(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024080272
(43)【公開日】2024-06-13
(54)【発明の名称】電波強度分布可視化システムおよび電波強度分布可視化装置
(51)【国際特許分類】
G01R 29/08 20060101AFI20240606BHJP
G01R 29/10 20060101ALI20240606BHJP
H04B 17/318 20150101ALI20240606BHJP
【FI】
G01R29/08 B
G01R29/10 Z
H04B17/318
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022193324
(22)【出願日】2022-12-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-23
(71)【出願人】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】荒井 稔登
(72)【発明者】
【氏名】マハムド ファーハン
(72)【発明者】
【氏名】中村 佳弘
(72)【発明者】
【氏名】平澤 徳仁
(57)【要約】
【課題】より安価に電波強度分布を作成する。
【解決手段】電波強度分布可視化システム1は、電波測定装置3と空間測定装置5を備える。電波測定装置3は、電波強度を測定する電波測定部31と、電波強度と測定時刻とを送信する通信部34を備える。空間測定装置5は、測定位置と周囲の物体の3次元位置を示す点群データを取得する空間測定部51と、測定位置と点群データとを取得したタイミングで電波測定装置3に電波強度を要求し、電波強度と測定時刻とを受信する通信部55と、測定位置と点群データの取得時刻と電波強度の測定時刻とを突合させて測定位置と電波強度とを対応付ける突合部52と、測定位置に対応付けた電波強度と点群データに基づいて電波強度の分布を示すヒートマップを作成するヒートマップ作成部54を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波測定装置と空間測定装置を備える電波強度分布可視化システムであって、
前記電波測定装置は、
電波強度を測定する電波測定部と、
前記電波強度と測定時刻とを送信する送信部を備え、
前記空間測定装置は、
測定位置と周囲の物体の3次元位置を示す点群データを取得する空間測定部と、
前記測定位置と点群データとを取得したタイミングで前記電波測定装置に電波強度を要求し、前記電波強度と測定時刻とを受信する通信部と、
前記測定位置と前記点群データの取得時刻と前記電波強度の測定時刻とを突合させて前記測定位置と前記電波強度とを対応付ける突合部を備え、
前記電波測定装置または前記空間測定装置のいずれかは、
前記測定位置に対応付けた電波強度と前記点群データに基づいて電波強度の分布を示すヒートマップを作成する作成部を備える
電波強度分布可視化システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電波強度分布可視化システムであって、
前記電波測定部は、高さの異なる複数のアンテナのそれぞれで電波強度を測定し、前記複数のアンテナ間の電波強度を補間し、
前記作成部は、補間した電波強度と前記点群データに基づいて3次元のヒートマップを作成する
電波強度分布可視化システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電波強度分布可視化システムであって、
前記電波測定部は、前記電波測定装置の内部クロックの周波数付近の測定値を0とする
電波強度分布可視化システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電波強度分布可視化システムであって、
前記電波測定部は、所定の測定時間幅内で測定された複数の電波強度に基づいて前記測定位置と対応付ける電波強度を決定する
電波強度分布可視化システム。
【請求項5】
電波強度分布可視化装置であって、
測定位置と周囲の物体の3次元位置を示す点群データを取得する空間測定部と、
電波強度を測定する電波測定部と、
前記測定位置と前記点群データの取得時刻と前記電波測定部の測定時刻とを突合させて前記測定位置と前記電波強度とを対応付ける突合部と、
前記測定位置に対応付けた電波強度と前記点群データに基づいて電波強度の分布を示すヒートマップを作成する作成部を備える
電波強度分布可視化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電波強度分布可視化システムおよび電波強度分布可視化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信を利用する通信機器が増加している。快適な無線通信環境を提供するためには、電波強度を測定し、電波強度分布を把握することが望ましい。電波強度分布を把握できれば、より快適な無線通信環境となるように、無線アクセスポイントの配置を調整できる。
【0003】
特許文献1では、屋内のメタルケーブルに高周波信号を重畳して電界強度を測定し、平面図に電界強度を対応付けて設備配置図情報を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1は、専用機器を用いた高価なシステムを用い、信号発生器を設置して測定装置と同期をとるなどの運用に手間がかかるという問題があった。
【0006】
汎用機器を用いてシステムを構築できれば、より安価に電波強度分布を把握できる。例えば、電波強度の測定には市販の測定器を用いることができる。屋内のフロア図の作成にはLight Detection And Ranging (LiDAR)を備える携帯端末を用いることができる。しかしながら、LiDARで点群データを得て、その点群データに測定した電波強度をマッチングする処理は処理量が大きく、点群データと電波強度との対応付けがズレるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、より安価に電波強度分布を作成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様の電波強度分布可視化システムは、電波測定装置と空間測定装置を備える電波強度分布可視化システムであって、前記電波測定装置は、電波強度を測定する電波測定部と、前記電波強度と測定時刻とを送信する送信部を備え、前記空間測定装置は、測定位置と周囲の物体の3次元位置を示す点群データを取得する空間測定部と、前記測定位置と点群データとを取得したタイミングで前記電波測定装置に電波強度を要求し、前記電波強度と測定時刻とを受信する通信部と、前記測定位置と前記点群データの取得時刻と前記電波強度の測定時刻とを突合させて前記測定位置と前記電波強度とを対応付ける突合部を備え、前記電波測定装置または前記空間測定装置のいずれかは、前記測定位置に対応付けた電波強度と前記点群データに基づいて電波強度の分布を示すヒートマップを作成する作成部を備える。
【0009】
本発明の一態様の電波強度分布可視化装置は、電波強度分布可視化装置であって、測定位置と周囲の物体の3次元位置を示す点群データを取得する空間測定部と、電波強度を測定する電波測定部と、前記測定位置と前記点群データの取得時刻と前記電波測定部の測定時刻とを突合させて前記測定位置と前記電波強度とを対応付ける突合部と、前記測定位置に対応付けた電波強度と前記点群データに基づいて電波強度の分布を示すヒートマップを作成する作成部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、より安価に電波強度分布を作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態の電波強度分布可視化システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態の電波強度分布可視化システムが備える機能部の一例を示す機能ブロック図である。
【
図3】
図3は、2次元ヒートマップの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、3次元ヒートマップの一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態の電波強度分布可視化システムの処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、本実施形態の電波強度分布可視化システム1の構成の一例を示す図である。同図に示す電波強度分布可視化システム1は、電波測定装置3と空間測定装置5を備える。作業者は、電波測定装置3と空間測定装置5を持って電波強度分布を把握したいフロア内を巡回し、空間測定装置5でフロア内の物体の位置を測定してフロア図を作成するとともに、電波測定装置3でその位置の電波強度を測定し、電波強度のヒートマップを作成する。電波強度のヒートマップは、電波強度を色で視覚化した画像である。例えば、電波強度の大きい箇所を濃い色、電波強度の小さい箇所を薄い色で表現する。作業者は、ヒートマップの色の濃淡によりフロア内の電波強度分布を把握できる。
【0014】
電波測定装置3は、Software Defined Radio(SDR)とパーソナルコンピュータ(PC)で構成される。SDRは、ソフトウェアにより様々な方式に対応できる無線通信システムである。SDRは、高さの異なる2本のアンテナ4A,4Bを備える。アンテナは1本でもよいし、3本以上でもよい。
【0015】
PCは、ユーザインタフェースを提供してSDRを制御し、SDRから各周波数の電波強度(受信電力ともいう)を受信して、電波強度と測定時刻とを対応付けて蓄積する。PCは、空間測定装置5からの要求に応じて電波強度と測定時刻とを送信する。PCには、一般的な計算機を利用できる。
【0016】
空間測定装置5は、周囲の空間を測定するセンサ端末であり、例えば、LiDARを備えるタブレット端末または携帯端末を用いることができる。空間測定装置5は、測定位置(自己位置)と周囲の空間の点群データを取得して2次元フロア図または3次元フロア図を作成するとともに、PCから電波強度と測定時刻とを受信して、電波強度の測定時刻と、測定位置と点群データの取得時刻とを突合し、フロア図に電波強度を対応付けて電波強度のヒートマップを作成する。空間測定装置5は、2次元フロア図または3次元フロア図に電波強度のヒートマップを重畳して表示する。
【0017】
電波測定装置3と空間測定装置5とは時刻を同期させておく。例えば、PCと空間測定装置5がネットワークに接続できる場合、PCと空間測定装置5のそれぞれは、ネットワークから正しい時刻情報を取得して自身に設定する。
【0018】
なお、空間測定装置5が作成したフロア図とヒートマップをPCへ送信し、PCでフロア図に電波強度のヒートマップを重畳して表示してもよい。空間測定装置5が、測定位置と取得時刻および作成したフロア図をPCへ送信し、PCが、電波強度のヒートマップを作成してもよい。
【0019】
電波測定装置3と空間測定装置5とを一体の装置で構成してもよい。
【0020】
次に、
図2を参照し、電波測定装置3と空間測定装置5が備える機能の一例について説明する。
図2では、電波測定装置3をSDRとPCを一体化した装置として図示している。以下、電波測定装置3と空間測定装置5の各部について説明する。
【0021】
図2の電波測定装置3は、電波強度測定部31、補間部32、記憶部33、および通信部34を備え、空間測定装置5は、空間測定部51、突合部52、記憶部53、ヒートマップ作成部54、および通信部55を備える。電波測定装置3と空間測定装置5が備える各部は、演算処理装置、記憶装置等を備えたコンピュータにより構成して、各部の処理がプログラムによって実行されるものとしてもよい。このプログラムは電波測定装置3と空間測定装置5が備える記憶装置に記憶されており、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリなどのコンピュータが読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録することも、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0022】
電波強度測定部31は、高さの異なる2本のアンテナ4A,4Bを接続して指定の周波数の電波強度を測定する。例えば、アンテナ4A,4Bを接続したSDRを台車に載せて、台車を移動しながら測定対象のフロアを巡回し、フロア内の電波強度を測定する。測定開始前に、測定する周波数、帯域幅、ゲイン、サンプリングレート、およびデータ数などを設定しておく。例えば、PCでリアルタイムの周波数スペクトルを表示し、周波数スペクトルを見ながら電波強度を測定する周波数等を指定する。
【0023】
電波強度測定部31にはSDRを用いることができるが、SDRは安価な汎用機器のため、SDRの内部クロックの周波数付近にノイズが入ることがある。このノイズへの対処には以下の対処が考えられる。第1の方法として、内部クロックの周波数付近の測定値をnull(=0)とする。第2の方法として、中心周波数をずらして電波を2つ以上測定し、内部クロックを相殺する。具体的には、測定したスペクトラムA(中心周波数A[Hz])に対して、スペクトラムB1(中心周波数A+B[Hz])とスペクトラムB2(中心周波数A-B[Hz])の2つのスペクトラムを測定し、スペクトラムB1の周波数A+B[Hz]のデータをスペクトラムB2のA+B[Hz]のデータと置き換えるか、スペクトラムB2の周波数A-B[Hz]のデータをスペクトラムB1のA-B[Hz]のデータと置き換える。第3の方法として、暗室等の電波が無い環境でのスペクトラムの測定結果からノイズレベルN[dB]を取得し、現地で測定したスペクトラムA(中心周波数A[Hz])からNを差し引く。
【0024】
補間部32は、アンテナ4A,4B間の電波強度を補間(例えば、akima補間、線形補間など)する。床面に近いアンテナ4Aと天井に近いアンテナ4Bのそれぞれで受信した電波の電波強度を測定し、アンテナ4A,4B間の電波強度を補間することで、床面から天井までの広範囲で電波強度のヒートマップを作成できる。アンテナ4A,4Bそれぞれの高さが分かれば、補間で求めた電波強度に対応する高さ方向の位置は求められる。
【0025】
また、アンテナ4A,4Bが近づくことによる影響(VSWRが悪くなる、指向性がずれる)を解消するため、アンテナ間距離および放射パターンを事前に電磁界シミュレーションなどで学習し、測定時にデータ補正してもよい。
【0026】
記憶部33は、測定で得られた電波強度を測定時刻とともに格納する。記憶部33は、補間した電波強度を測定時刻とともに格納してもよい。
【0027】
通信部34は、空間測定装置5から要求を受信すると、電波強度測定部31が測定した電波強度を取得し、電波強度と測定時刻を返信する。通信部34は、補間した電波強度と測定時刻を返信してもよい。
【0028】
電波が間欠的(例えば10msごと)に発生する場合、空間測定装置5から要求を受けたタイミングで電波が出力されていないと、測定対象の電波の電波強度を取得できない。そこで、取得時間幅を決めて、Maxhold(最大)値または移動平均値を記録し、その値を返却してもよい。例えば、通信部34は、取得時間幅を1秒として、空間測定部51から要求を受けたタイミングから1秒前までに測定された電波強度のうちの最大値を返却する。あるいは、取得時間幅を決めて、間欠なデータを補間または予測してもよい。
【0029】
なお、空間測定装置5からの要求が時刻情報を含んでもよい。この場合、通信部34は、要求が含む時刻情報に近い測定時刻の電波強度を記憶部33から読み出して電波強度と測定時刻を返信する。
【0030】
空間測定部51は、測定位置と周囲の空間の点群データを取得する。空間測定部51には、タブレット端末または携帯端末が備えるLiDARを用いることができる。作業者は、電波測定装置3に近い位置で、空間測定部51(タブレット端末等)を床や壁に向けて点群データを取得する。空間測定部51は、測定位置と点群データを取得すると、記憶部53に測定位置、点群データ、および取得時刻を記憶部53に保存するとともに、電波測定装置3に対して電波強度を要求する。電波強度の要求に取得時刻を含めてもよい。
【0031】
突合部52は、電波測定装置3から受信した測定時刻と、測定位置と点群データの取得時刻とを突合させ、同じ時間であれば、測定位置、点群データ、および電波強度を対応付けて記憶部53に保存する。電波測定装置3から高さ方向に補間された複数の電波強度を受信した場合、複数の電波強度のそれぞれを測定位置の高さ方向を変えた位置に対応付ける。
【0032】
記憶部53は、突合部52で突合した測定位置、点群データ、および電波強度を対応付けて保持する。
【0033】
ヒートマップ作成部54は、記憶部53から測定位置、点群データ、および電波強度を読み出し、点群データからフロア図を作成し、フロア図にフロアの各地点における電波強度に応じて色を付して、フロア内の電波強度の分布を示すヒートマップを作成する。
【0034】
ヒートマップ作成部54は、点群データをフロアの天井方向から見た平面図に変換した2次元フロア図を作成してもよいし、点群データからフロアの3次元フロア図を作成してもよい。
図3に2次元ヒートマップの一例を示し、
図4に3次元ヒートマップの一例を示す。いずれのヒートマップも色が濃くなるほど電波強度が強くなることを示している。
【0035】
通信部55は、空間測定部51が測定位置と点群データを取得したタイミングで、電波強度を電波測定装置3に要求する。この要求に対して、電波測定装置3は、要求を受信したタイミングで測定した電波強度と測定時刻を送信する。通信部55は、受信した電波強度と測定時刻を突合部52へ送信する。
【0036】
次に、
図5のシーケンス図を参照し、電波強度分布可視化システム1の処理の流れの一例について説明する。
【0037】
ステップS101にて、作業者は、電波測定装置3を操作し、電波強度を測定する周波数、帯域幅などを設定する。作業者は、測定対象のフロアで電波のスペクトラムを見ながら周波数、帯域幅を決定してもよい。作業者は、電波測定装置3と空間測定装置5を持ってフロア内を移動しながら以下のステップS102からS106の処理を実行する。例えば、電波測定装置3を台車に載せ、作業者は、台車とともに移動しながら、空間測定装置5を手に持って床や壁に向けて点群データを取得する。
【0038】
ステップS102にて、電波測定装置3は、指定の周波数の電波の電波強度を測定する。電波測定装置3は、複数のアンテナ4A,4Bで受信した電波の電波強度間を補間してもよい。電波測定装置3は、測定した電波強度を測定時刻と対応付けて保存する。
【0039】
ステップS103にて、空間測定装置5は、測定位置と周囲の空間の点群データを取得し、取得時刻とともに保持する。電波測定装置3の近くで空間測定を行うので、空間測定装置5の位置を電波測定装置3の位置と見なして測定位置の位置情報を取得する。
【0040】
空間測定装置5が測定位置と点群データを取得すると、ステップS104にて、空間測定装置5は、電波測定装置3に対して、電波強度を要求する。
【0041】
ステップS105にて、電波測定装置3は、要求を受信したタイミングで測定された電波強度と測定時刻を返信する。
【0042】
なお、電波測定装置3は、電波強度の要求を受信したタイミングでステップS102の電波強度の測定を実施し、ステップS105にて、測定した電波強度と測定時刻を返信してもよい。
【0043】
ステップS106にて、空間測定装置5は、電波測定装置3から受信した測定時刻と点群データの測定時刻とを突合して、測定位置と電波強度とを対応付けて保存する。
【0044】
作業者は、フロア内で場所を移動しながら、ステップS102ないしステップS106の処理を繰り返す。
【0045】
フロア内での測定が終わると、ステップS107にて、空間測定装置5は、点群データからフロア図を作成し、測定位置と電波強度から電波強度のヒートマップを作成する。なお、フロア内での測定中にヒートマップが作成されて更新されてもよい。
【0046】
また、電波測定装置3は、電波強度と測定時刻を記憶部33に保持しておき、空間測定装置5は、測定位置、点群データ、および取得時刻を記憶部53に保持しておき、フロア内を巡回後、電波測定装置3と空間測定装置5のそれぞれが保持するデータの時刻情報を突合して、測定位置と電波強度とを対応付けてヒートマップを作成してもよい。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の電波強度分布可視化システム1は、電波測定装置3と空間測定装置5を備える。電波測定装置3は、電波強度を測定する電波測定部31と、電波強度と測定時刻とを送信する通信部34を備える。空間測定装置5は、測定位置と周囲の物体の3次元位置を示す点群データを取得する空間測定部51と、測定位置と点群データとを取得したタイミングで電波測定装置3に電波強度を要求し、電波強度と測定時刻とを受信する通信部55と、測定位置と点群データの取得時刻と電波強度の測定時刻とを突合させて測定位置と電波強度とを対応付ける突合部52と、測定位置に対応付けた電波強度と点群データに基づいて電波強度の分布を示すヒートマップを作成するヒートマップ作成部54を備える。これにより、汎用機器で構成できる電波測定装置3と空間測定装置5を用いて、フロア内の電波強度分布を可視化したヒートマップを作成できる。
【0048】
電波測定装置3が、高さの異なる複数のアンテナ4A,4Bのそれぞれで電波強度を測定し、複数のアンテナ4A,4B間の電波強度を補間する補間部32を備えることで、ヒートマップ作成部54は、補間した電波強度と点群データに基づいて3次元のヒートマップを作成できる。
【符号の説明】
【0049】
1…電波強度分布可視化システム
3…電波測定装置
31…電波強度測定部
31…電波測定部
32…補間部
33…記憶部
34…通信部
4A,4B…アンテナ
5…空間測定装置
51…空間測定部
52…突合部
53…記憶部
54…ヒートマップ作成部
55…通信部
【手続補正書】
【提出日】2024-02-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電波測定装置と空間測定装置を備える電波強度分布可視化システムであって、
前記電波測定装置は、
電波強度を測定する電波測定部と、
前記空間測定装置からの要求に応じて、前記電波強度と測定時刻とを送信する送信部を備え、
前記空間測定装置は、
測定位置と周囲の物体の3次元位置を示す点群データを取得する空間測定部と、
前記測定位置と点群データとを取得したタイミングで前記電波測定装置に電波強度を要求し、前記電波強度と測定時刻とを受信する通信部と、
前記測定位置と前記点群データの取得時刻と前記電波強度の測定時刻とを突合させて前記測定位置と前記電波強度とを対応付ける突合部を備え、
前記電波測定装置または前記空間測定装置のいずれかは、
前記測定位置に対応付けた電波強度と前記点群データに基づいて電波強度の分布を示すヒートマップを作成する作成部を備える
電波強度分布可視化システム。
【請求項2】
請求項1に記載の電波強度分布可視化システムであって、
前記電波測定部は、高さの異なる複数のアンテナのそれぞれで電波強度を測定し、前記複数のアンテナ間の電波強度を補間し、
前記作成部は、補間した電波強度と前記点群データに基づいて3次元のヒートマップを作成する
電波強度分布可視化システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電波強度分布可視化システムであって、
前記電波測定部は、前記電波測定装置の内部クロックの周波数付近の測定値を0とする
電波強度分布可視化システム。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電波強度分布可視化システムであって、
前記電波測定部は、所定の測定時間幅内で測定された複数の電波強度に基づいて前記測定位置と対応付ける電波強度を決定する
電波強度分布可視化システム。
【請求項5】
電波強度分布可視化装置であって、
測定位置と周囲の物体の3次元位置を示す点群データを取得する空間測定部と、
電波強度を測定する電波測定部と、
前記測定位置と前記点群データの取得時刻と前記電波測定部の測定時刻とを突合させて前記測定位置と前記電波強度とを対応付ける突合部と、
前記測定位置に対応付けた電波強度と前記点群データに基づいて電波強度の分布を示すヒートマップを作成する作成部を備え、
前記電波測定部は、当該電波強度分布可視化装置の内部クロックの周波数付近の測定値を0とする
電波強度分布可視化装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
本発明の一態様の電波強度分布可視化システムは、電波測定装置と空間測定装置を備える電波強度分布可視化システムであって、前記電波測定装置は、電波強度を測定する電波測定部と、前記空間測定装置からの要求に応じて、前記電波強度と測定時刻とを送信する送信部を備え、前記空間測定装置は、測定位置と周囲の物体の3次元位置を示す点群データを取得する空間測定部と、前記測定位置と点群データとを取得したタイミングで前記電波測定装置に電波強度を要求し、前記電波強度と測定時刻とを受信する通信部と、前記測定位置と前記点群データの取得時刻と前記電波強度の測定時刻とを突合させて前記測定位置と前記電波強度とを対応付ける突合部を備え、前記電波測定装置または前記空間測定装置のいずれかは、前記測定位置に対応付けた電波強度と前記点群データに基づいて電波強度の分布を示すヒートマップを作成する作成部を備える。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一態様の電波強度分布可視化装置は、電波強度分布可視化装置であって、測定位置と周囲の物体の3次元位置を示す点群データを取得する空間測定部と、電波強度を測定する電波測定部と、前記測定位置と前記点群データの取得時刻と前記電波測定部の測定時刻とを突合させて前記測定位置と前記電波強度とを対応付ける突合部と、前記測定位置に対応付けた電波強度と前記点群データに基づいて電波強度の分布を示すヒートマップを作成する作成部を備え、前記電波測定部は、当該電波強度分布可視化装置の内部クロックの周波数付近の測定値を0とする。