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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080217
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】検知装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20240606BHJP
   F16N 7/38 20060101ALI20240606BHJP
   B24B 55/03 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
F16N7/38 F
B23Q11/10 Z
B24B55/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193223
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000146180
【氏名又は名称】株式会社MORESCO
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(74)【代理人】
【識別番号】100158861
【弁理士】
【氏名又は名称】南部 史
(74)【代理人】
【識別番号】100194674
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 覚史
(72)【発明者】
【氏名】松岡 寛之
(72)【発明者】
【氏名】末吉 祐介
【テーマコード(参考)】
3C011
3C047
【Fターム(参考)】
3C011EE09
3C047FF19
3C047GG01
3C047GG13
3C047GG17
3C047GG18
(57)【要約】
【課題】循環する液体の状態を適切に検知することができる検知装置を提供する。
【解決手段】検知装置は、循環する液体の状態を検知する。検知装置は、液体を貯留するセンサタンクと、センサタンク内に配置された検知部と、検知部に向けて液体を吐出または吸入する複数のノズルと、を備える。複数のノズルの液体の吐出または吸入する方向は、交差する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環する液体の状態を検知する検知装置であって、
液体を貯留するセンサタンクと、
前記センサタンク内に配置された検知部と、
前記検知部に向けて前記液体を吐出または吸入する複数のノズルと、を備え、
前記複数のノズルの液体の吐出または吸入する方向は、交差する、検知装置。
【請求項2】
前記ノズルは、前記検知部の横方向または斜め上方向から前記検知部に向かって前記液体を吐出する位置、もしくは前記検知部の横方向または斜め上方向から前記液体を吸入する位置に配置されている、請求項1に記載の検知装置。
【請求項3】
互いに対向する前記ノズルの対が2つ設けられており、
前記ノズルの対を結ぶ線が交差するように配置されている、請求項1または請求項2に記載の検知装置。
【請求項4】
前記検知部による検知結果に応じて、前記液体の状態を調整する添加剤を投入する添加剤投入部をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の検知装置。
【請求項5】
前記液体の状態は、前記液体のpH、導電率、屈折率、濃度および糖度のうちの少なくともいずれか1つを含む、請求項1または請求項2に記載の検知装置。
【請求項6】
前記液体は、研削液、クーラントおよび水のうちの少なくともいずれか1つである、請求項1または請求項2に記載の検知装置。
【請求項7】
前記ノズルによる前記液体の吐出圧力は、0.01MPa以上0.1MPa以下である、請求項1または請求項2に記載の検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水溶性切削油の管理に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-85577号公報
【特許文献2】特開2017-19024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切削加工に用いられる切削液等は、貯留槽と切削加工部との間を循環させて繰り返し使用される。切削液を長期間使用するにつれて、切削液のpHや導電率等が変化するため、液体の性状を適切な範囲内に維持することが必要になる。そのため、循環する液体の状態を検知センサ等により常時検知して、その結果をフィードバックし、切削液が適正範囲になるように調整している。しかし、検知センサに夾雑物等が付着する等して汚染されるとエラーが出たり、正確な検知ができなくなったりする。そのため、定期的に検知センサを洗浄する必要があり、長期間人手を掛けずに監視をすることができなかった。
【0005】
そこで、循環する液体の状態を適切に検知することができる検知装置を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に従った検知装置は、循環する液体の状態を検知する。検知装置は、液体を貯留するセンサタンクと、センサタンク内に配置された検知部と、検知部に向けて液体を吐出または吸入する複数のノズルと、を備える。複数のノズルの液体の吐出または吸入する方向は、交差する。
【発明の効果】
【0007】
上記検知装置によれば、循環する液体の状態を適切に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態1における検知装置を含む液体循環装置の構成を示す概略図である。
図2図2は、後述する検知センサの一部を示す概略斜視図である。
図3図3は、後述するセンサタンク周辺の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態の概要]
本発明に係る検知装置は、循環する液体の状態を検知する。検知装置は、液体を貯留するセンサタンクと、センサタンク内に配置された検知部と、検知部に向けて液体を吐出または吸入する複数のノズルと、を備える。複数のノズルの液体の吐出または吸入する方向は、交差する。
【0010】
本発明に係る検知装置によると、検知部に向けて液体を吐出または吸入する複数のノズルを含み、複数のノズルの液体の吐出または吸入する方向は、交差するため、検知部の周囲には、ムラなく吐出または吸入された液体により流れが生じて、検知部に汚染原因となる物質が付着し難くなる。また、仮に検知部に汚染物質が付着した場合であっても、吐出または吸入する液体により検知部が洗浄される。これにより、検知部の汚染が低減され、長期間にわたって正確に検知することができる。この場合、洗浄液ではなく、検知対象である液体を吐出または吸入しているため、検知精度が低下することはない。また、検知部を装置から取り外したり、液体循環装置を停止したりして、人力や機械等による頻繁な検知部の洗浄が不要となるため、洗浄のムラや装置構成の複雑化を回避することができる。以上より、上記検知装置によれば、循環する液体の状態を適切に検知することができる。
【0011】
上記検知装置において、ノズルは、検知部の横方向または斜め上方向から検知部に向かって液体を吐出する位置、もしくは検知部の横方向または斜め上方向から液体を吸入する位置に配置されていてもよい。このようにすることにより、検知部での正確な検知がしやすくなり、検知部に対する汚染物質の付着防止効果、検知部の洗浄効果をより発揮することができる。したがって、循環する液体の状態をより適切に検知することができる。
【0012】
上記検知装置において、互いに対向するノズルの対が2つ設けられていてもよい。ノズルの対を結ぶ線が交差するように配置されていてもよい。このようにすることにより、より効率的に、検知部に対する汚染物質の付着防止効果、検知部の洗浄効果をより発揮することができる。したがって、循環する液体の状態をより適切に検知することができる。
【0013】
上記検知装置において、検知部による検知結果に応じて、液体の状態を調整する添加剤を投入する添加剤投入部をさらに備えてもよい。このようにすることにより、検知した液体の状態に応じて添加剤を循環する液体に投入することができ、液体の状態の安定を図ることができる。したがって、よりユーザーフレンドリーな装置を提供することができる。
【0014】
上記検知装置において、液体の状態は、液体のpH、導電率、屈折率、濃度および糖度のうちの少なくともいずれか1つを含んでもよい。これらの状態を常に検知する必要がある場合に、有効に利用される。
【0015】
上記検知装置において、液体は、研削液、クーラントおよび水のうちの少なくともいずれか1つであってもよい。このような液体は、循環して使用される場合が多く、油成分、菌類による副産物およびスラッジ等が液中に存在し、検知部に付着しやすく、検知部が汚染されやすい。この場合、上記検知装置による汚染防止の効果がより顕著に発揮される。なお、水については、汚水や雑廃水等も含む。
【0016】
上記検知装置において、ノズルによる液体の吐出圧力は、0.01MPa以上0.1MPa以下であってもよい。このようにすることにより、適度な圧力で液体の流れを生じさせて、検知部41の適切な汚染防止の効果および洗浄効果を得ることができる。
【0017】
[実施形態の具体例]
次に、本発明に係る検知装置の具体的な実施の形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
【0018】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る検知装置について説明する。図1は、本発明の実施の形態1における検知装置を含む液体循環装置の構成を示す概略図である。なお、図1において、液体の流れを大小の矢印で図示している。また、図1において、検知装置を概略的に一点鎖線で図示している。図2は、後述する検知センサの一部を示す概略斜視図である。図3は、後述するセンサタンク周辺の概略平面図である。
【0019】
図1図3を参照して、検知装置30は、液体循環装置10により循環する液体、例えば、機械工具による切削に用いる水溶性クーラント(以下、単に「クーラント」という場合も有る。)の状態を検知する。ここでは、検知部41はpH電極とし、検知装置30により検知されるクーラントの状態については、例えば、循環するクーラントのpH(水素イオン濃度)である場合を例に説明する。水溶性クーラントは、油成分、乳化剤、水、pH調整剤および防腐剤等を混合したものであり、泡立ちやすい。
【0020】
液体循環装置10は、検知装置30と、第1配管11と、第2配管12と、第3配管13と、第4配管14と、第5配管15と、第6配管16と、第7配管17と、第8配管18と、第9配管19と、フィルター21と、電磁弁22と、混合器23と、添加剤貯留容器24と、クーラントを貯留する貯留タンク(図示せず)と、を含む。液体循環装置10は、電磁弁22、後述するポンプ等を制御する制御部(図示せず)を備える。検知装置30は、センサタンク31と、検知センサ32と、複数、具体的には4つのノズル33a、33b、33c、33dと、表示部(図示せず)と、検知センサ32および表示部等を制御する制御部(図示せず)と、を含む。センサタンク31の内部に検知センサ32が設置されている。これら検知装置30を構成する部材については、後述する。なお、液体循環装置10と検知装置30は、一体的に一つの検知装置として構成されていてもよい。
【0021】
ポンプ(図示せず)により、貯留タンクから供給口26を介して第1配管11にクーラントが供給される。第1配管11に配置されたフィルター21によりクーラントは濾過されて大きな浮遊物等の異物が除去され、第2配管12に供給される。
【0022】
第2配管12は、分岐した二つの分岐配管27a,27bを有しており、一方の分岐配管27aが貯留タンクに繋がる第3配管13に接続され、他方の分岐配管27bがセンサタンク31に向かう第4配管14に接続されている。第3配管13には、電磁弁22が設けられている。また、第3配管13には、クーラントのpHを調整する際に用いられる添加剤が貯留された添加剤貯留容器24が混合器23を介して接続されている。ここでは、添加剤の一例としてpH調整剤を用いた場合について説明する。添加剤を添加する場合には、電磁弁22を開いて第3配管13にクーラントを流すことにより添加剤が第3配管13に吸い込まれる。これにより、クーラント中に添加剤を投入することができる。添加剤が投入され、pHが調整されたクーラントは、第5配管15を通って貯留タンクに戻される。添加剤の添加が終了すれば、電磁弁22は閉じられる。このようにして、貯留タンク中のクーラントは、切削加工部(図示せず)と貯留タンク間、および貯留タンクとセンサタンク31間を循環する。
【0023】
第4配管14は、センサタンク31に向かう第6配管16と、ノズル33a,33b,33c,33dに向かう第7配管17に分岐している。図示していないが、第7配管17には、それぞれ流量を調整するためのバルブが設けられている。第6配管16の下流側には、センサタンク31内において開口する流入口28aが設けられている。第7配管17の一部は、概略的に矢印のみで図示している。クーラントは、流入口28aおよびノズル33a~33dからセンサタンク31に供給される。センサタンク31は、底壁部34と、底壁部34から立ち上がる側壁部35と、から構成されている。側壁部35の外形形状は、後述する図3に示すように、Z方向から見て矩形状である。Z方向は鉛直方向である。底壁部34および側壁部35によって囲まれた空間に、クーラントが滞留している。センサタンク31には、センサタンク31内において開口を有する排出口28bが設けられた排出用の第8配管18が接続されている。排出口28bは、流入口28aの対角線上に配置されている。第8配管18は、側壁部35の一部を開口して取り付けられている。また、センサタンク31の底壁部34の一部を開口して、第9配管19が取り付けられている。なお、第6配管16および第9配管19にはそれぞれ、クーラントの流入および流出を制御するバルブ29a,29bが設けられている。バルブ29a,29bの開閉により、クーラントの流入および流出が実施される。第9配管19からの排出は、常時または間欠的に行ってもよい。第9配管19により排出を行うことにより、センサタンク31の底部に蓄積したクーラントに含まれた微細な異物を取り除くことができる。この第9配管19から排出されたクーラントについても、微細な異物が除去された後、貯留タンクに戻される。なお、本実施形態においては、センサタンク31は、側壁部35上に配置される蓋部36を含む。蓋部36は、底壁部34と対向する位置に側壁部35に着脱可能に取り付けられている。なお、本実施形態においては、センサタンク31は、脚部を有する土台部37上に載置されている。
【0024】
pHを検知する検知センサ32は、センサタンク31内に滞留するクーラントに浸される検知部41と、検知部41をガードするガード部42と、を含む。ガード部42は、樹脂製であり、露出する検知部41の周囲に検知部41と間隔をあけて設けられている。ガード部42には、複数、具体的には4つの切り欠き43a,43b,43c,43dが形成されている。この切り欠き43a~43dの設けられている領域を横から見て、検知部41を視認することができる。検知センサ32は、Z方向から見てセンサタンク31の中央となるように配置され、取り付けられている。本実施形態においては、検知センサ32は、蓋部36に取り付けられている。制御部からの指示により、表示部は、検知センサ32による検知結果およびエラー等を表示する。
【0025】
4つのノズル33a,33b,33c,33dはそれぞれ、検知部41の近傍から液体を吐出するようにセンサタンク31の側壁部35から突出して取り付けられ、固定されている。各ノズル33a~33dと検知部41との距離は、同じとなるように設けられている。具体的には、ノズル33a~33dの先端部と検知部41との距離は、通常1cm以上20cm以下の範囲に設定可能であるが、1cm以上10cm以下、さらに1cm以上5cm以下程度が好適である。Z方向(真上)から見て、各ノズル33a~33dは、吐出口がセンサタンク31の中央に配置された検知部41に向くように配置されている。各ノズル33a~33dは、検知センサ32の検知部41と同じ高さで取り付けられている。すなわち、各ノズル33a~33dの高さ方向の取り付け位置と検知部41の高さ方向の取り付け位置とは、同じである。各ノズル33a~33dは、検知部41の横方向から検知部41に向かって液体を吐出している。ノズル33aとノズル33cとは対向し、互いに吐出する向きが逆となるように設けられている。ノズル33bとノズル33dとは対向し、互いに吐出する向きが逆となるように設けられている。ノズル33aの液体が吐出する方向と、ノズル33bおよびノズル33dの液体が吐出する方向とは、交差している。この場合の交差の角度は、それぞれ90度である。ノズル33cの液体が吐出する方向と、ノズル33bおよびノズル33dの液体が吐出する方向とは、交差している。この場合の交差の角度は、それぞれ90度である。各ノズル33a~33dは、切り欠き43a~43dが設けられた領域にクーラントを吐出するように設けられている。
【0026】
各ノズル33a~33dは、検知部41に向けてクーラントを吐出する。本実施形態においては、ノズル33a~33dによるクーラントの吐出圧力は、0.01MPa以上0.1MPa以下、好ましくは0.02MPa以上0.06MPa以下に設定される。本実施形態では、一例として、ノズル33a~33dによるクーラントの吐出圧力は、0.04MPaに設定した。このようにすることにより、適度な圧力で液体の流れを生じさせて、検知部41の適切な汚染防止の効果および洗浄効果を得ることができる。ノズル33a~33dによるクーラントの吐出圧力は、第4配管14で測定された圧力である。各ノズル33a~33dからは常に検知部41に向けてクーラントが吐出される。すなわち、クーラントに浸された検知部41に対して、4方向からノズル33a~33dによって液体が常時吐出される。検知部41の周囲には、各ノズル33a~33dによるクーラントの吐出により、強い流れが生じる。この流れにより、検知部41は常に洗浄され、汚染が抑制される。
【0027】
すなわち、上記検知装置30によると、検知部41に向けてクーラントを吐出する複数のノズル33a~33dを含み、複数のノズル33a~33dのクーラントの吐出する方向は、交差するため、検知部41は、吐出されたクーラントにより汚染物質が付着し難く、汚染物質が付着した場合でも洗浄される。これにより、検知部41の汚染が低減され、検知部41を洗浄せずに長期間連続して正確な検知を行うことが可能となる。また、複数方向から検知部41にクーラントが吐出されるため、検知部41全体にわたってムラなくクーラントが当たるようになっている。一方向から検知部41にクーラントが吐出される場合は、検知部41において、クーラントの流れが弱くなる下流に位置する部分に汚染物質が付着しやすくなるが、複数方向(少なくとも2方向)から検知部41にクーラントを吐出することによりムラが少なくなり好適である。ノズル33a~33dは、pHが検知されるクーラントを吐出しているため、検知精度が低下することはない。また、人力や機械等による検知部41の洗浄ではないため、洗浄のムラや装置構成の複雑化を回避することができる。さらに、検知センサ32の取り外しや検知装置30および液体循環装置10を停止することなく、クーラントの状態を常時検知することができる。以上より、上記検知装置30によれば、循環するクーラントのpHを適切に検知することができる。
【0028】
流入口28aおよび排出口28bは、ノズル33a~33dよりも高い位置に設けられている。クーラントを循環させることにより気泡が発生するが、流入口28aおよび排出口28bが側壁部35の高い位置にあるため、浮遊物や気泡がクーラント液面上に浮かび、検知部41による検知の妨げとならず、また、スムーズにセンサタンク31外に排出することができる。ノズル33a~33dの送液量は、流入口28aからの送液量よりも多いか、もしくは同じであることが望ましい。これにより、検知部41の汚染防止の効果が高くなる。
【0029】
上記の液体循環装置10において、ノズル33a~33dを閉じて、センサタンク31に流入口28aからクーラントを供給し、検知部41によりpHを測定した場合、1日経たずに検知部41が汚染され、測定以上が発生した。一方、本実施形態では、30日以上にわたって正常にpHを測定することができ、検知部41の汚染防止の効果が確認できた。
【0030】
なお、検知部41による検知結果に応じて、クーラントのpHを調整する添加剤を投入する添加剤投入部としての電磁弁22、混合器23および添加剤貯留容器24をさらに備える。具体的には例えば、検知したクーラントのpHが予め定められた基準範囲から外れた場合、制御により電磁弁22を開放して添加剤貯留容器24からpH調整剤を投入する。制御部は、検知部41の検知結果に基づいてpH調整剤の投入量を算出し、電磁弁22を制御する。このようにすることにより、検知したクーラントのpHに応じて添加剤を循環するクーラントに投入することができ、クーラントのpHの安定を図ることができる。したがって、よりユーザーフレンドリーな装置を提供することができる。
【0031】
本実施形態によると、ノズル33a~33dは、複数設けられている。そして、各ノズル33a~33dのクーラントを吐出する方向は、交差している。つまり、複数方向から検知部41にクーラントが吐出されるため、検知部41全体にわたってムラなくクーラントが当たるようになっている。よって、複数の方向から検知部41に向けてクーラントを吐出することができるため、検知部41の洗浄効果をより発揮することができる。したがって、循環するクーラントの状態をより適切に検知することができる。一方向から検知部41にクーラントが吐出される場合は、検知部41のクーラントの流れが弱くなる部分(下流側に位置する部分)に汚染物質が付着しやすくなる。そのため、複数方向(少なくとも2方向)から検知部41にクーラントを吐出することが好適である。ノズルが3つある場合は、各ノズルの先端と検知部41を結ぶ直線の角度が均等であることが望ましいが、それに制限されない。例えば、各ノズルの先端と検知部41を結ぶ直線間の角度は、5度以上180度以下であり、5度以上135度以下の範囲に設定することがより好適である。
【0032】
本実施形態によると、ノズル33a~33dは、センサタンク31に取り付けられ、固定されている。よって、ノズル33a~33dの位置がずれて検知部41に液体が吐出されない状態を回避することができる。ノズル33a~33dの取り付け態様は、上記の形態に限られるものではないが、ノズル33a~33dは、側壁部35から突出して取り付けられることにより、センサタンク31の大きさを確保し、かつ検知部41において、付着防止の効果、洗浄効果を得るのに十分なクーラントの流れの強さを確保することが可能となる。これにより、長期にわたって安定して、循環するクーラントの状態を適切に検知することができる。また、ノズル33a~33dを側壁部35から突出して取り付けることにより、ノズル先端のチェックや交換も行いやすくなる。
【0033】
上記の実施形態では、ノズル33a~33dは、検知部41の横方向からクーラントを吐出させているが、ノズル33a~33dを検知部41よりも高い位置に配置し、斜め上方向から検知部41に向かってクーラントを吐出させてもよい。クーラント中には、フィルター21では除去しきれない微細な浮遊物等が含まれる。検知部41の下方向または斜め下方向からクーラントを吐出すると、浮遊物等が舞い上げられて、正確な検知を妨げる場合があるため、横方向または斜め上方向から検知部41に向かってクーラントを吐出する方が好ましい。具体的には、ノズル33a~33dは、検知部41の横方向または斜め上方向から検知部41に向かって液体を吐出する位置、もしくは検知部41の横方向または斜め上方向から液体を吸入する位置に配置されていてもよい。上記の実施形態にでは、センサタンク31は、矩形状であったが、形状に制限は無く、例えば円形状、円錐状等であってもよい。
【0034】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、各ノズル33a~33dから常にクーラントを検知部41に向けて吐出することとしたが、これに限らず、定期的に、すなわち、時間をあけて定期的または不定期に各ノズル33a~33dからクーラントを吐出するようにしてもよい。また、各ノズル33a~33dから吐出されるクーラントの吐出圧力をそれぞれ、または一部変更してもよい。また、各ノズル33a~33dから定期的にクーラントを吐出する際に、各ノズル33a~33dからの吐出のタイミングをずらしてもよい。また、ノズル33a~33dは、一つだけ設けることとしてもよく。
【0035】
また、上記の実施の形態においては、検知部41としてpH電極を用いたが、導電率計、屈折率計、濃度計および糖度計等を使用してもよい。液体の状態は、液体のpHとすることとしたが、これに限らず、液体のpH、導電率、屈折率、濃度および糖度のうちの少なくともいずれか1つを含んでもよい。これらの状態が常に検知する必要がある場合に、有効に利用される。添加剤投入部に投入される添加剤は、検知部41および検知する液体の状態に合わせて適宜選択される。添加剤の一例として、キレート剤、水、油、防腐剤、防カビ剤、消泡剤等が挙げられる。
【0036】
なお、上記の実施の形態において、液体は、クーラントとしたが、これに限らず、液体は、研削液、クーラントおよび水のうちの少なくともいずれか1つであってもよい。水は、汚水や雑廃水等を含む。このような液体は、循環して使用される場合が多いため、検知対象として好適である。特に、水溶性クーラント等の泡立ちやすい性質を持つ液体は、検知部41の汚染が生じやすいが、そのような液体を用いた場合であっても。良好な汚染防止の効果が認められた。
【0037】
また、上記の実施の形態においては、ノズルは、液体を吐出することとしたが、これに限らず、ノズルは液体を吸入する構成としてもよい。すなわち、ノズルは、検知部に向けて液体を吐出または吸入する構成としてもよい。そして、複数のノズルの液体の吐出または吸入する方向は、交差する構成としてもよい。このようにすることによっても、検知部は、吸入された液体により流れが生じて洗浄される。そうすると、検知部の汚染による誤検知のおそれを大きく低減することができる。
【0038】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0039】
10 液体循環装置、11 第1配管、12 第2配管、13 第3配管、14 第4配管、15 第5配管、16 第6配管、17 第7配管、18 第8配管、19 第9配管、21 フィルター、22 電磁弁、23 混合器、24 添加剤貯留容器、26 供給口、27a,27b 分岐配管、28a 流入口、28b 排出口、29a,29b バルブ、30 検知装置、31 センサタンク、32 検知センサ、33a,33b,33c,33d ノズル、34 底壁部、35 側壁部、36 蓋部、37 土台部、41 検知部、42 ガード部、43a,43b,43c,43d 切り欠き。
図1
図2
図3