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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080224
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】一層化機構
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/14 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
B65G47/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193247
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】522087154
【氏名又は名称】合同会社ポーラス・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110003155
【氏名又は名称】弁理士法人バリュープラス
(72)【発明者】
【氏名】蒲田 喜彦
【テーマコード(参考)】
3F080
【Fターム(参考)】
3F080AA13
3F080BC07
3F080BF19
3F080CG11
3F080DA05
3F080DA18
3F080DB08
3F080EA10
(57)【要約】
【課題】積状のワーク全てを一斉に均す構成であると次工程に進むのに非常に時間がかかるという問題を改善する。
【解決手段】一層化機構1は、上面開放され、内部を複数に区画するための区画部材2Aを分離領域S(分離部)として設けたエアチャンバ2と、このエアチャンバ2の上面開放面に設けられ、その表裏面に亘ってワークWよりさらに小さい多数の孔を有したポーラスプレート4と、エアチャンバにおける各区画部にそれぞれ設けられて独立して空気が吸排気される吸排気部P1,P2と、エアチャンバ2を所定角度傾斜させる傾斜部3と、吸排気部P1,P2と傾斜部3とを制御する制御部7とを備えた。
【効果】ワーク全体ではなく、数度に分けて分散・均していくので、結果として全体を一層化して次工程に送る時間の大幅な短縮化が図れるというメリットがある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
堆積状に供給された極小のワークを一層化及び分散させる一層化機構であって、上面開放され、内部を複数に区画するための区画部材を分離部として設けたエアチャンバと、このエアチャンバの前記上面開放面に設けられ、その表裏面に亘って該ワークよりさらに小さい多数の孔を有したポーラスプレートと、前記エアチャンバにおける各区画部にそれぞれ設けられて独立して空気が吸排気される吸排気部と、前記エアチャンバを所定角度傾斜させる傾斜部と、前記吸排気部と傾斜部とを制御する制御部とを備えた一層化機構。
【請求項2】
前記分離部内を中空として、中空とされた該分離部に対応した吸排気部を接続した請求項1記載の一層化機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極めて小さい、例えば半導体素子や電子・電気素子のような部品が乱雑に搬送されて多層状、山積状、といったように堆積して部品(以下、ワークという)が重なった状態を一層に均す装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークが搬送途中において、多層状、山積状になっていると、例えば個数を計数する工程であれば、重なった塊を1個と認識されてしまうので、正確な個数を計数できず、また、例えば外観検査工程であれば、重なって隠れたワークについての外観検査ができず、さらに、例えば個別に移載させる場合は、重なって隠れたワークを移載残しが生じる。したがって、ワークが堆積していれば、重なった状態を均す必要がある。
【0003】
例えば特許文献1(特開2020-111466号公報)には、ワークが接触した載置面や搬送面を揺動又は振動させたり、ヘラを用いたりする手法では、ワークを損傷する可能性あることから適してなく、堆積状のワークを一層化する有効な手立てが存在しないという課題を解決するために、次の構成とした一層化装置が開示されている。
【0004】
すなわち、特許文献1の一層化装置は、ワークの載置面に該ワークよりさらに小さい多数の孔を有すると共に内部が中空とされた載置台と、この載置台に接続されて該載置台の内部に正圧又は負圧を生じさせる吸排気機構と、載置台を揺動させる揺動機構と、吸排気機構と揺動機構とを駆動制御する制御部とを備えた構成とされている。
【0005】
しかしながら、特許文献1の一層化装置は、一層化するに際して堆積状のワーク全てを一斉に均す構成であったため、一層化したワーク全てを例えば移送するには、まずワーク全てを均した後になるため、却って時間がかかるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-111466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題は、次工程にワークを送るために堆積状のワーク全てを一斉に均した後となるので、時間がかかるといった点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明は、堆積状に供給された極小のワークを一層化及び分散させる一層化機構であって、上面開放され、内部を複数に区画するための区画部材を分離部として設けたエアチャンバと、このエアチャンバの前記上面開放部位に設けられ、その表裏面に亘って該ワークよりさらに小さい多数の孔を有したポーラスプレートと、前記エアチャンバにおける各区画部にそれぞれ設けられて独立して空気が吸排気される吸排気部と、前記エアチャンバを所定角度傾斜させる傾斜部と、前記吸排気部と傾斜部とを制御する制御部とを備える構成とした。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、エアチャンバを区画し、ワークを浮上させて隣接する区画に移動させる際、分離部により、所定数のワークだけが隣接する区画に移動するから、ワーク全体ではなく、数度に分けて分散・均していくので、結果として全体を一層化して次工程に送る時間の大幅な短縮化が図れるというメリットがある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の第1実施例構成を概略的に示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施例構成のエアチャンバ周辺を示す図である。
図3】本発明の第1実施例の制御フローチャートである。
図4】(a)(b)は本発明の第1実施例の動作を説明するための図である。
図5】(a)(b)は本発明の第1実施例の動作を説明するための図である。
図6】(a)(b)は本発明の第1実施例の動作を説明するための図である。
図7】(a)(b)は本発明の第1実施例の動作を説明するための図である。
図8】(a)(b)は本発明の第1実施例の動作を説明するための図である。
図9】本発明の第2実施例構成を概略的に示すブロック図である。
図10】本発明の第2実施例構成のエアチャンバを示す図である。
図11】本発明の第2実施例の制御フローチャートである。
図12】(a)~(h)は本発明の第2実施例の動作を説明するための図である。
図13】本発明の第3実施例構成を概略的に示すブロック図である。
図14】本発明の第3実施例構成のエアチャンバを示す図である。
図15】(a)~(d)は本発明の第3実施例の動作を説明するための図である。
図16】本発明の第4実施例構成を概略的に示すブロック図である。
図17】本発明の第4実施例構成のエアチャンバを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、堆積状のワーク全てを一斉に均す構成であると次工程に進むのに非常に時間がかかるという問題を、上面開放され、内部を複数に区画するための区画部材を分離部として設けたエアチャンバと、このエアチャンバの前記上面開放面に設けられ、その表裏面に亘って該ワークよりさらに小さい多数の孔を有したポーラスプレートと、前記エアチャンバにおける各区画部にそれぞれ設けられて独立して空気が吸排気される吸排気部と、前記エアチャンバを所定角度傾斜させる傾斜部と、前記吸排気部と傾斜部とを制御する制御部とを備える構成により解消した。
【0012】
エアチャンバは区画され、各区画に対応した吸排気部が接続されている。そして、各区画を隔てる区画部材が本発明では分離部として機能している。エアチャンバの上面全域はポーラスプレートが設けられ、該エアチャンバ内外の空気の流通が可能となっている。
【0013】
また、傾斜部はポーラスプレートを設けたエアチャンバを所定角度傾斜させるものであり、吸排気部による空気噴射により浮上したポーラスプレート上のワークの一方向から他方向への推進方向付けを行う。なお、本発明においてワークの一方向から他方向への推進力は、ワークの自重である。
【0014】
傾斜部と、吸排気部とは、制御部に接続されており、この制御部によりワークの大きさ(重さ)や全体量や切り分け量に応じて、傾斜角度や空気圧を制御することで、堆積状のワークを一定量ずつ切り分けて、広い区画に誘導して、ここで確実に一層化とワーク同士の分散を行う。
【0015】
要するに、本発明は、堆積状で供給されたワーク全てを一層化して次工程に送るという従来手法に代えて、堆積状で供給されたワークを少しずつ一層化して、一層化されたワークを次工程に送り、並行してさらに残りのワークを一層化する、端的にいえば、一層化作業と次工程に送る作業を並行して行うというものである。こうすることで、ワークを扱うライン工程において一層化工程の次工程の待機時間を短縮することができる。
【0016】
また、本発明は、上記構成において、前記分離部内を中空として、中空とされた該分離部に対応した吸排気部を接続してもよい。こうすることで、より効率的に一層化が可能となる。
【実施例0017】
以下、図1図17を参照して本発明の具体的な第1~第4実施例を説明する。本発明の一層化機構についての基本構成は第1実施例において説明する。第2~第4実施例では、第1実施例と異なる構成について説明することとし、第1実施例と重複する構成についての説明は省略し、図示においては同じ参照符号を示す。
【0018】
(第1実施例)
図1図8に示す本発明の一層化機構1は、上面が開放され、底面と4側面が閉塞したエアチャンバ2を備えている。エアチャンバ2は、内部が、第1実施例の場合、区画部材2Aにより、(図示左から)領域L1と領域L2とに2分割されている。第1実施例では、領域L1が領域L2よりも面積が広くなっている。そして、この区画部材2Aは、本発明では分離領域S(分離部)とされ、堆積したワークWの切り分け機能を果たしている。
【0019】
エアチャンバ2の領域L1と領域L2のそれぞれの底面には、各々独立して稼働する吸排気部P1(領域L1に対応)、吸排気部P2(領域L2に対応)が、バルブを介して接続されている。
【0020】
さらに、エアチャンバ2には、傾斜部3が設けられており、この傾斜部3は、該エアチャンバ2の一方端に軸部3Aが設けられ、他方端には傾動部3Bが設けられている。傾斜部3は、傾動部3Bにより他方端を上下動させることで、軸部3Aを中心にエアチャンバ2ごと傾斜させる構成とされている。なお、この傾斜部3に関しては、エアチャンバ2が傾斜させることができれば、特に構成の限定はしない。
【0021】
エアチャンバ2における上面の開放面には、その表裏面に亘って現行の最小サイズのワークWよりさらに小さいサイズの多数の孔を有したポーラスプレート4が設けられている。ポーラスプレート4は全領域一面に多数の孔を有したものであって区画されていないが、以下の説明では、このポーラスプレート4上において、上記のエアチャンバ2の領域L1、領域L2、分離領域Sを示している。
【0022】
ポーラスプレート4の上面には、枠体5が設けられている。この枠体5は、ポーラスプレート4上の4側面部の壁面として機能してワークWの落下、散乱を予防することと、該ポーラスプレート4をエアチャンバ2に取り付ける部材として機能して該ポーラスプレート4がエアチャンバ2の内圧で反ったり、該エアチャンバ2との接触部分に隙間が生じたりすることを予防する。
【0023】
ポーラスプレート4の上方には、撮像手段としてカメラ6が設けられ、このカメラ6で撮像したデータが処理部6Aに入力される。本例では、カメラ6はポーラスプレート4上全体を視野に入れる1台とされ、画角や視野の切り替えなどは後述の制御部7が行う。
【0024】
上記、吸排気部P1,P2、傾動部3B,処理部6Aは、制御部7において制御される。以下、制御部7によって、供給された堆積状のワークWを一層化及び分散し、次工程へワークWをピックアップするまでの具体的な制御手順について説明する。
【0025】
図3の手順1(以下#1と記す)、図4(a)(b)に示すように、制御部7は、エアチャンバ2を傾斜0°つまり水平にし、吸排気部P1,P2をOFF、つまり吸気も排気も行わない状態とし、この状態で、ワークWがポーラスプレート4上の領域L1に供給される。このとき、ワークWは山状に堆積された状態となっている。
【0026】
図3の#2、図5(a)(b)に示すように、制御部7は、ワークWが領域L1に供給された後に、吸排気部P1,P2をON、この場合は排気(エアチャンバ2内を正圧化する)する。このとき、ワークWがポーラスプレート4からの空気圧で浮上しようとして、堆積山が崩れ、裾野の面積が広がる。
【0027】
分離領域Sは第1実施例の場合、区画部材2Aによってポーラスプレート4の孔を塞いでいる。よって、エアチャンバ2の正圧の影響でワークWは浮上せず、水平であればほぼ分離領域Sを超えて領域L2に移動することはない。
【0028】
図3の#3、図6(a)(b)に示すように、制御部7は、吸排気部P1,P2をONとすると共に吸排気部P2の圧力を吸排気部P1より高くし、さらにエアチャンバ2を角度-θだけ傾斜するよう傾斜部3を制御する。なお、以下の説明では負角度はエアチャンバ2の図示右端が下がるように傾動することを、正角度はエアチャンバ2の図示右端が上がるように傾動することを、それぞれ意味する。
【0029】
制御部7は、傾斜部3を制御して、傾動部3Bにより軸部3Aを中心として、エアチャンバ2を水平にしたり、左端に対して右端側に下り勾配となる傾斜としたり、左端に対して右端側に上り勾配となる傾斜としたり、する。
【0030】
吸排気部P1,P2をONとすると共に吸排気部P2の圧力を吸排気部P1より高くし、エアチャンバ2を角度-θだけ傾斜すると、領域L1のワークWは、浮上してポーラスプレート4との接触摩擦による拘束から開放されて、傾斜と自重により領域L2に移動しようとする。
【0031】
このとき、分離領域Sは上記したとおり無圧状態であるため、領域L2へ移動しようとするワークWは該分離領域Sで停止するが、領域L1から領域L2へ移動しようとする後続に押されたワークWや堆積山が崩れる際に斜面を転動してワークWでなる少量のワークWが分離領域Sを超えて領域L2に移動する。
【0032】
図3の#4、図7(a)(b)に示すように、制御部7は、吸排気部P1,P2をONとすると共に吸排気部P2の圧力を吸排気部P1より高くし、エアチャンバ2を角度-θだけ傾斜させた状態を、所定時間維持した後、吸排気部P1だけOFFにする。
【0033】
これにより、領域L1に位置するワークWはポーラスプレート4と接触することとなり、(接触摩擦により)エアチャンバ2が傾斜していても領域L2側に移動しない。一方、既に領域L2に移動した一定量のワークWは、該領域L2においてポーラスプレート4の下り勾配端に向けて移動を続ける。
【0034】
ポーラスプレート4上のワークWは、極めて微細であるとしてポーラスプレート4の孔の開いている部分とそうでない部分とを移動することになるので、該ポーラスプレート4の面と常に平行に移動するのではなく、上下左右に微細に揺れながら(踊りながら)移動することとなる。したがって、上下で重なっていたり、前後左右で接触したりするワークWは、一層化されると共に分散化される。
【0035】
図3の#5、図8(a)(b)に示すように、制御部7は、領域L2にあるワークWが該領域L2の進行方向の所定位置に来たことをカメラ6で撮像して処理部6Aがその旨検知したとき、あるいは上記で吸排気部P1をOFFにして所定時間だけ経過したとき、吸排気部P1のみならず吸排気部P2をOFFとして、エアチャンバ2を水平に戻す。
【0036】
そして、カメラ6でポーラスプレート4における領域L2を撮像し、処理部6Aにより撮像した領域L2のワークWのうち、ピックアップするのに適した、垂直方向には上下重なりなく一層化され、水平方向には互いに接触せず間隔を有するように分散したワークWを画像判定し、そのデータをピックアップ機構(不図示)に送り、ピックアップ機構によりピックアップする(図3の#6)。
【0037】
領域L2のワークWのピックアップは、処理部6Aでピックアップすると判定されたワークWを全てピックアップし終える(図3の#7でYES)まで行われる(図3の#7でNOのとき#6に戻る)。
【0038】
制御部7は、領域L2におけるピックアップするワークWが無くなったとき(図3の#7でYES)、ポーラスプレート4の全てのワークWをピックアップしたか否かを判断し(図3の#8)、残っていなければ(図3の#8でYES)、処理を終了し、残っている場合は(図3の#8でNO)、#3に戻り、#8までの処理を繰り返す。
【0039】
なお、図3の#8でNOにより、#3に処理を戻す際に、吸排気部P1,P2を同圧でONにして、エアチャンパ2を角度+θに傾斜させて、領域L2に残留している可能性のあるワークWを領域L1に戻す処理を加えてもよい。
【0040】
(第2実施例)
図9図12に示す第2実施例の一層化機構1は、以下が第1実施例と異なる構成である。第2実施例は、第1実施例よりワークWの量がかなり多い場合に好適である。第2実施例では、エアチャンバ2は、2個の区画部材2A,2Aにより(図示左から)領域L1,L2,L3の3分割され、それぞれの区画に吸排気部P1(領域L1)、吸排気部P2(領域L2)、吸排気部P3(領域L3)が設けられている。また、第2実施例では、例えば領域L1と領域L3の面積は同じで、これらの間の領域L2の面積は領域L1,L3よりも大きくされている。
【0041】
以下、制御部7によって、供給された堆積状のワークWを一層化及び分散し、次工程へワークWをピックアップするまでの具体的な制御手順について説明する。
【0042】
図11の#11、図12(a)に示すように、制御部7は、エアチャンバ2を傾斜0°つまり水平にし、吸排気部P1,P2,P3をOFF、つまり吸気も排気も行わない状態とし、この状態で、ワークWがポーラスプレート4上の領域L2に供給される。このとき、ワークWは山状に堆積され、一部が領域L1,L3にも位置した状態となっている。
【0043】
図11の#12、図12(b)に示すように、制御部7は、ワークWが供給された後に、吸排気部P1,P2,P3をONにして、エアチャンバ2内を正圧化すると共にエアチャンバ2を角度-θだけ傾斜するよう傾斜部3を制御する。このとき、全てのワークWが領域L3に移動する。
【0044】
図11の#13、図12(c)に示すように、制御部7は、吸排気部P1,P2,P3をONとすると共に吸排気部P1,P2の圧力を吸排気部P3より高くし、さらにエアチャンバ2を角度+θだけ傾斜するよう傾斜部3を制御する。このとき、領域L3のワークWは、浮上してポーラスプレート4との接触摩擦による拘束から開放されて、傾斜と自重により領域L2,L1に一層化及び分散化しつつ移動する。
【0045】
図11の#14、図12(d)に示すように、制御部7は、領域L3にあるワークWが該領域L2又は領域L1の進行方向の所定位置に来たことをカメラ6で撮像して処理部6Aがその旨検知したとき、あるいは上記で吸排気部P1,P2を吸排気部P3より高圧にして所定時間だけ経過したとき、吸排気部P1,P2,P3をOFFとして、エアチャンバ2を水平に戻す。
【0046】
そして、カメラ6でポーラスプレート4における領域L2,L1を撮像し、処理部6Aにより撮像した領域L2,L1のワークWのうち、ピックアップするのに適した、垂直方向には上下重なりなく一層化され、水平方向には互いに接触せず間隔を有するように分散したワークWを画像判定し、そのデータをピックアップ機構(不図示)に送り、ピックアップ機構によりピックアップする(図11の#15)。
【0047】
領域L2,L1のワークWのピックアップは、領域L2,L1において処理部6Aでピックアップすると判定されたワークWを全てピックアップし終える(図11の#16でYES)まで行われる(図11の#16でNOのとき#13に戻る)。
【0048】
制御部7は、領域L2,L1におけるピックアップするワークWが無くなったとき(図11の#16でYES)、ポーラスプレート4の全てのワークWをピックアップしたか否かを判断し(図11の#17)、残っていなければ(図11の#17でYES)、処理を終了し、残っている場合は(図11の#17でNO)、#18に進む。
【0049】
図11の#18、図12(e)に示すように、領域L3,L2,L1に未だワークWが残っている場合は、吸排気部P1,P2,P3をONにすると共にエアチャンバ2を角度+θだけ傾斜するよう傾斜部3を制御する。このとき、ワークWは、領域L1に向けて移動を開始する。
【0050】
図11の#19、図12(f)に示すように、制御部7は、領域L1にワークWが集約されたことをカメラ6の撮像データにより検知したとき、吸排気部P1,P2,P3をOFFにすると共にエアチャンバ2を水平に戻す。
【0051】
図11の#20、図12(g)に示すように、制御部7は、吸排気部P1,P2,P3をONとすると共に吸排気部P2,P3の圧力を吸排気部P1より高くし、さらにエアチャンバ2を角度-θだけ傾斜するよう傾斜部3を制御する。このとき、領域L1のワークWは、浮上してポーラスプレート4との接触摩擦による拘束から開放されて、傾斜と自重により領域L2,L3に一層化及び分散化しつつ移動する。
【0052】
図11の#21、図12(h)に示すように、制御部7は、領域L1にあるワークWが該領域L2又は領域L3の進行方向の所定位置に来たことをカメラ6で撮像して処理部6Aがその旨検知したとき、あるいは上記で吸排気部P2,P3を吸排気部P1より高圧にして所定時間だけ経過したとき、吸排気部P1,P2,P3をOFFとして、エアチャンバ2を水平に戻す。
【0053】
そして、カメラ6でポーラスプレート4における領域L2,L3を撮像し、処理部6Aにより撮像した領域L2,L3のワークWのうち、ピックアップするのに適した、垂直方向には上下重なりなく一層化され、水平方向には互いに接触せず間隔を有するように分散したワークWを画像判定し、そのデータをピックアップ機構(不図示)に送り、ピックアップ機構によりピックアップする(図11の#22)。
【0054】
そして、カメラ6でポーラスプレート4における領域L1,L2,L3を撮像し、ポーラスプレート4の全てのワークWをピックアップしたか否かを判断し(図11の#23)、残っていなければ(図11の#23でYES)、処理を終了し、残っている場合は(図11の#23でNO)、#12に戻り、#23までの処理を繰り返す。
【0055】
(第3実施例)
図13図15に示す第3実施例の一層化機構1は、以下が第1実施例と異なる構成である。第3実施例は、領域L1と領域L2を区画する区画部材2Aの内部が中空で、この領域を調整領域Scとしている、つまり(図示左から)領域L1、調整領域Sc、領域L2とされている。また、調整領域Scは、これに対応した吸排気部Pcが設けられている。さらに、領域L1の面積が領域L2よりも小さくされている。
【0056】
以下、制御部7によって、供給された堆積状のワークWを一層化及び分散し、次工程へワークWをピックアップするまでの制御手順について説明する。第3実施例の制御手順は、構成が相違するので異なる手順があるが、領域L1にワークWが供給され、領域L1から一定量のワークWを領域L2制に切り出し、領域L2において一層化及び分散化されたワークWをピックアップするという手順は、上記図3及び図4図8に示した第1実施例の制御手順に準じている。
【0057】
第3実施例において、制御部7は、図15(a)に示すように、吸排気部P1,Pc,P2をOFFにすると共にエアチャンバ2を水平とする。この状態でワークWが領域L1に供給される。
【0058】
ワークWが領域L1に供給された後、図15(b)に示すように、制御部7は、吸排気部PcをOFFのまま、吸排気部P2を吸排気部P1よりも高圧にして吸排気部P1,P2をONにすると共にエアチャンバ2を角度-θだけ傾斜させる。このとき、調整領域Scは、領域L1から領域L2側へ移動しようとするワークWを一旦停止させる分離領域Sとして機能している。
【0059】
上記の後、図15(c)に示すように、制御部7は、上記でOFFとしていた吸排気部Pcを吸排気部P2と同圧にてONにし、所定時間経過後にOFFとすることを繰り返す。これを数度繰り返すことで、領域L2に移動するワークは、吸排気部PcをOFFにした時間分だけ領域L1-L2方向に間隔が空き、ワークW同士をより確実に分散させることができる。
【0060】
そして、図15(d)に示すように、制御部7は、吸排気部PcのON・OFFの繰り返しを所定回数行った後、吸排気部P1,Pc,P2をOFFとして、エアチャンバ2を水平に戻して、領域L2に位置するワークWをピックアップする。
【0061】
なお、ポーラスプレート4上に残留するワークWが存在する場合は、図15(c)に戻って処理を繰り返すが、この間に吸排気部P1,Pc,P2を同圧でONにして、エアチャンパ2を角度+θに傾斜させて、領域L2に残留している可能性のあるワークWを領域L1に戻す処理を加えてもよい。
【0062】
(第4実施例)
図16図17に示す第4実施例の一層化機構1は、以下が第1実施例と異なる構成である。第4実施例は、領域L1と領域L2を区画する区画部材2Aの内部が中空で、この領域を調整領域Scとしている、つまり(図示左から)領域L1、調整領域Sc、領域L2とされている。
【0063】
また、区画部材2Aの内部中空は、領域L1,L2方向と直交する方向に複数区画され、前記領域L1,L2方向と直交する方向に交互に調整領域Sc1,Sc2が設けられている。すなわち調整領域Scは調整領域Sc1,Sc2で構成されている。さらに、これら調整領域Sc1,Sc2に対応した吸排気部Pc1,Pc2が設けられている。また、領域L1の面積が領域L2よりも小さくされている。
【0064】
以下、制御部7によって、供給された堆積状のワークWを一層化及び分散し、次工程へワークWをピックアップするまでの制御手順について説明する。第4実施例の制御手順は、構成が相違するために異なる手順があるが、領域L1にワークWが供給され、領域L1から一定量のワークWを領域L2制に切り出し、領域L2において一層化及び分散化されたワークWをピックアップするという点は、図3及び図4図8に示した第1実施例の制御手順に準じている。
【0065】
第4実施例において、制御部7は、吸排気部P1,Pc1,Pc2,P2をOFFにすると共にエアチャンバ2を水平とする。この状態でワークWが領域L1に供給される。
【0066】
ワークWが領域L1に供給された後、制御部7は、吸排気部Pc1,Pc2,をOFFのまま、吸排気部P2を吸排気部P1よりも高圧にして吸排気部P1,P2をONにすると共にエアチャンバ2を角度-θだけ傾斜させる。このとき、調整領域Sc1,Sc2は、領域L1から領域L2側へ移動しようとするワークWを一旦停止させる分離領域Sとして機能している。
【0067】
上記の後、制御部7は、上記でOFFとしていた例えば吸排気部Pc1を吸排気部P2と同圧にてONにし、所定時間経過後に吸排気部Pc1をOFFとすると同時に吸排気部Pc2をONにすることを繰り返す。これを数度繰り返すことで、領域L2に移動するワークは、吸排気部Pc1,Pc2をOFFにした時間分だけ領域L1-L2方向及び該領域L1-L2方向と直交する互いに隣接する調整領域Sc1、Sc2の間隔が空き、ワークW同士をより確実に分散させることができる。
【0068】
そして、制御部7は、吸排気部Pc1,Pc2の交互のON・OFFの繰り返しを所定回数行った後、吸排気部P1,Pc1,Pc2,P2をOFFとして、エアチャンバ2を水平に戻して、領域L2に位置するワークWをピックアップする。
【0069】
なお、ポーラスプレート4上に残留するワークWが存在する場合は、処理を繰り返すが、吸排気部P1,Pc,P2を同圧でONにして、エアチャンパ2を角度+θに傾斜させて、領域L2に残留している可能性のあるワークWを領域L1に戻してから処理を繰り返すようにしてもよい。
【0070】
このように、本発明は、砂状、粉状、の極小サイズのワークWが一度に大量かつ堆積状に供給された場合に、個別化する際に大きなメリットがある。すなわち、本発明の一層化機構は、全てのワークWを一層化及び分散化して次の工程に送るのではなく、一定量ずつ切り分けて一層化及び分散化するので、一層化機構の次の工程の設備の待機時間が著しく短縮できる。
【0071】
なお、上記で「吸排気部」とした構成については、上記実施例では排気のみを行う構成としていたが、例えば給気も制御において活用することでさらに効率的な動作を実現できる可能性がある。
【符号の説明】
【0072】
1 一層化機構
2 エアチャンバ
2A 区画部材
3 傾斜部
4 ポーラスプレート
6 カメラ
7 制御部
L1 L2 L3 領域
S S1 S2 分離領域
Sc Sc1 Sc2 調整領域
P1 P2 P3 Pc Pc1 Pc2 吸排気部
図1
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図3
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