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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080110
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】ゴムクローラ
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/253 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
B62D55/253 A
B62D55/253 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193016
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100169111
【弁理士】
【氏名又は名称】神澤 淳子
(72)【発明者】
【氏名】須川 奨平
(57)【要約】
【課題】スプロケット穴を堅牢に塞ぐとともに、接地時にゴムラグ間の溝に取り込まれた土砂を強固に締固めて、トラクション性能を向上させることができる芯金入りのゴムクローラを供する。
【解決手段】無端帯状ゴム体(11)に、複数の芯金(20)がクローラ周方向に一定の間隔で埋設され、無端帯状ゴム体(11)の内部には芯金(20)のクローラ外周側にクローラ周方向に延びる無端帯状の抗張体層(30)がクローラ幅方向中央の両側に埋設され、無端帯状ゴム体(11)のクローラ幅方向中央でクローラ周方向に隣り合う芯金(20)の間にゴムクローラ(10)が巻き掛けられるスプロケット(2)の歯が入り込むスプロケット穴(15)が形成されるゴムクローラ(10)において、スプロケット穴(15)の底部がゴムラグ(12)により形成されることを特徴とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端帯状をなしクローラ外周側にゴムラグ(12)が形成される無端帯状ゴム体(11)に、複数の芯金(20)がクローラ周方向に一定の間隔で埋設され、
前記無端帯状ゴム体(11)の内部には、芯金(20)のクローラ外周側にクローラ周方向に延びる無端帯状の抗張体層(30)がクローラ幅方向中央の両側に埋設され、
前記無端帯状ゴム体(11)のクローラ幅方向中央でクローラ周方向に隣り合う前記芯金(20)の間に、前記ゴムクローラ(10)が巻き掛けられるスプロケット(2)の歯が入り込むスプロケット穴(15)が形成されるゴムクローラ(10)において、
前記スプロケット穴(15)の底部が前記ゴムラグ(12)により形成されることを特徴とするゴムクローラ。
【請求項2】
前記スプロケット穴(15)の底面は、前記抗張体層(30)よりも深い位置にあることを特徴とする請求項1に記載のゴムクローラ。
【請求項3】
前記無端帯状ゴム体(11)の隣り合う前記ゴムラグ(12a,12a)の間に形成される溝(13a)の一部は、クローラ厚み方向で、前記芯金(20)とともに、地面に沿って配列される転輪(5)が転動するゴムクローラ(10)の内周側の転輪通過面(16)と重なることを特徴とする請求項1に記載のゴムクローラ。
【請求項4】
前記溝(13a)は、前記転輪通過面(16)よりクローラ幅方向で外側に延びる外側溝(13b)と、前記外側溝(13b)に連続して前記外側溝(13b)よりクローラ幅方向で中央に形成される中央溝(13a)とを備え、
前記外側溝(13b)の前記中央溝に連続する連続溝部分(13bc)のクローラ周方向幅(Wbc)は、前記中央溝(13a)のクローラ周方向幅(Wa)より小さいことを特徴とする請求項3に記載のゴムクローラ。
【請求項5】
前記ゴムラグ(12)の少なくともクローラ幅方向外側の外側ゴムラグ部(13b)は、クローラ幅方向中央側から側方へクローラ幅方向と角度を持って斜めに延び、
前記外側ゴムラグ部(13b)の一部がクローラ幅方向と平行な側面(12bf)を持つことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のゴムクローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無端帯状の無端帯状ゴム体にクローラ周方向に複数の芯金が埋設されるゴムクローラに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴムクローラは、クローラ外周側の隣り合うゴムラグ間の溝に取り込まれた土砂が締固められることで、締固められた土砂がせん断破壊するときに反力としてトラクションが発生する。
【0003】
芯金入りのゴムクローラは、スプロケットに巻き掛けられて回動される。
スプロケットの歯は、隣り合う芯金どうしの間のスプロケット穴に入り込んで芯金のスプロケット係合部に係合してゴムクローラを回動する。
【0004】
このゴムクローラのスプロケット穴は、貫通している例があるが、貫通していると、接地時にスプロケット穴から土砂がクローラ内周側に逃げるために、土砂の締固めが不十分となり、トラクションを起こす土砂のせん断力が低下し、トラクション性能を十分に確保できない。
【0005】
そこで、このスプロケット穴を無端帯状ゴム体のゴム材で塞ぐ例(特許文献1,2参照)がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-75882号公報
【特許文献2】特許第6101329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたゴムクローラは、スプロケット穴をゴムラグ間の薄いゴム膜で塞いで、土砂の逃げを防止しているが、ゴム膜は薄く、外傷が入りやすい建機用途ではゴム膜は破損し易く、継続して使用するのには耐えられない。
【0008】
特許文献2に開示されたゴムクローラは、スプロケット穴が、無端帯状ゴム体のゴムラグが突出する基部となるゴム板状の部分により塞がれているので、ゴム板状部分はゴム膜に比べて堅牢で破損し難い。
しかし、接地時にゴム板状部分の下方のゴムラグ間の溝に取り込まれた土砂を、スプロケット穴が上方にある弾性変形し易いゴム板状部分が押圧するので、土砂の締固めが十分でなく、トラクションの効果はあまり期待することはできない。
【0009】
本発明は、かかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、芯金入りのゴムクローラにおいて、スプロケット穴を堅牢に塞ぐとともに、接地時にゴムラグ間の溝に取り込まれた土砂を強固に締固めて、トラクション性能を向上させることができるゴムクローラを供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、
無端帯状をなしクローラ外周側にゴムラグが形成される無端帯状ゴム体に、複数の芯金がクローラ周方向に一定の間隔で埋設され、
前記無端帯状ゴム体の内部には、芯金のクローラ外周側にクローラ周方向に延びる無端帯状の抗張体層がクローラ幅方向中央の両側に埋設され、
前記無端帯状ゴム体のクローラ幅方向中央でクローラ周方向に隣り合う前記芯金の間に、前記ゴムクローラが巻き掛けられるスプロケットの歯が入り込むスプロケット穴が形成されるゴムクローラにおいて、
前記スプロケット穴の底部が前記ゴムラグにより形成されることを特徴とするゴムクローラを提供する。
【0011】
この構成によれば、スプロケット穴の底部がゴムラグにより形成されるので、スプロケット穴をゴムラグにより堅牢に塞ぐことができる。
そして、スプロケット穴は、隣り合う芯金の間に形成されるので、スプロケット穴を塞ぐゴムラグ間の溝は芯金に相対しているため、接地時にゴムラグ間の溝に取り込まれた土砂を芯金が押圧して強固に締固めることができ、土砂のせん断力を高めて、トラクション性能を向上させることができる。
【0012】
本発明の好適な実施形態では、
前記スプロケット穴の底面は、前記抗張体層よりも深い位置にある。
【0013】
この構成によれば、スプロケット穴の底面は、抗張体層よりも深い位置にあるので、スプロケットの歯がスプロケット穴の底面に干渉せずに必要十分な深さまで入り込むことができ、スプロケットの歯を芯金に効果的に係合させることができるとともに、脱輪の予防効果も高めることができる。
【0014】
本発明の好適な実施形態では、
前記無端帯状ゴム体の隣り合う前記ゴムラグの間に形成される溝の一部は、クローラ厚み方向で、前記芯金とともに、地面に沿って配列される転輪が転動するゴムクローラの内周側の転輪通過面と重なる。
【0015】
この構成によれば、ゴムクローラの内周側の転輪通過面を転動する転輪が芯金の上方を転動するとき、芯金の下方のゴムラグの間の溝に取り込まれた土砂を芯金が効果的に押圧して土砂を強固に締め固めることができるため、トラクション性能をより高めることができる。
【0016】
本発明の好適な実施形態では、
前記溝は、前記転輪通過面よりクローラ幅方向で外側に延びる外側溝と、前記外側溝に連続して前記外側溝よりクローラ幅方向で中央に形成される中央溝とを備え、
前記外側溝の前記中央溝に連続する連続溝部分のクローラ周方向幅は、前記中央溝のクローラ周方向幅より小さい。
【0017】
この構成によれば、中央溝に取り込まれた土砂は、転輪により芯金を介して上方から押圧されると、連続溝部分を通って外側溝に流出しようとするが、連続溝部分のクローラ周方向幅が中央溝より小さく絞られていることで、流出が抑制されるため、中央溝に取り込まれた土砂は強固に締固められ、トラクション性能を高く維持することができる。
【0018】
本発明の好適な実施形態では、
前記ゴムラグの少なくともクローラ幅方向外側の外側ゴムラグ部は、クローラ幅方向中央側から側方へクローラ幅方向と角度を持って斜めに延び、
前記外側ゴムラグ部の一部がクローラ幅方向と平行な側面を持つ。
【0019】
この構成によれば、クローラ幅方向中央側から側方へクローラ幅方向と角度を持って斜めに延びる外側ゴムラグ部は、一部にクローラ幅方向と平行な側面を持つことで、スリップする際に土砂をクローラ幅方向と平行な側面が受け止めて、土砂のせん断力を高め、トラクションを期待することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、スプロケット穴をゴムラグにより堅牢に塞ぐことができるとともに、接地時にゴムラグ間の溝に取り込まれた土砂を芯金が押圧して強固に締固めることができ、せん断力を高めて、トラクション性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】ゴムクローラを一部断面として示したクローラ走行装置の一部の斜視図である。
図2】ゴムクローラの外周側の展開平面図である。
図3】ゴムクローラの内周側の展開平面図である。
図4図2および図3のIV-IV矢視のゴムクローラの断面図である。
図5図2および図3のV-V矢視のゴムクローラの断面図である。
図6図2および図3のVI-VI矢視のゴムクローラの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る一実施の形態について図1ないし図6に基づいて説明する。
図1は、ゴムクローラを一部断面として示したクローラ走行装置1の一部の斜視図である。
クローラ走行装置1は、主にコンパクトトラックローダ等の建設用車両に装着されて走行装置として用いられる。
なお、図1には、ゴムクローラ10の地面に接する部分のクローラ周方向、クローラ幅方向、クローラ厚み方向を矢印で示している。
【0023】
本クローラ走行装置1は、車両に取り付けられた2つないし3つのスプロケット2に無端帯状に構成される芯金入りのゴムクローラ10が巻き掛けられている。
スプロケットのうち1つは駆動スプロケットでその他は従動スプロケットであり、図1には、そのうちの1つのスプロケット2が示されている。
クローラ走行装置1は、駆動スプロケットの回転駆動によりゴムクローラ10が回動して走行することができる。
【0024】
そして、ゴムクローラ10における地面に接する部分のクローラ内周面には、複数の転輪5が地面に沿って前後に配列されている。
転輪5は車両のフレームに取り付けられており、地面に接するゴムクローラ10を上から押さえている。
かかるクローラ走行装置1は、車両の車幅方向両側に左右一対取り付けられ、互いに独立に駆動することができる。
【0025】
芯金入りのゴムクローラ10は、無端帯状に形成される弾性材料であるゴムからなる無端帯状ゴム体11に、複数の芯金20がクローラ周方向(ゴムクローラ10の回動方向)に一定の間隔で埋設されている。
【0026】
無端帯状ゴム体11に埋設される芯金20は、図4ないし図6を参照して、クローラ幅方向に長尺の矩形板状の芯金本体21と、同芯金本体21のクローラ幅方向中央に寄って芯金本体21からクローラ内周側に突出した一対の芯金突起部22,22とからなる。
一対の芯金突起部22,22はクローラ幅方向で対向している。
【0027】
芯金本体21は、クローラ幅方向中央の一対の芯金突起部22,22の間にスプロケット2の歯が係合するスプロケット係合部21aを有し、一対の芯金突起部22,22の両外側には芯金羽部21b,21bを形成している。
芯金20は、スプロケット係合部21aの一部を除き、芯金20の殆どを無端帯状ゴム体11のゴム材により覆われている。
一対の芯金突起部22,22は、該ゴム材により覆われてガイド突起23,23となっている。
【0028】
無端帯状ゴム体11は、クローラ外周側に突出してゴムラグ12が形成されている。
図2を参照して、ゴムラグ12は、クローラ幅方向中央にクローラ幅方向に延びる中央ゴムラグ部12aと、中央ゴムラグ部12aの両端部近傍から側方へクローラ幅方向と角度を持って斜めに延びる外側ゴムラグ部12b,12bとが1組となって、クローラ周方向に一定のピッチで無端帯状ゴム体11の外周側に形成されている。
【0029】
隣り合うゴムラグ12,12の間に溝13が形成されている。
図2に示されるように、溝13には、クローラ周方向で隣り合う中央ゴムラグ部12a,12aの間に形成される中央溝13aと、クローラ周方向で隣り合う外側ゴムラグ部12b,12bの間に形成される外側溝13bとがあり、中央溝13aの両端が外側溝13b,13bに連続している。
【0030】
図2を参照して、破線で示す芯金20は、クローラ周方向で隣り合う中央ゴムラグ部12a,12aの間に形成される中央溝13aと、クローラ厚み方向で重なる位置に埋設される。
芯金20のクローラ幅方向に長尺の芯金本体21は、両側の芯金羽部21b,21bは、外側ゴムラグ部12b,12bにまで達している。
【0031】
芯金20の一対の芯金突起部22,22の間のスプロケット係合部21aは、回転する駆動スプロケットの歯が係合してゴムクローラ10に動力を伝達するところである。
ゴムクローラ10の内周側は、図3を参照して、破線で示す芯金20が埋設された箇所から一対の芯金突起部22,22が突出しており、一対の芯金突起部22,22の間にスプロケット係合部21aが位置している。
【0032】
図3および図6を参照して、クローラ周方向に隣り合うスプロケット係合部21a,21aの間には、スプロケット2の歯が入り込むスプロケット穴15が形成されている。
このスプロケット穴15は、クローラ周方向に隣り合うスプロケット係合部21a,21aの間にあるので、中央ゴムラグ部12aとクローラ厚み方向で重なる。
すなわち、スプロケット穴15の底部は、中央ゴムラグ部12aにより形成されている(図4図6参照)。
【0033】
スプロケット穴15の底部が中央ゴムラグ部12aにより形成されているので、スプロケット穴15をゴムラグ12により堅牢に塞ぐことができる。
そして、図6を参照して、スプロケット穴15は、隣り合う芯金20,20の間に形成されるので、スプロケット穴15を塞ぐ中央ゴムラグ部12a,12a間の中央溝13aは、クローラ厚み方向で芯金20に相対しているため、接地時に中央溝13aに取り込まれた土砂を芯金20が押圧して強固に締固めることができ、土砂のせん断力を高めて、トラクションを確実に発揮することができる。
【0034】
図1および図4を参照して、無端帯状ゴム体11の内部には、芯金20の芯金本体21のクローラ外周側に、クローラ周方向に延びる無端帯状の抗張体であるスチールコードの配列されたスチールコード層30がクローラ幅方向中央の両側に埋設されている。
【0035】
スチールコード層30は、クローラ幅方向で芯金20の芯金突起部22から芯金羽部21bの端部手前までの間に配設されている。
無端帯状ゴム体11のクローラ幅方向中央の両側に、一対のスチールコード層30,30が埋設されている。
【0036】
図4に示されるように、クローラ内周面のクローラ幅方向中央のスプロケット穴15は、一対のスチールコード層30,30の間にあり、スプロケット穴15の底面15bは、スチールコード層30よりも深い位置にある。
スプロケット穴15の底面15bがスチールコード層30,30よりも深い位置にあるので、スプロケット2の歯がスプロケット穴15の底面に干渉せずに必要十分な深さまで入り込むことができ、スプロケット2を芯金20のスプロケット係合部21aに効果的に係合させることができるとともに、脱輪の予防効果も高めることができる。
【0037】
地面に接するゴムクローラ10のクローラ内周面上を転動する転輪5は、図1および図5を参照して、同形の一対の輪体5p,5pが連結輪体5qにより同軸に連結された一体構造のものである。
図5を参照して、転輪5は、一対の輪体5p,5pがゴムクローラ10のクローラ内周面の突出した一対のガイド突起23,23より両外側部を押圧する。
したがって、図3に示されるように、ゴムクローラ10のクローラ内周面の一対のガイド突起23,23より両外側部は、地面に沿って配列される転輪5の一対の輪体5p,5pが転動して通過する転輪通過面16,16(図3において散点模様で示す面)をなす。
【0038】
図5に示されるように、無端帯状ゴム体11の外周側の中央ゴムラグ部12a,12aの間に形成される中央溝13aの両端部は、クローラ厚み方向で、芯金20の芯金本体21とともに、ゴムクローラ10の内周側の転輪通過面16,16と重なる。
【0039】
したがって、転輪通過面16,16を転動する転輪5は、ゴム材を介して芯金20の芯金本体21の両側部の芯金羽部21b,21bを押圧するので、芯金本体21が平衡を保って押圧される。
そのため、接地時に、中央ゴムラグ部12a,12aの間に形成される中央溝13aに取り込まれた土砂には、中央溝13aの底部のゴム材を介して、転輪5により平衡を保って押圧された芯金本体21により偏りなく荷重を加えることができるため、中央溝13aに取り込まれた土砂を偏りなく締め固めることができ、トラクション性能をより向上させることができる。
【0040】
図2を参照して、前記したように、中央溝13aの両端が外側溝13b,13bに連続しており、外側溝13b,13bの中央溝13aに連続する連続溝部分13bc,13bcのクローラ周方向幅Wbcは、中央溝13aのクローラ周方向幅Waより小さい。
【0041】
接地時に、中央溝13aに取り込まれた土砂は、転輪5により芯金20を介して上方から押圧されると、連続溝部分13bcを通って外側溝13bに流出しようとするが、連続溝部分13bcのクローラ周方向幅Wbcが中央溝13aのクローラ周方向幅Waより小さく絞られていることで、流出が抑制されるため、中央溝に取り込まれた土砂は強固に締固められ、トラクション性能を維持することができる。
【0042】
ゴムラグ12のうち両外側の外側ゴムラグ部12b,12bは、クローラ幅方向と角度を持って斜めに延びるが、図2に示されるように、外側ゴムラグ部12b,12bの中央側の端部がクローラ幅方向と平行な側面12bf,12bfを持つ。
【0043】
クローラ幅方向と角度を持って斜めに延びる外側ゴムラグ部12bは、中央側の端部がクローラ幅方向と平行な側面12bfを持つことで、スリップする際に土砂をクローラ幅方向と平行な側面12bfが受け止めて、隣り合う外側ゴムラグ部12b,12b間の外側溝13bに取り込み、せん断力を高めて、トラクション効果を期待できる。
【0044】
以上、本発明に係る一実施の形態に係るゴムクローラについて説明したが、本発明の態様は、上記実施の形態に限定されず、本発明の要旨の範囲で、多様な態様で実施されるものを含むものである。
【符号の説明】
【0045】
1…クローラ走行装置、2…スプロケット、5…転輪、
10…ゴムクローラ、11…無端帯状ゴム体、12…ゴムラグ、12a…中央ゴムラグ部、12b…外側ゴムラグ部、13…溝、13a…中央溝、13b…外側溝、13bc…連続溝部分、15…スプロケット穴、16…転輪通過面、
20…芯金、21…芯金本体、21a…スプロケット係合部、21b…芯金羽部、22…芯金突起部、23…ガイド突起、
30…スチールコード層。
図1
図2
図3
図4
図5
図6