(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080229
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】内視鏡ホルダー及び内視鏡保管庫
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240606BHJP
G02B 23/24 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A61B1/00 653
G02B23/24 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193252
(22)【出願日】2022-12-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-03
(71)【出願人】
【識別番号】392033842
【氏名又は名称】タイホー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100122954
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷部 善太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100194803
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 理弘
(72)【発明者】
【氏名】椎名 敬一
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040EA02
4C161GG13
(57)【要約】
【課題】内視鏡を吊り保管するにあたり、集中荷重を抑制するホルダーを開発する。
【解決手段】内視鏡を吊り下げ保持する内視鏡ホルダー1であって、ホールド部2と軸部5を備えており、ホールド部2は、操作部受部3とコネクタ受部4を備え、操作部受部3とコネクタ受部4はホールド折部34で屈曲した傾斜面を備えており、軸部5は、垂下部材であり、上側が取付部54であり、下側がホールド部2に接続されている内視鏡ホルダー1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡を吊り下げ保持する内視鏡ホルダーであって、
ホールド部と軸部を備えており、
ホールド部は、操作部受部とコネクタ受部を備え、操作部受部とコネクタ受部はホールド折部で屈曲した傾斜面を備えており、
軸部は、垂下部材であり、上側が取付部であり、下側がホールド部に接続されていることを特徴とする内視鏡ホルダー。
【請求項2】
コネクタ受部の一方の側部と軸部の下側がコネクタ部の傾斜に沿って接続しており、他方の側部に振止が設けられており、
操作部受部の両側部には振止が設けられており、一方の振止の上部は操作部側面受を形成していることを特徴とする請求項1記載の内視鏡ホルダー。
【請求項3】
操作部受部の一方の側部の上部に、内視鏡の操作部の側面を支える操作部側面受が設けられており、
コネクタ受部の下端に、下方に傾斜したコード受が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡ホルダー。
【請求項4】
軸部は、面状の軸部本体、軸部本体の側部から屈曲して設けられたリブ部とプレート部、軸部本体の上部から屈曲して設けられた取付部を有しており、
プレート部の下部には切欠部、切欠部の下方には基部凸部が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡ホルダー。
【請求項5】
コネクタ受部の上面には立上部を備えたガイド部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡ホルダー。
【請求項6】
操作部受部、コネクタ受部と軸部は、一枚の金属板から折り曲げ加工されたものであることを特徴とする請求項1又は2記載の内視鏡ホルダー。
【請求項7】
樹脂塗膜で全体が被覆されていることを特徴とする請求項1又は2記載の内視鏡ホルダー。
【請求項8】
前面に開閉部を有し、請求項4に記載された内視鏡ホルダーを内視鏡の先端が底部に接触しない高さに設置してある内視鏡保管庫であって、
プレート部が開閉部側に向けて設置されていることを特徴とする内視鏡保管庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の保管技術に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は繰り返して使用される機器である。再使用に伴う感染のおそれがあるため、消毒や保管が大切である。
日本消化器内視鏡技師会安全管理委員会から内視鏡の洗浄・消毒に関するガイドライン(第2版、2004年)が示されている。このガイドラインには、内視鏡を介した医療関連感染を防ぐための基本的な内容、感染対策の原則、内視鏡の構造、効果的な洗浄・消毒の方法と使用薬剤、職業安全などが体系的に記載されている。内視鏡洗浄後の消毒方法として、2%グルタラール10分間、0.55%フタラール5分間、0.3%過酢酸5分間の消毒等が紹介されている。消毒後の保管について次のように記載されている。内視鏡のチャンネル内に水分が残っていると保管中に細菌が増加するので、細菌の増加を防ぐために乾燥させる。そのため内視鏡は、送気・送水ボタン、吸引ボタン、鉗子栓などを装着せずにハンガーに掛けて保管する。
【0003】
本出願人は、衛生的に内視鏡を保管する技術に関し、いくつかの提案をしている。
例えば、クリーンにしたエア換気を行う内視鏡保管庫を特許文献1(特許第5476512号公報)に提案した。さらに、クリーン性を保つ内視鏡の保管に関する技術の開発を進めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、内視鏡を吊り保管するにあたり、集中荷重を抑制するホルダーを開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、操作部とコネクタ分岐部を左右に振り分けた面状の受部で受けて、面状部でも荷重を支える構造のホルダーを開発したものである。本発明は、次の事項を要旨とする。
1.内視鏡を吊り下げ保持する内視鏡ホルダーであって、
ホールド部と軸部を備えており、
ホールド部は、操作部受部とコネクタ受部を備え、操作部受部とコネクタ受部はホールド折部で屈曲した傾斜面を備えており、
軸部は、垂下部材であり、上側が取付部であり、下側がホールド部に接続されていることを特徴とする内視鏡ホルダー。
2.コネクタ受部の一方の側部と軸部の下側がコネクタ部の傾斜に沿って接続しており、他方の側部に振止が設けられており、
操作部受部の両側部には振止が設けられており、一方の振止の上部は操作部側面受を形成していることを特徴とする1.記載の内視鏡ホルダー。
3.操作部受部の一方の側部の上部に、内視鏡の操作部の側面を支える操作部側面受が設けられており、
コネクタ受部の下端に、下方に傾斜したコード受が設けられていることを特徴とする1.又は2.に記載の内視鏡ホルダー。
4.軸部は、面状の軸部本体、軸部本体の側部から屈曲して設けられたリブ部とプレート部、軸部本体の上部から屈曲して設けられた取付部を有しており、
プレート部の下部には切欠部、切欠部の下方には基部凸部が形成されていることを特徴とする3.に記載の内視鏡ホルダー。
5.コネクタ受部の上面には立上部を備えたガイド部が設けられていることを特徴とする3.に記載の内視鏡ホルダー。
6.操作部受部、コネクタ受部と軸部は、一枚の金属板から折り曲げ加工されたものであることを特徴とする1.又は2.記載の内視鏡ホルダー。
7.樹脂塗膜で全体が被覆されていることを特徴とする1.又は2.記載の内視鏡ホルダー。
8.前面に開閉部を有し、4.に記載された内視鏡ホルダーを内視鏡の先端が底部に接触しない高さに設置してある内視鏡保管庫であって、
プレート部が開閉部側に向けて設置されていることを特徴とする内視鏡保管庫。
【発明の効果】
【0007】
1.本発明は、内視鏡の操作部とコネクタ分岐部を左右に振り分けた面状のホールド部で受けることにより、面状部でも荷重を支える構造のホルダーであり、内視鏡を吊り保管するにあたり、集中荷重を抑制することができる内視鏡ホルダーを開発できた。
2.ホールド部を形成する左右に振り分けた面の側部に振止を設けたので、内視鏡の吊り下げ姿勢が乱れずに、揃えることができ、内視鏡保管庫に複数の内視鏡を整然と保管することができる。また、操作部側面受を設けて内視鏡の側部の膨らみ部を受け止めることができるようにしたので、内視鏡の保管姿勢を真直ぐにすることができる。
3.ホールド部のコネクタを受ける側に面の先端に下方に傾斜したコード受を設けたので、コネクタコードが湾曲して下方に案内されることになり、コネクタコードに無理な曲げ負荷が発生しない。
4.ホールド部を固定する軸部を面状とし、側部側を折り曲げて、断面コ字状としたので、軸部の強度を向上させることができ、前側をプレート部として、係止する内視鏡の情報などを表示できるようにした。
5.コネクタ受部にガイドを設けて、面を左右に分岐して、内視鏡の種類に応じた案内をすることができる。この適切な案内によって、内視鏡は正しい姿勢を維持することができる。
6.内視鏡は、種類によって外形が異なるので、振止、操作部側面受やコネクタ部のガイド部などを設けることにより、本発明の内視鏡ホルダーではそれぞれの内視鏡の適した保管姿勢を保つことができる。
7.操作部受部、コネクタ受部と軸部を一枚の金属板を折り曲げて形成されている折板製なので、基本が一体として安定している。複数部品をねじ止めなどすると緩みなどが生じてがたつきの危険があるが、一体型なので、ホルダーの安定性が保たれる。
8.全体を樹脂塗膜で被覆することにより、金属の腐食などが防止でき、内視鏡を衛生的に保管することができる。全体をナイロンなどの樹脂で被覆してあるので、アルコールなどを使用した消毒に対する耐性が強く、内視鏡保管庫と同じ消毒剤を使うことができる。金属板を折り曲げてできる際に生ずる狭い隙間やガイド部との取り付け隙間などを、樹脂が埋めて一体に被覆するので、表面に隙間ができず、細菌が侵入しないようにすることができる。
9.吊り下げ荷重が集中しない本内視鏡ホルダーを設置した内視鏡保管庫は、複数の内視鏡を整然とした姿勢で保管でき、情報表示もできるので、管理と利用が容易となる。保管庫内のホルダーを内視鏡の挿入部やコネクタの先端が底面につかない高さに設置すると、内視鏡の挿入部及びコネクタのコードをフリー状態で係止することができ、人体への挿入部に曲げくせが生じない。コネクタのコードも曲げくせがつかないので、内視鏡の使用中に必要となる微妙な操作への影響が少なくなる。
そして、鉛直状態になっており、管の内部に水分等が残りにくいので、衛生的である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】内視鏡ホルダーの基本形2の構造例を示す図。
【
図5】内視鏡ホルダーの実施例のコネクタ受部のガイドを示す図。
【
図6】内視鏡ホルダーの実施例の本体展開図を示す図。
【
図7】内視鏡ホルダーの実施例のコネクタ受部のガイド部材の展開図と折り曲げ断面図を示す図。
【
図9】内視鏡をホールドしている内視鏡の状態を例示する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明は、操作部とコネクタ分岐部を左右に振り分けた面状の受部で受けて、面状部でも荷重を支える構造の内視鏡用のホルダーを開発したものである。
本発明の内視鏡ホルダーの基本形を
図1に示す。この基本形の内視鏡ホルダー1は、ホールド部2と軸部5を備えていて、ホールド部2は、操作部受部3とコネクタ受部4を備え、操作部受部3とコネクタ受部4はホールド折部34で屈曲した傾斜面を備えており、軸部5は、垂下部材であり、上側が取付部54であり、下側がホールド部2と軸折部で水平に対して傾斜するように取付角θ1の角度で接続される構成である。
操作部受部3とコネクタ受部4は、ホールド角θ2の角度に形成されたホールド折部34で屈曲した面で形成されている。鉛直線に対する操作部受部3の角度を操作部受角θ3として、ホールド角θ2を90°とすると、θ1=θ3となるので、操作部受部3とコネクタ受部4の傾斜の設定が容易である。
なお、軸部5をホールド部の側部に取り付けて、上方に延ばして、内視鏡保管庫などに固定することもできる。例えば、ホールド折部の側部に取り付けることができる。
【0010】
図8に内視鏡を内視鏡ホルダーに係止した状態を示す。
本発明の内視鏡ホルダー1に内視鏡9のコネクタの分岐部95がホールド折部34に位置するように係止されることになる。係止姿勢は、内視鏡9の操作部91が内視鏡ホルダー1の操作部受部3に載り、内視鏡のコネクタ側の分岐基部96がコネクタ受部4に載ることになるので、内視鏡のコネクタ部93の重量がホールド折部34に集中せずに分散することになる。集中荷重によるコネクタ側の分岐部にダメージが生ずること防止することができる。また、内視鏡9の操作部91とコネクタ部93の分岐基部96が内視鏡ホルダー1の操作部受部3とコネクタ受部4の面に載置されるので姿勢を保つことができ、内視鏡9の吊り姿勢を一定にすることができる。
【0011】
この内視鏡ホルダーは、一枚の金属板を折り曲げ加工して製造することができる。
この内視鏡ホルダーは、部材間の隙間がほとんど無いように折り曲げるか、あるいは、消毒できるような間隔を設けるように加工する。部材間が接近している場合は、樹脂で全体が被覆されて、表面からは一体に見えるようになる。
金属板を折り曲げて成形したのち、全体を樹脂被覆する。用いる樹脂材料は、溶剤を使用しない熱可塑性樹脂が望ましく、ナイロン樹脂などが適している。被覆手段は、各種適用できる。例えば、粉末を静電付着して加熱溶融して膜状に形成する静電塗装、フィルムを溶着する方法、溶融した樹脂液にどぶ付けする方法などである。
【0012】
内視鏡ホルダーの基本形2の構造例を
図2に示す。
基本形2は、基本形に対して、ホールド部2を形成する面状の操作部受部3とコネクタ受部4の側部に壁状に立ち上がった振止33、43を設けたものである。振止は、係止した内視鏡の操作部とコネクタ部が操作部受部3とコネクタ受部4から、外れることを防止して、内視鏡の係止姿勢を保持する機能である。
操作部受部3の振止33は、両側部に設けられる。コネクタ受部4の振止43は、一方に軸部5があるので片方の側部に設けられる。
軸部5の上側に折り曲げて形成された取付部54が設けられている。
振止33、43と取付部54は、基本形を構成する一枚の金属板を折り曲げて形成することができる。
【実施例0013】
実施例を
図3~7に示す。
図3は斜視図、
図4は側面図、
図5はコネクタガイド部の断面図、
図6はホルダーの展開図、
図7はガイド部の展開図と折り曲げ断面図である。
本実施例の内視鏡ホルダー11は、基本形2に基づいている。
内視鏡ホルダー11は、ホールド部2と軸部5を備えている。
ホールド部2は、面状体を中間のホールド折部34をホールド角θ2で折り曲げて、一方を操作部受部3、他方をコネクタ受部4としている。コネクタ受部4の一方の側部には面状の軸部5が、取り付け角θ1の傾斜で取り付けられている。本例では、ホールド角θ2は直角としている。
操作部受部3とコネクタ受部4の傾斜は、特に、特定の値はないが、内視鏡の挿入部やコネクタコードを吊って、内部に水分が溜まらず、曲げ癖が付かないように、内視鏡を吊り下げることが重要である。そのため、挿入部やコネクタコードが操作部受部の先端やコネクタ受部の先端で急に折れ曲がらないようにする必要がある。また、内視鏡保管庫の奥行に納まるように、内視鏡の吊下げ幅を設定することも実用上の要件となる。本例では、操作部受部の傾斜をコネクタ受部よりも急傾斜にしている。
本例では、ホールド部2を右、コネクタ受部4を左に図示しているが、左右を特定するものではなく、軸部の取り付けは操作部受部側でも可能であり、また、他方の側部でも良い。
【0014】
操作部受部3は、図示で右下方に傾斜しており、内視鏡の操作部が載る面を構成する。操作部受部3は、操作部受部本体31の側部下方の両側に振止33、33が設けられている。振止33、33は、係止された内視鏡の操作部が横ずれすることを防止する。本例では、左側の振止を右側よりも小さくして、内視鏡の内視鏡ホルダーへの着脱操作が容易になるようにしている。
操作部受部本体31の側部上方に操作部側面受32が立ち上げられている。操作部側面受32の上辺が内視鏡の操作部の側面に膨らんでいる部分を受け止める機能を有する。操作部側面受32の上辺は、やや湾曲して設けて、この膨らみの外形に沿った形状にすると受け止め機能が向上する。なお、内視鏡の種類によっては、この膨らみがない機種に対しては、受け止め機能は発揮せず、側面のズレ規制となる。この操作部側面受32は、軸部の取り付け側に設けられている。
一般的な内視鏡は、操作部を右側にすると、操作部にあるダイヤルが正面側になる。この一般的な内視鏡を前提として、この膨らみは、内視鏡の操作用にダイヤルが設けられていない側となる。
【0015】
コネクタ受部4は、図示で左傾斜に設けられ、操作部受部3よりも緩傾斜となっている。前述したように、コネクタコードが急角度で折れ曲がらないように、先端にコード受45を設け、緩和措置をしている。
コネクタ受部4は、コネクタ受部本体41と、コネクタ受部本体41の一方の側部に傾斜に相当する取付角θ1の角度で折り曲げられた軸折部21で軸部5とつながっている。コネクタ受部4の他方の側部には振止43が立ち上がっている。コネクタ受部本体41の先端には、下方に傾斜させた舌状のコード受45が設けられている。
【0016】
そして、本例では、コネクタ受部本体41の中間長手方向に壁状に立ち上がっているガイド壁44で仕切られたガイド部42を設けている。中央のガイド壁44と一方側部の軸部5、他方側部の振止43とで、溝状のコードを案内するガイド溝46が2つ設けられることになる。
本例では、他の部材でガイド部42を形成して、コネクタ受部本体41に接合しているが、ホールド部2と軸部5を形成する一枚の金属板を折り曲げ加工して形成することもできる。
内視鏡の種類によって、コネクタコードの分岐部の位置が異なることがある。異なる種類の内視鏡に対応するためにコネクタ受部本体41の幅を設定すると、コネクタコードがコネクタ受部本体41で左右に遊ぶこととなり、内視鏡の操作部側も左右に振られて、安定しないこととなるので、内視鏡によって、コネクタコードを流す狭いガイド溝46(46a、46b)を左右に設けることとする。
ガイド壁44は、一枚の壁状であっても良いが、コネクタコードの太さに合わせたガイド溝46の幅に設定するために、幅を設けることもでき、本例では2枚設け溝を狭くしている。さらに、本例では、ガイド壁44の上端側を内側に折り曲げて、コネクタコードをガイド溝46(46a、46b)に案内しやすくしている。
【0017】
図5にガイド部42を設けたコネクタ受部4の断面を示している。
軸部5から軸折部21を経てコネクタ受部本体41を形成し、先端側に立ち上がっている振止43が一枚の板体で形成されている。コネクタ受部本体41の中間部に左ガイド部材44aと右ガイド部材44bで形成されたガイド壁44が設けられている。左右のガイド部材は、コネクタ受部本体41とは別体で形成されて、コネクタ受部本体41に接合されている。
左右のガイド部材は、急角度の立上部と上部の緩傾斜部から形成されており、対向して設けて山形のガイド壁44を形成している。この山形ガイド壁44で左右にガイド溝46a、46bが形成され、山形の頂部からコネクタコードがスムーズにガイド溝に案内されて納まることとなる。
【0018】
軸部5は、板状体であって、軸部本体51と軸部本体51の下方がコネクタ受部4に接続し、上方が折り曲げられた面状の取付部54となっている。
軸部本体51の両側部は折り曲げられてプレート部53とリブ52を形成している。折り曲げられて形成されたプレート部53とリブ52は、軸部本体51の捻じれなどの変形を防止する軸体の強化機能を果たす。プレート部53には、内視鏡の管理記号等を表示する。プレート部53は、軸部本体51の側部の一方又は両方に設けることができる。通常、プレート部53は、保管庫の扉(開閉部)に対して正対する方向に設ける。保管庫の背面側にも扉を設ける場合などには、リブ52にも情報を表示することができる。
【0019】
本例の内視鏡ホルダーを型取りして、折り曲げ加工する金属板の展開図を
図6、7に示す。
図6に内視鏡ホルダーの本体展開図を示し、
図7にガイド部材の展開図を示す。
本例では、内視鏡ホルダーを、ガイド部42のガイド壁44以外は、折板となる一枚の金属板から折り曲げ加工するので、ガイド部42を形成するガイド部材以外の部分をホルダー本体部材101として扱う。
ホルダー本体部材101は、大きく、操作部受片113、コネクタ受片114と軸本体片115の3片から構成され、折り曲げ成形される折板である。操作部受片113とコネクタ受片114の中間が山折線161とで山折りされてホールド折部34となる。コネクタ受片114と軸本体片115は取付角θ1の角度でつながっている。コネクタ受片114と軸本体片115の接続部は谷折線171で谷折りされて軸折部21となる。なお、山折線を鎖線、谷折線を一点鎖線で図示している。
【0020】
以下図示の方向にしたがって、左右、上下と称して、操作部受片113、コネクタ受片114、軸本体片115について説明する。
操作部受片113はコネクタ受片114の幅よりも狭くなっていて、右側の上部に操作部側面受片122、下部に振止片123が設けられ、左側の下部に振止片124が設けられている。これらは、谷折線173、174、175に沿って、折り曲げられる。
操作部側面受片122の上辺は、山折線161の延長線上にあり、先端に向かって上方に湾曲形状に形成されている。これは、内視鏡の操作部の側面の膨らみを支えるために、膨らみの丸みに対応できるように形成されている。内視鏡の膨らみ形状が変われば、それに合わせて変更することができる。
振止片123は振止片124よりも、高くなるように設けられている。
【0021】
ホールド折部34の幅を操作部受幅D1とし、その中央点を通る線を中心線LIとすると、本例では、各種の内視鏡を安定してホールドできるように、各部の幅と、中央線に対して偏りを持たせて設定している。
操作部受幅D1は、各種の内視鏡の幅を支えることができる幅に設定してある。操作部受片113の下端は内視鏡に鉗子口の上の部分に接触するように設定されている。鉗子口部分は膨らんでいるものもあるので、その上部で細くなっている部分を支えることができる位置になっている。操作部受片113の長さは、これより長くても良いが、下端をこの位置に設けると、内視鏡の操作部側の細くなっている部分を支えるので、幅を広くせずに左右の振止片でしっかりと押さえることができる。したがって、操作部受片の長さを短くして、幅も狭くすることができるので、操作部受片をコンパクトにすることができる。
操作部側面受片122よりも右側の振止片123が左に寄せて設定してあるのは内視鏡の形状に合わせたためである。なお、操作部側面受片122と右側の振止片123は、上下に分離せずに一連に設けることもできるが、適切な設定位置及び、分離することで間に空間を設けて、軽量化をはかることができる。
左側の振止片124は、中心線L1に対して左に寄せてあり、コネクタ受片のコネクタ受幅D2の左端の延長線上に設けてある。本例では、軸部5側に内視鏡のコネクタ分岐部が接触され、操作部側の左の位置が決まるので、内視鏡の操作部の位置に合わせて設定されている。
内視鏡の種類によって、操作部の形状やコネクタ分岐部の位置が異なるので、それぞれの専用の内視鏡ホルダーを設計することもできるが、本例では、汎用性を持たせる工夫をしている。例えば、汎用性を出すために、コネクタ受部のガイドを左右に設けること、操作部受部の幅を上下で調整し、中心線から右に片寄らせていること、操作部側面受片などを設けて、各種の内視鏡のホールド姿勢を安定させる工夫をしている。内視鏡の例示として、
図8(a)には、消化器用内視鏡の一例が示されており、コネクタ分岐部が側方に飛び出した形になっている。
図8(d)には、気管支用内視鏡の一例が示されており、コネクタ分岐部95が操作部91の後方に設けられ、操作部には2つのスイッチ99、鉗子口97が側方に設けられている。
【0022】
コネクタ受片114は、中心線L1がコネクタ受幅D2の中心にあるように設定されている。本例は、コネクタの分岐部が内視鏡操作部の右側に寄っているものも許容するように設定されている。また、他の内視鏡ではコネクタの分岐部が中間に寄っているものあるので、コネクタ受片の幅は広くとってあり、コネクタの分岐部の位置に合わせて、ガイドできるように、ガイド部を設けている。
コネクタ受片114の右側が軸本体片115に延びている。軸部本体は鉛直に内視鏡保管庫などに取り付けた状態で、コネクタ受部4が所定の取付角の角度(θ1)で傾斜する関係になっている。コネクタ受片114の左辺は、谷折線172を介して振止片121となっている。このコネクタ受片の上部に
図5に示すようにガイド部42が設けられる。
【0023】
軸本体片115は、上側に山折線162を介してリブ片118が設けられている。軸本体片115の下側に山折線164を介してプレート片116が設けられ、切欠119、下端に基部凸部117が設けられている。軸本体片115は、右側に山折線165を介して取付片130が設けられている。取付片130には、ビス用開口132が設けられている。
図6ではビス用開口132は5個であるが、個数に限定はない。
軸本体片115は、金属板であるので、内視鏡を内視鏡ホルダーに係止したときのふらつきの影響で、軸部に捩れが生ずる恐れがあるが、軸本体片の両側に折り曲げられるリブ片118とプレート片116が存在するので、捩れずに、内視鏡ホルダーは安定した姿勢を保持することができる。
プレート片116は、内視鏡の種類や管理記号などの情報を表示するために必要な大きさ(幅と長さ)とする。リブ片118は、本体部分の捩れ防止用のリブ機能なので、全長に設けられるのが望ましいが、幅は、プレート幅よりも小さくても良い。また、リブ片にも情報表示部に活用することができ、その場合、プレート片と同程度の幅とすることができる。
【0024】
基部凸部117は、完成姿勢で操作部側面受片122と平行になって、内視鏡の側部の膨らみの外側を受ける機能を果たす。
【0025】
図7にホルダー本体部材101とは別部材で形成されるガイド壁44の展開図を
図7(a)、折り曲げ状態図を
図7(b)に示す。
ガイド壁44を形成する中間ガイド部片140は、左右の中間ガイド部片140a、140bから構成される。
中間ガイド部片140a、140bは、外側から内側に向けて、底部141、141a、141b、立上部142、142a、142b、頂部143、143a、143bの3部片からなる。底部141、141a、141bの先端は、延出してコード受部144、144a、144bを形成している。
底部141a、141bは、コード受本体に固定される面状部であり、立上部142a、142bは谷折線166a、166bで急斜面になるように折り曲げられ、コード受部144a、144bは山折線165a、165bで緩斜面になるように折り曲げられる。
【0026】
二つの中間ガイド部片140a、140bを折り曲げた形状が
図7(b)に示されており、頂部143a、143bの間の隙間は、コネクタの分岐部よりも狭く設定されている。頂部143は、コネクタ分岐部を案内する役目なので間隔を設けずに、連続した形でも良い。連続した場合は、中間ガイド部片も連続した1枚となる。
コード受部144a、144bは、コネクタ分岐部から伸びるコネクタコードを緩く下側に案内するために、下方に緩く折り曲げて形成する。
【0027】
図6、7に示した展開図を折線にしたがって、山折り、谷折り加工することによって、ホルダー本体とガイド部を形成することができる。ガイド部をホルダー本体に溶接などの手段で接合することによって、本例の内視鏡ホルダーを完成することができる。
さらに、樹脂塗装することによって、接合部を塗膜で覆うことができる。塗膜で覆うと接合隙間は、埋められて全体が一体化する。隙間がないので、細菌などの棲息する隙間がなく、全体消毒も簡単に確実に行うことができる。
【0028】
図8に内視鏡をホールドしている状態を例示し、
図9にホールドしている内視鏡の全体の状態を例示する。なお、内視鏡自体は例示であって、この形態に限るものではない。
この内視鏡9は、操作部91の側方にコネクタ側への分岐部95が膨出しており、反対側に操作用のダイヤル98があるタイプである。
図8(a)、(b)、(c)に消化器用内視鏡の例を示し、
図8(d)には、気管支用内視鏡の例を示している。
図8(a)は内視鏡9の操作部91が内視鏡ホルダーの操作部受部3に載っている状態を示す斜視図、
図8(b)は(a)の反対側からの斜視図であって、コネクタ受部4の裏面が見えている図、
図8(c)はコネクタ受部4側からの正面図であって、操作部受部3の裏面が見えている図である。
図8(a)では、操作部側面受32に分岐部95が支えられており、分岐部95の側面は軸部5と基部凸部57に抑えられている。内視鏡の鉗子口97の上部のくびれた部分が左右の振止33、33の間に納まっている。分岐部95の下面がコネクタ受部4で支えられており、コネクタコード94が下方に垂下している。
図8(b)では、コネクタの分岐部95の下面がコネクタ受部4で支えられており、操作部91が操作部受部3に載っている状態が示されている
図8(c)では、コネクタの分岐部95がコネクタ受部4において、左側のガイド溝46に案内され、それから伸びるコネクタコード94がコード受45で支えられて、急角度で垂下することなく、下方に案内されている様子が分かる。
図8(a)(b)(c)から、内視鏡の操作部を真直ぐに下向きになるように操作部受部3に載せると、コネクタの分岐部からコネクタコードは左寄りになることが分かる。この状態を支持するために、操作部側面受32が膨出しているコネクタの分岐部を下支えして、左右に傾くことを防止している。そして、操作部受部側の振止とコネクタ受部のガイド溝は、内視鏡が左右に振れずに真直ぐに下向きになるように姿勢を規制することが分かる。
なお、コネクタ分岐部が側方に膨出していないタイプの内視鏡では、操作部側面受32の内側面とコネクタ受部のガイド溝と操作受部の振止で、内視鏡の吊姿勢を保つことになる。
【0029】
図8(d)は、気管支用内視鏡9を内視鏡ホルダーに係止した例を示している。分岐部95が操作部91の後方に取りつけられており、スイッチ99、鉗子口97が右側方の上下に設けられている。
操作部91は、スイッチ99が操作部側部受32の内側になる状態で、操作部受部3に納まっており、分岐部95が左側のガイド溝46に納まる状態になっており、右側の振止33(隠れて図示されない)によって、操作部91の左下側が規制されるので、内視鏡の吊姿勢が保たれることになる。
【0030】
図9は、内視鏡をホールドして吊り下げた状態を示しており、挿入部92とコネクタコード94とその先端にあるコネクタ部93が、真直ぐに垂下していて、洗浄水などが屈曲部に溜まりにくい状態であることが示されている。
【0031】
内視鏡保管庫の例を
図10に示す。
図10(a)は、内視鏡保管庫7の外観を示している。この内視鏡保管庫7は、内視鏡保管ユニット72上部にクリーンユニット71を備えている例である。開閉部となる扉73が前面にも設けられている。
図10(b)は、天井部74に内視鏡ホルダー11を取り付けた内視鏡保管ユニット72を示している。内視鏡9のコネクタ部93及び挿入部92の先端が底面77に接触しない高さに内視鏡ホルダー11が取り付けられている。内視鏡9は、操作部91から挿入部92が延び、また操作部からコネクタ部93につながるコネクタコード94が延びている。コネクタコード94が操作部91から分かれている部分は分岐部95となっている。内視鏡は
図8、9に示すように、分岐部95をコネクタ受部に、操作部91を操作部受部に係止する。
壁面などの保管庫内面も同じ消毒剤を使用できる塗装などを施すことにより、保管庫全体の衛生管理も容易となり、感染対策に有効である。
本例に示す内視鏡ホルダーは上部にクリーンユニットを設けない内視鏡保管庫にも適用することができることは言うまでもない。また、既存の内視鏡保管庫に本発明の内視鏡ホルダーを取り付けて改修することもできる。
【0032】
本発明の内視鏡保管庫では、内視鏡9を内視鏡ホルダー11にかけて、挿入部92とコネクタ部93が自由状態でぶら下がるように保管される。内視鏡の挿入部のコードやコネクタのコードは垂下しており、保管に伴う曲がりくせがつかず、利用時に操作性に障害とならない姿勢で保管されることとなる。
内視鏡の外表面、内部には処置具や採取された組織片が通過する管路、送気・送水、体液や血液を吸引する管路が通っているので、挿入部が真直ぐに垂れ下がっていることは、洗浄後管路内に水分などが残りにくく、乾燥状態に保たれやすくなることとなり、感染対策として重要なことである。
また、コネクタ部93とコネクタコード94とを垂下することで、コネクタコード94内部の管路内にも水分が残りにくく、乾燥状態に保たれやすくなることとなり、さらに細菌の繁殖を抑止でき感染対策としてのレベルが格段に向上する。
本発明は、操作部とコネクタ分岐部を左右に振り分けた面状の受部で受けて、面状部でも荷重を支える構造のホルダーを開発したものである。本発明は、次の事項を要旨とする。
1.内視鏡を吊り下げ保持する内視鏡ホルダーであって、
ホールド部と軸部を備えており、
ホールド部は、操作部受部とコネクタ受部を備え、操作部受部とコネクタ受部はホールド折部で屈曲し、水平よりも下向きの傾斜面を備えており、
コネクタ受部は、操作部受部より広い幅を有しており、コネクタ受部の下端に、下方に傾斜したコード受が設けられており、
軸部は、垂下部材であり、上側が取付部であり、下側がホールド部に接続されていることを特徴とする内視鏡ホルダー。
2.コネクタ受部の一方の側部と軸部の下側がコネクタ部の傾斜に沿って接続しており、他方の側部に振止が設けられており、
操作部受部の両側部には振止が設けられており、一方の振止の上部は操作部側面受を形成しており、操作部受部の下部は上部より幅が狭く、下端は内視鏡の操作部の細くなっている部分を支えることができる幅を有していることを特徴とする1.記載の内視鏡ホルダー。
3.操作部受部の軸部側の側部の上部に内視鏡の操作部の側面を支える操作部側面受が設けられ、
軸部側の側部の下部に振止が、操作部受部の正面視において該操作部側面受よりも左側によった箇所に設けられていることを特徴とする1.又は2.に記載の内視鏡ホルダー。
4.軸部は、面状の軸部本体、軸部本体の側部から屈曲して設けられたリブ部とプレート部、軸部本体の上部から屈曲して設けられた取付部を有しており、
プレート部の下部には切欠部、切欠部の下方には基部凸部が形成されていることを特徴とする1.に記載の内視鏡ホルダー。
5.コネクタ受部の上面には立上部を備えたガイド部が設けられていることを特徴とする1.に記載の内視鏡ホルダー。
6.操作部受部、コネクタ受部と軸部は、一枚の金属板から折り曲げ加工されたものであることを特徴とする1.又は2.記載の内視鏡ホルダー。
7.樹脂塗膜で全体が被覆されていることを特徴とする1.又は2.記載の内視鏡ホルダー。
8.前面に開閉部を有し、4.に記載された内視鏡ホルダーを内視鏡の先端が底部に接触しない高さに設置してある内視鏡保管庫であって、
プレート部が開閉部側に向けて設置されていることを特徴とする内視鏡保管庫。