(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080248
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】カートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器とカートリッジケース
(51)【国際特許分類】
A45D 40/00 20060101AFI20240606BHJP
A45D 40/04 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
A45D40/00 Y
A45D40/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193282
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000140915
【氏名又は名称】株式会社カツシカ
(72)【発明者】
【氏名】瀧口 航
(72)【発明者】
【氏名】湯下 大樹
(57)【要約】
【課題】 棒状化粧料の下方に、棒状化粧料を上下摺動させる繰り出し機構を備えた容器を、棒状化粧料を交換できるカートリッジ式容器にする。
【解決手段】 棒状化粧料を保持する保持紅皿と、繰り出し機構により上下摺動する受け中皿とに分割し、保持紅皿を受け紅皿に対して着脱可能にして、棒状化粧料及び保持紅皿をカートリッジとする。受け紅皿には一対の把持爪を立設し、保持紅皿には把持爪が係合する嵌入部を設ける。受け紅皿の上昇限時に把持爪は、容器上端より突出して拡開可能となりカートリッジを交換可能にする。カートリッジはカートリッジケース内に収容し、カートリッジケースの紅皿ホルダーは、保持紅皿を係合保持している。カートリッジケースを容器先端に嵌合し、下方に摺動することにより、保持紅皿の係合がカートリッジケースより容器に移行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(B)は、スリーブ(4)内に収容した棒状化粧料(1)の下方に、棒状化粧料(1)を上下摺動させる繰り出し機構(B’)を配置し、該繰り出し機構(B’)により上下摺動する受け紅皿(3)に、棒状化粧料(1)を保持する保持紅皿(2)を着脱可能にして、棒状化粧料(1)及び保持紅皿(2)をカートリッジ(A)としたカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於いて、
該受け紅皿(3)及び保持紅皿(2)の外径はスリーブ(4)の内径よりも僅かに小径で、受け紅皿(3)の上面には一対の把持爪(314,316)を立設し、前記保持紅皿(2)の側面には、受け紅皿(3)の把持爪(314,316)の間に嵌入、乗り越え係合して、保持紅皿(2)と受け紅皿(3)を一体に連結可能な嵌入部(22,23)を設け、
該受け紅皿(3)が上昇限の時、受け紅皿(3)の把持爪(314,316)がスリーブ(4)の上端より突出して把持爪(314,316)が変形可能となり、把持爪(314,316)と、保持紅皿(2)の嵌入部(22,23)との嵌入、乗り越え係合、及び離脱を可能とし、保持紅皿(2)がスリーブ(4)内の時、スリーブ(4)により把持爪(314,316)が変形不能となり、把持爪(314,316)と、保持紅皿(2)の嵌入部(22,23)との離脱を不能とするよう構成し、
前記カートリッジ(A)を、仮キャップ(10)及び紅皿ホルダー(9)より成るカートリッジケース(A’)に収容し、
前記カートリッジ(A)の保持紅皿(2)の嵌入部(22,23)以外の側壁に、一対の保持凹部(24)を刻設し、
カートリッジケース(A’)の仮キャップ(10)はカートリッジ(A)の棒状化粧料(1)を覆い、紅皿ホルダー(9)の下部は、前記容器(B)のスリーブ(4)の先端が上下摺動可能に嵌合する挿嵌部(91)となり、紅皿ホルダー(9)の上部は、前記保持紅皿(2)を収容する収容部(92)となり、該挿嵌部(91)の側壁に、外側に変形可能な一対の係合片(93)を切欠き成形し、該係合片(93)の先端の内側壁に、前記保持凹部(24)と係合して、保持紅皿(2)を紅皿ホルダー(9)内に保持する保持係合部(931)を突設し、該保持係合部(931)の下部を斜面状のカム面(932)に成形し、
前記紅皿ホルダー(9)をスリーブ(4)の先端に嵌合させた際、紅皿ホルダー(9)内の保持紅皿(2)と受け中皿(3)が一体に係合し、紅皿ホルダー(9)の摺動により、保持紅皿(2)に対する保持係合部(931)の位置が移動し、該保持係合部(931)のカム面(932)により保持凹部(24)より脱し、カム面(932)が前記スリーブ(4)の先端に当接して係合片(93)を外方向に押し広げ、保持紅皿(2)と紅皿ホルダー(9)の係合保持を解除し、カートリッジ(A)の係合保持が、カートリッジケース(A’)より容器(B)に移行するよう構成したことを特徴とするカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器とカートリッジケース。
【請求項2】
前記容器(B)のスリーブ(4)の先端は、斜めに切断した切断部(43)となり、前記カートリッジ(A)の棒状化粧料(1)の先端もスリーブ(4)の切断部(43)に倣った斜め先端形状とし、スリーブ(4)内側壁に軸線方向に長く案内溝(421)を設け、該案内溝(421)には、前記受け紅皿(3)に突設した案内突部(311)が係合して、受け紅皿(3)を上下摺動自在に回動不能に案内し、該案内溝(421)と案内突部(311)の係合により、受け紅皿(3)とスリーブ(4)は円周方向の所定の角度位置で位置決めし、
容器(B)の受け紅皿(3)の上面にガイドボス(313)を突設し、カートリッジ(A)の保持紅皿(2)の下面に、ガイドボス(313)に回動不能に嵌合するガイド凹部(21)を設け、該ガイドボス(313)とガイド凹部(21)が嵌合することにより、受け紅皿(3)の把持爪(314,316)が保持紅皿(2)の嵌入部(22,23)に嵌入するガイドとなると同時に、保持紅皿(2)と受け紅皿(3)は円周方向の所定の角度位置で位置決めし、
カートリッジ(A)の保持紅皿(2)の保持凹部(24)とカートリッジケース(A’)の紅皿ホルダー(9)の保持係合部(931)との係合により保持紅皿(2)を紅皿ホルダー(9)内に収容保持すると同時に、紅皿ホルダー(9)と保持紅皿(2)は円周方向の所定の角度位置で位置決めし、
カートリッジケース(A’)の紅皿ホルダー(9)の外側壁に位置合せリブ(94)を突設し、該位置合せリブ(94)を円周方向の所定の角度位置での位置決めガイドとして、カートリッジ(A)の棒状化粧料(1)を紅皿ホルダー(9)内の保持紅皿(2)に装着し、
紅皿ホルダー(9)と保持紅皿(2)の円周方向の所定の角度位置での位置合せ係合、棒状化粧料(1)と保持紅皿(2)の円周方向の所定の角度位置での位置合せ装着、保持紅皿(2)と受け紅皿(3)の円周方向の所定の角度位置での位置合せ係合、及び受け紅皿(3)とスリーブ(4)の円周方向の所定の角度位置での位置合せ係合により、カートリッジ(A)と容器(B)の円周方向の所定の角度位置での位置合せを行い、容器(B)にカートリッジ(A)を装着する時点での、棒状化粧料(1)の先端の斜め傾斜と、スリーブ(4)先端の切断部(43)の傾斜が一致するよう構成したことを特徴とする請求項1記載のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器とカートリッジケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口紅、リップライナー、リップクリームなどの棒状化粧料を交換可能にしたカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器、そのカートリッジ、及びカートリッジケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、口紅、リップライナー、リップクリーム等の棒状化粧料を収納し、棒状化粧料を繰り出し機構により上下摺動させる棒状化粧料繰り出し容器の、棒状化粧料を収納し繰り出し機構により上下摺動する中皿を、棒状化粧料を保持する収嵌筒と、繰り出し機構により上下摺動する保持筒とに分割し、この保持筒と収嵌筒を着脱可能に連結する、いわゆる2重中皿方式の容器が知られている。この2重中皿方式の容器は、特許文献1にあるように、棒状化粧料及び収嵌筒をカートリッジとして交換可能にする、カートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器とすることができた。
【0003】
この棒状化粧料及び収嵌筒は、収嵌筒と容器を別個に保管しておき、必要に応じて容器本体に収嵌筒をセットして棒状化粧料繰り出し容器を完成させていた。また、棒状化粧料及び収嵌筒をカートリッジとする場合、棒状化粧料で他所を汚してしまわないよう、また棒状化粧料を損傷しないよう、カートリッジをカートリッジケース内に収納していた。しかも、このカートリッジケースを利用して、棒状化粧料に触れることなく、カートリッジの装着を行うこともできた
【0004】
この棒状化粧料及び収嵌筒は、単体で保管するため、容器で保管する場合に比べて小さく、在庫収納スペースの削減を図ることができた。棒状化粧料が不良だった場合、若しくは棒状化粧料を使い切ってしまった場合には、収嵌筒のみ廃棄すれば良く、廃棄物の削減、廃棄コストの削減を図ることができた。また、収嵌筒をカートリッジ化した場合、新しいカートリッジに交換すれば、容器を繰り返し使用できた。
【0005】
一方、棒状化粧料繰り出し容器は、特許文献1に示された、棒状化粧料を繰り出す繰り出し機構が、棒状化粧料の周囲に配置されている構成以外に、特許文献2に示された、棒状化粧料を繰り出す繰り出し機構が、棒状化粧料の下方に配置されている構成も知られている。特許文献2に示された構成の容器は、特許文献1に示された構成の容器に比べて容器外径を細くできた。また、特許文献2に示された構成の容器は、容器のパイプ状のスリーブ内に直接棒状化粧料を収容するため、近年よく利用される、柔らかく折れやすい棒状化粧料の収容に適していた。このスリーブの先端及び棒状化粧料の先端は、棒状化粧料が塗布しやすいよう、斜めにカットされていることが多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭61-154819号公報
【特許文献2】特開平6-181813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この特許文献2に示された、繰り出し機構が棒状化粧料の下方に配置されている構成の容器は、パイプ状のスリーブ内に直接棒状化粧料が収容されるため、スリーブと棒状化粧料の間のクリアランスを極力小さくして、スリーブ内壁で棒状化粧料をホールドし柔らかい棒状化粧料を折れにくくしていた。一方、2重中皿方式を利用して棒状化粧料及び収嵌筒を、カートリッジ化する場合、棒状化粧料及び収嵌筒を抜き差しする関係で、棒状化粧料を傷付けないよう、スリーブの収容部位と棒状化粧料のクリアランスは大きいほうが好ましい。つまり、特許文献2に示された棒状化粧料繰り出し容器に、特許文献1に示された2重中皿方式の中皿を転用することは、棒状化粧料の保護とカートリッジの装着しやすさの両立などの困難を伴っていた。本発明は、特許文献2に示された、繰り出し機構が棒状化粧料の下方に配置されている構成の棒状化粧料繰り出し容器内の、棒状化粧料を保持した中皿を、2重中皿方式にしてカートリッジ化したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器、及びそのカートリッジケースの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
容器Bは、スリーブ4内に収容した棒状化粧料1の下方に、棒状化粧料1を上下摺動させる繰り出し機構B’を配置する。この容器Bの、繰り出し機構B’により上下摺動する受け紅皿3に、棒状化粧料1を保持する保持紅皿2を着脱可能にして、棒状化粧料1及び保持紅皿2をカートリッジAとしたカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器を構成する。この受け紅皿3及び保持紅皿2の外径はスリーブ4の内径よりも僅かに小径で、受け紅皿3の上面には一対の把持爪314,316を立設し、前記保持紅皿2の側面には、受け紅皿3の把持爪314,316の間に嵌入、乗り越え係合して、保持紅皿2と受け紅皿3を一体に連結可能な嵌入部22,23を設ける。この受け紅皿3が上昇限の時、受け紅皿3の把持爪314,316がスリーブ4の先端より突出して把持爪314,316が変形可能となり、把持爪314,316と、受け紅皿3の嵌入部22,23との嵌入、乗り越え係合、及び離脱を可能にするよう構成する。また、この受け紅皿3がスリーブ4内の時、スリーブ4により把持爪314,316が変形不能となり、把持爪314,316と、受け紅皿3の嵌入部22,23との離脱を不能とするよう構成する。
【0009】
このカートリッジAを、仮キャップ10及び紅皿ホルダー9より成るカートリッジケースA’に収容する。カートリッジAの保持紅皿2の嵌入部22,23以外の側壁に、一対の保持凹部24を刻設する。このカートリッジケースA’の紅皿ホルダー9の下部は、容器Bのスリーブ4先端が上下摺動可能に嵌合する挿嵌部91とする。紅皿ホルダー9の上部は、前記保持紅皿2を収容する収容部92とする。この挿嵌部91の側壁には、外側に変形可能な一対の係合片93を切欠き成形する。この係合片93の先端内側壁には、前記保持紅皿2の保持凹部24と係合して、保持紅皿2を紅皿ホルダー9内に保持する保持係合部931を突設する。この保持係合部931の下部は、斜面状のカム面932に成形する。カートリッジケースA’の仮キャップ10は、カートリッジAの棒状化粧料1を覆う。前記紅皿ホルダー9をスリーブ4先端に嵌合させた際、紅皿ホルダー9内の保持紅皿2と受け中皿3が一体に係合し、紅皿ホルダー9の摺動により、保持紅皿2に対する保持係合部931の位置が移動し、この保持係合部931のカム面932により保持係合部931が保持凹部24より脱し、スリーブ4先端に当接して係合片93を外方向に押し広げ、保持紅皿2と紅皿ホルダー9の係合保持を解除し、カートリッジAの係合保持が、カートリッジケースA’より容器Bに移行するよう構成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は以上のように、2重中皿方式を利用したカートリッジ機構を、棒状化粧料1の下方に繰り出し機構B’を配置した構成の棒状化粧料繰り出し容器Bに対して実施し、カートリッジAの抜き差しのしやすさと、棒状化粧料1の保護と相反する目的を達成するため、カートリッジAの交換位置を、受け紅皿3の把持爪314,316がスリーブ4の先端より突出した位置で行うようにして、カートリッジAの抜き差しが行い易くなる。同時に、スリーブ4より突出した位置でスリーブ4に関係なくカートリッジAの抜き差しを行うため、スリーブ4による棒状化粧料1の損傷を防げる。従って、カートリッジAの抜き差しのために、スリーブ4と棒状化粧料1の間のクリアランスを大きくとる必要がなく、繰り出し機構B’を棒状化粧料1の下方に配置した構成の棒状化粧料繰り出し容器の最適なクリアランスと同じに設定できる。これにより、スリーブ4による棒状化粧料1の保護が可能となり、柔らかい棒状化粧料1を収容可能とし、柔らかく折れにくい棒状化粧料もカートリッジ化できる。
【0011】
カートリッジAは、仮キャップ10が棒状化粧料1を覆い、紅皿ホルダー9内に保持紅皿2を係合連結し、カートリッジケースA’内に収容し、外部に露出していない。このカートリッジAを容器Bに装着するには、カートリッジケースA’の紅皿ホルダー9を、容器Bのスリーブ4の先端に嵌合させると、カートリッジAの保持紅皿2と受け紅皿3が係合連結する。その後、紅皿ホルダー9を押し下げると、保持紅皿2と紅皿ホルダー9の係合連結が解除し、保持紅皿2の保持が紅皿ホルダー9より容器Bに移行する。つまり、2重中皿方式を利用したカートリッジ機構を、棒状化粧料1の下方に繰り出し機構B’を配置した容器Bに実施したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に対しても、保持紅皿2の容器Bへの装着は、カートリッジケースA’の紅皿ホルダー9を介して行い、保持紅皿2や棒状化粧料1に直接触れることなく、衛生的に保持紅皿2の装着操作が行える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於いて、容器にカートリッジを装着し、下降限位置にした状態の正面断面図である。
【
図2】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於いて、容器にカートリッジを装着し、上昇限位置にした状態の正面断面図である。
【
図3】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於いて、容器単体で、受け紅皿を上昇限位置にした状態の正面断面図である。
【
図4】本発明実施例1のカートリッジ及びカートリッジケースの正面断面図である。
【
図6】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於いて、
図5のカートリッジケースを、受け紅皿の上昇限位置でスリーブの先端に嵌合させた状態の要部断面図である。
【
図7】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於いて、
図6の状態よりカートリッジケースを下方にスライドさせた状態の要部断面図である。
【
図8】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於いて、
図7の状態よりカートリッジケースを更に下方にスライドさせた状態の要部断面図である。
【
図9】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於いて、
図8の状態より保持紅皿及び受け紅皿を繰り下げた状態の正面断面図である。
【
図10】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於ける、スリーブと受け紅皿の部分断面斜視図である。
【
図11】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於ける、容器内の受け紅皿と保持紅皿の円周方向の所定角度位置合わせ部位の部分断面斜視図である。
【
図12】本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於ける、カートリッジの保持紅皿とカートリッジケースの紅皿ホルダーの円周方向の所定角度位置合わせ部分の部分断面斜視図である。
【
図13】本発明カートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器に於ける、カートリッジケースとカートリッジの棒状化粧料の円周方向の所定角度位置合わせ部分の斜視図である。
【
図14】本発明実施例2のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の正面断面図である。
【
図15】本発明実施例3のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の正面断面図である。
【
図16】本発明実施例4のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
容器Bは、スリーブ4内に収容した棒状化粧料1の下方に、棒状化粧料1を上下摺動する繰り出し機構B’を配置する。この容器Bの、繰り出し機構B’により上下摺動する受け紅皿3に、棒状化粧料1を保持する保持紅皿2を着脱可能にして、棒状化粧料1及び保持紅皿2をカートリッジAとしたカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器とする。この受け紅皿3及び保持紅皿2の外径はスリーブ4の内径よりも僅かに小径で、受け紅皿3の上面には一対の把持爪314,316を立設し、前記保持紅皿2の側面には、受け紅皿3の把持爪314,316の間に嵌入、乗り越え係合して、保持紅皿2と受け紅皿3を一体に連結可能な嵌入部22,23を設ける。この受け紅皿3が上昇限の時、受け紅皿3の把持爪314,316がスリーブ4の先端より突出して把持爪314,316が変形可能となり、把持爪314,316と、受け紅皿3の嵌入部22,23との嵌入、乗り越え係合、及び離脱を可能にするよう構成する。また、この受け紅皿3がスリーブ4内の時、スリーブ4により把持爪314,316が変形不能となり、把持爪314,316と、受け紅皿3の嵌入部22,23との離脱を不能とするよう構成する。
【0014】
前記カートリッジAを、仮キャップ10及び紅皿ホルダー9より成るカートリッジケースA’に収容する。カートリッジAの保持紅皿2の嵌入部22,23以外の側壁に、一対の保持凹部24を刻設する。このカートリッジケースA’の紅皿ホルダー9の下部は、容器Bのスリーブ4先端が上下摺動可能に嵌合する挿嵌部91とする。紅皿ホルダー9の上部は、前記保持紅皿2を収容する収容部92とする。この挿嵌部91の側壁には、外側に変形可能な一対の係合片93を切欠き成形する。この係合片93の先端内側壁には、前記保持紅皿2の保持凹部24と係合して、保持紅皿2を紅皿ホルダー9内に保持する保持係合部931を突設する。この保持係合部931の下部は、斜面状のカム面932に成形する。カートリッジケースA’の仮キャップ10は、カートリッジAの棒状化粧料1を覆う。前記紅皿ホルダー9をスリーブ4先端に嵌合した際、紅皿ホルダー9内の保持紅皿2と受け中皿3が一体に係合し、紅皿ホルダー9の摺動により、保持紅皿2に対する保持係合部931の位置が移動し、この保持係合部931のカム面932により保持係合部931が保持凹部24より脱し、スリーブ4先端に当接して係合片93を外方向に押し広げ、保持紅皿2と紅皿ホルダー9の係合保持を解除し、カートリッジAの係合保持が、カートリッジケースA’より容器Bに移行するよう構成する。
【0015】
前記容器Bのスリーブ4の先端は、斜めに切断した切断部43となり、前記カートリッジAの棒状化粧料1の先端もスリーブ4の切断部43に倣った斜め先端形状とする。このスリーブ4の内側壁には、軸線方向に長く案内溝421を設け、この案内溝421に、前記受け紅皿3に突設した案内突部311を係合する。この係合により、受け紅皿3をスリーブ4内で上下摺動自在に回動不能に案内し、かつ、受け紅皿3とスリーブ4を円周方向の所定角度位置で位置決めする。この受け紅皿3の上面には、ガイドボス313を突設する。カートリッジAの保持紅皿2の下面には、受け紅皿3のガイドボス313に回動不能に嵌合するガイド筒部21を設ける。このガイドボス313とガイド筒部21が嵌合することにより、受け紅皿3の把持爪314,316が保持紅皿2の嵌入部22,23に嵌入するガイドとすると同時に、保持紅皿2と受け紅皿3が円周方向の所定角度位置で位置決めする。カートリッジAの保持紅皿2の保持凹部24と、前記カートリッジケースA’の紅皿ホルダー9の保持係合部931との係合により保持紅皿2を紅皿ホルダー9内に収容保持すると同時に、紅皿ホルダー9と保持紅皿2を円周方向の所定角度位置で位置決めする。カートリッジケースA’の紅皿ホルダー9の外側壁に位置合せリブ94を突設し、該位置合せリブ94を円周方向の所定角度位置での位置決めガイドとして、カートリッジAの棒状化粧料1を紅皿ホルダー9内の保持紅皿2に装着する。
【0016】
カートリッジケースA’の紅皿ホルダー9とカートリッジAの保持紅皿2の円周方向の所定角度位置での位置合わせ係合、カートリッジAの棒状化粧料1と保持紅皿2の円周方向の所定角度位置での位置合わせ装着、カートリッジAの保持紅皿2と容器Bの受け紅皿3の円周方向の所定角度位置での位置合わせ係合、及び容器Bの受け紅皿3とスリーブ4の円周方向の所定角度位置での位置合わせ係合により、カートリッジAと容器Bの円周方向の所定角度位置での位置合わせを行い、容器BにカートリッジAを装着する時点での、棒状化粧料1の先端の斜め傾斜と、スリーブ4先端の切断部43の傾斜が一致するよう構成する。
【0017】
この棒状化粧料1の下方に繰り出し機構B’を配置した構成のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器で、スリーブ4の先端を斜めに切断する構成の場合、カートリッジAとして装着する棒状化粧料1の先端をスリーブ4と一致させる必要がある。このカートリッジAの棒状化粧料1の先端と容器Bのスリーブ4の先端の間には、全周に対して1ケ所の一致点しかなく、容器BにカートリッジAを装着する際に、何らかの1/360°ケ所の位置合わせ手段が必要になる。本発明では、容器Bのスリーブ4と受け紅皿3、受け紅皿3とカートリッジAの保持紅皿2、保持紅皿2と紅皿ホルダー9、及び紅皿ホルダー9と棒状化粧料1、それぞれ円周方向の所定角度位置で位置合わせ係合する。これは、本発明のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器B及びカートリッジAの主要部品であり、この主要部品全てが円周方向の所定角度位置で位置合わせ結合するため、棒状化粧料1を、紅皿ホルダー9の位置合せリブ94を円周方向の所定角度位置の位置決めガイドにして保持紅皿2に装着すれば、自動的に棒状化粧料1の先端とスリーブ4の切断部43の斜面が一致する。
【実施例0018】
まず、本発明実施例1のカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器及びカートリッジケースを
図1~
図13により説明する。このカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器及びカートリッジケースは、カートリッジA、カートリッジAを収容するカートリッジケースA’、及びカートリッジAを装着する容器Bより成る。この容器Bは、棒状化粧料1の収納スペースの下方に、棒状化粧料1を上下摺動させる繰り出し機構B’を配置した構成とする。そして、棒状化粧料1を保持する保持紅皿2と、繰り出し機構B’により上下摺動する受け紅皿3とを着脱可能に係合することにより、棒状化粧料1及び保持紅皿2を交換可能なカートリッジAとしたものである。
【0019】
容器Bは、
図1及び
図3に示すように、受け紅皿3、スリーブ4、基筒5、ハカマ筒6、及びキャップ7より成る。
【0020】
受け紅皿3は、
図10に示すように、受け筒31と、受け筒31の下面312より垂下したネジ棒32より成る。この受け筒31の外周壁には、複数の案内突部311を突出する。この案内突部311は、受け筒31の外周に不規則に配置する。この受け筒31の上面には、受け筒31の一方の側面に片寄ってガイドボス313を突設する。このガイドボス313の上面には、受け筒31の側面に沿って第1把持爪314を立設する。この第1把持爪314の先端内側壁には、水平方向に細長い第1把持突部315を突設する。この第1把持爪314と相対した受け筒31上面には、側面に沿って第2把持爪316を立設する。この第2把持爪316の先端は、第1把持爪314の先端と高さが一致する。この第2把持爪316の先端内側壁には、前記第1把持爪314の第1把持突部315と向かい合うように第2把持突部317を突設する。
【0021】
ネジ棒32は、パイプ状で、外側壁に雄ネジ321を螺設する。また、ネジ棒32の下端側壁には、逆U字状に切り欠き、上端が内方向に撓み可能となった舌片状の一対のストッパー片322を設ける。この一対のストッパー片322は、上方に行くにつれ徐々に外側に突出するくさび形状で、上端が最大外径部位323となっている。
【0022】
基筒5は、上下に貫通した貫通孔51を穿設したパイプ状とする。この貫通孔51には、前記受け紅皿3のネジ棒32を挿入する。この貫通孔51は、ネジ棒32が余裕をもって上下動できる内径とする。この貫通孔51の上部は、内径が窄まり、内周壁に前記ネジ棒32の雄ネジ321と螺合する雌ネジ512を螺設し、下端に段部511を構成する。受け紅皿3は、
図1に示すように、受け筒31の下面312が基筒5の上端に当接して下降限となり、
図2及び
図3に示すように、ネジ棒32のストッパー片322の最大外径部位323が貫通孔51内の段部511に当接して上昇限となり、上下摺動範囲を規制する。尚、前記ネジ棒32のストッパー片322の最大外径部位323の外接円径は、少なくとも貫通孔51内の雌ネジ512の内径よりも大径であればよく、雌ネジ512の谷径よりも大径が望ましい。
【0023】
また、基筒5の上部外側壁は、前記受け紅皿3の受け筒31の案内突部311の外接円径とほぼ同径の挿入部52とする。基筒5の下部外側壁は、挿入部52より外径が拡大した基部53とする。この挿入部52と基部53の接合部分には、段状部531を構成する。この挿入部52の外周壁には、嵌合凹溝521及び係合凹溝522を上下に配置して刻設する。この嵌合凹溝521には、エラストマー、NBRなどの弾性材から成るOリング8を嵌着する。
【0024】
この受け紅皿3の受け筒31及び基筒5の挿入部52は、スリーブ4の下方から挿入し、スリーブ4の下端が基筒5の段状部531に当接する。このスリーブ4の、挿入部52と相対した部位は支持部41となり、この支持部41の内径は、基筒5の挿入部52の外径よりも僅かに大径とする。この支持部41より上方は、受け紅皿3の受け筒31及びカートリッジAを収納する収納部42とする。この収納部42の内径は、受け紅皿3の受け筒31の外径よりも僅かに大径とする。その結果、受け紅皿3がスリーブ4に収容した状態では、受け紅皿3の受け筒31の第1把持爪314及び第2把持爪316は、外径方向への変形を阻止する。尚、前記基筒5の基部53の外径は、スリーブ4の外径とほぼ同径とする。
【0025】
このスリーブ4の支持部41の内周壁には、基筒5の挿入部52に嵌着したOリング8が弾性を有して当接する。その結果、スリーブ4と基筒5を相対回転させた時、スリーブ4と基筒5間にOリング8よる摺動摩擦抵抗が発生し、この摺動摩擦抵抗が良好な重みのある回動操作感を生む。さらに、この支持部41には、挿入部52の係合凹溝522に相対した位置に、外部より内方向に向けて係合リブ411を突出成形し、係合リブ411が係合凹溝522に係合して、スリーブ4と基筒5を回動自在に、脱落不能に連結する。
【0026】
また、
図10に示すように、スリーブ4の先端は、斜めに切断した斜め切断部43とする。このスリーブ4の収納部42の内側壁には、前記受け紅皿3の受け筒31の案内突部311が係合して、スリーブ4内で受け紅皿3を回動不能に上下摺動自在に案内する案内溝421を軸線方向に長く刻設する。この案内溝421は、受け紅皿3の案内突部311に対応し、スリーブ4の斜め切断部43の切断谷部431と受け紅皿3の第2把持爪316が相対し、切断山部432と第1把持爪315が相対する。
【0027】
この基筒5の基部53及びスリーブ4の下部は、ハカマ筒6の上方より挿入し、スリーブ4の上部がハカマ筒6の上端より突出する。このハカマ筒6の上部は、キャップ7が抜脱自在に嵌合する嵌合部62とする。キャップ7は、ハカマ筒6の嵌合部62に嵌合した時、スリーブ4の上部を覆う。ハカマ筒6の下部は、基筒5の基部53を止着する止着部61とする。
【0028】
次に、容器B内の繰り出し機構B’について
図1~
図3により説明する。繰り出し機構B’は、受け紅皿3の案内突部311をスリーブ4の案内溝421に回動不能に上下摺動自在に係合し、スリーブ4下端を基筒5に回転自在に連結し、受け紅皿3の雄ネジ321と基筒5の雌ネジ512を螺合させ構成する。そして、本発明実施例1の容器Bは、基筒5をハカマ筒6内に止着する。そのため、スリーブ4とハカマ筒6を相対回転させると、ハカマ筒6内に止着した基筒5とスリーブ4間も相対回転する。受け紅皿3は、案内突部311がスリーブ4の案内溝421に係合するため、スリーブ4に従動し、受け紅皿3の雄ネジ321が相対回転する基筒5内の雌ネジ512に螺合するため、螺合作用により受け紅皿3がスリーブ4内を上下摺動する。そして、
図1に示すように、受け紅皿3は、受け筒31の下面312が基筒5の挿入部52の上端524に当接して下降限となり、
図2に示すように、ネジ棒32のストッパー片322が基筒5の貫通孔51内の段部511に当接して上昇限となり、上下摺動を規制する。尚、受け紅皿3が上昇限の時、
図3に示すように、受け筒31上面の第2把持爪316がスリーブ4の先端の切断谷部431より上方に突出し、外径方向に撓み可能となり、カートリッジAの保持紅皿2を着脱可能にする。
【0029】
次に、この容器Bの組み立て方法について説明する。受け紅皿3と基筒5を組み付ける時には、基筒5の貫通孔51の雌ネジ512に、受け紅皿3のネジ棒32の下端を挿入する。ネジ棒32のストッパー片322は、少なくとも雌ネジ512の内径よりも大径とするが、くさび形状で、かつ切り欠きにより内方向に撓み可能であるため、無理に押し込むと強制的に内方向に窄み、雌ネジ512を通過して貫通孔51内に侵入する。ストッパー片322が貫通孔51内に達すると、ストッパー片322が復元し、ストッパー片322の上端が雌ネジ512の段部511に当接して再分解が不能となる。この受け紅皿3の受け筒31と基筒5の挿入部52をスリーブ4の後端より挿入し、受け紅皿3の受け筒31の案内突部311をスリーブ4の収納部42の案内溝421に係合させ、受け筒31を回動不能に上下摺動自在に連結する。この案内突部311と案内溝421の係合により、
図10に示すように、受け筒31の第2把持爪316がスリーブ4の斜め切断部43の切断谷部431と相対する円周方向の角度位置で、位置決めを行う。また、スリーブ4の支持部41の内周リブ411が、基筒5の挿入部52の係合凹溝522に係合し、基筒5とスリーブ4が回動自在に脱落不能に連結する。更に、スリーブ4の下端より突出した基筒5の基部53は、ハカマ筒6内に挿入し、ハカマ筒6内の止着部61に止着する。そして、ハカマ筒6の嵌合部62よりスリーブ4の上部が突出した状態で、繰り出し機構B’とハカマ筒6を連結する。
【0030】
尚、スリーブ4の内周リブ411は、スリーブ4に成形した後に基筒5を組み付けても、スリーブ4に基筒5を組み付けた後に内周リブ411を成形しても良い。内周リブ411を成形後、基筒5を組み付ける場合には、スリーブ4単体での成形加工となるため、内周リブ411の形状をシャープに出せる反面、突出成形後の組み付けにより基筒5がムリ入れとなってしまう。基筒5に組み付けた後、内周リブ411を成形する場合には、組み付け時の基筒5への影響がない反面、内周リブ411の成形時の受け型が基筒5であるため、内周リブ411の形状をシャープに出せない。
【0031】
次に本発明実施例1のカートリッジA及び、このカートリッジAを収納するカートリッジケースA’について
図4、
図5により説明する。カートリッジAは、棒状化粧料1と、この棒状化粧料1の端部を保持した保持紅皿2とより成る。
【0032】
保持紅皿2は、
図11に示すように、棒状化粧料1の下端を保持するコップ状で、前記容器Bの受け紅皿3の受け筒31と同径とする。この保持紅皿2の下端には、筒状のガイド筒部21を垂下する。このガイド筒部21には、下端を切り欠いて切欠き係合部211を設ける。このガイド筒部21は、カートリッジAを容器Bに装着した際、受け筒31のガイドボス313に嵌合し、切欠き係合部211により保持紅皿2と受け紅皿3は円周方向の所定角度位置での位置決めのガイドとなる。
【0033】
更に、
図12に示すように、保持紅皿2の側面には、第1嵌入部22及び第2嵌入部23を刻設する。この第1嵌入部22の上部側壁には第1把持凹部221を、第2嵌入部23の上部側壁には第2把持凹部231を、それぞれ設ける。この第1嵌入部22及び第2嵌入部23は、保持紅皿2が受け紅皿3に連結する時、受け紅皿3の受け筒31の第1把持爪314及び第2把持爪316に上方より嵌入する。この時、
図1及び
図2に示すように、第1把持爪314の第1把持突部315が第1把持凹部221に係合し、第2把持爪316の第2把持突部317が第2把持爪316に係合する。この保持紅皿2が受け紅皿3に嵌入した時、保持紅皿2と受け紅皿3の受け筒31は一つの筒体状となる。また、保持紅皿2の、第1嵌入部22及び第2嵌入部23の間の外側壁には、一対の保持凹部24を刻設する。
【0034】
カートリッジケースA’は、
図13に示すように、保持紅皿2を保持する紅皿ホルダー9と、棒状化粧料1を覆う仮キャップ10より成り、カートリッジAを収容する。紅皿ホルダー9は
図12に示すように、上下に貫通したパイプ状とする。この紅皿ホルダー9の下部は、内径が前記スリーブ4の外径よりも僅かに大径となり、スリーブ4の先端が挿入可能な挿嵌部91とする。また、紅皿ホルダー9の上部は、内径が前記保持紅皿2の外径よりも僅かに大径の収容部92とする。この収容部92は、紅皿ホルダー9内に保持紅皿2を収容した際、保持紅皿2の外側壁と相対する。この挿嵌部91と収容部92の接合部分には、内径の差による段状の当接部96を設ける。
【0035】
この紅皿ホルダー9の挿嵌部91の側壁には、
図12に示すように、対称の位置に、逆U字状に切り欠いて外側に変形可能な一対の係合片93を設ける。この係合片93は、挿嵌部91と同じ内径とするが、係合片93の上部内壁は、前記収容部92内径と同径まで突出した保持部97とする。この保持部97の内側壁には、前記保持紅皿2の保持凹部24と係合する保持係合部931を突設する。この保持凹部24と保持係合部931の係合により、紅皿ホルダー9内で保持紅皿2を、円周方向の所定角度位置での位置決め保持する。この凸状の保持係合部931の下側面は、
図5に示すように、斜面状に傾斜したカム面932とする。尚、このカム面932は、保持凹部24の下側に当接する。
【0036】
更に、紅皿ホルダー9の外側壁には、
図13に示すように、軸線方向に長く1条の位置合せリブ94を突設する。この位置合せリブ94は、紅皿ホルダー9の上端及び下端に達する。また、紅皿ホルダー9の上部側壁には、上端面より軸線方向に一対の切り欠きを設け、間に変形可能な舌片状の連結片95を設ける。この連結片95は、対称の位置に一対配置し、上部外側壁に係合突部951を突設する。この紅皿ホルダー9の上部には、仮キャップ10が嵌合する。
【0037】
この仮キャップ10は、透明な合成樹脂製で、収容したカートリッジAの棒状化粧料1を外部から視認できる。仮キャップ10は、紅皿ホルダー9の上部に嵌合する被嵌部101と、収容したカートリッジAの棒状化粧料1を覆う覆い部102とより成る。この被嵌部101の側壁には、紅皿ホルダー9の連結片95の連結突部951が係合し、紅皿ホルダー9と仮キャップ10を円周方向の所定角度位置で位置決めする係合窓部104を穿設する。更に、被嵌部101の側壁には、紅皿ホルダー9の位置合せリブ94と係合する位置合せスリット103を刻設する。その結果、紅皿ホルダー9の位置合せリブ94と仮キャップ10の位置合せスリット103の係合を円周方向の所定角度位置の位置決めガイドにして、紅皿ホルダー9の連結突部951と仮キャップ10の係合窓部104を係合できる。同様に、紅皿ホルダー9の位置合せリブ94は、紅皿ホルダー9内に係合保持した保持紅皿2に、棒状化粧料1を装着する円周方向の所定角度位置の位置決めガイドにもできる。尚、仮キャップ10の覆い部102の天井と棒状化粧料1の先端との間には、ある程度の空間105を設ける。
【0038】
次に、カートリッジAを容器Bに装着する方法について
図3、
図6~
図9により説明する。容器Bは、
図3に示すように、受け紅皿3を上昇限まで繰り上げ、受け筒31の第2把持爪316をスリーブ4の切断部43の切断谷部431より上方に突出させ、カートリッジAの装着位置とする。
【0039】
この容器Bのスリーブ4の先端部分に、
図6に示すように、カートリッジAの紅皿ホルダー9の挿嵌部91を挿嵌する。この時、
図11に示すように、カートリッジAの紅皿ホルダー9内に収容した保持紅皿2のガイド筒部21が、容器Bの受け紅皿3のガイドボス313に係合し、受け紅皿3に対して保持紅皿2が円周方向の所定角度位置で位置決め、回動不能の状態で案内する。そして、第1把持爪314が保持紅皿2の第1嵌入部22に、第2把持爪316が保持紅皿2の第2嵌入部23に、それぞれ嵌入する。受け紅皿3の第2把持爪316はスリーブ4の先端の切断谷部431より上方に突出して外側に撓み可能のため、第1把持爪314の第1把持突部315及び第2把持爪316の第2把持突部317が、第1嵌入部22の第1把持凹部221及び第2嵌入部23の第2把持凹部231に、それぞれ乗り越え係合する。その結果、カートリッジAの保持紅皿2と受け紅皿3の受け筒31は、凹凸のない一つの筒体状に結合、連結する。
【0040】
このカートリッジAの保持紅皿2と容器Bの受け紅皿3が結合、連結した状態で、
図7に示すように、カートリッジAを収容したカートリッジケースA’を更に押し下げると、カートリッジAは、容器Bの受け紅皿3に結合、連結して従動せず、カートリッジケースA’のみ下方に摺動しようとする。この時、カートリッジAの保持紅皿2の保持凹部24と係合するカートリッジケースA’の紅皿ホルダー9の保持係合部931は、下方にずれようとする。このずれようとする応力に加え、保持係合部931に設けたカム面932により紅皿ホルダー9の係合片93が外側に撓み、保持係合部931が保持凹部24より外れ、押し広げられて保持紅皿2の外側壁に接する。この
図7の状態では、カートリッジAの保持凹部24とカートリッジケースA’の保持係合部931の係合は解除するが、カートリッジAの保持紅皿2の外側壁に、カートリッジケースA’の係合片93の保持係合部931が弾性を有して接し、カートリッジAは、カートリッジケースA’より完全に外れていない。
【0041】
図8に示すように、カートリッジケースA’の押し下げを続行すると、カートリッジケースA’の係合片93の保持係合部931が、カートリッジAの保持紅皿2の外側壁に接しつつ下方へ移動する。この保持係合部931のカム面932が容器Bのスリーブ4の先端に当接すると、カムの作用により紅皿ホルダー9の係合片93を更に外側に押し広げ、係合片93が外側に撓む。そして、係合片93の保持係合部931がスリーブ4の外側壁に接し、カートリッジケースA’の紅皿ホルダー9とカートリッジAの保持紅皿2の保持が完全に消滅する。紅皿ホルダー9は、当接部96にスリーブ4の先端が当接して、紅皿ホルダー9が降下不能となり、容器BにカートリッジAを装着のためのカートリッジケースA’の押し下げ操作が完了したことを使用者に伝える。
【0042】
この状態で
図9に示すように、容器Bの繰り下げ操作を行うと、受け紅皿3と連結係合した保持紅皿2は、カートリッジケースA’より離脱して、保持紅皿2に保持された棒状化粧料1と共にスリーブ4内に収容する。受け紅皿3がスリーブ4内に位置すると、受け紅皿3の第1把持爪314及び第2把持爪316は、背面にスリーブ4の内壁が位置して外側への変形を押さえ、保持紅皿2を脱落不能に保持する。受け紅皿3を下降限まで繰り下げると、保持紅皿2が保持した棒状化粧料1の先端までスリーブ4内に収容する。そして、容器BよりカートリッジケースA’を抜き取る。このカートリッジケースA’の抜き取り時、紅皿ホルダー9の係合片93は、カートリッジAの保持紅皿2の係合保持状態に復元するが、保持係合部931が棒状化粧料1を傷付けることはない。このカートリッジケースA’の抜き取り後は、通常の棒状化粧料繰り出し容器と同様に、棒状化粧料1を使用できる。
【0043】
棒状化粧料1を使い切った際など、保持紅皿2を取り外すには、
図2に示すように、受け紅皿3を上昇限まで繰り上げると、保持紅皿2がスリーブ4の先端より突出し、受け紅皿3の第2把持爪316がスリーブ4の切断谷部431より上方向に突出する。その結果、第2把持爪316が外側に撓み可能となり、保持紅皿2を摘まんで上方に引っ張るだけで、保持紅皿2と受け紅皿3の係合を解除し、保持紅皿2を取り外せる。
【0044】
次に、本発明カートリッジA及びカートリッジケースA’の組み立て方法を説明する。
図12に示すように、カートリッジケースA’の紅皿ホルダー9内にカートリッジAの保持紅皿2を挿入して、保持紅皿2の保持凹部24に紅皿ホルダー9の保持係合部931を係合し、紅皿ホルダー9内に保持紅皿2を円周方向の所定角度位置で位置合わせ保持する。この状態で、紅皿ホルダー9の位置合せリブ94を円周方向の角度位置の位置決めガイドにして棒状化粧料1の下端を保持紅皿2に挿入すると、
図13に示すように、棒状化粧料1と保持紅皿2が円周方向の所定角度位置で位置合わせ保持する。棒状化粧料1の装着後、紅皿ホルダー9の位置合せリブ94を円周方向の角度位置の位置決めガイドにして、紅皿ホルダー9の上部に仮キャップ10を嵌合し、紅皿ホルダー9の係合突部951を仮キャップ10の係合窓部104に係合させ、
図4、
図5に示すように、覆い部102内に棒状化粧料1を収容する。以上の工程により、カートリッジAをカートリッジケースA’内に収容し、安全に携帯、保持可能にする。
【0045】
次に、本発明の、円周方向の所定角度位置での位置決めについて説明する。カートリッジケースA’の紅皿ホルダー9とカートリッジAの保持紅皿2は、紅皿ホルダー9の保持係合部931と保持紅皿2の保持凹部24が係合して円周方向の所定角度位置で位置決めする。カートリッジAの棒状化粧料1と保持紅皿2は、位置合せリブ94を円周方向の角度位置の位置決めガイドとして棒状化粧料1を保持紅皿2に装着すれば、棒状化粧料1と保持紅皿2は円周方向の所定角度位置で位置決めする。カートリッジAの保持紅皿2と容器Bの受け紅皿3は、保持紅皿2の把持凹部221,231に受け紅皿3の把持突部315,317が係合して円周方向の所定角度位置で位置決めする。容器Bの受け紅皿3とスリーブ4は、受け紅皿3の案内突部311とスリーブ4の案内溝421が上下摺動自在に回動不能に係合して、円周方向の所定角度位置で位置決めする。その結果、カートリッジケースA’内のカートリッジAの棒状化粧料1と容器Bのスリーブ4は、円周方向の所定角度位置で位置決めしており、カートリッジケースA’を容器Bに装着すれば、自動的に棒状化粧料1とスリーブ4は、円周方向の所定角度位置で位置決めし、スリーブ4の先端の形状と棒状化粧料1の先端の形状が合致する。
【0046】
本発明実施例1に於いては、容器B内に収められた繰り出し機構B’について、受け紅皿3に設けた案内突部311及び雄ネジ321と、基筒5に設けた受け紅皿3の雄ネジ321が螺合する雌ネジ512と、スリーブ4に設けた受け紅皿3の案内突部311が係合する案内溝421と、より成る構成を説明したが、繰り出し機構B’はそれに限定されるものでなく、繰り出し機構B’が棒状化粧料1の下方に配置され、棒状化粧料1を直接スリーブ4内に収容する構成であれば実施例1の構成と異なっていても実施可能である。以下にその他の繰り出し機構B’を備えた実施例について説明する。尚、本発明実施例1で説明した部位と一致する部位の説明は省略する。
実施例1及び実施例2に於いて説明したカートリッジ式棒状化粧料繰り出し容器の繰り出し機構B’は、スリーブ4の内壁に刻設した案内溝421に、受け紅皿3の案内突部311が係合して、スリーブ4内で受け紅皿3を上下摺動自在に回動不能に収容する点で一致する。この構成に於いて、案内溝421をスリーブ4の内壁に1本のみ刻設する場合には、案内突部311も案内溝421に合わせて受け紅皿3の側壁に1個突設して、スリーブ4と受け紅皿3の円周方向の所定角度位置で位置決めする。案内溝421をスリーブ4の内壁全周に複数本刻設する場合には、受け紅皿3の案内突部311も案内溝421に対応して複数個突設する。この案内溝421の溝幅や案内突部311の幅を均等にし、案内溝421及び案内突部311の間隔を不均等に配置して、スリーブ4と受け紅皿3の円周方向の所定角度位置で位置決めする。また逆に、案内溝421及び案内突部311の間隔を均等に配置し、案内溝421の溝幅及び案内突部311の幅を不均等に配置して、スリーブ4と受け紅皿3の円周方向の所定角度位置で位置決めする。この案内溝421の本数と案内突部311の個数は必ずしも一致させる必要はないが、案内突部311の個数の方を少なく必要がある。