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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080159
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】メンテナンスパネルの取付方法
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20240606BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20240606BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
E05D15/06 125Z
E06B3/46
E06B1/18 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193103
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000125990
【氏名又は名称】株式会社くろがね工作所
(72)【発明者】
【氏名】田中 吾武路
【テーマコード(参考)】
2E014
2E034
【Fターム(参考)】
2E014AA01
2E014FA00
2E014FB05
2E014FC03
2E034CA01
2E034DA00
(57)【要約】
【課題】 本発明は、簡単な構成で、引き戸装置のメンテナンスパネルを開放する際の、作業性、安全性を考慮したメンテナンスパネルの取付方法を提供する。
【解決手段】 引き戸装置のメンテナンス開口部を閉塞するメンテナンスパネルの取付方法であって、出入口開口部を開口戸先側縦枠と、開口戸尻側縦枠と、上枠で形成し、メンテナンス開口部の開口戸先側縦枠と開口戸尻側縦枠に、係止突片を設け、メンテナンスパネルの上端に被係止部を形成し、メンテナンスパネル両端で係止突片と被係止部が係合するように構成し、該係合によりメンテナンスパネルの落下を防止し、上枠の下面から下方に閉塞片を形成し、閉塞片で、メンテナンスパネルの被係止部が係止突片に係止した状態で、メンテナンスパネル上端と上枠下面間に生じる隙間を閉塞し、メンテナンスパネルでメンテナンス開口部を閉塞した状態で、メンテナンスパネルと上枠は直接接触しないこと構成とする。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面などの出入口開口部を開閉自在に閉塞する引き戸装置であって、引き戸装置は、出入口開口部に設置される出入口開口枠体と、少なくともレール部材と、レール部材にスライド開閉自在に吊り下げられる引き戸扉と、引き戸装置の調整などを行うメンテナンス開口部と、該メンテナンス開口部を閉塞するメンテナンスパネルからなり、出入口開口枠体は、少なくとも開口戸先側縦枠と、開口戸尻側縦枠と、メンテナンス開口部の上端を水平方向に連結する上枠を有し、メンテナンス開口部の開口戸先側縦枠と開口戸尻側縦枠に、それぞれ係止突片が設けられるとともに、メンテナンスパネルの上端に被係止部が形成され、メンテナンスパネルの少なくとも左右方向の両端で係止突片と被係止部が係合するように構成され、該係合によりメンテナンスパネルの落下を防止し、上枠は、少なくともメンテナンス開口部の上端を形成しメンテナンス開口側からメンテナンス開口側の対向側に延伸形成される上枠下面と、上枠下面の該延伸端から下方に延伸する閉塞片を有し、閉塞片で、メンテナンスパネルの被係止部が係止突片に係止した状態で、正面視でメンテナンスパネル上端と上枠下面間に生じる隙間を閉塞するとともに、メンテナンスパネルでメンテナンス開口部を閉塞した状態で、メンテナンスパネルと上枠は直接接触しないことを特徴とするメンテナンスパネルの取付方法。
【請求項2】
係止突片は、メンテナンスパネルの端面と開口縦枠間に生じる隙間を閉塞する閉塞部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のメンテナンスパネルの取付方法。
【請求項3】
メンテナンスパネルの被係止部と係止突片の係合により、メンテナンスパネル上部の、出入り方向への移動を規制するとともに、該係合の係合部を支点として、メンテナンスパネルを上方に回転開放可能とし、該回転により、係合状態が外れないように、閉塞片にて、メンテナンスパネルの上部を支持可能とし、かつ、該メンテナンスパネルの回転状態からメンテナンス開口部の閉塞状態に戻す際、閉塞片の下端の下方にメンテナンスパネルの上端が入り込まない長さに閉塞片を下方に延伸させたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のメンテナンスパネルの取付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物内で出入口として使用される開口部に設置される引き戸装置であって、主に引き戸装置のメンテナンスパネルの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁面などに設けられた出入口開口部を開閉自在に閉塞する引き戸装置として、少なくとも固定部材であるレール部材と、レール部材に吊り下げられる吊り金具を介して吊り下げされる引き戸扉と、引き戸装置の吊り金具部などの機械的な部分を隠蔽し、かつ、引き戸装置をメンテナンスするために開放可能なメンテナンスパネルからなる引き戸装置が提供されている。
そして、このような引き戸装置の他、電気を利用して自動で引き戸扉を開閉させるものがあり、このような自動式の引き戸装置における電気モーターや制御基板なども、通常、メンテナンスパネルにて隠蔽されている。
【0003】
そして、このようなメンテナンスパネルは、メンテナンスパネルが容易に落下しない構成とした上で、引き戸装置の点検、部品交換、調整等の時に、通常使用時の状態から上部に跳ね上げて開放したりすることによって、通常隠蔽させている部分を露呈させる(例えば、特許文献1)。
そして、このような跳ね上げ式のメンテナンスパネル場合、開口部上枠の下端部とメンテナンスパネルの上端部を係合させて構成されることが多いが、メンテナンスパネル跳ね上げる関係上、強固に係合とすることはできないことから、メンテナンスパネルの上部の係合部は、振動などで揺れやすい。特にメンテナンスパネルは薄板鋼板で製作されることが多く、上枠も鋼板製であることが多いため、ドアの開閉動作などでメンテナンスパネルが揺れると、前記係合部でメンテナンスパネルと上枠と擦れ、金属同士の接触音が発生しやすいといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許2927735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の問題点に鑑みて、簡単な構成で、引き戸装置の点検作業等、メンテナンスパネルを開放する際、作業者の作業性、安全性を考慮したメンテナンスパネルの取付方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明が第1の手段として構成したところは、壁面などの出入口開口部を開閉自在に閉塞する引き戸装置の出入口開口枠体の開口戸先側縦枠と、開口戸尻側縦枠と、メンテナンス開口部の上端を水平方向に連結する開口部上枠で、メンテナンス開口部の開口戸先側縦枠と開口戸尻側縦枠に、係止突片が設け、かつメンテナンスパネルの上端に被係止部を形成し、メンテナンスパネルの少なくとも左右方向の両端で係止突片と被係止部が係合するように構成し、該係合によりメンテナンスパネルの落下を防止し、上枠に、少なくともメンテナンス開口部の上端を形成しメンテナンス開口側からメンテナンス開口側の対向側に延伸形成される上枠下面と、上枠下面の該延伸端から下方に延伸する閉塞片を形成し、閉塞片で、メンテナンスパネルの被係止部が係止突片に係止した状態の、正面視でメンテナンスパネル上端と上枠下面間に生じる隙間を閉塞するとともに、メンテナンスパネルでメンテナンス開口部を閉塞した状態で、メンテナンスパネルと上枠は直接接触しない構成とした。
【0007】
次に、上記課題を解決する為、本発明が第2の手段として構成したところは、第1の手段として構成したところに加え、係止突片を、メンテナンスパネルの端面と開口縦枠間に生じる隙間を閉塞する閉塞部材と一体に形成する構成とした。
【0008】
次に、上記課題を解決する為、本発明が第3の手段として構成したところは、第1の手段、あるいは第2の手段として構成したところに加え、メンテナンスパネルの被係止部と係止突片の係合により、メンテナンスパネル上部の、出入り方向への移動を規制するとともに、該係合の係合部を支点として、メンテナンスパネルを上方に回転開放可能とし、該回転により、係合状態が外れないように、閉塞片にて、メンテナンスパネルの上部を支持可能とし、かつ、該メンテナンスパネルの回転状態からメンテナンス開口部の閉塞状態に戻す際、閉塞片の下端の下方にメンテナンスパネルの上端が入り込まない長さに閉塞片を下方に延伸させる構成とした。
【発明の効果】
【0009】
このような構成により、簡単な構成で、メンテナンスパネルの落下を防止できる。また、メンテナンスパネルと上枠の接触を避けることができるので、メンテナンスパネルと上枠間の接触による音の発生を軽減させることが可能である。さらに、メンテナンスパネルの回転開放が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の引き戸装置の使用状態の室内側(メンテナンス側)からの正面図
図2】本発明の引き戸装置のメンテナンスパネルを取り外した状態の室内側からの正面図
図3図1のA-A線部分拡大断面図
図4図1のB-B線拡大断面図
図5】メンテナンスパネルの着脱過程の拡大鉛直断面図1
図6】メンテナンスパネルの着脱過程の拡大鉛直断面図2
図7】メンテナンスパネルが係合状態にある場合の拡大鉛直断面図
図8】メンテナンスパネルが係合状態で回転する拡大鉛直断面図1
図9】メンテナンスパネルが係合状態で回転する拡大鉛直断面図2
図10】他の場合の拡大鉛直断面図
図11】中枠側の目地材の斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
簡単な構成で、引き戸装置の点検作業等、メンテナンスパネルを開放する際、作業者の作用性、安全性を考慮したメンテナンスパネルの取付方法を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0012】
以下実施例を図面に基づいて説明する。
図1において、符号1は引き戸枠を示している。
引き戸枠1は、図3、4に示すように、建物側の鉄骨11・・・にL金具12・・・を介して固定された戸尻側縦枠13および戸先側縦枠14と、戸尻側縦枠13と戸先側縦枠14の上端間に、建物側の鉄骨11・・・にL金具12・・・を介して配設された配設されたレール取付材15より門形に形成されている。
【0013】
そして、戸尻側縦枠13と戸先側縦枠14間で、室内側中枠3と室外側中枠30が、レール取付材15の室内側(実施例ではメンテナンス側)と室外側の両面に上端が固定され、室内側と室外側に所定間隔を有して配設されている。
尚、便宜上、一方側を室内側、他方側を室外側として説明しているが、メンテナンス等を行うメンテナンス側が、室内側、室外側のいずれであっても良いことは云うまでもない。
しかしながら、通常は建築側の意匠性を考慮して、メンテナンス側が室内側として設定されることが多く、以下の説明においても、メンテナンス側を室内側として説明する。
以下、戸尻側縦枠13と室内側中枠3間を戸袋室内側、戸尻側縦枠13と室外側中枠30間を戸袋室外側、戸袋室内側と戸袋室外側をあわせて戸袋側、戸先側縦枠14と室内側中枠3間を出入口室内側、戸先側縦枠14と室外側中枠30間を出入口室外側、出入口室内側と出入口室外側をあわせて出入口側と云う。
そして、出入口室内側、出入口室外側間を出入り方向、あるいは前後方向とし、室内側を前側、室外側を後側と云う。
また、出入口開口部において、戸先側縦枠14を戸先側、戸袋側を戸尻側と云う。
【0014】
図2図3において、符号5は、レール取付材15の室内側内面に着脱自在に連結されているレール材を示している。
符号6は、レール材5に吊り下げられた引き戸扉を示し、符号16は、点検、固定両戸袋側の床面全幅にわたって固定されたベース材を示し、符号17は、ベース材16の出入口側端部に回転自在に設けられ、 室外側中枠30、室内側中枠3間でやや出入口側に突出して取り付けられたガイドローラーを示している。
図1図2において、符号4・・・は、戸袋室内側及び戸袋室外側の両面上下方向に所定間隔を有して配設された下地桟を示している。
図1~3において符号7は、レール取付材15の出入口室内側に取り付けられる室内側上枠を示し、符号19は、レール取付材15の出入口室外側に設けられる室外側ランマ下地パネルを示している。
そして、符号20は、室外側ランマ下地パネル19の下端部に連結され、戸先側縦枠14と室外側中枠30間に設置される室外側上枠を示している。
【0015】
上記引き戸枠1(レール材5を含む。)、ベース材16、室内側中枠3、室外側中枠30、下地桟4・・・、室内側上枠7、室外側ランマ下地パネル19、室外側上枠20が、内装仕上げ(化粧ボード、クロス等の貼り付け)の行われるまでに施工され、内装仕上げが終了した後、室内側上枠7の下部のメンテナンス開口部900から、引き戸扉6がレール材5に吊り込まれ、引き戸扉6の摺動確認、閉鎖スピードの調整作業等が行われる。そして、メンテナンス開口部900がメンテナンスパネル9で閉塞される。以上が本件発明の引き戸装置の概要である。
【0016】
以下、各部材について詳述する。
戸尻側縦枠13は、図4に示すように、出入口側面131と室内側面133と室外側面132と、室内側側面133及び室外側側面132の建築側の鉄骨11側の端部から互いに近づく方向に所定寸法突出する連結突片134、134より横断面略コ字形に形成されている。
【0017】
戸先側縦枠14は、図4に示すように、建物側の鉄骨11側の上下方向に所定間隔を有して固定用部材141・・・が設けられ、出入口の出入方向で室内側に突出して室内側の化粧ボード100の出入り口側端面を隠蔽する室内側戸先見付部145と、同じく出入方向で室外側に突出して室外側の化粧ボード100の出入口側端面を隠蔽する室外側戸先見付部146と、引き戸扉6の戸先側端部が位置する部分に閉鎖用凹部が上下方向に渡って設けられた戸当たり部147より扁平な略コ字形に形成されている。
室内側戸先見付部145の上端位置は、室外側戸先見付部146の上端位置に比べ、後述するメンテナンスパネル9の高さ相当分高い位置に設定されている。
そして、図2に示すように、室内側戸先見付部145の戸尻側縦枠13側を向く面に平面視L字側の目地材8が固定されている。
【0018】
レール取付材15は、図3に示すように、上面板151と、上面板151の室内側端部が垂下した室内側垂下突片152と、上面板151の室外側端部が垂下した室外側垂下突片153と、室外側垂下突片153の下端に連結された断面コ字形のレール材取付け部154で構成されている。
そして、レール材取付け部154の垂直面の室内側にレール材5がネジにて固定され、レール取付材15は、戸先側縦枠14と、戸尻側縦枠13で門型に組まれる。
【0019】
レール材5は、図3に示すように、断面L字型で戸先から戸尻側に向かって延伸した押し出し成型にて製造されるアルミ製で、L字型の先端で上方に突出し突出端が球形に成型され、該球形部に引き戸扉6を吊り下げる戸車を載置し引き戸扉6が開閉可能に吊り下げされる。
【0020】
ベース材16は、図2図3に示すように、戸袋側の床面全幅に位置する固定面161と、固定面161の室内側(メンテナンス側)及び室外側(固定側)の端部に形成された立ち上がり面162、162と、立ち上がり面162、162から内方に突出して形成されたL字形の下地ボード受け面163、163と、固定面161の出入り口側端部に、出入り口側に突出し、該突出部に引き戸扉6の下端面に形成されたガイド溝60内に嵌合するガイドローラー17が回転自在に取り付けられている。
そして、ベース材16の出入口側端部は室内側中枠3、室外側中枠30と連結され、さらに、戸尻側端部が戸尻側縦枠13と連結され床面に固定される。
【0021】
室内側中枠3は、図2~4に示すように、上端部がレール取付材15の室内側にネジ止め連結され、内面側に位置する補強枠31と、補強枠31と連結され出入口開口部を形成する室内側外側枠36より構成されている。
そして、室内側外側枠36は、室内側に突出し、室内側戸袋化粧ボード100の出入口側端部を隠蔽する室内側中枠見付部32と、室内側中枠見付部32の戸袋側端部から戸尻側縦枠13方向に突出し、室内側戸袋化粧ボード100が貼り付けられる化粧ボード支持部33と、化粧ボード支持部33の戸尻側縦枠13側の端部からL字形に戸尻側縦枠13方向に突出形成される下貼り支持部34より形成され、下部でベース材16と連結され立設される。
室内側中枠3は、室内側中枠見付部32で室内側(メンテナンス開口側)の出入口開口部の開口戸尻側縦枠を形成するものである。
そして、図2図3に示すように室内側外側枠36の戸先側縦枠14側を向く面に平面目地材8が固定されている。
【0022】
室外側中枠30は、図3図4に示すように、上端部がレール取付材15の室外側にネジ止め連結され、内面側に位置する室外側補強枠301と、室外側補強枠301と連結され出入口開口部を形成する室外側外側枠306より構成されている。
室外側外側枠306は、室外側補強枠301の出入り口側の端部から室外側に突出し、室外側戸袋化粧ボード100の出入口側端部を隠蔽する室外側中枠見付部302と、室外側中枠見付部302の内面側端部から戸尻側縦枠13方向に突出し、室外側戸袋化粧ボード100が貼り付けられる室外側化粧ボード支持部303と、室外側化粧ボード支持部303の戸尻側縦枠13側の端部からL字形に戸尻側縦枠13方向に突出形成される下貼り支持部304より形成され、下端部がベース材16と連結され立設される。
そして、室外側中枠30は、室外側中枠見付部302で室外側の出入口開口部の開口戸尻側縦枠を形成するものである。
【0023】
下地桟4は、図2図4に示すように、基板表面部41と、基板表面部41の上下端部をL字形に折り曲げた上下のフランジ部42、42より構成され、基板表面部41の室内側中枠3、室外側中枠30側の端部を突出させて突き片43を形成し、前記のように、突き片43は、化粧ボード支持部33、303に重ね合されてネジ止めされ、フランジ部42、42の後端部では、戸尻側縦枠13の室外側面132、室内側面133に重ね合されてネジ止めされ上下方向に所定間隔を有して配設されている。
【0024】
室外側ランマ下地パネル19は、図3に示すように、室外側表面基板191の上端部に形成された室内側に延伸する上部連結用突片192で構成される。
そして、室外側表面基板191に室外側上枠20が連設される。
室外側上枠20は、室外側表面基板191の下端に連接して形成される、室外側に突出する断面コ字状の室外側上枠見付部21と、室外側上枠見付部21の下端部が室内側に延伸し、延伸端で上方に突出した形態であって、戸先側縦枠14と室外側中枠30間に納まる左右長さに形成されている。
このように形成された室外側上枠20(室外側ランマ下地パネル19)は、室外側ランマ下地パネル19の上部連結用突片192部でレール取付材15の下端面に上部連結用突片192の下方からネジにて固定される。
【0025】
室内側上枠7は、図3に示すように、室内側に突出する断面コ字状の室内側上枠見付部71と、室内側上枠見付部71の上端部から上方に突出する取付片72と、室内側上枠見付部71のメンテナンス開口側の対向側(室外側)の下端部から垂下する閉塞片73で形成され、戸先側縦枠14と室内側中枠3間に略隙間なく納まる左右長さに形成されている。
そして、コ字状の室内側上枠見付部71の下面71aは、メンテナンス開口部900の上端を形成するものである。
【0026】
メンテナンス開口部900は、該下面71aで上端が形成され、戸先側縦枠14と室内側中枠3の対向面で左右の両端面が形成され、下端は、出入口開口部の上端で(室外側上枠20の下面)形成されている。
メンテナンス開口部900は、通常、メンテナンスパネル9で閉塞されており、引き戸ユニットのメンテナンス時に、メンテナンスパネル9を開放して露呈される。
【0027】
メンテナンスパネル9は、図3図9に示すように、メンテナンス開口部900を隠蔽できる大きさの板状の正面閉塞部91と、正面閉塞部91の下端部で後ろ側に突出し、突出端で上方に突出するようにL字型に形成される下部閉塞部92と、正面閉塞部91の上端部で、後ろ側(室外側)に折り曲げられ延伸する載置面93と、上端面91の延伸端から垂下する係合片94で形成される。
そして、正面閉塞部91の下方部両端部付近にメンテナンスパネル締結固定用の固定貫通孔911が設けられている。
【0028】
戸先側縦枠14と室内側中枠3に固定させる目地材8は、対称に形成されるものであるから、室内側中枠3に設置される目地材8について説明する。
目地材8は、図3、11に示すように平面視において、室内側中枠見付部32の戸先側縦枠14と対向している開口部側の面に密着し形成される取付片81と、取付片81の前側(室内側)端で開口側(室内側中枠3側)に向かって延伸する閉塞部82で平面視L字型に形成され、メンテナンスパネル9の正面閉塞部91の高さから下部閉塞部92の高さを除した相当分の高さに設定される縦長部材である。
そして、閉塞部82上端が後ろ側(室外側)に折り曲げられて突出する係合突片84が形成されている。
また、閉塞部82の下部で前後方向に貫通するネジ穴である固定ネジ部83が形成されている。
そして、目地材8は、戸先側縦枠14と室内側中枠3に対称に取り付けされた状態で、室内側上枠7の下面71aの下方の位置になるように設定され、係合突片84と室内側上枠7の下面71aの間に、メンテナンスパネル9の係合片94が通過するように挿通空間8aが設けられている。
また、閉塞部82は、メンテナンスパネル9を設置した場合に、室内側戸先見付部145とメンテナンスパネル9の側端部との隙間を隠す閉塞部材である。
【0029】
以上のように構成される引き戸装置の戸先側縦枠14、室内側中枠3、室内側上枠7、室外側中枠30、室外側上枠20、メンテナンスパネル9で出入り口開口部を形成する出入口開口枠体が形成され、戸先側縦枠14と室外側中枠30間と、室外床面から室外側上枠20の下面までの開口部、戸先側縦枠14と室内側中枠30間と、室内床面からメンテナンスパネル9の下面までに開口部が出入り口開口部とされる。
そして、メンテナンスパネル9を取り外した状態で、前述のとおり、戸先側縦枠14と室内側中枠3間に形成される開口部、室内側上枠7の下面から室外側上枠20の下面と同じ高さまでの間がメンテナンス開口部900として開放されている。
【0030】
引き戸扉6は、パネル形状を成し、上端面に吊りブラケット55、55を取り付ける螺孔が設けられ、下端面の開閉方向に前記ガイドローラー17が挿通するガイド溝60が形成され(図3に示す。)、引き戸扉6の戸先側端面には、引き戸の閉鎖状態で戸先側縦枠14の戸当たり部147内に位置する戸当たり部材600(図4に示す。)が、戸先側縦枠14方向に突出して設けられている。
【0031】
吊りブラケット55は、L字状に折り曲げられ形成されるもので、垂直面に樹脂製のフランジ付きの回転ローラーである戸車551が回動可能に取り付けられている。
そして、引き戸扉6に吊りブラケット55、55が取り付けられ、引き戸扉6は、引き戸扉6の戸袋側で、ガイド溝60にガイドローラー17を挿入するように、かつ、メンテナンス開口部900より、吊りブラケット55に回動固定された戸車551をレール材5の球形部に載置し、レール材5に開閉可能に吊り下げされる。
さらに、引き戸扉6を吊り下げた状態で、引き戸扉6の開閉速度を確認し、必要に応じて開閉速度を調節する。
その他、全開ストッパー62、ブレーキ装置63、フリーストッパー装置等のオプション部材がメンテナンス開口部900から取り付けられる。
【0032】
次に、メンテナンスパネル9の取り付け方法を説明する。
まず、メンテナンスパネル9を、図5の示すように、メンテナンス開口部900で、メンテナンスパネル9上部の係合片94を、前記、挿通空間8aに前側から後ろ側に向かって挿入する。
挿入していくと、係合片94が係合突片84を後ろ側で超え、略同時に閉塞部82の上部が、正面閉塞部91の内面に接触する(図6の状態)。
そして、この状態でメンテナンスパネル9を真っすぐに降ろすと、載置面93が係合突片84に載置し、係合突片84の後ろ側(室外側)に係合片94が配置する関係となる(図7の状態)。
また、固定貫通孔911、911から固定ネジ部83、83が臨む位置関係となっている。
【0033】
この状態で、メンテナンスパネル9の載置面93が、係合突片84に載った状態であるので、メンテナンスパネル9は落下しにくく、さらに、係合片94が係合突片84の後ろ側にあるので、メンテナンスパネル9の上部は前側(室内側)に移動しようとすると、係合突片84後端に係合片94が当接し移動できないため、メンテナンスパネル9は落下することがない。
このように、メンテナンスパネル9は、上部で載置面93と係合片94で、係合突片84と係合する被係止部95を形成している。
そして、固定貫通孔911、911と固定ネジ部83、83を止めネジ90、90にて固定すると、メンテナンスパネル9の被係止部95は、係合突片84と係合しているから、メンテナンスパネル9は、メンテナンス開口部900を閉塞し固定される。
【0034】
メンテナンスパネル9の左右方向(引き戸の開閉方向)の長さは、作業性を考慮してメンテナンス開口部900の左右開口幅より少し小さく設定される。
そのため、メンテナンスパネル9の左右端と室内側戸先見付部145、室内側中枠見付部32の間それぞれには隙間が発生する。目地材8の閉塞部82は、この隙間を塞ぐ役割をするもので、このように、目地材8に、閉塞部82と係合突片84を一体的に設けると、簡単な構成になるため、安価に生産することが可能となる。
【0035】
また、メンテナンスパネル9の上端と、室内側上枠7の下面71aにも係合片94が通過できる程度の隙間が発生するが、該隙間は、室内側上枠7の閉塞片73にて閉塞される。
そして、係合片94の後ろ側の垂直面と閉塞片73に隙間が設けられている。
メンテナンスパネル9と閉塞片73が接触している場合、引き戸ユニットが振動などで揺れた時に、閉塞片73とメンテナンスパネル9との接触音(ビビリ音)が発生することがある。そのため、メンテナンスパネル9を振動しにくい厚板で形成することや、押え部材を追加してメンテナンスパネル9抑え込むといったことをしていた。
本発明のように、予め隙間を設けておくと、接触音の発生を抑制できる。また該隙間に柔軟性のあるパッキンを設置することも可能であるが、通常発生する振動で接触音の発生しない程度の隙間(実施例では約2mm)を設けておくことが最良な方法である。
【0036】
次に、引き戸装置のメンテナンス時のメンテナンスパネル9の開放方法について説明する。
メンテナンスパネル9を固定している止めネジ90、90を緩めて取り外す。
前述のように、メンテナンスパネル9は、被係止部95で、係合突片84と係合状態にあるから、メンテナンスパネル9は落下しない。
該被係止部95と係合突片84で係合状態にある個所を係合部9Aとして、メンテナンスパネル9の開放方法を説明する。
メンテナンスパネル9の下部閉塞部92を、前方に引き上げると、図9に示すように、係合部9Aを支点として、メンテナンスパネル9は、下部を前方に回転させながら上方に持ち上げることが可能である。
【0037】
この時、閉塞片73が下方に延伸しているので、メンテナンスパネル9の回転途中にメンテナンスパネル9の上端部付近(載置面93)が、閉塞片73の前面に接触可能となり、接触することによりメンテナンスパネル9の上部が前後方向に不用意に移動することがないから、係合部9Aを支点としてスムーズに回転させることが可能となる。
また、メンテナンスパネル9が回転すると、メンテナンスパネル9の係合片94は、回転に合わせて図9のように前側に回転移動してくるが、係合突片84は、前後方向に延伸する板状のものであることと、目地材8の閉塞部8も板状のものであるから、係合片94は係合突片84の下方に入り込むことが可能なため、係合突片84と接触することなくメンテナンスパネル9が回転可能である。
尚、メンテナンスパネル9の回転時、係合突片84が、取付片81に接触することがあるので、係合突片84の両端には切り欠きが設けられ(図示せず)接触を避けるように施されている。係合突片84を切り欠くのではなく、取付片81を切り欠いて接触を避けてもよい。
前述のように、目地材8に、閉塞部82と係合突片84を一体的に設けることに加え、目地材8を板状の薄板の鋼板で製作することにより、簡単な構成でメンテナンスパネル9を回転可能にすることができる。
【0038】
そして、図10に示すように、閉塞片73の下方への長さが短いと、メンテナンスパネル9の回転途中で、メンテナンスパネル9の上端部が、閉塞片73の下方に入り込んでしまい、この状態でメンテナンスパネル9を元の設置状態に戻そうと回転させると、正面閉塞部91や、載置面93が閉塞片73の下端面に接触し、メンテナンスパネル9が元に戻らないばかりか、傷をつけたり変形したりする問題が発生する。
前記のように、閉塞片73を十分の伸ばすと、このような問題を解決可能となる。
【0039】
以上にように、本実施例の発明は、通常設置される目地材、メンテナンスパネルの他に追加部材が無くても構成できるので、簡単な構成で目的を達成することが可能なものである。
【産業上の利用可能性】
【0040】
このようなメンテナンスパネルは、引き戸装置の他、多重引き戸装置、折り畳み扉装置、スイングドア装置などに利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 引き戸枠
13 戸尻側縦枠
131 出入口側面
132 室外側面
133 室内側面
14 戸先側縦枠
141 固定用部材
145 室内側戸先見付部
146 室外側戸先見付部
15 レール取付材
16 ベース材
17 ガイドローラー
19 室外側ランマ下地パネル
20 室外側上枠
21 室外側上枠見付部
3 室内側中枠
32 室内側中枠見付部
36 室内側外側枠
30 室外側中枠
302 室外側中枠見付部
306 室外側外側枠
4 下地桟
5 レール材
6 引き戸扉
7 室内側上枠
71 室内側上枠見付部
71a 下面
8 目地材
81 取り付け片
82 閉塞部
83 固定ネジ部
84 係合突片
9 メンテナンスパネル
9A 係合部
91 正面閉塞部
911 固定貫通孔
92 下部閉塞部
93 載置面
94 係合片
95 被係止部
900 メンテナンス開口部
図1
図2
図3
図4
図5
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図11