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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080132
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】ガス分配ユニット及び給湯器
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
F23K5/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193057
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】柿崎 友助
【テーマコード(参考)】
3K068
【Fターム(参考)】
3K068AA01
3K068BA01
3K068BB05
(57)【要約】
【課題】サイズの大きな電磁弁の使用によるコストアップを回避しつつ分配流路の圧力損失を低減する。
【解決手段】ガス分配ユニット7は、メイン流路と第1~第3分配流路66~68とを備え、本体25には、メイン凹部と、第1~第3凹部32~34と、各凹部32~34の上流端にそれぞれ設けられてメイン凹部と連通する第1~第3入口42~44と、各入口42~44をそれぞれ開閉する第1~第3電磁弁50~52とが設けられる。各入口42~44のうち、ノズル30の数が最も多い群に対応する第1凹部32の第1入口42が、他の第2、第3凹部33,34の第2、第3入口43,44よりも大径に形成されると共に、第1入口42は、他の第2、第3入口43,44よりも中心軸方向の厚みT1が小さく形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバーナを収容する燃焼装置に組み付けられ、各前記バーナに燃料ガスをそれぞれ噴出する複数のノズルが並設されている本体と、前記本体を覆う蓋体とからなり、
燃料ガスが導入されるメイン流路と、前記メイン流路から互いに数が異なる複数の前記ノズルの群ごとにそれぞれ燃料ガスを分岐させて供給する複数の分配流路とを備え、前記本体には、前記メイン流路を形成するメイン凹部と、各前記分配流路を形成する複数の凹部と、各前記凹部の上流端にそれぞれ設けられて前記メイン凹部と連通する燃料ガスの入口と、各前記入口をそれぞれ開閉する複数の電磁弁とが設けられるガス分配ユニットであって、
各前記入口のうち、前記ノズルの数が最も多い群に対応する前記凹部の前記入口が、他の前記凹部の前記入口よりも大径に形成されると共に、前記大径の前記入口は、前記他の凹部の前記入口よりも中心軸方向の厚みが小さく形成されていることを特徴とするガス分配ユニット。
【請求項2】
前記大径の前記入口は、当該入口を含む部分が当該入口を最深部としたすり鉢状に形成されることで、前記中心軸方向の厚みが小さく形成されていることを特徴とする請求項1に記載のガス分配ユニット。
【請求項3】
複数のバーナを収容する燃焼装置に、請求項1又は2に記載のガス分配ユニットを組み付けてなる給湯器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、給湯器において、複数のバーナに燃料ガスを分配供給するために設けられるガス分配ユニットと、そのガス分配ユニットを備えた給湯器とに関する。
【背景技術】
【0002】
給湯器は、筐体内に、バーナを備えた燃焼装置と熱交換器とを備え、燃料ガスと燃焼用空気との混合気に点火して燃焼するバーナの燃焼排気により、熱交換器を通過する水を加熱して出湯させる。
バーナは、扁平状のものが厚み方向に複数配列されてユニット化されており、バーナユニットの上流側には、ガス分配ユニットが設けられている。このガス分配ユニットは、特許文献1に開示されるように、各バーナに対応する複数のノズルが設けられるアルミダイカスト製の本体と、本体の前面に組み付けられる板金製の蓋体とを含んでなり、本体に形成した凹部と蓋体に設けた膨出部とによって、上流端のガス導入部(メイン流路)と、ガス導入部から分岐する複数の分岐流路(分配流路)とを区画形成している。各分岐流路の上流端に設けた入口がガス導入部とそれぞれ連通している。各入口は、分岐流路の大小(ノズルの数)に応じて大きさを変えることで、分配比率を調整しており、それぞれ電磁弁によって開閉可能となっている。
このガス分配ユニットでは、コントローラが各電磁弁を開閉制御して燃料ガスが供給される分岐流路を選択することで、燃焼するバーナの数を調整可能となっている。ガス分配ユニットは、左右方向へ延びる板状に形成され、バーナユニットを収容するインナーケースの前面に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-89030号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ガス分配ユニットにおいて、ガス供給圧が低い場合に分配流路の圧力損失が大きくなると、必要なガス量が供給されなくなる。この場合、空燃比が所定の数値とならず燃焼不良を起こしてしまうおそれがある。ガス流量が最大となる分配流路の入口の径を大きくすれば圧力損失を軽減できるが、その分バルブシートも大径となってサイズの大きい電磁弁が必要となり、コストアップに繋がってしまう。
【0005】
そこで、本開示は、サイズの大きな電磁弁の使用によるコストアップを回避しつつ分配流路の圧力損失を低減することができるガス分配ユニット及び給湯器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の第1の構成は、3つ以上のバーナを収容する燃焼装置に組み付けられ、各バーナに燃料ガスをそれぞれ噴出する3つ以上のノズルが並設されている本体と、本体を覆う蓋体とからなり、
燃料ガスが導入されるメイン流路と、メイン流路から互いに数が異なる複数のノズルの群ごとにそれぞれ燃料ガスを分岐させて供給する複数の分配流路とを備え、本体には、メイン流路を形成するメイン凹部と、各分配流路を形成する複数の凹部と、各凹部の上流端にそれぞれ設けられてメイン凹部と連通する燃料ガスの入口と、各入口をそれぞれ開閉する複数の電磁弁とが設けられるガス分配ユニットであって、
各入口のうち、ノズルの数が最も多い群に対応する凹部の入口が、他の凹部の入口よりも大径に形成されると共に、大径の入口は、他の凹部の入口よりも中心軸方向の厚みが小さく形成されていることを特徴とする。
第1の構成の別の態様は、上記構成において、大径の入口は、当該入口を含む部分が当該入口を最深部としたすり鉢状に形成されることで、中心軸方向の厚みが小さく形成されていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、本開示の第2の構成は、給湯器であって、3つ以上のバーナを収容する燃焼装置に、第1の構成のガス分配ユニットを組み付けてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、他の分配流路と同じサイズの電磁弁を用いたまま、ノズルの数が最も多い群に対応する分配流路での圧力損失を低減することができ、燃料ガスの供給圧が低い場合でも必要な供給量を確保できる。従って、大きなサイズの電磁弁の使用によるコストアップを回避しつつ分配流路の圧力損失の低減を達成することができる。
本開示の別の態様によれば、上記効果に加えて、大径の入口は、当該入口を含む部分が当該入口を最深部としたすり鉢状に形成されることで、中心軸方向の厚みが小さく形成されているので、本体自体の厚みを薄くすることなく大径の入口の中心軸方向の厚みを小さくすることができ、本体の肉厚を確保してインナーケースに対する平面度を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】フロントカバーを外した状態の給湯器の正面図である。
図2】ガス分配ユニットの前方からの分解斜視図である。
図3】ガス分配ユニットの後方からの分解斜視図である。
図4】本体の正面図である。
図5図1のA-A線拡大部分断面図である(ガス分配ユニットのみ示す)。
図6】本体の前方からの斜視図である。
図7】本体の後方からの斜視図である。
図8】第3電磁弁に代えて閉塞板を取り付けたガス分配ユニットの後方からの斜視図である。
図9】第3電磁弁に代えて閉塞板を取り付けたガス分配ユニットの背面図である。
図10図9のB-B線拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、給湯器の一例を示す説明図で、前面のフロントカバーを外した状態の正面を示している。
給湯器1は、四角箱状の筐体2内に、燃焼装置3と、熱交換器4と、排気部5とを設置している。燃焼装置3は、図示しないバーナユニットを収容するインナーケース6を備えている。バーナユニットは、左右方向に扁平となる濃淡バーナを、左右方向に複数配列してなる。インナーケース6の前面には、互いに数が異なる濃淡バーナのバーナ群ごとに燃料ガスを分配供給するためのガス分配ユニット7が組み付けられる。
燃焼装置3の下面左側には、燃焼用空気を供給する給気ファン8が組み付けられている。燃焼装置3の下方で筐体2内の右側には、制御回路基板を備えたコントローラ9が配置されている。排気部5には、フロントカバーを貫通して前方へ突出する左右横長の排気筒10が形成されている。
【0010】
熱交換器4は、厚み方向に並設される複数のフィンを蛇行状に貫通する伝熱管を備えたフィンチューブ式となっている。伝熱管の入側端部には、給水管11が接続され、伝熱管の出側端部には、出湯管12が接続されている。筐体2の下面には、外部の水道管が接続される水入口13と、給湯栓への外部配管が接続される湯出口14とが設けられている。給水管11の上流端が水入口13に、出湯管12の下流端が湯出口14にそれぞれ接続されている。
また、筐体2の下面には、外部のガス管が接続されるガス入口15が設けられている。ガス入口15は、筐体2内で、比例弁17及びその上流側の元電磁弁18を備えたガス比例弁ユニット16を介してガス分配ユニット7に接続されている。
ガス分配ユニット7は、インナーケース6の前面下部の開口を塞ぐ格好でインナーケース6の前面に組み付けられている。ガス分配ユニット7の上側でインナーケース6の前面には、フレームロッド19と放電電極20とが差込接続されている。
【0011】
ガス分配ユニット7は、図2及び図3に示すように、後側の本体25と、本体25に前方からネジ止めされる前側の蓋体26とで形成される横長扁平状となっている。本体25と蓋体26との間には、シール体27が介在されている。
アルミダイカスト製である本体25の下部には、後方へ突出する深底のメイン凹部28が左右方向に形成されている。メイン凹部28の右端は、下向きに折曲しており、その下端に、ガス導入口29が貫通形成されている。ガス導入口29に、ガス比例弁ユニット16の上端に設けたガス出口部(図示略)が後方から連結される。
本体25の上部には、後方へ突出する上下一対のノズル30,30が、左右方向へ20組並設されている。本体25の前面でノズル30の周囲及び所定数ごとのノズル30の間には、前方へ突出して枠状に連続する突条31により、何れもメイン凹部28より浅い第1凹部32と、第2凹部33と、第3凹部34とがそれぞれ形成されている。
【0012】
第1~第3凹部32~34は、図4にも示すように、下端から上方へ延びて左右幅が徐々に拡がる第1~第3導入部35~37と、第1~第3導入部35~37の上部と連通して左右方向に延びる第1~第3分配部38~40とをそれぞれ備えている。第1分配部38内にノズル30が13組配置され、第2分配部39にノズル30が4組配置され、第3分配部40にノズル30が3組配置されている。第1、第2分配部38,39内には、突条31の上部から下向きに形成されてノズル30の組を所定数毎に仕切る仕切突条41,41・・が形成されている。
第1~第3導入部35~37の下端には、図5にも示すように、第1~第3入口42~44が貫通形成されている。第1~第3入口42~44は、正面視が円形で、それぞれ背面側の周囲に、後方へ突出する弁座45が形成されている。ここでは第1入口42の直径が第2、第3入口43,44の直径よりも大径となっている。第2入口43と第3入口44とは同径である。3つの弁座45も同径である。
そして、第1入口42を形成する第1導入部35では、中心の第1入口42が最深部となるすり鉢状のテーパ部46が、第1入口42の上側へ部分的に形成されている。このテーパ部46により、弁座45を含む第1入口42の中心軸方向の厚みT1は、弁座45を含む第2、第3入口43,44の中心軸方向の厚みT2よりも小さくなっている。
【0013】
第1~第3入口42~44の後側には、後方へ突出して開口する円筒状の第1~第3弁室47~49が形成されている。第1~第3弁室47~49には、後方から第1~第3電磁弁50~52が、ネジにより着脱可能に取り付けられている。第1~第3電磁弁50~52は、それぞれ弁座45に当接して第1~第3入口42~44を閉塞可能な弁体53を有した同サイズとなっている。
図6及び図7に示すように、第1、第2弁室47,48の下側は、第1、第2開口54,55によってメイン凹部28と連通している。第3弁室49の左上側には、第3開口56が形成されている。第3開口56は、左右方向に延びる連絡流路57を介して、第2導入部36における第2入口43の上側(下流側)と連通している。
【0014】
蓋体26は、メイン凹部28と、第1~第3凹部32~34の外側を囲む突条31とを含む領域を前方から覆う板金製である。蓋体26には、メイン凹部28の前側に位置するメイン膨出部60と、第1凹部32の前側に位置する第1膨出部61と、第2凹部33の第2導入部36の前側に位置する第2膨出部62と、第3凹部34の前側に位置する第3膨出部63とがそれぞれ前方へ突出形成されている。
シール体27は、本体25のメイン凹部28及び第1~第3凹部32~34の周囲と、メイン凹部28と第1~第3凹部32~34との間と、第1~第3凹部32~34の間等で網状に繋がり、本体25と蓋体26との間をシールする。
【0015】
よって、第1~第3電磁弁50~52を組み付けた本体25の前面にシール体27を位置決めし、蓋体26を被せてネジ止めすれば、ガス分配ユニット7内には、メイン凹部28とメイン膨出部60とにより、ガス導入口29及び第1、第2開口54,55と連通するメイン流路65が形成される。また、第1凹部32と第1膨出部61とにより、第1入口42と連通する第1分配流路66が形成され、第2凹部33と第2膨出部62とにより、第2入口43と連通する第2分配流路67が形成される。そして、第3凹部34と第3膨出部63とにより、第3入口44と連通する第3分配流路68が形成される。但し、第3入口44は、第3弁室49及び第3開口56と、前面が蓋体26に閉塞される連絡流路57とにより、第2入口43の下流側で第2分配流路67と連通することになる。
このガス分配ユニット7は、本体25をインナーケース6の前面にセットして、ガス導入口29にガス比例弁ユニット16を接続してネジで固定すれば、ガス分配ユニット7の組み付けは完了する。
【0016】
以上の如く構成された給湯器1においては、湯出口14の配管に接続される給湯栓を開栓して器具内に通水させると、これを検知したコントローラ9がガス比例弁ユニット16の元電磁弁18を開くと共に、比例弁17を点火時の所定開度に制御する。
コントローラ9は、第1~第3分配流路66~68の第1~第3電磁弁50~52を開弁動作させると共に、給気ファン8を作動させて燃焼用空気を供給させる。よって、ガス比例弁ユニット16を介して燃料ガスがガス分配ユニット7のメイン流路65に供給される。メイン流路65に流入した燃料ガスは、第1、第2開口54,55から第1、第2弁室47,48に流入し、第1、第2入口42,43を介して第1、第2分配流路66,67へ流入する。第2分配流路67に流入した燃料ガスの一部は、連絡流路57から第3開口56を介して第3弁室49に流入し、第3入口44から第3分配流路68へ流入する。第1~第3分配流路66~68に流入した燃料ガスは、第1~第3導入部35~37に沿って上昇して第1~第3分配部38~40へ拡散し、各ノズル30から各濃淡バーナに供給される。
【0017】
そして、コントローラ9によりイグナイタが作動し、放電電極20が連続放電すると、各濃淡バーナの炎孔部から噴出する混合気が燃焼する。バーナユニットの燃焼排気は、熱交換器4の伝熱管を通過する水と熱交換され、設定温度の湯となって出湯管12から出湯される。
コントローラ9は、必要な燃焼量に合わせて比例弁17の開度を調整し、ガス比例弁ユニット16からの燃料ガスの供給量を調整すると共に、給気ファン8の回転数を連続的に変化させて、所定の空燃比を維持する。
また、コントローラ9は、必要な燃焼量に合わせてガス分配ユニット7の第1~第3電磁弁50~52を開閉制御することで、第1~第3分配流路66~68ごとのバーナ群を選択して燃焼本数を段階的に制御する。
【0018】
例えば、第2分配流路67に対応する中央のバーナ群(4本の濃淡バーナ)のみを燃焼させる場合、コントローラ9は、第1電磁弁50及び第3電磁弁52を閉弁させて第2電磁弁51のみを開弁させる。よって、燃料ガスは、メイン流路65から第2弁室48を介して第2分配流路67に流入し、中央のバーナ群を燃焼させる(1段燃焼)。
また、中央のバーナ群と、右側のバーナ群(3本の濃淡バーナ)とを燃焼させる場合、コントローラ9は、第1電磁弁50を閉弁させて第2電磁弁51及び第3電磁弁52を開弁させる。よって、燃料ガスは、メイン流路65から第2弁室48を介して第2分配流路67に流入すると共に、連絡流路57から第3開口56及び第3弁室49を介して第3分配流路68に流入し、中央及び右側のバーナ群(7本の濃淡バーナ)を燃焼させる(2段燃焼)。
さらに、中央のバーナ群と、左側のバーナ群(13本の濃淡バーナ)とを燃焼させる場合、コントローラ9は、第1電磁弁50及び第2電磁弁51を開弁させて第3電磁弁52を閉弁させる。よって、燃料ガスは、メイン流路65から第1、第2弁室47,48を介して第1、第2分配流路67,68に流入し、中央及び左側のバーナ群(17本の濃淡バーナ)を燃焼させる(3段燃焼)。
そして、全てのバーナ群を燃焼させる場合、コントローラ9は、第1~第3電磁弁50~52を開弁させる。よって、燃料ガスは、メイン流路65から第1、第2弁室47,48を介して第1、第2分配流路66,67に流入すると共に、連絡流路57及び第3弁室49を介して第3分配流路68に流入し、全てのバーナ群(20本の濃淡バーナ)を燃焼させる(4段燃焼)。
このように20本の濃淡バーナの燃焼本数が4段階で切り替え可能となる。
【0019】
但し、給湯器1が用いられる国や地域等によっては、燃焼本数を4段階で切替可能としなくても、7本、13本、20本の3段階で十分な場合がある。
この場合、図8図10に示すように、第3弁室49の開口に、第3電磁弁52に代えて閉塞板70をネジ止めして第3弁室49の開口を閉塞する。よって、このガス分配ユニット7Aでは、第2分配流路67と連絡流路57を介して繋がる第3分配流路68には、第2電磁弁51のみの開閉で燃料ガスの供給の有無が切替可能となる。
すなわち、第2分配流路67に対応する中央のバーナ群と、右側のバーナ群とを燃焼させる場合、コントローラ9は、第1電磁弁50を閉弁させて第2電磁弁51を開弁させる。よって、燃料ガスは、メイン流路65から第2弁室48を介して第2分配流路67に流入すると共に、連絡流路57及び第3弁室49を介して第3分配流路68に流入し、中央及び右側のバーナ群(7本の濃淡バーナ)を燃焼させる(1段燃焼)。
また、左側のバーナ群を燃焼させる場合、コントローラ9は、第1電磁弁50を開弁させて第2電磁弁51を閉弁させる。よって、燃料ガスは、メイン流路65から第1弁室47を介して第1分配流路67に流入し、左側のバーナ群(13本の濃淡バーナ)を燃焼させる(2段燃焼)。
そして、全てのバーナ群を燃焼させる場合、コントローラ9は、第1、第2電磁弁50,51を開弁させる。よって、燃料ガスは、メイン流路65から第1、第2弁室47,48を介して第1、第2分配流路66,67に流入すると共に、連絡流路57及び第3弁室49を介して第3分配流路68に流入し、全てのバーナ群(20本の濃淡バーナ)を燃焼させる(3段燃焼)。
このように、ガス分配ユニット7Aは、20本の濃淡バーナの燃焼本数が3段階で切り替え可能となると共に、第3電磁弁52と閉塞板70との交換のみで他の部品をガス分配ユニット7と共通化できる。
【0020】
本体25において、大径の第1入口42の中心軸方向の厚みT1を、小径の第2、第3入口43,44の中心軸方向の厚みT2よりも小さくしているので、第1入口42の弁座45の直径を第2、第3入口43,44の弁座45の直径よりも大きくすることなく第1分配流路66での圧力損失を低減することができる。よって、第1入口42にのみ弁体53が大きな電磁弁を用いる必要がなくなる。また、第1入口42の直径に対する第2、第3入口43,44の直径も相対的に大きくすることができるので、全燃焼時の圧力損失の低減に繋がる。従って、燃料ガスの供給圧が低い場合でも必要な燃料ガスの供給量を確保できる。
本体25の厚み自体を薄くして第1入口42の厚みを小さくすることも考えられるが、本体25の厚みを小さくすると、ブラストによる表面処理を行った際にそりが生じ、インナーケース6への組み付けができなくなるおそれがある。よって、第1入口42の厚みのみを部分的に小さくすることで、本体25自体は、インナーケース6との平面度を確保するために必要な肉厚としている。
【0021】
(大径の入口の中心軸方向の厚みに係る開示の効果)
上記形態の給湯器1において、ガス分配ユニット7は、20本の濃淡バーナ(3つ以上のバーナの一例)を収容する燃焼装置3に組み付けられ、各濃淡バーナに燃料ガスをそれぞれ噴出する20組のノズル30(3つ以上のノズルの一例)が並設されている本体25と、本体25を覆う蓋体26とからなる。
また、ガス分配ユニット7は、燃料ガスが導入されるメイン流路65と、メイン流路65から互いに数が異なる複数のノズル30の群ごとにそれぞれ燃料ガスを分岐させて供給する第1~第3分配流路66~68(複数の分配流路の一例)とを備え、本体25には、メイン流路65を形成するメイン凹部28と、各分配流路66~68を形成する第1~第3凹部32~34(複数の凹部の一例)と、各凹部32~34の上流端にそれぞれ設けられてメイン凹部28と連通する第1~第3入口42~44(入口の一例)と、各入口42~44をそれぞれ開閉する第1~第3電磁弁50~52(複数の電磁弁の一例)が設けられる。
そして、各入口42~44のうち、ノズル30の数が最も多い群に対応する第1凹部32の第1入口42が、他の第2、第3凹部33,34の第2、第3入口43,44よりも大径に形成されると共に、大径の第1入口42は、他の第2、第3入口43,44よりも中心軸方向の厚みT1が小さく形成されている。
この構成によれば、第2、第3分配流路67,68と同じサイズの第1電磁弁50を用いたまま第1分配流路66での圧力損失を低減することができ、燃料ガスの供給圧が低い場合でも必要な供給量を確保できる。従って、大きなサイズの電磁弁の使用によるコストアップを回避しつつ第1分配流路66の圧力損失の低減を達成することができる。
【0022】
第1入口42は、当該入口42を含む部分が当該入口42を最深部としたテーパ部46(すり鉢状の一例)に形成されることで、中心軸方向の厚みT1が厚みT2よりも小さく形成されている。
よって、本体25自体の厚みを薄くすることなく第1入口42の中心軸方向の厚みT1を小さくすることができ、本体25の肉厚を確保してインナーケース6に対する平面度を維持することができる。
【0023】
以下、大径の入口の中心軸方向の厚みに係る開示の変更例について説明する。
第1入口の周囲に設けるテーパ部の広さや深さは適宜変更できる。部分的なテーパ部でなく第1入口の全周がテーパ部であってもよい。テーパ部以外の形状で第1入口の中心軸方向の厚みを小さくすることもできる。
上記形態では、第2入口と第3入口との径は同じとなっているが、第1入口の径よりも小さければ互いに異なる径としてもよい。
分配流路の数は3つに限らず、適宜増減可能である。よって、ノズルの組の数が最も多い分配流路に設けられる厚みの小さい入口は、上記形態の第1分配流路に限定しない。
入口の中心軸方向の厚みに係る開示においては、隣接する2つの分配流路を連絡流路で繋がなくてもよい。すなわち、各分配流路の入口にそれぞれ電磁弁を設けて独立させてもよい。
【0024】
(付加電磁弁の選択的な取り付けに係る開示の効果)
上記形態の給湯器1の燃焼装置3は、20本の濃淡バーナ(3つ以上のバーナの一例)を収容するインナーケース6と、インナーケース6に組み付けられ、各濃淡バーナに燃料ガスをそれぞれ噴出する20組のノズル30(3つ以上のノズルの一例)と、燃料ガスが導入されるメイン流路65と、メイン流路65からノズル30の数が互いに異なる複数のノズル30の群ごとにそれぞれ燃料ガスを分岐させる第2分配流路67及び第3分配流路68(2つの分配流路の一例)と、を有するガス分配ユニット7と、を含み、各分配流路67,68への燃料ガスの供給の有無を切り替えることで、濃淡バーナの燃焼本数が切り替え可能である。
ガス分配ユニット7において、第2分配流路67(ノズルの数が多い分配流路の一例)の上流端に、メイン流路65から燃料ガスが流入可能な第2入口43(流入口の一例)が形成されると共に、第2入口43を開閉可能な第2電磁弁51(電磁弁の一例)が設けられる。
一方、第2分配流路67における第2入口43より下流側と、第3分配流路68(ノズルの数が少ない分配流路の一例)の上流端に設けた第3入口44(連通口の一例)とを連通させる連絡流路57が形成されて、第3分配流路68の上流端に、第3入口44を開閉可能な第3電磁弁52(付加電磁弁の一例)が選択的に取り付け可能となっている。
【0025】
そして、第3電磁弁52を取り付けたガス分配ユニット7の場合は、第2電磁弁51の開弁と第3電磁弁52の閉弁とによる第2分配流路67のみへの燃料ガスの供給状態と、第2電磁弁51の開弁と第3電磁弁52の開弁とによる第2、第3分配流路67,68への燃料ガスの供給状態とがそれぞれ切り替え可能となり、
第3電磁弁52を取り付けないガス分配ユニット7Aの場合は、第2電磁弁51の開弁による第2、第3分配流路67,68への燃料ガスの供給状態と、第2電磁弁51の閉弁による第2、第3分配流路67,68への燃料ガスの非供給状態とがそれぞれ切り替え可能となる。
この構成によれば、第3電磁弁52を除く及びガス分配ユニット7,7Aの部品を大幅に共通化して多段階(4段)と少段階(3段)との燃焼段数の違いに対応可能となる。よって、管理・製造コストを削減することができる。
【0026】
第3分配流路68の上流端に、連絡流路57及び第3入口44と連通して第3電磁弁52を取り付け可能な第3弁室49(弁室の一例)が開口形成されており、第3電磁弁52を第3弁室49に取り付けない場合は、第3弁室49の開口を閉塞する閉塞板70が取り付けられることで、第2、第3分配流路67,68への燃料ガスの供給状態と、第2、第3分配流路67,68への燃料ガスの非供給状態とがそれぞれ切り替え可能となる。
よって、第3電磁弁52と閉塞板70との交換によって、ガス分配ユニット7,7Aの切り替えが容易に行える。
ガス分配ユニット7のメイン流路65へ燃料ガスを供給するガス比例弁ユニット16(ガス供給路の一例)に、元電磁弁18が設けられて、第2電磁弁51は、第2分配流路67に対応して直列する2つの電磁弁のうちの下流側の電磁弁と、第3分配流路68に対応して直列する2つの電磁弁のうちの下流側の電磁弁とを兼用している。
よって、第3分配流路68に第3電磁弁52を取り付けない場合でも給湯器1の安全規格を満たすことができる。
【0027】
以下、付加電磁弁の選択的な取り付けに係る開示の変更例について説明する。
上記形態では、3つの分配流路のうちの右側の2つの分配流路を連絡流路で繋いでいるが、左側の2つの分配流路を連絡流路で繋いでもよい。連絡流路と左右の入口との上流下流の関係を左右逆にして繋いでもよい。
分配流路は、3つに限らず、2つとして連絡流路で繋いでもよいし、4つ以上の分配流路として左右に隣接する2つの分配流路を連絡流路で繋いでもよい。
連絡流路及び弁室の形態は適宜変更できる。例えば連絡流路は、本体に凹設して蓋体で閉塞させる形態に限らず、蓋体にも膨出部を設けて形成してもよい。
上記形態では、各凹部の入口の中心軸方向の厚みは全て同じであってもよい。
【0028】
次に、各開示に共通する変更例について説明する。
ノズルの組の数は、上記形態に限定せず、適宜増減できる。バーナは濃淡バーナでなくてもよい。よって、ノズルは上下一対でなく、左右方向へ一列に並設してもよい。
メイン流路及び各分配流路の形態は、上記形態に限らない。例えば、メイン流路は、ガス導入口を左右逆に配置してもよい。メイン流路が別体で本体に組み付けられるものであってもよい。
給湯器自体の構成も上記形態に限らない。例えば、二次熱交換器を備えて潜熱を回収するタイプ、排気筒が上向きに突出するタイプ、風呂回路や暖房回路を併設するタイプであっても各開示は適用可能である。
【符号の説明】
【0029】
1・・給湯器、2・・筐体、3・・燃焼装置、4・・熱交換器、5・・排気部、6・・インナーケース、7,7A・・ガス分配ユニット、9・・コントローラ、11・・給水管、12・・出湯管、16・・ガス比例弁ユニット、25・・本体、26・・蓋体、27・・シール体、28・・メイン凹部、29・・ガス導入部、30・・ノズル、32・・第1凹部、33・・第2凹部、34・・第3凹部、35・・第1導入部、36・・第2導入部、37・・第3導入部、38・・第1分配部、39・・第2分配部、40・・第3分配部、42・・第1入口、43・・第2入口、44・・第3入口、45・・弁座、46・・テーパ部、47・・第1弁室、48・・第2弁室、49・・第3弁室、50・・第1電磁弁、51・・第2電磁弁、52・・第3電磁弁、53・・弁体、54・・第1開口、55・・第2開口、56・・第3開口、57・・連絡流路、65・・メイン流路、66・・第1分配流路、67・・第2分配流路、68・・第3分配流路、70・・閉塞板、T1・・第1入口の中心軸方向の厚み、T2・・第2、第3入口の中心軸方向の厚み。
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