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特開2024-8019エレベータにおけるカウンターウェイトの接近報知装置
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  • 特開-エレベータにおけるカウンターウェイトの接近報知装置 図1
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  • 特開-エレベータにおけるカウンターウェイトの接近報知装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008019
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】エレベータにおけるカウンターウェイトの接近報知装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
B66B5/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109505
(22)【出願日】2022-07-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-08-31
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】谷口 友宏
【テーマコード(参考)】
3F304
【Fターム(参考)】
3F304BA02
3F304BA22
3F304EA05
3F304ED06
3F304ED07
3F304ED15
(57)【要約】
【課題】カウンターウェイトが意図した位置を通過する場合に限定して報知を行うカウンターウェイトの接近報知装置を提供する。
【解決手段】本発明は、昇降路内を昇降するかごにロープを介して連結されるカウンターウェイトに固定された報知装置と、前記カウンターウェイトに固定され、前記報知装置に電力を供給する発電装置と、昇降路内に固定され、前記発電装置との相互作用により該発電装置内に起電力を生じさせる起動部材と、を備え、前記報知装置は、前記発電装置から電力が供給されたときに報知を実施し、前記起動部材は、カウンターウェイトとかごとが接近する高さに配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降するかごにロープを介して連結されるカウンターウェイトに固定された報知装置と、
前記カウンターウェイトに固定され、前記報知装置に電力を供給する発電装置と、
昇降路内に固定され、前記発電装置との相互作用により該発電装置内に起電力を生じさせる起動部材と、を備え、
前記報知装置は、前記発電装置から電力が供給されたときに報知を実施し、
前記起動部材は、カウンターウェイトとかごとが接近する高さに配置されている、エレベータにおけるカウンターウェイトの接近報知装置。
【請求項2】
前記報知装置は、報知を停止する通常モードと、前記発電装置から電力が供給されたときに報知を実施する保守モードとに切り替え可能に構成されている、請求項1に記載のエレベータにおけるカウンターウェイトの接近報知装置。
【請求項3】
前記起動部材は、前記カウンターウェイトが前記かごと接近する高さのうち異なる高さに水平方向においてずれて複数設けられ、
前記発電装置は、各起動部材に対応するよう水平方向においてずれて複数設けられ、
前記報知装置は、複数の前記発電装置と対応して複数設けられ、
複数の前記報知装置は、異なる報知を実施する、請求項1に記載のエレベータにおけるカウンターウェイトの接近報知装置。
【請求項4】
前記起動部材は、磁石であり、
前記発電装置は、前記磁石との相互作用により起電力が生じるコイルを含む、請求項1~3に記載のエレベータにおけるカウンターウェイトの接近報知装置。
【請求項5】
前記起動部材は、常磁性を有する金属で構成された金属板であり、
前記発電装置は、前記金属板との相互作用により運動する磁石と、該磁石の運動により起電力が生じるコイルと、を含む、請求項1~3に記載のエレベータにおけるカウンターウェイトの接近報知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カウンターウェイトを備えるエレベータにおいて、昇降路内で作業を行う作業者に対してカウンターウェイトの接近を報知する接近報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベータの昇降路内で点検を行う作業者に対して、カウンターウェイトの接近を報知する警報機を備えた接近報知装置が知られている(特許文献1)。この接近報知装置は、カウンターウェイトに設置されており、カウンターウェイトを案内するガイドレールに接触して回転する駆動ホイールと、駆動ホイールによって駆動される回転子を有する発電機と、を備える。この接近報知装置では、駆動ホイールの回転によって発電機が発電すると、発電機から供給される電力により警報機が作動して光や音によりカウンターウェイトの接近を報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-056411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記接近報知装置では、駆動ホイールが回転している間、発電機から警報機に電力が供給され続けるため、報知が不要な場合(例えば、かごがカウンターウェイトから十分離れている場合)でも、警報機による報知が行われ、その結果、カウンターウェイトが近づいて作業者がそれに注意すべき場合であっても、作業者の注意が逸れるおそれがあった。
【0005】
本発明は、エレベータにおいて、カウンターウェイトが意図した位置を通過する場合に限定して報知を行うカウンターウェイトの接近報知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のエレベータにおけるカウンターウェイトの接近報知装置は、
昇降路内を昇降するかごにロープを介して連結されるカウンターウェイトに固定された報知装置と、
前記カウンターウェイトに固定され、前記報知装置に電力を供給する発電装置と、
昇降路内に固定され、前記発電装置との相互作用により該発電装置内に起電力を生じさせる起動部材と、を備え、
前記報知装置は、前記発電装置から電力が供給されたときに報知を実施し、
前記起動部材は、カウンターウェイトとかごとが接近する高さに配置されている。
【0007】
かかる構成によれば、カウンターウェイトとともに昇降する発電装置が、カウンターウェイトとかごとが接近する高さに固定された起動部材に近づいたときに、報知装置は報知を行う。そのため、カウンターウェイトが意図した位置(かごと接近することになる高さ)を通過する場合に限定して報知を行うことができる。
【0008】
また、前記接近報知装置では、
前記報知装置は、報知を停止する通常モードと、前記発電装置から電力が供給されたときに報知を実施する保守モードとに切り替え可能に構成されていてもよい。
【0009】
かかる構成によれば、保守時のみカウンターウェイトの接近報知が行われるため、通常時に、例えば、音による報知が行われて利用者のエレベータの利用が妨げられることを防ぐことができる。
【0010】
また、前記接近報知装置では、
前記起動部材は、前記カウンターウェイトが前記かごと接近する高さのうち異なる高さに水平方向においてずれて複数設けられ、
前記発電装置は、各起動部材に対応するよう水平方向においてずれて複数設けられ、
前記報知装置は、複数の前記発電装置と対応して複数設けられ、
複数の前記報知装置は、異なる報知を実施してもよい。
【0011】
かかる構成によれば、カウンターウェイトとともに昇降する発電装置が、昇降路内の異なる高さに固定された起動部材に近づいたときに発電、報知がなされるため、カウンターウェイトのかごに対する接近度合いに応じて、異なる報知を行うことができる。
【0012】
また、前記接近報知装置では、
前記起動部材は、磁石であり、
前記発電装置は、前記磁石との相互作用により起電力が生じるコイルを含んでもよい。
【0013】
かかる構成によれば、カウンターウェイトとともに昇降するコイルと、カウンターウェイトとかごとが接近する高さに固定された磁石とを用いて、カウンターウェイトが意図した位置(かごと接近することになる高さ)を通過する場合に限定して報知を行うことができる。
【0014】
また、前記接近報知装置では、
前記起動部材は、常磁性を有する金属で構成された金属板であり、
前記発電装置は、前記金属板との相互作用により運動する磁石と、該磁石の運動により起電力が生じるコイルと、を含んでもよい。
【0015】
かかる構成によれば、カウンターウェイトとともに昇降する磁石及びコイルと、カウンターウェイトとかごとが接近する高さに固定された金属板とを用いて、カウンターウェイトが意図した位置(かごと接近することになる高さ)を通過する場合に限定して報知を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上より、本発明によれば、カウンターウェイトが意図した位置を通過する場合に限定して報知を行うカウンターウェイトの接近報知装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の第一の実施形態に係る接近報知装置の模式的な斜視図である。
図2図2は、本発明の第二の実施形態に係る接近報知装置の模式的な斜視図である。
図3図3は、前記接近報知装置における前記発電装置の拡大図である。
図4図4は、本発明の第三の実施形態に係る接近報知装置の模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の第一の実施形態について、図1を参照しつつ説明する。本実施形態に係るエレベータにおけるカウンターウェイトの接近報知装置は、建物内を複数の階床(フロア)に跨って上下方向に延びる昇降路と、昇降路内を昇降するかごと、かごにロープを介して連結されるカウンターウェイトと、を備えるエレベータに設けられる。
【0019】
このエレベータでは、カウンターウェイト2は、ガイドレール7に案内されて昇降する。このガイドレール7は、カウンターウェイト2に対して、カウンターウェイト2を水平方向から挟むように一対設けられている。なお、ガイドレール7は、1つのカウンターウェイト2に対して、1つ乃至3つ以上設けられていてもよい。また、このエレベータでは、かごも、カウンターウェイト2を案内するガイドレール7とは別のガイドレールに案内されて昇降する。
【0020】
接近報知装置1は、カウンターウェイト2に固定された報知装置3と、カウンターウェイト2に固定され、報知装置3に電力を供給する発電装置4と、を備える。また、接近報知装置1は、さらに、昇降路5内に固定され、発電装置4との相互作用により発電装置4内に起電力を生じさせる起動部材6と、を備える。なお、起動部材6と発電装置4との相互作用とは、起動部材6と発電装置4とが互いに接近した状態で相対移動に起因する作用することである。
【0021】
起動部材6は、カウンターウェイト2とかごとが接近する高さに配置されている。また、起動部材6は、昇降路内に少なくとも一つ配置されている。本実施形態では、一つ配置されている。例えば、起動部材6は、昇降路5の壁面に固定される固定部材(図示無し)を介して昇降路5の壁面に固定されている。なお、起動部材6は、かごやカウンターウェイト2を案内するガイドレール7に固定される固定部材(図示無し)を介してガイドレール7に固定されていてもよい。
【0022】
さらに、起動部材6は、上下方向に沿って延びている。具体的に、起動部材6は、カウンターウェイト2の上昇時にかごとカウンターウェイト2とが接近し始める位置から、カウンターウェイト2の下降時にかごとカウンターウェイト2とが接近し始める位置まで延びている。かごとカウンターウェイト2とが接近し始める位置とは、例えば、かごとカウンターウェイト2との距離が、5m~10mとなる位置である。
【0023】
本実施形態では、起動部材6は、磁石である。この磁石は、上下方向においてN極とS極とが交互に配置される構成を有する。
【0024】
発電装置4は、起動部材6(本実施形態では、磁石6)と対向しながら移動できる位置に配置されている。また、発電装置4は、カウンターウェイト2の表面に固定されている。本実施形態では、発電装置4は、カウンターウェイト2の上部に固定されているが、カウンターウェイト2の側部や下部に固定されていてもよい。
【0025】
本実施形態では、発電装置4は、磁石6との相互作用により起電力が生じるコイルを含む。このコイルは、円環状に巻回されて構成されている。また、このコイルは、該コイルの中心軸と、磁石6において該コイルと対向する面に垂直な方向とが、平行になるように配置される。なお、この発電装置4は、コイルのみで構成されているが、コイルに加えて、コイルで生じた電力を充電可能なキャパシタを含んでもよい。
【0026】
報知装置3は、発電装置4から電力が供給されたときに報知を実施する。この報知装置3は、報知を停止する通常モードと、発電装置4から電力が供給されたときに報知を実施する保守モードとに切り替え可能に構成されている。本実施形態では、報知装置3の通常モードと保守モードとの切り替えは、手動(例えば、作業員による手動での切り替え)により行うが、無線通信(例えば、かごを制御する制御盤からの無線通信)で行ってもよい。無線通信で通常モードと保守モードとの切り替えを行う場合、発電装置4がコイルに加えてコイルで生じた電力を充電可能なキャパシタを含む構成とし、通常モードで発電装置4のキャパシタの充電を行い、保守モードへの切り替えを、このキャパシタに充電された電力により行ってもよい。
【0027】
報知装置3は、少なくとも一つの報知部を含む。例えば、報知装置3は、音を出力する音報知部31(例えば、ブザー)、及び、光を出力する光報知部32(LEDランプ)の少なくとも一方を含む。この報知装置3は、異なる報知を行う複数(例えば、二つ)の報知部を含む。具体的に、報知装置3は、音報知部31及び光報知部32の両方を含む。本実施形態では、音報知部31及び光報知部32の両方が、通常モードと保守モードとで切り替え可能である。
【0028】
音報知部31は、例えば、ブザーが出力する所定の高さの電子音により報知を行う。なお、音報知部31は、所定のチャイム等のメロディや、音声アナウンス(例えば、「カウンターウェイトが近くにあります」といったアナウンス)により報知を行ってもよい。
【0029】
光報知部32は、例えば、LEDランプの点灯により報知を行う。なお、光報知部32は、LEDランプの点滅により報知を行ってもよい。
【0030】
本実施形態では、報知装置3は、カウンターウェイト2の上部に固定されているが、カウンターウェイト2の側部や下部に固定されていてもよい。この報知装置3では、音報知部31及び光報知部32の両方がカウンターウェイト2の同じ部位(上部)に固定されているが、音報知部31と光報知部32とがカウンターウェイト2の異なる部位に固定されてもよい。
【0031】
また、報知装置3は、カウンターウェイト2以外に固定されてもよい。例えば、報知装置3は、かごに固定されていてもよい。具体的に、報知装置3は、かごに固定され且つかごから電力が供給される光報知部32や音報知部31と、カウンターウェイト2に固定され且つ発電装置4から電力が供給されたときに光報知部32や音報知部31に報知を行うよう信号を出力する信号出力部と、を有してもよい。
なお、光報知部32や音報知部31は、昇降路5の壁面に固定される固定部材や、かごやカウンターウェイト2を案内するガイドレール7に固定される固定部材に固定されていてもよい。この場合、乗りかごで作業する作業者が、音や光が乗りかごに近づいてくるのを感じることで、カウンターウェイトの接近具合を推測することができる。
【0032】
以上の接近報知装置1は、例えば、保守点検時に、かごの上に乗った作業員に対して、カウンターウェイト2の接近について報知するように構成されている。例えば、保守点検時に、乗場に設けられた乗場ドアの点検を行う場合、かごの上に作業員が乗った状態でかごを1階床ずつ昇降させて、各階床で点検を行うことがある。このような場合に、かごとカウンターウェイト2とが接近したとき、接近報知装置1は、作業員に対してカウンターウェイト2の接近について注意を促すよう報知する。
【0033】
この接近報知装置1によれば、カウンターウェイト2とともに昇降する発電装置4が、カウンターウェイト2とかごとが接近する高さに固定された起動部材6に近づいたときに、報知装置3は報知を行う。そのため、カウンターウェイト2が意図した位置(かごと接近することになる高さ)を通過する場合に限定して報知を行うことができる。そのため、報知が不要な場合(例えば、かごがカウンターウェイト2から十分離れている場合)、警報機による報知が行われず、その結果、作業者の注意が点検の対象物から逸れることを防止できる。また、発電装置4と起動部材6との相互作用による発電は、発電装置4と起動部材6とが非接触の状態で行われるため、発電装置4が何らかの部材に接触した状態で発電する構成と比べて耐久性に優れる。
【0034】
本実施形態の接近報知装置1によれば、報知装置3が保守モードであるとき、即ち、保守時のみ、カウンターウェイト2の接近報知が行われる。そのため、通常時に、例えば、音による報知が行われて、利用者のエレベータの利用が妨げられることを防ぐことができる。
【0035】
また、本実施形態の接近報知装置1によれば、カウンターウェイト2とともに昇降するコイル4と、カウンターウェイト2とかごとが接近する高さに固定された磁石6とが非接触な状態で、カウンターウェイト2が意図した位置(かごと接近することになる高さ)を通過する場合に限定して、報知を行うことができる。そのため、発電装置4や起動部材6の接触により摩耗することがなく、発電装置4や起動部材6の接触により振動が生じることもない。
【0036】
次に、本発明の第二の実施形態について、図2及び図3を参照しつつ説明する。起動部材6は、導電性を有する金属で構成された金属板である。この金属板は、例えば、アルミ板であるが、銅板等であってもよい。発電装置4は、金属板6との相互作用により運動する磁石401と、該磁石401の運動により起電力が生じるコイル402と、を含む。
【0037】
磁石401は、金属板6と対向しながら移動できる位置に配置される。また、磁石401は、N極とS極の組を含む円弧状の部位が複数組み合わさって円環状に構成されている。また、磁石401は、金属板6に沿い且つ上下方向に対して垂直な方向と平行に中心軸が向くように配置される。この接近報知装置1では、磁石401と金属板6とが互いに接近した状態で相対移動するとき、金属板6に生じる渦電流が生じ、この渦電流への反発力及び引力により磁石401は該磁石401の周方向に回転する。
【0038】
コイル402は、回転する磁石401により起電力を生じさせられるように配置されている。本実施形態では、コイル402は、円環状に巻回されて構成されている。また、コイル402は、該コイル402の中心軸と、金属板6において磁石401と対向する面に垂直な方向とが、平行になるように配置される。さらに、コイル402は、磁石401の上端部及び下端部の両方を囲むように配置されている。この構成においても、カウンターウェイト2が意図した位置(かごと接近することになる高さ)を通過する場合に限定して報知を行うことができる。
【0039】
上記実施形態の接近報知装置1では、報知装置3、発電装置4、及び、起動部材6が一つずつ設けられていたが、それぞれ複数設けられていてもよい。例えば、図4に示すように、起動部材6は、カウンターウェイト2がかごと接近する高さのうち異なる高さに水平方向においてずれて複数(例えば、二つ)設けられていてもよい。また、起動部材6は、第一の起動部材61と、第一の起動部材61よりも高い位置に配置された第二の起動部材62を含む。各起動部材61、62は、いずれも磁石である。
【0040】
発電装置4は、各起動部材61、62に対応するよう水平方向においてずれて複数(例えば、二つ)設けられている。また、発電装置4は、第一の起動部材61と対応する位置に配置された第一のコイル41と、第二の起動部材62と対応する位置であって、第一のコイル41と同じ高さに配置された第二のコイル42を含む。この接近報知装置1では、第一のコイル41及び第二のコイル42は、いずれも、カウンターウェイト2の上部に固定されている。
【0041】
報知装置3は、複数の発電装置4(例えば、二つの発電装置4)と対応して複数(例えば、二つ)設けられている。二つの報知装置3は、異なる報知を実施する。この接近報知装置1では、第一の報知装置33及び第二の報知装置34は、いずれも、カウンターウェイト2の上部に固定されている。第一の報知装置33は、第一のコイル41に接続され、且つ、光の出力により報知を行う。また、第二の報知装置34は、第二のコイル42に接続され、且つ、音の出力により報知を行う。
【0042】
この構成では、カウンターウェイト2とともに昇降する発電装置4が、昇降路5内の異なる高さに固定された起動部材6に近づいたときに発電、報知がなされるため、カウンターウェイト2のかごに対する接近度合いに応じて、異なる報知を行うことができる。具体的に、この構成では、カウンターウェイト2が、起動部材6よりも下方に位置する状態から上昇して、かごに近づくと、まず、第一のコイル41が発電する。このとき、第一の報知装置33による報知(例えば、光の点滅)が行われ、作業員にカウンターウェイト2の接近について注意を促すことができる。さらに、カウンターウェイト2が上昇して、かごに近づくと、第二のコイル42が発電する。このとき、第二の報知装置34による報知(例えば、ブザー音の出力)が行われ、作業員にカウンターウェイト2の接近についてさらに注意を促すことができる。
【0043】
なお、第一のコイル41及び第二のコイル42は、いずれも光の出力により報知を行う報知装置3に接続されてもよい。例えば、図4に示す第一の報知装置33及び第二の報知装置34が、それぞれ異なる態様の光の出力により報知を行ってもよい。この構成では、カウンターウェイト2が上昇してかごに近づくことにより、第一のコイル41が発電すると、第一の報知装置33が第一の態様の報知(例えば、光の点滅)を行い、作業員にカウンターウェイト2の接近について注意を促す。さらに、カウンターウェイト2が上昇してかごに近づくことにより、第二のコイル42が発電すると、第二の報知装置34が第二の態様の報知(例えば、光の点灯)を行い、作業員にカウンターウェイト2の接近についてさらに注意を促すことができる。
【0044】
また、各起動部材61、62は、同じ高さの位置には配置されていなかったが、上下方向において部分的に重複した状態で、延びていてもよい。この構成では、各起動部材61、62の上下方向において重複した部分が、それぞれ各コイル41、42と互いに接近した状態で相対移動するとき、各報知装置33、34両方の報知が行われる。
【0045】
第一の起動部材61が、カウンターウェイト2がかごの下方からかごに接近する高さに配置され、第二の起動部材62が、カウンターウェイト2がかごの上方からかごに接近する高さに配置されてもよい。この場合、第一の起動部材61と対向する第一のコイル41を、カウンターウェイト2の上部に配置し、第二の起動部材62と対向する第二のコイル42を、カウンターウェイト2の下部に配置する。
【0046】
この構成では、各報知装置33、34は、各コイル41、42による発電に対応して、異なるブザー音で報知を行ってもよい。また、各報知装置33、34は、第一のコイル41による発電に対応して、「カウンターウェイトが下側にあります」といった音声アナウンスによる報知を行い、第二のコイル42による発電に対応して、「カウンターウェイトが上側にあります」といった音声アナウンスによる報知を行ってもよい。
【0047】
なお、本発明の接近報知装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
【0048】
上記実施形態では、報知装置3は、通常モードと保守モードとに切り替え可能であったが、常時、発電装置4から電力が供給されたときに報知を実施してもよい。
【0049】
上記実施形態の接近報知装置1では、起動部材6は、上下方向において連続して延びていたが、上下方向において間隔を空けて複数配置されていてもよい。この構成では、単純な構成で、カウンターウェイト2の接近についての間欠的な報知を実現することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…接近報知装置、2…カウンターウェイト、3…報知装置、4…発電装置(コイル)、5…昇降路、6…起動部材(金属板、磁石)、7…ガイドレール、31…音報知部、32…光報知部、33…第一の報知装置、34…第二の報知装置、41…第一のコイル、42…第二のコイル、61…第一の起動部材、62…第二の起動部材、401…磁石、402…コイル
図1
図2
図3
図4