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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080271
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】ねじ締め工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/18 20060101AFI20240606BHJP
【FI】
B25B23/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193322
(22)【出願日】2022-12-02
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 一真
(72)【発明者】
【氏名】塚本 功児
【テーマコード(参考)】
3C038
【Fターム(参考)】
3C038AA01
3C038BC04
3C038DA06
3C038EA06
(57)【要約】
【課題】相互に異なる複数種類の先端工具が使用されても、作業対象に影ができることを抑制すること。
【解決手段】ねじ締め工具は、モータと、モータの前方側に配置され、モータにより回転される減速機構と、減速機構の前方側に配置され、減速機構により回転される出力軸と、減速機構を収容するケースと、ケースに保持される第1発光素子と、ケースに保持される第2発光素子と、第1発光素子の前方に配置され、第1発光素子からの光を屈折させる第1レンズ部と、第2発光素子の前方に配置され、第2発光素子からの光を屈折させ、第1レンズ部とは屈折角が異なる第2レンズ部と、を備える。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの前方側に配置され、前記モータにより回転される減速機構と、
前記減速機構の前方側に配置され、前記減速機構により回転される出力軸と、
前記減速機構を収容するケースと、
前記ケースに保持される第1発光素子と、
前記ケースに保持される第2発光素子と、
前記第1発光素子の前方に配置され、前記第1発光素子からの光を屈折させる第1レンズ部と、
前記第2発光素子の前方に配置され、前記第2発光素子からの光を屈折させ、前記第1レンズ部とは屈折角が異なる第2レンズ部と、を備える、
ねじ締め工具。
【請求項2】
前記第1発光素子から光を射出させる第1ライトモードと、前記第2発光素子から光を射出させる第2ライトモードとを切り換えるコントローラを備える、
請求項1に記載のねじ締め工具。
【請求項3】
前記コントローラは、前記第1発光素子から光を射出させ、且つ、前記第2発光素子から光を射出させる第3ライトモードに切り換え可能である、
請求項2に記載のねじ締め工具。
【請求項4】
操作装置を備え、
前記コントローラは、前記操作装置が操作されることにより生成された操作指令に基づいて、前記第1ライトモードと前記第2ライトモードとを切り換える、
請求項2に記載のねじ締め工具。
【請求項5】
前記第1発光素子と前記第2発光素子とは、前記出力軸の周囲に交互に配置される、
請求項1に記載のねじ締め工具。
【請求項6】
前記第1レンズ部は、第1照射範囲に光が照射されるように光を屈折させ、
前記第2レンズ部は、前記第1照射範囲よりも前記出力軸から遠い第2照射範囲に光が照射されるように光を屈折させる、
請求項1に記載のねじ締め工具。
【請求項7】
前記出力軸の周囲に配置される光学部材を備え、
前記光学部材は、前記第1レンズ部及び前記第2レンズ部を含む、
請求項1に記載のねじ締め工具。
【請求項8】
前記第1レンズ部と前記第2レンズ部とは、前記出力軸の周囲に交互に配置される、
請求項7に記載のねじ締め工具。
【請求項9】
モータと、
前記モータの前方側に配置され、前記モータにより回転される減速機構と、
前記減速機構の前方側に配置され、前記減速機構により回転される出力軸と、
前記減速機構を収容するケースと、
前記ケースに保持される発光素子と、
前記発光素子の前方に選択的に配置可能な第1レンズ部及び第2レンズ部と、を備え、
前記第1レンズ部の屈折角と前記第2レンズ部の屈折角とは、異なる、
ねじ締め工具。
【請求項10】
前記出力軸の周囲に配置される光学部材を備え、
前記光学部材は、前記第1レンズ部及び前記第2レンズ部を含み、
前記光学部材の回転により、前記発光素子の前方に前記第1レンズ部と前記第2レンズ部とが選択的に配置される、
請求項9に記載のねじ締め工具。
【請求項11】
前記第1レンズ部と前記第2レンズ部とは、前記出力軸の周囲に交互に配置される、
請求項10に記載のねじ締め工具。
【請求項12】
前記発光素子は、前記出力軸の周囲に複数配置され、
前記第1レンズ部が前記発光素子の前方に配置されるとき、前記第2レンズ部が前記発光素子の前方に配置されず、
前記第2レンズ部が前記発光素子の前方に配置されるとき、前記第1レンズ部が前記発光素子の前方に配置されない、
請求項11に記載のねじ締め工具。
【請求項13】
前記ケースは、ベアリングを介して前記出力軸を支持する筒部を有し、
前記光学部材は、前記筒部に回転可能に支持される、
請求項10に記載のねじ締め工具。
【請求項14】
前記筒部と前記光学部材との間にOリングが配置され、
前記光学部材は、Oリングを介して前記筒部に支持される、
請求項13に記載のねじ締め工具。
【請求項15】
モータと、
前記モータの前方側に配置され、前記モータにより回転される減速機構と、
前記減速機構の前方側に配置され、前記減速機構により回転される出力軸と、
前記減速機構を収容するケースと、
第1照射範囲に光が照射される第1ライトモード、及び前記第1照射範囲とは異なる第2照射範囲に光が照射される第2ライトモードの少なくとも一方のライトモードで光を照射するライトユニットと、を備える、
ねじ締め工具。
【請求項16】
前記第1照射範囲の位置と前記第2照射範囲の位置とが異なる、
請求項15に記載のねじ締め工具。
【請求項17】
前記第1照射範囲の位置は、前記第2照射範囲の位置よりも前記出力軸に近い、
請求項16に記載のねじ締め工具。
【請求項18】
前記第1照射範囲の大きさと前記第2照射範囲の大きさとが異なる、
請求項15に記載のねじ締め工具。
【請求項19】
前記第1ライトモードと前記第2ライトモードとを切り換えるコントローラを備える、
請求項15に記載のねじ締め工具。
【請求項20】
前記ライトユニットは、発光素子と、前記発光素子から射出された光が透過するレンズ部を有する光学部材と、を有し、
前記光学部材の回転により、前記第1ライトモードと前記第2ライトモードとが切り換えられる、
請求項15に記載のねじ締め工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、ねじ締め工具に関する。
【背景技術】
【0002】
ねじ締め工具は、作業対象を照明するライトユニットを備える。特許文献1には、チップオンボード発光ダイオード(COB LED:chip on board light emitting diodes)を有する電動工具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10052733号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ねじ締め工具に装着される先端工具によっては、ライトユニットから射出された光の一部が先端工具に照射され、その結果、作業対象に影ができてしまう可能性がある。例えば、細い先端工具を使用した場合には作業対象に影ができなくても、太い先端工具を使用した場合には作業対象に影ができてしまう可能性がある。作業対象に影ができてしまうと、作業者は、作業対象を視認し難くなる可能性がある。
【0005】
本明細書で開示する技術は、相互に異なる複数種類の先端工具が使用されても、作業対象に影ができることを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、ねじ締め工具を開示する。ねじ締め工具は、モータと、モータの前方側に配置され、モータにより回転される減速機構と、減速機構の前方側に配置され、減速機構により回転される出力軸と、減速機構を収容するケースと、ケースに保持される第1発光素子と、ケースに保持される第2発光素子と、第1発光素子の前方に配置され、第1発光素子からの光を屈折させる第1レンズ部と、第2発光素子の前方に配置され、第2発光素子からの光を屈折させ、第1レンズ部とは屈折角が異なる第2レンズ部と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、相互に異なる複数種類の先端工具が使用されても、作業対象に影ができることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態に係るねじ締め工具を示す前方からの斜視図である。
図2図2は、第1実施形態に係るねじ締め工具を示す後方からの斜視図である。
図3図3は、第1実施形態に係るねじ締め工具を示す断面図である。
図4図4は、第1実施形態に係るねじ締め工具の上部を示す縦断面図である。
図5図5は、第1実施形態に係るねじ締め工具の上部を示す横断面図である。
図6図6は、第1実施形態に係るライトユニットを示す縦断面図である。
図7図7は、第1実施形態に係るねじ締め工具の上部を示す前方からの分解斜視図である。
図8図8は、第1実施形態に係るライトユニットを示す前方からの分解斜視図である。
図9図9は、第1実施形態に係るライトユニットを示す後方からの分解斜視図である。
図10図10は、第1実施形態に係る光学部材を後方から見た図である。
図11図11は、第1実施形態に係るねじ締め工具の上部を前方から見た図である。
図12図12は、第1実施形態に係るライトユニットの一部を示す断面図である。
図13図13は、第1実施形態に係るライトユニットの一部を示す断面図である。
図14図14は、第1実施形態に係る第1ライトモードを説明するための模式図である。
図15図15は、第1実施形態に係る第2ライトモードを説明するための模式図である。
図16図16は、第2実施形態に係るライトユニットを示す縦断面図である。
図17図17は、第2実施形態に係るねじ締め工具の上部を示す前方からの分解斜視図である。
図18図18は、第2実施形態に係るライトユニットを示す前方からの分解斜視図である。
図19図19は、第2実施形態に係るライトユニットを示す後方からの分解斜視図である。
図20図20は、第2実施形態に係る光学部材を後方から見た図である。
図21図21は、第3実施形態に係る第3ライトモードを説明するための模式図である。
図22図22は、第3実施形態に係る第4ライトモードを説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ねじ締め工具は、モータと、モータの前方側に配置され、モータにより回転される減速機構と、減速機構の前方側に配置され、減速機構により回転される出力軸と、減速機構を収容するケースと、ケースに保持される第1発光素子と、ケースに保持される第2発光素子と、第1発光素子の前方に配置され、第1発光素子からの光を屈折させる第1レンズ部と、第2発光素子の前方に配置され、記第2発光素子からの光を屈折させ、第1レンズ部とは屈折角が異なる第2レンズ部と、を備えてもよい。
【0010】
上記の構成では、出力軸に装着される先端工具の種類に応じて、第1レンズ部を介して光を照射する第1ライトモードと第2レンズ部を介して光を照射する第2ライトモードとが選択されることにより、作業対象に影ができることが抑制される。
【0011】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ねじ締め工具は、第1発光素子から光を射出させる第1ライトモードと、第2発光素子から光を射出させる第2ライトモードとを切り換えるコントローラを備えてもよい。
【0012】
上記の構成では、コントローラにより第1ライトモードと第2ライトモードとが切り換えられる。
【0013】
1つ又はそれ以上の実施形態において、コントローラは、第1発光素子から光を射出させ、且つ、第2発光素子から光を射出させる第3ライトモードに切り換え可能でもよい。
【0014】
上記の構成では、コントローラにより第1ライトモードと第2ライトモードと第3ライトモードとが切り換えられる。
【0015】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ねじ締め工具は、操作装置を備えてもよい。コントローラは、操作装置が操作されることにより生成された操作指令に基づいて、第1ライトモードと前記第2ライトモードとを切り換えてもよい。
【0016】
上記の構成では、操作装置を操作する作業者の意思に基づいて第1ライトモードと第2ライトモードとが切り換えられる。
【0017】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1発光素子と第2発光素子とは、出力軸の周囲に交互に配置されてもよい。
【0018】
上記の構成では、第1ライドモード及び第2ライトモードのそれぞれにおいて均一な照度分布で光が照射される。
【0019】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1レンズ部は、第1照射範囲に光が照射されるように光を屈折させ、第2レンズ部は、第1照射範囲よりも出力軸から遠い第2照射範囲に光が照射されるように光を屈折させてもよい。
【0020】
上記の構成では、出力軸に装着される先端工具の太さに応じて、第1レンズ部を介して光を照射する第1ライトモードと第2レンズ部を介して光を照射する第2ライトモードとが選択されることにより、作業対象に影ができることが抑制される。
【0021】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ねじ締め工具は、出力軸の周囲に配置される光学部材を備えてもよい。光学部材は、第1レンズ部及び第2レンズ部を含んでもよい。
【0022】
上記の構成では、単一の光学部材に第1レンズ部及び第2レンズ部が設けられる。
【0023】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1レンズ部と第2レンズ部とは、出力軸の周囲に交互に配置されてもよい。
【0024】
上記の構成では、第1ライドモード及び第2ライトモードのそれぞれにおいて均一な照度分布で光が照射される。
【0025】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ねじ締め工具は、モータと、モータの前方側に配置され、モータにより回転される減速機構と、減速機構の前方側に配置され、減速機構により回転される出力軸と、減速機構を収容するケースと、ケースに保持される発光素子と、発光素子の前方に選択的に配置可能な第1レンズ部及び第2レンズ部と、を備えてもよい。第1レンズ部の屈折角と第2レンズ部の屈折角とは、異なってもよい。
【0026】
上記の構成では、出力軸に装着される先端工具の種類に応じて、第1レンズ部を介して光を照射する第1ライトモードと第2レンズ部を介して光を照射する第2ライトモードとが選択されることにより、作業対象に影ができることが抑制される。
【0027】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ねじ締め工具は、出力軸の周囲に配置される光学部材を備えてもよい。光学部材は、第1レンズ部及び第2レンズ部を含んでもよい。光学部材の回転により、発光素子の前方に第1レンズ部と第2レンズ部とが選択的に配置されてもよい。
【0028】
上記の構成では、光学部材を回転させるだけで、第1ライトモードと第2ライトモードとが簡単に切り換えられる。
【0029】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1レンズ部と第2レンズ部とは、出力軸の周囲に交互に配置されてもよい。
【0030】
上記の構成では、第1ライドモード及び第2ライトモードのそれぞれにおいて均一な照度分布で光が照射される。
【0031】
1つ又はそれ以上の実施形態において、発光素子は、出力軸の周囲に複数配置されてもよい。第1レンズ部が発光素子の前方に配置されるとき、第2レンズ部が発光素子の前方に配置されず、第2レンズ部が発光素子の前方に配置されるとき、第1レンズ部が発光素子の前方に配置されなくてもよい。
【0032】
上記の構成では、光学部材を回転させるだけで、第1ライトモードと第2ライトモードとが簡単に切り換えられる。
【0033】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ケースは、ベアリングを介して出力軸を支持する筒部を有してもよい。光学部材は、筒部に回転可能に支持されてもよい。
【0034】
上記の構成では、光学部材は、筒部に支持された状態で回転することができる。
【0035】
1つ又はそれ以上の実施形態において、筒部と光学部材との間にOリングが配置されてもよい。光学部材は、Oリングを介して筒部に支持されてもよい。
【0036】
上記の構成では、光学部材は、Oリングにより回転方向に位置決めされる。
【0037】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ねじ締め工具は、モータと、モータの前方側に配置され、モータにより回転される減速機構と、減速機構の前方側に配置され、減速機構により回転される出力軸と、減速機構を収容するケースと、第1照射範囲に光が照射される第1ライトモード、及び第1照射範囲とは異なる第2照射範囲に光が照射される第2ライトモードの少なくとも一方のライトモードで光を照射するライトユニットと、を備えてもよい。
【0038】
上記の構成では、出力軸に装着される先端工具の種類に応じて、第1ライトモードと第2ライトモードとが選択されることにより、作業対象に影ができることが抑制される。
【0039】
1つ又はそれ以上の実施形態において、第1照射範囲の位置と第2照射範囲の位置とが異なってもよい。第1照射範囲の位置は、第2照射範囲の位置よりも出力軸に近くてもよい。第1照射範囲の大きさと第2照射範囲の大きさとが異なってもよい。
【0040】
上記の構成では、出力軸に装着される先端工具の種類に応じて、第1ライトモードと第2ライトモードとが選択されることにより、作業対象に影ができることが抑制される。
【0041】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ねじ締め工具は、第1ライトモードと第2ライトモードとを切り換えるコントローラを備えてもよい。
【0042】
上記の構成では、コントローラにより第1ライトモードと第2ライトモードと第3ライトモードとが切り換えられる。
【0043】
1つ又はそれ以上の実施形態において、ライトユニットは、発光素子と、発光素子から射出された光が透過するレンズ部を有する光学部材と、を有してもよい。光学部材の回転により、第1ライトモードと第2ライトモードとが切り換えられてもよい。
【0044】
上記の構成では、光学部材を回転させるだけで、第1ライトモードと第2ライトモードとが簡単に切り換えられる。
【0045】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。実施形態においては、左、右、前、後、上、及び下の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は、ねじ締め工具の中心を基準とした相対位置又は方向を示す。
【0046】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態に係るねじ締め工具1Aを示す前方からの斜視図である。図2は、本実施形態に係るねじ締め工具1Aを示す後方からの斜視図である。図3は、本実施形態に係るねじ締め工具1Aを示す断面図である。図4は、本実施形態に係るねじ締め工具1Aの上部を示す縦断面図である。図5は、本実施形態に係るねじ締め工具1Aの上部を示す横断面図である。
【0047】
本実施形態において、ねじ締め工具1Aは、動力源として電動のモータ6を有する電動工具である。モータ6の回転軸AXに平行な方向を適宜、軸方向、と称し、回転軸AXの周囲を周回する方向を適宜、周方向又は回転方向、と称し、回転軸AXの放射方向を適宜、径方向、と称する。また、径方向において、回転軸AXに近い位置又は接近する方向を適宜、径方向内側、と称し、回転軸AXから遠い位置又は離隔する方向を適宜、径方向外側、と称する。本実施形態において、回転軸AXは、前後方向に延伸する。軸方向一方側は、前方であり、軸方向他方側は、後方である。
【0048】
本実施形態において、ねじ締め工具1Aは、電動工具の一種であるインパクト工具であることとする。以下の説明においては、ねじ締め工具1Aを適宜、インパクト工具1A、と称する。
【0049】
本実施形態において、インパクト工具1Aは、ねじ締め工具の一種であるインパクトドライバである。インパクト工具1Aは、ハウジング2と、リヤカバー3と、ハンマケース4と、ケースカバー5と、モータ6と、減速機構7と、スピンドル8と、打撃機構9と、アンビル10と、工具保持機構11と、ファン12と、バッテリ装着部13と、トリガレバー14と、正逆転切換レバー15と、手元モード切換ボタン16と、インタフェースパネル17と、ライトユニット18と、コントローラ100とを備える。
【0050】
ハウジング2は、合成樹脂製である。本実施形態において、ハウジング2は、ナイロン製である。ハウジング2は、左ハウジング2Lと、左ハウジング2Lの右方に配置される右ハウジング2Rとを含む。左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとは、複数のねじ2Sにより固定される。ハウジング2は、一対の半割れハウジングにより構成される。
【0051】
ハウジング2は、モータ収容部21と、グリップ部22と、バッテリ保持部23とを有する。
【0052】
モータ収容部21は、筒状である。モータ収容部21は、モータ6、ベアリングボックス24の一部、及びハンマケース4の後部を収容する。
【0053】
グリップ部22は、モータ収容部21から下方に突出する。トリガレバー14は、グリップ部22の上部に設けられる。グリップ部22は、作業者に握られる。
【0054】
バッテリ保持部23は、グリップ部22の下端部に接続される。前後方向及び左右方向のそれぞれにおいて、バッテリ保持部23の外形の寸法は、グリップ部22の外形の寸法よりも大きい。
【0055】
リヤカバー3は、合成樹脂製である。リヤカバー3は、モータ収容部21の後方に配置される。リヤカバー3は、ファン12の少なくとも一部を収容する。ファン12は、リヤカバー3の内周側に配置される。リヤカバー3は、モータ収容部21の後端部の開口を覆うように配置される。リヤカバー3は、ねじ3Sによりモータ収容部21の後端部に固定される。
【0056】
モータ収容部21は、吸気口19を有する。リヤカバー3は、排気口20を有する。ハウジング2の外部空間の空気は、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間の空気は、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0057】
ハンマケース4は、減速機構7を収容するケースとして機能する。ハンマケース4は、減速機構7、スピンドル8、打撃機構9、及びアンビル10の少なくとも一部を収容する。ハンマケース4は、金属製である。本実施形態において、ハンマケース4は、アルミニウム製である。ハンマケース4は、筒状である。
【0058】
ハンマケース4は、後側筒部4Aと、前側筒部4Bと、環状部4Cとを含む。前側筒部4Bは、後側筒部4Aよりも前方に配置される。後側筒部4Aの外径は、前側筒部4Bの外径よりも大きい。後側筒部4Aの内径は、前側筒部4Bの内径よりも大きい。環状部4Cは、後側筒部4Aの前端部と前側筒部4Bの後端部とを繋ぐように配置される。
【0059】
ハンマケース4は、モータ収容部21の前部に接続される。後側筒部4Aの後部にベアリングボックス24が固定される。減速機構7の少なくとも一部は、ベアリングボックス24の内側に配置される。ハンマケース4は、左ハウジング2Lと右ハウジング2Rとに挟まれる。ベアリングボックス24の一部及び後側筒部4Aの後部は、モータ収容部21に収容される。ベアリングボックス24は、モータ収容部21及びハンマケース4のそれぞれに固定される。
【0060】
ケースカバー5は、ハンマケース4の表面の少なくとも一部を覆う。本実施形態において、ケースカバー5は、後側筒部4Aの表面を覆う。ケースカバー5は、合成樹脂製である。本実施形態において、ケースカバー5は、ポリカーボネート樹脂製である。ケースカバー5は、ハンマケース4を保護する。ケースカバー5は、ハンマケース4とインパクト工具1Aの周囲の物体との接触を抑制する。ケースカバー5は、ハンマケース4と作業者との接触を抑制する。
【0061】
モータ6は、インパクト工具1Aの動力源である。モータ6は、回転力を発生する。モータ6は、電動モータである。モータ6は、インナロータ型のブラシレスモータである。モータ6は、ステータ26と、ロータ27とを有する。ステータ26は、モータ収容部21に支持される。ロータ27の少なくとも一部は、ステータ26の内側に配置される。ロータ27は、ステータ26に対して回転する。ロータ27は、前後方向に延伸する回転軸AXを中心に回転する。
【0062】
ステータ26は、ステータコア28と、前インシュレータ29と、後インシュレータ30と、コイル31とを有する。
【0063】
ステータコア28は、ロータ27よりも径方向外側に配置される。ステータコア28は、積層された複数の鋼板を含む。鋼板は、鉄を主成分とする金属製の板である。ステータコア28は、筒状である。ステータコア28は、コイル31を支持する複数のティースを有する。
【0064】
前インシュレータ29は、ステータコア28の前部に設けられる。後インシュレータ30は、ステータコア28の後部に設けられる。前インシュレータ29及び後インシュレータ30のそれぞれは、合成樹脂製の電気絶縁部材である。前インシュレータ29は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。後インシュレータ30は、ティースの表面の一部を覆うように配置される。
【0065】
コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28に装着される。コイル31は、複数配置される。コイル31は、前インシュレータ29及び後インシュレータ30を介してステータコア28のティースの周囲に配置される。コイル31とステータコア28とは、前インシュレータ29及び後インシュレータ30により電気的に絶縁される。複数のコイル31は、ヒュージング端子38を介して接続される。
【0066】
ロータ27は、回転軸AXを中心に回転する。ロータ27は、ロータコア部32と、ロータシャフト部33と、ロータ磁石34と、センサ磁石35とを有する。
【0067】
ロータコア部32及びロータシャフト部33のそれぞれは、鋼製である。本実施形態において、ロータコア部32とロータシャフト部33とは、一体である。ロータシャフト部33の前部は、ロータコア部32の前端面から前方に突出する。ロータシャフト部33の後部は、ロータコア部32の後端面から後方に突出する。
【0068】
ロータ磁石34は、ロータコア部32に固定される。ロータ磁石34は、円筒状である。ロータ磁石34は、ロータコア部32の周囲に配置される。
【0069】
センサ磁石35は、ロータコア部32に固定される。センサ磁石35は、円環状である。センサ磁石35は、ロータコア部32の前端面及びロータ磁石34の前端面に配置される。
【0070】
前インシュレータ29にセンサ基板37が取り付けられる。センサ基板37は、ねじ29Sにより前インシュレータ29に固定される。センサ基板37は、円環状の回路基板と、回路基板に支持される磁気センサ37Aと、磁気センサ37Aを覆う樹脂モールド体37Bとを有する。センサ基板37の少なくとも一部は、センサ磁石35に対向する。磁気センサ37Aは、センサ磁石35の位置を検出することにより、ロータ27の回転方向の位置を検出する。
【0071】
ロータシャフト部33の後部は、ロータベアリング39に回転可能に支持される。ロータベアリング39の前部は、ロータベアリング40に回転可能に支持される。ロータベアリング39は、リヤカバー3に保持される。ロータベアリング40は、ベアリングボックス24に保持される。ロータシャフト部33の前端部は、ベアリングボックス24の開口を介してハンマケース4の内部空間に配置される。
【0072】
ロータシャフト部33の前端部にピニオンギヤ41が形成される。ピニオンギヤ41は、減速機構7の少なくとも一部に連結される。ロータシャフト部33は、ピニオンギヤ41を介して減速機構7に連結される。
【0073】
減速機構7は、モータ6の回転力をスピンドル8及びアンビル10に伝達する。減速機構7は、ハンマケース4の後側筒部4Aに収容される。減速機構7は、モータ6により回転される。減速機構7は、モータ6により回転される複数のギヤを有する。減速機構7は、モータ6よりも前方側に配置される。減速機構7は、ロータシャフト部33とスピンドル8とを連結する。減速機構7のギヤは、ロータ27により駆動される。減速機構7は、ロータ27の回転をスピンドル8に伝達する。減速機構7は、ロータシャフト部33の回転速度よりも低い回転速度でスピンドル8を回転させる。減速機構7は、遊星歯車機構を含む。
【0074】
減速機構7は、ピニオンギヤ41の周囲に配置される複数のプラネタリギヤ42と、複数のプラネタリギヤ42の周囲に配置されるインターナルギヤ43とを有する。ピニオンギヤ41、プラネタリギヤ42、及びインターナルギヤ43のそれぞれは、ハンマケース4及びベアリングボックス24に収容される。複数のプラネタリギヤ42のそれぞれは、ピニオンギヤ41に噛み合う。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してスピンドル8に回転可能に支持される。スピンドル8は、プラネタリギヤ42により回転される。インターナルギヤ43は、プラネタリギヤ42に噛み合う内歯を有する。インターナルギヤ43は、ベアリングボックス24に固定される。インターナルギヤ43は、ベアリングボックス24に対して常に回転不可能である。
【0075】
モータ6の駆動によりロータシャフト部33が回転すると、ピニオンギヤ41が回転し、プラネタリギヤ42がピニオンギヤ41の周囲を公転する。プラネタリギヤ42は、インターナルギヤ43の内歯に噛み合いながら公転する。プラネタリギヤ42の公転により、ピン42Pを介してプラネタリギヤ42に接続されているスピンドル8は、ロータシャフト部33の回転速度よりも低い回転速度で回転する。
【0076】
スピンドル8は、モータ6の回転力により回転する。スピンドル8は、モータ6の少なくとも一部よりも前方に配置される。スピンドル8は、ステータ26よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、ロータ27よりも前方に配置される。スピンドル8の少なくとも一部は、減速機構7の前方に配置される。スピンドル8は、ロータ27により回転される。スピンドル8は、減速機構7により伝達されたロータ27の回転力により回転する。
【0077】
スピンドル8は、フランジ部8Aと、フランジ部8Aから前方に突出するスピンドルシャフト部8Bとを有する。プラネタリギヤ42は、ピン42Pを介してフランジ部8Aに回転可能に支持される。スピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。スピンドル8は、回転軸AXを中心に回転する。
【0078】
スピンドル8は、スピンドルベアリング44に回転可能に支持される。スピンドルベアリング44は、ベアリングボックス24に保持される。スピンドル8は、フランジ部8Aの後部から後方に突出する円環部8Cを有する。スピンドルベアリング44は、円環部8Cの内側に配置される。本実施形態において、スピンドルベアリング44の外輪が円環部8Cに接続され、スピンドルベアリング44の内輪がベアリングボックス24に支持される。
【0079】
打撃機構9は、モータ6により駆動される。モータ6の回転力は、減速機構7及びスピンドル8を介して打撃機構9に伝達される。打撃機構9は、モータ6により回転するスピンドル8の回転力に基づいて、アンビル10を回転方向に打撃する。打撃機構9は、ハンマ47と、ボール48と、コイルスプリング49とを有する。ハンマ47を含む打撃機構9は、ハンマケース4に収容される。
【0080】
ハンマ47は、減速機構7よりも前方に配置される。ハンマ47は、後側筒部4Aに収容される。ハンマ47は、スピンドルシャフト部8Bの周囲に配置される。ハンマ47は、スピンドルシャフト部8Bに保持される。ボール48は、スピンドルシャフト部8Bとハンマ47との間に配置される。コイルスプリング49は、フランジ部8A及びハンマ47のそれぞれに支持される。
【0081】
ハンマ47は、モータ6により回転される。モータ6の回転力は、減速機構7及びスピンドル8を介してハンマ47に伝達される。ハンマ47は、モータ6により回転するスピンドル8の回転力に基づいて、スピンドル8と一緒に回転可能である。ハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。ハンマ47は、回転軸AXを中心に回転する。
【0082】
ボール48は、鉄鋼のような金属製である。ボール48は、スピンドルシャフト部8Bとハンマ47との間に配置される。スピンドル8は、ボール48の少なくとも一部が配置されるスピンドル溝8Dを有する。スピンドル溝8Dは、スピンドルシャフト部8Bの外周面の一部に設けられる。ハンマ47は、ボール48の少なくとも一部が配置されるハンマ溝47Aを有する。ハンマ溝47Aは、ハンマ47の内面の一部に設けられる。ボール48は、スピンドル溝8Dとハンマ溝47Aとの間に配置される。ボール48は、スピンドル溝8Dの内側及びハンマ溝47Aの内側のそれぞれを転がることができる。ハンマ47は、ボール48に伴って移動可能である。スピンドル8とハンマ47とは、スピンドル溝8D及びハンマ溝47Aにより規定される可動範囲において、軸方向及び回転方向のそれぞれに相対移動することができる。
【0083】
コイルスプリング49は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を発生する。コイルスプリング49は、フランジ部8Aとハンマ47との間に配置される。ハンマ47の後面にリング状の凹部47Cが設けられる。凹部47Cは、ハンマ47の後面から前方に窪む。凹部47Cの内側にワッシャ45が設けられる。ワッシャ45は、ボール61を介してハンマ47に支持される。コイルスプリング49の後端部は、フランジ部8Aに支持される。コイルスプリング49の前端部は、凹部47Cの内側に配置され、ワッシャ45に支持される。
【0084】
アンビル10は、減速機構7の前方側に配置され、減速機構7により回転されるインパクト工具1Aの出力軸である。アンビル10は、モータ6の回転力により回転する。アンビル10の少なくとも一部は、ハンマ47よりも前方に配置される。アンビル10は、先端工具が挿入される工具孔10Aを有する。先端工具として、ドライバビットが例示される。工具孔10Aは、アンビル10の前端部に設けられる。先端工具は、アンビル10に装着される。また、アンビル10の後端部に凹部10Bが設けられる。スピンドルシャフト部8Bの前端部に凸部が設けられる。スピンドルシャフト部8Bの前端部の凸部は、アンビル10の後端部に設けられた凹部10Bに挿入される。
【0085】
アンビル10は、ロッド状のアンビルシャフト部10Cと、アンビル突起部10Dとを有する。工具孔10Aは、アンビルシャフト部10Cの前端部に設けられる。先端工具は、アンビルシャフト部10Cに装着される。アンビル突起部10Dは、アンビル10の後端部に設けられる。アンビル突起部10Dは、アンビルシャフト部10Cの後端部から径方向外側に突出する。
【0086】
アンビル10は、アンビルベアリング46に回転可能に支持される。アンビル10の回転軸とハンマ47の回転軸とスピンドル8の回転軸とモータ6の回転軸AXとは一致する。アンビル10は、回転軸AXを中心に回転する。アンビルベアリング46は、前側筒部4Bの内側に配置される。アンビルベアリング46は、ハンマケース4の前側筒部4Bに保持される。アンビルベアリング46は、アンビルシャフト部10Cを支持する。本実施形態において、アンビルベアリング46は、前後方向に2つ配置される。
【0087】
ハンマ47は、前方に突出するハンマ突起部47Bを有する。ハンマ突起部47Bは、アンビル突起部10Dに接触可能である。ハンマ突起部47Bとアンビル突起部10Dとが接触している状態で、モータ6が駆動することにより、アンビル10は、ハンマ47及びスピンドル8と一緒に回転する。
【0088】
アンビル10は、ハンマ47により回転方向に打撃される。例えばねじ締め作業において、アンビル10に作用する負荷が高くなると、モータ6が発生する動力だけではアンビル10を回転させることができなくなる状況が発生する場合がある。モータ6が発生する動力だけではアンビル10を回転させることができなくなると、アンビル10及びハンマ47の回転が停止する。スピンドル8とハンマ47とは、ボール48を介して軸方向及び周方向のそれぞれに相対移動可能である。ハンマ47の回転が停止しても、スピンドル8の回転は、モータ6が発生する動力により継続される。ハンマ47の回転が停止している状態で、スピンドル8が回転すると、ボール48がスピンドル溝8D及びハンマ溝47Aのそれぞれにガイドされながら後方に移動する。ハンマ47は、ボール48から力を受け、ボール48に伴って後方に移動する。すなわち、ハンマ47は、アンビル10の回転が停止された状態で、スピンドル8が回転することにより、後方に移動する。ハンマ47が後方に移動することにより、ハンマ突起部47Bとアンビル突起部10Dとの接触が解除される。
【0089】
コイルスプリング49は、ハンマ47を前方に移動させる弾性力を発生する。後方に移動したハンマ47は、コイルスプリング49の弾性力により、前方に移動する。ハンマ47は、前方に移動するとき、ボール48から回転方向の力を受ける。すなわち、ハンマ47は、回転しながら前方に移動する。ハンマ47が回転しながら前方に移動すると、ハンマ突起部47Bは、回転しながらアンビル突起部10Dに接触する。これにより、アンビル突起部10Dは、ハンマ突起部47Bにより回転方向に打撃される。アンビル10には、モータ6の動力とハンマ47の慣性力との両方が作用する。したがって、アンビル10は、高いトルクで回転軸AXを中心に回転することができる。
【0090】
工具保持機構11は、アンビル10の前部の周囲に配置される。工具保持機構11は、工具孔10Aに挿入された先端工具を保持する。
【0091】
ファン12は、モータ6の回転力により回転する。ファン12は、モータ6のステータ26よりも後方に配置される。ファン12は、モータ6を冷却するための気流を生成する。ファン12は、ロータ27の少なくとも一部に固定される。ファン12は、ブッシュ12Aを介してロータシャフト部33の後部に固定される。ファン12は、ロータベアリング39とステータ26との間に配置される。ファン12は、ロータ27の回転により回転する。ロータシャフト部33が回転することにより、ファン12は、ロータシャフト部33と一緒に回転する。ファン12が回転することにより、ハウジング2の外部空間の空気が、吸気口19を介してハウジング2の内部空間に流入する。ハウジング2の内部空間に流入した空気は、ハウジング2の内部空間を流通することにより、モータ6を冷却する。ハウジング2の内部空間を流通した空気は、ファン12が回転することにより、排気口20を介してハウジング2の外部空間に流出する。
【0092】
バッテリ装着部13は、バッテリ保持部23の下部に配置される。バッテリパック25がバッテリ装着部13に装着される。バッテリパック25は、バッテリ装着部13に着脱可能である。バッテリパック25は、インパクト工具1Aの電源として機能する。バッテリパック25は、二次電池を含む。本実施形態において、バッテリパック25は、充電式のリチウムイオン電池を含む。バッテリ装着部13に装着されることにより、バッテリパック25は、インパクト工具1Aに電力を供給することができる。モータ6及びライトユニット18のそれぞれは、バッテリパック25から供給される電力に基づいて駆動する。
【0093】
トリガレバー14は、グリップ部22に設けられる。トリガレバー14は、モータ6を起動するために作業者に操作される。トリガレバー14が操作されることにより、モータ6の駆動と停止とが切り換えられる。
【0094】
正逆転切換レバー15は、グリップ部22の上部に設けられる。正逆転切換レバー15は、作業者に操作される。正逆転切換レバー15が操作されることにより、モータ6の回転方向が正転方向及び逆転方向の一方から他方に切り換えられる。モータ6の回転方向が切り換えられることにより、スピンドル8の回転方向が切り換えられる。
【0095】
手元モード切換ボタン16は、トリガレバー14の上方に設けられる。手元モード切換ボタン16は、作業者に操作される。手元モード切換ボタン16の後方に回路基板16A及びスイッチ16Bが配置される。スイッチ16Bは回路基板16Aの前面に搭載される。手元モード切換ボタン16は、スイッチ16Bの前方に配置される。手元モード切換ボタン16が後方に押し操作されることにより、スイッチ16Bが作動し、回路基板16Aから操作信号が出力される。回路基板16Aから出力された操作信号は、コントローラ(不図示)に送信される。コントローラは、回路基板16Aから出力された操作信号に基づいて、モータ6の制御モードを切り換える。
【0096】
インタフェースパネル17は、作業者により操作される操作装置を含む。インタフェースパネル17は、バッテリ保持部23の後部に配置される。インタフェースパネル17は、操作ボタン17Aと、インジケータ表示器17Bとを含む。操作ボタン17Aが作業者により操作されることにより、ライトユニット18のライトモード(作動モード)が切り換えられる。操作ボタン17Aが操作されることにより、ライトユニット18のライトモードを切り換えるための操作指令が生成される。
【0097】
コントローラ100は、モータ6及びライトユニット18を制御する制御指令を出力する。コントローラ100は、複数の電子部品が実装された回路基板101を含む。回路基板101に実装される電子部品として、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ、ROM(Read Only Memory)又はストレージのような不揮発性メモリ、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ、トランジスタ、及び抵抗器が例示される。回路基板101は、コントローラケース102に収容される。回路基板101及びコントローラケース102を含むコントローラ100は、バッテリ保持部23に収容される。
【0098】
[ライトユニット]
図6は、本実施形態に係るライトユニット18を示す縦断面図である。図7は、本実施形態に係るインパクト工具1Aの上部を示す前方からの分解斜視図である。図8は、本実施形態に係るライトユニット18を示す前方からの分解斜視図である。図9は、本実施形態に係るライトユニット18を示す後方からの分解斜視図である。
【0099】
ライトユニット18は、照明光を射出する。ライトユニット18は、アンビル10及びアンビル10の周辺を照明光で照明する。ライトユニット18は、アンビル10の前方を照明光で照明する。また、ライトユニット18は、インパクト工具1Aの作業対象を照明光で照明する。ライトユニット18は、アンビル10に装着された先端工具及び先端工具の周辺を照明光で照明する。
【0100】
ライトユニット18は、ハンマケース4の前部に配置される。ライトユニット18は、前側筒部4Bの周囲に配置される。ライトユニット18は、前側筒部4Bを介してアンビルシャフト部10Cの周囲に配置される。
【0101】
ライトユニット18は、チップオンボード発光ダイオード50(COB LED:chip on board light emitting diodes)を含む。
【0102】
チップオンボード発光ダイオード50は、基板51と、発光素子であるLEDチップ52と、バンク54と、蛍光体55とを有する。基板51として、アルミニウム基板、ガラス布基材エポキシ樹脂基板(FR-4基板)、又は複合基材エポキシ樹脂基板(CEM-3基板)が例示される。LEDチップ52は、基板51の表面に搭載される。LEDチップ52と基板51とは、金ワイヤ(不図示)を介して接続される。金ワイヤは、複数のLEDチップ52を相互に接続する。バンク54は、基板51の表面に設けられる。バンク54は、LEDチップ52の周囲に配置される。バンク54は、LEDチップ52よりも径方向内側及び径方向外側のそれぞれに配置される。バンク54は、蛍光体55が配置される区画空間を規定する。蛍光体55は、バンク54の内側においてLEDチップ52を覆うように配置される。一対の電極(不図示)がバンク54の外側において基板51の表面に配置される。なお、電極は、基板51の裏面に配置されてもよい。一対の電極のうち、一方の電極が正極であり、他方の電極が負極である。バッテリパック25から出力された電力は、電極に供給される。電極に供給された電力は、基板51及び金ワイヤを介してLEDチップ52に供給される。LEDチップ52は、バッテリパック25から供給された電力に基づいて発光する。バッテリパック25の電圧は、コントローラ(不図示)により5Vに降圧された状態でLEDチップ52に印加される。
【0103】
ライトユニット18は、チップオンボード発光ダイオード50と、光学部材57と、遮光部材60とを有する。チップオンボード発光ダイオード50は、基板51と、複数のLEDチップ52と、バンク54と、蛍光体55とを有する。
【0104】
基板51は、環状である。基板51は、前側筒部4Bを介してアンビルシャフト部10Cの周囲に配置される。基板51は、円環部51Aと、円環部51Aの下部から下方に突出する支持部51Bとを有する。
【0105】
LEDチップ52は、基板51の円環部51Aの前面に配置される。LEDチップ52は、前側筒部4Bを介してアンビルシャフト部10Cの周囲の少なくとも一部に配置される。LEDチップ52は、円環部51Aの周方向に間隔をあけて複数配置される。本実施形態において、LEDチップ52は、円環部51Aの周方向に等間隔に12個配置される。LEDチップ52は、回転軸AXの周囲において、15°,45°,75°,105°,135°,165°,195°,225°,255°,285°,315°,345°のそれぞれの位置に配置される。0°の位置とは、回転軸AX(アンビルシャフト部10C)の直上の位置である。180°の位置とは、回転軸AX(アンビルシャフト部10C)の直下の位置である。
【0106】
バンク54は、基板51の円環部51Aの前面に設けられる。バンク54は、円環部51Aの前面から前方に突出する。バンク54は、蛍光体55が配置される区画空間を規定する。バンク54は、円環状である。本実施形態において、バンク54は、二重円環状になるように設けられる。すなわち、本実施形態において、バンク54は、円環部51Aの前面に設けられた円環状の第1のバンク54と、円環部51Aの前面において第1のバンク54よりも径方向外側に設けられた円環状の第2のバンク54とを含む。第1のバンク54は、LEDチップ52よりも径方向内側に配置される。第2のバンク54は、LEDチップ52よりも径方向外側に配置される。複数のLEDチップ52は、第1のバンク54と第2のバンク54との間に配置される。
【0107】
蛍光体55は、基板51の円環部51Aの前面に配置される。蛍光体55は、円環状である。蛍光体55は、第1のバンク54と第2のバンク54との間において、複数のLEDチップ52のそれぞれを覆うように配置される。
【0108】
一対のリード線58が基板51に接続される。上述の電極は、リード線58に接続される。一対のリード線58は、支持部51Bの後面に支持される。なお、リード線58は、支持部51Bの前面に支持されてもよい。
【0109】
バッテリパック25から出力された電流は、コントローラ100及びリード線58を介して電極に供給される。バッテリパック25の電圧は、コントローラ100によりに降圧された後、電極に印加される。電極に供給された電流は、基板51及び金ワイヤを介してLEDチップ52に供給される。LEDチップ52は、バッテリパック25から供給された電流に基づいて発光する。
【0110】
図10は、本実施形態に係る光学部材57を後方から見た図である。図11は、本実施形態に係るインパクト工具1Aの上部を前方から見た図である。図12は、本実施形態に係るライトユニット18の一部を示す断面図であり、図11のA-A線断面矢視図に相当する。図13は、本実施形態に係るライトユニット18の一部を示す断面図であり、図11のB-B線断面矢視図に相当する。
【0111】
光学部材57は、チップオンボード発光ダイオード50に接続される。光学部材57は、基板51に固定される。光学部材57は、ポリカーボネート樹脂製である。本実施形態において、光学部材57は、白色の拡散材が含有されたポリカーボネート樹脂製である。光学部材57の少なくとも一部は、チップオンボード発光ダイオード50よりも前方に配置される。光学部材57は、外筒部57Aと、内筒部57Bと、光透過部57Cと、凸部57Dとを有する。
【0112】
外筒部57Aは、内筒部57Bよりも径方向外側に配置される。外筒部57Aは、LEDチップ52よりも径方向外側に配置される。径方向において、チップオンボード発光ダイオード50の少なくとも一部は、外筒部57Aと内筒部57Bとの間に配置される。外筒部57Aは、基板51の円環部51Aよりも径方向外側に配置される。内筒部57Bは、基板51の円環部51Aよりも径方向内側に配置される。内筒部57Bは、LEDチップ52よりも径方向内側に配置される。
【0113】
光透過部57Cは、円環状である。光透過部57Cは、LEDチップ52よりも前方に配置される。光透過部57Cは、外筒部57Aの前端部と内筒部57Bの前端部とを繋ぐように配置される。光透過部57Cは、円環部51Aの前面に対向する。光透過部57Cは、LEDチップ52に対向する。LEDチップ52から射出された光は、光透過部57Cを通過して、ライトユニット18の前方に照射される。
【0114】
光透過部57Cは、LEDチップ52からの光が入射する入射面57Eと、光透過部57Cを透過した光が射出する射出面57Fとを有する。円環部51Aの前面は、光透過部57Cの入射面57Eに対向する。入射面57Eは、LEDチップ52に対向する。入射面57Eは、実質的に後方を向く。射出面57Fは、実質的に前方を向く。
【0115】
凸部57Dは、外筒部57Aの下部から下方に突出するように設けられる。凸部57Dの内側に収容空間が形成される。基板51の支持部51Bは、凸部57Dの内側に形成された収容区間に配置される。
【0116】
遮光部材60は、光学部材57の外筒部57Aよりも径方向外側に配置される。遮光部材60の光透過率は、光学部材57の光透過率よりも低い。LEDチップ52から射出された光の少なくとも一部は、外筒部57Aを透過する可能性がある。遮光部材60は、外筒部57Aの外周面から射出されたLEDチップ52からの光を遮る。遮光部材60は、外筒部57Aの外周面から射出されたLEDチップ52からの光が光学部材57の周囲に照射されることを抑制する。
【0117】
遮光部材60は、合成樹脂製である。本実施形態において、遮光部材60は、ポリカーボネート樹脂製である。遮光部材60は、有色顔料を含有するポリカーボネート樹脂製である。有力顔料として、黒色顔料又は灰色顔料が例示される。本実施形態において、遮光部材60は、黒色顔料を含有するポリカーボネート樹脂製である。遮光部材60は、黒色である。なお、遮光部材60は、灰色顔料を含有するポリカーボネート樹脂製でもよい。遮光部材60は、灰色でもよい。
【0118】
遮光部材60は、筒部60Aと、凸部60Bとを有する。筒部60Aは、外筒部57Aを囲むように配置される。筒部60Aは、外筒部57Aの外周面を覆う。凸部60Bは、筒部60Aの下部から下方に突出する。凸部60Bは、凸部57Dの外面を覆う。凸部60Bは、凸部57Dを下方から覆うように配置される。
【0119】
遮光部材60は、光学部材57に固定される。本実施形態において、光学部材57と遮光部材60とは、第1接着剤70により固定される。第1接着剤70は、外筒部57Aの外周面と筒部60Aの内周面との間に配置される。
【0120】
本実施形態において、遮光部材60は、筒部60Aの内周面から径方向外側に窪むように設けられる溝部60D及び溝部60Eを有する。溝部60Dは、溝部60Eよりも後方に設けられる。前後方向において、溝部60Dと溝部60Eとの境界に付き当て面60Cが設けられる。付き当て面60Cは、後方を向く。付き当て面60Cは、環状である。光学部材57は、付き当て面60Cに対向する対向面57Tを有する。光学部材57は、光学部材57の外周面から径方向内側に窪むように設けられる溝部57V及び溝部57Wを有する。溝部57Vは、溝部57Wよりも後方に設けられる。対向面57Tは、溝部57Vと溝部57Wとの境界に設けられる。対向面57Tは、前方を向く。付き当て面60Cと対向面57Tとは、接触する。第1接着剤70は、溝部60Dの内側及び溝部60Eの内側のそれぞれに満たされる。第1接着剤70は、溝部57Vの内側及び溝部57Wの内側のそれぞれに満たされる。第1接着剤70は、溝部60Dと溝部57Vとの間の空間及び溝部60Eと溝部57Wとの間の空間のそれぞれに溜められる。溝部57V及び溝部57Wのそれぞれに充填された第1接着剤70により、光学部材57と遮光部材60とが固定される。
【0121】
また、遮光部材60は、溝部60D、溝部60E、溝部57V、及び溝部57Wよりも前方において筒部60Aの内周面から径方向内側に突出するように設けられる凸部60Gを有する。凸部60Gの径方向の内端部は、光学部材57の外周面に接触する。凸部60Gは、光学部材57を囲むように設けられる。光学部材57は、凸部60Gの内側に嵌まる。
【0122】
遮光部材60の前端部60Fは、光透過部57Cの射出面57Fの周囲に配置される。遮光部材60の前端部60Fは、光透過部57Cの前端部よりも前方に配置される。なお、前後方向において、遮光部材60の前端部60Fは、光透過部57Cの前端部と同じ位置に配置されてもよい。これにより、光学部材57の径方向外側に光が漏れ難い。
【0123】
チップオンボード発光ダイオード50及び遮光部材60を含むライトユニット18は、アンビル10のアンビルシャフト部10Cの周囲に配置される。ライトユニット18は、ハンマケース4の前側筒部4Bの周囲に配置される。光学部材57の内筒部57Bは、ハンマケース4の前側筒部4Bの周囲に配置される。光学部材57の内筒部57Bは、ハンマケース4の前側筒部4Bに支持される。光学部材57の内筒部57Bは、ハンマケース4の前側筒部4Bに軸方向に移動不可能に固定される。
【0124】
径方向において、基板51は、外筒部57Aと内筒部57Bとの間に配置される。基板51は、光学部材57に固定される。図12及び図13に示すように、基板51と光学部材57とは、第2接着剤75により固定される。第2接着剤75は、基板51の後面と外筒部57Aの内周面とを固定する。なお、第2接着剤75は、基板51の後面と内筒部57Bの外周面とを固定してもよい。第2接着剤75は、遮光性である。本実施形態において、第2接着剤75は、黒色の接着剤である。
【0125】
前側筒部4Bの外周面に凸部4Dが設けられる。凸部4Dは、前側筒部4Bの外周面から径方向外側に突出する。凸部4Dは、周方向に間隔をあけて複数設けられる。本実施形態において、凸部4Dは、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。凸部4Dの表面は、後方を向く後面4Eと、前方に向かって径方向内側に傾斜する斜面4Fとを含む。
【0126】
ライトユニット18は、ハンマケース4の前側筒部4Bに支持される。光学部材57の内筒部57Bの内周面に、後側スライド部57Mと、前側スライド部57Nとが設けられる。後側スライド部57M及び前側スライド部57Nのそれぞれは、内筒部57Bの内周面から径方向内側に突出する。前側スライド部57Nは、後側スライド部57Mよりも前方に配置される。後側スライド部57Mは、周方向に間隔をあけて4つ設けられる。前側スライド部57Nは、4つの後側スライド部57Mのそれぞれの前方に配置される。後側スライド部57Mと前側スライド部57Nとの間に凹部57Kが設けられる。凸部4Dは、凹部57Kの内側に配置される。後側スライド部57Mは、凸部4Dの後面4Eに接触する前面57Pを有する。前側スライド部57Nは、凸部4Dの斜面4Fに対向する斜面57Qを有する。
【0127】
後側スライド部57Mの周方向一方側の端部と前側スライド部57Nとの間に挿入口が設けられる。凸部4Dは、挿入口を介して凹部57Kに配置される。凸部4Dが挿入口に挿入された後、ライトユニット18が回転されることにより、凸部4Dが凹部57Kの内側に挿入される。これにより、光学部材57とハンマケース4の前側筒部4Bとが固定される。光学部材57とハンマケース4の前側筒部4Bとが固定されることにより、ライトユニット18とハンマケース4とが固定される。
【0128】
LEDチップ52から射出された光は、蛍光体55を介して入射面57Eに入射する。図5等に示すように、入射面57Eは、径方向内側に向かって前方に傾斜する。入射面57Eに入射した光は、光透過部57Cを通過した後、射出面57Fから射出される。
【0129】
入射面57Eに入射した光の少なくとも一部は、斜面57Qに到達する。斜面57Qは、径方向内側に向かって前方に傾斜する。斜面57Qに到達した光は、斜面57Qで全反射して、前方に進行する。斜面57Qで全反射した光は、射出面57Fから射出される。
【0130】
本実施形態において、チップオンボード発光ダイオード50の後方にスポンジリング80が配置される。スポンジリング80の後面は、ハンマケース4の環状部4Cに支持される。スポンジリング80の少なくとも一部は、圧縮された状態でライトユニット18に接触する。スポンジリング80は、光学部材57の内筒部57B及び第2接着剤75に接触する。ライトユニット18が圧縮されたスポンジリング80に支持されることにより、ハンマケース4に対するライトユニット18のガタつきが抑制される。なお、スポンジリング80は、内筒部57Bを支持してもよい。
【0131】
図12及び図13に示すように、光学部材57の光透過部57Cは、第1レンズ部571と、第2レンズ部572とを含む。回転軸AXに対する第1レンズ部571の入射面57Eの角度と、回転軸AXに対する第2レンズ部572の入射面57Eの角度とは、異なる。以下の説明において、第1レンズ部571の入射面57Eを適宜、第1入射面57Ea、と称し、第2レンズ部572の入射面57Eを適宜、第2入射面57Eb、と称する。第1入射面57Eaを含む第1レンズ部571と、第2入射面57Ebを含む第2レンズ部572とは、アンビルシャフト部10Cの周囲に1つずつ交互に配置される。
【0132】
LEDチップ52は、基板51及び光学部材57を介してハンマケース4に保持される。第1レンズ部571は、45°,105°,165°225°,285°,345°の位置に配置されたLEDチップ52(第1発光素子)の前方に配置される。第2レンズ部572は、15°,75°,135°,195°,255°,315の位置に配置されたLEDチップ52(第2発光素子)の前方に配置される。以下の説明において、第1レンズ部571が前方に配置されるLEDチップ52を適宜、第1発光素子、と称し、第2レンズ部572が前方に配置されるLEDチップ52を適宜、第2発光素子、と称する。第1発光素子と第2発光素子とは、アンビルシャフト部10Cの周囲に交互に1つずつ配置される。
【0133】
第1レンズ部571は、第1発光素子の前方に配置され、第1発光素子からの光を屈折させる。第2レンズ部572は、第2発光素子の前方に配置され、第2発光素子からの光を屈折させる。第1レンズ部571の屈折角と第2レンズ部572の屈折角とは、異なる。
【0134】
第1レンズ部571は、第1照射範囲に光が照射されるように光を屈折させる。第2レンズ部572は、第1照射範囲とは異なる第2照射範囲に光が照射されるように光を屈折させる。実施形態において、第1照射範囲の位置と第2照射範囲の位置とが異なる。第1照射範囲の位置は、第2照射範囲の位置よりもアンビルシャフト部10Cに近い。第2レンズ部572は、第1照射範囲よりもアンビルシャフト部10Cから遠い第2照射範囲に光が照射されるように光を屈折させる。
【0135】
コントローラ100は、第1発光素子から光を射出させ、第2発光素子から光を射出させない第1ライトモードと、第2発光素子から光を射出させ、第1発光素子から光を射出させない第2ライトモードとを切り換える。コントローラ100は、インタフェースパネル17の操作ボタン17Aが操作されることにより生成された操作指令に基づいて、第1ライトモードと第2ライトモードとを切り換える。なお、コントローラ100は、第1発光素子から光を射出させ、且つ、第2発光素子から光を射出させる第3ライトモードに切り換えてもよい。
【0136】
図14は、本実施形態に係る第1ライトモードを説明するための模式図である。図15は、本実施形態に係る第2ライトモードを説明するための模式図である。作業者は、操作ボタン17Aを操作して、第1ライトモードと第2ライトモードとを選択することができる。例えば細い先端工具がアンビル10に装着される場合、第1ライトモードが選択される。太い先端工具がアンビル10に装着される場合、第2ライトモードが選択される。コントローラ100は、操作ボタン17Aが操作されることにより生成された操作指令に基づいて、第1ライトモードと第2ライトモードとを切り換える。
【0137】
第1ライトモードにおいては、第1発光素子から光が射出される。図14に示すように、第1レンズ部571は、第1照射範囲に光が照射されるように第1発光素子からの光を屈折させる。第2ライトモードにおいては、第2発光素子から光が射出される。図15に示すように、第2レンズ部572は、第2照射範囲に光が照射されるように第2発光素子からの光を屈折させる。第1照射範囲の位置は、第2照射範囲の位置よりもアンビルシャフト部10C(回転軸AX)に近い。細い先端工具がアンビル10に装着された場合、第1照射範囲に光が照射されることにより、作業対象に影ができることなく、作業対象が適正に照明される。太い先端工具がアンビル10に装着された場合、第2照射範囲に光が照射されることにより、先端工具に光が照射されることが抑制される。これにより、作業対象に影ができることなく、作業対象が照明される。
【0138】
以上説明したように、本実施形態において、インパクト工具1Aは、モータ6と、モータ6の前方側に配置され、モータ6により回転される減速機構7と、減速機構7の前方側に配置され、減速機構7により回転されるアンビルシャフト部10Cと、減速機構7を収容するハンマケース4と、ハンマケース4に保持される第1発光素子と、ハンマケース4に保持される第2発光素子と、第1発光素子の前方に配置され、第1発光素子からの光を屈折させる第1レンズ部571と、第2発光素子の前方に配置され、記第2発光素子からの光を屈折させ、第1レンズ部571とは屈折角が異なる第2レンズ部572と、を備える。
【0139】
上記の構成では、アンビルシャフト部10Cに装着される先端工具の種類に応じて、第1レンズ部571を介して光を照射する第1ライトモードと第2レンズ部572を介して光を照射する第2ライトモードとが選択されることにより、作業対象に影ができることが抑制される。
【0140】
実施形態において、インパクト工具1Aは、第1発光素子から光を射出させる第1ライトモードと、第2発光素子から光を射出させる第2ライトモードとを切り換えるコントローラ100を備える。
【0141】
上記の構成では、コントローラ100により第1ライトモードと第2ライトモードとが切り換えられる。
【0142】
実施形態において、コントローラ100は、第1発光素子から光を射出させ、且つ、第2発光素子から光を射出させる第3ライトモードに切り換え可能である。
【0143】
上記の構成では、コントローラ100により第1ライトモードと第2ライトモードと第3ライトモードとが切り換えられる。
【0144】
実施形態において、インパクト工具1Aは、操作ボタン17Aを備える。コントローラ100は、操作ボタン17Aが操作されることにより生成された操作指令に基づいて、第1ライトモードと前記第2ライトモードとを切り換える。
【0145】
上記の構成では、操作ボタン17Aを操作する作業者の意思に基づいて第1ライトモードと第2ライトモードとが切り換えられる。
【0146】
実施形態において、第1発光素子と第2発光素子とは、アンビルシャフト部10Cの周囲に交互に配置される。
【0147】
上記の構成では、第1ライドモード及び第2ライトモードのそれぞれにおいて均一な照度分布で光が照射される。
【0148】
実施形態において、第1レンズ部571は、第1照射範囲に光が照射されるように光を屈折させ、第2レンズ部572は、第1照射範囲よりもアンビルシャフト部10Cから遠い第2照射範囲に光が照射されるように光を屈折させる。
【0149】
上記の構成では、アンビルシャフト部10Cに装着される先端工具の太さに応じて、第1レンズ部571を介して光を照射する第1ライトモードと第2レンズ部572を介して光を照射する第2ライトモードとが選択されることにより、作業対象に影ができることが抑制される。
【0150】
実施形態において、インパクト工具1Aは、アンビルシャフト部10Cの周囲に配置される光学部材57を備える。光学部材57は、第1レンズ部571及び第2レンズ部572を含む。
【0151】
上記の構成では、単一の光学部材57に第1レンズ部571及び第2レンズ部572が設けられる。
【0152】
実施形態において、第1レンズ部571と第2レンズ部572とは、アンビルシャフト部10Cの周囲に交互に配置される。
【0153】
上記の構成では、第1ライドモード及び第2ライトモードのそれぞれにおいて均一な照度分布で光が照射される。
【0154】
[第2実施形態]
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0155】
図16は、本実施形態に係るライトユニット18を示す縦断面図である。図17は、本実施形態に係るねじ締め工具1Bの上部を示す前方からの分解斜視図である。図18は、本実施形態に係るライトユニット18を示す前方からの分解斜視図である。図19は、本実施形態に係るライトユニット18を示す後方からの分解斜視図である。図20は、本実施形態に係る光学部材57を後方から見た図である。
【0156】
上述の第1実施形態においては、LEDチップ52が12個存在し、第1入射面57Ea(第1レンズ部571)が6個存在し、第2入射面57Eb(第2レンズ部572)が6個存在することとした。第2実施形態においては、LEDチップ52が12個存在し、第1入射面57Ea(第1レンズ部571)が12個存在し、第2入射面57Eb(第2レンズ部572)が12個存在する。第1入射面57Ea(第1レンズ部571)と第2入射面57Eb(第2レンズ部572)とは、アンビルシャフト部10Cの周囲に交互に1つずつ配置される。上述の第1実施形態と同様、第1レンズ部571の屈折角と第2レンズ部572の屈折角とは、異なる。
【0157】
第1入射面57Ea(第1レンズ部571)と第2入射面57Eb(第2レンズ部572)とは、LEDチップ52の前方に選択的に配置可能である。光学部材57は、アンビルシャフト部10Cの周囲に配置される。光学部材57は、第1レンズ部571及び第2レンズ部572を含む。光学部材57の回転により、LEDチップ52の前方に第1入射面57Ea(第1レンズ部571)と第2入射面57Eb(第2レンズ部572)とが選択的に配置される。
【0158】
LEDチップ52は、アンビルシャフト部10Cの周囲に12個配置される。光学部材57は、作業者によって回転されてもよいし、不図示のアクチュエータにより回転されてもよい。光学部材57が作業者によって回転される場合、作業者は、光学部材57の回転角度を調整することにより、第1ライトモードと第2ライトモードとを切り換えることができる。第1ライトモードで光を照射する場合、12個の第1入射面57Ea(第1レンズ部571)のそれぞれが12個のLEDチップ52のそれぞれに1つずつ対向するように、光学部材57が回転される。第1入射面57Ea(第1レンズ部571)がLEDチップ52の前方に配置されるとき、第2入射面57Eb(第2レンズ部572)がLEDチップ52の前方に配置されない。第1ライトモードにおいては、LEDチップ52からの光は第1入射面57Eaに入射するものの、第2入射面57Ebには入射しない。第2ライトモードで光を照射する場合、12個の第2入射面57Eb(第2レンズ部572)のそれぞれが12個のLEDチップ52のそれぞれに1つずつ対向するように、光学部材57が回転される。第2入射面57Eb(第2レンズ部572)がLEDチップ52の前方に配置されるとき、第1入射面57Ea(第1レンズ部571)がLEDチップ52の前方に配置されない。第1ライトモードにおいては、LEDチップ52からの光は第2入射面57Ebに入射するものの、第1入射面57Eaには入射しない。
【0159】
上述の第1実施形態と同様、ハンマケース4の前側筒部4Bは、アンビルベアリング46を介してアンビルシャフト部10Cを支持する。光学部材57は、前側筒部4Bに回転可能に支持される。前側筒部4Bと光学部材57との間にOリング91が配置される。Oリング91は、前側筒部4Bの外周面に設けられた溝4Hに配置される。また、光学部材57よりも前方にスナップリング90が配置される。スナップリング90は、前側筒部4Bの外周面に設けられた溝4Gに配置される。スナップリング90は、光学部材57を前側から支持する。スナップリング90は、光学部材57を含むライトユニット18がアンビルシャフト部10Cの前方に抜けることを抑制する抜け止め部材として機能する。基板51の後面と環状部4Cの前面との間にスポンジリング81が配置される。スナップリング90は、スポンジリング81が圧縮されるように、光学部材57を含むライトユニット18を前側から支持する。
【0160】
Oリング91は、回転方向における光学部材57の位置決め部材として機能する。Oリング91は、径方向外側に向かって光学部材57に弾性力を与える。Oリング91の弾性力により、光学部材57が意図せずに回転することが抑制される。光学部材57を回転させる場合、作業者は、Oリング91の弾性力に抗って、光学部材57を回転させることができる。
【0161】
以上説明したように、本実施形態において、インパクト工具1Bは、モータ6と、モータ6の前方側に配置され、モータ6により回転される減速機構7と、減速機構7の前方側に配置され、減速機構7により回転されるアンビルシャフト部10Cと、減速機構7を収容するハンマケース4と、ハンマケース4に保持されるLEDチップ52と、LEDチップ52の前方に選択的に配置可能な第1レンズ部571及び第2レンズ部572と、を備える。第1レンズ部571の屈折角と第2レンズ部572の屈折角とは、異なる。
【0162】
上記の構成では、アンビルシャフト部10Cに装着される先端工具の種類に応じて、第1レンズ部571を介して光を照射する第1ライトモードと第2レンズ部572を介して光を照射する第2ライトモードとが選択されることにより、作業対象に影ができることが抑制される。
【0163】
実施形態において、インパクト工具1Aは、アンビルシャフト部10Cの周囲に配置される光学部材57を備える。光学部材57は、第1レンズ部571及び第2レンズ部572を含む。光学部材57の回転により、LEDチップ52の前方に第1レンズ部571と第2レンズ部572とが選択的に配置される。
【0164】
上記の構成では、光学部材57を回転させるだけで、第1ライトモードと第2ライトモードとが簡単に切り換えられる。
【0165】
実施形態において、第1レンズ部571と第2レンズ部572とは、アンビルシャフト部10Cの周囲に交互に配置される。
【0166】
上記の構成では、第1ライドモード及び第2ライトモードのそれぞれにおいて均一な照度分布で光が照射される。
【0167】
実施形態において、LEDチップ52は、アンビルシャフト部10Cの周囲に複数配置される。第1レンズ部571がLEDチップ52の前方に配置されるとき、第2レンズ部572がLEDチップ52の前方に配置されず、第2レンズ部572がLEDチップ52の前方に配置されるとき、第1レンズ部571がLEDチップ52の前方に配置されない。
【0168】
上記の構成では、光学部材57を回転させるだけで、第1ライトモードと第2ライトモードとが簡単に切り換えられる。
【0169】
実施形態において、ハンマケース4は、アンビルベアリング46を介してアンビルシャフト部10Cを支持する前側筒部4Bを有する。光学部材57は、前側筒部4Bに回転可能に支持される。
【0170】
上記の構成では、光学部材57は、前側筒部4Bに支持された状態で回転することができる。
【0171】
実施形態において、筒部と光学部材57との間にOリング91が配置されてもよい。光学部材57は、Oリング91を介して筒部に支持されてもよい。
【0172】
上記の構成では、光学部材57は、Oリング91により回転方向に位置決めされる。
【0173】
[第3実施形態]
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その構成要素の説明を簡略又は省略する。
【0174】
図21は、本実施形態に係る第3ライトモードを説明するための模式図である。図22は、本実施形態に係る第4ライトモードを説明するための模式図である。上述の実施形態においては、第1ライトモードにおける第1照射範囲の位置と第2ライトモードにおける第2照射範囲の位置とが異なることとした。図21及び図22に示すように、第3ライトモードにおける第1照射範囲の大きさと第4ライトモードにおける第2照射範囲の大きさとが異なってもよい。
【0175】
[その他の実施形態]
上述の実施形態においては、ねじ締め工具がインパクトドライバであることとした。ねじ締め工具は、インパクトドライバに限定されない。ねじ締め工具として、ドライバドリル、アングルドリル、及びスクリュードライバが例示される。
【0176】
上述の実施形態において、電動作業機(1等)の電源は、バッテリパック25でなくてもよく、商用電源(交流電源)でもよい。
【符号の説明】
【0177】
1A…ねじ締め工具(インパクト工具)、1B…ねじ締め工具(インパクト工具)、2…ハウジング、2L…左ハウジング、2R…右ハウジング、2S…ねじ、3…リヤカバー、3S…ねじ、4…ハンマケース、4A…後側筒部、4B…前側筒部、4C…環状部、4D…凸部、4E…後面、4F…斜面、4G…溝、4H…溝、5…ケースカバー、6…モータ、7…減速機構、8…スピンドル、8A…フランジ部、8B…スピンドルシャフト部、8C…円環部、8D…スピンドル溝、9…打撃機構、10…アンビル(出力部)、10A…工具孔、10B…凹部、10C…アンビルシャフト部、10D…アンビル突起部、11…工具保持機構、12…ファン、12A…ブッシュ、13…バッテリ装着部、14…トリガレバー、15…正逆転切換レバー、16…手元モード切換ボタン、16A…回路基板、16B…スイッチ、17…インタフェースパネル、17A…操作ボタン、17B…インジケータ表示器、18…ライトユニット、19…吸気口、20…排気口、21…モータ収容部、22…グリップ部、23…バッテリ保持部、24…ベアリングボックス、25…バッテリパック、26…ステータ、27…ロータ、28…ステータコア、29…前インシュレータ、29S…ねじ、30…後インシュレータ、31…コイル、32…ロータコア部、33…ロータシャフト部、34…ロータ磁石、35…センサ磁石、37…センサ基板、37A…磁気センサ、37B…樹脂モールド体、38…ヒュージング端子、39…ロータベアリング、40…ロータベアリング、41…ピニオンギヤ、42…プラネタリギヤ、42P…ピン、43…インターナルギヤ、44…スピンドルベアリング、45…ワッシャ、46…アンビルベアリング、47…ハンマ、47A…ハンマ溝、47B…ハンマ突起部、47C…凹部、48…ボール、49…コイルスプリング、50…チップオンボード発光ダイオード、51…基板、51A…円環部、51B…支持部、52…LEDチップ(発光素子)、54…バンク、55…蛍光体、57…光学部材、57A…外筒部、57B…内筒部、57C…光透過部、57D…凸部、57E…入射面、57Ea…第1入射面、57Eb…第2入射面、57F…射出面、57K…凹部、57M…後側スライド部、57N…前側スライド部、57P…前面、57Q…斜面、57T…対向面、57V…溝部、57W…溝部、58…リード線、60…遮光部材、60A…筒部、60B…凸部、60C…付き当て面、60D…溝部、60E…溝部、60F…前端部、60G…凸部、61…ボール、70…第1接着剤、75…第2接着剤、80…スポンジリング、81…スポンジリング、90…スナップリング、91…Oリング、100…コントローラ、101…回路基板、102…コントローラケース、571…第1レンズ部、572…第2レンズ部、AX…回転軸。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22