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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080236
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】錠装置及び収容器
(51)【国際特許分類】
   E05B 65/02 20060101AFI20240606BHJP
   E05B 47/00 20060101ALI20240606BHJP
   H01M 50/244 20210101ALI20240606BHJP
   G07F 17/12 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
E05B65/02 B
E05B47/00 J
H01M50/244 A
H01M50/244 Z
G07F17/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193262
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】519055788
【氏名又は名称】株式会社ビットキー
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(72)【発明者】
【氏名】深田 雄介
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 賢哉
【テーマコード(参考)】
5H040
【Fターム(参考)】
5H040AA07
5H040AS01
5H040AY03
5H040CC02
5H040CC33
5H040NN03
(57)【要約】
【課題】
より使い勝手の良い錠装置及び収容器を提供する。
【解決手段】
内部に物品の収容が可能な内部空間を有する収容器において前記内部空間と外部空間とを区画するように設けられた扉に設置される錠装置であって、前記扉の前記外部空間側に少なくとも一部が露出するように構成された筐体と、前記錠装置を制御するためのプロセッサに電力を供給するためのバッテリを収容するように構成されたバッテリユニットであって、前記外部空間側に少なくとも一部が露出された前記筐体に連結されることによって前記扉に対して前記錠装置を固定するように構成されたバッテリユニットと、を含む錠装置である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に物品の収容が可能な内部空間を有する収容器において前記内部空間と外部空間とを区画するように設けられた扉に設置される錠装置であって、
前記扉の前記外部空間側に少なくとも一部が露出するように構成された筐体と、
前記錠装置を制御するためのプロセッサに電力を供給するためのバッテリを収容するように構成されたバッテリユニットであって、前記外部空間側に少なくとも一部が露出された前記筐体に連結されることによって前記扉に対して前記錠装置を固定するように構成されたバッテリユニットと、
を含む錠装置。
【請求項2】
前記バッテリユニットは前記筐体に対して着脱可能に連結される、請求項1に記載の錠装置。
【請求項3】
前記バッテリユニットは、前記筐体に対して、前記扉の厚みに応じた位置に連結される、請求項1に記載の錠装置。
【請求項4】
前記扉を施錠又は開錠するためのロック片を開錠位置と施錠位置との間で移動するためのモータを含み、
前記バッテリは前記モータに対して電力を供給可能に前記バッテリユニットに収容される、
請求項1に記載の錠装置。
【請求項5】
前記バッテリによって前記モータを駆動できない状態において、前記モータに対して電力を供給するための補助バッテリを電気的に接続するための端子を含む、請求項4に記載の錠装置。
【請求項6】
前記バッテリユニットは前記扉の背面側から前記バッテリの交換を可能にし、
前記補助バッテリによって前記モータが駆動されることで、前記ロック片を前記開錠位置に移動させ前記扉を開くことを可能にする、
請求項5に記載の錠装置。
【請求項7】
前記筐体は前記扉の前面と当接する当接片を含み、
前記バッテリユニットが前記扉の背面と当接するように前記筐体に連結されることによって、前記当接片と前記バッテリユニットによって前記扉が挟みこまれるように構成される、
請求項1に記載の錠装置。
【請求項8】
前記扉は前記錠装置を挿入するための挿入孔を含む、請求項1に記載の錠装置。
【請求項9】
前記筐体は、前記バッテリユニットが当該筐体から取り外された状態において前記挿入孔から挿入され、
前記筐体が前記挿入孔から挿入されたのちに前記バッテリユニットが前記筐体に連結される、請求項8に記載の錠装置。
【請求項10】
内部に物品の収容が可能な内部空間を形成するように構成された枠体と、
前記内部空間と外部空間とを区画するように構成された扉と、
前記扉の前記外部空間側に少なくとも一部が露出するように前記扉に設置され、前記扉を前記枠体に施錠するように構成された請求項1に記載の錠装置と、
を含む収容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、収容器に設置される錠装置及び当該錠装置が設置された収容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、数字等の符号が一周配置された円筒部材と当該円筒部材を回転させるダイヤルの組み合わせを複数備え、当該ダイヤルを回転させることであらかじめ決められた数字に合わせることによって施解錠することが可能なダイヤル錠や、当該ダイヤル錠によって施解錠されるロッカーが知られている。例えば、特許文献1には、解錠符号列を揃えたり崩したりするのに操作される複数個(例えば4個)のダイヤルと、ロックプレートを正逆各方向へ回動させるためのつまみを備え、当該ダイヤルは複数個の符号(0~9の数字)が一周配置された円筒部と、円筒部の一側に装着された円板状の操作部とを備え、操作部を操作して円筒部に配置された符号をあらかじめ決められた解錠符号列に揃えることにより解錠されるロッカー用錠装置及びそれが設置されたロッカーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-073939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、上記のような技術を踏まえ、本開示では、より使い勝手の良い錠装置及び収容器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、「内部に物品の収容が可能な内部空間を有する収容器において前記内部空間と外部空間とを区画するように設けられた扉に設置される錠装置であって、前記扉の前記外部空間側に少なくとも一部が露出するように構成された筐体と、前記錠装置を制御するためのプロセッサに電力を供給するためのバッテリを収容するように構成されたバッテリユニットであって、前記外部空間側に少なくとも一部が露出された前記筐体に連結されることによって前記扉に対して前記錠装置を固定するように構成されたバッテリユニットと、を含む錠装置」が提供される。
【0006】
本開示の一態様によれば、「内部に物品の収容が可能な内部空間を形成するように構成された枠体と、前記内部空間と外部空間とを区画するように構成された扉と、前記扉の前記外部空間側に少なくとも一部が露出するように前記扉に設置され、前記扉を前記枠体に施錠するように構成された錠装置と、を含む収容器」が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、より使い勝手の良い錠装置及び収容器を提供することができる。
【0008】
なお、上記効果は説明の便宜のための例示的なものであるにすぎず、限定的なものではない。上記効果に加えて、又は上記効果に代えて、本開示中に記載されたいかなる効果や当業者であれば明らかな効果を奏することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の収容器10及び錠装置100の使用状態の一例を示す図である。
図2図2は、本開示の錠装置100の構成を示すブロック図である。
図3図3は、本開示の収容器10及び錠装置100の断面構成を概念的に示す図である。
図4図4は、本開示の錠装置100の施錠状態における正面図である。
図5図5は、本開示の錠装置100の解錠状態における前方斜視図である。
図6図6は、本開示の錠装置100の錠ユニット120及びその周囲の構成を示す前方斜視図である。
図7図7は、本開示の錠装置100の扉15に対する設置状態を概念的に示す図である。
図8図8は、本開示の錠装置100のバッテリの挿入を概念的に示す図である。
図9図9は、本開示の錠装置100に対する給電状態を概念的に示す図である。
図10図10は、本開示の錠装置100に対する給電状態を概念的に示す図である。
図11図11は、本開示の収容器10及び錠装置100の使用状態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
添付図面を参照して本開示の様々な実施形態を説明する。なお、図面における共通する構成要素には同一の参照符号が付されている。
【0011】
1.収容器10の概要
図1は、本開示の収容器10及び錠装置100の使用状態の一例を示す図である。具体的には、図1は、収容器10の一例であるロッカーに対して錠装置100が設置された場合の使用状態を示す図である。このような収容器10及び錠装置100は、一例としては下記のように利用される。まず、収容器10の利用者が所持する端末装置300は、当該利用者から当該利用者を識別したり認証したりするための識別情報や、当該収容器10の利用要求の入力を受け付ける。そして、当該入力がなされると、端末装置300は有線又は無線で接続された錠装置100に入力された識別情報や利用要求を送信する。なお、図1に示すように収容器10が複数の区画に分割されている場合、端末装置300は、利用者が所望する区画を指定する情報の入力を受け付け、当該情報も錠装置100に送信することが可能である。また、識別情報、利用要求、区画を指定する情報等は、全て同時に送られる必要はなく、端末装置300の処理の進捗に応じて送信されてもよい。
【0012】
錠装置100は、端末装置300から識別情報、利用要求、区画を指定する情報等を受信すると、受信した情報に基づいて利用者の認証を行う。利用者が正当な権限を有する利用者であると認証されると、錠装置100は、収容器10に対して施解錠処理を実行する。具体的には、錠装置100に含まれる錠ユニットの第1モータを、利用者が手を挿入するための開口を被覆している遮蔽板を開く方向に移動させるために、駆動する。また、錠装置100は、錠装置100に含まれる錠ユニットの第2モータを、収容器10の扉を施錠するためのロック片を解錠する方向に移動させるために、駆動する。これによって、利用者は、開口内に手を挿入して収容器10の扉を例えば前方に引き出すように操作すること可能となる。
【0013】
また、錠装置100は、収容器10の扉が閉じたことが検出されるか、閉じたことが検出されて一定時間以上経過すると、施解錠処理を実行する。具体的には、錠装置100は、利用者が手を挿入するための開口を被覆するための遮蔽板に対して開口を閉じる方向に移動させるために、第1モータを駆動する。また、錠装置100は、収容器10の扉を施錠するためのロック片を施錠する方向に移動させるために、第2モータを駆動する。これによって、収容器10の扉が施錠される。
【0014】
なお、本開示において、収容器10は、内部に物品が収容可能な内部空間を有するものであればいずれでもよい。典型的には、収容器10はロッカーが例として挙げられるが、当然これのみには限られない。収容器10の他の例としては、住居やビル、倉庫などの建造物そのもの、住居やビル、倉庫などの建造物を構成する各部屋、自動車等の車両、金庫、収納棚、収納ボックスなど、種々のものが挙げられる。また、収容器10は、内部に物品が収容可能な内部空間を一つのみ有する場合もあれば、互いに区画された収容室を複数有する場合もある。ここでは、収容室を複数有する場合、複数の収容室を有する収容器全体を指して収容器10と呼ぶこともあれば、収容室一つ一つのことを指して収容器10と呼ぶこともある。
【0015】
また、本開示において、物品は、特定の有体物にのみには限られない。典型的には、物品は利用者の荷物が例として挙げられるが、当然これのみには限られない。物品の他の例としては、金銭、衣服、食品、宝飾品、日用品、書籍、各種装置類、車両など、種々のものが挙げられる。
【0016】
また、本開示において、内部空間及び外部空間は、両空間を区別するための設けた呼称に過ぎない。すなわち、収容器10において物品が収容される側の空間のことを内部空間とし、それ以外の空間を外部空間としたにすぎない。したがって、例えば、住居のある部屋とそれに連続する他の部屋があるとき、ある部屋の内部に物品が収容される場合はその部屋の内部が内部空間となり、それに連続する他の部屋は外部空間となる。しかし、他の部屋の内部に物品が収容される場合はその部屋が内部空間となり、ある部屋が外部空間となることもある。
【0017】
また、本開示において、扉は、内部空間と外部空間とを区画するためのものであればいずれでもよい。典型的には、ある回転軸を有し、当該回転軸を中心として開閉方向に弧を描くように開閉する開き戸が例として挙げられるが、当然これのみには限られない。扉の他の例としては、引き戸、グライドスライドドア、引込み扉、折戸、回転扉など、種々のものが挙げられる。
【0018】
2.錠装置100の構成
図2は、本開示の錠装置100の構成を示すブロック図である。図2によると、錠装置100は、プロセッサ111、メモリ112、入力インターフェイス113、通信インターフェイス114及び錠ユニット120を含む。これらの各構成要素は、互いに、制御ライン及びデータラインを介して互いに電気的に接続される。なお、錠装置100は、図2に示す構成要素のすべてを備える必要はなく、一部を省略して構成することも可能であるし、他の構成要素を加えることも可能である。例えば、錠装置100は、各構成要素を駆動するためのバッテリや種々の情報を利用者に表示等するための出力インターフェイス等を含むことが可能である。
【0019】
まず、プロセッサ111は、メモリ112に記憶されたプログラムに基づいて他の構成要素の制御を行う制御部として機能する。プロセッサ111は、メモリ112に記憶されたプログラムに基づいて、錠ユニット120に含まれる第1モータ及び第2モータの駆動を制御するための制御信号を生成したり、利用者の認証を行ったりするための処理を実行する。具体的には、プロセッサ111は、「通信インターフェイス114を制御して端末装置300から利用者を特定するための識別情報、収容器10の利用要求及び利用者が所望する区画を指定する情報を受信するための処理」、「受信したこれら情報に基づいて正当な利用者であるかを認証するための処理」、「入力インターフェイス113で受け付けられた所定の文字列とあらかじめ決められた文字列に基づいて正当な利用者であるかを認証するための処理」、「認証の結果正当な利用者であると認証されると収容器10の外部空間側に形成された開口の少なくとも一部を閉じるように構成された遮蔽板を開く方向に移動させるための制御信号を生成する処理」、「遮蔽板を移動させるための第1モータに当該制御信号を送信し当該第1モータを駆動する処理」、「錠装置100のロック片を解錠する方向に回転させるための第2モータに当該制御信号を送信し当該第2モータを駆動する処理」、「収容器10の扉が閉じられたことを検出するか閉じられたことを検出して所定時間が経過したことに基づいて遮蔽板を閉じる方向に移動させるための制御信号を生成する処理」、「遮蔽板を移動させるための第1モータに当該制御信号を送信し当該第1モータを駆動する処理」、「錠装置100のロック片を施錠する方向に回転させるための第2モータに当該制御信号を送信し当該第2モータを駆動する処理」などを、メモリ112に記憶されたプログラムに基づいて実行する。プロセッサ111は、主に一又は複数のCPUにより構成されるが、適宜GPUやFPGAなどを組み合わせてもよい。
【0020】
メモリ112は、RAM、ROM、不揮発性メモリ等から構成され、記憶部として機能する。メモリ112は、本実施形態に係る処理システム1の様々な制御のための指示命令をプログラムとして記憶する。具体的には、メモリ112は、「通信インターフェイス114を制御して端末装置300から利用者を特定するための識別情報、収容器10の利用要求及び利用者が所望する区画を指定する情報を受信するための処理」、「受信したこれらの情報に基づいて正当な利用者であるかを認証するための処理」、「入力インターフェイス113で受け付けられた所定の文字列とあらかじめ決められた文字列に基づいて正当な利用者であるかを認証するための処理」、「認証の結果正当な利用者であると認証されると収容器10の外部空間側に形成された開口の少なくとも一部を閉じるように構成された遮蔽板を開く方向に移動させるための制御信号を生成する処理」、「遮蔽板を移動させるための第1モータに当該制御信号を送信し当該第1モータを駆動する処理」、「錠装置100のロック片を解錠する方向に回転させるための第2モータに当該制御信号を送信し当該第2モータを駆動する処理」、「収容器10の扉が閉じられたことを検出するか閉じられたことを検出して所定時間が経過したことに基づいて遮蔽板を閉じる方向に移動させるための制御信号を生成する処理」、「遮蔽板を移動させるための第1モータに当該制御信号を送信し当該第1モータを駆動する処理」、「錠装置100のロック片を施錠する方向に回転させるための第2モータに当該制御信号を送信し当該第2モータを駆動する処理」などをプロセッサ111が実行するためのプログラムを記憶する。また、メモリ112は、当該プログラムのほかに、利用者の認証に必要な情報などを記憶する。
【0021】
入力インターフェイス113は、錠装置100に対する利用者の指示入力を受け付ける入力部として機能する。入力インターフェイス113の一例としては、数字等のあらかじめ文字を入力するための文字入力キーボタンや、表示パネルに重畳して設けられ表示パネルの表示座標系に対応する入力座標系を有するタッチパネルが挙げられる。タッチパネルによる使用者の指示入力の検出方式は、静電容量式、抵抗膜式などいかなる方式であってもよい。ここでは、入力インターフェイス113を介して利用者の認証に用いられる文字列の入力を受け付ける。
【0022】
通信インターフェイス114は、有線又は無線ネットワークを介して利用者の端末装置300や他の制御装置と情報を送受信するための通信部として機能する。通信インターフェイス114の一例としては、USB、SCSIなどの有線通信用コネクタや、無線LAN、Bluetooth(登録商標)、赤外線、NFCなどの近距離又は非接触無線通信用送受信デバイスや、プリント実装基板やフレキシブル実装基板用の各種接続端子など、様々なものが挙げられる。ここでは、端末装置300から利用者を特定するための識別情報、収容器10の利用要求及び利用者が所望する区画を指定する情報を、一例としては受信する。
【0023】
錠ユニット120は、プロセッサ111等による制御を受けて、錠装置100が設置された収容器10の施錠及び解錠、錠装置100の外表面に設置された開口の少なくとも一部を被覆する遮蔽板の開閉等を行う駆動部として機能する。その具体的な構成については、後述する。
【0024】
3.収容器10の構成
図3は、本開示の収容器10及び錠装置100の断面構成を概念的に示す図である。具体的には、収容器10を水平方向に切断した場合の断面構成を示す図である。図3によると、収容器10は、図示された3面だけでなく、上面及び底面を覆うように構成された枠体11により、略立方体状に構成される。そして、当該枠体11によって、その内部に物品が収容可能な内部空間12が形成される。
【0025】
また、収容器10において利用者側を向く面(図3では下方側の面)の少なくとも一部に、収容器10の内部空間12に物品を出し入れするための開口14が形成されている。当該開口14は、物品の出し入れに必要な大きさの開口であればいずれでもよく、当該面の全面に開口14が形成されていてもよいし、その一部に開口14が形成されていてもよい。開口14に対応して当該開口14を被覆可能な位置に開口14を塞いで内部空間12とそれ以外の空間である外部空間16を区画するための扉15が枠体11に設置されている。当該扉15は、枠体11の開口14側の端部において少なくとも一か所設けられた回転軸13を中心に、内部空間12方向又は外部空間16方向に回転するように構成されている。当該扉15を回転軸13が設けられた端部とは反対側の枠体11の端部と接する位置に移動させることによって、扉15は開口14を閉鎖する。
【0026】
また、収容器10において扉15の略端部に錠装置100が設置されている。当該錠装置100は、枠体11において錠装置100のロック片の位置に対向する位置に、枠体11の内部に凹む凹状に形成されたストライク(図示しない)に、当該ロック片を挿入することによって扉15を枠体11に対して施錠する。また、略に錠装置100は、ロック片をストライクから抜去することで扉15を枠体から解錠する。すなわち、錠装置100は扉15に設置され、扉の施開錠を制御する。
【0027】
4.錠装置100の構成
図4は、本開示の錠装置100の施錠状態における正面図である。具体的には、図4は、錠装置100によって収容器10の扉15を施錠した状態において、当該錠装置100のみを利用者にとって正面方向(すなわち外部空間16の方向)からみた正面図である。図4によれば、錠装置100は、正面視において、上下左右の4方向を被覆するための筐体123を含む。当該筐体123は、正面方向の前面の少なくとも一部に開口を有し、奥行き方向(すなわち、外部空間から内部空間に向かう方向)に枠体が伸延した略直方体形状に形成される。筐体123は、その内部に錠装置100に含まれるプロセッサ等の電子部品や錠ユニット120等を収納する。
【0028】
錠装置100は、筐体123の前面左側に、表示パネル124を含む。当該表示パネル124は、利用者が視認可能なように数字等の文字列が所定個数表示される。また、錠装置100は、図4に図示はしていないものの、表示パネル124の前面には、表示パネル124を被覆するように設けられた入力インターフェイス113(例えば、タッチパネル)を含む。入力インターフェイス113によって利用者の操作入力を検出することによって表示パネル124がオンされ、当該表示パネル124に上記文字列が表示される。その後、入力インターフェイス113により利用者の操作入力を受け付けて所定個数の文字列を選択することによって当該利用者の認証が行われる。
【0029】
錠装置100は、筐体123の前面右側、すなわち表示パネルに隣接する位置に開口125を形成する。図4の例では、当該開口125は筐体123の外部空間側であって利用者からみて正面側の面の少なくとも一部に形成されている。開口125は筐体123の外周に沿うように、長手方向が上下に位置した略長方形状に形成されている。すなわち、開口125から、内部空間側に伸延するように凹部(図示しない)が形成されている。そして、当該開口125を介して凹部に利用者が手を挿入し、筐体123の内側に位置するハンドル部分に利用者が手を引っかけ、利用者側(すなわち外部空間方向)に錠装置100及び扉15を引き寄せることで、扉15を開くことが可能である。
【0030】
錠装置100は、開口125の少なくとも一部を被覆し、開口125から内部空間側に伸延するように形成された凹部を遮蔽するための遮蔽板126を含む。図4の例では、遮蔽板126は、開口125の形状に対応するように構成され、開口125の前面を覆うように構成されるが、その少なくとも一部がおおわれていれば良い。遮蔽板126は、外部空間側からみたときの外周となる4辺のうちのいずれか一辺に回転軸が取り付けられ、内部空間方向又は外部空間方向の少なくともいずれか一方に開くように回転する。つまり、遮蔽板126には、プロセッサ111で生成された制御信号に基づいて第1モータが駆動させることで、遮蔽板126は開口125を開く方向又は閉じる方向に移動させられる。
【0031】
錠装置100は、収容器10の枠体11の内部に凹むように形成されたロック片用のストライクに挿入されることで、扉15を施錠するロック片121を含む。図4の例は、扉15が施錠された状態の錠装置100を示す図である。したがって、ロック片121は、ストライクに挿入されるようにストライクの方向、すなわち錠装置100から水平方向に伸延するように配置される。なお、ロック片121は上記のとおり枠体11のストライクに挿入されることで扉15を施錠する。その後、利用者の指示等に基づいてロック片121がD2方向に回転されることで、ロック片121は枠体11のストライクから抜去される。これにより、ロック片121による規制が解除されることにより扉15が解錠され、利用者は扉15を開くことが可能になる。ロック片121は、ロック片121をD1方向又はD2方向に回転させるための第2モータの回転軸に連結されている。すなわち、プロセッサ111で生成された制御信号に基づいて第2モータが駆動されることで、ロック片121は扉15を施錠する方向(D1方向)、又は解錠する方向(D2方向)に移動させられる。このように、制御信号に基づいて自動解錠することによって扉15のオートロック機能を提供することが可能である。
【0032】
錠装置100は、収容器10の枠体11の内部に凹むように形成されたラッチ用のストライクに挿入されることで、扉15が枠体11に対して閉じられた状態を保持するためのラッチ122を含む。ラッチ122は、内部に設けられた付勢部材(例えば、バネ)によって収容器10の枠体方向(D7方向)に付勢されている。すなわち、扉15が枠体11に対して閉じる方向に回転させられると、ラッチ122の一部が枠体11に当接する。その後、続けて扉15を閉じる方向に回転させるに連れて、ラッチ122は付勢方向に反して、当接する枠体11によって錠装置100の内部方向に押し戻される。そして、扉15が閉じられた位置に達すると、ラッチ122は、枠体11において当該ラッチ122に対応する位置に設けられたストライクの凹部に、付勢部材によって挿入される。扉15が閉じられた位置(閉状態)に達すると、枠体11のストライクの凹部にラッチ122が引っかかるように挿入されることで、扉15が枠体11に対して自由に開くように移動するのを規制する。
【0033】
錠装置100は、収容器10の枠体11に対して扉15が閉じられた位置に達した閉状態となることを検出するための検出片139を含む。検出片139は、内部に設けられた付勢部材(例えば、バネ)によって収容器10の枠体方向(D7方向)に付勢されている。また、錠装置100は、枠体方向に付勢されている検出片139が枠体11に当接することによって錠装置100の内部方向(D8方向)に移動させることによってオン信号を生成することが可能なスイッチ(図示しない)を含む。すなわち、扉15が枠体11に対して閉じる方向に回転させられると、検出片139の一部が枠体11に当接する。その後、続けて扉15を閉じる方向に回転させるに連れて、検出片139は付勢方向に反して、当接する枠体11によって錠装置100の内部方向に押し戻される。そして、扉15が閉じられた位置(閉状態)に達すると、錠装置100の内部において検出片139の移動方向に設けられたスイッチを検出片139がオンにする。これによって、スイッチからオン信号がプロセッサ111に送信され、扉15が閉じられたこと、すなわち閉状態となったことが検出される。
【0034】
ここで、スイッチによってオン信号がプロセッサ111に送信され扉15が閉じられたことが検出されると、プロセッサ111は遮蔽板126を閉じる方向に移動させ、またロック片121を施錠方向に移動させるための制御信号を生成する。そして、プロセッサ111によって生成された当該制御信号に基づいて第1モータ及び第2モータがそれぞれ駆動され、遮蔽板126が閉じる方向に移動させられるとともに、ロック片121が施錠方向に移動させられる。このように、制御信号に基づいて自動施錠することによって扉15のオートロック機能を提供することが可能である。なお、当該制御信号は、扉15が閉じられたことが検出されることで生成するようにしたが、扉15が閉じられたことが検出されてから所定時間が経過したことに基づいて生成されるようにしてもよい。
【0035】
錠装置100は、筐体123の側面側に、筐体123に対して着脱可能に構成されたバッテリユニット160を含む。バッテリユニット160は、その内部に、遮蔽板126を開方向又は閉方向に移動させるための第1モータ、ロック片121を施錠方向又は解錠方向に移動させるための第2モータ、制御基板130及び表示パネル124の駆動源となり電力を供給するように構成された一又は複数のバッテリ135を含む。また、バッテリユニット160は、バッテリ135を収容するためのバッテリ収容孔164が形成されたバッテリ収容体163を含む。当該バッテリ収容体163のバッテリ収容孔164にバッテリ135が収容されることによって第1モータ等に電力が供給される。このバッテリ135の収容については後述する。
【0036】
ここで、上記のとおり、バッテリユニット160は筐体123に対して着脱可能に構成されている。したがって、バッテリユニット160は、少なくとも一部がバッテリ収容体163の上面及び下面の少なくともいずれか(すなわち、扉15の前面に対して垂直な方向に形成された面の少なくともいずれか。図4の例では上面)に、連結片162が構成されている。当該連結片162は、筐体123の上面及び下面の少なくともいずれかで、連結片162が設置されたバッテリ収容体163と同じ側の面に対して、スライド可能に連結される。つまり、バッテリユニット160は、筐体123に対して、筐体123の前面(すなわち、扉15の前面)に対して垂直な方向に位置をずらして固定することが可能である。なお、当該固定は、バッテリユニット160の連結片162の端部に設けられたスライド孔を介して、筐体123の上面にビス161を挿入することによって行われる。バッテリユニット160と筐体123の位置関係の詳細については後述する。
【0037】
図5は、本開示の錠装置100の解錠状態における前方斜視図である。具体的には、図5は、錠装置100によって収容器10の扉15を解錠した状態の前方斜視図である。図5によると、プロセッサ111によって生成された遮蔽板126を開く方向に移動させるための制御信号に基づいて第1モータが駆動させると、当該回転軸に直接又は間接的に連結された遮蔽板126が内部空間方向(D4方向)に回転する。これによって、開口125を被覆していた遮蔽板126が開き、開口125及び遮蔽板126によっておおわれていた凹部が外部空間方向に露出する。なお、遮蔽板126は、扉15が閉じられ閉状態となったことが検出片139及びスイッチによって検知されるか、当該検知から所定時間が経過すると、プロセッサ111は、遮蔽板126を閉じるための制御信号を生成する。第1モータは、当該制御信号を受信することにより駆動され、遮蔽板126を閉じる方向(D3方向)に回転させる。これによって、再び開口125は遮蔽板126によって閉鎖される。
【0038】
図6は、本開示の錠装置100の錠ユニット120及びその周囲の構成を示す前方斜視図である。具体的には、図6は、錠装置100のうち筐体123を省略し筐体123の内部にある錠ユニット120及びその周辺の構成を示した前方斜視図である。図6によれば、錠装置100は、錠装置100において利用者に相対する方向に設けられた表示パネル124の背面側に制御基板130を含む。当該制御基板130には、プロセッサ111、メモリ112、入力インターフェイス113、通信インターフェイス114等の少なくとも一部が配置され、第1モータ115、第2モータ(図示しない)などの他の構成要素と電気的に連結されている。
【0039】
ラッチ122は、全体として略互角形状をし、錠装置100側の一端がバネ141と当接することによって、枠体11方向に付勢されている。他方、収容器10の枠体11方向側の端部が上面視において略三角状に形成され、その斜面に枠体11が当接することによって付勢方向に反する方向に押し戻されるように構成されている。
【0040】
錠装置100は、プロセッサ111によって生成された制御信号を受信して、遮蔽板126を開方向又は閉方向に移動させるための第1モータ、ロック片121を施錠方向又は解錠方向に移動させるための第2モータ、制御基板130及び表示パネル124の駆動源となるバッテリ135を含む。すなわち、バッテリ135は、電気的に接続された第1モータ、第2モータ等の各種電子部品と電気的に接続されて、各種電子部品に駆動源となる電力を供給する。なお、バッテリ135は取り出して交換可能に構成してもよいし、外部電源と接続して充電可能な二次電池で構成してもよい。
【0041】
錠装置100は、上記のとおり、錠装置100の前面に形成された開口125の少なくとも一部を被覆するように構成された遮蔽板126を含む。遮蔽板126は、プロセッサ111で生成された制御信号に基づいて駆動される第1モータ115によって、遮蔽板126の開方向(D4方向)又は閉方向(D3方向)に移動させる。
【0042】
ここで、遮蔽板126は、上下に縦長に形成された長方形状をしているところ、外側に位置する長辺に沿って回転軸を有する。すなわち、遮蔽板126は、遮蔽板126の長辺に沿って長手方向に形成され、遮蔽板126に固定された一対の回転孔129a及び129bを含む。各回転孔129a及び129bには、長辺に平行となるように孔が形成されている。そして、当該孔に錠装置100の筐体123に固定された筐体軸150a及び150bがそれぞれ挿入されることで、遮蔽板126は筐体123に対して回転可能に設置される。なお、ここでは筐体軸及び回転孔はそれぞれ一対となるように設けたが、筐体軸及び回転孔の数は特に限定はされない。また、最終的に遮蔽板126が回転するための回転軸が形成されればよく、筐体123側に回転孔を、遮蔽板126側に軸を設けてもよい。
【0043】
また、遮蔽板126は開方向(D4方向)に引っ張られることによって、回転軸を中心に回転するように移動される。そのため、錠装置100は、第1モータ115の駆動力を遮蔽板126に伝達するためのリンク機構138を含む。当該リンク機構は、その一端が遮蔽板126の背面側に遮蔽板126に対して固定された連結軸136が挿入される連結孔137を含む。当該連結孔137に対して遮蔽板126の連結軸136が挿入されることによって、リンク機構138に対して遮蔽板126が回転可能に設置される。また、リンク機構138は、連結孔137が設けられた一端とは反対側の他端に第1モータからの駆動力をリンク機構に伝達するための連結ギア133が連結される。第1モータ115が駆動され第1モータ115の回転軸131が回転することによって、当該回転軸に固定されたモータギア132が回転される。そして、モータギア132の歯車に噛み合うように配置された連結ギア133がモータギア132の回転に伴って回転される。これによって、連結ギア133が連結されたリンク機構138がD5方向又はD6方向に移動させられる。そして、リンク機構138の一端に連結された遮蔽板126がリンク機構138の移動方向に連れて移動させられる。
【0044】
遮蔽板126が第1モータ115の駆動により開く方向に回転させられることで、開口125及びその開口125から内部に向かって形成された凹部が利用者方向に露出される。この開口125を介して、利用者はその凹部方向に利用者の手を挿入することが可能となる。このとき、表示パネル124において遮蔽板126側の長辺の背面側に利用者が手をかけることが可能なハンドル(取っ手)142が形成される。すなわち、ハンドル142に利用者が手を引っかけるようにして、開口125に挿入した手で錠装置100及び扉15を自身の方向すなわち外部空間方向に引き出すようにすることで、扉15を開くことが可能である。すなわち、遮蔽板126が閉じた状態(錠装置100の施錠状態)では遮蔽板126は開口125を被覆するように、いわば筐体123の前面と略面一となるように配置される。したがって、錠装置100の施錠状態では収容器10の扉15から不用意に突出したり陥没する部材がなく、優れた意匠を実現することができる。他方、利用者によって利用要求がなされ錠装置100が解錠状態となることで、遮蔽板126が開いた状態に移動する。これによって利用者は視覚的に利用可能な収容器10を知覚することが可能である。また、遮蔽板126が開くことによって開口125が露出され、開口125を介して利用者が手を挿入することで、ハンドル142を扉15を開くための取っ手として利用することが可能となる。
【0045】
なお、図6の例では、遮蔽板126が開く方向(D4方向)に移動される場合は、第1モータ115はリンク機構138をD6方向に引っ張るように各ギアを回転させる。また、遮蔽板126が閉じる方向(D3方向)に移動される場合は、第1モータ115はリンク機構138をD5方向に押し出すように各ギアを回転させる。
【0046】
また、図6の例では、リンク機構138は、2本の連結アーム134を連結することによって構成する。しかし、構成する連結アームの個数は図6の例のみには限られない。
【0047】
図7は、本開示の錠装置100の扉15に対する設置状態を概念的に示す図である。具体的には、図7は、扉15に対して錠装置100を設置する様子を模式的に示した図である。図7(a)によると、錠装置100は、その内部に錠装置100の制御を行うプロセッサ等の電子部品や錠ユニット120等を収容するための筐体123を含む。当該筐体123は、利用者側に露出するように利用者側に面する方向に設けられた前面枠151と、前面枠151から内部空間方向に延伸され、その内部に電子部品等や錠ユニット120等を収容可能に構成された本体152とを含む。
【0048】
前面枠151は、本体152の横方向における断面の外周に沿うように形成される。また、前面枠151は、本体152の挿入方向に延伸した側壁に対して少なくとも一部が扉15の前面に沿う方向に突出するように構成された当接片154を有する。錠装置100が扉15に挿入されるときに、当該当接片154が扉15の前面に当接することによって、それ以上の挿入が規制される。
【0049】
本体152は、前面枠151に連結され、錠装置100の挿入方向に延伸した側壁153を含む。当該側壁153は上下左右の4面を有する四角柱状に形成される。
【0050】
また、図7(a)によると、錠装置100は、筐体123に連結され、その内部にバッテリ135を収容するためのバッテリユニット160を含む。バッテリユニット160は、バッテリ135を収容するためのバッテリ収容体163と、バッテリユニット160と筐体123とを連結するための連結片162とを含む。
【0051】
連結片162はその一端側がバッテリユニット160の上面及び下面の少なくともいずれかに固定され、その他端側が筐体123に対して着脱可能に連結される。具体的には、連結片162は、その他端側に筐体123の挿入方向(すなわち、扉15の前面に対して垂直な方向)に沿って、所定の距離を有するスライド孔166を有する。そして、連結片162は、当該スライド孔166を介してビス161によって筐体123の側壁153の上面及び下面のうち、バッテリユニット160において連結片162が設けられた側と同じ面に固定される。
【0052】
さらに、図7(a)を参照して、上記構成を有する錠装置100の扉15への設置について説明する。上記のとおり、錠装置100のバッテリユニット160は、筐体123に対して着脱可能に構成されている。したがって、その設置の際は、バッテリユニット160は筐体123から一旦取り外される。
【0053】
ここで、扉15は、筐体123を構成する本体152の断面(扉15の前面に沿った方向における断面)、すなわち側壁153の外周に対応した大きさを有する挿入孔15aを有する。そのため、錠装置100は、バッテリユニット160が筐体123から取り外された状態で、本体152のうち、前面枠151側の反対側から挿入孔15aに挿入される。そして、本体152の断面の外周に沿って、側壁153の外側に突出するように形成された当接片154が扉15の前面に当接するまで、錠装置100は挿入孔15aに対して挿入される。
【0054】
次に、一旦取り外されたバッテリユニット160が、挿入孔15aに挿入された錠装置100の筐体123に対して連結される。このとき、バッテリユニット160は、当接片154が当接された扉15の前面に対して相対する側の面(つまり、背面)に当接するように位置決めされる。そして、バッテリユニット160が扉15の背面に当接した状態で、連結片162のスライド孔166にビス161が挿入され、さらに筐体123の側壁153に嵌入される。これによりバッテリユニット160が筐体123に対して再度固定される。
【0055】
上記のとおり、扉15の前面には、錠装置100のうち当接片154が当接されている。さらに、扉15の背面には、錠装置100のうちバッテリユニット160が当接されている。つまり、当接片154とバッテリユニット160とによって、扉15を挟み込む。これによって、錠装置100が扉15に対して確実に固定されることとなる。
【0056】
ここで、図7(a)及び図7(b)に例示するように、扉15の厚み(扉15の開閉方向に沿う方向の厚み)が扉によって異なる場合がある。このような場合、バッテリユニット160が筐体123に対して常に同じ位置で固定されてしまうと、そもそもビス161の挿入ができなかったり、当接片154とバッテリユニット160によって扉15を挟み込むことができなくなる恐れがある。そこで、上記のとおり、連結片162のスライド孔166は、筐体123が挿入される方向に沿って所定の長さを有するように構成されている。例えば、図7(b)の例では、扉15の厚みが図7(a)の扉15よりも薄く形成されている。このような場合は、連結片162が挿入される位置をD8の方向にスライドさせる。これによって、当接片154とバッテリユニット160の間隔をより狭めるようにバッテリユニット160を筐体123に対して固定することが可能となる。
【0057】
また、特に図示はしていないものの、扉15の厚みが図7(a)の扉15よりも厚く形成されている場合は、連結片162が挿入される位置をD7の方向にスライドさせる。これによって、当接片154とバッテリユニット160の間隔をより広げるようにバッテリユニット160を筐体123に対して固定することが可能となる。このように構成することによって、扉15の厚みにより柔軟に対応して、扉15に対して錠装置100を固定することが可能となる。
【0058】
なお、図7の例においては、バッテリユニット160と筐体123との固定をスライド孔166とビス161によって行った。しかし、これに限らず、連結片162の他端側に複数の挿入孔を設け、扉15の厚みに応じて最適な挿入孔にビス161を挿入するようにして、バッテリユニット160と筐体123を固定してもよい。また、固定の方法は、ビス161を用いた方法に限らず、接着剤、接着テープ、嵌入孔と嵌入片の組み合わせなど、種々の方法を用いることが可能である。特に、複数の方法を組み合わせることによってより強固に固定することが可能となり、バッテリユニット160と筐体123のがたつきを防止することが可能となる。
【0059】
図8は、本開示の錠装置100のバッテリの挿入を概念的に示す図である。具体的には、図8は、バッテリ135がバッテリ収容体に収容される前の状態(図8(a))と、バッテリ135がバッテリ収容体に収容された状態(図8(b))とを示す。なお、図8においては、説明の便宜のために連結片162及びビス161は省略している。
【0060】
図8(a)によると、錠装置100は筐体123の側壁に隣接するように筐体123に対して着脱可能に固定されるバッテリユニット160を有する。当該バッテリユニット160は、その内部にバッテリ135を収容するための空間を有するバッテリ収容体163と、バッテリ収容体163にバッテリ135を挿入するためのバッテリ収容孔164と、収容されたバッテリ135がバッテリ収容体163から脱落するのを防止するためにバッテリ収容孔164の少なくとも一部を被覆するように構成されたカバー167とを含む。
【0061】
バッテリ収容体163は、収容されるバッテリ135の形状に沿うように形成された空間をその内部に有する。そして、当該空間の端部(具体的には、扉15の前面とは反対となる側の端部、扉15の背面側)に、バッテリ135を挿入するためのバッテリ収容孔164が形成される。バッテリ収容体163は、その短手方向、すなわち扉15の前面に沿う方向において、上下一対に形成されたスライド溝168を有する。他方、収容されたバッテリの脱落を防止するためのカバー167は、上下一対に形成されたスライド溝168に対応する位置に、上下一対に形成されたスライド片169を有する。
【0062】
ここで、バッテリユニット160へのバッテリ135の収容について説明する。まず、図8(a)において、カバー167がバッテリ収容体163から取り外された状態において、バッテリ135がバッテリ収容孔164を介してバッテリ収容体163の内部の空間に挿入される。次いで、カバー167の上下一対に形成されたスライド片169が、バッテリ収容体163において対応する位置に形成されたスライド溝168に挿入される。そして、図8(b)に示すとおり、スライド溝168の端部までスライド片169が挿入されると、カバー167によってバッテリ収容孔164が被覆され、バッテリ135が脱落不可能な状態となる。なお、特に図示はしないが、バッテリ135を取り出す場合には、上記手順と逆の手順によってすることが可能である。
【0063】
このように構成することによって、扉15の背面側から、バッテリ収容孔164を介してバッテリ135の収容や取り出しを容易に行うことが可能となる。つまり、扉15に錠装置100が固定された状態であっても、扉15を開いた後に、その背面側から容易にバッテリ135の交換が可能である。
【0064】
なお、カバー167のバッテリ収容体163への固定はスライド溝168とスライド片169の組み合わせによって行った。しかし、これに限らず嵌入孔と嵌入片の組み合わせや、ビスなど、様々な方法によって行うことが可能である。
【0065】
図9及び図10は、本開示の錠装置100に対する給電状態を概念的に示す図である。具体的には、図9及び図10は、バッテリ135の交換時において、第2モータを駆動させロック片121を開錠位置に回転させ、扉15を開くために給電するための構成について説明する図である。バッテリ135の電力量を完全に消費した状態においては、第2モータを駆動することができない。そのため、扉15を開くためにロック片121を開錠方向に回転させることができない。他方で、バッテリ135の交換のためには図8において説明したとおり扉15を開く必要がある。したがって、バッテリ135とは別のところから第2モータ等を含む錠ユニット120に対して電力を供給する必要がある。なお、本開示ではロック片121を回転させるための第2モータとは別に遮蔽板126を移動させる第1モータを配置している。しかし、これら各モータは必ずしも別体として設ける必要はなく、一体として1個のモータを配置し、それぞれギアにより回転方向を制御するようにしてもよい。
【0066】
図9によれば、筐体123の前面に設けられた遮蔽板126は、例えば利用者や管理者の指等によって奥行き方向に押すことで、第1モータによらずに回転孔129a及び129bに挿入された回転軸を中心に、開くことが可能である。ここで、錠装置100は、遮蔽板126が閉じた状態において当該遮蔽板126によって被覆される位置であって、遮蔽板126が開いた状態において外部に露出される位置に、端子170を有する。図9の例では、遮蔽板126が開いた状態において、遮蔽板126の一端と筐体123の枠体との間に形成される空間から露出される位置に、端子170が形成されている。
【0067】
そして、図10によれば、端子170が外部に露出された状態において補助バッテリ400が当該端子170に電気的に接続されることで、一時的に錠ユニット120に対して給電することが可能となる。なお、図10の例においては、角電池を用いて給電しているが、いかなる種類のバッテリを用いてもよい。また、補助バッテリを端子170に接続するのではなく、端子170と電源とを直接接続するようにしてもよい。また、図9及び図10の例では、遮蔽板126の一端と筐体123の枠体との間に形成される空間から露出される位置に端子170を形成したが、当然この位置のみには限らない。遮蔽板126が閉じている状態において遮蔽板126によって被覆される位置であれば、端子170が常時露出することはないため、安全面及びデザイン面からより優れている。しかし、常に外部に露出するような位置に端子170を設けることも可能である。また、端子170をコードやリード線によって利用時のみ錠装置100の内部から引き出すようにしてもよい。このように構成することによって、バッテリ135の交換においてより円滑に扉15の開閉が可能となる。
【0068】
また、図9においてのみ図示しているが、錠ユニット120等の電気的な故障によってロック片121の施錠又は解錠に支障をきたす場合がある。このような場合に、物理的なキーを挿入したり専用工具を押し付けることによって人為的にロック片121の施錠又は解錠を可能にするための補助錠171が配置されてもよい。当該補助錠171は、遮蔽板126が開いた状態で初めて外部に露出するように、開口125の内側の壁面に配置される。
【0069】
以上、本開示によれば、より使い勝手の良い錠装置及び収容器を提供することができる。より具体的には、プロセッサ111で生成された制御信号に基づいて遮蔽板126の開閉を制御することによって、利用者に利用可能な収容器10を知覚させたり錠装置100を取っ手として利用可能にするだけでなく、意匠的に優れた錠装置100を提供することができる。また、筐体123に対して着脱可能に構成されたバッテリユニット160と、筐体123の前面枠に形成された当接片154とによって扉15を挟み込むように錠装置100を固定することによって、扉15の厚みの違いにもより柔軟に対応することが可能となる。また、扉15が閉じた状態において扉15の前面側に露出する位置に端子170を設けることによって、バッテリ135が消耗した状態であっても補助バッテリや補助電源を用いて効率的にバッテリの交換が可能となる。
【0070】
5.その他
図1図10の例では、収容器10と当該収容器10を施解錠するための錠装置100により構成される場合について説明した。具体的には、図1図10の例では、錠装置100の施解錠のために、有線又は無線で接続された利用者の端末装置300から解錠要求又は施錠要求を受信し、錠装置100で利用者の認証や制御信号を生成する場合について説明した。しかし、これに限らず、例えば端末装置300と有線又は無線で接続された制御装置200を介して制御するようにしてもよい。
【0071】
図11は、本開示の収容器10及び錠装置100の使用状態の一例を示す図である。具体的には図9は、収容器10の一例であるロッカーに対して錠装置100が設置された場合の使用状態を示す図である。このような収容器10及び錠装置100は、一例としては下記のように利用される。まず、収容器10の利用者が所持する端末装置300は、当該利用者から当該利用者を識別したり認証したりするための識別情報や、当該収容器10の利用要求の入力を受け付ける。そして、当該入力がなされると、端末装置300は有線又は無線で接続された制御装置200に入力された識別情報や利用要求を送信する。なお、図1に示すように収容器10が複数の区画に分割されている場合、端末装置300は、利用者が所望する区画を指定する情報の入力を受け付け、当該情報も制御装置200に送信することが可能である。また、識別情報、利用要求、区画を指定する情報等は、全て同時に送られる必要はなく、端末装置300の処理の進捗に応じて送信されてもよい。
【0072】
制御装置200は、端末装置300から識別情報、利用要求、区画を指定する情報等を受信すると、受信した情報に基づいて利用者の認証を行う。利用者が正当な権限を有する利用者であることが識別されると、制御装置200は、有線又は無線で接続された錠装置100に対して制御信号を送信する。制御装置200は、利用者が収容器10の利用を要求しているため、錠装置100に対して収容器10を施錠するロック片を解錠するための開信号を制御信号として送信する。しかし、これに限らず、錠装置100に対して収容器10を施錠するための閉信号を制御信号として送信することも可能である。
【0073】
錠装置100は、制御装置200から制御信号を受信すると、収容器10に対して施解錠処理を実行する。以下、錠装置100の動作は図1図10の例と同様である。
【0074】
また、図1図10の例では、扉15はその一端に設けられた回転軸を中心として、内部空間方向又は外部空間方向に回転するように開く場合について説明した。しかし、扉15は、このような開き戸に限らず、引き戸、グライドスライドドア、引込み扉、折戸、回転扉などであっても同様に本開示に係る錠装置100を適用することが可能である。
【0075】
また、図1図10の例では、ロック片121が第2モータの回転軸127を中心に施錠方向又は解錠方向に回転する場合について説明した。しかし、このようなロック片は回転するものに限らず、錠装置100に設けられたレール上を枠体11方向にスライド移動するものであってもよい。
【0076】
また、図1図10の例では、遮蔽板126は長辺方向に設けられた回転軸に沿って内部空間方向又は外部空間方向に回転する場合について説明した。しかし、この例に限らず、遮蔽板126は筐体123の前面に沿ってスライドするものであってもよいし、折りたたまれて収納されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0077】
1 :処理システム
10 :収容器
11 :枠体
12 :内部空間
13 :回転軸
14 :開口
15 :扉
15a :挿入孔
16 :外部空間
100 :錠装置
111 :プロセッサ
112 :メモリ
113 :入力インターフェイス
114 :通信インターフェイス
115 :第1モータ
120 :錠ユニット
121 :ロック片
122 :ラッチ
123 :筐体
124 :表示パネル
125 :開口
126 :遮蔽板
127 :回転軸
129a :回転孔
130 :制御基板
131 :回転軸
132 :モータギア
133 :連結ギア
134 :連結アーム
135 :バッテリ
136 :連結軸
137 :連結孔
138 :リンク機構
139 :検出片
141 :バネ
142 :ハンドル
150a :筐体軸
151 :前面枠
152 :本体
153 :側壁
154 :当接片
160 :バッテリユニット
161 :ビス
162 :連結片
163 :バッテリ収容体
164 :バッテリ収容孔
166 :スライド孔
167 :カバー
168 :スライド溝
169 :スライド片
170 :端子
200 :制御装置
300 :端末装置
400 :補助バッテリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11