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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080109
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】留め具及び取付構造
(51)【国際特許分類】
   F16B 19/10 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
F16B19/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193015
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中澤 聡
(72)【発明者】
【氏名】谷亀 尚史
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 裕嗣
【テーマコード(参考)】
3J036
【Fターム(参考)】
3J036AA03
3J036BA01
3J036BB01
3J036DA06
3J036DB05
(57)【要約】
【課題】車体に取り付けられる取付部材の基部に車体に接する突出部が設けられる構成において、基部のサイズを小さくする技術を提供する。
【解決手段】留め具は、ピンと、前記ピンが挿入される開口が設けられた基部と、前記基部における前記開口の周辺部から突出し、車体が備える取付孔に挿入されると共に、前記開口に挿入された前記ピンによって該ピンの径方向外側へ弾性変形して前記取付孔に係止される挿入部と、前記基部における前記挿入部の周辺部から張り出し、前記挿入部が前記取付孔に係止された状態で前記車体と接することによって前記車体と前記基部との間をシールする環状のシール部と、前記基部における前記挿入部の周辺部から突出し、前記ピンの挿入方向で前記シール部と重なる部分を有し、前記係止された状態において前記車体と接する突出部と、を備え、前記車体に取り付けられる取付部材と、を有する。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピンと、
前記ピンが挿入される開口が設けられた基部と、前記基部における前記開口の周辺部から突出し、車体が備える取付孔に挿入されると共に、前記開口に挿入された前記ピンによって該ピンの径方向外側へ弾性変形して前記取付孔に係止される挿入部と、前記基部における前記挿入部の周辺部から張り出し、前記挿入部が前記取付孔に係止された状態で前記車体と接することによって前記車体と前記基部との間をシールする環状のシール部と、
前記基部における前記挿入部の周辺部から突出し、前記ピンの挿入方向で前記シール部と重なる部分を有し、前記係止された状態において前記車体と接する突出部と、を備え、前記車体に取り付けられる取付部材と、
を有する留め具。
【請求項2】
前記突出部の前記車体と接する部分が、前記シール部の径方向外側に配置されている、請求項1に記載の留め具。
【請求項3】
前記シール部は、根元部から先端部に向けて径が漸増する弾性変形可能な板状部である、請求項1に記載の留め具。
【請求項4】
前記突出部の前記重なる部分は、径方向内側に向かって前記基部からの突出高さが漸減する傾斜面である、請求項1に記載の留め具。
【請求項5】
前記突出部には、前記開口の中心から離れるように延びる溝部が設けられている、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の留め具。
【請求項6】
前記突出部は、前記挿入部の周辺部に間隔をあけて複数設けられている、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の留め具。
【請求項7】
前記挿入部の周辺部には、該周辺部から突出する第一突出部と、前記突出部としての第二突出部とが間隔をあけて配置されており、
前記第一突出部は、前記シール部よりも径方向外側でかつ前記シール部を挟んで互いに対向する位置に一対配置され、
前記第二突出部は、隣接する前記第一突出部間でかつ前記シール部を挟んで互いに対向する位置に一対配置されている、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の留め具。
【請求項8】
前記基部を前記ピンの挿入方向と反対側から見て、一対の前記第一突出部は、一対の前記第二突出部に対して直交する位置に配置されている、請求項7に記載の留め具。
【請求項9】
前記第二突出部には、前記開口の中心から離れるように延びる溝部が設けられており、
前記第二突出部の前記重なる部分は、径方向内側に向かって前記基部からの突出高さが漸減する傾斜面である、請求項7に記載の留め具。
【請求項10】
前記取付部材は、バンパ取付用のリテーナである、請求項1に記載の留め具。
【請求項11】
取付孔を備える車体と、
前記車体に取付部材を取り付ける請求項8に記載の留め具と、
を備え、
一対の第二突出部は、車両上下方向において、互いにシール部を挟んで対向した状態で前記車体に接している、取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、留め具及び取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、バンパリテーナ(取付部材)に設けられるクリップであって、リテーナ本体における底部(基部)の下側に、ボディパネル(車体)に弾性的に押圧されてシールする薄肉フランジ(シール部)と、ボディパネルに接して薄肉フランジの潰れを防止する一対の当て部(接触部)を備えた構造が開示されている。この構造において、一対の当て部は薄肉フランジを挟んで左右両側に配置されており、上下方向に直線状に延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-166650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示の構造では、ボディパネルにバンパリテーナを取り付けた状態において、一対の当て部によってバンパリテーナの姿勢が維持される。しかしながら、ボディパネルにかかる荷重によってはバンパリテーナがボディパネルに対して上下方向に傾く(転ぶ)虞がある。このため、姿勢維持の観点で一対の当て部の上下方向の長さを長くする傾向があり、リテーナ本体における底部のサイズを小さくすることが難しい。
【0005】
本開示の一態様は、車体に取り付けられる取付部材の基部に車体に接する突出部が設けられる構成において、基部のサイズを小さくすることが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1態様の留め具は、ピンと、前記ピンが挿入される開口が設けられた基部と、前記基部における前記開口の周辺部から突出し、車体が備える取付孔に挿入されると共に、前記開口に挿入された前記ピンによって該ピンの径方向外側へ弾性変形して前記取付孔に係止される挿入部と、前記基部における前記挿入部の周辺部から張り出し、前記挿入部が前記取付孔に係止された状態で前記車体と接することによって前記車体と前記基部との間をシールする環状のシール部と、前記基部における前記挿入部の周辺部から突出し、前記ピンの挿入方向で前記シール部と重なる部分を有し、前記係止された状態において前記車体と接する突出部と、を備え、前記車体に取り付けられる取付部材と、を有する。
【0007】
第1態様の留め具では、車体の取付孔に取付部材の挿入部を挿入し、その状態で基部の開口にピンを挿入することで、挿入されたピンによって挿入部がピン径方向外側へ弾性変形して取付孔に係止される。挿入部が前記取付孔に係止された状態では、シール部が車体と接して車体と基部との間をシールする。また、挿入部が取付孔に係止された状態では、基部から突出する突出部が車体に接する。
ここで、留め具では、車体に接する突出部がピンの挿入方向でシール部と重なる部分を有することから、例えば、突出部の全体がシール部の外周(径方向外側)に配置される構成と比べて、取付部材における基部のサイズを小さくすることが可能になる。
【0008】
本開示の第2態様の留め具は、第1態様の留め具において、前記突出部の前記車体と接する部分が、前記シール部の径方向外側に配置されている。
【0009】
第2態様の留め具では、突出部の車体と接する部分がシール部の径方向外側に配置されていることから、基部の開口中心から突出部の車体と接する部分までの距離が長くなり、車体に取り付けられた取付部材が傾くのを抑制することができる。
【0010】
本開示の第3態様の留め具は、第1態様又は第2態様の留め具において、前記シール部は、根元部から先端部に向けて径が漸増する弾性変形可能な板状部である。
【0011】
第3態様の留め具では、シール部が根元部から先端部に向けて径が漸増する弾性変形可能な板状部、言い換えると吸盤状部であることから、車体と基部との間のシール性を確保しやすい。
【0012】
本開示の第4態様の留め具は、第1態様~第3態様のいずれか一態様の留め具において、前記突出部の前記重なる部分は、径方向内側に向かって前記基部からの突出高さが漸減する傾斜面である。
【0013】
第4態様の留め具では、突出部においてピンの挿入方向でシール部と重なる部分を傾斜面としている。これにより、基部、挿入部、シール部及び突出部を一体成型する際に、シール部と突出部を成型するスライド型の抜き方向を確保することができる。また、上記留め具では、上記スライド型において傾斜面を形成する部位の厚みを確保できるため、スライド型の損傷を抑制することができる。
【0014】
本開示の第5態様の留め具は、第1態様~第4態様のいずれか一態様の留め具において、前記突出部には、前記開口の中心から離れるように延びる溝部が設けられている。
【0015】
第5態様の留め具では、ピンの挿入方向でシール部と重なる部分を有する突出部に、開口の中心から離れるように延びる溝部を設けている。これにより、基部、挿入部、シール部及び突出部を一体成型する際に、シール部と突出部を成型するスライド型において溝部を形成する部分の厚みを確保できるため、スライド型の損傷を抑制することができる。
【0016】
本開示の第6態様の留め具は、第1態様~第5態様のいずれか一態様の留め具において、前記突出部は、前記挿入部の周辺部に間隔をあけて複数設けられている。
【0017】
第6態様の留め具では、突出部を基部における挿入部の周辺部に間隔をあけて複数設けていることから、車体に取り付けられた取付部材が傾くのを抑制することができる。
【0018】
本開示の第7態様の留め具は、第1態様~第3態様のいずれか一態様の留め具において、前記挿入部の周辺部には、該周辺部から突出する第一突出部と、前記突出部としての第二突出部とが間隔をあけて配置されており、前記第一突出部は、前記シール部よりも径方向外側でかつ前記シール部を挟んで互いに対向する位置に一対配置され、前記第二突出部は、隣接する前記第一突出部間でかつ前記シール部を挟んで互いに対向する位置に一対配置されている。
【0019】
第7態様の留め具では、一対の第一突出部がシール部を挟んで互いに対向する位置に配置され、一対の第二突出部が隣接する第一突出部間でかつシール部を挟んで互いに対向する位置に配置されていることから、例えば、隣接する第一突出部間に2つの第二突出部が配置される構成と比べて、第一突出部と第二突出部がそれぞれ間隔をあけて配置されるため、第一突出部と第二突出部による車体に取り付けられた取付部材の傾きを抑制する効果がさらに向上する。
【0020】
本開示の第8態様の留め具は、第7態様の留め具において、前記基部を前記ピンの挿入方向と反対側から見て、一対の前記第一突出部は、一対の前記第二突出部に対して直交する位置に配置されている。
【0021】
第8態様の留め具では、一対の第一突出部を一対の第二突出部に対して直交する位置に配置することから、例えば、一対の第一突出部を一対の第二突出部に対して直交する位置に配置しない構成と比べて、第一突出部と第二突出部による車体に取り付けられた取付部材の傾きを抑制する効果がより向上する。
【0022】
本開示の第9態様の留め具は、第7態様又は第8態様の留め具において、前記第二突出部には、前記開口の中心から離れるように延びる溝部が設けられており、前記第二突出部の前記重なる部分は、径方向内側に向かって前記基部からの突出高さが漸減する傾斜面である。
【0023】
第9態様の留め具では、第二突出部においてピンの挿入方向でシール部と重なる部分を傾斜面としている。これにより、基部、挿入部、シール部及び第二突出部を一体成型する際に、シール部と第二突出部を成型するスライド型の抜き方向を確保することができる。また、上記留め具では、上記スライド型において傾斜面を形成する部分の厚みを確保できるため、スライド型の損傷を抑制することができる。また、留め具では、第二突出部に、開口の中心から離れるように延びる溝部を設けている。これにより、シール部と第二突出部を成型するスライド型において溝部を形成する部分の厚みを確保できるため、スライド型の損傷を抑制することができる。
【0024】
本開示の第10態様の留め具は、第1態様~第9態様のいずれか一態様の留め具において、前記取付部材は、バンパ取付用のリテーナである。
【0025】
第10態様の留め具では、車体に取り付けられた取付部材であるリテーナの傾きを抑制することができる。つまり、リテーナを介して車体に取り付けられるバンパの傾きを抑制することができる。
【0026】
本開示の第11態様の取付構造は、取付孔を備える車体と、前記車体に取付部材を取り付ける第8態様に記載の留め具と、を備え、一対の第二突出部は、車両上下方向において、互いにシール部を挟んで対向した状態で前記車体に接している。
【0027】
第11態様の取付構造では、一対の第二突出部が車両上下方向において、互いにシール部を挟んで対向している。また、一対の第一突出部は、一対の第二突出部に対して直交する位置に配置されている。このため、車体に取付部材を取り付けた際の車体に対する取付部材の傾きが抑制される。
【発明の効果】
【0028】
本開示の一態様によれば、車体に取り付けられる取付部材の基部に車体に接する突出部が設けられる構成において、基部のサイズを小さくすることが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本開示の一実施形態に係る留め具が適用されるバンパリテーナを示す斜視図である。
図2図1に示す留め具の分解斜視図である。
図3図2に示す留め具の拡大斜視図である。
図4図3と逆側から留め具を見た拡大斜視図である。
図5図3の留め具の正面図である。
図6図3の留め具の側面図である。
図7図5の7X-7X線断面図である。
図8図2に示す留め具のピンを押し込んだ状態での拡大斜視図である。
図9図8と逆側から留め具を見た拡大斜視図である。
図10図8の留め具の側面図である。
図11図10の留め具の断面図(図5の7X-7X線断面図に対応する部分の断面図)である。
図12】留め具とスライダ型との関係を示す斜視図である。
図13図12のスライダ型の平断面図である。
図14図13の14X-14X断面図である。
図15】本開示の他の実施形態に係る留め具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本開示の一実施形態に係る留め具及び取付構造を図1図11を用いて説明する。
【0031】
[留め具20]
図1及び図2に示されるように、本実施形態の留め具20は、ピン30と、取付部材40と、を有している。
【0032】
(ピン30)
ピン30は、図2図7及び図11に示されるように、取付部材40の後述する開口45に挿入される部材である。ピン30が開口45に挿入されることにより、取付部材40の後述する一対の脚部52が弾性変形して開く。
【0033】
ピン30は、軸部32と、フランジ部34と、第一係合部36と、第二係合部38と、を備えている。フランジ部34は、軸部32においてピン30の挿入方向と反対側の端部からピン30の径方向外側へ張り出す部分である。第一係合部36は、軸部32のピン30の挿入方向側の端部に設けられた凹状部分であり、後述する一対の脚部52に設けられた爪53が引っ掛かるようになっている。また、第二係合部38は、軸部32において第一係合部36よりもピン30の挿入方向と反対側の部分に設けられた凹状部分であり、一対の脚部54の爪55が引っ掛かるようになっている。なお、本実施形態の留め具20では、ピン30の第一係合部36に取付部材40における一対の脚部52の爪53が引っ掛かった状態で出荷される。
【0034】
(取付部材40)
取付部材40は、図7及び図11に示されるように、車体(一例として、ボディパネル)100に取り付けられる部材である。本実施形態では、取付部材40を、車体100に車両用部品の一例としてのバンパ(図示省略)を取り付けるためのリテーナ(バンパ取付用リテーナ)としている。なお、本開示はこの構成に限定されず、取付部材40は、車体100に車両用部品を取り付けられる構成であればよい。車両用部品としては、例えば、車両の外装部品、内装部品、部品を車体に取り付けるブラケット(リテーナ含む)等が挙げられる。
【0035】
また、本実施形態では、前述のとおり、取付部材40を、リテーナとしているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、取付部材40とリテーナを着脱可能な構成とし、リテーナに装着した取付部材40を介してリテーナを車体100に取り付ける構成としてもよい。
【0036】
なお、本実施形態の取付部材40は、樹脂の一体成型品である。
【0037】
取付部材40は、図2図11に示されるように、基部44と、挿入部50と、シール部60と、突出部70と、を備えている。なお、本実施形態の取付部材40は、リテーナであるため、図2図3及び図8に示されるように、基部44、挿入部50、シール部60及び突出部70を含む取付部42が本体41に複数設けられている。
【0038】
基部44は、本体41を厚み方向の一方側(図7では左側)に押し出して形成された凸状部分の平板状の頂部である。この基部44の中央部には、ピン30が挿入される開口45が設けられている。なお、本実施形態では、基部44を凸状部分の平板状の頂部としているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、本体41の一部に平板状の部分を形成して、その部分を基部44としてもよい。
【0039】
また、基部44の表面44Aは、平坦状とされている。なお、ここでいう基部44の表面とは、前記凸状部分の頂面を指している。また、基部44の表面は、取付部材40を車体100に取り付けた状態において、車体100の表面(外面)に対向する。
【0040】
挿入部50は、基部44における開口45の周辺部から突出する一対の脚部52を有する。具体的には、一対の脚部52は、基部44における開口45の縁部(表面44A側の縁部)からピン30の挿入方向へ突出している。また、これら一対の脚部52は、互いに対向して配置されている。
【0041】
また、挿入部50は、車体100が備える取付孔102に挿入される。すなわち、一対の脚部52が取付孔102に挿入される。
【0042】
また、挿入部50は、開口45に挿入されたピン30によって該ピン30の径方向外側へ弾性変形する。具体的には、ピン30が開口45に挿入されると、ピン30によって一対の脚部52が径方向外側に押圧されて開く(開脚ともいう)。
【0043】
ここで、一対の脚部52が取付孔102に挿入された状態で、ピン30によって、一対の脚部52が開脚されると、一対の脚部52が取付孔102に係止される。具体的には、脚部52の外側部分が取付孔102の縁部に引っ掛かる。
【0044】
シール部60は、図2図7及び図11に示されるように、基部44における挿入部50の周辺部から張り出している。具体的には、シール部60は、一対の脚部52を取り囲むように基部44の表面44Aから脚部52の突出方向と同じ方向に環状に張り出している。具体的には、このシール部60は、根元部から先端部に向けて径が漸増する弾性変形可能な板状部であり、車体100と接することによって車体100と基部44との間をシールする。より具体的には、シール部60は、一対の脚部52を取り囲むように基部44の表面44Aに設けられた吸盤状の部位であり、車体100における取付孔102の周辺部に密着することで車体100と基部44との間をシールする。
【0045】
なお、本実施形態では、一対の脚部52が取付孔102に係止された状態で、シール部60が車体100と接することによって車体100と基部44との間がシールされる。
【0046】
突出部70は、基部44における挿入部50の周辺部に間隔をあけて3つ以上設けられている。具体的には、突出部70は、基部44の表面44Aから脚部の突出方向と同じ方向に突出している。また、突出部70は、等間隔で配置されている。なお、本実施形態では、基部44の表面44Aに突出部70が等間隔で4つ設けられているが、本開示はこの構成に限定されない。突出部70を基部44の表面44Aに3つ又は5つ以上設けてもよい。
【0047】
また、突出部70は、頂面70Aが平坦面とされている。この突出部70の頂面70Aが車体100における取付孔102の周辺部の平坦面に接するようになっている。すなわち、突出部70の頂面70Aは、突出部70の車体100と接する部分と言える。
【0048】
本実施形態では、基部44に突出部70が4つ設けられている。4つの突出部70は、一対の第一突出部72と、一対の第二突出部74とを含む。
【0049】
一対の第一突出部72は、シール部60よりも径方向外側でかつシール部60を挟んで互いに対向する位置に配置されている。なお、本実施形態の第一突出部72は、本開示における第一突出部の一例である。
【0050】
一対の第二突出部74は、隣接する第一突出部72間でかつシール部60を挟んで互いに対向する位置に配置されている。なお、本実施形態の第二突出部74は、本開示における第二突出部の一例であり、突出部の一例である。
【0051】
また、基部44をピン30の挿入方向と反対側から見て、一対の第一突出部72は、一対の第二突出部74に対して直交する位置に配置されている。
【0052】
なお、本実施形態では、一対の第二突出部74が車両上下方向において、互いにシール部60を挟んで対向するように配置されている。
【0053】
また、4つの突出部70うち、少なくとも1つの突出部70がピン30の挿入方向でシール部60と重なる部分を有している。本実施形態では、4つの突出部70うち、互いに対向する2つの突出部70がピン30の挿入方向でシール部60と重なる部分を有している。具体的には、一対の第二突出部74が上述の重なる部分を有している。
【0054】
第二突出部74の上述の重なる部分は、図3及び図8に示されるように、シール部60の径方向内側に向かって基部44からの突出高さが漸減する傾斜面71である。
【0055】
また、第二突出部74には、基部44における開口45の中心Cから離れるように延びる溝部76が設けられている。具体的には、溝部76は、シール部60の径方向に沿って、中心Cから離れるように延びている。
【0056】
本実施形態の突出部70は、挿入部50が取付孔102に係止された状態において車体100と接する。具体的には、4つの突出部70の頂面70Aが車体100に接する。
【0057】
また、本実施形態の取付部材40は、一対の脚部52に対して直角方向の位置に一対の脚部54を備えている。一対の脚部54は、一対の脚部52と共に取付孔102に挿入される。一対の脚部52と一対の脚部54が取付孔102に挿入されることにより、取付部材40のガタ付きが抑制される。また、一対の脚部54の先端部には、互いに対向する方向に向けて突出する爪55が設けられている。これらの爪55は、ピン30の第二係合部38に引っ掛かるようになっている。
【0058】
なお、本実施形態では、基部44の表面44Aにおける開口45の周辺部が他の部分よりも盛り上がった台座とされており、この台座の座面44B上に一対の脚部52、一対の脚部54、シール部60、及び4つの突出部70が配置されている。
【0059】
[取付構造]
本実施形態の取付構造Sは、図7及び図11に示されるように、取付部材40を車体100に取り付けるための構造である。具体的には、取付構造Sは、車体100と、車体100に取り付けられた取付部材40と、を有している。
【0060】
取付構造Sでは、一対の第二突出部74が、車両上下方向において、互いにシール部60を挟んで対向した状態で車体100に接している。なお、一対の第一突出部72は、ピン30の挿入方向と反対側から見て、一対の第二突出部74の車両上下方向に対して直交する方向である左右方向に互いにシール部60を挟んで対向した状態で車体100に接している。
【0061】
次に、本実施形態の留め具20及び取付構造Sの作用並びに効果について説明する。
【0062】
本実施形態の留め具20では、車体100の取付孔102に取付部材40の挿入部50を構成する一対の脚部52を挿入する。その挿入状態で基部44の開口45にピン30を挿入する。具体的には、ピン30の第一係合部36に脚部52の爪53が引っ掛かった状態からさらにピン30を開口45に対して押し込む(図7から図11の状態になるまでピン30を押し込む)ことにより、挿入されたピン30によって一対の脚部52がピン30の径方向外側へ押され、弾性変形する。言い換えると、一対の脚部52が開脚して、取付孔102に係止される。一対の脚部52が取付孔102に係止された状態では、シール部60が車体100と接して車体100と基部44との間をシールする。また、一対の脚部52が取付孔102に係止された状態では、基部44の一対の脚部52の周りに間隔をあけて突出する3つ以上(本実施形態では4つ)の突出部70が車体100にそれぞれ接する。
【0063】
ここで、留め具20では、一対の脚部52が取付孔102に係止された状態、言い換えると、取付部材40が車体100に取り付けられた状態では、4つの突出部70が車体にそれぞれ接する。このため、留め具20では、例えば、一対の脚部52を挟んで対向する2つの突出部70が車体100にそれぞれ接する構成と比べて、車体100に取り付けられた取付部材40が傾く、言い換えると、取付け不良が生じるのを抑制することができる。このように車体100に対する取付部材40の取付け不良の発生を抑制することで、例えば、取付部材40の取り付け作業の負担を軽減可能になる。
【0064】
また、留め具20では、第二突出部74がピン30の挿入方向でシール部60と重なる部分を有する。このため留め具20では、例えば、第二突出部74の全体がシール部60の外周(径方向外側)に配置される構成と比べて、取付部材40における座面44B(台座部)のサイズを小さくすることが可能になり、基部44のサイズも小さくすることが可能になる。これにより、取付部材40の小型化を図ることが可能になる。
【0065】
本実施形態の留め具20では、第二突出部74の車体100と接する部分がシール部60の径方向外側に配置されていることから、基部44の開口45の中心Cから各々の第二突出部74までの距離が長くなり、車体100に取り付けられた取付部材40が傾くのをさらに抑制することができる。
【0066】
本実施形態の留め具20では、第二突出部74においてピン30の挿入方向でシール部60と重なる部分を傾斜面71としている。これにより、基部44、一対の脚部52、一対の脚部54、シール部60及び第二突出部74を一体成型する際に、図12図14に示されるように、シール部60と第二突出部74を成型するスライド型110の抜き方向を確保することができる。さらに、留め具20では、スライド型110において傾斜面71を形成する部分の厚みを確保できる。このため、留め具20の傾斜面71を設ける構造により、スライド型110の損傷を抑制することができる。また、留め具20では、第二突出部74に、開口45の中心Cから離れるように延びる溝部76を設けている。これにより、シール部60と第二突出部74を成型するスライド型110において溝部76を形成する部分の厚みを更に確保できるため、スライド型110の損傷を抑制することができる。
【0067】
本実施形態の留め具20では、一対の第一突出部72がシール部60を挟んで互いに対向する位置に配置されている。また、一対の第二突出部74が隣接する第一突出部72間でかつシール部60を挟んで互いに対向する位置に配置されていることから、例えば、隣接する第一突出部72間に2つの第二突出部74が配置される構成と比べて、第一突出部72と第二突出部74がそれぞれ間隔をあけて配置されるため、第一突出部72と第二突出部74による車体100に取り付けられた取付部材40の傾きを抑制する効果がさらに向上する。
【0068】
本実施形態の留め具20では、一対の第一突出部72を一対の第二突出部74に対して直交する位置に配置することから、例えば、一対の第一突出部72を一対の第二突出部74に対して直交する位置に配置しない構成と比べて、第一突出部72と第二突出部74による車体100に取り付けられた取付部材40の傾きを抑制する効果がより向上する。
【0069】
本実施形態の留め具20では、取付部材40をバンパ取り付け用のリテーナとしている。これにより、取付部材40を介して車体100に取り付けられるバンパの傾きを抑制することができる。
【0070】
本実施形態の取付構造Sでは、一対の第二突出部74が車両上下方向において、互いにシール部60を挟んで対向している。また、一対の第一突出部72は、一対の第二突出部74に対して直交する位置に配置されている。このため、車体100に取付部材40を取り付けた際の車体100に対する取付部材40の傾きが抑制される。
【0071】
前述の実施形態では、突出部70が第一突出部72と第二突出部74を含む構成としているが、本開示はこの構成に限定されない。突出部70が複数の第二突出部74のみで構成されてもよい。
【0072】
前述の実施形態では、図5に示されるように、基部44における挿入部50の周辺部に複数の突出部70(第一突出部72及び第二突出部74)を設けているが、本開示はこの構成に限定されない。例えば、図15に示す留め具120のように、基部44における挿入部50(脚部52及び脚部54含む)の周辺部に挿入部50を囲うように環状の突出部122を設ける構成としてもよい。このように環状の突出部122を設けた留め具120も、前述の留め具20と同様に、車体100に取り付けられた取付部材が傾く、言い換えると、取付け不良が生じるのを抑制することができる。なお、図15における符号124は溝部を示している。また、環状の突出部122には連続した形状の突出部に加えて、一部が分離したC字形状の突出部が含まれてもよい。
【0073】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【0074】
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
【0075】
(付記1)
ピンと、
前記ピンが挿入される開口が設けられた基部と、前記基部における前記開口の周辺部から突出し、車体が備える取付孔に挿入されると共に、前記開口に挿入された前記ピンによって該ピンの径方向外側へ弾性変形して前記取付孔に係止される挿入部と、前記基部における前記挿入部の周辺部から張り出し、前記挿入部が前記取付孔に係止された状態で前記車体と接することによって前記車体と前記基部との間をシールする環状のシール部と、前記基部における前記挿入部の周辺部に間隔をあけて突出し、前記係止された状態において前記車体と接する3つ以上の突出部と、を備え、前記車体に取り付けられる取付部材と、
を有する留め具。
【0076】
付記1の留め具では、車体の取付孔に取付部材の挿入部を挿入し、その状態で基部の開口にピンを挿入することで、挿入されたピンによって挿入部がピン径方向外側へ弾性変形して取付孔に係止される。挿入部が前記取付孔に係止された状態では、シール部が車体と接して車体と基部との間をシールする。また、挿入部が取付孔に係止された状態では、基部の挿入部の周りに間隔をあけて突出する3つ以上の突出部が車体にそれぞれ接する。
ここで、留め具では、挿入部が取付孔に係止された状態、言い換えると、取付部材が車体に取り付けられた状態では、3つ以上の突出部が車体にそれぞれ接するため、例えば、挿入部を挟んで対向する2つの突出部が車体にそれぞれ接する構成と比べて、車体に取り付けられた取付部材が傾く、言い換えると、取付け不良が生じるのを抑制することができる。
【0077】
(付記2)
前記突出部は、前記シール部の径方向外側に配置されている、付記1に記載の留め具。
【0078】
付記2の留め具では、突出部がシール部の径方向外側に配置されていることから、例えば、突出部がシール部の径方向内側に配置される構成と比べて、基部の開口中心から突出部までの距離が長くなり、車体に取り付けられた取付部材が傾くのをさらに抑制することができる。
【0079】
(付記3)
前記シール部は、根元部から先端部に向けて径が漸増する弾性変形可能な板状部であり、
少なくとも一つの前記突出部は、前記ピンの挿入方向で前記シール部と重なる部分を有する、付記2に記載の留め具。
【0080】
付記3の留め具では、少なくとも一つの突出部がピン挿入方向でシール部と重なる部分を有することから、例えば、全ての突出部の全体をシール部の外周に配置する構成と比べて、取付部材において基部のサイズを小さくできる。これにより、取付部材の小型化を図ることができる。
【0081】
(付記4)
前記突出部の前記重なる部分は、径方向内側に向かって前記基部からの突出高さが漸減する傾斜面である、付記3に記載の留め具。
【0082】
付記4の留め具では、突出部においてピン挿入方向でシール部と重なる部分を傾斜面としている。これにより、基部、挿入部、シール部及び突出部を一体成型する際に、シール部と突出部を成型するスライド型の抜き方向を確保することができる。また、上記留め具では、上記スライド型において傾斜面を形成する部位の厚みを確保できるため、スライド型の損傷を抑制することができる。
【0083】
(付記5)
前記重なる部分を有する前記突出部には、前記開口の中心から離れるように延びる溝部が設けられている、付記3又は付記4に記載の留め具。
【0084】
付記5の留め具では、ピン挿入方向でシール部と重なる部分を有する突出部に、開口の中心から離れるように延びる溝部を設けている。これにより、基部、挿入部、シール部及び突出部を一体成型する際に、シール部と突出部を成型するスライド型において溝部を形成する部分の厚みを確保できるため、スライド型の損傷を抑制することができる。
【0085】
(付記6)
前記突出部は、一対の第一突出部と、一対の第二突出部とを含み、
前記一対の第一突出部は、前記シール部よりも径方向外側でかつ前記シール部を挟んで互いに対向する位置に配置され、
前記一対の第二突出部は、隣接する前記第一突出部間でかつ前記シール部を挟んで互いに対向する位置に配置され、互いに前記ピンの挿入方向で前記シール部と重なる部分を有する、
付記2に記載の留め具。
【0086】
付記6の留め具では、一対の第一突出部がシール部を挟んで互いに対向する位置に配置され、一対の第二突出部が隣接する第一突出部間でかつシール部を挟んで互いに対向する位置に配置されていることから、例えば、隣接する第一突出部間に2つの第二突出部が配置される構成と比べて、第一突出部と第二突出部がそれぞれ間隔をあけて配置されるため、第一突出部と第二突出部による車体に取り付けられた取付部材の傾きを抑制する効果がさらに向上する。
【0087】
(付記7)
前記基部を前記ピンの挿入方向と反対側から見て、前記一対の第一突出部は、前記一対の第二突出部に対して直交する位置に配置されている、付記6に記載の留め具。
【0088】
付記7の留め具では、一対の第一突出部を一対の第二突出部に対して直交する位置に配置することから、例えば、一対の第一突出部を一対の第二突出部に対して直交する位置に配置しない構成と比べて、第一突出部と第二突出部による車体に取り付けられた取付部材の傾きを抑制する効果がより向上する。
【0089】
(付記8)
前記第二突出部には、前記開口の中心から離れるように延びる溝部が設けられており、
前記第二突出部の前記重なる部分は、径方向内側に向かって前記基部からの突出高さが漸減する傾斜面である、付記6又は付記7に記載の留め具。
【0090】
付記8の留め具では、第二突出部においてピン挿入方向でシール部と重なる部分を傾斜面としている。これにより、基部、挿入部、シール部及び第二突出部を一体成型する際に、シール部と第二突出部を成型するスライド型の抜き方向を確保することができる。また、上記留め具では、上記スライド型において傾斜面を形成する部分の厚みを確保できるため、スライド型の損傷を抑制することができる。また、留め具では、第二突出部に、開口の中心から離れるように延びる溝部を設けている。これにより、シール部と第二突出部を成型するスライド型において溝部を形成する部分の厚みを確保できるため、スライド型の損傷を抑制することができる。
【0091】
(付記9)
前記取付部材は、バンパ取付用のリテーナである、付記1~付記8のいずれか一項に記載の留め具。
【0092】
付記9の留め具では、車体に取り付けられた取付部材であるリテーナの傾きを抑制することができる。つまり、リテーナを介して車体に取り付けられるバンパの傾きを抑制することができる。
【0093】
(付記10)
ピンと、
前記ピンが挿入される開口が設けられた基部と、前記基部における前記開口の周辺部から突出し、車体が備える取付孔に挿入されると共に、前記開口に挿入された前記ピンによって該ピンの径方向外側へ弾性変形して前記取付孔に係止される挿入部と、前記基部における前記挿入部の周辺部から張り出し、前記挿入部が前記取付孔に係止された状態で前記車体と接することによって前記車体と前記基部との間をシールする環状のシール部と、前記基部における前記挿入部の周辺部から突出し、前記挿入部を囲い、前記係止された状態において前記車体と接する環状の突出部と、を備え、前記車体に取り付けられる取付部材と、
を有する留め具。
【0094】
付記10の留め具では、車体の取付孔に取付部材の挿入部を挿入し、その状態で基部の開口にピンを挿入することで、挿入されたピンによって挿入部がピン径方向外側へ弾性変形して取付孔に係止される。挿入部が前記取付孔に係止された状態では、シール部が車体と接して車体と基部との間をシールする。また、挿入部が取付孔に係止された状態では、基部の挿入部を囲う環状の突出部が車体に接する。
ここで、留め具では、挿入部が取付孔に係止された状態、言い換えると、取付部材が車体に取り付けられた状態では、環状の突出部が車体に接するため、例えば、挿入部を挟んで対向する2つの突出部が車体にそれぞれ接する構成と比べて、車体に取り付けられた取付部材が傾く、言い換えると、取付け不良が生じるのを抑制することができる。
【0095】
(付記11)
取付孔を備える車体と、
前記車体に取付部材を取り付ける付記7に記載の留め具と、
を備え、
一対の第二突出部は、車両上下方向において、互いにシール部を挟んで対向した状態で前記車体に接している、取付構造。
【0096】
付記11の取付構造では、一対の第二突出部が車両上下方向において、互いにシール部を挟んで対向している。また、一対の第一突出部は、一対の第二突出部に対して直交する位置に配置されている。このため、車体に取付部材を取り付けた際の車体に対する取付部材の傾きが抑制される。
【符号の説明】
【0097】
20 留め具
30 ピン
32 軸部
34 フランジ部
36 第一係合部
38 第二係合部
40 取付部材
41 本体
42 取付部
44 基部
44A 表面
45 開口
50 挿入部
52 脚部
53 爪
54 脚部
60 シール部
70 突出部
70A 頂面
71 傾斜面
72 第一突出部
74 第二突出部(突出部の一例)
76 溝部
100 車体
102 取付孔
110 スライド型
120 留め具
122 突出部
124 溝部
C 中心
S 取付構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15