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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080107
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】アクセルペダル装置
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/12 20120101AFI20240606BHJP
   B60W 30/14 20060101ALI20240606BHJP
   F02D 11/10 20060101ALI20240606BHJP
   B60K 26/02 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B60W50/12
B60W30/14
F02D11/10 Q
B60K26/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193011
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石脇 誠也
(72)【発明者】
【氏名】中村 勉
(72)【発明者】
【氏名】吉田 優介
【テーマコード(参考)】
3D037
3D241
3G065
【Fターム(参考)】
3D037EA01
3D037EB01
3D241BA01
3D241BA70
3D241BB06
3D241CD07
3D241DA12Z
3G065CA17
(57)【要約】
【課題】アクセルペダルの規制が解除された際に、車両が急加速することを抑制可能なアクセルペダル装置を提供すること。
【解決手段】
自動運転モードで走行可能な車両に設けられるアクセルペダル装置は、基準位置から第1方向Dzh1へ移動するアクセルペダル12と、アクセルペダルを第2方向Dzh2へ移動させる反力発生部15と、ペダル位置情報を出力するペダル位置検出部16と、アクセルペダルの第1方向への移動を規制するとともに、解除操作力によってアクセルペダルの移動の規制を解除するペダル規制部20と、規制情報を出力する規制検出部30と、規制情報に基づいてペダル解除状態を検出するとともに、ペダル位置情報に基づいて車両の走行速度を制御する制御部8と、を備える。制御部は、ペダル解除状態を検出すると、アクセルペダルが解除位置より第2方向側に移動するまでペダル位置に基づいた走行速度の制御を不可能とする。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた自動速度で走行させる自動運転モードで走行可能な車両に設けられるアクセルペダル装置であって、
運転者の操作によって加えられる操作力で基準位置から第1方向(Dzh1)へ移動するアクセルペダル(12)と、
前記アクセルペダルへの前記操作力が解除された際、前記アクセルペダルを前記第1方向とは反対方向である第2方向(Dzh2)へ移動させる反力を発生させて、前記基準位置に前記アクセルペダルを復元させる反力発生部(15)と、
前記アクセルペダルの移動位置に応じたペダル位置情報を出力するペダル位置検出部(16)と、
前記車両が前記自動運転モード走行する際、前記アクセルペダルを規制位置に位置付けることで、前記操作力による前記アクセルペダルの前記第1方向への移動を規制するとともに、前記アクセルペダルの移動を規制している際、前記アクセルペダルに前記アクセルペダルの移動の規制を解除するための解除操作力以上の前記操作力が加えられると前記アクセルペダルの移動の規制を解除するペダル規制部(20)と、
前記ペダル規制部による前記アクセルペダルの移動の規制状態に関する規制情報を出力する規制検出部(30)と、
前記規制検出部が出力する前記規制情報に基づいて、前記車両が前記自動運転モードで走行中に前記ペダル規制部による前記アクセルペダルの移動の規制が解除された状態であるペダル解除状態を検出するとともに、前記ペダル位置情報に基づいて前記アクセルペダルの位置であるペダル位置を算出し、算出した前記ペダル位置に基づいて前記車両の走行速度を制御する制御部(8)と、を備え、
前記アクセルペダルは、前記ペダル規制部による移動の規制が解除されると、前記解除操作力によって前記規制位置より前記第1方向側の位置である解除位置まで移動し、前記解除操作力が解除されると前記反力発生部の前記反力によって前記解除位置より前記第2方向側へ移動し、
前記制御部は、前記ペダル解除状態を検出すると、前記アクセルペダルが前記解除位置より前記第2方向側に移動するまで前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を不可能とし、前記アクセルペダルが前記解除位置より前記第2方向側に移動すると前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を可能とするアクセルペダル装置。
【請求項2】
前記車両の走行速度を前記自動速度に対応する速度にするための前記ペダル位置を自動速度位置としたとき、
前記制御部は、前記ペダル解除状態を検出すると、前記アクセルペダルが前記自動速度位置より前記第2方向側へ移動するまで前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を不可能とし、前記アクセルペダルが前記自動速度位置より前記第2方向側へ移動すると前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を可能とする請求項1に記載のアクセルペダル装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記アクセルペダルが移動する際の時間の経過に伴う前記アクセルペダルの移動量の変化率が負の値である場合、前記アクセルペダルが前記第2方向側へ移動していると判定する請求項2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記ペダル解除状態を検出すると、前記アクセルペダルが前記基準位置に位置付けられるまで前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を不可能とし、前記アクセルペダルが前記基準位置に位置付けられると前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を可能とする請求項1に記載のアクセルペダル装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ペダル解除状態を検出してから前記運転者による前記アクセルペダルの操作を有効にするか否かを判定するアクセル有効化時間(t2)が経過するまでに、前記アクセルペダルが前記解除位置より前記第2方向側に移動しない場合、前記車両の走行速度を予め定められた加速度で変化させて前記ペダル位置に基づいた走行速度に近付ける請求項1ないし4のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記ペダル規制部の作動を制御可能であって、前記ペダル規制部による前記アクセルペダルの移動の規制を解除させた後、前記アクセルペダルが前記基準位置へ位置付けられた状態が前記アクセルペダルの移動を再度規制するか否かを判定する規制開始時間(t1)だけ維持されていることを検出した場合、前記ペダル規制部によって前記アクセルペダルの移動を再度規制させる請求項1ないし4のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
【請求項7】
該アクセルペダル装置は、前記車両の走行状態および前記車両の周囲環境の情報を含む運転状態に関連する情報に応じた運転状態信号を出力する車両情報検出部(3)を備える前記車両に設けられ、
前記制御部は、前記車両が前記自動運転モードで走行中に前記自動運転モードの継続が不可能となった場合、前記車両情報検出部が出力する前記運転状態信号に基づいて前記自動運転モードでの走行を不可能と判定するとともに、前記ペダル規制部による前記アクセルペダルの移動の規制を解除可能であって、
前記自動運転モードでの走行を不可能と判定するに伴い前記ペダル規制部による前記アクセルペダルの移動の規制を解除させた場合、前記アクセルペダルが前記基準位置に位置付けられるまで前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を不可能とし、前記アクセルペダルが前記基準位置に位置付けられると前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を可能とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
【請求項8】
該アクセルペダル装置は、前記運転者による前記車両に設けられたステアリングホイールの把持状態に応じた把持信号を出力する把持検出部(9)を備える前記車両に設けられ、
前記制御部は、前記把持検出部が出力する前記把持信号に基づいて前記運転者が前記ステアリングホイールを把持しているか否かを判定可能であって、
前記自動運転モードでの走行を不可能と判定するに伴い前記ペダル規制部による前記アクセルペダルの移動の規制を解除させた場合、前記運転者が前記ステアリングホイールを把持している状態を検出するまで前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を不可能とし、前記運転者が前記ステアリングホイールを把持している状態を検出すると前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を可能とする請求項7に記載のアクセルペダル装置。
【請求項9】
該アクセルペダル装置は、前記車両の走行状態および前記車両の周囲環境の情報を含む運転状態に関連する情報に応じた運転状態信号を出力する車両情報検出部(3)と、前記運転者に前記アクセルペダルの操作を催促する操作催促装置(12、70、71、72)を備える前記車両に設けられ、
前記制御部は、前記操作催促装置の作動を制御するとともに、前記車両が前記自動運転モードで走行中に前記自動運転モードの継続が不可能となった場合、前記車両情報検出部が出力する前記運転状態信号に基づいて、前記自動運転モードでの走行を不可能と判定するとともに、前記操作催促装置の作動を制御することで前記運転者に前記アクセルペダルの操作を催促することが可能であって、
前記自動運転モードでの走行を不可能と判定するに伴い前記催促を行った場合、前記アクセルペダルが前記基準位置に位置付けられるまで記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を不可能とし、前記アクセルペダルが前記基準位置に位置付けられると前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を可能とし、前記催促をしてから前記アクセルペダルが前記基準位置に位置付けられない状態で、前記運転者が操作の準備を行うために必要な準備時間(t3)が経過すると、前記車両の走行を停止させる請求項1ないし4のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
【請求項10】
該アクセルペダル装置は、前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を可能とするための前記アクセルペダルの操作を前記運転者に対して報知する報知装置(12、70、71、72)を備える前記車両に設けられ、
前記制御部は、前記報知装置の作動を制御可能であって、前記報知装置によって前記運転者に対して前記ペダル位置に基づいた走行速度の制御を可能とするための前記アクセルペダルの操作を報知させる請求項1ないし4のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクセルペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動運転モードで走行可能な車両に適用されるアクセルペダル装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このアクセルペダル装置は、ACC(Adaptive Cruise Control)装置による自動運転モードで走行中に、アクセルペダルの位置を、全く踏み込んでいない基準位置を越えた揺動位置で保持することで、アクセルペダルをフットレストとして使用可能としている。また、アクセルペダル装置は、揺動位置から基準位置を超えて所定位置まで踏み込まれることによって、自動運転モードを解除して、車両の加速を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-69939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のアクセルペダル装置は、アクセルペダルが所定位置まで踏み込まれることによって、保持されて回転が規制されていたアクセルペダルが解除される。しかし、発明者の鋭意検討によれば、運転者の誤ったアクセルペダルの踏み込み操作や、意図しないアクセルペダルの踏み込み操作が行われてアクセルペダルの回転の規制が解除されると、車両が急加速する虞があることが分かった。
【0005】
本開示は、アクセルペダルの規制が解除された際に、車両が急加速することを抑制可能なアクセルペダル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、
予め定められた自動速度で走行させる自動運転モードで走行可能な車両に設けられるアクセルペダル装置であって、
運転者の操作によって加えられる操作力で基準位置から第1方向(Dzh1)へ移動するアクセルペダル(12)と、
アクセルペダルへの操作力が解除された際、アクセルペダルを第1方向とは反対方向である第2方向(Dzh2)へ移動させる反力を発生させて、基準位置にアクセルペダルを復元させる反力発生部(15)と、
アクセルペダルの移動位置に応じたペダル位置情報を出力するペダル位置検出部(16)と、
車両が自動運転モード走行する際、アクセルペダルを規制位置に位置付けることで、操作力によるアクセルペダルの第1方向への移動を規制するとともに、アクセルペダルの移動を規制している際、アクセルペダルにアクセルペダルの移動の規制を解除するための解除操作力以上の操作力が加えられるとアクセルペダルの移動の規制を解除するペダル規制部(20)と、
ペダル規制部によるアクセルペダルの移動の規制状態に関する規制情報を出力する規制検出部(30)と、
規制検出部が出力する規制情報に基づいて、車両が自動運転モードで走行中にペダル規制部によるアクセルペダルの移動の規制が解除された状態であるペダル解除状態を検出するとともに、ペダル位置情報に基づいてアクセルペダルの位置であるペダル位置を算出し、算出したペダル位置に基づいて車両の走行速度を制御する制御部(8)と、を備え、
アクセルペダルは、ペダル規制部による移動の規制が解除されると、解除操作力によって規制位置より第1方向側の位置である解除位置まで移動し、解除操作力が解除されると反力発生部の反力によって解除位置より第2方向側へ移動し、
制御部は、ペダル解除状態を検出すると、アクセルペダルが解除位置より第2方向側に移動するまでペダル位置に基づいた走行速度の制御を不可能とし、アクセルペダルが解除位置より第2方向側に移動するとペダル位置に基づいた走行速度の制御を可能とする。
【0007】
これによれば、自動運転モードで走行時に、アクセルペダルの踏み込み操作が行われてアクセルペダルの移動の規制が解除された際に、アクセルペダルが解除位置から第2方向側に戻るまでアクセルペダルの操作に基づいて車両の走行速度が制御されない。このため、運転者の意図しない踏み込み操作によってアクセルペダルの移動の規制が解除された場合であっても、車両が急加速することを抑制できる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態に係るアクセルペダル装置の概略構成図である。
図2】自動運転モードで実行するACCを説明するための図である。
図3】第1実施形態に係るアクセルペダル装置が適用される自動運転システムのシステムブロック図である。
図4】第1実施形態に係るアクセルペダル装置の動作を説明するための図である。
図5】アクセルペダルのフットレストを解除する際の動作を説明するための図である。
図6】アクセルペダルのフットレストが解除された状態を示す図である。
図7】運転者にアクセルペダルの状態を報知する際の作動を説明するための図である。
図8】第1実施形態に係る車両駆動制御部が実行する制御処理の一例を示すフローチャートである。
図9】第1実施形態に係るアクセルペダル装置の作動を時系列に説明するための図である。
図10】第1実施形態に係る車両駆動制御部がアクセルペダルの操作の引き継ぎが可能かを判定する方法を説明するための図である。
図11】第1実施形態に係るアクセルペダル装置の作動を時系列に説明するための図である。
図12】第2実施形態に係る車両駆動制御部が実行する制御処理の一例を示すフローチャートである。
図13】第2実施形態に係る車両駆動制御部がアクセルペダルの操作の引き継ぎが可能かを判定する方法を説明するための図である。
図14】第2実施形態に係るアクセルペダル装置の作動を時系列に説明するための図である。
図15】第3実施形態に係る車両駆動制御部が実行する制御処理の一例を示すフローチャートである。
図16】第3実施形態に係るアクセルペダル装置の作動を時系列に説明するための図である。
図17】第4実施形態に係るアクセルペダル装置が適用される自動運転システムのシステムブロック図である。
図18】第4実施形態に係るアクセルペダル装置の動作を説明するための図である。
図19】第4実施形態に係る車両駆動制御部が実行する制御処理の一例を示すフローチャートである。
図20】第4実施形態に係るアクセルペダル装置の作動を時系列に説明するための図である。
図21】第5実施形態に係る車両駆動制御部が実行する制御処理の一例を示すフローチャートである。
図22】第5実施形態に係るアクセルペダル装置の作動を時系列に説明するための図である。
図23】第5実施形態に係るアクセルペダル装置の作動を時系列に説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0011】
(第1実施形態)
本実施形態のアクセルペダル装置1について、図1図11を参照して説明する。本実施形態の図1に示すアクセルペダル装置1は、例えば、車両の運転モードを自動運転モードおよび手動運転モードに切り替え可能な自動運転システムを有する車両に適用されている。まず、自動運転システムが実行する自動運転モードおよび手動運転モードについて説明する。
【0012】
自動運転モードは、運転者の設定操作(例えば、自動運転モードのオン操作)によって、運転者が後述のアクセルペダル12、不図示のブレーキペダル、不図示のステアリングホイール等を操作することなく車両を自動で走行させることが可能なモードである。また、本実施形態の自動運転モードは、例えば、SAE Internationalが公開している規格「SAE J3016」に規定されたSAEレベル1、SAEレベル2およびSAEレベル3に相当する運転を実行可能に構成されている。
【0013】
SAEレベル1では、自動運転システムは、縦方向の車両の運動制御(すなわち、発進、加減速、および停止)と、横方向の車両の運動制御(すなわち、操舵)とのうちの、いずれか一方を、特定の限定領域において持続的に実行する。換言すれば、自動運転システムは、縦方向の車両の運動制御と横方向の車両の運動制御との両方を同時には実行しない。
【0014】
SAE2レベルでは、自動運転システムは、縦方向の車両の運動制御および横方向の車両の運動制御を、特定の限定領域において持続的に実行する。
【0015】
SAE3レベルでは、自動運転システムは、全ての車両の運動制御を特定の限定領域において持続的に実行する。原則的に、運転者には、自車両周辺の交通環境の監視等を実行する義務はない。但し、当該SAEレベル3が継続困難となった場合、自動運転システムは、充分な時間的余裕をもって運転者に運転交代を要請する。運転者は、その要請に適切に対応する必要がある。
【0016】
そして、本実施形態の自動運転システムは、自動運転モードにおいて、ACC(Adaptive cruise control)およびLKA(Lane Keeping Assistance)を実行可能に構成されている。ACCは、アダプティブ・クルーズ・コントロールの略である。ACCでは、先行車が存在しない場合、運転者が設定した設定速度で定速走行が行われる。また、ACCでは、図2に示すように、自車両VAの前方に先行車VBが存在する場合、自車両VAと先行車VBとの間において予め設定された車間距離を維持して追従走行が行われる。以下、ACC実行時に適用される運転者が設定する設定速度をACC速度V1とも呼ぶ。本実施形態のACC速度V1は、自動速度に対応する。なお、ACCの実行中に運転者がブレーキペダルの踏み込み操作を行うと、ACCの実行が解除されるようになっている。
【0017】
LKAは、レーン・キープ・アシストの略であり、道路走行時に、白線や黄線を認識して車線の維持を支援する制御モードであって、不図示のステアリングホイールの操舵補助を行う制御である。
【0018】
また、本実施形態の自動運転システムは、自動運転モードにおいて、SAEレベル3に相当する、ハンズオン運転およびハンズオフ運転を実行可能に構成されている。ハンズオン運転は、運転者が自車両を運転することを前提としつつ、並行して自動運転システムが適時に運転支援制御を実行するものである。すなわち、ハンズオン運転は、運転者に、ハンズオン状態と、自車両周辺の道路状況、交通状況、障害物の存在状態等の監視の実行とを要求する、高度運転支援である。ハンズオン状態とは、例えば、運転者が不図示のステアリングホイールを把持している状態である。
【0019】
ハンズオフ運転は、運転者が自動運転システムからの介入要求等に対して適切に対応することを条件として、自動運転システムが自動的に発進、操舵、加減速、および停止制御を実行するものである。すなわち、ハンズオフ運転は、運転者に、ハンズオン状態は要求しないものの、自車両周辺の道路状況、交通状況、障害物の存在状態等の監視の実行を運転者に要求する、高度運転支援である。本実施形態においては、ハンズオフ運転は、運転モードが自動運転モードであることを実行条件とするものとする。
【0020】
また、本実施形態の自動運転システムは、運転モードを、運転者の各種操作によって車両の運動が制御される手動運転モードに設定可能に構成されている。手動運転モードは、自動運転モードの設定がされない場合、例えば、運転者の設定操作によって自動運転モードがオフ操作された際に実行される。手動運転モードは、運転者がアクセルペダル12、不図示のブレーキペダル、不図示のステアリングホイール等を操作することで車両の走行を制御可能なモードである。
【0021】
自動運転システムは、図3および図4に示すように、アクセルペダル装置1と、車両情報検出部3と、車両駆動装置5と、報知装置7と、制御部8と、を備えている。
【0022】
車両情報検出部3は、自車両の運転状態に関連する各種情報を検出するためのセンサ群である。車両情報検出部3は、自車両の走行状態を検出する走行状態検出センサ、自車両の周囲環境を検出する周囲環境センサ、自車両周辺の交通環境を検出する周辺監視センサ、自車両の位置に関する情報を検出する位置センサ等の不図示の各種センサを有する。
【0023】
走行状態検出センサは、例えば、ブレーキ操作量を検出するブレーキ開度センサ、車両の走行速度(すなわち、車速)を検出する車輪速センサ、車両の角速度を検出する角速度センサ、車両の加速度を検出する加速度センサ、車両の舵角を検出する操舵角センサを含む。
【0024】
周囲環境センサは、例えば、外気温を検出するセンサ外気温センサ、降雨量を検出する雨滴センサ、照度を検出する照度センサを含む。
【0025】
周辺監視センサは、例えば、自車両周辺の所定の検知範囲における歩行者、サイクリスト、他車両、路上落下物、ガードレール、縁石、道路標識、道路脇の壁および建物等の構造物を検出するADASセンサを含む。ADASはAdvanced Driver-Assistance Systemsの略である。ADASセンサは、例えば、自車両の前方および前側方の画像を撮影するカメラおよび自車両の前方に向けてレーダ波を送信するとともに、反射された当該レーダ波を受信するレーダセンサで構成されてもよい。
【0026】
位置センサは、例えば、人工衛星から送信された測位信号を受信することで自車両の位置を検出するGNSS受信器、自車両に作用する加速度および角速度を検出するジャイロセンサおよび加速度センサを含む。なお、GNSSはGlobal Navigation Satellite Systemの略である。
【0027】
車両情報検出部3は、制御部8に接続されており、検出した各種情報に応じた検出信号である運転状態信号を制御部8に送信可能に構成されている。車両情報検出部3が検出する各種情報は、自動運転システムが自動運転モードおよび手動運転モードを実行する際、一方のモードにおいて用いられ、または、いずれのモードにおいても用いられる。
【0028】
車両駆動装置5は、車両を走行させるための各種機器を制御する制御装置である。車両駆動装置5は、例えば、エンジンの出力(すなわち、エンジンの回転数)を制御するスロットル制御装置51、車両の制動を制御する不図示のブレーキ制御装置、車両の操舵角を制御する不図示のステアリング制御装置等の各種制御装置を有する。なお、車両が電動モータで駆動可能な場合、車両駆動装置5は、車両を駆動させるための電動モータの回転数や電動モータへの印加電圧を制御するモータ制御装置を有していてもよい。
【0029】
車両駆動装置5は、制御部8に接続されており、制御部8から送信される制御信号に応じて動作が制御される。また、車両駆動装置5は、自動運転システムが自動運転モードを実行する際、車両情報検出部3が検出する各種情報に基づいて、各制御装置の動作が制御される。例えば、ACC実行時には、車両情報検出部3が検出する各種情報に基づいてスロットル制御装置51およびブレーキ制御装置の動作が制御されて、車速および車間距離が設定される。また、LKA実行時には、車両情報検出部3が検出する各種情報に基づいてステアリング制御装置の動作が制御されて、車両の操舵角が設定される。
【0030】
報知装置7は、運転者に運転状態に関する各種情報を伝達するものである。報知装置7は、図3および図4に示すように、表示装置71およびスピーカ72を有する。
【0031】
本実施形態の表示装置71は、運転状態に関する各種情報を視覚的に運転者に伝達するディスプレイであって、例えば、不図示のダッシュボードに設けられたメータパネルで構成されている。そして、表示装置71は、車両情報検出部3が検出する各種情報の少なくとも一部を表示するとともに、制御部8が実行する制御処理の結果を表示可能に構成されている。表示装置71は、制御部8に接続されており、制御部8から送信される制御信号に応じた情報を表示する。
【0032】
なお、表示装置71は、インストルメントパネルなど、運転者が視認可能な位置に設けられたマルチインフォメーション用表示部やナビゲーション装置用表示部等によって構成されていてもよい。
【0033】
スピーカ72は、運転状態に関する各種情報を音声によって運転者に伝達する音声発生装置であって、車両の車室内に設置されている。本実施形態のスピーカ72は、表示装置71が表示する内容に対応した音声を出力可能に構成されている。すなわち、スピーカ72は、制御部8が実行する制御処理の結果を表示可能に構成されている。
【0034】
続いて、アクセルペダル装置1について説明する。図1に示すように、本実施形態のアクセルペダル装置1は、オルガン式のペダル装置として構成されている。ここで、オルガン式のペダル装置とは、アクセルペダル装置1が有する後述のアクセルペダル12のうち運転者に踏まれる部位が当該アクセルペダル12の回転中心に対して車両上方(すなわち、鉛直方向上側)に配置される構成のものをいう。
【0035】
そして、オルガン式のアクセルペダル装置1では、運転者の足によるアクセル操作によって、アクセルペダル12の姿勢が変化する。具体的に、オルガン式のアクセルペダル装置1では、運転者がアクセルペダル12の踏込動作を行うと、アクセルペダル12のうち、回転中心より車両上方の部位が、基準位置から車室内のフロアF側またはダッシュパネルD側へ回転する。そして、アクセルペダル12に印加される運転者の操作力である踏力が増加されてアクセルペダル12の踏み込み量が増加すると、アクセルペダル12の回転中心より車両上方の部位が車室内のフロアF側またはダッシュパネルD側に近づくように回転する。
【0036】
また、アクセルペダル12に印加される運転者の踏力が減少されてアクセルペダル12の踏み込み量が減少すると、アクセルペダル12のうち、回転中心より車両上方の部位がフロアF側またはダッシュパネルD側から離れるように回転する。そして、オルガン式のアクセルペダル装置1では、運転者がアクセルペダル12を踏み込む操作を解除することによって、アクセルペダル12は、踏み込まれる前の基準位置に復元される。
【0037】
なお、アクセルペダル12の基準位置とは、アクセルペダル12が踏まれていない位置であって、ペダル開度が0%(すなわち、全閉)となる位置である。
【0038】
以下では、アクセルペダル装置1を説明するため、図1等に示すように、車両の前後方向を車両前後方向Daとし、車両の天地方向(すなわち、鉛直方向)を車両上下方向Dbとする。車両の左右方向(すなわち、車幅方向)を車両左右方向Dcとする。また、車両前後方向Daにおける前方を車両前方Da1、車両前後方向Daにおける後方を車両後方Da2と記載する。そして、車両上下方向Dbにおける上方を車両上方Db1、車両上下方向Dbにおける下方を車両下方Db2と記載する。
【0039】
また、アクセルペダル12の回転中心を回転軸CL、回転軸CLの回転方向を周方向Dzhとも呼ぶ。また、周方向Dzhのうち、運転者がアクセルペダル12を踏み込むことによってアクセルペダル12が回転する方向を第1周方向Dzh1、第1周方向Dzh1と反対方向を第2周方向Dzh2とも呼ぶ。第2周方向Dzh2は、アクセルペダル12が踏み込まれた状態において、運転者がブレーキ操作を解除した際にアクセルペダル12が回転する方向である。本実施形態の第1周方向Dzh1は、第1方向に対応する。また、第2周方向Dzh2は、第2方向に対応する。
【0040】
アクセルペダル装置1は、図1図3および図4に示すように、シャフト11、アクセルペダル12、回転プレート13、ペダル接続部14、反力発生部15、ペダル角度検出部16、ペダル規制部20およびACT検出部30を備える。
【0041】
シャフト11は、アクセルペダル12と一体に回転軸CLを中心に回転する回転部材である。シャフト11は、金属で円柱状に形成されている。シャフト11は、回転軸CLが延びる方向が車両左右方向Dcと一致するように配置されており、回転可能に支持されている。また、シャフト11には、ペダル角度検出部16が設けられている。
【0042】
アクセルペダル12は、車両の運転者の足によって踏まれる操作部である。アクセルペダル12は、板状に形成されており、例えば金属で構成されている。また、アクセルペダル12は、運転者による踏み込み動作が行われていない解除状態では、車両前後方向Daおよび車両上下方向Dbに対して斜めに配置される。
【0043】
また、アクセルペダル12は、車両下方側の部位がシャフト11に固定されており、シャフト11を介して回転軸CLを中心に回転可能に構成されている。また、アクセルペダル12の車両下方Db2側には、回転プレート13、ペダル接続部14、反力発生部15およびペダル規制部20が配置されている。アクセルペダル12は、車両下方Db2側にペダル接続部14が接続されており、当該ペダル接続部14を介して回転プレート13に接続されている。そして、アクセルペダル12は、ペダル接続部14および回転プレート13を介して反力発生部15に連結されている。
【0044】
回転プレート13は、アクセルペダル12に印加される運転者からの踏力を反力発生部15に伝達する部材である。回転プレート13は、アクセルペダル12のうち運転者からの踏力を受ける面とは反対側の面側に設けられている。具体的に、回転プレート13は、アクセルペダル12のうち運転者からの踏力を受ける面とは反対側の面に、ペダル接続部14を介して固定されている。また、回転プレート13は、車両下方側の部位がシャフト11に固定されている。これにより、回転プレート13は、回転軸CLを中心に、アクセルペダル12と一体に回転可能に構成される。
【0045】
なお、アクセルペダル12および回転プレート13は、不図示の回転規制部によって、回転範囲が規制されている。具体的に、アクセルペダル12および回転プレート13は、回転規制部によって、第1周方向Dzh1側の回転位置が最大踏み込み位置に規制されるとともに、第2周方向Dzh2側の回転位置が基準位置に規制される。なお、図1に示すアクセルペダル12および回転プレート13の位置は、アクセルペダル12および回転プレート13が基準位置に位置付けられた際の位置を示し、図1に示す破線Lは、回転プレート13が最大踏み込み位置に位置付けられた際の位置を示す。
【0046】
ペダル接続部14は、アクセルペダル12と回転プレート13との間に設けられ、アクセルペダル12と回転プレート13とを接続するものである。ペダル接続部14は、例えば、金属で棒状に形成されており、アクセルペダル12の車両下方Db2側の面から突き出るように設けられている。ペダル接続部14は、車両上方Db1側が、例えばネジによってアクセルペダル12に固定されており、車両下方Db2側が回転プレート13に固定されずに接続されている。これにより、ペダル接続部14は、アクセルペダル12が回転軸CLを中心に第1周方向Dzh1側に回転する際に、アクセルペダル12と一体に回転することによって、アクセルペダル12に加えられる踏力を回転プレート13に伝達可能に構成される。そして、回転プレート13に伝達される踏力は、反力発生部15に伝達される。
【0047】
反力発生部15は、運転者によってアクセルペダル12の踏み込み操作が行われた際に、運転者の踏力に応じた反力を発生させるものである。反力発生部15は、例えば圧縮コイルばねで構成されており、伸縮方向の一方側が回転プレート13に接続されており、伸縮方向の他方側がフロアFに接続されている。また、反力発生部15は、回転プレート13とフロアFとの間において、圧縮された状態で配置されている。
【0048】
そして、反力発生部15は、アクセルペダル12が踏み込まれてアクセルペダル12が第1周方向Dzh1へ回転する際に、弾性変形することで弾性力を発生させてアクセルペダル12を第2周方向Dzh2へ回転させる反力を発生させる。また、反力発生部15は、アクセルペダル12への踏力が解除された際、発生させた反力によってアクセルペダル12を基準位置に復元させる。
【0049】
このように構成されるアクセルペダル12は、運転者がアクセルペダル12を踏み込むことによって、回転軸CLを中心に第1周方向Dzh1へ回転可能に構成されている。すなわち、アクセルペダル12は、運転者のアクセルペダル12を踏み込む操作に伴ってシャフト11および回転プレート13と一体となって、基準位置から第1周方向Dzh1側に回転する。そして、アクセルペダル12は、最大踏み込み位置まで回転されると、第1周方向Dzh1側への回転が規制される。
【0050】
これに対し、アクセルペダル12は、アクセルペダル12に印加される運転者の踏力が減少されると、反力発生部15の作用により第2周方向Dzh2へ回転する。すなわち、アクセルペダル12は、その運転者の踏力が減少するほど、基準位置へ近づくように回転する。そして、アクセルペダル12は、運転者のブレーキ操作が解除されると、反力発生部15の作用により基準位置に復元する。
【0051】
ペダル角度検出部16は、シャフト11の回転角度を検出する回転角度センサである。ペダル角度検出部16は、例えば、図示しない磁石、ヨーク、ホール素子等を有し、磁石、ヨーク、ホール素子等を用いてシャフト11が周方向Dzhに回転する際の回転角度を検出する。
【0052】
ここで、シャフト11は、上述したようにアクセルペダル12と一体に回転可能に構成されている。このため、シャフト11の回転角度は、アクセルペダル12の回転角度と等しい。そして、ペダル角度検出部16は、シャフト11の回転角度を検出することにより、運転者の踏み込み操作によって変化するアクセルペダル12の回転角度を検出する。換言すれば、ペダル角度検出部16は、シャフト11と一体に周方向Dzhに回転するアクセルペダル12の回転量、すなわち、ペダル開度を検出する。
【0053】
ペダル角度検出部16は、制御部8に接続されており、検出したペダル開度に応じた検出信号を、制御部8に出力する。例えば、ペダル角度検出部16は、アクセルペダル12が基準位置に位置付けられた際に、ペダル開度の情報として全閉(すなわち、開度0%)を示す全閉信号を制御部8に送信する。また、ペダル角度検出部16は、アクセルペダル12が最大踏み込み位置に位置付けられた際に、ペダル開度の情報として全開(すなわち、開度100%)を示す全開信号を制御部8に送信する。
【0054】
なお、ペダル角度検出部16は、ホール素子に代えて、MR素子を有してもよい。MRは、Magneto Resistiveの略である。また、ペダル角度検出部16は、コイルを用いてアクセルペダル12の回転角度を検出するインダクティブセンサであってもよい。本実施形態のペダル角度検出部16は、アクセルペダル12の移動位置に応じたペダル位置情報を出力するするペダル位置検出部として機能する。
【0055】
ペダル規制部20は、アクセルペダル12の回転を規制するペダル回転規制部である。ペダル規制部20は、図1に示すように、軸心Axを中心に回転可能な回転アクチュエータ21と、回転アクチュエータ21の回転を規制する規制機構22とを備えている。
【0056】
回転アクチュエータ21は、回転部211と、ペダル支持部212と、規制ACT213とを有する。回転部211は、例えば、回転軸CLと平行に延びる軸心Axを中心に回転可能に構成されている。すなわち、回転部211は、車両左右方向Dcに延びる軸心Axを中心に回転可能に構成されている。
【0057】
回転部211は、円盤形状に形成された円盤部211aと、円盤部211aの外周部に設けられた歯部211bとを有する。円盤部211aおよび歯部211bは、例えば、金属によって一体に形成されており、軸心Axを中心に一体回転可能に構成されている。また、円盤部211aには、ペダル支持部212が接続されている。これにより、回転部211は、ペダル支持部212を介してアクセルペダル12に接続されている。
【0058】
歯部211bは、円盤部211aの外周部から突出して形成されており、車両左右方向Dcの一方側から視た形状が、軸心Axから離れるほど先端が小さくなる略台形状で形成されている。そして、歯部211bは、アクセルペダル12が基準位置に位置付けられた際に車両下方Db2側に位置付けられる部位に、規制機構22と当接可能な当接面211cを有する。当接面211cは、所定の軸心Axを中心とする径方向に対して傾斜した平面状に形成されている。
【0059】
ペダル支持部212は、アクセルペダル12と円盤部211aとの間に設けられ、アクセルペダル12を支持するものである。ペダル支持部212は、例えば、金属で板状に形成されており、アクセルペダル12の車両下方Db2側の面において、ペダル接続部14が接続される部位より車両上方Db1側の部位から車両下方Db2側に向かって突き出るように設けられている。
【0060】
ペダル支持部212は、車両上方Db1側が、例えばアクセルペダル12の車両下方Db2側の面にネジ等によって固定されるとともに、車両下方Db2側が、例えばネジ等によって円盤部211aに固定されている。これにより、ペダル支持部212は、アクセルペダル12が回転軸CLを中心に第1周方向Dzh1側に回転する際に、アクセルペダル12と一体に回転することによって、アクセルペダル12に加えられる踏力を回転部211に伝達可能に構成される。そして、回転部211に伝達される踏力によって、回転部211が所定の軸心Axを中心に回転可能に構成される。また、回転部211に伝達される踏力は、歯部211bを介して規制機構22にも伝達される。
【0061】
規制ACT213は、回転部211を回転させるアクチュエータである。本実施形態の規制ACT213は、不図示のモータを有し、当該モータのモータ軸が回転部211に固定されている。そして、当該モータの動力がモータ軸を介して伝達されることによって回転部211を回転可能に構成される。また、規制ACT213は、制御部8に接続されており、制御部8から送信される制御信号に応じて回転部211の回転角度を制御する。
【0062】
規制機構22は、ケース部221と、弾性部222と、係受部223とを有する。ケース部221は、弾性部222を収容するとともに係受部223の一部を収容する収容部である。ケース部221は、ダッシュパネルDに設けられている。また、ケース部221は、例えば、中空角筒形状であって、車両前後方向Daに沿って延びており、車両前方Da1側および車両後方Da2側が開口している。そして、ケース部221は、内部に弾性部222および係受部223を収容可能な収容空間SPを形成している。
【0063】
ケース部221は、当該収容空間SPに弾性部222および係受部223を収容している。また、ケース部221は、車両前方Da1側がダッシュパネルDに接続されており、車両前方Da1側の開口部が当該ダッシュパネルDによって閉塞されている。また、ケース部221は、車両後方Da2側の開口部から係受部223の一部が突出している。
【0064】
弾性部222は、運転者によってアクセルペダル12の踏み込み操作が行われた際に、回転部211の回転を規制することで、アクセルペダル12の回転を規制するものである。弾性部222は、例えば圧縮コイルばねで構成されており、伸縮方向が車両前後方向Daとなるように配置されている。そして、弾性部222は、伸縮方向の一方側である車両前方Da1側がダッシュパネルDに接続されており、伸縮方向の他方側である車両後方Da2側が係受部223に接続されている。また、弾性部222は、ダッシュパネルDと係受部223との間において、圧縮された状態で配置されている。
【0065】
係受部223は、フランジ部223aと、角柱部223bと、摺動部223cとを有する。フランジ部223a、角柱部223bおよび摺動部223cは、例えば、金属によって一体に形成されており、車両前後方向Daに沿って、この順に連なって構成されている。
【0066】
フランジ部223aは、係受部223のうち、ケース部221の内部に収容される部位である。フランジ部223aは、薄板状であって、ケース部221の車両後方Da2側の開口部の大きさより板面の大きさが大きく形成されている。そして、フランジ部223aは、車両前方Da1側の板面に、圧縮された状態の弾性部222が接続されている。これにより、フランジ部223aは、弾性部222によってケース部221に押し付けられることでケース部221に支持される。フランジ部223aの車両後方Da2側の板面には、角柱部223bが設けられている。
【0067】
角柱部223bは、その一部がケース部221の内部に収容可能に形成されるとともに、残りの部分がケース部221の車両後方Da2側の開口部から飛び出している部位である。角柱部223bは、フランジ部223aにおける弾性部222が接続される側とは反対側の板面から車両後方Da2側に向かって角柱形状に延びて形成されている。また、角柱部223bは、外郭がフランジ部223aの板面の大きさより小さく、且つ、ケース部221の車両後方Da2側の開口部の大きさより小さく形成されている。そして、角柱部223bにおける車両後方Da2側には、摺動部223cが設けられている。
【0068】
摺動部223cは、角柱部223bの車両後方Da2側から突出して形成されており、車両左右方向Dcの一方側から視た形状が、車両後方Da2側に向かうほど先端が小さくなる略台形状で形成されている。そして、摺動部223cは、車両上方Db1側に、歯部211bの当接面211cに当接可能な摺動面223dを有する。摺動面223dは、所定の軸心Axを中心とする径方向に対して傾斜する当接面211cに対応した平面状に形成されている。
【0069】
摺動部223cは、アクセルペダル12が基準位置に位置付けられており、回転部211がアクセルペダル12から踏力を加えられていない状態において、摺動面223dが歯部211bの当接面211cに当接可能に配置されている。また、摺動部223cは、回転部211がアクセルペダル12に加えられる踏力によって所定の軸心Axを中心に回転する際に、摺動面223dが歯部211bの当接面211cに押圧されるように形成されている。
【0070】
これにより、アクセルペダル12に加えられる踏力が摺動部223cを介して弾性部222に伝達されると、摺動面223dが当接面211cに摺動しつつ、摺動部223cが車両前方Da1側に移動する。すると、弾性部222は、摺動部223cを介して加えられる当該踏力によって車両前方Da1に圧縮されて弾性変形する。
【0071】
このように構成されるペダル規制部20は、アクセルペダル12の回転を規制することができる。具体的に、回転アクチュエータ21および規制機構22は、アクセルペダル12の回転を規制する際、図1に示すように、回転アクチュエータ21の歯部211bが規制機構22の摺動部223cの車両上方Db1に位置付けられる。すると、圧縮された状態でケース部221の収容空間SP内に配置される弾性部222が発生させる弾性力によって、歯部211bの当接面211cが摺動部223cの摺動面223dに押圧される。これにより、弾性部222の弾性力によって回転部211の回転位置が規制される。すなわち、回転部211に設けられるペダル支持部212を介して接続されるアクセルペダル12が弾性部222の弾性力によって保持される。
【0072】
そして、運転者によってアクセルペダル12が踏まれる際に、アクセルペダル12に加えられる踏力がペダル支持部212を介して回転部211に伝達されることで、歯部211bの当接面211cが摺動面223dを押圧する。このため、回転アクチュエータ21および規制機構22は、アクセルペダル12に加えられる踏力が歯部211bおよび摺動部223cを介して弾性部222に伝達される構成となっている。
【0073】
ここで、弾性部222は、アクセルペダル12に加えられる踏力が摺動部223cを介して伝達された際に、当該踏力が所定の大きさより小さい場合、略弾性変形しないように形成されている。すなわち、圧縮コイルばねによって構成させる本実施形態の弾性部222は、アクセルペダル12に加えられる踏力が所定の大きさより小さい場合、略弾性変形しないように圧縮コイルばねの弾性係数が設定されている。
【0074】
また、圧縮された状態でケース部221の収容空間SP内に配置される弾性部222は、アクセルペダル12に加えられる踏力が所定の大きさ以上である場合、さらに圧縮可能に形成されている。すなわち、規制機構22は、アクセルペダル12に加えられる踏力が所定の大きさ以上である場合、当該踏力によって弾性部222が弾性変形することで、摺動部223cが車両前方Da1側に移動可能に形成されている。
【0075】
このため、アクセルペダル12が所定の大きさ以上の踏力で踏み込まれて、当接面211cが摺動面223dを所定の大きさ以上で押圧する場合、図5に示すように、摺動部223cが車両前方Da1側に移動する。そして、弾性部222が弾性変形する。また、回転部211が歯部211bと一体に僅かに回転する。
【0076】
そして、当接面211cが摺動面223dに当接しない位置まで摺動部223cが車両前方Da1側に移動すると、弾性部222の弾性力が摺動部223cを介して歯部211bに伝達されなくなる。これにより、回転部211の回転が規制機構22によって規制されなくなる。すなわち、図6に示すように、アクセルペダル12がペダル規制部20によってその回転が規制されていた状態から解除される。したがって、アクセルペダル12がペダル支持部212を介して接続される回転部211と一体に回転可能となる。
【0077】
このように、ペダル規制部20は、回転アクチュエータ21の歯部211bが規制機構22の摺動部223cの車両上方Db1に位置付けられることで、アクセルペダル12の回転を規制することができる。回転アクチュエータ21の歯部211bの位置は、規制ACT213が回転部211を回転させることで位置決めすることができる。そして、回転アクチュエータ21の歯部211bが規制機構22の摺動部223cの車両上方Db1に位置付けられると、アクセルペダル12は、基準位置に位置付けられる。
【0078】
また、アクセルペダル12は、運転者がアクセルペダル12を所定の大きさ以上の踏力で踏み込む操作を行うことによって、ペダル規制部20によって規制されていた回転が解除される。
【0079】
以下、回転アクチュエータ21の歯部211bが規制機構22の摺動部223cの車両上方Db1に位置付けられた際の回転部211の回転位置を回転規制位置とも呼ぶ。また、ペダル規制部20によって規制されているアクセルペダル12の回転を解除するために必要な運転者の踏力を解除踏力Fcとも呼ぶ。本実施形態の解除踏力Fcは、解除操作力に対応する。
【0080】
ACT検出部30は、回転部211の回転角度を検出する回転角度センサである。具体的に、ACT検出部30は、回転部211と一体に回転する規制ACT213のモータにおけるモータ軸の回転角度を検出することで、回転部211における円盤部211aの回転角度を検出可能に構成されている。ACT検出部30は、例えば、磁石、ヨーク、ホール素子等を有する磁気センサで構成される。
【0081】
ACT検出部30は、回転部211がアクセルペダル12の踏力によって所定の軸心Axを中心に回転する際の回転部211の回転角度を検出する。また、ACT検出部30は、回転部211が規制ACT213のモータの動力によって所定の軸心Axを中心に回転する際の回転部211の回転角度を検出する。
【0082】
ACT検出部30は、制御部8に接続されており、検出した回転部211の回転角度に応じた検出信号を、制御部8に出力する。ここで、例えば、アクセルペダル12が運転者によって踏み込まれておらず、アクセルペダル12が基準位置に位置付けられており、回転部211が回転規制位置に位置付けられた際の回転部211の回転角度を0°とする。この場合、ACT検出部30は、回転していない回転部211の回転角度として0°を示す検出信号を制御部8に送信する。
【0083】
ところで、回転部211は、上述したようにアクセルペダル12と一体に回転する。このため、ACT検出部30が検出する回転部211の回転角度は、アクセルペダル12の回転角度に対応している。このため、回転部211が回転規制位置から回転していることをACT検出部30が検出することで、アクセルペダル12の回転の規制が解除された状態を検出することができる。本実施形態のACT検出部30は、ペダル規制部20がアクセルペダル12の回転の規制状態に関する規制情報を出力する規制検出部として機能する。
【0084】
なお、ACT検出部30は、ホール素子に代えて、MR素子を有してもよい。MRは、Magneto Resistiveの略である。また、ACT検出部30は、コイルを用いて回転部211の回転角度を検出するインダクティブセンサであってもよい。
【0085】
制御部8は、ECUと呼ばれ、車両に搭載される各種機器を制御する制御装置であって、CPU、ROMおよびRAM等のメモリを含んで構成されるマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。なお、ECUはElectronic Control Unitの略である。メモリは、非遷移的実体的記憶媒体で構成されている。制御部8は、ROM内に記憶されたプログラムに基づいて各種演算、処理を行う。制御部8は、図3および図4に示すように、ACT情報取得部81、規制判定部82、目標反力演算部83、ACT制御部84、報知制御部85、ペダル開度取得部86、車両駆動制御部87を有する。
【0086】
制御部8は、ACT検出部30、ペダル角度検出部16および車両情報検出部3から送信される検出信号が入力されると、ROM内に記憶されたプログラムを実行する。これにより、制御部8は、ACT情報取得部81、規制判定部82、目標反力演算部83、ACT制御部84、報知制御部85、ペダル開度取得部86および車両駆動制御部87として機能する。あるいは、制御部8は、ACT情報取得部81、規制判定部82、目標反力演算部83、ACT制御部84、報知制御部85、ペダル開度取得部86および車両駆動制御部87に一対一に対応する複数の回路モジュールを備えていてもよい。
【0087】
ACT情報取得部81は、ACT検出部30に接続されており、ACT検出部30が検出する回転部211の回転角度に応じた検出信号を受信するものである。ACT情報取得部81は、ACT検出部30から送信される検出信号に基づいて回転部211の回転角度である回転部角度θbを算出可能に構成されている。ACT情報取得部81は、規制判定部82に接続されており、算出した回転部角度θbの情報を規制判定部82に送信する。
【0088】
規制判定部82は、ACT情報取得部81から送信される回転部角度θbの情報に基づいて、アクセルペダル12がペダル規制部20によって回転が規制されているか否かを判定するものである。換言すれば、規制判定部82は、ACT検出部30が出力する回転部211の回転角度の情報に基づいて、ペダル規制部20によるアクセルペダル12の回転の規制が解除された状態であるかを検出するものである。規制判定部82は、目標反力演算部83、報知制御部85および車両駆動制御部87に接続されており、判定結果をこれら目標反力演算部83、報知制御部85および車両駆動制御部87に送信する。
【0089】
目標反力演算部83は、回転アクチュエータ21のモータが発生させる動力を算出するものである。目標反力演算部83は、ACT制御部84に接続されており、算出した回転アクチュエータ21のモータの動力の情報をACT制御部84に送信する。
【0090】
ACT制御部84は、回転アクチュエータ21の動作を制御するものである。具体的に、ACT制御部84は、回転アクチュエータ21のモータが発生させる動力(すなわち、モータの回転)を制御するものである。ACT制御部84は、回転アクチュエータ21のモータに制御信号を送信することで、回転アクチュエータ21のモータの回転を制御する。
【0091】
報知制御部85は、報知装置7の動作を制御するものである。具体的に、報知制御部85は、表示装置71が表示する表示内容およびスピーカ72が出力する音声内容を制御するものである。報知制御部85は、表示装置71に制御信号を送信することで、表示装置71が表示する表示内容を制御する。また、報知制御部85は、スピーカ72に制御信号を送信することで、スピーカ72が出力する音声内容を制御する。
【0092】
ペダル開度取得部86は、ペダル角度検出部16に接続されており、ペダル角度検出部16が検出するアクセルペダル12の回転角度に応じた検出信号を受信するものである。ペダル開度取得部86は、ペダル角度検出部16から送信される検出信号に基づいてアクセルペダル12の回転角度であるアクセルペダル角度θaを算出可能に構成されている。ペダル開度取得部86は、車両駆動制御部87に接続されており、算出したアクセルペダル角度θaの情報を車両駆動制御部87に送信する。換言すれば、ペダル開度取得部86は、ペダル角度検出部16から送信される検出信号に基づいてアクセルペダル12の回転位置であるペダル位置を算出し、算出したペダル位置の情報を車両駆動制御部87に送信する。
【0093】
車両駆動制御部87は、車両駆動装置5に制御信号を送信することで、車両駆動装置5の動作を制御するものである。具体的に、車両駆動制御部87は、スロットル制御装置51、ブレーキ制御装置、ステアリング制御装置等の各種制御装置に制御信号を送信することで、これら各種制御装置の動作を制御する。また、車両駆動制御部87は、運転者の設定操作によって自動運転モードが設定されてACCおよびLKAが実行する際、スロットル制御装置51、ブレーキ制御装置、ステアリング制御装置の動作を制御する。
【0094】
さらに、本実施形態の車両駆動制御部87は、ACT制御部84に制御信号を送信することで、回転アクチュエータ21のモータを制御する。
【0095】
このように構成されるアクセルペダル装置1は、本実施形態の自動運転システムが自動運転モードにおいてACCを実行する際に、制御部8のACT制御部84が回転部211の回転位置を回転規制位置に位置付けることでアクセルペダル12の回転を規制する。これにより、ACC実行時に、運転者がアクセルペダル12を操作しない際に、アクセルペダル12をフットレストとして機能させることができる。
【0096】
また、アクセルペダル12は、ペダル規制部20によって回転が規制されている場合であっても、アクセルペダル12が運転者によって解除踏力Fc以上の踏力で踏み込まれることで、その規制が解除される。これにより、フットレストとして機能していたアクセルペダル12は、運転者による操作が可能となる。
【0097】
以下、フットレストとして機能しているアクセルペダル12の状態をフットレストオン状態とも呼ぶ。これに対して、フットレストとして機能していたアクセルペダル12が解除踏力Fc以上の踏力で踏み込まれることでその規制が解除された状態をフットレストオフ状態とも呼ぶ。
【0098】
ところで、ACC実行時に運転者の誤った踏み込み操作や意図しない踏み込み操作等の誤操作によってアクセルペダル12が解除踏力Fc以上の踏力で踏み込まれた際に、安全確保の観点から車両を急加速させないことが求められる。
【0099】
このため、本実施形態のアクセルペダル装置1は、ACC実行時にアクセルペダル12が解除踏力Fc以上の踏力で踏み込まれて回転の規制が解除された際に、踏み込まれた位置より基準位置側に戻すことでアクセルペダル12の操作を有効とする。以下に、アクセルペダル12のフットレストが解除された際、車両が急加速することを抑制するためにアクセルペダル装置1が実行する具体的な作動について説明する。
【0100】
まず、ACC実行時においてフットレストオン状態のアクセルペダル12が運転者によって解除踏力Fcで踏まれたとする。すると、規制機構22によって回転が規制されていた回転部211は、回転規制位置から歯部211bが摺動部223cを押圧する方向へ回転する。そして、当接面211cが摺動面223dに当接しない位置まで摺動部223cが車両前方Da1側に移動すると、アクセルペダル12は、アクセルペダル12のフットレストが解除されてフットレストオフ状態となる。これにより、アクセルペダル12は、運転者の踏力によって第1周方向Dzh1側に回転可能となる。
【0101】
回転部211の回転角度は、ACT検出部30によって検出される。ACT検出部30は、検出した回転部211の回転角度に応じた検出信号を制御部8のACT情報取得部81に出力する。ACT情報取得部81は、ACT検出部30から送信される検出信号に基づいて回転部角度θbを算出し、算出した回転部角度θbの情報を規制判定部82に送信する。
【0102】
また、アクセルペダル12の回転角度は、ペダル角度検出部16によって検出される。ペダル角度検出部16は、検出したアクセルペダル12の回転角度に応じた検出信号を制御部8のペダル開度取得部86に出力する。ペダル開度取得部86は、ペダル角度検出部16から送信される検出信号に基づいてアクセルペダル角度θaを算出し、算出したアクセルペダル角度θaの情報を車両駆動制御部87に送信する。
【0103】
ここで、運転者にアクセルペダル12がフットレストオフ状態になったことを報知するため、ACT検出部30が検出する回転部角度θbの情報に基づいて、制御部8は、以下の処理を行う。
【0104】
規制判定部82は、ACT情報取得部81から送信される回転部角度θbの情報に基づいて、アクセルペダル12がペダル規制部20に回転が規制されているか否かを判定する。すなわち、規制判定部82は、アクセルペダル12がフットレストオン状態であるかフットレストオフ状態であるかを判定する。規制判定部82は、例えば、回転部角度θbが、アクセルペダル12がフットレストオン状態であるか否かを判定するために予め定められる判定角度より大きい場合、アクセルペダル12がフットレストオフ状態であると判定する。
【0105】
判定角度は、例えば、回転部211が回転規制位置に位置付けられた際の回転部211の回転角度が0°であるとした場合、0°より僅かに大きい角度(例えば5°)で設定されてもよい。判定角度が回転規制位置に位置付けられた際の回転部211の回転角度より僅かに大きい理由は、歯部211bが摺動部223cを押圧して当接面211cが摺動面223dに当接しなくなるまでに、回転部211が回転規制位置から僅かに回転するからである。
【0106】
規制判定部82は、アクセルペダル12がフットレストオフ状態であると判定した場合、アクセルペダル12がフットレストオフ状態であることを示すフットレストオフ情報を目標反力演算部83、報知制御部85および車両駆動制御部87に送信する。換言すれば規制判定部82は、アクセルペダル12の回転の規制が解除されたことを示すペダル解除情報を目標反力演算部83、報知制御部85および車両駆動制御部87に出力する。
【0107】
目標反力演算部83は、規制判定部82からフットレストオフ情報を受信すると、回転アクチュエータ21のモータが発生させる動力を算出する。そして、目標反力演算部83は、算出した回転アクチュエータ21のモータの動力の情報をACT制御部84に送信する。
【0108】
ACT制御部84は、目標反力演算部83が算出した回転アクチュエータ21のモータの動力の情報を受信すると、規制ACT213の回転アクチュエータ21のモータに制御信号を送信することで、回転アクチュエータ21のモータの回転を制御する。具体的に、ACT制御部84は、回転アクチュエータ21のモータに制御信号を送信することで、目標反力演算部83が算出した回転アクチュエータ21のモータの動力で当該モータを回転させて回転部211を僅かに往復回転させる。これにより、ACT制御部84は、図7に示すように、ペダル支持部212を介して回転部211に接続されるアクセルペダル12を振動させる。そうすることで、アクセルペダル12は、運転者にアクセルペダル12がフットレストオフ状態になったことを感覚的に報知する。
【0109】
また、報知制御部85は、規制判定部82からフットレストオフ情報を受信すると、表示装置71に制御信号を送信することで、図7に示すように、表示装置71に予め定められた表示内容を表示させる。表示装置71は、報知制御部85から制御信号を受信すると、例えば、「フットレストが解除されました。アクセルから足を離すと加速許可します。」というアクセルペダル12がフットレストオフ状態であることに関する情報を含むペダル状態表示を表示する。なお、表示装置71が表示するペダル状態表示は、上記に限定されず、例えば、アクセルペダル12がフットレストオフ状態であることを示す警告表示であってもよい。
【0110】
さらに、報知制御部85は、規制判定部82からフットレストオフ情報を受信すると、スピーカ72に制御信号を送信することで、図7に示すように、スピーカ72に予め定められた音声内容を出力させる。スピーカ72は、報知制御部85から制御信号を受信すると、例えば、「フットレストが解除されました。アクセルから足を離すと加速許可します。」というアクセルペダル12がフットレストオフ状態であることに関する情報を含むペダル状態音声を出力する。なお、スピーカ72が出力するペダル状態音声は、上記に限定されず、例えば、アクセルペダル12がフットレストオフ状態であることを示す警告音であってもよい。
【0111】
このように表示装置71およびスピーカ72を作動させることで、アクセルペダル装置1は、運転者にアクセルペダル12がフットレストオフ状態になったことを視覚的および聴覚的に報知する。
【0112】
このように、本実施形態のアクセルペダル12と、報知装置7である表示装置71およびスピーカ72とは、アクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能とするためのアクセルペダル12の操作を運転者に対して報知する。
【0113】
そして、車両駆動制御部87は、規制判定部82からフットレストオフ情報を受信すると、図8に示す制御処理を実行することで、運転者によるアクセルペダル12の操作を有効とする。
【0114】
最初に、ステップS10において、車両駆動制御部87は、規制判定部82からフットレストオフ情報を受信する。そして、ステップS20において、車両駆動制御部87は、ペダル開度取得部86から送信されるアクセルペダル角度θaに基づいて、アクセルペダル12の回転位置が基準位置であるか否かを判定する。換言すれば、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12の開度が全閉であるか否かを判定する。すなわち、車両駆動制御部87は、アクセルペダル角度θaに基づいてアクセルペダル12が、アクセルペダル12の回転の規制が解除されたペダル解除状態を検出する。
【0115】
アクセルペダル12の開度が全閉であると判定されない場合、ステップS30において、車両駆動制御部87は、ACT制御部84および報知制御部85に、再通知信号を送信する。ここで、再通知信号とは、運転者に対してアクセルペダル12の操作による車速制御を可能にするための報知を再度行うことを要求するための制御信号である。
【0116】
ACT制御部84は、車両駆動制御部87から再通知信号を受信すると、目標反力演算部83が算出した回転アクチュエータ21のモータの動力で当該モータを再度回転させて回転部211を僅かに往復回転させる。すなわち、ACT制御部84は、車両駆動制御部87から再通知信号を受信すると、再度アクセルペダル12を振動させる。
【0117】
また、報知制御部85は、車両駆動制御部87から再通知信号を受信すると、表示装置71に制御信号を送信することで、表示装置71に再度ペダル状態表示を表示させる。さらに、報知制御部85は、車両駆動制御部87から再通知信号を受信すると、スピーカ72に制御信号を送信することで、スピーカ72に再度ペダル状態音声を出力させる。
【0118】
これに対して、アクセルペダル12の開度が全閉であると判定される場合、ステップS40において、車両駆動制御部87は、運転者によるアクセルペダル12の操作を有効とする。すなわち、車両駆動制御部87は、ペダル角度検出部16から送信される検出信号に基づいて、スロットル制御装置51を制御可能な状態とする。換言すれば、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能にさせる。
【0119】
続いて、ステップS50において、車両駆動制御部87は、ペダル開度取得部86から送信されるアクセルペダル角度θaに基づいて、アクセルペダル12が基準位置に位置付けられてから規制開始時間t1が経過したか否かを判定する。すなわち、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12の開度が全閉となってから規制開始時間t1経過したか否かを判定する。換言すれば、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12が基準位置へ位置付けられた状態が規制開始時間t1だけ維持されているか否かを判定する。
【0120】
ここで、規制開始時間t1は、アクセルペダル12が運転者によって操作されない際に、再度アクセルペダル12をフットレストオン状態にするか否かを判定するために設定される時間である。規制開始時間t1は、運転者によるアクセルペダル12の踏み込み操作が最後に行われてから次の踏み込み操作が暫くの時間行われない際に、運転者による次の踏み込み操作の意思があるか否かを判定するための時間で設定され、例えば、20秒で設定される。なお、規制開始時間t1は、20秒に限定されるものでなく、20秒より短い時間であってもよいし、20秒より長い時間であってもよい。
【0121】
アクセルペダル12の開度が全閉である状態で規制開始時間t1経過したと判定されない場合、車両駆動制御部87は、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効である状態を維持する。すなわち、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12の開度が全閉である状態で規制開始時間t1経過するまで、ステップS50の処理を繰り返す。
【0122】
これに対して、アクセルペダル12の開度が全閉である状態で規制開始時間t1経過したと判定された場合、ステップS60において、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12をフットレストオン状態にする。具体的に、車両駆動制御部87は、ACT制御部84に、回転部211の回転位置を回転規制位置にさせるための規制要求信号を送信する。ACT制御部84は、車両駆動制御部87から規制要求信号を受信すると、規制ACT213に回転部211を回転させるための制御信号を送信し、回転部211の回転位置を回転規制位置に位置付けさせる。
【0123】
これにより、回転アクチュエータ21の歯部211bが規制機構22の摺動部223cの車両上方Db1に位置付けられることで、再度アクセルペダル12の回転が規制される。そして、アクセルペダル12がフットレストオン状態となる。
【0124】
アクセルペダル12がフットレストオン状態になると、ステップS70において、車両駆動制御部87は、ACT制御部84および報知制御部85に、アクセルペダル12がフットレストオン状態になったことを報知させるための復帰通知信号を送信する。
【0125】
ACT制御部84は、車両駆動制御部87から復帰通知信号を受信すると、目標反力演算部83が算出した回転アクチュエータ21のモータの動力で当該モータを回転させて回転部211を僅かに往復回転させる。すなわち、ACT制御部84は、車両駆動制御部87から復帰通知信号を受信すると、アクセルペダル12を振動させる。そうすることで、アクセルペダル装置1は、運転者にアクセルペダル12がフットレストオン状態に復帰したことを感覚的に報知する。
【0126】
報知制御部85は、車両駆動制御部87から復帰通知信号を受信すると、表示装置71に制御信号を送信することで表示装置71に予め定められた表示内容を表示させる。表示装置71は、車両駆動制御部87から復帰通知信号を受信すると、例えば、「フットレストをオンします。」というアクセルペダル12がフットレストオン状態であることに関する情報を含むペダル状態表示を表示する。
【0127】
さらに、報知制御部85は、車両駆動制御部87から復帰通知信号を受信すると、スピーカ72に制御信号を送信することで、スピーカ72に予め定められた音声内容を出力させる。スピーカ72は、報知制御部85から復帰通知信号を受信すると、例えば、「フットレストをオンします。」というアクセルペダル12がフットレストオン状態であることに関する情報を含むペダル状態音声を出力する。そうすることで、アクセルペダル装置1は、運転者にアクセルペダル12がフットレストオフ状態になったことを視覚的および聴覚的に報知する。
【0128】
このように、本実施形態のアクセルペダル装置1は、ACC実行時にフットレストオフ状態である際、運転者によってアクセルペダル12が規制開始時間t1だけ踏み込み操作されない場合、再度アクセルペダル12をフットレストオン状態に戻す。そして、アクセルペダル装置1は、アクセルペダル12がフットレストオン状態になったことを運転者に報知する。
【0129】
以上のような処理によって実現する作動について、図9を参照して時系列的に説明する。図9に示すように、ACC実行時において、車両駆動制御部87は、ACC速度V1となるようにスロットル制御装置51のアクセル開度を制御する。また、ACC実行時において、アクセルペダル12は、フットレストオン状態とされる。
【0130】
ここで、ACC速度V1となるようにスロットル制御装置51を制御する際のアクセル開度をACCアクセル開度とする。これに対して、運転者によって踏まれるアクセルペダル12の回転角度に基づいて設定させる走行速度となるようにスロットル制御装置51を制御する際のアクセル開度をペダルアクセル開度とも呼ぶ。図9および後述の図11等では、ペダルアクセル開度を実線で示し、ACCアクセル開度を一点鎖線で示している。
【0131】
ACC実行時において、車両駆動制御部87は、ACCアクセル開度の情報に基づいてスロットル制御装置51を制御する。これにより、車両は、ACC速度V1で走行する。また、フットレストオン状態のアクセルペダル12に運転者の足が置かれることで、フットレストとして機能するアクセルペダル12には、フットレスト踏力Frが発生する。フットレスト踏力Frは、アクセルペダル12に運転者の足が置かれることで、運転者の意図した踏み込み操作が行われていない状態においてもアクセルペダル12に加わる踏力である。
【0132】
そして、時点Aにおいて、アクセルペダル12が運転者によってフットレスト踏力Frより大きい解除踏力Fcで踏まれたとする。すると、規制機構22によって規制されていた回転部211の回転が解除される。そして、アクセルペダル12は、フットレストオフ状態となり、解除踏力Fcによって第1周方向Dzh1側に回転して、所定の位置に位置付けられる。これにより、ペダルアクセル開度は、全閉である0%から所定の開度まで上昇する。以下、解除踏力Fcによって第1周方向Dzh1側に回転して位置付けられるアクセルペダル12の回転位置を解除位置とする。
【0133】
ここで、上記で説明したように、時点A直後においては、アクセルペダル12が基準位置より第1周方向Dzh1側に回転している。このため、時点A直後において車両駆動制御部87が実行するステップS20において、アクセルペダル12の開度が全閉であると判定されない。したがって、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効とならない。
【0134】
また、時点A直後において、規制判定部82は、フットレストオフ情報を目標反力演算部83、報知制御部85および車両駆動制御部87に送信する。目標反力演算部83は、回転アクチュエータ21のモータが発生させる動力を算出し、算出した回転アクチュエータ21のモータの動力の情報をACT制御部84に送信する。ACT制御部84は、規制ACT213の回転アクチュエータ21のモータに制御信号を送信することで、アクセルペダル12を振動させる。
【0135】
報知制御部85は、表示装置71にペダル状態表示を表示させるための制御信号を送信するとともに、スピーカ72にペダル状態音声を出力させるための制御信号を送信する。表示装置71は、報知制御部85から制御信号を受信すると、アクセルペダル12がフットレストオフ状態であるペダル状態表示を表示する。また、スピーカ72は、報知制御部85から制御信号を受信すると、アクセルペダル12がフットレストオフ状態であるペダル状態音声を出力する。
【0136】
そして、運転者がアクセルペダル12から足を離すと、アクセルペダル12は、反力発生部15の作用により第2周方向Dzh2側に回転し、解除位置より第2周方向Dzh2側に回転し、基準位置に戻る。アクセルペダル12が基準位置に戻り、ペダルアクセル開度が0%となる時点Bになると、車両駆動制御部87が実行するステップS20およびステップS40の処理によって、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効となる。すなわち、車両駆動制御部87がスロットル制御装置51を制御する際のアクセル開度の情報がACCアクセル開度からペダルアクセル開度に引き継がれる。このため、車両は、ペダル開度取得部86が算出するアクセルペダル角度θaに応じた速度で走行可能な状態となる。そして、運転者がアクセルペダル12を再度踏み込む操作を行うことによって、車両の加速が可能となる。
【0137】
なお、図9において実線で示すペダルアクセル開度のうち、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効となる範囲を太線で示し、転者によるアクセルペダル12の操作が無効となる範囲を細線で示す。また、図9において一点鎖線で示すACCアクセル開度のうち、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効となる範囲を細線で示し、転者によるアクセルペダル12の操作が無効範囲を太線で示す。
【0138】
すなわち、車両駆動制御部87は、ACC実行時において、ペダルアクセル開度およびACCアクセル開度のうち、太線で示されたアクセル開度に基づいてスロットル制御装置51を制御することが可能となる。図9における太線および細線の説明は、後述の図11等においても同様である。
【0139】
ここで、車両駆動制御部87がスロットル制御装置51を制御する際のアクセル開度の情報がACCアクセル開度からペダルアクセル開度に引き継がれる際の判定方法を、図10を参照して説明する。アクセルペダル12が解除踏力Fcで踏まれることによってフットレストオン状態からフットレストオフ状態になった時点でのペダルアクセル開度は、0%である。そして、フットレストオン状態からフットレストオフ状態になることでアクセルペダル12が第1周方向Dzh1側に回転すると、ペダルアクセル開度は、アクセルペダル12が第1周方向Dzh1側に回転するにしたがい0%から上昇する。そして、アクセルペダル12の回転位置が解除位置まで回転すると、ペダルアクセル開度は最大となる。
【0140】
ここで、図10に示すように、アクセルペダル12をフットレストオン状態からフットレストオフ状態にするための解除踏力Fcは、例えば、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度よりも大きくなり易い大きさとなっている。なお、図10に示す破線は、ACCアクセル開度とACC速度V1との関係を示している。また、図10に示す白丸および黒丸は、ペダルアクセル開度の変移を示している。
【0141】
そして、運転者がアクセルペダル12から足を離すと、アクセルペダル12が第2周方向Dzh2側に回転して解除位置から基準位置に戻る。すなわち、ペダルアクセル開度は、0%(すなわち、全閉)となる。これにより、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効となり、車両駆動制御部87がスロットル制御装置51を制御する際のアクセル開度の情報がACCアクセル開度からペダルアクセル開度に引き継がれる。
【0142】
ただし、ACC実行時では、ACC速度V1より遅い速度とならないように、スロットル制御装置51が制御される。このため、車両駆動制御部87は、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度より小さい場合、ACCアクセル開度に基づいてスロットル制御装置51を制御して車速をACC速度V1に近付ける。
【0143】
これに対して、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度より大きい場合、車両駆動制御部87は、ペダルアクセル開度に基づいてスロットル制御装置51を制御する。すなわち、車両駆動制御部87は、ペダルアクセル開度に応じた車速となるようにスロットル制御装置51を制御する。
【0144】
このため、図9に示すように、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効であっても、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度より小さい場合、ACCアクセル開度が優先される。これにより、車速は、ACC速度V1で維持される。
【0145】
また、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度よりより大きくなる時点C以降では、ペダルアクセル開度が優先される。このため、車速は、ACC速度V1より速くなる。すなわち、運転者は、車両を加速させることができる。
【0146】
また、運転者がアクセルペダル12を踏み込む操作を停止すると、アクセルペダル12は、反力発生部15の作用により第2周方向Dzh2側に回転し、基準位置に戻る。そして、アクセルペダル12が基準位置に戻り、アクセルペダル12の開度が0%となる時点Dから規制開始時間t1だけ経過した時点Eになると、車両駆動制御部87が実行するステップS50およびステップS60の処理によって、アクセルペダル12がフットレストオン状態になる。
【0147】
そして、車両駆動制御部87は、ACT制御部84および報知制御部85に、アクセルペダル12がフットレストオン状態になったことを報知させるための復帰通知信号を送信する。ACT制御部84は、車両駆動制御部87から復帰通知信号を受信すると、回転アクチュエータ21のモータの動力でアクセルペダル12を振動させる。
【0148】
報知制御部85は、車両駆動制御部87から復帰通知信号を受信すると、表示装置71に制御信号を送信することで、表示装置71にアクセルペダル12がフットレストオン状態に戻ったことを示すペダル状態表示を表示させる。さらに、報知制御部85は、車両駆動制御部87から復帰通知信号を受信すると、スピーカ72に制御信号を送信することで、スピーカ72にアクセルペダル12がフットレストオン状態に戻ったことを示すペダル状態音声を出力させる。
【0149】
ところで、ACC実行時に運転者の誤操作によってアクセルペダル12が解除踏力Fc以上の踏力で踏み込まれる可能性がある。そのような場合の作動について、図11を参照して時系列的に説明する。なお、図11に示す時点Bまでの動作は、図9を用いて説明した動作と同様であるため、時点Bまでの動作の説明の一部を省略する。
【0150】
時点Aにおいて、運転者の誤操作によってアクセルペダル12が解除踏力Fcで踏まれて、アクセルペダル12が基準位置から第1周方向Dzh1側へ回転したとする。この場合であっても、時点A直後において車両駆動制御部87が実行するステップS20において、アクセルペダル12の開度が全閉であると判定されない。このため、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効とならない。すなわち、運転者の誤操作によってアクセルペダル12が解除踏力Fcで踏まれて基準位置から第1周方向Dzh1側へ回転した場合であっても、車両は、加速せず、ACC速度V1での走行が維持される。
【0151】
そして、時点Bにおいて、アクセルペダル12が基準位置に戻り、アクセルペダル12の開度が0%となったとする。すると、車両駆動制御部87が実行するステップS20およびステップS40の処理によって、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効となる。
【0152】
ただし、運転者の誤操作によってアクセルペダル12のフットレストが解除された場合、運転者によって車両を加速するためのアクセルペダル12の操作が行われないことが想定される。すなわち、運転者の誤操作によってアクセルペダル12のフットレストが解除された場合、運転者は、アクセルペダル12の踏み込み操作を行う意思がないことが想定される。この場合、アクセルペダル12は、踏み込み操作が行われないこととなる。このため、車両は、ACC速度V1での走行維持が望ましい。
【0153】
これに対して、本実施形態のアクセルペダル装置1では、アクセルペダル12の踏み込み操作が行われない場合、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度より小さい状態が維持される。このため、運転者の誤操作によってアクセルペダル12のフットレストが解除された場合であっても、ACC速度V1での走行が維持される。
【0154】
そして、時点B経過後、アクセルペダル12の踏み込み操作が行われない状態で規制開始時間t1が経過した時点Fになったとする。すると、時点Fにおいて、車両駆動制御部87が実行するステップS50およびステップS60の処理によって、アクセルペダル12がフットレストオン状態になる。すなわち、運転者の誤操作によってアクセルペダル12のフットレストが解除された場合であっても、運転者によるアクセルペダル12を操作する意思がない場合、規制開始時間t1経過後にアクセルペダル12を再度フットレストオン状態に戻すことができる。
【0155】
この場合、アクセルペダル装置1は、車両駆動制御部87がステップS70の処理を実行することで、アクセルペダル12がフットレストオン状態になったことを運転者に報知する。
【0156】
以上の如く、本実施形態のアクセルペダル装置1は、ペダル解除状態を検出すると、アクセルペダル12が解除位置より第2周方向Dzh2側に回転し、基準位置に位置付けられるまでアクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を不可能とする。そして、アクセルペダル装置1は、アクセルペダル12が解除位置より第2周方向Dzh2側に回転し、基準位置に位置付けられると、アクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能とする。
【0157】
これによれば、ACC実行時にアクセルペダル12の踏み込み操作が行われて、アクセルペダル12がフットレストオフ状態となった際に、アクセルペダル12が基準位置に戻るまでアクセルペダル12の操作に基づいて車速が制御されない。このため、運転者の意図しない踏み込み操作によってアクセルペダル12のフットレストが解除された場合であっても、車両が急加速することを抑制できる。
【0158】
また、運転者がアクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を望む場合、アクセルペダル12から足を離すことで容易にアクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能にできる。このため、煩わしい操作を行うことなくアクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度を行うことができるので、運転者の快適性を向上させることができる。
【0159】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0160】
(1)上記実施形態では、制御部8は、アクセルペダル12のフットレストが解除後、アクセルペダル12が基準位置へ位置付けられた状態が規制開始時間t1だけ維持されている場合、ペダル規制部20によってアクセルペダル12の回転を再度規制させる。
【0161】
これによれば、ACC実行時に運転者の意図しない踏み込み操作によってアクセルペダル12のフットレストが解除された場合であっても、規制開始時間t1経過後にアクセルペダル12を再度フットレストオン状態に戻すことができる。このため、煩わしい操作を行うことなくアクセルペダル12をフットレストオン状態に戻すことができるので、運転者の快適性を向上させることができる。
【0162】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図12図14を参照して説明する。本実施形態では、車両駆動制御部87が実行する処理の一部が第1実施形態と相違している。これ以外は、第1実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0163】
本実施形態の車両駆動制御部87が実行する処理について、図12を参照して説明する。なお、図12に示す車両駆動制御部87が実行する制御フローで付されたステップのうち、図8に示した第1実施形態の車両駆動制御部87が実行する制御フローと同じ符号が付されたステップは、制御処理の内容が同じであるため、その説明を省略する。
【0164】
車両駆動制御部87は、ステップS10で規制判定部82からフットレストオフ情報を受信すると、ステップS22において、ペダル開度取得部86から送信されるアクセルペダル角度θaに基づいて、アクセル開度の変化率が負の値であるか否かを判定する。具体的に、車両駆動制御部87は、時間にともに変化するアクセル開度の大きさを時間微分することでアクセルペダル12の回転量の変化率であるアクセル開度の変化率を算出し、算出したアクセル開度の変化率が負の値であるか否かを判定する。
【0165】
ここで、アクセルペダル12が第1周方向Dzh1側に回転している場合、すなわち、基準位置から解除位置に向かう方向に回転している場合、アクセルペダル12は、時間の経過とともにアクセル開度が大きくなる。このため、時間の経過に伴うアクセル開度の変化率は正の値となる。すなわち、アクセル開度の変化率が正の値である場合、時間の経過とともにペダルアクセル開度が増加する。
【0166】
これに対して、アクセルペダル12が第2周方向Dzh2側に回転している場合、すなわち、解除位置から基準位置に向かう方向に回転している場合、アクセルペダル12は、時間の経過とともにアクセル開度が小さくなる。このため、時間の経過に伴うアクセル開度の変化率は負の値となる。すなわち、アクセル開度の変化率が負の値である場合、時間の経過とともにペダルアクセル開度が減少する。
【0167】
また、アクセルペダル12が第1周方向Dzh1側および第2周方向Dzh2側に回転せず、解除位置に位置付けられた状態が維持されている場合、アクセルペダル12のアクセル開度は一定となる。このため、時間の経過に伴うアクセル開度の変化率は0となる。
【0168】
したがって、車両駆動制御部87は、ステップS22において、アクセルペダル12が解除踏力Fcによって第1周方向Dzh1側に回転または解除位置に位置付けられておらず、解除位置から第2周方向Dzh2側に回転しているかを判定する。
【0169】
アクセル開度の変化率が負の値であると判定されない場合、ステップS32において、車両駆動制御部87は、ACT制御部84および報知制御部85に、再通知信号を送信する。ここで、再通知信号とは、運転者に対してアクセルペダル12の操作による車速制御を可能にするための報知を再度行うことを要求するための制御信号である。
【0170】
ACT制御部84は、車両駆動制御部87から再通知信号を受信すると、目標反力演算部83が算出した回転アクチュエータ21のモータの動力で当該モータを再度回転させて回転部211を僅かに往復回転させて、再度アクセルペダル12を振動させる。
【0171】
また、報知制御部85は、車両駆動制御部87から再通知信号を受信すると、表示装置71に制御信号を送信することで表示装置71に予め定められた表示内容を表示させる。表示装置71は、報知制御部85から制御信号を受信すると、例えば、「フットレストが解除されました。アクセルを戻すと加速許可します。」というアクセルペダル12がフットレストオフ状態であることに関する情報を含むペダル状態表示を表示する。
【0172】
また、報知制御部85は、車両駆動制御部87から再通知信号を受信すると、スピーカ72に制御信号を送信することで、スピーカ72に予め定められた音声内容を出力させる。スピーカ72は、報知制御部85から制御信号を受信すると、例えば、「フットレストが解除されました。アクセルを戻すと加速許可します。」というアクセルペダル12がフットレストオフ状態であることに関する情報を含むペダル状態音声を出力する。
【0173】
これに対して、アクセル開度の変化率が負の値であると判定された場合、ステップS24において、車両駆動制御部87は、ペダル開度取得部86から送信されるアクセルペダル角度θaに基づいて、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度以下であるか否かを判定する。
【0174】
ここで、車両の走行速度をACC速度V1とするためのアクセルペダル12の回転位置を自動速度位置とする。すなわち、自動速度位置は、ペダルアクセル開度の大きさをACCアクセル開度の大きさとするためのアクセルペダル12の回転位置である。したがって、車両駆動制御部87は、ステップS24において、ペダル開度取得部86から送信されるアクセルペダル角度θaに基づいて、アクセルペダル12の回転位置が自動速度位置より第2周方向Dzh2側であるか否かを判定する。
【0175】
ペダルアクセル開度がACCアクセル開度以下であると判定されない場合、ステップS32において、車両駆動制御部87は、ACT制御部84および報知制御部85に、再通知信号を送信する。
【0176】
これに対して、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度以下であると判定される場合、ステップS40において、車両駆動制御部87は、運転者によるアクセルペダル12の操作を有効とする。すなわち、車両駆動制御部87は、ペダル角度検出部16から送信される検出信号に基づいて、スロットル制御装置51を制御可能な状態とする。換言すれば、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能にさせる。
【0177】
ここで、車両駆動制御部87がスロットル制御装置51を制御する際のアクセル開度の情報がACCアクセル開度からペダルアクセル開度に引き継がれる際の判定方法を、図13を参照して説明する。アクセルペダル12が解除踏力Fcで踏まれることによってフットレストオン状態からフットレストオフ状態になった時点でのペダルアクセル開度は、0%である。そして、フットレストオン状態からフットレストオフ状態になることでアクセルペダル12が第1周方向Dzh1側に回転すると、ペダルアクセル開度は、アクセルペダル12が第1周方向Dzh1側に回転するにしたがい0%から上昇する。そして、アクセルペダル12の回転位置が解除位置まで回転すると、ペダルアクセル開度は最大となる。
【0178】
ここで、アクセルペダル12が第1周方向Dzh1側に回転している際に車両駆動制御部87が実行するステップS22の処理では、アクセル開度の変化率が正の値となるため、否定判定が為される。
【0179】
そして、運転者がアクセルペダル12から足を離したり、アクセルペダル12を踏み込む踏力を解除踏力Fcより小さくさせたりすると、アクセルペダル12が解除位置から第2周方向Dzh2側に回転する。すなわち、アクセルペダル12が解除位置から基準位置側に近づく。これにより、車両駆動制御部87が実行するステップS22の処理では、アクセル開度の変化率が負の値となるため、肯定判定が為される。
【0180】
そして、アクセルペダル12がさらに基準位置側に近づき、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度以下となると、車両駆動制御部87が実行するステップS24の処理で肯定判定が為されて、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効となる。これにより、車両駆動制御部87がスロットル制御装置51を制御する際のアクセル開度の情報がACCアクセル開度からペダルアクセル開度に引き継がれる。
【0181】
以上のような処理によって実現する作動について、図14を参照して時系列的に説明する。ACC実行時において、車両駆動制御部87は、ACCアクセル開度の情報に基づいてスロットル制御装置51を制御する。そして、時点Aにおいて、アクセルペダル12が運転者によってフットレスト踏力Frより大きい解除踏力Fcで踏まれたとする。すると、規制機構22によって規制されていた回転部211の回転位置が解除される。また、アクセルペダル12は、フットレストオフ状態となり、第1周方向Dzh1側に回転して解除位置に位置付けられる。これにより、ペダルアクセル開度は、全閉である0%から上昇する。
【0182】
ただし、上記で説明したように、時点A直後においては、アクセルペダル12が解除踏力Fcによって第1周方向Dzh1側に回転している。このため、時点A直後において車両駆動制御部87が実行するステップS22において、アクセル開度の変化率が正の値となるため、否定判定が為される。したがって、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効とならない。
【0183】
そして、運転者がアクセルペダル12から足を離したり、アクセルペダル12を踏み込む踏力を解除踏力Fcより小さくさせたりすると、アクセルペダル12は、反力発生部15の作用により解除位置から第2周方向Dzh2側に回転し、基準位置に近づく。そして、車両駆動制御部87が実行するステップS22において、アクセル開度の変化率が負の値となるため、肯定判定が為される。また、ペダルアクセル開度は、時間の経過にともない減少していく。
【0184】
そして、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度となる時点Gを経過すると、車両駆動制御部87が実行するステップS24およびステップS40の処理によって、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効となる。換言すれば、アクセルペダル12の回転位置が自動速度位置より第2周方向Dzh2へ移動すると運転者によるアクセルペダル12の操作が有効となる。すなわち、車両駆動制御部87がスロットル制御装置51を制御する際のアクセル開度の情報がACCアクセル開度からペダルアクセル開度に引き継がれる。このため、車両は、ペダル開度取得部86が算出するアクセルペダル角度θaに応じた速度で走行可能な状態となる。そして、運転者がアクセルペダル12を再度踏み込む操作を行うことによって、車両の加速が可能となる。
【0185】
このように、本実施形態のアクセルペダル装置1は、アクセルペダル12を基準位置に戻すことなく運転者によるアクセルペダル12の操作を有効とすることができる。そして、運転者がアクセルペダル12を踏み込み、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度よりより大きくなる時点H以降では、運転者は、車両を加速させることができる。
【0186】
以上の如く、本実施形態のアクセルペダル装置1は、ペダル解除状態を検出すると、アクセルペダル12がACC速度位置より第2周方向Dzh2側へ移動するまでアクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を不可能とする。そして、アクセルペダル装置1は、アクセルペダル12がACC速度位置より第2周方向Dzh2側へ移動すると、アクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能とする。
【0187】
これによれば、ACC実行時にアクセルペダル12の踏み込み操作によってアクセルペダル12のフットレストが解除されても、アクセルペダル12がACC速度位置より第2周方向Dzh2側へ移動するまで運転者のアクセルペダル12の操作が有効とならない。このため、運転者の意図しない踏み込み操作によってアクセルペダル12のフットレストが解除された場合であっても、車両が急加速することを抑制できる。
【0188】
また、アクセルペダル12を基準位置に戻すことなくアクセルペダル12の操作を有効とすることができるので、アクセルペダル12を基準位置に戻すことによるアクセルペダル12の操作に対する応答遅れを抑制することができる。
【0189】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0190】
(1)上記実施形態では、制御部8は、時間の経過に伴うアクセル開度の変化率が負の値である場合、アクセルペダル12が第2周方向Dzh2側へ回転していると判定する。
【0191】
これによれば、アクセルペダル12が第2周方向Dzh2側へ回転していることを確実に検出することができる。
【0192】
(第2実施形態の変形例)
上述の第2実施形態では、制御部8は、時間の経過に伴うアクセル開度の変化率が負の値である場合、アクセルペダル12が第2周方向Dzh2側へ回転していると判定する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部8は、時間の経過に伴いアクセル開度が変化する場合、変化する前のアクセル開度の大きさと変化した後のアクセル開度の大きさの差分が負の値である場合に、アクセルペダル12が第2周方向Dzh2側へ回転していると判定してもよい。
【0193】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図15および図16を参照して説明する。本実施形態では、車両駆動制御部87が実行する処理の一部が第2実施形態と相違している。これ以外は、第2実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第2実施形態と異なる部分について主に説明し、第2実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0194】
本実施形態の車両駆動制御部87が実行する処理について、図15を参照して説明する。なお、図15に示す車両駆動制御部87が実行する制御フローで付されたステップのうち、図12に示した第2実施形態の車両駆動制御部87が実行する制御フローと同じ符号が付されたステップは、制御処理の内容が同じであるため、その説明を省略する。
【0195】
車両駆動制御部87は、ステップS10で規制判定部82からフットレストオフ情報を受信すると、ステップS22において、ペダル開度取得部86から送信されるアクセルペダル角度θaに基づいて、アクセル開度の変化率が負の値であるか否かを判定する。
【0196】
アクセル開度の変化率が負の値であると判定されない場合、車両駆動制御部87は、ステップS24の処理をスキップしてステップS26の処理を実行する。これに対して、アクセル開度の変化率が負の値であると判定された場合、ステップS24において、車両駆動制御部87は、ペダル開度取得部86から送信されるアクセルペダル角度θaに基づいて、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度以下であるか否かを判定する。
【0197】
ペダルアクセル開度がACCアクセル開度以下であると判定されない場合、車両駆動制御部87は、ステップS26において、フットレストオフ情報を受信してからアクセル有効化時間t2が経過したか否かを判定する。すなわち、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12のフットレストが解除されてから、アクセル有効化時間t2が経過したか否かを判定する。
【0198】
ここで、アクセル有効化時間t2は、アクセルペダル12のフットレストが解除後、アクセルペダル12が運転者によって基準位置側に戻されない場合に、運転者によるアクセルペダル12の操作を有効にするために予め設定される猶予時間である。アクセル有効化時間t2は、運転者によるアクセルペダル12の操作を有効にすることを運転者に通知するための時間を充分に確保可能な時間で設定され、例えば、10秒で設定される。なお、アクセル有効化時間t2は、10秒に限定されるものでなく、アクセルペダル12の操作を有効にすることを運転者に通知可能であれば、10秒より短い時間であってもよいし、10秒より長い時間であってもよい。
【0199】
アクセル有効化時間t2が経過したと判定されない場合、ステップS32において、車両駆動制御部87は、車両駆動制御部87は、ACT制御部84および報知制御部85に、再通知信号を送信する。
【0200】
これに対して、アクセル有効化時間t2が経過したと判定された場合、ステップS80の処理を実行する。ところで、ステップS22で否定判定が為され、ステップS26において肯定判定が為される場合、アクセルペダル12が解除踏力Fcによって踏み込まれた状態で維持されていることが想定される。
【0201】
このため、ステップS80において、車両駆動制御部87は、ACT制御部84および報知制御部85に、アクセルペダル12の操作を有効化することを報知するための引継通知信号を送信する。
【0202】
ACT制御部84は、車両駆動制御部87から引継通知信号を受信すると、目標反力演算部83が算出した回転アクチュエータ21のモータの動力で当該モータを回転させて回転部211を僅かに往復回転させる。すなわち、ACT制御部84は、車両駆動制御部87から引継通知信号を受信すると、アクセルペダル12を振動させる。そうすることで、アクセルペダル装置1は、アクセルペダル12がフットレストオフ状態であって、アクセルペダル12の踏み込み操作が維持されていることで車両が加速されることを感覚的に報知する。
【0203】
報知制御部85は、車両駆動制御部87から引継通知信号を受信すると、表示装置71に制御信号を送信することで表示装置71に予め定められた表示内容を表示させる。表示装置71は、報知制御部85から制御信号を受信すると、例えば、「フットレストが解除されました。アクセル操作をアクセルへ引き継ぎします。」というアクセルペダル12の操作が有効化されることに関する情報を含むペダル状態表示を表示する。
【0204】
さらに、報知制御部85は、車両駆動制御部87から引継通知信号を受信すると、スピーカ72に制御信号を送信することで、スピーカ72に予め定められた音声内容を出力させる。スピーカ72は、報知制御部85から制御信号を受信すると、例えば、「フットレストが解除されました。アクセル操作をアクセルへ引き継ぎします。」というアクセルペダル12の操作が有効化されることに関する情報を含むペダル状態音声を出力する。そうすることで、アクセルペダル装置1は、運転者にアクセルペダル12の操作が有効化されることを視覚的および聴覚的に報知する。
【0205】
ステップS90において、車両駆動制御部87は、車両を加速させる。具体的に、車両駆動制御部87は、ペダル開度取得部86から送信されるアクセルペダル角度θaに応じた検出信号に基づいて、車両の目標速度を算出する。そして、車両駆動制御部87は、車速を算出した目標速度に近づけるため、予め設定された設定加速度で車両が加速するようにスロットル制御装置51を制御する。
【0206】
ここで、設定加速度は、ACC実行時に車両を加速させる際、車両が急加速しないように予め設定される最大の加速度である。設定加速度は、車両の急加速を回避可能な大きさで設定され、例えば、ACCで車両を加速させる際の法規で定められた最大の加速度である0.2G(すなわち、約2m/s)で設定される。なお、設定加速度は、0.2Gに限定されるものでなく、車両が急加速を回避可能な時間であれば、0.2Gより小さくてもよいし、0.2Gより大きくてもよい。
【0207】
ステップS100において、車両駆動制御部87は、車速が算出した目標速度以上であるか否かを判定する。そして、車両駆動制御部87は、車速が算出した目標速度となるまでステップS100の処理を繰り返す。
【0208】
車速がステップS90で算出した目標速度であると判定されると、ステップS110において、車両駆動制御部87は、運転者によるアクセルペダル12の操作を有効とする。すなわち、車両駆動制御部87は、ペダル角度検出部16から送信される検出信号に基づいて、スロットル制御装置51を制御可能な状態とする。換言すれば、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能にさせる。
【0209】
以上のような処理によって実現する作動について、図16を参照して時系列的に説明する。ACC実行時において、車両駆動制御部87は、ACCアクセル開度の情報に基づいてスロットル制御装置51を制御する。そして、時点Aにおいて、アクセルペダル12が運転者によってフットレスト踏力Frより大きい解除踏力Fcで踏まれたとする。すると、規制機構22によって規制されていた回転部211の回転位置が解除される。また、アクセルペダル12は、フットレストオフ状態となり、第1周方向Dzh1側に回転して解除位置に位置付けられる。これにより、ペダルアクセル開度は、全閉である0%から上昇する。
【0210】
ここで、アクセルペダル12がフットレストオフ状態となった後においても、アクセルペダル12が運転者によって解除踏力Fcで踏まれた状態で維持されたとする。すなわち、アクセルペダル12が解除位置に位置付けられた状態で保持されて、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度より大きい状態で維持されたとする。この場合、車両駆動制御部87が実行するステップS22およびステップS26の処理において、時点Aからアクセル有効化時間t2が経過する時点Jまで運転者によるアクセルペダル12の操作が有効とされない状態が維持される。このため、車速は、ACC速度V1で維持される。
【0211】
また、時点J経過後、車両駆動制御部87が実行するステップS90およびステップS100の処理において、車両駆動制御部87は、車両を目標速度まで設定加速度で加速させる。すなわち、車両駆動制御部87は、設定加速度で車両が加速して車速が目標速度となるように、スロットル制御装置51を制御する。
【0212】
そして、車速が目標速度となる時点Kになると、車両駆動制御部87が実行するステップS110の処理によって、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効となる。すなわち、車両駆動制御部87がスロットル制御装置51を制御する際のアクセル開度の情報がACCアクセル開度からペダルアクセル開度に引き継がれる。このため、車両は、ペダル開度取得部86が算出するアクセルペダル角度θaに応じた速度で走行可能な状態となる。そして、運転者がアクセルペダル12の踏み込み操作を解除すると、車両が減速する。
【0213】
このように、本実施形態のアクセルペダル装置1は、アクセルペダル12のフットレストが解除されてからアクセル有効化時間t2だけアクセルペダル12が戻されない場合、設定加速度で車両を加速させることで、アクセルペダル12の操作を徐々に引き継がせる。
【0214】
以上の如く、本実施形態のアクセルペダル装置1は、ペダル解除状態を検出してからアクセル有効化時間t2が経過するまでに、ペダルアクセル開度がACCアクセル開度以下とならない場合、車両の走行速度を予め定められた加速度で変化させる。そして、アクセルペダル装置1は、アクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度に徐々に近付ける。
【0215】
これによれば、ACC実行時にアクセルペダル12の踏み込み操作によってアクセルペダル12のフットレストが解除されても、アクセル有効化時間t2が経過するまで運転者のアクセルペダル12の操作が有効とならない。そして、アクセル有効化時間t2が経過後に運転者のアクセルペダル12の操作を有効とした際にも急加速を回避可能な設定加速度で車両を加速させるため、車両が急加速することを抑制できる。
【0216】
(第3実施形態の変形例)
上述の第3実施形態では、ペダル解除状態を検出してからアクセル有効化時間t2が経過するまでにペダルアクセル開度がACCアクセル開度以下とならない場合、車両の走行速度を予め定められた加速度で変化させる例について説明したが、これに限定されない。たとえば、制御部8は、ペダル解除状態を検出してからアクセル有効化時間t2が経過するまでにアクセルペダル12が基準位置に位置付けられない場合、車両の走行速度を予め定められた加速度で変化させてもよい。
【0217】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について、図17図20を参照して説明する。本実施形態では、自動運転システムが把持検出部9を備えており、制御部8がACC判定部88を備えている点が第1実施形態と相違している。さらに、本実施形態では、制御部8が実行する処理が第1実施形態と相違している。これら以外は、第1実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第1実施形態と異なる部分について主に説明し、第1実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0218】
本実施形態の自動運転システムは、図17および図18に示すように、把持検出部9を備えている。把持検出部9は、運転者によってステアリングホイールが把持されていることを検出するセンサである。把持検出部9は、例えば、ステアリングホイールに設けられた圧力センサで構成されており、運転者がステアリングホイールを把持することによって変化するステアリングホイールへの圧力を検出可能に構成されている。
【0219】
把持検出部9は、車両駆動制御部87に接続されており、検出したステアリングホイールの圧力に応じた検出信号を車両駆動制御部87に送信可能に構成されている。換言すれば、把持検出部9は、運転者によるステアリングホイールの把持状態に応じた把持信号を車両駆動制御部87に出力する。把持検出部9が検出する圧力の情報は、自動運転システムが自動運転モードを実行する際において用いられる。
【0220】
また、本実施形態の制御部8は、図18に示すように、ACC判定部88を有する。制御部8は、ACT検出部30、ペダル角度検出部16、車両情報検出部3および把持検出部9から送信される検出信号が入力されると、ROM内に記憶されたプログラムを実行する。これにより、制御部8は、ACT情報取得部81、規制判定部82、目標反力演算部83、ACT制御部84、報知制御部85、ペダル開度取得部86、車両駆動制御部87およびACC判定部88として機能する。あるいは、制御部8は、ACT情報取得部81、規制判定部82、目標反力演算部83、ACT制御部84、報知制御部85、ペダル開度取得部86、車両駆動制御部87およびACC判定部88に一対一に対応する複数の回路モジュールを備えていてもよい。
【0221】
ACC判定部88は、入力側が車両情報検出部3に接続されており、車両情報検出部3から送信される検出信号に基づいて自動運転モードにおいてACCが継続可能か否かを判定するものである。ACC判定部88は、ACT制御部84、報知制御部85および車両駆動制御部87に接続されており、判定結果をこれらACT制御部84、報知制御部85および車両駆動制御部87に送信する。
【0222】
このように構成されるアクセルペダル装置1が適用される自動運転システムにおいて、自動運転モードにおいてACCを実行時に、ACC判定部88によってACCの継続が不可能と判定されるとACCが停止される。そして、ACCが停止された際、運転者によるアクセルペダル12の操作を可能とするため、フットレストオン状態であったアクセルペダル12がフットレストオフ状態にされる。すなわち、フットレストとして機能するアクセルペダル12の回転の規制が解除される。ただし、ACCが停止されてアクセルペダル12がフットレストオフ状態になった際に、安全確保の観点から車両を急加速させないことが求められる。
【0223】
以下に、自動運転モードにおいてACCを実行時に、ACC判定部88によってACCの継続が不可能と判定され際、車両が急加速することを抑制するために本実施形態のアクセルペダル装置1が実行する具体的な作動について説明する。
【0224】
ACC実行時において、ACC判定部88は、例えば、車両情報検出部3から予め定められた制御周期毎に送信される検出信号に基づいて自動運転モードにおいてACCが継続可能か否かを判定する。例えば、ACC判定部88は、車両情報検出部3における周囲環境センサが検出する降雨量や照度センサが検出する照度がACCの継続を行うための条件を満たしていない場合、ACCの継続が不可能と判定してもよい。または、ACC判定部88は、車両情報検出部3における周辺監視センサが検出する自車両周辺の歩行者の存在等がACCの継続を行うための条件を満たしていない場合、ACCの継続が不可能と判定してもよい。
【0225】
ここで、ACC実行時にACC判定部88がACCの継続を不可能と判定したとする。すると、ACC判定部88は、ACCの継続が不可能であることを示すACC不可能信号を、ACT制御部84、報知制御部85および車両駆動制御部87に送信する。車両駆動制御部87は、ACC判定部88からACC不可能信号を受信すると、後述するように、ACCを停止させる。車両駆動制御部87の詳細な動作は後述する。
【0226】
ACT制御部84は、ACC判定部88からACC不可能信号を受信すると、規制ACT213の回転アクチュエータ21のモータに制御信号を送信することで、回転アクチュエータ21のモータの回転を制御する。具体的に、ACT制御部84は、回転アクチュエータ21のモータに制御信号を送信することで、回転部211を回転規制位置から歯部211bが摺動部223cを押圧する方向へ回転させて、規制されていた回転部211の回転を解除させる。すなわち、ACT制御部84は、アクセルペダル12のフットレストを解除させる。
【0227】
さらに、ACT制御部84は、ACC判定部88からACC不可能信号を受信すると、回転アクチュエータ21のモータの動力で当該モータを回転させて回転部211を僅かに往復回転させる。これにより、ACT制御部84は、ペダル支持部212を介して回転部211に接続されるアクセルペダル12を振動させる。そうすることで、アクセルペダル装置1は、運転者にアクセルペダル12のフットレストが解除されたことを感覚的に報知する。
【0228】
また、報知制御部85は、ACC判定部88からACC不可能信号を受信すると、表示装置71に制御信号を送信することで表示装置71に予め定められた表示内容を表示させる。表示装置71は、報知制御部85から制御信号を受信すると、例えば、「フットレストが解除されました。ハンドルを把持し、アクセルから足を離すと加速許可します。」というアクセルペダル12を有効化させるための運転者の操作に関する情報を含むペダル状態表示を表示する。なお、表示装置71が表示するペダル状態表示は、上記に限定されず、例えば、アクセルペダル12を有効化させるための運転者の操作を催促する警告表示であってもよい。
【0229】
さらに、報知制御部85は、ACC判定部88からACC不可能信号を受信すると、スピーカ72に制御信号を送信することで、スピーカ72に予め定められた音声内容を出力させる。スピーカ72は、報知制御部85から制御信号を受信すると、例えば、「フットレストが解除されました。ハンドルを把持し、アクセルから足を離すと加速許可します。」というアクセルペダル12を有効化させるための運転者の操作に関する情報を含むペダル状態音声を出力する。なお、スピーカ72が出力するペダル状態音声は、上記に限定されず、例えば、アクセルペダル12を有効化させるための運転者の操作を催促する警告音であってもよい。
【0230】
このように表示装置71およびスピーカ72を作動させることで、アクセルペダル装置1は、アクセルペダル12を有効化させるための運転者の操作を催促するための情報を視覚的および聴覚的に報知する。
【0231】
続いて、本実施形態の車両駆動制御部87がACC判定部88からACC不可能信号を受信した際に実行する処理について、図19を参照して説明する。
【0232】
最初に、ステップS200において、車両駆動制御部87は、ACC判定部88からACC不可能信号を受信する。そして、ステップS210において、車両駆動制御部87は、ACCを停止する。また、ステップS220において、車両駆動制御部87は、車両の駆動を停止させる。具体的に、車両駆動制御部87は、エンジンの出力を停止させるための制御信号をスロットル制御装置51に送信する。
【0233】
そして、車両駆動制御部87は、ペダル開度取得部86から送信されるアクセルペダル角度θaに基づいて、アクセルペダル12の回転位置が基準位置であるか否かを判定する。換言すれば、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12の開度が全閉であるか否かを判定する。
【0234】
アクセルペダル12の開度が全閉であると判定されない場合、ステップS240において、車両駆動制御部87は、ACT制御部84および報知制御部85に、運転者に対してアクセルペダル12の位置を基準位置に戻すことを要求するための再通知信号を送信する。
【0235】
これに対して、アクセルペダル12の開度が全閉であると判定される場合、ステップS250において、車両駆動制御部87は、把持検出部9から送信される検出信号に基づいて、運転者がステアリングホイールを把持しているか否かを判定する。
【0236】
運転者がステアリングホイールを把持していると判定されない場合、ステップS240において、車両駆動制御部87は、ACT制御部84および報知制御部85に、運転者に対してアクセルペダル12の位置を基準位置側に戻すことを要求するための再通知信号を送信する。
【0237】
これに対して、運転者がステアリングホイールを把持していると判定された場合、ステップS250において、車両駆動制御部87は、運転者によるアクセルペダル12の操作を有効とする。すなわち、車両駆動制御部87は、ペダル角度検出部16から送信される検出信号に基づいて、スロットル制御装置51を制御可能な状態とする。換言すれば、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能にさせる。
【0238】
以上のような処理によって実現する作動について、図20を参照して時系列的に説明する。ACC実行時において、車両駆動制御部87は、ACCアクセル開度の情報に基づいてスロットル制御装置51を制御する。そして、時点Lにおいて、ACC判定部88によってACCの継続が不可能と判定されたとする。すると、車両駆動制御部87は、ACCを停止させるとともに、車両の駆動を停止させる。これにより、車速は、時間経過とともに低下する。
【0239】
また、ACT制御部84は、回転部211を回転させ、アクセルペダル12をフットレストオフ状態にさせる。すると、フットレストオン状態のアクセルペダル12に運転者の足が置かれることでアクセルペダル12に発生していた踏力によって、アクセルペダル12が基準位置より第1周方向Dzh1側に回転する。このため、時点L直後においては、ペダルアクセル開度が全閉である0%から上昇する。
【0240】
すなわち、時点L直後においては、アクセルペダル12が基準位置より第1周方向Dzh1側に回転している。このため、時点L直後において車両駆動制御部87が実行するステップS230において、アクセルペダル12の開度が全閉であると判定されない。このため、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効とならない。
【0241】
そして、運転者がアクセルペダル12から足を離すと、アクセルペダル12は、反力発生部15の作用により第2周方向Dzh2側に回転し、基準位置に戻る。アクセルペダル12が基準位置に戻り、ペダルアクセル開度が0%となる時点Mになると、運転者がステアリングホイールを把持している場合、車両駆動制御部87が実行するステップS230、ステップS250およびステップS260の処理によって、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効となる。すなわち、車両駆動制御部87がスロットル制御装置51を制御する際のアクセル開度の情報がACCアクセル開度からペダルアクセル開度に引き継がれる。このため、車両は、ペダル開度取得部86が算出するアクセルペダル角度θaに応じた速度で走行可能な状態となる。そして、運転者がアクセルペダル12を再度踏み込む操作を行うことによって、車両の加速が可能となる。
【0242】
このため、例えば、図20に示すように、運転者がアクセルペダル12を踏み込む操作を行うことでペダルアクセル開度がACCアクセル開度と同等になると、車速をACC速度V1まで上昇させることができる。
【0243】
以上の如く、本実施形態のアクセルペダル装置1は、ACCの走行が不可能となった場合、車両情報検出部3が出力する運転状態信号に基づいて、ACCでの走行を不可能と判定する。そして、制御部8は、ACCでの走行が不可能と判定した場合、ペダル規制部20によるアクセルペダル12の回転の規制を解除させる。すなわち、アクセルペダル12のフットレストを解除する。
【0244】
そして、制御部8は、アクセルペダル12が基準位置に位置付けられるまでアクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を不可能とする。そして、制御部8は、アクセルペダル12が基準位置に位置付けられるとアクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能とする。
【0245】
これによれば、ACCの継続が不可能と判定されることでアクセルペダル12のフットレストを解除した場合であっても、アクセルペダル12が基準位置に戻るまでアクセルペダル12の操作を無効とすることができる。このため、フットレストオン状態のアクセルペダル12に運転者の足が置かれることでアクセルペダル12に発生していた踏力によって、運転者の意図しないアクセルペダル12の踏み込み操作があった場合であっても、車両が急加速することを抑制できる。
【0246】
また、上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0247】
(1)上記実施形態では、制御部8は、把持検出部9が出力する把持信号に基づいて運転者がステアリングホイールを把持しているか否かを判定する。そして、制御部8は、制御部8は、運転者によるステアリングホイールの把持を検出するまでアクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を不可能とする。そして、制御部8は、運転者によるステアリングホイールの把持を検出するとアクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能とする。
【0248】
これによれば、アクセルペダル12が基準位置に戻るのに加えて、ステアリングホイールが把持されるまでアクセルペダル12の操作を無効とすることができる。このため、アクセルペダル12の操作が有効になる条件が増加するため、ACCの継続が不可能となった際に運転者の意図しないアクセルペダル12の踏み込み操作があった場合であっても、さらに車両が急加速することを抑制できる。
【0249】
(第4実施形態の変形例)
上述の第4実施形態では、自動運転システムが把持検出部9を備えており、把持検出部9によって運転者がステアリングホイールを把持している場合にアクセルペダル12の操作を有効とする例について説明したが、これに限定されない。
【0250】
例えば、自動運転システムは、把持検出部9を備えていない構成であってもよい。この場合、車両駆動制御部87は、ステップS250の処理を実行することなくアクセルペダル12の操作を有効としてもよい。
【0251】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態について、図21図23を参照して説明する。本実施形態では、車両駆動制御部87が実行する処理の一部が第4実施形態と相違している。これ以外は、第4実施形態と同様である。このため、本実施形態では、第4実施形態と異なる部分について主に説明し、第4実施形態と同様の部分について説明を省略することがある。
【0252】
本実施形態の車両駆動制御部87が実行する処理について、図21を参照して説明する。なお、図21に示す車両駆動制御部87が実行する制御フローで付されたステップのうち、図19に示した第4実施形態の車両駆動制御部87が実行する制御フローと同じ符号が付されたステップは、制御処理の内容が同じであるため、その説明を省略する。
【0253】
最初に、ステップS200において、車両駆動制御部87は、ACC判定部88からACC不可能信号を受信する。そして、ステップS205において、車両駆動制御部87は、運転モードを自動運転モードから手動運転モードへ引き継がせることを要求する信号であるACC引継要求信号をACT制御部84および報知制御部85に送信する。
【0254】
ACT制御部84は、車両駆動制御部87からACC引継要求信号を受信すると、規制ACT213の回転アクチュエータ21のモータに制御信号を送信することで、回転アクチュエータ21のモータの回転を制御する。具体的に、ACT制御部84は、回転アクチュエータ21のモータの動力で当該モータを回転させて回転部211を僅かに往復回転させる。これにより、ACT制御部84は、ペダル支持部212を介して回転部211に接続されるアクセルペダル12を振動させる。そうすることで、アクセルペダル装置1は、運転者に運転モードが自動運転モードから手動運転モードへ引き継がれることを感覚的に報知する。
【0255】
また、報知制御部85は、車両駆動制御部87からACC引継要求信号を受信すると、表示装置71に制御信号を送信することで表示装置71に予め定められた表示内容を表示させる。表示装置71は、報知制御部85から制御信号を受信すると、例えば、「フットレストが解除されました。ハンドルを把持し、アクセルから足を離すと加速許可します。」という運転モードが自動運転モードから手動運転モードへ引き継がれることに関する情報を含む運転モード状態表示を表示する。なお、表示装置71が表示する運転状態表示は、上記に限定されず、例えば、運転モードが自動運転モードから手動運転モードへ引き継がれることを示す警告表示であってもよい。
【0256】
さらに、報知制御部85は、ACC判定部88からACC引継要求信号を受信すると、スピーカ72に制御信号を送信することで、スピーカ72に予め定められた音声内容を出力させる。スピーカ72は、報知制御部85から制御信号を受信すると、例えば、「フットレストが解除されました。ハンドルを把持し、アクセルから足を離すと加速許可します。」という運転モードが自動運転モードから手動運転モードへ引き継がれることに関する情報を含む運転状態音声を出力する。なお、スピーカ72が出力するペダル状態音声は、上記に限定されず、例えば、運転モードが自動運転モードから手動運転モードへ引き継がれることを示す警告音であってもよい。
【0257】
これらアクセルペダル12、表示装置71およびスピーカ72は、このように運転者に運転モードが自動運転モードから手動運転モードへ引き継がれることを報知することで、運転者にアクセルペダル12の操作を促す。本実施形態のアクセルペダル12、表示装置71およびスピーカ72は、運転者にアクセルペダル12の操作を促す操作催促装置として機能する。
【0258】
また、ステップS230において、車両駆動制御部87は、ペダル開度取得部86から送信されるアクセルペダル角度θaに基づいて、アクセルペダル12の回転位置が基準位置であるか否かを判定する。
【0259】
アクセルペダル12の回転位置が基準位置であると判定されない場合、車両駆動制御部87は、ステップS250の処理をスキップしてステップS270の処理を実行する。これに対して、アクセルペダル12の回転位置が基準位置であると判定される場合、ステップS250において、車両駆動制御部87は、把持検出部9から送信される検出信号に基づいて、運転者がステアリングホイールを把持しているか否かを判定する。
【0260】
運転者がステアリングホイールを把持していると判定されない場合、ステップS270において、車両駆動制御部87は、ACC引継要求信号を送信後、準備時間t3が経過したか否かを判定する。すなわち、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12のフットレストが解除されてからアクセルペダル12の回転位置が基準位置に位置付けされず、または、ステアリングホイールを把持されていない状態で準備時間t3が経過したか否かを判定する。
【0261】
ここで、準備時間t3は、ACCが停止されることで運転者自身が運転を行う必要が生じた場合に、運転者が操作の準備を行うために必要な時間として予め設定される時間である。準備時間t3は、例えば、ACCを実行可能な車両において、ACCが停止されてから手動で運転を行うための必要な時間として法規で定められた最小の時間である10秒で設定される。なお、準備時間t3は、10秒に限定されるものでなく、ACCが停止されてから手動で運転を行うための時間を確保可能であれば、10秒より短い時間であってもよいし、10秒より長い時間であってもよい。
【0262】
準備時間t3が経過したと判定されない場合、ステップS240において、車両駆動制御部87は、ACT制御部84および報知制御部85に再通知信号を送信する。本実施形態の再通知信号は、運転者に対してアクセルペダル12を基準位置に戻すことおよびステアリングホイールの把持を要求するための要求を行うための信号である。
【0263】
これに対して、準備時間t3が経過したと判定された場合、ステップS280において、車両駆動制御部87は、ACCを停止する。そして、ステップS290において、車両駆動制御部87は、車両を自動的に安全な場所に停止させる。具体的に、車両駆動制御部87は、エンジンの出力を停止させるための制御信号をスロットル制御装置51に送信する。また、車両駆動制御部87は、自車両を安全な場所に停止させるための制御信号をブレーキ制御装置およびステアリング制御装置に送信する。
【0264】
そして、ステップS300において、車両駆動制御部87は、運転者によるアクセルペダル12の操作を有効とする。すなわち、車両駆動制御部87は、車両の停止後、アクセルペダル12の踏み込み操作が為された際、ペダル角度検出部16から送信される検出信号に基づいて、スロットル制御装置51を制御可能な状態とする。換言すれば、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能にさせる。
【0265】
また、ステップS250で運転者がステアリングホイールを把持していると判定された場合、ステップS255において、車両駆動制御部87は、ACCを停止する。そして、ステップS260において、車両駆動制御部87は、運転者によるアクセルペダル12の操作を有効とする。すなわち、車両駆動制御部87は、ペダル角度検出部16から送信される検出信号に基づいて、スロットル制御装置51を制御可能な状態とする。換言すれば、車両駆動制御部87は、アクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能にさせる。
【0266】
以上のような処理によって実現する作動について、図22を参照して時系列的に説明する。ACC実行時において、車両駆動制御部87は、ACCアクセル開度の情報に基づいてスロットル制御装置51を制御する。そして、時点Pにおいて、ACC判定部88によってACCの継続が不可能と判定されたとする。すると、時点Pにおいて、車両駆動制御部87は、ACC引継要求信号をACT制御部84および報知制御部85に送信する。
【0267】
ただし、時点Pにおいては、ACCが停止されないため、時点P直後において、車速は、ACC速度V1で維持される。
【0268】
そして、ACT制御部84は、回転部211を回転させ、アクセルペダル12をフットレストオフ状態にさせる。すなわち、ACT制御部84は、アクセルペダル12のフットレストを解除する。すると、フットレストオン状態のアクセルペダル12に運転者の足が置かれることでアクセルペダル12に発生していた踏力によって、アクセルペダル12が基準位置より第1周方向Dzh1側に回転する。このため、時点P直後においては、ペダルアクセル開度が全閉である0%から上昇する。
【0269】
ただし、上記で説明したように、時点P直後においては、アクセルペダル12が基準位置より第1周方向Dzh1側に回転している。このため、時点P直後において車両駆動制御部87が実行するステップS230において、アクセルペダル12の開度が全閉であると判定されない。このため、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効とならない。
【0270】
そして、運転者がアクセルペダル12から足を離すと、アクセルペダル12は、反力発生部15の作用により第2周方向Dzh2側に回転し、基準位置に戻る。ここで、ACC引継要求信号がされた時点Pから準備時間t3が経過した時点Qよりも前のタイミングでアクセルペダル12が基準位置に戻り、運転者がステアリングホイールを把持している場合、ACCが停止され、運転モードが自動運転モードから手動運転モードへ引き継がれる。
【0271】
例えば、時点Pから準備時間t3が経過した時点Qよりも前のタイミングである時点Rにおいて、アクセルペダル12が基準位置に戻り、運転者がステアリングホイールを把持したとする。すると、時点Rにおいて、車両駆動制御部87が実行するステップS230およびステップS250の処理によって、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効となる。すなわち、運転モードが自動運転モードから手動運転モードに切り替えられる。このため、車両は、ペダル開度取得部86が算出するアクセルペダル角度θaに応じた速度で走行可能な状態となる。そして、運転者がアクセルペダル12を再度踏み込む操作を行うことによって、車両の加速が可能となる。
【0272】
このため、例えば、図22に示すように、運転者がアクセルペダル12を踏み込む操作を行うことでペダルアクセル開度がACCアクセル開度と同等になると、車速をACC速度V1まで上昇させることができる。
【0273】
なお、運転モードが自動運転モードから手動運転モードに切り替えられた時点においては、アクセルペダル12が基準位置に戻っているため、アクセルペダル12が踏み込まれるまで車速は、時間経過とともに低下する。
【0274】
これに対して、準備時間t3が経過した時点Qにおいて、アクセルペダル12が基準位置に戻らず、または、運転者がステアリングホイールを把持していない場合の作動について、図23を参照して時系列的に説明する。
【0275】
例えば、ACC引継要求信号がされた時点Pから準備時間t3が経過した時点Qまで、アクセルペダル12が踏み込まれた状態であって、アクセルペダル12が基準位置に戻されないとする。この場合、車両駆動制御部87は、ステップS270およびステップS280の処理によって、時点QにおいてACCを停止させる。しかし、運転モードは、自動運転モードから手動運転モードへ引き継がれない。すなわち、時点Qにおいて、運転者によるアクセルペダル12の操作が有効とならない。そして、車両駆動制御部87が実行するステップS290の処理によって、車両駆動制御部87は、車両を自動的に安全な場所に停止させる。このため、車速は、時間経過とともに低下する。
【0276】
以上の如く、本実施形態のアクセルペダル装置1は、ACCの走行が不可能となった場合、車両情報検出部3が出力する運転状態信号に基づいて、ACCでの走行を不可能と判定する。そして、制御部8は、ACCでの走行が不可能と判定した場合、運転者にアクセルペダル12の操作を催促する。また、制御部8は、催促後、アクセルペダル12が基準位置に位置付けられるまでアクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を不可能とする。そして、制御部8は、アクセルペダル12が基準位置に位置付けられるとアクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能とする。さらに、制御部8は、催促後、アクセルペダル12が基準位置に位置付けられない状態で、準備時間t3が経過すると、車両の走行を停止させる。
【0277】
これによれば、ACCの継続が不可能と判定されることで運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替えるACC引継要求が行われる際に、アクセルペダル12が基準位置に戻るまでアクセルペダル12の操作を無効とすることができる。このため、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替える際に、運転者の意図しないアクセルペダル12の踏み込み操作があった場合であっても、車両が急加速することを抑制できる。また、運転モードを自動運転モードから手動運転モードに切り替える際に、引継ぎ時間の冗長性を確保することができる。
【0278】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0279】
上述の実施形態では、アクセルペダル装置1がSAEレベル1、SAEレベル2およびSAEレベル3に相当する運転を実行可能自動運転システムに適用されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、アクセルペダル装置1は、SAEレベル1に相当する自動運転を実行可能な自動運転システムに適用されてもよいし、SAEレベル1およびSAEレベル2に相当する自動運転を実行可能な自動運転システムに適用されてもよい。
【0280】
上述の実施形態では、アクセルペダル装置1が自動運転モードにおいてACC実行時にアクセルペダル12をフットレストオン状態とさせる例について説明したが、これに限定されない。例えば、アクセルペダル装置1は、自動運転モード中であれば、ACCを実行していない場合にフットレストオン状態とさせてもよい。
【0281】
上述の実施形態では、ペダル規制部20がアクセルペダル12を基準位置に位置付けて、アクセルペダル12の回転を規制する例について説明したが、これに限定されない。例えば、ペダル規制部20は、基準位置より第1周方向Dzh1側に移動させた位置に位置付けて、アクセルペダル12の回転を規制する構成であってもよい。
【0282】
上述の実施形態では、アクセルペダル装置1がオルガン式のペダル装置で構成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、アクセルペダル装置1は、ペンダント式のペダル装置が採用されてもよい。なお、ペンダント式のペダル装置とは、アクセルペダル12における運転者に踏まれる部位が回転軸CLに対して車両上下方向Dbにおける車両下方Db2側に配置される構成のものをいう。
【0283】
上述の実施形態では、アクセルペダル12が、運転者の踏み込み操作によって操作される例について説明したが、これに限定されない。例えば、アクセルペダル12は、運転者の手によって操作される構成であってもよい。
【0284】
上述の実施形態では、アクセルペダル12が、運転者の操作によって回転軸CLを中心に回転する例について説明したが、これに限定されない。例えば、アクセルペダル12は、運転者の操作によって、直動する構成であってもよい。
【0285】
上述の実施形態では、車両に設けられたECUが制御部8として機能する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部8は、ECUとは別に設けられていてもよい。
【0286】
上述の実施形態では、ペダル角度検出部16がシャフト11の回転角度を検出する回転角度センサで構成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、ペダル角度検出部16は、アクセルペダル12に加えられる踏力を検出する圧力センサで構成されていてもよい。この場合、ペダル開度取得部86は、ペダル角度検出部16が検出するアクセルペダル12への踏力に基づいてアクセルペダル12の回転角度を算出してもよい。
【0287】
また、ペダル角度検出部16は、アクセルペダル12の回転角度を検出するカメラで構成されていてもよい。この場合、ペダル開度取得部86は、ペダル角度検出部16が撮像するアクセルペダル12の画像に基づいてアクセルペダル12の回転角度を算出してもよい。
【0288】
また、ペダル角度検出部16は、運転者が着座するシートに加えられる圧力を検出する圧力センサで構成されていてもよい。この場合、ペダル開度取得部86は、運転者がアクセルペダル12を踏むことによって変化するシートの圧力に基づいてアクセルペダル12の回転角度を算出してもよい。
【0289】
そして、ペダル角度検出部16は、上記したアクセルペダル12の回転角度を検出する
複数の方法のうち、いずれか2つ以上の方法を組み合わせて構成されていてもよい。
【0290】
上述の実施形態では、回転アクチュエータ21が回転部211を有するとともに、規制機構22が弾性部222を有し、弾性部222が発生させる弾性力によって回転部211の回転を規制する例について説明したが、これに限定されない。例えば、規制機構22を備えておらず、回転アクチュエータ21のモータの動力によってアクセルペダル12の回転を規制する構成であってもよい。また、規制機構22が弾性部222の代わりに電動アクチュエータを備えており、当該電動アクチュエータによって回転部211の回転を規制する構成であってもよい。
【0291】
上述の実施形態では、ペダル解除状態を検出すると、アクセルペダル12が解除位置より第2周方向Dzh2側に回転し、基準位置、または、自動速度位置より第2周方向Dzh2側に位置付けられると、アクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能とする例について説明したが、これに限定されない。例えば、アクセルペダル装置1は、解除位置より第2周方向Dzh2側であれば、アクセルペダル12が自動速度位置より第1周方向Dzh1側の所定の位置に位置付けられるとアクセルペダル12の回転位置に基づいた走行速度の制御を可能とする構成であってもよい。
【0292】
上述の実施形態では、回転部211の回転角度をACT検出部30が検出する例について説明したが、これに限定されない。例えば、回転部211の回転角度を、回転部211と一体に回転するアクセルペダル12の回転角度を検出するペダル角度検出部16が検出してもよい。すなわち、ペダル角度検出部16が回転部211の回転角度を検出するACT検出部30として機能する構成であってもよい。
【0293】
上述の実施形態では、アクセルペダル12のフットレストが解除後、アクセルペダル12が基準位置へ位置付けられた状態が規制開始時間t1だけ維持されている場合、ペダル規制部20によってアクセルペダル12の回転を再度規制させる例について説明したが、これに限定されない。たとえば、アクセルペダル12のフットレストが解除後、アクセルペダル12が基準位置へ位置付けられた状態が規制開始時間t1だけ維持されても、ペダル規制部20によってアクセルペダル12の回転を規制しない構成であってもよい。この場合、たとえば、運転者の設定操作(例えば、アクセルペダル12のフットレスト機能のオン操作)によって、アクセルペダル12の回転を再度規制させる構成であってもよい。
【0294】
上述の実施形態では、アクセルペダル装置1が報知装置7を備えている車両に適用されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、アクセルペダル装置1は、報知装置7を備えていない車両に適用されており、上記説明した運転者への報知を行わない構成であってもよい。
【0295】
上述の実施形態において、車両に車両情報検出部3が設けられており、車両情報検出部3が車両の外部環境情報(例えば、外気温、降雨量、照度)を取得する例について説明したが、これに限定されない。例えば、車両は車両情報検出部3を備えておらず、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報を受信する構成であってもよい。あるいは、車両は車両情報検出部3を備えておらず、車両の外部のサーバまたはクラウドからその外部環境情報に関連する関連情報を取得し、取得した関連情報からその外部環境情報を推定する構成であってもよい。
【0296】
上述の実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0297】
上述の実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されない。
【0298】
上述の実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されない。
【0299】
本開示の制御部8及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部8及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータで、実現されてもよい。本開示の制御部8及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせで構成された一つ以上の専用コンピュータで、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0300】
1 制御部
12 アクセルペダル
15 反力発生部
16 ペダル位置検出部
20 ペダル規制部
30 規制検出部
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