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特開2024-80176光空間通信装置、光空間通信装置の制御方法および光空間通信装置の制御装置
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  • 特開-光空間通信装置、光空間通信装置の制御方法および光空間通信装置の制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080176
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】光空間通信装置、光空間通信装置の制御方法および光空間通信装置の制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/112 20130101AFI20240606BHJP
   H04B 10/079 20130101ALI20240606BHJP
【FI】
H04B10/112
H04B10/079
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193136
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】相薗 正樹
(72)【発明者】
【氏名】水本 尚志
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA11
5K102AA17
5K102AA42
5K102AL23
5K102LA03
5K102LA14
5K102LA26
5K102LA52
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH21
5K102MH22
5K102PH31
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】レーザー光による通信の阻害要因を推定可能な新規な光空間通信装置を提供する。
【解決手段】光空間通信装置(10)は、レーザー光を受光する受光部(11-1および11-2)と、複数の受光部(11-1および11-2)の各々におけるレーザー光の受光状態を測定する測定部(12-1および12-2)と、判定部(13)と、レーザー光の受光状態に基づいて、レーザー光による通信の阻害要因を推定する推定部(14)と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光を受光する複数の受光手段と、
前記複数の受光手段の各々における前記レーザー光の受光状態を測定する測定手段と、
前記レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定する判定手段と、
前記受光状態に基づいて、前記レーザー光による前記通信の阻害要因を推定する推定手段と、を備える、光空間通信装置。
【請求項2】
前記複数の受光手段の各々における前記受光状態の測定結果と、複数種類の阻害要因に対応する複数のパターンデータとを照合する照合手段をさらに備え、
前記推定手段は、前記照合手段の照合結果に基づいて前記阻害要因を推定する、請求項1に記載の光空間通信装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記複数の受光手段の各々において、前記レーザー光の受光レベル、および、前記複数の受光手段の各々を介した通信におけるパケットロスの少なくとも一方を前記レーザー光の受光状態として測定する、請求項2に記載の光空間通信装置。
【請求項4】
前記照合手段は、前記複数の受光手段の各々において、前記受光レベルおよび前記パケットロスの時系列データと、前記複数のパターンデータとを照合して、当該複数のパターンデータのうち前記時系列データに最も近いパターンデータを決定し、
前記推定手段は、前記照合手段が決定した前記時系列データに最も近いパターンデータに基づいて、前記阻害要因を推定する、請求項3に記載の光空間通信装置。
【請求項5】
前記推定手段は、前記阻害要因が、遮蔽物、前記光空間通信装置または通信相手の振動および天候の少なくとも1つであると推定する、請求項4に記載の光空間通信装置。
【請求項6】
前記推定手段が推定した前記阻害要因に基づいて、前記通信の再接続を実行するための再接続方法を決定する決定手段をさらに備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の光空間通信装置。
【請求項7】
前記レーザー光を送光する少なくとも1つの送光手段をさらに備え、
前記決定手段は、(I)上位レイヤでの通信接続の再確立、(II)前記送光手段および前記受光手段の少なくとも一方の光軸の再調整、ならびに、(III)現在の前記レーザー光の経路から迂回経路への切り替えの少なくとも1つを前記再接続方法として決定する、請求項6に記載の光空間通信装置。
【請求項8】
前記決定手段は、
前記阻害要因が、(i)遮蔽物により前記通信が所定の期間未満阻害されたためである場合には、前記(I)上位レイヤでの通信接続の再確立を前記再接続方法として決定し、
前記阻害要因が、(ii)振動により前記通信が周期的に阻害されたためである場合には、前記(II)前記送光手段および前記受光手段の少なくとも一方の光軸の再調整を前記再接続方法の少なくとも1つとして決定し、
前記阻害要因が、(iii)天候の影響により前記通信が断続的に阻害されたため、(iv)前記天候の影響により前記レーザー光が受光されなくなったため、(v)前記遮蔽物により前記通信が所定の期間以上阻害されたため、および、(vi)前記光空間通信装置への外部からの衝撃により、前記レーザー光の経路が外れたためである場合には、前記(III)現在の前記レーザー光の経路から迂回経路への切り替えを前記再接続方法の少なくとも1つとして決定する、請求項7に記載の光空間通信装置。
【請求項9】
光空間通信装置の複数の受光手段が、レーザー光を受光することと、
前記光空間通信装置の測定手段が、前記複数の受光手段の各々における前記レーザー光の受光状態を測定することと、
前記光空間通信装置の判定手段が、前記レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定することと、
前記光空間通信装置の推定手段が、前記受光状態に基づいて、前記レーザー光による前記通信の阻害要因を推定することと、を含む、光空間通信装置の制御方法。
【請求項10】
光空間通信装置を制御する光空間通信装置の制御装置であって、
前記光空間通信装置は、
レーザー光を受光する複数の受光手段を備え、
前記光空間通信装置の制御装置は、
前記複数の受光手段の各々における前記レーザー光の受光状態を測定する測定手段と、
前記レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定する判定手段と、
前記受光状態に基づいて、前記レーザー光による前記通信の阻害要因を推定する推定手段と、を備える、光空間通信装置の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光による通信の阻害要因を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザー光を用いた無線通信である光空間通信においては、外的な要因により通信データ伝送媒体となるレーザー光が物理的に遮られると、レーザー光が通信相手(相手局)の光空間通信装置に届かず通信が阻害される。通信ネットワークにおいて可用性を向上させるために、現在のレーザー光の経路とともに迂回経路の候補となる冗長通信経路を構築し、通信が阻害された場合には、現在のレーザー光の経路を迂回経路に切り替える方法がある。
【0003】
しかし、レーザー光の経路の切り替えには時間を要するため、その間は通信が不可能である状態が継続してしまう。通信ネットワークの可用性をさらに向上させるためには、レーザー光による通信の阻害要因に応じた適切な通信の再接続を実行する必要がある。そのためには、通信が阻害された全ての場合において経路の切り替えをするのではなく、レーザー光による通信の阻害要因を推定する必要がある。
【0004】
特許文献1には、受光レベルおよび光軸ずれ量の時系列データに基づいて、レーザー光による通信の阻害要因を推定するための技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-281992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術は有用である。一方で、レーザー光による通信の阻害要因を推定可能な新規な光空間通信装置およびその関連技術が求められている。
【0007】
本発明の一態様は、レーザー光による通信の阻害要因を推定可能な新規な光空間通信装置およびその関連技術を提供することを一目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る光空間通信装置は、レーザー光を受光する複数の受光手段と、前記複数の受光手段の各々における前記レーザー光の受光状態を測定する測定手段と、前記レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定する判定手段と、前記レーザー光の受光状態に基づいて、前記レーザー光による前記通信の阻害要因を推定する推定手段と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る光空間通信装置の制御方法は、光空間通信装置の複数の受光手段が、レーザー光を受光することと、前記光空間通信装置の測定手段が、前記複数の受光手段の各々における前記レーザー光の受光状態を測定することと、前記光空間通信装置の判定手段が、前記レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定することと、前記光空間通信装置の推定手段が、前記レーザー光の受光状態に基づいて、前記レーザー光による前記通信の阻害要因を推定することと、を含む。
【0010】
本発明の一態様に係る光空間通信装置の制御装置は、光空間通信装置を制御する光空間通信装置の制御装置であって、前記光空間通信装置は、レーザー光を受光する複数の受光手段を備え、前記光空間通信装置の制御装置は、前記複数の受光手段の各々における前記レーザー光の受光状態を測定する測定手段と、前記レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定する判定手段と、前記レーザー光の受光状態に基づいて、前記レーザー光による前記通信の阻害要因を推定する推定手段と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、レーザー光による通信の阻害要因を推定可能な新規な光空間通信装置およびその関連技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】例示的実施形態1に係る光空間通信装置の構成を示すブロック図である。
図2】例示的実施形態1に係る光空間通信装置の制御方法の流れを示すフロー図である。
図3】例示的実施形態2に係る光空間通信装置の制御システムの構成を示すブロック図である。
図4】例示的実施形態2に係る光空間通信装置の制御システムの制御方法の流れを示すフロー図である。
図5】阻害要因の一例について説明するためのグラフである。
図6】阻害要因の一例について説明するためのグラフである。
図7】阻害要因の一例について説明するためのグラフである。
図8】阻害要因の一例について説明するためのグラフである。
図9】阻害要因の一例について説明するためのグラフである。
図10】各例示的実施形態に係る各装置の各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔例示的実施形態が解決しようとする課題〕
以下、例示的実施形態が解決しようとする課題について、従来技術を例に説明する。
【0014】
上述のように、従来、レーザー光による通信が阻害され、通信が阻害された場合には、現在のレーザー光の経路を迂回経路に切り替えていた。
【0015】
しかし、レーザー光の経路の切り替えには時間を要するため、その間は通信が不可能である状態が継続してしまう。通信ネットワークの可用性をさらに向上させるためには、レーザー光による通信の阻害要因に応じた適切な通信の再接続を実行する必要がある。そのためには、通信が阻害された全ての場合において経路の切り替えをするのではなく、阻害要因を推定する必要がある。
【0016】
ここで、受光レベルおよび光軸ずれ量の時系列データに基づき、阻害要因を推定する特許文献1に記載の技術は有用であるが、阻害要因を推定可能な新規な光空間通信装置およびその関連技術が求められている。
【0017】
また、阻害要因を推定するには、光空間通信装置は、専用の多数の各種センサ類を具備する必要があるが、このことは、光空間通信装置のコストの増加および消費電力の増大に繋がる。このため、極力センサを使用せずに阻害要因を推定することが求められている。
【0018】
よって、例示的実施形態が解決しようとする一課題は、レーザー光による通信の阻害要因を推定可能な新規な光空間通信装置およびその関連技術を提供することにある。また、別の課題は、極力センサを使用せずにレーザー光による通信の阻害要因を推定可能な光空間通信装置およびその関連技術を提供することにある。
【0019】
〔例示的実施形態1〕
本発明の例示的実施形態1について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する実施形態の基本となる形態である。
【0020】
(光空間通信装置10の構成)
本例示的実施形態に係る光空間通信装置10の構成について、図1を参照して説明する。図1は、光空間通信装置10の構成を示すブロック図である。光空間通信装置10は、レーザー光による光空間通信を行う。図1に示すように、光空間通信装置10は、複数の受光部(受光手段)11-1および11-2と、測定部(測定手段)12-1および12-2と、判定部(判定手段)13と、推定部(推定手段)14と、を備える。
【0021】
複数の受光部11-1および11-2は、レーザー光を受光するチャネルである。測定部12-1および12-2は、それぞれ、複数の受光部11-1および11-2の各々におけるレーザー光の受光状態を測定する。具体的には、測定部12-1は測定部12-1に対応する受光部11-1の受光状態を測定し、測定部12-2は測定部12-2に対応する受光部11-2の受光状態を測定する。判定部13は、レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定する。推定部14は、受光状態に基づいて、レーザー光による通信の阻害要因を推定する。
【0022】
図1に示す例では、光空間通信装置10は、2つの受光部11-1および11-2を備えているが、光空間通信装置は、複数の受光部を備えていればよく、受光部の数は特に限定されない。また、図1に示す例では、光空間通信装置10は、2つの受光部11-1と11-2とのそれぞれに対応し、これらと同じ数である2つの測定部12-1と12-2とを備える。そして、光空間通信装置10の2つの測定部12-1および12-2が、2つの受光部11-1および11-2の各々における受光状態を測定している。ただし、光空間通信装置10では、測定部が複数の受光部11-1および11-2の各々における受光状態を測定すればよく、測定部の数は特に限定されない。例えば、1つの測定部が複数の受光部11-1および11-2の各々における受光状態を測定してもよい。
【0023】
(光空間通信装置の制御方法S1の流れ)
本例示的実施形態に係る光空間通信装置の制御方法S1の流れについて、図2を参照して説明する。図2は、光空間通信装置の制御方法S1の流れを示すフロー図である。
【0024】
図2に示すように、光空間通信装置の制御方法S1は、ステップS11と、S12と、S13と、S14と、を含む。以下、光空間通信装置の制御方法S1は、光空間通信装置10の各部によって実行される場合を例に説明するが、光空間通信装置の制御方法S1は、少なくとも1つのプロセッサによって実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、光空間通信装置10に備えられていてもよいし、他の装置に備えられていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0025】
ステップS11において、光空間通信装置10の複数の受光部11-1および11-2は、レーザー光を受光する。
【0026】
ステップS12において、光空間通信装置10の測定部12-1および12-2は、複数の受光部11-1および11-2の各々におけるレーザー光の受光状態を測定する。
【0027】
例えば、測定部12-1は、受光部11-1の受光状態を測定し、測定部12-2は、受光部11-2の受光状態を測定する。
【0028】
ステップS13において、光空間通信装置10の判定部13は、レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定する。例えば、複数の受光部11-1および11-2の少なくとも一方に通信障害(通信エラー)が発生した場合、判定部13は、通信が阻害されていると判定する。
【0029】
ステップS14において、光空間通信装置10の推定部14は、レーザー光の受光状態に基づいて、レーザー光による通信の阻害要因を推定する。
【0030】
例えば、複数の受光部11-1および11-2のうち、受光部11-1における受光状態を示す所定のパラメータの値が所定の期間未満(例えば、2秒未満等、瞬間的に)所定の範囲外の値に変化し、所定の範囲内の値に戻った場合について説明する。この場合、推定部14は、阻害要因を、鳥、虫やゴミ等の遮蔽物(障害物)が現在のレーザー光の経路(光路)を遮ることにより、通信が所定の期間未満阻害されたためであると推定する。また、受光部11-1における受光状態を示す所定のパラメータの値が所定の期間以上所定の範囲外の値に変化したまま所定の範囲内の値に戻らなかった場合、推定部14は、阻害要因を、遮蔽物により通信が所定の期間以上阻害されたためであると推定する。
【0031】
(光空間通信装置の制御プログラム)
光空間通信装置10がコンピュータによって構成されている場合、光空間通信装置10の機能は、コンピュータが参照するメモリに記憶された、以下の光空間通信装置の制御プログラムによっても実現することができる。
【0032】
光空間通信装置の制御プログラムは、コンピュータを、レーザー光を受光する複数の受光部11-1および11-2と、複数の受光部11-1および11-2の各々におけるレーザー光の受光状態を測定する測定部12-1および12-2と、レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定する判定部13と、レーザー光の受光状態に基づいて、レーザー光による通信の阻害要因を推定する推定部14として機能させる。
【0033】
(例示的実施形態1の効果)
本例示的実施形態では、複数の受光部11-1および11-2は、レーザー光を受光し、測定部12-1および12-2は、複数の受光部11-1および11-2各々における受光状態を測定し、判定部13は、通信が阻害されているか否かを判定し、推定部14は、受光状態に基づいて、レーザー光による通信の阻害要因を推定する構成が採用されている。
【0034】
この構成によれば、複数の受光部11-1および11-2各々における受光状態の測定結果に基づいて、阻害要因を推定部14が推定する。これにより、1つの受光部の受光状態における測定結果に基づいて阻害要因を推定部14が推定する場合と比べて、阻害要因を適切に推定できる。このため、本例示的実施形態によれば、阻害要因を推定可能な新規な光空間通信装置およびその関連技術を提供できるという効果が得られる。
【0035】
また、極力センサを使用せずに阻害要因を推定可能な光空間通信装置およびその関連技術を提供し、多数のセンサを備える構成と比較して、低コストおよび消費電力化を図ることができるという効果が得られる。
【0036】
〔例示的実施形態2〕
本発明の例示的実施形態2について、図面を参照して詳細に説明する。例示的実施形態1にて説明した構成要素と同じ機能を有する構成要素については、同じ符号を付記し、その説明を適宜省略する。
【0037】
(光空間通信装置の制御システム1の構成)
本例示的実施形態に係る光空間通信装置の制御システム1の構成について、図3を参照して説明する。図3は、光空間通信装置の制御システム1の構成を示すブロック図である。光空間通信装置の制御システム1は、レーザー光による通信を行う光空間通信装置10Xと10Yと10Zとを制御する。図3に示すように、光空間通信装置の制御システム1は、光空間通信装置10Xと10Yと10Zとを備える。
【0038】
(光空間通信装置10Xの構成)
図3に示すように、光空間通信装置10Xは、例示的実施形態1における複数の受光部11-1および11-2の代わりに、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Yを備える。送受光部11-1Xおよび11-2Yの各々は、送光部(送光手段)と受光部(受光手段)と、を備える。光空間通信装置10Xは、測定部12-1および12-2と、判定部13と、推定部14との代わりに、光空間通信装置の制御装置21Xと、を備える。また、光空間通信装置10Xは、記憶部22をさらに備える。送受光部11-1Xは、送受光部11-1Yとの間でレーザー光を送受光し、送受光部11-2Xは、送受光部11-1Zとの間でレーザー光を送受光する。
【0039】
光空間通信装置の制御装置21Xは、光空間通信装置10Xを制御する制御部として機能する。光空間通信装置の制御装置21Xは、例示的実施形態1における測定部12-1および12-2と、推定部14との代わりに、測定部12-1Xおよび12-2Xと、推定部14Xと、を備え、照合部(照合手段)15と、決定部(決定手段)16と、実行部(実行手段)17とをさらに備える。記憶部22は、受光レベルおよびパケットロスといった受光状態を示す所定のパラメータ等、各種データを記憶する。ここで、「受光レベル」とは、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xの各々が受光したレーザー光の強度のレベルを意味する。また、「パケットロス」とは、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xの各々を介した通信において失ったパケットの数を意味する。
【0040】
測定部12-1Xおよび12-2Xは、それぞれ、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xの各々おけるレーザー光の受光状態を測定する。具体的には、測定部12-1Xは測定部12-1Xに対応する送受光部11-1Xにおける受光状態を測定し、測定部12-2Xは測定部12-2Xに対応する送受光部11-2Xにおける受光状態を測定する。照合部15は、測定部12-1Xおよび12-2Xが測定した受光状態の測定結果と、複数種類の阻害要因に対応する複数のパターンデータとを照合する。決定部16は、推定部14Xが推定した阻害要因に基づいて、通信の再接続を実行するための再接続方法(再接続シーケンス)を決定する。実行部17は、決定部16が決定した再接続方法により通信の再接続を実行する。測定部12-1Xおよび12-2Xおよび推定部14Xの詳細については後述する。
【0041】
(光空間通信装置10Yの構成)
図3に示すように、光空間通信装置10Yは、複数の送受光部11-1Yおよび11-2Yと、光空間通信装置の制御装置21Yと、記憶部22Yとを備える。送受光部11-1Yは、送受光部11-1Xとの間でレーザー光を送受光し、送受光部11-2Yは、送受光部11-2Zとの間でレーザー光を送受光する。図3に示す例では、光空間通信装置の制御装置21Yは光空間通信装置の制御装置21Xと同様であり、記憶部22Yは記憶部22Xと同様であるため、説明を省略する。
【0042】
(光空間通信装置10Zの構成)
図3に示すように、光空間通信装置10Zは、複数の送受光部11-1Zおよび11-2Zと、光空間通信装置の制御装置21Zと、記憶部22Zとを備える。送受光部11-1Zは、送受光部11-2Xとの間でレーザー光を送受光し、送受光部11-2Zは、送受光部11-2Yとの間でレーザー光を送受光する。図3に示す例では、光空間通信装置の制御装置21Zは光空間通信装置の制御装置21Xと同様であり、記憶部22Zは記憶部22Xと同様であるため、説明を省略する。
【0043】
(光空間通信装置の制御方法S1Xの流れ)
本例示的実施形態に係る光空間通信装置の制御方法S1Xの流れについて図4~7を参照して説明する。図4は、光空間通信装置の制御方法S1Xの流れを示すフロー図である。図5~7は、阻害要因の一例について説明するためのグラフである。
【0044】
図4に示すように、光空間通信装置の制御方法S1Xは、ステップS21と、S22と、S23と、S24と、S25と、S26と、S27と、を含む。ステップS23は、例示的実施形態1におけるステップS13と同様である。
【0045】
以下、光空間通信装置の制御方法S1Xが、光空間通信装置10Xの各部によって実行される場合を中心に説明する。ただし、光空間通信装置の制御方法S1Xは、光空間通信装置10Yや10Zの各部によって実行されてもよく、少なくとも1つのプロセッサによって実行されてもよい。少なくとも1つのプロセッサは、光空間通信装置10Xに備えられていてもよいし、光空間通信装置10Yや10Z等の他の装置に備えられていてもよいし、複数の装置に備えられていてもよい。
【0046】
(ステップS21)
光空間通信装置10Xの複数の送受光部11-1Xおよび11-2Yは、レーザー光を受光する。送受光部11-1Xは送受光部11-1Yからレーザー光を受光し、送受光部11-2Xは送受光部11-1Zからレーザー光を受光する。
【0047】
(ステップS22)
光空間通信装置10Xの測定部12-1Xおよび12-2Xは、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xの各々において、レーザー光の受光レベル、および、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xの各々を介した通信におけるパケットロスの少なくとも一方をレーザー光の受光状態として測定する。
【0048】
(ステップS22の一例)
以下、図5~9を用いて、ステップS22の一例について説明する。図5、6、8および9に示すように、測定部12-1Xは送受光部11-1Xの受光レベルおよびパケットロスを受光状態として所定の期間測定する。測定部12-2Xは送受光部11-2Xの受光レベルおよびパケットロスを受光状態として所定の期間測定する。光空間通信装置10Yの光空間通信装置の制御装置21Yにおける送受光部11-1Yおよび11-2Yに各々対応する測定部は、それぞれ、送受光部11-1Yおよび11-2Yの受光レベルおよびパケットロスを受光状態として所定の期間測定する。光空間通信装置10Zの光空間通信装置の制御装置21Zにおける送受光部11-1Zおよび11-2Zに各々対応する測定部は、それぞれ、送受光部11-1Zおよび11-2Zの受光レベルおよびパケットロスを受光状態として所定の期間測定する。図7のような天候の影響によりレーザー光による通信が断続的に阻害される場合には、自然現象のため、図7に代表されるようにランダムに変化する受光レベルおよびパケットロスが、光空間通信装置10X~10Zの各送受光部において受光状態として測定される。以下、送受光部11-1Xおよび11-2Xの受光状態が図7の(3)および(4)に示す例として測定された場合について説明し、他の送受光部の受光状態については説明を省略する。この場合、他の送受光部の受光状態は、図7の(3)および(4)と同様に受光レベルおよびパケットロスがランダムに変化するが、送受光部11-1Xと全く同一の状態として変化する形態に限定されない。
【0049】
(ステップS24)
光空間通信装置10Xの照合部15は、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xの各々における受光状態の測定結果と、複数種類の阻害要因に対応する複数のパターンデータとを照合する。照合部15は、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xの各々において、受光レベルおよびパケットロスの時系列データと、複数のパターンデータとを照合し、複数のパターンデータのうち時系列データに最も近いパターンデータを決定してもよい。照合部15が、受光レベルおよびパケットロスの時系列データと、複数のパターンデータとを照合し、複数のパターンデータのうち時系列データに最も近いパターンデータを決定する方法は特に限定されないが、例えば、機械学習によるものが挙げられる。
【0050】
(ステップS24の一例)
以下、図5~9を用いて、ステップS24の一例について説明する。図5~9に示す例では、照合部15は、自局の送受光部11-1Xおよび11-2Xに加えて、通信相手である光空間通信装置10Yおよび10Z(相手局)の送受光部11-1Y、11-2Y、11-1Zおよび11-2Zの受光レベルおよびパケットロスの時系列データに基づき、時系列データに最も近いパターンデータを決定する。この場合、照合部15は、例えば、光空間通信装置10Xの通信部が光空間通信装置10Yおよび10Zの通信部から受信した、光空間通信装置の制御装置21Yおよび21Zの測定部による受光レベルおよびパケットロスの少なくとも一方の時系列データを参照してもよい。
【0051】
ただし、照合部15は、自局の送受光部11-1Xおよび11-2Xの受光レベルおよびパケットロスの少なくとも一方の時系列データに基づき、時系列データに最も近いパターンデータを決定してもよい。この場合、照合部15は、後述の(5)遮蔽物により通信が所定の期間以上阻害された場合と、(6)光空間通信装置への外部からの衝撃により、レーザー光の経路が外れた場合とを識別できないが、その他の場合には識別できる。
【0052】
また、以下に示す例では、以下の(1)~(6)の場合の各々に該当し、後述の(i)~(vi)の各々に相当する6つの阻害要因と、6つのパターンデータとが1対1で対応している場合について説明する。ただし、本例示的実施形態では、複数種類の阻害要因と複数のパターンデータとが対応していれば、以下に示す例に限定されず、複数種類の阻害要因と1つのパターンデータとが対応していてもよい。例えば、複数種類の阻害要因のうち、後述の(v)に相当する遮蔽物、および、後述の(vi)に相当する光空間通信装置への外部からの衝撃と、1つのパターンデータとが対応していてもよい。
【0053】
(1)遮蔽物により通信が所定の期間未満阻害された場合
図5は、鳥、虫やゴミ等の遮蔽物が送受光部11-1Xと11-Yとの間の光路を瞬間的に遮り、変化が表れた送受光部11-1Xおよび11-Yと、変化が表れなかった送受光部11-2X、11-2Y、11-1Zおよび11-2Zの受光状態を表している。
【0054】
図5に示す例では、送受光部11-1Xおよび11-1Yの受光レベルは、時間(所定の期間)T1の間、一瞬だけ0付近まで落ち、すぐに元に戻っている。また、送受光部11-1Xおよび11-1Yのパケットロスに、短い区間に多数の誤りが連続的に集中するバースト誤りが発生している。時間T1に対応する所定の期間としては、2秒等が挙げられる。すなわち、送受光部11-1Xおよび11-1Yの受光レベルは、2秒未満、一瞬だけ0付近まで落ち、すぐに元に戻り、送受光部11-1Xおよび11-1Yのパケットロスに、2秒未満、多数の誤りが連続的に集中するバースト誤りが発生し、すぐに元に戻っている。一方、送受光部11-2X、11-2Y、11-1Zおよび11-2Zの受光レベルおよびパケットロスには変化がない。このように、図5に示す例では、特定の送受光部のみ受光レベルが、一瞬だけ0付近まで落ち、すぐ元に戻り、特定の送受光部のみパケットロスにバースト誤りが一瞬だけ発生している。この場合、照合部15は、遮蔽物が光路を瞬間的に遮ることにより、通信が所定の期間未満阻害されたパターンデータを、受光レベルおよびパケットロスの時系列データに最も近いパターンデータに決定する。
【0055】
(2)振動により通信が周期的に阻害された場合
図6は、光空間通信装置10Y(相手局)において振動が発生することにより、変化が表れた送受光部11-1X、11-Yおよび11-2Yと、変化が表れなかった送受光部11-2X、11-1Zおよび11-2Zの受光状態を表している。
【0056】
図6に示す例では、送受光部11-1X、11-1Yおよび11-2Yの受光レベルが、時間(所定の期間)T2以上、周期的に波のように増減を繰り返している。また、送受光部11-1X、11-1Yおよび11-2Yのパケットロスに、周期的にバースト誤りが発生している。時間T2に対応する所定の期間は、特に限定されないが、図6に示す例のように、時間T1に対応する所定の期間と異なっていてもよい。図6に示す例では、光空間通信装置10Y(相手局)が振動し、相手局自身の送受光部11-1Xおよび11-2Xの両方のチャネル(振動している光空間通信装置10Yの全チャネル)の受光レベルおよびパケットロスが変化している。また、振動している光空間通信装置10Yの送受光部11-Yと通信している光空間通信装置10Xの送受光部11-1Xにおいて、受光レベルおよびパケットロスが変化している。この場合、照合部15は、振動によりレーザー光が周期的に光路から外れ、通信が周期的に阻害されたパターンデータを、受光レベルおよびパケットロスの時系列データに最も近いパターンデータに決定する。
【0057】
(3)天候の影響により通信が断続的に阻害された場合
図7の(3)天候の影響により通信が断続的に阻害された場合の図は、降雨等の天候の影響により、光空間通信装置10Xの送受光部11-1Xおよび11-2Xの両方のチャネル(光空間通信装置10Xの全チャネル)に変化が表れた受光状態を表している。
【0058】
図7の(3)の例では、光空間通信装置10Xの全チャネルにおいて、時間(所定の期間)T3以上、受光レベルがランダムに増減を繰り返し、バースト誤りが散発している。時間T3に対応する所定の期間は、特に限定されないが、図7の(3)に示す例のように、時間T1およびT2のそれぞれに対応する所定の期間と異なっていてもよい。この場合、照合部15は、降雨等の天候の影響により通信が断続的に阻害され、光路が遮られたパターンデータを、受光レベルおよびパケットロスの時系列データに最も近いパターンデータに決定する。上述の例では、便宜的に、光空間通信装置10Xの全チャネルの受光状態が図7の(3)に示す例のように変化した場合について説明している。ただし、光空間通信装置10Xの送受光部11-1Xと11-2Xとの受光レベルおよびパケットロスは、ランダムに変化する点を除き、全く同一の状態として変化する形態に限定されない。通常、これらの送受光部の受光レベルおよびパケットロスは、全く同一の状態として変化するわけではない。
【0059】
(4)天候の影響によりレーザー光が送受光されなくなった場合
図7の(4)天候の影響によりレーザー光が送受光されなくなった場合の図は、濃霧等の天候の影響により、光空間通信装置10Xの全チャネルに変化が表れた受光状態を表している。
【0060】
図7の(4)の図の例では、光空間通信装置10Xの全チャネルにおいて、時間(所定の期間)T4の間に、受光レベルが0付近まで徐々に落ちている。また、当該所定の期間の間に、受光レベルがランダムで増減しており、光空間通信装置10Xの全チャネルにおいてバースト誤りが多発している。時間T4に対応する所定の期間は、特に限定されないが、図7の(4)の図に示す例のように、時間T3に対応する所定の期間と同様であってもよい。このように、図7の(4)の場合の図は、光空間通信装置10Xの全チャネルにおいて、所定の期間の間に、受光レベルが0付近まで徐々に落ちている点において特に図7の(3)の場合の図と異なる。この場合、照合部15は、濃霧等の天候の影響によりレーザー光が送受光されなくなり、不達となったパターンデータを、受光レベルおよびパケットロスの時系列データに最も近いパターンデータに決定する。上述の例では、便宜的に、光空間通信装置10Xの全チャネルの受光状態が図7の(4)に示す例のように変化した場合について説明している。ただし、本例示的実施形態では、光空間通信装置10Xの送受光部11-1Xと11-2Xとの受光レベルおよびパケットロスは、ランダムに変化する点を除き、全く同一の状態として変化する形態に限定されない。通常、これらの送受光部の受光レベルおよびパケットロスは、全く同一の状態として変化するわけではない。
【0061】
(5)遮蔽物により通信が所定の期間以上阻害された場合
図8は、遮蔽物が送受光部11-1Xと11-Yとの間の光路を所定の期間以上遮ることにより、変化が表れた送受光部11-1Xおよび11-Yと、変化が表れなかった送受光部11-2X、11-2Y、11-1Zおよび11-2Zの受光状態を表している。
【0062】
図8に示す例では、送受光部11-1Xおよび11-1Yの受光レベルは、時間(所定の期間)T5の間に急に0まで落ちて、その状態が継続している。また、送受光部11-1Xおよび11-1Yのパケットロスに、バースト誤りが急に発生して、時間T5の間以上、その状態が継続している。一方、送受光部11-2X、11-2Y、11-1Zおよび11-2Zの受光レベルおよびパケットロスには変化がない。図8に示す例では、特定の送受光部の受光レベルのみが急に0まで落ちて、その状態が継続し、特定の送受光部のみパケットロスにバースト誤りが急に発生して、その状態が継続している。このように、図8に示す例は、送受光部11-1Xおよび11-1Yの受光レベルが0(付近)まで落ちる期間およびパケットロスにバースト誤りが発生する期間が所定の期間(2秒以上)以上であり、その状態が継続する点において図5に示す例と異なる。この場合、照合部15は、遮蔽物により通信が所定の期間以上阻害されたパターンデータを、受光レベルおよびパケットロスの時系列データに最も近いパターンデータに決定する。
【0063】
(6)光空間通信装置への外部からの衝撃により、レーザー光の経路が外れた場合
図9は、光空間通信装置への外部からの衝撃により、変化が表れた送受光部11-1X、11-Yおよび11-2Yと、変化が表れなかった送受光部11-2X、11-1Zおよび11-2Zの受光状態を表している。
【0064】
図9に示す例では、送受光部11-1X、11-Yおよび11-2Yの受光レベルは、時間(所定の期間)T6の間に急に0まで落ちて、その状態が継続している。また、送受光部11-1X、11-Yおよび11-2Yのパケットロスに、バースト誤りが急に発生して、時間T6の間以上、その状態が継続している。一方、送受光部11-2X、11-1Zおよび11-2Zの受光レベルおよびパケットロスには変化がない。図9に示す例では、光空間通信装置10Y(相手局)が衝撃を受けており、特定の送受光部(相手局の全チャネル)の受光レベルのみが急に0まで落ち、その状態が継続し、特定の送受光部のみパケットロスにバースト誤りが急に発生し、その状態が継続している。このように、図9に示す例は、受光レベルが0まで落ち、パケットロスにバースト誤りが発生する期間が所定の期間以上であり、その状態が継続する特定の送受光部が、衝撃を受けた相手局の全チャネルである点において図8に示す例と異なる。この場合、照合部15は、光空間通信装置への外部からの衝撃により、レーザー光の経路が恒久的に外れたパターンデータを、受光レベルおよびパケットロスの時系列データに最も近いパターンデータに決定する。
【0065】
(ステップS25)
光空間通信装置10Xの推定部14Xは、照合部15が照合した測定結果と複数のパターンデータとの照合結果に基づいて阻害要因を推定する。推定部14Xは、照合部15が決定した時系列データに最も近いパターンデータに基づき、阻害要因を推定してもよい。例えば、推定部14Xは、阻害要因が、遮蔽物、自局(光空間通信装置10X)または相手局(通信相手)の振動および天候の少なくとも1つであると推定する。阻害要因は、大きく分けてこれらの3つでありこれらの組み合わせであってもよい。すなわち、これらの阻害要因が同時に発生してもよい。ただし、パターンデータは、上述の(1)~(6)のいずれかに近寄ったものとなる。このため、推定部14Xは、阻害要因が、上述の(1)~(6)に対応する以下の(i)~(vi)のいずれかであると推定してもよい。
(i)遮蔽物により通信が所定の期間未満阻害されたため
(ii)振動により通信が周期的に阻害されたため
(iii)天候の影響により通信が断続的に阻害されたため
(iv)天候の影響によりレーザー光が送受光されなくなったため
(v)遮蔽物により通信が所定の期間以上阻害されたため
(vi)光空間通信装置への外部からの衝撃により、レーザー光の経路が外れたため
【0066】
以下、図5~9を用いて、推定部14Xによる阻害要因の推定の一例について説明する。
【0067】
(1)遮蔽物により通信が所定の期間未満阻害された場合
以下、照合部15が、図5に示す、遮蔽物が光路を瞬間的に遮ることにより、通信が所定の期間未満阻害されたパターンデータを、受光レベルおよびパケットロスの時系列データに最も近いパターンデータに決定した場合について説明する。この場合、推定部14Xは、阻害要因が上述の(i)であると推定する。
【0068】
(2)振動により通信が周期的に阻害された場合
以下、照合部15が、図6に示す、振動によりレーザー光が周期的に光路から外れ、通信が周期的に阻害されたパターンデータを、受光レベルおよびパケットロスの時系列データに最も近いパターンデータに決定した場合について説明する。この場合、推定部14Xは、阻害要因が上述の(ii)であると推定する。
【0069】
(3)天候の影響により通信が断続的に阻害された場合
以下、照合部15が、図7の(3)に示す、降雨等の天候の影響により通信が断続的に阻害され、光路が遮られたパターンデータを、受光レベルおよびパケットロスの時系列データに最も近いパターンデータに決定した場合について説明する。この場合、推定部14Xは、阻害要因が上述の(iii)であると推定する。
【0070】
(4)天候の影響によりレーザー光が送受光されなくなった場合
以下、照合部15が、図7の(4)に示す、濃霧等の天候の影響によりレーザー光が送受光されなくなり、不達となったパターンデータを、受光レベルおよびパケットロスの時系列データに最も近いパターンデータに決定した場合について説明する。この場合、推定部14Xは、阻害要因が上述の(iv)であると推定する。
【0071】
(5)遮蔽物により通信が所定の期間以上阻害された場合
以下、照合部15が、図8に示す、遮蔽物により通信が所定の期間以上阻害されたパターンデータを、受光レベルおよびパケットロスの時系列データに最も近いパターンデータに決定した場合について説明する。この場合、推定部14Xは、阻害要因が上述の(v)であると推定する。
【0072】
(6)光空間通信装置への外部からの衝撃により、レーザー光の経路が外れた場合
以下、照合部15が、図9に示す、光空間通信装置への外部からの衝撃により、レーザー光の経路が恒久的に外れたパターンデータを、受光レベルおよびパケットロスの時系列データに最も近いパターンデータに決定した場合について説明する。この場合、推定部14Xは、阻害要因が上述の(vi)であると推定する。
【0073】
(ステップS26)
光空間通信装置10Xの決定部16は、推定部14Xが推定した阻害要因に基づいて、通信の再接続を実行するための再接続方法を決定する。決定部16は、以下の(I)~(III)の少なくとも1つを再接続方法に決定する。
(I)上位レイヤでの通信接続(通信コネクション)の再確立
(II)送受光部(送光手段および受光手段の少なくとも一方)の光軸の再調整
(III)現在のレーザー光の経路から迂回経路への切り替え
【0074】
上述の(I)は、送受光部の光軸が少しずれた場合、ある階層よりも上位に位置する階層、例えば、レイヤ2より上位に位置するレイヤ3等のIP(Internet Protocol)層である上位レイヤでの通信接続を再確立して、光空間通信の再接続を実行する方法を意味する。上述の(II)は、振動等により、送受光部の受光レベルおよびパケットロスが周期的に変化する場合、周期的な変化に合わせて送受光部の光軸を元の位置に再調整することにより、光空間通信の再接続を実行する方法を意味する。この方法には、例えば、自局の送受光部の光軸がずれた場合、元々通信していた相手局の受光部に合わせるように、自局の送光部の光軸を再調整する方法と、元々通信していた相手局の送光部に合わせるように、自局の受光部の光軸を再調整する方法とがある。上述の(III)は、上述の(I)や(II)では通信の再接続を実行できない場合等、送受光部によるレーザー光の送受光ができなくなった場合に、現在のレーザー光の経路そのものを切り替えることにより、光空間通信の再接続を実行する手段を意味する。
【0075】
例えば、阻害要因が、上述の(i)である場合には、決定部16は、上述の(I)を再接続方法の少なくとも1つとして決定する。阻害要因が、上述の(ii)である場合には、決定部16は、上述の(II)を再接続方法の少なくとも1つとして決定する。決定部16は、時間T3における受光レベルおよびパケットロスの値の変化が所定の値よりも小さい場合等、天候の影響が小さい場合、上述の(II)の代わりに、再接続方法を決定せず、待機することを決定してもよい。ここでいう所定の値としては、特に限定されないが、例えば、時間T3における受光レベルの値が、変化前の受光レベルの半分以下である場合等が挙げられる。阻害要因が、上述の(iii)~(vi)である場合には、決定部16は、上述の(III)を再接続方法の少なくとも1つとして決定する。
【0076】
阻害要因が上述の(v)または(vi)である場合には、決定部16は、まず、上述の(II)を再接続方法として決定してもよい。決定部16は、上述の(II)では光空間通信の再接続が実行されない場合に、上述の(III)を再接続方法として決定してもよい。図9のように、光空間通信装置10Y(相手局)への外部からの衝撃によりレーザー光の経路が外れた場合、相手局自身の送受光部11-1Xおよび11-2Xの両方のチャネル(光空間通信装置10Yの全チャネル)の受光レベルおよびパケットロスが変化している。また、光空間通信装置10Yの送受光部11-Yと通信している光空間通信装置10Xの送受光部11-1Xにおいて、受光レベルおよびパケットロスが変化している。このような場合、決定部16は、警報(アラーム)を発してもよい。このように、決定部16は、相手局と自局とのいずれに衝撃や振動等が行ったか否かに応じて、異なる再接続方法を決定してもよい。
【0077】
(ステップS27)
光空間通信装置10Xの実行部17は、決定部16が決定した再接続方法により通信の再接続を実行する。
【0078】
例えば、決定部16が、上述の(I)を再接続方法の少なくとも1つとして決定した場合には、実行部17は、少なくとも上述の(I)により通信の再接続を実行する。決定部16が、少なくとも上述の(II)を再接続方法の少なくとも1つとして決定した場合には、実行部17は、少なくとも上述の(II)により通信の再接続を実行する。決定部16が、上述の(III)を再接続方法の少なくとも1つとして決定した場合には、実行部17は、少なくとも上述の(III)により通信の再接続を実行する。
【0079】
(例示的実施形態2の効果)
本例示的実施形態においては、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xを備える光空間通信装置10Xを制御する光空間通信装置の制御装置21Xは、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xの各々におけるレーザー光の受光状態を測定する測定部12-1Xおよび12-2Xと、レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定する判定部13と、受光状態に基づいて、レーザー光による通信の阻害要因を推定する推定部14Xと、を備える構成が採用されている。
【0080】
この構成によれば、光空間通信装置10Xが備える複数の送受光部11-1Xおよび11-2X各々における受光状態の測定結果に基づいて、光空間通信装置の制御装置21X推定部14Xが阻害要因を推定する。これにより、1つの受光部の受光状態における測定結果に基づいて阻害要因を推定部14Xが推定する場合と比べて、阻害要因を適切に推定できる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1と同様に、阻害要因を推定可能な新規な光空間通信装置の制御装置を提供できるという効果が得られる。
【0081】
また、極力センサを使用せずに阻害要因を推定可能な光空間通信装置の制御装置を提供し、多数のセンサを備える構成と比較して、低コストおよび消費電力化を図ることができるという効果が得られる。
【0082】
本例示的実施形態においては、光空間通信装置10Xは、照合部15をさらに備え、推定部14Xは、照合部15が照合した測定結果と複数のパターンデータとの照合結果に基づいて阻害要因を推定する構成が採用されている。
【0083】
この構成によれば、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xの各々における測定結果と複数のパターンデータとが照合された照合結果に基づいて、阻害要因を推定することができる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、阻害要因を適切に推定することができるという効果が得られる。
【0084】
本例示的実施形態においては、測定部12Xは、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xの各々において、受光レベルおよびパケットロスの少なくとも一方をレーザー光の受光状態として測定する構成が採用されている。
【0085】
この構成によれば、光空間通信装置10Xに通常実装されている、受光レベルやパケットロスを測定するという機能を活用し、推定部14Xは、受光レベルやパケットロスに基づき、阻害要因を推定できる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、極力センサを使用せずに阻害要因を推定し、多数のセンサを備える構成と比較して、低コストおよび消費電力化を図ることができるという効果が得られる。
【0086】
本例示的実施形態においては、照合部15は、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xの各々において、受光レベルおよびパケットロスの時系列データと、複数のパターンデータとを照合して、複数のパターンデータのうち時系列データに最も近いパターンデータを決定し、推定部14Xは、照合部15が決定した時系列データに最も近いパターンデータに基づいて、阻害要因を推定する構成が採用されている。
【0087】
この構成によれば、複数の送受光部11-1Xおよび11-2Xの各々における受光レベルおよびパケットロスの時系列データと、複数のパターンデータとを照合して決定された時系列データに最も近いパターンデータに基づいて、阻害要因を推定できる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、阻害要因をより適切に推定することができるという効果が得られる。
【0088】
本例示的実施形態においては、推定部14Xは、阻害要因が、遮蔽物、光空間通信装置または通信相手の振動および天候の少なくとも1つであると推定する構成が採用されている。
【0089】
この構成によれば、阻害要因を体系化することができる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、阻害要因を体系化されたものに当てはめることができるという効果が得られる。
【0090】
本例示的実施形態においては、推定部14Xが推定した阻害要因に基づいて、通信の再接続を実行するための再接続方法を決定する決定部16をさらに備える構成が採用されている。
【0091】
この構成によれば、阻害要因に応じた再接続方法を決定することができる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、阻害要因に適した再接続方法を決定できるという効果が得られる。
【0092】
本例示的実施形態においては、決定部16は、上述の(I)~(III)の少なくとも1つを再接続方法として決定する構成が採用されている。
【0093】
この構成によれば、阻害要因によらず上述の(III)を再接続方法に決定していた従来技術と異なり、阻害要因に応じて異なる再接続方法を決定できる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、阻害要因に応じた適切な再接続方法を決定できるという効果が得られる。
【0094】
本例示的実施形態においては、決定部16は、阻害要因が上述の(i)である場合には、上述の(I)を再接続方法の少なくとも1つとして決定し、阻害要因が上述の(ii)である場合には、上述の(II)を再接続方法の少なくとも1つとして決定し、阻害要因が上述の(iii)~(vi)である場合には、上述の(III)を再接続方法の少なくとも1つとして決定する構成が採用されている。
【0095】
この構成によれば、上述の(i)~(vi)の阻害要因の各々に応じて、上述の(I)~(III)を適宜組み合わせた再接続方法を決定することができる。このため、本例示的実施形態によれば、例示的実施形態1の奏する効果に加えて、上述の(i)~(vi)の阻害要因の各々に応じて、適切な再接続方法を決定できるという効果が得られる。
【0096】
〔変形例〕
【0097】
上述に示す例では、光空間通信装置の制御システム1の光空間通信装置10X、10Yおよび10Zのいずれもが光空間通信装置の制御装置21X、21Yおよび21Zを備える。ただし、光空間通信装置の制御システム1は、このような形態に限定されず、光空間通信装置10X、10Yおよび10Zのうちのいずれかが、光空間通信装置の制御装置を備え、これらの光空間通信装置を制御する機能を有する中央局として機能してもよい。光空間通信装置の制御システム1では、光空間通信装置10X、10Yおよび10Zのいずれもが光空間通信装置の制御装置を備えておらず、これらの光空間通信装置10Xの外部に光空間通信装置の制御装置が設けられていてもよい。この場合、光空間通信装置10X、10Yおよび10Zの各々に1つずつ光空間通信装置の制御装置が外付けされていてもよい。また、これらの光空間通信装置を制御する機能を有する中央局としての光空間通信装置の制御装置がこれらの光空間通信装置に外付けされていてもよい。
【0098】
〔ソフトウェアによる実現例〕
光空間通信装置の制御システム1を構成する各装置の一部または全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0099】
後者の場合、光空間通信装置の制御システム1を構成する各装置は、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図10に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを、光空間通信装置の制御システム1を構成する各装置として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、光空間通信装置の制御システム1を構成する各装置の各機能が実現される。
【0100】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、または、これらの組み合わせ等を用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、または、これらの組み合わせ等を用いることができる。
【0101】
コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)をさらに備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースをさらに備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタ等の入出力機器を接続するための入出力インタフェースをさらに備えていてもよい。
【0102】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、またはプログラマブルな論理回路等を用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、または放送波等を用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0103】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0104】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0105】
(付記1)
レーザー光を受光する複数の受光手段と、
前記複数の受光手段の各々における前記レーザー光の受光状態を測定する測定手段と、
前記レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定する判定手段と、
前記受光状態に基づいて、前記レーザー光による前記通信の阻害要因を推定する推定手段と、を備える、光空間通信装置。
【0106】
(付記2)
前記複数の受光手段の各々における前記受光状態の測定結果と、複数種類の阻害要因に対応する複数のパターンデータとを照合する照合手段をさらに備え、
前記推定手段は、前記照合手段の照合結果に基づいて前記阻害要因を推定する、付記1に記載の光空間通信装置。
【0107】
(付記3)
前記測定手段は、前記複数の受光手段の各々において、前記レーザー光の受光レベル、および、前記複数の受光手段の各々を介した通信におけるパケットロスの少なくとも一方を前記レーザー光の受光状態として測定する、付記2に記載の光空間通信装置。
【0108】
(付記4)
前記照合手段は、前記複数の受光手段の各々において、前記受光レベルおよび前記パケットロスの時系列データと、前記複数のパターンデータとを照合して、当該複数のパターンデータのうち前記時系列データに最も近いパターンデータを決定し、
前記推定手段は、前記照合手段が決定した前記時系列データに最も近いパターンデータに基づいて、前記阻害要因を推定する、付記3に記載の光空間通信装置。
【0109】
(付記5)
前記推定手段は、前記阻害要因が、遮蔽物、前記光空間通信装置または通信相手の振動および天候の少なくとも1つであると推定する、付記1~4のいずれか1つに記載の光空間通信装置。
【0110】
(付記6)
前記推定手段が推定した前記阻害要因に基づいて、前記通信の再接続を実行するための再接続方法を決定する決定手段をさらに備える、付記1~5のいずれか1項に記載の光空間通信装置。
【0111】
(付記7)
前記レーザー光を送光する少なくとも1つの送光手段をさらに備え、
前記決定手段は、(I)上位レイヤでの通信接続の再確立、(II)前記送光手段および前記受光手段の少なくとも一方の光軸の再調整、ならびに、(III)現在の前記レーザー光の経路から迂回経路への切り替えの少なくとも1つを前記再接続方法として決定する、付記6に記載の光空間通信装置。
【0112】
(付記8)
前記決定手段は、
前記阻害要因が、(i)遮蔽物により前記通信が所定の期間未満阻害されたためである場合には、前記(I)上位レイヤでの通信接続の再確立を前記再接続方法として決定し、
前記阻害要因が、(ii)振動により前記通信が周期的に阻害されたためである場合には、前記(II)前記送光手段および前記受光手段の少なくとも一方の光軸の再調整を前記再接続方法の少なくとも1つとして決定し、
前記阻害要因が、(iii)天候の影響により前記通信が断続的に阻害されたため、(iv)前記天候の影響により前記レーザー光が受光されなくなったため、(v)前記遮蔽物により前記通信が所定の期間以上阻害されたため、および、(vi)前記光空間通信装置への外部からの衝撃により、前記レーザー光の経路が外れたためである場合には、前記(III)現在の前記レーザー光の経路から迂回経路への切り替えを前記再接続方法の少なくとも1つとして決定する、付記7に記載の光空間通信装置。
【0113】
(付記9)
光空間通信装置の複数の受光手段が、レーザー光を受光することと、
前記光空間通信装置の測定手段が、前記複数の受光手段の各々における前記レーザー光の受光状態を測定することと、
前記光空間通信装置の判定手段が、前記レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定することと、
前記光空間通信装置の推定手段が、前記受光状態に基づいて、前記レーザー光による前記通信の阻害要因を推定することと、を含む、光空間通信装置の制御方法。
【0114】
(付記10)
光空間通信装置を制御する光空間通信装置の制御装置であって、
前記光空間通信装置は、
レーザー光を受光する複数の受光手段を備え、
前記光空間通信装置の制御装置は、
前記複数の受光手段の各々における前記レーザー光の受光状態を測定する測定手段と、
前記レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定する判定手段と、
前記受光状態に基づいて、前記レーザー光による前記通信の阻害要因を推定する推定手段と、を備える、光空間通信装置の制御装置。
【0115】
〔付記事項3〕
この光空間通信装置の制御装置は、さらにメモリを備えていてもよく、このメモリには、光空間通信装置の複数の受光手段が、レーザー光を受光することと、前記光空間通信装置の測定手段が、前記複数の受光手段の各々における前記レーザー光の受光状態を測定することと、前記光空間通信装置の判定手段が、前記レーザー光による通信が阻害されているか否かを判定することと、前記光空間通信装置の推定手段が、前記受光状態に基づいて、前記レーザー光による前記通信の阻害要因を推定することと、を前記プロセッサに実行させるための光空間通信装置の制御プログラムが記憶されていてもよい。また、この光空間通信装置の制御プログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【0116】
〔付記事項4〕
本発明は、レーザー光による通信の阻害要因を推定可能な新規な光空間通信装置の制御装置およびその関連技術を提供できる。このため、本発明は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」の達成に貢献できる。
【符号の説明】
【0117】
1 光空間通信装置の制御システム
10、10X、10Y、10Z 光空間通信装置
11-1、11-2 受光部(受光手段)
11-1X、11-1Y、11-1Z、11-2X、11-2Y、11-2Z 送受光部(送光手段および受光手段)
12-1、12-1X、12-1Z、12-2、12-2X、12X 測定部(測定手段)
13 判定部
14、14X 推定部(推定手段)
15 照合部(照合手段)
16 決定部(決定手段)
21、21X、21Y 光空間通信装置の制御装置
S1、S1X 光空間通信装置の制御方法
T1、T2、T3、T4、T5、T6 時間(所定の期間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10