固定端
36b 自由端
36c 屈曲部
371 角部
372 角部
373 角部
374 角部
38 凹部
38a 底面
39 フック部(固定部)
4 外光センサ(電子部品)
5 回路基板
51 配線パターン
6 外ケース
61 透光部
7 光源
81 ネジ
82 ネジ
9 端子