(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080242
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】測定装置および測定システム
(51)【国際特許分類】
G01C 3/06 20060101AFI20240606BHJP
G01B 11/22 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
G01C3/06 110A
G01B11/22 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193274
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】391000896
【氏名又は名称】株式会社フローベル
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【氏名又は名称】稲本 義雄
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小林 正彦
【テーマコード(参考)】
2F065
2F112
【Fターム(参考)】
2F065AA06
2F065AA25
2F065CC13
2F065DD03
2F065FF04
2F065FF23
2F065GG04
2F065GG22
2F065HH05
2F065HH12
2F065HH14
2F065JJ03
2F065JJ09
2F065JJ26
2F065QQ21
2F065QQ28
2F065QQ31
2F065SS13
2F112AA09
2F112BA06
2F112CA12
2F112DA25
2F112FA35
2F112FA39
2F112GA05
(57)【要約】
【課題】携帯型とした場合でも測定精度を向上させた測定装置を提供できるようにする。
【解決手段】測定装置は、ライン状の第1測定光を対象物に照射する第1発光部と、ライン状の第2測定光を対象物に照射する第2発光部と、第1測定光及び第2測定光が照射された対象物を撮像し、撮像画像を生成する撮像素子とを備える。撮像画像に写る第1測定光及び第2測定光に基づいて、対象物までの距離が測定される。本技術は、例えば、対象物をタイヤとし、タイヤの溝部の深さを測定する測定装置等に適用できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ライン状の第1測定光を対象物に照射する第1発光部と、
ライン状の第2測定光を前記対象物に照射する第2発光部と、
前記第1測定光及び前記第2測定光が照射された前記対象物を撮像し、撮像画像を生成する撮像素子と
を備え、
前記撮像画像に写る前記第1測定光及び前記第2測定光に基づいて、前記対象物までの距離が測定される
測定装置。
【請求項2】
前記第1発光部と前記第2発光部は、前記撮像素子を中心に対称に配置され、
前記第1測定光及び前記第2測定光は、前記撮像素子の前方方向に所定距離だけ離れた位置で交差する
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
測定箇所のガイドとなるガイド光を照射するガイド発光部をさらに備え、
前記第1発光部と前記第2発光部は、前記ガイド発光部を中心に対称に配置されている
請求項1に記載の測定装置。
【請求項4】
前記ガイド光は、前記第1測定光及び前記第2測定光と異なる色のレーザ光である
請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記ガイド光は、十字状の光である
請求項3に記載の測定装置。
【請求項6】
前記第1測定光、前記第2測定光、及び、前記ガイド光の発光を制御するスイッチをさらに備え、
前記スイッチがオンされたとき、前記第1測定光、前記第2測定光、及び、前記ガイド光が照射され、
前記スイッチがオフされたとき、前記ガイド光が消灯され、
前記撮像素子は、前記ガイド光が消灯後の、前記第1測定光及び前記第2測定光が照射された前記対象物を撮像し、撮像画像を生成する
請求項3に記載の測定装置。
【請求項7】
前記第1測定光及び前記第2測定光は、緑色のレーザ光である
請求項1に記載の測定装置。
【請求項8】
前記撮像画像から前記第1測定光及び前記第2測定光の画素位置を検出し、前記第1測定光及び前記第2測定光の画素位置から計算される3次元位置に基づいて、前記対象物までの距離を計算する画像処理部をさらに備える
請求項1に記載の測定装置。
【請求項9】
前記画像処理部は、前記第1測定光から計算した第1距離と、前記第2測定光から計算した第2距離の平均を計算することにより、前記対象物までの距離を計算する
請求項8に記載の測定装置。
【請求項10】
前記画像処理部は、前記第1測定光から計算した第1距離と、前記第2測定光から計算した第2距離との差に基づいて、前記対象物までの距離を補正する補正処理を行う
請求項8に記載の測定装置。
【請求項11】
前記画像処理部は、前記撮像画像における前記第1測定光の第1ラインと第2ラインとから、前記対象物の所定の溝部の第1深さを計算し、前記撮像画像における前記第2測定光の第1ラインと第2ラインとから、前記対象物の所定の溝部の第2深さを計算し、前記第1深さと前記第2深さから、前記対象物の所定の溝部の深さを計算する
請求項8に記載の測定装置。
【請求項12】
前記第1発光部、前記第2発光部、及び、前記撮像素子を備える本体部と、
前記第1測定光及び前記第2測定光の発光を制御するスイッチを備え、前記対象物を測定する測定者が把持するグリップ部とで構成され、片手で把持する携帯型である
請求項1に記載の測定装置。
【請求項13】
前記撮像画像、または、前記撮像画像から計算された前記対象物までの距離の少なくとも一方を所定の記録媒体に記録する記録部をさらに備える
請求項1に記載の測定装置。
【請求項14】
ライン状の第1測定光を対象物に照射する第1発光部と、
ライン状の第2測定光を前記対象物に照射する第2発光部と、
前記第1測定光及び前記第2測定光が照射された前記対象物を撮像し、撮像画像を生成する撮像素子と
を備える測定装置と、
ライン状の第1測定光及び第2測定光が照射された前記対象物を撮像した前記撮像画像を取得し、前記撮像画像から前記第1測定光及び前記第2測定光の画素位置を検出し、前記第1測定光及び前記第2測定光の画素位置から計算される3次元位置と、前記第1発光部及び前記第2発光部との位置関係から、前記対象物までの距離を計算する画像処理部
を備える画像処理装置と
を備える測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、測定装置および測定システムに関し、特に、携帯型とした場合でも測定精度を向上させた測定装置を提供できるようにした測定装置および測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光切断法を用いて、物体の形状を測定する測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。光切断法では、一方向に延びるライン状の光であるライン光を対象物に照射し、その対象物に照射されたライン光をイメージセンサで撮像し、撮像により得られた画像を三角測量の原理を用いて解析することで、対象物の形状を測定することができる。
【0003】
光切断法を用いて物体の形状を測定する従来の測定装置は、例えば、特許文献1に開示される装置に代表されるように、ライン光を照射する光源と、ライン光を撮像するイメージセンサを位置決めして固定設置するものが一般的であり、屋外の任意の物を手軽に測定するのには不向きである。一方で、例えば特許文献2のように、手で持って測定するハンディタイプの非接触測定装置も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-135347号公報
【特許文献2】特開2020-56777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ハンディタイプのように、測定対象物に対する測定装置の位置や向きが固定設置されない場合、測定対象物に対する測定装置の向き、角度で測定値が変化し得るため、精度を向上させた測定装置が求められている。
【0006】
本技術は、このような状況に鑑みてなされたものであり、携帯型とした場合でも測定精度を向上させた測定装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術の第1側面の測定装置は、
ライン状の第1測定光を対象物に照射する第1発光部と、
ライン状の第2測定光を前記対象物に照射する第2発光部と、
前記第1測定光及び前記第2測定光が照射された前記対象物を撮像し、撮像画像を生成する撮像素子と
を備え、
前記撮像画像に写る前記第1測定光及び前記第2測定光に基づいて、前記対象物までの距離が測定される。
【0008】
本技術の第1側面においては、ライン状の第1測定光が第1発光部から対象物に照射され、ライン状の第2測定光が第2発光部から前記対象物に照射され、撮像素子において、前記第1測定光及び前記第2測定光が照射された前記対象物が撮像され、撮像画像が生成される。前記撮像画像に写る前記第1測定光及び前記第2測定光に基づいて、前記対象物までの距離が測定される。
【0009】
本技術の第2側面の測定システムは、
ライン状の第1測定光を対象物に照射する第1発光部と、
ライン状の第2測定光を前記対象物に照射する第2発光部と、
前記第1測定光及び前記第2測定光が照射された前記対象物を撮像し、撮像画像を生成する撮像素子と
を備える測定装置と、
ライン状の第1測定光及び第2測定光が照射された前記対象物を撮像した前記撮像画像を取得し、前記撮像画像から前記第1測定光及び前記第2測定光の画素位置を検出し、前記第1測定光及び前記第2測定光の画素位置から計算される3次元位置と、前記第1発光部及び前記第2発光部との位置関係から、前記対象物までの距離を計算する画像処理部
を備える画像処理装置と
を備える。
【0010】
本技術の第2側面においては、ライン状の第1測定光が第1発光部から対象物に照射され、ライン状の第2測定光が第2発光部から前記対象物に照射され、撮像素子において、前記第1測定光及び前記第2測定光が照射された前記対象物が撮像され、撮像画像が生成される。前記撮像画像から前記第1測定光及び前記第2測定光の画素位置が検出され、前記第1測定光及び前記第2測定光の画素位置から計算される3次元位置と、前記第1発光部及び前記第2発光部との位置関係から、前記対象物までの距離が測定される。
【0011】
測定装置及び測定システムは、独立した装置であっても良いし、1つの装置を構成している内部ブロックであっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本技術の第1及び第2側面によれば、携帯型とした場合でも測定精度を向上させることができる。
【0013】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本技術を適用した実施の形態である測定装置の斜視図である。
【
図3】測定対象物と測定装置との位置関係を示す上面図である。
【
図4】
図1の測定装置の機能的構成例を示すブロック図である。
【
図5】測定装置を用いたタイヤの溝部の測定を説明する図である。
【
図7】
図1の測定装置による補正処理を説明する図である。
【
図8】
図1の測定装置による補正処理を説明する図である。
【
図9】
図1の測定装置による測定処理を説明するフローチャートである。
【
図10】本技術を適用した別の実施の形態である測定処理システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態という)について説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。説明は以下の順序で行う。
1.測定装置の構成例
2.測定装置のブロック図
3.タイヤの溝部の測定
4.補正処理
5.測定処理のフローチャート
6.測定処理システムの構成例
【0016】
<1.測定装置の構成例>
図1は、本技術を適用した実施の形態である測定装置の斜視図である。
【0017】
図1に示される測定装置1は、レーザ光を測定光として前方方向に照射し、測定対象の物体(以下、測定対象物または対象物と称する。)に照射された測定光を撮像素子で撮像することにより、測定光の照射方向(前方方向)にある対象物までの距離を測定する装置である。測定装置1を用いて、例えば、対象物の高さや、対象物に形成された溝部の深さなどを測定することができる。
【0018】
測定装置1は、片手で把持可能な携帯型(ハンディタイプ)の装置であり、本体部11とグリップ部12とで構成されている。本体部11は、第1発光部21と、第2発光部22と、撮像部23と、ガイド発光部24とを備え、グリップ部12は、トリガスイッチ25を備える。
【0019】
第1発光部21は、例えば波長532nmの緑色のレーザ光を発振するG光源21aを有し、第1測定光として、緑色のライン状のレーザ光を対象物に照射する。第2発光部22は、例えば波長532nmの緑色のレーザ光を発振するG光源22bを有し、第2測定光として、緑色のライン状のレーザ光を対象物に照射する。第1発光部21と第2発光部22は、
図1に示されるように、撮像部23を中心として左右対称に配置されている。第1測定光及び第2測定光を特に区別しない場合、単に、測定光と称する。
【0020】
撮像部23は、撮像レンズ(不図示)と、第1測定光及び第2測定光が照射された対象物を撮像し、撮像画像を生成する撮像素子23cを有する。撮像素子23cは、カラー(RGB)の撮像画像を生成するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサで構成される。
【0021】
ガイド発光部24は、第1測定光及び第2測定光と異なる色のレーザ光を発振する光源24rを有し、測定箇所をガイドするガイド光を対象物に照射する。例えば、光源24rは、波長635nmないし650nm程度の赤色のレーザ光を発振する光源であり、ガイド発光部24は、第1発光部21と第2発光部22とを結ぶ方向である横方向と、それに垂直な縦方向とからなる十字状の赤色のガイド光を対象物に照射する。
【0022】
グリップ部12は、対象物を測定する測定者が把持する部分であり、測定者がグリップ部12を把持したとき、測定者の指でトリガスイッチ25を操作可能となる。トリガスイッチ25は、押下されたときオンであり、押下されていないときオフである。測定者の操作によりトリガスイッチ25がオンされた場合、測定光及びガイド光が対象物に照射(発光)される。測定者の操作によりトリガスイッチ25がオフされた場合、所定時間経過後に測定光及びガイド光が消灯し、撮像画像が生成された後、測定結果が表示部34(
図4)に表示される。表示部34は、例えば、撮像部23が設けられた本体部11の前面と反対側の背面に設けられている。
【0023】
【0024】
測定装置1は、例えば、
図2に示されるように、鉱山等で使用されるトラックである巨大車両TRのタイヤTYの溝部Twの深さを測定するために用いられる。巨大車両TRのタイヤTYは使用により摩耗し、溝部Twの深さが減少していくため、溝部Twの深さを定期的に測定し、適切なタイミングで新しいタイヤTYに交換する必要がある。測定対象のタイヤTYは、サイズが大きく、タイヤTYを取り外して任意の測定場所へ持ち込んで測定することは困難である。そのため、巨大車両TRに取り付けた状態で、測定装置1を手で持って、測定対象のタイヤTYの溝部Twの深さを測定する必要がある。巨大車両TRの使用環境は、鉱山等の屋外であるため、直射日光下の明るい環境で溝部Twの深さを測定する必要がある。タイヤTYの素材はゴムであり、色は黒色である。
【0025】
以上より、測定対象物をタイヤTYとした場合、測定装置1は、直射日光下の明るい環境下で、手で持った状態で、黒色のタイヤTYの任意の箇所の溝部Twの深さを精度よく測定できることが求められる。
【0026】
なお、本実施の形態では、測定装置1を用いて、タイヤTYの任意の箇所の溝部Twの深さを測定する例を説明するが、測定装置1の測定対象物がタイヤTYのみに限定されるものではない。測定装置1は、測定光が照射される照射方向の距離を測定する装置であり、測定対象物の深さ、高さ、奥行き、変位等の任意の距離を測定することができる。
【0027】
図3は、測定対象物と測定装置1との位置関係を示す上面図である。
【0028】
撮像部23の撮像素子23cが測定装置1の左右方向の中心に配置され、第1発光部21と第2発光部22が、撮像素子23cを中心として左右対称に配置されている。ガイド発光部24も、測定装置1の左右方向の中心に配置され、第1発光部21と第2発光部22が、ガイド発光部24を中心として左右対称に配置されている。
【0029】
第1発光部21と第2発光部22は、左右方向の角度が撮像部23の光軸中心側を向いて本体部11の筐体に取り付けられている。第1発光部21のG光源21aが照射するライン状の第1測定光LS1と、第2発光部22のG光源22bが照射するライン状の第2測定光LS2は、測定装置1の先端から前方方向に所定距離DSだけ離れた位置で、撮像素子23cの撮像中心と交差する。また、ガイド発光部24は、上下方向の角度が撮像部23の光軸中心側を向いて本体部11の筐体に取り付けられている。これにより、ガイド発光部24の光源24rが照射する十字状の赤色のガイド光GSの交点は、測定装置1の先端から前方方向に所定距離DS離れた位置で、撮像素子23cの撮像中心と交差する。なお、十字状の赤色のガイド光GSの交点は、必ずしも、撮像素子23cの撮像中心や、第1測定光LS1と第2発光部22の交点と一致させる必要はなく、例えば、撮像素子23cと光源24rの取付位置のオフセットを維持し、撮像素子23cの撮像中心から所定の距離だけ、上下方向にオフセットされてもよい。
【0030】
測定者がトリガスイッチ25を押下すると、緑色のライン状の第1測定光LS1及び第2測定光LS2と、赤色のガイド光GSが前方に照射される。測定者は、測定対象物との距離が所定距離DSよりも近い位置、例えば破線の位置OBJに調整し、
図3の紙面に垂直な縦方向の2本のライン状の第1測定光LS1と第2測定光LS2が対象物上に照射されるように、測定装置1と対象物との距離を調整する。測定装置1が対象物に正対している場合、赤色のガイド光GSに対して、緑色のライン状の第1測定光LS1及び第2測定光LS2が左右対称に等間隔(平行)に照射される。言い換えれば、赤色のガイド光GSに対して、緑色のライン状の第1測定光LS1及び第2測定光LS2が左右対称に等間隔(平行)となるように目視で測定装置1の向きを調整することで、測定装置1の向きを、精度良く測定できる向きに調整することができる。
【0031】
<2.測定装置のブロック図>
図4は、測定装置1の機能的構成例を示すブロック図である。
【0032】
測定装置1は、
図1で説明したように、第1発光部21、第2発光部22、撮像部23、ガイド発光部24、及び、トリガスイッチ25を備える。第1発光部21及び第2発光部22は、制御部31からの発光オン信号に基づいて測定光を発光(照射)する。撮像部23は、制御部31からの撮像トリガ信号に基づいて撮像を行う。ガイド発光部24は、制御部31からの発光オン信号に基づいてガイド光を発光(照射)する。トリガスイッチ25は、測定者の操作に基づいてオンオフ信号を制御部31に供給し、測定光及びガイド光の発光を制御する。
【0033】
測定装置1は、また、制御部31、画像処理部32、記録部33、表示部34、及び、通信部35を備える。
【0034】
制御部31は、トリガスイッチ25からのオンオフ信号を取得し、測定装置1の全体の動作を制御する。制御部31は、トリガスイッチ25がオンされたことを示すオン信号がトリガスイッチ25から供給された場合、測定光及びガイド光を発光させる発光オン信号を、第1発光部21、第2発光部22、及びガイド発光部24それぞれに供給する。制御部31は、トリガスイッチ25がオフされたことを示すオフ信号がトリガスイッチ25から供給された場合、ガイド光を消灯させる発光オフ信号をガイド発光部24に供給し、ガイド光の消灯から一定期間経過後、撮像を行わせる撮像トリガ信号を撮像部23に供給する。撮像は、ガイド光が消灯され、測定光が対象物に照射されている期間で行われるように撮像トリガ信号が供給される。さらに、制御部31は、撮像開始から一定期間経過後となる撮像終了後、測定光を消灯させる発光オフ信号を第1発光部21及び第2発光部22に供給する。
【0035】
撮像部23の撮像素子23cは、撮像を行わせる撮像制御信号が制御部31から供給された場合、撮像を開始し、その結果得られた撮像画像を画像処理部32へ供給する。生成された撮像画像は、測定光が照射されている対象物を撮像した画像となる。
【0036】
画像処理部32は、制御部31の制御の下、撮像部23から供給される撮像画像を用いて所定の画像処理を行う。例えば、画像処理部32は、撮像部23から供給される撮像画像を用いて、測定装置1から対象物までの距離を光切断法により計算する処理を行う。より具体的には、画像処理部32は、撮像部23から供給される撮像画像内の緑色の画素を抽出することにより、第1測定光LS1及び第2測定光LS2の画素位置を検出する。そして、画像処理部32は、第1測定光LS1及び第2測定光LS2の画素位置から、三角測量の原理により第1測定光LS1及び第2測定光LS2の3次元位置を計算することで、対象物までの距離を計算する。G光源21a及びG光源22bの3次元位置と、撮像素子23cの3次元位置との位置関係は、キャリブレーションにより既知である。
【0037】
ここで、第1測定光LS1の画素位置から計算した測定対象物までの第1距離と、第2測定光LS2の画素位置から計算した測定対象物までの第2距離の2つの距離が得られる。第1距離と第2距離は測定誤差を含み、完全に一致はしない。画像処理部32は、第1距離と第2距離の差(以下、LR距離差とも称する。)に基づいて、測定値を補正する補正処理を実行する。補正処理の詳細は、
図7及び
図8を参照して後述する。画像処理部32は、補正処理後の距離から算出した、測定対象のタイヤTYの溝部Twの深さを、最終的な測定結果として表示部34に供給し、表示させる。
【0038】
画像処理部32は、制御部31の制御の下、必要に応じて、撮像部23から供給される撮像画像を記録部33へ供給して記録(記憶)させたり、最終的な測定結果であるタイヤTYの溝部Twの深さ等のデータを記録部33へ供給して記録(記憶)させる。
【0039】
記録部33は、半導体メモリやハードディスクなどの記録媒体を備え、画像処理部32から供給された、撮像画像や測定結果のデータ、補正データ、プログラムなどを記録媒体に記録(記憶)する。記録媒体は、例えば半導体メモリで構成し、着脱可能としてもよい。記録媒体が着脱可能とされた場合、所定のデータが記録された記録媒体を別の装置へ装着して、データを別の装置へ移動または複製することができる。
【0040】
表示部34は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成され、最終的な測定結果である測定値を表示したり、撮像部23が撮像した撮像画像を表示する。なお、最終的な測定結果のみを表示すればよい場合、表示部34は、7セグメントディスプレイで構成してもよい。
【0041】
通信部35は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、LAN(Local Area Network)、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)等を用いた有線通信、または、Bluetooth(登録商標)、赤外線通信、NFC(Near Field Communication)等を用いた無線通信の少なくとも一つを行う通信モジュールで構成される。通信部35は、有線通信または無線通信の少なくとも一方により、測定データ及び撮像画像を他の装置へ送信したり、他の装置からデータ(例えば、プログラム、補正データなど)を受信することができる。
【0042】
<3.タイヤの溝部の測定>
次に、
図5を参照して、測定装置1を用いたタイヤTYの溝部Twの測定について説明する。
【0043】
図5の右側には、測定作業中の測定装置1と、測定対象物であるタイヤTYの側面図が示されている。測定箇所であるタイヤTYの溝部Twの深さDPは、溝部Twの溝底面71aに対して垂直な方向における、溝底面71aから溝上面71bまでの距離に相当する。
【0044】
図5の左側の画像IMRは、撮像素子23cが捉えた測定対象物の画像であり、換言すれば、測定者から見えるタイヤTYの状態を模式的に示した図でもある。
【0045】
測定者は、測定装置1を測定箇所のタイヤTYの溝部Twに向けた状態で、トリガスイッチ25をオンする。これにより、緑色のライン状の第1測定光LS1及び第2測定光LS2と、赤色のガイド光GSが前方に照射される。画像IMRのように、第1測定光LS1及び第2測定光LS2は、一点鎖線で示される十字状の赤色のガイド光GSの交点を挟む形で、ガイド光GSの左右に縦方向にタイヤTY上に投影される。第1測定光LS1及び第2測定光LS2は、溝部Twの深さに応じて、ガイド光GSの交点に近い方へ屈折したラインとなる。
【0046】
測定装置1とタイヤTYとの距離を近づけると、右側の第1測定光LS1とガイド光GSの縦方向のラインとの間隔72Rと、左側の第2測定光LS2とガイド光GSの縦方向のラインとの間隔72Lは広くなり、測定装置1とタイヤTYとの距離を遠ざけると、間隔72R及び72Lは狭くなる。間隔72R及び72Lが予め設定した所定の間隔となるように目視で調整することで、測定対象物に対する最適な距離を調整することができる。間隔72R及び72Lの最適な距離を示すような印(目盛)を測定装置1の本体部11に予め付けておき、測定者がその印を目安に間隔72R及び72Lを調整できるようにしてもよい。
【0047】
タイヤTYの測定箇所に対して測定装置1の左右方向(横方向)の傾きがない場合、右側の第1測定光LS1とガイド光GSの縦方向のラインとの間隔72Rと、左側の第2測定光LS2とガイド光GSの縦方向のラインとの間隔72Lとが等しくなる。反対に、タイヤTYに対して測定装置1が左右方向に傾いている場合、間隔72Rと間隔72Lの一方が広くなり、他方が狭くなる。また、タイヤTYの測定箇所に対して測定装置1の上下方向(縦方向)の傾きがない場合、タイヤTY上に照射された第1測定光LS1と第2測定光LS2とが平行となる。一方、タイヤTYに対して測定装置1が上下方向に傾いている場合、第1測定光LS1-第2測定光LS2間の距離(間隔72R+間隔72L)が、手前側が広く、奥側が狭いハの字状、または、手前側が狭く、奥側が広い逆ハの字状となる。測定者は、第1測定光LS1と第2測定光LS2とが平行となり、かつ、間隔72Rと間隔72Lが等しくなるように、目視で測定装置1の傾きを調整することで、精度良く測定ができるように測定装置1の姿勢を調整することができる。第1測定光LS1及び第2測定光LS2は緑色のレーザ光であり、ガイド光GSは赤色のレーザ光である。第1測定光LS1及び第2測定光LS2とガイド光GSの色が異なることで、測定光LSとガイド光GSの区別が容易である。画像処理部32は、緑色の第1測定光LS1及び第2測定光LS2のラインを抽出するので、画像処理において測定光LSとガイド光GSの区別も容易となる。
【0048】
図6を参照して、タイヤTYの溝部Twの深さDPの算出について説明する。
【0049】
図6は、表示部34に表示される測定結果の表示例を示している。
図6は、測定結果を示す画像が、撮像素子23cが生成する撮像画像を90度回転させた横長の向きで表示部34に表示される例を示している。
【0050】
画像処理部32は、溝底面71aに対応する第1測定光LS1のライン81Raと、溝上面71bに対応する第1測定光LS1のライン81Rbとから、第1距離DP_Rを計算する。また、画像処理部32は、溝底面71aに対応する第2測定光LS2のライン81Laと、溝上面71bに対応する第2測定光LS2のライン81Lbとから、第2距離DP_Lを計算する。さらに、画像処理部32は、第1測定光LS1から計算した第1距離DP_Rと、第2測定光LS2から計算した第2距離DP_Lとの差(LR距離差)に基づいて測定値を補正する補正処理を実行する。表示部34には、補正処理後の最終的な測定結果として、“H=100.031[mm]”が表示されており、タイヤTYの溝部Twの深さDPが、100.031[mm]であることを示している。
【0051】
<4.補正処理>
図7及び
図8を参照して、LR距離差に基づいて測定値を補正する補正処理について説明する。
【0052】
図7は、測定対象物の溝部Twの深さDPに対して、測定装置1を左右方向に傾けて測定したときの傾き角度と測定値との関係を示している。
【0053】
図7の横軸は傾き角度を表し、縦軸は溝部Twの深さDPの真値を距離“1”として変換した測定値(距離)を表す。
図7において“R距離”は、第1測定光LS1に基づく第1距離DP_Rに相当し、“L距離”は、第2測定光LS2に基づく第2距離DP_Lに相当する。“LR平均”は、“R距離”と“L距離”の平均値である。
【0054】
図7に示されるように、測定対象物に対する測定装置1の左右方向の傾きが大きくなるほど、真値との測定誤差は大きくなる。また、R距離(第1測定光LS1に基づく第1距離DP_R)と、L距離(第2測定光LS2に基づく第2距離DP_L)の誤差は、反対方向に現れる。すなわち、一方の誤差が大きくなる傾き角度では他方の誤差が小さくなり、他方の誤差が大きくなる傾き角度では一方の誤差が小さくなる。そのため、“R距離”と“L距離”を平均した“LR平均”を求めることで、真値との測定誤差を小さくすることができる。傾き角度が10度以内である場合、真値との測定誤差を極めて小さくすることができる。実際の測定では、傾き角度を10度より大きくするほど傾けることは起こりにくいため、“LR平均”を計算し、最終的な測定結果として出力することで、十分な精度で測定することができる。さらに、“LR平均”の値と真値との誤差を解消する補正を行ってもよい。
【0055】
図8は、R距離とL距離との差であるLR距離差と、真値との誤差の関係を示すグラフである。
【0056】
画像処理部32は、LR距離差xと真値との誤差yの関係を示す関係式y=f(x)に基づいて誤差yを計算し、測定値を補正することができる。すなわち、画像処理部32は、第1測定光LS1から計算した第1距離DP_R(R距離)と、第2測定光LS2から計算した第2距離DP_L(L距離)との差(LR距離差)に基づいて誤差yを計算し、第1距離DP_R(R距離)と第2距離DP_L(L距離)の平均値に誤差yを加算または減算することで、加減した値を、最終的な測定結果として出力する。
【0057】
<5.測定処理のフローチャート>
次に、
図9のフローチャートを参照して、測定装置1によるタイヤTYの溝部Twの深さDPを測定する測定処理について説明する。この処理は、例えば、測定装置1の電源が投入されたときに開始される。
【0058】
初めに、ステップS21において、制御部31は、トリガスイッチ25がオンされたか否かを判定し、トリガスイッチ25がオンされたと判定されるまでステップS21の処理を繰り返し実行する。
【0059】
そして、ステップS21で、トリガスイッチ25がオンされたと判定された場合、処理はステップS22へ進み、制御部31は、発光オン信号を、第1発光部21、第2発光部22、及びガイド発光部24それぞれに供給し、第1測定光LS1及び第2測定光LS2と、ガイド光GSを発光させる。
【0060】
測定者は、測定装置1をタイヤTYに向け、十字状の赤色のガイド光GSを溝部Twに合わせる。また、測定者は、右側の第1測定光LS1と左側の第2測定光LS2とが平行となり、かつ、第1測定光LS1とガイド光GSとの間隔72Rと、第2測定光LS2とガイド光GSとの間隔72Lとが等しくなるように、目視で測定装置1の姿勢を調整する。また、測定者は、測定対象物までの距離が測定に最適な距離となるように間隔72R及び72Lを調整する。測定者は、測定位置の調整が終わると、トリガスイッチ25をオフする。
【0061】
ステップS23において、制御部31は、トリガスイッチ25がオフされたか否かを判定し、トリガスイッチ25がオフされたと判定されるまでステップS23の処理を繰り返し実行する。
【0062】
そして、ステップS23で、トリガスイッチ25がオフされたと判定された場合、処理はステップS24へ進み、制御部31は、発光オフ信号をガイド発光部24に供給し、ガイド光GSを消灯させる。
【0063】
ステップS25において、制御部31は、撮像を行わせる撮像制御信号を撮像部23の撮像素子23cに供給する。撮像部23の撮像素子23cは、撮像制御信号に基づいて撮像を開始し、その結果得られた撮像画像を画像処理部32へ供給する。撮像素子23cは、ガイド光GSが消灯後の、第1測定光LS1及び第2測定光LS2が照射された測定対象物を撮像する。
【0064】
ステップS26において、制御部31は、発光オフ信号を第1発光部21及び第2発光部22に供給し、第1測定光LS1及び第2測定光LS2を消灯させる。
【0065】
ステップS27において、画像処理部32は、撮像画像内の緑色の画素を抽出することにより、撮像画像内の第1測定光LS1及び第2測定光LS2を検出する。そして、ステップS28において、画像処理部32は、検出した第1測定光LS1及び第2測定光LS2の画素位置から計算される3次元位置と、第1測定光及び第2測定光を照射したG光源21a及びG光源22bの3次元位置とから、三角測量の原理により、対象物までの距離を計算する。ここでは、第1測定光LS1に基づく第1距離DP_R(R距離)と、第2測定光LS2に基づく第2距離DP_L(L距離)が計算される。
【0066】
ステップS29において、画像処理部32は、R距離(第1測定光LS1に基づく第1距離DP_R)とL距離(第2測定光LS2に基づく第2距離DP_L)との差(LR距離差)に基づいて、測定値を補正する。より具体的には、画像処理部32は、
図8の関係式y=f(x)に基づいて誤差yを計算し、第1距離DP_Rと第2距離DP_Lの平均値を補正する。
【0067】
ステップS30において、画像処理部32は、補正処理後の測定値である溝部Twの深さDPを、最終的な測定結果として表示部34に供給する。表示部34は、画像処理部32から供給された測定値を表示する。
【0068】
以上で、撮像画像に写る第1測定光LS1及び第2測定光LS2に基づいて、対象物までの距離(溝部Twの深さDP)を測定する測定処理が終了する。上述した測定処理において、R距離とL距離との差(LR距離差)に基づいて測定誤差を補正する補正処理を省略する場合、第1距離DP_Rと第2距離DP_Lの平均値を、最終的な測定結果として画像処理部32から表示部34へ供給し、表示させることができる。
【0069】
以上のように、測定装置1によれば、第1測定光LS1と第2測定光LS2の平行度と、測定光LSとガイド光GSの間隔72R及び72Lを目視で調整することで、測定対象物に対する最適な距離を調整したり、測定装置1の姿勢(傾き)を精度良く測定ができる向きに調整することができる。また、第1測定光LS1と第2測定光LS2の2本の測定光LSを用いることで、誤差を平滑化するとともに、補正も行うことができる。従って、測定装置1によれば、携帯型とした場合でも精度を向上させた距離の測定を行うことができる。すなわち、測定精度を向上させた測定装置を提供することができる。
【0070】
上述した測定処理では、測定装置1は、測定光LSが写る1枚の撮像画像から、第1測定光LS1に基づく第1距離DP_R(R距離)と、第2測定光LS2に基づく第2距離DP_L(L距離)を計算し、それらの平均値から、タイヤTYの溝部Twの深さDPを算出した。しかしながら、測定光LSが写る複数枚の撮像画像を取得して、タイヤTYの溝部Twの深さDPを算出してもよい。例えば、測定装置1は、測定光LSが写る複数枚の撮像画像それぞれからタイヤTYの溝部Twの深さDPを算出し、それらの平均値から、最終的なタイヤTYの溝部Twの深さDPを算出することができる。あるいはまた、
図7及び
図8を参照して説明したように、LR距離差が小さい場合が真値との測定誤差が小さくなるため、測定装置1は、測定光LSが写る複数枚の撮像画像それぞれについてLR距離差を算出し、LR距離差が最小となる撮像画像で算出したタイヤTYの溝部Twの深さDPを最終的なタイヤTYの溝部Twの深さDPとして出力してもよい。
【0071】
<6.測定処理システムの構成例>
図10は、本技術を適用した別の実施の形態である測定処理システムの構成例を示すブロック図である。
【0072】
測定装置1は、通信部35を介して他の装置と通信することができるので、撮像画像から溝部Twの深さDPを測定する演算処理を、測定装置1に接続される他の装置で実行させることもできる。
図10の測定処理システム100は、測定装置1に接続された他の装置で、溝部Twの深さDPの演算処理を実行させるシステムである。
【0073】
図10の測定処理システム100は、測定装置1と画像処理装置101とで構成される。測定装置1の構成は、
図4と同様であるので、説明は省略する。
【0074】
画像処理装置101は、演算部111、フレームメモリ112、記録部113、操作部114、通信部115、表示部116、及び、電源部117を備える。演算部111、フレームメモリ112、記録部113、操作部114、通信部115、表示部116、及び、電源部117は、バスライン118を介して相互に接続されている。画像処理装置101は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パーソナルコンピュータ等で構成することができる。
【0075】
演算部111は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等で構成され、記録部113等から読み出されたプログラムにしたがい所定の処理を実行する。例えば、演算部111は、通信部115を介して測定装置1から送信されてくる、測定光LSが写るタイヤTYの撮像画像を用いて、測定装置1(の画像処理部32)が行っていた光切断法を用いた溝部Twの深さDPの計算処理を実行する。
【0076】
フレームメモリ112は、測定装置1から送信された撮像画像や、記録部113から読み出した画像などを記憶する。記録部113は、半導体メモリ、ハードディスク等の記録媒体を備え、処理の実行に必要な各種のプログラムやデータを記憶する。
【0077】
操作部114は、キーボード、マウス、タッチパネルなどで構成され、ユーザ(操作者)の入力を受け付け、操作信号を各部へ供給する。
【0078】
通信部115は、測定装置1の通信部35と同一の通信モジュールで構成され、有線通信または無線通信の少なくとも一方により、測定装置1と通信することにより、測定値、撮像画像等のデータを取得し、演算部111、フレームメモリ112、記録部113、表示部116等のいずれかに供給する。
【0079】
表示部116は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の薄型ディスプレイで構成され、溝部Twの深さDPの測定結果や、撮像画像などを表示する。電源部117は、画像処理装置101の各部へ動作電源となる各種の電源を供給する。
【0080】
測定処理システム100においては、画像処理装置101の演算部111が、撮像素子23cが生成した撮像画像から、溝部Twの深さDPを計算する処理を実行する。表示部116は、計算結果の溝部Twの深さDPを表示する。測定装置1の画像処理部32は、撮像素子23cから供給される撮像画像を通信部35を介して画像処理装置101へ送信する処理を実行すればよく、溝部Twの深さDPを計算する処理は行わない。測定処理システム100においては、測定装置1の表示部34を省略することができる。
【0081】
本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、本明細書に記載されたもの以外の効果があってもよい。
【0082】
上述した実施の形態においては、測定光LS(第1測定光LS1及び第2測定光LS2)を、波長532nmの緑色のレーザ光とし、測定箇所をガイドするガイド光GSを、波長635nmないし650nm程度の赤色のレーザ光としたが、測定光LS及びガイド光GSの波長(色)は、測定する対象物の色(物体色)、測定環境等に応じて適宜変更してよい。例えば、測定光を赤色のレーザ光とし、ガイド光を緑色のレーザ光としてもよいし、測定光を赤外光としてもよい。測定光を赤外光とした場合、撮像素子23cは、赤外光を受光可能なイメージセンサで構成される。測定光とガイド光は同じ波長(色)の光としてもよいが、異なる波長とすることで、測定光とガイド光の分離を容易とし、測定光の検出が容易となる。
【0083】
上述した実施の形態においては、測定装置1が、測定光LSを照射する発光部を2つ設け、ライン状の2本の測定光LSを照射する構成としたが、測定光LSの本数は2本に限定されず、3本以上としてもよい。ライン状の測定光LSを3本以上とした場合の各測定光LSのライン状の方向は、上述した実施の形態と同様に全て平行としてもよいし、例えば格子状のように複数の測定光LSが直交してもよい。各測定光LSのライン状の方向は、測定する対象物の凹凸形状に応じて適宜決定することができる。
【0084】
上述した実施の形態においては、測定装置1が片手で把持可能な携帯型の装置としたが、測定装置1は、固定的に設置される装置であってもよい。
【0085】
本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる場合はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで実行されてもよい。
【0086】
なお、本明細書において、システムとは、複数の構成要素(装置、モジュール(部品)等)の集合を意味し、すべての構成要素が同一筐体中にあるか否かは問わない。したがって、別個の筐体に収納され、ネットワークを介して接続されている複数の装置、及び、1つの筐体の中に複数のモジュールが収納されている1つの装置は、いずれも、システムである。
【0087】
なお、本開示の技術は、以下の構成を採用することができる。
(1)
ライン状の第1測定光を対象物に照射する第1発光部と、
ライン状の第2測定光を前記対象物に照射する第2発光部と、
前記第1測定光及び前記第2測定光が照射された前記対象物を撮像し、撮像画像を生成する撮像素子と
を備え、
前記撮像画像に写る前記第1測定光及び前記第2測定光に基づいて、前記対象物までの距離が測定される
測定装置。
(2)
前記第1発光部と前記第2発光部は、前記撮像素子を中心に対称に配置され、
前記第1測定光及び前記第2測定光は、前記撮像素子の前方方向に所定距離だけ離れた位置で交差する
前記(1)に記載の測定装置。
(3)
測定箇所のガイドとなるガイド光を照射するガイド発光部をさらに備え、
前記第1発光部と前記第2発光部は、前記ガイド発光部を中心に対称に配置されている
前記(1)または(2)に記載の測定装置。
(4)
前記ガイド光は、前記第1測定光及び前記第2測定光と異なる色のレーザ光である
前記(3)に記載の測定装置。
(5)
前記ガイド光は、十字状の光である
前記(3)または(4)に記載の測定装置。
(6)
前記第1測定光、前記第2測定光、及び、前記ガイド光の発光を制御するスイッチをさらに備え、
前記スイッチがオンされたとき、前記第1測定光、前記第2測定光、及び、前記ガイド光が照射され、
前記スイッチがオフされたとき、前記ガイド光が消灯され、
前記撮像素子は、前記ガイド光が消灯後の、前記第1測定光及び前記第2測定光が照射された前記対象物を撮像し、撮像画像を生成する
前記(3)ないし(5)のいずれかに記載の測定装置。
(7)
前記第1測定光及び前記第2測定光は、緑色のレーザ光である
前記(1)ないし(6)のいずれかに記載の測定装置。
(8)
前記撮像画像から前記第1測定光及び前記第2測定光の画素位置を検出し、前記第1測定光及び前記第2測定光の画素位置から計算される3次元位置に基づいて、前記対象物までの距離を計算する画像処理部をさらに備える
前記(1)ないし(7)のいずれかに記載の測定装置。
(9)
前記画像処理部は、前記第1測定光から計算した第1距離と、前記第2測定光から計算した第2距離の平均を計算することにより、前記対象物までの距離を計算する
前記(8)に記載の測定装置。
(10)
前記画像処理部は、前記第1測定光から計算した第1距離と、前記第2測定光から計算した第2距離との差に基づいて、前記対象物までの距離を補正する補正処理を行う
前記(8)または(9)に記載の測定装置。
(11)
前記画像処理部は、前記撮像画像における前記第1測定光の第1ラインと第2ラインとから、前記対象物の所定の溝部の第1深さを計算し、前記撮像画像における前記第2測定光の第1ラインと第2ラインとから、前記対象物の所定の溝部の第2深さを計算し、前記第1深さと前記第2深さから、前記対象物の所定の溝部の深さを計算する
前記(8)ないし(10)のいずれかに記載の測定装置。
(12)
前記第1発光部、前記第2発光部、及び、前記撮像素子を備える本体部と、
前記第1測定光及び前記第2測定光の発光を制御するスイッチを備え、前記対象物を測定する測定者が把持するグリップ部とで構成され、片手で把持する携帯型である
前記(1)ないし(11)のいずれかに記載の測定装置。
(13)
前記撮像画像、または、前記撮像画像から計算された前記対象物までの距離の少なくとも一方を所定の記録媒体に記録する記録部をさらに備える
前記(1)ないし(12)のいずれかに記載の測定装置。
(14)
ライン状の第1測定光を対象物に照射する第1発光部と、
ライン状の第2測定光を前記対象物に照射する第2発光部と、
前記第1測定光及び前記第2測定光が照射された前記対象物を撮像し、撮像画像を生成する撮像素子と
を備える測定装置と、
ライン状の第1測定光及び第2測定光が照射された前記対象物を撮像した前記撮像画像を取得し、前記撮像画像から前記第1測定光及び前記第2測定光の画素位置を検出し、前記第1測定光及び前記第2測定光の画素位置から計算される3次元位置と、前記第1発光部及び前記第2発光部との位置関係から、前記対象物までの距離を計算する画像処理部
を備える画像処理装置と
を備える測定システム。
【符号の説明】
【0088】
1 測定装置, 11 本体部, 12 グリップ部, 21 第1発光部, 21a G光源, 22 第2発光部, 22b G光源, 23 撮像部, 23c 撮像素子, 24 ガイド発光部, 24r 光源, 25 トリガスイッチ, 31 制御部, 32 画像処理部, 33 記録部, 34 表示部, 35 通信部, 71a 溝底面, 71b 溝上面, 81La ライン, 81Lb ライン, 81Ra ライン, 81Rb ライン, 100 測定処理システム, 101 画像処理装置, 111 演算部, 112 フレームメモリ, 113 記録部, 114 操作部, 115 通信部, 116 表示部, 117 電源部, 118 バスライン, DP 深さ, DP_L 第2距離, DP_R 第1距離, DS 所定距離, GS ガイド光, IMR 画像, LS 測定光, LS1 第1測定光, LS2 第2測定光, TR 巨大車両, TY タイヤ, Tw 溝部