(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080197
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】カッティング装置、プログラム及びカッティング方法
(51)【国際特許分類】
A45D 29/18 20060101AFI20240606BHJP
A45D 29/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A45D29/18
A45D29/00
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193184
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀 雅弘
(57)【要約】
【課題】自爪の形状に合ったマスキングテープを容易に生成する。
【解決手段】カッティング装置100が、爪の領域の情報を取得する情報取得手段と、所望のパターンの情報を受け付けるパターン受付部と、情報取得手段により取得した爪の領域の情報に基づいて、前記パターンが前記爪の領域内に収まるように調整する調整部と、調整部による調整結果に基づき切断部を動作させ、前記爪の領域に対応する領域内に前記パターンが切り抜かれたマスキングテープを生成させる切断制御部と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
爪の領域の情報を取得する情報取得手段と、
所望のパターンの情報を受け付けるパターン受付部と、
前記情報取得手段により取得した爪の領域の情報に基づいて、前記パターンが前記爪の領域内に収まるように調整する調整部と、
前記調整部による調整結果に基づき切断部を動作させ、前記爪の領域に対応する領域内に前記パターンが切り抜かれたマスキングテープを生成させる切断制御部と、
を備えることを特徴とするカッティング装置。
【請求項2】
指の外形形状の情報と爪の領域の情報とを取得する情報取得手段と、
所望のパターンの情報を受け付けるパターン受付部と、
前記情報取得手段により取得した指の外形形状の情報と爪の領域の情報とに基づいて、前記パターンが前記爪の領域内に収まるように調整する調整部と、
切断部を動作させ、ベーステープから前記情報取得手段により取得した前記指の外形形状の情報に基づいて前記指の外形形状に対応した形状のマスクベースを切り出させるとともに、前記調整部により調整された前記パターンが前記マスクベースにおける前記爪の領域に対応する部分に切り抜かれたマスキングテープを生成させる切断制御部と、
を備えることを特徴とするカッティング装置。
【請求項3】
前記情報取得手段は、所定の撮像手段により爪を含む指を撮像することにより取得された指画像に基づいて、少なくとも前記爪の領域の情報を取得する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカッティング装置。
【請求項4】
前記調整部は、前記パターンの位置、向き、大きさの少なくともいずれかを調整する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカッティング装置。
【請求項5】
コンピュータに、
爪の領域の情報を取得する情報取得機能と、
所望のパターンの情報を受け付けるパターン受付機能と、
前記情報取得機能により取得した爪の領域の情報に基づいて、前記パターンが前記爪の領域内に収まるように調整する調整機能と、
前記調整機能による調整結果に基づき切断部を動作させ、前記爪の領域に対応する部分に前記パターンが切り抜かれたマスキングテープを生成させる切断制御機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
コンピュータに、
指の外形形状の情報と爪の領域の情報とを取得する情報取得機能と、
所望のパターンの情報を受け付けるパターン受付機能と、
前記情報取得機能により取得した指の外形形状の情報と爪の領域の情報とに基づいて、前記パターンが前記爪の領域内に収まるように調整する調整機能と、
切断部を動作させ、ベーステープから前記情報取得機能により取得した前記指の外形形状の情報に基づいて前記指の外形形状に対応した形状のマスクベースを切り出させるとともに、前記調整機能により調整された前記パターンが前記マスクベースにおける前記爪の領域に対応する部分に切り抜かれたマスキングテープを生成させる切断制御機能と、
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
爪の領域の情報を取得し、
所望のパターンの情報を受け付け、
取得された爪の領域の情報に基づいて、前記パターンが前記爪の領域内に収まるように調整し、
調整結果に基づいて切断部を動作させ、前記爪の領域に対応する部分に前記パターンが切り抜かれたマスキングテープを生成させる、
ことを特徴とするカッティング方法。
【請求項8】
指の外形形状の情報と爪の領域の情報とを取得し、
所望のパターンの情報を受け付け、
取得された指の外形形状の情報と爪の領域の情報とに基づいて、前記パターンが前記爪の領域内に収まるように調整し、
切断部を動作させ、取得された前記指の外形形状の情報に基づいてベーステープから前記指の外形形状に対応した形状のマスクベースを切り出させるとともに、調整結果に基づいて前記パターンが前記マスクベースにおける前記爪の領域に対応する部分に切り抜かれたマスキングテープを生成させる、
ことを特徴とするカッティング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カッティング装置、プログラム及びカッティング方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、爪にマニキュアを施す場合、マニキュア液を塗布する際に塗りたい部分にだけはみ出さないようにマニキュア液を塗布することはむずかしい。
この点、塗布したい部分以外にマスキングテープを貼り付けてマスキングを施し、不要な箇所にまでマニキュア液が付着するのを防ぐことが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のネイル用のマスキングテープは、一般的な爪の形状に合わせて作られた既製品、または自分の爪の形状に合うようにユーザ自身がカットしたもの、を指に貼り付けて用いるのが一般的である。
【0005】
このため、既製品の場合には、自爪の形状と一致せず隙間が生じてしまい十分にマスキングできない場合があった。またユーザが自分でカットする場合には、ユーザ自身で自爪の形状をテープに写し取り、形状に沿ってハサミやカッタ等でカットする等の手間が必要となっていた。
また、マニキュア液を用いて好みの模様等を描きたい場合には、マニキュア液を塗布したい部分を切り抜く必要があるため、さらに難易度が高く、細かい形状や複雑な形状等をきれいにカットすることは困難であった。
【0006】
本発明は以上のような事情に鑑みてなされたものであり、自爪の形状に合ったマスキングテープを容易に生成することのできるカッティング装置、プログラム及びカッティング方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明のカッティング装置の一態様は、
爪の領域の情報を取得する情報取得手段と、
所望のパターンの情報を受け付けるパターン受付部と、
前記情報取得手段により取得した爪の領域の情報に基づいて、前記パターンが前記爪の領域内に収まるように調整する調整部と、
前記調整部による調整結果に基づき切断部を動作させ、前記爪の領域に対応する領域内に前記パターンが切り抜かれたマスキングテープを生成させる切断制御部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、自爪の形状に合ったマスキングテープを容易に生成することができるとの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係るカッティング装置の外観構成を示す要部斜視図である。
【
図2】
図1に示すカッティング装置の前面側を切り欠いて内部構成を示した要部斜視図である。
【
図3】
図1に示すカッティング装置の前面側及び左側を切り欠いて内部構成を示した要部斜視図である。
【
図4】テープセット台の一例を示す要部斜視図である。
【
図5】(a)は、ベーステープの一例を示す平面図であり、(b)は、ベーステープ又はマスクベースの一例を示す平面図である
【
図6】カットプロッタユニットの前面側を切り欠いて内部構成を示した要部斜視図である。
【
図7】カットプロッタユニットの前面側を切り欠いて内部構成を示した要部斜視図である。
【
図8】実施形態に係るカッティング装置の制御構成例を示した要部ブロック図である。
【
図9】実施形態に係るカッティング処理を示すフローチャートである。
【
図10】爪の形状の切り抜き部が形成されたマスキングテープの一例を示す平面図である。
【
図11】
図10に示すマスキングテープを指に貼り付けた状態を示す指の上面図である。
【
図12】T字状のパターンの切り抜き部が形成されたマスキングテープの一例を示す平面図である。
【
図13】(a)及び(b)は、星型のデザインを形成するためのパターンの切り抜き部が形成されたマスキングテープの一例を示す平面図であり、(c)は、
図13(a)及び
図13(b)に示すマスキングテープを用いて星型のデザインのネイルアートが施術された爪を示す指の上面図である。
【
図14】第2の実施形態に係るカッティング装置の外観構成を示す要部斜視図である。
【
図15】
図14に示すカッティング装置に指がセットされている状態を、装置の前面側及び上面を切り欠いて模式的に示した要部斜視図である。
【
図16】第2の実施形態に係るカッティング装置の撮像ユニットとカットプロッタユニットとを含む移動体及びその移動手段の要部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照しつつ、本発明に係るカッティング装置、プログラム及びカッティング方法の実施形態について説明する。
本実施形態に係るカッティング装置は、加工前のテープ部材SであるベーステープSaに対して切り出し、切り抜き等の切断動作をすることでマスキングテープScを生成するものである。生成されたマスキングテープScは、爪Tにマニキュア液を塗布する施術を行う際にマニュキュア液を付着させたくない部分にマスキングを施すためのものである。ユーザがマスキングテープScを指Uに貼り付けて爪Tにマニキュア液を塗布する施術を行うことで容易に爪Tにネイルアートを施すことが可能となる。
なお、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0011】
〈第1の実施形態〉
まず
図1から
図13(a)、
図13(b)、
図13(c)を参照しつつ、本発明に係るカッティング装置、プログラム及びカッティング方法の第1の実施形態について説明する。
【0012】
[カッティング装置の構成]
図1は、本実施形態に係るカッティング装置の外観構成を示す要部斜視図である。
図1に示すように、本実施形態のカッティング装置100は、ほぼ箱形に形成された筐体2を有している。なお、以下の実施形態において、カッティング装置100における上下及び前後、左右は
図1等に示した向きをいう。またカッティング装置100におけるX方向、Y方向は、
図1等に示した方向をいうものとする。なお、カッティング装置100の形状等は図示例に限定されない。
【0013】
図2は、
図1における筐体の正面部分を一部切り欠いてカッティング装置の内部の要部構成を示した要部斜視図である。また
図3は、
図2に示す状態の筐体の左側面も切り欠いてカッティング装置の内部を左斜め前から見た要部斜視図である。
図2及び
図3に示すように、本実施形態のカッティング装置100は、筐体2内の空間を左右2つにわける隔壁部3を有している。
【0014】
図1から
図3においてカッティング装置100の左側(
図2及び
図3において隔壁部3よりも左側)の空間は、指Uが配置される第1の空間Ar1となっている。第1の空間Ar1内であって、上下方向の中央よりも少し上には、第1の空間Ar1を上下に区切るように指配置部4が設けられている。
筐体2における前面側(
図1等において装置の前側)であって第1の空間Ar1に対応する部分は、指配置部4に対応する位置よりも少し上側から下端にかけて開口している(
図1等において開口部40)。指配置部4よりもどの程度上まで開口させるかは適宜設定されるが、少なくとも指配置部4上に配置される指1本分が支障なく出し入れできる程度の高さまで開口させる。
【0015】
指配置部4は、解放されているカッティング装置100の正面側(すなわち開口部40)から挿入される指Uを配置する配置部である。指配置部4は、筐体2内に挿入された指Uの腹側を受ける。本実施形態において指配置部4には1本ずつ指Uが配置される。
指配置部4の具体的な構成は特に限定されないが、
図1から
図3に図示するように、指Uの挿入方向に沿って窪み41が設けられていることが好ましい。後述するように指配置部4の上方には撮像ユニット5のカメラ51が配置されているが、窪み41内に指Uの腹側が配置されることで指配置部4上に保持された指Uの軸周りの回転が抑えられる。これにより指Uの位置や向きが安定し、指配置部4の上方に位置する後述のカメラ51に対して爪Tの表面を向けた状態を維持しやすい。また指配置部4の上面には、例えば柔軟性を有する樹脂等で形成された図示しないクッション部材等が設けられることが好ましい。クッション部材等を設けることで、指配置部4上に保持させた際にユーザが指Uへの負担を感じにくい。
【0016】
前述のように、指配置部4上に指Uが配置された際に爪Tを含む指Uの上方に対応する位置には撮像ユニット5が設けられている。撮像ユニット5は、爪T(爪Tを含む指U)を撮像して指画像(爪Tを含む指Uの画像)を取得する。
撮像ユニット5は例えばCCD(Charge Coupled Device)型やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型等の固体撮像素子とレンズ等を備えて構成された小型の撮像手段であるカメラ51と、撮像対象を照明する白色LED等で構成された光源52とを備えている。撮像ユニット5では光源52を点灯させて、指配置部4に配置されている爪Tを含む指Uを照明しながらカメラ51で撮像し、指画像を得る。撮像手段であるカメラ51により撮像された指の指画像は、後述する制御装置10に送られ、制御部11に取得される。
【0017】
第1の空間Ar1内であって、指配置部4よりも下の空間は、指配置部4に配置される指Uとは異なる指U(図示しない非対象指)を退避させる退避部42となっている。例えば人差し指が指配置部4に配置される場合には、同じ側の手の親指、中指、薬指、小指が非対象指として退避部42内に退避する。なお、無理に退避部42に退避させようとするとかえって指配置部4に配置される指Uの姿勢が安定しにくくなるような指U(例えば親指等)がある場合には、当該非対象指を退避部42外(筐体2外)に配置させておいてもよい。
【0018】
図1から
図3においてカッティング装置100の右側(
図2及び
図3において隔壁部3よりも右側)の空間は、所定の切断動作を行うことでベーステープSaからマスキングテープScを生成するための第2の空間Ar2となっている。第2の空間Ar2の底面には、テープ部材Sが配置されるテープ配置部6が設けられている。
筐体2におけるテープ配置部6の設けられている位置及びその上側部分は、装置前面側に開放された開口部60となっている。開口部60の幅及び高さは特に限定されないが、少なくともテープ配置部6にテープ部材Sを配置したり、配置されているテープ部材Sを取り出したりする際に支障にならない程度の大きさに開口させる。
【0019】
テープ部材Sは、本実施形態におけるカッティング装置100による切断対象である。
テープ部材Sの色や材質等は特に限定されないが、テープ部材S(マスキングテープSc)を指Uに貼り付ける際、爪Tの位置がテープの上からでも確認できるように、透明又は半透明の材料で形成されていることが好ましい。
なお、何ら切断加工(カット)を施していないテープ部材Sを「ベーステープSa」とし、ベーステープSaからユーザの指Uの形状に合わせて切り出したものを「マスクベースSb」とし、ベーステープSa又はマスクベースSbにパターン等に応じた切り抜きを施して切り抜き部C1,C2を形成したテープ部材Sを「マスキングテープSc」とする。なお「ベーステープSa」には後述するように矩形状のもの(これを「第1のベーステープSa1」とする。
図5(a)参照)と、一部の角等が切り落とされた形状のもの(これを「第2のベーステープSa2」とする。
図5(b)参照)が含まれる。なお、単に「ベーステープSa」としたときは「第1のベーステープSa1」及び「第2のベーステープSa2」を含むものとする。
以下の実施形態において単に「テープ部材S」としてときは「ベーステープSa」、「マスクベースSb」及び「マスキングテープSc」の全てを含むものとする。
【0020】
テープ配置部6は、筐体2の底面に固定された基台61と基台61の上に載置されたテープセット台62とを含んでいる。基台61における左右(
図1から
図3における左右)両側にはテープセット台62をY方向(装置の前後方向、奥行き方向)に案内するガイド部611が設けられている。またテープセット台62における裏面側(下面側)であって基台61の上に載置したときにガイド部611に対応する位置にはガイドレール621がY方向に沿って設けられている。本実施形態では基台61にガイド部611として溝が形成されており、テープセット台62の下面側に設けられたガイドレール621は、溝であるガイド部611と嵌り合う凸部形状となっている。なお、ガイド部611及びガイドレール621の形状、構成等はここに示す例に限定されない。例えば基台61側に凸部形状のガイドレールが設けられ、テープセット台62側にガイドレールと嵌り合う形状のガイド部が形成されていてもよい。
【0021】
テープ配置部6の側部(本実施形態では、
図2又は
図3においてテープ配置部6の右側)には、テープセット台62をY方向(装置の前後方向)に移動させるための駆動部63が設けられている。
駆動部63は、台移動用モータ631と台移動用モータ631と同軸のピニオンギア632とを含んでいる。またテープセット台62における裏面側(下面側)には、ガイドレール621とほぼ平行してラックギア624が設けられている。ラックギア624は、テープセット台62を基台61の上に載置した状態において台移動用モータ631のピニオンギア632と噛み合うようになっており、台移動用モータ631が駆動すると、ピニオンギア632の回転に応じてラックギア624が設けられたテープセット台62がY方向(装置の前後方向)に移動する。
【0022】
図4は、本実施形態におけるテープセット台の斜視図である。
図4に示すように、テープセット台62の表面(
図4等において上側の面)は、テープ部材Sを配置する配置面620となっている。本実施形態ではカッティング装置100でカットされるテープ部材Sの大きさ(縦横の長さや厚み等)は規定されており、配置面620の両側部及び奥側の辺には、多少高さを有する縁部622が設けられている。テープ部材S(少なくとも切断加工前の「ベーステープSa」)を配置面620のほぼ中央に配置したときに左右両側と奥側とは縁部622に突き当てられて位置決めされる。
【0023】
なお後述するように、本実施形態では、切断対象としてテープセット台62にセットすることのできるテープ部材Sの種類(例えばサイズ「L」~「S」等)が予め記憶部12(
図8参照)等に記憶(登録)されている。そして、この予め登録されているリストからテープセット台62にセットするテープ部材Sを、ユーザが選択できるようになっている。そしてユーザは、選択したテープ部材Sをテープセット台62にセットする。
テープセット台62には、テープ部材Sの種類(サイズ)に応じて配置すべき位置の目安を示す目印が設けられていることが好ましい。この場合、例えばテープ部材Sの左側端部を左側の縁部622に押し当てた状態で、「L」サイズの場合にはテープ部材Sの右側端部が「L印位置」、「S」サイズの場合にはテープ部材Sの右側端部が「S印位置」にくるように合わせる等によりテープ部材Sの位置合わせを行う。
【0024】
なお、配置面620に配置されるテープ部材S(例えば切断加工前の「ベーステープSa」)の外形形状は、例えば
図5(a)に示すような矩形状のもの(「第1のベーステープSa1」)であってもよいし、
図5(b)に示すように予め指Uに貼り付けやすい外形形状にカット(例えば指先部分の角を落とすようにカット)された状態のもの(「第2のベーステープSa2」)であってもよい。なお、前述のように、切断加工前の「ベーステープSa」の状態で、指の太さ等に対応して幅方向の寸法の異なるもの(例えば太い指用のLサイズのベーステープSa、細い指用のSサイズのベーステープSa等)が複数用意されていることが好ましい。
【0025】
またテープセット台62の表面であって手前側の辺には、配置面620の左右両端部にそれぞれねじ止めされた係止腕623が設けられている。係止腕623は
図4において破線矢印で示すように、ねじ止め部分NPを中心に回動し左右に開くことができるようになっている。テープセット台62の配置面620にテープ部材Sをセットする際には適宜係止腕623を開いてテープセット台62の手前側を広く開放した状態とすることでテープ部材Sのセットを容易に行うことができる。そしてテープ部材Sを縁部622に乗り上げない位置に正しく配置した上で係止腕623を
図4に示すようにテープ部材Sの手前側に重なる位置まで回動させる。
これにより切断動作中にテープ部材Sがずれ動かないように配置面620上に係止させることができる。なお、係止腕623におけるテープ部材Sに接する面には滑り止めとなるシート等が貼着されていてもよい。これにより、一層確実にテープ部材Sのずれ等を防止することができる。
【0026】
第2の空間Ar2内であって、テープ配置部6の上方には、カットプロッタユニット7が設けられている。本実施形態においてカットプロッタユニット7は、撮像手段であるカメラ51により撮像された指Uの画像(爪Tを含む指Uの画像である指画像)に基づいて取得される情報(爪の領域に関する情報)に基づきベーステープSa(又はマスクベースSb)に対して切断動作を行い、マスキングテープScを生成する切断部である。
【0027】
図6及び
図7は、カットプロッタユニット部分の要部斜視図である。
図2、
図3、
図6、
図7に示すように、カットプロッタユニット7は、ほぼ箱型に形成されたキャリッジ71と、キャリッジ71内に収容されたカット部本体72及び上下動作部73と、を含んでいる。なお
図6及び
図7では、キャリッジ71の前面側を切り欠いて内部の構成を示している。
【0028】
キャリッジ71の上部前面側には、X方向(
図1から
図3においてX方向、装置幅方向)に貫通する貫通孔部711が形成されている。第2の空間Ar2内にはシャフト81が設けられており、シャフト81はキャリッジ71の貫通孔部711に挿通されている。
シャフト81はX方向(装置幅方向)に亘って設けられており、シャフト81の両端部は筐体の壁面及び隔壁部3に固定されている(
図2参照)。
貫通孔部711の内周面はシャフト81を受ける軸受として機能し、軸であるシャフト81と軸受である貫通孔部711の内周面とが直接接触する滑り軸受け構造となっている。これにより、キャリッジ71は、シャフト81によって支持され、シャフト81に沿って移動可能とされる。
【0029】
さらに第2の空間Ar2内であって装置奥側の面には、X方向(装置幅方向)の一端側(図示例では右側)に主動モータ82が配置されている。またX方向(装置幅方向)の他端側(図示例では左側)には、主動モータ82と同軸のプーリ83(主動プーリ)に従動する従動プーリ84が設けられている。プーリ83と従動プーリ84との間にはタイミングベルト85が巻き掛けられており、主動モータ82が駆動することでプーリ83が回転すると従動プーリ84及びタイミングベルト85がともに回転する。
【0030】
キャリッジ71の背面であってタイミングベルト85に接する位置には、ベルト連結部712が設けられている。ベルト連結部712がタイミングベルト85に連結されることにより、タイミングベルト85の動きに合わせてキャリッジ71がシャフト81に沿ってX方向(装置幅方向)に移動する。なお主動モータ82は正逆回転自在となっており、キャリッジ71は主動モータ82の動作に応じてX方向(装置幅方向)に沿って左右両方向に移動可能となっている。
【0031】
図6及び
図7に示すように、キャリッジ71に収容されているカット部本体72は、固定板ばね74を介して上下動作部73と連結されている。
上下動作部73は、カット部本体72を上下方向に動作させるものであり、例えば上下方向に動作する駆動部品731を備えるソレノイド等で構成されている。固定板ばね74の一端は駆動部品731には固定されており、固定板ばね74の他端にはカット部本体72が固定されている。これにより、駆動部品731が上下動すると、この上下動に伴ってカット部本体72が上下方向に移動する。
【0032】
カット部本体72の下端にはカッタ刃721が取り付けられている。カッタ刃721は、
図7において矢印で示すように、軸周りに回動自在に保持されており、対象物(すなわち本実施形態ではテープ部材S)の表面に当接すると、押圧される方向や移動の方向に応じて自在に刃先の向きを変えることができる。これによって対象物(テープ部材S)を切断したい方向に適切に切断することができる。また、カット部本体72が固定板ばね74を介して固定されていることにより、駆動部品731が下降してカッタ刃721が対象物(テープ部材S)の表面に当接した際に、固定板ばね74のばね圧により荷重が一定となるよう調整され、適度な荷重がかかった状態でカッタ刃721が対象物(テープ部材S)を切断することができる。
【0033】
このように、本実施形態ではカットプロッタユニット7がX方向(装置幅方向)に移動するとともに、前述のように、対象物であるテープ部材Sを表面(配置面620)に保持するテープセット台62がY方向(装置前後方向)に移動することで、カッタ刃721はXY平面上を適宜移動しながら対象物(テープ部材S)をカットすることができる。
【0034】
図8は、カッティング装置の要部制御構成を示す要部ブロック図である。
図8に示すように、本実施形態のカッティング装置100は、上記各構成部を備えるとともに、電源スイッチ21、操作入力部22、通信部23、制御装置10等を備えている。
【0035】
電源スイッチ21は、例えば筐体2の上面(天面)や側面等に設けられており、カッティング装置100の電源をON/OFFする操作ボタン(電源スイッチボタン)等である。電源スイッチ21が操作されると、操作信号が制御装置10に出力され、制御装置10が操作信号に従った制御を行う。
例えば電源スイッチ21のスイッチング操作によって電源がONとなると、制御装置10がカッティング装置100各部を起動させる。
【0036】
操作入力部22は、ユーザによる各種の操作入力を行うことができる、各種のボタンやキー入力部等である。
操作入力部22から操作入力が行われると、操作信号が制御装置10に出力され、制御装置10が操作信号に従った制御を行う。
【0037】
通信部23は、外部装置との間で通信する通信手段である。なお、本実施形態において「外部装置」とは、例えば端末装置20(
図1参照、例えばユーザのスマートフォンやタブレット型の端末装置、据置き型のPC)等である。
外部の端末装置20で入力、設定された情報は、通信部23を介してカッティング装置100で受信される。これにより、制御部11は通信部23を介して外部の端末装置20から情報を受け取ることができる。
カッティング装置100と端末装置20等との間での通信手法は特に限定されず、例えば無線LAN、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の近距離無線通信規格に基づく無線通信等により行われる。通信部23は通信することが想定される各種外部装置の通信方式、通信規格に対応するアンテナチップ等を備えている。
【0038】
本実施形態では、通信部23を介して通信可能な端末装置20の操作部25(
図1参照)が、カッティング装置100について各種の設定等を行う操作入力部としても機能する。端末装置20における操作部25は、例えば表示部26(
図1参照)の表面に一体的に設けられたタッチパネルである。
操作部25が操作されると、当該操作に対応する入力信号が端末装置20の図示しない制御部を介してカッティング装置100に送信される。そして、操作部25から入力された情報がカッティング装置100の制御部11に受け付けられる。
【0039】
例えば本実施形態のカッティング装置100にセット可能なテープ部材Sの種類は予め登録されており、ユーザは、その登録された中から、カッティング装置100にセットするテープ部材Sの種類(例えば大きな(太い)指用、小さな(細い)指用、普通(標準的な)の指用、といったテープ部材Sの大きさのレベル等)を端末装置20の操作部25から入力、設定することができる。具体的には例えば、複数種類(例えばテープ部材Sのサイズ「L」「M」「S」等)が選択肢として表示部26等にリストアップ表示され、そのリストから希望するものをユーザが選択することでテープ部材Sの種類が設定される。
【0040】
またユーザは、テープ部材Sに対してカッティング装置100により切り抜きたい文字や記号、各種模様(すなわち、ユーザが爪Tの領域に施したいデザインD(文字や図形等の所望のパターン))の情報等を設定したり選択したりする入力を、端末装置20の操作部25から行うことができる。
なお、カッティング装置100にセットするテープ部材Sの種類の入力、設定や、文字や図形等の所望のパターンの入力、設定等は、端末装置20で行われる場合に限定されず、カッティング装置100の操作入力部22から行われてもよい。
【0041】
カッティング装置100の制御装置10は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサで構成される制御部11と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等(いずれも図示せず)で構成される記憶部12とを備えるコンピュータである。
なお、記憶部12の一部又は全部を別構成とし、制御装置10の外部に設けるようにしてもよい。
記憶部12には、カッティング装置100を動作させるための各種プログラム(例えば爪T等の形状認識処理、テープ部材Sのカッティング処理等を行うためのプログラム等)や各種データ等が格納されており、制御部11がこれらのプログラムを例えばRAMの作業領域に展開して、プログラムが制御部11において実行されることによって、カッティング装置100の各部が統括制御されるようになっている。
【0042】
特に本実施形態では、制御部11は、画像(カメラ51によって取得された指画像)から爪Tの領域の情報(すなわち、爪Tの輪郭形状、爪Tの外形形状)を含む情報を検出する情報取得手段として機能する。
爪Tの領域の情報とは、例えば、爪Tの領域を画する輪郭線をx,y座標等で表したベクターデータ等である。
また情報取得手段としての制御部11は、爪Tの領域の情報だけでなく、指Uの領域の情報(指Uの外形形状)を取得してもよい。
情報取得手段としての制御部11は、例えば指画像について色や明るさ等の違いを解析して輪郭を抽出する各種画像処理を行うことによって爪Tの輪郭形状や指Uの輪郭形状等を取得する。なお、情報取得手段としての制御部11が指画像から爪Tの領域の情報や指Uの領域の情報を得る手法は特に限定されない。
【0043】
また本実施形態の制御部11は、ユーザが爪Tに施したいネイルデザイン(所望のパターン)の情報を受け付けるパターン受付部としても機能する。前述のように爪Tに施したいデザイン(文字や図形等の所望のパターン)は、端末装置20の操作部25や操作入力部22から入力され、制御部11は操作信号を取得することで、ユーザが爪Tに施したい所望のパターンを受け付ける。
【0044】
また本実施形態の制御部11は、情報取得手段として取得した爪Tの領域の情報に基づいて、ユーザが選択、入力した所望のパターンが爪Tの領域内に収まるように(すなわち、爪Tの領域から所望のパターンがはみ出ないように)調整する調整部としても機能する。すなわち、所望のパターンが爪Tの領域内に収まるように、パターンをテープ部材S(「ベーステープSa」や「マスクベースSb」)に対してどのような位置、大きさ、向きで配置するか、その相対的な位置関係等を適宜調整する。爪Tの領域のどの辺りの位置にどのくらいのサイズでデザインを施したいかをユーザが設定できてもよい。位置や大きさについて設定された場合には、制御部11は設定された条件を満たすように所望のパターンを爪Tの領域内に配置する。なお、デザインの配置について特に設定がない場合には、例えば爪Tの領域のほぼ中央部にできるだけ大きなサイズでパターンが配置されるように、テープ部材S(「ベーステープSa」や「マスクベースSb」)に対して(テープ部材Sの外形形状に対して)、所望のパターンの配置を調整する。
【0045】
また本実施形態の制御部11は、調整部としての調整結果に基づき、切断部であるカットプロッタユニット7の各部を動作させ、爪Tの領域に対応する領域内にパターン(
図11及び
図12(a)~(c)に示す切り抜き部C2)が切り抜かれたマスキングテープScを生成させる切断制御部として機能する。
【0046】
具体的には、カットプロッタユニット7における台移動用モータ631を動作させて、テープ部材Sが配置されたテープセット台62をY方向(装置の前後方向)に沿って適宜移動させるとともに、主動モータ82を動作させてカットプロッタユニット7をキャリッジ71ごとX方向(装置の左右方向)に沿って適宜移動させる。
そして、このようにテープセット台62とキャリッジ71とをXY方向に相対的に移動させながら、上下動作部73を動作させてカッタ刃721を適宜テープ部材Sにあてがうことで、テープ部材Sに所望の切り抜き部C2を形成させる。
【0047】
また切断前のテープ部材Sである「ベーステープSa」が矩形状である場合(
図5(a)参照)や、指先側の角がカットされた状態であってもユーザの指Uに貼り付けるには幅が広すぎる場合等には、制御部11は切断制御部として、ユーザの指Uの外形形状に合わせて「ベーステープSa」から「マスクベースSb」を切り出すようにカットプロッタユニット7等を適宜制御する。
【0048】
[カッティング装置の作用、カッティング方法]
次に、
図9から
図13(a)~
図13(c)等を参照しつつ、本実施形態のカッティング装置によるカッティング方法について説明する。
図9は、本実施形態に係るカッティング装置によって行われるカッティング処理を示すフローチャートである。
【0049】
カッティング処理を行うにあたっては、まず第2の空間Ar2内のテープセット台62に切断対象となるテープ部材Sをセットする。
前述のように、テープ部材Sの種類(サイズ)が複数用意されている場合には、ユーザが端末装置20の操作部25やカッティング装置100の操作入力部22を操作することで、予め登録されている選択肢のリストの中から、自分の指Uの太さ等に合ったテープ部材Sを選択する。これにより、テープ部材Sの種類(サイズ)が設定される。
そしてユーザは、選択し設定されたテープ部材Sをテープセット台62にセットする。
また、ユーザが端末装置20の操作部25や操作入力部22等からカッティング装置100によって生成したいマスキングテープScについての設定を行う。
【0050】
マスキングテープScについての設定としては、例えば爪T全体にマニキュア液を塗布するためのマスキングテープScを生成したいのか、爪Tに各種のデザインD(
図12(c)参照)を描くためのマスキングテープScを生成したいのか、の設定等である。また後者の場合には、爪Tに描きたいデザイン(ネイルデザイン)Dに応じて、所望のパターンについて設定する。この際、デザインDを描きたい位置(例えば爪の中央、爪Tの右上等)や大きさ(例えば爪Tの領域一杯に大きく描くのか、ワンポイントとして小さく描くのか等)等について希望がある場合にはこれらの情報も設定する。所望のパターンに関する情報は、パターン受付部としての制御部11に受け付けられる。
【0051】
また、第2の空間Ar2内の指配置部4に、デザインDを施したい爪Tに対応する指Uを配置する。指Uが配置されると、
図8に示すように、制御部11が撮像ユニット5を動作させて、カメラ51により指配置部4に配置された指Uを撮像させる。これにより得られた画像(爪Tを含む指の画像である指画像)は制御装置10に送られ、指画像が制御部11に取得される(ステップS1)。
なお、複数本の指UについてマスキングテープScを生成したい場合、マスキングテープScを貼り付けたい指Uの指画像を順次取得してから、マスキングテープScの切り出し、切り抜き作業をまとめて行ってもよいし、1本ずつ指Uの指画像を取得し、当該指Uに貼り付けるためのマスキングテープScの切り出し、切り抜き作業を行うようにしてもよい。
【0052】
制御部11は、指画像に対して画像処理等を行うことで指Uの輪郭形状を認識する(ステップS2)。また、制御部11は、指画像に対して画像処理等を行うことで爪Tの輪郭形状(爪Tの領域)を認識する(ステップS3)。
そして、例えばテープセット台62にセットされたテープ部材Sが
図5(a)に示すような矩形状の「ベーステープSa」(第1のベーステープSa1)等であるような場合には、制御部11は切断部であるカットプロッタユニット7の各部を動作させて、情報取得手段として取得した指Uの輪郭形状(外形形状)の情報に基づいて、ベーステープSa(第1のベーステープSa1)からユーザの指Uの輪郭形状(外形形状)に対応した形状のマスクベースSbを切り出させる(ステップS4)。すなわち、この場合には、ベーステープSa(第1のベーステープSa1)の位置に対して、指Uの輪郭形状(外形形状)に対応した形状を切り出す位置(相対位置)を調整、設定し、カットプロッタユニット7によって、ベーステープSa(第1のベーステープSa1)からマスクベースSbを切り出す。
【0053】
「指Uの輪郭形状に応じた形状にカットする」とは、例えば指先側の角を切断して指Uに貼り付けた際に余った角部分が浮き上がりにくくすること等をいう。マスクベースSbは、マスキングテープScを生成するベースとなるものであり、
図5(b)に示すベーステープSa(第2のベーステープSa2)と同様の形状である。
なお、テープセット台62にセットされたテープ部材Sが
図5(b)に示すようにすでに指先側の角がカットされて指Uに貼り付けやすい形状に加工されたベーステープSa(第2のベーステープSa2)であるような場合であっても、ベーステープSa(第2のベーステープSa2)の幅がユーザの指Uの幅に対して広すぎる場合等には、制御部11がカットプロッタユニット7の各部を動作させ、情報取得手段として取得した指Uの輪郭形状(外形形状)の情報に基づいて切断させる。
【0054】
すなわち、カットプロッタユニット7の各部を動作させて、ベーステープSa(第2のベーステープSa2)から指Uの輪郭形状(外形形状)に対応した形状のマスクベースSb(
図5(b)に破線で示すような形状の「マスクベースSb」)を切り出させる。この場合には、例えばユーザの指Uの幅に合うようにベーステープSa(第2のベーステープSa2)の両端をカットする等の加工を行う。
なお、
図5(b)に示すようなベーステープSa(第2のベーステープSa2)が、そのままの状態でユーザの指Uに貼り付けられる場合(すなわち、例えば幅を小さくする等の切り出し加工を施す必要がない場合)には、ベーステープSaからマスクベースSbを切り出させる工程であるステップS4は省略することができる。
【0055】
そして制御部11は、ユーザが端末装置20の操作部25やカッティング装置100の操作入力部22等から入力、設定した情報に基づいて、生成するマスキングテープScが爪T全体にマニキュア液を塗布する際にマスキングするためのマスキングテープScであるか否かを判断する(ステップS5)。
所望のマスキングテープScが、爪T全体にマニキュア液を塗布する際にマスキングするためのマスキングテープScである場合(ステップS5;YES)には、制御部11はカットプロッタユニット7の各部を動作させて、爪Tの輪郭形状に応じた切り抜き部C1を形成させ、切り抜き部C1が形成されたマスキングテープSc(マスキングテープSc1)を生成する(ステップS6)。
【0056】
この場合には例えば
図10に示すように、テープ部材S(ベーステープSa又は指Uの形状に応じて切り出されたマスクベースSb)における爪Tに対応する位置(指Uの形状に対する爪Tの相対的な位置)に、ユーザの爪Tの形状に合わせて切り抜き部C1が形成されたマスキングテープSc(マスキングテープSc1)が生成される。
図11に
図10に示すマスキングテープを指に貼り付けた状態を示す。
図11に示すような、爪Tの形状の切り抜き部C1が形成されたマスキングテープScを指Uに貼り付けた状態で爪T全体にマニキュア液を塗布すれば、爪Tの範囲内だけにマニキュア液が塗布され、指Uには液剤が付着しないようにすることができ、爪T全体にマニキュア液を塗布する施術を簡易に行うことができる。
【0057】
他方、所望のマスキングテープScが、爪T全体にマニキュア液を塗布する際にマスキングするためのマスキングテープScでない場合(ステップS5;NO)、すなわち、部分的にデザインD等を施すためのマスキングテープScを生成したい場合には、制御部11は、爪Tに施したい所望のパターンの情報を取得する(ステップS7)。具体的には、制御部11は端末装置20の操作部25やカッティング装置100の操作入力部22等からユーザが入力、設定した情報を取得する。
そして、所望のパターンが爪Tの領域内に収まるように、パターンの大きさ、位置、向き等を適宜調整する(ステップS8)。前述のように、デザインDを配置したい位置や大きさについてもユーザが入力設定している場合には、制御部11は、これらの入力情報も考慮してパターンの大きさ、位置等を調整する。
具体的には、テープ部材S(ベーステープSa又は指Uの形状に応じて切り出されたマスクベースSb)における爪Tに対応する位置(指Uの形状に対する爪Tの相対的な位置)に、パターンが配置されるように、制御部11は、テープ部材S(ベーステープSa又はマスクベースSb)に対する、パターンの相対的な位置関係(すなわち、テープ部材Sに対してどこにどのくらいの大きさのパターンをどのような向きで配置するか等)を調整する。
【0058】
パターンを切り抜く位置が決まると、制御部11はカットプロッタユニット7を動作させて、爪Tの領域に対応する領域内に所望のパターンの切り抜き部C2が形成されたマスキングテープSc(マスキングテープSc2)を生成する(ステップS9)。
なお、テープ部材Sについて切断動作が完了すると、ランプ等を点灯させてユーザに報知することが好ましい。カッティング装置100が表示部を備える場合には、表示部にその旨を表示させ、他にもマスキングテープScを生成する場合には、次のマスキングテープScを生成するためのテープ部材Sをテープセット台62にセットするようユーザに促すメッセージを表示させてもよい。なお、これらの報知や表示は、カッティング装置100と通信する端末装置20の表示部26に表示させることで行われてもよい。
【0059】
例えばユーザ所望のマスキングテープScが、爪TにT字状にマニキュア液を塗布してT字のデザインDを描くためのマスキングテープScである場合、ユーザは所望のパターンとしてT字状のパターンを端末装置20の操作部25やカッティング装置100の操作入力部22等から操作入力する。
操作信号を受け付けた制御部11は、カットプロッタユニット7の動作を制御して、
図12に示すように、図中破線で示す爪Tの輪郭の内側に収まるように、T字状のパターンの切り抜き部C2が形成された「マスキングテープSc2」を生成させる。
【0060】
また、例えばユーザが複数色のマニキュア液で1つの文字や図形等を塗り分けて柄(デザインD)を形成したい場合には、各色ごとにマニキュア液を塗布する必要がある。このため、この場合にはマスキングテープSc2も各色ごとにそれぞれを生成する。
例えば操作入力部22から、星型の図形の上側半分を赤色、下側半分をピンク色というように複数色で塗り分けて柄(デザインD)を描くためのマスキングテープSc2を作成したいとの入力が行われると、操作信号を受け付けた制御部11は、カットプロッタユニット7の動作を制御して、色ごとにマスキングテープSc2を生成させることで2つのマスキングテープSc2を生成させる。
【0061】
すなわち、
図13(a)に示すような星型の図形の上側半分の形状(パターン)が切り抜かれた切り抜き部C2(第1の切り抜き部C2a)が形成された「第1のマスキングテープSc2_1」と、
図13(b)に示すような星型の図形の下側半分の形状(パターン)が切り抜かれた切り抜き部C2(第2の切り抜き部C2b)が形成された「第2のマスキングテープSc2_2」と、が生成される。
【0062】
そして、ユーザはまず第1のマスキングテープSc2_1を指Uに貼り付けた状態で、赤色のマニュキュア液を第1の切り抜き部C2a内に塗布し、その後マスキングテープを第2のマスキングテープSc2_2に貼り替えた状態で、ピンク色のマニュキュア液を第2の切り抜き部C2b内に塗布する。これにより
図13(c)に示すような上下で色の異なる星型のデザインDを自分の爪Tに描くことができる。
このように、カッティング装置100を用いてマスキングテープScを生成すれば、マニュキュア液等をユーザが手塗して爪Tに所望のデザインDを施す場合でも、自爪の形状に合ったマスキングテープScでマスキングを施しながら簡易にマニュキュア液等を塗布する施術を行うことができる。
【0063】
以上のように、本実施形態によれば、カッティング装置100が、爪Tの領域の情報を取得する情報取得手段、所望のパターンの情報を受け付けるパターン受付部、情報取得手段として取得した爪Tの領域の情報に基づいて、パターンが爪Tの領域内に収まるように調整する調整部、調整部として調整結果に基づき切断部であるカットプロッタユニット7を動作させ、爪Tの領域に対応する領域内に前記パターンが切り抜かれたマスキングテープScを生成させる切断制御部として機能する制御部11を備えている。
このため、ユーザの爪Tの形状に合ったマスキングテープScを容易に生成することができる。このようなマスキングテープScを用いてマニュキュア液を爪Tに塗布する施術を行うことで、塗布したい部分からマニュキュア液がはみ出すことがなく、塗布したい部分に手を汚さずに施術を行うことができる。
【0064】
また、本実施形態のカッティング装置100は、指Uの外形形状の情報と爪Tの領域の情報とを取得する情報取得手段、所望のパターンの情報を受け付けるパターン受付部、情報取得手段として取得した指Uの外形形状の情報と爪Tの領域の情報とに基づいて、パターンが爪Tの領域内に収まるように調整する調整部、切断部を動作させ、ベーステープSaから情報取得手段として取得した指Uの外形形状の情報に基づいて指Uの外形形状に対応した形状のマスクベースSbを切り出させるとともに、調整部として調整したパターンがマスクベースSbにおける爪Tの領域に対応する部分に切り抜かれたマスキングテープScを生成させる切断制御部、として機能する制御部11を備えている。
【0065】
例えばユーザの指Uが一般的な指よりも細く、標準的な幅で生成されているベーステープSaをそのまま用いたのでは、マスキングテープScを指Uに巻き付けた際、幅が余ってうまく貼ることができない場合がある。
このような場合でも、ベーステープSaをユーザの指Uに合わせた形状に調整して適宜切断することで、自分の指Uに合ったマスキングテープScを生成できる。これにより、マスキングテープScを適切に指Uに貼り付けて、マスキングした状態でマニキュア液を塗布する施術を行うことが可能である。
このため、ユーザの指Uの太さ等に関わらず、最適な幅、形状のマスキングテープScを得ることができ、貼り付けやすく、ユーザの爪Tの形状に合ったマスキングテープScを容易に生成することができる。このようなマスキングテープScを用いてマニュキュア液を爪Tに塗布する施術を行うことで、塗布したい部分以外にマニュキュア液がはみ出すことがなく、手を汚さずに施術を行うことができる。
【0066】
また、本実施形態では、情報取得手段としての制御部11が、所定の撮像手段(撮像ユニット5のカメラ51)により指Uを撮像することにより取得された指画像に基づいて、少なくとも爪Tの領域の情報を取得する。
これにより、切り抜き部C1,C2が確実に爪の領域内に収まるようにすることができ、爪T以外の部分(指Uの皮膚部分)に貼り付けられる範囲まで誤って切り抜かれることがない。
【0067】
また、本実施形態では、パターンを切り抜く箇所を調整する調整部としての制御部11が、パターンの位置、向き、大きさの少なくともいずれかを調整する。
爪TにどのようなデザインDを描きたいかはユーザによって異なり、パターンを設ける位置は譲れないような場合には、向きや大きさを変えることで爪Tの領域内に収まるように調整することができる。また大きさは変えたくない、という場合には位置等、他の要素を調整する。これにより、ユーザ所望のデザインDを爪Tに描くネイルアートの施術を、マスキングテープScを用いて容易に行うことができる。
【0068】
〈第2の実施形態〉
まず
図14から
図16を参照しつつ、本発明に係るカッティング装置、プログラム及びカッティング方法の第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態では、まず片方の手の全ての指を指配置部に配置し、マスキングテープを生成したい全ての指について指画像を取得する。その後、指1本ずつのマスキングテープを生成する。このため、複数の指についてマスキングテープを生成したい場合に、1本ずつ指を抜き差しする必要がなく手を指配置部に載せるだけでよいため、容易に複数の指画像を取得することができる。
以下図面を参照しながら詳細に説明する。
【0069】
図14は、本実施形態に係るカッティング装置の外観構成を示す要部斜視図である。
図15は、
図14に示すカッティング装置の前面側及び上面側を切り欠いて内部の構成を示した斜視図である。
図14及び
図15に示すように、カッティング装置200は、ほぼ箱型の筐体2aを有している。
【0070】
カッティング装置200における上下方向の中央部より少し上には装置幅方向(X方向)に延在して指配置部4aが設けられている。
図15に示すように、指配置部4aには、撮像手段である撮像ユニット5aのカメラ51により撮像される指Uが配置される。
本実施形態の指配置部4aは、複数本の指U(
図15に示すように片方の手Hの親指~小指までの全ての指U)を指幅方向に並べて配置させることができるものである。具体的には、指Uの腹部分を受ける窪み41aが片手5本の指U、5本分用意されており、片方の手Hを、指Uを自然に広げた状態で指配置部4a上に載せるだけで、各窪み41a内に指Uを配置させることができる。これにより指配置部4aに5本の指Uを同時に配置させることができるとともに、各指Uの爪Tが上に向けられた状態となる(
図15参照)。なお、指配置部4aの全ての窪み41aに指Uを配置しなくてもよく、例えば片手の人差し指から小指までの4指や、両手の親指同士等を窪み41aに配置させてもよい。両手の親指を配置する場合のように、2本又は3本のみ指Uを配置する場合には、隣り合う窪み41aに配置させなくてもよく、ユーザが配置しやすい位置に離して配置してもよい。
【0071】
筐体2aにおける指配置部4aの設けられている位置及びその上側部分は、装置前面側に開放された開口部40aとなっている。開口部40aの高さは特に限定されないが、少なくとも指配置部4aに配置する指Uが支障なく出し入れできる程度の高さまで開口させる。
【0072】
指配置部4aは、筐体2a内を上下に2分する隔壁部としても機能し、指配置部4aよりも上は、撮像ユニット5a(撮像ユニット5aのカメラ51)により指U(爪Tを含む指U)の画像(指画像)を取得するための第1の空間Ar3となっている。
隔壁部としての指配置部4aが、筐体2a内を上下に2分して指配置部4aよりも上の空間(第1の空間Ar3)を、指画像を取得するための空間とすることにより、指配置部4aに片方の手Hを載せて複数本の指Uを並べて配置できるようにしても、カッティング装置200の装置幅が大きくならず、コンパクトな装置構成とすることができる。
なお、指配置部4aは、左右両端部が筐体2aの側壁に固定されていてもよいし、装置幅方向に亘って設けられた板状部材等の上に固定されていてもよい。また、固定されずに着脱可能な状態で筐体2aの側壁又は板状部材に係止されていてもよい。指配置部4aが着脱可能である場合には、例えば指配置部4aに配置するのが右の手Hの指Uであるか左の手Hの指Uであるか等によって、適宜指配置部4aを差し替えて使用できるようになっていてもよい。
【0073】
また、指配置部4aよりも下の空間は、所定の切断動作を行うことでベーステープSaからマスキングテープScを生成するための第2の空間Ar4となっている。第2の空間Ar4の底面には、テープ部材Sが配置されるテープ配置部6が設けられている。なお、テープ配置部6の構成は第1の実施形態と同様であるため、同じ部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
筐体2aにおけるテープ配置部6の設けられている位置及びその上側部分は、装置前面側に開放された開口部60aとなっている。開口部60aの幅及び高さは特に限定されないが、少なくともテープ配置部6にテープ部材Sを配置したり、配置されているテープ部材Sを取り出したりする際に支障にならない程度の大きさに開口させる。
【0074】
第2の空間Ar4内には、第1の実施形態と同様に、カットプロッタユニット7aと、キャリッジ71の貫通孔部711に挿通されキャリッジ71が移動する際のガイドとなるシャフト81が設けられている。また、第2の空間Ar4内であって装置奥側の面には、第1の実施形態と同様に、主動モータ82、主動モータ82と同軸のプーリ83(主動プーリ)に従動する従動プーリ84、プーリ83と従動プーリ84との間に巻き掛けられたタイミングベルト85が設けられている。第1の実施形態と同様に、タイミングベルト85にはキャリッジ71に設けられているベルト連結部712が連結されている。なおシャフト81、主動モータ82及びプーリ83、従動プーリ84、タイミングベルト85の構成は、第1の実施形態と同様であるため、同じ部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0075】
本実施形態では、指配置部4aに配置されている指Uを撮像する撮像手段としての撮像ユニット5aと、撮像ユニット5a(撮像ユニット5aのカメラ51)により撮像された指Uの画像(爪Tを含む指Uの画像である指画像)に基づいて取得される情報に基づきベーステープSaに対して切断動作を行い、マスキングテープScを生成する切断部であるカットプロッタユニット7aとが同じ移動手段(駆動手段)により指配置部4aに配置される指Uの指幅方向(複数本の指Uが配置されている場合に指Uの配列方向、本実施形態では装置幅方向、X方向)に沿って移動可能となっている。
【0076】
図16は、本実施形態における撮像ユニット5a及びカットプロッタユニット7aと、これらを移動させる移動手段(すなわち、シャフト81、主動モータ82及びプーリ83、従動プーリ84、タイミングベルト85)の構成を示す要部斜視図である。
図16に示すように、撮像ユニット5aとカットプロッタユニット7aとは、連結枠体91によって連結されて一体化された移動体9として構成されている。
【0077】
図示は省略するが、隔壁部としての指配置部4aは、筐体2aの奥側の面には当接せず、奥側には所定の隙間が確保されている。なお、指配置部を4a保持する板状部材等が設けられている場合には、板状部材も同様に筐体2aの奥側の面には当接しない。
移動体9は、連結枠体91の一部が隔壁部としての指配置部4aと筐体2aの奥側の面との間の隙間に挿通されており、移動手段(すなわち、シャフト81、主動モータ82及びプーリ83、従動プーリ84、タイミングベルト85)が動作することで、カットプロッタユニット7aと、これに連結された撮像ユニット5aとが一体となって移動するようになっている。すなわち本実施形態では、カットプロッタユニット7aと撮像ユニット5aとが同じ主動モータ82の駆動によってともに移動するようになっており、駆動源(主動モータ82)が共通化されている。
【0078】
なお、その他の構成は、第1の実施形態と同様であるため、その説明を省略する。
【0079】
次に、本実施形態のカッティング装置200によるカッティング方法について説明する。
本実施形態では、マスキングテープScを用いてマニュキュア液を塗布する施術を行いたい爪Tに対応する側の手Hを指配置部4a上に配置する。具体的には当該手Hの指Uを各窪み41a内に配置させることで指Uを指配置部4a上に並べて配置する(
図15参照)。またテープ配置部6テープセット台62には第1の実施形態と同様にテープ部材Sをセットする。
【0080】
カッティング装置200の電源がONとなり、動作が開始されると、制御部11が移動手段(すなわち、シャフト81、主動モータ82及びプーリ83、従動プーリ84、タイミングベルト85)を動作させて、移動体9を装置幅方向の一端部から他端部にかけて移動させる。これにより、カットプロッタユニット7a(カットプロッタユニット7aのキャリッジ71)と一体化されている撮像ユニット5aが指配置部4a上に配置されている指Uの上を順次通過する。このとき、制御部11は撮像ユニット5aの光源52を点灯させて指Uを照明しながら1本ずつカメラ51で撮影し、指画像を取得させる。
【0081】
なお、テープ部材Sの切断動作時には、カットプロッタユニット7aがX方向に適宜往復動作するとともに上下動作部73がカッタ刃721を上下させるように動作するため、移動体9全体が振動する。このため、撮像ユニット5aによる指画像の撮影動作中は、カットプロッタユニット7aによる切断動作は行わないようになっている。撮像ユニット5aによる指画像の撮影タイミングとカットプロッタユニット7aによる切断動作のタイミングは特に限定されないが、例えばまず全ての指Uについて指画像を取得し、各画像についての画像解析を行いながら、画像解析が終了し切断動作用のデータが生成されたものから順にカットプロッタユニット7aによる切断動作を行うことが好ましい。
【0082】
カメラ51により取得された指画像は制御部11において取得され、各指Uごとに指画像の画像解析が行われ、指Uの外形形状及び爪Tの領域(爪の輪郭線の内側領域)の形状が制御部11により認識される。
なお、例えば片方の手Hの親指から小指までの5指が指配置部4aに載置されている場合に、親指等一部の指Uが、向きが傾いた状態で配置されていると、カメラ51によって爪Tや指Uの真上からの画像を撮像することができない。このような場合でも、制御部11が傾き補正等の画像補正処理を行うことで真上から撮像したのと同様の画像とすることができてもよい。
【0083】
指Uの外形形状及び爪Tの領域の形状が取得されると、制御部11は、移動手段(すなわち、シャフト81、主動モータ82及びプーリ83、従動プーリ84、タイミングベルト85)を動作させて、ベーステープSaから1つ目の指Uの形状に応じたマスクベースSbを切り出す。
マスクベースSbに爪Tの領域に対応する切り抜き部C1を形成する場合には、さらに移動手段を動作させ、切り抜き部C1を形成させる。これにより切り抜き部C1を有するマスキングテープSc1が生成される。
【0084】
また、マスクベースSbに所望のパターンの切り抜き部C2を形成する場合には、マスクベースSbのうち、爪Tの領域に対応する領域内に収まるように(すなわち、爪Tの領域から所望のパターンがはみ出さないように)、制御部11が所望のパターンを配置する位置、大きさ、向き等を調整する。
マスクベースSbのうちパターンを切り抜く箇所が決定したら、制御部11は移動手段(すなわち、シャフト81、主動モータ82及びプーリ83、従動プーリ84、タイミングベルト85)を動作させて、マスクベースSbから所望のパターンを切り抜き、切り抜き部C2を形成する。これにより切り抜き部C2を有するマスキングテープSc2が生成される。
なお、1つのテープ部材Sについて切断動作が完了すると、ランプ等を点灯させてユーザに報知することが好ましい。カッティング装置200が表示部を備える場合には、表示部にその旨を表示させ、次のマスキングテープScを生成するためのテープ部材Sをテープセット台62にセットするようユーザに促すメッセージを表示させてもよい。
【0085】
なお、その他の点については、第1の実施形態と同様であることから、その説明を省略する。
【0086】
以上のように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得られる他、以下の効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態のカッティング装置200では、指Uを配置する指配置部4aが、片方の手Hを配置させることができ、片手の5本指等、複数本の指Uを同時に配置させることができるものとなっている。
このため、カメラ51で指画像を撮像する際には、指配置部4a上に片方の手Hを載せればよく、片手を載せるだけでまとめて指Uを配置させることができる。これにより複数の指UについてマスキングテープScを生成したい場合に、1本ずつ指Uを入れ替えながら配置させる必要がなく、ユーザによって便利である。また、まとめて指画像を取得した後に指U1本ずつマスキングテープScを生成するため、効率よくマスキングテープScを生成することができる。
【0087】
また本実施形態のカッティング装置200は、指Uを撮像する撮像手段としての撮像ユニット5aのカメラ51と、カメラ51により撮像される指Uが配置される指配置部4aと、カメラ51により撮像された指Uの画像(爪Tの画像を含む指画像)に基づいて取得される情報に基づきベーステープSaに対して切断動作を行い、マスキングテープScを生成する切断部としてのカットプロッタユニット7aと、撮像ユニット5a(撮像ユニット5aのカメラ51)とカットプロッタユニット7aとを、指配置部4aに配置される指Uの指幅方向に沿って移動させる移動手段(すなわち、シャフト81、主動モータ82及びプーリ83、従動プーリ84、タイミングベルト85)と、を備えている。
【0088】
本実施形態では指配置部4aが装置幅方向(X方向、指幅方向)に長い。このような場合には撮像ユニット5a(撮像ユニット5aのカメラ51)も、指配置部4aに配置された指Uの撮像を行う際に装置幅方向(X方向、指幅方向)に移動する必要が生じる。また、カットプロッタユニット7aは、テープ部材Sをカットする際にX方向に自在に移動する必要がある。
この点、撮像ユニット5aとカットプロッタユニット7aとを連結枠体91によって連結し、一体化された移動体9として構成している。このため、X方向への移動手段(特に駆動源である主動モータ82)を共通化することができ、別個に移動手段を設ける場合と比較して、装置構成を単純化することができ、部品点数も少なく、装置の軽量化も図ることができる。
【0089】
また本実施形態の指配置部4aは、複数本の指Uを指幅方向に並べて配置させるようになっており、撮像ユニット5aとカットプロッタユニット7aとが連結された移動体9は、移動手段(すなわち、シャフト81、主動モータ82及びプーリ83、従動プーリ84、タイミングベルト85)より指配置部4aに配置される指Uの配列方向に移動可能に構成される。
本実施形態では指配置部4aに配置された複数本の指Uの撮像を行うために撮像ユニット5aが指Uの配列方向に移動する必要が生じるが、本実施形態の指Uの配列方向は指幅方向(すなわち装置幅方向、X方向)である。このため、テープ部材Sをカットする際にX方向に移動する必要があるカットプロッタユニット7aの移動方向と同じであり、撮像ユニット5aとカットプロッタユニット7aとの移動手段(特に駆動源である主動モータ82)を共通化することができる。
これにより、別個に移動手段を設ける場合と比較して、装置構成を単純化することができ、部品点数も少なく、装置の軽量化も図ることができる。
【0090】
なお、以上本発明の実施形態について説明したが、本発明は、かかる実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で、種々変形が可能であることは言うまでもない。
【0091】
例えば、カッティング装置には電源スイッチ21や操作入力部22の他、各種表示部やインジケータ等を設けてもよい。
カッティング装置が表示部やインジケータ等を備える場合、表示部やインジケータ等において、各種の操作や手順等についてユーザへのガイダンスを行ってもよい。なお、表示等以外にもカッティング装置にスピーカ等の音声出力部を備えて、適宜音声等によるガイダンスを可能としてもよい。
またカッティング装置に表示部が設けられている場合には、ユーザが所望するパターンをどのように配置させるかの調整結果を示すイメージ画像等をテープ部材Sの切断動作を行う前に表示部に表示させてユーザが確認できるようにしてもよい。
また表示部の画面上から、ユーザがパターンの位置や大きさ、向き等を修正できてもよい。このようにすれば、よりユーザの要望に応じた切り抜き部C2が形成されたマスキングテープScを生成することができる。
【0092】
また、上記各実施形態では、カッティング装置が単体で構成されている場合を例示したが、カッティング装置は単体で用いられるものに限定されない。
例えばカッティング装置が、各種の端末装置(例えばスマートフォンやタブレット端末等の携帯端末、設置型のPC等)と連携してカッティング処理を行うようになっていてもよい。
【0093】
この場合には、例えば指画像から指Uの外形形状の情報や爪Tの領域の情報を取得する情報取得手段として機能するのは、カッティング装置の制御部11ではなく、カッティング装置と連携する端末装置の制御部であってもよい。また同様に、端末装置の制御部が、所望のパターンの情報を受け付けるパターン受付部、情報取得手段により取得した指Uの外形形状の情報や爪Tの領域の情報に基づいて、パターンが爪Tの領域内に収まるように調整する調整部としても機能してよい。
これらの各機能を端末装置の制御部が担う場合には、カッティング装置の制御部11は撮像ユニット5を動作させて指画像を撮影させ、これを端末装置側に提供する。また、端末装置から調整部としての調整結果の提供を受けて、この調整結果に基づき切断部としてのカットプロッタユニット7を動作させ、爪Tの領域に対応する領域内にパターンが切り抜かれたマスキングテープScを生成させる切断制御部として機能する。このようにすることで、制御部11や記憶部12の担う役割を少なくすることができ、カッティング装置の制御装置を簡易なものとすることができる。
【0094】
さらにカッティング装置が端末装置と連携できる場合には、カッティング装置に操作入力部22や表示部等を設けなくても、端末装置の操作入力部や表示部等によって各種の操作や表示等を行うことができてもよい。
【0095】
なお、第2の実施形態では、例えば片方の手Hの全ての指U等についてまず指画像を取得し、その後1本ずつマスキングテープScを生成する場合を例示したが、マスキングテープScを生成する手順はこれに限定されない。
例えば指配置部4aに配置された指Uについて1本撮影を行っては当該指Uに貼り付けるためのマスキングテープScを生成し、2本目、3本目の指Uについても同様に1本ずつ処理を繰り返すようにしてもよい。
【0096】
また上記各実施形態において、テープセット台62は、テープ部材Sの種類(サイズ)に応じて予め複数種類用意されていてもよい。この場合、テープセット台62を基台61に対して着脱可能に構成し、セットするテープ部材Sの種類(サイズ等)に応じて交換できるようにする。
この場合には、事前に、例えば端末装置20の操作部25やカッティング装置の操作入力部22等に選択可能なテープセット台62のリストが表示され、ユーザがリストの中からいずれかのテープセット台62を選択する。これにより、切断動作の際に使用するテープセット台62の種類の情報が設定される。そして、ユーザはリストから選択したテープセット台62を基台61にセットする。
これにより、カッティングを行うテープ部材Sの種類(サイズ等)に適したテープセット台62を用いて切断動作を行うことができる。テープ部材Sの種類(サイズ等)に適したテープセット台62を用いることで、例えばテープ部材Sの両側部が隙間のない状態で縁部622に突き当てられ、切断中に位置ずれ等を生じにくくなる。
【0097】
なお、テープセット台62が交換可能である場合、切断動作に使用するテープセット台62は事前にユーザが選択する場合に限定されない。
例えば、指画像から取得される指Uの外形形状に応じて、いずれのテープ部材Sが適しているかを装置側でユーザに案内してもよい。
これにより、自分の指UにあうマスキングテープScを生成するためのテープ部材Sの種類(サイズ等)についてユーザに判断が付かないような場合でも、容易にテープセット台62及びこれにセットするテープ部材Sを選ぶことができる。
【0098】
具体的には、例えば指画像から取得される指Uの外形形状が小指等の細い指である場合に、次に切断動作を行うテープ部材Sは「S」サイズが推奨され、これに応じた「S」サイズ用のテープセット台62を基台61に取り付けるように、端末装置20の表示部26やカッティング装置の操作入力部22に表示させる等により、ユーザに促す。
また、装置側でユーザに案内するサイズは1つでなくてもよい。例えば「M」サイズ以上のテープ部材Sが推奨され、「M」サイズ用以上のテープセット台62を基台61に取り付けるようにユーザに促してもよい。
マスキングテープScが、貼り付ける指Uよりも細い(小さい)場合にはうまく貼りつけることができないが、指Uのサイズよりも太い(大きい)場合には、テープ部材Sの左右両端を切り落とす等、多少の無駄は生じるが、カッティングしてマスクベースSbを生成することで対応することができる。
【0099】
以上本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
【符号の説明】
【0100】
2 筐体
22 操作入力部
4 指配置部
41 窪み
42 退避部
5 撮像ユニット
51 カメラ
6 テープ配置部
62 テープセット台
7 カットプロッタユニット
72 カット部本体
721 カッタ刃
11 制御部
12 記憶部
20 端末装置
100 カッティング装置
C1,C2 切り抜き部
S テープ部材
Sa ベーステープ
Sb マスクベース
Sc マスキングテープ
T 爪
U 指