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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080264
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】検出システム及び検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20240606BHJP
   G01M 13/02 20190101ALI20240606BHJP
   G01M 99/00 20110101ALI20240606BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240606BHJP
【FI】
G01N21/27 A
G01M13/02
G01M99/00 A
G06T7/00 610B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193312
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 文香
(72)【発明者】
【氏名】沖本 翼
(72)【発明者】
【氏名】日原 啓太
【テーマコード(参考)】
2G024
2G059
5L096
【Fターム(参考)】
2G024AB01
2G024AB16
2G024AD08
2G024BA12
2G024BA19
2G024BA21
2G024BA27
2G024CA22
2G024CA24
2G024DA09
2G024FA06
2G024FA14
2G024FA15
2G059AA01
2G059AA05
2G059BB04
2G059CC20
2G059FF01
2G059KK04
2G059MM09
5L096AA02
5L096AA06
5L096BA02
5L096CA04
5L096DA02
5L096EA43
5L096GA38
5L096GA51
5L096HA08
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】流体に混入したコンタミネーションの検出を良好に行うこと。
【解決手段】本発明に係る検出システム10は、配管を流れる流体を撮影するカメラ11と、カメラ11により撮影された撮影画像を二値化する工程を含む画像処理を行う画像処理部13と、画像処理部13により画像処理が行われた画像に基づいて、流体に混入したコンタミネーションを検出する検出部14と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管を流れる流体を撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影された撮影画像を二値化する工程を含む画像処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部により前記画像処理が行われた画像に基づいて、流体に混入したコンタミネーションを検出する検出部と、を備える、
検出システム。
【請求項2】
前記画像処理は、前記撮影画像をグレースケール化する工程をさらに含み、グレースケール化された画像を二値化する、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記画像処理は、二値化された画像中のコンタミネーションの領域について領域認識を実施する工程をさらに含む、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項4】
前記領域認識が実施された画像を前記撮影画像に重ね合わせる工程をさらに含む、
請求項3に記載の検出システム。
【請求項5】
前記検出部は、前記画像処理部により前記画像処理が行われた画像に基づいて、流体に混入したコンタミネーションの数を数える、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項6】
前記検出部は、流体に混入したコンタミネーションの数に基づいて、流体中のコンタミネーションの濃度を算出する、
請求項5に記載の検出システム。
【請求項7】
前記流体は、オイルであり、
前記配管は、減速機に供給されるオイルを循環させる配管である、
請求項6に記載の検出システム。
【請求項8】
前記減速機は、押出機に設けられた減速機であり、
前記検出部は、オイル中のコンタミネーションの数もしくは濃度に基づいて、前記減速機を構成する部品の劣化度合を判断する、
請求項7に記載の検出システム。
【請求項9】
前記検出部は、オイル中のコンタミネーションの濃度と閾値との比較により、前記部品の劣化度合を判断する、
請求項8に記載の検出システム。
【請求項10】
配管を流れる流体を撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影された撮影画像に基づいて、流体の色を判断し、判断された流体の色に基づいて、流体自体の劣化度合を判断する検出部と、を備える、
検出システム。
【請求項11】
前記撮影画像をグレースケール化する画像処理部をさらに備え、
前記検出部は、前記画像処理部により前記撮影画像がグレースケール化された画像に基づいて、流体の色を判断し、判断された流体の色に基づいて、流体自体の劣化度合を判断する、
請求項10に記載の検出システム。
【請求項12】
前記検出部は、流体の劣化度合に応じた流体の色を予め学習し、
前記判断された流体の色及び学習結果に基づいて、流体自体の劣化度合を判断する、
請求項10又は11に記載の検出システム。
【請求項13】
前記配管は、透明部が設けられた構成又は透明部が設けられた部材が途中に挿入された構成であり、
前記カメラは、前記透明部を介して、前記配管を流れる流体を撮影する、
請求項1に記載の検出システム。
【請求項14】
検出システムにより実行される検出方法であって、
配管を流れる流体を、カメラにより撮影するステップと、
前記撮影された流体の撮影画像を二値化する工程を含む画像処理を行うステップと、
前記画像処理が行われた画像に基づいて、流体に混入したコンタミネーションを検出するステップと、を含む、
検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オイル等の流体に混入したコンタミネーション(以下、適宜「コンタミ」と称す)の検出等をするための検出システム及び検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、一般的な押出機900の概略的な構成例を示す図である。
図1に示される押出機900は、シリンダ901、スクリュー902、減速機903、及びモータ904を備えている。スクリュー902は、回転自在にシリンダ901に内包される。減速機903は、シリンダ901内のスクリュー902及びモータ904に接続される。減速機903は、モータ904の回転力を、回転速度を減速させて、スクリュー902に伝達することにより、スクリュー902を回転駆動する。押出機900は、不図示の原料供給部を介して供給された原料を、スクリュー902によって、加圧しながら前方に(図中左方向に)押し出す。
【0003】
ところで、減速機903には、複数の歯車及び軸受けが使用されている。そのため、減速機903には、これら歯車及び軸受けを潤滑させるための潤滑油として、オイルを供給することが一般的に行われている。
【0004】
図2は、減速機903へオイルを供給するための一般的なオイル循環機構の概略的な構成例を示す図である。
図2に示されるように、ポンプ911は、オイルを、配管912内を循環させつつ、減速機903に供給する。
【0005】
しかし、減速機903においては、歯車及び軸受け等の部品の表面が、使用に伴って、疲労剥離する等の原因によって、コンタミが発生し、発生したコンタミがオイルに混入することがある。減速機903の内部で発生するコンタミは、主に、部品の表面から発生した鉄粉である。また、オイルに混入したコンタミを部品がかみ込むことで、コンタミの発生がさらに促進されることがある。その結果、部品が破損し、減速機903の停止や故障に繋がることもある。
【0006】
図3は、減速機903において、コンタミが原因で部品が破損するメカニズムの例を説明するフローチャートである。
図3に示されるように、減速機903の運転により(ステップS11)、部品に荷重が作用する(ステップS12)。この荷重により、部品の表面が疲労により剥離し、コンタミが発生し(ステップS13)、発生したコンタミがオイルに混入する(ステップS14)。また、オイルに混入したコンタミを部品がかみ込むことで(ステップS15)、部品には局所的な高荷重が作用し(ステップS16)、この荷重により、コンタミの発生が促進される(ステップS13)。また、ステップS16において、部品に作用する荷重によっては、部品が破損し、減速機903の停止に繋がるおそれがある(ステップS17)。
【0007】
図4は、減速機903において、コンタミが原因で歯車が損傷する様子の例を示す図である。詳細には、図4は、2つの歯車921,922が係合する部分において、歯車921,922の一方の表面が剥離してコンタミが発生し、そのコンタミがオイルに混入して流されることで、歯車921,922の各々の表面の別部分が損傷する様子を示している。
【0008】
そのため、最近は、部品の破損等を事前に回避するために、配管を流れるオイルに混入したコンタミを、センサにより検出することが行われている。このようなセンサの代表的な例としては、例えば、特許文献1に開示されているレーザ式センサ及び磁界式センサが挙げられる。
【0009】
図5は、レーザ式センサの原理を説明する図である。
図5に示されるように、レーザ式センサにおいては、発光部931は、配管933を流れるオイルを通過するように、レーザ光を、入射光として受光部932に入射する。そして、入射光を遮ったコンタミの数と大きさをモニタリングする。
【0010】
図6は、磁界式センサの原理を説明する図である。
図6に示されるように、磁界式センサにおいては、励磁コイルL1の両側同軸上の一方に検出コイルL2を、他方に補償コイルL3を設ける。そして、電源装置942からの励磁電流により励磁コイルL1を励磁した状態で、検出コイルL2側から励磁コイルL1に、コンタミとしての鉄粉が混入した試料(例えば、オイル)Sが封入された容器(例えば、配管)941を挿入する。その際に誘起される検出コイルL2及び補償コイルL3の誘導電圧の差を差動増幅器943により検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2015-184096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述したレーザ式センサ及び磁界式センサには、それぞれ、以下に示すような問題がある。
まず、レーザ式センサは、オイル自体が劣化した場合には、コンタミの検出感度が低下してしまうという問題がある。
また、磁界式センサは、錆びて磁性を持たなくなったコンタミを検出することができないため、鉄粉のコンタミしか検出できないという問題がある。
また、レーザ式センサ及び磁界式センサは、オイル自体の劣化を検出できないという問題がある。
【0013】
そこで本発明では、オイルに混入したコンタミの検出を良好に行うこと、又は、オイル自体の劣化を検出することができる検出システム及び検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
一態様に係る検出システムは、
配管を流れる流体を撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影された撮影画像を二値化する工程を含む画像処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部により前記画像処理が行われた画像に基づいて、流体に混入したコンタミネーションを検出する検出部と、を備える。
【0015】
他の態様に係る検出システムは、
配管を流れる流体を撮影するカメラと、
前記カメラにより撮影された撮影画像に基づいて、流体の色を判断し、判断された流体の色に基づいて、流体自体の劣化度合を判断する検出部と、を備える。
【0016】
一態様に係る検出方法は、
検出システムにより実行される検出方法であって、
配管を流れる流体を、カメラにより撮影するステップと、
前記撮影された流体の撮影画像を二値化する工程を含む画像処理を行うステップと、
前記画像処理が行われた画像に基づいて、流体に混入したコンタミネーションを検出するステップと、を含む。
【発明の効果】
【0017】
上述の態様によれば、オイルに混入したコンタミの検出を良好に行うこと、又は、オイル自体の劣化を検出することができる検出システム及び検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一般的な押出機の概略的な構成例を示す図である。
図2】一般的なオイル循環機構の概略的な構成例を示す図である。
図3】減速機において、コンタミが原因で部品が破損するメカニズムの例を説明するフローチャートである。
図4】減速機において、コンタミが原因で歯車が損傷する様子の例を示す図である。
図5】レーザ式センサの原理を説明する図である。
図6】磁界式センサの原理を説明する図である。
図7】実施の形態1に係る検出システムの機能ブロックの概略的な構成例を示す図である。
図8】実施の形態1に係るオイル循環機構の概略的な構成例を示す図である。
図9】実施の形態1に係る被撮影部の例を示す図である。
図10】実施の形態1に係る画像処理部において、カメラにより撮影された撮影画像をグレースケール化する工程の例を説明する図である。
図11】実施の形態1に係る画像処理部において、グレースケール化された画像から必要な部分を抜き出すトリミング処理を行う工程の例を説明する図である。
図12】実施の形態1に係る画像処理部において、トリミング処理が行われた画像を二値化する工程の例を説明する図である。
図13】実施の形態1に係る画像処理部において、二値化された画像の白黒を反転させる工程の例を説明する図である。
図14】実施の形態1に係る画像処理部において、白黒を反転させられた画像中のコンタミの領域について領域認識を実施した上で、その画像を元の画像に重ね合わせる工程の例を説明する図である。
図15】実施の形態1に係る検出部において、オイル中のコンタミの濃度を算出する動作の例を説明する図である。
図16】実施の形態1に係る検出部において、オイルの色を判断する動作の例を説明する図である。
図17】実施の形態1に係る検出システムの概略的な動作の流れの例を説明するフローチャートである。
図18】レーザ式センサ、磁界式センサ、及びカメラ式センサの特性比較表の例を示す図である。
図19】他の実施の形態に係る被撮影部の例を示す図である。
図20】他の実施の形態に係る被撮影部の例を示す図である。
図21】他の実施の形態に係る被撮影部の例を示す図である。
図22】ピント調節機能を備えるカメラにより、流路厚みが大きい配管を流れるオイルを撮影するイメージ例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、以下の各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、以下で示す具体的な数値等は、本発明の理解を容易とするための例示にすぎず、これに限定されるものではない。また、以下の記載及び図面では、流体がオイルである例について説明するが、流体はオイルに限定されるものではない。
【0020】
<実施の形態1>
図7は、本実施の形態1に係る検出システム10の機能ブロックの概略的な構成例を示す図である。なお、本実施の形態1に係る検出システム10は、図1に示される、押出機900に設けられた減速機903に供給されるオイルに流入したコンタミを検出するものとする。
【0021】
図7に示されるように、本実施の形態1に係る検出システム10は、カメラ11を用いて、配管を流れるオイルに混入したコンタミを検出するカメラ式センサであり、カメラ11と、検出装置12と、を備えている。
【0022】
検出装置12は、画像処理部13と、検出部14と、を備えている。検出装置12は、例えば、汎用のパーソナルコンピュータ等のコンピュータで実現される。なお、図7では、カメラ11は、検出装置12の外部に設けられているが、これには限定されない。例えば、検出装置12を実現するコンピュータにカメラが搭載されている場合には、そのカメラを、カメラ11として使用しても良い。
【0023】
カメラ11は、減速機903に供給されるオイルを撮影する。
図8は、本実施の形態1に係る、減速機903へオイルを供給するためのオイル循環機構の概略的な構成例を示す図である。なお、図8において、減速機903及びポンプ911は、図2に示されるものと同様である。
【0024】
図8に示されるオイル循環機構においては、通常時は、2つのバルブ103,104を閉じておき、オイルを、配管101内を循環させる。一方、コンタミの検出時には、2つのバルブ103,104を開き、配管102にもオイルを流す。この配管102の途中に被撮影部105が設けられている。
【0025】
図9は、本実施の形態1に係る被撮影部105の例を示す図である。
図9に示される被撮影部105は、サイトグラス107と、スクリーン108と、を備えている。サイトグラス107は、配管102の途中に挿入される。また、サイトグラス107は、透明部としての窓109が形成されており、この窓109を通して、サイトグラス107の内部を流れるオイルを目視で観察することが可能である。スクリーン108は、背景画像となるもので、カメラ11から見て、サイトグラス107の背面に配置される。ただし、スクリーン108が無くても、オイルに流入したコンタミを検出可能にカメラ11での撮影が可能であれば、スクリーン108は無くても良い。
【0026】
また、図9には図示していないが、被撮影部105は、サイトグラス107の窓内を照明する照明用の光源を備えることが好適である。ただし、適切な光源の種類は、配管102が設置される環境に応じて異なるため、環境に応じた種類の光源を使用すれば良い。
【0027】
カメラ11は、減速機903に供給されるオイルとして、上述した被撮影部105において、上述した窓109を介して、配管102を流れるオイルを撮影する。
画像処理部13は、カメラ11により撮影された撮影画像に対する画像処理を行う。なお、画像処理部13により行われる画像処理の詳細については後述する。
【0028】
検出部14は、画像処理部13により画像処理が行われた画像に基づいて、オイルに混入したコンタミを検出する。
また、検出部14は、画像処理部13により画像処理が行われた画像に基づいて、オイルに混入したコンタミの数を数えても良い。また、検出部14は、コンタミの数に基づいて、オイル中のコンタミの濃度を算出しても良い。また、検出部14は、オイル中のコンタミの数又は濃度に基づいて、減速機903に使用される歯車及び軸受け等の部品の劣化度合を判断しても良い。このとき、検出部14は、オイル中のコンタミの濃度を閾値と比較することで、部品の劣化度合を判断しても良い。また、閾値として、複数の閾値を設定しておけば、部品の劣化度合をより多くのレベルに分類できる。
【0029】
また、検出部14は、カメラ11により撮影された撮影画像又は画像処理部13により画像処理が行われた画像に基づいて、オイルの色を判断し、判断されたオイルの色に基づいて、オイル自体の劣化度合を判断しても良い。このとき、検出部14は、オイルの色と、その色のときのオイルの劣化度合と、の複数の組み合わせを予め学習しておいても良い。そして、検出部14は、上記で判断されたオイルの色と上記で学習された学習結果とに基づいて、オイル自体の劣化度合を判断しても良い。
【0030】
また、検出部14は、出力機能を備えていても良い。例えば、検出部14は、オイルに混入したコンタミの数、オイル中のコンタミの濃度、部品の劣化度合、オイル自体の劣化度合の少なくとも1つを示す出力信号を生成しても良い。そして、検出部14は、検出装置12に設けられた表示部(不図示)に出力信号を表示したり、検出装置12の外部に設けられた任意の装置(不図示)に出力信号を出力したりしても良い。ただし、検出装置12には、このような出力機能を備えた出力部(不図示)が、検出部14とは別に設けられていても良い。
【0031】
続いて、画像処理部13の動作について詳細に説明する。
画像処理部13は、上述したように、カメラ11により撮影されたオイルの撮影画像に対する画像処理を行う。
図10図14は、画像処理部13により行われる画像処理に含まれる各工程の例を説明する図である。
【0032】
工程1(図10):
まず、画像処理部13は、カメラ11により撮影されたオイルの撮影画像である画像Im0を得る。画像Im0は、カラー画像である。そのため、画像処理部13は、画像Im0をグレースケール化し、画像Im1を得る。
【0033】
工程2(図11):
次に、画像処理部13は、画像Im1から、必要な部分を抜き出すトリミング処理を行い、画像Im2を得る。このとき、画像Im1から抜き出す部分は、検出精度のばらつきが生じないようにするため、予め決められた所定部分とする。
【0034】
工程3(図12):
次に、画像処理部13は、画像Im2を二値化し、画像Im3を得る。画像Im3において、黒く見える領域が、コンタミに相当する。
【0035】
工程4(図13):
次に、画像処理部13は、画像Im3の白黒を反転させ、画像Im4を得る。そのため、画像Im4においては、白く見える領域が、コンタミに相当する。
【0036】
工程5(図14):
その後、画像処理部13は、画像Im4中の白く見えるコンタミの領域について領域認識を行う。領域認識は、コンタミの領域を所定の色に変換する工程である。図14では、コンタミの領域を緑色に変換している。その上で、画像処理部13は、領域認識が実施された画像を、カメラ11により撮影された元の画像Im0に重ね合わせて、画像Im5を得る。
【0037】
ただし、画像処理部13は、画像処理として、上述した工程1~5を全て行う必要はない。後段の検出部14は、二値化により得られた画像の解像度等によっては、二値化により得られた画像に基づいて、オイルに混入したコンタミを検出することが可能となる。
【0038】
そのため、画像処理部13は、画像処理として、少なくとも、撮影画像を二値化する工程を実施すれば良く、工程1~5のうちのその他の工程は、撮影画像の二値化により得られた画像の解像度等に応じて、任意で実施すれば良い。
【0039】
なお、画像処理部13が工程4~5を実施しない場合は、検出部14は、上述した画像Im3からはオイルの色を判断できない。そのため、この場合は、検出部14は、カメラ11により撮影された撮影画像(カラー画像)である画像Im0に基づいて、オイルの色を判断し、オイルの色に基づいて、オイル自体の劣化度合を判断すれば良い。又は、検出部14は、画像処理部13により画像Im0のグレースケール化が行われた後の画像Im1若しくは画像Im2に基づいて、オイルの色を判断し、オイルの色に基づいて、オイル自体の劣化度合を判断すれば良い。
【0040】
続いて、検出部14の動作について詳細に説明する。
図15は、検出部14において、オイル中のコンタミの濃度を算出する動作の例を説明する図である。
【0041】
図15に示されるように、検出部14は、オイルに混入したコンタミの数を数え、コンタミの数に基づいて、オイル中のコンタミの濃度[ppm]を算出する。例えば、コンタミの濃度は、コンタミの数を、オイルの流路体積で除算することで、算出すれば良い。また、検出部14は、コンタミの濃度に対して2つの閾値(30[ppm]及び100[ppm])を設定し、これら2つの閾値によって、コンタミの濃度を、正常値、注意値、及び異常値の3つに分類している。
【0042】
ここで、検出部14は、上述した分類結果を利用して、さらなる処理を行っても良い。例えば、検出部14は、上述した分類結果を利用して、減速機903に使用される部品の劣化度合を判断しても良い。例えば、検出部14は、コンタミの濃度が異常値、注意値、及び正常値のそれぞれである場合に、部品の劣化度合が大、中、及び小とそれぞれ判断しても良い。また、検出部14は、コンタミの濃度が異常値である場合には、オイルの交換を推奨するアラートを出力しても良い。
【0043】
図16は、検出部14において、オイルの色を判断する動作の例を説明する図である。
図16に示されるように、オイル自体が劣化すると、オイルの色が変化する。そのため、検出部14は、オイル自体の劣化度合を判断するために、オイルの色を判断する。なお、オイル自体の劣化度合を判断するに際しては、上述したように、オイルの色と、オイルの劣化度合に応じたオイルの色の学習結果と、から判断を行えば良い。
【0044】
図17は、本実施の形態1に係る検出システム10の概略的な動作の流れの例を説明するフローチャートである。
図17に示されるように、まず、カメラ11は、被撮影部105において、配管102を流れるオイルを撮影する(ステップS21)。
【0045】
次に、画像処理部13は、ステップS21でカメラ11により撮影された撮影画像に対する画像処理を行う(ステップS22)。
このとき、画像処理部13は、画像処理として、少なくとも、撮影画像を二値化する工程を行う。
また、画像処理部13は、撮影画像をグレースケール化する工程1、グレースケール化された画像から必要な部分を抜き出すトリミング処理を行う工程2、トリミング処理が行われた画像を二値化する工程3、二値化された画像の白黒を反転させる工程4、及び、白黒を反転された画像中のコンタミの領域について領域認識を実施した上で、その画像を元の画像に重ね合わせる工程5を、任意で行っても良い。
【0046】
その後、検出部14は、ステップS22で画像処理部13により画像処理が行われた画像に基づいて、オイルに混入したコンタミを検出する(ステップS23)。
このとき、検出部14は、ステップS22で画像処理部13により画像処理が行われた画像に基づいて、オイルに混入したコンタミの数を数えても良い。また、検出部14は、コンタミの数に基づいて、オイル中のコンタミの濃度を算出しても良い。また、検出部14は、オイル中のコンタミの数又は濃度に基づいて、減速機903に使用される歯車及び軸受け等の部品の劣化度合を判断しても良い。
また、検出部14は、ステップS21でカメラ11により撮影された撮影画像又はステップS22で画像処理部13により画像処理が行われた画像に基づいて、オイルの色を判断し、オイルの色に基づいて、オイル自体の劣化度合を判断しても良い。
【0047】
上述したように、本実施の形態1に係る検出システム10は、カメラ11を用いて、配管を流れるオイルに混入したコンタミを検出すると共に、オイル自体の劣化度合を判断するカメラ式センサである。
以下、カメラ式センサの利点について説明する。
【0048】
図18は、レーザ式センサ、磁界式センサ、及びカメラ式センサの特性比較表の例を示す図である。
図18に示されるように、レーザ式センサは、オイル自体が劣化した場合には、コンタミの検出感度が低下してしまうという問題がある。
これに対して、カメラ式センサは、オイルの劣化が、コンタミの検出能力には影響しないという利点がある。また、カメラ式センサは、オイル自体の劣化を検出できるという利点もある。
【0049】
また、磁界式センサは、錆びて磁性を持たなくなったコンタミを検出することができないため、鉄粉のコンタミしか検出できないという問題がある。
これに対して、カメラ式センサは、錆びて磁性を持たなくなったコンタミも検出できるため、コンタミの組成に関わらず、全てのコンタミを検出できるという利点がある。
【0050】
以上の通り、本実施の形態1に係る検出システム10は、カメラ式センサとして実現されるため、カメラ式センサの利点を得ることができ、それにより、オイルに混入したコンタミの検出を良好に行うことができると共に、オイル自体の劣化を検出することができるという効果が得られる。
【0051】
<他の実施の形態>
図9の例では、被撮影部105は、配管102の途中に挿入されたサイトグラス107を用いた構成であったが、これには限定されない。被撮影部105は、カメラ11により内部を撮影可能な透明部が配管102自体に設けられた構成であっても良いし、そのような透明部が設けられた別部材が配管102の途中に挿入された構成であっても良い。
【0052】
図19図21は、他の実施の形態に係る被撮影部105の例を示す図である。
図19の例では、配管102自体に、透明部としての窓110が設けられており、窓110の部分のみが平面状になっている。
図20の例では、配管102自体に、透明部としての窓112が設けられており、窓112以外の部分が白色になっている。そのため、配管102の白色部分をスクリーンとして使用できる。
【0053】
図21の例では、配管102は、カメラ11及びスクリーン115が一体化された構成になっている。スクリーン115は白色である。また、配管102自体に、透明部としての窓114が設けられており、カメラ11は、面116に焦点が合うように、配管102(窓114)の外側に固定されている。
【0054】
また、配管102のオイルの流路厚みが大きく、カメラ11の被写界深度(カメラ11のピントが合う範囲)が狭い場合には、カメラ11のピントから外れたコンタミについては検出できない。その結果、流路内のコンタミ濃度にムラが発生すると、コンタミの計数精度が低下してしまう。そこで、カメラ11として、ピント調節機能を備えるカメラを使用しても良い。
【0055】
図22は、ピント調節機能を備えるカメラ11により、流路厚みが大きい配管102を流れるオイルを撮影するイメージ例を示す図である。
図22に示されるように、カメラ11は、レンズ118を前後(図中y方向)に移動させることにより、ピント位置の調節が可能なカメラである。カメラ11は、ピント位置を調節しながら撮影を行い、複数の画像を得る。画像処理部13は、複数の画像を重ねた上で、画像処理を行う。これにより、コンタミの計数精度の向上が期待される。
【0056】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。また、各実施の形態における構成を各実施の形態間で、適宜交換しても良い。
【0057】
例えば、上述した検出装置12は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサや、メモリ等を備え、プロセッサがメモリに格納されたコンピュータプログラムを読み出し実行することにより、検出装置12の任意の処理を実現することも可能である。
【0058】
上述したプログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されても良い。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD又はその他のメモリ技術、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されても良い。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0059】
10 検出システム
11 カメラ
12 検出装置
13 画像処理部
14 検出部
101,102 配管
103,104 バルブ
105 被撮影部
107 サイトグラス
108 スクリーン
109 窓
903 減速機
911 ポンプ
図1
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