IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社トヨタマップマスターの特許一覧 ▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特開2024-80114通行止め推定装置、通行止め推定方法、通行止め推定プログラム
<>
  • 特開-通行止め推定装置、通行止め推定方法、通行止め推定プログラム 図1
  • 特開-通行止め推定装置、通行止め推定方法、通行止め推定プログラム 図2
  • 特開-通行止め推定装置、通行止め推定方法、通行止め推定プログラム 図3
  • 特開-通行止め推定装置、通行止め推定方法、通行止め推定プログラム 図4
  • 特開-通行止め推定装置、通行止め推定方法、通行止め推定プログラム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080114
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】通行止め推定装置、通行止め推定方法、通行止め推定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/01 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
G08G1/01 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193024
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】太田 洋介
(72)【発明者】
【氏名】松下 真人
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB05
5H181BB13
5H181CC04
5H181DD01
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF25
5H181FF33
5H181MC15
5H181MC27
(57)【要約】
【課題】道路における通行止めの発生と解除を推定することができる通行止め推定装置を提供する。
【解決手段】 通行止め推定装置は、時間帯ごとに対象の道路を走行した車両の数の平均台数を示す平均車両台数を取得する取得部と、平均車両台数に基づいて、所定期間に通過車両が1台もない確率を算出する算出部と、算出部が算出した確率が、所定の第1閾値以下である場合に、対象の道路において、通行止めが発生していると推定するとともに、通行止めが発生したと推定した時刻以降に算出部が算出した確率に基づいて通行止めが解除されたと推定する推定部と、推定部が通行止めが発生していると推定したことを示す情報を対象の道路を示す情報に対応付けて出力する、または、推定部が通行止めが解除されたと推定したことを示す情報を対象の道路を示す情報に対応付けて出力する出力部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間帯ごとに対象の道路を走行した車両の数の平均台数を示す平均車両台数を取得する取得部と、
前記平均車両台数に基づいて、所定期間に通過車両が1台もない確率を算出する算出部と、
前記算出部が算出した確率が、所定の第1閾値以下である場合に、前記対象の道路において、通行止めが発生していると推定するとともに、前記通行止めが発生したと推定した時刻以降に前記算出部が算出した確率に基づいて前記通行止めが解除されたと推定する推定部と、
前記推定部が通行止めが発生していると推定したことを示す情報を前記対象の道路を示す情報に対応付けて出力する、または、前記推定部が前記通行止めが解除されたと推定したことを示す情報を前記対象の道路を示す情報に対応付けて出力する出力部と、を備える
通行止め推定装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記対象の道路において、通行止めが発生していると推定したタイミングから、所定時間以上、通行止めが発生していると推定できる場合であって、前記対象の道路の平均車両台数が所定台数以下である場合に、前記対象の道路の平均車両台数が所定台数を超える場合とは異なる手法で前記通行止めが解除されたかを推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通行止め推定装置。
【請求項3】
前記推定部は、前記対象の道路の平均車両台数が所定台数以下である場合に、前記対象の道路の平均車両台数が所定台数を超える場合とは異なる手法で前記通行止めが解除されたかを推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の通行止め推定装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記対象の道路の平均車両台数が所定台数を超える場合であって、前記算出部が算出した確率が前記所定の第1閾値を超えるときには、前記通行止めが解除されたと推定し、前記対象の道路の平均車両台数が所定台数以下である場合であって、前記推定部が前記通行止めが発生したと推定したタイミングからの経過時間に応じた前記時間帯ごとの平均車両台数の累積和に基づく確率が所定の第2閾値を超えるときには、前記通行止めが解除されたと推定する
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の通行止め推定装置。
【請求項5】
コンピュータが、
時間帯ごとに対象の道路を走行した車両の数の平均台数を示す平均車両台数を取得する取得ステップと、
前記平均車両台数に基づいて、所定期間に通過車両が1台もない確率を算出する算出ステップと、
前記算出ステップが算出した確率が、所定の第1閾値以下である場合に、前記対象の道路において、通行止めが発生していると推定するとともに、前記通行止めが発生したと推定した時刻以降に前記算出ステップが算出した確率に基づいて前記通行止めが解除されたと推定する推定ステップと、
前記推定ステップが通行止めが発生していると推定したことを示す情報を前記対象の道路を示す情報に対応付けて出力する、または、前記推定ステップが前記通行止めが解除されたと推定したことを示す情報を前記対象の道路を示す情報に対応付けて出力する出力ステップと、を実行する
通行止め推定方法。
【請求項6】
コンピュータに、
時間帯ごとに対象の道路を走行した車両の数の平均台数を示す平均車両台数を取得する取得機能と、
前記平均車両台数に基づいて、所定期間に通過車両が1台もない確率を算出する算出機能と、
前記算出機能が算出した確率が、所定の第1閾値以下である場合に、前記対象の道路において、通行止めが発生していると推定するとともに、前記通行止めが発生したと推定した時刻以降に前記算出機能が算出した確率に基づいて前記通行止めが解除されたと推定する推定機能と、
前記推定機能が通行止めが発生していると推定したことを示す情報を前記対象の道路を示す情報に対応付けて出力する、または、前記推定機能が前記通行止めが解除されたと推定したことを示す情報を前記対象の道路を示す情報に対応付けて出力する出力機能と、を実現させる
通行止め推定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通行止め推定装置、通行止め推定方法、通行止め推定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
道路においては、道路整備や事故などの理由により通行止めが発生することがある。このような通行止めを事前に認識出来れば、ナビゲーション装置を通してドライバにその旨を通知し、通行止めとなっている道路を避けた道案内をすることができる。特許文献1には、プローブ情報に基づいて、非通行止め区間ごとに他の非通行止め区間への移動の可否を判別し、平素時には所定の通行量があるにもかかわらず、通行がほとんどないような場合に、通行止めと判別する技術が開示されている。また、特許文献2には、プローブ情報に基づいて、各リンク及び各時間帯における通過車両台数の平均値を統計値として算出し、現在の直近の時間帯における各リンクの通過車両台数を算出し、双方を参照して交通事象を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-112481号公報
【特許文献2】特開2016-186762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1や特許文献2の場合、リアルタイムにプローブ情報が必要になるため、リアルタイムでプローブ情報が得られない環境下においては、通行止めを推定できないという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みて成されたものであり、リアルタイムのプローブ情報がなくとも、道路における通行止めを推定することができる通行止め推定装置、通行止め推定方法、通行止め推定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通行止め推定装置は、時間帯ごとに対象の道路を走行した車両の数の平均台数を示す平均車両台数を取得する取得部と、平均車両台数に基づいて、所定期間に通過車両が1台もない確率を算出する算出部と、算出部が算出した確率が、所定の第1閾値以下である場合に、対象の道路において、通行止めが発生していると推定するとともに、通行止めが発生したと推定した時刻以降に算出部が算出した確率に基づいて通行止めが解除されたと推定する推定部と、推定部が通行止めが発生していると推定したことを示す情報を対象の道路を示す情報に対応付けて出力する、または、推定部が通行止めが解除されたと推定したことを示す情報を対象の道路を示す情報に対応付けて出力する出力部と、を備える。
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通行止め推定方法は、コンピュータが、時間帯ごとに対象の道路を走行した車両の数の平均台数を示す平均車両台数を取得する取得ステップと、平均車両台数に基づいて、所定期間に通過車両が1台もない確率を算出する算出ステップと、算出ステップが算出した確率が、所定の第1閾値以下である場合に、対象の道路において、通行止めが発生していると推定するとともに、通行止めが発生したと推定した時刻以降に算出ステップが算出した確率に基づいて通行止めが解除されたと推定する推定ステップと、推定ステップが通行止めが発生していると推定したことを示す情報を対象の道路を示す情報に対応付けて出力する、または、推定ステップが通行止めが解除されたと推定したことを示す情報を対象の道路を示す情報に対応付けて出力する出力ステップと、を実行する。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通行止め推定プログラムは、コンピュータに、時間帯ごとに対象の道路を走行した車両の数の平均台数を示す平均車両台数を取得する取得機能と、平均車両台数に基づいて、所定期間に通過車両が1台もない確率を算出する算出機能と、算出機能が算出した確率が、所定の第1閾値以下である場合に、対象の道路において、通行止めが発生していると推定するとともに、通行止めが発生したと推定した時刻以降に算出機能が算出した確率に基づいて通行止めが解除されたと推定する推定機能と、推定機能が通行止めが発生していると推定したことを示す情報を対象の道路を示す情報に対応付けて出力する、または、推定機能が通行止めが解除されたと推定したことを示す情報を対象の道路を示す情報に対応付けて出力する出力機能と、を実現させる。
【0009】
また、上記通行止め推定装置において、推定部は、対象の道路において、通行止めが発生していると推定したタイミングから、所定時間以上、通行止めが発生していると推定できる場合であって、対象の道路の平均車両台数が所定台数以下である場合に、対象の道路の平均車両台数が所定台数を超える場合とは異なる手法で通行止めが解除されたかを推定することとしてもよい。
【0010】
また、上記通行止め推定装置において、推定部は、対象の道路の平均車両台数が所定台数以下である場合に、対象の道路の平均車両台数が所定台数を超える場合とは異なる手法で通行止めが解除されたかを推定することとしてもよい。
【0011】
また、上記通行止め推定装置において、推定部は、対象の道路の平均車両台数が所定台数を超える場合であって、算出部が算出した確率が所定の第1閾値を超えるときには、通行止めが解除されたと推定し、対象の道路の平均車両台数が所定台数以下である場合であって、算出部が通行止めが発生したと推定したタイミングからの経過時間に応じた時間帯ごとの平均車両台数の累積和に基づく確率が所定の第2閾値を超えるときには、通行止めが解除されたと推定することとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様に係る通行止め推定装置は、対象の道路において、通行止めが発生したか否か、そして、解除されたか否かを、過去に対象の道路を走行した時間帯ごとの平均車両台数に基づく確率を用いて、推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】通行止め推定装置の構成例を示すブロック図である。
図2】車両通行情報のデータ構成例を示すデータ概念図である。
図3】通行止め推定装置の動作例であって通行止めの発生を推定する処理を示すフローチャートである。
図4】通行止め推定装置の動作例であって通行止めの解除を推定する処理を示すフローチャートである。
図5】通行止め推定装置の他の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一態様に係る通行止め推定装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
<実施の形態>
<通行止め推定装置の構成>
本発明の一態様に係る通行止め推定装置(図1の100参照)は、時間帯ごとに対象の道路を走行した車両の数の平均台数を示す平均車両台数を取得する取得部(図1の105参照)と、平均車両台数に基づいて、所定期間に通過車両が1台もない確率を算出する算出部(図1の105参照)と、算出部が算出した確率が、所定の第1閾値以下である場合に、対象の道路において、通行止めが発生していると推定するとともに、通行止めが発生したと推定した時刻以降に算出部が算出した確率に基づいて通行止めが解除されたと推定する推定部(図1の105参照)と、推定部が通行止めが発生していると推定したことを示す情報を対象の道路を示す情報に対応付けて出力する、または、推定部が通行止めが解除されたと推定したことを示す情報を対象の道路を示す情報に対応付けて出力する出力部(図1の105参照)と、を備える。
【0016】
図1は、通行止め推定装置100の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、通行止め推定装置100は、通信部101と、入力部102と、出力部103と、記憶部104と、CPU105とを備える。
【0017】
通行止め推定装置100は、サーバ装置、PCなどにより実現されるコンピュータシステムであるが、これらに限定するものではなく、スマートフォン、タブレット端末等の携帯端末などにより実現されるものであってもよい。通行止め推定装置100は、一例として、通行止めの発生と、その解除を推定し、車両等のドライバに通知する経路案内(ナビゲーション)に用いられるナビゲーション装置として実現されてよい。
【0018】
通信部101は、他の装置と、有線又は無線の通信により情報を送受信する機能を有する。通信部101は、例えば、外部の装置から、各道路における車両の通行数を示す情報、あるいは、通過車両数の平均値である平均車両台数の情報を受信し、CPU105に伝達することとしてよい。
【0019】
入力部102は、通行止め推定装置100のユーザからの入力を受け付けて、CPU105に伝達する機能を有する。入力部102は、例えば、通行止め推定装置100に備えられたハードウェアキーや、タッチパネルやタッチキーなどのソフトキーなどにより実現することができる。なお、入力部102に対する入力は音声による入力であってもよく、この場合、入力部102は、マイクロフォンにより実現される。入力部102は、例えば、各道路における平均車両台数の情報の入力を受け付けてCPU105に伝達してもよい。
【0020】
出力部103は、CPU105からの指示に従って、指示されたデータを出力する機能を有する。出力部103は、例えば、通行止めが発生していると推定された場合に、通行止めが発生していること、及び、通行止めが発生していると推定される道路の情報を出力してよい。また、出力部103は、例えば、通行止めが解除されたこと、及び、通行止めが解除された道路の情報を出力してもよい。出力部103による情報の出力は、通行止め推定装置100に付属する、あるいは、接続されたモニタ(表示装置)等に、文字あるいは画像による出力を行うものであってもよいし、通行止め推定装置100に付属する、あるいは、接続されたスピーカから音声を出力するものであってもよいし、通信部110を介して外部の装置に通信による情報の出力を行うものであってもよい。
【0021】
記憶部104は、通行止め推定装置100が動作する上で必要とする各種のプログラム及び各種のデータを記憶する記録媒体である。記憶部104は、例えば、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。
【0022】
記憶部104は、地図情報141を記憶している。地図情報141は、少なくとも道路情報を含む地図情報である。また、記憶部140は、車両走行数情報142を記憶している。車両走行数情報142は、各道路について、各日の各時間帯における車両の走行台数(通過台数)を示す情報である。車両走行数情報142における車両の走行台数は、各道路を走行した車両のプローブ情報を集計したものであってもよいし、道路等に設けられた監視カメラ等により撮像された撮像画像から計数された情報であってもよいし、ETC等により集計される情報であってもよい。なお、車両走行数情報142は、各道路における各時間帯の車両走行数の平均値を示す情報であってもよい。また、ここでいう時間帯とは、例えば、1時間毎の時間帯であってもよいし、30分単位、あるいは、2時間単位であってもよい。
【0023】
CPU105は、記憶部104に記憶されている各種のプログラム及び各種のデータを利用して、通行止め推定装置100が実行すべき処理を実行するプロセッサである。
【0024】
CPU105は、記憶部104に記憶されているプログラムを実行して、道路における通行止めの発生を推定するとともに、通行止めを推定した道路における通行止めの解除を推定し、その情報を出力する。
【0025】
CPU105は、取得部、算出部、推定部、出力部として機能する。
【0026】
取得部は、時間帯ごとに対象の道路を走行した車両の数の平均台数を示す平均車両台数を取得する。取得部は、記憶部140に記憶されている車両走行数情報142を参照し、対象の道路について、時間帯ごとの平均車両台数を算出することとしてよい。例えば、図2に示す車両走行数情報142の場合、2022年10月3日から2022年10月7日の間の6時台の平均車両台数は、(18+11+14+10+16)/5=69/5=13.8となる。取得部が取得する平均車両台数を算出する対象となる日数や日付は任意であってよく、例えば、現在日時から過去に遡って1ヶ月分の車両台数を平均化したものであってもよい。また、例えば、取得部が取得する平均車両台数は、各曜日に対して算出されてもよいし、平日と休日とで分けて算出されてもよい。取得部は、車両走行数情報142が各道路についての平均車両台数を示すものであった場合には、その数値を取得することとしてよい。取得部は、取得した平均車両台数を算出部に伝達する。
【0027】
算出部は、平均車両台数に基づいて、所定期間に通過車両が1台もない確率を算出する。算出部は、取得部が取得した平均車両台数を参照して、所定期間に通過車両が1台もない確率を算出する。ここで、所定期間は、車両走行数情報142における通過車両台数を定める時間帯単位と同じであってもよいし、別の時間長であってもよい。ここでは、所定期間を計算しやすくするために1時間とするが、別の時間長にする場合には、算出した平均車両台数を所定期間の期間長に変換する。算出部は、取得部から伝達された平均車両台数に基づいて以下の式(1)により、所定期間に通過車両が1台もない確率Pを算出する。
P=1-e-λx …(1)
ここで、eは、自然対数の底であり、λは、所定期間における平均車両台数であり、xは所定期間の時間長である。算出部は、算出した確率Pを推定部に伝達する。
【0028】
また、算出部は、対象の道路における通行止めが発生している場合に、当該通行止めが発生したタイミングからの経過時間に応じた平均車両台数の累積和をλとして確率Pを算出することとしてもよい。また、算出部は、平均車両台数の累積和を用いるか否かを、通行止めの解除を判定する対象の道路における平均車両台数が所定の台数未満であるか否かに応じて、決定することとしてもよい。
【0029】
推定部は、対象の道路において通行止めの発生と、通行止めの解除と、を推定する。推定部は、算出部から伝達された確率Pに基づいて、通行止めの発生と解除を推定する。具体的には、推定部は、確率Pが予め定められた所定の第1閾値以下である場合に、対象の道路において、通行止めが発生していると推定する。上記式(1)により算出される確率Pは、0から1の間の値であるので、第1閾値も0から1の間の値であり、通行止めが発生したと推定するのに適した値である。第1閾値は、通行止め推定装置100により通行止めが発生していると推定した場合に実際に発生している場合と、発生していなかった場合とで、シミュレーションを行うことで決定されることとしてよい。第1閾値は、一例として、0.01%であってもよいが、この値に限定するものではない。
【0030】
また、推定部は、対象の道路において、通行止めが発生したと推定されている場合に、通行止めが発生したと推定した時刻以降において算出部が算出した確率Pに基づいて通行止めが解除されたかを推定する。
【0031】
推定部は、対象の道路において、対象の道路の平均車両台数が所定台数を超えるか否かに応じて、通行止めの解除を推定する手法を変更してもよい。即ち、推定部は、対象の道路において、平均車両台数が所定台数以下である場合に、対象の道路の平均車両台数が所定台数を超える場合とは異なる手法で通行止めが解除されたかを推定する。ここで、異なる手法とは、通行止めの解除の推定に用いる要素の算出式が異なる、あるいは、判断の基準となる閾値が異なることであってよく、具体的には、例えば、通行止めの解除を推定する基準となる閾値を変更することであってもよいし、通行止めの解除を推定するために用いる確率Pの算出方法を変更することであってもよい。このとき、推定部は、対象の道路において、通行止めが発生したと推定したタイミングから、所定時間以上している場合にのみ、対象の道路の平均車両台数が所定台数以下である場合に、対象の道路の平均車両台数が所定台数を超える場合とは異なる手法で通行止めが解除されたかを推定することとしてもよい。また、ここでいう所定台数は、通行止めの解除の推定を行うに際して、手法を切り替えるための基準として適した数であればよく、例えば、平均車両台数に数に応じてシミュレーション等により適切な値を決定し、設定してもよい。また、所定台数は、対象道路毎、あるいは、対象道路の種別(公道、私道、道路幅による種別など)に応じて定められてもよい。また、所定台数は、同じ対象道路であっても、時間帯、あるいは、季節によって変動させてもよい。また、更には、所定台数は、通行止めを推定した時刻からの経過時間に応じて定めればよく、一例として、通行止めを推定した時刻からの経過時間が長くなるほど、閾値としての所定台数が相対的に大きくなるように変動させてもよい。
【0032】
本実施例では、推定部は、対象の道路の平均車両台数が所定台数を超える場合には、算出部が算出した確率が第1閾値を超えるときには、通行止めが解除されたと推定する。一方で、対象の道路の平均車両台数が所定台数以下である場合には、推定部は、算出部が算出した通行止めが発生したと推定したタイミングからの経過時間に応じた時間帯ごとの平均車両台数の累積和に基づく確率が第2閾値を超えるときには、通行止めが解除されたと推定する。ここで、第2閾値は、第1閾値と同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0033】
推定部は、対象の道路において通行止めが発生したと推定した場合、また、通行止めが解除されたと推定した場合に、その情報を出力部に伝達する。
【0034】
出力部は、推定部により伝達された通行止めが発生したことを示す情報を、対象の道路を示す情報に対応付けて出力する。また、出力部は、推定部により伝達された通行止めが解除されたことを示す情報を、対象の道路を示す情報に対応付けて出力する。出力部による情報の出力は、通行止め推定装置100の出力部103からの出力であってもよいし、通信部101から外部の装置への出力であってもよい。即ち、出力部は、出力部103から画像情報(例えば、地図情報141のうち対象の道路付近を含む画像において対象の道路で通行止めが発生あるいは解除されたことを示す画像)により出力することとしてもよいし、出力部103から文字情報により、対象の道路の名称とその道路における通行止めが発生あるいは解除されたことを示す文章を出力することとしてもよいし、同様の情報を音声により出力することとしてもよい。また、出力部は、通信部101を介して、通行止めが発生したことと発生した道路の情報、あるいは、通行止めが解除したことと解除された道路の情報を、外部の装置に送信してもよい。
【0035】
以上が、通行止め推定装置100の構成例である。
【0036】
<データ>
ここで、車両走行数情報142について説明する。車両走行数情報142は、前述したように各道路について、各日の各時間帯における車両の走行数を計数した情報である。ここでいう各道路は、地図情報141において道路として定められるリンクのことであってよい。
【0037】
図2に示すように、車両走行数情報142は、日時201と、時間帯202とが、対応付けられ、各日時201の各時間帯202において道路毎に車両が通過した台数を示す情報である。図2は、一つの道路についての情報の例を示しているが、記憶部104は、当該情報を各道路について保持することとしてよい。
【0038】
日時201は、当該道路において車両走行数を計数した日付を示す情報である。
【0039】
時間帯202は、対応する日時を所定時間単位で区切った時間帯のことであり、図2においては、1時間単位で区切った例を示している。時間帯202の0~23の各数値は、それぞれ、0時、1時、…、22時、23時を示し、各時間帯の開始時刻を示している。したがって、例えば、時間帯202の「2」を示す時間帯は、午前2時~午前3時までの間を意味する。
【0040】
図2の例に示す車両走行数情報142によれば、例えば、「2022年10月3日」の、「5」時台における車両の通過台数は、「8」台である。また、例えば、「2022年10月4日」の、「18」時台における車両の通過台数は、「21」台である。当該情報があることにより、車両走行数情報142が対応する道路において、各時間帯における平均車両台数を算出することができる。
【0041】
<通行止め推定装置の動作>
図3を用いて、通行止め推定装置100の動作例を説明する。図3は、通行止めを推定する対象の道路において、対象の道路を走行する車両の平均車両台数から算出される1台も車両が通過しない確率に基づいて、通行止めの発生を推定する際の通行止め推定装置100の動作例を示すフローチャートである。
【0042】
図3に示すように通行止め推定装置100のCPU105の取得部は、通行止めの発生を推定する対象の道路の時間帯ごとの通過車両台数を、記憶部104に記憶されている車両走行数情報142から取得する。そして、取得した通過車両台数に基づいて、時間帯ごとの平均車両台数を取得(算出)する(ステップS301)。取得部は、取得した時間帯ごとの平均車両台数を算出部に伝達する。
【0043】
CPU105の算出部は、取得部から伝達された平均車両台数に基づいて、所定期間において通過車両が1台もない確率を算出する。即ち、ここで所定期間を1時間とし、その開始を0時とすると、取得部から伝達された各時間帯の平均車両台数に基づいて、上記式(1)を用いて、各時間帯の通過車両が1台もない確率Pを算出する(ステップS302)。算出部は算出した確率Pを推定部に伝達する。
【0044】
CPU105の推定部は、各時間帯について伝達された確率Pが第1閾値以下であるか否かを判定する(ステップS303)。推定部は、確率Pが第1閾値以下でない場合には(ステップS303のNO)、全ての時間帯において対象の道路では通行止めは発生していないと推定し(ステップS305)、処理を終了する。推定部は、確率Pが第1閾値以下である場合には(ステップS303のYES)、対象の道路で通行止めが発生していると推定する(ステップS304)。推定部は、通行止めが発生したと推定したことと、対象の道路の情報を出力部に伝達する。
【0045】
CPU105の出力部は、推定部から通行止めが発生したことを示す情報を、対象の道路を示す情報に対応付けて出力し(ステップS306)、処理を終了する。
【0046】
次に、図4を参照して、通行止め推定装置100による通行止めが解除されたかどうかの推定処理について説明する。図4は、通行止め推定装置100による通行止めの解除処理についての動作例を示すフローチャートである。
【0047】
算出部は、通行止めを推定した道路において、所定時間毎に通過車両が1台もない確率を継続して算出する(ステップS401)。算出部は算出した確率Pを推定部に伝達する。
【0048】
推定部は、算出部から伝達された確率Pが第1閾値を超えるか否かを判定する(ステップS402)。算出した確率Pが第1閾値を超える場合には(ステップS402のYES)、対象の道路の通行止めが解除されたと推定する。そして、出力部は、対象の道路において通行止めが解除されたことを示す情報を出力して(ステップS407)、処理を終了する。
【0049】
算出した確率が第1閾値を超えていない場合に(ステップS402のNO)、算出部は、対象の道路において通行止めを推定したタイミングから所定時間が経過しているか否かを判定する(ステップS403)。所定時間が経過していない場合には(ステップS403のNO)、ステップS401の処理に戻る。なお、ステップS403の処理は省略することとしてもよい。即ち、通行止めからの経過時間に関わらず、平均車両台数が所定台数未満である場合には、ステップS405、S406の処理で通行止めの解除を判定するようにしてもよい。
【0050】
通行止めから所定時間が経過している場合には(ステップS402のYES)、算出部は、対象の道路における判定時の時間帯における平均車両台数が所定台数未満であるか否かを判定する(ステップS404)。平均車両台数が所定台数未満でない場合には(ステップS404のNO)、ステップS401の処理に戻る。
【0051】
平均車両台数が所定台数未満であった場合には(ステップS404のYES)、算出部は、通行止めを推定したタイミングからの経過時間に応じた平均車両台数の累積和を算出する。ここでいう累積和とは、例えば、通行止めが午前1時に発生したと推定したとした場合であって、そこから3時間が経過していた場合には、午前1時台の平均車両台数と、午前2時台の平均車両台数と、午前3時台の平均車両台数と、を足し合わせた数値となる。累積和を使用することで、車両が通過した台数を多くすることができ、その分だけ、確実に車両が通過すると推定できるようにすることで通行止めの状態を延々と続かせず、通行止めの解除を推定することができる。そして、算出部は算出した累積和をλとして、上記式(1)を用いて対象の道路において1台も車両が通過しない確率Pを算出する(ステップS405)。そして、算出部が算出した通行止めからの経過時間に応じた平均車両台数の累積和に基づいて算出した確率Pが第2閾値を超えるか否かを判定する(ステップS406)。確率Pが第2閾値を超えない場合には(ステップS406のNO)、ステップS405の処理に戻る。確率Pが第2閾値を超える場合には(ステップS406のYES)、対象の道路における通行止めが解除されたと推定する。そして、出力部は、通行止めが解除されたことを示す情報を、対象の道路を示す情報に対応付けて出力し(ステップS407)、処理を終了する。
【0052】
以上が、通行止め推定装置100による、通行止めの発生と解除の処理における動作例である。
【0053】
<まとめ>
上述したように、通行止め推定装置100は、対象の道路における過去の車両通行台数の平均値に基づいて、当該道路を1台も通らない確率を算出し、その確率に基づいて、通行止めが発生しているか否かを推定することができる。また、平均車両台数が少ない道路では、通行止めが一向に解除されないこともありえるが、そのような場合には、通行止め推定装置100は、対象の道路における平均車両台数の累積和を用いて車両台数を増加させることができ、その累積和に基づく確率を用いることで、通行止めが解除されたことを推定することができる。上記実施の形態に示したように、通行止め推定装置100は、過去の車両通過台数を利用するものの、リアルタイムの車両の走行情報を利用することなく、道路における通行止めの発生、および、その解除を推定することができる。
【0054】
<補足>
上記実施の形態に係る通行止め推定装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0055】
(1)上記実施の形態においては、通行止め推定装置100は、車両に備えられたナビゲーション装置として実現されてよい。即ち、通行止め推定装置100は、車両等に搭載されるナビゲーション装置に内蔵されてよく、道路における通行止めの発生を推定した場合に、当該道路を利用せずに目的地への経路案内を行うようにしてよい。また、通行止めが解除された場合には、通行止めが解除された道路を経路案内に用いる道路の候補の一つとして経路を策定するようにしてもよい。
【0056】
また、あるいは、通行止め推定装置100は、車両に備えられたナビゲーション装置に対して、通信により、通行止めの発生、および、その解除を通知する装置であってもよい。
【0057】
(2)上記実施の形態においては、通行止め推定装置における通行止めの発生とその解除を推定する手法について、通行止め推定装置のプロセッサが所定のプログラム等を実行することにより、特定することとしているが、これは装置に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能は1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。すなわち、図5に示すように、通行止め推定装置100は、通信回路101a、入力回路102a、出力回路103a、記憶回路104a、制御回路105a、とから構成されてよく、それぞれ、通信部101、入力部102、出力部103、記憶部104、CPU105、に相当する。
【0058】
また、上記プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、当該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。つまり、例えば、スマートフォン等の情報処理機器を利用して、ネットワーク上からプログラムをダウンロードして実行する構成としてもよい。本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0059】
なお、上記プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)、C++、Python、Rなどのオブジェクト指向プログラミング言語などを用いて実装できるが、これらの言語は一例である。
【0060】
(3)上記実施の形態に示した各種の実施例は適宜組み合わせることとしてもよい。また、フローチャートに示した各動作は、結果として矛盾がなければその実行順序を入れ替えたり、並列に実行したりすることとしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
100 通行止め推定装置
101 通信部
102 入力部
103 出力部
104 記憶部
105 CPU(取得部、算出部、推定部、出力部)
図1
図2
図3
図4
図5