(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080179
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、電力需給調整システム、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20240606BHJP
H02J 3/00 20060101ALI20240606BHJP
H02J 3/14 20060101ALI20240606BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
H02J3/00 130
H02J3/14 130
H02J3/38 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193141
(22)【出願日】2022-12-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100132045
【弁理士】
【氏名又は名称】坪内 伸
(72)【発明者】
【氏名】草野 吉雅
(72)【発明者】
【氏名】金子 勝弘
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC05
5G064CB21
5G064DA03
5G066HA15
5G066HB06
5G066KA01
5G066KD01
(57)【要約】
【課題】電力需給の調整力を提供する。
【解決手段】情報処理装置10は制御部を有する。制御部は送配電網12を分割した複数の領域r別の電力需給予測を取得する。管理対象の複数の供給源15及び管理対象の複数の電力消費施設13を分散して送配電網12に接続する。制御部は領域r別の電力需給予測に基づいて複数のサーバ18別の稼働率を決定する。複数の電力消費施設13は複数のサーバ18を含む。制御部は決定した稼働率で複数のサーバ18を稼働させる指令を送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の複数の供給源及び管理対象の複数の電力消費施設が分散して接続される送配電網を分割した複数の領域別の電力需給予測を取得し、前記領域別の電力受給予測に基づいて前記複数の電力消費施設が含む複数のサーバ別の稼働率を決定し、決定した稼働率で前記複数のサーバを稼働させる指令を送信する制御部を、備える
情報処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理装置において、
前記供給源は、再生可能エネルギー供給源を含み、
前記制御部は、前記再生可能エネルギー供給源からの供給電力を予測し、予測される該供給電力に基づいて電力需給を予測することにより前記電力需給予測を取得する
情報処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の情報処理装置において、
前記再生可能エネルギー供給源は、再生可能エネルギーに基づく電源が発電する電力の余剰電力を供給し、
前記余剰電力は、高圧電力及び低圧電力を含み、
前記制御部は、前記高圧電力及び前記低圧電力別に、前記再生可能エネルギー供給源からの供給電力を予測する
情報処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記複数の供給源及び前記複数の電力消費施設間の電力需給を管理する需給管理装置から、前記電力需給予測の少なくとも一部を情報として受信することにより取得する
情報処理装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記電力需給予測における需要が大きくなるほど、該電力需給予測に対応する前記領域に接続される前記サーバの稼働率を下げる
情報処理装置。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記制御部は、前記電力需給予測における供給が大きくなるほど、該電力需給予測に対応する前記領域に接続される前記サーバの稼働率を上げる
情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載の情報処理装置において、
前記複数のサーバは、少なくとも1つの処理を複数のタスクに分けて処理し、
前記複数のサーバ毎の前記タスクの処理量を調整することにより、各サーバの稼働率が調整される
情報処理装置。
【請求項8】
複数の領域に分割されている送配電網と、
前記複数の領域に分散して、管理対象の複数の供給源とともに接続される、管理対象の複数の電力消費施設と、
前記領域別の電力需給予測を取得し、前記領域別の電力需給予測に基づいて前記電力消費施設が含む複数のサーバ別の稼働率を決定し、決定した稼働率で前記複数のサーバを稼働させる指令を送信する情報処理装置と、を備える
電力需給調整システム。
【請求項9】
管理対象の複数の供給源及び管理対象の複数の電力消費施設が分散して接続される送配電網を分割した複数の領域別の電力需給予測を取得し、
前記領域別の電力需給予測に基づいて前記複数の電力消費施設が含む複数のサーバ別の稼働率を決定し、
決定した稼働率で前記複数のサーバを稼働させる指令を送信する
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
管理対象の複数の供給源及び管理対象の複数の電力消費施設が分散して接続される送配電網を分割した複数の領域別の電力需給予測を取得させ、
前記領域別の電力需給予測に基づいて前記複数の電力消費施設が含む複数のサーバ別の稼働率を決定させ、
決定した稼働率で前記複数のサーバを稼働させる指令を送信させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、電力需給調整システム、情報処理方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電力需給の調整に資する多様な技術開発が進められている。例えば、蓄電池を電力の需給調整に用いる場合の収益を向上させる情報を蓄電池の保有者に通知する情報処理装置が提案されている(特許文献1参照)。又、例えば、デマンドレスポンスの発動の有無を高精度で予測する予測システムが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-189998号公報
【特許文献2】特開2021-131627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術には改善の余地がある。例えば、蓄電池の利用に限定されず他の調整力が求められている。
【0005】
かかる点に鑑みてなされた本開示の目的は、電力需給の調整力を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した諸課題を解決すべく、第1の観点による情報処理装置は、
管理対象の複数の供給源及び管理対象の複数の電力消費施設が分散して接続される送配電網を分割した複数の領域別の電力需給予測を取得し、前記領域別の電力受給予測に基づいて前記複数の電力消費施設が含む複数のサーバ別の稼働率を決定し、決定した稼働率で前記複数のサーバを稼働させる指令を送信する制御部を、備える。
【0007】
又、第2の観点による電力需給調整システムは、
複数の領域に分割されている送配電網と、
前記複数の領域に分散して、管理対象の複数の供給源とともに接続される、管理対象の複数の電力消費施設と、
前記領域別の電力需給予測を取得し、前記領域別の電力需給予測に基づいて前記電力消費施設が含む複数のサーバ別の稼働率を決定し、決定した稼働率で前記複数のサーバを稼働させる指令を送信する情報処理装置と、を備える。
【0008】
又、第3の観点による情報処理方法では、
管理対象の複数の供給源及び管理対象の複数の電力消費施設が分散して接続される送配電網を分割した複数の領域別の電力需給予測を取得し、
前記領域別の電力需給予測に基づいて前記複数の電力消費施設が含む複数のサーバ別の稼働率を決定し、
決定した稼働率で前記複数のサーバを稼働させる指令を送信する。
【0009】
又、第4の観点によるプログラムは、
コンピュータに、
管理対象の複数の供給源及び管理対象の複数の電力消費施設が分散して接続される送配電網を分割した複数の領域別の電力需給予測を取得させ、
前記領域別の電力需給予測に基づいて前記複数の電力消費施設が含む複数のサーバ別の稼働率を決定させ、
決定した稼働率で前記複数のサーバを稼働させる指令を送信させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、電力需給の調整力が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る情報処理装置を含む電力需給調整システムの概略構成を示す構成図である。
【
図2】送配電網の構成を概略的に示す構成図である。
【
図3】
図1の情報処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】
図3の制御部が実行する稼働率決定処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照して説明する。以下の図面に示す構成要素において、同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0013】
図1に示すように、本開示の一実施形態に係る情報処理装置10を有する電力需給調整システム11は、送配電網12、複数の電力消費施設13、及び情報処理装置10を含んで構成される。電力需給調整システム11は、更に、演算管理装置14、複数の供給源15、及び需給管理装置16を含んで構成されてよい。
【0014】
情報処理装置10は、少なくとも一部の電力消費施設13、演算管理装置14、及び需給管理装置16とネットワーク17を介して通信してよい。少なくとも一部の電力消費施設13は、サーバ18を含んでよい。複数の電力消費施設13及び複数の供給源15は、送配電網12に接続される。
【0015】
送配電網12は、例えば、送電設備、変電設備、及び配電設備を含んでよい。送電設備は、発電所で発電した電力を、消費地に送電する。変電設備は、送電された電力の電圧変換、直交変換等を行う。配電設備は、電力の消費地において電力消費施設13に分配する。
【0016】
送配電網12は、複数の電力系統を含んでよい。電力系統とは、任意の送配電事業者に管理される送配電網12の一部である。
図2に示すように、互いに異なる送配電事業者に管理される第1の電力系統19及び第2の電力系統20は、連系線21により接続されていてよい。第1の電力系統19及び第2の電力系統20間では、連系線21を介して相互に電力が供給され得る。送配電網12は、更に、他の電力系統19、20とは接続されない第3の電力系統22を含んでよい。
【0017】
送配電網12は、例えば、分散して設けられる複数の配電網23を含んでよい。送配電網12には、例えば、配電網23を介して、電力消費施設13及び供給源15が接続される。送配電網12は、複数の領域rに分割されている。本開示において、複数の領域rに分割されているとは、送配電事業者及び情報処理装置10の管理者等により管理単位として分割されていることを意味する。領域rは、例えば、少なくとも1つの配電網23を含んでよい。
【0018】
電力消費施設13は、送配電網12を介して供給される電力を消費する。電力消費施設13には、少なくとも1つの負荷機器が設けられていてよい。負荷機器は、電力を用いて、当該負荷機器にとっての所与の動作を実行してよい。電力消費施設13は、例えば、事業所等の建造物24、及びサーバ18を含む。
【0019】
送配電網12に接続される電力消費施設13の一部は、情報処理装置10による管理対象である。管理対象の複数の電力消費施設13は、送配電網12に分散して接続される。更には、管理対象の複数の電力消費施設13は、複数の領域rに分散して接続される。管理対象の複数の電力消費施設13の中の2つ以上に、サーバ18が含まれる。サーバ18は、少なくとも2つの領域rに分散して接続される。
【0020】
サーバ18は、任意の演算を行う演算処理装置である。サーバ18は、後述するように、演算管理装置14又は情報処理装置10により割当てられるタスクを処理してよい。サーバ18は、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、TPU(Tensor Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)である。
【0021】
供給源15は、送配電網12に電力を供給する。供給源15は、再生可能エネルギー供給源を含んでよい。再生可能エネルギー供給源は、例えば、太陽光、風力等の再生可能エネルギーに基づく電源を含んでよい。再生可能エネルギーに基づく電源は、再生可能エネルギーを用いて発電する。再生可能エネルギー供給源は、例えば、再生可能エネルギーに基づく電源を有する施設であってよい。
【0022】
再生可能エネルギー供給源は、再生可能エネルギーに基づく電源の発電する全電力を送配電網12に供給してよい。再生可能エネルギー供給源は、再生可能エネルギーに基づく電源が発電する電力の一部が当該施設で消費されながら、余剰電力を送配電網12に供給してよい。余剰電力を有する施設は、例えば、低圧電力を用いる家屋等、及び高圧電力を用いる工場等であってよい。低圧電力を用いる施設から供給される余剰電力は低圧電力であってよい。高圧電力を用いる施設から供給される余剰電力は高圧電力であってよい。
【0023】
送配電網12に接続される供給源15の一部は、情報処理装置10による管理対象である。管理対象の複数の供給源15は、送配電網12に分散して接続される。更には、管理対象の複数の供給源15は、複数の領域rに分散して接続される。
【0024】
演算管理装置14は、多様な演算処理の要請を取得してよい。演算管理装置14は、演算処理の要請を、ネットワーク17を介して他の情報処理装置から取得してよい。多様な演算処理は、例えば、ブロックチェーン技術で用いるマイニング処理、自然言語処理、画像合成、画像認識、及びエキスパートシステム等のAIを用いた処理、ウィルス分析処理、DX処理等である。演算管理装置14は、情報処理装置10による管理対象である複数のサーバ18の一部又は全部に、要請される演算処理を行わせてよい。
【0025】
演算管理装置14は、取得する多様な演算処理の依頼を複数のタスクに分けてよい。演算管理装置14は、複数のタスクを、複数のサーバ18に分配してよい。演算管理装置14は、当該複数のサーバ18に複数のタスクを分けて処理させてよい。演算管理装置14は、複数のサーバ18が処理した複数のタスクを取得して、演算処理の要請元に付与してよい。
【0026】
演算管理装置14は、後述するように情報処理装置10から、複数のサーバ18別の稼働率で稼働させる指令を取得してよい。演算管理装置14は、当該指令における稼働率で複数のサーバ18を稼働させるように、分配するタスクを決定してよい。したがって、演算管理装置14は、当該複数のサーバ18毎のタスクの処理量を調整することにより、各サーバ18の稼働率が調整されてよい。
【0027】
演算管理装置14は、情報処理装置10とは別の事業者によって管理されてよい。演算管理装置14は、複数のサーバ18に処理させるタスクの合計データ量を測定してよい。演算管理装置14は、情報処理装置10から、複数のサーバ18に処理させるタスクの合計データ量及びタスクの処理のための消費電力量を情報として取得してよい。
【0028】
需給管理装置16は、情報処理装置10による管理対象である供給源15及び電力消費施設13の一部又は全部を管理してよい。需給管理装置16は、情報処理装置10とは別の事業者によって管理されてよい。需給管理装置16は、当該需給管理装置16が管理する供給源15からの供給電力の予測値を、時間帯別に予測してよい。需給管理装置16は、当該需給管理装置16が管理する電力消費施設13における消費電力の予測値を、時間帯別に予測してよい。需給管理装置16は、供給電力及び消費電力の予測値に基づく時間帯別の電力需給予測を情報として、情報処理装置10に付与してよい。
【0029】
図3に示すように、情報処理装置10は、制御部25を含んで構成される。情報処理装置10は、更に、通信部26及び記憶部27を含んで構成されてよい。
【0030】
通信部26は、ネットワーク17を介して演算管理装置14、需給管理装置16、及びサーバ18と通信する通信モジュールを含む。通信部26は、多様な情報及び指令を付与及び取得してよい。
【0031】
記憶部27は、半導体メモリ、磁気メモリ、光メモリのいずれかを含んでいる。半導体メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。RAMは、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等である。ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等である。記憶部27は、主記憶装置、補助記憶装置又はキャッシュメモリとして機能してよい。記憶部27は、情報処理装置10の動作に用いられるデータと、情報処理装置10の動作によって得られたデータとを記憶する。例えば、記憶部27は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、組み込みソフトウェア等を記憶する。
【0032】
制御部25は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路又はこれらの組み合わせを含んで構成される。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等であってもよい。
【0033】
制御部25は、複数の領域r別の電力需給予測を取得する。制御部25は、前述のように、需給管理装置16が管理する電力消費施設13及び供給源15の電力需給予測を情報として取得することにより、複数の領域r別の電力需給予測の少なくとも一部を取得してよい。制御部25は、情報として取得する電力需給予測を記憶部27に格納してよい。又、制御部25は、複数の領域r別の電力需給予測の少なくとも一部を作成することにより取得してよい。
【0034】
制御部25は、例えば、管理対象である全電力消費施設13の過去の電力消費実績に基づいて、消費電力の時間帯別の予測値を複数の領域r別に作成してよい。制御部25は、予測値の作成のために、管理対象である電力消費施設13における電力消費の実績値を取得して、記憶部27に蓄積してよい。
【0035】
制御部25は、例えば、天気予報に基づいて、管理対象である供給源15の中で再生可能エネルギー供給源からの供給電力の予測値を複数の領域r別に作成してよい。制御部25は、余剰電力を供給する再生可能エネルギー供給源に対しては、当該再生可能エネルギー供給源における消費電力の予測値を作成してよい。制御部25は、当該再生可能エネルギー供給源の過去の電力消費実績に基づいて、消費電力の時間帯別の予測値を複数の領域r別に作成してよい。制御部25は、余剰電力を供給する再生可能エネルギー供給源からの供給電力の予測値から、当該再生可能エネルギー供給源における消費電力の予測値を減じることにより、当該再生可能エネルギー供給源からの供給電力の予測値を作成してよい。
【0036】
制御部25は、高圧電力及び低圧電力別に、消費電力の時間帯別の予測値を作成してよい。制御部25は、高圧電力と低圧電力との間で異なる基準を用いた過去の電力消費実績に基づいて、消費電力の予測値を作成してよい。制御部25は、高圧電力及び低圧電力別に、余剰電力を供給可能な再生可能エネルギー供給源からの供給電力の予測値を作成してよい。
【0037】
制御部25は、管理対象である供給源15の一部に化石燃料等の枯渇性エネルギーに基づく電源に関しては、当該電源の供給電力の計画値を情報として当該電源の管理装置から取得してよい。
【0038】
制御部25は、デマンドレスポンスを情報としてネットワーク17を介して取得してよい。デマンドレスポンスは、例えば、送配電事業者又は小売電気事業者が管理する情報処理装置から付与されてよい。デマンドレスポンスは、実行時期、実行する領域r、及び削減を要求する消費電力を含んでよい。
【0039】
制御部25は、需給管理装置16から取得する電力需給予測、並びに電力消費施設13における消費電力の時間帯別の予測値及び供給源15の供給電力の予測値の少なくとも一方に基づいて、管理対象の電力消費施設13及び供給源15すべてに対する、複数の領域r別の電力需給予測を取得してよい。更に、制御部25は、デマンドレスポンスを取得している場合、更に当該デマンドレスポンスを含めて、複数の領域r別の電力需給予測を取得してよい。
【0040】
制御部25は、複数の領域r別の電力需給予測に基づいて、複数のサーバ18別の稼働率を決定する。稼働率とは、例えば、サーバ18における、所定の時間範囲に処理すべきデータ量、所定の時間範囲に消費する電力量、又は定めた稼働率による処理時間である。制御部25は、サーバ18の稼働率を、領域r別に決定してよい。
【0041】
制御部25は、電力需給予測における需要、言い換えると消費電力の予測値が大きくなるほど、当該電力需給予測に対応する領域rに接続されるサーバ18の稼働率を下げてよい。又、制御部25は、電力需給予測における供給、言い換えると供給電力の予測値が大きくなるほど、当該電力需給予測に対応する領域rに接続されるサーバ18の稼働率を上げてよい。制御部25は、供給電力の予測値よりも消費電力の予測値が大きい領域rでは、消費電力の予測値が供給電力の予測値以下になるまで、サーバ18の稼働率を下げてよい。
【0042】
制御部25は、決定した稼働率で複数のサーバ18それぞれを稼働させる指令を生成する。制御部25は、生成した指令をサーバ18に送信するように通信部26を制御する。制御部25は、例えば、情報処理装置10が直接管理するサーバ18には当該指令を直接送信し、演算管理装置14が管理するサーバ18には演算管理装置14を介して間接的に送信する。
【0043】
制御部25は、演算管理装置14から複数のサーバ18に分配されて処理したタスクの合計データ量を測定してよい。又、制御部25は、タスクの処理のための消費電力量を取得してよい。制御部25は、例えば、消費電力量を、サーバ18に設けられる積算電力量計から取得してよい。制御部25は、合計データ量及び消費電力量を情報として記憶部27に格納してよい。制御部25は、合計データ量及び消費電力量に基づいて、タスク処理に対する課金額を算出してよい。制御部25は、合計データ量及び消費電力量、又は課金額を情報として演算管理装置14に付与してよい。このような構成により、情報処理装置10は、演算管理装置14の管理者にサーバ18を用いた演算力の販売に関する情報を収集し得る。
【0044】
制御部25は、デマンドレスポンスの実行時に、当該デマンドレスポンスにより要求される消費電力の削減量に対して、実行した削減量を記憶部27に格納してよい。制御部25は、実行した削減量に対する課金額を算出して、記憶部27に格納してよい。制御部25は、キーボード等の入力デバイスへの操作入力により、デマンドレスポンスの実行時期及び削減量、又は課金額を記憶部27から読出してよい。例えば、情報処理装置10の事業者が調整力を送配電事業者に販売する際に、当該実行時期及び削減量、又は課金額が出力されてよい。出力とは、例えば、ディスプレイのへの表示、紙媒体への印刷、及び送配電事業者の管理する情報処理装置への情報の付与を含む。
【0045】
次に、本実施形態において情報処理装置10の制御部25が実行する、稼働率決定処理について、
図4のフローチャートを用いて説明する。稼働率決定処理は、例えば、定期的又は周期的に開始する。
【0046】
ステップS100において、制御部25は、サーバ18の稼働率を決定する時間帯においてデマンドレスポンスの情報を取得しているか否かを判別する。取得している場合、プロセスはステップS101に進む。取得していない場合、プロセスはステップS102に進む。
【0047】
ステップS101では、制御部25は、記憶部27からデマンドレスポンスの情報を読出し、デマンドレスポンスの実行する領域r及び削減を要求する消費電力を、需給に反映させることを認識する。認識後、プロセスはステップS102に進む。
【0048】
ステップS102では、制御部25は、電力需給予測を取得する。例えば、制御部25は、サーバ18の稼働率を決定する時間帯における電力需給予測の情報を取得している場合、記憶部27から当該情報を読出す。又、例えば、制御部25は、当該電力需給予測の情報に含まれない電力消費施設13及び供給源15がある場合、当該電力消費施設13及び供給源15それぞれの消費電力及び供給電力の予測値を生成する。制御部25は、電力需給予測の情報、並びに消費電力及び供給電力の予測値の少なくとも一方と、ステップS101においてデマンドレスポンスを反映させる場合には当該デマンドレスポンスにより削減すべき消費電力とに基づいて、全体の電力需給予測を取得する。取得後、プロセスはステップS103に進む。
【0049】
ステップS103では、制御部25は、ステップS102において取得した領域r別の電力需給予測に基づいて、領域r別のサーバ18の稼働率を決定する。決定後、プロセスはステップS104に進む。
【0050】
ステップS104では、制御部25は、ステップS103において決定した稼働率でサーバ18を稼働させる指令を生成する。更に、制御部25は、生成した指令を直接的又は間接的にサーバ18に送信するように通信部26を制御する。指令の送信後、稼働率決定処理は終了する。
【0051】
以上のような構成の本実施形態の情報処理装置10は、管理対象の複数の供給源15及び管理対象の複数の電力消費施設13が分散して接続される送配電網12を分割した複数の領域r別の電力需給予測を取得し、領域r別の電力受給予測に基づいて複数の電力消費施設13が含む複数のサーバ18別の稼働率を決定し、決定した稼働率で複数のサーバ18を稼働させる指令を送信する制御部25を、備える。異なる領域r間で電力の融通は可能であるものの送電量に限界があるため、単一の領域rにおいて電力の需給バランスが取れていることが好ましい。それゆえ、領域rにおける電力需給の調整力が求められている。そのような要請に対して、上記の構成を有する情報処理装置10は、領域r別に消費電力を調整し得る。したがって、情報処理装置10は、電力需給の調整力を提供し得る。その結果、情報処理装置10は、領域r毎の需給バランスを平準化させ得る。それゆえ、情報処理装置10は、電力の供給が不安定である再生可能エネルギー供給源から電力が供給される構成に対しても、需給バランスを平準化させることにより、所望の演算処理を電力不足により実行できないという事象の発生を低減させ得る。
【0052】
又、本実施形態の情報処理装置10では、供給源15は再生可能エネルギー供給源を含み、再生可能エネルギー供給源は再生可能エネルギーに基づく電源が発電する電力の余剰電力を供給し、余剰電力は高圧電力及び低圧電力を含み、制御部25は高圧電力及び前記低圧電力別に再生可能エネルギー供給源からの供給電力を予測し、予測される当該供給電力に基づいて電力需給を予測することにより前記電力需給予測を取得する。高圧電力は工場及び事業所等で用いられる一方で低圧電力は家庭で用いられることが一般的である。それゆえ、一般的に供給電力の時間帯別の傾向は高圧電力及び低圧電力の間で異なる。このような傾向に対して、上記の構成を有する情報処理装置10は、高圧電力及び低圧電力別に供給電力の予測を行うので、予測精度を向上させ得る。したがって、情報処理装置10は、領域r毎の需給バランスをいっそう平準化させ得る。
【0053】
又、本実施形態の情報処理装置10は、複数の供給源15及び複数の電力消費施設13間の電力需給を管理する需給管理装置16から電力需給予測を情報として受信することにより取得する。このような構成により情報処理装置10は、情報処理装置10とは別の装置が生成した予測を利用することにより情報処理装置10そのものの処理負荷を低減させ得る。
【0054】
又、本実施形態の情報処理装置10は、デマンドレスポンスにより要求される消費電力の削減量に対して、実行した削減量を出力し得る。このような構成により情報処理装置10は、電力の調整力を他の事業者に提供し得る。
【0055】
又、本実施形態の情報処理装置10は、演算管理装置14から複数のサーバ18に分配されて処理したタスクの合計データ量を測定し且つタスクの処理のための消費電力量を取得する。このような構成により、情報処理装置10は、上述のように再生可能エネルギー供給源から電力が供給される構成における確実性の高い演算処理能力を、情報処理装置10の管理者とは別の事業者に提供するためのデータを提示し得る。
【0056】
一実施形態において、(1)情報処理装置は、
管理対象の複数の供給源及び管理対象の複数の電力消費施設が分散して接続される送配電網を分割した複数の領域別の電力需給予測を取得し、前記領域別の電力受給予測に基づいて前記複数の電力消費施設が含む複数のサーバ別の稼働率を決定し、決定した稼働率で前記複数のサーバを稼働させる指令を送信する制御部を、備える。
【0057】
(2)上記(1)の情報処理装置は、
前記供給源は、再生可能エネルギー供給源を含み、
前記制御部は、前記再生可能エネルギー供給源からの供給電力を予測し、予測される該供給電力に基づいて電力需給を予測することにより前記電力需給予測を取得する。
【0058】
(3)上記(2)の情報処理装置は、
前記再生可能エネルギー供給源は、再生可能エネルギーに基づく電源が発電する電力の余剰電力を供給し、
前記余剰電力は、高圧電力及び低圧電力を含み、
前記制御部は、前記高圧電力及び前記低圧電力別に、前記再生可能エネルギー供給源からの供給電力を予測する。
【0059】
(4)上記(1)乃至(3)の情報処理装置は、
前記制御部は、前記複数の供給源及び前記複数の電力消費施設間の電力需給を管理する需給管理装置から、前記電力需給予測の少なくとも一部を情報として受信することにより取得する。
【0060】
(5)上記(1)乃至(4)の情報処理装置は、
前記制御部は、前記電力需給予測における需要が大きくなるほど、該電力需給予測に対応する前記領域に接続される前記サーバの稼働率を下げる。
【0061】
(6)上記(1)乃至(5)の情報処理装置は、
前記制御部は、前記電力需給予測における供給が大きくなるほど、該電力需給予測に対応する前記領域に接続される前記サーバの稼働率を上げる。
【0062】
(7)上記(1)乃至(6)の情報処理装置は、
前記複数のサーバは、少なくとも1つの処理を複数のタスクに分けて処理し、
前記複数のサーバ毎の前記タスクの処理量を調整することにより、各サーバの稼働率が調整される。
【0063】
一実施形態において、(8)電力需給調整システムは、
複数の領域に分割されている送配電網と、
前記複数の領域に分散して、管理対象の複数の供給源とともに接続される、管理対象の複数の電力消費施設と、
前記領域別の電力需給予測を取得し、前記領域別の電力需給予測に基づいて前記電力消費施設が含む複数のサーバ別の稼働率を決定し、決定した稼働率で前記複数のサーバを稼働させる指令を送信する情報処理装置と、を備える。
【0064】
一実施形態において、(9)情報処理方法は、
管理対象の複数の供給源及び管理対象の複数の電力消費施設が分散して接続される送配電網を分割した複数の領域別の電力需給予測を取得し、
前記領域別の電力需給予測に基づいて前記複数の電力消費施設が含む複数のサーバ別の稼働率を決定し、
決定した稼働率で前記複数のサーバを稼働させる指令を送信する。
【0065】
一実施形態において、(10)プログラムは、
コンピュータに、
管理対象の複数の供給源及び管理対象の複数の電力消費施設が分散して接続される送配電網を分割した複数の領域別の電力需給予測を取得させ、
前記領域別の電力需給予測に基づいて前記複数の電力消費施設が含む複数のサーバ別の稼働率を決定させ、
決定した稼働率で前記複数のサーバを稼働させる指令を送信させる。
【0066】
以上、情報処理装置10の実施形態を説明してきたが、本開示の実施形態としては、装置を実施するための方法又はプログラムの他、プログラムが記録された記憶媒体(一例として、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、CD-RW、磁気テープ、ハードディスク、又はメモリカード等)としての実施態様をとることも可能である。
【0067】
又、プログラムの実装形態としては、コンパイラによってコンパイルされるオブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード等のアプリケーションプログラムに限定されることはなく、オペレーティングシステムに組み込まれるプログラムモジュール等の形態であってもよい。さらに、プログラムは、制御基板上のCPUにおいてのみ全ての処理が実施されるように構成されてもされなくてもよい。プログラムは、必要に応じて基板に付加された拡張ボード又は拡張ユニットに実装された別の処理ユニットによってその一部又は全部が実施されるように構成されてもよい。
【0068】
本開示に係る実施形態について説明する図は模式的なものである。図面上の寸法比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。
【0069】
本開示に係る実施形態について、諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形又は改変を行うことが可能であることに注意されたい。従って、これらの変形又は改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0070】
例えば、本実施形態において、情報処理装置10が決定した稼働率で複数のサーバ18を稼働させる指令を演算管理装置14に付与し、演算管理装置14が複数のサーバ18毎のタスクの処理量を調整することにより各サーバ18の稼働率を調整する。しかし、このような構成に限定されず、情報処理装置10が演算管理装置14の機能を含んでよい。言換えると、情報処理装置10が、多様な演算処理の依頼を取得し、決定した稼働率で稼働するように複数のサーバ18にタスクを分配してよい。又、情報処理装置10が、管理対象の一部の複数のサーバ18に対して直接稼働率を調整しながら、別の一部の複数のサーバ18に対しては演算管理装置14を介して間接的に稼働率を調整してよい。
【0071】
本開示に記載された構成要件の全て、及び/又は、開示された全ての方法、又は、処理の全てのステップについては、これらの特徴が相互に排他的である組合せを除き、任意の組合せで組み合わせることができる。又、本開示に記載された特徴の各々は、明示的に否定されない限り、同一の目的、同等の目的、又は類似する目的のために働く代替の特徴に置換することができる。したがって、明示的に否定されない限り、開示された特徴の各々は、包括的な一連の同一、又は、均等となる特徴の一例にすぎない。
【0072】
さらに、本開示に係る実施形態は、上述した実施形態のいずれの具体的構成にも制限されるものではない。本開示に係る実施形態は、本開示に記載された全ての新規な特徴、又は、それらの組合せ、あるいは記載された全ての新規な方法、又は、処理のステップ、又は、それらの組合せに拡張することができる。
【0073】
本開示において「第1」及び「第2」等の記載は、当該構成を区別するための識別子である。本開示における「第1」及び「第2」等の記載で区別された構成は、当該構成における番号を交換することができる。例えば、第1の電力系統は、第2の電力系統と識別子である「第1」と「第2」とを交換することができる。識別子の交換は同時に行われる。識別子の交換後も当該構成は区別される。識別子は削除してよい。識別子を削除した構成は、符号で区別される。本開示における「第1」及び「第2」等の識別子の記載のみに基づいて、当該構成の順序の解釈、小さい番号の識別子が存在することの根拠に利用してはならない。
【符号の説明】
【0074】
10 情報処理装置
11 電力需給調整システム
12 送配電網
13 電力消費施設
14 演算管理装置
15 供給源
16 需給管理装置
17 ネットワーク
18 サーバ
19 第1の電力系統
20 第2の電力系統
21 連系線
22 第3の電力系統
23 配電網
24 建造物
25 制御部
26 通信部
27 記憶部
r 領域