(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080153
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】遊技情報表示装置
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240606BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240606BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A63F7/02 350A
G06F3/044 124
G06F3/041 580
G06F3/041 422
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193088
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129654
【弁理士】
【氏名又は名称】大池 達也
(72)【発明者】
【氏名】青木 宏道
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088CA27
2C088EA41
2C088EA49
(57)【要約】
【課題】安価かつ検知精度の高いタッチパネルを備える遊技情報表示装置を提供すること。
【解決手段】隣り合わせの2つの検知範囲351を最小単位353とし、各検知範囲351において送信側電極36と受信側電極37とが隙間を空けて対向するように設けられている相互静電容量方式のタッチセンサシート35と、送信側電極36と受信側電極37との間の静電容量の変化に基づきタッチ操作を検知するタッチセンサ制御部と、を備える液晶表示部を含む遊技情報表示装置であって、最小単位353の2つの検知範囲351の送信側電極36が共通電極をなしており、最小単位353の2つの検知範囲351のうち、タッチセンサ制御部からの電気的な経路が長い方の一方の検知範囲351の受信側電極37は、他方の検知範囲351の受信側電極37と隣り合わせで設けられた電気経路378を介してタッチセンサ制御部と電気的に接続されている。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に対応して設けられ、当該遊技機における遊技に関する遊技情報を表示する表示手段を備える遊技情報表示装置において、
前記表示手段は、
隣り合わせの2つの検知範囲を最小単位とし、各検知範囲において送信側電極と受信側電極とが隙間を空けて対向するように設けられている相互静電容量方式のタッチセンサ部と、
前記送信側電極と前記受信側電極との間の静電容量の変化に基づき、前記検知範囲への指等の導体の近接を検知する検知回路と、を備え、
前記最小単位の2つの検知範囲の送信側電極が共通電極をなしており、
前記最小単位の2つの検知範囲のうち、前記検知回路からの電気的な経路が長い方の一方の検知範囲の受信側電極は、他方の検知範囲の受信側電極と隣り合わせで設けられた電気経路を介して前記検知回路と電気的に接続されていることを特徴とする遊技情報表示装置。
【請求項2】
前記遊技情報表示装置は、前記表示手段を制御することにより複数の操作釦を表示させる制御手段を備え、
前記表示手段は、前記最小単位の2つの検知範囲のうちの各検知範囲に対応する操作釦を表示可能である請求項1に記載の遊技情報表示装置。
【請求項3】
前記タッチセンサ部では、前記最小単位が複数、並列して設けられると共に、
隣り合う2つの最小単位では、当該2つの最小単位の境界を介して前記送信側電極及び前記受信側電極のパターンが線対称をなしている請求項2に記載の遊技情報表示装置。
【請求項4】
前記最小単位の2つの検知範囲は略矩形状をなし、各検知範囲では、外周4辺のうちの対向する2辺に沿うように一対の送信側電極が設けられていると共に、互いに噛み合うように当該一対の送信側電極のうちの各送信側電極から他方の送信側電極に向けて突出する櫛歯状電極が設けられ、
前記最小単位の2つの検知範囲では、互いにかみ合う櫛歯状電極の間隙を通る矩形波状をなすように前記受信側電極が形成されている請求項1~3のいずれか1項に記載の遊技情報表示装置。
【請求項5】
前記最小単位の2つの検知範囲の間で、前記一対の送信側電極が対向する方向が互いに直交している請求項4に記載の遊技情報表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技情報表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技者による操作性向上のためにタッチパネルを備えた遊技情報表示装置が注目されている(例えば、特許文献1参照。)。タッチパネルを採用することで、従来搭載されていた釦群といった部品を削減することができ、製品価格の抑制を期待できる。
【0003】
タッチパネルに用いられるタッチセンサには、様々な方式のものが実現され商品化されている。なかでも、送信電極と受信電極とを用いて電界を発生させ、送受信電極間の電界変化を検出する相互静電容量方式タッチセンサは、多くの電子製品に採用されている。例えば遊技場の呼出ランプにタッチパネルを採用する場合、遊技者の視認性や操作性向上のために呼出ランプの操作釦を上下2段に配置したいといったニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば上段および下段に個別のタッチセンサシートを組み込めば、上下2段に亘る検出範囲を比較的容易に構成できる一方、タッチセンサシートが2片必要となることから製品コストの上昇を回避できなくなる可能性が高い。一方、例えば1片のタッチセンサシート上で上下2段の検出範囲を実現しようとすれば、一方の段の検出範囲を構成する電極を取り回す経路の確保のため、他方の段の検出範囲が制限されて狭くなってしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされるものであり、安価かつ検知精度の高いタッチパネルを備える遊技情報表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、遊技機に対応して設けられ、遊技に関する遊技情報を表示する表示手段を備える遊技情報表示装置に関する発明である。表示手段は、相互静電容量方式のタッチセンサ部と、指等の導体の検知範囲への近接を検知する検知回路と、を備えている。タッチセンサ部では、隣り合わせの2つの検知範囲が最小単位となっており、各検知範囲において送信側電極と受信側電極とが隙間を空けて対向するように設けられている。検知回路は、送信側電極と受信側電極との間の電界の変化に起因する静電容量の変化に基づいて導体の近接を検知する。
【0008】
本発明の遊技情報表示装置では、タッチセンサ部の最小単位の2つの検知範囲のうち、検知回路からの電気的な経路が長い方の一方の検知範囲の送信側電極と、他方の検知範囲の送信側電極とが、共通電極をなしている。2つの検知範囲の送信側電極が共通電極であれば、相互に独立した電極が必須である構成と比べて製品コストを抑制できる。一方、送信側電極が共通電極であると、2つの検知範囲の間で誤検知の可能性が生じる。
【0009】
そこで、本発明の遊技情報表示装置では、2つの検知範囲の送信側電極を共通電極とする一方、検知回路からの電気的な経路が長い方の一方の検知範囲の受信側電極と検知回路との間の電気経路の取り回しを技術的に工夫している。この電気経路は、他方の検知範囲の受信側電極と隣り合わせで設けられている。受信側電極と隣り合う電気経路であれば、例えば指が近接した場合であっても、送信側電極との間の電界が変化する可能性が低く、静電容量の変化が誘発されるおそれが少ない。それ故、この電気経路の存在によって誤検知が発生するおそれが少なくなっている。
【0010】
本発明によれば、最小単位の2つの検知範囲の送信側電極が共通電極であるという低コストの構成を採用しながら、検知回路からの電気的な経路が長い方の一方の検知範囲の受信側電極と検知回路との間の電気経路に起因する誤検知を抑制できる。本発明の遊技情報表示装置は、検知精度の高いタッチ操作が可能であると共に、その高精度なタッチ操作機能が安価な構成により実現された優れた特性の表示装置である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1における、遊技場用システムの構成を示すシステム図。
【
図2】実施例1における、パチンコ遊技機及びカードユニットの正面図。
【
図3】実施例1における、遊技情報表示装置の正面図。
【
図4】実施例1における、遊技情報表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【
図5】実施例1における、タッチパネルエリアの構成を示す説明図。
【
図6】実施例1における、参考例のタッチセンサシートの電気的な構成を示す説明図。
【
図7】実施例1における、タッチパネルエリアにおける操作釦の配置を示す説明図。
【
図8】実施例1における、本例のタッチセンサシートの電気的な構成を示す説明図。
【
図9】実施例1における、最小単位の説明図(A部の拡大図)
【
図10】実施例2における、タッチセンサシートの電気的な構成の説明図。
【
図11】実施例3における、第1の動作例の説明図その1。
【
図12】実施例3における、第1の動作例の説明図その2。
【
図13】実施例3における、第2の動作例の説明図。
【
図14】実施例4における、遊技情報表示装置の正面図。
【
図16】実施例4における、十字釦の操作の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態につき、以下の実施例を用いて具体的に説明する。
(実施例1)
本例は、タッチ操作が可能な遊技情報表示装置3に関する例である。この内容について、
図1~
図9を用いて説明する。
【0013】
まず、本例の遊技情報表示装置3を採用する遊技場について説明する。遊技場では、遊技機2に対して、遊技に必要な遊技価値を付与するカードユニット4および遊技情報表示装置3等が個別に設置されている。さらに、2台の遊技機2毎に、中継装置109が1台ずつ設置されている。
【0014】
遊技場内の管理スペースには、遊技機2を含む遊技場内の各種機器を管理するための管理装置10が設置されている。また遊技場内には、図示しない景品交換カウンタが設けられ、遊技者が獲得した遊技価値を景品に交換するための景品交換端末(図示略)が設置されている。遊技場では、管理装置10を中心として、遊技場内に設置された機器(遊技機2、カードユニット4、遊技情報表示装置3など)を含む遊技場用システム1が構成されている。
【0015】
中継装置109は、カードユニット4及び遊技情報表示装置3など遊技機2の付設装置と、管理装置10と、の間のデータ送受信を中継する端末装置である。上記の通り、中継装置109は、遊技機2台につき、1台ずつ設置されている。
【0016】
遊技情報表示装置3は、遊技機2毎に1台ずつ、個別に設置される表示装置である。遊技情報表示装置3の設置場所は、対応する遊技機2の上方である。遊技情報表示装置3は、対応する遊技機2側から出力される遊技情報に基づいて各種の表示用情報を作成して表示する。遊技情報表示装置3は、カードユニット4及び中継装置109経由にて、対応する遊技機2の遊技に係る各種遊技情報や遊技信号を受信する。遊技情報表示装置3の構成については後で詳しく説明する。
【0017】
本例の遊技機2は、遊技媒体である遊技玉を発射して遊技されるパチンコ遊技機である。本例では、遊技価値である得点を消費して、遊技媒体である遊技玉を発射して遊技される封入式のパチンコ遊技機を、遊技機2の一例として例示する。遊技機2では、いずれかの入賞口への遊技玉の入賞に応じて、遊技価値をなす得点が付与される。遊技機2は、遊技点を使用した遊技の実行に応じて、各種の遊技情報を信号出力の形式でカードユニット4へ送信する。
【0018】
カードユニット4は、各遊技機2に対して個別に設置され、遊技に必要な得点の付与処理や、得点を記録した遊技カード(図示しない記録媒体の一例)の発行処理など、得点に関する処理を行う得点処理装置である。このカードユニット4は、遊技機2の側方、隣り合う遊技機2との間隙に配置される。なお、本例の説明では、計数済みの得点を「持点」、遊技に使用可能な状態にある得点を「遊技点」と称する。全得点数は、持点数と遊技点数との合計点数である。
【0019】
遊技場では、各種機器が通信可能に接続された有線LAN等の場内ネットワーク100が構築されている。遊技機2と通信可能に接続されたカードユニット4や遊技情報表示装置3等が、中継装置109を介して場内ネットワーク100に接続されている。場内ネットワーク100では、カードユニット4や遊技情報表示装置3等の遊技機2の周辺装置と、管理装置10と、の間の各種の通信が中継装置109を介して実現されている。本例の遊技場用システム1は、この場内ネットワーク100を利用してシステム構成されている。
【0020】
以下、遊技情報表示装置3を組み合せる遊技機2及びカードユニット4の構成及び基本動作を説明し、続いて、遊技情報表示装置3の構成を説明する。
(遊技機及びカードユニットの構成及び基本動作)
封入式のパチンコ遊技機である本例の遊技機2(
図2)は、上記のごとく、遊技価値である遊技点(得点)を消費(使用)して遊技媒体である遊技玉を発射して遊技される遊技機である。遊技機2は、カードユニット4から遊技点数を受信すると、その遊技点数分の遊技玉を発射することが可能となり、遊技点数がゼロになった時点で遊技玉を発射できなくなる。遊技機2は、所定の計数操作に応じて遊技点数をカードユニット4へ送信し、遊技点数を減算する。また、遊技機2は、遊技者による情報表示操作に応じて各種の遊技データ(大当り回数、特図抽選回数など)を表示可能である。
【0021】
本例で例示する遊技機2は、特図始動口221、222への入賞に応じて大当り抽選が実行され、大当りに当選したときに大当り図柄が表示されて大当り状態が発生する、いわゆるセブン機である。
【0022】
パチンコ遊技機(遊技機)21は、
図2に示すように、略円形状の遊技領域(遊技盤)210を有している。遊技領域210の上部、左右両側には装飾ランプ部242が設けられ、遊技領域210の左下にはスピーカ241が配置されている。また、遊技領域210の下側には、情報表示部25が配設され、情報表示部25の右下には、操作ハンドル26が設けられている。
【0023】
情報表示部25は、液晶ディスプレイにより構成され、その表示画面には、大当り回数や特図抽選回数など遊技に関する各種の遊技情報等、各種の情報が表示される。情報表示部25の表示画面は、タッチ操作が可能な表示画面となっている。表示画面へのタッチ操作に応じて、情報表示部25による表示内容を切替可能である。遊技点数をカードユニット4へ送信させるための上記の所定の計数操作は、表示画面へのタッチ操作による操作である。情報表示部25の表示画面には、カードユニット4から受信した遊技点や、入賞に応じて付与された得点に基づく遊技点、などの累計の遊技点数が表示される。
【0024】
遊技領域210は、遊技媒体である遊技玉が流下する領域である。遊技領域210では、図柄表示部24を含む表示装置が中心近くに配置されている。図柄表示部24の下側には、第1特図始動口221が配置されている。図柄表示部24の右側から下方に向けて順番に、スルータイプの普図始動口223、開閉入賞装置224、大入賞装置225、第2特図始動口222が配置されている。遊技領域210の最下部には、アウト孔220が設けられている。
【0025】
図柄表示部24は、液晶ディスプレイにより図柄を変動表示する表示部である。図柄表示部24は、特図抽選の当否(抽選結果)を表示する特図表示部としての機能と、普図抽選の当否(抽選結果)を表示する普図表示部としての機能と、を有している。特図表示部としての図柄表示部24は、表示画面の中央に大きく3桁の数字図柄を表示する。特図抽選の当選(大当り)は、333あるいは777など、ぞろ目の数字図柄の組合せにより報知される。普図表示部としての図柄表示部24は、表示画面の右下の矩形領域において普図抽選の当否を表示する。普図抽選の当否は、例えば〇か×かによって報知される。
【0026】
第1特図始動口221及び第2特図始動口222は、特別図柄の当否判定(以下、特図抽選という。)の契機となる入賞口である。第1特図始動口221が、入賞率が不変のヘソ入賞口である一方、第2特図始動口222は、電動チューリップ(電動役物)を備え、電動チューリップの開閉に応じて入賞率が大きく変動する可変入賞口である。第1(第2)特図始動口221(222)に遊技玉が入賞(始動入賞)すると、第1(第2)特図抽選用の抽選用乱数が抽出され、第1(第2)特図を抽選するという大当り抽選が実行される。
【0027】
普図始動口223は、普通図柄の当否判定(以下、普図抽選という。)の契機となる入賞口である。普図始動口223へ入賞すると、普図抽選用の抽選乱数が抽出され、普図抽選が実行される。この普図抽選に当選すると、第2特図始動口222の電動チューリップが開放し入賞率が高くなる。上記のごとく、普図抽選の当否は、図柄表示部24によって表示される。
【0028】
遊技機2に個別に対応するカードユニット4は、隣り合う遊技機2との台間スペースに設置されている(
図1参照。)。このカードユニット4は、遊技玉を発射する権利となる遊技点(得点)の付与機能(貸出機能)を備えている。
【0029】
カードユニット4の前面(
図2参照。)には、装置エラー等の作動状態を表示する状態ランプ41、紙幣挿入口420、表示部43、代金引き落としに応じて遊技に必要な遊技点の貸出を受けるための貸出釦44、計数済みの得点である持点を遊技点に変換するための再遊技釦45、遊技カードの返却を求める返却釦46、カード挿入口470、等が配設されている。
【0030】
続いて、遊技機2及びカードユニット4の基本動作を説明する。遊技機2は、対応するカードユニット4から遊技点(得点)を受信すると、遊技可能になる。遊技機2は、遊技玉を発射する毎に1玉ずつ遊技点数を減算する一方、入賞が発生した場合には、入賞に応じた得点を遊技点数に加算する。
【0031】
遊技機2は、遊技点を消費する遊技の実行に応じて各種の遊技信号をカードユニット4へ送信する。例えば、本例の遊技機2は、以下の各遊技信号をカードユニット4へ送信する。遊技機2が出力する遊技信号は、カードユニット4経由にて、中継装置109、管理装置10、遊技情報表示装置3、等に送信される。
【0032】
・セーフ信号:遊技者に付与される遊技点数であるセーフを特定可能な信号。
・アウト信号:発射されたパチンコ玉の数であるアウトを特定可能な信号。
・大当り信号:大当り状態を特定可能な信号。
・特別状態信号:大当り状態及び時短状態中に出力される信号。
・スタート信号:第1特図始動口221及び普図始動口223への入賞による図柄変動を特定可能な信号。
【0033】
カードユニット4は、対応する遊技機2から上記の各種の遊技信号を受信して稼動データ(遊技情報)を集計し記憶すると共に、中継装置109経由にて随時、管理装置10や遊技情報表示装置3に向けて稼動データや遊技信号を送信する。また、カードユニット4は、遊技者の入金残高や持点数などの得点数等、遊技者の所有価値の情報を随時、管理装置10へ送信する。なお、カードユニット4は、管理装置10から各種設定情報(遊技機番号、機種名、得点単価など)を受信し、記憶する。
【0034】
カードユニット4は、紙幣を受け付けると、その紙幣の額を入金残高(上限10000円)に加算して記憶する。遊技カードを受け付けたときは、カードユニット4は、管理装置10に対し、遊技カードに記録されたカード情報の照合を求める。管理装置10では、遊技カードのカードID(識別情報)を対応付けてカード情報が記憶されており、カードユニット4が読み取ったカード情報との照合に利用される。カードユニット4は、管理装置10による照合結果がOKのとき、そのカード情報に係る入金残高及び持点数を表示する。
【0035】
カードユニット4は、貸出釦44の操作など遊技者の求めに応じて遊技者の入金残高、貯玉、持点を遊技点に変換し、対応する遊技機2へ送信する。例えば貸出釦44が操作されたときには、一定金額(例えば1000円)ずつ遊技点(250点)に変換し、遊技機2へ送信する。例えば再遊技釦45が操作されたときには、持点を250点ずつ遊技点へ変換して遊技機2へ送信し、持点による再プレイを可能にする(再プレイ処理)。
【0036】
カードユニット4は、持点数、遊技点数、及び持点数と遊技点数との合計点数である全得点数、などの得点数を記憶、表示する。カードユニット4は、対応する遊技機2から得点の加算情報であるセーフ信号や減算情報であるアウト信号を受信し、記憶している得点数を更新する。そして、得点数の更新に応じて、得点数情報を中継装置109へ送信する。
【0037】
カードユニット4は、入金残高及び持点の少なくとも何れか一方が存在する状態で返却釦46が操作されたときは、その入金残高及び持点数を遊技カードに記録して発行する。遊技カードに持点数を記録する場合、獲得した遊技機2に対応する種別情報も対応付けて記録する。この持点数は持玉とも称される。なお、カードユニット4は、カードストッカーを内蔵し、最大10枚の遊技カードをストック可能である。
【0038】
(情報表示装置の構成)
遊技情報表示装置3(
図3)は、対応する遊技機2に関する各種の情報を表示する装置である。遊技情報表示装置3は、遊技機2の上方の壁面に埋設された状態で設置されている。通路側に面する遊技情報表示装置3の正面には、7セグメントによる表示部31と、液晶表示部33の表示画面330と、が配置され、左下部には、押込み式の呼出釦341が設けられている。さらに、正面の外周には、ほぼ全周に亘ってランプ部32が設けられている。
【0039】
遊技者側から向かって左側の7セグメントの表示部31には、大当たり回数やスタート回数等がデジタル表示される。向かって右側の液晶表示部(表示手段の一例)33の表示画面330のうちの最下部には、タッチパネルエリア350に対応する操作釦表示領域335が設けられている。この操作釦表示領域335には、最大で上下2段、横10列の操作釦337を表示可能である。なお、後述する通り、操作釦表示領域335は、表示画面330に積層配置された透明シート状のタッチセンサシート35(
図4参照。)との組み合わせにより、タッチ操作可能なタッチパネルエリア350としての機能を発揮する。
【0040】
遊技情報表示装置3は、管理装置10から各種の設定情報や対応する遊技機2に関する情報を受信すると共に、対応する遊技機2及びカードユニット4から各種の遊技信号や遊技情報を中継装置109経由で受信する。遊技情報表示装置3は、受信した設定情報や遊技信号や遊技情報等に基づいて各種の表示用情報を作成して表示(出力)する。
【0041】
管理装置10から受信する設定情報としては、例えば、対応する遊技機2の機種名、識別情報となる台番号、大当り確率や大当り出玉数などの遊技性能、等の情報がある。カードユニット4から受信する対応する遊技機2の遊技情報としては、例えば、大当り抽選回数(スタート回数)、大当りの発生回数、遊技点数や、持点数、等の情報がある。
【0042】
遊技情報表示装置3は、中継装置109経由で受信した遊技信号や遊技情報に基づき、スタート回数や大当り回数等の各種稼動データを集計し表示したり、遊技状態を区別して遊技状態の表示を行ったりする。なお、遊技情報表示装置3で表示する内容については、管理装置10でも表示しても良い。
【0043】
遊技情報表示装置3は、
図4のごとく、本体制御部30を中心として電気的に構成されている。本体制御部30は、ソフトウェアを実行して各種演算を実施するCPU、メモリ手段としてのROM・RAM、信号の入出力を行うI/O部を含んでいる。本体制御部30に対しては、外部と信号の送受信を実行するI/F部308、液晶表示部33、従業員の呼出機能を有するランプ部32、呼出釦341、リモコン受光部347、及びタッチセンサ制御部303等が電気的に接続されている。
【0044】
本体制御部30は、表示手段としての液晶表示部33に複数の操作釦337を表示させる制御手段としての機能を有する。制御手段としての本体制御部30は、液晶表示部33による表示画面330の最下部の操作釦表示領域335に、複数の操作釦337を表示させる。操作釦表示領域335では、上下2段、横10列の操作釦337が表示される。
【0045】
タッチセンサ制御部303には、タッチセンサ部の一例をなすタッチセンサシート35が接続されている。透明シート状のタッチセンサシート35は、液晶表示部33による操作釦表示領域335をカバーできるよう、表示画面330に積層配置されている。タッチセンサシート35は、相互静電容量方式のタッチセンサが設けられた電子部品である。遊技情報表示装置3では、液晶表示部33の表示画面330のうち、タッチセンサシート35が積層配置された部分(操作釦表示領域335)がタッチパネルエリア350として機能する。
【0046】
タッチセンサシート35では、上下2段、横10列の20箇所の検知範囲351が設定されている(
図5)。タッチセンサシート35による各検知範囲351は、操作釦表示領域335に表示される上下2段、横10列の操作釦337に対応するように設けられている。なお、タッチセンサシート35における検知範囲351の構成については、後で詳しく説明する。
【0047】
タッチセンサ制御部303は、タッチセンサシート35のいずれの検知範囲351がタッチされたかを検知する検知回路としての機能を備えている。タッチセンサ制御部303は、タッチセンサシート35上の電極(36、37)間の電界変化に伴う静電容量の変化を検知すると、静電容量が変化した電極の所在に応じてタッチされた検知範囲351を特定する。タッチセンサ制御部303は、タッチされた検知範囲351の位置を示す情報を本体制御部30に入力する。本体制御部30は、操作釦表示領域335において選択された操作釦337を特定し、その操作釦337に対応付けられた機能に応じた内容が表示画面330に表示されるように液晶表示部33を制御する。
【0048】
本例の遊技情報表示装置3では、タッチセンサシート35の電気的な構成に技術的な工夫があり、タッチ操作の検知確実性が高められている。この内容について詳しく説明する。
【0049】
タッチパネルエリア350に対応する操作釦表示領域335では、
図5のごとく、遊技者の多様な要求に対応できるよう、複数の操作釦337が表示される。本例の遊技情報表示装置3では、操作釦337が上下2段、横10列に配置され、これにより、遊技者の多様な要求に対応できるようになっている。
【0050】
タッチパネルエリア350を構成するタッチセンサシート35では、操作釦表示領域335の各操作釦337に対応して検知範囲351が1つずつ設けられている。タッチセンサシート35では、上下2段の操作釦337に対応する上下2段の検知範囲351が最小単位をなし、この最小単位が横10列をなすように配置されている。
【0051】
本例のタッチセンサシート35は、相互静電容量方式のタッチセンサシートである。このタッチセンサシート35では、
図6のごとく、各検知範囲351において、送信側電極36と受信側電極37とが隙間を空けて対向配置されている。送信側電極36と受信側電極37との間の静電容量変化がタッチセンサ制御部303により検出され、タッチ操作が検知される。
【0052】
仮に、検知範囲が1次元的に配置されている場合であれば、各検知範囲からタッチセンサ制御部303への電気経路の取り回しは比較的容易である。一方、本例のように上下2段、横10列に亘って、2次元的に検知範囲351が配置されている場合には、タッチセンサ制御部303から見て奥側に位置しており、電気的な経路が長い方の一方の検知範囲351への電気経路の取り回しの難易度が高くなる。
【0053】
上下2段、横10列の検知範囲351をタッチセンサシート35に配置する場合、例えば
図6のような電極パターンが考えられる。この電極パターンでは、上下2段の検知範囲351の間で送信側電極36が共通電極となっている一方、検知範囲351毎の受信側電極37が、検知回路の一例をなすタッチセンサ制御部303から電気的に延設されている。
【0054】
図6の電極パターンでは、上下2段の検知範囲351のうちの上段の検知範囲351の受信側電極37に至る電気経路378が、下側の検知範囲351の外側の隣接領域359に設けられている。この隣接領域359は、下段の検知範囲351の送信側電極36に接している。指等の導体が隣接領域359に近接した場合、電気経路378と送信側電極36との間の電界変化に伴う静電容量の変化が生じ、これにより、上段の検知範囲351へのタッチ操作として誤検知される可能性が高い。
図6の電極パターンの構成では、誤検知の原因となるこの隣接領域359による侵食により、下段の検知範囲351の横幅が狭くなってしまっている。
【0055】
例えば、
図7の操作釦表示領域335が表示画面330に表示された場合、下段の操作釦337を確実に選択するには、操作釦337の右端部に位置する上記の隣接領域359を避けてタッチ操作する必要がある。下段の操作釦337の右端にタッチした場合には、上段の操作釦337に対するタッチ操作として誤検知されてしまう可能性がある。このように
図6の電極パターンでは、上段の検知範囲351の受信側電極37に至る電気経路378(
図6参照。)の取り回しに起因し、誤検知が増える可能性が高い。
図6の電極パターンの場合、誤検知の発生に応じて遊技者による操作性が損なわれる可能性が高い。
【0056】
仮に、上段の検知範囲と下段の検知範囲とを別々のタッチセンサシートで構成する等、上段の検知範囲と下段の検知範囲とで送信側電極が独立していれば、上段の検知範囲の受信側電極に至る電気経路と、下段の検知範囲の送信側電極が隣り合っていても誤検知が生じることがない。しかしながら、2片のタッチセンサシートを組み込めば、製品コストの上昇が不可避となる。製品コストを抑えるためには、誤検知を抑制しながら上下2段の検知範囲を構成可能なタッチセンサシートが必須である。
【0057】
本例では、
図8及び
図9に示す電極パターンを設けたタッチセンサシート35を採用することで、誤検知を抑制しながら、上下2段に亘る検知範囲351の配列を可能にしている。なお、以下の説明では、上下2段の検知範囲351の配列方向を上下方向といい、上下2段の検知範囲351がなす最小単位(ユニット)353の配列方向(並列方向)を横方向という。
図9は、最小単位353に相当する
図8中のA部の拡大図である。
【0058】
図8及び
図9のタッチセンサシート35では、
図6のタッチセンサシートと同様、上下2段の検知範囲351よりなる最小単位353が、横10列に亘って並列配置されている。矩形状を呈する最小単位353では、
図9に例示する電極パターンが形成されている。最小単位353の2つの検知範囲351は、ほぼ同じ大きさ、外形の矩形状をなしている。検知範囲351が上下2段に隣接する最小単位353は、縦長の矩形状をなしている。
【0059】
最小単位353のうちの上段の検知範囲351では、外周縁部をなす4辺のうちの左右の2辺(横方向に対向する2辺)に沿って送信側電極36が設けられている。これら横方向に対向する一対の送信側電極36は、検知範囲351の外周縁部をなす4辺のうちの横方向の上辺に沿って設けられた電気的な経路によって電気的に接続されている。なお、この上辺に沿う電気的な経路は、送信側電極36としての機能を有している。
【0060】
最小単位353のうちの下段の検知範囲351では、外周縁部をなす4辺のうちの上下の2辺(上下方向に対向する2辺)に沿って送信側電極36が設けられている。これら上下方向に対向する一対の送信側電極36は、検知範囲351の外周縁部をなす4辺のうちの図中、左辺に沿って設けられた経路を介して電気的に接続されている。なお、この左辺に沿う電気的な経路は、送信側電極36としての機能を有すると共に、上段の検知範囲351の左辺の送信側電極36と一体をなしている。
【0061】
図8の電極パターンの構成では、上下段の検知範囲351の送信側電極36が共通電極となっている。下段の検知範囲351の上辺に沿っており、上下段の検知範囲351の境界に位置する送信側電極36は、上段の検知範囲351の送信側電極36としての機能を有している。
【0062】
最小単位353に属する各検知範囲351では、一対の送信側電極36が対向する方向に沿って各送信側電極36から他方の送信側電極36に向けて突き出す髭状の電極369aが形成されている。各送信側電極36の髭状の電極369aは、櫛歯状電極369の1本1本の歯をなしている。各送信側電極36の櫛歯状電極369は、一対の送信側電極36が対向する方向において互いに噛み合う状態で対向している。
【0063】
最小単位353の各検知範囲351では、互いに噛み合うように対向配置された櫛歯状電極369の間に矩形波状の隙間が形成されている。受信側電極37は、この矩形波状の隙間を通過できるよう、矩形波状をなすように設けられている。上段の検知範囲351の受信側電極37は、矩形波状の端部から下方に延設された電気経路378によりタッチセンサ制御部303と電気的に接続されている。この電気経路378は、下段の検知範囲351の側方を経由してタッチセンサ制御部303に至っている。電気経路378は、最小単位353において2つの検知範囲351が隣り合う方向である上下方向に沿って設けられている。
【0064】
電気経路378は、下段の検知範囲351の矩形波状の受信側電極37の端部と隣り合わせて平行をなすように設けられている。端部をなす受信側電極37は、下段の検知範囲351の外周縁部のうちの隣りの最小単位353に面する側の縁部に沿うように設けられている。
【0065】
図8及び
図9の電極パターンの構成では、電気経路378と送信側電極36との間に、下段の検知範囲351の受信側電極37が介在している。下段の検知範囲351の受信側電極37は、送信側電極36と電気経路378との間の電界変化を阻害するように作用する。そのため、電気経路378に指が近接した場合であっても、電気経路378と送信側電極36との間の電界変化に伴う静電容量の変化が生じ難くなっており、誤検知が生じるおそれが少なくなっている。
【0066】
さらに、横10列に亘って最小単位353が並列配置されたタッチセンサシート35では、横方向に隣り合う最小単位353の境界に対して電極パターン及び電気経路378が線対称をなすように配置されている。
【0067】
例えば、左端から奇数番目の最小単位353と、次の偶数番目の最小単位353と、が隣り合う組合せでは、下段の2つの検知範囲351において、それぞれ、外周縁部をなす4辺のうちの最小単位353の境界に当たる辺を除く3辺に沿って送信側電極36が設けられている。そして、隣り合う最小単位353の境界に当たる辺に沿って、上段の受信側電極37に至る電気経路378が設けられている。この境界では、上段の2つの検知範囲351の受信側電極37に至る電気経路378が隣り合わせで平行をなすように敷設されている。
【0068】
図8及び
図9の電極パターンの構成では、最小単位353の矩形状の外周縁部のうち、上下方向の縁部を含む3辺に送信側電極36が設けられている。例えば、左端から偶数番目の最小単位353と、次の奇数番目の最小単位353と、が隣り合う組合せでは、隣り合う最小単位353の境界に沿って送信側電極36が設けられ、隣り合う最小単位353の間で共用されている。隣り合う最小単位353の間で共用される送信側電極36は、最小単位353の左右両側のうち、上記の電気経路378が設けられた側の反対側に位置している。
【0069】
このように隣り合う最小単位353の電極パターンや電気経路378を線対称とすれば、上段の検知範囲351の受信側電極37から延設された電気経路378が送信側電極36と隣り合うようなことがなくなり、誤検知を誘発するおそれを抑制できる。隣り合う最小単位353の境界に、誤検知を誘発する領域が生じることがなく、そのような領域によって下段の検知範囲351が侵食されることもない。
【0070】
以上のように、本発明の遊技情報表示装置3が備える液晶表示部(表示手段)33は、相互静電容量方式のタッチセンサシート(タッチセンサ部)35と、タッチセンサシート35に対するタッチ操作を検知するタッチセンサ制御部(検知回路)303と、を備えている。タッチセンサシート35では、隣り合わせの2つの検知範囲351が最小単位353となっており、各検知範囲351において送信側電極36と受信側電極37とが隙間を空けて対向するように設けられている。タッチセンサ制御部303は、送信側電極36と受信側電極37との間の電界の変化に起因する静電容量の変化に基づいてタッチ操作を検知する。
【0071】
本例の遊技情報表示装置3では、タッチセンサシート35の最小単位353の2つの検知範囲351のうち、タッチセンサ制御部303からの電気的な経路が長い方の上段の検知範囲351(一方の検知範囲の一例。)の送信側電極36と、他方の下段の検知範囲351(他方の検知範囲の一例。)の送信側電極36とが、共通電極をなしている。2つの検知範囲351の送信側電極36が共通電極であれば、相互に独立した電極が必須である構成と比べて製品コストを抑制できる。一方、送信側電極36が共通電極であると、2つの検知範囲351の間で誤検知の可能性が生じる。
【0072】
本例の遊技情報表示装置3では、タッチセンサ制御部303からの電気的な経路が長い方の上段の検知範囲303について、受信側電極37とタッチセンサ制御部303との間の電気経路378の取り回しに技術的な工夫がある。この電気経路378は、最小単位353における他方の下段の検知範囲351の受信側電極37に沿って設けられ隣り合わせとなっている。受信側電極37と隣り合う電気経路378であれば、例えば指が近接した場合であっても、送信側電極36との間の電界が変化する可能性が低く、電界の変化に伴う静電容量の変化を抑制できる。電気経路378と送信側電極36との間に位置する受信側電極37は、電気経路378と送信側電極36との間の静電容量の変化を阻害するように機能する。それ故、電気経路378の存在によって誤検知が発生するおそれが少なくなっている。電気経路378に起因する誤検知が発生し得る領域により、下段の検知範囲351が侵食されるようなこともない。
【0073】
本例は、最小単位353の2つの検知範囲351の送信側電極36が共通電極であるという低コスト化に有利な構成例である。この構成例は、コスト的な優位性がある一方、電極パターンの構成によっては誤検知が生じ易くなる。本例では、タッチセンサ制御部303からの電気的な経路が長い方の上段の検知範囲351の受信側電極37から延設された電気経路378の取り回しを工夫することで、誤検知を抑制している。本例の遊技情報表示装置3は、検知精度の高いタッチ操作が可能であると共に、その高精度なタッチ操作機能が安価な構成により実現された優れた特性の装置である。
【0074】
遊技情報表示装置3は、表示手段としての液晶表示部33を制御することにより複数の操作釦337を表示させる制御手段としての本体制御部30を備えている。液晶表示部33は、最小単位353の2つの検知範囲351のうちの各検知範囲351に対応する操作釦337を表示可能である。各検知範囲351に対応して操作釦337を表示すれば、操作釦337の表示数を多くでき、遊技者に多くの選択肢を提供できる。
【0075】
タッチセンサシート35では、最小単位353が10列、並列して設けられると共に、隣り合う2つの最小単位353では、送信側電極36及び受信側電極37のパターンである電極パターンが対称をなしている。電極パターンを対称に設ければ、上段の検知範囲351の受信側電極37から延設された電気経路378に起因する誤検知のおそれを抑制できる。
【0076】
最小単位353の2つの検知範囲351は略矩形状をなしている。略矩形状をなす各検知範囲351では、外周縁部をなす4辺のうち、少なくとも対向する2辺に沿うように一対の送信側電極36が設けられている。さらに、各検知範囲351では、一方の送信側電極36から他方の送信側電極36に向けて互いに噛み合うように突出する櫛歯状電極369が設けられている。最小単位353の2つの検知範囲351では、互いにかみ合う櫛歯状電極369の間隙を通る矩形波状をなすように受信側電極37が形成されている。送信側電極36をなす互いに噛み合う櫛歯状電極369と、受信側電極37をなす矩形波状電極と、の組合せによれば、検知範囲351に対するタッチ操作を確実性高く検知できる。
【0077】
さらに、本例の遊技情報表示装置3では、最小単位353の2つの検知範囲351の間で、一対の送信側電極36が対向する方向が互いに直交している。一対の送信側電極36が対向する方向、すなわち互いに噛み合う櫛歯状電極369が対向する方向、が上下段の検知範囲351の間で直交している場合、上段の検知範囲351の受信側電極37から延設された電気経路378の敷設が容易になる。例えば電気経路378が上段の検知範囲351から下段の検知範囲351に向かって延びている場合、下段の検知範囲351における送信側電極36の対向方向を上下方向に設定すると良い。この場合には、下段の検知範囲351の外周縁部をなす4辺のうち、送信側電極36が未形成の上下方向の辺に隣り合うように電気経路378を敷設すると良い。
【0078】
以上のように、本例の遊技情報表示装置3は、最大で上下2段、横10列で配置された操作釦337に対するタッチ操作が可能な装置である。この遊技情報表示装置3では、2次元的な検知範囲351の配列を1片のタッチセンサシート35によって実現しながら、誤検知が少ない高い検知精度を確保している。
【0079】
なお、本例では、各検知範囲351の受信側電極37として、矩形波状のパターンを採用しているが、検知範囲351の全域に亘って検知できれば良く、受信側電極37のパターンの形状は矩形波状に限定されない。例えば、蛇行パターンの受信側電極37を採用しても良い。
【0080】
(実施例2)
本例は、実施例1の遊技情報表示装置に基づき、タッチ操作の検知精度をさらに高めるための工夫を電極パターンに加えた構成例である。この内容について、
図10を参照して説明する。
【0081】
本例の構成では、各最小単位353の下段の矩形状の検知範囲351の外周縁部をなす4辺のうちの上辺に沿うように設けられた送信側電極36の先端36pと、上段の検知範囲351の受信側電極37から延設された電気経路378と、の間に、下段の検知範囲の受信側電極37が介在している。具体的には、下段の検知範囲351の受信側電極37のうち、上記の電気経路378と平行をなす部分に、上方に向かって髭状に突き出す突出部371が設けられている。この突出部371は、下段の検知範囲351の上辺に沿う送信側電極36の先端36pと、上段の検知範囲351の受信側電極37に至る電気経路378と、の間隙に位置している。
【0082】
本例の構成では、下段の検知範囲351の上辺に沿う送信側電極36の先端36pと、上段の検知範囲351の受信側電極37から延設された電気経路378と、の間隙に、下段の検知範囲351の受信側電極37が突き出している。これにより、送信側電極36と電気経路378とが隣り合う位置関係が回避されている。受信側電極37の突出部371によれば、送信側電極36と電気経路378との間の電界の変化を抑制でき、電界の変化に伴う静電容量の変化を抑制して誤検知を少なくできる。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
【0083】
(実施例3)
本例では、実施例1及び2の遊技情報表示装置3の動作内容を説明する。この内容について、
図5及び
図11~
図13を参照して説明する。
(第1の動作例)
図11中の表示画面では、1段10列の操作釦337が最下部に配置されている。同図の場合、タッチセンサシート(
図5中の符号35)が備える上下2段、横10列の検知範囲(
図5中の符号351)のうち、下段の検知範囲に対して操作釦337が割り当てられている。遊技情報表示装置3は、表示画面330上の操作釦337のいずれかが指でタッチ操作されると、その操作釦337に対応する動作を開始する。操作釦337に対応する動作としては、例えばグラフなどの表示画面への切替や、関連項目の表示、等がある。
【0084】
例えば、
図11に表示された横10列の操作釦337のうち、右から4番目の「詳細データ」の操作釦337dは、関連項目である「ランキング」、「内訳」、「勝率」、「カレンダー」を表示させるための操作釦である。「詳細データ」の操作釦337dがタッチ操作されると、表示画面330において「ランキング」、「内訳」、「勝率」、「カレンダー」の4つの操作釦337が上段に表示される(
図12)。
【0085】
これら4つの操作釦337は、タッチセンサシートの上下2段、横10列の検知範囲のうち、上段の4つの検知範囲に対応している。このように、いずれかの操作釦337へのタッチ操作に応じて、新たな操作釦337を上段に表示すれば、表示項目が多くなる場合であっても遊技者が所望する項目を選択する際の操作性が損なわれるおそれが少ない。
【0086】
なお、第1の動作例では、下段のいずれかの操作釦337へタッチ操作した際に、上段に対応する関連項目の操作釦337が表示される。これに代えて、上段の関連項目の操作釦337を常時、表示することも良い。さらに、上段の関連項目の操作釦337を下段に表示してもいいし、上段に操作釦337を表示しておき、タッチ操作に応じて下段に関連項目の操作釦337が表示されるようにしても良い。また、新たに表示する操作釦337の個数はどのように設定されても良い。
【0087】
(第2の動作例)
第2の動作例は、
図13のごとく、タッチセンサシート(
図5中の符号35)の複数の検知範囲351を、1つの操作釦337として機能させる動作例である。タッチセンサシートは、実施例1と同様、検知範囲が上下2段、横10列に亘って配置されたものである。遊技情報表示装置3は、上下左右に隣接する4箇所の検知範囲351を、1つの操作釦337として機能させる制御が可能である。
【0088】
図13の例では、上下段、横2列に亘る4箇所の検知範囲351に対応して大きな1つの操作釦337(同図では詳細釦)が表示されている。同図の「詳細釦」337は、タッチ操作に応じて、関連項目に対応する4つの操作釦337(「ランキング」、「内訳」、「勝率」、「カレンダー」)の表示に切り替わる。
【0089】
操作釦337へのタッチ操作に応じて別の操作釦337を切替表示するに当たって、切替表示前の操作釦337の内容と、切替表示後の操作釦337の内容と、が相互に関連するものであると良い。切替表示する操作釦337の内容は、どのような内容であっても良い。例えば、切替表示前の操作釦337が休憩を示すものである場合であれば、タッチ操作に応じて、食事休憩やトイレ休憩やたばこ休憩などの様々な「休憩時間」を示す操作釦337を切替表示しても良い。さらには、遊技者の年齢のような属性に応じて操作釦337の表示態様や表示内容や組合せ等を変更しても良い。その場合、最小単位353の並列方向である横方向に隣り合う複数の検知範囲351を組み合わせて、一の操作釦を表示することも良い。
なお、その他の構成及び作用効果は実施例1あるいは2と同様である。
【0090】
(実施例4)
本例は、実施例1の遊技情報表示装置に基づき、複数の検知範囲に対応する大型の操作釦を表示可能とした構成例である。この内容について、
図14~
図16を参照して説明する。
【0091】
図14は、例えば月間の日毎のスランプグラフ339の表示画面330である。この表示画面330では、1週間に対応する横7マスのスランプグラフ339が上下4段に亘って配置されている。スランプグラフ339は、出玉の変化を表す折れ線グラフである。この表示画面330では、2次元的に配置されたスランプグラフ339のうちの選択中の一のスランプグラフがハイライト表示(図中ではドットハッチングで図示。)されている。
【0092】
表示画面330の下部のタッチパネルエリア350(操作釦表示領域)には、いずれかのスランプグラフ339を選択するための十字操作釦337cと、「詳細」釦337dと、が左詰めで配置されている。十字操作釦337c及び「詳細」釦337dは、それぞれ、2段2列の4つの検知範囲に対応する大型の操作釦である。十字操作釦337cは、方向選択釦の一例である。
【0093】
表示手段としての液晶表示部33は、隣り合わせて配置された2つの最小単位353に属する4カ所の検知範囲351に対応する一の操作釦を表示可能である。本例では、十字操作釦337c及び「詳細」釦337dが当該一の操作釦の一例である。
【0094】
「詳細」釦337dは、表示画面330上でハイライト表示されたスランプグラフ339の詳細データを表示させるための操作釦である。「詳細」釦337dがタッチ操作されると、ハイライト表示された選択中のスランプグラフ339に対応する1日の詳細な遊技情報の表示画面が切替表示される。なお、「詳細」釦337dに対応する4つの検知範囲351のうち、いずれの検知範囲351へのタッチ操作が検知されたかに関わらず、同様の表示動作が実行される。同時に複数の検知範囲351へのタッチ操作が検知された場合であっても同様である。
【0095】
十字操作釦337cは、2次元的に配置されたスランプグラフ339のいずれかを選択するための操作釦である。十字操作釦337cは、表示画面330上でハイライト表示された箇所を移動させるためのカーソル操作のための操作釦である。遊技者は十字操作釦337cを用いてカーソル操作でき、所望する日付のスランプグラフ339を選択できる。十字操作釦337cは、縦横左右の4方向に斜め4方向を加えた8方向のカーソル操作を受付可能である。十字操作釦337cでは、対応する4箇所の検知範囲351における静電容量の変化量のバランスに応じて何れの方向が選択操作されたが検知される。
【0096】
十字操作釦337cは、
図15のごとく2段2列の4箇所の検知範囲351に対応して設定される操作釦である。十字操作釦337cによれば、対応する4箇所の検知範囲351のうち、指等の導体の近接が検知された1箇所あるいは2箇所の検知範囲351の組合せに応じて方向を選択できる。
【0097】
十字操作釦337cによるタッチ操作の検知態様について、
図16の模式図を参照して説明する。同図は、説明の都合上、縦横左右の操作方向毎に、4つの検知範囲351(
図15)を示す模式図である。操作方向毎の4つの検知範囲351では、対応する操作位置が塗り潰しの黒丸によって示されている。
【0098】
以下の説明では、十字操作釦337cに対応する4つの検知範囲351の各受信側電極37を、上段から時計周りに、左上受信側電極37、右上受信側電極37、右下受信側電極37、左下受信側電極37という。
【0099】
例えば、
図16中の丸囲み数字1の4つの検知範囲351における黒丸の位置がタッチ操作された場合、左上受信側電極37および右上受信側電極37の静電容量が変化する。左上受信側電極37と右上受信側電極37とで静電容量の変化量が同程度のため、
図16中の丸囲み数字1の4つの検知範囲351における黒丸の位置へのタッチ操作として検知される。上方向の操作方向を選択するこのタッチ操作に応じて、カーソルとしてハイライト表示されたスランプグラフは上方向に移動(カーソル移動)する。
【0100】
例えば、
図16中の丸囲み数字2の4つの検知範囲351における黒丸の位置がタッチ操作された場合、左上受信側電極37および右上受信側電極37の静電容量が変化する。この場合は、右上受信側電極37の方が静電容量の変化量が大きくなることから、
図16中の丸囲み数字2の4つの検知範囲351における黒丸の位置へのタッチ操作として検知される。右斜め上方向の操作方向を選択するこのタッチ操作に応じて、右斜め上方向にカーソル(ハイライト表示されたスランプグラフ)が移動する。
【0101】
例えば、
図16中の丸囲み数字3の4つの検知範囲351における黒丸の位置がタッチ操作された場合、左下受信側電極37および右下受信側電極37の静電容量が変化する。この場合の静電容量の変化量は、左下受信側電極37と右下受信側電極37とで同程度であることから、
図16中の丸囲み数字3の4つの検知範囲351における黒丸の位置へのタッチ操作として検知される。下方の操作方向を選択するこのタッチ操作に応じて、カーソルが下方に移動する。
【0102】
例えば、
図16中の丸囲み数字4の4つの検知範囲351における黒丸の位置がタッチ操作された場合、左上受信側電極37および左下受信側電極37の静電容量が変化する。この場合の静電容量の変化量は、左上受信側電極37と左下受信側電極37とで同程度であることから、
図16中の丸囲み数字4の4つの検知範囲351における黒丸の位置へのタッチ操作として検知される。左方向の操作方向を選択するこのタッチ操作に応じて、カーソルが左方に移動する。
【0103】
このように十字操作釦337cは、上下左右に斜め4方向を加えた8方向へのタッチ操作が可能である。遊技者は十字操作釦337cへのタッチ操作に応じて、カーソルとしてハイライト表示されたスランプグラフ339を移動させることができる。このように表示画面330のタッチパネルエリア350上に十字操作釦337cを構成すれば、別途、機械的な十字釦等を備える必要がなくなる。この場合には、部品点数を少なくして製品コストを抑制しながら、十字釦操作を実現でき、遊技者の操作性を良好にできる。
【0104】
なお、本例では、上下左右、4箇所の検知範囲に対応する一の操作釦337cを例示したが、4箇所ではなく6箇所の検知範囲に対応する一の操作釦や、2箇所の検知範囲に対応する一の操作釦であっても良い。
その他の構成及び作用効果については、実施例1~3のいずれかの例と同様である。
【0105】
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
【符号の説明】
【0106】
1 遊技場用システム
10 管理装置
100 場内ネットワーク
2 遊技機
21 パチンコ遊技機
3 遊技情報表示装置
30 本体制御部(制御手段)
303 タッチセンサ制御部(検知回路)
308 I/F部
31 表示部
33 液晶表示部(表示手段)
330 表示画面
335 操作釦表示領域
337 操作釦
341 呼出釦
35 タッチセンサシート(タッチセンサ部)
350 タッチパネルエリア
351 検知範囲
36 送信側電極
37 受信側電極
378 電気経路
359 隣接領域
353 最小単位
369 櫛歯状電極
369a 髭状の電極
4 カードユニット