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特開2024-80157半導体装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080157
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20240606BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240606BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20240606BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H01L29/78 652N
H01L29/78 653A
H01L29/78 652M
H01L29/78 658F
H01L29/78 652T
H01L29/78 655A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193101
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104190
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 昭徳
(72)【発明者】
【氏名】新村 康
(72)【発明者】
【氏名】山口 一哉
(57)【要約】
【課題】フィールド酸化膜が薄くなることを防止できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置70は、第1導電型の半導体基板1と、第1導電型のドリフト層2と、第2導電型のベース層5と、を備え、第1導電型のソース領域6と、トレンチ18と、ゲート絶縁膜7と、ゲート電極8と、を有する主電流が流れる活性領域50と、ゲート電極8と接続された導電膜22が接触するコンタクトホールを有する、活性領域50の周囲を囲む終端領域60と、を備える。終端領域60は、導電膜22とドリフト層2とを絶縁するフィールド酸化膜20を有し、フィールド酸化膜20は、コンタクトホール内での厚さが、コンタクトホール外の厚さより、54nm以上85nm以下薄い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の半導体基板と、
前記半導体基板の第1主面上に設けられた第1導電型のドリフト層と、
前記ドリフト層の表面層に設けられた第2導電型のベース層と、を備え、
前記ベース層の表面層に選択的に設けられた第1導電型のソース領域と、前記ソース領域の表面から前記ドリフト層に達するトレンチと、前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、を有する主電流が流れる活性領域と、
前記ゲート電極と接続された導電膜が接触するコンタクトホールを有する、前記活性領域の周囲を囲む終端領域と、を備え、
前記終端領域は、前記導電膜と前記ドリフト層とを絶縁するフィールド酸化膜を有し、
前記フィールド酸化膜は、前記コンタクトホール内での厚さが、前記コンタクトホール外の厚さより、54nm以上85nm以下薄いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記コンタクトホールの側壁および底部を覆うバリアメタルと、
前記バリアメタルに埋め込まれたコンタクトプラグと、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の第1主面上に配置された第1導電型のドリフト層と、前記ドリフト層のおもて面に設けられた主電流が流れる活性領域と、前記活性領域の周囲を囲む終端領域と、を備える半導体装置の製造方法であって、
前記ドリフト層の表面層に第2導電型のベース層を形成する第1工程と、
前記終端領域の前記ドリフト層の表面にフィールド酸化膜を形成する第2工程と、
前記ベース層の表面から前記ドリフト層に達するトレンチを形成する第3工程と、
前記ベース層の上面全体にゲート絶縁膜を形成する第4工程と、
前記ゲート絶縁膜の上面全体にポリシリコンを堆積する第5工程と、
前記ポリシリコンをエッチングして、前記トレンチ内のゲート電極と前記終端領域の導電膜を形成する第6工程と、
前記ベース層の表面層に選択的に第1導電型のソース領域を形成する第7工程と、
前記ドリフト層の上面全体に層間絶縁膜を形成する第8工程と、
前記層間絶縁膜の一部を除去して、前記活性領域では前記ベース層に達し、前記終端領域では、前記導電膜に達するコンタクトホールを形成する第9工程と、
前記コンタクトホール内に熱処理により酸化膜を形成する第10工程と、
前記酸化膜をエッチングにより除去する第11工程と、
前記活性領域では前記コンタクトホール内にソース電極を形成し、前記終端領域では前記コンタクトホール内にゲート金属電極を形成する第12工程と、
を含み、
前記第10工程では、最初のみ、酸素が含まれるガスを用い、この後の期間は酸素を遮断して熱処理することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第1工程を、前記第6工程後かつ前記第7工程前に行うことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第10工程では、最初のみ、酸素が含まれるガスで920℃以上1100℃以下の温度で15秒以上60秒以下加熱して、この後、酸素が含まれない窒素のみのガスで30分熱処理することを特徴とする請求項3または4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記酸素が含まれるガスは、酸素濃度が100%のガスであることを特徴とする請求項3または4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第11工程より後、前記第12工程より前に、
前記コンタクトホールの側壁および底部をバリアメタルで覆い、前記バリアメタルにコンタクトプラグを埋め込む第13工程をさらに含むことを特徴とする請求項3または4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第10工程で形成される酸化膜の厚さは、2.5nm以上10nm以下であることを特徴とする請求項3または4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第11工程では、前記フィールド酸化膜は前記コンタクトホール内で3.75nm以上15nm以下エッチングされることを特徴とする請求項3または4に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ゲート電極と接続されたゲート金属が接触するゲートコンタクトを有する、活性領域の周囲を囲む終端領域を備え、終端領域は、第2導電型のベース層と接続し、ゲートコンタクトの底部まで延在する第2導電型の第1半導体領域を有する半導体装置および半導体装置の製造方法が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-152522号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の半導体装置の製造方法では、ゲートコンタクトにおいて、ゲート金属と第2導電型の第1半導体領域とを絶縁するフィールド酸化膜が薄くなるという課題があった。この発明は、フィールド酸化膜が薄くなることを防止できる半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置は、次の特徴を有する。半導体装置は、第1導電型の半導体基板の第1主面上に設けられた第1導電型のドリフト層と、前記ドリフト層の表面層に設けられた第2導電型のベース層と、を備える。半導体装置は、前記ベース層の表面層に選択的に設けられた第1導電型のソース領域と、前記ソース領域の表面から前記ドリフト層に達するトレンチと、前記トレンチの内部にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、を有する主電流が流れる活性領域と、前記ゲート電極と接続された導電膜が接触するコンタクトホールを有する、前記活性領域の周囲を囲む終端領域と、を備える。前記終端領域は、前記導電膜と前記ドリフト層とを絶縁するフィールド酸化膜を有し、前記フィールド酸化膜は、前記コンタクトホール内での厚さが、前記コンタクトホール外の厚さより、54nm以上85nm以下薄い。
【0006】
また、この発明にかかる半導体装置は、上述した発明において、前記コンタクトホールの側壁および底部を覆うバリアメタルと、前記バリアメタルに埋め込まれたコンタクトプラグと、をさらに備えることを特徴とする。
【0007】
上述した課題を解決し、本発明の目的を達成するため、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、次の特徴を有する。第1導電型の半導体基板と、前記半導体基板の第1主面上に配置された第1導電型のドリフト層と、前記ドリフト層のおもて面に設けられた主電流が流れる活性領域と、前記活性領域の周囲を囲む終端領域と、を備える半導体装置の製造方法である。まず、前記ドリフト層の表面層に第2導電型のベース層を形成する第1工程を行う。次に、前記終端領域の前記ドリフト層の表面にフィールド酸化膜を形成する第2工程を行う。次に、前記ベース層の表面から前記ドリフト層に達するトレンチを形成する第3工程を行う。次に、前記ベース層の上面全体にゲート絶縁膜を形成する第4工程を行う。次に、前記ゲート絶縁膜の上面全体にポリシリコンを堆積する第5工程を行う。次に、前記ポリシリコンをエッチングして、前記トレンチ内のゲート電極と前記終端領域の導電膜を形成する第6工程を行う。次に、前記ベース層の表面層に選択的に第1導電型のソース領域を形成する第7工程を行う。次に、前記ドリフト層の上面全体に層間絶縁膜を形成する第8工程を行う。次に、前記層間絶縁膜の一部を除去して、前記活性領域では前記ベース層に達し、前記終端領域では、前記導電膜に達するコンタクトホールを形成する第9工程を行う。次に、前記コンタクトホール内に熱処理により酸化膜を形成する第10工程を行う。次に、前記酸化膜をエッチングにより除去する第11工程を行う。次に、前記活性領域では前記コンタクトホール内にソース電極を形成し、前記終端領域では前記コンタクトホール内にゲート金属電極を形成する第12工程を行う。前記第10工程では、最初のみ、酸素が含まれるガスを用い、この後の期間は酸素を遮断して熱処理する。
【0008】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第1工程を、前記第6工程後かつ前記第7工程前に行うことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第10工程では、最初のみ、酸素が含まれるガスで920℃以上1100℃以下の温度で15秒以上60秒以下加熱して、この後、酸素が含まれない窒素のみのガスで30分熱処理することを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記酸素が含まれるガスは、酸素濃度が100%のガスであることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第11工程より後、前記第12工程より前に、前記コンタクトホールの側壁および底部をバリアメタルで覆い、前記バリアメタルにコンタクトプラグを埋め込む第13工程をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第10工程で形成される酸化膜の厚さは、2.5nm以上10nm以下であることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる半導体装置の製造方法は、上述した発明において、前記第11工程では、前記フィールド酸化膜は前記コンタクトホール内で3.75nm以上15nm以下エッチングされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法によれば、フィールド酸化膜が薄くなることを防止できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。
図2】実施の形態にかかる半導体装置のゲート金属電極の詳細構造を示す断面図である。
図3】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
図4】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
図5】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
図6】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
図7】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
図8】実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その6)。
図9】従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
図10】従来の半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その1)。
図11】従来の半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その2)。
図12】従来の半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その3)。
図13】従来の半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その4)。
図14】従来の半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その5)。
図15】従来の半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である(その6)。
図16】従来の半導体装置のゲート金属電極の詳細構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。本明細書および添付図面においては、nまたはpを冠記した層や領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、nやpに付す+および-は、それぞれそれが付されていない層や領域よりも高不純物濃度および低不純物濃度であることを意味する。+および-を含めたnやpの表記が同じ場合は近い濃度であることを示し濃度が同じとは限らない。なお、以下の実施の形態の説明および添付図面において、同様の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。そして、同じまたは同等との記載は製造におけるばらつきを考慮して±5%以内まで含むとするのがよい。
【0017】
(実施の形態)
最初に、従来の半導体装置について説明する。図9は、従来の半導体装置の構造を示す断面図である。従来の半導体装置の構造について、トレンチ型MOSFET170を例に説明する。トレンチ型MOSFET170は、活性領域150と、活性領域外周部155と、活性領域外周部155の周囲を囲むエッジ終端領域160とを備える。活性領域150および活性領域外周部155は、オン状態のときに電流が流れる領域である。エッジ終端領域160は、ドリフト領域の半導体基体おもて面側の電界を緩和し耐圧を保持する耐圧保持領域を含む。
【0018】
トレンチ型MOSFET170では、n+型半導体基板101のおもて面にn型ドリフト層102が堆積される。活性領域150には、p型ベース層105、n+型ソース領域106、p++型コンタクト領域133、ゲート絶縁膜107、ゲート電極108、トレンチ118から構成されるMOS構造が設けられている。活性領域外周部155にはMOS構造が設けられていない。さらに、トレンチ型MOSFET170には、層間絶縁膜109、ソース電極110、裏面電極111が設けられている。層間絶縁膜109に設けられたコンタクトホール内にコンタクトプラグ114およびバリアメタル115が埋め込まれている。
【0019】
p型ベース層105は、活性領域150および活性領域外周部155において、n型ドリフト層102の表面上に設けられ、エッジ終端領域160では、n型ドリフト層102の表面上にフィールド酸化膜120が設けられる。また、エッジ終端領域160には、導電膜122を介してゲート電極108と電気的に接続するゲート金属電極113が設けられ、ゲート金属電極113は、n型ドリフト層102とフィールド酸化膜120で絶縁されている。
【0020】
次に、従来の半導体装置の製造方法について説明する。図10図15は、従来の半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、シリコンからなりn+型ドレイン層となるn+型半導体基板101を用意する。次に、n+型半導体基板101のおもて面上に、n+型半導体基板101より低不純物濃度のn型ドリフト層102をエピタキシャル成長させる。
【0021】
次に、活性領域150と活性領域外周部155の全面、およびエッジ終端領域160の一部に、p型ベース層105を形成し、エッジ終端領域160の一部にフィールド酸化膜120を形成する。ここまでの状態が図10に記載される。
【0022】
次に、活性領域150および活性領域外周部155において、p型ベース層105にトレンチ118を形成する。次に、p型ベース層105の表面に、ゲート絶縁膜107とゲート電極108となる導電膜(Poly-Si)とをこの順で形成する。次に、p型ベース層105の表面から、ゲート絶縁膜107と導電膜とをトレンチ118に残して他を除去する。次に、活性領域150において、イオン注入により、n+型ソース領域106を形成し、活性化させるための熱処理を行う。ここで、p++型コンタクト領域133を形成してもよい。これにより、エッジ終端領域160において、少なくとも導電膜がトレンチ118内のゲート電極108と電気的に接続して、フィールド酸化膜120を覆うフィールドプレートを形成するように導電膜122が残される。ここまでの状態が図11に記載される。
【0023】
次に、活性領域150、活性領域外周部155およびエッジ終端領域160において、表面を層間絶縁膜109で被覆する。ここまでの状態が図12に記載される。次に、活性領域150および活性領域外周部155では、n+型ソース領域106を貫通し、p型ベース層105に達し、エッジ終端領域160では、導電膜122に達するコンタクトホール121を形成する。活性領域150および活性領域外周部155のコンタクトホール121は、層間絶縁膜109のエッチングに続いてp型ベース層105(およびソース領域106)のエッチングを行うことにより形成される。活性領域150、活性領域外周部155およびエッジ終端領域160のコンタクトホール121は、同時に形成されてよい。活性領域150および活性領域外周部155のp型ベース層105のエッチングが行なわれる際、ポリシリコンよりなる導電膜122のエッチングレートがシリコン結晶よりなるp型ベース層105のエッチングレートより速いため、エッジ終端領域160のコンタクトホール121では、導電膜122を貫通し、下地のフィールド酸化膜120がエッチングに曝され、フィールド酸化膜120が若干エッチングされてしまう(例えば50~70nm)。ここまでの状態が図13に記載される。次に、コンタクトホール121の底にp型の不純物をイオン注入することによりp++型コンタクト領域133を形成する。
【0024】
次に、O2混合ガスを用い、コンタクトホール121に厚い酸化膜134を形成する。例えば、最初、N2を9.7slm、O2を0.3slmで10分熱処理し、次に、N2を0slm、O2を10slmで10分熱処理し、最後に、N2を10slm、O2を0slmで10分熱処理すること等により、例えば30~50nmの厚い酸化膜134を形成する。ここまでの状態が図14に記載される。ここで、層間絶縁膜109には、コンタクトホール121形成後の金属電極形成における平坦性の確保のため、リンなどのn型の不純物が含まれている。コンタクトホール121の底は、活性領域150ではn+型ソース領域106であるが、活性領域外周部155では、p型ベース層105であるため、熱処理時にリンが外方拡散し、n型の反転層が形成されて、寄生トランジスタができ、逆回復電流流入時に暴走し破壊してしまう場合がある。これを防止するために、熱処理時に、O2混合ガスを用い、SiとO2を反応させ、厚い酸化膜134により、リンの外方拡散を防止する方法が用いられている。厚い酸化膜134は熱酸化で形成されるため、エッジ終端領域160のコンタクトホール121では、下地フィールド酸化膜120と層間絶縁膜109は、材質がシリコンではないので、酸化膜がほとんど成長しない。
【0025】
次に、この厚い酸化膜134をフッ酸等のエッチングにより除去する。このエッチングにより、コンタクトホール121の幅が広がる。ここまでの状態が図15に記載される。次に、コンタクトホール121内にバリアメタル115およびコンタクトプラグ114を形成し、次に、表面に金属電極を被覆し、活性領域150とエッジ終端領域160で電極を分離することで、ソース電極110およびゲート金属電極113を形成する。これにより、活性領域150では、ソース電極110がバリアメタル115およびコンタクトプラグ114を介して、n+型ソース領域106およびp++型コンタクト領域133と接続する。活性領域外周部155では、ソース電極110がバリアメタル115およびコンタクトプラグ114を介して、p型ベース層105と接続する。エッジ終端領域160では、ゲート金属電極113がバリアメタル115およびコンタクトプラグ114を介して、導電膜122と接続する。
【0026】
次に、n+型半導体基板101の裏面に、裏面電極111を形成することで、図9に記載の半導体装置が作成される。
【0027】
しかしながら、コンタクトホール121の側壁にある厚い酸化膜134をエッチングする際に、下地のフィールド酸化膜120までエッチングされてしまう。例えば、30~50nmの厚い酸化膜を付けた場合、オーバーエッチング50%を考慮し45~75nmの酸化膜を除去できるエッチング処理をする。すると、下地のフィールド酸化膜120も45~75nm除去され、更に薄くなってしまう。
【0028】
図16は、従来の半導体装置のゲート金属電極の詳細構造を示す断面図である。このため、図16に示すように、コンタクトホール121の底で、フィールド酸化膜120の目減りh101が多くなり、フィールド酸化膜120の残厚h102が薄くなってしまう。例えば、例えば、フィールド酸化膜120の膜厚は350nmであり、目減りh101は、95nm以上145nm以下であり、コンタクトホール121の底の部分の残厚h102は、205nm以上255nm以下である。
【0029】
これにより、フィールド酸化膜120の底部で電界が高くなりやすくなり、フィールド酸化膜120としての機能が低下する場合がある。これを回避するため、フィールド酸化膜120の上のコンタクト形成プロセスを別にしたり、コストや平坦性の悪化をともなうが、ポリシリコンを厚くしたり、コンタクト突き抜けを抑えるためにコンタクトエッチング制御性の高い装置導入、管理をする必要があるという課題がある。
【0030】
以下に上述の課題を解決する実施の形態にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法を説明する。図1は、実施の形態にかかる半導体装置の構造を示す断面図である。実施の形態にかかる半導体装置の構造について、トレンチ型MOSFET70を例に説明する。
【0031】
トレンチ型MOSFET70は、シリコン(Si)からなる半導体基体(シリコン基体:半導体チップ)のおもて面(後述するp型ベース層5側の面)側にMOS(Metal Oxide Semiconductor)ゲートを備えたMOSFETである。このトレンチ型MOSFET70は、活性領域50と、活性領域外周部55と、活性領域50および活性領域外周部55の周囲を囲むエッジ終端領域60とを備える。活性領域50および活性領域外周部55は、オン状態のときに電流が流れる領域である。エッジ終端領域60は、ドリフト領域の半導体基体おもて面側の電界を緩和し耐圧を保持する耐圧保持領域を含む。活性領域50には、MOS構造が設けられ、活性領域外周部55にはMOS構造が設けられていない。
【0032】
なお、活性領域50と活性領域外周部55との境界は、トレンチの片側のみに後述するn+型ソース領域6が接するトレンチ18の中心である。活性領域外周部55とエッジ終端領域60との境界は、後述するソース電極10の端である。図1の活性領域50には、3つの単位セル(素子の機能単位)を示し、これらに隣接する他の単位セルを図示省略する。ここで、単位セルはトレンチ18の中心から隣のトレンチ18の中心までである。
【0033】
+型半導体基板(第1導電型の半導体基板)1は、例えばヒ素(As)またはリン(P)がドーピングされたシリコン単結晶基板である。n+型半導体基板1上には、n型ドリフト層(第1導電型のドリフト層)2が設けられている。n型ドリフト層2は、n+型半導体基板1よりも低不純物濃度を有し、例えばリンがドーピングされている低濃度n型層である。以下、n+型半導体基板1およびn型ドリフト層2を併せて半導体基体とする。n+型半導体基板1上には、n型バッファ層(不図示)がn+型半導体基板1よりも低不純物濃度で配置されていてもよい。n型バッファ層は、例えばリンがドーピングされている低濃度n型層である。半導体基体のおもて面側には、MOSゲート構造(素子構造)が形成されている。また、半導体基体の裏面には、ドレイン電極となる裏面電極11が設けられている。
【0034】
また、n型ドリフト層2の表面層中にp型ベース層(第2導電型のベース層)5が設けられ、p型ベース層5の表面層中には、n+型ソース領域(第1導電型のソース領域)6が選択的に設けられている。p型ベース層5の表面層中には、n+型ソース領域6と接するp++型コンタクト領域33が選択的に設けられていてもよい。
【0035】
半導体基体の第1主面側(p型ベース層5側)には、トレンチ構造が形成されている。トレンチ構造は、トレンチ18と、ゲート絶縁膜7と、ゲート電極8とにより構成されている。具体的には、トレンチ18は、p型ベース層5のn+型半導体基板1側に対して反対側(半導体基体の第1主面側)の表面からp型ベース層5およびn+型ソース領域6を貫通してn型ドリフト層2に達する。トレンチ18の内壁に沿って、トレンチ18の底部および側壁にゲート絶縁膜7が形成されており、トレンチ18内のゲート絶縁膜7の内側にゲート電極8が設けられている。ゲート絶縁膜7によりゲート電極8が、p型ベース層5と絶縁されている。ゲート電極8の一部は、トレンチ18の上方(後述するソース電極10が設けられている側)からソース電極10側に突出してもよい。
【0036】
層間絶縁膜9は、半導体基体の第1主面側の全面に、トレンチ18に埋め込まれたゲート電極8を覆うように設けられている。ソース電極10は、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホールを介して、n+型ソース領域6およびp型ベース層5に接する。このコンタクトホールを介してソース電極10と接するp型ベース層5の表面側にp++型コンタクト領域33が設けられていてもよい。ソース電極10は、層間絶縁膜9によって、ゲート電極8と電気的に絶縁されている。ソース電極10と層間絶縁膜9との間に、例えばソース電極10からゲート電極8側への金属原子の拡散を防止するバリアメタル15が設けられていてもよい。
【0037】
また、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホールにコンタクトプラグ14が埋め込まれていてもよい。コンタクトプラグ14は、例えば、埋め込み性の高いタングステン(W)を材料とする金属膜である。その際、トレンチコンタクト構造とすることが、アバランシェ動作の際にn+型ソース領域6よりも深い位置でp型ベース層5のホールを引き抜くことによって寄生バイポーラ動作を抑制できるので好ましい。ここで、トレンチコンタクト構造とは、n+型ソース領域6を貫通して、p++型コンタクト領域33と接するトレンチを設け、コンタクトホールが層間絶縁膜9およびn+型ソース領域6を貫通して、p++型コンタクト領域33と接するように設けられているコンタクト構造である。ソース電極10上には、選択的に例えばポリイミドからなるパッシベーション膜などの保護膜(不図示)が設けられている。
【0038】
また、耐圧を保持するエッジ終端領域60には、半導体基体のおもて面側に、ゲート絶縁膜7およびフィールド酸化膜20が設けられ、フィールド酸化膜20上にゲート電極8と接続される多結晶シリコン膜からなる導電膜22が設けられる。層間絶縁膜9が、半導体基体および導電膜22上に設けられている。導電膜22上には、ゲート電極パッド(不図示)と電気的に接続されるゲート金属電極13が設けられている。ゲート金属電極13は、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホールを介して、導電膜22に接し、フィールド酸化膜20により、半導体基体と絶縁されている。ゲート金属電極13と層間絶縁膜9との間に、例えばゲート金属電極13からゲート電極8側への金属原子の拡散を防止するバリアメタル15が設けられていてもよい。また、層間絶縁膜9に形成されたコンタクトホールにコンタクトプラグ14が埋め込まれていてもよい。コンタクトプラグ14は、例えば、埋め込み性の高いタングステン(W)を材料とする金属膜である。
【0039】
また、エッジ終端領域60には、p--型リサーフ(RESURF)領域、p型のガードリング等の耐圧構造が設けられていてもよい。耐圧構造の外側にチャネルストッパ(不図示)が設けられ、n型のチャネルストッパ上にフィールドプレート(不図示)が設けられていてもよい。p--型リサーフ領域およびチャネルストッパは、チップ外周に環状に設けられていてもよい。
【0040】
図2は、実施の形態にかかる半導体装置のゲート金属電極の詳細構造を示す断面図である。実施の形態にかかる半導体装置は、後述する製造方法で作成されているためコンタクトホール21の底でのフィールド酸化膜20の目減りが従来の半導体装置よりも少なくなっている。図2において、層間絶縁膜9の上部がバリアメタル15で覆われていない部分があるが、層間絶縁膜9の上部が全面バリアメタル15に覆われていてもよい。
【0041】
図2に示すように、実施の形態にかかる半導体装置では、フィールド酸化膜20のコンタクトホール21内の厚さは、コンタクトホール21外の厚さと同じまたはより薄い。
フィールド酸化膜20のコンタクトホール21内の厚さが、コンタクトホール21外の厚さと同じまたはより薄い理由は、以下の通りである。活性領域50および活性領域外周部55のコンタクトホール21は、層間絶縁膜9のエッチングに続いてp型ベース層5(及びソース領域6)のエッチングを行うことにより形成される。活性領域50、活性領域外周部55およびエッジ終端領域60のコンタクトホール21は、同時に形成される。そのため、活性領域50および活性領域外周部55のp型ベース層5のエッチングが行なわれる際、エッジ終端領域60のコンタクトホール21では、ポリシリコンよりなる導電膜22が貫通し、下地のフィールド酸化膜22がエッチングに曝され、若干エッチングされてしまい薄くなる(例えば50~70nm)。および、後述する薄い酸化膜34(図7参照)を形成してその後薄い酸化膜34を除去するため薄くなる。
【0042】
コンタクトホール21形成による目減りh1は50nm以上70nm以下であり、薄い酸化膜34(図7参照)を形成してその後除去することによる目減りh1の増加は3.75nm以上15nm未満である。目減りh1の増加が3.75nm以上15nm未満となる理由は、薄い酸化膜34(図7参照)は、厚さが2.5nm以上10nm以下であり、酸化膜除去では、面内分布等考慮してこの1.5倍エッチングされるエッチング処理を行うためであり、薄い酸化膜34の厚さが2.5nmでは目減り量が3.75nm、厚さが10nmでは目減り量が15nmとなるからである。
【0043】
したがって、目減りh1は、53.75nm以上85nm以下となる。面内分布及び処理のばらつき等を考慮すると目減りh1は、54nm以上85nm以下であってよい。コンタクトホール121の底の部分の残厚h2は、265nm以上296nm以下であってよい。
【0044】
一方、従来の半導体装置のフィールド酸化膜120の目減りh101は95nm以上145nm以下である(図16参照)。フィールド酸化膜20、120の厚さは、従来および実施の形態でも同じであるため、実施の形態のフィールド酸化膜20の残厚h2は、従来のフィールド酸化膜120の残厚h102より大きくなる。このため、実施の形態にかかる半導体装置では、フィールド酸化膜20の底部で電界が高くなることが無く、フィールド酸化膜20としての機能が低下せず、フィールド酸化膜20の上のコンタクト形成プロセスを別にしたり、ポリシリコンを厚くしたり、コンタクトエッチング制御性の高い装置導入、管理をする必要が無くなる。
【0045】
(実施の形態にかかる半導体装置の製造方法)
次に、実施の形態にかかる半導体装置の製造方法について説明する。図3図8は、実施の形態にかかる半導体装置の製造途中の状態を示す断面図である。まず、シリコンからなりn+型ドレイン層となるn+型半導体基板1を用意する。次に、n+型半導体基板1のおもて面上に、n+型半導体基板1より低不純物濃度のn型ドリフト層2をエピタキシャル成長させる。
【0046】
次に、n型ドリフト層2の表面にフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術により所定の箇所に酸化膜マスクを形成する。次に、形成した酸化膜マスクをマスクとしてp型不純物、例えばホウ素(B)などのイオン注入を行う。この酸化膜マスクがフィールド酸化膜20となる。次に、酸化拡散する事で、n型ドリフト層2の表面層に、p型ベース層5を形成する。フィールド酸化膜20を所定の厚さとする酸化およびp型ベース層5を形成する拡散を兼ねて行ってよい。ここまでの状態が図3に記載される。同時に、n型ドリフト層2の表面側でかつエッジ終端領域60の端部側(活性領域50の反対側)に、チャネルストッパを形成してもよい。チャネルストッパは、n型でもp型でもよい。チャネルストッパは、n型不純物、例えばリン(P)あるいはp型不純物、例えばホウ素(B)などのイオン注入を行い、その後酸化拡散することで形成してもよい。次に、n型ドリフト層2の表面側でかつエッジ終端領域60の活性領域50側に、p型不純物、例えばホウ素(B)をなどのイオン注入を行い、その後、酸化拡散することでp--型リサーフ領域を形成してもよい。
【0047】
次に、p型ベース層5の表面上に、上記酸化拡散の際に形成された酸化膜を、フォトリソグラフィによって、所定の開口幅を有するトレンチ用酸化膜マスク(不図示)を形成する。次に、ドライエッチングによってn型ドリフト層2に達するトレンチ18を形成する。
【0048】
次に、酸化膜マスクのついた状態で、トレンチ18のダメージを除去するための等方性エッチングや、トレンチ18の底部およびトレンチ18の開口部の角を丸めるための犠牲酸化を行う。等方性エッチングと犠牲酸化はどちらか一方のみを行ってもよい。また、等方性エッチングを行った後に犠牲酸化を行ってもよい。酸化膜マスクは犠牲酸化により形成される酸化膜と同時に除去される。
【0049】
次に、p型ベース層5の表面と、トレンチ18の底部および側壁と、に沿ってゲート絶縁膜7を形成する。このゲート絶縁膜7は、酸素雰囲気中において1000℃程度の温度の熱酸化によって形成してもよい。また、このゲート絶縁膜7は高温酸化(High Temperature Oxide:HTO)等のような化学反応によって堆積する方法で形成してもよい。
【0050】
次に、ゲート絶縁膜7上に、例えばリン原子がドーピングされた多結晶シリコン層(Poly-Si)からなるポリシリコンを形成する。次に、活性領域50の部分をエッチングすることで、トレンチ18の内部にゲート電極8となるポリシリコンを残し、エッジ終端領域60に導電膜22となるポリシリコンを残す。その際、トレンチ18に埋め込まれたポリシリコンは、エッチバックを行いn型ドリフト層2の表面より内側に残すようにエッチングしてもよく、パターニングとエッチングを施すことでn型ドリフト層2の表面より外側に突出していてもよい。これにより、エッジ終端領域60において、少なくともポリシリコンがトレンチ18内のゲート電極8と電気的に接続して、フィールド酸化膜20を覆うフィールドプレートを形成するように導電膜22が残される。
【0051】
次にp型ベース層5の表面上に、フォトリソグラフィ技術によって所望の開口部を有するマスクを、例えばレジストで形成する。そして、このレジストマスクをマスクとしてイオン注入法によってn型の不純物をイオン注入する。それによって、p型ベース層5の表面領域の一部に、n+型ソース領域6が形成される。次に、n+型ソース領域6を形成するためのイオン注入時に用いたマスクを除去する。ここまでの状態が図4に記載される。次に、n+型ソース領域6を活性化させるための熱処理を行う。
【0052】
上記の製造方法では、p型ベース層5形成後にトレンチ18、ゲート絶縁膜7およびゲート電極8から構成されるゲート構造を形成したが、ゲート構造を形成した後に、p型ベース層5を形成してもよい。ゲート構造を形成した後に、p型ベース層5を形成することで、p型ベース層5の濃度調整を容易にすることができる。またn+型ソース領域6を形成した後に、トレンチ18、ゲート絶縁膜7およびゲート電極8から構成されるゲート構造を形成してもよい。
【0053】
次に、ゲート電極8を覆うように、例えばリンガラスよりなる1μm程度の厚さの層間絶縁膜9を成膜する。ここまでの状態が図5に記載される。次に、層間絶縁膜9をフォトリソグラフィによりパターニングしn+型ソース領域6およびp型ベース層5を露出させたコンタクトホール21を形成する。活性領域50および活性領域外周部55では、コンタクトホール21は、n+型ソース領域6を貫通し、p型ベース層5に達し、エッジ終端領域60では、導電膜22に達する。ここまでの状態が図6に記載される。
【0054】
次に、このコンタクトホール21によって露出するp型ベース層5の表面側に、p型の不純物をイオン注入することで、p++型コンタクト領域33を形成してもよい。p++型コンタクト領域33は、n+型ソース領域6を形成した直後に形成し、コンタクトホール21が層間絶縁膜9およびn+型ソース領域6を貫通しp++型コンタクト領域33と接するように形成してもよい。
【0055】
次に、コンタクトホール21の開口部の角を丸めるため、O2-RTA(Rapid thermal anneal)を用いて、コンタクトホール21に薄い酸化膜34を形成する。ここまでの状態が図7に記載される。ここでは、O2-RTAとして、最初のみ、酸素(O2)が含まれるO2混合ガスを用い、この後の熱処理期間はO2を遮断して熱処理する。例えば、最初、O2混合ガスで920℃以上1100℃以下の温度で15秒以上60秒以下加熱して、この後、O2が含まれないN2のみのガスで30分程度熱処理を行う。O2混合ガスは、O2が100%のガスであってもかまわない。
【0056】
リンのSiへの拡散を防止するためには、薄い酸化膜34の厚さは2.5nm程度必要である。このため、O2混合ガスの熱処理の時間は、2.5nm程度の薄い酸化膜34が形成される15秒以上必要である。また、フィールド酸化膜20の目減りを少なくするため、薄い酸化膜34の厚さは10nm程度以下が必要であり、O2混合ガスの熱処理の時間は60秒以下が必要である。
【0057】
ここで、層間絶縁膜9には、コンタクトホール21形成後の金属電極形成における平坦性の確保のため、リンなどのn型の不純物が含まれている。コンタクトホール21の底は、活性領域50ではn+型ソース領域6であるが、活性領域外周部55では、p型ベース層5であるため、熱処理時にリンが外方拡散し、n型の反転層が形成されて、寄生トランジスタができ、逆回復電流流入時に暴走し破壊してしまう場合がある。これを防止するために、熱処理の最初のみ、高速熱処理をO2で行い、リンのSiへの拡散が進む前に、2.5nm以上10nm以下で薄いが、外方拡散を防止できるだけの薄い酸化膜34を形成し、リンの外方拡散を防止する。
【0058】
次に、この薄い酸化膜34をフッ酸等のエッチングにより除去する。このエッチングにより、コンタクトホール21はほぼ広がらない。ここまでの状態が図8に記載される。この実施の形態の場合、エッジ終端領域60に形成された導電膜22がポリシリコンである場合、ポリシリコンがSiより粗密であるため、エッチングレートが高いが、コンタクトホール21の側壁にある薄い酸化膜34が非常に薄いため、エッチングする際に、下地のフィールド酸化膜20までコンタクトホール21が突き抜けていても、フィールド酸化膜20の目減りを少なくできる。このため、フィールド酸化膜20の残膜を十分確保でき、フィールド酸化膜20としての機能に影響を与えることがない。また、バリアメタル15を表面電極として使用した場合でも、従来のゲートコンタクト部よりも形状がよいため、メタルの被覆が安定する。
【0059】
次に、スパッタによりアルミニウムあるいはアルミニウムを主成分とする合金等の金属膜を成膜する。次に、金属膜を活性領域50とエッジ終端領域60で電極を分離することで、ソース電極10およびゲート金属電極13を形成する。なお、金属膜を成膜する前に、スパッタによりチタン膜(Ti)、窒化チタン膜(TiN)、またはこれらの積層膜(例えば、Ti/TiN等)からなるバリアメタル15を形成してもよい。なお、コンタクトホール内にはバリアメタル15を介してコンタクトプラグ14を埋め込んでもよい。コンタクトプラグ14の材質はタングステン(W)であってよい。コンタクトプラグ14はタングステン膜をCVD法で形成し、その後タングステン膜をエッチバックすることで形成してよい。エッチバックの際、バリアメタルもエッチングしてもよく、バリアメタルをエッチングせずに残してもよい。その際、トレンチコンタクト構造を用いることが、寄生バイポーラ動作を抑制できるので好ましい。ここでトレンチコンタクト構造は、層間絶縁膜9およびn+型ソース領域6を貫通してp++型コンタクト領域33と接するコンタクトホールをコンタクトプラグ14で埋め込むコンタクト構造である。これにより、活性領域50では、ソース電極10がバリアメタル15およびコンタクトプラグ14を介して、n+型ソース領域6およびp++型コンタクト領域33と接続する。活性領域外周部55では、ソース電極10がバリアメタル15およびコンタクトプラグ14を介して、p型ベース層5と接続する。エッジ終端領域60では、ゲート金属電極13がバリアメタル15およびコンタクトプラグ14を介して、導電膜22と接続する。
【0060】
次に、n+型半導体基板1の表面(半導体基体の裏面)に、裏面電極11として、例えばニッケル(Ni)、チタン(Ti)、金(Au)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、アルミニウムを主成分とする合金等の金属膜、またはこれらの積層膜(例えば、Ti/Ni/Au、Al/Ti/Ni/Au等)を成膜する。そして、熱処理し、n+型半導体基板1と裏面電極11とのオーミック接合を形成する。これにより、トレンチ型MOSFET70が完成する。
【0061】
以上、説明したように、実施の形態によれば、最初のみ、酸素(O2)混合ガスを用い、この後の熱処理期間はO2を遮断して熱処理することで、コンタクトホールに薄い酸化膜を形成している。薄い酸化膜34をエッチングする際に、下地のフィールド酸化膜までコンタクトホールが突き抜けていても、フィールド酸化膜の目減りを少なくできる。このため、フィールド酸化膜の残膜を十分確保でき、フィールド酸化膜の底部で電界が高くなることが無く、フィールド酸化膜としての機能が低下せず、フィールド酸化膜の上のコンタクト形成プロセスを別にしたり、ポリシリコンを厚くしたり、コンタクトエッチング制御性の高い装置導入、管理をする必要が無くなる。
【0062】
以上において本発明では、シリコン基板の第1主面上にMOSゲート構造を構成した場合を例に説明したが、これに限らず、半導体の種類(例えば、炭化珪素(SiC)など)、基板主面の面方位などを種々変更可能である。また、本発明の実施の形態では、トレンチ型MOSFETを例に説明したが、これに限らず、プレーナ型MOSFET、IGBTなどのMOS型半導体装置など様々な構成の半導体装置に適用可能である。また、本発明では、各実施の形態では第1導電型をn型とし、第2導電型をp型としたが、本発明は第1導電型をp型とし、第2導電型をn型としても同様に成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明にかかる半導体装置および半導体装置の製造方法は、電力変換装置や種々の産業用機械などの電源装置などに使用される高耐圧半導体装置に有用である。
【符号の説明】
【0064】
1、101 n+型半導体基板
2、102 n型ドリフト層
5、105 p型ベース層
6、106 n+型ソース領域
7、107 ゲート絶縁膜
8、108 ゲート電極
9、109 層間絶縁膜
10、110 ソース電極
11、111 裏面電極
13、113 ゲート金属電極
14、114 コンタクトプラグ
15、115 バリアメタル
18、118 トレンチ
20、120 フィールド酸化膜
21、121 コンタクトホール
22、122 導電膜
33、133 p++型コンタクト領域
34 薄い酸化膜
50、150 活性領域
55、155 活性領域外周部
60、160 エッジ終端領域
70、170 半導体装置
134 厚い酸化膜
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16