(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080152
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】就労支援装置、就労支援方法および就労支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/1053 20230101AFI20240606BHJP
【FI】
G06Q10/1053
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193087
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】522470275
【氏名又は名称】株式会社ミンナのミカタHD
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【弁理士】
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(74)【代理人】
【識別番号】100212510
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 翔
(72)【発明者】
【氏名】兼子 文晴
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】障がい者の現在の就労状態に基づいた障がい者にとって適切な雇用契約の成立や変更を可能にする技術を提供すること。
【解決手段】就労支援装置は、障がい者の就労を支援する就労支援装置であって、前記障がい者の現在の就労状態に関する情報を受け付ける就労状態受付手段と、前記障がい者の雇用者が前記障がい者に対して希望する雇用条件に関する情報を受け付ける雇用条件受付手段と、前記就労状態に関する情報及び前記雇用条件に関する情報に基づいて、前記障がい者が就労可能な新たな雇用者候補に関する情報を出力する雇用者候補出力手段と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
障がい者の就労を支援する就労支援装置であって、
前記障がい者の現在の就労状態に関する情報を受け付ける就労状態受付手段と、
前記障がい者の雇用者が前記障がい者に対して希望する雇用条件に関する情報を受け付ける雇用条件受付手段と、
前記就労状態に関する情報及び前記雇用条件に関する情報に基づいて、前記障がい者が就労可能な新たな雇用者候補に関する情報を出力する雇用者候補出力手段と、
を備える就労支援装置。
【請求項2】
前記障がい者の就労状態の経時的な変化に基づいて、前記障がい者が就労可能な雇用者の変更候補に関する情報を出力する雇用者変更候補出力手段をさらに備える、
請求項1に記載の就労支援装置。
【請求項3】
前記障がい者について前記雇用者の変更があったことを受け付けたことに応じて、前記障がい者の就労状態の経時的な変化の要因に関する情報を分析して出力する要因分析出力手段をさらに備える、
請求項2に記載の就労支援装置。
【請求項4】
前記障がい者の現在の就労状態に関する情報の少なくとも一部を自動的に検知する就労状態検知手段をさらに備える、
請求項1に記載の就労支援装置。
【請求項5】
前記就労状態受付手段が受け付ける前記就労状態に関する情報は、前記雇用者に応じて入力の重み付けが可能である、
請求項1に記載の就労支援装置。
【請求項6】
一般企業での就労を希望する前記障がい者について、前記障がい者の所定のプライベート情報について、前記障がい者の承諾を得たことに応じて前記新たな雇用者候補に開示する手段を含む、
請求項1に記載の就労支援装置。
【請求項7】
一般企業での就労を希望する前記障がい者の、前記所定のプライベート情報および仕事のスキルに係る情報を少なくとも記憶する検索用情報記憶部と、
前記雇用者からの検索要望を受け付けて、前記検索用情報記憶部から前記検索要望に該当する情報を取得して匿名で出力する検索実行手段と、をさらに備える、
請求項6に記載の就労支援装置。
【請求項8】
前記障がい者の個別支援計画を策定し管理する支援計画策定管理手段を更に備える、
請求項1に記載の就労支援装置。
【請求項9】
過去の雇用者における前記就労状態に関する情報について、前記障がい者の承諾を得たことに応じて、前記新たな雇用者に開示する手段をさらに備える、
請求項1に記載の就労支援装置。
【請求項10】
障がい者の就労を支援する就労支援装置の制御方法であって、
前記障がい者の現在の就労状態に関する情報を受け付ける就労状態受付ステップと、
前記障がい者の雇用者が前記障がい者に対して希望する雇用条件に関する情報を受け付ける雇用条件受付ステップと、
前記就労状態に関する情報及び前記雇用条件に関する情報に基づいて、前記障がい者が就労可能な新たな雇用者候補に関する情報を出力する雇用者候補出力ステップと、
を有する制御方法。
【請求項11】
障がい者の就労を支援する就労支援装置のコンピュータプログラムであって、
前記障がい者の現在の就労状態に関する情報を受け付ける就労状態受付ステップと、
前記障がい者の雇用者が前記障がい者に対して希望する雇用条件に関する情報を受け付ける雇用条件受付ステップと、
前記就労状態に関する情報及び前記雇用条件に関する情報に基づいて、前記障がい者が就労可能な新たな雇用者候補に関する情報を出力する雇用者候補出力ステップと、
をコンピュータによって実行させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就労支援装置、就労支援方法および就労支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、求人条件に合致する就労候補者検索に用いられて、就労候補者の経時的な変化や時期的な傾向を反映することも可能な就労マッチングに係る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の特許文献1では、障がい者の現在の就労状態に基づいた障がい者にとって適切な雇用契約の成立や変更が出来ていなかった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、障がい者の現在の就労状態に基づいた障がい者にとって適切な雇用契約の成立や変更を可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、
障がい者の就労を支援する就労支援装置であって、
前記障がい者の現在の就労状態に関する情報を受け付ける就労状態受付手段と、
前記障がい者の雇用者が前記障がい者に対して希望する雇用条件に関する情報を受け付ける雇用条件受付手段と、
前記就労状態に関する情報及び前記雇用条件に関する情報に基づいて、前記障がい者が就労可能な新たな雇用者候補に関する情報を出力する雇用者候補出力手段と、
を備える就労支援装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、障がい者の現在の就労状態に基づいた障がい者にとって適切な雇用契約の成立や変更ができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る就労支援システムにより提供されるサービスの概要を示す図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る就労支援システムに関するシステム構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図2の就労支援システムのうち、サーバのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図2の就労支援システムのうち、サーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図2の就労支援システムのうち、サーバが実行する雇用者候補出力処理の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図2の就労支援システムのうち、サーバが実行する雇用者変更候補出力処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図2の就労支援システムのうち、サーバが実行する変化要因分析処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図2の就労支援システムのうち、サーバが実行する該当情報検索処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】障がい者の現在の就労状態に関する第1の図である。
【
図10】障がい者の現在の就労状態に関する第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
<概要>
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る就労支援システムにより提供されるサービス(以下、「本サービス」と呼ぶ)の概要を示す図である。
本サービスは、障がい者の就労を支援することを目的とし、詳細には、障がい者の現在の就労状態に基づいた障がい者にとって適切な雇用契約の成立や変更を可能にすることを目的とする。
先ず、本サービスを提供するに至った背景について説明する。
【0010】
障がい者の「働く」をサポートする福祉サービスの一つに、就労継続支援がある。この就労継続支援では、企業などで働くことが困難な場合に、障害や体調にあわせて自分のペースで働く準備をしたり、就労訓練や仕事を行なったりすることができる。就労継続支援には、就労継続支援A型(一定の支援がある職場で雇用契約を結んで働く就労形態)と、就労継続支援B型(雇用契約を結ばないで働く就労形態)がある。
この就労継続支援を利用した「障がい者Jさん」(以下Jさんと称する)が復職するまでの例を、「障がい者の就労」の具体例として挙げることにし、以下に説明する。
[Jさんの現状]
Jさん35歳は、製造業D社につい最近まで勤めていた。勤続5年であった。Jさんは、部署内での人間関係に悩み、数か月前より欠勤をする日が増え、先月から休職していた。D社はJさんに対し復帰の意向を確認したが、Jさんは精神面の不安を訴え、復帰のめどは経っていない状態であった。
Jさんは精神面での不調を訴えていたため、心療内科医に通院していた状態であった。D社としては、Jさんが技術的に優れた能力を持っているため、Jさんの体調が整ったら、現場への復帰を望んでいた。服薬により体調が少しずつ落ち着いてきてはいたが、Jさんは以前と同じように働くことへの不安があり、なかなか復帰へは至らなかった。
[就労継続支援B型事業所へ]
D社と就労支援事業所(就労支援事業者)がJさんの今後の方向性について話し合いを行い、「障がい者手帳を取得のうえ、福祉サービスを利用して体調を整え、復職に向けて進んでいく」ことをJさんに提案することになった。なお、就労支援事業所には、障がい者就労支援施設専門BPOが含まれるものとする。D社に対しては、Jさんの同意を得て、就労継続支援B型事業所等での様子や、Jさん自身の当該就労継続支援B型事業所での状態を、月1回報告する約束になった。
この後に、Jさんと家族の話し合いが行われたが、Jさんは最初、手帳の取得には難色を示していた。しかし、手帳を取得することによるメリットや、復職に向けての方向性を話し合うことで、最終的には手帳を取得することに了承した。就労継続支援B型事業所への通所をスタートするにあたりD社を退職することとなったが、Jさんの体調が戻ったら復職することをD社と約束することができた。
[就労継続支援B型事業所でのJさんについて]
Jさんは生活リズムを整える目的で、就労継続支援B型事業所に通所を始めた。Jさんは車の運転に不安を抱えているため、先ずは送迎のサービスを利用して週3回の通所からのスタートであった。Jさんは最初朝決まった時間に起きて通所をすることがやっとであるような状態であったが、3か月後には体も慣れてきたため、週5日に通所を増やすことになった。
Jさんは作業に関して問題なく行えていたが、Jさん自身が周りの人と関わり方に不安を持っていたため、週に1度の面談などを行ってJさんの不安解消をしてきた。
[就労継続支援A型事業所へ]
Jさんは、半年後には、月に1回程度の精神不安による休みはあったが、週5日休まず通所できるようになり、面談の回数もJさんの希望があったときのみとなった。主治医からも運転の許可が出たため、車での通勤となった。週5日勤務、自力での通所、精神的な不安定さを訴える機会も少なくなったため、これを機に就労継続支援A型事業所への通所をJさんに勧めたところ、Jさんも家族もこれを希望した。
[就労継続支援A型事業所でのJさんについて]
Jさんの就労継続支援A型事業所での作業は、就労継続支援B型事業所と比べて難易度が少し上がり、スムーズにいかないこともあったが、職員と他の利用者の助けもあって、問題なく行えていた。しかし、Jさんは責任感が元から強いため、一人で頑張ってしまうことが多く、それによって疲れてしまうことが生じていた。そこで、就労継続支援A型事業所は、周りの協力を求めることの大切さや適度な休憩をとることの大切さなどをJさんに伝えた。Jさんは、コミュニケーションを苦手(周りの人と関わり方に不安)としていることもあり、周りの協力を求めることに躊躇する姿も見えたが、職員からの声掛け等で少しずつ、周りの人たちとのコミュニケーションもスムーズに行えるようになってきた。
[復職へ]
Jさんは時々、周りの人との会話の齟齬や季節の変わり目で、体調を崩すこともあったが、職員に相談することや、気の合う他の利用者との休憩中の会話を楽しむことにより、Jさん自身が精神安定を図ることができるようになってきた。最初の頃よりもJさんの作業スピードは上がり、間違える回数も減ってきていた。就労継続支援A型事業所に通所するようになってから1年が経ち、少しずつ就労への自信を取り戻し始めていたため、Jさん、D社の担当者、就労支援事業所で話し合いを行ったところ、3か月後のD社への復職が目標に設定された。
D社への復職までの就労継続支援A型事業所における3か月計画は次の通りである。
(1)1か月目は、職員がJさんを引率しての週3回の施設外就労(4時間の就労)を行う。
(2)2か月目は、職員がJさんを引率しての週5回の施設外就労(4時間の就労)を行う。
(3)3か月目は、職員がJさんを引率することなしで施設外就労(6時間の就労)を週5回行う。
以上の施設外就労を問題なくこなし、3か月の復職準備期間が終了したため、Jさんは、D社への復職となった。
[復職後]
最初の半年は6時間での短時間での契約であった。半年後、Jさんの状態を見て就労時間を8時間にするか6時間を継続するかについて話し合いが行われたが、Jさん自身、不安がまだ残るとのことから、6時間の就労が継続されることになった。
D社への復帰から1年後、Jさんからの申し出もあり、8時間の就労を開始した。なお、復職後は、6か月間、月に1回ほど、就労支援事業所と、Jさんと、D社の担当者との3者で面談をするというアフタフォローを行っている。
【0011】
以上のような例が背景にあり、本サービスを提供することに至った。前述の例からも分かるように、障がい者が就労するということに関しては困難が多い。障がい者にとって、どこで就労するか、当該就労する場が現在の状態にとって適切であるか、自身の就労状態が変化した場合に就労先を変更することが可能か等は重要である。また、障がい者を雇用する者にとっても、前述の例のように、障がい者の現場への復帰が望まれている場合もあるため、「障がい者の元職場への復職」という観点も重要であると考えられる。障がい者にとっても、障がい者を雇用する者にとっても、効果的な支援が望まれている。
【0012】
以下、本サービスの概要を説明する。
本サービスでは、障がい者の現在の就労状態と、障がい者を雇用する雇用者が希望する雇用条件(以下雇用条件という)とから、障がい者が就労可能な新たな雇用者候補を選定し、当該新たな雇用者候補を例えば障がい者の現雇用者に提示する。本サービスでは、障がい者が無理なく就労することができる雇用者候補が選定、提示される。即ち、障がい者にとって現在の就労状態に即した適切な雇用者候補が提示される。このため、雇用契約成立が容易となる。また、本サービスでは、障がい者の就労状態が変化した場合に、変化した障がい者の就労状態に合うような雇用者候補を選定することもできる。
【0013】
図1の概要説明の前に、本実施形態における用語を明確にする。「雇用者」、「現雇用者」、「雇用者候補」、「雇用者変更候補」を明確にする。
「雇用者」とは、障がい者Sを雇うもの、即ち、障がい者Sが就労する一般企業、就労支援事業所(例えば、就労継続支援A型/B型事業所等)等をいう。「雇用者」には、現在及び将来の雇用者双方が含まれる。
「現雇用者」とは、現在、障がい者Sを雇っているもの、即ち、現在、障がい者Sが就労している一般企業、就労支援事業所(例えば、就労継続支援A型/B型事業所等)等をいう。
「雇用者候補」とは、障がい者Sを雇い得るもの、即ち、障がい者Sが就労し得る一般企業、就労支援事業所(例えば、就労継続支援A型/B型事業所等)等をいう。「雇用者候補」には、現雇用者および新たな雇用者の双方が含まれる。換言すると、現雇用者も雇用者候補となり得る。
「雇用者変更候補」とは、障がい者Sの就労状態が変化した場合において選定される雇用者候補をいう。雇用者候補は、雇用者変更候補となり得る。雇用者候補と雇用者変更候補は障がい者Sを雇い得るものという観点では同じであり、選定される時点、称呼が相違する。
【0014】
図1を説明する。ユーザU1乃至Unは、例えば、一般企業の人事担当者や、就労支援事業所において障がい者Sの就労に関する業務を管理する管理者(以下、障がい者Sの就労に関する業務を管理する者を管理者という)である。
図1では、ユーザU1を一般企業の人事担当者とし、ユーザU2乃至ユーザUnを就労支援事業所の管理者とする。また、
図1では、□社が障がい者Sの現雇用者であり、X事業所やY社は障がい者Sの雇用者候補である。符号Sは、障がい者である。
就労支援装置(
図1においてサーバ1)は、障がい者Sの現雇用者である□社が所有する現雇用者端末3を用いてユーザU1が入力した、障がい者Sの現在の就労状態Cを受け付ける。就労支援装置が受け付ける情報としては、例えば、自力で通勤ができるか、情緒や体調が安定しているか等、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報が挙げられる。
就労支援装置であるサーバ1は、障がい者Sの雇用者候補が所有する新規雇用希望者端末4を用いてユーザU2乃至Unが入力した雇用条件Rを受け付ける。サーバ1は、障がい者Sの現雇用者である□社の雇用条件Rも受け付けてよい。サーバ1が受け付ける情報としては、例えば、仕事内容、パフォーマンス、給与等が挙げられる。
サーバ1は、受け付けた障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報及び雇用条件Rに基づいて、例えば、X事業所を、障がい者Sが就労可能な新たな雇用者候補E(以下、新たな雇用者候補Eという)として選定し、例えば、前述の□社所有の現雇用者端末3に表示する。選定されたX事業所は、現在の障がい者Sの就労状態に即した適切な雇用者候補といえる。障がい者Sは、現在の就労状態Cで無理なく働くことができるX事業所と雇用契約を結ぶことが可能となる。
なお、障がい者Sの就労状態Cが変化した場合には、□社も新たな雇用者候補Eとして選定され得る。この場合、障がい者Sは、□社、即ち元の就労先と雇用契約を結ぶことができる(即ち、復職という形態を執ることとなる)。
【0015】
<システム構成>
図2は、本発明の一実施形態に係る就労支援システムに関するシステム構成の一例を示すブロック図である。
本実施形態に係る就労支援システムを構成する就労支援装置は、サーバ1によって実現されている。当該サーバ1は、インターネット等の所定のネットワークNを介して、就労状態検知装置2と、現雇用者端末3と、新規雇用希望者端末4が相互に接続されている。
就労状態検知装置2は、障がい者Sの現在の就労状態を検知するための装置であって、例えば、ビデオカメラが一例として挙げられる。また、前述のビデオカメラに替えてパーソナルコンピュータ(PC)、タブレット等の情報処理端末を利用してもよい。現雇用者端末3および新規雇用希望者端末4は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレット、スマートフォン、スマートウォッチ等の情報処理端末である。なお、就労状態検知装置2や各端末は、ここでは1台であるものとして説明するが、当該サーバ1にそれぞれ接続されるよう複数台であってもよい。また、本実施形態では、サーバ1は1台であるものとして説明するが、サーバ1は複数台あってもよい。
【0016】
<サーバ1のハードウェア構成について>
図3は、
図2の就労支援システムのうち、サーバ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、出力部16と、入力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20とを備えている。
【0017】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は、記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。
【0018】
入出力インターフェース15には、出力部16、入力部17、記憶部18、通信部19、ドライブ20が接続されている。出力部16は、ディスプレイやスピーカ等で構成され、各種情報を画像や音声として出力する。入力部17は、キーボードやマウス等で構成され、各種情報を入力する。記憶部18は、ハードディスクやDRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。通信部19は、近距離無線通信や、インターネットを含むネットワークNを介して他の対象(例えば
図2の現雇用者端末3)との間で通信を行う。
【0019】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア21が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア21から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア21は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0020】
<就労状態検知装置2のハードウェア構成について>
就労状態検知装置2のハードウェア構成は、ここでは特に図示しないが、前述のサーバ1のハードウェア構成と基本的に同様である。即ち、CPUと、ROMと、RAMと、バスと、入出力インターフェースと、出力部と、入力部と、記憶部と、通信部と、ドライブとを備える。就労状態検知装置2は、入力部としてカメラやセンサを備え、当該カメラやセンサが取得したイメージデータやセンサデータを、障がい者Sの現在の就労状態Cとして処理する検知部2aが備えられる。
【0021】
<現雇用者端末3のハードウェア構成について>
現雇用者端末3のハードウェア構成は、ここでは特に図示しないが、前述のサーバ1のハードウェア構成と基本的に同様である。即ち、CPUと、ROMと、RAMと、バスと、入出力インターフェースと、出力部と、入力部と、記憶部と、通信部と、ドライブとを備える。現雇用者端末3は、出力部として表示部3aを備える。表示部3aは、例えば、障がい者Sが就労可能な新たな雇用者候補Eを表示するために備えられる。
【0022】
<新規雇用希望者端末4のハードウェア構成について>
新規雇用希望者端末4のハードウェア構成は、ここでは特に図示しないが、前述のサーバ1のハードウェア構成と基本的に同様である。即ち、CPUと、ROMと、RAMと、バスと、入出力インターフェースと、出力部と、入力部と、記憶部と、通信部と、ドライブとを備える。新規雇用希望者端末4は、出力部として表示部4aを備えてもよい。表示部4aは、例えば、障がい者Sの就労状態の変化があった場合において、後述する要因分析出力部115により分析された当該変化の要因を表示することが可能である。
【0023】
以上のようなサーバ1は、各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、後述する各種処理が実現されるようになる。また、就労状態検知装置2と、現雇用者端末3と、新規雇用希望者端末4に関しても、各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、後述する各種処理が実現されるようになる。
【0024】
<サーバ1の機能構成>
図4は、
図2の就労支援システムのうち、サーバ1の機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0025】
サーバ1は、前述したように、CPU11と、記憶部18と、通信部19等とを備える。サーバ1には、通信部19を介して就労状態検知装置2と、現雇用者端末3と、新規雇用希望者端末4が夫々接続される。
【0026】
サーバ1のCPU11においては、就労状態受付部111と、雇用条件受付部112と、雇用者候補出力部113と、雇用者変更候補出力部114と、要因分析出力部115と、新規雇用受付部116と、が機能する。
【0027】
サーバ1の記憶部18においては、この一領域に、就労状態情報DB(データベース)181と、雇用条件情報DB182と、就労状態変化情報DB183と、新規雇用情報DB184と、が構築されている。
【0028】
就労状態受付部111は、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報を受け付ける。具体的には、就労状態受付部111は、障がい者Sの現在の就労状態Cを、例えば現雇用者端末3から受け付ける。就労状態受付部111により受け付けられた障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報は、後述する就労状態情報DB181に格納される。
例えば、就労支援事業所の管理者は、現雇用者端末3に、前述の障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報を入力する。当該障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報には、例えば、障がい者Sの週当たりの勤務日数や一日の勤務時間、障がい者Sが自力で通勤ができる状態か、障がい者Sの情緒が安定しているか、障がい者Sの周囲の人間とのコミュニケーションの状況、障がい者Sの責任感の程度等に関する情報が含まれる。また、障がい者Sの体調、生活リズムや食事の状況等に関する情報が、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報に含まれてもよい。
【0029】
また、就労状態受付部111により受け付けられる障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報は、障がい者Sの雇用者に応じて入力の重み付けが可能である。例えば、ある就労支援事業所の管理者は、障がい者Sの週当たりに勤務日数(障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報)について現雇用者端末3に入力をするが、別の就労支援事業所の管理者は、当該障がい者Sの週当たりの勤務日数を現雇用者端末3に入力しない、といった具合である。障がい者Sの雇用者毎に入力項目を変更できる(重み付けができる)ことは、例えば、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報を全て入力する必要がない等、障がい者Sの雇用者の作業負担を軽減することに繋がるため、有効である。
【0030】
なお、障がい者Sの現在の就労状態という場合における「現在」には、一時点(例えば2022年3月7日)のほか、一定期間(例えば、2022年3月1日から2022年6月30日)が含まれてよいものとする。一定期間の障がい者Sの就労状態が「障がい者Sの現在の就労状態C」に含まれることで、新たな雇用者候補Eの選定の精度が高くなる。即ち、障がい者Sにとって現在の就労状態Cに即した、障がい者Sにとって適切な雇用者候補が選定される確率を高めることができる。
【0031】
当該障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報は、後述する雇用者候補出力部113による新たな雇用者候補Eの選定に用いられる。後述する雇用者候補出力部113により、当該障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報が用いられ、障がい者Sが無理なく就労できる適切な新たな雇用者候補Eが選定されるため、障がい者Sの雇用契約成立が容易となる。
【0032】
本実施形態では、就労状態受付部111は、就労状態検知装置2が検知した、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報の少なくとも一部を、通信部19を介して受け付けてもよい。これにより、管理者がする、障がい者Sの現在の就労状態Cの入力という付加的な作業が軽減される。また、障がい者Sの現在の就労状態Cが自動的に検知されるため、例えば管理者が気が付かなかったところでの障がい者Sの現在の就労状態Cをも、就労状態受付部111が受け付けることができる。後述する雇用者候補出力部113は、就労状態受付部111が受け付けた、就労状態検知装置2により検知された障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報に基づいて、新たな雇用者候補Eを選定することもできる。障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報を自動的に検知する就労状態検知装置2を備えていることにより、管理者の付加的な労力を掛けることがない。また、障がい者Sにとって適切な雇用契約成立の機会を増やすことができる。
【0033】
雇用条件受付部112は、障がい者Sの雇用者の障がい者Sに対して希望する雇用条件Rに関する情報(雇用条件Rに関する情報)を受け付ける。雇用条件受付部112は、例えば、現雇用者端末3や新規雇用希望者端末4から、雇用条件Rに関する情報を受け付ける。現雇用者からも雇用条件Rを受け付けることにより、新たな雇用者候補Eの数が増え、障がい者Sの雇用契約成立の機会が増える。雇用条件受付部112により受け付けられた雇用条件Rに関する情報は、後述する雇用条件情報DB182に格納される。
当該雇用条件Rに関する情報としては、仕事内容、パフォーマンス、給与、工賃等に関する情報が挙げられる。仕事内容としては、例えば、文字起こし、スキャニング代行、チラシDMデザイン、アンケート集計、工場内作業、ポスティング、農作業、チラシ折り・封入発送、部品組み立て、検品、配膳等が挙げられる。パフォーマンスとしては、例えば、パソコンスキル、自力通勤ができる、人と共同して作業することができる、電話対応ができる、Eメールでのやりとりができる、会社のルールを守ることができる、メモを取ることができる、労務に関する申請などが自分でできる、または協力をお願いできる人がいる、勤務に必要な集中力や体力に問題がない等が挙げられる。
【0034】
雇用者候補出力部113は、雇用者候補を出力する。具体的には、雇用者候補出力部113は、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報及び雇用者の雇用条件Rに関する情報に基づいて、障がい者Sが就労可能な新たな雇用者候補Eに関する情報を出力する。
雇用者候補出力部113は、就労状態情報DB181に格納された障がい者Sの現在の就労状態Cと、雇用条件情報DB182に格納された雇用条件Rとを参照して、新たな雇用者候補Eを選定する。
例えば、障がい者Sの現在の就労状態Cが、雇用者の雇用条件Rに含まれていた(合致していた)とする。この場合、雇用者候補出力部113により、この雇用条件Rをサーバ1に提供した雇用者候補が、新たな雇用者候補Eとして選定される。雇用者候補出力部113は、選定された新たな雇用者候補Eを、例えば現雇用者端末3に出力する。雇用者候補出力部113は、新規雇用希望者端末4に出力してもよい。なお、雇用者候補出力部113が選定した新たな雇用者候補Eの情報は、後述する新規雇用情報DB184に格納される。
具体例を説明する。例えば、雇用者候補出力部113は、就労状態情報DB181に格納された「自力通勤できる・4-6時間勤務が可能・人と共同して作業ができる」という障がい者の現在の就労状態Cと、雇用条件情報DB182に格納された「自力通勤できる・4-6時間勤務が可能・人と共同して作業することができる・メモを取ることができる」という雇用条件Rとを参照する。雇用者候補出力部113は、当該障がい者Sの現在の就労状態Cの全てが、雇用条件Rに含まれていることを確認する。雇用者候補出力部113は、当該雇用条件Rに関する情報をサーバ1に提供した雇用者候補(例えば
図1のX事業所)を、新たな雇用者候補Eとして選定する。そして、雇用者候補出力部113は、選定した新たな雇用者候補Eを、例えば、障がい者Sの現雇用者所有の現雇用者端末3に出力する。雇用者候補出力部113は、新たな雇用者候補EであるX事業所所有の新規雇用希望者端末4に、自社が新たな雇用者候補Eとして選定された旨を出力してもよい。
【0035】
雇用者候補出力部113は、選定した新たな雇用者候補Eと併せて、当該新たな雇用者候補Eがサーバ1に提供した雇用条件Rに関する情報も出力してよい。これにより、新たな雇用者候補Eの雇用条件Rが、障がい者Sの現在の就労状態Cと真に合致しているかを、例えば管理者が再確認できる。
なお、前述の雇用者候補出力部113による選定の例は一例であり、限定されない。例えば、障がい者Sの現在の就労状態Cの少なくとも一つが、雇用者の雇用条件Rと合致しているとする。この場合に、この雇用条件Rをサーバ1に提供した雇用者候補が、雇用者候補出力部113により新たな雇用者候補Eとして選定されてもよい。また、雇用者候補出力部113は、新たな雇用者候補Eを複数選定してもよい。また、例えば、雇用者候補出力部113は、現雇用者を新たな雇用者候補Eとして選定してもよい。例えば、障がい者Sの所属していない部署が提供した雇用条件Rに障がい者Sの現在の就労状態Cが合致した場合、雇用者候補出力部113は、現雇用者を、新たな雇用者候補Eとして選定してもよい。
【0036】
雇用者変更候補出力部114は、雇用者の変更候補(雇用者変更候補)に関する情報を出力する。具体的には、雇用者変更候補出力部114は、障がい者Sの就労状態の経時的な変化に基づいて、障がい者Sが就労可能な雇用者の変更候補に関する情報を出力する。
ここで、障がい者Sの就労状態の経時的な変化に基づく障がい者Sが就労可能な雇用者の変更候補に関する情報には、障がい者Sの就労状態の経時的な変化そのものに関する情報(就労状態変化情報)と、障がい者Sが就労可能な雇用者の変更候補に関する情報(雇用者変更候補情報)の双方が含まれることとする。
就労状態変化情報としては、例えば、障がい者Sの就労状態が、一般企業への就労が可能な状態になったという情報が挙げられる。また、例えば、送迎を利用してA型事業所に通所していた障がい者Sが、時間の経過とともに自力通勤ができるようになったという情報が挙げられる。また、週3日9時間就労することが精一杯だった障がい者Sが、週5日20時間就労することが出来るようになったというような、障がい者Sの就労状態の経時的な変化そのものに関する情報が挙げられる。
前述のような変化が障がい者Sにあった場合、障がい者Sの就労状態は変化しているといえる。例えば、就労支援事業所の管理者は、当該変化を例えば日報等に記録する。管理者は、日報等に基づいて障がい者Sの経時的に変化した就労状態を現雇用者端末3へ入力する。
就労状態受付部111は、管理者により入力された障がい者Sの変化した就労状態情報を受け付ける。受け付けられた障がい者Sの変化した就労状態情報は、一旦、就労状態情報DB181に格納される。就労状態受付部111は、既に就労状態情報DB181に格納されている障がい者Sの就労状態に関する情報と、前述の、障がい者Sの変化した就労状態変化情報とを比較する。比較の結果、既に格納された障がい者Sの就労状態に関する情報との差異がある場合、つまり、既に格納された障がい者Sの就労状態に関する情報に変化がある場合、障がい者Sの変化した就労状態情報は、就労状態受付部111により就労状態変化情報DB183に格納される。
なお、就労状態変化情報には、例えば、障がい者Sを取り巻く就労環境の情報が含まれてもよい。これにより、障がい者Sの就労状態の変化の要因を分析することが容易となる(この分析に関しては後述する)。
就労状態変化情報は、例えば、就労状態情報DB181に格納された就労状態情報から雇用者変更候補出力部114により抽出され、就労状態変化情報DB183に格納されてもよい。例えば、雇用者変更候補出力部114は、障がい者Sのある時点の一日の作業量と、他の一時点の障がい者Sの一日の作業量との差分を、障がい者Sの就労状態の変化として抽出し、これを就労状態変化情報として就労状態変化情報DB183に格納してもよい。
雇用者変更候補出力部114は、就労状態変化情報DB183に就労状態変化情報があるか否かを判断し、就労状態変化情報があればこれを取得する。そして、この取得を受け付けて、当該就労状態変化情報に基づき障がい者Sが就労可能な雇用者の変更候補、即ち雇用者変更候補に関する情報(雇用者変更候補情報)を生成する。
【0037】
雇用者変更候補出力部114は、例えば、前述の雇用者候補出力部113が行う選定と同様の選定処理を行い、雇用者変更候補を選定する。障がい者Sの元の職場も雇用者変更候補として選定され得る。即ち、障がい者Sにとって復職が叶い得るということである。
例えば、障がい者Sの就労状態が変化する前、雇用者候補出力部113が、新たな雇用者候補Eとして、F事業所(例えば、就労継続支援A型事業所)を選定していたとする。雇用者変更候補出力部114は、障がい者Sの就労状態の変化に伴い、新たな雇用者候補Eとして、G社(例えば、一般企業)を選定する。即ち、新たな雇用者候補Eは、F事業所からG社へ変更となる。G社は、例えば、障がい者Sの元職場である。なお、雇用者変更候補出力部114が選定した雇用者変更候補情報は、後述する新規雇用情報DB184に格納されてもよい。
【0038】
雇用者変更候補出力部114は、前述の就労状態変化情報と選定された雇用者変更候補(例えば、前述のG社)に関する情報、即ち、障がい者Sの就労状態の経時的な変化に基づく障がい者Sが就労可能な雇用者の変更候補に関する情報を、例えば、障がい者Sの現雇用者所有の現雇用者端末3や雇用者変更候補所有の新規雇用希望者端末4に出力する。これにより、例えば、前述のように、障がい者Sの就労状態が変化して一般企業での就労が可能な状態になったこと、またこれに伴い一般企業が新たな雇用者候補Eとして選定されたこと、障がい者Sが週5日20時間就労する出来る状態になったこと等を、例えば一般企業の人事担当者や就労支援事業所の管理者が的確に知ることができる。
【0039】
要因分析出力部115は、前述の障がい者Sの経時的な就労状態の変化の要因を出力する。具体的には、要因分析出力部115は、障がい者Sについて雇用者の変更があったことを受け付けたことに応じて、障がい者Sの就労状態の経時的な変化に関する情報から要因を分析して出力する。
要因分析出力部115は、例えば、就労状態変化情報DB183に格納されている就労状態変化情報と、新規雇用情報DB184に格納されている新規雇用情報を参照して、障がい者S就労状態の経時的な変化から要因を分析して出力する。要因分析出力部115は、当該要因分析処理にあたり、雇用条件情報DB182に格納されている雇用条件情報を参照してもよい。
【0040】
要因分析出力部115が、障がい者Sの就労状態の経時的な変化の要因を分析して出力する例を説明する。
例えば、障がい者Sが、就労継続支援A型事業所から一般企業へ、移動可能な就労状態になったとする。就労状態変化情報DB183には、障がい者Sの「周りの人たちとのコミュニケーションをスムーズに行えるようになった」、「職員に相談することや、気の合う他の利用者との休憩中の会話を楽しむことにより、精神安定を図ることができるようになってきた」、「作業スピードが上がった」というような就労状態変化情報が格納されている。また、就労状態変化情報DB183には、障がい者Sの前述のような就労状態変化情報と併せて「就労継続支援A型事業所が、障がい者Sへ周りの協力を求めることの大切さや適度な休憩をとることの大切さなどを伝えた」という、障がい者Sへサポートがあった旨の情報も格納されている。また、新規雇用情報DB184には、前述の障がい者Sの就労状態の変化に伴って選定された雇用者変更候補(即ち一般企業)の情報が、新規雇用情報として格納されている。
この場合において、要因分析出力部115は、障がい者Sの就労状態の経時的な変化(就労状態変化情報)、この変化に伴い障がい者Sについて雇用者の変更があったこと(新規雇用情報)を、就労状態変化情報DB183と新規雇用情報DB184から判断してこれを受け付け、障がい者Sの就労状態の経時的な変化の要因を分析する。そして、要因分析出力部115は、分析結果を、例えば、就労継続支援A型事業所が所有する現雇用者端末3や、当該一般企業が所有する新規雇用希望者端末4へ出力する。要因分析出力部115は、例えば、前述の場合において、「周囲のサポート及び、これに起因する周りの人たちとのコミュニケーションの増加」を分析結果、即ち、障がい者Sの就労状態の経時的な変化の要因として、現雇用者端末3や新規雇用希望者端末4へ出力する。
要因分析出力部115が、分析処理の結果を、例えば、現雇用者端末3や新規雇用希望者端末4へ出力することにより、障がい者Sの雇用者の変更を促す要因が見える化される。また、障がい者の雇用者(就労継続支援A型事業所や一般企業)は、障がい者Sの雇用者の変更を促す要因を的確に知ることができる。また、障がい者Sの雇用者の変更を促す要因を的確に把握することで、障がい者Sの就労状態の変化があった場合に、当該障がい者Sがどこで就労すべきかを、障がい者Sの雇用者が的確に判断できるようになる。
なお、要因分析出力部115は、雇用条件情報DB182に格納されている雇用条件情報も併せて参照してもよい。例えば、雇用条件Rに含まれている給与や作業実績に連動して付与されるポイント等のインセンティブが、障がい者Sの就労状態の経時的な変化の要因となり得るためである。
【0041】
前述の要因分析出力部115による分析は一例であり、限定されない。要因分析出力部115は、例えば、障がい者Sの就労状態の経時的な変化と、当該就労状態の経時的な変化の要因とを対応付けたデータを教師データとして学習している学習モデルを用いて、前述の分析処理を行ってもよい。要因分析出力部115は、障がい者Sの就労状態の経時的な変化を当該学習モデルへ入力し、例えば、「周囲のサポート及び、これに起因する周りの人たちとのコミュニケーションの増加」という要因を算出し、当該要因を現雇用者端末3や新規雇用希望者端末4へ出力してもよい。
【0042】
新規雇用受付部116は、新規雇用希望者に関する情報を、例えば、新規雇用希望者端末4から受け付ける。新規雇用受付部116により受け付けられた当該新規雇用希望者に関する情報は、新規雇用情報DB184に格納される。新規雇用希望者とは、障がい者Sを新たに雇う、または雇い得るものである。即ち、本実施形態において、障がい者Sの雇用者、雇用者候補および雇用者変更候補が新規雇用希望者に該当する。
新規雇用受付部116が受け付ける新規雇用希望者に関する情報としては、例えば、新規雇用希望者の名称、住所等一般的事項の他、新規雇用希望者の雇用条件Rも挙げられる。前述の雇用者候補出力部113は、障がい者Sの現在の就労状態Cと当該新規雇用希望者(雇用者候補)の雇用条件Rとに基づいて、新たな雇用者候補Eを選定する。また、雇用者変更候補出力部114は、就労状態が変化した障がい者Sの現在の就労状態Cと、新規雇用希望者(雇用者変更候補)の雇用条件Rとに基づいて、新たな雇用者候補E、即ち雇用者変更候補を選定する。
なお、本実施形態では、新規雇用情報DB184には予め新規雇用希望者に関する情報が格納されていることとするが、新規雇用受付部116を備えることにより、当該新規雇用情報DB184に予め格納されていなかった新規雇用希望者に関する情報を受け付けることができる。これにより、例えば、障がい者Sを雇用するという経営方針を新たに決定した新規雇用希望者に関する情報を受け付けることができ、障がい者Sが就労可能な新たな雇用者候補Eの数が増えることになり、障がい者Sの雇用契約成立の機会が増える。
【0043】
開示部117は、一般企業での就労を希望する障がい者について、障がい者Sの所定のプライベート情報について、障がい者Sの承諾を得たことに応じて、新たな雇用者候補Eに開示する。また、開示部117は、過去の雇用者における障がい者Sの就労状態に関する情報について、障がい者Sの承諾を得たことに応じて、新たな雇用者候補Eに開示する。
【0044】
開示部117は、後述する検索用情報DB185に格納されている、一般企業での就労を希望する障がい者Sの所定のプライベート情報を読み出し、新たな雇用者候補Eに開示する。即ち、新たな雇用者候補Eの新規雇用希望者端末4へ、前述の所定のプライベート情報を出力する。
一般企業での就労を希望する障がい者Sの所定のプライベート情報には、例えば、障がい者Sが就労継続支援A型事業所にて就労している場合、当該就労継続支援A型事業所の管理者のみが知る、障がい者Sの当該事業所における生活態度等に関する情報が含まれる。当該障がい者Sのプライベート情報は、例えば就労継続支援A型事業所の管理者の現雇用者端末3により入力され、検索用情報DB185に格納される。
この障がい者Sの所定のプライベート情報について新たな雇用者に開示することを、障がい者Sが承諾したとする。管理者は、例えば現雇用者端末3を用いて、当該障がい者Sの承諾を入力する。障がい者Sの承諾について、管理者は、例えば、現雇用者端末3に表示された障がい者の了解ボタンを押下してもよい。開示部117は、了解ボタンの押下により現雇用者端末3から送信された承諾情報を取得し、検索用情報DB185に格納されているプライベート情報に付加する。
開示部117は、前述の承諾情報が付加された障がい者Sのプライベート情報を検索用情報DB185から読み出し、当該障がい者Sの新たな雇用者である一般企業の新規雇用希望者端末4へ出力する。即ち、一般企業へ開示する。これにより、障がい者Sを新たに受け入れる一般企業にとっては、障がい者Sを受け入れるリスクを減らすことができるため、例えば受け入れた障がい者Sの就労継続支援A型事業所への後戻り率を軽減できる。
【0045】
開示部117はまた、例えば、後述する就労状態情報DB181に格納されている障がい者Sの就労状態に関する情報を読み出し、新たな雇用者候補Eに開示する。即ち、新たな雇用者候補Eの新規雇用希望者端末4へ、障がい者Sの就労状態に関する情報を出力する。なお、ここでいう「新たな雇用者候補E」とは、例えば、障がい者Sが就労する施設を移動した場合における、移動先の障がい者Sの雇用者をいう。即ち、障がい者Sの移動前、即ち、障がい者Sの過去の雇用者における就労状態に関する情報が、移動後、即ち新たな障がい者Sの雇用者に開示される。
例えば、障がい者Sが施設を移動する際に(例えば就労継続支援B型事業所から就労継続支援A型事業所等)、移動先の雇用者に移動前の障がい者Sの就労状態が全て開示されない場合が考えられる。当該移動先の雇用者が、移動してくる障がい者Sの移動前の雇用者における就労状態を知りたいと望む場合も有り得る。
過去の雇用者における障がい者Sの就労状態に関する情報について、新たな雇用者に開示することを、障がい者Sが承諾したとする。過去の障がい者Sの雇用者は、例えば現雇用者端末3を用いて、当該障がい者Sの承諾を入力する。開示部117は、過去の雇用者における障がい者Sの就労状態に関する情報に、障がい者Sの承諾情報を付加する。
開示部117は、前述の承諾情報が付加された障がい者Sの過去の雇用者における障がい者Sの就労状態に関する情報を就労状態情報DB181から読み出し、当該障がい者Sの新たな雇用者の新規雇用希望者端末4へ出力する。障がい者Sの雇用者間で横断的に障がい者Sの就労状態が把握可能となるため、例えば、障がい者の移動先の雇用者が、当該障がい者Sに対して適切な対応を取ることが可能となる。なお、開示部117は、例えば、障がい者Sの過去の雇用者に対する評価情報(例えば、口コミ情報)と共に、障がい者Sの就労状態に関する情報を出力してもよい。
【0046】
検索実行部118は、雇用者からの検索要望を受け付けて、後述する検索用情報DB185から雇用者の検索要望に該当する情報を取得して匿名で出力する。
例えば、一般企業の人事担当者が、新規雇用希望者端末4を用いて一般企業での就労を希望する障がい者Sを検索したとする。この場合、検索実行部118は、当該検索要望を受け付けて、後述する検索用情報DB185に格納された一般企業での就労を希望する障がい者Sのプライベートに関する情報や、仕事のスキルに関する情報を参照して、当該検索要望に適う一般企業での就労を希望する障がい者Sに関する情報を取得し、例えば、一般企業の新規雇用希望者端末4へ匿名で出力する。
検索要望に適う障がい者Sについての情報が匿名で公開されるため、例えば、公共職業安定所、職業紹介業者、行政庁等の担当者による一般企業での就労を希望する障がい者Sの検索も行われ易くなり、障がい者Sの雇用者の枠を超えて適材適所が実現する。
【0047】
支援計画策定管理部119は、障がい者の個別支援計画を策定し管理する。例えば就労継続支援B型事業所等への入所時に、障がい者Sの自己申告によって、障がい者Sの短期目標、長期目標、将来の復職希望等に関する情報が管理者に提示されたとする。前述の障がい者Sの自己申告による情報は、例えば、就労継続支援B型事業所の管理者によって雇用者端末3を用いて入力される。支援計画策定管理部118は、当該障がい者Sの自己申告による情報に基づいて、個別支援計画を策定し管理する。策定された個別支援計画に基づいて、例えば就労継続支援B型事業所の職員は障がい者Sを支援し、順次当該個別支援計画を更新し、現雇用者端末3を用いて入力する。
【0048】
就労状態情報DB181には、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報や、現在に至るまでの就労状態Cに関する情報が格納される。前者である障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報には、例えば、障がい者Sの通勤、勤務体制、勤務時間、体調管理、責任感、食事、生活等に関する情報が含まれる。障がい者Sの通勤、勤務体制、勤務時間、体調管理、責任感、食事、生活等に関する事項としては、例えば、自力で通勤ができるか、挨拶や返事ができているか、週当たりの勤務日数や一日の勤務時間、定期的な通院があるか、情緒が安定しているか、周りの人たちとのコミュニケーションが取れているか、任された仕事を最後までやり抜いているか、栄養バランスの良い食事を心がけているか、自己の得手不得手を理解しているか、勤務時間内に勝手に行動をしていないか等が挙げられる。
当該障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報は、雇用者候補出力部113による新たな雇用者候補Eの選定や、雇用者変更候補出力部114による雇用者変更候補の選定に用いられる。
【0049】
雇用条件情報DB182には、障がい者Sの雇用者の障がい者Sに対して希望する雇用条件Rに関する情報が格納される。雇用条件Rに関する情報には、例えば、仕事内容、パフォーマンス、給与、工賃等に関する事項が挙げられる。仕事内容としては、例えば、文字起こし、スキャニング代行、チラシDMデザイン、アンケート集計、工場内作業、ポスティング、農作業、チラシ折り・封入発送、部品組み立て、検品、配膳等が挙げられる。パフォーマンスとしては、例えば、パソコンスキル、自力通勤ができる、人と共同して作業することができる、電話対応ができる、Eメールでのやりとりができる、会社のルールを守ることができる、メモを取ることができる、労務に関する申請などが自分でできる、または協力をお願いできる人がいる、勤務に必要な集中力や体力に問題がない等が挙げられる。給与、工賃等については説明を省略する。
当該雇用条件Rに関する情報は、雇用者候補出力部113による新たな雇用者候補Eの選定や、雇用者変更候補出力部114による雇用者変更候補の選定に用いられる。また、当該雇用条件Rに関する情報は、要因分析出力部115による障がい者Sの就労状態の経時的な変化の要因の分析に用いられてもよい。
【0050】
就労状態変化情報DB183には、障がい者Sの就労状態の経時的な変化に関する情報(就労状態変化情報)が格納される。就労状態変化情報としては、例えば、障がい者Sが、一般企業への就労も可能な状態になった・自力通勤ができるようになった・週5日20時間就労することが出来るようになった、というような、障がい者Sの就労状態の変化に関する情報が挙げられる。
当該就労状態変化情報は、雇用者変更候補出力部114による雇用者変更候補の選定や、要因分析出力部115による障がい者Sの就労状態の経時的な変化の要因を分析する際に用いられる。
【0051】
新規雇用情報DB184には、新規雇用希望者に関する情報が格納される。新規雇用希望者に関する情報には、例えば、新規雇用希望者の名称、住所等一般的事項、雇用条件R等が含まれる。新規雇用希望者に関する情報には、新規雇用希望者に対する評価情報(例えば、口コミ情報)が含まれてもよい。なお、本実施形態において、障がい者Sの雇用者、雇用者候補および雇用者変更候補が新規雇用希望者に該当する。
当該新規雇用希望者に関する情報は、雇用者候補出力部113による新たな雇用者候補Eの選定や、要因分析出力部115による障がい者Sの就労状態の経時的な変化の要因の分析に用いられる。
【0052】
検索用情報DB185には、一般企業での就労を希望する障がい者Sの前述のプライベート情報および仕事のスキルに係る情報が格納される。一般企業での就労を希望する障がい者Sの前述のプライベート情報および仕事のスキルに係る情報は、例えば、検索実行部118による検索処理に用いられる。
【0053】
なお、
図4には図示されていないが、サーバ1のCPU11に、障がい者Sが就労する施設を移動した場合において、移動前の雇用者における障がい者Sの就労状態を、移動先の雇用者に開示したケースの定着率の違いを分析する機能部が別途設けられてもよい。
【0054】
<処理内容:雇用者候補出力処理>
図5は、
図2の就労支援システムのうち、サーバ1が実行する雇用者候補出力処理の一例を示すフローチャートである。雇用者候補出力処理とは、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報及び雇用者の雇用条件Rに関する情報に基づいて、障がい者Sが就労可能な新たな雇用者候補Eに関する情報を出力する処理をいう。
ステップS1において、CPU11の就労状態受付部111は、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報を受け付ける。
障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報には、例えば、障がい者Sの通勤、勤務体制、勤務時間、体調管理、責任感、食事、生活等に関する情報が含まれる。障がい者Sの通勤、勤務体制、勤務時間、体調管理、責任感、食事、生活等に関する事項としては、例えば、自力で通勤ができるか、挨拶や返事ができているか、週当たりの勤務日数や一日の勤務時間、定期的な通院があるか、情緒が安定しているか、周りの人たちとのコミュニケーションが取れているか、任された仕事を最後までやり抜いているか、栄養バランスの良い食事を心がけているか、自己の得手不得手を理解しているか、勤務時間内に勝手に行動をしていないか等が挙げられる。
就労状態受付部111は、障がい者Sの現在の就労状態Cを、例えば現雇用者端末3から受け付ける。就労状態受付部111は、就労状態検知装置2が検知した、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報の少なくとも一部を、通信部19を介して受け付けてもよい。これにより、管理者がする障がい者Sの現在の就労状態Cの入力という付加的な作業が軽減される。また、障がい者Sの現在の就労状態Cが自動的に検知されるため、例えば管理者が気が付かなかったところでの障がい者Sの現在の就労状態Cをも、就労状態受付部111が受け付けることができる。
就労状態受付部111により受け付けられた障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報は、就労状態情報DB181に格納される。格納された当該障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報は、雇用者候補出力部113による新たな雇用者候補Eの選定や、雇用者変更候補出力部114による雇用者変更候補の選定に用いられる。
【0055】
ステップS2において、雇用条件受付部112は、障がい者Sの雇用者の障がい者Sに対して希望する雇用条件Rに関する情報を受け付ける。
雇用条件Rに関する情報には、例えば、仕事内容、パフォーマンス、給与、工賃等に関する事項が挙げられる。仕事内容としては、例えば、文字起こし、スキャニング代行、チラシDMデザイン、アンケート集計、工場内作業、ポスティング、農作業、チラシ折り・封入発送、部品組み立て、検品、配膳等が挙げられる。パフォーマンスとしては、例えば、パソコンスキル、自力通勤ができる、人と共同して作業することができる、電話対応ができる、Eメールでのやりとりができる、会社のルールを守ることができる、メモを取ることができる、労務に関する申請などが自分でできる、または協力をお願いできる人がいる、勤務に必要な集中力や体力に問題がない等が挙げられる。給与、工賃等については説明を省略する。
雇用条件受付部112は、例えば、現雇用者端末3や新規雇用希望者端末4から、雇用条件Rに関する情報を受け付ける。現雇用者からも雇用条件Rを受け付けることにより、障がい者Sが就労可能な新たな雇用者候補Eの数が増え、障がい者Sの雇用契約成立の機会が増える。
雇用条件受付部112により受け付けられた雇用条件Rに関する情報は、雇用条件情報DB182に格納される。格納された当該雇用条件Rに関する情報は、雇用者候補出力部113による新たな雇用者候補Eの選定や、雇用者変更候補出力部114による雇用者変更候補の選定に用いられる。また、要因分析出力部115による障がい者Sの就労状態の経時的な変化の要因の分析に用いられ得る。
【0056】
ステップS3において、雇用者候補出力部113は、ステップS1で受け付けられた障がい者Sの現在の就労状態Cに関する情報、及び、ステップS2で受け付けられた雇用者の雇用条件Rに関する情報に基づいて、障がい者Sが就労可能な新たな雇用者候補Eを選定する。例えば、障がい者Sの現在の就労状態Cが、雇用者の雇用条件Rと合致していたとする。この場合、雇用者候補出力部113により、この雇用条件Rをサーバ1に提供した雇用者候補が、新たな雇用者候補Eとして選定される(一例である)。そして、雇用者候補出力部113は、当該新たな雇用者候補Eに関する情報を、例えば現雇用者端末3に出力する。雇用者候補出力部113は、新規雇用希望者端末4に、当該新たな雇用者候補Eに関する情報を出力してもよい。
雇用者候補出力部113は、新たな雇用者候補Eを、複数選定してもよい。また、雇用者候補出力部113は、現雇用者を、障がい者Sが就労可能な雇用者候補Eとして選定してもよい。雇用者候補出力部113は、障がい者Sの所属していない部署が提供した雇用条件Rに障がい者Sの現在の就労状態Cが合致した場合に、現雇用者を、新たな雇用者候補Eとして選定してもよい。
【0057】
<処理内容:雇用者変更候補出力処理>
図6は、
図2の就労支援システムのうち、サーバ1が実行する雇用者変更候補出力処理の一例を示すフローチャートである。雇用者変更候補出力処理とは、障がい者Sの就労状態の経時的な変化に基づいて、障がい者Sが就労可能な雇用者の変更候補に関する情報を出力する処理をいう。
本サービスでは、雇用者変更候補出力部114が、就労状態変化情報DB183に就労状態変化情報があるか否かを判断し、就労状態変化情報があればこれを取得する。そして、この取得を受け付けて、当該就労状態変化情報に基づき障がい者Sが就労可能な雇用者の変更候補、即ち雇用者変更候補に関する情報(雇用者変更候補情報)を生成しこれを出力する。以上のような一連の処理について、雇用者変更候補出力処理と呼んで以下に説明する。なお、ここでは、雇用者変更候補出力部114が就労状態変化情報を取得するものとして説明する。
【0058】
ステップS11において、雇用者変更候補出力部114は、就労状態変化情報DB183から就労状態変化情報を取得する。
就労状態変化情報としては、例えば、障がい者Sの就労状態が、一般企業への就労が可能な状態になったという情報が挙げられる。また、例えば、送迎を利用してA型事業所に通所していた障がい者Sが、時間の経過とともに自力通勤ができるようになったという情報が挙げられる。また、週3日9時間就労することが精一杯だった障がい者Sが、週5日20時間就労することが出来るようになったというような、障がい者Sの就労状態の経時的な変化そのものに関する情報が挙げられる。
これらの就労状態変化情報は、例えば、就労状態受付部111により就労状態変化情報DB183に格納される。格納された当該就労状態変化情報は、例えば、雇用者変更候補出力部114による雇用者変更候補の選定に用いられる。なお、就労状態変化情報は、就労状態情報DB181に格納された就労状態情報から雇用者変更候補出力部114により抽出され、就労状態変化情報DB183に格納されてもよい。
【0059】
ステップS12において、雇用者変更候補出力部114は、就労状態変化情報DB183に格納された就労状態変化情報と、雇用条件情報DB182に格納された雇用条件情報とを参照して、雇用者変更候補を選定する。
例えば、雇用者変更候補出力部114は、雇用者候補出力部113が行う選定と同様の選定処理を行い、雇用者変更候補を選定する(一例である)。障がい者Sの元の職場も雇用者変更候補として選定され得る。即ち、障がい者Sにとって復職が叶い得るということである。
例えば、障がい者Sの就労状態が変化する前、雇用者候補出力部113が、新たな雇用者候補EとしてF事業所(例えば、就労継続支援A型事業所)を選定し、障がい者Sは、F事業所にて就労していたとする。雇用者変更候補出力部114は、障がい者Sの就労状態の変化に伴い、新たな雇用者候補Eとして、G社(例えば、一般企業)を選定する。障がい者Sの変化した就労状態が、就労状態が変化する前は合致しなかったG社の雇用条件に合致したためである。G社は、例えば、障がい者Sの元の職場である。即ち、復職が叶い得るということである。
【0060】
ステップS13において、雇用者変更候補出力部114は、雇用者変更候補情報を、例えば障がい者Sの現雇用者(例えば就労継続支援A型事業所)所有の現雇用者端末3や雇用者変更候補(例えば一般企業)所有の新規雇用希望者端末4に出力する。雇用者変更候補情報には、ステップ1にて受け付けられた障がい者Sの就労状態の経時的な変化そのものに関する就労状態変化情報と、ステップS2にて選定された雇用者変更候補に関する雇用者変更候補情報が含まれるものとする。雇用者変更候補出力部114が、雇用者変更候補情報を出力することにより、障がい者Sの就労状態の経時的な変化に伴い、障がい者Sの雇用者候補を変更することが可能となったこと等を、障がい者Sの雇用者等が的確に知ることができる。
【0061】
<処理内容:変化要因分析処理>
図7は、
図2の就労支援システムのうち、サーバ1が実行する変化要因分析処理の一例を示すフローチャートである。変化要因分析処理とは、障がい者Sについて雇用者の変更があったことを受け付けたことに応じて、障がい者Sの就労状態の経時的な変化に関する情報から要因を分析して出力する処理をいう。
本サービスでは、要因分析出力部115が、障がい者Sの就労状態の経時的な変化(就労状態変化情報)、この変化に伴い障がい者Sについて雇用者の変更があったこと(新規雇用情報)を、就労状態変化情報DB183と新規雇用情報DB184から判断してこれを受け付け、障がい者Sの就労状態の経時的な変化の要因を分析する。この処理を変化要因分析処理として以下に説明する。ここでは、要因分析出力部115が就労状態変化情報および新規雇用情報を受け付けるものとして説明する。
【0062】
ステップS21において、要因分析出力部115は、障がい者Sの就労状態の変化を示す就労状態変化情報と、障がい者Sについて雇用者の変更があったことに係る新規雇用情報を受け付ける。例えば、就労継続支援事業所にて就労する障がい者Sの就労状態が経時的に変化し、当該変化に伴って一般企業が障がい者Sの新たな雇用者候補Eとして選定されたとする。この場合、要因分析出力部115は、障がい者Sの当該就労状態変化情報と、当該変化に伴う障がい者Sの新たな雇用者の情報、即ち新規雇用情報を受け付ける。
【0063】
ステップS22において、要因分析出力部115は、障がい者Sの就労状態の経時的な変化の要因を分析する。
要因分析出力部115は、例えば、障がい者Sの就労状態の経時的な変化と、当該就労状態の経時的な変化の要因とを対応付けたデータを教師データとして学習している学習モデルを用いて、障がい者Sの就労状態の経時的な変化の要因の分析をする。例えば、要因分析出力部115は、障がい者Sの「職員に相談することや、気の合う他の利用者との休憩中の会話を楽しむことにより、精神安定を図ることができるようになってきた」という障がい者Sの就労状態の経時的な変化を、当該学習モデルへ入力し、「周囲のサポート及び、これに起因する周りの人たちとのコミュニケーションの増加」という障がい者Sの就労状態の経時的な変化の要因を算出する。
【0064】
ステップS23において、要因分析出力部115は、当該変化の要因に関する情報(変化要因情報)を、例えば、現雇用者端末3(例えば就労継続支援A型事業所が所有する現雇用者端末3)や新規雇用希望者端末4(例えば一般企業が所有する新規雇用希望者端末4)に出力する。
要因分析出力部115が、分析処理の結果を、例えば、現雇用者端末3や新規雇用希望者端末4へ出力することにより、障がい者Sの雇用者の変更を促す要因が見える化される。また、障がい者の雇用者は、障がい者Sの雇用者の変更を促す要因を的確に知ることができる。また、障がい者Sの雇用者の変更を促す要因を的確に把握することで、障がい者Sの就労状態の変化があった場合に、当該障がい者Sがどこで就労すべきかを、障がい者Sの雇用者が的確に判断できるようになる。
【0065】
<処理内容:該当情報検索処理>
図8は、
図2の就労支援システムのうち、サーバ1が実行する該当情報検索処理の一例を示すフローチャートである。該当情報検索処理とは、検索用情報DB185から検索要望に該当する情報を取得して出力する処理をいう。
本サービスでは、検索実行部118が、雇用者からの検索要望を受け付けて、雇用者の検索要望に該当する情報を取得して出力する。この処理を該当情報検索処理として以下に説明する。
【0066】
ステップS31において、検索実行部118は、雇用者からの検索要望を受け付ける。例えば、一般企業の人事担当者が、新規雇用希望者端末4を用いて一般企業での就労を希望する障がい者Sを検索したとする。検索実行部118は、当該一般企業の人事担当者が操作する新規雇用希望者端末4からの検索要望を受け付ける。
【0067】
ステップS32において、検索実行部118は、当該検索要望に基づいて、検索用情報DB185に格納された情報の中から該当する情報を検索し、これを取得する。例えば、検索実行部118は、検索用情報DB185に格納された障がい者Sのプライベートに関する情報や、仕事のスキルに関する情報を参照して、例えば前述の一般企業の人事担当者の検索要望に適う一般企業での就労を希望する障がい者Sに関する情報を検索して取得する。
【0068】
ステップS33において、検索実行部118は、取得した雇用者からの検索要望に該当する情報を、例えば、前述の一般企業の人事担当者が操作する新規雇用希望者端末4へ匿名で出力する。
【0069】
図9は、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する第1の図である。
図9には、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する表の一例として、実習評価票が表示されている。実習評価票は、障がい者Sの現在の就労状態Cを、例えば、就労支援事業所の管理者が把握するために用いられる表である。
実習評価票には、実習場所や、評価者、障がい者Sの帰属先等、評価項目、当該評価項目の詳細内容、障がい者Sの現在の就労状態Cに対する5段階評価、点数、レーダーチャートで示された障がい者Sの現在の就労状態Cに対する評価分析、評価点数説明、評価点数、実習先からのコメント(良かったこと及び課題点)等の項目が表示されている。
障がい者Sの現在の就労状態Cについて理解を容易にするため、評価項目および当該評価項目の詳細内容を、もう少し説明する。
評価項目には、大項目として、コミュニケーション、作業、仕事に対する姿勢、自律性が表示されている。当該各項目には、夫々小項目が設けられている。
コミュニケーションの項目には、挨拶・返事、意思疎通、話を聞く姿勢、報・連・相、の項目が設けられている。例えば、挨拶・返事の詳細内容として、自ら元気の良い挨拶・返事をする事ができる、と表示されている。
作業の項目には、はたらく姿勢、事前準備、整理整頓、後片付け、作業の習得、の項目が設けられている。例えば、はたらく姿勢の詳細内容として、作業中に支障のある行動がない(騒ぐ、大声、あくびなど)と表示されている。
仕事に対する姿勢の項目には、取り組む姿勢、正確な作業、持続力、実習を行う意味、の項目が設けられている。例えば、取り組む姿勢の詳細内容として、自分からメモを取り、覚えようとする姿勢がある、と表示されている。
自律性の項目には、自己理解、言葉づかい、身だしなみ、自己管理、ルール・約束、の項目が設けられている。例えば、自己理解の詳細内容として、自分の得意な事、苦手な事を理解している(長所・短所)、と表示されている。
例えば、就労支援事業所の管理者は、これら夫々の評価項目に沿って、障がい者Sの現在の就労状態Cを判断し、当該実習評価票に障がい者Sの現在の就労状態Cを記録していく。就労支援事業所の管理者は、その記録を、例えば、現雇用者端末3へ入力する。そして、当該入力された障がい者Sの現在の就労状態Cは、就労状態受付部111により受け付けられて、就労状態情報DB181に格納される。
【0070】
図10は、障がい者Sの現在の就労状態Cに関する第2の図である。
図10には、異なる3つコースの評価査定シートが表示されている。評価査定シートは、障がい者Sの現在の就労状態Cを、例えば、就労支援事業所の管理者が把握するために用いられる。
図10では、エキスパートコース、スペシャリストコース、マネジメントコースの評価査定シートが表示されている。
図10に示されるように、各コースでは、障がい者Sの就労状態別にレベル分けがされている(当該コース、レベル分けの詳細については、説明を省略する)。評価査定シートには、コース名、レベル、評価日、障がい者Sの現時給、レベル別の基準項目、新時給、昇給月等の項目が表示されている。
ここで、障がい者Sの就労状態の理解を容易にするため、基準項目についてもう少し説明する。評価査定シートでは、障がい者Sの就労状態を、レベルを分けて評価することとしている。例えば、レベル1の基準項目には、準備・後片付けを声かけがあればできる、メモをとる事ができる、手を止めずに作業ができる、作業指示を素直に受け止め、間違えた時には直す姿勢がある等が表示されている。また、レベル2の基準項目には、Lv1の項目をクリアしている、準備・後片付けを自らできる、メモをとり、覚える姿勢がある、当日の目標を知っている等が表示されている。このように、障がい者Sの就労状態別に、例えば、就労支援事業所の管理者が評価する項目が異なっている。
例えば、就労支援事業所の管理者が、障がい者Sの現在の就労状態Cはレベル1であると認識していたとする。管理者は、本評価査定シートを用いて、当該障がい者Sの現在の就労状態Cについてレベル1と評価し、現雇用者端末3への入力を行ったものとする。当該障がい者Sの現在の就労状態C(レベル1)は、就労状態情報DB181に格納されている。
前述の評価を行った日以後、管理者が本評価査定シートを用いて、当該障がい者Sの現在の就労状態Cを把握しようとした場合に、例えば、当該障がい者Sが、レベル2の項目に該当する行動(例えば、準備・後片付けを自らできる)をとっていたとする。この場合、管理者は、当該障がい者Sに経時的な就労状態Cの変化があったと認識し、この変化を現雇用者端末3へ入力する。就労状態受付部111は、既に就労状態情報DB181に格納されている前述のレベル1の障がい者Sの就労状態情報と、入力された前述のレベル2の行動をとった障がい者Sの就労状態情報とを比較する。当該二つの情報に差異がある場合、就労状態受付部111は、障がい者Sの経時的に変化した就労状態情報を就労状態変化情報DB183に格納する。既に就労状態情報DB181に格納されている障がい者Sの就労状態と、前述のレベル2の行動をとった障がい者Sの就労状態情報とは差異があるため、就労状態受付部111は、レベル2の行動をとるという、障がい者Sの経時的に変化した就労状態情報を就労状態変化情報DB183に格納する。
障がい者Sの就労状態は個人差があり、また、経時的に変化する。このため、例えば前述のようにレベル分け等行い、障がい者Sの就労状態のレベルや変化を管理者が的確に把握することは、障がい者Sにとって現在の就労状態Cに即した適切な新たな雇用者候補Eを見つけるうえで有用である。
【0071】
<まとめ>
以上、本発明の就労支援装置の実施形態について説明したが、本発明は前述した本実施形態に限定されない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果の列挙に過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されない。
【0072】
本実施形態において、
図3に示すハードウェア構成は、本発明の目的を達成するための例示に過ぎず、特に限定されない。換言すると、
図4に示す機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、前述した一連の処理を全体として実行できる機能が就労支援装置に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図4の例に限定されない。
【0073】
また、機能ブロックの存在場所も、
図4に特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバ1の機能ブロックを複数のサーバに分散させてもよい。また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0074】
また、例えば、一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。また、コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれるコンピュータであってもよい。
【0075】
コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他、汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0076】
また、例えば、このようなプログラムを含む記録媒体は、利用者にプログラムを提供するために、装置本体とは別に配布される図示しないリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で利用者に提供される記録媒体等で構成されるものであってもよい。
【0077】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理は勿論、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含む。また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味する。
【0078】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される
図3のリムーバブルメディア21により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態で利用者に提供される記録媒体等で構成される。
リムーバブルメディア21は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。
装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている
図3のROM12や、
図3の記憶部18に含まれるハードディスク等で構成される。
【0079】
以上まとめると、本発明が適用される就労支援装置は、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される就労支援装置(例えば、
図2のサーバ1)は、障がい者の就労を支援する就労支援装置であって、前記障がい者の現在の就労状態に関する情報を受け付ける就労状態受付手段(例えば、
図4の就労状態受付部111)と、前記障がい者の雇用者が前記障がい者に対して希望する雇用条件に関する情報を受け付ける雇用条件受付手段(例えば、
図4の雇用条件受付部112)と、前記就労状態に関する情報及び前記雇用条件に関する情報に基づいて、前記障がい者が就労可能な新たな雇用者候補に関する情報を出力する雇用者候補出力手段(例えば、
図4の雇用者候補出力部113)と、を備える。
本発明によれば、障がい者の現在の就労状態に基づいた障がい者にとって適切な雇用契約の成立や変更ができる。
【0080】
また、前記障がい者の就労状態の経時的な変化に基づいて、前記障がい者が就労可能な雇用者の変更候補に関する情報を出力する雇用者変更候補出力手段(例えば、
図4の雇用者変更候補出力部114)をさらに備えてもよい。
本発明によれば、障がい者の就労状態の経時的な変化に伴い、障がい者の雇用者候補を変更することが可能となったことを、障がい者の雇用者が的確に知ることができる。
【0081】
また、前記障がい者について前記雇用者の変更があったことを受け付けたことに応じて、前記障がい者の就労状態の経時的な変化の要因に関する情報を分析して出力する要因分析出力手段(例えば、
図4の要因分析出力部115)をさらに備えてもよい。
本発明によれば、障がい者の就労状態の経時的な変化の要因を分析するため、障がい者の雇用者が、障がい者の雇用者の変更を促す要因を的確に知ることができる。
【0082】
前記障がい者の現在の就労状態に関する情報の少なくとも一部を自動的に検知する就労状態検知手段(例えば、
図2の就労状態検知装置2)をさらに備えてもよい。
本発明によれば、障がい者の就労状態が自動的に検知されるため、障がい者の雇用者に付加的な労力を掛けることがない。また、障がい者にとって適切な雇用契約の成立機会を増やすことができる。
【0083】
また、前記就労状態受付手段が受け付ける前記就労状態に関する情報は、前記雇用者に応じて入力の重み付けが可能でもよい。
本発明によれば、障がい者Sの現在の就労状態Cについて入力する評価項目を選定できるため、雇用者の労力を軽減できる。
【0084】
また、一般企業での就労を希望する前記障がい者について、前記障がい者の所定のプライベート情報について、前記障がい者の承諾を得たことに応じて前記新たな雇用者候補に開示する手段(例えば、
図4の開示部117)を含んでもよい。
本発明によれば、障がい者を受け入れる側のリスクが下がり、障がい者の後戻り率も軽減できる。
【0085】
また、一般企業での就労を希望する前記障がい者の、前記所定のプライベート情報および仕事のスキルに係る情報を少なくとも記憶する検索用情報記憶部(例えば、
図4の検索用情報記憶部185)と、前記雇用者からの検索要望を受け付けて、前記検索用情報記憶部から前記検索要望に該当する情報を取得して匿名で出力する検索実行手段(例えば、
図4の検索実行部118)とをさらに備えてもよい。
本発明によれば、了解を得た、一般企業での就労を希望する障がい者の情報が、多様な雇用者に公開されることで、雇用者の枠を超えた適材適所が実現する。
【0086】
また、前記障がい者の個別支援計画を策定し管理する支援計画策定管理手段(例えば、
図4の支援計画策定管理部119)を更に備えてもよい。
本発明によれば、将来を含む障がい者の目標に関する情報に基づいて、具体的な支援計画が策定、管理されるため、雇用者が障がい者の就労を支援し易くなる。
【0087】
また、過去の雇用者における前記就労状態に関する情報について、前記障がい者の承諾を得たことに応じて、前記新たな雇用者に開示する手段(例えば、
図4の開示部117)をさらに備えてもよい。
本発明によれば、障がい者の雇用者間で横断的な情報共有が可能となり、雇用者が障がい者に対して適切な対応を取ることが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1・・・サーバ、2・・・就労状態検知装置、3・・・現雇用者端末、4・・・新規雇用希望者端末、111・・・就労状態受付部、112・・・雇用条件受付部、113・・・雇用者候補出力部、114・・・雇用者変更候補出力部、115・・・要因分析出力部、116・・・新規雇用受付部、117・・・開示部、118・・・検索実行部、119・・・支援計画策定管理部、181・・・就労状態情報DB、182・・・雇用条件情報DB、183・・・就労状態変化情報DB、184・・・新規雇用情報DB、185・・・検索用情報DB