(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080092
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】映像伝送遅延時間測定システム、映像伝送遅延時間測定方法
(51)【国際特許分類】
H04N 17/00 20060101AFI20240606BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H04N17/00 A
H04N17/00 L
G08G1/09 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022192988
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】竹内 公二
(72)【発明者】
【氏名】慶野 浩規
(72)【発明者】
【氏名】武田 澄子
(72)【発明者】
【氏名】望月 明典
【テーマコード(参考)】
5C061
5H181
【Fターム(参考)】
5C061BB03
5C061BB13
5C061CC03
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB15
5H181CC04
5H181CC24
5H181FF04
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF32
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】実際の映像の撮影をしながら、映像伝送の遅延時間を測定することができる。
【解決手段】映像伝送遅延時間測定システムは、送信ユニットと受信ユニットと、を備える。送信ユニットは、送信側基準信号を発信する送信側基準信号発信部と、送信側基準信号に基づいてマーカ光を点滅させる点滅マーカと、撮影対象、及び点滅マーカを含む映像を撮影する撮影装置と、映像のデータを送信するデータ送信部と、を備える。受信ユニットは、映像のデータを受信するデータ受信部と、映像を表示する表示装置と、映像における、マーカ光の点滅を検知する第一点滅検知部と、受信側基準信号を発信する受信側基準信号発信部と、マーカ光の点滅状態を示す点滅信号と受信側基準信号とに基づいて、映像伝送遅延時間に関する情報を出力する遅延時間情報出力部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影場所に配置された送信ユニットと、前記撮影場所から離れた離間場所に設置された受信ユニットと、を備え、
前記送信ユニットは、
前記撮影場所でGPS(Global Positioning System)信号を受信する送信側GPS信号受信部と、
前記送信側GPS信号受信部で受信された前記GPS信号に同期した送信側基準信号を発信する送信側基準信号発信部と、
前記送信側基準信号に基づいて、周期的にマーカ光を点滅させる点滅マーカと、
前記撮影場所で、撮影対象、及び前記点滅マーカを含む映像を撮影する撮影装置と、
前記撮影装置で撮影された映像のデータを送信するデータ送信部と、を備え、
前記受信ユニットは、
前記映像のデータを受信するデータ受信部と、
受信した前記映像のデータに基づいた映像を表示する表示装置と、
前記表示装置に表示された映像における、前記マーカ光の点滅を検知する第一点滅検知部と、
前記離間場所でGPS信号を受信する受信側GPS信号受信部と、
前記受信側GPS信号受信部で受信された前記GPS信号に同期した受信側基準信号を発信する受信側基準信号発信部と、
前記第一点滅検知部で検知された前記マーカ光の点滅状態を示す点滅信号と前記受信側基準信号とに基づいて、前記映像が、前記撮影装置で撮影されたときから、前記表示装置に表示されるまでの映像伝送遅延時間に関する情報を出力する遅延時間情報出力部と、を備える
映像伝送遅延時間測定システム。
【請求項2】
前記送信側基準信号、及び前記受信側基準信号は、定められた時間間隔ごとに信号状態が切り替わるパルス信号であり、
前記点滅信号は、前記点滅マーカの点灯及び消灯に応じた信号状態の切り替わりを示す波形信号である、
請求項1に記載の映像伝送遅延時間測定システム。
【請求項3】
前記遅延時間情報出力部は、
前記受信側基準信号と、前記点滅信号とを、並べて表示するオシロスコープである
請求項2に記載の映像伝送遅延時間測定システム。
【請求項4】
前記遅延時間情報出力部は、
前記受信側基準信号の信号状態が切り替わるタイミングと、前記点滅信号の信号状態が切り替わるタイミングと、に基づいて、前記映像伝送遅延時間に関する情報を出力する
請求項2又は3に記載の映像伝送遅延時間測定システム。
【請求項5】
前記遅延時間情報出力部は、
前記受信側基準信号の信号状態が切り替わるタイミングと、前記点滅信号の信号状態が切り替わるタイミングと、に基づいて、前記映像伝送遅延時間を算出し、算出された前記映像伝送遅延時間の値を出力する
請求項4に記載の映像伝送遅延時間測定システム。
【請求項6】
前記点滅マーカと前記撮影装置とを固定する固定部材をさらに備えている
請求項1又は2に記載の映像伝送遅延時間測定システム。
【請求項7】
前記送信ユニットは、
前記点滅マーカにおける前記マーカ光の点滅周期を調整可能な点滅周期調整部を更に備える
請求項1又は2に記載の映像伝送遅延時間測定システム。
【請求項8】
前記受信ユニットは、
前記受信側基準信号に基づいて、周期的にマーカ光を点滅させる受信側点滅マーカと、
前記受信側点滅マーカにおけるマーカ光の点滅を検知する第二点滅検知部と、を更に備え、
前記点滅マーカと前記受信側点滅マーカとは、それぞれ、複数の種類の前記マーカ光を同じ順序で点滅可能であり、
前記点滅周期調整部は、前記第一点滅検知部で検知された前記点滅マーカの前記マーカ光の種類と、前記第二点滅検知部で検知された前記受信側点滅マーカにおける前記マーカ光の種類とに基づいて、前記点滅マーカにおける前記マーカ光の点滅周期を調整する
請求項7に記載の映像伝送遅延時間測定システム。
【請求項9】
前記送信ユニットは、外部の時刻情報出力部から配信された外部時刻情報に基づいて前記撮影場所における撮影場所時刻情報を表示する送信側時刻情報表示装置をさらに備え、
前記撮影装置は、前記送信側時刻情報表示装置に表示される前記撮影場所時刻情報を含む前記映像を撮影し、
前記受信ユニットは、
前記表示装置に表示される前記撮影場所時刻情報と、
前記離間場所で取得される、外部の時刻情報出力部から配信された外部時刻情報に基づいた離間場所時刻情報と、の差分を取得する時刻差分取得部と、を備え、
前記点滅周期調整部は、取得された前記差分に基づいて、前記点滅マーカにおける前記マーカ光の点滅周期を調整する
請求項7に記載の映像伝送遅延時間測定システム。
【請求項10】
前記撮影装置、及び前記点滅マーカは、前記点滅マーカの点滅周期に合わせて定位置に戻るように、相対移動可能とされている
請求項1又は2に記載の映像伝送遅延時間測定システム。
【請求項11】
撮影場所でGPS信号を受信するステップと、
受信された前記GPS信号に同期した送信側基準信号を発信するステップと、
前記送信側基準信号に基づいて、点滅マーカが、周期的にマーカ光を点滅させるステップと、
撮影装置が、前記撮影場所で、撮影対象、及び前記点滅マーカを含む映像を撮影するステップと、
前記撮影装置で撮影された前記映像のデータを送信するステップと、
前記撮影場所から離れた離間場所で、前記映像のデータを受信するステップと、
表示装置が、受信した前記映像のデータに基づいた映像を表示するステップと、
表示された前記映像における、前記マーカ光の点滅を検知するステップと、
前記離間場所でGPS信号を受信するステップと、
前記離間場所で受信された前記GPS信号に同期した受信側基準信号を発信するステップと、
検知された前記マーカ光の点滅状態を示す点滅信号と前記受信側基準信号とに基づいて、前記映像が、前記撮影装置で撮影されたときから、前記表示装置に表示されるまでの映像伝送遅延時間に関する情報を出力するステップと、を含む
映像伝送遅延時間測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、映像伝送遅延時間測定システム、映像伝送遅延時間測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
撮影した映像を、撮影場所から離れた遠隔地に設けられた表示装置に表示する際、映像の撮影から表示までの間に、時間の遅延が生じる。この時間の遅延は、撮影した映像データのエンコード処理、エンコードされた映像データの送信処理、ネットワークによる映像データの伝送、表示装置における映像データの受信処理、受信した映像データのデコード処理、デコードされた映像データに基づく映像の表示処理、等に時間を要することで生じる。
【0003】
これに対し、特許文献1には、撮像地に配置された点滅マーカと、撮像地に配置された撮像地刻時タイマと、投影地に配置された映像投影装置によって投影表示される点滅マーカの点滅を検出する受光センサと、投影地に配置され、撮像地刻時タイマに同期した投影地刻時タイマと、投影地に配置されて映像投影装置によって投影表示された映像と投影地刻時タイマとを並べて撮像する測定用カメラと、を備えた映像伝送時間測定システムが開示されている。この映像伝送時間測定システムでは、撮像用ビデオカメラによって撮像地刻時タイマと点滅マーカとを一緒に撮像し、その撮像された映像を、映像投影装置によって投影表示する。さらに、投影表示された撮像地刻時タイマの映像と、受光センサからの出力に応じて刻時時刻の表示が固定された投影地刻時タイマとを同時に測定用カメラによって撮像し、撮像された映像から両刻時タイマの刻時時刻を読みとることにより映像伝送時間を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、船舶、車両、各種の機器類等の対象物を、遠隔地から遠隔操作する技術が知られている。このような遠隔操作を行う際、遠隔操作に応じた対象物の動きが認識できるように、例えば、対象物の移動方向前方を撮影し、操作者は、撮影された映像を目視しながら、対象物の遠隔操作を行うことがある。このような場合に、映像の撮影から、表示までの間に時間の遅延が生じると、不具合が生じることがあるため、映像伝送の遅延時間を、より正確に測定することが望まれる。
【0006】
しかしながら、映像の撮影から表示までの間の遅延時間は、様々な状況に応じて変動し得る。例えば、映像データのエンコードを行うコーデック技術においては、直前の映像に対する映像の差分を圧縮して、伝送するものがある。このようなコーデック技術を用いた場合、撮影した映像において、動きが少なければ、前の映像に対する差分は小さいのに対し、映像中における動きが激しければ、直前の映像に対する差分が大きくなる。映像の差分が大きいほど、映像データのエンコード処理、送信処理等に要する時間が長くなる。
また、例えば、映像データを伝送する各種のネットワークの通信状況等によっても、映像データの伝送処理に要する時間が変動する。
【0007】
このため、実際に映像の撮影、遠隔地への映像データの伝送、遠隔地における映像データの表示を行いながら、映像伝送の遅延時間を、より正確に測定することが望まれる。
これに対し、特許文献1に開示されたような構成は、実際の映像の撮影をしながら、映像伝送の遅延時間を時々刻々と変動し得る映像伝送の遅延時間を測定することを想定したものではない。
【0008】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、実際の映像の撮影をしながら、映像が撮影されてから表示されるまでの遅延時間を測定することができることができる映像伝送遅延時間測定システム、映像伝送遅延時間測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本開示に係る映像伝送遅延時間測定システムは、撮影場所に配置された送信ユニットと、前記撮影場所から離れた離間場所に設置された受信ユニットと、を備え、前記送信ユニットは、前記撮影場所でGPS(Global Positioning System)信号を受信する送信側GPS信号受信部と、前記送信側GPS信号受信部で受信された前記GPS信号に同期した送信側基準信号を発信する送信側基準信号発信部と、前記送信側基準信号に基づいて、周期的にマーカ光を点滅させる点滅マーカと、前記撮影場所で、撮影対象、及び前記点滅マーカを含む映像を撮影する撮影装置と、前記撮影装置で撮影された映像のデータを送信するデータ送信部と、を備え、前記受信ユニットは、前記映像のデータを受信するデータ受信部と、受信した前記映像のデータに基づいた映像を表示する表示装置と、前記表示装置に表示された映像における、前記マーカ光の点滅を検知する第一点滅検知部と、前記離間場所でGPS信号を受信する受信側GPS信号受信部と、前記受信側GPS信号受信部で受信された前記GPS信号に同期した受信側基準信号を発信する受信側基準信号発信部と、前記第一点滅検知部で検知された前記マーカ光の点滅状態を示す点滅信号と前記受信側基準信号とに基づいて、前記映像が、前記撮影装置で撮影されたときから、前記表示装置に表示されるまでの映像伝送遅延時間に関する情報を出力する遅延時間情報出力部と、を備える。
【0010】
本開示に係る映像伝送遅延時間測定方法は、撮影場所でGPS信号を受信するステップと、受信された前記GPS信号に同期した送信側基準信号を発信するステップと、前記送信側基準信号に基づいて、周期的にマーカ光を点滅させるステップと、前記撮影場所で、撮影対象、及び前記点滅マーカを含む映像を撮影するステップと、撮影された前記映像のデータを送信するステップと、前記撮影場所から離れた離間場所で、前記映像のデータを受信するステップと、受信した前記映像のデータに基づいた映像を表示するステップと、表示された前記映像における、前記マーカ光の点滅を検知するステップと、前記離間場所でGPS信号を受信するステップと、前記離間場所で受信された前記GPS信号に同期した受信側基準信号を発信するステップと、検知された前記マーカ光の点滅状態を示す点滅信号と前記受信側基準信号とに基づいて、前記映像が、前記撮影装置で撮影されたときから、前記表示装置に表示されるまでの映像伝送遅延時間に関する情報を出力するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本開示の映像伝送遅延時間測定システム、映像伝送遅延時間測定方法によれば、実際の映像の撮影をしながら、映像伝送の遅延時間を測定することができることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の第一実施形態に係る映像伝送遅延時間測定システムの構成を示す図である。
【
図2】上記映像伝送遅延時間測定システムで用いられる信号の一例を示す図である。
【
図3】本開示の第一実施形態に係る映像伝送遅延時間測定方法の手順を示すフローチャートである。
【
図4】本開示の第二実施形態に係る映像伝送遅延時間測定システムの構成を示す図である。
【
図5】上記映像伝送遅延時間測定システムで用いられる信号の一例を示す図である。
【
図6】上記映像伝送遅延時間測定システムで用いられる、周期を調整した信号の一例を示す図である。
【
図7】本開示の第三実施形態に係る映像伝送遅延時間測定システムの構成を示す図である。
【
図8】本開示の第四実施形態に係る映像伝送遅延時間測定システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本開示による映像伝送遅延時間測定システム、映像伝送遅延時間測定方法を実施するための形態を説明する。しかし、本開示はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
<第一実施形態>
(映像伝送遅延時間測定システムの構成)
図1に示すように、映像伝送遅延時間測定システム1Aは、撮影場所に配置された送信ユニット2と、撮影場所から離れた離間場所に設置された受信ユニット5と、を備えている。
【0014】
送信ユニット2は、撮影対象Tが撮影可能な撮影場所に配置されている。送信ユニット2は、例えば、不図示の遠隔操作装置によって遠隔操作を行う操作対象に設けられる。
操作対象としては、船舶、車両等の各種移動体が例示できる。これらの移動体の場合、送信ユニット2は、移動体に搭載され、送信ユニット2の撮影装置3で、撮影対象Tとして、移動体の進行方向前方を撮影する。
また、操作対象としては、各種の機器、装置類等が例示できる。この場合、送信ユニット2の撮影装置3で、撮影対象Tとして、機器や装置類において、例えば、遠隔操作対象となる部位等を撮影する。送信ユニット2は、機器、装置類に取り付けてもよいし、機器、装置類の周辺の床、壁、天井等に設けてもよい。
【0015】
送信ユニット2は、撮影装置3と、点滅マーカ4と、送信側コントローラ20と、を備えている。
撮影装置3は、撮影場所で、撮影対象T、及び点滅マーカ4を含む映像を撮影する。
【0016】
点滅マーカ4は、撮影装置3で撮影可能な範囲3a内に配置されている。点滅マーカ4としては、LED(Light Emitting Diode)を例示できる。点滅マーカ4は、例えば、撮影装置3に、固定部材31を介して固定されている。これにより、撮影対象Tで振動等が生じた場合に、点滅マーカ4と撮影装置3とが一体的に振動するため、撮影装置3の撮影可能な範囲3a内で、点滅マーカ4が撮影装置3に対して相対的に変位することが抑えられる。点滅マーカ4は、送信側コントローラ20の制御により、予め設定された所定の点滅周期で、マーカ光4mを周期的に点滅させる。撮影装置3では、この点滅マーカ4のマーカ光4mの点滅状態を撮影する。
【0017】
送信側コントローラ20は、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)等のコンピュータと、コンピュータの周辺回路や周辺装置等のハードウェアを用いて構成することができる。本実施形態では、送信側コントローラ20は、マイクロコンピュータが搭載された制御基板により構成されている。送信側コントローラ20は、ハードウェアと、コンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせから構成される機能的構成として、撮影制御部21と、マーカ制御部22と、送信側GPS信号受信部23と、送信側基準信号発信部24と、データ送信部25と、を備えている。
【0018】
撮影制御部21は、撮影装置3の動作を制御する。具体的には、撮影制御部21は、撮影装置3に対し、撮影を実行するための指令を出力する。撮影制御部21は、撮影装置3で撮影した映像のデータのエンコード処理を実行する。なお、映像のデータのエンコード処理は、撮影装置3が備える機能を用いるようにしてもよい。
マーカ制御部22は、点滅マーカ4の点滅動作を制御する。
【0019】
送信側GPS信号受信部23は、撮影場所で、例えば、GPS信号を受信する。GPS信号は、高精度な時刻情報を含んでいる。
送信側基準信号発信部24は、
図2に示すように、送信側GPS信号受信部23で受信されたGPS信号に同期した送信側基準信号Sg1を発信する。GPS信号に同期した送信側基準信号Sg1としては、定められた時間間隔ごとに信号状態が切り替わるパルス信号である、1PPS(Pulse Per Second)信号が例示できる。送信側基準信号Sg1(1PPS信号)は、1秒間の間に、ON、OFFを周期的に繰り返すパルス信号である。
【0020】
マーカ制御部22は、送信側基準信号発信部24が発信した送信側基準信号Sg1(1PPS信号)に基づいて、点滅マーカ4で、例えば、1秒毎に、周期的にマーカ光4mを点滅させる。点滅マーカ4は、1秒間毎に、点灯状態と消灯状態とを周期的に繰り返す。
【0021】
データ送信部25は、撮影装置3で撮影された映像のデータを送信する。データ送信部25は、撮影制御部21でエンコードされた映像のデータを送信するための処理を実行する。なお、撮影装置3で撮影された映像のデータの送信処理を担うデータ送信部25は、撮影装置3が備える機能を用いるようにしてもよい。
【0022】
受信ユニット5は、撮影場所から離れた離間場所に設置されている。離間場所は、少なくとも、撮影場所を直接目視できない、又は撮影場所を直接目視しにくい程度の距離を、撮影場所からあけている。撮影場所から離間場所までの距離については何ら限定するものではない。本開示の実施形態では、受信ユニット5は、送信ユニット2との間で、各種のネットワーク100を介してデータ通信可能な場所(離間場所)に設置されている。
受信ユニット5は、受信側コントローラ50と、表示装置6と、第一点滅検知部7と、を備えている。
【0023】
受信側コントローラ50は、マイクロコンピュータ、CPU(Central Processing Unit)等のコンピュータと、コンピュータの周辺回路や周辺装置等のハードウェアを用いて構成することができる。本実施形態では、受信側コントローラ50は、マイクロコンピュータが搭載された制御基板により構成されている。受信側コントローラ50は、ハードウェアと、コンピュータが実行するプログラム等のソフトウェアとの組み合わせから構成される機能的構成として、データ受信部51と、表示制御部52と、受信側GPS信号受信部53と、受信側基準信号発信部54と、遅延時間情報出力部55と、を備えている。
【0024】
データ受信部51は、ネットワーク100を介して、データ送信部25から送信された映像のデータを受信する。
表示制御部52は、表示装置6における映像の表示を制御する。表示制御部52は、データ受信部51で受信した映像のデータのデコード処理、デコードされた映像データに基づく映像の表示処理、等を実行する。なお、データ送信部25から送信された映像のデータの受信処理を担うデータ受信部51、受信した映像のデータのデコード処理、及び映像の表示処理等を担う表示制御部52は、表示装置6が備える機能を用いるようにしてもよい。
【0025】
受信側GPS信号受信部53は、離間場所でGPS信号を受信する。
受信側基準信号発信部54は、受信側GPS信号受信部53で受信されたGPS信号に同期した受信側基準信号Sg2(1PPS信号)を発信する。
【0026】
表示装置6は、表示制御部52による制御に基づき、データ受信部51で受信したデータに基づいた映像を表示する。表示装置6に表示される映像は、撮影装置3によって撮影された、撮影対象T、及び点滅マーカ4の像を含んでいる。つまり、表示装置6に表示される映像の一部には、点滅マーカ4のマーカ光4mの点滅が表示されている。
【0027】
第一点滅検知部7は、表示装置6に表示された映像における、マーカ光4mの点滅を検知する。第一点滅検知部7としては、フォトダイオードが例示できる。点滅マーカ4は、撮影装置3に対する位置が固定されている。このため、表示装置6に表示される映像において、点滅マーカ4のマーカ光4mの位置は一定である。第一点滅検知部7は、表示装置6に表示される映像において、点滅マーカ4のマーカ光4mの位置に合わせて固定されている。
【0028】
第一点滅検知部7は、マーカ光4mの点滅状態(点灯、又は消灯)を検知する。第一点滅検知部7は、マーカ光4mの点滅状態を示す点滅信号Sgmを、遅延時間情報出力部55に出力する。
【0029】
点滅信号Sgmは、点滅マーカ4の点灯及び消灯に応じた信号状態の切り替わりを示す波形信号である。この点滅信号Sgmは、送信側基準信号Sg1(1PPS信号)に基づいて送信ユニット2の点滅マーカ4がマーカ光を点滅させるタイミングに対し、遅延時間を含んでいる。点滅マーカ4がマーカ光を点滅させたタイミングに対する、点滅信号Sgmの遅延時間は、撮影装置3で撮影された映像が、表示装置6に表示されるまでの映像伝送遅延時間と一致している。
【0030】
遅延時間情報出力部55は、第一点滅検知部7で検知されたマーカ光4mの点滅状態を示す点滅信号Sgmと、受信側基準信号Sg2とに基づいて、映像が、撮影装置3で撮影されたときから、表示装置6に表示されるまでの映像伝送遅延時間Tdに関する情報を出力する。遅延時間情報出力部55としては、受信側基準信号Sg2と、点滅信号Sgmとを、目視可能な波形情報等によって出力(表示)するオシロスコープが例示できる。この場合、遅延時間情報出力部55は、映像伝送遅延時間Tdに関する情報として、受信側基準信号Sg2の波形と、点滅信号Sgmの波形と、を並列して表示する。遅延時間情報出力部55は、受信側基準信号Sg2の信号状態が切り替わるタイミングと、点滅信号Sgmの信号状態が切り替わるタイミングと、に基づいて、映像伝送遅延時間Tdに関する情報を出力する。
受信ユニット5の担当者は、遅延時間情報出力部55に表示される、受信側基準信号Sg2と、点滅信号Sgmと、の時差から、映像伝送遅延時間Tdを把握することができる。
【0031】
ここで、映像伝送遅延時間Tdは、例えば、受信側基準信号Sg2がONになるタイミングと、点滅信号Sgmが消灯状態から点灯状態に切り替わるタイミングとの時差とすることができる。映像伝送遅延時間Tdは、これに限らず、例えば、受信側基準信号Sg2がOFFになるタイミングと、点滅信号Sgmが点灯状態から消灯状態に切り替わるタイミングとの時差としてもよい。
【0032】
なお、遅延時間情報出力部55は、オシロスコープが備える機能により、受信側基準信号Sg2の信号状態が切り替わるタイミングと、点滅信号Sgmの信号状態が切り替わるタイミングと、に基づいて、映像伝送遅延時間Tdを算出するようにしてもよい。遅延時間情報出力部55としてのオシロスコープは、算出された映像伝送遅延時間Tdの値を、出力(表示)する。
また、遅延時間情報出力部55は、受信側基準信号Sg2の波形、及び点滅信号Sgmの波形に基づき、受信側基準信号Sg2の信号状態が切り替わるタイミングと、点滅信号Sgmの信号状態が切り替わるタイミングとの差を、映像伝送遅延時間Tdとして算出するようにしてもよい。
【0033】
(映像伝送遅延時間測定方法の手順)
図3に示すように、本開示の実施形態に係る映像伝送遅延時間測定方法は、撮影場所でGPS信号を受信するステップS11と、送信側基準信号Sg1を発信するステップS12と、マーカ光を点滅させるステップS13と、映像を撮影するステップS14と、映像のデータを送信するステップS15と、映像のデータを受信するステップS21と、映像を表示するステップS22と、マーカ光の点滅を検知するステップS23と、離間場所でGPS信号を受信するステップS24と、受信側基準信号Sg2を発信するステップS25と、映像伝送遅延時間Tdに関する情報を出力するステップS26と、を含む。
【0034】
撮影場所でGPS信号を受信するステップS11では、送信ユニット2の送信側GPS信号受信部23で、撮影場所において、GPS信号を受信する。
【0035】
送信側基準信号Sg1を発信するステップS12では、送信側GPS信号受信部23で受信されたGPS信号Sg0に同期した送信側基準信号Sg1(
図2参照)を発信する。
【0036】
マーカ光を点滅させるステップS13では、マーカ制御部22が、送信側基準信号発信部24が発信した送信側基準信号Sg1(1PPS信号)に基づいて、点滅マーカ4で、例えば、1秒毎に、周期的にマーカ光を点滅させる。
【0037】
映像を撮影するステップS14では、撮影制御部21の制御により、撮影装置3が、撮影場所で、撮影対象T、及び点滅マーカ4のマーカ光4mの点滅を含む映像を撮影する。
【0038】
映像のデータを送信するステップS15では、撮影制御部21が、撮影装置3で撮影した映像のデータのエンコード処理を実行する。さらに、データ送信部25が、撮影制御部21でエンコードされた映像のデータを送信するための処理を実行する。これにより、撮影装置3で撮影された映像のデータが、ネットワーク100を介して、受信ユニット5に送信される。
【0039】
映像のデータを受信するステップS21では、データ受信部51が、ネットワーク100を介して、データ送信部25から送信された映像のデータを受信する。
【0040】
映像を表示するステップS22では、表示制御部52が、データ受信部51で受信した映像のデータのデコード処理、デコードされた映像データに基づく映像の表示処理、等を実行する。これにより、表示装置6が、表示制御部52による制御に基づき、データ受信部51で受信したデータに基づいた映像を表示する。表示装置6に表示される映像は、撮影装置3によって撮影された、撮影対象T、及び点滅マーカ4のマーカ光4mの像を含んでいる。
【0041】
マーカ光の点滅を検知するステップS23では、第一点滅検知部7が、表示装置6に表示された映像における、マーカ光4mの点滅を検知する。第一点滅検知部7は、マーカ光4mの点滅状態(点灯、又は消灯)を検知する。第一点滅検知部7は、マーカ光4mの点滅状態を示す点滅信号Sgmを、遅延時間情報出力部55に出力する。
【0042】
離間場所でGPS信号を受信するステップS24では、受信側GPS信号受信部53が、受信ユニット5が配置された離間場所で、GPS信号を受信する。
【0043】
受信側基準信号Sg2を発信するステップS25では、受信側基準信号発信部54が、受信側GPS信号受信部53で受信されたGPS信号に同期した受信側基準信号Sg2(
図2参照)を発信する。受信側基準信号発信部54は、発信した受信側基準信号Sg2を、遅延時間情報出力部55に出力する。
【0044】
映像伝送遅延時間Tdに関する情報を出力するステップS26では、遅延時間情報出力部55が、点滅信号Sgmと、受信側基準信号Sg2とに基づいて、映像伝送遅延時間Tdに関する情報を出力する。遅延時間情報出力部55が、オシロスコープである場合、オシロスコープに並んで捧持される受信側基準信号Sg2と点滅信号Sgmとの波形情報に基づいて、映像伝送遅延時間Tdを把握することができる。また、遅延時間情報出力部55が、受信側基準信号Sg2の信号状態が切り替わるタイミングと、点滅信号Sgmの信号状態が切り替わるタイミングと、に基づいて、映像伝送遅延時間Tdを算出するようにしてもよい。
【0045】
(作用効果)
上記構成の映像伝送遅延時間測定システム1Aによれば、撮影場所に配置された送信ユニット2の撮影装置3で、撮影対象の映像を撮影し、その映像のデータを、データ送信部25により受信ユニット5に送信する。受信ユニット5では、受信した映像のデータに基づいた映像を、表示装置6に表示する。
送信ユニット2では、送信側GPS信号受信部23で受信されたGPS信号に同期した、送信側基準信号Sg1が発信される。一方、受信ユニット5では、受信側GPS振動受信部で受信されたGPS信号に同期した、受信側基準信号Sg2が発信される。これにより、撮影場所と、撮影場所から離間した離間場所とでは、時刻的に同期した送信側基準信号Sg1と、受信側基準信号Sg2とが発信されている。
送信ユニット2では、送信側基準信号Sg1に基づいて、点滅マーカ4のマーカ光4mが周期的に点滅する。撮影装置3では、撮影対象とともに、点滅マーカ4を含む映像を撮影する。受信ユニット5の表示装置6には、撮影対象ととともに点滅マーカ4のマーカ光4mが点滅している映像が表示される。第一点滅検知部7では、表示装置6に表示された映像におけるマーカ光4mの点滅を検知する。したがって、遅延時間情報出力部55では、第一点滅検知部7で検知されたマーカ光4mの点滅状態を示す点滅信号Sgmと、受信側基準信号Sg2とに基づいて、映像が、撮影装置3で撮影されたときから、表示装置6に表示されるまでの映像伝送遅延時間Tdに関する情報を出力する。
ここで、受信側基準信号Sg2は、送信側基準信号Sg1と同期しており、マーカ光4mの点滅は、送信側基準信号Sg1に基づいて行われている。つまり、第一点滅検知部7で検知されたマーカ光4mの点滅状態を示す点滅信号Sgmと、受信側基準信号Sg2との時間差は、撮影場所におけるマーカ光4mの点滅と、離間場所で表示された映像中におけるマーカの点滅との時間差、すなわち、映像伝送遅延時間Tdである。
ここで、遅延時間情報出力部55では、映像伝送遅延時間Tdに関する情報として、第一点滅検知部7で検知されたマーカ光4mの点滅状態を示す点滅信号Sgmと、受信側基準信号Sg2との時間的な差を、目視可能な波形情報等によって出力(表示)するようにしてもよい。
また、遅延時間情報出力部55では、映像伝送遅延時間Tdに関する情報として、第一点滅検知部7で検知されたマーカ光4mの点滅状態を示す点滅信号Sgmと、受信側基準信号Sg2との時間的な差を、算出し、算出した数値を、映像伝送遅延時間Tdとして、出力するようにしてもよい。
このように、撮影装置3で撮影される映像に、撮影対象とともに表示された、点滅マーカ4のマーカ光4mの点滅に基づいて、映像伝送遅延時間Tdを取得することができる。したがって、実際の映像の撮影をしながら、映像伝送の遅延時間を測定することができることができる。
【0046】
また、送信側基準信号Sg1、及び受信側基準信号Sg2がパルス信号であり、点滅信号Sgmが、点滅マーカ4の点灯及び消灯に応じた信号状態の切り替わりを示す波形信号であるので、受信側基準信号Sg2と点滅信号Sgmとを比較することで、映像伝送遅延時間Tdを容易に把握することができる。
【0047】
また、遅延時間情報出力部55が、オシロスコープである場合、受信側基準信号Sg2と点滅信号Sgmとを並べて表示することで、映像伝送遅延時間Tdを、視覚的に容易に把握することができる。
【0048】
また、遅延時間情報出力部55では、受信側基準信号Sg2の信号状態が切り替わるタイミングと、点滅信号Sgmの信号状態が切り替わるタイミングと、に基づいて、映像伝送遅延時間Tdを容易に把握することができる。
【0049】
さらに、遅延時間情報出力部55では、受信側基準信号Sg2の信号状態が切り替わるタイミングと、点滅信号Sgmの信号状態が切り替わるタイミングと、に基づいて、映像伝送遅延時間Tdを算出することで、映像伝送遅延時間Tdを容易に正確に把握することもできる。
【0050】
また、点滅マーカ4と撮影装置3とが、固定部材31によって固定されることで、撮影装置3によって撮影される映像において、振動等によって、点滅マーカ4が撮影装置3に対して相対的に移動してしまうことが抑えられる。したがって、表示装置6に表示される映像において、点滅マーカ4の位置がずれることが抑えられ、第一点滅検知部7でマーカ光4mの点滅を良好に検知できる。
【0051】
(第一実施形態の変形例)
なお、上記第一実施形態において、
図3に示したような映像伝送遅延時間測定方法による、映像伝送遅延時間の測定は、撮影装置3で映像を撮影している間、継続的に行ってもよいし、適宜の時間間隔をあけて、間欠的に行ってもよい。
【0052】
<第二実施形態>
次に、本開示に係る映像伝送遅延時間測定システム、映像伝送遅延時間測定方法の第二実施形態について説明する。なお、以下に説明する第二実施形態においては、上記第一実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第二実施形態では、上記第一実施形態で示した構成に加えて、映像伝送遅延時間に応じて、点滅マーカ4におけるマーカ光4mの点滅周期を調整する構成を有する点で第一実施形態と異なっている。
【0053】
図4は、上記映像伝送遅延時間測定システムの第二実施形態に係る構成を示す図である。
図4に示すように、映像伝送遅延時間測定システム1Bは、上記映像伝送遅延時間測定システム1Aの構成に加えて、受信側点滅マーカ8と、第二点滅検知部72と、遅延時間異常判定部56Aと、点滅周期調整部26Aと、を更に備えている。
【0054】
受信側点滅マーカ8は、受信ユニット5に備えられている。受信側点滅マーカ8は、受信側基準信号Sg2に基づいて、周期的にマーカ光を点滅させる。受信側点滅マーカ8は、受信側基準信号Sg2に基づいて、異なる複数の種類のマーカ光8mを、定められた順序で交互に繰り返し点滅させる。本開示の実施形態で、受信側点滅マーカ8は、異なる複数の色のマーカ光8m(例えば赤色のマーカ光8mR、青色のマーカ光8mB、緑色のマーカ光8mG)を、この順序で繰り返し点滅させる。
【0055】
本開示の実施形態において、送信ユニット2の点滅マーカ4は、送信側基準信号Sg1に基づいて、異なる複数の種類のマーカ光4mを、定められた順序で交互に繰り返し点滅させる。本開示の実施形態で、点滅マーカ4は、異なる複数の色のマーカ光4m(例えば赤色のマーカ光4mR、青色のマーカ光4mB、緑色のマーカ光4mG)を、この順序で繰り返し点滅させる。つまり、受信側点滅マーカ8と、点滅マーカ4とは、共通する複数の種類種類のマーカ光8m、4mを、同じ順序で繰り返し点滅させる。
【0056】
第二点滅検知部72は、受信ユニット5に設けられている。第二点滅検知部72は、例えばフォトダイオードであり、受信側点滅マーカ8におけるマーカ光8mの点滅を検知する。
図5に示すように、第二点滅検知部72で検知される受信側点滅マーカ8のマーカ光8mの点滅信号Sgrは、受信側基準信号Sg2と同期している。
【0057】
遅延時間異常判定部56Aは、受信ユニット5に設けられている。遅延時間異常判定部56Aは、遅延時間情報出力部55で取得される映像伝送遅延時間Tdに異常があるか否かを判定する。具体的には、遅延時間異常判定部56Aは、映像伝送遅延時間Tdが、受信側基準信号Sg2の1周期分(上記の例では1秒)以上であるか否かを判定する。
これには、
図3に示すような手順で、映像伝送遅延時間Tdを取得する。遅延時間異常判定部56Aは、映像伝送遅延時間Tdを取得する際に用いた、点滅信号Sgmと、点滅信号Sgmに同期した受信側点滅マーカ8の点滅信号Sgrとを比較する。映像伝送遅延時間Tdを取得する際に用いた、点滅信号Sgmの種類(色)と、受信側点滅マーカ8の点滅信号Sgrの種類とが同じであれば、映像伝送遅延時間Tdは、受信側基準信号Sg2の1周期分未満である。
一方、
図5に示すように、映像伝送遅延時間Tdを取得する際に用いた、点滅信号Sgmの種類(色)と、受信側点滅マーカ8の点滅信号Sgrの種類とが異なっていた場合、映像伝送遅延時間Tdは、受信側基準信号Sg2の1周期分以上であると判定することができる。この場合、点滅周期調整部26Aにより、点滅マーカ4におけるマーカ光4mの点滅周期を調整する。例えば、点滅周期調整部26Aは、
図6に示すように、送信側基準信号Sg1を2倍の長さの周期に調整する。
【0058】
その後、
図3に示すような手順で、映像伝送遅延時間Tdを再度取得する。遅延時間異常判定部56Aは、映像伝送遅延時間Tdを取得する際に用いた、点滅信号Sgmと、点滅信号Sgmに同期した受信側点滅マーカ8の点滅信号Sgrとが、同じ種類であるか否かを判定する。
このような手順で、映像伝送遅延時間Tdを取得する際に用いた、点滅信号Sgmと、点滅信号Sgmに同期した受信側点滅マーカ8の点滅信号Sgrとが、同じ種類となるまで、点滅周期調整部26Aは、送信側基準信号Sg1を2倍の長さの周期に調整する。
【0059】
上述したような映像伝送遅延時間測定システム1Bによれば、上述した第一実施形態と同様の作用効果に加えて、映像伝送遅延時間Tdが、点滅マーカ4におけるマーカ光の点滅周期よりも長い場合等に、点滅周期調整部26Aにより、マーカ光の点滅周期を、映像伝送遅延時間Tdよりも長くすることができる。これにより、映像伝送遅延時間Tdを、より容易に把握することが可能となる。
【0060】
また、上記実施形態によれば、受信側基準信号Sg2に基づいた受信側点滅マーカ8のマーカ光の周期的な点滅が、第二点滅検知部72によって検知される。点滅周期調整部26Aでは、第一点滅検知部7で検知された点滅マーカ4のマーカ光と、第二点滅検知部72で検知された受信側点滅マーカ8におけるマーカ光とに基づいて、点滅マーカ4におけるマーカ光の点滅周期を調整する。例えば、第一点滅検知部7で検知された点滅マーカ4のマーカ光の種類と、第二点滅検知部72で検知された受信側点滅マーカ8におけるマーカ光の種類とが、異なっていた場合、映像伝送遅延時間Tdが、点滅マーカ4におけるマーカ光の点滅周期よりも長いと判断することができる。この場合、点滅周期調整部26Aで、点滅マーカ4におけるマーカ光の点滅周期を調整することによって、映像伝送遅延時間Tdを正確に把握することができる。
【0061】
なお、上記第二実施形態において、点滅マーカ4のマーカ光4m、受信側点滅マーカ8のマーカ光8mは、色を異ならせることで、複数の種類のマーカ光4m、8mを点滅させるようにしたが、点滅マーカ4のマーカ光4m、受信側点滅マーカ8のマーカ光8mは、例えば、点滅パターンを異ならせることで、複数の種類のマーカ光を点滅させるようにしてもよい。
【0062】
また、上記第二実施形態では、点滅周期調整部26Aが、第一点滅検知部7で検知された点滅マーカ4のマーカ光の種類と、第二点滅検知部72で検知された受信側点滅マーカ8におけるマーカ光の種類とに基づいて、点滅マーカ4におけるマーカ光の点滅周期を調整するようにしたが、これに限られない。例えば、表示装置6に表示された点滅マーカ4のマーカ光の種類(色)と、受信側点滅マーカ8におけるマーカ光の種類(色)を、担当者が目視し、判断を行うようにしてもよい。
【0063】
また、上記第二実施形態では、映像伝送遅延時間Tdを取得する際に用いた、点滅信号Sgmの種類(色)と、受信側点滅マーカ8の点滅信号Sgrの種類とが異なっていた場合、映像伝送遅延時間Tdは、受信側基準信号Sg2の1周期分以上であると判定するようにしたが、これに限られない。例えば、担当者が、点滅信号Sgmと点滅信号Sgrを目視し、色の違いに基づいて、判定を行うようにしてもよい。
【0064】
<第三実施形態>
次に、本開示に係る映像伝送遅延時間測定システム、映像伝送遅延時間測定方法の第三実施形態について説明する。なお、以下に説明する第三実施形態においては、上記第一実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第三実施形態では、上記第二実施形態で示した構成とは異なる構成により、点滅マーカ4におけるマーカ光4mの点滅周期を調整する。
【0065】
図7は、上記映像伝送遅延時間測定システムの第三実施形態に係る構成を示す図である。
図7に示すように、映像伝送遅延時間測定システム1Cは、上記映像伝送遅延時間測定システム1Aの構成に加えて、送信側時刻情報表示装置200と、時刻差分取得部300と、点滅周期調整部26Bを更に備えている。
【0066】
送信側時刻情報表示装置200は、送信ユニット2に備えられている。送信側時刻情報表示装置200は、撮影場所における撮影場所時刻情報Tpを表示する。送信側時刻情報表示装置200は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等であり、GPS信号よりも同期誤差が大きい同期信号として、外部の時刻情報出力部から配信される時刻情報、例えばNTP(Network Time Protocol)サーバから配信される時刻情報を取得可能である。送信側時刻情報表示装置200は、送信側時刻情報表示装置200が備えるモニタ画面等に、取得した時刻情報を、撮影場所における撮影場所時刻情報Tpとして表示する。送信側時刻情報表示装置200は、撮影装置3による撮影視野範囲内に配置される。
すると、撮影装置3は、撮影対象T、点滅マーカ4のマーカ光4m、及び送信側時刻情報表示装置200に表示される撮影場所時刻情報Tpを含む映像を撮影する。これにより、表示装置6は、撮影対象T、マーカ光4mの像に加えて、撮影場所時刻情報Tpが表示される。
【0067】
時刻差分取得部300は、受信ユニット5に備えられている。時刻差分取得部300は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ等であり、外部の時刻情報出力部から配信される時刻情報として、例えばNTPサーバから配信される時刻情報が取得可能である。これにより、時刻差分取得部300は、離間場所において、撮影場所時刻情報Tpに実質的に同期した離間場所時刻情報を取得可能である。
【0068】
また、時刻差分取得部300は、表示装置6に表示される撮影場所時刻情報Tpを撮影可能なカメラ301を備えている。時刻差分取得部300は、カメラ301で撮影した撮影場所時刻情報Tpとして表示されている時刻を、適宜の文字認識処理により読み取る。時刻差分取得部300は、読み取った撮影場所時刻情報Tpと、離間場所で取得される離間場所時刻情報との差分を取得する。
【0069】
撮影場所時刻情報Tpと、離間場所で取得される離間場所時刻情報との差分には、撮影装置3で撮影された撮影場所時刻情報Tpが表示装置6に表示されるまでの映像伝送遅延時間が含まれている。時刻差分取得部300では、このようにして取得された差分が、受信側基準信号Sg2の1周期分(上記の例では1秒)以上であるか否かを判定する。時刻差分取得部300では、取得された差分が、受信側基準信号Sg2の1周期分以上であった場合には、時刻差分取得部300が備える通信機能により、ネットワーク100等を介して、送信ユニット2の点滅周期調整部26Bに、撮影場所時刻情報Tpと、離間場所で取得される離間場所時刻情報との差分を通知する。
【0070】
点滅周期調整部26Bでは、時刻差分取得部300からの通知に基づき、撮影場所時刻情報Tpと、離間場所で取得される離間場所時刻情報との差分に応じて、点滅マーカ4におけるマーカ光4mの点滅周期を調整する。
【0071】
上述したような映像伝送遅延時間測定システム1Cによれば、上述した第一、第二実施形態と同様の作用効果に加えて、撮影装置3が、送信側時刻情報表示装置200に表示される撮影場所時刻情報Tpを含む映像を撮影すると、時刻差分取得部300では、送信側時刻情報表示装置200に表示される撮影場所時刻情報Tpと、離間場所で取得される離間場所時刻情報との差分を取得する。取得された撮影場所時刻情報Tpと離間場所時刻情報との差分が大きい場合、点滅周期調整部26Bで、マーカ光の点滅周期を調整することで、映像伝送遅延時間Tdを正確に把握することができる。
【0072】
<第四実施形態>
次に、本開示に係る映像伝送遅延時間測定システム、映像伝送遅延時間測定方法の第四実施形態について説明する。なお、以下に説明する第四実施形態においては、上記第一実施形態及び第四実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。第四実施形態では、映像伝送遅延時間測定システムの故障診断機能を有する点で第一~第三実施形態と異なっている。
【0073】
図8は、上記映像伝送遅延時間測定システム、映像伝送遅延時間測定方法の第四実施形態に係る映像伝送遅延時間測定システム1Dは、第一~第三実施形態で示した映像伝送遅延時間測定システム1A~1Cと組み合わせた構成とすることができる。
図8に示す構成では、映像伝送遅延時間測定システム1Dは、上記第一実施系で示した映像伝送遅延時間測定システム1Aの構成に、故障診断部58を備えている。
【0074】
映像伝送遅延時間測定システム1Dにおいては、点滅マーカ4は、複数設けられている。また、撮影装置3は、不図示の駆動装置によって、その撮影方向が変更可能とされている。そして、撮影装置3、及び点滅マーカ4は、点滅マーカ4の点滅周期に合わせて定位置に戻るように、相対移動可能とされている。複数の点滅マーカ4は、送信側基準信号Sg1(
図2参照)に基づいて、同期して点滅する。撮影装置3は、複数の点滅マーカ4が点灯するタイミングで、複数の点滅マーカ4を順次撮影するよう、撮影方向を変更する。これにより、撮影装置3では、複数の点滅マーカ4の点滅周期毎に異なる点滅マーカ4を順次撮影する。
【0075】
受信側コントローラ50では、上記第一実施形態で説明したように、撮影装置3で撮影された映像に含まれる、点滅マーカ4の点滅状態を示す点滅信号Sgmを用いて、映像伝送遅延時間Tdを取得することができる。
【0076】
故障診断部58は、受信側コントローラ50に備えられている。故障診断部58は、撮影装置3で撮影された映像に基づいて、送信ユニット2の故障の発生の有無を診断する。故障診断部58は、複数の点滅マーカ4の点滅タイミングで順次撮影する映像を比較する。故障診断部58は、複数の点滅マーカ4の点滅タイミングで順次撮影する映像において、撮影された背景の映像に変化がなければ、送信ユニット2が、何らかの原因で故障し、その動作を停止していると診断することができる。故障診断部58は、故障が発生していると診断された場合、その時点で取得した映像伝送遅延時間Tdを無効とすることができる。また、故障診断部58は、故障が発生していると診断された場合、故障の発生を外部に通知するようにしてもよい。
【0077】
上述したような映像伝送遅延時間測定システム1Dによれば、上述した第一~第三実施形態と同様の作用効果に加えて、撮影装置3、及び点滅マーカ4を、点滅マーカ4の点滅周期に合わせて定位置に戻るように、相対移動させることで、撮影装置3、及び点滅マーカ4の少なくとも一方が正常に動作していない場合、撮影装置3により、点滅マーカ4の点滅を正常に撮影できなくなる。したがって、撮影装置3、点滅マーカ4が、正常に動作しているか否かを容易に判断することができる。
【0078】
なお、上記第四実施形態では、複数の点滅マーカ4を備え、撮影装置3の撮影方向を変更する構成としたが、これに限られない。撮影装置3の撮影方向を変更せず、点滅マーカ4を、撮影装置3に対して相対移動させるようにしてもよい。
【0079】
また、故障診断部58における、撮影装置3で撮影される映像に基づいて、故障診断を行うようにしたが、これに限られない。
例えば、送信ユニット2側で、撮影装置3の故障、点滅マーカ4の故障等が生じた場合、撮影装置3で撮影される映像において、マーカ光4mの点滅周期が、通常より長くなる(点滅しなくなる場合を含む)。
そこで、遅延時間情報出力部55で取得される映像伝送遅延時間Tdが、予め設定された閾値を超えるか否かを判定し、映像伝送遅延時間Tdが閾値以上である場合には、送信ユニット2側に故障が発生していると判断することができる。
【0080】
また、点滅信号Sgmにおいて、マーカ光4mの点灯継続時間、又は消灯継続時間が、
予め設定した閾値を超えるか否かを判定し、点灯継続時間、又は消灯継続時間が閾値以上である場合には、送信ユニット2側に故障が発生していると判断することができる。
【0081】
上記第四実施形態で示した故障診断部58における診断は、受信ユニット5の担当者の判断によって行うようにしてもよい。
【0082】
また、上記各実施形態では、撮影制御部21が、撮影装置3の動作を制御するようにしたが、これに限られない。例えば、撮影装置3に既存のカメラ等を用い、撮影装置3の操作は、担当者が行い、撮影動作の制御は、撮影装置3自体が行うようにしてもよい。
また、撮影装置3で撮影した映像のデータのエンコード処理についても、撮影制御部21ではなく、別途のエンコーダ等で行うようにしてもよい。
【0083】
<付記>
各実施形態に記載の映像伝送遅延時間測定システム1A~1D、映像伝送遅延時間測定方法は、例えば以下のように把握される。
【0084】
(1)第1の態様に係る映像伝送遅延時間測定システム1A~1Dは、撮影場所に配置された送信ユニット2と、前記撮影場所から離れた離間場所に設置された受信ユニット5と、を備え、前記送信ユニット2は、前記撮影場所でGPS信号を受信する送信側GPS信号受信部23と、前記送信側GPS信号受信部23で受信された前記GPS信号に同期した送信側基準信号Sg1を発信する送信側基準信号発信部24と、前記送信側基準信号Sg1に基づいて、周期的にマーカ光を点滅させる点滅マーカ4と、前記撮影場所で、撮影対象、及び前記点滅マーカ4を含む映像を撮影する撮影装置3と、前記撮影装置3で撮影された映像のデータを送信するデータ送信部25と、を備え、前記受信ユニット5は、前記映像のデータを受信するデータ受信部51と、受信した前記映像のデータに基づいた映像を表示する表示装置6と、前記表示装置6に表示された映像における、前記マーカ光の点滅を検知する第一点滅検知部7と、前記離間場所でGPS信号を受信する受信側GPS信号受信部53と、前記受信側GPS信号受信部53で受信された前記GPS信号に同期した受信側基準信号Sg2を発信する受信側基準信号発信部54と、前記第一点滅検知部7で検知された前記マーカ光の点滅状態を示す点滅信号Sgmと前記受信側基準信号Sg2とに基づいて、前記映像が、前記撮影装置3で撮影されたときから、前記表示装置6に表示されるまでの映像伝送遅延時間Tdに関する情報を出力する遅延時間情報出力部55と、を備える。
【0085】
この映像伝送遅延時間測定システム1A~1Dは、撮影場所に配置された送信ユニット2の撮影装置3で、撮影対象の映像を撮影し、その映像のデータを、データ送信部25により受信ユニット5に送信する。受信ユニット5では、受信した映像のデータに基づいた映像を、表示装置6に表示する。
送信ユニット2では、送信側GPS信号受信部23で受信されたGPS信号に同期した、送信側基準信号Sg1が発信される。一方、受信ユニット5では、受信側GPS振動受信部で受信されたGPS信号に同期した、受信側基準信号Sg2が発信される。これにより、撮影場所と、撮影場所から離間した離間場所とでは、時刻的に同期した送信側基準信号Sg1と、受信側基準信号Sg2とが発信されている。
送信ユニット2では、送信側基準信号Sg1に基づいて、点滅マーカ4のマーカ光が周期的に点滅する。撮影装置3では、撮影対象とともに、点滅マーカ4を含む映像を撮影する。受信ユニット5の表示装置6には、撮影対象ととともに点滅マーカ4のマーカ光が点滅している映像が表示される。第一点滅検知部7では、表示装置6に表示された映像におけるマーカ光の点滅を検知する。したがって、遅延時間情報出力部55では、第一点滅検知部7で検知されたマーカ光の点滅状態を示す点滅信号Sgmと、受信側基準信号Sg2とに基づいて、映像が、撮影装置3で撮影されたときから、表示装置6に表示されるまでの映像伝送遅延時間Tdに関する情報を出力する。
ここで、受信側基準信号Sg2は、送信側基準信号Sg1と同期しており、マーカ光の点滅は、送信側基準信号Sg1に基づいて行われている。つまり、第一点滅検知部7で検知されたマーカ光の点滅状態を示す点滅信号Sgmと、受信側基準信号Sg2との時間差は、撮影場所におけるマーカ光の点滅と、離間場所で表示された映像中におけるマーカの点滅との時間差、すなわち、映像伝送遅延時間Tdである。
ここで、遅延時間情報出力部55では、映像伝送遅延時間Tdに関する情報として、第一点滅検知部7で検知されたマーカ光の点滅状態を示す点滅信号Sgmと、受信側基準信号Sg2との時間的な差を、目視可能な波形情報等によって出力(表示)するようにしてもよい。
また、遅延時間情報出力部55では、映像伝送遅延時間Tdに関する情報として、第一点滅検知部7で検知されたマーカ光の点滅状態を示す点滅信号Sgmと、受信側基準信号Sg2との時間的な差を、算出し、算出した数値を、映像伝送遅延時間Tdとして、出力するようにしてもよい。
このように、撮影装置3で撮影される映像に、撮影対象とともに表示された、点滅マーカ4のマーカ光の点滅に基づいて、映像伝送遅延時間Tdを取得することができる。したがって、実際の映像の撮影をしながら、映像伝送の遅延時間を測定することができることができる。
【0086】
(2)第2の態様に係る映像伝送遅延時間測定システム1A~1Dは、(1)の映像伝送遅延時間測定システム1A~1Dであって、前記送信側基準信号Sg1、及び前記受信側基準信号Sg2は、定められた時間間隔ごとに信号状態が切り替わるパルス信号であり、前記点滅信号Sgmは、前記点滅マーカ4の点灯及び消灯に応じた信号状態の切り替わりを示す波形信号である。
【0087】
これにより、送信側基準信号Sg1、及び受信側基準信号Sg2がパルス信号であり、点滅信号Sgmが、点滅マーカ4の点灯及び消灯に応じた信号状態の切り替わりを示す波形信号であるので、受信側基準信号Sg2と点滅信号Sgmとを比較することで、映像伝送遅延時間Tdを容易に把握することができる。
【0088】
(3)第3の態様に係る映像伝送遅延時間測定システム1A~1Dは、(2)の映像伝送遅延時間測定システム1A~1Dであって、前記遅延時間情報出力部55は、前記受信側基準信号Sg2と、前記点滅信号Sgmとを、並べて表示するオシロスコープである。
【0089】
これにより、オシロスコープで、受信側基準信号Sg2と点滅信号Sgmとを並べて表示することで、映像伝送遅延時間Tdを、視覚的に容易に把握することができる。
【0090】
(4)第4の態様に係る映像伝送遅延時間測定システム1A~1Dは、(2)又は(3)の映像伝送遅延時間測定システム1A~1Dであって、前記遅延時間情報出力部55は、前記受信側基準信号Sg2の信号状態が切り替わるタイミングと、前記点滅信号Sgmの信号状態が切り替わるタイミングと、に基づいて、前記映像伝送遅延時間Tdに関する情報を出力する。
【0091】
これにより、遅延時間情報出力部55では、受信側基準信号Sg2の信号状態が切り替わるタイミングと、点滅信号Sgmの信号状態が切り替わるタイミングと、に基づいて、映像伝送遅延時間Tdを容易に把握することができる。
【0092】
(5)第5の態様に係る映像伝送遅延時間測定システム1A~1Dは、(4)の映像伝送遅延時間測定システム1A~1Dであって、前記遅延時間情報出力部55は、前記受信側基準信号Sg2の信号状態が切り替わるタイミングと、前記点滅信号Sgmの信号状態が切り替わるタイミングと、に基づいて、前記映像伝送遅延時間Tdを算出し、算出された前記映像伝送遅延時間Tdの値を出力する。
【0093】
これにより、遅延時間情報出力部55では、受信側基準信号Sg2の信号状態が切り替わるタイミングと、点滅信号Sgmの信号状態が切り替わるタイミングと、に基づいて、映像伝送遅延時間Tdを算出することで、映像伝送遅延時間Tdを容易に正確に把握することができる。
【0094】
(6)第6の態様に係る映像伝送遅延時間測定システム1A~1Dは、(1)から(5)の何れか一つの映像伝送遅延時間測定システム1A~1Dであって、前記点滅マーカ4と前記撮影装置3とを固定する固定部材31をさらに備えている。
【0095】
これにより、撮影装置3によって撮影される映像において、例えば、撮影装置3、点滅マーカ4が、船舶、車両等の移動体、各種の機械等に設けられている場合、振動等によって、点滅マーカ4が撮影装置3に対して相対的に移動してしまうことが抑えられる。したがって、表示装置6に表示される映像において、点滅マーカ4の位置がずれることが抑えられ、第一点滅検知部7でマーカ光の点滅を良好に検知できる。
【0096】
(7)第7の態様に係る映像伝送遅延時間測定システム1B、1Cは、(1)から(6)の何れか一つの映像伝送遅延時間測定システム1B、1Cであって、前記送信ユニット2は、前記点滅マーカ4における前記マーカ光の点滅周期を調整可能な点滅周期調整部26A、26Bを更に備える。
【0097】
これにより、例えば、映像伝送遅延時間Tdが、点滅マーカ4における前記マーカ光の点滅周期よりも長い場合等に、マーカ光の点滅周期を、映像伝送遅延時間Tdよりも長くすることができる。これにより、映像伝送遅延時間Tdを、より容易に把握することが可能となる。
【0098】
(8)第8の態様に係る映像伝送遅延時間測定システム1Bは、(7)の映像伝送遅延時間測定システム1Bであって、前記受信ユニット5は、前記受信側基準信号Sg2に基づいて、周期的にマーカ光8mを点滅させる受信側点滅マーカ8と、前記受信側点滅マーカ8におけるマーカ光8mの点滅を検知する第二点滅検知部72と、を更に備え、前記点滅マーカ4と前記受信側点滅マーカ8とは、それぞれ、複数の種類の前記マーカ光4m、8mを同じ順序で点滅可能であり、前記点滅周期調整部26Aは、前記第一点滅検知部7で検知された前記点滅マーカ4の前記マーカ光の種類と、前記第二点滅検知部72で検知された前記受信側点滅マーカ8における前記マーカ光の種類とに基づいて、前記点滅マーカ4における前記マーカ光の点滅周期を調整する。
【0099】
これにより、受信側基準信号Sg2に基づいた受信側点滅マーカ8のマーカ光の周期的な点滅が、第二点滅検知部72によって検知される。点滅周期調整部26Aでは、第一点滅検知部7で検知された点滅マーカ4のマーカ光と、第二点滅検知部72で検知された受信側点滅マーカ8におけるマーカ光とに基づいて、点滅マーカ4におけるマーカ光の点滅周期を調整する。例えば、第一点滅検知部7で検知された点滅マーカ4のマーカ光の種類と、第二点滅検知部72で検知された受信側点滅マーカ8におけるマーカ光の種類とが、異なっていた場合、映像伝送遅延時間Tdが、点滅マーカ4におけるマーカ光の点滅周期よりも長いと判断することができる。そこで、点滅周期調整部26Aで、点滅マーカ4におけるマーカ光の点滅周期を調整することによって、映像伝送遅延時間Tdを正確に把握することができる。
【0100】
(9)第9の態様に係る映像伝送遅延時間測定システム1Cは、(7)の映像伝送遅延時間測定システム1Cであって、前記送信ユニット2は、前記撮影場所における撮影場所時刻情報Tpを表示する送信側時刻情報表示装置200をさらに備え、前記撮影装置3は、前記送信側時刻情報表示装置200に表示される前記撮影場所時刻情報Tpを含む前記映像を撮影し、前記受信ユニット5は、前記表示装置6に表示される前記撮影場所時刻情報Tpと、前記離間場所で取得される、前記撮影場所時刻情報Tpに同期した離間場所時刻情報との差分を取得する時刻差分取得部300を備え、前記点滅周期調整部26Bは、取得された差分に基づいて、前記点滅マーカ4における前記マーカ光の点滅周期を調整する。
【0101】
これにより、撮影装置3が、送信側時刻情報表示装置200に表示される撮影場所時刻情報Tpを含む映像を撮影すると、時刻差分取得部300では、送信側時刻情報表示装置200に表示される撮影場所時刻情報Tpと、離間場所で取得される離間場所時刻情報との差分を取得することができる。取得された撮影場所時刻情報Tpと離間場所時刻情報との差分が大きい場合、点滅周期調整部26Bで、マーカ光の点滅周期を調整することで、映像伝送遅延時間Tdを正確に把握することができる。
【0102】
(10)第10の態様に係る映像伝送遅延時間測定システム1Dは、(1)から(9)の何れか一つの映像伝送遅延時間測定システム1Dであって、前記撮影装置3、及び前記点滅マーカ4は、前記点滅マーカ4の点滅周期に合わせて定位置に戻るように、相対移動可能とされている。
【0103】
これにより、撮影装置3、及び前記点滅マーカ4を、前記点滅マーカ4の点滅周期に合わせて定位置に戻るように、相対移動させると、撮影装置3と点滅マーカ4とが正常に動作していれば、それぞれ定位置に位置した撮影装置3により、点滅マーカ4の点滅を撮影することができる。撮影装置3、及び点滅マーカ4の少なくとも一方が正常に動作していない場合、撮影装置3により、点滅マーカ4の点滅を正常に撮影できなくなる。したがって、撮影装置3、点滅マーカ4が、正常に動作しているか否かを容易に判断することができる。
【0104】
(11)第11の態様に係る映像伝送遅延時間測定方法は、撮影場所でGPS信号を受信するステップS11と、受信された前記GPS信号に同期した送信側基準信号Sg1を発信するステップS12と、前記送信側基準信号Sg1に基づいて、周期的にマーカ光を点滅させるステップS13と、前記撮影場所で、撮影対象、及び前記点滅マーカ4を含む映像を撮影するステップS14と、撮影された前記映像のデータを送信するステップS15と、前記撮影場所から離れた離間場所で、前記映像のデータを受信するステップS21と、受信した前記映像のデータに基づいた映像を表示するステップS22と、表示された前記映像における、前記マーカ光の点滅を検知するステップS23と、前記離間場所でGPS信号を受信するステップS24と、前記離間場所で受信された前記GPS信号に同期した受信側基準信号Sg2を発信するステップS25と、検知された前記マーカ光の点滅状態を示す点滅信号Sgmと前記受信側基準信号Sg2とに基づいて、前記映像が、前記撮影装置3で撮影されたときから、前記表示装置6に表示されるまでの映像伝送遅延時間Tdに関する情報を出力するステップS26と、を含む。
【0105】
この映像伝送遅延時間測定方法は、実際の映像の撮影をしながら、映像伝送の遅延時間を測定することができることができる。
【符号の説明】
【0106】
1A~1D…映像伝送遅延時間測定システム
2…送信ユニット
3…撮影装置
3a…範囲
4…点滅マーカ
4m、4mB、4mG、4mR…マーカ光
5…受信ユニット
6…表示装置
7…第一点滅検知部
8…受信側点滅マーカ
8m、8mB、8mG、8mR…マーカ光
20…送信側コントローラ
21…撮影制御部
22…マーカ制御部
23…送信側GPS信号受信部
24…送信側基準信号発信部
25…データ送信部
26A、26B…点滅周期調整部
31…固定部材
50…受信側コントローラ
51…データ受信部
52…表示制御部
53…受信側GPS信号受信部
54…受信側基準信号発信部
55…遅延時間情報出力部
56A…遅延時間異常判定部
58…故障診断部
72…第二点滅検知部
100…ネットワーク
200…送信側時刻情報表示装置
300…時刻差分取得部
301…カメラ
Sg1…送信側基準信号
Sg2…受信側基準信号
Sgm…点滅信号
Sgr…点滅信号
T…撮影対象
Td…映像伝送遅延時間
Tp…撮影場所時刻情報