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特開2024-80085部品内蔵型回路基板および部品内蔵型回路基板の製造方法
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  • 特開-部品内蔵型回路基板および部品内蔵型回路基板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080085
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】部品内蔵型回路基板および部品内蔵型回路基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/12 20060101AFI20240606BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240606BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H01L23/12 J
H05K3/46 Q
H05K3/46 N
H05K3/46 U
H05K1/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192977
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】小泉 雄大
【テーマコード(参考)】
5E316
5E338
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC02
5E316CC04
5E316CC06
5E316CC08
5E316CC32
5E316DD02
5E316EE31
5E316HH17
5E316JJ12
5E316JJ13
5E338AA03
5E338AA16
5E338AA18
5E338BB03
5E338BB05
5E338BB63
5E338BB75
5E338CC08
5E338EE02
(57)【要約】
【課題】部品内蔵型回路基板の熱抵抗を低減し、放熱性を改善する。
【解決手段】部品内蔵型回路基板は、第1の導電配線層と、第2の導電配線層と、第1の導電配線層と第2の導電配線層との間に挟まれて積層された第1の絶縁層と、第1の絶縁層に内蔵され、第1の導電配線層および第2の導電配線層と電気的に接続された電子部品と、電子部品で生じた熱を放熱する放熱部を有する放熱層と、第2の導電配線層と放熱層との間に挟まれて積層された第2の絶縁層と、を備える。第2の絶縁層の内部には、冷媒が封入されて閉じた冷媒流路が形成されている。冷媒流路は、電子部品と放熱層とを熱的に接続する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電配線層と、
第2の導電配線層と、
前記第1の導電配線層と前記第2の導電配線層との間に挟まれて積層された第1の絶縁層と、
前記第1の絶縁層に内蔵され、前記第1の導電配線層および前記第2の導電配線層と電気的に接続された電子部品と、
前記電子部品で生じた熱を放熱する放熱部を有する放熱層と、
前記第2の導電配線層と前記放熱層との間に挟まれて積層された第2の絶縁層と、を備え、
前記第2の絶縁層の内部には、冷媒が封入されて閉じた冷媒流路が形成されており、
前記冷媒流路は、前記電子部品と前記放熱層とを熱的に接続することを特徴とする部品内蔵型回路基板。
【請求項2】
前記放熱層は導体であることを特徴とする請求項1に記載の部品内蔵型回路基板。
【請求項3】
前記放熱部は、厚み方向から見て、前記電子部品と重ならない位置に設けられることを特徴とする請求項1または2に記載の部品内蔵型回路基板。
【請求項4】
前記冷媒流路は、前記放熱部が設けられた位置から前記電子部品が内蔵された位置に向けて下向きに傾くように形成されていることを特徴とする請求項3に記載の部品内蔵型回路基板。
【請求項5】
前記第2の導電配線層および前記放熱層の少なくとも一方における冷媒流路を構成する部分は、冷媒流路を構成しない部分より表面の粗さが大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の部品内蔵型回路基板。
【請求項6】
前記表面の粗さは、前記冷媒が流れる方向に沿って設けられた溝であることを特徴とする請求項5に記載の部品内蔵型回路基板。
【請求項7】
部品内蔵型回路基板を製造する方法であって、
第1の導電配線層を形成するステップと、
第2の導電配線層を形成するステップと、
第1の絶縁層を前記第1の導電配線層と前記第2の導電配線層との間に挟んで積層するステップと、
電子部品を前記第1の導電配線層および前記第2の導電配線層と電気的に接続して、前記第1の絶縁層に内蔵するステップと、
前記電子部品で生じた熱を放熱する放熱部を有する放熱層を形成するステップと、
内部に前記電子部品と前記放熱層とを熱的に接続する冷媒流路が形成された第2の絶縁層を、前記第2の導電配線層と前記放熱層との間に挟んで積層するステップと、
前記冷媒流路内に冷媒を封入するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
前記第2の導電配線層および前記放熱層の少なくとも一方における冷媒流路を構成する部分が、冷媒流路を構成しない部分より表面の粗さが大きくなるように加工するステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品内蔵型回路基板および部品内蔵型回路基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器では、電子部品をプリント基板の表面に実装する技術が一般に用いられてきた。これに対し、電子部品をプリント基板の内部に実装する部品内蔵型回路基板を採用することにより、電子回路の高密度化が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-177552
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部品内蔵型回路基板は、高密度実装による小型化のメリットがある反面、内蔵した部品の放熱性が悪いという課題がある。
【0005】
特許文献1には、サーマルビアを用いた放熱構造が開示されている。しかしこの放熱構造には、発熱源となる内蔵部品から放熱空間までの熱抵抗(熱の伝わりにくさ)が存在するため、部品温度が上昇して信頼性低下につながるという問題がある。
【0006】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品内蔵型回路基板の熱抵抗を低減し、放熱性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の部品内蔵型回路基板は、第1の導電配線層と、第2の導電配線層と、第1の導電配線層と第2の導電配線層との間に挟まれた第1の絶縁層と、第1の絶縁層に内蔵され、第1の導電配線層および第2の導電配線層と電気的に接続された電子部品と、電子部品で生じた熱を放熱する放熱部を有する放熱層と、第2の導電配線層と放熱層との間に挟まれた第2の絶縁層と、を備える。第2の絶縁層の内部には、冷媒が封入されて閉じた冷媒流路が形成されており、冷媒流路は、電子部品と放熱層とを熱的に接続する。
【0008】
ある実施の形態の部品内蔵型回路基板では、放熱層は導体であってもよい。
【0009】
ある実施の形態の部品内蔵型回路基板では、放熱部は、厚み方向から見て、電子部品と重ならない位置に設けられてもよい。
【0010】
ある実施の形態の部品内蔵型回路基板では、冷媒流路は、放熱部が設けられた位置から電子部品が内蔵された位置に向けて下向きに傾くように形成されてもよい。
【0011】
ある実施の形態の部品内蔵型回路基板では、第2の導電配線層および放熱層の少なくとも一方における冷媒流路を構成する部分は、冷媒流路を構成しない部分より表面の粗さが大きい。
【0012】
表面の粗さは、冷媒が流れる方向に沿って設けられた溝であってもよい。
【0013】
本発明の別の態様は、部品内蔵型回路基板を製造する方法である。この方法は、第1の導電配線層を形成するステップと、第2の導電配線層を形成するステップと、第1の導電配線層と第2の導電配線層との間に挟まれる第1の絶縁層を形成するステップと、電子部品を第1の導電配線層および第2の導電配線層と電気的に接続して、第1の絶縁層に内蔵するステップと、電子部品で生じた熱を放熱する放熱部を有する放熱層を形成するステップと、第2の導電配線層と放熱層との間に挟まれる第2の絶縁層であって内部に電子部品と放熱層とを熱的に接続する冷媒流路が形成された第2の絶縁層を形成するステップと、冷媒流路内に冷媒を封入するステップと、を含む。
【0014】
ある実施の形態の方法では、第2の導電配線層および放熱層の少なくとも一方における冷媒流路を構成する部分が、冷媒流路を構成しない部分より表面の粗さが大きくなるようなステップを含んでもよい。
【0015】
なお、以上の構成要素の任意の組合せや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、部品内蔵型回路基板の熱抵抗を低減し、放熱性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1の実施の形態に係る部品内蔵型回路基板を縦方向の側面から見た断面図である。
図2】(a)は、放熱部を空冷ヒートシンクで構成した部品内蔵型回路基板を示す。図2(b)は、放熱部を液冷ジャケットで構成した部品内蔵型回路基板を示す。
図3図1の部品内蔵型回路基板を上から見たときの模式図である。
図4】放熱部を厚み方向から見て電子部品と重ならない位置に設けた部品内蔵型回路基板を上から見たときの模式図である。
図5】第2の実施の形態に係る部品内蔵型回路基板の製造方法の処理を示すフローチャートである。
図6】第2の実施の形態に係る部品内蔵型回路基板の別の製造方法の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示である。実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項の中で「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するだけのためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0019】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る部品内蔵型回路基板1を水平面上に置き、縦方向の側面から見た断面図である。以下本明細書では、回路基板を水平面上に置いたとき、当該回路基板の縦方向をx軸、横方向をy軸、鉛直上向き方向をz軸に取ることとする。部品内蔵型回路基板1は、第1の導電配線層10と、第2の導電配線層20と、第1の絶縁層30と、電子部品40と、放熱層50と、第2の絶縁層60と、を備える。第1の絶縁層30は、第1の導電配線層10と第2の導電配線層20との間に挟まれている。電子部品40は、第1の絶縁層30に内蔵され、第1の導電配線層10および第2の導電配線層20と電気的に接続されている。放熱層50は、電子部品40で生じた熱を放熱する放熱部70を有する。第2の絶縁層60は、第2の導電配線層20と放熱層50との間に挟まれている。第2の絶縁層60の内部には、冷媒が封入されて閉じた冷媒流路80が形成されている。冷媒流路80は、電子部品40と放熱層50とを熱的に接続する。
【0020】
この例では、第1の導電配線層10および第2の導電配線層20は、銅箔で形成される。
【0021】
第1の絶縁層30は、コア層およびプリプレグ材を含んでもよい。
【0022】
電子部品40は、例えば、半導体素子、抵抗、コンデンサまたはインダクタなど、基板内部に実装され、熱を発する任意の電子部品であってもよい。
【0023】
放熱部70は、例えば空冷ヒートシンクまたは液冷ジャケットなどであってもよい。図2に、放熱部を空冷ヒートシンク71で構成した部品内蔵型回路基板2(図2(a))および放熱部を液冷ジャケット72で構成した部品内蔵型回路基板3(図2(b))を示す。
【0024】
冷媒流路80が設けられる第2の絶縁層60は、厚ければ厚いほど冷媒の流量が多くなるので、冷却効率を高めることができる。例えば、部品内蔵型回路基板内に他の絶縁層が設けられた場合、第2の絶縁層60の厚さはこれら他の絶縁層の厚さより厚くてもよい。
【0025】
冷媒流路80に封入される冷媒は、例えばクロロフルオロカーボン(CFC)、ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)、ハイドロフルオロカーボン(HFC)またはハイドロフルオロオレフィン(HFO)などのフッ素系冷媒であってもよい。
【0026】
図3は、部品内蔵型回路基板1を上から見たときの模式図である。閉じた環状の冷媒流路80に封入された冷媒(液体)は、電子部品40が設置された部分(発熱部)で加熱されて蒸発する。蒸発した冷媒は、冷媒流路80内を放熱部70まで移動し、凝縮して液体に戻る。凝縮した液体は、毛細管現象により、再び冷媒流路80内を移動し、発熱部に戻る。これは、ヒートパイプの動作原理をプリント基板の内蔵構造に応用したものである。この動作を繰り返すことにより、ポンプなどのエネルギーを必要とすることなく冷媒循環が実現される。すなわち、第2の絶縁層の内部に冷媒を封入して閉じた冷媒流路を形成し、冷媒流路が電子部品と放熱層とを熱的に接続する構成を与えることにより、冷媒駆動の動力を必要とせずに、電子部品から放熱部までの熱抵抗を低減し、放熱性を改善することができる。
【0027】
さらに本実施の形態によれば、既存の絶縁層(第2の絶縁層60)に冷媒流路80を設ければよいので、追加の構造(層)を設ける必要がない。従って既存のプリント基板製造プロセスの変更が不要で、製造工程の複雑さを低減することができる。
【0028】
放熱層50は導体であってもよい。放熱層50を導体とすることにより、これをフレームグランドとしてアース接続することができる。さらに一般に電気伝導率の大きな導体ほど熱伝導率も大きいので、放熱層50を導体とすることにより、より放熱効果を高めることができる。この場合も、放熱層50は第2の絶縁層60により第2の導電配線層20と絶縁されているので、漏電や感電などを防ぐことができる。
【0029】
放熱部70は、厚み方向から見て、電子部品40と重ならない位置に設けられてもよい。図4は、このような実施の形態の部品内蔵型回路基板1を上から見たときの模式図である。放熱部70と電子部品40とが重ならない構成とすることにより、半導体素子などの電子部品で生じる電磁ノイズが放熱部で増強されることを回避できる
【0030】
上記の構成を取ったとき、冷媒流路80は、放熱部70が設けられた位置から電子部品40が内蔵された位置に向けて下向きに傾くように形成されてもよい。このように、冷媒流路80の放熱部70の位置を電子部品40側の位置より高くして、冷媒流路80が放熱部70側から電子部品40側に向けて下向きに傾くように構成することにより、冷媒の流れを妨げることなく、冷却効率を上げることができる。
【0031】
第2の導電配線層20および放熱層50の少なくとも一方における冷媒流路80を構成する部分は、冷媒流路80を構成しない部分より表面の粗さが大きくてもよい。例えば、第2の導電配線層20および放熱層50の少なくとも一方における冷媒流路80を構成する部分は、溝、スクラッチ上の傷、面密度の高い凹凸などを備えてもよい。この場合、冷媒流路80の内壁の上部および下部の少なくとも一方は粗い表面となる。この場合、冷媒流路80の内面が滑らかな場合と比べて、毛細管現象の効果が向上する。従って、冷媒流路80内の冷媒の流れが促進され、熱交換による冷却効果が向上する。表面の粗さは、上記のように、溝、スクラッチ上の傷、面密度の高い凹凸などで形成することにより、基板製造工程で実現することができる。
【0032】
特に上記の表面の粗さは、冷媒が流れる方向に沿って設けられた溝であってもよい。第2の導電配線層20および放熱層50の少なくとも一方における冷媒流路80を構成する部分の表面の粗さを冷媒が流れる方向に沿った溝で形成することにより、毛細管現象の効果をさらに向上させ、冷却効率を向上することができる。
【0033】
[第2の実施の形態]
図5は、部品内蔵型回路基板の製造方法の処理を示すフローチャートである。この方法は、第1の導電配線層を形成するステップS1と、第2の導電配線層を形成するステップS2と、第1の導電配線層と第2の導電配線層との間に挟まれる第1の絶縁層を形成するステップS3と、電子部品を第1の導電配線層および第2の導電配線層と電気的に接続して、第1の絶縁層に内蔵するステップS4と、電子部品で生じた熱を放熱する放熱部を有する放熱層を形成するステップS5と、第2の導電配線層と放熱層との間に挟まれる第2の絶縁層であって内部に電子部品と放熱層とを熱的に接続する冷媒流路が形成された第2の絶縁層を形成するステップS6と、冷媒流路内に冷媒を封入するステップS7と、を含む。
【0034】
この実施の形態によれば、熱抵抗を低減し、放熱性を改善した部品内蔵型回路基板を製造することができる。
【0035】
図6は、部品内蔵型回路基板の別の製造方法の処理を示すフローチャートである。この方法は、第1の導電配線層を形成するステップS1と、第2の導電配線層を形成するステップS2と、第1の導電配線層と第2の導電配線層との間に挟まれる第1の絶縁層を形成するステップS3と、電子部品を第1の導電配線層および第2の導電配線層と電気的に接続して、第1の絶縁層に内蔵するステップS4と、電子部品で生じた熱を放熱する放熱部を有する放熱層を形成するステップS5と、第2の導電配線層および放熱層の少なくとも一方における冷媒流路を構成する部分が、冷媒流路を構成しない部分より表面の粗さが大きくなるように加工するステップS8と、第2の導電配線層と放熱層との間に挟まれる第2の絶縁層であって内部に電子部品と放熱層とを熱的に接続する冷媒流路が形成された第2の絶縁層を形成するステップS6と、冷媒流路内に冷媒を封入するステップS7と、を含む。
【0036】
この実施の形態によれば、さらに熱抵抗を低減し、放熱性を改善した部品内蔵型回路基板を製造することができる。
【0037】
なお上記の方法において、各ステップを実行する順番は必ずしも図5および図6の通りでなくてもよい。さらに、上記の各ステップの間に別のステップが実行されてもよい。例えば、第1の導電配線層を形成するステップS1、第2の導電配線層を形成するステップS2、第1の絶縁層を形成するステップS3、第2の絶縁層を形成するステップS6は、それぞれどの順番で実行されてもよい。
【0038】
以上、本発明の実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0039】
基板の材料(FR4、CEM3等)やプリプレグ等の絶縁層の材料は特に限定されず、任意の好適なものであってもよい。導体層の厚みも特に限定されず、一般的な36μmより厚くても薄くてもよい。本技術は、リジッド基板およびフレキシブル基板のいずれにも適用可能である。この変形例によれば、構成の自由度を上げることができる。
【0040】
上述した各実施の形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる各実施の形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0041】
以上、実施の形態及び変形例を説明した。実施の形態及び変形例を抽象化した技術的思想を理解するにあたり、その技術的思想は実施の形態及び変形例の内容に限定的に解釈されるべきではない。前述した実施の形態及び変形例は、いずれも具体例を示したものにすぎず、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施の形態」との表記を付して強調している。しかしながら、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。
【産業上の利用可能性】
【0042】
実施の形態に係る部品内蔵型回路基板は、モーターインバータ、DCDCコンバータ、ACDCコンバータ、DCACインバータなどのパワーエレクトロニクス回路に広く利用することができる。
【符号の説明】
【0043】
1・・部品内蔵型回路基板、
10・・第1の導電配線層、
20・・第2の導電配線層、
30・・第1の絶縁層、
40・・電子部品、
50・・放熱層、
60・・第2の絶縁層、
70・・放熱部、
80・・冷媒流路、
S1・・第1の導電配線層を形成するステップ、
S2・・第2の導電配線層を形成するステップ、
S3・・第1の絶縁層を形成するステップ、
S4・・電子部品を第1の絶縁層に内蔵するステップ、
S5・・放熱層を形成するステップ、
S6・・第2の絶縁層を形成するステップ、
S7・・冷媒流路内に冷媒を封入するステップ、
S8・・冷媒流路を構成する部分に表面の粗さを付与するステップ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6