IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大成建設株式会社の特許一覧 ▶ ワイズグローバルビジョン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-循環式濾過システム 図1
  • 特開-循環式濾過システム 図2
  • 特開-循環式濾過システム 図3
  • 特開-循環式濾過システム 図4
  • 特開-循環式濾過システム 図5
  • 特開-循環式濾過システム 図6
  • 特開-循環式濾過システム 図7
  • 特開-循環式濾過システム 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080219
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】循環式濾過システム
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/00 20230101AFI20240606BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20240606BHJP
   C02F 1/32 20230101ALI20240606BHJP
   C02F 1/78 20230101ALI20240606BHJP
【FI】
C02F1/00 G
C02F1/44 A
C02F1/32
C02F1/78
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193228
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】516104537
【氏名又は名称】株式会社Waqua
(74)【代理人】
【識別番号】100108604
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 義人
(72)【発明者】
【氏名】依田 篤士
(72)【発明者】
【氏名】城島 裕介
(72)【発明者】
【氏名】大嶺 光雄
【テーマコード(参考)】
4D006
4D037
4D050
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006JA25A
4D006JA30Z
4D006JA53Z
4D006JA56C
4D006JA58Z
4D006JA67Z
4D006KA01
4D006KA52
4D006KA55
4D006KA56
4D006KA57
4D006KA72
4D006KB04
4D006KB11
4D006KB12
4D006KB14
4D006KB30
4D006KE23Q
4D006PA01
4D006PB02
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA18
4D037CA03
4D037CA12
4D050AA01
4D050BB02
4D050BD06
4D050CA03
4D050CA07
4D050CA09
(57)【要約】
【課題】循環式濾過システムで発電を行えるようにする。
【解決手段】貯水タンク10に貯められた水11は、主流路管31を通って、主流路管31の途中にある逆浸透膜浄水ユニット51で浄化されてから蛇口71に向かい、蛇口71から出た後貯水タンク10に戻るという循環を行う。他方、貯水タンク10に貯められた水11は、定期的に駆動される第2ポンプ23によって、蛇口71の開閉とは無関係に副流路管32を循環し浄化される。副流路管32から吐出された水11は貯水タンク10内の発電機100の水車101に当たり、それにより発電機100が発電する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環させて繰返し使用される水を貯める貯水タンクと、
前記貯水タンク内の水を、前記貯水タンクから、前記水を浄化する浄化設備である第1浄化設備、水の排出の許否を決定する蛇口、蛇口の下に設けられた水を受ける受皿を経て前記貯水タンクに戻す主流路を形成する管であるである主流路管と、
前記貯水タンク内の水を、前記貯水タンクから、前記水を浄化する浄化設備である第2浄化設備を経て前記貯水タンクに戻す副流路を形成する管である副流路管と、
前記主流路管と、前記副流路管内とで水を流すポンプと、
を備えており、前記副流路管内を水が流れる時間の方が、前記主流路管内を水が流れる時間よりも長くなっている、
循環式濾過システムであって、
前記貯水タンクの内部には、前記副流路管から前記貯水タンク内に吐出される水を受けて回転する水車を備えた発電機が設けられている、
循環式濾過システム。
【請求項2】
前記水車は、カップ状でありすべて同じ形状、大きさであるバケットを多数備えたペルトン水車である、
請求項1記載の循環式濾過システム。
【請求項3】
前記副流路管の前記水車に臨む開口は、前記水車に吐出される水の勢いを増すように狭められている、
請求項1、又は2記載の循環式濾過システム。
【請求項4】
前記水車は、カップ状でありすべて同じ形状、大きさであるバケットを多数備えたペルトン水車であり、
前記副流路管の前記水車に臨む開口の面積は、前記水車に吐出される水の勢いを増すように狭められており、前記バケットの開口の面積よりも小さくされている、
請求項1記載の循環式濾過システム。
【請求項5】
前記副流路管の前記水車に臨む開口の面積は、前記バケットの開口の面積の20%よりも小さくされている、
請求項4記載の循環式濾過システム。
【請求項6】
前記副流路管の前記水車に臨む開口の面積は、前記バケットの開口の面積の5%よりも大きくされている、
請求項4記載の循環式濾過システム。
【請求項7】
前記副流路管の前記水車に臨む開口の面積は、前記バケットの開口の面積の14%より小さく、5%より大きくされている、
請求項4記載の循環式濾過システム。
【請求項8】
前記副流路管の前記水車に臨む開口の面積は、前記バケットの開口の面積の12%より小さく、7%より大きくされている、
請求項7記載の循環式濾過システム。
【請求項9】
前記副流路菅は、前記第1浄化設備よりも基端側の位置で前記主流路管にその基端を接続されており、前記主流路管から分岐している、
請求項1記載の循環式濾過システム。
【請求項10】
前記第1浄化設備は、逆浸透膜浄水ユニットを含んでいるとともに、
前記ポンプは、前記主流路管における、前記主流路管に対して最も先端側に位置する前記逆浸透膜浄水ユニットの基端側の位置であり、前記副流路管との分岐位置よりも先端側に設けられた、それが駆動した場合に、前記主流路管内の前記水を、前記主流路管内において前記主流路管の先端側に流すサブポンプと、前記サブポンプが駆動したときに前記サブポンプと連動して駆動する、前記主流路管の前記貯水タンク内の前記水と接する部分に設けられた、それが駆動した場合に、前記貯水タンク内の水を前記主流路管の先端側に流すメインポンプと、を含んでいる、
請求項7記載の循環式濾過システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ水を繰返し使用する循環式濾過システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、山奥の工事現場において手洗い場が必要となる。そのような場所では、同じ水を繰返し使用する循環式濾過システムが必要とされる。
なぜなら、そのような場所では、綺麗な水、もっと言えば水自体を確保することが難しいことがあるためであり、また、手洗い後の汚れた水を環境中に放出することが難しいためである。
したがって、そのような場所では、同じ水を繰返し使用することによって、必要な水の量を減らすことができ、且つ環境中に放出される汚れた水の量を減らすことができるという利点を持つ、循環式濾過システムが重宝される。
もちろんこの2つの利点の一方のみが要求されるような場合においても、循環式濾過システムは利用可能であるし、利用される場合がある。
【0003】
大雑把にいえば、循環式濾過システムは、次のようなものである。手洗い場に循環式濾過システムが用いられる場合を例にとって説明する。
循環式濾過システムは、水を貯める貯水タンクを備えている。貯水タンクには、水を循環させるための流路を構成する流路管の基端が接続されている。流路管のどこかにポンプが設けられており、ポンプによって、貯水タンク中の水は、流路管の基端側から先端側に向けて送られる。
流路管の途中には、水を浄化するための浄化設備が適宜設けられている。浄化設備は、例えば、水の中の固形物を除去するための濾過装置であり、或いは水の中の化学物質や微生物(細菌、ウイルス等)を除去するためのオゾン発生装置や紫外線殺菌装置である。水は、浄化設備を通過することにより、浄水となる。
流路管の先端には、蛇口が設けられており、蛇口の下には例えばシンクである、受皿が設けられている。蛇口を操作すると、流路管内の水である浄水が流れ出る。その水で手洗いをすることによって生じた汚水が、受皿によって受けられる。
受皿で受けられた水である汚水は、貯水タンクに至る。例えば、受皿が貯水タンクの真上に設けられているのであれば、受皿が受けた水である汚水は、その真下の貯水タンクに落下する。何らかの管によって受皿と貯水タンクを接続し、その管を介して、受皿から貯水タンクに汚水を導くようになっている場合もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで上述のごとき循環式濾過システムは、ポンプを駆動させて水を循環させる。ポンプを駆動させるには、電力が必要なことが多い。しかしながら、山奥の工事現場などの人里離れたところに循環式濾過システムが存在する場合には電力を確保するのが難しい場合もあり、また、循環式濾過システムで使用する電力のすべてを賄えないまでも、循環式濾過システム中を循環する水の運動エネルギーを電力として取出すことにより、例えば、循環式濾過システムで必要な電力の一部を賄えれば、コスト面、或いは環境面での利益がある。
しかしながらそのような循環式濾過システムは今のところ存在していない。
【0005】
本願発明は、中を循環する水の運動エネルギーを電力として取出すことのできる循環式濾過システムを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明は、循環させて繰返し使用される水を貯める貯水タンクと、前記貯水タンク内の水を、前記貯水タンクから、前記水を浄化する浄化設備である第1浄化設備、水の排出の許否を決定する蛇口、蛇口の下に設けられた水を受ける受皿を経て前記貯水タンクに戻す主流路を形成する管である主流路管と、前記貯水タンク内の水を、前記貯水タンクから、前記水を浄化する浄化設備である第2浄化設備を経て前記貯水タンクに戻す副流路を形成する管である副流路管と、前記主流路管と、前記副流路管内とで水を流すポンプと、を備えており、前記副流路管内を水が流れる時間の方が、前記主流路管内を水が流れる時間よりも長くなっている、循環式濾過システムである。
この循環式濾過システムの前記貯水タンクの内部には、前記副流路管から前記貯水タンク内に吐出される水を受ける水車を備えた発電機が設けられている。
【0007】
この循環式濾過システムは、主流路管によって形成される主流路と副流路管によって形成される副流路という2つの流路を備えている。
2つの流路のうち主流路は、従来の循環式濾過システムに存在していた流路と同様の性格の流路であり、その先端に蛇口が設けられている。対して副流路は、水を浄化することに特化した従来には存在しない流路である。
主流路はその途中に第1浄化設備を、副流路はその途中に第2浄化設備を備えている。第1浄化設備、第2浄化設備はともに、水を浄化させる機能を持つ。第1流路を循環する水は、蛇口から出て受皿を経て貯水タンクに戻るときに汚れた汚水となっている場合がある。したがって、循環式濾過システムには、水の汚れを除去する機能がどうしても必要となる。
しかしながら、第1浄化設備を水が通過するのは、蛇口が開放され主流路を水が先端に向かって移動するときのみである。したがって、第1浄化設備による水の浄化は蛇口が開放されたときにしか行われない。したがって、場合によっては第1浄化設備のみでは水の浄化能力が不足する場合がある。そのような点を考慮して本願の循環式濾過システムに設けられたのが、副流路である。副流路は蛇口が設けられた主流路とは別の流路であり、蛇口の開放と無関係に水を流すことが可能である。本願の循環式濾過システムでは、副流路に、主流路に水が流れるか否かと無関係に、主流路を水が流れるよりも長い時間(例えば、一日のうち8時間以上、場合によっては24時間)水を流すことによって第2浄化設備によって、長時間水を浄化することとしているのである。
加えて、本願の循環式濾過システムでは、貯水タンクの内部に、副流路管から貯水タンク内に吐出される水の運動エネルギーを用いて発電を行う発電機を設けることとしている。これは、主流路はその内部を水が流れる時間が少ないから主流路の水の運動エネルギーを用いて発電を行ったとしても得られる電力は大して大きくならないものの、長時間流れる副流路の水を用いて発電を行えば、得られる電力が相対的に大きくなるからである。発電機を貯水タンク内に設けるのは、発電機を設置するスペースを確保しやすいからである。なお、水車と発電機は、貯水タンク内で水没しないようにされる。
【0008】
前記水車は、カップ状でありすべて同じ形状、大きさであるバケットを多数備えたペルトン水車であってもよい。ペルトン水車は、小型であっても高効率での水力による発電が可能となるため、貯水タンクの中に配置して本願の循環式濾過システムに応用するのに適している。
前記副流路管の前記水車に臨む開口は、前記水車に吐出される水の勢いを増すように狭められていてもよい。副流路管は上述したように、貯水タンク内の発電機における水車に水を吐出する。そのとき、吐出される水の勢いがある程度大きい程水車は勢いよく回転し、発電機により得られる電力が大きくなる。
水車が上述の如きペルトン水車である場合、前記副流路管の前記水車に臨む開口の面積は、前記水車に吐出される水の勢いを増すように狭められており、前記バケットの開口の面積よりも小さくされていてもよい。そうすることにより、副流路管からバケット外に吐出され水車を回転させるのに寄与しない水が発生することを防止できるため、発電機による発電効率が向上する。
前記副流路管の前記水車に臨む開口の面積は、前記バケットの開口の面積の20%よりも小さくされていてもよい。本願の発明者の行った実験によれば、副流路管の水車に臨む開口の面積をその程度まで絞ることによって、発電機による発電効率が直線的ではなく向上することがわかっている。前記副流路管の前記水車に臨む開口の面積は、前記バケットの開口の面積の14%よりも小さくされているのがより好ましい。そこでも、発電機による発電効率が直線的でなくより大きくなる。
他方、前記副流路管の前記水車に臨む開口の面積は、バケットの開口の面積に対してあまり小さくし過ぎると発電機による発電効率が却って小さくなることがわかっている。副流路管の前記水車に臨む開口の面積は、バケットの開口の面積の5%よりも大きい方が良い。
本願発明者が行った試験によれば、前記副流路管の前記水車に臨む開口の面積は、前記バケットの開口の面積の14%よりも小さく、5%よりも大きくするのが良く、より好ましくは12%より小さく、7%より大きくされているのがよい。副流路管の開口の面積をこのような範囲、特に後者の範囲にすると、ポンプによって発生する副流路管内の水圧に多少変動があったとしても、発電機による発電効率が最も高く保たれることがわかっている。
【0009】
前記副流路菅は、前記第1浄化設備よりも基端側の位置で前記主流路管にその基端を接続されており、前記主流路管から分岐していてもよい。
つまり、副流路は、主流路と一部において重複していても良い。この場合、主流路管の副流路管の基端が接続される部分よりも基端側の範囲は、副流路管を兼ねることとなる。
もちろん、副流路と主流路はそれらの全長にわたってそれぞれ重複していなくても良い。その場合、主流路管に副流路管を兼ねる部分は存在しないことになる。
【0010】
前記第1浄化設備は、上述のように水を浄化する機能を有する。その限りにおいて第1浄化設備は適宜のものを選択することができる。例えば、第1浄化設備は、逆浸透膜浄水ユニットを少なくとも1つ含んでいてもよい。第1浄化設備を構成するものの他の例は、逆浸透膜浄水ユニットではない濾材、オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置であって、逆浸透膜浄水ユニットも含めてこれらは組合せ可能である。
第2浄化設備は上述のように水を浄化する機能を有する。その限りにおいて第2浄化設備は適宜のものを選択することができる。第2浄化設備は、例えば、逆浸透膜浄水ユニットではない濾材、オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置のうちの少なくとも1つを含んでいても良い。
【0011】
第1浄化設備が逆浸透膜浄水ユニットを含んでおり、且つ副流路管が主流路管から分岐している場合、前記ポンプを、前記主流路管における、前記主流路管に対して最も先端側に位置する前記逆浸透膜浄水ユニットの基端側の位置であり、前記副流路管との分岐位置よりも先端側に設けられた、それが駆動した場合に、前記主流路管内の前記水を、前記主流路管内において前記主流路管の先端側に流すサブポンプと、前記サブポンプが駆動したときに前記サブポンプと連動して駆動する、前記主流路管の前記貯水タンク内の前記水と接する部分に設けられた、それが駆動した場合に、前記貯水タンク内の水を前記主流路管の先端側に流すメインポンプと、を含んでいるものとすることができる。
この場合の循環式濾過システムでは、基本的には、メインポンプによって、水が主流路を循環する。ただし、メインポンプのみでは水に逆浸透膜浄水ユニットを越えさせるのは難しい。サブポンプは、逆浸透膜浄水ユニットを乗り越えるための水圧を主流路内の水にかける。それにより、メインポンプとサブポンプの協働により、水は主流路を循環することになる。つまり、メインポンプとサブポンプは、主流路の途中の第1浄化設備に逆浸透膜浄水ユニットが存在する場合には、副流路が存在しない場合であっても必須のポンプである。
上述の理由で、主流路中で水を循環させるときにはメインポンプとサブポンプが同時に駆動することが必要となるが、メインポンプは、サブポンプと独立して駆動させることができるようになっている。サブポンプが駆動していない、つまり停止しているときにメインポンプが駆動すると、サブポンプは閉まった弁のように機能して水を通過させない。
そのような構成により、サブポンプを停止した状態でメインポンプを駆動させると、水は、貯水タンクから主流路管内に至り、サブポンプの手前で分岐させられた副流路管に流れ込んで副流路管内を流れ、貯水タンクに戻ることになる。このとき、水は、副流路管の途中にある第2浄化設備によって浄化される。
つまり、上述の如きメインポンプとサブポンプを上述の位置に配置することにより、上述の如き副流路管を採用したとしても、副流路管に水を流す場合に必要なのは、元々存在していたメインポンプとサブポンプのみであり、新たなポンプを採用する必要がない。これは、循環式濾過システムの構造の単純化とコスト面で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による循環式濾過システムの全体構成を概略的に示す図。
図2図1に示した循環式濾過システムに含まれる逆浸透膜浄水ユニットの構成を概念的に示す断面図。
図3図1に示した循環式濾過システムに含まれる濾過部材の構成を概念的に示す断面図。
図4】変形例による循環式濾過システムの全体構成を概略的に示す図。
図5図1に示した循環式濾過システムに含まれる発電機における水車の平面図。
図6図1に示した循環式濾過システムに含まれる発電機における水車が備えるバケットの斜視図。
図7】試験例を示すグラフ。
図8】試験例を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい一実施形態と変形例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
実施形態及び変形例の説明において、共通する対象には共通する符号を付すものとする。また、重複する説明は場合により省略するものとする。
【0014】
この実施形態における循環式濾過システム1の全体構成図を図1に示す。これには限られないが、この実施形態における循環式濾過システム1は、手洗い場の用途に用いられる。
【0015】
実施形態の循環式濾過システム1は、貯水タンク10を備えている。貯水タンク10は、後述する浄化設備である第1浄化設備で浄化される前の水11を貯めるためのタンクである。
貯水タンク10は、水11を漏れなく貯めることができれば良く、例えば金属や樹脂によって構成されている。貯水タンク10は、公知或いは周知のタンクで十分であり、市販のものでも良い。この実施形態における貯水タンク10の容量は、これには限られないが、100l程度とされている。
貯水タンク10内部の上方部分には、後述する発電機100が取付けられる。発電機は、貯水タンク10内部で水11に水没しないようにされる。そのように、貯水タンク10の大きさ、形状と、貯水タンク10内の水11の量とが設定される。この実施形態の発電機100は、水を受けて回転する水車101と、回転する水車101の運動エネルギーを電力に変換する発電機本体102とを備える。水車101は、発電機本体102に対して軸103によって、回転可能に取付けられている。発電機100の詳細については追って説明する。
【0016】
貯水タンク10の水11と触れる範囲の適当な部分には、メインポンプ21が配置されている。メインポンプ21は、水を送ることのできるポンプであり、それができるのであれば、どのようなものであっても構わない。メインポンプ21は、公知或いは周知のポンプによって構成することができ、市販のものでも良い。
メインポンプ21は、主流路管31の基端に接続されている。メインポンプ21は、貯水タンク10内の水11を、主流路管31内に導き、主流路管31の先端側に向けて流すようになっている。
メインポンプ21は、接続線21Aによってコンピュータ40に接続されており、コンピュータ40の制御下で、駆動と停止の制御が行われるようになっている。コンピュータ40は、そのような制御を行えれば十分であり、公知或いは周知のもので良く、市販のものでも良い。コンピュータ40がどのようにメインポンプ21を制御するかについては後述する。
【0017】
主流路管31は、後述するようにして、貯水タンク10内の水11を循環させるための管である。主流路管31の内部に、主流路が形成される。主流路管31は、水を流すことができる管であれば十分であり、公知或いは周知のもので良く、市販のものでも良い。主流路管31は、例えば、金属製、或いは樹脂製である。
【0018】
主流路管31には、貯水タンク10から運ばれてきた水11を浄化して浄水12とするための設備である第1浄化設備が設けられている。第1浄化設備は、水11を浄化するための設備であれば良く、その詳細は問わないが、少なくとも1つの逆浸透膜浄水ユニット51を含んでいる。
第1浄化設備は他にも、逆浸透膜ではない濾材、オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置を含んでいても構わないが、この実施形態では、浄化設備にそれらは含まれていない。濾材の例としては、逆浸透膜浄水ユニット51よりも主流路管31の上流側、例えば、サブポンプ22よりも上流側に設けられた、公知或いは周知のセディメントフィルタを挙げることができる。
第1浄化設備のうち、主流路管31の最も下流側にあるものを通過した水11は浄水12となる。この実施形態であれば、逆浸透膜浄水ユニット51を通過すると、水11が浄水12となる。
濾材の一種としてのセディメントフィルタについての上述の説明から明らかなように、第1浄化設備に属する逆浸透膜浄水ユニット51や、セディメントフィルタを含む濾材、オゾン発生装置等の他の設備は、主流路管31において、連続して設けられている必要はない。セディメントフィルタを、主流路管31におけるサブポンプ22の上流側に設けることができるのと同様に、主流路管31の、後述するアキュムレータタンクの更に下流側に、オゾン発生装置等の他の装置が設けられていても構わない。
【0019】
逆浸透膜浄水ユニット51について説明する。逆浸透膜浄水ユニット51は公知或いは周知であり、市販のものでも良い。したがって、その原理を、簡単に説明するにとどめる。
逆浸透膜浄水ユニット51の原理図を、図2に示す。逆浸透膜浄水ユニット51は、ケース51Aを有している。ケース51Aは、例えば、円筒形の耐圧容器である。
ケース51Aの内部は、逆浸透膜51Bによって2つの空間に分けられている。例えば、この実施形態では、逆浸透膜51Bは、ケース51Aの軸に平行とされている。或いは、逆浸透膜51Bは筒状であり、逆浸透膜51Bの外と内の2つの空間に、ケース51Aの内部の空間を分割していても良い。逆浸透膜51Bは、循環式濾過システムの特性から、海水専用である必要はなく、むしろ淡水用の低圧力で造水量が多いRO膜が望ましい。例としては、FilmTec(商標)製のExtra Low Energy RO Membraneシリーズの逆浸透膜を、逆浸透膜51Bとして用いることができる。
ケース51Aの一方側の端面(図2の下側)には、水11が流入する流入口51Cが設けられている。また、ケース51Aの他方側の端面には、濃縮された水11である排水が流出する排水口51Dが設けられている。流入口51Cと、排水口51Dは、逆浸透膜51Bによって分割されたケース51A内部の2つの空間のうちの同じ空間に連通している。また、ケース51Aの他方側の端面には、逆浸透膜浄水ユニット51で水11から作られた浄水12を排出するための浄水口51Eが設けられている。浄水口51Eは、逆浸透膜51Bによって分割されたケース51A内部の2つの空間のうち、流入口51Cと、排水口51Dとが連通しない側の空間に連通させられている。
ケース51Aの内部には、主流路管31が接続された流入口51Cから水11が流れ込んで来る。流入口51Cからケース51Aの中に入った水11には、流入口51Cからの水11の流入量と、排水口51Dからの排水の流出量を適切な関係に保つことにより、高い圧力がかかるようになっている。
高い圧力のかけられた水11のうち純水に近い水分は、逆浸透膜51Bによって分割されたケース51A内部の2つの空間のうちの、流入口51Cと、排水口51Dとが連通している空間から、逆浸透膜51Bを通過して、浄水口51Eが連通している空間に滲み出る。
つまり、水11は、ケース51A内において、逆浸透膜51Bによって、浄水12と、濃縮状態とされた水11とに分離されることになる。そして、水11は排水口51Dを介することにより、浄水12は浄水口51Eを介することにより、それぞれケース51Aから出るようになっている。浄水口51Eは、逆浸透膜浄水ユニット51の下流側における主流路管31と接続されている。排水口51Dは、後述する排出管に接続されている。
【0020】
主流路管31の逆浸透膜浄水ユニット51の上流側(貯水タンク10に接続された基端側)には、サブポンプ22が設けられている。サブポンプ22は、逆浸透膜浄水ユニット51に対して、高い圧力で水11を供給するためのポンプである。サブポンプ22は、水を送ることのできるポンプであり、それができるのであれば、メインポンプ21と同様にどのようなものであっても構わない。
サブポンプ22は、接続線22Aによってコンピュータ40に接続されており、コンピュータ40の制御下で、駆動と停止の制御が行われるようになっている。コンピュータ40がどのようにサブポンプ22を制御するかについては後述する。
【0021】
主流路管31における、逆浸透膜浄水ユニット51の下流側には、アキュムレータタンク60が設けられている。
アキュムレータタンク60は、後述する蛇口から出る浄水12の水圧を所定の範囲に保つためのものである。公知或いは周知であるから詳細な説明は省略するが、アキュムレータタンク60は、水密なタンクと、タンクの中に配された、プラダと呼ばれる、伸縮性のある膜材によって作られ、その内部に常圧よりも高い圧力で気体が充填された気密な風船のようなものとを備えている。プラダと、タンクの間の隙間に浄水12が満たされる。アキュムレータタンク60内の浄水12には、アキュムレータタンク60内の浄水12の量を適宜の範囲とすることにより、プラダから適宜の圧力がかかるようになっている。
アキュムレータタンク60は通常蛇口の上方に配されるが、この実施形態でもそうなっている。アキュムレータタンク60が蛇口の上方に位置することと、プラダからアキュムレータタンク60内の浄水12に適宜の圧力がかかることにより、後述する蛇口から出る浄水12は、適宜の水圧がかかった状態で、蛇口から出ることになる。アキュムレータタンク60内で、浄水12にプラダから十分な圧力を加えることができるのであれば、アキュムレータタンク60は蛇口71の上方に位置させる必要はない。
なお、アキュムレータタンク60内の浄水12の水圧は、図示せぬセンサによって検出されており、その水圧のデータは、例えば常時(数秒置き等、適宜の時間が経過する毎でも構わない。)センサから、コンピュータ40に送られるようになっている。
【0022】
主流路管31の先端には、蛇口71が取付けられている。蛇口71は、公知或いは周知のものであり、浄水12の流出の許否を選択できるようになっている。
周知なように、蛇口71を開状態とすれば蛇口71から浄水12が出て、蛇口71を閉状態とすれば蛇口71から浄水12が出ない。
蛇口71の下方には、蛇口71から出た浄水12を受ける受皿72が設けられている。受皿72は、排水口を備えた流し台である。なお、この実施形態による循環式濾過システム1において、外部に露出させることが必須なものは、蛇口71と受皿72のみであり、それ以外のすべての部品は、外部に露出させる必要はない。
【0023】
受皿72の排水口には、排水管83が接続されている。排水管83は、受皿72で受けられた浄水12を貯水タンク10に導くためのものであり、これには限られないがこの実施形態では、鉛直とされる。受皿72で受けられた、蛇口71から出た浄水12は、重力によって排水管83内を流下して、貯水タンク10へと至るようになっている。
排水管83の途中には、濾過部材84が取付けられている。濾過部材84は、排水管83を介して受皿72から貯水タンク10へと向かう浄水12を通過させて、浄水12に含まれる泥や石鹸の成分を濾過して除去するためのものである。この実施形態における濾過部材84は、重力によって流下する汚れた浄水12の濾過を行う。
これには限られないがこの実施形態では、濾過部材84は、図3に示したようなものとされている。
濾過部材84は、バッグフィルター84Aを備えている。バッグフィルター84Aは、メッシュ状の生地で構成された袋であって、これには限られないが、上面が開放されている。バッグフィルター84Aとして用いることのできるバッグフィルターは数多く市販されているので、適当なものを選択して利用可能である。
バッグフィルター84Aの上部には、オイル吸着シート84Bが内蔵されている。オイル吸着シート84Bは、浄水12に含まれた油を除去するシートである。オイル吸着シート84Bは複数枚重ねて、バッグフィルター84Aの中に収納されている。オイル吸着シート84Bとしては、例えば、旭化成ホームプロダクツ株式会社が製造販売する油吸着シート(商品名グリースクリーン(商標)シリーズ)を用いることができる。
バッグフィルター84Aの下部には、イオン交換樹脂と、活性炭との混合物84Cが内蔵されている。イオン交換樹脂と活性炭はともに粉状であって、混合した状態で、バッグフィルター84A内に収納されている。
混合物84C中のイオン交換樹脂は、それを通過する汚れた浄水12に含まれている界面活性剤を除去するのに有用であり、混合物84C中の活性炭は、それを通過する汚れた浄水12に含まれている重金属類や悪臭の原因物質を除去するのに有用である。
なお、濾過部材84は、オイル吸着シート84B、イオン交換樹脂、活性炭のうちの少なくとも1つを含んでいれば足りる。
また、濾過部材84に含まれるバッグフィルター84Aは、濾過部材84の交換を容易にするためのものであり、その効果を必要としないのであれば、オイル吸着シート84B、イオン交換樹脂、活性炭のうちの少なくとも1つは、バッグフィルター84Aに収納されている必要はない。
【0024】
実施形態における循環式濾過システム1は、副流路管32を備えている。副流路管32の内部に副流路が形成される。副流路管32は、貯水タンク10内の水11を、主流路管31が作る上述の循環経路とは異なる経路で、循環させるための流路を構成する管である。
副流路管32は、その基端が、主流路管31のサブポンプ22よりも上流側、つまりは、主流路管31の基端側に接続された管であり、主流路管31から分岐している。なお、この実施形態では、主流路管31の副流路管32と接続された部分よりも上流側の範囲は、主流路と副流路とを兼ねている。副流路管32を構成する管の仕様は、主流路管31を構成する管と同じでも良いし、そうでなくても良い。
副流路管32の先端から出た水11は、貯水タンク10へと至るようになっている。副流路管32の先端から吐出された水11は、発電機100の水車101に当って下に落ちるようになっている。発電機本体102は水車101の上側に位置するため、発電機本体102が水車101に当って飛び散った水により濡れにくくなっている。発電機本体102は、例えば、図1に示したように貯水タンク10の天井の下面に固定されていても良いし、貯水タンク10の例えば副流路管32が接続された壁面に固定されていても良い。いずれにせよ、副流路管32の開口と、水車101のバケット101Bの開口との位置関係を適切に保つ必要がある。
この実施形態ではこれには限られないが、水11は副流路管32の先端から水平に吐出されるようになっている。また、副流路管32から飛び出す水は、水車101が備える後述するバケットに正対した状態で水を吐出するようにその位置を調整されている。なお、この実施形態では副流路管32の先端は、貯水タンク10の内部にまで及んでいるが、副流路管32の先端は貯水タンク10の壁面にまでしか及んでいなくても良い。
【0025】
これには限られないが、この実施形態における水車101に臨む副流路管32の先端の開口は、水車101に吐出される水の勢いを増すように狭められている。副流路管32の先端の開口が狭められているというのは、副流路管32の先端から若干基端よりの部分よりも、副流路管32の先端の開口が狭くなっているということを意味している。具体的には、副流路管32の先端付近を先細る形状としたり、或いは副流路管32の先端に、例えば中心に孔の開けられた副流路管32の開口全体を覆うドーナツ型の板を取付けたりすることにより、副流路管32の先端の開口を狭めることが可能である。
副流路管32の水車101に臨む開口の面積は、水車101に吐出される水の勢いを増すように狭められており、水車101が備える後述するバケットの開口の面積よりも小さくされていてもよい。副流路管32の水車101に臨む開口の面積を絞ることによって、発電機100による発電効率が向上する。
副流路管32の水車101に臨む開口の面積は、バケットの開口の面積の20%よりも小さくされていてもよい。副流路管32の水車101に臨む開口の面積は、バケットの開口の面積の14%よりも小さくされているのがより好ましい。
他方、副流路管32の水車101に臨む開口の面積は、バケットの開口の面積に対してあまり小さくし過ぎると発電機100による発電効率が却って小さくなることがわかっている。副流路管32の水車101に臨む開口の面積は、バケットの開口の面積の5%よりも大きい方が良い。
副流路管32の水車101に臨む開口の面積は、バケットの開口の面積の14%よりも小さく、5%よりも大きくするのが良く、より好ましくは12%より小さく、7%より大きくされているのがよい。
【0026】
副流路管32の途中には、第2浄化設備が設けられている。第2浄化設備は、副流路管32の中を流れる水11を浄化するための設備である。第2浄化設備は、水11を浄化することができれば良く、その限りにおいて詳細は問わないが、オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置のうちの少なくとも1つを含んでいる。
オゾン発生装置は、発生させたオゾンを水11に供給する機能を有している。水11にオゾンを供給することにより、オゾンの持つ酸化作用によって、水11中の有機物が分解され、水11が浄化されることになる。有機物の分解には、例えば、プランクトンや、細菌、ウィルスの死滅又は不活化の効果も含まれ得る。オゾン発生装置は、公知或いは周知のもので良く、市販のものでも良い。オゾン発生装置としては、例えば、人が吸引しても人体への悪影響が出ない、1000mg/h程度の比較的少量のオゾンを発生させる小型のものを用いることができる。
紫外線殺菌装置は、発生させた紫外線を水11に照射する機能を有している。水11に紫外線を照射することにより、細菌、ウィルスの死滅又は不活化の効果を得られることになる。紫外線殺菌装置は、公知或いは周知のもので良く、市販のものでも良い。紫外線殺菌装置としては、例えば、日機装株式会社が製造、販売する深紫外線LEDランプ搭載の流水浄化用の紫外線殺菌装置を用いることができる。
曝気装置は、水11に対して、例えば、マイクロバブル又はナノバブルを供給することにより曝気を行うものとなっている。水11に対して曝気を行うことにより水11中の好気性菌が活発に活動するようになり、それにより、水11の水質が改善する。曝気装置は、公知或いは周知のもので良く、市販のものでも良い。曝気装置としては、例えば、ナノバブル発生量が1mlあたり1億個以上のナノバブルが発生するものを用いるのが好ましい。
この実施形態では、これには限られないが、第2浄化設備として、オゾン発生装置91と、紫外線殺菌装置92とが、副流路管32の途中に設けられている。副流路管32を通過する水11は、オゾン発生装置91と、紫外線殺菌装置92により、上述した原理によって浄化され、その水質が改善される。
第2浄化設備には、他の設備、例えばセディメントフィルタが含まれていても良い。セディメントフィルタは、例えば、第2浄化設備の最上流部に設けられるのが一般的である。
【0027】
上述したように、逆浸透膜浄水ユニット51では、濃縮状態とされた水11が排水口51Dから出るようになっている。排水口51Dは排出管33の基端と接続されている。排出管33の先端は、副流路管32の、第2浄化設備が設けられた部分よりも上流側(主流路管31側)に接続されている。
それにより、逆浸透膜浄水ユニット51で濃縮状態とされた水11は、排出管33を介して副流路管32に至り、副流路管32の途中に設けられた第2浄化設備によって浄化され、水質を改善された上で貯水タンク10へと至るようになっている。
【0028】
発電機100について説明する。
上述したように発電機100は、水車101と、発電機本体102と、両者を繋ぐ軸103とを備えている。
水車101は、これには限られないがこの実施形態ではペルトン水車である。
ペルトン水車である水車101の平面図を図5に示す。
水車101は、丸い板である円板101Aを備えている。水車101が貯水タンク10内に設置されるとき、円板101Aは水平となる。円板101Aの中心には、軸103が円板101Aから垂直に延びるようにして取付けられている。
円板101の外周部分には、多数のバケット101Bが取付けられている。バケット101Bの斜視図を、図6に示す。バケット101Bはそれぞれ、水を受けるためのカップ状の窪みであるカップ部101Cを備えている。カップ部101Cを含めて、この実施形態における水車101に設けられたバケット101Bは、すべて同じ構成(同じ形状、大きさ)とされている。したがって、すべてのカップ部101Cの開口は、同じ形状、同じ大きさとなっている。これには限られないが、この実施形態のカップ部101Cの開口の形状は、略矩形となっている。
各バケット101Bは、円板101Aの周の接線方向を向いている。各バケット101Bのカップ部101Cの開口は隣接するバケット101Bのカップ部101Cが存在しない側に臨んでおり、換言すれば、円板101Aの円周方向において向きが揃っている。
【0029】
副流路管32の先端の開口から水が吐出されると、水は水平に飛び、水車101のバケット101Bのカップ部101Cに当たり力を伝える。それにより、水車101は軸103を中心に回転する。水11は、水車101が回転することによって次に副流路管32の開口の前に現れたバケット101Bのカップ部101Cに当たって力を伝える。それにより、水車101は回転する。この実施形態では、副流路管32の先端から吐出された水11は事実上すべて、副流路管32の先端の開口と正対したときに食み出でることなくカップ部61に入るようになっている。
発電機本体102は、水車101の回転を軸103を介して伝えられ、その運動エネルギーを電力に変換する。そのようなことが可能な発電機本体は公知或いは周知であるから、発電機本体102としてはそのようなものを利用すれば良い。発電機本体102は、市販のものであっても構わない。
発電機本体102には、図示を省略の電力線が接続されており、発電機本体102が生じた電力は、電力線を通して発電機100から適宜の装置や蓄電池へと送られ、適宜の装置で利用されたり、蓄電池に貯められたりする。電力線は、例えば、メインポンプ21、サブポンプ22であっても良いし、循環式濾過システム1外の適宜の装置であってもよい。
【0030】
次に、以上のように構成された循環式濾過システム1の使用方法、及び動作について説明する。
【0031】
この循環式濾過システム1は、上述したように手洗い場に応用される。
ユーザが手を洗おうとしたとき、ユーザは、蛇口71を操作して、閉状態であった蛇口71を開状態にする。
そうすると、アキュムレータタンク60内に貯まっていた浄水12は、蛇口71に対して相対的に高い位置にあることによって持っている位置エネルギーと、アキュムレータタンク60内に配された図示を省略のプラダからの圧力とにより、アキュムレータタンク60から主流路管31を通って蛇口71に向かい、蛇口71から流れ出る。アキュムレータタンク60が蛇口71よりも低い位置にあるなら、蛇口71から出る浄水12にはたらく圧力には、重力は寄与せず、プラダからの圧力のみが寄与することになる。
ユーザは、蛇口71から出た浄水12で手を洗う。ここで、例えばユーザが石鹸を使用すれば、浄水12には石鹸の成分が混ざることになり、また、ユーザの手が汚れていれば浄水12には、油や泥が混ざることになる。そのようにして汚れた浄水12は、受皿72によって受けられる。
【0032】
受皿72によって受けられた汚れた浄水12は、受皿72の排水口から排水管83内を重力によって流下して貯水タンク10へと向かう。
その途中で汚れた浄水12は、排水管83の途中にある濾過部材84を通過する。上述したように濾過部材84は、バッグフィルター84Aと、バッグフィルター84Aの内部に収納されたオイル吸着シート84B、及びイオン交換樹脂及び活性炭の混合物84Cとから構成されている。
汚れた浄水12に含まれる固形物のうち、バッグフィルター84Aの目よりも大きいものはバッグフィルター84Aによって濾過され捉えられる。汚れた浄水12に含まれる油は、オイル吸着シート84Bによって捉えられる。汚れた浄水12に含まれる金属イオンや、石鹸の成分の一部は、イオン交換樹脂によって捉えられる。また、汚れた浄水12に含まれる臭気物質やトリハロメタンの一部は、活性炭によって捉えられる。
したがって、濾過部材84を通過することにより、汚れた浄水12はある程度綺麗になる。ある程度綺麗になった浄水12は、排水管83の先端から出て、貯水タンク10に落下する。
【0033】
他方、上述したように、アキュムレータタンク60では、アキュムレータタンク60内の浄水12の水圧を図示せぬセンサが検知している。
その水圧についてのデータは、常時コンピュータ40に送られている。コンピュータ40は、浄水12の水圧が小さくなったとき(例えば、ある値を下回ったとき)、メインポンプ21とサブポンプ22のそれぞれに、接続線21A、接続線22Aを介して駆動信号を送る。それにより、メインポンプ21とサブポンプ22は駆動する。つまり、このとき、メインポンプ21とサブポンプ22とは、連動して駆動する。
メインポンプ21が駆動すると、メインポンプ21が吸い込んだ貯水タンク10内の水11が主流路管31の基端から、主流路管31の先端側に送られる。他方、サブポンプ22は、メインポンプ21から送られてきた水11を、水11に含まれた水が逆浸透膜浄水ユニット51内の逆浸透膜51Bを乗り越えるだけの圧力で、逆浸透膜浄水ユニット51に送り込む。このとき、メインポンプ21から主流路管31に送られる水11の単位時間あたりの量は、サブポンプ22から逆浸透膜浄水ユニット51に送られる水11の単位時間あたりの量より多くなるように、メインポンプ21とサブポンプ22とはコンピュータ40によって制御される。
それにより、貯水タンク10から主流路管31内にメインポンプ21によって送られた水11のうちの大半は、サブポンプ22によって逆浸透膜浄水ユニット51に送られ、余剰分が副流路管32に向かうことになる。
【0034】
サブポンプ22により送られた水11は、逆浸透膜浄水ユニット51のケース51Aに設けられた流入口51Cからケース51A内に入る。
流入口51Cからケース51A内に入った水11には高い圧力がかけられている。それにより、水11に含まれる純水に近い水分は、逆浸透膜51Bによって分割されたケース51A内部の2つの空間のうちの、流入口51Cと、排水口51Dとが連通している空間から、逆浸透膜51Bを通過して、浄水口51Eが連通している空間に滲み出る。つまり、水11は、ケース51A内において、逆浸透膜51Bによって、浄水12と、濃縮状態とされた水11とに分離される。
そして、浄水12は浄水口51Eを介して主流路管31に至り、主流路管31を通ってアキュムレータタンク60に至る。蛇口71を開状態とすることによってアキュムレータタンク60内の浄水12は減ったが、逆浸透膜浄水ユニット51から浄水12が供給されることにより、減った分のアキュムレータタンク60内の浄水12が補充されることになる。上述したように、アキュムレータタンク60内の浄水12の水圧はセンサによって常に検知されており、水圧のデータはコンピュータ40に常時送られている。水圧のデータが所定の範囲に達したら、例えば、蛇口71が開状態とされる前の値に戻ったら、コンピュータ40は、接続線21A又は接続線22Aを介して、メインポンプ21とサブポンプ22に対して、それらの駆動を停止するための停止信号を送る。それにより、メインポンプ21とサブポンプ22とは、駆動を停止する。
他方、濃縮された水11は、排水口51Dを介して排出管33に至り、排出管33から、副流路管32に至る。濃縮された水11は、副流路管32を下流側に進み、第2浄化設備に至る。上述したように、この実施形態における第2浄化設備には、オゾン発生装置91と、紫外線殺菌装置92とが含まれている。濃縮された水11は、オゾン発生装置91からオゾンの供給を受け、また、紫外線殺菌装置92から紫外線を照射されることによって、浄化され水質が改善させられる。
水質が改善させられた水11は、副流路管32を下流側に進み、副流路管32の先端から出て、貯水タンク10に落下する。
【0035】
以上の処理は、蛇口71が閉状態から開状態にさせられたときに、その度に実行される。
他方、この循環式濾過システム1では、蛇口71が開状態であるか閉状態であるかを問わず、以下の処理を実行する。
この循環式濾過システム1では、コンピュータ40が、所定の時間毎に、所定の時間長さだけ、メインポンプ21のみを駆動させる。コンピュータ40は、タイマーを内蔵しており、予め定められた定刻が来ると、接続線21Aを介してメインポンプ21に対して駆動信号を送ることにより、メインポンプ21のみを駆動させる。
メインポンプ21のみが駆動した場合、メインポンプ21は、主流路管31の基端から主流路管31の先端側に向けて、貯水タンク10内に貯まっていた水11を流そうとする。しかしながら、このとき駆動していないサブポンプ22は主流路管31において、閉まった弁のように機能し、水11の通過を許さない。したがって、水11は、主流路管31から分岐した副流路管32に流れ込む。
副流路管32に流れ込んだ水11は、上述した濃縮された水11の場合と同様に副流路管32を下流側に進み、第2浄化設備に至る。水11は、オゾン発生装置91からオゾンの供給を受け、また、紫外線殺菌装置92から紫外線を照射されることによって、浄化され水質が改善させられる。
水質が改善させられた水11は、副流路管32を下流側に進み、副流路管32の先端の開口から出て、ペルトン水車である水車101のバケット101Bのカップ部101Cに当って水車101を回転させた後、貯水タンク10に落下する。それにより発電機本体102は発電する。発電した電力は、上述した如き適宜の装置に送られ、当該装置で利用される。
この処理は、例えば、30分毎に15分の間実行される。もっとも、この処理が開始される時間間隔と、この処理が実行される1回あたりの時間長さは、常に同じである必要はない。仮に、30分毎に15分の間だけメインポンプ21のみが駆動させられるとすると、1日24時間のうち、12時間は、貯水タンク10に貯められた水11は、蛇口71が開状態にされたか否かと無関係に、第2浄化設備で浄化されることになる。繰返し第2浄化設備での浄化が行われることにより、貯水タンク10内の水11はある程度浄化された状態が保たれることになるので、蛇口71から出ることになるアキュムレータタンク60に一旦貯められる、主流路管31にある浄化設備で浄化された浄水12は、良い水質を保ったものとなる。
また、この処理が実行されているときには、発電機100の水車101が回転して発電機本体102が発電を行う。この処理はメインポンプ21とサブポンプ22とが連動して駆動する場合と比較して長時間実行される。したがって、この処理が行われている場合に発電機本体102が生じる電力もある程度の大きさとなる。
メインポンプ21のみを駆動させる処理は、1日に8時間以上実施されるのが好ましい。それにより、貯水タンク10内の水11の水質をある程度高く保つことが可能となり、また発電機100によって得られる電力を大きく保つことができることになる。
なお、メインポンプ21のみを駆動させる処理は、蛇口71が開状態とされている場合には、実行されないようにすることができる。それをもってしても、例えば、夜間においてもメインポンプ21のみを駆動させる処理を実行させるようにコンピュータ40を設定しておけば、メインポンプ21のみを駆動させる処理を1日に8時間以上実施させることは容易である。
なお、以上の説明では、メインポンプ21とサブポンプ22との駆動と停止は、コンピュータ40を用いて制御されることとしていたが、同様の制御が可能なのであれば、より簡単な仕組み、例えば、アキュムレータタンク60に設けられたセンサ、そのセンサと組合されたスイッチ、及びメインポンプ21を駆動するためのタイマー等によって、コンピュータ40を置換することも可能である。
【0036】
[試験例]
上述の如き循環式濾過システム1を用いて発電量についての試験を行った。
その結果を図7図8に示す。
この試験では、発電機100で生じた電力と比例する電圧を測定する。図7はメインポンプ21のみを駆動させた場合であり、図8はメインポンプ21とサブポンプ22とを同時に駆動させた場合である。メインポンプ21のみを駆動させた場合(図7)よりも、メインポンプ21とサブポンプ22とを同時に駆動させた場合の方が、副流路管32内の水の圧力は大きくなっており、勢いよく副流路管32から水が飛び出すことになる。
両試験では、水車101に設けられたバケット101Bの開口の面積を不変とし、副流路管32の先端の開口の面積を様々に変化させて、発電機100で生じた電気の電圧を観察した。バケット101Bの開口の面積は、140mmである。なお、図7の場合も、図8の場合も、副流路管32の開口の形状は円形である。また、副流路管32の開口の中心を通る副流路管32の開口に垂直な直線は、軸103周りに回転するバケット101Bの開口に対応する平面がその直線に垂直となったときにバケット101Bの開口の略中心を通るようになっている。
図7図8のグラフにおける横軸は、バケット101Bの開口の面積(B)に対する副流路管32の開口の面積(A)の比(A/B)である。図7図8のグラフにおける縦軸は、発電機100において発生した電気の電圧である。
図7に示した試験例からわかるように、メインポンプ21のみを駆動させた場合には、副流路管32の水車101に臨む開口の面積が、バケットの開口の面積の9%程度となったとき(つまり、A/Bが9%程度となったとき、以下も同様の記載を用いる。)に最も発電効率が上がる。発電効率は、A/Bが20%よりも小さくなると、直線的でない上昇を見せる。また、A/Bが5%よりも小さくなると、発電効率が著しく下がる。
図8に示した試験例からわかるように、メインポンプ21とサブポンプ22を駆動させた場合には、A/Bが9.5%程度となったときに最も発電効率が上がる。発電効率は、A/Bが20%よりも小さくなると、直線的でない上昇を見せ、A/Bが14%よりも小さくなると更に直線的でない上昇を見せる。また、A/Bが5%よりも小さくなると、発電効率が著しく下がる。
図7図8に示した例の双方で高い発電効率が得られるのは、A/Bが14%よりも小さく、5%よりも大きい範囲であり、より好ましくはA/Bが12%より小さく、7%より大きい範囲である。
【0037】
<変形例>
変形例による循環式濾過システム2の全体構成図を図4に示す。これには限られないが、この実施形態における循環式濾過システム2は、手洗い場の用途に用いられる。
変形例の循環式濾過システム2は、実施形態の循環式濾過システム1とかなりの部分で共通している。以下に相違点として説明する部分を除けば、変形例の循環式濾過システム2は、実施形態の循環式濾過システム1と同様に構成されている。
【0038】
変形例の循環式濾過システム2は、貯水タンク10を備えている。循環式濾過システム2が備える貯水タンク10は、実施形態の循環式濾過システム1が備える貯水タンク10と同じで良く、この変形例ではそうされている。
変形例の循環式濾過システム2は、実施形態の循環式濾過システム1が備えていたのと同様の、メインポンプ21及びサブポンプ22を連動して駆動させることにより、貯水タンク10から貯水タンク10へと水11を循環させるための一連の設備を備えている。
つまり、変形例の循環式濾過システム2は、メインポンプ21、主流路管31、サブポンプ22、浄化設備、アキュムレータタンク60、蛇口71を備えている。
【0039】
基本的に、変形例の循環式濾過システム2が備えるメインポンプ21、主流路管31、サブポンプ22、浄化設備、アキュムレータタンク60、蛇口71は、実施形態の循環式濾過システム1が備えるそれらと同じで良く、これには限られないがこの実施形態では、以下に説明する部分を除いてそうされている。
変形例の循環式濾過システム2が備えるメインポンプ21、主流路管31、サブポンプ22、浄化設備、アキュムレータタンク60、蛇口71における実施形態との違いは、浄化設備の構成である。また、浄化設備の構成のち外に伴い、変形例の循環式濾過システム2におけるサブポンプ22の位置が、実施形態の場合と異なるものとなっている。加えて、変形例の循環式濾過システム2における主流路管31には、副流路管32が接続されていない。他方、副流路管32は、その基端が、貯水タンク10中の水11に届いている。
つまり、変形例における副流路管32は、主流路管31とは共通する部分を持たず言い換えれば、主流路管31に副流路管32を兼ねる部分が存在しない。これが、変形例と実施形態の顕著な相違である。
【0040】
変形例における浄化設備は、実施形態の場合と同様に、貯水タンク10から運ばれてきた水11を浄化して浄水とするための設備である点では実施形態と変わりない。実施形態の場合と同様に、変形例の浄化設備は、少なくとも1つの逆浸透膜浄水ユニットを含んでいる。また、実施形態の場合と同様に、変形例の循環式濾過システム2でも、浄化設備は、逆浸透膜ではない濾材(例えば、セディメントフィルタ)、オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置を含んでいても構わない。
ただし、実施形態では、逆浸透膜浄水ユニットは、主流路管31に1つだけ設けられた逆浸透膜浄水ユニット51のみであったが、変形例の循環式濾過システム2における主流路管31には、逆浸透膜浄水ユニット51と、逆浸透膜浄水ユニット52という2つの逆浸透膜浄水ユニットが設けられている。
逆浸透膜浄水ユニット51と逆浸透膜浄水ユニット52とは同じものでも良いし、同じものでなくても良い。ただし、それらが水11を浄化する原理は、図2を用いて説明したものであり、共通である。例えば、逆浸透膜浄水ユニット51と逆浸透膜浄水ユニット52とでは、図2における逆浸透膜51Bのみが異なるものとなっていても構わない。この実施形態ではこれには限られないが、逆浸透膜浄水ユニット51と逆浸透膜浄水ユニット52とは同じものとされている。
実施形態では、サブポンプ22は、主流路管31における、1つのみとされた逆浸透膜浄水ユニット51の上流側の位置に設けられていた。それに対して、変形例では、サブポンプ22は、主流路管31における、2つとされた逆浸透膜浄水ユニット51及び逆浸透膜浄水ユニット52の間に位置するようになっている。もっとも、サブポンプ22は、逆浸透膜浄水ユニットが複数存在している場合には、その最も下流側に位置するものよりも上流側に配置すれば良い。したがって、サブポンプ22は、逆浸透膜浄水ユニット51よりも上流側に配置されていても構わない。この事情は、仮に実施形態の循環式濾過システム1に逆浸透膜浄水ユニットが2つ存在する場合でも同様である。
変形例でも、実施形態の場合と同様に、浄化設備のうち、主流路管31の最も下流側にあるものを通過した水11が浄水12となる。変形例では、逆浸透膜浄水ユニット52を通過することにより、水11が浄水12となる。
【0041】
副流路管32は上述のようにその基端が貯水タンク10内の水に届くようになっている。副流路管32の基端には、第2ポンプ23が設けられている。第2ポンプ23は、貯水タンク10の水11と触れる範囲の適当な部分に配置されている。第2ポンプ23は、メインポンプ21と同等のものとすることができ、水を送ることのできるポンプであれば良い。
第2ポンプ23は、副流路管32の基端に接続されている。第2ポンプ23は、貯水タンク10内の水11を、副流路管32内に導き、副流路管32の先端側に向けて流すようになっている。
第2ポンプ23は、接続線23Aによってコンピュータ40に接続されており、接続線21Aを介してコンピュータ40に接続されたメインポンプ21と、接続線22Aを介してコンピュータ40に接続されたサブポンプ22と同様に、コンピュータ40の制御下で、駆動と停止の制御が行われるようになっている。なお、変形例におけるコンピュータ40は、実施形態におけるコンピュータ40と同等のもので良い。
【0042】
副流路管32は、後述するようにして、貯水タンク10内の水11を循環させるための管である。副流路管32の仕様は、主流路管31と同等で良く、この実施形態ではこの限りではないがそうされている。副流路管32の先端から出た水11は、実施形態の副流路管32の先端から出た水11と同じように、貯水タンク10内にある発電機100の水車101に当たり、水車101を回してから貯水タンク10内の水11へと落下するようになっている。
実施形態では副流路管32に存在した第2浄化設備と同等、これには限られないがこの変形例では同じものが、変形例の循環式濾過システム2の副流路管32に設けられている。
変形例の場合でも、実施形態の場合と同様に、第2浄化設備は、副流路管32内を流れる水11を浄化するための設備である。変形例における第2浄化設備は、実施形態の場合と同様に、水11を浄化することができれば良く、その限りにおいて詳細は問わないが、オゾン発生装置、紫外線殺菌装置、曝気装置のうちの少なくとも1つを含んでいる。
この実施形態では、これには限られないが、第2浄化設備として、紫外線殺菌装置92と、曝気装置93とが、副流路管32の途中に設けられている。副流路管32を通過する水11は、紫外線殺菌装置92と、曝気装置93とにより、上述した原理によって浄化され、その水質が改善される。
第2浄化設備には、他の設備、例えばセディメントフィルタが含まれていても良い。セディメントフィルタは、例えば、第2浄化設備の最上流部に設けられるのが一般的である。
【0043】
実施形態では、逆浸透膜浄水ユニット51から出た濃縮状態とされた水11は、排出管33を介して副流路管32内の水11に合流させられるようになっていた。
変形例では、逆浸透膜浄水ユニット51と、逆浸透膜浄水ユニット52とからそれぞれ生じた濃縮状態とされた水11が、排出管33を介して副流路管32の水11に合流させられるようになっている。変形例における排出管33の先端の副流路管32に対する接続部分は、実施形態における排出管33の先端の副流路管32に対する接続部分がそうであったように、第2浄化設備が設けられた部分よりも上流側となっている。
それにより、逆浸透膜浄水ユニット51、逆浸透膜浄水ユニット52で濃縮状態とされた水11は、排出管33を介して副流路管32に至り、副流路管32の途中に設けられた第2浄化設備によって浄化され、水質を改善された上で貯水タンク10へと至るようになっている。
【0044】
次に、以上のように構成された変形例における循環式濾過システム2の使用方法、及び動作について説明する。
【0045】
変形例の循環式濾過システム2は、実施形態の場合と同様に、手洗い場に応用される。
ユーザが手を洗おうとしたとき、ユーザは、蛇口71を操作して、閉状態であった蛇口71を開状態にする。
そうすると、アキュムレータタンク60内に貯まっていた浄水12は、実施形態の場合と同様に、蛇口71から流れ出る。ユーザは、蛇口71から出た浄水12で手を洗う。ここで、例えばユーザが石鹸を使用すれば、浄水12には石鹸の成分が混ざることになり、また、ユーザの手が汚れていれば浄水12には、油や泥が混ざることになる。そのようにして汚れた浄水12は、受皿72によって受けられる。
受皿72によって受けられた汚れた浄水12は、受皿72の排水口から排水管83内を重力によって流下して貯水タンク10へと向かう。
その途中で汚れた浄水12は、排水管83の途中にある濾過部材84を通過して浄化される。ある程度綺麗になった浄水12は、排水管83の先端から出て、貯水タンク10に落下する。
ここまでは実施形態と変わらない。
【0046】
他方、アキュムレータタンク60では、実施形態のときと同様に、アキュムレータタンク60内の浄水12の水圧をセンサが検知している。
その水圧についてのデータは、常時コンピュータ40に送られている。コンピュータ40は、浄水12の水圧が小さくなったとき(例えば、ある値を下回ったとき)、メインポンプ21とサブポンプ22のそれぞれに、接続線21A、接続線22Aを介して駆動信号を送る。それにより、停止していたメインポンプ21とサブポンプ22は駆動する。つまり、このとき、メインポンプ21とサブポンプ22とは、連動して駆動する。
メインポンプ21が駆動すると、メインポンプ21が吸い込んだ貯水タンク10内の水11が主流路管31の基端から、主流路管31の先端側に送られる。メインポンプ21は、水11に含まれた水が逆浸透膜浄水ユニット51内の逆浸透膜51Bを乗り越えるだけの圧力をかけつつ、水11を逆浸透膜浄水ユニット51に送り込む。同様に、サブポンプ22は、水11に含まれた水が逆浸透膜浄水ユニット52内の逆浸透膜を乗り越えるだけの圧力をかけつつ、水11を逆浸透膜浄水ユニット52に送り込む。
このとき、メインポンプ21が流す水11の単位時間あたりの流量と、サブポンプ22が流す水11の単位時間あたりの流量は、前者が後者を上回るようにする。そうなるように、メインポンプ21とサブポンプ22とはコンピュータ40によって制御される。
【0047】
メインポンプ21によって逆浸透膜浄水ユニット51に送られた水11は、実施形態で説明したようにして、濃縮された水11と、浄水12に近い浄化された水11とに分離される。浄化された水11は、主流路管31を介してサブポンプ22に向かい、サブポンプ22によって逆浸透膜浄水ユニット52に送られる。サブポンプ22によって逆浸透膜浄水ユニット52に送られた水11は、逆浸透膜浄水ユニット51で水11が浄化されるのと同様の原理で、濃縮された水11と、浄水12とに分離される。
逆浸透膜浄水ユニット52から生じた浄水12は、主流路管31に至り、主流路管31を通ってアキュムレータタンク60に至る。これによって、蛇口71を開状態とすることによって減ったアキュムレータタンク60内の浄水12が補充される。そして、アキュムレータタンク60内の浄水12の水圧が適当な範囲に達したら、コンピュータ40は、メインポンプ21とサブポンプ22とを停止させる。
他方、逆浸透膜浄水ユニット51と逆浸透膜浄水ユニット52から生じた濃縮された水11は、排出管33を介して副流路管32に至る。濃縮された水11は、副流路管32を下流側に進み、第2浄化設備に至る。上述したように、変形例における第2浄化設備には、紫外線殺菌装置92と、曝気装置93が含まれている。濃縮された水11は、紫外線殺菌装置92から紫外線を照射され、また、曝気装置93によって曝気されることによって、浄化され水質が改善させられる。
水質が改善させられた水11は、副流路管32を下流側に進み、副流路管32の先端から出て、貯水タンク10に落下する。
【0048】
以上の処理は、蛇口71が閉状態から開状態にさせられたときに、その度に実行される。
他方、この循環式濾過システム2では、蛇口71が開状態であるか閉状態であるかを問わず、以下の処理を実行する。
この循環式濾過システム2では、コンピュータ40が、所定の時間毎に、所定の時間長さだけ、第2ポンプ23を駆動させる。コンピュータ40は、タイマーを内蔵しており、予め定められた定刻が来ると、接続線23Aを介して第2ポンプ23に対して駆動信号を送ることにより、第2ポンプ23を駆動させる。
第2ポンプ23が駆動した場合、第2ポンプ23は、副流路管32の基端から副流路管32の先端側に向けて、貯水タンク10内に貯まっていた水11を流す。
副流路管32内を流れる水11は、上述した濃縮された水11の場合と同様に副流路管32を下流側に進み、第2浄化設備に至る。水11は、濃縮された水11の場合と同様に、浄化され水質が改善させられる。
水質が改善させられた水11は、副流路管32を下流側に進み、副流路管32の先端から出て、貯水タンク10に戻る。
副流路管32の構成、機能と、発電機100の構成、機能は、実施形態と変形例とで変わらない。したがって、副流路管32の先端から吐出された水11は、発電機100が備えるペルトン水車である水車101のバケット101B内のカップ部101Cに入り、水車101を回転させる。それにより、副流路管32から吐出された水11は発電機100に発電をさせる。
この処理が実行されるタイミングと、この処理が実行されるときの1回あたりの長さは、実施形態の循環式濾過システム1において、メインポンプ21のみが駆動される処理が実行されるときのタイミングと、その処理が実行されるときの1回あたりの長さに準じることができる。
それにより、変形例の循環式濾過システム2でも、実施形態の循環式濾過システム1の場合と同様に、蛇口71が開状態にされたか否かと無関係に、貯水タンク10内の水11が、第2浄化設備で繰返し浄化されることになる。それにより、貯水タンク10内の水11はある程度浄化された状態が保たれる。したがって、変形例の場合でも、蛇口71から出ることになるアキュムレータタンク60に一旦貯められる、主流路管31にある浄化設備で浄化された浄水12は、良い水質を保ったものとなる。
加えて、変形例でも、実施形態の場合と同様に、発電機100による発電量が多くなる。
なお、変形例では、メインポンプ21とサブポンプ22と更には第2ポンプ23とを同時に駆動させることも可能である。
変形例でも、実施形態の場合と同様に、コンピュータ40を省略し、他のより簡単な仕組みに置換することが可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 循環式濾過システム
2 循環式濾過システム
10 貯水タンク
11 水
12 浄水
21 メインポンプ
22 サブポンプ
23 第2ポンプ
31 主流路管
32 副流路管
33 排出管
40 コンピュータ
51 逆浸透膜浄水ユニット
52 逆浸透膜浄水ユニット
60 アキュムレータタンク
71 蛇口
72 受皿
84 濾過部材
100 発電機
101 水車
101A 円板
101B バケット
101C カップ部
102 発電機本体
103 軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8